JP2010532776A - 再灌流を増大させ、かつ血管閉塞を予防するためのトロンボモジュリン - Google Patents

再灌流を増大させ、かつ血管閉塞を予防するためのトロンボモジュリン Download PDF

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Abstract

薬剤を必要とする患者、特に、脳卒中患者内の虚血組織または器官の再灌流を刺激するための薬剤の製造のためのトロンボモジュリンの使用。再灌流の改善に関する本発明の1つの実施態様によるトロンボモジュリンの血栓溶解効果は、驚くべきことに中大脳動脈(MCA)の安定した閉塞を伴う動物モデルにおいて見出された。閉塞MCAを伴うマウスを可溶性トロンボモジュリンで治療し、そして驚くべきことに脳血流(CBF)の増大により測定されるような実質的な再灌流を呈した。動物研究からのトロンボモジュリンに関する公知の抗凝固剤効果は、単に血流を回復させるよりもむしろ血液凝固を予防する能力を示唆したので、この知見は予想外であった。

Description

本発明は、閉塞された血管における再灌流を増大させるための新規なストラテジに関し、また欧州特許出願第07 013 480.4号、欧州特許出願第08 009 096.2号および欧州特許出願第08 010 333.6号(これらは、開示によって本明細書に完全に援用される)の優先権を主張する。
細胞機能は血流による十分な酸素の供給を重大な要とする。故に血流供給の妨害はその程度に依存して下流組織の損傷または機能障害を招き得る。この不適切な血流または器官もしくは組織への血液供給の不足は虚血と称される。虚血イベントの根源となる最も顕著な理由の1つは血管における血栓形成である。
不十分な酸素の提供とは組織が低酸素になるか、または酸素が全く供給されない場合、あまりに長時間蔓延すると壊死(すなわち細胞死)を引き起こす症状である無酸素になることを意味する。
虚血はとりわけ特定の心臓疾患、一過性の虚血性発作、脳血管事故、動静脈奇形の破裂および/または末梢動脈閉塞性疾患の特色である。不適切な血液供給に対して特に感受性のある組織には心臓、腎臓および脳が含まれる。例えば脳卒中または頭部傷害による脳組織における虚血は、一連の継続し、平行し、そして相互作用するタンパク質分解酵素、反応性酸素種およびその他の活性化合物を伴う生化学的事象を意味する、いわゆる解放されるべき虚血カスケードを引き起こす。この一連の流れの最終的な転帰は脳組織の損傷および破壊である。
脳組織における虚血イベントに関する同義語である脳卒中は、心血管疾患および癌の後の死亡の第3の主要原因である。脳卒中は米国だけで毎年750000人の患者において診断され、そしてほぼ168000人の死亡原因となる。脳卒中は疾患が引き起こす重度の障害のために高い人的および社会的影響力を有する。
血液供給を回復させるための閉塞動脈の再疎通は、現在のところヒトにおける脳卒中治療のための最も有効な療法である。かかる治療の成功率は脳内出血および再閉塞の可能性により低減される。出血は虚血カスケードにより引き起こされる損傷の一部であるが、また血栓溶解剤に関連するリスクでもある。再閉塞は同一部位で、または下流に運ばれた元来の凝血塊の断片により生じ得る。最近の研究(非特許文献1)では、継続性脳卒中患者142人のうち84人(61%)(部分的53人、完全31人)において再閉塞を生じた。これらのうち21人(25%)の患者が初期の改善の後に悪化した。
一般的に脈管の妨害または再妨害(再閉塞)の予防のための公知の方法は、抗凝固剤または抗血小板薬で血栓患者を治療することである。抗凝固剤は血液が凝血塊を形成する能力を低減させる物質である。種々の抗凝固剤、例えばヘパリンまたはワルファリンが当業者に公知である。
種々の物質の抗凝固または抗血栓効果は公知であるが、現在急性脳卒中患者を治療するための抗凝固療法は何ら承認されていない。数多くの抗血小板薬のうち低用量アスピリンのみが推奨される。しかしながら米国心臓協会(AHA)および米国心臓協会脳卒中部門(ASA)のガイドラインによれば、この推奨は急性虚血性脳卒中後最初の24−48時間に限定される(ガイドライン(2007年5月)1681頁左欄参照)。
抗凝固療法に関してはガイドラインにより:
早期再発性脳卒中の予防、神経学的悪化の中止または急性脳卒中後の転帰の改善を目標とする緊急の抗凝固剤は急性虚血性脳卒中の患者の治療には推奨されない;
緊急の抗凝固剤は重症の頭蓋内出血性合併症のリスクの増大のために、中等度および重度の脳卒中を伴う患者には推奨されない;
静脈内投与されたtPAでの治療の24時間内の抗凝固剤療法の開始は推奨されない(ガイドライン1680頁左欄);
ということが明確に述べられている。
抗凝固剤脳卒中療法についての科学者および監督機関の不本意は単に、抗凝固剤が脳卒中患者における出血性への転換のリスクを増大させることが示されており、それは治療的利益を全く消し去る可能性があるという事実による。承認された抗凝固剤療法は今までのところ心臓梗塞および肺塞栓症の分野に限定される。
しかしながら本発明によれば今ではトロンボモジュリンを使用して閉塞血管、とりわけ脳卒中患者の閉塞血管を改善するか、または再灌流さえももたらすことができることが見出されている。この改善は出血性への転換のリスクの実質的な増大につながる。この再灌流活性のために、トロンボモジュリンを血栓溶解剤として臨床的に使用することができる。
血栓溶解剤は直接的または間接的に閉塞を除去または低減し、そしてそれにより血管の再灌流に至る物質である。この血栓溶解(または線維素溶解促進)特性に加えて、トロンボモジュリンは既に公知のように抗凝固特性を呈する。
血栓溶解剤としてトロンボモジュリンで治療することができる血栓塞栓イベントには、限定するものではないが心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症、門脈もしくは腎静脈血栓症、肝血栓症(バッド・キアリ症候群)、上肢の血栓症(パジェット・シュレッター病)または胸郭出口症候群および脳卒中イベントが含まれる。
トロンボモジュリンは血管を裏打ちする内皮細胞上でトロンビン受容体として作用する膜タンパク質である。トロンビンは凝固カスケードにおける中心的酵素であり、それはフィブリノーゲンをフィブリンに変換し、マトリックス凝血塊はそれから作られる。最初に多くの傷害によりその不活性前駆体であるプロトロンビンから少量のトロンビンの作成を導く。今度はトロンビンが血小板および第二の特定の凝固因子(第Vおよび第VIII因子を含む)を活性化する。後者の作用により、さらなるトロンビン分子の大量の活性化である、いわゆるトロンビンバーストを生じ、それは最終的に安定した凝血塊の形成を招く。
しかしながらトロンボモジュリンに結合した場合、トロンビンの活性は方向性において変化する:トロンビン−トロンボモジュリン複合体の主要な特色はプロテインCを活性化するその能力であり、プロテインCは次いで必須コファクターである第Va因子および第VIIIa因子をタンパク質分解的に不活化することにより凝血カスケードを下方調節し(非特許文献2)、このように抗凝固活性を提供する。トロンビン−トロンボモジュリン複合体はまたトロンビン−活性化可能な線維素溶解阻害剤(TAFI)(それは次いで線維素溶解に拮抗する)を活性化することができる。
先の研究では陰性であったが、さらに最近の研究ではトロンボモジュリンが脳内皮細胞に存在する(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)のみならず、アストロサイトの表面でも発現され、ここでそれは脈管構造におけるように機能する、すなわちトロンビンとの複合体を形成した後、プロテインCを活性化する(Pindonら、Glia (1997),19:259−68)ことが示されている。トロンボモジュリンはまたCNSの反応性アストロサイトにおいて、機械的傷害に応答して上方調節される(Pindonら、J.Neurosci.(2000),20:2543−50)。関連する報告書により、組換えトロンボモジュリンは神経細胞において別の受容体、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR−1)のトロンビンの活性化を遮断することが可能であることが示唆される(Sarkerら、Thromb.Haemost.(1999),82:1071−77)。
活性型プロテインCはまた種々のサイトカインまたは活性型白血球を伴う炎症応答の調節に強く結び付けられている(Esmonら、Thromb.Haemost.(1991),66:160−165)。この仮説と一致して、活性型プロテインCは腫瘍壊死因子(TNF−アルファ)の生成を阻止することにより、強力な好中球のアクチベーターであるエンドトキシンTNF−アルファを投与されたラットにおける肺血管傷害を予防することが研究により示されている。(Murakamiら、Blood (1996),87:642−647;Murakamiら、Am.J.Physiol.(1996),272:L197−2)。これは組換えヒト可溶性トロンボモジュリンが、プロテインC活性化により媒介される作用において好中球の活性化を阻止することによるエンドトキシン誘発の肺血管傷害を予防する能力と一致する(Uchibaら、Am.J.Physiol.(1996),271:L470−5;Uchibaら、Am.J.Physiol.(1997),273:L889−94)。
Rubieraら、「Predictors of early arterial reocclusion after tissue plasminogen activator−induced recanalization in acute ischemic stroke」Stroke(2005)36:1452−1456 Esmonら、Ann.N.Y.AcAd.Sci.(1991),614:30−43 Boffaら、Nouv.Rev.Fr.Hematol.(1991),33:423−9 Wongら、Brain Res.(1991),556:1−5 Wangら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.(1997),17:3139−46 Tranら、Stroke(1996),27:2304−10;考察2310−1
再灌流の改善に関する本発明の1つの実施態様によるトロンボモジュリンの血栓溶解効果は、驚くべきことに中大脳動脈(MCA)の安定した閉塞を伴う動物モデルにおいて見出された。閉塞MCAを伴うマウスを可溶性トロンボモジュリンで治療し、そして驚くべきことに脳血流(CBF)の増大により測定されるような実質的な再灌流を呈した。動物研究からのトロンボモジュリンに関する公知の抗凝固剤効果は、単に血流を回復させるよりもむしろ血液凝固を予防する能力を示唆したので、この知見は予想外であった。
本発明の局面では、「再灌流」なる用語は閉塞の状態と比較して血流の任意の改善を指し、それは部分的または全体的な再灌流のいずれでもよい。このように再灌流なる用語は虚血イベントの前の元来の血流の完全な回復を招く効果に限定されない。本発明によれば、トロンボモジュリンの再灌流効果は、血栓形成に拮抗する、および/または凝血塊の自発的な溶解を支援する効果を含むと考えられる。
本発明の目的のために使用される際には「閉塞」なる用語は、健常または正常血管と比較してそれの遠位の組織の血流の低減を招く血管の任意の狭窄または狭小化として定義される。閉塞は部分的または完全のいずれでもよい。故に閉塞なる用語は狭窄症、すなわち遠位灌流を依然可能にする血管の異常な狭小化をも包含する。
図1である。 図2である。 図3である。 図4である。 図5である。 図6である。 図7である。 図8である。 図9である。 図10である。
本発明の別の態様ではトロンボモジュリンを使用して、血栓塞栓イベントによる、とりわけ二次的な血栓塞栓イベントによる血管の閉塞のリスクを予防するかたまは少なくとも低下させることができる。これらの二次的な血栓塞栓イベントは一次的な虚血イベントから誘導される脳凝血塊でよい。このように本発明のこの実施態様によれば、トロンボモジュリンを使用して二次的な脳血管閉塞(再閉塞)のリスクを被る脳卒中患者を治療することができる。
トロンボモジュリンSolulinを用いるトロンボモジュリン第I相臨床試験(「SOLID−I」)からの最初の結果により、安全で、そして高度に有効な抗凝固剤および血栓溶解剤としての可溶性トロンボモジュリンの使用が確認された。
SOLIDは健常ボランティアにおける単一施設無作為化単純盲検プラセボ対照第I相研究として設計された。定型的な安全性パラメータに加えてSOLID−I研究は適用されたSolulin用量の凝固系に及ぼす可能な悪影響を精査した。その研究では5群のボランティアに各々Solulinの単回用量を投与し、継続用量群では投薬量を漸増させる。各々の用量増加は研究安全性委員会により最初に承認された。参照として研究対象の幾人かは薬理学的に不活性な物質、すなわちプラセボが投与された。0.6から30mgの選択された用量範囲内で、Solulinは用量依存的な様式で98%までトロンビン形成を阻止することが示された。既に最小用量群で影響を認めることができ、そして予想される治療用量を示す1mgでトロンビン形成の50%阻止が達成された。
Solulinの最低用量と最高用量の間のファクター50により前臨床研究において既に認められた物質の良好な耐容性が確認される(表1および図8参照)。また前臨床研究の結果に従って出血傾向の増大を示唆している血液凝固パラメータに及ぼす影響は観察されなかった。
故に本発明によればトロンボモジュリンは1つの分子内で抗凝固剤および血栓溶解剤の多様な機能的特性を組み合わせる。すなわちトロンボモジュリンは抗凝固剤のように血栓イベントを予防することができ、そしてトロンボモジュリンは血栓溶解剤のように再灌流を誘発または引き起こすことができる。それ故に本発明に基づいてトロンボモジュリンは抗凝固および血栓溶解特性を呈する「二機能性」薬物の新しいクラスの第1の典型である。
これらの特性によりトロンボモジュリンは、血栓リスクおよび既存のまたは進展する血栓症の組み合わせを有する患者を治療するのにとりわけ適当なものになる。故に本発明の1つの実施態様によれば、軽微な脳卒中はトロンボモジュリンで治療可能である。
現在軽微な脳卒中は血栓溶解療法に関して好ましくないリスク・ベネフィット比のために臨床排除基準の一例である。これは一方では軽微な脳卒中を有する患者が有していた凝血塊がしばしば既に消散しており、そして他方では血栓溶解剤の固有の出血リスクがより重症の脳卒中症例に対する血栓溶解剤の使用を制限するということを考慮したためである。これらの患者は続く血栓イベントに関して高いリスクを有するので、それは「不安定脳卒中患者」としても記載される。
本発明のさらなる実施態様では、トロンボモジュリンを使用して軽微な脳卒中または臨床評価時までには既に改善している脳卒中を患う患者を治療することができるであろう。抗凝固剤としてそれを使用してさらなる血栓イベントを予防することができ、そしてトロンボモジュリン抗凝固に関わらず、それは血栓溶解剤としてとりわけ凝血塊が形成されている症例において「そのままで」凝血塊を消散させることができる。結果的にトロンボモジュリンを軽微な脳卒中と診断される患者に投与することができ、そして軽微な脳卒中を治療するための血栓溶解療法として適用することができる。
軽微な脳卒中を米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)で脳卒中重症度6以下、好ましくは4以下により定義することができる。これに代えて米国国立神経疾患・脳卒中研究所rt−PA脳卒中研究グループにより提唱される5つの実用的定義(定義A−E)にしたがって軽微な脳卒中を定義することができる(Ann Emerg Med (2005)46:243−251)。
定義Aには0に違いない意識のレベル(項目1aから1c)を除いて、ベースラインNIHSSスコアの各項目に関して0または1のスコアを有する全ての患者が含まれる。この定義では最大の可能なNIHSSスコアは11である。
定義Bには全ての推定される小血管閉塞患者が含まれる。この定義はラクナ様症候群に基づく。
定義Cには感覚の欠陥を伴うかまたは伴わない運動の欠陥を伴う全ての患者が含まれる(構音障害または運動失調を含み得る)。これらの患者は言語領域、意識のレベル、消去もしくは無視、水平方向の眼球運動または視野における欠陥を何ら伴わない運動、協調および感覚の欠陥のみを有し得て、欠陥は一般的により広い領域の限局的虚血によるものと見なされる。この定義は純粋運動性片麻痺のラクナ症候群または感覚運動脳卒中および失調性片麻痺の関連するラクナ症候群を伴うこれらの患者を捕捉しようと努めている。
定義Dには重篤度の最低の四分位(最小の重症度)に入るベースラインNIHSSを有する全ての患者が含まれる(NIHSSスコア≦9)が、失語症、消去もしくは無視、または意識レベル質問に関して何らかの問題を有する全ての患者が排除される。重症度の最小の四分位の患者はこの定義に入り、そして一般的により小さな、さらに軽微な梗塞に関与しない選択された項目を伴うものはさらに排除される。
定義EにはベースラインNIHSSスコアに基づく脳卒中重症度の最低の四分位に入る全ての患者が含まれる(最大NIHSSスコア9)。定義は伴われる神経学的欠陥の領域とは独立してNIHSSスコアの最低の四分位の患者の群を分析する。
NIHSSは脳卒中関連の神経学的欠陥の定量的測定値を提供する系統的な評価手段である。NIHSSは元来、急性脳卒中臨床試験における患者に関するベースラインデータを測定するための調査手段として設計された。スケールは今や脳卒中患者の激しさをも評価し、適切な治療を決定し、そして患者の転帰を予測するための臨床評価手段としても広く使用される。NIHSSに従って意識のレベル、眼球運動、顔面麻痺または四肢の運動能力のようなパラメータを評価し、そして予め定義された数値スコア化に供する。日常的にNIHSSスコア6からおよそ15は中等度の脳卒中として査定される。15以上のNIHSSスケールのスコアはかなり重症の脳卒中を示す。頻繁に20以上のNIHSSスコアの脳卒中は治療不可能であると考えられる。しかしながら注目すべきことには、脳卒中の重症度の査定はまた医師による患者の個々の評価に依存し、それは患者の全体的な臨床成績の態様を含む。本発明によれば6以下のベースラインNIHSSスコアが好ましい。
その他の血栓溶解剤と同様に、血管状態の可視化によりトロンボモジュリン療法のための治療的決定を行うことができる。本発明の1つの態様によれば、血液で充填された構造の内部開口の可視化に至り、そしてそれで動脈閉塞の同定を可能にする任意のイメージング手段を適用することができる。可能なイメージング様式にはMRIまたはCTおよびそれをさらに発展させたものまたは修飾されたものが含まれる;しかしながらそれに限定されない。血管の可視化を血管造影と称することもできる。MRIまたはCT画像をさらに評価するための種々の方法は当業者に周知である(例えばポストプロセシングマップとしてのMTT、TTPまたはTmax)。
本発明のさらなる実施態様では、脳動脈、とりわけ全てのその分枝を含む中大脳動脈(MCA)、前大脳動脈(ACA)および/または後大脳動脈(PCA)、とりわけM1および/またはM2に局在する閉塞を治療することができる。
本発明の好ましい実施態様では、抗凝固剤または血栓溶解剤のいずれかとしてのトロンボモジュリンの使用は血管の状態の診断に基づくことができる。この目的のためにTIMIスケールを使用することができる。TIMIスケール(心筋梗塞スケールにおける血栓溶解)は元来心筋梗塞における動脈閉塞の評価のために開発され、そして以下のとおりの4つのグレードを包含する:
グレード3:正常な血流;
グレード2:動脈は全体的に灌流しているが、血流は遅延している;
グレード1:造影剤により動脈は貫通しているが、遠位灌流はない;
グレード0:脈管の完全な閉塞。
TIMIグレード0から2の患者は完全または部分的閉塞を被り、そしてその血栓溶解活性に基づいてトロンボモジュリンで(好ましくは急性的に)治療することができる。しかしながらTIMIグレード3でトロンボモジュリンは(再)閉塞を予防することができ、そして急性予防のために、または慢性的に、例えば数日から数週間の長期間、二次的な予防治療として与えられる。
本発明の別の実施態様では、トロンボモジュリンを使用して一過性神経発作を患う患者を治療することができる。一過性神経発作(TNA)は一時的な(<24時間)神経学的病徴を伴う発作である。これらの病徴は限局性、非限局性または双方の混合型でよい。最近の出版物によれば、非限局性TNAを経験する患者、および特に混合型TNAを有するものはさらなる血栓イベントのリスクがさらに高く、そしてそれ故に特にトロンボモジュリンを使用する抗凝固療法に適している(Bosら、「Incidence and prognosis of transient neurological attacks」JAMA 2007,298:2877−2885)。
TNAを患う患者におけるトロンボモジュリンを使用する抗凝固治療は約1日から約3か月が好ましいが、虚血イベントの急性相で最も高い血栓リスクが観察されたので、できるだけ早く予防的治療を開始することができる。
本発明のさらなる実施態様では、トロンボモジュリンを使用して一過性虚血発作(TIA)を患う患者を治療することができる。これは主にさらなる閉塞の予防を可能にするその抗凝固特性に基づく。しかしながらこれらのTIA患者がさらなる血栓イベントに見舞われた場合、血漿中に依然存在するトロンボモジュリンが再灌流の誘発を助けることができる。この場合、補充的なトロンボモジュリンを適用するか、またはトロンボモジュリン用量を増加させることが必要であり得る。故に本発明によれば、トロンボモジュリンを抗凝固剤または血栓溶解剤のいずれかとして使用してTIA患者を治療することができる。
TIAは一過性の血栓性または塞栓性血管閉塞により引き起こされる、24時間未満および通常1時間未満の持続時間の脳の限局性非痙攣性虚血性機能障害の短時間の非可逆的エピソードとして定義される。イベントを動脈分布、一時的パターンまたは病因学(例えば塞栓性対血栓性)により分類できる。最近提唱されたTIA定義には急性梗塞の不在もまた含まれる。
WHOのICD−10分類によれば、TIAは切迫した脳血管事故または間欠性脳虚血としても記載されることができ、そして以下の臨床症候を含む:椎骨脳底動脈症候群、頸動脈症候群(半球性)、多発性および両側性脳実質外動脈(precerebral artery)症候群、一過性黒内障、一過性健忘症(健忘症NOSを除く)、その他の一過性脳虚血性発作および関連する症候群ならびに不特定の一過性脳虚血性発作。
TIA後の短期間の脳卒中リスクは大きな虚血性脳卒中後により高く、最近の研究によると4−20%がTIA後90日以内に、半分は2日以内に脳卒中になるであろうということが示されている。また急性脳虚血イベント(脳卒中またはTIA)を有する患者では、最初の24時間に大きく回復したものは最も高い発生のリスクを有する。
このようにTIAを有し、そして早期に部分的に回復した患者は脳卒中を有したことがあるものよりもさらに不安定であり、そしてそれ故に特に良好なリスク・ベネフィット比を有する組み合わせ血栓溶解および抗凝固剤としてのトロンボモジュリンでの療法に適している。TIAが血栓イベントに関する重要な警告徴候としてますます認識されているという事実のために、迅速で、有効でそして安全な予防的治療に関する緊急の要件が明白になってきている。医師および患者をTIAの関連性に関して敏感にするために、頭字語TIAは「即時行動せよ(Take Immediate Action)」を意味するはずであるということが提唱された。
TIAの初期管理に関する推奨において、多発性の、および漸増的に頻繁な病徴(漸増性TIA」)、病徴の持続時間>1時間、公知の凝固性亢進状態の場合、またはカリフォルニアスコア、ABCDスコアもしくはABCDスコア(TIAの管理のための米国脳卒中協会ガイドライン)の適切な組み合わせのようないくつかの臨床的な特色は好機な病院紹介を支援する。これらの臨床上の特色はさらなる血栓イベントに関するリスクの増大を示すので、それらをトロンボモジュリン療法のための組み入れ基準と考えてもよい。
TIAの一般的な医学的評価には、EKG、全血球数、血清電解質およびクレアチナーゼならびに空腹時血糖および脂質が含まれる。この評価はイベントの性質の定義を助けるはずであり、そしてトロンボモジュリン療法を決定するために使用することができる。
コンピューター断層撮影法(CT)およびコンピューター断層撮影血管造影法(CTA)または核磁気共鳴画像法(MRI)および核磁気共鳴血管造影法(MRA)のようないくつかの脳画像技術は梗塞および脈管閉塞を示すことができ、そしてTIAを擬似し得るその他の病理との鑑別診断を確証することが推奨される。経頭蓋ドップラーは最近のTIAを有する患者における補完的な検査研究である。それは脳血管の開存性、再疎通および側副路に関するさらなる情報を提供できる。前記された脳画像技術の各々は単独で、または組み合わせでトロンボモジュリン療法の決定を助けることができる。
静脈血栓症および光血栓脳卒中の動物モデルにおける出血傾向を有意に増大しない用量での可溶性トロンボモジュリンの有効性に基づいて、トロンボモジュリンを非心臓塞栓性または心臓塞栓性TIA/脳卒中の治療のための血栓溶解剤または抗凝固剤として使用することができる。
心臓塞栓性TIA/脳卒中の発生機序は心臓供給源からのデブリでの脳血管の閉塞である。塞栓は血小板凝集物、血栓、血小板血栓、コレステロール、カルシウムまたは細菌からなり得る。たいていの塞栓性デブリは血小板凝集物を含有する。しかしながら心臓塞栓の発達に寄与する単一のメカニズムはない。具体的な基礎心臓疾患が病態生理学および自然経過を決定し、そして故に各心臓塞栓供給源は別個に考慮されなければならない。毎年心臓塞栓性塞栓症は虚血性脳卒中のおよそ20%を占める。一般的に心臓塞栓性脳卒中はその他の虚血性脳卒中サブタイプよりも予後が悪く、そしてより大きい、およびより障害を引き起こしやすい脳卒中を生じる。この一般的な観察は平均して大きなサイズ(例えば心耳、心室性血栓)である、心室を起源とする多血小板塞栓に由来する。心臓塞栓性TIA/脳卒中に関して強力な血小板アクチベーターであり、そして血小板血栓の惹起ならびに後期血小板血栓成長および/または安定性において重要な役割を果たすトロンビンをトロンボモジュリンが直接的および間接的に(プロテインCを介して)阻止するので、それは有望な治療選択肢を表し得る。
20を超える具体的な障害が脳塞栓症に至ることと結び付けられている。塞栓の心臓供給源を大および小リスクカテゴリーに分けることは臨床的に有用である。大リスク供給源は初期および再発性脳卒中の相対的に高いリスクを担持する。大リスク心臓塞栓供給源が存在する場合、脳卒中の一次予防の努力が示され、それはまたトロンボモジュリン療法のための患者を査定する。
高リスク心臓供給源には、限定するものではないがリウマチ性僧帽弁狭窄症、人工弁、感染性心内膜炎、非細菌性血栓性(衰弱性)心内膜炎、虚血性心臓疾患、急性心筋梗塞、左心室無動症もしくは動脈瘤、非虚血性心筋症(例えば特発性拡張、ウイルス性心筋炎随伴、エキノコックス、周産期、アミロイド随伴、過好酸球増加症候群随伴、リウマチ性心筋症随伴、サルコイドーシス関連、神経筋障害随伴、カテコラミン誘発、ドキソルビシン誘発、ミトキサントロン関連、クラックコカイン関連、心臓シュウ酸症随伴)、心房細動、心房粗動、心房粘液腫または洞機能不全症候群(いわゆる短速(brachy−tachy)症候群)が含まれる。
本発明の好ましい態様では、血栓イベントのリスクが増大した患者においてトロンボモジュリンを使用する。この高まったリスクは限定するものではないが、脳卒中、糖尿病、心筋梗塞、不安定狭心症、心房細動、腎損傷、肺塞栓症、深部静脈血栓症ならびに器官および補てつ移植片を含む基礎疾患の結果でよい。その他のリスク因子は低血圧、高コレステロール血症、高脂質血症、喫煙、アルコール摂取、肥満および低い身体活動性である。リスクは年齢、血圧、微小塞栓およびバイオマーカーのような臨床因子の結果であり得る。臨床因子を使用して診断スコアを確立することができる。TNAおよび限局的病徴(一過性虚血性発作:TIAのほうがよく知られている)を有する患者に関するさらなる血栓イベントのリスクを予測するために、ABCDスコア(Rothwellら、「A simple score (ABCD) to identify individuals at high early risk of stroke after transient ischaemic attack」Lancet 2005 366:29−36,)またはABCDスコア(Johnstonら、「Validation and refinement of scores to predict very early stroke risk after transient ischaemic attack」Lancet 2007,369:283−92)のような最近開発されたいくつかの診断手順がある。
ABCDスコアは続発性血栓イベントの可能性を予測することができ、そして:
年齢≧60歳=1ポイント
診察時に血圧≧140/90mmHg=1ポイント
臨床徴候:
片側性の衰弱=2ポイント
衰弱を伴わない言語障害=1ポイント
発作の持続時間:
≧60分=2ポイント
10−59分=1ポイント
糖尿病=1ポイント
として計算される。
全スコアは0から7の範囲に入る。血栓イベントに関するリスクは、スコア0−3に関しては低く、スコア4−5に関しては中度であり、そしてスコア6−7に関しては高い。本発明によれば1つの実施態様においてABCDが3以上、とりわけ少なくとも4、さらに好ましくは少なくとも6の患者をトロンボモジュリンで治療する。
加えて患者の遺伝的素因(例えば第V因子ライデン、以下の遺伝子における変異または多型:シスタチンC、4型コラーゲンアルファ−1、プロトロンビン、ホスホジエステラーゼ4D、ACE、インターロイキン1−受容体アンタゴニスト、インターロイキン−6、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)、アラキドン酸5−リポキシゲナーゼ(Alox−5)、toll様受容体−4、マンノース結合レクチン)、薬物療法(例えば避妊薬)の使用またはアテローム性動脈硬化、脈管炎および動脈瘤を含む脈管構造の病理学的変化に基づいて血栓リスクを評価できる。
さらなる実施態様では、トロンボモジュリンをいわゆるラクナ脳卒中の治療のために使用する。ラクナ脳卒中は深部貫通動脈(直径0.2−15mm)の領域の領域における小型の皮質下梗塞(直径>15mmm)として定義される。ラクナは大脳基底核および内包、視床、放射冠ならびに脳橋において最も頻繁に生じる。病徴はしばしば変動性(例えばカプセルワーニング症候群(capsular warning syndrome))または進行性のいずれかの様式で生じる。疾患のこの経過を呈する患者はしばしば診断が遅すぎて、r−tPAでの血栓溶解療法を受けることができない。今度はこれらの患者はトロンボモジュリンを使用する血栓溶解療法に関して査定される。加えてラクナ脳卒中を有する患者はしばしば早期の実質的な改善を示し、そして故にトロンボモジュリンを抗凝固剤として使用して続発性の血栓イベントを予防することができる。
本発明の別の実施態様では、トロンボモジュリンを抗凝固剤または血栓溶解剤として使用して癌誘発または関連の血栓症のリスクを有するかまたはそれを被る癌患者における再閉塞を予防するかまたは再灌流を誘発することができる。それ故にトロンボモジュリンをトルソー症候群の予防および/または治療のために使用することができる。トロンボモジュリンのこの使用はとりわけ血栓リスクが増大した癌患者、例えば肺、乳房、結腸直腸および前立腺癌ならびに悪性脳腫瘍および卵巣、膵臓、結腸、胃、肺および腎臓を含む腺癌に適用される。癌患者における血栓イベントに関するリスク因子には非移動性、中心静脈アクセス装置の使用、ホルモン療法、化学療法および外科的手術が含まれる。
計り知れない脳内出血のリスクがあり、それは血栓溶解剤の投与後に強調すらされるので、現在抗凝固剤で再閉塞を予防するための抗凝固剤療法は承認されていないことは当業者には公知である。本発明の1つの実施態様による新規の教示はこのように虚血患者(とりわけ脳卒中患者)にトロンボモジュリンを投与できることであり、トロンボモジュリンで未治療の患者に比較して有害な影響、とりわけ出血の実質的なリスクが少ないかまたはない。故にたとえ患者が以前に脳卒中を被っており、そして/または血栓溶解療法を受けていたとしても、本発明の1つの実施態様にしたがって患者を可溶性トロンボモジュリンでの抗凝固療法に供することができる。研究により可溶性トロンボモジュリンのレベルの増大と脳卒中を有する患者における死亡のリスクの増大との間の関連性が報告されたので、以前の血栓もしくは虚血イベントの可能性または血栓溶解療法に関わらないトロンボモジュリンの有利な影響は当業者に予想外であった(Olivot JMら、「Soluble Thrombomodulin and Brain Infarction」Stroke 2004,35:1946−1951)。
本発明のなお別の態様では、虚血イベントの急性または早期相内にトロンボモジュリンを患者に投与する。特定の実施態様では、血栓溶解物質、例えばtPAまたは任意のその他のプラスミノーゲン活性化因子の投与後最初の24時間の時間窓で投与を適用する。この場合、トロンボモジュリンを好ましくは抗凝固剤として投与する。
本発明のさらなる実施態様では、虚血イベントの発症後3時間以内に抗凝固のためにトロンボモジュリンを投与する。
本発明のなお別の態様によれば、例えば当業者に公知のAPTTまたはPTTアッセイにより測定されるような血液凝固パラメータを実質的に増大しない投薬量でトロンボモジュリンを患者に投与する。APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)またはPTT(部分トロンボプラスチン時間)は各々の固有の、および共通の凝固経路の有効性の指標であるアッセイである。凝血における異常の検出は別として、それをまた抗凝固剤の治療効果をモニタリングするためにも使用する。
本発明の別の実施態様によれば、凝固時間の延長に関連しないトロンボモジュリンの投薬量を患者に投与する。健常ヒトのAPTT値は正常にはほぼ25秒と39秒の間にある。この範囲外の値は一般的には異常と考えられる。本発明のこの態様によれば、適用された投薬量は実質的にはAPTTを延長しないが、例えばマウスの中大脳動脈の光血栓閉塞のアッセイにおいて測定されるように、脈管閉塞を効果的に予防する。
本発明によるトロンボモジュリンの好ましい投薬量はおよそ0.01から5mg/kg体重、好ましくは0.03から3mg/kg体重、最も好ましくは0.03から1.5mg/kg体重または0.05から1.0mg/kg体重である。このように本発明によれば、バイアルまたはアンプルのような可能な投薬単位形態はほぼ0.8から400mg、好ましくは2.4から240mg、最も好ましくは0.8から1200mgまたは4から80mg(ほぼ65kg体重の患者と仮定)を含有すると示唆される。
本発明の別の実施態様では、脳卒中を治療し、凝固および再閉塞を予防するか、または血栓溶解療法のためのトロンボモジュリン、とりわけSolulinの用量範囲は患者あたりおよそ0.5(とりわけ0.6)からおよそ30mgであり、そして最も好ましい用量範囲は患者あたり1から10mg、最も好ましくは3から10mgである。このように本発明によればトロンボモジュリンの固定用量を伴う使用準備済みの医薬組成物が提供される。
トロンボモジュリン、とりわけSolulinは好ましくは非経口的に、例えば静脈内適用により与えられる。静脈内ボーラス適用が可能である。このように本発明によればトロンボモジュリン、とりわけSolulinを1−30mgまたはそれより多い範囲の用量で、好ましくは1、2、2.5、3、4、5、6、7、7.5、8、9または10mgの固定用量のトロンボモジュリン、とりわけSolulinを含有する医薬組成物が提供される。
本発明によれば、単回用量もしくは多回用量またはその組み合わせのいずれかでトロンボモジュリンを投与することができる。体重調整された、または固定用量のいずれかの前記のような用量を使用することができる。
単回用量群および多回用量群により、トロンボモジュリン(とりわけSolulin)の投与はボランティア内でトロンボモジュリンに対する抗体生成を招かなかったことが示された。故にトロンボモジュリン、とりわけSolulinの多回用量でさえ長期間続く、すなわち数週間、数か月または数年にわたる投与が可能である。このように本発明によればトロンボモジュリン長期療法が可能である。加えて、この免疫原性の欠如により、患者は寿命トロンボモジュリン(とりわけSolulin)での療法以上のものを受けることが可能になる。
本発明のこれらの実施態様は前記されたSOLID−I研究の結果に基づく。この研究ではトロンボモジュリン(Solulin)0.6、1.0、3.0、10.0および30mgの漸増単回用量をボーラスとしてボランティア5群に投与した。この単回用量パートでは、aPTT、プロトロンビン比、プロトロンビン時間測定値およびPFA100出血アッセイから明白であるように、Solulinは出血傾向の増大を引き起こさなかった。有害事象はわずかだけで、そして軽微であったという観察を伴うこの事実により、Solulinは非常に安全な薬物であることが確認された。単回用量パートでの最低用量と最高用量の間のファクター50により、前臨床研究において既に認められた物質の良好な耐容性が確認される(表1および図8参照)。
研究のこのパートでは、Solulinは用量依存的な様式で98%までトロンビン形成を阻止し、それにより1mg/ボランティアの用量が50%阻止に至った(図11)。
研究の多回用量パートでは、Solulinを1日1回5日にわたって投与した。このように本発明によればトロンボモジュリンの多回用量を可能にするのに適当である医薬組成物が提供される。多回用量パートでは、aPTT、プロトロンビン比、プロトロンビン時間測定値およびPFA100出血アッセイから明白であるように、Solulinは出血傾向の増大を引き起こさなかった。この知見によりSolulinが安全な抗血栓薬であることがさらに確認される。
さらにSolulinは用量依存的な様式で93%までトロンビン形成を阻止することが示された(図12)。このトロンビン作成阻止の範囲は単回用量適用の結果に相関する。このようにこれらの2つの投薬計画を組み合わせて、例えば単回用量で開始し、そしてその後、好ましくはより短期の間隔での多回用量計画で終えるか、またはその逆を行うことができる。
加えて、将来の療法適用において毎日治療よりも長い間隔を可能にする長い血漿排出半減期(15から30時間)が観察された。長い血漿排出半減期を伴う多回用量群の結果により1日間と8日間の間、さらに好ましくは2日間と7日間の間、そして最も好ましくは3日間と6日間の間の適用間隔が教示される。
全ての用量群の分析により、Solulinは線形薬物動態を呈することが示され、それはSolulinの代謝において個体相互の差異が少ないことを実証した。線形薬物動態および広い治療濃度域に基づいて、固定用量の適用が体重用量適用よりもさらに好ましく、それは医師および患者にとってより都合がよく、そして過剰または過少投薬のリスクを有意に低減する。このように本発明によればトロンボモジュリンの固定用量を伴う使用準備済みの医薬組成物が提供される。
トロンビン阻止の阻止に関して観察されたSolulin効果の優れた用量依存性により、診断結果(例えば凝固パラメータ)またはその他の臨床観察に基づいて患者の用量が容易に調整される可能性が教示される。
任意の可溶性トロンボモジュリンで本発明による方法を実施することができる。本発明の局面ではトロンボモジュリンは、トロンビンとの機能的複合体を形成する能力に関して天然のトロンボモジュリンの生物学的活性を実質的に示すトロンボモジュリン修飾体、その類似体、変異体、フラグメントおよび誘導体を含む任意のタンパク質(本明細書では全て一般的にトロンボモジュリンと称する)として定義される。本発明によればトロンビンとの「機能的複合体」はプロテインC/タンパク質S経路を活性化する任意の複合体である。
可溶性トロンボモジュリンの種々の形態、例えばAsahi Corporation(東京、日本)により開発されたいわゆるART−123またはPAION Deutschland GmbH,Aachen(ドイツ)により現在開発中の組換え可溶性ヒトトロンボモジュリンSolulinは当業者に公知である。組換え可溶性トロンボモジュリン、すなわちアミノ酸配列の修飾を伴わない可溶性トロンボモジュリンはAsahiの特許、欧州特許第0312598号の対象である。
Solulinはヒトトロンボモジュリンの可溶性の、ならびにプロテアーゼおよび酸化抵抗性の類似体であり、そして故にインビボで長時間有効である。Solulinはトロンビンを独占的に阻止するのではないので、その主要な特色はその広い作用のメカニズムにある。それはまた自然のプロテインC/プロテインS経路を活性化し、そしてそれ故にトロンビンのさらなる作成を停止させる。さらにSolulinのトロンビンに対する結合は後者をそのプロテアーゼ活性化受容体(PAR)の活性化から予防するので、Solulinは神経保護効果を奏する(例えば欧州特許第1365788号参照)。PAR受容体の阻止は今度はアポトーシス細胞死を遮断する。
Solulinはとりわけ欧州特許第0641215(B1)号、欧州特許第0544826(B1)号および欧州特許第0527821(B1)号の対象である。本発明の1つの実施態様に従ってSolulinを患者に投与する。Solulinは天然のヒトトロンボモジュリン(配列番号:1)と比較して、以下の位置で修飾を含有する:G−3V、アミノ酸1−3の除去、M388L、R456G、H457Q、S474AおよびP490で終止。このナンバリングシステムは配列番号:1の天然のトロンボモジュリンに従う。本発明の好ましい実施態様としてのSolulinの配列を配列番号:2に示す。
しかしながら注目すべきことには、本発明に従って前記された特性または前記された欧州特許文書、欧州特許第0544826(B1)号、欧州特許第0641215(B1)号および欧州特許第0527821(B1)号にて概要を記された特性の1つのみ、またはそれより多くを含んでなるトロンボモジュリン類似体もまた利用することができる。
本発明に従って適用可能な特に好ましいトロンボモジュリン変異体は1つ以上の次の特徴を有するものである:
(i)それらは酸化抵抗性である;
(ii)それらはプロテアーゼ抵抗性を呈する;
(iii)それらは同種のN−またはC−末端を有する;
(iv)それらは例えば天然のトロンボモジュリン(配列番号:1)のグリコシル化部位の少なくともいくつかのグリコシル化により翻訳後修飾されている;
(v)それらは線形二重逆数トロンビン結合特性を有する;
(vi)それらは相対的に少量の界面活性剤中で水溶液に可溶性であり、そして典型的には膜貫通配列を欠如する;
(vii)それらはグリコサミノグリカン鎖を欠如する。
本発明において使用されるためのこれらの類似体の製造は前記された欧州特許文献にて開示される。
最も好ましいのは、例えばSolulinにより示されるようなこれらの修飾の全てを含んでなる分子である。
本発明のさらなる実施態様では、第WO01/98352(A2)号または米国特許第6632791号から公知のトロンボモジュリン類似体を使用することができる。本発明の別の実施態様ではウサギから誘導されたトロンボモジュリンを使用することができる。Solulinの6EGFフラグメントは、ヒトプロテインCを活性化する能力を伴うトロンビンとの複合体の形成に関して本質的に同じ生物学的活性を伴うトロンボモジュリンフラグメントの実例である。このフラグメントは本質的には天然のトロンボモジュリンの6つの上皮成長因子ドメインからなる。
実施例1
虚血性脳卒中の光血栓モデル:動脈閉塞の前にトロンボモジュリンを添加
中大脳動脈の光血栓閉塞のモデルを使用して可溶性トロンボモジュリン(Solulin)が血栓症を妨害する能力を試験した。中大脳動脈の閉塞の前に薬物を添加した。
1.試験系
雄マウスC57BL/6系統で研究を行った。割り付け時の動物の平均体重は26gであった。動物の年齢はおよそ10週齢であった。
2.実験手順
脳卒中モデル
抱水クロラール(Morton Grove Pharmaceutical、モートングローブ、イリノイ州)90mg/kg腹腔内でマウスを麻酔し、そして次に解剖顕微鏡(Nikon SMZ−2T、Mager Scientific,Inc.)下に確実に配置した。左中大脳動脈(MCA)を暴露した後、MCAの二分枝から1.5mm背側正中に位置する大脳皮質を覆う暴露された頭蓋の表面にレーザードップラーフロープローブ(N型(18ゲージ)、Transonic Systems)を取り付けた。プローブをフローメータ(トランソニックモデルBLF21)に連結し、そして連続データ収集プログラムを使用して記録を行った(Windaq、DATAQ Instruments)。1.5mW緑色光レーザー(540nm、Melles Griot)を6cmの距離からMCAに向け、そして次にPBS中10mg/mlに希釈したローズベンガル(Fisher Scientific)を最終用量50mg/kgで尾静脈に注射した。次いで閉塞後レーザーを10分間続けた。大脳皮質の組織灌流率をレーザードップラーフローメータで連続的にモニタリングし、そしておよそ2−3時間記録した。組織灌流率がその元来の値の70%以上まで低減された場合、安定した閉塞が達成された。
研究処置および観察
レーザー照射による血栓形成の誘発の30分前に、ラットにSolulin(1または3mg/kg)または等容量のビヒクル(100μl/kg)のボーラス注射を投与した。血栓形成までの時間をレーザードップラー測定により評価した。レーザー測定をSolulinまたはビヒクルの注射後少なくとも150分間続けた。Solulinまたはビヒクル投与のおよそ2時間後、生存動物を屠殺することにより実験を終止した。
データ分析
DATAQ Instruments Win DAQ Serial Acquisitionを使用して組織灌流単位(TPU)を記録した。
閉塞時間
閉塞に必要とされた時間をベンガルレッドの注射と安定した閉塞の間の時間として計算した。70%またはそれより高い血流の低減が5分間蔓延した場合、後者と見なされた。波形から時間を直接読み取り、そして数値形式に変換した。
血流の決定
血流データを圧縮し(秒あたり約20ポイント)、そしてCSVファイルとして保存した。生データをグラフ化し、そして異常点を削除した。流れのデータをローズベンガル注射の10分前から注射までの平均TPU値を用いるパーセンテージに正規化した。GraphPad Prismを使用してローズベンガル注射から120分までの正規化された流れから曲線下面積を計算した。血流データが技術的な理由または動物の死亡のために利用不可能になった場合、その時点からゼロの値を取った。
統計
両側t検定を使用して有意性を決定した。各試験測定に関して、p<0.05の確立値を統計的に有意であると考えた。
3.結果
安全性
全部で35匹のマウスを使用した。ベンガルレッドはそれだけで動物へのかなりのストレスを保有し、3匹の動物に致死を引き起こし、中大脳動脈閉塞が得られる前に死亡した(対照で2/14、低Solulin用量群で0/10および高Solulin用量群で1/11)。これらのマウスは評価に考慮されなかった。
Solulinは一般的にいずれの用量レベルでも耐容性が良好であった。対照ならびに低および高用量Solulin群における動脈閉塞後の致死率は各々0/12、0/10および1/10動物であった。
中大脳動脈における血流の時間経過
中大脳動脈における血流の時間経過を図1−3に示す。ローズベンガル注射の10分前から注射までの平均TPU値に基づくパーセンテージに正規化した後の波形を示す。血流の低下により示されるような閉塞までの時間は対照マウスと比較してSolulin処置動物において延長された。さらに目覚ましいのは、閉塞は対照実験において安定なままであったが(1つの技術的な混乱を除いて、図1に対する凡例を参照)、たいていのSolulin処置動物では一過性であった(1および3mg/kg Solulinで各々4/10および6/10動物)。
閉塞までの時間
図4は閉塞に必要とされる時間を要約する。いずれかの用量のSolulinは対照と比較して閉塞までの時間を有意に延長した。(1mg/kgおよび3mg/kg対対照のP値は各々0.01および0.005である。群あたり10−12匹の動物の平均±SEMを示す)。
血流(再灌流)
ローズベンガル注射から120分までの経時的な血流対時間チャートのAUCの決定により血流(再灌流)を定量化した(図5)。2つのSolulin濃度で得られたAUCはビヒクル処置マウスよりも有意に大きく;また3mg/kgでのAUCは1mg/kgでのものを有意に超えた。Solulin高用量群では動物のうちの1匹は極めて高レベルの再灌流を発達させ、その後低下した。しかしながらその動物を伴う、および伴わないAUCは各々相対単位45623および38474になり、それは対照群および1mg/kgの用量での値から依然有意に異なったので、この動物を評価から排除し、データおよび結果は影響力を受けなかった。
凡例
図1
対照における中大脳動脈の下流の組織灌流
ビヒクルの注射後30分にローズベンガルを尾静脈に注射して(ダイアグラムでは0時)、レーザー照射部位で血栓形成および続発性閉塞を誘発した。動物5および6はローズベンガル注射後直ぐに死亡し、そしてこのデータ分析に含めなかった。1匹の動物の波形における一時的な増大は不十分な麻酔に関係して、レーザーフロープローブに相対して動物の動きを招いたかもしれない。しかしながらこの一時的な増大はその原因に関わらず、それでも分析には含めた。
図2
1mg/kgの用量でのSolulinの注射後のマウス中大脳動脈の下流の組織灌流
Solulinの注射後30分にローズベンガルを尾静脈に注射して(ダイアグラムでは0時)、レーザー照射部位で血栓形成および続発性閉塞を誘発した。
図3
Solulin 3mg/kgの注射後のマウス中大脳動脈の下流の組織灌流
Solulinの注射後30分にローズベンガルを尾静脈に注射して(ダイアグラムでは0時)、レーザー照射部位で血栓形成および続発性閉塞を誘発した。動物3はローズベンガル注射後直ぐに死亡し、そして分析に含めなかった。100%を超えて血流の増大を表した動物6はローズベンガル注射後85分に死亡した。
図4
ビヒクルまたはSolulinの存在下での閉塞に必要とされる時間
単一のアステリスクにより指定されたいずれかの濃度で対照とSolulinとの間の差異は有意であった。1mg/kgおよび3mg/kg対対照のP値は各々0.010および0.005である。群あたり10−12匹の動物の平均±SEMを示す。
図5
ローズベンガル注射からその後120分までの血流時間チャートの曲線下面積
いずれかのSolulin濃度でSolulinと対照との間の差異は有意であり、そしてSolulin用量1mg/kgと3mg/kgの間の差異も有意であった。1mg/kgおよび3mg/kg対対照のP値は各々0.043および0.001であった。1mg/kg対3mg/kgのP値は0.040であった。120分の観察間隔あたりの血流時間チャートの曲線下面積を表す相対単位でデータを表す。群あたり9−12匹の動物の平均±SEMを示す。
実施例2
虚血性脳卒中の光血栓モデル:動脈閉塞後にトロンボモジュリンを添加
中大脳動脈の光血栓閉塞のモデルを使用して可溶性トロンボモジュリン(Solulin)が血栓症を妨害する能力を試験した。中大脳動脈の閉塞後に薬物を添加した。
1.試験系
マウスC57BL/6系統で研究を行った。動物の年齢は試験の開始時におよそ12週齢であった。
2.実験手順
脳卒中モデル
抱水クロラール(Morton Grove Pharmaceutical、モートングローブ、イリノイ州)90mg/kg腹腔内でマウスを麻酔し、そして次に解剖顕微鏡(Nikon SMZ−2T、Mager Scientific,Inc.)下に確実に配置した。左中大脳動脈(MCA)を暴露した後、MCAの二分枝から1.5mm背側正中に位置する大脳皮質を覆う暴露された頭蓋の表面にレーザードップラーフロープローブ(N型(18ゲージ)、Transonic Systems)を取り付けた。プローブをフローメータ(トランソニックモデルBLF21)に連結し、そして連続データ収集プログラムで記録をした(Windaq、DATAQ Instruments)。1.5mW緑色光レーザー(540nm、Melles Griot)を6cmの距離からMCAに向け、そして次にPBS中10mg/mLに希釈したローズベンガル(Fisher Scientific)を最終用量50mg/kgで尾静脈に注射した。次いで閉塞後レーザーを10分間続けた。大脳皮質の組織灌流率をレーザードップラーフローメータで連続的にモニタリングし、そしておよそ2−3時間記録した。組織灌流率がその元来の値の70%までまたはそれを超えて低減された場合、安定した閉塞が達成された。30分間のMCAの安定した閉塞が得られた後、被験物質での処置を開始し、そして脳血流(CBF)を2時間まで連続的に測定した。脳卒中誘発後72時間に再閉塞に関する最終CBF評価を実施した後に動物を屠殺した。
被験および対照物質の投与
安定したMCA閉塞を検証した(虚血性脳卒中)後30分に尾静脈を介してSolulin(100μl)のボーラス注射を投与した。脳卒中後、さらなるSolulin注射を24時間間隔で全部で3回まで実施した。脳卒中後72時間に動物を安楽死させた。
梗塞領域においてレーザードップラーフロープローブセットにより凝血塊の溶解の成功を検証した。対照およびSolulin動物において血流を決定した。
実験群および用量レベル
以下の表は実験群および投薬量を要約する:
以下は前記されたSolulinおよび対照群の適用スケジュールをチャート化する:
結果の統計分析
データの評価において使用した統計手順は以下のとおりである:
全てのデータを処置群間のANOVA(平均の分散分析)により分析した。p<0.05は統計的に有意と考えられた。
図6
脳血流(CBF;ローズベンガル注射前の10分間の参照期間の%)のAUCを示し、2時間追跡した(安定した閉塞の時間=0;血流を2時間追跡;Solulin 1mg/kg)。
図7
脳卒中後72時間でのCBFを示す。(Solulin 1mg/kg;2日目および3日目にさらなる用量)。
実施例3
ラットのうっ滞モデルにおける静脈血栓症の阻止
Solulin用量の急性抗血栓効果をトロンボプラスチン誘発の静脈うっ滞のラットモデルにおいて2つの比較物質:活性型プロテインC(APC)(市販の薬物Xigris(登録商標)(Drotrecoginアルファ活性型)を使用)および低分子量ヘパリン、Enoxaparin;と共に研究した。
1.試験系および実験手順
麻酔した雄Sprague−Dawleyラットにおいて大静脈を準備し、そして左腎および腸骨静脈の間で大静脈に2つの緩い結紮を作成した。Solulin、Enoxaparinまたはビヒクル(0.9% NaCl)の静脈内投与の30分後に250μg/kgトロンボプラスチンを静脈内注射した。APCの静脈内適用の5分後にトロンボプラスチンを適用した。各々の場合で注射容量は5ml/kgであった。
トロンボプラスチン注射終了後30秒に縫合をきつく締めることによりうっ滞を確立した。30分の期間の後、形成された血栓をその区域から除去し、1−4のスケール(0=流動性血液、1=1個または数個の小型凝血塊、2=脈管区域の50%を充填する非閉塞性血栓、3=脈管区域の75%を充填する非閉塞性血栓、4=閉塞区域を意味するWessler技術による)でスコア化し、ろ紙にブロットし、そして即座に(湿重量)、および37℃で24時間乾燥後(乾燥重量)重量測定した。平均血栓重量における30%もしくはそれを超える低下またはビヒクル処置群に相対するWesslerスコアは抗血栓活性の指標と考えられた。
2.結果
表1および図8から明白であるように(凝血塊形成の拮抗作用(インビボで結紮されたラット大静脈、トロンンボプラスチン誘発))、Solulinは血栓サイズおよび重量を用量依存的に低減し、3mg/kgの高用量でいかなる血栓形成をも抑止した。効果は0.1mg/kgから有意に始まっていた。対照的にAPCは試験された高用量(2mg/kg)においてのみ有意な抗血栓活性(血栓重量における約50%低減およびWesslerスコア)を示し、大きさはSolulin 0.3mg/kgのものに匹敵した。安全性の考察において要約されるように、APCのみがこの有効性レベルでAPTTおよび出血時間のかなりの延長に関連した。Enoxaparinは試験された双方の投薬量で血栓形成を抑制した。これらの効果はまたAPTTおよび出血時間の実質的な延長に関連した。
表1:ラットの静脈うっ滞モデルにおけるSolulin、APC、Enoxaparinまたはビヒクル投与後の血栓重量およびWesslerスコア
一方向ANOVA、続くダネット検定によりp<0.05;低減%は値をビヒクル群と比較する;データは群あたり10匹の動物の平均値±SEMを表す。
実施例4
ラットにおける尾切断出血時間に及ぼす影響
活性型プロテインC(APC;市販の薬物Xigris(登録商標)(Drotrecoginアルファ活性型)を使用)およびEnoxaparinと比較した尾切断出血時間に及ぼすSolulinの影響をラットにおいて分析した。
1.試験系および実験手順
用量および適用計画は有効性研究(静脈血栓のラットうっ滞モデル、実施例3参照)と同一であった。
Solulin、Enoxaparinまたはビヒクルを麻酔した雄および雌Sprague−Dawleyラットに静脈内注射し、30分後に、尾の先端(3mm)を統一して切断した。尾先端の切断の5分前にAPCを静脈内投与した。観察期間の間、全てのラットを麻酔したままにした。37℃で予め加温した生理食塩水中で、試験管への垂直方向の尾の浸漬と少なくとも15秒間の出血停止との間の時間の長さにより水中出血時間を決定した。何らかの再出血の発生をその後20分まで注目した。動物のビヒクル対照群に相対して50%以上の出血時間の延長は有意と考えられた。
2.結果
結果を表2に要約し、そして図9に示す(ラットにおける出血時間)。Solulinは双方の性別において3mg/kgの高用量でのみ出血時間を有意に延長した。この効果は雄よりも雌においてさらに顕著であった。Solulin処置された雄における再出血の発生は対照に類似して20%と40%の間の範囲であった。Solulin群の雌では、再出血の率はわずかに上昇した(60%まで)が、用量依存性は全く欠如した。
APCは雄において0.5mg/kgで、および双方の性において2mg/kgで出血時間を有意に延ばした。0.5mg/kg用量の投与後、再出血は対照に匹敵したままであった(20−40%)が、2mg/kg群では雄において60%まで、および雌において80%まで増大した。
Enoxaparinは雌において3mg/kgで、そして最大には、すなわち観察期間の最後まで雄および雌において30mg/kgで出血時間を有意に延長した。3mg/kg Enoxaparin群の雄では、再出血の発生は対照と均等であった。しかしながら再出血は同じ用量を投与されている雌の80%で明白であった。出血時間は双方の性別で30mg/kg Enoxaparinにより最大に延長されたので、再出血の率は評価できなかった。
表2:APCおよびEnoxaparinと比較したラットにおける尾切断出血時間に及ぼす種々用量のSolulinの影響
一方向ANOVA、続くダネット検定によりp<0.05;低減%は値を各々のビヒクル群と比較する;データは各々雄5匹および雌5匹の平均値±SEMを表す。
これらの結果および前記で報告された薬力学的研究から、Solulinはとりわけラットおよびマウスにおいて有効である投薬量で出血の大きなリスクを保有しないと結論付けることができる。
APCが、静脈血栓症のラットうっ滞モデルにおいてかろうじて(0.5mg/kg)または中程度に有効(2mg/kg)のいずれかであった用量でさえ出血時間に有意に影響したことは、この薬物の臨床プロフィールと合致し、そしてより一般的なトロンビン作成の阻止により説明され得る。
低用量のEnoxaparinの投与後の出血率は容認されたが、この研究により、Enoxaparinは30mg/kgの用量で凝固に実質的に影響し、そして故に耐容性の上限であったようであることも確認される。APCおよびEnoxaparinの高用量群の各々の雌1匹が実験の24時間以内に死亡したが、Solulin処置で致死性は観察されなかった。
実施例5
インビボで凝固パラメータに及ぼす影響
静脈うっ滞モデルにおいて用いられた用量でSolulin、APC(Xigris(登録商標)(Drotrecoginアルファ活性型)およびEnoxaparinの薬力学のさらに完全な像を得るために、凝固パラメータに及ぼすこれらの薬物の影響をインビボで評価した。
1.試験系および実験手順
Solulin、Enoxaparinまたはビヒクル(0.9%NaCl)を雄および雌ラットに静脈内投与し、30分後に下大静脈から血液を収集した。APCを静脈内適用し、5分後に同一部位から血液を収集した。クエン酸乏血小板血漿を調製し、そして活性型部分トロンンボプラスチン時間(aPTT)、プロトロンビン時間(PT)およびトロンビン時間(TT)に関して試験した。
2.結果
3つ全ての薬物は高用量でPTに有意に影響し、影響を示さなかったEnoxaparin処置された雌を除いて軽度の1.1倍の延長に至った(表3)。
表3:APCおよびEnoxaparinと比較した種々の用量のSolulinのインビボ凝固に及ぼす影響
一方向ANOVA、続くダネット検定によりp<0.05;データは各々雄5匹および雌5匹の平均値±SEMを表す。
SolulinおよびEnoxaparinは用量依存的にTTに影響を及ぼし、各々高用量で最大延長に至った。効果は0.3−3mg/kg Solulinおよび双方の用量のEnoxaparinで有意であり、各々1.5−14.4倍および6.1−14.4倍の延長に相当した。対照的にAPCは雄でTTを延長せず、そしてかろうじて雌でそれに影響した(表3)。
Solulinは雌において1mg/kgで、および3mg/kg用量で処置された双方の性においてaPTTを有意に延長し、1.4−1.7倍のaPTT延長を引き起こした。APC(2mg/kg)は匹敵する程度までaPTTを有意に増大した(1.6倍)。双方の用量のEnoxaparinもまたaPTTに有意に影響を及ぼした。しかしながら3mg/kg用量による増大はその他の2つの薬物で認められたものと同じ範囲に入った(1.8倍)が、30mg/kg Enoxaparinはビヒクル処置と比較してaPTTの過度な延長(37倍を超える)を引き起こした(表3、図10(ラットにおけるaPTTの延長))。
1.5から2.5倍のaPTT延長は、以前は未分画ヘパリンが用量設定される有効なレベルとして用いられたことに注目すべきである。さらに最近では、異なる実験室で用いられるaPTT試薬とコアグロメータ間の変動性が不十分なヘパリン暴露を招いていたので、ヘパリン用量をプロタミン滴定または抗第Xa因子アッセイにより較正できない場合、2.0から3.5倍の延長さえ推奨されている。Enoxaparinはヘパリンの低分子変異体であるが、30mg/kg用量のaPTTに及ぼす強烈な影響はほぼ確実に不耐容であり、それは出血時間研究において決定された高リスクにより立証される。それにも関わらず、全てのSolulinまたはAPC投薬量の影響は容認できるaPTT範囲に対応する。

Claims (15)

  1. 血栓溶解薬剤の製造のためのトロンボモジュリンの使用。
  2. 虚血組織または器官の再灌流の刺激を必要とする患者、特に、脳卒中患者内の虚血組織または器官の再灌流を刺激するための薬剤の製造のためのトロンボモジュリンの使用。
  3. 血栓塞栓イベントによる血管の閉塞を予防するための薬剤の製造のためのトロンボモジュリンの使用。
  4. 前記患者が一過性神経発作、一過性虚血発作、軽微な脳卒中またはラクナ脳卒中を患う請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
  5. 前記患者がABCDまたはABCDスケールの少なくとも3好ましくは少なくとも4、最も好ましくは少なくとも5のスコアにより評価されるような血栓イベントに関して増大したリスクを有する請求項4に記載の使用。
  6. 前記患者が狭窄、好ましくは頸動脈狭窄(carotis stenosis)および/または微小塞栓を有する請求項4に記載の使用。
  7. 前記血栓塞栓イベントの発症後48時間内に、好ましくは24時間内に前記患者が治療される、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
  8. 前記治療が前記血栓塞栓イベントの発症後最初の3時間内である、請求項7に記載の使用。
  9. トロンボモジュリンが0.01から5mg/kg体重、好ましくは0.03から3mg/kg体重、最も好ましくは0.03から1.5mg/kg体重または0.05から1.0mg/kg体重の投薬量で投与される、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
  10. トロンボモジュリンが1から30mgの固定用量、好ましくは1、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9または10mgの固定用量で投与される、請求項1から8に記載の使用。
  11. 固定用量のトロンボモジュリンが使用準備済みの医薬組成物として提供される請求項10に記載の使用。
  12. トロンボモジュリンが前記患者の寿命、好ましくは長期的に1日1回より多く与えられる、請求項1〜11のうちの1つに記載の使用。
  13. トロンボモジュリンが1日間と8日間の間、さらに好ましくは2日間と7日間の間、そして最も好ましくは3日間と6日間の間の適用間隔で与えられる、請求項1〜12のうちの1つに記載の使用。
  14. トロンボモジュリンの単回用量適用がトロンボモジュリンの多回用量適用と組み合わされる、請求項1〜13のうちの1つに記載の使用。
  15. 前記トロンボモジュリンが成熟可溶性トロンボモジュリンのアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有し、そして次の修飾:
    アミノ酸1−3の除去;
    M388L;
    R456G;
    H457Q;
    S474AおよびP490で終止;
    の1つ以上を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
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