JP2010530901A5 - - Google Patents

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JP2010530901A5
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Description

障害を処置するための方法および組成物
(優先権の主張)
本出願は、U.S.S.N.60/945,840(2007年6月22日提出)およびU.S.S.N.60/945,866(2007年6月22日提出)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)からの優先権を主張する。
(背景)
種々のイオンチャンネルタンパク質は、細胞膜を横断するイオン流束を媒介するために存在する。イオンチャンネルタンパク質の適正な発現および機能は、細胞機能、細胞内連絡などの保持のために不可欠である。多数の疾患が、膜電位または異所性カルシウム取扱いの間違った調節の結果である。細胞における膜電位およびイオン流束の調整に際してのイオンチャンネルの中核的重要性を考えると、特定のイオンチャンネルを促進するかまたは阻害し得る作用物質の同定は、研究ツールとして、ならびに考え得る治療薬として、大いに注目されている。
(発明の要旨)
本発明は、TRPA1チャンネルの活性を調整することによる、疼痛のような症状を治療するかまたは予防するための方法および組成物を提供する。本明細書中に記載される化合物は、TRPA1媒介性イオン流束を阻害することにより、あるいはTRPA1により媒介される内向き電流、外向き電流または両方の電流を阻害することにより、TRPA1の機能を調整する。特定電流の阻害は、in vitroまたはin vivo検定においてこのような電流(例えば、内向きおよび/または外向き)を阻害するかまたは低減する能力である。以下の文献は、TRPA1の構造および機能に関する当該技術分野の情勢の例示である(Jordt et al.(2004)Nature 427:260−265;Bautista et al.,(2005)PNAS:102(34):12248−12252)前述の文献は、それらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
被験者におけるTRPA1媒介性障害の治療方法であって、式(VIII):

(式中、RおよびRは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
Lは、NRSO、SONR、OC(O)NR、NRC(O)O、NRC(O)NR、NRC(O)、C(O)NR、O、C(O)、S、S(O)、S(O)、NRまたはCHであり;
3aおよびR3bは、各々独立して、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アルキルアミド、ジアルキルアミド、チオイル、スルホニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、ヒドロキシC〜Cアルキル、アルコキシC〜Cアルキル、シアノアルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、S(O)アルキル、アシル、アミノ、アミジルまたはS(O)H、アリール、アルコキシアリールであり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシ−C(O)OH、−C(O)Oアルキル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C(O)OH、−C(O)Oアルキル、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、H、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
mは、1、2、3、4、5または6である)
の化合物を投与することを包含する方法。
(項目2)
Lが異種原子を介してメチレン炭素と結合される場合、mが少なくとも2である項目1記載の方法。
(項目3)
LがCH、S、C(O)NRまたはNRC(O)である場合、R3aが5員ヘテロシクリル、5員へテロアリールまたはピペラジンでない項目1記載の方法。
(項目4)
LがC(O)NHである場合、R3aおよびR3bがともにフェニルでない項目1記載の方法。
(項目5)
Lが異種原子を介してメチレン炭素と結合される場合、mが少なくとも2である項目1記載の方法。
(項目6)
がC〜Cアルキルである項目1記載の方法。
(項目7)
がC〜Cアルキルである項目1記載の方法。
(項目8)
3aが単環式である項目1記載の方法。
(項目9)
3aがアリール、例えばフェニルである項目1記載の方法。
(項目10)
3aが、以下の:

である項目1記載の方法。
(項目11)
3aがヘテロシクリルである項目1記載の方法。
(項目12)
3aがヘテロアリールである項目1記載の方法。
(項目13)
3aが窒素含有へテロアリールである項目12記載の方法。
(項目14)
3aが、以下の:

である項目13記載の方法。
(項目15)
3aおよびR3bが一緒になって以下の:

を形成し、この場合、R3aおよび/またはR3bは1〜4つのRにより任意にさらに置換される項目14記載の方法。
(項目16)
前記化合物が式(VIII’)の化合物である項目1記載の方法であって、被験者におけるTRPA1媒介性障害の治療方法である項目1記載の方法が式(VIII’):

の化合物を投与することを包含する方法。
(項目17)
LがC(O)NRである項目16記載の方法。
(項目18)
前記化合物が式(VIII’’):

(式中、BはO、SまたはNRであり;DおよびEは、独立して、CH、CRまたはNである)
の化合物である項目1記載の方法。
(項目19)
前記化合物が式(VIII’’’):

(式中、BはO、SまたはNRであり;DおよびEは、独立して、CH、CRまたはNである)
の化合物である項目1記載の方法。
(項目20)
被験者におけるTRPA1媒介性障害の治療方法であって、式(VIIIa):

(式中、R3aは、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり;
3bは、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル(例えば、この場合、スルホンアミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはスルホンアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシアルコキシル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;そして
は、Hまたはハロである)
の化合物を投与することを包含する方法。
(項目21)
被験者におけるTRPA1媒介性障害の治療方法であって、式(VIIIb):

(式中、R3bは、アリールまたはヘテロアリール(1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシアルコキシル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
7aは、H、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシアルコキシル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;そして
は、Hまたはハロである)
の化合物を投与することを包含する方法。
本発明の一態様は、TRPA1の活性化に関連する症状の治療または予防のための方法に、あるいはTRPA1媒介性電流および/またはTRPA1媒介性イオン流束を阻害するTRPA1アンタゴニストを投与することによるTRPA1活性低減が重症度を低減し得る方法に関する。10マイクロモル濃度またはそれ未満、5マイクロモル濃度またはそれ未満、2マイクロモル濃度またはそれ未満、1マイクロモル濃度またはそれ未満、500ナノモル濃度またはそれ未満、200ナノモル濃度またはそれ未満、100ナノモル濃度またはそれ未満の、そして10ナノモル濃度またはそれ未満でさえあるTRPA1の阻害に関する測定IC50を有するTRPA1アンタゴニストが、以下でさらに詳細に記載される。ある実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、1マイクロモル濃度またはそれ未満のIC50で、さらに好ましくは500ナノモル濃度またはそれ未満、200ナノモル濃度またはそれ未満、100ナノモル濃度またはそれ未満の、25ナノモル濃度またはそれ未満の、そして10ナノモル濃度またはそれ未満でさえあるIC50で内向きおよび外向きTRPA1媒介性電流の一方または両方を阻害する。ある実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、5マイクロモル濃度またはそれ未満で、さらに好ましくは1マイクロモル濃度またはそれ未満でさえ、投与された場合、TRPA1媒介性電流またはTRPA1媒介性イオン流束の少なくとも95%を阻害する。
ある実施形態では、対象TRPA1アンタゴニストは、TRPV5、TRPV6、NaV1.2、TRPV1、ミトコンドリア単輸送体およびhERGチャンネル活性のうちの1つまたは複数の阻害に関するそのIC50より少なくとも1オーダー低い、さらに好ましくは2または3オーダー低いことさえある大きさのIC50でTRPA1を阻害する。
ある実施形態では、対象TRPA1アンタゴニストは、TRPA1活性の阻害に関して、TRPV5、TRPV6、NaV1.2、TRPV1、ミトコンドリア単輸送体またはhERGチャンネル活性のうちの1つまたは複数のものより少なくとも10倍、20倍、30倍、40倍または50倍大きい選択度を有する。言い換えれば、当該アンタゴニストは、前述のチャンネルのうちの1つまたは複数のものより10倍、20倍、30倍、40倍または50倍大きくTRPA1活性(TRPA1の1つまたは複数の機能)を阻害する。
ある実施形態では、対象TRPA1アンタゴニストは、AMPA受容体に関するそのKiより少なくとも1オーダー強い大きさのIC50でTRPA1を阻害する。ある種の他の実施形態では、対象TRPA1アンタゴニストは、AMPA受容体に関するそのKiより少なくとも2オーダー強い大きさの、または3オーダー強い大きさ、または4オーダー強い大きさでさえあるIC50でTRPA1を阻害する。ある実施形態では、対象TRPA1アンタゴニストは、AMPA受容体を容易に感知可能なほどに結合しない。言い換えれば、対象アンタゴニストは、特定のIC50でTRPA1を阻害し、その濃度で投与された場合、アンタゴニストはAMPA受容体を容易に感知可能なほどに結合しない(例えば、AMPA受容体を特定的に且つ容易に感知可能なほどに結合しない)。ある実施形態では、本発明の化合物は、AMPA受容体に関するそのKiより強大であるIC50でTRPA1媒介性電流を阻害する。このような実施形態では、疼痛を低減する対象TRPA1阻害薬の能力は、したがって、神経障害性疼痛受容に関連づけられているアルファ−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体との結合およびその調整に非依存性である。
ある実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、TRPV1の阻害に関するそのIC50より少なくとも1オーダー低い、さらに好ましくは2または3オーダー低いことさえある大きさのIC50でTRPA1を阻害する。ある実施形態では、対象TRPA1アンタゴニストは、10マイクロモル濃度より大きいTRPV1阻害に関するIC50を有することに基づいて、TRPV1に対してTRPA1に関する選択度のために選択され得る。
ある実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、TRPV2、TRPV4、TRPV3および/またはTRPM8のうちの1つまたは複数を10マイクロモル濃度またはそれ未満のIC50で阻害する。
ある実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、10またはそれより大きい値の化合物で症状を処置するための治療指数(T.I.)を有し、さらに好ましくは少なくとも25、50のT.I.を有し、または100という値を有することさえある。
好ましい実施形態では、TRPA1阻害薬は、その濃度では、患者におけるQT間隔延長を引き起こさないか、あるいは患者における温度調節を変更しないTRPA1阻害に関するIC50を有する。
ある実施形態では、TRPA1阻害薬は、疼痛を処置するかまたは改善するために用いられる。TRPA1阻害薬を用いて処置され得る疼痛の種類の例としては、侵害性疼痛、炎症性疼痛および神経障害性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。TRPA1阻害薬で処置され得る疼痛は、慢性または急性であり得る。
ある実施形態では、TRPA1阻害薬は、失禁の症候を処置するかまたは改善するために用いられる。
ある実施形態では、TRPA1阻害薬は非麻酔性であり、麻酔性副作用をほとんどまたは全く有さない。ある他の実施形態では、TRPA1阻害薬は、麻酔性疼痛救済者より少ない副作用で疼痛を処置するかまたは改善するために用いられ得る。TRPV3阻害薬の有効投与量で実質的に認められ得ない副作用の例としては、眼球突出症、強直症、腸運動性の破壊、ならびに身体の非損傷領域における感覚の阻害のうちの1つまたは複数が挙げられる。
ある実施形態では、本明細書中に開示される疾患または適応症のいずれかの処置に用いられるTRPA1阻害薬は、本明細書中に開示される構造的または機能的特性のうちの1つまたは複数を有する。
一態様において、本発明は、式(I)の化合物を特徴づける:
(式中、RおよびRは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
Lは、NRSO、SONR、C(O)NR、NRC(O)、OC(O)NR、NRC(O)O、NRC(O)NR、S、S(O)、S(O)、NR、CH、O、C(O)、C(O)NS(O)、S(O)NC(O)、ヘテロアリールまたはシクリルであり;
は、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、チオイル、スルホニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、ヒドロキシC〜Cアルキル、アルコキシC〜Cアルキル、シアノアルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、S(O)アルキル、アシル、アミノ、アミジルまたはS(O)H、アリール、アルコキシアリールであり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル(例えば、この場合、スルホンアミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはスルホンアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、−C(O)アリール、−NHC(O)アリール、−C(O)NHアリール、−C(O)OH、−C(O)Oアルキル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、C(O)OH、−C(O)Oアルキル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり、1〜3つのC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキルまたはハロで任意に置換され;
は、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
mおよびnは、各々独立して、0、1、2、3、4、5または6である)。
いくつかの実施形態では、Lがヘテロアリールまたはシクロプロピルである場合、nは少なくとも1である。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、RおよびRはともに、C〜Cアルキルであり、例えばRおよびRはともにメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、単環式、例えば単環式シクリル、単環式アリール、単環式へテロシクリルまたは単環式へテロアリールである。
いくつかの実施形態では、Rは、アリール、例えばフェニルである。
いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRが、パラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、例えば、RがMe、OMeまたはハロである場合、例えばRがメチルである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリルおよび/または5員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、RがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは6員へテロシクリルであり、例えばRは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロアリール、例えば5員または6員ヘテロアリール、例えば5員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の4位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは、窒素含有へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、5員へテロアリールは、少なくとも1つのR(例えば1または2つ)(例えば5員環の3または4位置に存在する)により置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、例えば1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される6員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、パラ位置に配置される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、6員窒素含有へテロアリールである。
いくつかの実施形態では、Rは次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは2つの窒素を含有する6員へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは1〜3つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、2つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、3つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)である。
いくつかの実施形態では、Lは、NRSO、SONR、C(O)NR、NRC(O)、OC(O)NR、NRC(O)O、NRC(O)NR、S、S(O)、S(O)、C(O)NS(O)、S(O)NC(O)、ヘテロアリールまたはシクリルである。
いくつかの実施形態では、Lは、NRSO、SONR、OC(O)NR、NRC(O)O、NR6C(O)NR6、S、S(O)、S(O)2、C(O)NS(O)2、S(O)2NC(O)、ヘテロアリールまたはシクリルである。
いくつかの実施形態では、Lは、NRSOまたはSONR、OC(O)NR、NRC(O)O、NRC(O)NRである。いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Lは、OC(O)NRまたはNRC(O)Oである。いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Lは、NRC(O)NRである。いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Lはシクリルまたはへテロシクリル、例えばシクロプロピルである。
いくつかの実施形態では、LはC(O)である。
いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Rはハロ、例えばクロロである。
いくつかの実施形態では、mは1である。
いくつかの実施形態では、nは2である。
いくつかの実施形態では、mは1であり、且つnは2である。
いくつかの実施形態では、nは0である。
いくつかの実施形態では、mは1であり、且つnは0である。
いくつかの実施形態では、m+n≦6である。
いくつかの実施形態では、化合物は以下の式のうちの1つを有する:
一態様では、化合物は式(Ia)の化合物である:
(式中、RおよびRは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
Lは、NRC(O)、C(O)NRであり;
は、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アルキルアミド、ジアルキルアミド、チオイル、スルホニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、各々独立して、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、S(O)アルキル、アシルまたはS(O)Hであり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、C(O)アリール、−NHC(O)アリール、−C(O)NHアリール、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;任意に1〜3つのC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキルまたはハロで置換され;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;
nは、2、3、4、5または6である)。
いくつかの実施形態では、mが1であり、nが2である場合、LはC(O)NHであり、且つRおよびRはともにメチルであり、Rはフェニルでない。いくつかの実施形態では、LはNRC(O)であり、mは少なくとも2である。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、RおよびRはともに、C〜Cアルキルであり、例えばRおよびRはともにメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、単環式、例えば単環式シクリル、単環式アリール、単環式へテロシクリルまたは単環式へテロアリールである。
いくつかの実施形態では、Rは、アリール、例えばフェニルである。
いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRが、パラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、例えば、RがMe、OMeまたはハロである場合、例えばRがメチルである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリルおよび/または5員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、RがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは6員へテロシクリルであり、例えばRは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロアリール、例えば5員または6員ヘテロアリール、例えば5員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の4位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは、窒素含有へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、5員へテロアリールは、少なくとも1つのR(例えば1または2つ)(例えば5員環の3または4位置に存在する)により置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、例えば1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される6員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、パラ位置に配置される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、2つの窒素を含有する6員へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは1〜3つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、2つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、Rは、3つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)である。
いくつかの実施形態では、LはC(O)NRである。
いくつかの実施形態では、Lは、NRC(O)である。
いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Rはハロ、例えばクロロである。
いくつかの実施形態では、mは1である。
いくつかの実施形態では、nは2である。
いくつかの実施形態では、mは1であり、且つnは2である。
いくつかの実施形態では、nは0である。
いくつかの実施形態では、mは1であり、且つnは0である。
いくつかの実施形態では、m+n≦6である。
いくつかの好ましい実施形態では、化合物は式(Ia’)の化合物である:
一態様では、本発明は式(Ib)の化合物を特徴づける:
(式中、RおよびRは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
Lは、NRC(O)、C(O)NRであり;
は、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アルキルアミド、ジアルキルアミド、チオイル、スルホニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、各々独立して、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、S(O)アルキル、アセチルまたはS(O)Hであり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、シクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、−C(O)アリール、−NHC(O)アリール、−C(O)NHアリール、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;任意に1〜3つのC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキルまたはハロで置換され;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
mは、0、1、2、3、4、5または6である)。
いくつかの実施形態では、LがNRC(O)である場合、mは少なくとも2である。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、RおよびRはともに、C〜Cアルキルであり、例えばRおよびRはともにメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、単環式、例えば単環式シクリル、単環式アリール、単環式へテロシクリルまたは単環式へテロアリールである。
いくつかの実施形態では、Rは、アリール、例えばフェニルである。
いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRが、パラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、例えば、RがMe、OMeまたはハロである場合、例えばRがメチルである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリルおよび/または5員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、RがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは6員へテロシクリルであり、例えばRは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロアリール、例えば5員または6員ヘテロアリール、例えば5員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の4位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは、窒素含有へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、5員へテロアリールは、少なくとも1つのR(例えば1または2つ)(例えば5員環の3または4位置に存在する)により置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、例えば1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される6員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、パラ位置に配置される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、2つの窒素を含有する6員へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、2つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、Rは、3つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)である。
いくつかの実施形態では、LはC(O)NRである。
いくつかの実施形態では、Lは、NRC(O)である。
いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Rはハロ、例えばクロロである。
いくつかの実施形態では、mは1である。
一態様において、本発明は、式(Ic)の化合物を特徴づける:
(式中、RおよびRは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
Lは、NR、CHまたはOであり;
は、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アルキルアミド、ジアルキルアミド、チオイル、スルホニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、各々独立して、H、C〜Cアルキル、アリールアルキル、S(O)アルキル、アセチルまたはS(O)Hであり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、シクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、−C(O)アリール、−NHC(O)アリール、−C(O)NHアリール、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり、1〜3つのC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキルまたはハロで任意に置換され;
は、独立して、C 〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
mは、1、2、3、4、5または6であり;そして
nは、1、2、3、4、5または6である)。
いくつかの実施形態では、LがCHであり、Rがフェニルである場合、mおよびnは合わせて2、3または4でない。いくつかの実施形態では、LがNRである場合、Rは非置換フェニルでないか、あるいはOMeまたはC〜Cアルキル(C(O)Arでさらに置換される)で置換されるフェニルでない。いくつかの実施形態では、LがNRまたはOである場合、mは少なくとも2である。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、RおよびRはともに、C〜Cアルキルであり、例えばRおよびRはともにメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、単環式、例えば単環式シクリル、単環式アリール、単環式へテロシクリルまたは単環式へテロアリールである。
いくつかの実施形態では、Rは、アリール、例えばフェニルである。
いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRが、パラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのRにより置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。いくつかの実施形態では、例えば、RがMe、OMeまたはハロである場合、例えばRがメチルである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリルおよび/または5員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、Rは、Me、OMeまたはハロである。
いくつかの実施形態では、Rは、1つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、RがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは6員へテロシクリルであり、例えばRは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロアリール、例えば5員または6員ヘテロアリール、例えば5員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の4位置に存在する。
いくつかの実施形態では、Rは、窒素含有へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、5員へテロアリールは、少なくとも1つのR(例えば1または2つ)(例えば5員環の3または4位置に存在する)により置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、例えば1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される6員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、パラ位置に配置される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、Rは次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは2つの窒素を含有する6員へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは1〜3つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、2つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、Rは、3つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、Rは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)である。
いくつかの実施形態では、LはNRである。
いくつかの実施形態では、LはOである。
いくつかの実施形態では、LはCHである。
いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Rはハロ、例えばクロロである。
いくつかの実施形態では、mは1である。
いくつかの実施形態では、nは2である。
いくつかの実施形態では、mは1であり、且つnは2である。
いくつかの実施形態では、nは0である。
いくつかの実施形態では、mは1であり、且つnは0である。
一態様において、本発明は、式(Id)の化合物を特徴づける:
(式中、Rは、1〜4個のRで任意に置換される3員環縮合へテロアリールであり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、−C(O)アリール、−NHC(O)アリール、−C(O)NHアリール、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり、1〜3つのC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキルまたはハロで任意に置換され;
は、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)。
いくつかの実施形態では、Rは、0、1または3つのR(各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、ニトロまたはシアノである)で置換される。
一態様において、本発明は、次式(VIII)の化合物を特徴づける:
(式中、RおよびRは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
Lは、NRSO、SONR、OC(O)NR、NRC(O)O、NRC(O)NR、NRC(O)、C(O)NR、O、C(O)、S、S(O)、S(O)、NRまたはCHであり;
3aおよびR3bは、各々独立して、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(各々が1〜4つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アルキルアミド、ジアルキルアミド、チオイル、スルホニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、ヒドロキシC〜Cアルキル、アルコキシC〜Cアルキル、シアノアルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、S(O)アルキル、アシル、アミノ、アミジルまたはS(O)H、アリール、アルコキシアリールであり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシ−C(O)OH、−C(O)Oアルキル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C(O)OH、−C(O)Oアルキル、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;
は、H、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、C〜Cハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
mは、1、2、3、4、5または6である)。
いくつかの実施形態では、Lが異種原子を介してメチレン炭素と結合される場合、mは少なくとも2である。
いくつかの実施形態では、LがCH、S、C(O)NRまたはNRC(O)である場合、R3aは5員ヘテロシクリル、5員へテロアリールまたはピペラジンでない。
いくつかの実施形態では、LがC(O)NHである場合、R3aおよびR3bはともにフェニルでない。
いくつかの実施形態では、Lが異種原子を介してメチレン炭素と結合される場合、mは少なくとも2である。
いくつかの実施形態では、RはC〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、例えばメチルである。
いくつかの実施形態では、Rは、ジアルキルアミン、例えばジメチルアミンによりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、Rは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリル、例えばモルホリニルにより置換されるC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、R3aは、単環式、例えば単環式シクリル、単環式アリール、単環式へテロシクリルまたは単環式へテロアリールである。
いくつかの実施形態では、R3aは、アリール、例えばフェニルである。
いくつかの実施形態では、R3aは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、R3aおよび/またはR3bは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、R3aは、ヘテロシクリル、例えば窒素含有へテロシクリルおよび/または5員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR3bは、5員環の3位置に存在する。
いくつかの実施形態では、R3aは、1つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の3位置に存在する。
いくつかの実施形態では、R3aは6員へテロシクリルであり、例えばRは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、R3aおよび/またはR3b、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、R3aは、ヘテロアリール、例えば5員または6員ヘテロアリール、例えば5員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、R3aは、1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、5員環の2または3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の2または3位置に存在する。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rは5員環の4位置に存在する。
いくつかの実施形態では、R3aは、窒素含有へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、5員へテロアリールは、少なくとも1つのR(例えば1または2つ)(例えば5員環の3または4位置に存在する)により置換される。いくつかの実施形態では、R3aおよび/またはR3bは、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(例えばフェニルまたはチオフェニル(これらは、各々独立して、1〜4つのRで任意に置換される))によりさらに置換される。いくつかの実施形態では、R3aは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、R3bは、1〜4つのR、例えば1または2つのハロ、Me、OMeまたはアミノにより任意に置換されるフェニルである。
いくつかの実施形態では、R3aは、窒素含有へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、R3aおよび/またはR3bは、1〜4つの によりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、R3aおよび/またはR3bは、一緒になって次式:
を形成し、この場合、R3aおよび/またはR3bは、1〜4つのRによりさらに置換される。いくつかの実施形態では、フェニルは、1〜3つのRによりさらに置換される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはヘテロシクリル(例えば、窒素含有へテロシクリル、例えばピロリジンまたはピペリジン)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、フェニル環のパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、R3aは、1〜3つのR、例えばMe、OMeまたはハロにより置換される6員へテロアリールである。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、少なくとも1つのRは、パラ位置に配置される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、R3aは1つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、例えばRがMe、OMeまたはハロである場合、Rはパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、R3bは、6員窒素含有へテロアリールである。
いくつかの実施形態では、R3aは次式のものである:
いくつかの実施形態では、R3aは、1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、R3aは、2つの窒素を含有する6員へテロアリール、例えば次式のものである:
いくつかの実施形態では、R3aは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、R3aは、2つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、R3aは1〜4つのRにより置換される。いくつかの実施形態では、R3aは、3つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、R3aは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、R3bは、フェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは1〜3つのRでさらに置換される。
いくつかの実施形態では、R3bは、2つの縮合環を有するヘテロアリールまたはへテロシクリルである。いくつかの実施形態では、R3bは1〜4つのRにより置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)である。
いくつかの実施形態では、Lは、NRSO、SONR、OC(O)NR、NRC(O)O、NRC(O)NR、S、S(O)、S(O)、C(O)NS(O)、S(O)NC(O)、ヘテロアリールまたはシクリルである。
いくつかの実施形態では、Lは、NRSOまたはSONR、OC(O)NR、NRC(O)O、NRC(O)NRである。いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Lは、OC(O)NRまたはNRC(O)Oである。いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Lは、NRC(O)NRである。いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Lはシクリルまたはへテロシクリル、例えばシクロプロピルである。
いくつかの実施形態では、Lは、C(O)NRまたはNRC(O)である。いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、LはC(O)である。
いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、Rはハロ、例えばクロロである。
いくつかの実施形態では、mは1である。
いくつかの実施形態では、nは2である。
いくつかの実施形態では、例えばLがC(O)NRである場合、mは1であり、且つnは2である。
いくつかの実施形態では、nは0である。
いくつかの実施形態では、例えばRがアリールまたはへテロアリール(例えば少なくとも1つのRによりさらに置換される)である場合、mは1であり、且つnは0である。
いくつかの実施形態では、m+n≦6である。
いくつかの実施形態では、化合物は式(VIII’)を有する:
いくつかの実施形態では、LはC(O)NRである。
一態様では、化合物は式(VIII’)の化合物である:
(式中、Bは、O、SまたはNRであり;DおよびEは、独立して、CH、CRまたはNである)。いくつかの実施形態では、R3bは、フェニル、例えば1〜4つのRで任意に置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはへテロシクリル(例えば窒素含有へテロシクリル、例えばピロリジンまたはピペリジン)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、フェニル環のパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、DおよびEは、独立して、O、SまたはNRである。
いくつかの実施形態では、BはSであり、DはCHであり、且つEはNである。
一態様では、化合物は式(VIII’’’)の化合物である:
(式中、Bは、O、SまたはNRであり;DおよびEは、独立して、CH、CRまたはNである)。いくつかの実施形態では、R3bは、フェニル、例えば1〜4つのRで任意に置換されるフェニルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはへテロシクリル(例えば窒素含有へテロシクリル、例えばピロリジンまたはピペリジン)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、フェニル環のパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、DおよびEは、独立して、O、SまたはNRである。
いくつかの実施形態では、BはSであり、DはCHであり、且つEはNである。
一態様において、本発明は、式(VIIIa)の化合物を特徴づける:
(式中、R3aは、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり;
3bは、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール(1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル(例えば、この場合、スルホンアミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはスルホンアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、アミド(例えば、この場合、アミドの窒素がアルキルにより置換されるか、あるいはアミドの窒素が、それが結合される2つの炭素と一緒になって環を形成する)、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシアルコキシル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;そして
は、Hまたはハロである)。
いくつかの実施形態では、R3aは、アリールまたはへテロアリールである。
いくつかの実施形態では、R3aは、ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、R3aは、チアゾリルである。
いくつかの実施形態では、Rは、C〜Cアルキル、ハロ、アリールまたはへテロアリール(1〜3つのRで任意に置換される)である。
いくつかの実施形態では、R3bは、アリールまたはへテロアリールである。
一態様において、本発明は、式(VIIIb)の化合物を特徴づける:
(式中、R3bは、アリールまたはヘテロアリール(1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシアルコキシル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
7aは、H、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、アルキルチオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、ヒドロキシルアルコキシル、アルコキシアルコキシル、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ(各々が1〜3つのRで任意に置換される)であり;
は、各々独立して、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオイル、スルホニル、スルホンアミジル、アミド、尿素、スルホニル尿素、アシル、ニトロ、シアノ、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはへテロアリールであり;そして
は、Hまたはハロである)。
いくつかの実施形態では、R3bはフェニルである。
いくつかの実施形態では、R3bは、少なくとも1つのRで置換されるフェニルであって、この場合少なくとも1つのRは、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはヘテロシクリル(例えば、窒素含有へテロシクリル、例えばピロリジンまたはピペリジン)である。
いくつかの実施形態では、R3bは、次式のものである:
いくつかの実施形態では、R3bは、少なくとも1つのさらなるR(例えば、ハロ)によりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、Rは、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはヘテロシクリル(例えば、窒素含有へテロシクリル、例えばピロリジンまたはピペリジン)である。
いくつかの実施形態では、Rはジアルキルアミノである。
いくつかの実施形態では、Rはピロリジニルである。
いくつかの実施形態では、R3bは、少なくとも1つのさらなるR(例えば、ハロ)によりさらに置換される。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、フェニル環のパラ位置に配置される。
いくつかの実施形態では、R3bは、二環式縮合アリールまたはへテロアリール(例えば1〜3つのRで任意に置換される)である。
いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、RはC〜Cアルキルである。
いくつかの実施形態では、RはHである。
いくつかの実施形態では、化合物は実質的に純粋な立体異性体である。例えばいくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は、実質的にキラル濃化化合物を提供するよう精製されている(例えば、この場合、化合物は他の立体異性体を実質的に含まない)。いくつかの実施形態では、化合物は少なくとも純度約60%、例えば少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%である。
いくつかの実施形態では、化合物は、本明細書中に記載される式を有する、表2に示した化合物でない(例えば、個々の化合物のいずれか1つでない)。例えば、本発明の化合物は、U.S.S.N.11/645,307(2006年12月12日提出)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された化合物でない。
本発明の一態様は、ヒト患者における使用にあるいは獣医学的使用に適した医薬製剤であって、有効量の上記化合物(例えば本明細書中に記載される化合物またはその塩、あるいは当該化合物またはその塩の溶媒和物、水和物、酸化代謝産物またはプロドラッグ)のいずれか、ならびに1つまたは複数の製薬上許容可能な賦形剤を含む医薬製剤を提供する。ある実施形態では、医薬製剤は、TRPA1の活性化に関連した症状を処置するかまたは予防するのに用いるためのもの、あるいはTRPA1活性低減が重症度を低減し得るためのものであり得る。ある実施形態では、医薬製剤は、ヒト患者における使用に、または獣医学的使用に適しているほど十分低い発熱活性を有する。ある実施形態では、医薬製剤は、有効量の上記化合物のいずれかを含むが、この場合、化合物は、10マイクロモル濃度以下のIC50でTRPA1(例えばTRPA1媒介性電流および/またはTRPA1媒介性イオン流束)を阻害する。ある実施形態では、医薬製剤は、5マイクロモル濃度以下、2マイクロモル濃度以下、1マイクロモル濃度以下で、あるいは500nM以下、250nM以下、200nM以下でさえ、または100nM以下でさえのIC50で、TRPA1を阻害する化合物を含む。
本発明のTRPA1アンタゴニストは、種々の障害および症状、例えば、急性および/または慢性疼痛、触覚過敏、熱傷、炎症、糖尿病性神経障害、乾癬、湿疹、皮膚炎、ヘルペス感染後神経痛(帯状ヘルペス)、片頭痛、失禁、発熱、のぼせ、骨関節炎、口腔粘膜炎、癌疼痛、膀胱炎、クローン病および過敏性腸症候群(IBS)に関連した疼痛、関節リウマチ、グリアソン・ゴパラン症候群(灼熱脚症候群としてよりよく知られている)、口腔内灼熱症候群(BMS)および咳(これらに限定されない)の予防または処置の一部として用いられるか、あるいは患者における毛髪の損失を促すかまたは成長を阻害するための脱毛薬として用いられ得る。本発明のTRPA1アンタゴニストを用いて処置され得るその他の例示的疾患または症状は、本明細書全体を通して詳述される。本発明は、本出願中に開示される疾患または症状のいずれかの症候の処置における、またはそれを低減するための、本明細書中で提供される構造のいずれかを有する化合物の使用を意図する。本発明はさらに、本明細書中で提供される疾患または症状のいずれかの症候を処置するかまたは低減するための薬剤または医薬製剤の製造における本明細書中で提供される構造のいずれかを有する化合物の使用を意図する。特定の疾患または症状を処置するに際して用いるための化合物は、特定の疾患または症状に適した経路を介した投与のために処方され得る。
TRPA1アンタゴニストは、単独で、または他の治療薬と組合せて投与され得る。例えばTRPA1アンタゴニストは、1つまたは複数の抗炎症薬、抗座瘡薬、抗皺薬、抗瘢痕薬、抗乾癬薬、抗増殖薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗敗血症薬、抗片頭痛薬、角質溶解薬または発毛阻害薬と一緒に投与され得る。
TRPA1アンタゴニストは、局所的に、経口的に、経皮的に、直腸に、膣に、非経口的に、鼻内に、肺内に、眼内に、静脈内に、筋肉内に、動脈内に、クモ膜下腔内に、関節包内に、眼窩内に、心臓内に、皮内に、腹腔内に、経気管的に、皮下に、角皮下に、関節内に、被膜下に、くも膜下に、脊髄内に、胸骨内に、または吸入により投与され得る。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは局所的に投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは経口的に投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは非経口的に投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、急性疼痛、慢性疼痛、触覚過敏、痒み過敏の徴候および症候を予防し、処置し、または軽減するために、あるいは熱傷、例えば術後疼痛、癌疼痛または神経障害性疼痛の処置の一部として、投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、片頭痛の徴候および症候を予防し、処置し、または軽減するために投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、糖尿病性神経障害、炎症、乾癬、湿疹、皮膚炎、ヘルペス感染後神経痛(帯状ヘルペス)、失禁、膀胱性失禁、発熱、のぼせ、膵炎、慢性局所疼痛症候群、Fabray病および咳からなる群から選択される障害または症状の徴候および症候を予防し、処置し、または軽減するために投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、骨関節炎の徴候および症候を予防し、処置し、または軽減するために投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、関節リウマチの徴候および症候を予防し、処置し、または軽減するために投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、口腔粘膜症の徴候および症候を予防し、処置し、または軽減するために投与される。
ある好ましい実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、患者における毛の損失を促し、または発毛を阻害するために投与される。
本発明のさらに別の態様は、患者における、TRPA1の活性化に関連する疾患、障害または症状の症候を予防し、処置し、または軽減するための、あるいはTRPA1活性低減が重症度を低減し得る薬剤の製造における、TRPA1アンタゴニスト、例えば内向きTRPA1媒介性電流を1マイクロモル濃度以下のIC50で阻害する低分子薬の使用に関する。
本発明のさらに別の態様は、内向きTRPA1媒介性電流を1マイクロモル濃度以下のIC50で阻害する作用物質;ならびに製薬上許容可能な賦形剤または溶媒を含む医薬製剤に関するが、この場合、当該作用物質は、患者における、TRPA1の活性化に関連する疾患、障害または症状の症候を予防し、処置し、または軽減するために、あるいはTRPA1活性低減が重症度を低減し得るために有効な量を提供する剤形で提供される。ある好ましい実施形態では、医薬製剤は、患者においてQT間隔延長を引き起こさない。
ある例証的実施形態では、医薬製剤は、NaV 1.2機能、TRPV1機能、TRPV5機能、TRPV6機能、ミトコンドリア単輸送体およびHERG機能の阻害のためのそのIC50より少なくとも1オーダー低い大きさのIC50でTRPA1媒介性電流を阻害する作用物質;ならびに製薬上許容可能な賦形剤または溶媒を含むが、この場合、当該作用物質は、患者における、TRPA1の活性化に関連する疾患、障害または症状の症候を予防し、処置し、または軽減するために、あるいはTRPA1活性低減が重症度を低減し得るために有効であるが、しかしQT間隔延長を引き起こさない量を提供する剤形で提供される。
別の例証的実施形態では、医薬製剤は、TRPA1媒介性電流を1マイクロモル濃度以下のIC50で阻害する作用物質;ならびに製薬上許容可能な賦形剤または溶媒を含み、この場合、当該作用物質は、患者における、TRPA1の活性化に関連する疾患、障害または症状の症候を予防し、処置し、または軽減するために、あるいはTRPA1活性低減が重症度を低減し得るために有効な、しかしQT間隔延長を引き起こさない量を提供する剤形で提供される。
好ましい一製剤は、皮膚または粘膜におけるTRPA1活性を低減するための局所処方物であって、TRPA1媒介性電流を1マイクロモル濃度以下のIC50で阻害する作用物質を含む
別の好ましい製剤は、(i)高分子基剤;ならびに(ii)TRPA1媒介性電流を1マイクロモル濃度以下のIC50で阻害する作用物質を含む、取り外し可能なパッチまたは包帯である。
さらに別の例証的処方物は、局所用ビヒクル;カルボン酸、ケト酸、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、レチノイド、ペルオキシドおよび有機アルコールからなる群から選択される1つまたは複数の皮膚剥脱成分(前記1つまたは複数の皮膚剥脱成分は、少なくとも約12重量%の総量で含入され、皮膚刺激を誘導し、前記被験体の皮膚の剥脱に作用し得る);ならびに1マイクロモル濃度以下のIC50でTRPA1媒介性電流を阻害する作用物質(この作用物質は、皮膚に適用される場合、鎮痛、抗刺激および/または抗炎症作用のために有効な量で提供される)を含む、動物被験体への局所適用のための皮膚剥脱組成物である。
さらに別の実施形態は、1マイクロモル濃度以下のIC50でTRPA1媒介性電流を、そして、シロップ、エリキシル、懸濁液、スプレー、ロゼンジ、咀嚼可能なロゼンジ、粉末および咀嚼可能錠剤からなる群から選択される水性ベースの液体または口中で溶解可能な固体の形態の経口的に許容可能な薬学的担体をともに阻害する作用物質を含む経口投与のための鎮咳組成物である。このような鎮咳組成物は、以下の:抗ヒスタミン薬、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、ロイコトリエン阻害薬、H3阻害薬、β−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、肥満細胞安定化薬、去痰薬、NK1、NK2およびNK3タチキニン受容体アンタゴニスト、ならびにGABAアゴニストからなる群から選択される、咳、アレルギー、喘息症候を処置するための1つまたは複数のさらなる作用物質を包含し得る。
さらに別の実施形態は、1マイクロモル濃度以下のIC50でTRPA1媒介性電流を阻害する作用物質を含む、肺または鼻送達のためのエーロゾル医薬組成物を含入する用量計量エーロゾル・ディスペンサーである。例えば、それは、用量計量吸入器、乾燥粉末吸入器またはエアジェット・ネブライザーであり得る。
さらに別の実施形態は、眼投与用の眼軟膏または点眼薬である。このような眼用組成物は、眼磨耗に起因する疼痛または術後疼痛を含めた眼疼痛の処置または軽減に有用であり得る。
別の態様では、本発明は、本発明のTRPA1阻害薬、例えば本明細書中に開示される1つまたは複数の特性を有する阻害薬が、TRPA1の機能、例えばTRPA1媒介性電流および/またはTRPA1媒介性イオン流束を阻害するために用いられ得る、ということを意図する。いくつかの実施形態では、化合物は、例えば培養中の細胞においてin vitroでTRPA1媒介性電流を阻害するために用いられ得る。いくつかの実施形態では、化合物は、in vivoでTRPA1媒介性電流を阻害するために用いられ得る。ある実施形態では、化合物は、内向きおよび外向きTRPA1媒介性電流をともに阻害する。ある実施形態では、化合物は、例えば培養中の細胞において、in vitroでTRPA1媒介性イオン流束を阻害する。ある他の実施形態では、化合物は、in vivoでTRPA1媒介性イオン流束を阻害する。
本発明は、本明細書中に記載されるTRPA1アゴニストの、前記または後記の特性の任意の組合せ、ならびに構造的または機能的特性の任意の組合せを有するTRPA1アンタゴニストの医薬製剤および使用を意図する。任意のこのようなアンタゴニストまたは製剤は、本明細書中に記載される疾患または症状のいずれかの処置に用いられ得る。任意のこのようなアンタゴニストまたは製剤は、TRPA1の機能、例えばTRPA1媒介性電流および/またはTRPA1媒介性イオン流束を阻害するために用いられ得る。
1Aおよび1Bは、経時的に表3の化合物7(静脈内または経口投与)および8(経口投与)の血漿レベルを示すグラフである。図1Cは、経口投与および静脈内投与後の表3の化合物7の薬物動態を要約する表である。 経口投与後の経時的な表3の化合物7および化合物8の血漿レベルを示すグラフである。 ホルマリン試験に付されたラットにおける疼痛応答の種々の相におけるフリンチの総数を示すグラフである。 ガバペンチンまたは表3の化合物7で処置したラットにおける潜伏期を示すグラフである。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表2であって、本発明の一部でない化合物を示す。 表4であって、本発明の例示的化合物を示す表である。
(発明の詳細な説明)
細胞恒常性は、特に、イオン流束および膜電位に関与する調節システムの総和の結果である。細胞恒常性は、少なくとも一部は、形質膜を横断する細胞中への且つ細胞外への移動により、そして細胞内では、例えば小胞体、筋小胞体、ミトコンドリアを含めた細胞内小器官、ならびに例えばエンドソームおよびリソソームを含めたエンドサイトーシス性細胞小器官の膜を横断するイオンの移動により、達成される。
細胞膜を横断するイオンの移動は、特殊タンパク質により実行される。TRPチャンネルは、イオン流束および膜電位を調節する手助けをするよう機能する非選択的陽イオンチャンネルの一大ファミリーである。TRP1Aは、TRPチャンネルのTRPAクラスの一成員である。
非選択的陽イオンチャンネル、例えばTRPA1は、細胞膜を横断するカルシウムおよびナトリウムイオンの流束を調整する。ナトリウムおよびカルシウム流入は、細胞の脱分極をもたらす。これは、電位依存性イオンチャンネルが活性化に必要とされる閾値に達するという確率を増大する。その結果、非選択的陽イオンチャンネルは、電気的興奮性を増大し、電圧依存性事象の頻度を増大し得る。電圧依存性事象としては、ニューロン活動電位、心臓活動電位、平滑筋収縮、心筋収縮および骨格筋収縮が挙げられるが、これらに限定されない。
TRPA1のような非選択的陽イオンチャンネルの活性化により引き起こされるカルシウム流入は、細胞内遊離カルシウム濃度も変更する。カルシウムは、細胞内の普遍的二次情報伝達分子である。したがって細胞内カルシウムレベルにおける変更は、シグナル伝達および遺伝子発現に顕著な影響を及ぼす。したがって、TRPA1のような非選択的陽イオンチャンネルの活性化遺伝子発現および細胞表現型における変化をもたらし得る。遺伝子発現事象としては、細胞表面受容体、イオンチャンネルおよびキナーゼをコードするmRNAの産生が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子発現におけるこれらの変化は、その細胞における過剰興奮性をもたらし得る。したがって、TRPA1の遮断薬も、疼痛を低減するかまたは予防し、および/または過活動性膀胱を低減する潜在能力を有する。
TRPA1タンパク質は、感覚ニューロン(例えばJodt et al.(2004) Nature参照)、例えば後根神経節、三叉神経節および節上神経節中に存在する細胞体を有するものにおいて発現される受容体作動性チャンネルである(Jordt et al.(2004)Nature 427:260−265、Nagata et al.(2005)J.Neurosci 25(16)4052−61参照)。さらに、低レベルのTRPA1伝達暗号は、繊維芽細胞のいくつかの型において見出され得る(Jaquemar et al.(1999)JBC 274(11):7325−33参照)。TRPA1は、膀胱において発現されることも報告されている。多数の細胞外受容体、例えばGタンパク質結合受容体または受容体チロシンキナーゼ(これらに限定されない)の刺激は、TRPA1を活性化するのに十分である。
本明細書中で提供される方法に従って用いるのに適したTRPA1タンパク質としては、例えば、ヒト(配列番号1および配列番号3のアミノ酸配列:それぞれ、配列番号2および配列番号4のヌクレオチド配列によりコードされる)、ならびにネズミ(配列番号5のアミノ酸配列:配列番号6のヌクレオチド配列によりコードされる)が挙げられる。特定のTRPA1タンパク質としては、緊縮条件下でTRPA1配列(配列番号2参照)とハイブリダイズするcDNAによりコードされるタンパク質も挙げられる。
TRPA1は、カラシ油に応答するイオンチャンネルである。カラシ油中の活性成分(アリルイソチオシアネート)およびニンニク中の活性成分(アリシン)はともに、TRPA1を活性化し得る。他の刺激も、TRPA1を活性化し得ることがある。4〜15℃の厳密な低温はTRPA1を活性化する、と報告されている(Story et al., (2003) Cell 112(6): 819−829参照)。しかしながら、この知見は議論の的になってきた(Jordt et al.(2004)Nature 427: 260−265;Nagata et al.(2005)J.Neurosci 25(16):4052−61参照)。さらに、TRPA1は、機械的刺激に応答する下等動物において、TRPチャンネル(すなわち、TRPN1、ショウジョウバエTRPA1)と多数の構造類似性を共有する。
TRPA1は、特に、内耳の有毛細胞上皮で発現され、ミノカサゴおよびマウスにおけるこのチャンネルの崩壊は、有毛細胞伝達を阻害する。したがって、TRPA1は、機械感覚性脊椎動物聴覚伝達チャンネルに関する一候補として当該技術分野で提案されている(Corey et al., (2004) Nature 432 (7018): 723−730参照)。これが事実である場合、TRPA1の遮断薬は聴力損失をもたらし、したがって治療薬としての如何なる実際的用途も有さない、ということが示唆される。しかしながら、驚愕応答がTRPA1ノックアウトマウスにおいて実質的に減損されないという観察により、TRPA1アンタゴニストは聴力を減損し得ず、したがって適切な薬剤候補である、とわれわれは結論づけた。
TRPA1タンパク質の機能の調整は、カルシウム恒常性、ナトリウム恒常性、膜分極、および/または細胞内カルシウムレベルを調整する一手段を提供し、そしてTRPA1機能を調整し得る化合物は、多数の態様において、例えば、カルシウム恒常性の保持、細胞内カルシウムレベルの調整、膜分極の調整、ならびにカルシウムおよび/またはナトリウム恒常性または恒常性異常に関連した疾患、障害または症状の処置または予防(これらに限定されない)において有用である。
ある態様では、本発明は、TRPA1媒介性電流および/またはTRPA1媒介性イオン流束を10マイクロモル濃度未満のIC50で阻害する小分子を用いて、疾患および症状の作用を処置するかまたは改善するための方法を提供する。本発明の方法のいずれかに(例えば、本明細書中に開示される疾患または症状のいずれかを処置するために)用いるための適切な化合物の例としては、本明細書中に開示される構造的または機能的特性(例えば、構造、特異性、効能、溶解性など)のうちの1つまたは複数を有する化合物が挙げられる。
本発明は、本明細書中に記載される機能的または構造的属性のうちの1つまたは複数を保有する任意のTRPA1アンタゴニストの使用を意図する。さらに本発明は、本明細書中に記載される化合物のTRPA1アンタゴニストの使用を、ならびに表1、3または4で提供される特定のアンタゴニストのいずれかの使用を意図する。本出願全体を通して、特定の機能的属性がTRPA1アンタゴニストに起因すると考えられる場合、このような属性は、本明細書中に記載される化合物と構造的に関連付けられるかまたはそれとは異なるTRPA1阻害薬を特性化し得る、と理解される。
ある実施形態では、適切な化合物は、内向きおよび/または外向きTRPA1媒介性電流を10マイクロモル濃度未満のIC50で阻害する。ある実施形態では、適切な化合物は、付加的にまたは代替的に、TRPA1媒介性イオン流束を10マイクロモル濃度未満のIC50で阻害する。IC50は、例えばin vitro検定において算定され得る。例えばIC50は、電流の電気生理学的確定、例えば標準パッチクランプ分析を用いて算定され得る。IC50は、本明細書中に記載されるカルシウム流束法のようなイオン指示薬の濃度または流束における変化を用いても評価され得る。
ある実施形態では、本発明は、TRPA1の活性化に関連した症状を処置するかまたは予防するための方法、あるいはそのためにTRPA1活性低減が重症度を低減し得る方法であって、有効量の本明細書中に記載される化合物またはその塩、あるいは当該化合物またはその塩の溶媒和物、水和物、酸化代謝産物またはプロドラッグを投与することを包含する方法を提供する。
例示的化合物は、表1、3および4に提示される:
Aは、パッチクランプ検定で測定した場合に<1μMの活性を示す化合物を表す。Bは、パッチクランプ検定で測定した場合に>1μM〜<10μMの活性を示す化合物を表す。Cは、パッチクランプ検定で測定した場合に>10μMの活性を示す化合物を表す。Dは、他の例示的化合物を表す。
さらなる化合物の例は、表4、図6に提示される。
本発明の一態様は、ヒト患者における使用にあるいは獣医学的使用に適した医薬製剤であって、有効量の上記化合物(例えば本明細書中に記載される化合物またはその塩、あるいは当該化合物またはその塩の溶媒和物、水和物、酸化代謝産物またはプロドラッグ)のいずれか、ならびに1つまたは複数の製薬上許容可能な賦形剤を含む医薬製剤を提供する。ある実施形態では、医薬製剤は、TRPA1の活性化に関連した症状を処置するかまたは予防するのに用いるためのもの、あるいはそのためにTRPA1活性低減が重症度を低減し得るものであり得る。ある実施形態では、医薬製剤は、ヒト患者における使用に、または獣医学的使用に適しているほど十分低い発熱活性を有する。ある実施形態では、医薬製剤は、有効量の上記化合物のいずれかを含むが、この場合、化合物は、10マイクロモル濃度以下のIC50でTRPA1を阻害する。ある実施形態では、医薬製剤は、500nM以下、250nM以下、200nM以下で、または100nM以下でさえのIC 50 、TRPA1を阻害する化合物を含む。
ある実施形態では、本発明の方法または医薬製剤で用いるためのTRPA1阻害薬は、表1、3または4に示される化合物から選択される。ある実施形態では、本発明は、本発明の方法または医薬製剤のいずれかにおいて、任意に置換されて、示されるようないずれかの化合物の使用を意図する。
本発明の一態様は、TRPA1の活性化に関連する症状の症候を処置し、または予防するための、あるいはそのためにTRPA1活性低減が重症度を低減し得る薬剤の製造における、TRPA1阻害薬の使用を提供し、この場合、TRPA1阻害薬は、上記の化合物(例えば、本明細書中に記載される化合物またはその塩、あるいは当該化合物またはその塩の溶媒和物、水和物、酸化代謝産物またはプロドラッグ)のいずれかにより表される。ある実施形態では、化合物は、TRPA1媒介性電流を10マイクロモル濃度未満のIC50で阻害する。
上記の式のある実施形態では、置換される置換基は、以下のうちの1つまたは複数のもので置換され得る:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アラルキルまたはへテロアラルキル(これらのいずれかは、それ自体、さらに置換され得る)、あるいはハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、エステル、カルボキシまたはホルミル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオカルボキシレートまたはチオホルメート)、ケトン、アルデヒド、アミノ、アシルアミノ、アミド、アミジノ、シアノ、ニトロ、アジド、スルホニル、スルホキシド、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミドおよびホスホリル。
ある実施形態では、本発明は、表1、3または4に示される特定の化合物のいずれかが、本明細書中に開示される疾患または症状のいずれかを処置するために投与され得る、ということを意図する。いくつかの実施形態では、化合物は、投与前に医薬製剤として処方される。ある実施形態では、本発明の方法または医薬製剤に用いるためのTRPA1阻害薬は、表1、3または4に示される化合物から選択される。ある実施形態では、本発明は、表1、3または4に、あるいは本発明の方法または医薬製剤のいずれかに示されるような任意の化合物の使用を意図する。
本明細書中に開示される特定の化合物および構造式は、単なる例示である。本明細書中に記載される機能的または構造的特性のうちの1つまたは複数を有する小分子TRPA1阻害薬の使用が、同様に意図される。
上記の構造のいずれかの化合物は、本明細書中に開示される任意の疾患の処置のための薬剤の製造に用いられ得る。
上記の構造のいずれかの化合物は、in vitroまたはin vivoでTRPA1チャンネルの機能を阻害するために用いられ得る。
ある実施形態では、前記の構造のいずれかの全部または機能的部分を含む化合物は、本明細書中に開示される疾患のいずれかの処置のための薬剤の製造に用いられ得る。付加的には、または代替的には、このような化合物は、TRPA1媒介性電流のようなTRPA1機能を阻害するin vitroまたはin vivo方法に用いられ得る。
ある実施形態では、本発明の方法に用いるためのTRPA1アンタゴニストは、アミノグリコシドでない小分子である。
特定の実施形態では、小分子TRPA1アンタゴニストは、それがあるTRPアイソフォームに関して他のものより、例えば10倍選択的であり、さらに好ましくは少なくとも20、40、50、60、70、80倍、または少なくとも100倍あるいは1000倍、TRPC6、TRPV5、TRPV6、TRPM8、TRPV1、TRPV2、TRPV4および/またはTRPV3のうちの1つまたは複数のものよりTRPA1に関して選択的でさえあるため、使用のために選択される。他の実施形態では、差はより小さく、例えばそれは、TRPM8、TRPV1、TRPV2、TRPV3および/またはTRPV4よりTRPA1をより強力に、好ましくは、少なくとも2倍、3倍、5倍強く阻害し、10倍強く阻害することさえある。このような比較は、例えばIC50値を比較することによりなされ得る。
特定の実施形態では、小分子TRPA1アンタゴニストは、それがあるTRPA1に関して他の非TRPイオンチャンネルに関するより、例えば10倍選択的であり、さらに好ましくは少なくとも20、40、50、60、70、80倍、または少なくとも100倍あるいは1000倍、NaV1.2、Cav1.2、Cav3.1、HERGおよび/またはミトコンドリア単輸送体のうちの1つまたは複数のものよりTRPA1に関して1000倍選択的でさえあるため、使用のために選択される。他の実施形態では、差はより小さく、例えばそれは、NaV1.2、Cav1.2、Cav3.1、HERGおよび/またはミトコンドリア単輸送体よりTRPA1をより強力に、好ましくは、少なくとも2倍、3倍、5倍強く阻害し、10倍強く阻害することさえある。このような比較は、例えばIC50値を比較することによりなされ得る。
ある実施形態では、TRPA1のアンタゴニストである化合物は、他のイオンチャンネルを上回ってTRPA1を選択的に拮抗するよう選択され、例えば当該化合物は、それがNaV1.2、Cav1.2、Cav3.1、HERGおよび/またはミトコンドリア単輸送体のうちの1つまたは複数の活性を調整するより少なくとも1オーダー強い大きさで、好ましくは少なくとも2オーダー強い大きさで、さらに好ましくは少なくとも3オーダー強い大きさで、TRPA1の活性を調整する。ある実施形態では、化合物は、NaV1.2、Cav1.2、Cav3.1、HERGおよび/またはミトコンドリア単輸送体のうちの1つまたは複数の活性より少なくとも1.5オーダー強い大きさでTRPA1の活性を調整する。このような比較は、例えばIC50値を比較することによりなされ得る。
同様に、特定の実施形態では、小分子は、それが、TRPA1以外の1つまたは複数の標的に対する有意の活性を欠くため、使用のために選択される。例えば、化合物は、TRPC6、TRPV5、TRPV6、Cav1.2、Cav3.1、NaV1.2、HERGおよび/またはミトコンドリア単輸送体のうちの1つまたは複数を阻害するために、500nMを上回る、1μM10μMまたは100μMを上回ることさえあるIC50を有し得る。
特定の実施形態では、小分子は、それがあるTRPアイソフォームに関して他のものより、例えば10倍選択的であり、さらに好ましくは少なくとも100倍、あるいは1000倍、TRPC6、TRPV5、TRPV6、TRPM8、TRPV1、HGRG、NaV1.2、ミトコンドリア単輸送体、TRPV3および/またはTRPV4のうちの1つまたは複数のものを上回ってTRPA1に関して選択的でさえあるため、使用のために選択される。他の実施形態では、差はより小さく、例えばそれは、TRPM8、TRPV1および/またはTRPV4よりTRPA1をより強力に、好ましくは、少なくとも2倍、3倍、5倍強く阻害し、10倍強く阻害することさえある。このような比較は、例えばIC50値を比較することによりなされ得る。
ある実施形態では、小分子は、それがTRPA1、およびTRPM8、TRPV1および/またはTRPV3の両方の機能に拮抗するため、選択される。このような化合物は両方のイオンチャンネルの機能を選択的に拮抗するが、しかしIC50値は同一である必要はない。
前記のもののいずれかのある実施形態では、小分子は、それがTRPA1の受容体媒介性(または寒冷/ストレス媒介性)活性化を阻害し得るため、選択され得る。ある実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、TRPA1の受容体媒介性活性化ならびにTRPA1のカラシ油誘導性活性化を阻害する。ある他の実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、TRPA1の受容体作動性活性化を阻害するが、しかしTRPA1のカラシ油誘導性活性化を阻害しない。ある他の実施形態では、TRPA1アンタゴニストは、TRPA1のカラシ油誘導性活性化を阻害するが、しかしTRPA1の寒冷媒介性活性化を阻害しない。
前記のもののいずれかのある実施形態では、小分子は、それが、1uM以下のIC50で、あるいは700、600、500、400、300、250、200または100nM以下でさえあるIC50で、TRPA1機能を阻害するため、選択され得る。他の実施形態では、小分子は、それが、75nM以下の、50nM以下のIC50で、あるいは25、10、5または1nM以下でさえあるIC50で、TRPA1機能を阻害するため、選択され得る。前記のもののいずれかのある他の実施形態では、10マイクロモル濃度以下の、または5マイクロモル濃度以下の、または2.5マイクロモル濃度以下の、または1.5マイクロモル濃度以下のIC50で、TRPA1機能を阻害する。
前記のもののいずれかのある実施形態では、化合物は、TRPA1機能の阻害速度に基づいて選択され得る。一実施形態では、化合物は、5分未満で、好ましくは4、3または2分未満でTRPA1機能を阻害する。別の実施形態では、化合物は、約1分未満でTRPA1機能を阻害する。さらに別の実施形態では、化合物は、約30秒未満でTRPA1機能を阻害する。
前記実施形態のいずれかにおいて、TRPA1機能の小分子アンタゴニストは、外向き電流、内向き電流、またはこれらの電流のうちの1つまたは複数の任意の組合せを阻害し得る。前記電流のうちの1つより多くを阻害する化合物は、同一IC50値で、または異なるIC50値でそのようにし得る。前記のもののいずれかにおいて、特定電流を阻害する化合物の能力は、in vitroまたはin vivoで査定され得る。in vitroまたはin vivo検定で前記電流のいずれかを阻害する化合物は、TRPA1の機能を阻害する化合物として特性化される。言い換えれば、本発明の化合物により阻害され得るTRPA1の例示的機能は、TRPA1媒介性電流である。付加的または代替的には、本発明の化合物により阻害され得るTRPA1のさらなる例示的機能は、TRPA1により媒介されるイオン流束である。
前記のまたは以下の実施形態のいずれかにおいて、小分子は、いくつかのレベルの活性対他のイオンチャンネルにより特性化される(例えば、ある化合物はTRPA1の阻害に関して選択的であり、他の化合物は、1つまたは複数の他のイオンチャンネルに対してあるレベルの交差反応性を示す)。小分子が別のイオンチャンネルに対するその活性により特性化される場合、他のイオンチャンネルの機能または活性の阻害は、TRPA1チャンネルの機能が定義される方法で同様に定義される。したがって別のイオンチャンネルの機能の阻害は、例えばその他のイオンチャンネルにより媒介されるイオン流束の阻害またはその他のイオンチャンネルにより媒介される電流の阻害を意味する。
前記のもののいずれかのある実施形態では、TRPA1機能の阻害は、一機能、例えばTRPA1媒介性電流が、化合物の非存在下と比較した場合、または非有効量の化合物と比較した場合、有効量の化合物の存在下では50%以上低減される、ということを意味する。ある他の実施形態では、TRPA1機能の阻害は、一機能、例えばTRPA1媒介性電流またはTRPA1媒介性イオン流束が、化合物の非存在下と比較した場合、有効量の化合物の存在下では少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%または90%低減される、ということを意味する。さらに他の実施形態では、TRPA1機能の阻害は、一機能、例えばTRPA1媒介性電流が、化合物の非存在下と比較した場合、有効量の化合物の存在下では少なくとも92%、95%、97%、98%、99%または100%低減される、ということを意味する。
前記実施形態のいずれかにおいて、IC50値は、例えばカルシウム流束のパッチクランプ分析または標準測定を用いて、in vitroで測定される。カルシウム流束ベースのIC50概算に関する例示的in vitro方法は、実施例1に記載される。より限定的なIC50測定値を得るために用いられる方法は、実施例2に示される。代替的には、電流またはイオン流束の阻害%の概算値も算定され、阻害剤としての化合物の効能を算定するために用いられ得る。
理論に縛られることなく考えると、化合物は、TRPA1の一部分と共有的にまたは非共有的に結合することにより、TRPA1の一機能を阻害し得る。代替的には、化合物は、例えば、TRPA1の一機能に必要なタンパク質または非タンパク質補因子と会合することにより、間接的にTRPA1の一機能を阻害し得る。阻害性化合物は、TRPA1またはその補因子と、可逆的にまたは非可逆的に会合し得る、と当業者は容易に理解する。TRPA1またはその補因子と可逆的に会合する化合物は、解離後でさえTRPA1の機能を阻害し続け得る。
前記のもののいずれかのある実施形態では、TRPA1の一機能を阻害する化合物は、小有機分子または小無機分子である。例示的小分子としては、TRPA1チャンネルと結合し、TRPA1チャンネルの1つまたは複数の機能を阻害する小分子が挙げられるが、これらに限定されない。
前記のもののいずれかのある実施形態では、TRPA1阻害薬は、疼痛を処置するかまたは改善するために用いられる。TRPA1阻害薬を用いて処置され得る疼痛の例示的クラスとしては、侵害性疼痛、炎症性疼痛および神経障害性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。TRPA1阻害薬で処置され得る疼痛は、慢性または急性であり得る。当該明細書全体を通して、疼痛により、少なくとも一部、特性化される種々の症状および疾患が、詳細に考察される。本発明は、これらの疾患または症状のいずれかに関連する疼痛は、本明細書中に記載されるTRPA1阻害薬のいずれかを用いて処置され得る、ということを意図する。阻害薬は、意図される投与経路に適した医薬製剤中に処方され得る。
ある実施形態では、TRPA1阻害薬は非麻酔性であり、麻酔性副作用をほとんどまたは全く有さない。ある他の実施形態では、TRPA1阻害薬は、麻酔性疼痛救済者より少ない副作用で疼痛を処置するかまたは改善するために用いられ得る。TRPA1阻害薬の有効投与量で実質的に認められ得ない副作用の例としては、眼球突出症、強直症、腸運動性の破壊、ならびに身体の非損傷領域における感覚の阻害のうちの1つまたは複数が挙げられる。
ある実施形態では、TRPA1阻害薬は、失禁を処置するために用いられ得る。ある実施形態では、TRPA1阻害薬は、膀胱を神経支配するニューロンの活性を低下させることにより、膀胱過活動を低減するために用いられる。ある実施形態では、失禁には疼痛が伴う。例えば膀胱炎に付随する失禁または損傷に付随する失禁には、疼痛が伴い得る。失禁に疼痛が伴う場合、TRPA1阻害薬は、両失禁を処置し、疼痛を低減するために投与され得る。
対象TRPA1阻害薬は、単独で、または他の薬学的に活性な作用物質と組合せて、用いられ得る。このような他の薬学的に活性な作用物質の例としては、抗炎症薬(例えばNSAIDS、ブラジキニン受容体アンタゴニスト、ホルモンおよびオータコイド、例えばコルチコステロイド)、抗座瘡薬(例えば、レチノイド)、抗しわ薬、抗瘢痕薬、抗失禁薬(例えば、M1受容体アンタゴニスト)、抗嘔吐薬(例えば、NK1アンタゴニスト)、抗乾癬薬、制酸薬、抗増殖薬(例えば、抗湿疹薬、抗癌薬)、抗真菌薬、抗ウイルス薬、消毒薬(例えば、抗細菌薬)、局所麻酔薬、抗片頭痛薬、角質溶解薬、発毛促進薬、発毛阻害薬、ならびに皮膚の疾患または症状の処置に用いられるその他の作用物質が挙げられるが、これらに限定されない。ある種の活性作用物質は、1つより多くの部類に属する。
前記のもののいずれかに関して、TRPA1阻害薬は、処置されている疾患または損傷に適した経路による投与のために処方され得る。例えば、TRPA1阻害薬は、例えば経口、経皮、局所、腹腔内、静脈内、脈管内、くも膜下腔内、心膜内、心筋内、皮下、直腸、膣または尿道送達のために処方され得る。さらに、TRPA1阻害薬は、装置を介した送達のために処方され得る。装置の例としては、カテーテル、導線、ステント、またはその他の管腔内装置が挙げられるが、これらに限定されない。送達装置のさらなる例としては、パッチ、包帯、マウスガードまたは歯科用器具も挙げられる。
本発明は、前記のTRPA1阻害薬のいずれかの医薬組成物を意図する。例示的医薬組成物は、製薬上許容可能な担体中に処方される。
対象TRPA1阻害薬は、単独で、あるいは処置されている特定の疾患、症状、損傷または障害に適した他の処置、療法または介入と組合せた療法レジメンの一部として、用いられ得る。療法レジメンの一部として用いられる場合、本発明は、1つまたは複数の以下の治療手段(:非TRPA1阻害薬製剤の投与、化学療法、放射線療法、ホメオパシー療法、食餌、ストレス管理および外科手術)と組合せたTRPA1阻害薬の使用を意図する。
単独で、または療法レジメンの一部として投与される場合、ある実施形態では、本発明は、特定の原発性疾患、損傷、障害または症状を処置するためのTRPA1の投与を意図する。付加的または代替的には、本発明は、疾患、損傷、障害または症状に関連した疼痛を処置するためのTRPA1阻害薬の投与を意図する。さらなる他の実施形態では、本発明は、原発性疾患、損傷、障害または症状に続発する症候を処置するためのTRPA1阻害薬の投与を意図する。
本発明は、前述のまたは後述の特性の任意の組合せ、ならびに本明細書中に記載されるTRPA1アンタゴニストの構造的または機能的特性の任意の組合せを有するTRPA1アンタゴニストの医薬製剤およびその使用を意図する。任意のこのようなアンタゴニストまたは製剤が、本明細書中に記載される疾患または症状のいずれかの処置に用いられ得る。さらに本発明は、in vitroでTRPA1媒介性電流を阻害するための任意のこのようなアンタゴニストまたは製剤の使用を意図する。本発明の前述のまたは後述の態様および実施形態のいずれかの組合せも、意図される。例えば、本発明は、本明細書中に略記された特定の効力および特異性のいずれかを有するTRPA1アンタゴニストが、適切な投与経路のために処方され得るし、本明細書中に詳述される症状または疾患のいずれかを処置するのに用いられ得る、ということを意図する。
前記のもののいずれかのある実施形態では、本発明の方法に用いるためのTRPA1アンタゴニスト化合物は、前記の特性(例えば、IC50、特異性、選択性、活性、処方物など)のいずれかのうちの1つまたは複数を有する。前記の特性の任意の組合せを有するアンタゴニスト化合物の化合物および使用は、特に意図される。
「アンタゴニスト」および「阻害薬」という用語は、TRPA1のようなイオンチャンネルの活性を抑止する、といったように、生物学的活性を低減するかまたは抑制する作用物質を指すために、互換的に用いられる。TRPA1阻害薬は、本明細書中に開示される構造的および/または機能的特性の任意の組合せを有する阻害薬を包含する。
例えばTRPA1アンタゴニストの「有効量」は、阻害または処置の対象方法に関しては、所望の投与量レジメンの一部として適用される場合、所望の臨床的または機能的結果をもたらす製剤中のアンタゴニストの量を指す。理論に縛られることなく、本発明の方法に用いるためのTRPA1の有効量は、TRPA1チャンネルの1つまたは複数のin vitroまたはin vivo機能を低減するのに有効なTRPA1アンタゴニストの量を包含する。例示的機能としては、膜分極(例えば、アンタゴニストは細胞の過分極を促し得る)、イオン流束、細胞中のイオン濃度、外向き電流、および内向き電流が挙げられるが、これらに限定されない。TRPA1機能に拮抗する化合物としては、TRPA1のin vitroまたはin vivo機能的活性に拮抗する化合物が挙げられる。特定の機能的活性がin vitro検定で単に容易に観察可能である場合、そのin vitro検定におけるTRPA1機能を阻害する化合物の能力は、その化合物の活性の合理的代用として役立つ。ある実施形態では、有効量は、TRPA1媒介性電流を阻害するのに十分な量、および/またはTRPA1媒介性イオン流束を阻害するのに十分な量である。
本発明の方法で用いるためのTRPA1阻害薬は、1つまたは複数の他のイオンチャンネルに対するそれらの活性、または活性の欠如によって特性化され得る。他のイオンチャンネルが言及される場合、このような他のイオンチャンネルの機能の阻害は、同様に定義される。例えばイオンチャンネルまたはイオンチャンネルの活性の阻害は、アンタゴニストが他のイオンチャンネルの1つまたは複数の機能的活性を阻害する、ということを意味する。このような機能としては、特定イオンチャンネルにより媒介される電流、イオン流束、または膜分極が挙げられる。
「核酸」という用語は、高分子形態のヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはでオキシヌクレオチド)、あるいは修飾形態の両型のヌクレオチドを指す。当該用語は、等価物として、ヌクレオチド類似体から作られるRNAまたはDNAの類似体、ならびに記載中の実施形態に適用可能であるような、1本鎖(例えばセンスまたはアンチセンス)および2本鎖ポリヌクレオチドを包含するとも理解されるべきである。
「予防する」という用語は、当該技術分野で認識されており、症状、例えば局所的再発(疼痛)、疾患、例えば癌、複合症候、例えば心不全または任意のその他の医学的状態に関連して用いられる場合、当該技術分野で十分に理解されており、組成物を摂取していない被験者と比較して、被験者における医学的状態の頻度、開始の遅延、症候を低減する組成物の投与を包含する。したがって、癌の予防は、例えば非処置対照集団と比較して予防的処置を受けている患者の集団における検出可能な癌性増殖の数を低減すること、および/または例えば統計学的および/または臨床的有意量により非処置対照集団に対して処置集団における検出可能な癌性増殖の出現を遅延することを包含する。感染の予防としては、例えば、非処置対照集団に対する処置集団における感染の診断数を低減すること、および/または非処置対照集団に対して処置集団における感染の症候の開始を遅延すること、が挙げられる。疼痛の予防としては、例えば非処置対照集団に対して処置集団における被験者により経験される痛覚の大きさを低減すること、あるいは代替的には、それを遅延することが挙げられる。
「ポリペプチド」という用語、ならびに本明細書中で互換的に用いられる「タンパク質」および「ペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマーを指す。例示的ポリペプチドとしては、前記のものの遺伝産物、天然タンパク質、相同体、オルソログ、パラログ、断片およびその他の等価物、変異体および類似体が挙げられる。
「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で、本発明の治療的に活性な作用物質に転化される化合物を包含するよう意図される。プロドラッグを製造するための一般的方法は、生理学的条件下で加水分解されて所望の分子を明示する選択部分を含むことである。他の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により転化される。
「配列同一性」という用語は、配列が、比較のウインドウ全体に亘って同一である(すなわち、核酸に関してはヌクレオチド単位、またはポリペプチドに関してはアミノ酸単位を基礎にして)ということを意味する。「配列同一性のパーセンテージ」という用語は、比較ウインドウ全体で2つの最適整列配列を比較して、同一アミノ酸が両方の配列で生じる位置の数を確定して、整合位置の数を得て、整合位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることにより算定される。配列同一性を算定する方法は当業者に既知であり、以下でさらに詳細に記載される。
「小分子」という用語は、約2500amu未満、好ましくは約2000amu未満、さらに好ましくは約1500amu未満、さらに好ましくは約1000amu未満、最も好ましくは約750amu未満の分子量を有する化合物を指す。
「緊縮条件」または「緊縮ハイブリダイゼーション条件」という用語は、二重鎖を形成するよう2つの相補的ポリヌクレオチド鎖間の特異的ハイブリダイゼーションを促す条件を指す。緊縮条件は、限定イオン強度およびpHでの所定のポリヌクレオチド二重鎖に関する融点(Tm)より5℃低い温度であるよう選択され得る。相補的ポリヌクレオチド鎖の長さおよびそれらのGC含量は二重鎖のTmを、したがってハイブリダイゼーションの所望の特異性を得るために必要なハイブリダイゼーション条件を確定する。Tmは、ポリヌクレオチド配列の50%が完全整合相補的鎖とハイブリダイズする温度(限定イオン強度およびpHで)である。ある場合には、特定二重鎖に関するTmとほぼ等しくあるよう、ハイブリダイゼーション条件の緊縮度を増大することが望ましい。ある実施形態では、緊縮ハイブリダイゼーション条件は、65℃で0.2×SSCの洗浄工程を含む。
「TRPA1」、「TRPA1タンパク質」および「TRPA1チャンネル」という用語は、本出願全体を通して互換的に用いられる。これらの用語は、配列番号1、配列番号3または配列番号5で記述されるアミノ酸配列を含むイオンチャンネル(例えばポリペプチド)、あるいは等価のポリペプチドまたはその機能的生体活性断片を指す。ある実施形態では、当該用語は、配列番号1、配列番号3または配列番号5で記述されるアミノ酸配列を含むか、それからなるか、または本質的それからなるポリペプチドを指す。TRPA1は、TRPA1の一機能を保有し、そして(i)配列番号1、配列番号3または配列番号5で記述されるアミノ酸配列の全部または一部;(ii)1〜約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75またはそれより多くの保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号3または配列番号5で記述されるアミノ酸配列;(iii)配列番号1、配列番号3または配列番号5と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列;ならびに(iv)その機能的断片を含むポリペプチドを包含する。本発明のポリペプチドは、配列番号1、配列番号3または配列番号5の相同体、例えばオルソログおよびパラログも包含する。
「TRPA1」という用語はさらに、本発明のポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2、配列番号4または配列番号6で記述されるポリヌクレオチドからなるか、または本質的それからなる配列を含むアミノ酸を指す。本発明の核酸は、配列番号2、配列番号4または配列番号6のヌクレオチド配列;配列番号2、配列番号4または配列番号6と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列;配列番号2、配列番号4または配列番号6と緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;本発明のポリペプチドと機能的に等価であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;配列番号1、配列番号3または配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%相同であるかまたは同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;配列番号1、配列番号3または配列番号5と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の相同性または同一性を有する本発明のポリペプチドの活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;配列番号2、配列番号4または配列番号6の、例えば対立遺伝子変異体のような、1〜約2、3、5、7、10、15、20、30、50、75またはそれより多くのヌクレオチド置換、付加または欠失により異なるヌクレオチド配列;配列番号2、配列番号4または配列番号6由来の、且つ進化的に関連するヌクレオチド;ならびに本発明の前記のおよび他の核酸の相補体、ならびにその全部に関する遺伝暗号の縮重に起因するヌクレオチド配列:のうちの全部または一部を含み得る。本発明の核酸は、配列番号2、配列番号4または配列番号6の相同体、例えばオルソログおよびパラログも、ならびに特定の生物体(例えば宿主細胞)中での発現のためにコドン最適化されている配列番号2、配列番号4または配列番号6の変異体も包含する。明瞭に記述されない場合、TRPA1が核酸を指すかタンパク質を指すかを、当業者は容易に査定し得る。
「酸化代謝産物」という用語は、正常生理条件下で親化合物の代謝により産生される化合物を包含するよう意図される。具体的には、酸化代謝産物は、代謝中の親化合物の酸化により生成される。例えば、チオエーテル基は、対応するスルホキシドまたはスルホンに酸化され得る。
「溶媒和物」という用語は、本明細書中で用いる場合、溶媒和により形成される化合物(例えば、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組合せにより生成される化合物)を指す。
「水和物」という用語は、本明細書中で用いる場合、水と親化合物の結合により形成される化合物を指す。
「処置する」という用語は、予防的および/または治療的処置を包含する。「予防的または治療的」処置という用語は、当該技術分野で認識されており、対象組成物のうちの1つまたは複数を宿主に投与することを包含する。望ましくない症状(例えば疾患または宿主動物のその他の望ましくない状態)の臨床的症状発現前に投与される場合には、処置は予防的である(すなわち、それは、望ましくない症状の発症に対して宿主を防御する)が、一方、望ましくない症状の症状発現後に投与される場合、処置は治療的である(すなわち、現存する望ましくない症状またはその副作用を減少させるか、改善するかまたは安定化するよう意図される)。
「化合物」および「作用物質」という用語は、互換的に用いられて、本発明の阻害薬/アンタゴニストを指す。ある実施形態では、化合物は、例えば7500amu未満、好ましくは5000amu未満、さらに好ましくは2000、1500、1000または500amu未満の分子量を有する小有機または無機分子である。小有機または無機分子のうちの1つのクラスは、例えば2つ、1つのペプチドおよび/またはサッカリド結合を含有するか、または含有しない非ペプチジルである。ある他の実施形態では、化合物は、ペプチジル薬、例えばポリペプチドまたは抗体である。ある他の実施形態では、化合物は、タンパク質、例えば抗体またはアプタマーである。このような化合物は、TRPA1と結合し得るし、その一機能を阻害し得る。ある他の実施形態では、化合物は、核酸、例えばTRPA1アンチセンス・オリゴヌクレオチドまたはTRPA1 RNAi構築物である。このような化合物は、TRPA1の発現を阻害し、それによりTRPA1の活性を阻害し得る。阻害薬として作用し得る他の例示的化合物としては、リボザイムおよびペプチド断片が挙げられる。
「アシル」という用語は当該技術分野で認識されており、一般式:ヒドロカルビルC(O)−、好ましくはアルキルC(O)−で表される基を指す。
「アシルアミノ」という用語は当該技術分野で認識されており、以下の一般式により表され得る部分を指す:
(式中、Rは上記と同様であり、そしてR’11は水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH−R8(ここでmおよびRは上記と同様である)を表す)。
本明細書中では、「脂肪族基」という用語は、直鎖、分枝鎖または環状脂肪族炭化水素基を指し、例としては、飽和および不飽和脂肪族基、例えばアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が挙げられる。
「アルケニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、少なくとも1つの二重結合を含有する脂肪族基を指し、そして「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を包含するよう意図され、この後者は、アルケニル基の1つまたは複数の炭素上の水素にとって代わる置換基を有するアルケニル部分を指す。このような置換基は、1つまたは複数の二重結合に含まれるかまたは含まれない1つまたは複数の炭素上に生じ得る。さらに、このような置換基は、以下で考察されるように、安定性が妨げられる場合を除いて、アルキル基に関して意図されるものすべてを包含する。例えば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはへテロアリール基によるアルケニル基の置換が意図される。
「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、本明細書中で用いる場合、それに結合される酸素ラジカルを有する、以下で定義されるような、アルキル基を指す。代表的アルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、酸素により共有結合される2つの炭化水素である。したがって、そのアルキルをエーテルにさせるアルキルの置換基は、アルコキシルであるかまたはそれに似ており、例えばO−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH−R(式中、mおよびRは上記と同様である)により表され得る。
「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基のラジカル、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を指す。好ましい実施形態では、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖中に30以下の炭素原子(例えば直鎖に関してはC〜C30、分枝鎖に関してはC〜C30)、さらに好ましくは20以下の、もっとも好ましくは10以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは環構造中に5、6または7個の炭素を有する。
さらに、「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、本明細書、実施例および特許請求の範囲の全体を通して用いる場合、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を包含するよう意図され、この後者は、炭化水素主鎖の1つまたは複数の炭素上の水素に取って代わる置換基を有するアルキル部分を指す。このような置換基としては、例えばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、あるいは芳香族またはへテロ芳香族部分が挙げられ得る。炭化水素鎖上で置換される部分は、適切な場合は、それ自体置換され得る、と当業者により理解される。例えば、置換アルキルの置換基としては、置換および非置換形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(例えばホスホネートおよびホスフィネート)、スルホニル(例えば、スルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネート)およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(例えばケトン、アルデヒド、カルボキシレートおよびエステル)、−CF、−CNなどが挙げられ得る。例示的置換アルキルは、以下に記載される。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF、−CNなどでさらに置換され得る。
同様の置換がアルケニルおよびアルキニル基に対してなされて、例えばアミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換アルケニルまたはアルキニルを生じ得る。
炭素の数が別記されない限り、「低級アルキル」は、本明細書中で用いる場合、上記のような、しかし1〜10個の炭素、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子をその主鎖構造中に有するアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、同様の鎖長を有する。本出願全体を通して、好ましいアルキル基は低級アルキルである。好ましい実施形態では、本明細書中でアルキルと呼ばれる置換基は、低級アルキルである。
「アルキニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、少なくとも1つの三重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方を包含するよう意図され、この後者は、アルキニル基の1つまたは複数の炭素上の水素に取って代わる置換基を有するアルキニル部分を指す。このような置換基は、1つまたは複数の三重結合中に含まれるかまたは含まれない1つまたは複数の炭素上で生じ得る。さらに、このような置換基は、上で定義されたように、安定性が妨げられる場合を除いて、アルキル基に関して意図されるものすべてを包含する。例えば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリルまたはへテロアリール基によるアルキニル基の置換が意図される。
「アルキルチオ」という用語は、それに結合されるイオウラジカルを有する、上で定義されたようなアルキル基を指す。好ましい実施形態では、「アルキルチオ」部分は、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、および−S−(CH−R(式中、mおよびRは上記と同様である)のうちの1つにより表される。代表的アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
「アミン」および「アミド」という用語は当該技術分野で認識されており、非置換および置換アミンの両方を、例えば以下の一般式により表され得る部分を指す:
(式中、R、R10およびR’10は、各々独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−Rを表し、あるいはRおよびR10は、それらが結合されるN原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成し;Rは、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環または多環を表し;そしてmはゼロ、または1〜8の範囲の整数である)。好ましい実施形態では、RまたはR10の一方のみがカルボニルであり、例えばR、R10および窒素は、一緒にイミドを形成しない。あるこのような実施形態では、RもR10もカルボニルによりNに結合されず、例えば、アミンはアミドまたはイミドでなく、アミンは好ましくは塩基性であり、例えば、その共役酸は7より大きいpKを有する。さらに好ましい実施形態では、RおよびR10(および任意にR’10)は、各々独立して、水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH−Rを表す。したがって、「アルキルアミン」という用語は、本明細書中で用いる場合、それに結合される置換または非置換アルキルを有する、上で定義されたようなアミン基を意味し、すなわち、RおよびR10の少なくとも一方はアルキル基である。
「アミド」という用語は、アミノ置換カルボニルとして当該技術分野で認識されており、以下の一般式により表され得る部分を包含する:
(式中、RまたはR10は上記と同様である)。アミドの好ましい実施形態は、不安定であり得るイミドを含まない。
「アラルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、アリール基(例えば、芳香族またはへテロ芳香族基)で置換されるアルキル基を指す。
「アリール」という用語は、本明細書中で用いる場合、0〜4個の異種原子を含み得る5−、6−および7員単環芳香族基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどを包含する。環構造中に異種原子を有するアリール基は、「アリール複素環」または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれ得る。芳香族環は、1つまたは複数の環位置で、上記のような置換基、例えばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ポリシクリル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはへテロ芳香族部分、−CF、−CNなどで置換され得る。「アリール」という用語は、2個以上の炭素が2つの隣接環(環は「縮合環」である)に共通である二環式またはそれ以上の数の環式環を有する多環式環系も包含し、この場合、環のうちの少なくとも1つは芳香族であり、例えば他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはへテロシクリルであり得る。
「炭素環またはシクリル」という用語は、本明細書中で用いる場合、環の各原子が炭素である芳香族または非芳香族環を指す。
「カルボニル」という用語は当該技術分野で認識されており、以下の一般式で表され得るような部分を包含する:
(式中、Xは、単結合であり、あるいは酸素またはイオウを表し、そしてR11は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−Rまたは製薬上許容可能な塩を表し、R’11は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−R(式中、mおよびRは上記と同様である)を表す)。Xが酸素であり、R11またはR’11が水素でない場合、式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R11が上記と同様である場合、当該部分はカルボキシル基として本明細書中で言及され、特にR11が水素である場合、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり、R’11が水素である場合、式は「ホルメート」を表す。概して、上記の式の酸素原子がイオウに取って代わられる場合、式は、「チオカルボニル」基を表す。Xがイオウであり、R11またはR’11が水素でない場合、式は「チオエステル」を表す。Xがイオウであり、R11が水素である場合、式は「チオカルボン酸」を表す。Xがイオウであり、R’11が水素である場合、式は「チオホルメート」を表す。他方で、Xが単結合であり、R11が水素でない場合、上記の式は「ケトン」基を表す。Xが単結合であり、R11が水素である場合、上記の式は「アルデヒド」基を表す。
「電子求引基」という用語は、電子求引基が結合される原子または原子の群から電子密度を取り除く化学基を指す。電子密度の除去は、誘導的作用による、ならびに非局在化/共作用による除去を包含する。芳香族環に結合される電子求引基の例としては、ペルハロアルキル基、例えばトリフルオロメチル、ハロゲン、アジド、カルボニル含有基、例えばアシル基、シアノ基、およびイミン含有基が挙げられる。
「エステル」という用語は、本明細書中で用いる場合、基−C(O)OR(式中、Rはヒドロカルビル基を表す)を指す。
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書中で用いる場合、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを包含する。
「ヘトアラルキル」および「ヘテロアラルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、ヘトアリール基で置換されるアルキル基を指す。
「ヘテロアリール」という用語は、単環式である場合は1〜3個の異種原子を、二環式である場合は1〜6個の異種原子を、または三環式である場合は1〜9個の異種原子を有する芳香族5〜8員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、上記異種原子は、O、NまたはSから選択される(例えば、炭素原子、ならびに単環式、二環式または三環式である場合、N、OまたはSのそれぞれ1〜3個、1〜6個または1〜9個の異種原子)。任意の環原子が(例えば1つまたは複数の置換基により)置換され得る。
「ヘテロシクリル」または「複素環式基」という用語は、3〜10員環構造、さらに好ましくは3〜7員環を指し、その環構造は1〜4個の異種原子を含む。複素環は、多環でもあり得る。ヘテロシクリル基としては、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スルトンなどが挙げられる。複素環式環は、1つまたは複数の位置で、上記のような置換基、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはへテロ芳香族部分、−CF、−CNなどで置換され得る。
「ヘテロアリール」および「ヘトアリール」という用語は、置換または非置換芳香族単環構造、好ましくは5〜7員環、さらに好ましくは5〜6員環を包含し、その環構造は、少なくとも1個の異種原子、好ましくは1〜4個の異種原子、さらに好ましくは1または2個の異種原子を含む。「ヘテロアリール」および「ヘトアリール」という用語は、2個以上の炭素が2つの隣接環に共通である二環式またはそれ以上の数の環式環を有する多環式環系も包含し、この場合、環のうちの少なくとも1つはヘテロ芳香族であり、例えば他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはへテロシクリルであり得る。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが挙げられる。
「異種原子」という用語は、本明細書中で用いる場合、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましい異種原子は、窒素、酸素およびイオウである。
「ヘテロシクリル」、「複素環」および「複素環式」という用語は、置換または非置換非芳香族環構造、好ましくは3〜10員環、さらに好ましくは3〜7員環を指し、その環構造は少なくとも1つの異種原子、好ましくは1〜4個の異種原子、さらに好ましくは1または2個の異種原子を包含する。「ヘテロシクリル」および「複素環式」という用語は、2個以上の炭素が2つの隣接環に共通である二環式またはそれ以上の数の環式環を有する多環式環系も包含し、この場合、環のうちの少なくとも1つは複素環式であり、例えば他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはへテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基としては、例えばピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、複素環基で置換されるアルキル基を指す。
「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書中で用いる場合、=Oまたは=S置換基を有さない炭素原子を介して結合され、典型的には少なくとも1つの炭素−水素結合および主に炭素の主鎖を有するが、任意に異種原子を含み得る基を指す。したがって、メチル、エトキシエチル、2−ピリジルおよびトリフルオロメチルのような基が、本出願の目的のためのヒドロカルビルであるとみなされるが、しかしアセチル(結合炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(炭素でなく、酸素を介して結合される)のような置換基はそうではない。ヒドロカルビル基としては、アリール、ヘテロアリール、炭素環、複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
「低級」という用語は、化学物質部分、例えばアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシと一緒に用いられる場合、置換基中に10個以下の原子、好ましくは6個以下の原子が存在する基を含むよう意図される。例えば、「低級アルキル」は、10個以下の炭素原子、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基を指す。ある実施形態では、本明細書中で定義されるアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシ置換基は、それらが単独で出現しようが、例えば例を挙げれば、ヒドロキシアルキルおよびアラルキルのような他の置換基と組合せて出現しようが(例えばこの場合、アリール基内の原子は、アルキル置換基中の炭素原子を数える場合に計数されない)、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニルまたは低級アルコキシである。
本明細書中で用いる場合、「ニトロ」という用語は、−NOを意味し;「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを示し;「スルフヒドリル」という用語は−SHを意味し;「ヒドロキシル」という用語は−OHを意味し;そして「スルホニル」という用語は−SOを意味する。
「ポリシクリル」または「多環式基」という用語は、2個以上の炭素が2つの隣接環(例えば、環は「縮合環」である)に共通である2つ以上の環を指す(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはへテロシクリル)。非隣接原子を介して連結される環は、「架橋」環と呼ばれる。多環の環の各々は、上記のような置換基、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはへテロ芳香族部分、−CF、−CNなどで置換され得る。
「保護基」という語句は、本明細書中で用いる場合、望ましくない化学的変換から潜在的に反応性の官能基を保護する一時的な置換基を意味する。このような保護基の例としては、それぞれ、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにアルデヒドおよびケトンのアセタルおよびケタールが挙げられる。保護基化学の分野が再検討されている(Greene, T.W.;Wuts, P.G.M. Protective
Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.;Wiley: New York, 1991)。
「置換される」という用語は、主鎖の1つまたは複数の炭素上の水素に取って代わる置換基を有する部分を指す。「置換」または「〜で置換される」は、このような置換は置換原子および置換基の許容原子価に従っており、置換は安定化合物を生じ、例えばこれは、例えば再整列、環化、排除などによる変換を自発的に受けない、という絶対条件を包含すると理解される。本明細書中で用いる場合、「置換される」という用語は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を包含するよう意図される。広範な態様では、許容可能な置換基としては、有機化合物の、非環式および環式、分枝鎖および非分枝鎖、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。許容可能な置換基は、適切な有機化合物に関して、1つ以上であり、そして同一であるかまたは異なり得る。本発明の目的のために、異種原子、例えば窒素は、水素置換基、および/または異種原子の原子価を満たす本明細書中に記載される有機化合物の許容可能な任意の置換基を有し得る。置換基は、本明細書中に記載される任意の置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、あるいは芳香族またはへテロ芳香族部分が挙げられ得る。炭化水素鎖上で置換される部分は、適切な場合は、それ自体置換され得る、と当業者により理解される。
「置換」または「〜で置換される」は、このような置換は置換原子および置換基の許容原子価に従っており、置換は安定化合物を生じ、例えばこれは、例えば再整列、環化、排除などによる変換を自発的に受けない、という絶対条件を包含すると理解される。
「スルファモイル」という用語は当該技術分野で認識されており、以下の一般式により表され得る部分を包含する:
(式中、R9およびR10は上記と同様である)。
「スルフェート」という用語は当該技術分野で認識されており、以下の一般式により表され得る部分を包含する:
(式中、R41は上記と同様である)。
「スルホンアミド」という用語は当該技術分野で認識されており、以下の一般式により表され得る部分を包含する:
(式中、R9およびR11は上記と同様である)。
「スルホネート」という用語は当該技術分野で認識されており、以下の一般式により表され得る部分を包含する:
(式中、R41は電子対、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである)。
「スルホキシド」または「スルフィニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、以下の一般式により表され得る部分を指す:
(式中、R44は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキルまたはアリールからなる群から選択される)。
「チオエステル」という用語は、本明細書中で用いる場合、基−C(O)SRまたは−SC(O)R(式中、 はヒドロカルビルを表す)を指す。
本明細書中で用いる場合、各表現、例えばアルキル、m、nなどの定義は、それが任意の構造中に1回以上出現する場合、同一構造中の他の箇所でのその定義とは無関係であるよう意図される。
トリフリル、トシル、メシルおよびノナフリルは当該技術分野で認識されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニルおよびノナフルオロブタンスルホニル基を指す。トリフレート、トシレート、メシレートおよびノナフレートは当該技術分野で認識されており、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステルおよびノナフルオロブタンスルホン酸エステル官能基、ならびに上記の基を含有する分子を指す。
略号Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表す。当該技術分野の有機化学者により利用される略号のより包括的な一覧は、Journal of Organic Chemistryの各巻の初版に記載されている;この一覧は、典型的には、「略号の標準一覧」という表題の表で示される。上記の一覧に含入される略号、ならびに当該技術分野の有機化学者により利用されるすべての略号は、参照により本明細書で援用される。
本発明のある化合物は、特定の幾何または立体異性体形態で存在し得る。本発明は、本発明の範囲内に入るような、シスおよびトランス異性体、RおよびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(d)−異性体、(l)−異性体、そのラセミ混合物、ならびにそれらの他の混合物を含めて、すべてのこのような化合物を意図する。付加的不斉炭素原子が、アルキル基のような置換基中に存在し得る。すべてのこのような異性体、ならびにその混合物は、本発明に包含されるよう意図される。
実質的に異性体的に純粋な化合物の製造方法は、当該技術分野で知られている。例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合、それは、不斉的合成により、またはキラル補助剤を用いた誘導により製造され得るが、この場合、結果的に生じるジアステレオマー混合物は分離され、補助基が切り取られて、純粋な所望のエナンチオマーを提供する。代替的には、分子が塩基性官能基、例えばアミノ、または酸性官能基、例えばカルボキシルを含有する場合、適切な光学的に活性な酸または塩基を用いてジアステレオマー塩が形成され、その後、当該技術分野で周知の分別結晶化またはクロマトグラフィー的手段により、このように生成されたジアステレオマーを分割し、その後、純粋なエナンチオマーを回収する。代替的には、エナンチオマー濃化混合物および純エナンチオマー化合物は、キラル中心に立体化学を非電荷のままにしておくか、またはその完全反転を生じる反応と組合せて、エナンチオマー的に純粋である合成中間体を用いることにより調製され得る。特定の立体中心を反転するかまたは非電荷のままにするための技法は、ならびに立体異性体の混合物を分割するための技法は、当該技術分野で周知であり、それは、十分に、特定の状況に適切な方法を選択する当業者の能力内である(一般的に、Furniss et al. (eds.), Vogel’s Encyclopedia of
Practical Organic Chemistry 5th Ed., Longman Scientific and Technical Ltd., Essex, 1991, pp. 809−816;およびHeller, Acc. Chem. Res. 23: 128 (1990)参照)。
上記の化合物の意図された等価物は、他の状況ではそれに対応し、且つ、その同一の一般的特性(例えば、TRPA1活性を阻害する能力)を有する化合物を包含するが、この場合、化合物の効能に悪影響を及ぼさない、置換基の1つまたは複数の単純変化がなされる。概して、本発明の化合物は、例えば下記のような一般反応スキームに示される方法により、あるいはその変法により、容易に入手可能な出発物質、試薬および慣用的合成手法を用いて、調製され得る。これらの反応においては、それ自体知られているが、しかしここに記述されていない変法も用い得る。
本発明の目的のために、Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 67th Ed., 1986−87, inside coverに従って、化学元素が同定される。さらにまた、本発明の目的のために、「炭化水素」という用語は、少なくとも1つの水素および1つの炭素原子を有するすべての許容可能な化合物を包含するよう意図される。広範な態様において、許容可能な炭化水素としては、非環式および環式、分枝鎖および非分枝鎖、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の有機化合物(置換されるかまたは非置換であり得る)が挙げられる。
本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子のうちの1つまたは複数で非天然的比率の原子同位体も含有し得る。例えば、化合物は、放射性同位体、例えばトリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)で放射能標識され得る。本発明の化合物の同位体変形はすべて、放射性であっても、そうでなくても、本発明の範囲内に包含されるよう意図される。
記号
は、単結合として利用される場合でも、単結合に垂直に示される場合でも、表示部分が分子の残りの部分、固体支持体などに結合される点を示す。
本発明のある化合物は、非溶媒和化形態ならびに溶媒和化形態、例えば水和化形態で存在し得る。概して、溶媒和化形態は、非溶媒和化形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。本発明のある化合物は、複結晶または非晶質形態で存在し得る。概して、すべての物理的形態は、本発明により意図される用途に関しては等価であり、本発明の範囲内であるよう意図される。
「製薬上許容可能な塩」という用語は、本明細書中に記載される化合物上に見出される特定の置換基によって、相対的に非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を包含する。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含有する場合、中性形態のこのような化合物を十分量の所望の塩基と、そのままでまたは適切な不活性溶媒中で、接触させることにより、塩基付加塩が得られる。製薬上許容可能な塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノまたはマグネシウム塩、あるいは同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含有する場合、中性形態のこのような化合物を十分量の所望の酸と、そのままでまたは適切な不活性溶媒中で、接触させることにより、酸付加塩が得られる。製薬上許容可能な酸付加塩の例としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、カルボン酸、カルボン酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸またはホスホン酸などに由来のもの、ならびに相対的に非毒性の有機酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などに由来する塩が挙げられる。アミノ酸の塩、例えばアルギン酸塩など、ならびに有機酸、例えばグルクロン酸またはガラクツロン酸などの塩も包含される(例えばBerge et al., “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1−19参照)。本発明のある特定の化合物は、化合物を塩基または酸付加塩に転化させる塩基性および酸性の両方の官能基を含有する。
化合物の中性形態は、好ましくは、塩を塩基または酸と接触させ、慣用的やり方で親化合物を単離することにより再生される。化合物の親形態は、ある物理的特性、例えば極性溶媒注の溶解度において、種々の塩形態と異なるが、しかし別の状況では、塩は本発明の目的のための化合物の親形態と等価である。
「十分低い発熱活性」という用語は、医薬製剤に関しては、製剤が投与された被験者において副作用(例えば、刺激、発熱、炎症、下痢、呼吸窮迫、内毒素ショックなど)をもたらす量で発熱物質を含有しない製剤を指す。例えば当該用語は、例えばリポ多糖(LPS)のような内毒素を含有しないか、または実質的に含有しない製剤を包含するよう意図される。
TRPA1機能に関連した疾患、障害または症状
ある実施形態では、本発明は、in vitroまたはin vivoでTRPA1チャンネルの一機能を阻害するための方法および組成物を提供する。例示的機能としてはTRPA1媒介性電流が挙げられるが、これに限定されない。ある実施形態では、本発明は、TRPA1タンパク質のレベルおよび/または活性を調整する作用物質を投与することにより疾患または障害または症状を予防するかまたは処置するための方法を提供する。他の実施形態では、化合物は、TRPA1タンパク質の発現レベルおよび/または活性を選択的に阻害する。言い換えれば、ある実施形態では、化合物は、1つまたは複数の他のイオンチャンネルの活性と比較して、TRPA1タンパク質の活性を優先的に阻害する。
本明細書中で提供される疾患および障害を予防するかまたは処置するための方法の特定の実施形態では、疾患または障害は、例えば接触に対する疼痛または感受性、例えば疾患または障害に関連した疼痛、例えば癌疼痛、皮膚科学的疾患または障害、例えば乾癬ならびに基底細胞および扁平上皮細胞癌腫、神経変性疾患または障害、例えばアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ならびに外傷または他の傷害、例えば加齢により引き起こされるその他の脳障害、炎症性疾患(例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、骨関節炎、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、神経炎症性疾患、多発性硬化症、ならびに免疫系の障害)、癌(例えば脂肪肉腫)またはその他の増殖性疾患、腎疾患および肝疾患、代謝障害、例えば糖尿病であり得る。さらなる疾患および症状としては、術後疼痛、ヘルペス感染後神経痛、失禁および帯状疱疹が挙げられる。
細胞活性化、遺伝子発現、細胞輸送およびアポトーシス性細胞死を含めた多数の細胞プロセスにおいてカルシウム調節が果たす重要な役割のため、カルシウム恒常性異常は、このような細胞活性に関連した多数の疾患および障害に影響を及ぼす。これらの疾患および障害としては、皮膚科学的疾患および障害;神経学的および神経変性疾患および障害;種々の疾患、障害または症状に関連した発熱;失禁;炎症性の疾患および障害、例えば炎症性腸疾患およびクローン病;呼吸器の疾患および障害、例えば慢性咳、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD);消化障害、例えば潰瘍および酸逆流;代謝性疾患および障害、例えば肥満症および糖尿病;肝臓および腎臓の疾患および障害;悪性疾患、例えば癌;加齢関連障害;ならびに疼痛および接触に対する感受性が挙げられる。
処置され得るさらなる疾患または症状としては、ATP関連疾患または障害、例えば癲癇、認知、嘔吐、疼痛(例えば片頭痛)、喘息、末梢血管性疾患、高血圧症、免疫および炎症性症状、過敏性腸症候群、膀胱炎、うつ病、加齢関連変性疾患、尿失禁、早漏、嚢胞性繊維症、糖尿病、避妊および不妊症、ならびに創傷治癒が挙げられる(例えばForesta et al. (1992) J. Biol. Chem. 257: 19443−19447;Wang et al. (1990) Biochim. Biophys. Res. Commun. 166: 251−258;Burnstock and Williams, (2000) J. Pharmacol. Exp. Ther. 295: 862−869;およびBurnstock, Pharmacol Rev (2006) 58: 58−86参照)。
本明細書中に記載されるTRPA1阻害薬は、前記のまたは以下の疾患または症状のいずれかの処置に、例えば前記のまたは以下の疾患または症状に関連した疼痛の処置に用いられ得る。処置方法に用いられる場合、阻害薬は、意図された投与経路に基づいて選択され、処方され得る。阻害薬は、根底にある疾患または症状を処置するために、あるいは疾患または症状の症候を軽減するために用いられ得る。例示的症候は、疾患または症状に関連した疼痛を包含する。
a.疼痛および接触に対する感受性、または疼痛に関連する疾患および障害
本明細書中で提供される組成物と方法は、疼痛の予防または処置、または疼痛および接触に対する感受性に関連して使用され得る。疼痛、または疼痛および接触に対する感受性は、糖尿病性神経障害、乳房痛、乾癬、湿疹、皮膚炎、熱傷、ヘルペス後神経痛(帯状疱疹)、侵害受容性疼痛、末梢神経性のまたは中枢神経性の神経障害性疼痛、慢性疼痛、癌および腫瘍の疼痛、脊髄損傷、挫滅傷および外傷によって引き起こされる疼痛、偏頭痛、脳血管および血管の疼痛、鎌状赤血球症の疼痛、関節リウマチの疼痛、変形性関節炎および関節リウマチの徴候および症候を処置することを含む筋骨格痛、歯の疾患、顎関節症を含む口腔顔面のおよび顔面の疼痛、および癌関連の、腰のまたは骨盤の疼痛、外科の切開に関連する疼痛、炎症性および非炎症性疼痛、内臓痛、心因性の疼痛、軟部組織炎症性疼痛、繊維筋痛に関連する疼痛、および反射性交感神経性ジストロフィー、および腎臓結石または尿路感染により引き起こされる疼痛を含むがそれらに限定されない様々な疾患、障害または症状の中で示され得る。本発明の組成物と方法は、急性疼痛同様慢性疼痛の処置において使用され得る。慢性疼痛または急性疼痛は、傷害、年齢または病気の結果でもあり得る。
他のイオンチャネルは、疼痛の受容または伝達に関係づけられてきた。例えば、N型カルシウムチャネルが、感覚性求心性神経細胞から中枢神経系へ疼痛のシグナルを伝えるシナプス伝達に関与することが認識されてきている。N型カルシウムチャネルを特異的に遮断するある自然に起こるペプチド神経毒は、炎症性のおよび神経障害性の疼痛のモデルを含む広範囲の動物の疼痛モデルの中で、非常に強力で効果的な鎮痛剤として作用することが示されてきた。利用可能な証拠は、N型カルシウムチャネル遮断薬は少なくともアヘン同様に有効で、多くの典型的なアヘンの副作用(例えば、呼吸抑制)を欠いており、そして鎮痛作用は耐性発現の支配を受けないということを示唆している。
5−α還元型神経ステロイドによって誘導される強力な末梢神経の鎮痛は、T型Ca2+チャネルへの影響によって部分的に仲介されるということも示されている(Pathirathna et al., Pain. 2005 Apr;114(3):429−43)。
抗癲癇性のおよび相対的に選択的なT型カルシウムチャネル遮断薬であるエトスクシミドもまた、通常使用される細胞傷害性の抗悪性腫瘍薬パクリタキセルまたはビンクリスチンによって引き起こされる神経障害性疼痛を覆すのに極めて効果的であるということが示されている(Flatters and Bennett, Pain. 2004 May;109(l−2):150−61)。
電位開口型のカルシウムチャネルのα(2)−デルタタンパク質サブユニットと相互作用する新薬のプレガバリンは、糖尿病性神経障害の疼痛に対する効果的で安全な処置である(Richter et al., J Pain. 2005 Apr;6(4):253−60)。
前述のことは、疼痛の受容または伝達における種々の非TRPチャネルの関与を実証する。特に、前述のことは、疼痛における種々のカルシウムチャネルの関与を実証する。
本発明は、(i)TRPAl機能のアンタゴニスト、(ii)TRPAl機能の選択的なアンタゴニストとTRPVlおよび/またはTRPV3機能の選択的なアンタゴニストの併用、または(iii)TRPAl、TRPVl、およびTRPV3の2つまたはそれ以上の機能を阻害する汎TRP阻害薬の投与を含む疼痛を処置するための方法を提供する。
TRPVファミリー成員に加えて、他のTRPチャネルは疼痛の受容および/または感覚に結び付けられている。例えば、TRPM8を含むあるTRPMチャネルは、疼痛の受容および/または感覚に結び付けられている。従って、ある実施形態において、本発明の方法は、(i)選択的なTRPAlアンタゴニストと選択的なTRPM8アンタゴニストの併用、(ii)選択的なTRPAlアンタゴニスト、選択的なTRPM8アンタゴニスト、および1つまたは複数の選択的なTRPVlおよび/またはTRPV3アンタゴニストの併用、(iii)TRPAlおよびTRPM8の機能に拮抗するTRP間共通の阻害薬、または(iv)TRPAl、TRPM8、および1つまたは複数のTRPVlやTRPV3の機能に拮抗する汎阻害薬を投与することによって疼痛を処置することを含む。
理論に縛られることなしに、我々は、TRPAlアンタゴニストが疼痛を軽減するのを助ける1つの可能なメカニズムを提案する。TRPAlアンタゴニストは、細胞の過分極を引き起こし得る。これは、神経の興奮の低下および/または活動電位の頻度の減少を引き起こす可能性がある。加えて、TRPAl阻害薬は、損傷した細胞内へのカルシウムの入流を減少させるかもしれず、そして、時々傷害を伴う遺伝子発現におけるカルシウム依存的な変化を防ぐことができる。
b.皮膚科学的疾患または障害
皮膚細胞の細胞膜を通るカルシウムの流入は、皮膚の表皮の細胞分化に関与する決定的なシグナル伝達の要素である(Dotto, 1999 Crit Rev Oral Biol Med 10:442−457)。カルシウム侵入経路、しがたって皮膚細胞の増殖に対する決定的な制御点を制御することまたは調節することは、皮膚細胞が急速に増殖しかつ分化が不十分であるという症状の表皮過形成によって特徴づけられる皮膚の疾患または障害を処置または予防することができる。そのような病気は、乾癬そして基底細胞癌や扁平上皮細胞癌を含む。乾癬は、最高で700万人ものアメリカ人に影響を与えると概算されているが、軽度からかなり不快な状態、二次感染への増強した罹患率、そして罹患領域の損なわれた外観による精神的な衝撃で患者を苦しめている(Lebwohl and Ali, 2001 J Am Acad Dermatol 45:487−498)。皮膚の基底細胞癌(BCC)と扁平上皮細胞癌(SCC)は、毎年アメリカ合衆国で診断される全ての癌の少なくとも1/3に相当している。100万以上の新しい症例が毎年報告され、発症率は増加している。比較的非攻撃的で、ゆっくり増殖する癌であるにも関わらず、BCCは有意の局所的な組織破壊と外観損傷をなし得る。SCCはより攻撃的で、そしてさらにひどい合併症を呈する。さらに、病変の80%が頭や首で残りの15%が肩、背中または胸部であることを考慮すれば、皮膚癌のBCCおよびSCCは患者の外観や生活の質に有意の影響を与え得る。
多くの皮膚科学的障害は痒み(掻痒)を伴う。掻痒および疼痛は、多くの機構的な類似性を共有する。両者はC繊維の活性化と関連しており、両者は温度や炎症メディエーターの増加によって増強され、両者はアヘンによって抑えられ得る。神経の興奮が減少すると、特にC繊維の興奮が、透析、皮膚炎、妊娠、ツタウルシ皮膚炎、アレルギー、乾燥肌、化学療法および湿疹と関連する掻痒を軽減し得る。
c.神経学的または神経変性の疾患および障害
神経変性の疾患および障害は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、ハンチントン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)および外傷や高齢を含む他の傷害によって引き起こされる他の脳の障害を含むが、それらに限定されるものではない。
カルシウムシグナル伝達に関連するメカニズムは、多くの神経変性疾患や脳損傷に起因する障害において変化され得る。例えば、AD患者からの繊維芽細胞またはTリンパ球は、対照と比較して細胞内貯蔵からのCa2+放出の増加を一貫して示す(Ito et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:534−538; Gibson et al. (1996) Biochem. Biophys. ACTA 1316:71−77; Etchenberrigaray et al. (1998) Neurobiology of Disease, 5:37−45)。これらの所見と一致して、家族性AD(FAD)と関連するプレセニリン遺伝子(PSlまたはPS2)内の変異は、InsP3が仲介する内部貯蔵からのCa2+放出を増加することが示されている(Guo et al. (1996) Neuro Report, 8:379−383; Leissring et al. (1999) J. Neurochemistry, 72:1061−1068; Leissring et al. (1999) J. Biol. Chem. 274(46):32535−32538; Leissring et al. (2000) J. Cell Biol. 149(4):793−797; Leissring et al.(2000) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 97(15):8590−8593)。さらに、ADのアミロイド形成的アミロイドβペプチド産生の増加に関するPSlまたはPS2遺伝子の変異が、細胞内カルシウム量の減少と関係があると報告されている(Yoo et al. (2000) Neuron, 27(3):561− 572)。
実験的な外傷性脳損傷は、さらなる神経細胞損傷に関与する可能性がある脳内でのCa2+濃度の大きな乱れを惹起することが示されている。細胞内Ca2+は、多くの異なるイオンチャネルによって上昇する可能性がある。さらに、チャネル遮断薬は短期の外傷後の期間に投与されると、神経性の運動機能障害の処置に有益であり得ることが示されている(Cheney et al. (2000) J. Neurotrauma, 17(1):83− 91)。
d.炎症性の疾患および障害
ここで提供される組成物と方法は、炎症性疾患の処置に関連して使用され得る。これらの疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、神経炎症性疾患、例えば多発性硬化症や免疫系の疾患を含むがそれらに限定されない。
炎症メディエーターによる好中球(PMN)の活性化は、細胞質カルシウムイオン濃度([Ca2+)の上昇によって部分的に成し遂げられる。あるカルシウムチャネルによって仲介されるカルシウム流入は、特に、PMNの活性化に重要な役割を担うと考えられている。外傷は、PMN貯蔵で作動するカルシウム流入を上昇させることが示されており(Hauser et al. (2000) J. Trauma Injury Infection and Critical Care 48 (4):592−598)、そして、増大した貯蔵で作動するカルシウム流入による[Ca2+の長引く上昇は、ケモタキシンと共役する刺激反応を変え、傷害後のPMN機能障害に関与し得るということが示されている。それゆえ、貯蔵で作動するカルシウムチャネルを通したPMN[Ca2+の調節は、傷害、衝撃、または敗血症後のPMNによって仲介される炎症や予備の心血管機能を制御するのに役立つ可能性がある(Hauser et al.
(2001) J. Leukocyte Biology 69 (l):63−68)。
末梢神経障害、例えば、糖尿病性神経障害は、神経細胞と炎症両方の構成要素が関与する特別な症状である。機構論に縛られることなしに、本発明のTRPAlアンタゴニストは、糖尿病性神経障害を含むがそれに限定されない末梢神経障害を処置するのに役立つ可能性がある。末梢神経障害の処置(例えば、炎症を減少させる)でのこれらの使用に加えて、本発明の阻害薬は、また末梢神経障害に関連する疼痛を減少させるのに役立つ可能性がある。
神経因性の炎症は、神経細胞の興奮性亢進が炎症を誘発するぺプチドの放出を導く時に大抵起こる。これらのペプチドはP物質とCGRPを含む。TRPAlの遮断は、神経細胞の活性化を減少し、そしてそれゆえに神経因性の炎症を遮断し得る。
e.癌と他の増殖性の疾患
ここで提供される組成物と方法は、また、上記の皮膚癌に加えて、リンパ細網の起源の悪性腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、子宮内膜癌、頭部および頸部癌、肺癌、メラノーマ、卵巣癌、前立腺癌および直腸癌を含むがそれらに限定されない悪性腫瘍の処置に関連して使用され得る。細胞内カルシウム量は、癌細胞の細胞増殖に重要な役割を担う可能性がある(Weiss et al. (2001) International Journal of Cancer 92 (6):877−882)。
加えて、癌や癌処置に関連する疼痛は、慢性疼痛の重要な原因である。骨の癌、例えば、骨肉腫は非常に痛むと考えられており、進行した骨癌の患者は強力で持続性の疼痛に耐えるための鎮痛作用が必要である可能性がある。従って、本発明のTRPAlアンタゴニストは、疼痛、例えば、癌や癌処置に伴う疼痛の処置に対する非常に可能性のある処置を示す。
TRPAlは形質転換された細胞内で発現量が異なることを考慮すると、TRPAl遮断薬はまた、形質転換された細胞の増殖に影響を与え、そしてそれゆえに病気の進行を遅らせる有効な方法である可能性がある(Jaquemar et al. (1999) JBC 274(11): 7325−33参照)。このように、TRPAlアンタゴニストは、癌疼痛の原因と症候の両者を緩和し得る。
処置は痛みを伴うだけでなく、正常組織に有毒でさえある。ある化学治療薬は痛みを伴う神経障害を起こし得る。従って、本発明のTRPAlアンタゴニストは、神経障害を起こす癌処置に関連する疼痛そして/または炎症の処置に対する非常に可能性のある療法を示す。
プロスタグランジンの主な機能は、胃粘膜を守ることである。細胞増殖に決定的な役割を担うヒトの胃の細胞内での細胞内カルシウム量の調節は、この機能に含まれる。従って、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によるプロスタグランジンの抑制は、胃の細胞内へのカルシウム流入を阻害し得る(Kokoska et al. (1998) Surgery (St Louis) 124 (2):429−437)。最も効果的に炎症を軽減するNSAIDsは、また、最もひどい胃腸の障害をも起こす(Canadian Family Physician, January 1998, p. 101)。このように、特定の細胞種の中のカルシウムチャネルを独立的に調節する能力は、抗炎症処置のこのような副作用を軽減するのに役立つ可能性がある。加えて、またはあるいは、本発明のTRPAl阻害化合物の投与は、NSAIDsと組合せて使用されてもよく、その結果、NSAIDsの減少した投与量によって疼痛の緩和を促進し得る。
f.失禁
失禁は、男性と女性両方に影響を与えている非常に社会的且つ医学的な問題である。失禁は、高齢、妊娠、放射線被爆、外科手術、傷害、癌、前立腺肥大、前立腺過形成、尿道を支えている膀胱や筋系の疾患を含むがそれらに限定されない多くの原因を有している。本発明は、原因不明の失禁あるいは不安、ストレスまたは抑うつによる失禁同様、上記のいずれかが原因の失禁を処置するための方法を意図する。
ここで提供される組成物と方法は、失禁の処置に関連して有用であり得る。失禁の動物モデルは、多くの場合、自発的活動電位の頻度の上昇や平滑筋の慢性的脱分極と関係する。証拠は、非選択的なカチオン電流はこの脱分極を導き得るということを示唆している。TRPAl mRNAは、膀胱を神経支配する神経細胞内で発現されるので、TRPAlを遮断することは、失禁の処置に効果的である可能性がある。加えて、TRPAlはムスカリン性のタイプ1アセチルコリン受容体の刺激によって活性化される(M1、Jordt et al. (2004) Nature 427:260−265参照)。抗ムスカリン剤は、過活動性膀胱のような症状の処置のための良く知られた薬剤である。このように、M1受容体の下流の標的であるTRPAlの遮断は、ムスカリン性抗アンタゴニストと関連する副作用なしに、そのような症状を軽減し得る。
失禁は、多くの傷害、疾患および症状のいずれかによって引き起こされ得る。これらのいくつかは、失禁それ自体の不便と当惑に加えて、ひどい不快と疼痛を起こす可能性がある。例えば、膀胱炎は、失禁も起こし得る痛みを伴う症状である。失禁と疼痛両者に結果的になる傷害や症状に対して、TRPAl阻害薬は、付随する疼痛を緩和するのと同様に、失禁の処置に使用できる。
TRPAl阻害薬が失禁の処置に使用される実施形態において、本発明は、追加の可能性のある投与経路を意図する。例えば、ある実施形態において、TRPAl阻害薬は、カテーテルや他の管腔内装置によって尿道または膀胱に直接投与され得る。しかしながら、別の実施形態において、TRPAl阻害薬は、経口的に、静脈内に、皮下などに投与され得る。
g.体温調節
動脈の緊張と弛緩に及ぼすイオン流束の作用により、対象組成物はまた、熱感受性に影響を与えるためにも使用され得る。さらに、TRPAlチャネルが、低温刺激の受容と感覚に関わる熱反応チャネルであることを考慮すると、TRPAlアンタゴニストは、大抵疼痛を伴う冷気、寒冷および低下した温度の感覚を調節するために使用され得る。
h.高血圧
電位開口型カルシウムチャネル遮断薬は、もともと高血圧を処置するために開発された薬物の部類に属する。そのような遮断薬は、心臓や動脈の筋肉細胞中のカルシウムの動きを阻害する。カルシウムはこれらの筋肉が収縮するのに必要であるので、そのような遮断薬は、心臓の収縮反応の力を減少させたり動脈の筋肉壁を弛緩させたりすることにより血圧を下げる。TRPAlは電位開口型カルシウムチャネルではないが、細胞や組織の中の他のイオンの均衡同様に、カルシウムホメオスタシスを調節することにおいてなお役立つ。従って、本発明のTRPAlアンタゴニストは、高血圧を処置するために使用され得る。対象化合物のさらなる用途は、全体的にまたは部分的に血管の筋肉壁を弛緩することによって改善される可能性がある他の症状を含む。例示的な症状は、頭痛や片頭痛発作を含む。
上記で概要が述べられたように、TRPAlの機能に拮抗する化合物は、多くの疾患や傷害、障害および病状の処置において使用され得る。ある実施形態において、TRPAl阻害薬は疼痛の処置に使用され得る。上記で概要が述べられたように、TRPAl阻害薬は処置の結果として経験される疼痛同様に、傷害または疾患に起因する疼痛の処置に使用され得る。疼痛の例示的な種類は、侵害受容疼痛、炎症性疼痛、および神経障害性疼痛を含む。そのような疼痛は慢性的または急性となり得る。TRPAl阻害薬は、上記の疼痛の種類の中の1つまたはそれ以上の処置に使用され得る。ある実施形態において、TRPAl阻害薬は、侵害受容性疼痛の処置に使用され得る。ある他の実施形態において、TRPAl阻害薬は、炎症性疼痛の処置に使用され得る。ある他の実施形態において、TRPAl阻害薬は、神経障害性疼痛の処置に使用され得る。
上記で概要が述べられたように、TRPAl阻害薬は、癌や変形性関節症、関節リウマチ、ヘルペス後神経痛、熱傷、および上記で詳細が述べられた他の適応症に関連する疼痛の処置に特に有効である可能性がある。さらに説明をすると、本発明の化合物が使用され得る追加の例示的適応症は、口腔の疼痛、ファブリ病、複合性局所疼痛症候群、膵臓炎及び繊維筋痛症候群を含む。
ファブリ病
手や足の疼痛のあいまいな訴えは、病状提示特徴である可能性がある。これらの症候は、病気の頻繁な症状発現である末梢神経障害を反映するので、先端感覚異常と呼ばれる。この疼痛は、突発性および慢性的両方である。急性の発症は、極度の温度、ストレス、感情そして/または疲労にさらされることにより引き起こされる可能性がある。
繊維筋痛症
繊維筋痛症(FMS;繊維筋痛症候群)は、広範な骨格筋の疼痛および疲労障害である。繊維筋痛症は、筋肉、靭帯および腱における疼痛によって特徴づけられている。この病気は男性よりも女性に影響を与え、そして全ての年齢の人に起こる。全体的に見て、FMS(繊維筋痛症)は人口の3〜6%を苦しめていると推定されている。
患者は繊維筋痛症と関係する疼痛を、深部の筋肉のうずくような痛み、ズキズキする痛み、打たれるような痛みおよび突き刺すような痛みとして述べている。その疼痛は時々、激しい焼けつくような感覚を含む。その疼痛と硬直は、朝または特定の筋肉集団を繰り返し使用した後に、しばしば悪化する。
加えて、軽度から普通に生活ができなくなるような範囲で疲労のレベルが変わるのは、多くの場合繊維筋痛症と関係する。繊維筋痛症の他の症状は、胃腸の症候を含む。便秘、下痢、高頻度の腹部の疼痛、腹部のガスおよび吐き気のような過敏性腸症候群とIBS様の症状は、繊維筋痛症患者のおおよそ40〜70%に起こる。胃酸の逆流または胃食道逆流症(GERD)は同じ頻度で起こる。
繊維筋痛症の他の高頻度で衰弱させる症候は、片頭痛や緊張型頭痛を含む慢性の頭痛である。このような頭痛は繊維筋痛症患者の約70%で経験されている。加えて、繊維筋痛症患者は、顎、歯そして口に疼痛を起こす顎関節機能不全症候群(TMJとしても知られている)を大抵経験する。TMJはまた頭痛を悪化させる。
繊維筋痛症の他の共通の症候は、月経前症候群および疼痛の伴う期間、胸の疼痛、朝の硬直、認知または記憶の障害、しびれや刺痛の感覚、筋肉のれん縮、過活動性膀胱、腫大した四肢の感覚、皮膚の感受性、眼乾燥および口乾燥、めまいそして協調運動障害を含むがそれらに限定されるものではない。加えて、多くの場合患者は、匂い、大きな音および明るい光に敏感である。
繊維筋痛症の原因は不明である。しかしながら、この病気の発症は、感染(ウイルスまたは細菌)、関節リウマチ、ループスおよび甲状腺機能低下症に結び付けられている。これらと他の可能性のある引き金との間の関連は不明である。
繊維筋痛症の患者への影響は、疼痛および疲労のレベルと直接的に関連がある。疼痛は重篤であるため、通常の仕事または家庭機能を妨げる可能性がある。現在、繊維筋痛症の治療法はなく、そして現在の治療は、主に、睡眠を改善し(疲労を減少させるため)そして疼痛を処置することに焦点を当てている。本発明の化合物は、繊維筋痛症に伴う疼痛対処するのを助けるために使用され得る。そのような疼痛は、顎、歯および口の中の口腔の疼痛を含むが、それらに限定されるものではない。そのような疼痛は、また、非口腔の筋骨格痛、頭痛による疼痛、そして胃腸症候による疼痛を含む。
複合性局所疼痛症候群(CRPS;慢性局所疼痛症候群としても知られている)は、慢性疼痛症状である。CRPSは反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)として以前知られていた。CRPSは、皮膚、筋肉、関節、および骨に影響を与える慢性の、痛みを伴うそして進行性の神経症状である。この症候群は、骨折した足または外科手術後のような損傷した肢において通常は発症する。しかしながら、多くの症例は捻挫のような軽症型の損傷のみ含み、そして時々、引き金となる傷害性の事象は同定されない。CRPSは、傷の重症度と不釣り合いである持続的な、強い疼痛を伴う。その疼痛は、時間と共に改善するというよりもむしろ悪化する。
CRPSは身体の様々な部分に影響を与え得るが、最も頻繁に影響を与えるのが腕、脚、手または足である。多くの場合、その疼痛は肢のある部分で始まるが、時間と共に、肢全体またはさらに別の肢を含むように広がる。典型的な特徴は、激しい焼けるような疼痛、皮膚の感受性、発汗そして腫脹を伴う、影響された肢や身体の部分の皮膚の色や温度における劇的な変化を含む。
一般的に、CRPSは、2つの部類に特徴づけられる。タイプIは、ある他のタイプの増悪性傷害があった可能性はあるが、増悪性神経傷害がない状態で起こる。タイプIIは(かつては灼熱痛と呼ばれていた)、神経傷害後に起こる。これらの部類は単に記述的なものであって、症候学または予後と関連がない。
国立神経障害脳卒中研究所(NINDS)は、末梢神経傷害の患者の2〜5%と体の片側における麻痺(半身麻痺)を患う患者の12〜21%が、合併症として反射性交感神経性ジストロフィーを発症する、と報告している。アメリカ合衆国の反射性交感神経性ジストロフィー症候群協会は(RSDSA)は、この病気が骨折の1〜2%で、骨折後に起こると報告している。
CRPSの始まりと関連する増悪性事象には以下のものが含まれる:大脳病変、心臓病、心臓発作、感染、身体の片側の麻痺(半身麻痺)、放射線療法、反復運動障害(例えば、手根管症候群)、脊髄障害、外科手術、および外傷(例えば、骨折、銃撃、車の事故)。しかしながら、症例の10〜20%には、増悪性事象は発見されない。ここで注意すべきは、CRPSの発生を進める傷害は、重要であるかもしれないし、そうでないかもしれないということである。
CRPSの症状は、3段階で進行する。急性の段階は、最初の1〜3か月の間に起こり、焼けつくような疼痛、腫張、接触に対する増大した感受性、発症した部分での毛や爪の成長増大、関節の疼痛および体色や体温の変化を含む可能性がある。ジストロフィーの段階は、一定の疼痛と腫張を伴う可能性がある。影響を及ぼされた肢は、多くの場合、接触に対して冷たく感じ、そして青みを帯びたように見える。初期の骨量の減少(骨粗鬆症)同様、特に筋肉の硬直および委縮(委縮症)がある。これらの症候は、障害の発症後たいてい3〜6カ月に起こる。委縮段階の間、皮膚は冷たくそして光沢があるようになり、増大した筋肉の硬直と衰弱が起こり、そして症状は別の肢に広がる可能性がある。
別の症状は、焼けつくような疼痛、極度の接触に対する感受性、皮膚の色の変化(赤または青みを帯びた)、皮膚の温度の変化(熱いまたは冷たい)、関節の疼痛、腫張(浮腫)、たび重なる感染、筋肉の硬直、筋肉の痙攣、振戦、衰弱、皮膚炎、湿疹、過度の発汗、そして片頭痛を含む。TRPAl阻害薬は、CRPSに関連した疼痛を処置するだけでなく、皮膚炎、湿疹そして片頭痛を含む多くのこれらの症状を軽減することで役立ち得る。
CRPS患者は、彼等の生活の質についての病気の影響による抑うつおよび不安に大抵苦しむ。
現在CRPSの治療法はなく、そのため典型的な処置は疼痛の症状を軽減することを目的としている。医者は、疼痛を軽減するため、局所的な鎮痛剤、抗うつ薬、副腎皮質ステロイド、およびオピオイドを処方し得る。しかしながら、この点において、症状に対し一貫して長く続く改善をもたらすような1種類の薬または薬の併用はない。他の処置は、理学療法、交感神経ブロック、脊髄電気刺激、および脊髄を介してオピオイドや局所麻酔剤を運ぶための鞘内の薬物ポンプを包含し得る。
処置の最終目的は疼痛を制御し、影響を受けた肢のできるだけたくさんの動きを維持することである。多くの場合、処置法を組み合わせた個人型処置の予定が計画されている。現在、理学療法、薬物療法、神経遮断、そして心理社会的サポートが行われている。本発明によるTRPAl阻害薬は、現在の処置法の1つまたはそれ以上の代わりに、またはそれらに加えて、使用できる。例えば、TRPAl阻害薬は、理学療法とは組み合わせるが、現在の薬物療法の代わりに使用できる。
TRPAl阻害薬は、CRPS患者の疼痛を何とかなくすための代替物を提供する。TRPAl阻害薬は、CRPS患者の処置のために使用される現在の薬物療法と併用して使用され得る。あるいは、TRPAl阻害薬は、別の薬物療法として使用され得る。
薬物処置に加えて、CRPS患者は、多くの場合、理学療法を受ける。TRPAl阻害薬は、理学療法に加えて使用できる。理学療法は、影響を受けた肢の動きと機能の範囲を保持するのを助けるのに重要である。例えばTRPAl阻害薬を使用した適切な疼痛の管理は、患者の快適感を増すだけでなく、理学療法の関与を促進する。
CRPS患者の疼痛に対処するのに使用される特定の治療法の組み合わせに関わらず、心理的なサポートが大抵重要である。TRPAl阻害薬は、心理的なサポートと組み合わせて使用され得る。
本発明のTRPAl阻害薬は、CRPSの処置に使用され得る。例えば、本発明のTRPAl阻害薬は、CRPSと関連する疼痛を軽減するのを助けるために使用され得る。TRPAl阻害薬は、CRPSと関連する疼痛と他の症状を管理するのを助ける総合的な治療法において、単独で、またはその一部として使用され得る。CRPS患者の疼痛の管理は、意味のある生活の質を維持するのに重要である。さらに、効果的な疼痛の管理は、影響を受けた肢の動きと使用を保持するのを助ける理学療法に、患者を参加させる可能性がある。
膵臓炎は膵臓の炎症である。膵臓は、胃の裏の大きな腺で、十二指腸の近くにある。通常、消化酵素は、食物を消化し始める場所である小腸に達するまで活性化しない。しかし、これらの酵素が膵臓内で活性化すると、膵臓それ自体を消化し始める。
急性の膵臓炎は突然起こり、少しの期間続き、そして通常消散する。慢性の膵臓炎は、それ自体は消散せず、膵臓の破壊をゆっくり行う。どちらのタイプでも、出血、組織障害、及び感染を含む深刻な合併症を引き起こし得る。
急性の膵臓炎は深刻で、多くの合併症を伴って生命を脅かす病気になり得る。約8万の症例が毎年アメリカ合衆国で起こり、そしてその約20%が重篤であると特徴づけられる。
急性の膵臓炎は、もっぱらとまではいかないが、大抵、胆石またはアルコール中毒によって引き起こされる。急性の膵臓炎は、大抵、数日続く腹部上部の疼痛で始まる。この疼痛は、重篤で絶えず続くようになる可能性がある。この疼痛は、腹部に限定される可能性がある、または背中や他の部分に達し得る。時々、そしてある患者においては、その疼痛は突然やってきて激しくなる。別の場合、または他の患者において、その疼痛は、穏やかな疼痛で始まり、飲食後に悪化する。急性の膵臓炎のある患者は、大抵とても重い病気のように見え、そして感じる。他の症状として、腫脹し圧痛のある腹部、吐き気、おう吐、発熱、および速脈が含まれる。急性の膵臓炎の重症例は、脱水、低血圧を引き起こし、そしてさらに臓器不全、内部出血または死へと続く可能性がある。
急性の膵臓炎発作の間、アミラーゼやリパーゼの血中濃度は、多くの場合、少なくとも3倍上昇する。糖、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムそして炭酸水素塩の血中レベルも変化する可能性がある。
現在の処置は、その発作の重症度に依存する。大抵、処置は活力のある体の機能を支えるため、疼痛に対処するため、そして合併症を防ぐために計画される。典型的には、急性の膵臓炎は数日で消散するが、発作の間、疼痛に対処することが大抵必要とされる。TPRV3阻害薬は、急性の膵臓炎に伴う疼痛を緩和するために使用され得る。
慢性の膵臓炎―膵臓への傷害が続く場合、慢性の膵臓炎が発症する可能性がある。慢性の膵臓炎は、消化酵素が膵臓やその近くの組織を攻撃し、破壊する時に起こり、瘢痕や疼痛を引き起こす。慢性の膵臓炎は、アルコール依存症によって、または遮断された、損傷を与えられた、または狭められた膵管によって引き起こされる。加えて、遺伝性の因子が病気に影響を与えるかもしれず、そしてある症例においては、原因が同定できない(いわゆる原因不明の膵臓炎)。
慢性の膵臓炎を患うほとんどの人々は、腹部の疼痛を持つ。その疼痛は、飲食の時に悪くなり、背中に広がり、または一定期間続き、無力になる。他の症状は、吐き気、嘔吐、体重の減少そして脂肪便を含む。
疼痛を軽減することは、慢性の膵臓炎を処置するための最初の手段となる。一度疼痛が管理されると、高炭水化物で低脂肪の食事計画が導入される。膵臓の酵素は、損傷した膵臓からの減少した酵素産生を埋め合わせるのを助けるために使用され得る。時々、インシュリンまたは他の薬剤が血糖を調節するために必要となる。
疼痛は大抵、薬剤療法で管理されるが、外科的手術が疼痛を軽減するのに必要になるかしれない。外科的手術は、拡張した膵管を排液するために、またはさらに、ひどく損傷した膵臓の部分を取り除くために必要とされ得る。
疼痛は、慢性の膵臓炎において頻繁に存在する。例えば、アルコール性の慢性の膵臓炎を患う患者の約75%において、遅くに発症した特発性の慢性の膵臓炎患者の約50%において、そして早期に発症した特発性の慢性の膵臓炎患者の約100%において、疼痛は存在する(DiMagno, 1999, Gastroenterology 116(5): 1252− 1257)。
疼痛を患う患者の少数は、外科的または内視鏡的処置が比較的簡単である、すぐに同定可能な病変を有する。他の患者において、疼痛は大抵、上昇した膵臓内の圧力、虚血、および線維症を含む様々な原因からくると考えられている。しかしながら、理論に縛られることなしに、これらの現象は疼痛の根底にある原因ではないように思われる。むしろ疼痛は、神経感作が神経周膜への損傷によって、そしてそれに続いて、神経を炎症のメディエーターおよび産物にさらすことによって引き起こされるという背景に由来し得る。
慢性の膵臓炎患者における効果的な疼痛の管理の重要性を考慮すると、痛みを伴う症状を処置するための追加的治療法が重要で有効である。TRPAl阻害薬は、慢性の膵臓炎に伴う疼痛に対処するのに使用できる。TRPAl阻害薬は、慢性の膵臓炎患者を世話するための総合的な治療学的治療計画において単独で、またはその一部として使用できる。例えば、TRPAl阻害薬は、慢性の膵臓炎患者を世話するため計画された治療法の一部として、膵臓の酵素そして/またはインシュリンと共に投与できる。
口腔内疼痛は、本発明のTRPAl阻害薬を使用して処置され得る疼痛の特別な種類である。「口腔内疼痛」という用語は、口、喉、唇、歯茎、歯、舌または顎における任意の疼痛を言う。この用語は、疼痛の原因に関わらず、そして口腔内疼痛が特定の疾患、損傷または症状の原発性または続発性症候であるかどうかに関わらず使用されている。
口腔内疼痛は、非常に多くの考え得る原因を有する。ある実施形態において、口腔内疼痛は、口、顎、歯、歯茎、喉、唇または舌の損傷または疾患によって引き起こされる。ある他の実施形態において、口腔内疼痛は、体の他の部分に主に影響を与える損傷や疾患の結果である。なお他の実施形態において、口腔内疼痛は、口や体の他の部分の損傷や疾患を処置するために使用される処置法の副作用である。TRPAl阻害薬は、原因に関わらず、口腔内疼痛を処置するのに有効である。
全ての疼痛は、患者の健康や満足できる生活状態に深刻で負の影響を与える。しかしながら、口腔内疼痛は、患者の健康と生活の質に、特に有害な影響を与え得る。特に、口腔内疼痛は、適切な飲食を妨げ得る。このように、口腔内疼痛を患う人々は、体重の減少、栄養失調および脱水を受けやすい。ある症例では、口腔内疼痛は、水分や栄養をとることをかなり妨げるため、静脈内の、鼻腔胃の、または他の人工的な支持体(例えば、栄養および/または水分補給チューブ)が必要となる。加えて、口腔内疼痛は、適切な口腔内の衛生を妨げ得る。口腔内の低い衛生状態は、口腔内疼痛の多くの原因、例えば、感染や膿瘍による口腔内疼痛をさらに悪化させる可能性がある。
ある実施形態において、口腔内疼痛は、口の中の潰瘍、ひりひりする疼痛、または他の病変によって引き起こされる。例えば、口腔内疼痛は、舌、歯茎、唇、咽喉または他の口の組織上の潰瘍、ひりひりする疼痛、または他の病変によって引き起こされる可能性がある。あるいは、または加えて、口腔内疼痛は、咽喉、舌、歯茎、唇または他の口の組織の炎症によって引き起こされる可能性がある。炎症は潰瘍または他の病変を伴う可能性がある、または炎症は、潰瘍または他の病変ができる前、またはできないで起こる可能性がある。
本発明は、ここで述べられた投与法によって、TRPAl阻害薬を投与することによる口腔内疼痛の処置を意図する。ある実施形態において、口腔内疼痛の処置で使用されるTRPAl阻害薬は経口で投与される。口腔内疼痛の処置における使用に対するTRPAl阻害薬の経口投与の好ましい製剤は、口の洗浄液、ゲル、歯磨き粉、または他の練り粉、液体、薬用キャンディー、ぬぐい液による、またはマウスガードまたは歯科用装置と関連する製剤と同じである。投与の製剤および特別な方法は、口腔内疼痛の原因、患者の全体的な健康状態や基本的な病状、疼痛の重症度、そして患者が同時に受けている他の薬物療法または治療に依存する。医療従事者は、特別な患者に使用するための最適な処方を容易に決定することができる。
以下に提供される病状は、口腔内疼痛を導く可能性がある様々な原因の傷害や病気の範囲を説明することを意図されたものである。本発明に従って、口腔内疼痛を処置するまたは予防するため、本発明はTRPAl阻害薬の投与を意図する。ある実施形態において、本発明の化合物は、傷害、病気または病状と関連する口腔内疼痛の処置または予防を助けるため、例えば、ゲル、練り粉、口の洗浄液または他の口腔内製剤として、経口的に投与され得る。特別な処方に関わらず、本発明は、例えば、口の中の罹患領域への直接的な適用による、口全体のリンスによる、ぬぐい液による、注射器による、またはマウスガード上で、または他の歯の装置上での投与を意図する。
これらの症状のいずれかに対して、本発明は、TRPAl阻害薬単独での投与、または1種類またはそれ以上の他の化合物との併用、または特別な傷害または症状に対する適切な処置法を意図する。
口腔粘膜炎
口腔粘膜炎は、口内炎として知られ、多くの癌処置の共通の合併症である。全身性化学療法そして/または局所的な放射線治療を受けている患者は、多くの場合、口腔内粘膜における激しい疼痛の潰瘍を発症する。この副作用は、頭部や頸部の癌を患っている患者に限定されず、しかしむしろ、全化学療法患者の約40%を苦しめ衰弱させる副作用である(Prevention and Treatment of Oral Mucositis in Cancer Patients, 1998, Best Practice: 2, pages 1−6.)。
口腔粘膜炎は激しい疼みを伴う。加えて、口腔粘膜炎は、癌患者の適切な栄養と水分補給を妨げる。化学療法そして/または放射線療法を経験している患者のすでに危険にさらされている状態を考慮すると、栄養と水分の補給のさらなる妨げは患者の健康を深刻に弱体化する可能性がある。さらに、これらの潰瘍は感染のリスクを上昇させる。このリスクは、危険にさらされた免疫システムを患う患者において、特に深刻である。日和見感染を発症している特定のリスクのある患者の例として、1つまたはそれ以上のリンパ節を除去した患者、骨髄または幹細胞の移植に際し、大量の化学療法を以前に受けたことのある患者、そして潜在する免疫抑制障害を患う患者(例えば、HIVや肝炎)が挙げられる。
口内炎
口内炎は、アフタ性潰瘍(アフタ)としても知られているが、比較的小さく、見えない所にある。しかしながら、それらは、大抵、痛く、持続的で、そして気に障る。口内炎は、食べること、話すことを不快にさせる、口の中の表在性潰瘍である。それらは、舌、軟口蓋の上、頬または唇の内側、または歯茎の基部に生じる可能性がある。口内炎は、口の内部の軟組織上に生じ、感染性でないという点でヘルペスと異なる。逆に、ヘルペスは、ほとんど常に、唇の上で生じ始め、口の軟組織へ、大抵広がらない。加えて、ヘルペスは、ヘルペスを極度に感染性にさせるヘルペスウイルスの一種によって引き起こされる。
ストレスまたは組織傷害が口内炎の噴出を引き起こすと、研究者は大抵信じている。ある症例では、小さい傷、例えば、口の中をかんだり、または大きな食べ物を食べたりすることが口内炎を引き起こす可能性がある。他の原因として、(i)不完全な免疫システム機能、(ii)ビタミンB−12、亜鉛、葉酸または鉄などの栄養的な問題、(iii)胃腸管の病気、(iv)食物アレルギー、または(v)月経周期が含まれる。
口内炎は、いかなる年齢において生じ得るが、多くの場合、それは10〜40歳に最初に現れる。口内炎は大抵それ自体で消散するが、それらはとても不快である。
歯の膿瘍
感染またはう蝕が膿瘍へと導き得る。膿瘍は、重篤な歯と医学の因果関係を持つ可能性がある。例えば、歯の膿瘍によって引きこされる重篤な感染は、鼻炎または全身感染をもたらし得る。さらに、膿瘍は、1本またはそれ以上の歯を抜歯する必要性を引き起こし得る。抜歯は、重度の歯のう蝕により、または感染があまりにも重篤なので、問題となっている歯の存在下で完全な処置ができない場合に、必要になる可能性がある。
最終結果に関わらず、歯の膿瘍はひどく痛いかもしれない。疼痛が不快であるだけでなく、適切な栄養と水分補給を妨げる可能性がある。歯の膿瘍と関連する疼痛を減じるための方法と組成物は、それらを管理するのに重要な利益を提供する。
胃食道逆流症
胃食道逆流症は、またはGERDは、下部食道括約筋(LES)が適切に閉じず、そして胃の内容物が食道に逆流する時に起こる。LESは、食道と胃の間の弁のように働く食道の底部の筋肉の輪である。逆流した胃酸が食道の内膜に接触したとき、それは胸または咽喉にひりひりする感覚を引き起こす。これは大抵、胸やけとして経験される。逆流した液体は口の後方で感じられ、その感覚は一般に胃酸過多といわれる。
不定期の胸やけはめったになく、そして必ずしもGERDの指標とはならないが、1週間に2度以上起こる胸やけは、GERDの徴候である可能性がある。胸やけと消化不良の不快さに加えて、GERDは他の深刻な健康上の問題につながる可能性がある。例えば、時間と共に、咽喉の後方へ逆流した酸は、口内炎、損傷、口、歯茎、舌、咽喉または唇の潰瘍へとつながり得る。損傷はひどい疼痛を引き起こし、栄養と水分補給を妨げ、そして人が感染にかかり易くし得る。
TRPAl阻害薬の投与は、本発明によると、GERDによって引き起こされる損傷由来の口腔内の疼痛を処置するのに有用である可能性がある。他の薬剤または治療法の介入がGERDを対処するのに使用される一方、TRPAl阻害薬が口腔内の不快さに対処するのを助けるために投与される処置計画の一部として、TRPAl阻害薬は使用され得る。
歯茎口内炎
歯茎口内炎は、ウイルス感染に起因する口や歯茎上の疼痛を伴う障害である。歯茎口内炎は、歯茎と粘膜の炎症そして複数の口腔内潰瘍によって特徴づけられる。炎症と潰瘍は、ウイルス感染、特にヘルペスウイルス(ヘルペスや急性のヘルペス口内炎)、およびコクサッキーウイルス(手足口病やヘルパンギーナ)のような、ありふれた子供の病気を引き起こすウイルス感染によって引き起こされる。これらのウイルスは、歯茎(歯肉)の組織、頬の内膜(頬の粘膜)、または口の他の軟組織上にある、灰色または黄色の基盤とわずかに赤色の縁を持つ、浅い所にできる潰瘍を引き起こす。この症状はいかなる年齢の患者においても起こり得るが、特に子供においてよく起こる。
これらのウイルスによって引き起こされる口腔内潰瘍は、とても痛くなり得る。この潰瘍は、多くの場合、発熱を伴う。概して、この症状は消散するのに数週間かかる。歯茎口内炎のための評価されている処置は、口腔内潰瘍によって引き起こされる疼痛を軽減することに焦点を置いている。これは、病気の不快さのせいで食物または液体を拒み、それによって特に脱水になりやすい子供に対し特に重要である。本発明の化合物は、これらの口腔内潰瘍に関連する疼痛を処置するために使用され得る。
口腔カンジダ症
口腔カンジダ症は、口の粘膜内において、一般的に酵母菌のカンジダアルビカンスよって引き起こされる真菌感染症である。厳密にいえば、カンジダ症は、赤ちゃんの口腔内における一時的なカンジダ菌の感染である。しかしながら、その用語は、一般的に、子供や大人の口やのどにおける真菌感染症を言うために使用される。
カンジダは、人口のほとんど半分の口腔内に存在する。例えば、必ずしも悪影響を苦しむことはないが、総入れ歯をしている人は全てカンジダ菌を有している。一般的に、カンジダ菌の生育が、典型的には口や咽喉に棲息する他の微生物より以上に好まれるよう、口腔内に化学的変化が生じるまで、カンジダ菌は問題を引き起こさない。カンジダ菌の生育を許すのに十分な口腔内の化学変化は、抗生物質または化学療法薬を服用することによる副作用として起こる可能性がある。概して、患者の健康もまた、口の中の化学的性質に影響を与える可能性がある。HIV感染、糖尿病、栄養失調、高齢、そして免疫不全は、口やのどの中のカンジダ菌の異常増殖を許すのに十分な口腔内の化学的性質を変え得る例示的症状である。
口腔内の化学的性質を変えることに加えて、総入れ歯がきちんと合っていない人々は、口の中の粘膜に損傷を受け得る。これらの損傷は、口や唇の中のカンジダ菌の感染に良い機会を提供する。
カンジダ症は、口の中で、白色、クリーム色または黄色の斑点を生じさせる。これらの斑点は、わずかに持ち上がっている。もしこれらの斑点をこすると、出血しがちである。カンジダ症はとても不快となり得る、そして、口やのどに焼けるような感覚を引き起こす。この不快さは水分や食事の摂取を妨げる可能性がある。さらに、この不快さは、歯磨きやデンタルフロスできれいにするような適切な口腔内の衛生を妨げる。
カンジダ症の標準的な処置は、抗真菌剤の投与による。これらの薬剤は、口に直接、例えば、口でしゃぶるトローチの形で、または飲み込む前に口の中でとどめられる経口懸濁液の形で投与され得る。ニスタチン(例えば、ニスタン経口懸濁液)、アンホテリシン(例えば、ファンジリン薬用ドロップ)またはミコナゾール(例えば、ダクタリン経口ゲル)などが例として含まれる。標準的な抗真菌処置に加えて、本発明の化合物はカンジダ症に関連する疼痛と不快さに対処するために投与され得る。
舌炎
舌炎は炎症に起因する舌の異常である。舌炎は、舌に急性または慢性的な炎症があるときに起こる。それは舌を腫れさせ、色を変える。舌の表面上の指のような突起(乳頭)が消え、舌が滑らかに見える。舌炎は、以下ものを含む多くの原因を有するがそれらに限定されない:細菌感染、ウイルス感染、(経口単純ヘルペスを含む)、傷害または外傷、刺激物にさらすこと(例えば、タバコ、アルコール、熱い食べ物、香辛料)、アレルギー反応、ビタミンまたはミネラル欠乏(例えば、鉄欠乏貧血症、悪性貧血、および他のビタミンB欠乏)、または他の疾患または障害の副作用などが含まれる。
舌炎の症候は、舌の腫れ、ひりひりするような痛み、および滑らかさを含む。加えて、大抵舌は外観を変え、滑らかで暗赤色になる。腫れと不快さの結果として、多くの場合、舌炎は噛むこと、飲み込むこと、および話すことを困難にさせる。
舌炎の典型的な処置は、炎症の根本的な原因によっている。舌炎の根本的な原因に対抗するために投与される特別な抗生物資、抗炎症剤、または抗ウイルス剤に関わらず、本発明による化合物は、舌炎に関連する疼痛や不快さを減少させるために投与され得る。舌炎に伴う疼痛を減少させることは、舌炎が適切な食物や水分補給を妨げる時、または適切な口腔内の衛生を妨げるまたは防ぐ時に特に重要である。
皮膚病
口腔内潰瘍は、多くの皮膚病のいずれかに起因し得る。例えば、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、多形性紅斑が口腔内潰瘍へとつながる可能性がある。このような口腔内潰瘍はひどい疼痛を生じさせるが、本発明の化合物を用いて処置できる。
疼痛の低減は、治癒を促すのを助け得る。これは、口腔内潰瘍を発症する天疱瘡、類天疱瘡の患者にとって特に重要である。そのような患者はすでに免疫抑制されており、したがって口の中の病変からの日和見感染をより受けやすくなっている。
消化器疾患
口腔内潰瘍は、多くの消化器疾患のいずれかに起因する可能性がある。適切な消化を妨げる病気、胃酸や他の消化を助ける酸の管理と流れ、運動性、および除去は、口腔内潰瘍や他の病気へとつながる可能性がある。ある例では、口腔内潰瘍は、酸や部分的に消化された食物の食道への逆流の結果である。他の例では、口腔内潰瘍は、たび重なる嘔吐に起因する。なお他の例では、口腔内潰瘍は、消化器疾患に続発するビタミン欠乏、ミネラル欠乏、または他の栄養失調により生じる。なお他の例では、口腔内潰瘍は、消化器疾患を特徴づける複雑な病気の原因の一部である。
消化器疾患由来のまたはその一環として経験された口腔内潰瘍は、ひどい痛みを伴う可能性がある。それらは、原因となっている消化器疾患により多数の食事制限をすでに課せられた患者に対して、適切な食事や水分摂取を徐々に弱まらせる可能性がある。従って、これらの口腔内潰瘍に伴う不快さと疼痛を軽減するための方法や組成物は、潜在する消化器病を患う患者に対してきわめて大きな効果を提供する。
口腔内の炎症、病変、または潰瘍へとつながる典型的な消化器病は、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、セリアック病、および疱疹状皮膚炎を含むがそれらに限定されない。これらの病気の初期の症状では、食事、ストレス、および薬剤が管理される。本発明のTRPAl阻害薬は、これらの消化器病のいくつかによって引き起こされる口腔内炎症、損傷、または潰瘍の疼痛と不快さに対処するのを助けるために使用され得る。
関節リウマチ
いくつかのリウマチ様疾患の結果として潰瘍になる。例えば、ループス、ベーチェット症候群、スウィート症候群、およびライター症候群は全て、口腔内潰瘍へとつながる。このような潰瘍はひどい口の疼痛を生じるが、本発明の化合物を使用して処置され得る。
シェーングレン症候群
口腔乾燥はシェーングレン症候群に関連する共通の症状である。口腔乾燥は、唾液の産生量の減少によって引き起こされる。唾液は、口腔内と口腔内の機能の保護と保全のために不可欠な体液である。唾液はほとんど水であるが、それはまた、以下の重要な機能の役目を果たすための60以上の物質を含んでいる。その機能には、保護すること、口腔内の粘膜を円滑にし、そして洗浄すること、噛む、飲み込む、そして話すことを助けること、虫歯から歯を守ること、細菌、酵母、およびウイルス感染から口、歯、および咽喉を守ること、我々の味覚を支持し促進することなどが含まれる。
唾液の重要な機能を考慮すると、唾液分泌の減少は、たくさんの問題へとつながる。もし、その病気が何カ月も何年も続くと、患者は嚥下障害、深刻で進行性の虫歯、口腔内感染(特に真菌の)、またはこれらの組み合わせのような口腔内の合併症へと発展し得る。症状の多くは、それら自体で不快を生じ、また口腔内の損傷または潰瘍へとつながる可能性がある。
いくつかの薬剤は、口腔乾燥の患者における唾液の分泌を上昇させるのを助けるために利用可能である。ピロカルピン(サラジェン(登録商標))やセビメリン(エボザック(登録商標))は口腔乾燥の症状を弱め、唾液分泌を上昇させる。しかしながら、これらの薬は虫歯を防がない、または口腔乾燥の症状または作用に関連する口腔内の疼痛を処置しない。本発明の化合物は、口腔乾燥に関連する疼痛を処置するために用いられ得る。
ビタミンまたはミネラル欠乏
ある例では、ビタミンまたはミネラル欠乏は口腔内の潰瘍または他の触痛へとつながる可能性がある。例えば、ビタミンC欠乏は壊血病の特徴的な口腔内損傷へとつながる可能性がある。ビタミンBl、B2、B6、またはB12の欠乏もまた、口腔内損傷へとつながる可能性がある。加えて、亜鉛、葉酸、鉄、セレンまたはカルシウムの欠乏は口腔内損傷をもたらし得る。
ある実施形態において、ビタミンまたはミネラル欠乏は、口内炎へとつながる増悪因子である。しかしながら、ビタミンまたはミネラル欠乏はまた、他の型の口腔潰瘍や損傷へとつながる可能性がある。損傷の性質に関わらず、本発明の化合物は、関連する疼痛への対処を助けるために用いられ得る。
アレルギー
アレルギーは時どき、口内炎や他の口腔内損傷を引き起こし得る。アレルギーが原因の口腔内損傷は、人の口腔内の組織が原因アレルゲンと接触する時に、より起こりやすい。しかしながら、アレルゲンと口腔内組織の接触は、口腔内損傷を生み出すために必ずしも必要とされない。口腔内損傷につながり得る典型的なアレルゲンには、果物や野菜(例えば、イチゴ、レモン、オレンジ、パイナップル、リンゴ、イチジク、トマト)、甲殻類、チョコレート、ナッツ、乳製品(例えば、牛乳やチーズ)、シリアル穀物(例えば、そば粉、小麦、燕麦、ライ麦、大麦、穀物に含まれるグルテンタンパク質)、添加物(例えば、シナモンアルデヒド(香料添加剤)、安息香酸(保存剤))歯磨き粉(例えば、何人かの人々は、ある歯磨き粉や口腔洗浄液に含まれるラウリル硫酸ナトリウムに敏感である)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs、何人かの人々はこの種の薬剤に敏感で、口内炎になる)のような食物アレルゲンが含まれる。
他の典型的な症状と傷害
前記のものは、炎症、損傷、潰瘍、または口腔内の疼痛の他の原因を引き起こす、またはそれらへとつながる疾患や症状の単なる例に過ぎない。他の実施形態において、口腔内の疼痛は、口、顎、唇、歯茎、または歯への損傷が原因である。他の実施形態において、口腔内の疼痛は、口腔内の外科的手術、例えば、癌の手術、抜歯、または顎のリモデリングが原因となる。口腔内潰瘍をもたらし、そしてそれゆえに口腔内の疼痛を引き起こし得る他の症状は、水疱瘡、帯状疱疹、感染性の単核症、梅毒、結核、急性壊死性歯肉炎、および口腔灼熱症候群を含むがそれらに限定されない。加えて、免疫不全をもたらす症状は、他の合併症の中で、口腔内炎症、病変または潰瘍のリスクに患者をさらす。HIV感染、エイズ、および肝炎はすべて、免疫システムをむしばみ、口腔内損傷または潰瘍へとつながる可能性がある症状である。加えて、免疫抑制剤を服用している人々(例えば、臓器移植者、骨髄移植者、幹細胞移植者、自己免疫疾患の患者)は、痛みを伴う口腔内損傷を発症するリスクが上昇する。
根本的な原因に関わらず、口腔内の疼痛の処置における、本発明に従ったTRPAl阻害薬の使用を、本発明は意図している。ある実施形態において、口腔内の疼痛を処置するためのTRPAl阻害薬は、例えば、歯磨き粉、口腔内洗浄液、ゲル、または他の液体の製剤として経口的に投与され得る。ある実施形態において、前記歯磨き粉、口腔内洗浄液、ゲル、または他の液体の製剤は、ぬぐい液、マウスガード、または他の歯の装置によって投与される。ある実施形態において、前記製剤は口に局所的に塗布されるが、別の方法では(口から体内に)摂取されない。例えば、飲み込まれない口腔洗浄液の処方が使用され得る。処方や投与経路に関わらず、口腔内の炎症、損傷または潰瘍を引き起こす特定の病気や症状に対する適切な処置も含む総合的な治療戦略の一環として、本発明は対象TRPAl阻害薬の投与を意図する。
TRPAl阻害薬は、前述の傷害、疾患または症状のいずれかに起因する口腔内の疼痛を処置するために使用され得る。加えて、対象TRPAl阻害薬はまた、原因となっている前述した疾患や症状それ自体の処置にも役立つ可能性があることを出願人等は指摘する。特に、TRPAl阻害薬は炎症の処置に有効で、それゆえに、炎症の要素を有する疾患または症状は、症候が口の中や身体の他の部分で現れていようといまいと、対象TRPAl阻害薬で処置することができるかもしれない。従って、ある症状に対して、TRPAl阻害薬投与の処置効果は、(i)疾患または症状の1つまたはそれ以上の症候に伴う疼痛の減少と(ii)根本的な症候や疾患の処置に対する効果、の2倍であることを、本発明は意図しそして認める。
疾患または損傷モデル
TRPAl機能に拮抗する化合物は、前述の損傷、疾患、障害または症状のいずれかの予防と処置に有用であり得る。これらの化合物の活性のin vitro検定に加えて、それらの効力は、1匹またはそれ以上の動物モデルで容易に試験され得る。例として、多数のよく知られた動物モデルが存在する。1匹またそれ以上の適切な動物モデル(例えば、特別な適応症という点からみて適切な)が選択され得る。
一般的に疼痛は、慢性疼痛と急性疼痛に分類され得る。疼痛の前記2つの分類は、根本的なメカニズム同様、持続期間が異なる。慢性疼痛は持続的であるだけでなく、現在利用可能な鎮痛薬、非ステロイド抗炎症薬、およびオピオイドでの処置に一般的によく反応しない。
慢性疼痛の2つの広い補助分類には、神経障害性疼痛と癌疼痛がある(Wang and Wang (2003) Advanced Drug Delivery Reviews 55: 949−965)。神経障害性疼痛は、神経系(例えば、神経、脊髄、CNS、PNS)に対する損傷(例えば、疾患、傷害、高齢)由来の疼痛を言う。癌関連の疼痛は、腫瘍の浸潤、神経の圧迫、腫瘍によって分泌される物質、または特定の治療法(例えば、放射線、化学療法、外科的手術)によって引き起こされる可能性がある。
大抵、疼痛は、侵害受容の、炎症の、または神経障害性の疼痛として機構的にも分類される。侵害受容の疼痛は、例えば、温度の変化または極度の温度、酸にさらされること、化学剤にさらされること、力にさらされること、そして圧力にさらされることなどを経験した疼痛である。痛みの伴う刺激の受容は、インパルスを後根神経節に送る。反応は、概して、反射性応答(例えば、刺激から離脱)と感情的な反応の組み合わせである。炎症は、傷害または病気に対する免疫システムの反応である。傷害または疾患へ反応すると、マクロファージ、マスト細胞、好中球、および免疫システムの他の細胞が呼び出される。サイトカインや他の因子(例えば、ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、プロスタグランジン、ATP、H+、神経成長因子、TNFα、エンドセリン、インターロイキン)の放出と共に、この細胞の浸潤は、発熱、腫れ、および疼痛を引き起こすことが可能である。炎症性の疼痛に対する現在の処置は、Cox2阻害薬とオピオイドを含む。神経障害性疼痛は、神経系(神経、脊髄、CNS、PNS)に対する損傷(例えば、疾患、傷害、高齢)由来の疼痛を言う。神経障害性疼痛の現在の処置は、三環系抗うつ薬、抗痙攣薬、Na+チャネル遮断薬、NMDA受容体アンタゴニストおよびオピオイドを含む。
疼痛を研究するための多数の動物モデルが存在する。様々なモデルに対し、傷害、疾患または他の症状に起因する疼痛の模擬実験をするため様々な薬剤または方法が用いられる。Blackburn−Munro (2004) Trends in Pharmacological Sciences 25: 299−305(例えば、表1、3、または4参照)。その場合、疾患のある動物の行動特性が観察され得る。それらの動物の疼痛を軽減し得る化合物や方法は、試験化合物または試験方法がある場合とない場合で、疾患のある動物の行動特性を観察することによって簡単に試され得る。
慢性疼痛を研究するために使用される典型的な行動試験は、自発性疼痛、異痛症、および痛覚過敏の試験を含む。自発性疼痛を評価するために、姿勢、歩き方、侵害防御機構の徴候(例えば、足をなめること、過剰の毛づくろい、過剰の探索行動、損傷身体部分の防御、そして自傷)が観察され得る。引き起こされた疼痛を測定するために、熱にさらされた後に(例えば、熱性損傷モデル)行動反応が調べられる。
疼痛の典型的な動物モデルは、チャンモデル、カラゲナンに誘導された痛覚過敏モデル、完全フロインドアジュバンドに誘導された痛覚過敏モデル、熱性損傷モデル、ホルマリンモデルおよびベネットモデルが含まれるが、それらに限定されない。神経障害性疼痛のチャンモデル(炎症はない)は、1つまたはそれ以上の脊髄神経を結紮することを含む。Chung et al. (2004) Methods MoI Med 99: 35−45; Kim and Chung (1992) Pain 50: 355−363。脊髄神経の結紮は、熱痛覚過敏、冷感異痛、および持続する疼痛を含む動物内の様々な行動変化をもたらす。TRPAlに拮抗する化合物は、それがない状態の行動変化と比較して、これらの結紮によって誘導される行動変化を少なくするかどうかを評価するため、結紮された動物に投与され得る。
カラゲナンに誘導された痛覚過敏と完全フロインドアジュバンド(FCA)に誘導された痛覚過敏は炎症性痛覚のモデルである。Walker et al. (2003) Journal of Pharmacol Exp Ther 304: 56−62; McGaraughty et al. (2003) Br J Pharmacol 140: 1381−1388; Honore et al. (2005) J Pharmacol Exp Ther。TRPAlに拮抗する化合物は、それがない状態の行動変化と比較して、熱性痛覚過敏を減少させるかどうかを評価するため、カラゲナンまたはFCAに誘導された疾患のある動物に投与され得る。加えて、TRPAl機能に拮抗する化合物がもつ寒冷過敏症そして/または機械的過敏性を減少させる能力もまた、これらの動物で評価され得る。概して、カラゲナンに誘導された痛覚過敏モデルは急性の炎症痛を模し、そしてCFAに誘導された痛覚過敏モデルは慢性疼痛や慢性の炎症痛を模していると考えられる。
ベネットモデルは、慢性疼痛を再現するため足の長期の虚血を用いる。Xanthos
et al. (2004) J Pain 5。これは動物モデルに、術後の疼痛、複合性局所疼痛症候群そして反射性交感神経性ジストロフィーを含む慢性疼痛をもたらす。長期の虚血は動物に、機械的な刺激に対する痛覚過敏、低温感受性、疼痛行動(例えば、手足を震わすこと、舐めることそして/および傷をかばうこと)および痛感過敏を含む行動変化をもたらす。TRPAlに拮抗する化合物は、それがない状態で観察される結果と比較して、これらの行動のいくつかまたは全てを少なくするかどうかを評価するため、試験動物に投与され得る。同様の実験が、術後の疼痛を再現するために使用できる温熱性損傷または紫外線照射モデルにおいて行われ得る。
片頭痛は深刻な疼痛と関連し、そして通常の作業を終えることができない。片頭痛のいくつかのモデルとして、ラットの神経因性炎症モデル(Buzzi et al (1990) Br J Pharmacol; 99:202−206参照)、とバーステインモデル(Strassman et al., (1996) Nature 384: 560−564参照)が存在する。
神経障害性疼痛の別のモデルは、脊髄損傷に基づいた中枢性疼痛モデルを含む。慢性疼痛は、脊髄損傷を引き起こすことによって、例えば、脊髄の外科的にむき出しにされた部分に重りを落とすことによって(例えば、重錘モデル)生み出される。脊髄損傷は、さらに、脊髄を破壊するまたは圧迫することによって、光化学物質を使用して神経毒を送達することによって、または脊髄を2等分することによって誘導され得る。Wang and
Wang (2003)。
神経障害性疼痛の別のモデルとして、末梢神経損傷モデルが含まれる。末梢神経障害という用語は、様々な疾患、症状、および傷害を含む。当業者は、研究中の特定の症状または疾患に照らして、適切なモデルを簡単に選択することができる。例示的モデルは、神経腫モデル、ベネットモデル、セルツァーモデル、チャンモデル(L5またはL5/L6どちらかでの結紮)、坐骨神経の凍結神経溶解モデル、下仙骨幹剥離モデルおよび坐骨神経の神経炎モデルを含むがそれらに限定されない。
炎症性痛覚の例示的モデルは、足底内へブラジキニンが注射されたラットモデルを含む。つまり、動物の温度感受性基準は、ハーグリーブス装置で評価される。それから、TRPAl阻害薬が全身的に投与される。続いて、ブラジキニンが足に注射され、痛覚過敏が発症する。それから、熱を逃す待ち時間が、その後数時間の様々な時点で測定される(Chuang et al., 2001; Vale et al., 2004)。
特定の病気に関連する神経障害性疼痛の典型的なモデルもまた利用可能である。糖尿病と帯状疱疹は大抵、神経障害性疼痛を伴う2つの病気である。急性の帯状疱疹の症状が現れた後でさえ、何人かの患者は、帯状疱疹後神経痛に苦しみ続け、そして長年、持続的な疼痛を経験する。帯状疱疹そして/または帯状疱疹後神経痛によって引き起こされた神経障害性疼痛は、帯状疱疹後神経痛モデル(PHN)において研究され得る。糖尿病の神経障害は、化学的に引き起こされた糖尿病の神経障害モデル同様、糖尿病マウスモデルにおいて研究され得る。Wang and Wang (2003)。
上記に概要されたように、癌疼痛は多くの原因のいずれかを有し、そして多くの動物モデルが、例えば、化学療法薬または腫瘍の浸潤に関連する癌疼痛を調べるために存在する。毒に関連する癌疼痛の典型的なモデルは、ビンクリスチンで誘導された末梢神経の神経障害モデル、タクソールで誘導された末梢神経の神経障害モデル、およびシスプラチンで誘導された末梢神経の神経障害モデルを含む。Wang and Wang (2003)。腫瘍の浸潤によって引き起こされた癌疼痛の典型的なモデルは、癌侵襲疼痛モデル(CIP)である。
原発性のそして転移性の骨肉腫は激痛を伴う。骨癌の疼痛のいくつかのモデルとして、マウス大たい骨の骨癌疼痛モデル(FBC)、マウス踵骨の骨癌疼痛モデル(CBC)、およびラット脛骨の骨癌疼痛モデル(TBC)が含まれる。
疼痛のさらなるモデルは、ホルマリンモデルである。カラゲナンおよびCFAモデルのように、ホルマリンモデルは、動物に刺激物を経皮注射または腹腔内注射されたものである。37%ホルムアルデヒド溶液であるホルマリンの注射は、足の皮内の注射に対して最もよく使用される薬剤である(ホルマリンテスト)。前足または後ろ足の背面または足底の表面への0.5〜15%のホルマリン溶液(通常約3.5%)の注射は、注射後約60分間、疼痛の激しさが上がったり下がったりする二相性の疼痛を伴う反応を生み出す。典型的な反応は、足を持ち上げる、舐める、かじる、または震わすことである。これらの反応は、侵害受容的であると考えられている。3〜5分続く反応の最初の段階(初期段階としても知られる)は、おそらく侵害受容器の直接的な化学的刺激によるものである。そのあとに、動物が侵害に対し示唆的な行動をほとんど示さない10〜15分間が続く。この反応の第2段階(後期段階としても知られる)は、ホルマリン注射後約15〜20分で始まり、20〜40分間続き、最初に侵害受容行動の数と頻度の両方が上昇し、ピークに達した後、減少する。これらの侵害受容行動の激しさは、使用されるホルマリン濃度によっている。この第2の段階には、炎症の現象が起こっている間の感作期間が含まれる。ホルマリン注射に対する反応のこの2つの段階が、ホルマリンモデルを侵害受容性や急性の炎症性痛覚を研究するための適切なモデルにする。いくつかの点で、それはまた神経障害性疼痛のモデルになる。
慢性疼痛の前記モデルのいくつかに加えて、TRPAl機能に拮抗する化合物は、急性疼痛の1匹またはそれ以上のモデルで試され得る。Valenzano et al. (2005) Neuropharmacology 48: 658−672。化合物が慢性疼痛、急性疼痛、またはその両方のモデルで試されるかどうかに関わらず、これらの研究は、通常(それに限らないが)、マウス、ラットまたはモルモットで行われる。加えて、疼痛のin vitro検定を提供する様々な細胞系統において、化合物試験が行われる。Wang and Wang (2003)。
疼痛に対する処置を求めている多くの人々は、内臓痛を患っている。内臓痛の動物モデルには、ラットの炎症性子宮痛モデル(Wesselmann et al., (1997) Pain 73:309−317)、過敏性腸症候群を再現するための胃腸管へのカラシ油の注射(Kimball et al., (2005) Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol, 288(6):G1266−73)、過活動性膀胱または膀胱炎を再現するための膀胱へのカラシ油の注射(Riazimand (2004), BJU 94: 158−163)が含まれる。TRPAl化合物の効果は、身をよじること、胃腸管の炎症または膀胱の興奮性の減少によって評価され得る。
前記動物モデルは、疼痛の研究において広く信頼されている。以下に、疼痛の研究におけるこれらのモデルの使用をのべているさらなる典型例を提供する。熱性損傷モデル(Jones and Sorkin, 1998, Brain Res 810: 93−99; Nozaki− Taguchi and Yaksh, 1998, Neuroscience Lett 254: 25−28; Jun and Yaksh, 1998, Anesth Analg 86: 348−354)、ホルマリンモデル(Yaksh et al., 2001, J Appl Physiol 90: 2386−2402)、カラゲナンモデル(Hargreaves et al., 1988, Pain 32: 77−88)、そしてCFA モデル(Nagakura et al., 2003, J Pharmacol Exp Ther 306: 490−497)。
炎症は、大抵、疼痛に対する重要な寄与因子である。それゆえ、抗炎症薬として働く化合物を同定することは有用である。神経の活性を減少させる多くの化合物もまた、神経因性炎症を防ぐ。炎症を直接測定するため、ラットの足の容積が、足容積測定装置(plethysmometer)によって調べられ得る。基準となる測定が行われた後、カラゲナンが足に注射され、そして、ビヒクルまたは薬剤で処理された動物において数時間に亘って足の容積がモニタリングされる。足の腫れを減少させる薬剤は、抗炎症性であると考えられる。
咳の処置のためのTRPAl拮抗剤の効力を調べるため、咳のモデルである覚醒モルモットを使用した実験をすぐに行うことができる。Tanaka and Maruyama (2003) Journal Pharmacol Sci 93: 465−470; McLeod et al. (2001) Br J Pharmacol 132: 1175− 1178。概して、マウスやラットのような他のげっ歯類とは異なり、モルモットは実際咳をするので、モルモットは咳の有用な動物モデルとして役に立つ。さらに、モルモットの咳は、咳をする動物の姿勢、動作、および様子という観点から、ヒトの咳と似ているように見える。
咳を起こすため、覚醒モルモットはクエン酸またはカプサイシンのような誘発剤にさらされる。この動物の反応は、咳の回数を数えることによって測定される。例えば、TRPAlを阻害する化合物のような咳を抑える薬剤の効果は、その薬剤を投与し、そしてクエン酸、カプサイシン、または他の似たような咳を誘導する薬剤にさらすことによって誘発される咳の回数を減少させる能力を調べることによって、測定され得る。このようにして、咳の処置に使用するためのTRPAl阻害薬は、容易に評価されそして同定され得る。
咳に対する別のモデルには、非覚醒モルモットが含まれる。Rouget et al.(2004) Br J Pharmacol 141: 1077−1083。前記モデルのどちらも、咳をすることができる他の動物と共に使用に適用している。咳をすることのできる典型的な他の動物に、ネコやイヌが含まれる。
失禁に対する多くのげっ歯類モデルが存在する。これらは、神経損傷、尿道侵害および炎症によって引き起こされる失禁モデルを含む。尿道侵害のモデルは、膀胱の流出閉塞モデルを含む。(Pandita, RK, and Andersson KE. Effects of intravesical administration of the K+ channel opener, Z.D6169, in conscious rats with and without bladder outflow obstruction. J Urol 162: 943−948, 1999)。炎症モデルとして、膀胱へのカラシ油の注射が含まれる。
失禁を処置するためのTRPAl阻害薬化合物の効果を調べるため、様々の濃度の化合物(例えば、低濃度、中間濃度および高濃度)が、外科手術によって不完全な膀胱流出閉塞(BOO)になったラットに投与され得る。TRPAl阻害化合物の様々な投与量の効果は、賦形剤のみを投与された対照と比較され得る(偽対照)。さらに、アトロピンのような正の対照を投与されたラットと比較される。アトロピンは、BOOモデルにおける不完全な膀胱流出閉塞後の、膀胱の過活動を減少させることが期待されている。ここで注意すべきは、BOOモデルにおいて化合物を試験する時に、化合物は膀胱または尿道に直接投与される(例えばカテーテルによって)または全身に(例えば、経口で、静脈内に、腹腔内になど)投与されることである。
上記で詳細が述べられたように、TRPAl阻害薬は膵臓炎に伴う疼痛の症状を処置するために使用され得る。膵炎性疼痛管理におけるTRPAl阻害薬の効果は、1種またはそれ以上の動物モデルで試され得る。阻害薬は、一般的な疼痛の動物モデル、例えば炎症疼痛または内臓疼痛のモデルで試され得る。あるいはまたは加えて、TRPAl阻害薬は、膵臓炎または他の膵臓傷害に伴う疼痛を特異的に模倣する動物モデルにおいて試され得る。
膵臓炎性疼痛のいくつかのラットモデルについて最近述べられている(Lu, 2003,Anesthesiology 98(3): 734−740; Winston
et al., 2003, Journal of Pain 4(6): 329−337)。Luらは、ラットにおいて、二塩化ジブチルスズの全身送達により膵臓炎を引き起こした。そのラットでは、腹部のファン・フレイフィラメント刺激後の回避行動が増加し、そして7日間の熱刺激後、退却潜伏時間が減少した。これらの動物で誘導された疼痛の状態は、脊髄内のP物質の増加量で特徴づけられる(Lu, et al., 2003)。この動物におけるTRPA1阻害薬の効果を調べるため、TRPA1阻害薬が、二塩化ジブチルスズの送達の後またはそれと同時に投与される。対照動物は、担体または既知の鎮痛剤が投与される。疼痛の徴候が測定される。TRPA1阻害薬の効果は、TRPA1阻害薬を投与された動物で観察される疼痛の徴候と、TRPA1阻害薬を投与されない動物のそれを比較することによって評価される。加えて、TRPA1阻害薬の効果は、既知の疼痛の薬剤の効果と比較され得る。
侵害受容行動を測定するための手段としてのフォン・フレイフィラメントテストの効果は、また、全身へのLアルギニン投与によって膵臓炎が引き起こされることによって示される(Winston et al, 2003)。TRPAl阻害薬の効果は、全身へのLアルギニン投与によって膵臓炎が引き起こされた後に、同様に試され得る。
Luらは、また、意識がしっかりしていて自由に動いているラットにおいて、内在のカニューレによる膵臓の急性有害刺激を使用して引き起こされた膵臓の疼痛に対する直接的な行動実験について述べている。これらの実験には、膵臓内へのブラジキニン注入に対する反応として、ケージを横切ること、後ろ肢で立つこと、そして後ろ肢を延ばすことが含まれる。D−APV(NMDA受容体アンタゴニスト)またはモルヒネどちらかのみの髄腔内への投与は、このモデルにおいて内臓痛行動を部分的に減少させた。両者を併用すると、疼痛行動を基準値まで下げた。TRPAl阻害薬の効果は、このシステムにおいて同様に試され得る。
前記動物モデルのいずれかが、膵臓に関連する疼痛の処置におけるTRPAl阻害薬の効果を調べるために用いられ得る。その効果は、非処理またはプラセボ対照と比較され得る。加えてまたはあるいは、効果は、1種またはそれ以上の既知の疼痛緩和剤との比較で評価され得る。
疼痛処置の最適化
本発明によると、TRPAl阻害薬は様々な傷害、病気、症状および障害の処置で使用され得る。TRPAl阻害薬の1つの重要な治療的使用は、疼痛の処置における使用である。疼痛が深刻で、時々衰弱する症状となる傷害、症状そして病気の豊富なリストによって明らかにされているように、疼痛の処置における使用のための改良された方法および組成物が、膨大な範囲の患者にかなりの利益をもたらす。そのような方法や組成物は、広大な範囲の傷害、病気そして症状を患う患者のケアの質および生活の質を改良するための可能性を有する。本適用は、TRPAlを阻害する化合物が、前述の傷害、症状または病気のいずれかの処置で用いられ得ることを意図する。
疼痛の処置における重要な問題は、多くの鎮痛剤用いることで起きる副作用を減少させる一方で、疼痛をどのように管理するかである。例えば、多くのオピオイドや他の麻酔薬が効果的に疼痛を減少させるが、患者はこの薬剤を摂取する一方で、多くの場合、運転すること、仕事をすることまたは集中することができなくなる。このように、モルヒネまたはディローディンのようなオピオイドが短期間の使用または入院期間中の使用に適している一方で、長期の使用に対しては、最適ではない。加えて、オピオイドや他の麻酔薬は癖になるもので、患者は、大抵、これらの薬剤に対して耐性をもつようになる。オピオイドや他の麻酔薬は、これらの特徴により、疼痛管理のための最適薬に次ぐものになっている。
本発明は、in vitroおよびin vivoでの使用のためのTRPAl阻害薬を提供する。本発明はまた、TRPAl活性を阻害する化合物の特定の部類からなる組成物と医薬組成物も提供する。ある実施形態において、対象TRPAl阻害薬は選択的である。言い換えれば、ある実施形態において、前記化合物は、他のイオンチャネルの活性を超えて、優先的にTRPAl活性を阻害する。ある実施形態において、前記化合物は、他のTRPVl、TRPV2、TRPV3、TRPV4、そして/またはTRPM8活性を超えて、優先的にTRPAl活性を阻害する。ある他の実施形態において、前記化合物は、疼痛に関わる他のTRPチャネルの1つまたはそれ以上と交差反応をするので、選択される。例えば、ある実施形態では、化合物は、TRPA1の活性を阻害し、且つ、TRPV1、TRPV2、TRPV3、TRPV4およびTRPM8のうちの1つまたは複数の活性も阻害する。
併用療法
本発明の別の態様は、1種類またはそれ以上の他の薬剤がTRPAl修飾薬と共に投与される併用療法を提供する。このような併用療法は、処置の個々の薬剤を同時に、順次的に、または別々に投与する方法によって達成され得る。
ある実施形態において、本発明の化合物は、鎮痛剤と一緒に投与される。適切な鎮痛剤は、オピオイド、糖質コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、ナフチルアルカノン、オキシカム、パラアミノフェノール誘導体、プロピオン酸、プロピオン酸誘導体、サリチル酸、フェナム酸、フェナム酸誘導体、ピラゾール、およびピラゾール誘導体を含み、それらに限定されない。このような鎮痛剤の化合物の例は、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン、ペンタゾシン、エトドロラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ナブメトン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、オキサプロジン、アスピリン、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナミン酸、プレドニゾロン、およびデキサメタゾンを含むが、それらに限定されない。好ましい鎮痛剤は、非ステロイド性抗炎症剤およびオピオイド(好ましくは、モルヒネ)である。
ある実施形態において、本発明の化合物は、非ステロイド性抗炎症剤と一緒に投与される。適切な非ステロイド性抗炎症剤は、ピロキシカム、ジクロフェナク、エトドロラク、インドメタシン、ケトロラク、オキサプロジン、トルメチン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、メフェナミン酸、スリンダク、アパゾン、フェニルブタゾン、アスピリン、セレコキシブおよびロフェコキシブを含むが、それらに限定されない。
ある実施形態において、本発明の化合物は、抗ウイルス剤と一緒に投与される。適切な抗ウイルス剤は、アマンタジン、アシクロビル、シドフォビル、デスシクロビル、デオキシアシクロビル、ファンシクロビル、ホスカメット、ガンシクロビル、ペンシクロビル、アジドウリジン、アナスマイシン、アマンタジン、ブロモビニルデオキシウリジン、クロロビニルデオキシウリジン、シタラビン、ジダノシン、デオキシノジリマイシン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシン、ジデオキシヌクレシチド、デオキシウリジン、エンビロキシム、フィアシタビン、ホスカメット、フィアルリジン、フルオロチミジン、フロクスウリジン、ヒペリシン、インターフェロン、インターロイキン、イセチオネート、ネビラピン、ペンタミジン、リバビリン、リマンタジン、スタブジン、サルグラモスチム、スラミン、トリコサンチン、トリブロモチミジン、トリクロロチミジン、ビラダビン、アジドウリジン、ザルシタビン、3−アジド−3−デオキシチミジン、2’,3’−ジデオキシアデノシン(ddA)、2’,3’−ジデオキシグアノシン(ddG)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、2’,3’−ジデオキシチミジン(ddT)、2’3’−ジデオキシ−ジデオキシチミジン(d4T)、2’−デオキシ−3’−チアシトシン(3TCまたはラミブジン)、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロアデノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロイノシン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロチミジン、2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロシトシン、2’3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロ−2’−フルオロチミジン(Fd4T)、2’3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロアデノシン(F−ddA)、2’3’−ジデオキシ−2’−β−フルオロイノシン(F−ddI)、および2’,3’−ジデオキ−2’−β−フルオロシトシン(F−ddC)、三ナトリウムホスホモノホルメート、トリフルオロチミジン、3’−アジド−3’−チミジン(AZT)、ジデオキシイノシン(ddI)、およびイドクスウリジンを含むが、それらに限定されない。
ある実施形態において、本発明の化合物は、抗細菌薬と一緒に投与される。適切な抗細菌薬は、アマンタジン塩酸塩、アマンタジン硫酸塩、アミカシン、アミカシン硫酸塩、アミノグリコシド、アモキシシリン、アンピシリン、アンサマイシン、バシトラシン、β−ラクタム、カンジシジン、カプレオマイシン、カルベニシリン、セファレキシン、セファロリジン、セファロチン、セファゾリン、セファピリン、セフラジン、セファログリシン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、クロロキシン、クロロキラルドール、クロロテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン塩酸塩、シプロフロキサシン、シルクリン、クリンダマイシン、クリンダマイシン塩酸塩、クロトリマゾール、クロキサシリン、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、ジヨードヒドロキシキン、ドキシサイクリン、エタンブトール、エタンブトール塩酸塩、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンステアリン酸塩、ファルネソール、フロキサシリン、ゲンタマイシン、ゲンタマイシン硫酸塩、グラミシジン、グリセオフルビン、ハロプロジン、ハロキノール、ヘキサクロロフェン、イミノサイクリン、ヨードクロロハイドロキシキン、カナマイシン、カナマイシン硫酸塩、リンコマイシン、リネオマイシン、リネオマイシン塩酸塩、マクロライド、メクロサイクリン、メタサイクリン、メタサイクリン塩酸塩、メテナミン、メテナミン馬尿酸塩、メテナミンマンデル酸塩、メチシリン、メトロニダゾール、ミコナゾール、ミコナゾール塩酸塩、ミノサイクリン、ミノサイクリン塩酸塩、ムピロシン、ナフシリン、ネオマイシン、ネオマイシン硫酸塩、ネチルマイシン、ネチルマイシン硫酸塩、ニトロフラゾン、ノルフロキサシン、ナイスタチン、オクトピロックス、オレアンドマイシン、セファロスポリン、オキサシリン、オキシテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン塩酸塩、パラクロロメタキシレノール、パロモマイシン、パロモマイシン硫酸塩、ペニシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ペンタミジン、ペンタミジン塩酸塩、フェネチシリン、ポリミキシン、キノロン、ストレプトマイシン硫酸塩、テトラサイクリン、トブラマイシン、トルナフタート、トリクロサン、リファンピン、リファマイシン、ロリテトラサイクリン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、トブラマイシン、トブラマイシン硫酸塩、トリクロカーボン、トリクロサン、トリメトプリム・スルファメトキサゾール、タイロシン、バンコマイシンおよびチロスリシンを含むが、それらに限定されない。
ある実施形態において、本発明の化合物は、鎮咳薬、充血除去剤または去痰薬と一緒に投与される。
対象TRPAl阻害薬は、例えば、疼痛そして/またはレチノイドの炎症性作用を弱めるために使用されるのだが、それと共に投与されるレチノイドの例として、レチノイン酸(シス、トランス両方)、レチノール、アダパレン、ビタミンA、およびタザロテンのような化合物が含まれるが、それらに限定されない。レチノイドは、ニキビ、乾癬、酒さ、しわや皮膚の癌、メラノーマや光線性角化症のような癌細胞の前駆体を処置するのに有用である。
同様に、対象TRPAl阻害薬は、ベンゾイルペルオキシド、αハイドロキシ酸、フルーツ酸、グリコール酸、サリチル酸、アゼライン酸、トリクロロ酢酸、乳酸、およびピロクトンを含む角質溶解薬と共に使用され得る。
対象TRPAl阻害薬はまた、脱毛剤(抜け毛)と共に投与できる。
対象TRPAl阻害薬は、抗ニキビ剤、抗湿疹薬、および抗乾癬薬と共に使用できる。ニキビを処置するのに特に有用な化合物は、アゼライン酸(抗ニキビ特性を有する脂肪族二塩基酸)、アントラリン(抗真菌および抗乾癬特性を有するジフェノール化合物)、およびマソプロコール(ノルジヒドログアヤレチン酸、抗酸化特性を有し、また日光角化症の処置に有用であるテトラフェノール化合物)およびそれに関しての類縁体(例えば、アウストロバイリグナン6、オキソアウストロバイリグナン6、4’−O−メチル−7,7’−ジオキソアウストロバイリグナン6、マセリグナン、デメチルジヒドログアイアレチン酸3,3’,4−トリヒドロキシ−4’−メトキシリグナン、サウルレニン、4−ヒドロキシ−3,3’,4’−トリメトキシリグナン、およびイソアンウリグナン)を含む。抗湿疹薬は、ピメクロリムスおよびタクロリムスを含む。本発明において使用するのに適切な抗乾癬活性化薬は、レチノイドを含む(そのレチノイドとは、レチノイン酸、アシトレチン、13−シス−レチノイン酸(イソトレチノイン)、9−シス−レチノイン酸、トコフェニル−レチノール酸塩((トランス−またはシス−)レチノイン酸のトコフェノールエステル)、エトレチナート、モトレチニド、l−(13−シス−レチノイルオキシ)−2−プロパノン、l−(13−シス−レチノイルオキシ)−3−デカノイルオキシ−2−プロパノン、1,3−ビス−(13−シス−レチノイルオキシ)−2−プロパノン、2−(13−シス−レチノイルオキシ)−アセトフェノン,13−シス−レチノイルオキシメチル−2,2−ジメチルプロパノエート、2−(13−シス−レチノイルオキシ)−n−メチル−アセトアミド、l−(13シス−レチノイルオキシ)−3−ヒドロキシ−2−プロパノン、l−(13−シス−レチノイルオキシ)−2,3−ジオレオイルプロパノン、スクシンイミジル13−シス−レチノール酸塩、アダパレンおよびタザロテン)、サリチル酸(モノアンモニウム塩)、アントラニン、6−アザウリジン、ビタミンD誘導体(ロカルトロール(Roche Laboratories)、EB 1089 (24α,26α,27α−トリホモ−22,24−ジエン−lα,25−(OH)−D)、KH 1060 (20−epi−22−oxa−24α,26α,27α−トリホモ−lα,25−(OH)−D)、MC 1288、GS 1558、CB 1093、1, 25−(OH)−16−エン−D、l,25−(OH)−16−エン−23−イン−D、および25−(OH)2−16−エン−23−イン−D、22−オキサカルシトリオール; 1α−(OH)D(イリノイ大学)、ZK 161422およびZK 157202 (Institute of Medical Chemistry−Schering AG)アルファカルシドール、カルシフェジオール、カルシポトリオール(カルシポトリエン)、マキサカルシトール、コレカルシフェロール、ドキセルカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、ファレカルシトリオール、レキサカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトール、セカルシフェロール、セオカルシトール、タカルシトール、カルシポトリエン、カルシトリオール、およびU.S. Patent No. 5,994,332で開示されているような他の類縁体を含むが、それに限定されない)、ピロガロールおよびタカルシトールのようなレチノイン酸受容体に結合する他の化合物同様、レチノイン酸の異性体や類縁体を含む)。
対象TRPAl阻害薬は、また、ビタミンA、アスコルビン酸(ビタミンC)、α−トコフェノール(ビタミンE)、7−デヒドロコレステロール(ビタミンD)、ビタミンK、α−リポ酸、脂溶性抗酸化剤などを含むビタミン、およびその類縁体と共に投与できる。
対象TRPAl阻害薬は、また、アラントインおよびエスクリンのような皮膚保護剤と共に使用できる。
ある実施形態において、本発明の2種またはそれ以上の化合物は、共同的に投与される。本発明の2種またはそれ以上の化合物は、一緒に投与される時、前記2種またはそれ以上の化合物が、同様の選択性のプロフィールおよび機能活性を有していても良いし、または前記2種またはそれ以上の化合物が、異なる選択性のプロフィールおよび機能活性を有していても良い。例として、前記2種またはそれ以上の化合物両者は、TRPAlの機能に拮抗することにおいて、TRPVl、TRPV5、およびTRPV6を超えて約10、100、または1000倍選択的であり(例えば、前記2種またはそれ以上の化合物が同様の選択性のプロフィールを持つ場合)、そしてさらに、同様のIC50でTRPAlの機能を阻害し得る(例えば、同様の機能活性がある場合)。あるいは、前記2種またはそれ以上の化合物の別のものがTRPAlおよびTRPVl両者を阻害するが(例えば、前記2種またはそれ以上の化合物が異なる選択性のプロフィールを有する場合)、前記2種またはそれ以上の化合物のあるものは、選択的にTRPAlを阻害し得る。同様のまたは異なる特性を有する本発明の2種またはそれ以上の化合物の併用投与が意図されている。
ある実施形態において、本発明の化合物は、異なるチャネルの機能に拮抗する1種またはそれ以上の追加的化合物と一緒に投与される。例として、本発明の化合物は、TRPVl、TRPM8、そして/またはTRPV3に拮抗する1種またはそれ以上の化合物と一緒に投与される。TRPVl、TPRM8、またはTRPV3に拮抗する化合物(単数または複数)は、TRPVl、TRPM8またはTRPV3に対して選択的である可能性がある(例えば、TRPAlより10、100、または1000倍より強くTRPVlまたはTRPV3を阻害する)。あるいは、TRPVlまたはTRPV3に拮抗する前記化合物(単数または複数)は、他のTRPチャネルと交差反応をする可能性がある。
ある実施形態において、本発明の化合物は、処置されている特定の傷害、病気、症状または障害に適した1種またはそれ以上の追加的薬剤または治療法と一緒に投与される。
医薬組成物
本発明の化合物は単独で投与可能であるが、医薬処方製剤(組成物)として前記化合物を投与することが好ましい。本発明によると、前記化合物は、ヒトまたは獣医学的医療において便利な使用方法で投与するように処方され得る。ある実施形態において、医薬製剤に含まれる前記化合物は、それ自体活性があるか、または例えば、生理的な状況において活性型へと変換され得るようなプロドラッグであってもよい。
選択された投与経路に関わらず、適切に水和された形で使用される本発明の前記化合物、そして/または本発明の前記医薬組成物は、下記で述べられているようにまたは当業者に知られる他の確立された方法によって、製薬上許容可能な剤形で処方される。
このように、本発明の別の態様は、1種またはそれ以上の製薬上許容可能な担体(添加剤)そして/または希釈剤と共に処方される、上記で述べられた化合物の1種またはそれ以上の治療効果的な量を含む製薬上許容可能な組成物を提供することである。以下に詳細が述べられるように、本発明の前記医薬組成物は、固体または液体の形状で投与するために特別に処方されてもよく、以下に適用されるようなものを含む。(1)経口投与、例えば飲み薬(水性のまたは非水性の液体または懸濁液)、錠剤、巨丸剤、粉末、顆粒、舌へ適用できるようなペースト、(2)非経口的投与、例えば、無菌の溶液または懸濁液としての、例えば、皮下に、筋肉内に、または静脈内への注射、(3)局所的な適用、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏またはスプレー、(4)例えば、ペッサリー、クリームまたは泡としての膣内または直腸内への投与、または(5)吸入剤。しかしながら、ある実施形態において、対象化合物は、単に無菌水に溶解または懸濁され得る。ある実施形態において、前記医薬製剤は、非発熱性である、すなわち、患者の体温を上昇させない。
ここで使用される「治療的有効量」という用語は、少なくとも動物内の細胞の亜集団においてTRPAl機能を阻害し、そしてそれにより、任意の医薬治療へ適用可能な適度なベネフィット/リスク比で、治療される細胞においてその機能の生物学的影響を遮断することによって、ある望ましい治療効果をもたらすのに効果的な化合物、物質または本発明の化合物を含む組成物の量を意味する。
ここで使用される「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」および「末梢に投与される」という語句は、化合物、薬物、または他の物質が患者のに入り、代謝などの工程を受けるような中枢神経への直接投与以外の投与、例えば皮下投与を意味する。
「製薬上許容可能な」という語句は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題または合併症なしに、ヒトや動物の組織との接触において使用されるのに適し、適度なベネフィット/リスク比で釣り合いのとれた化合物、物質、組成物そして/または剤形を言うためにここで使用される。
ここで使用される「製薬上許容可能な担体」という語句は、体の1つの器官、または部分から体の別の器官または部分へ対象アンタゴニストを運ぶまたは輸送するのに関わる、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル封入物質のような製薬上許容可能な物質、組成物またはビヒクルを意味する。各々の担体は、前記処方製剤の他の成分と相性で、患者に無害であるという意味において「許容可能」でなければならない。製薬上許容可能な担体として役立ち得る物質のいくつかの例として、(1)乳糖、ブドウ糖やショ糖のような糖類、(2)とうもろこしデンプンやじゃがいもデンプンのようなデンプン、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロース、およびその誘導体、(4)粉状にされたトラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン(7)タルク(8)カカオバターおよび坐剤蝋のような賦形剤;(9)ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油のような油;(10)プロピレングリコールのようなグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチルグリコールのような多価アルコール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張の食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、および(21)医薬製剤で使用される他の無毒の相性物質を含む。
上記で述べられたように、本発明の化合物のある実施形態は、アミノまたはアルキルアミノのような塩基性官能基を含んでいても良く、したがって、製薬上許容可能な酸と共に製薬上許容可能な塩を形成することができる。この点における「製薬上許容可能な塩」という用語は、本発明の化合物の比較的無毒な、無機および有機の酸付加塩を言う。これらの塩はin situで、本発明の化合物の最終の単離および精製の間に調製され得る、または遊離塩基の状態にある本発明の精製された化合物と、適切な有機または無機酸とを別々に反応させ、そしてそのように形成された前記塩を単離することによって調製され得る。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などを含む(例えば、Berge et al. (1977) ”Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66:1− 19参照)。
対象化合物の製薬上許容可能な塩は、例えば、無毒の有機酸または無機酸由来の前記化合物の慣用的な無毒の塩または第4級アンモニウム塩を含む。例えば、このような慣用的な無毒の塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルフォン酸、メタンスルフォン酸、タンジスルフォン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの機酸から調製されるものを含む。
別の例では、本発明の化合物は、1種またはそれ以上の酸性の官能基を有していてもよく、そしてそれにより、製薬上許容可能な塩基と共に製薬上許容可能な塩を形成することができる。これらの場合での「製薬上許容可能な塩」という用語は、本発明の化合物の比較的無毒な、無機および有機の塩基付加塩を言う。これらの塩はin situで、前記化合物の最終の単離および精製の間に調製され得る、または遊離酸の状態にある精製された化合物を、製薬上許容可能なメタルカチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩のような適切な塩基と、アンモニアと、または製薬上許容可能な有機第1級、第2級、または第3級アミンと別々に反応させることによって調製され得る。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩などを含む。塩基付加塩の形成に役立つ代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む。(例えば、Berge et al., 上記、参照)。
着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、保存剤および抗酸化剤同様に、ラウリル硫酸ナトリウムやマグネシウムステアリン酸塩のような湿潤剤、乳化剤および滑剤もまた、前記組成物に存在する。
製薬上許容可能な抗酸化剤の例として、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどのような水溶性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェノールなどのような脂溶性抗酸化剤、および(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような金属キレート剤が含まれる。
本発明の処方製剤は、経口の、経鼻の、局所的な(頬および舌下を含む)、直腸への、膣へのそして/または非経口の投与に適した製剤を含む。前記処方製剤は、単位剤形で好都合に存在していても良く、そして製薬業界でよく知られた任意の方法によって調製され得る。単回投与形態を生み出すため、担体物質と組み合わされ得る有効成分の量は、治療されている宿主、投与の特定の方法に依存して変わる。単回投与形態を生み出すため、担体物質と組み合わされ得る有効成分の量は、一般的に、治療効果を生み出す前記化合物の量である。一般的に、100%中、この量は有効成分の約1%〜約99%、好ましくは、約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%の範囲であろう。
これらの処方製剤または組成物の調製方法は、本発明の化合物と前記担体、そして随意的に、1種またはそれ以上の補助的な成分を会合させる工程を含む。一般的に、前記処方製剤は、本発明の化合物と液体の担体、または微粉砕固体担体、またはその両者とを均一におよび密接に会合させて、必要な場合は、生成物を造形することによって調製される。
経口投与に適した本発明の処方製剤は、カプセル、カシェ剤、ピル、錠剤、ロゼンジ(風味を付けた基剤、通常はショ糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴムを用いて)、粉末、顆粒の形態で、または水溶液または非水溶液の溶液または懸濁液として、または水中油型または油中水型乳濁液として、またはエリキシル剤またはシロップとして、あるいは香錠(不活性基剤、例えばゼラチンやグリセリン、またはショ糖やアラビアゴムを用いて)として、そして/または口腔洗浄液などのような形状にあってもよく、各々は活性成分として予定量の本発明の化合物を含有し得る。本発明の化合物は、また、巨丸剤、舐剤またはペーストとして投与され得る。
経口投与のための本発明の固体剤形において(カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒など)、前記活性成分は、クエン酸ナトリウム、またはリン酸二カルシウム、そして/または以下のいずれか、(1)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、そして/またはケイ酸のような充填剤または増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖そして/またはアラビアゴムのような結合剤、(3)グリセロールのような保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるケイ酸塩および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(5)パラフィンのような溶解遅延剤、(6)第4級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(7)例えば、セチルアルコールやモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤、(8)カオリンやベントナイト粘土のような吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物のような滑剤、および(10)着色剤のような1種またはそれ以上の製薬上許容可能な担体と混合される。カプセル、錠剤およびピルの場合、医薬組成物は、また、緩衝剤を含んでいても良い。同様のタイプの固体の組成物は、また、高分子量ポリエチレングリコールなどと同様に、乳糖のような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの中の充填剤として用いられ得る。
錠剤は、圧縮または成形によって、任意に、1種またはそれ以上の補助的成分を用いて作られ得る。圧縮された錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン、またはハイドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性の希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らされた粉末の化合物の混合物を、適切な機械の中で成形することによって作られ得る。
前記錠剤と、糖衣錠、カプセル、ピルや顆粒のような本発明の医薬組成物の他の固体剤形は、腸溶性のコーティングや薬剤を処方している業界においてよく知られた他のコーティングのようなコーティングおよび外被殻を伴って、随意に、刻み目を付けられるか、または調製され得る。それらはまた、例えば、所望の放出プロフィールを提供するため割合を変えたヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームそして/または微小球を用いて、その中にある活性成分のゆっくりしたまたは調節された放出を提供するように処方され得る。それらは、例えば、細菌を保持するフィルターを通したろ過によって、または使用前直前に滅菌水またはなんらかの他の無菌の注入可能な媒質中に溶解され得る無菌の固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。これらの組成物はまた、随意に、乳白剤を含んでいても良く、そしてそれらが活性成分(単数または複数)のみを放出する、また好ましくは、胃腸管のある部分で、随意に、遅延型様式で放出するという組成物の性質を有し得る。使用され得る組成物を組み込む例は、重合体物質およびワックスを含む。前記活性成分は、また、もしふさわしいものがあれば、上記の賦形剤の1種またはそれ以上と共に、マイクロカプセル封入形態で存在し得る。
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形は、製薬上許容可能な乳濁液、微粒子乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。前記活性成分に加えて、前記液体剤形は、例えば、水または他の溶媒のような当該技術分野で普段使用されている不活性の希釈剤と、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、とうもろこし油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油そしてゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、そしてそれらの混合物のような可溶化剤および乳化剤を含んでいても良い。
不活性の希釈剤の他に、前記経口組成物は、また、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤、甘味加糖剤、風味剤、着色剤、芳香剤および防腐剤のようなアジュバントも含み得る。
前記活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、そしてそれらの混合物のような懸濁剤を含んでいても良い。
コレステロールのようなステロールは、シクロデキストリンと複合体を形成することが知られている。したがって、好ましい実施形態では、阻害薬がステロイド性アルカロイドである場合、それは、α−、β−およびγ−シクロデキストリン、ジメチル−βシクロデキストリンおよび2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのようなシクロデキストリンと一緒に処方され得る。
直腸、膣、または尿道への投与に対する本発明の医薬組成物の処方製剤は、坐薬として提供されても良く、そしてそれは、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、坐薬用のワックスまたはサリチル酸塩を含む1種またはそれ以上の適切な非刺激性の賦形剤または担体と、本発明の1種またはそれ以上の化合物とを混合することによって調製されても良く、そしてそれは常温では固体だが体温では液体であり、それゆえ、直腸や膣内では融解して、活性化合物を放出する。
あるいはまたは加えて、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤまたは他の管腔内装置による送達のために処方され得る。そのような装置による送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸または腸への送達に特に有用である。
膣投与に適した本発明の処方製剤は、また、当該技術分野において適切であると知られているような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー処方物も含む。
本発明の化合物の局所的な、または経皮的な投与のための剤形は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチそして吸入剤を含む。活性化合物は、無菌状態下で、製薬上許容可能な担体と、および必要とされる防腐剤、緩衝剤、または噴射剤と混合され得る。
本発明の活性化合物に加えて、軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、動物性および植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含んでいても良い。
本発明の活性化合物に加えて、粉末およびスプレーは、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含むことが可能である。スプレーは、加えて、クロロフルオロ炭化水素、および、ブタンやプロパンのような揮発性の置換されていない炭化水素のような普通の噴射剤を含み得る。
経皮性のパッチは、本発明の化合物の身体への制御された送達を提供するという追加された利点を有している。そのような剤形は、適切な媒質中に化合物を溶解するかまたは分散することによって作ることができる。吸収促進剤は、また、皮膚を通して前記化合物が流入するのを増大させるために使用され得る。そのような流入速度は、速度制御膜を提供することによるか、重合体マトリックスまたはゲルの中に化合物を分散させることにより制御され得る。
眼科用処方物、眼科用軟膏、粉末、溶液などもまた、本発明の範囲内にあるように意図されている。
ここで使用される「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、腸内や局所的な投与以外の投与方式を意味し、大抵注射により、そして静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、胸骨内の注射や注入を含み、それらに限定されない。
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、本発明の1種またはそれ以上の化合物と、1種またはそれ以上の製薬上許容可能な無菌の等張液または非水溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、または使用直前に、無菌の注入可能な溶液または分散液中で再構成される無菌粉末との組み合わせを含み、そしてこれらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、意図されたレシピエントの血液と前記製剤を等張にさせる溶質、または懸濁化剤、増粘剤を含んでいても良い。
本発明の医薬組成物で使用される得る適切な水溶性のおよび非水溶性の担体の例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、そしてそれらの適切な混合物、オリーブオイルのような植物油、およびオレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング物質を使用することによって、分散液の場合は必要とされる粒子の大きさを保つことによって、および界面活性剤を使用することによって保持することができる。
これらの組成物は、また、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含み得る。微生物の働きの防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤を含むことによって保証される。前記組成物に糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことも望ましい。加えて、注入可能な薬剤形態の持続的吸収は、アルミニウムモノステアリン酸塩やゼラチンのような吸収を遅らせる薬剤を含むことによってもたらされ得る。
ある例において、薬剤の効果を引き延ばすため、皮下または筋肉内注射からの前記薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。これは、低水溶性の結晶または非晶質物質の懸濁液を使用することによって成し遂げられ得る。前記薬剤の吸収率は、溶解率によっており、同じく結晶の大きさと結晶形態により得る。あるいは、非経口的に投与される薬剤形態の遅延型吸収は、油性のビヒクルの中に前記薬剤を溶解するまたは懸濁することによって成し遂げられる。
注入可能なデポー剤形は、対象化合物のマイクロカプセルマトリックスをポリ乳酸−ポリグリコール酸のような生分解性の重合体の中に形成することによって作られる。薬剤と重合体の割合、および使用される特定の重合体の性質によって、薬剤放出速度は調節できる。他の生分解性重合体の例は、ポリ(オルトエステル)とポリ(無水物)を含む。デポ注射用処方物はまた、体組織と相性であるリポソームやマイクロエマルションの中に前記薬剤を取り込むことによっても調製される。
本発明の化合物がヒトや動物に薬剤として投与される場合、それらはそれら自体を与えられるか、または、製薬上許容可能な担体と、例えば、活性成分の0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)とを組み合わせた医薬組成物として与えられる。
本発明の前記活性化合物を動物のえさに加えることは、好ましくは、効果的な量で前記活性化合物を含む適切なプレミックス飼料を調製することによって、および前記プレミックスを完全混合飼料中に組み入れることによって成し遂げられる。
あるいは、前記活性成分を含む中間の濃縮物またはえさの栄養補助食品は、前記えさに混ぜることができる。そのようなプレミックス飼料および完全混合飼料が調製され、投与される方法は、参考本で述べられている(例えば、”Applied Animal Nutrition”, W.H. Freedman and CO., San Francisco, U.S.A., 1969または”Livestock Feeds
and Feeding” O and B books, Corvallis, Ore., U.S.A., 1977)。
導入の方法はまた、再充填可能なまたは生分解性装置によって提供され得る。様々な緩徐放出型重合体装置は、たんぱく質性のバイオ製剤を含む薬剤の制御送達のために、近年開発され、in vivoで試験をされている。生分解性のおよび非分解性の重合体両者を含む様々な生体適合性の重合体(ハイドロゲルを含む)は、特定の標的部位において化合物を持続的に放出するための植込み型装置を形成するために使用される。
本発明の医薬組成物の中の前記活性成分の実際の投与量は、患者に毒性とならないで、特定の患者、組成物、および投与方式に対する望ましい治療の反応を達成するのに効果的な前記活性成分の量を得るために変動し得る。
選択される投与量は、使用される本発明の前記特定の化合物の活性、またはそのエステル、塩、またはアミド、投与経路、投与時間、使用されている特定化合物の排出速度、治療の継続期間、使用される前記特定の化合物と組み合わせて使用されるほかの薬剤、化合物および/または物質、治療されている患者の年齢、性別、体重、症状、全身の健康状態と以前の病歴、および医療分野でよく知られた同様の要因などを含む様々な要因によっている。
当該技術分野における一般的な技術を有す医師または獣医は、必要とされる医薬組成物の効果的な量をたやすく決定し、処方することができる。例えば、前記医師または獣医は、前記医薬組成物中に使用される本発明の化合物の用量投与を、好ましい治療効果を達成するために必要とされる量よりも低いレベルから始め、望ましい効果が達成されるまで、徐々に投与量を増加し得る。
一般的に、本発明の化合物の適切な1日の用量は、治療効果をもたらすために効果的な最も低い用量である前記化合物の量であろう。そのような有効用量は、一般的に、上記で述べられた要因に依存する。一般的に、患者に対する本発明の化合物の静脈内、脳室内および皮下の用量は、1日あたり、そして体重あたり、約0.0001から約100mgの範囲となる。
所望により、前記活性化合物の有効1日用量は、1日を通して適切な間隔で、随意的には単位剤形で、別々に投与される2、3、4、5、6回またはそれ以上の細分用量として投与され得る。
この治療をうけている患者は、霊長類、特にヒト、およびその他の哺乳類、例えば馬、牛、豚、および羊、そして家禽および一般的なペットを含む治療を必要としている任意の動物である。
本発明の化合物は、そのまま、または製薬上許容可能なそして/または無菌の担体と混合して投与でき、そしてまた、ペニシリン、セファロスポリン、アミノグリコシド、および糖ペプチドのような他の抗菌剤と一緒に投与され得る。このように、共同療法は、後続治療が施される場合、最初に投与されたものの治療効果がなお検出可能であるという方法での、前記活性化合物の順次的な、同時の、または別々の投与を含む。
本発明は、前述の医薬組成物および製剤のいずれかの中にある対象化合物の処方製剤を意図する。さらに、本発明は、前記投与経路のいずれかによる投与を意図する。当業者は、治療されている症状および治療されている患者の全体的な健康状態、年齢、そして体重に基づいた適切な処方製剤および投与経路を選定することができる。
実施例1:高処理量スクリーニング検定
本検定は、TRPA1チャネルを誘導的に発現する細胞内におけるチャンネル活性化後の細胞内Ca2+濃度([Ca2+)の上昇の検出によっている。Ca2+上昇は細胞内に取り込まれ、その後、[Ca2+を指示する蛍光性Ca2+指示薬を用いて定量した。Ca2+流入は、TRPA1チャネルの活性化に続いて起こる。[Ca2+上昇を阻害する化合物は、さらなる調査のためのヒットとみなされた。
市販のHEK293/TREx系統(Invitrogen)は、TRPA1構築物(特に、配列番号1に表わされるアミノ酸配列を有するTRPA1タンパク質をコード化する構築物)により安定的にトランスフェクトされ、また、1μg/mlのテトラサイクリンによる刺激後にTRPA1発現を示すクローンを見つけ出すための慣用的カルシウム画像診断によってスクリーニングした。これらの細胞を、TRPA1構築物の保持を促すために、100μg/mlハイグロマイシンを補足したメーカー推奨の成育培地中で維持した。ほぼ集密培養密度に増殖後、細胞を1μg/mlテトラサイクリン存在下で384ウエルCellBindプレート(Corning)中に25,000細胞/ウエルまでの密度でまき、20〜30時間増殖させた。ほぼ集密的な単一層を得た。次に細胞にCa2+染料を負荷し:Fura−2/AMまたはFluo4/AMをウエルにそれぞれ最終濃度2μMまたは1μMになるよう添加し、それぞれ80分または60分、室温でインキュベートした。その後、上清を、すばやく動かしてプレートを逆さにすることにより細胞から除去し、40μlのハンクス平衡塩溶液(HBSS;0.185g/l D−グルコース、0.9767g/l MgSO(無水物)、0.4g/l 塩化カリウム、0.06g/lKHPO(無水物)、0.35g/lNaHCO,8.0g/l塩化ナトリウム、及び0.04788g/lNaHPO(無水物)、pH7.4)を各ウエルに添加する。負荷からの回復のための1時間後、細胞を、Hamamatsu FDSS 6000系を使用して検定したが、これは、Fura−2実験のために340nMおよび380nMで交互に、あるいは、Fluo−4実験のために485nMでの照明を可能にした。フレームは0.2Hzの比率で得た。検定中、プレートを、下記の各試薬の添加後にウエルをピペット混和しながら、継続的に撹拌した。スクリーニング検定のために、希釈ストック(50μM)13μlを、短い(4フレーム)基準物質の収集後に各ウエルに2分間加えた。13μlの37.5μM AITC(イソチオシアン酸アリル)を次に各ウエルに添加し、各化合物に関しては10μM及びAITCに関しては7.5μMの最終濃度とした。データをAITCの添加後3分までの間に収集したが、この場合、蛍光強度(Fluo4についておよびF340/F380比(Fura−2について)が[Ca2+と比例した。陰性対照はAITCに曝露されたが、しかし化合物には曝露されなかったHEK293/TREx TRPA1細胞からなった。陽性対照細胞は、普通はAITCに曝露されたが、しかし化合物には曝露されなかったHEK293/TREx(「親」)細胞であったが、ときどき普通のHEK293/TREx TRPA1細胞も用いられ、しかしAITCまたは化合物に曝露されなかった。これらの対照はスクリーニングウィンドウを限定し、「ヒット」は少なくとも40%の蛍光反応を阻害する化合物と定義された。IC50値を、「ヒット」と定義された化合物に関して確定した。Fluo4細胞ベースの蛍光検定を用いて、様々な薬剤濃度の存在下で細胞内Ca2+濃度を確定した。試験した濃度は、40μM、20μM、10μM、5μM、2.5μM、1.25μM、及び0.625μMであった。化合物を、全ての濃度で三で試験した。標準ソフトウエアを用いて、IC50曲線に適合させた。
加えてまたは代替的に、有効性は化合物の存在(所定濃度の化合物)対化合物の非存在下での、あるいは対照化合物と比較した場合の、阻害%として表わされる。例えば、有効性は、化合物の存在対非存在下のイオン流束の阻害%として表わされる。
実施例2:パッチクランプ実験
パッチクランプ実験は、上記の細胞系におけるTRPA1チャネルを通した電流の検出を可能にする。安定レベルでの電流の記録を可能にし、他の研究室で観察された「ランダウン」を防止するために、ピペット溶液で細胞質の透析を阻止する穿孔パッチ技法を用いることが必要である。普通の全細胞パッチクランプ記録において、ガラス電極は単一細胞と接触され、高抵抗(ギガオーム)シールが細胞膜で確立される。この膜を次に、全細胞立体構造を達成するために破裂させ、細胞膜の電位を制御し、電極に取り付けられた増幅器を用いて膜を通過する電流の流れを計測することを可能にして、ピペット溶液による細胞質の置換を引き起こす。対照的に、穿孔パッチモードでは、抗生物質であるアンホテリシンがピペット溶液中に存在し、拡散して、シールが達成された後、数分間に亘って、細胞と接触するようになる。アンホテリシンは、ピペット下で膜中にイオン透過性孔を形成し、いくつかのイオンの通過を可能にするが、しかしほとんどの未変性細胞質ゾル構成成分を保持する。還流系は細胞外溶液の制御を可能にし、例えば電流の阻害剤及び活性剤の添加を可能にする。電流は、溶液に5μM AITCを添加することによって活性化することができる。
TRPA1細胞を20−48時間誘導し、増殖プレートから取り出し、そして測定のためにカバーガラス上に低密度(良好な単一細胞の物理的分離のため)で再度まいた。いくつかの場合に、細胞をカバーガラス上で低密度で一晩増殖させた。パッチクランプ記録を、−40mVの保持電位で全細胞モードで実行した。5秒毎に、電位勾配を、−120から+100mVまで、400ms間持続して適用した。誘発された電流を、−80mV及び+80mVで定量した。内部溶液は、140mMアスパラギン酸セシウム、10mM EGTA、2.2mM CaCl、2.08mM MgCl及び10mM HEPES、pH7.2と、実験直前に添加された50nM算定遊離Ca2+及び60mg/mlアンホテリシンで構成された。外部溶液は、150mM塩化ナトリウム、4.5mM塩化カリウム、3mM塩化マグネシウム、10mM HEPES、10mMグルタミン、1mM EGTA、pH7.4からなっていた。AITCの添加時に、TRPA1電流をTRPA1発現細胞中でのみ誘導し、親HEK293TREx細胞では誘導しなかった。AITC刺激を除去すると、ほとんどの電流が消失した。電位遮断剤を、連続的なAITCの存在下での内向きおよび外向き電流の両方を遮断する能力に関して試験した。
化合物のIC50を、5μM及び500nMで各化合物を試験することによって概算した。5μM化合物が遮断を示さなかったときは、IC50は>10μMであると概算した。5μM化合物が50%かそれより低い遮断を示したときは、5〜10μMの範囲でのIC50の概算がなされ得た。500nM〜5μMの間の化合物のIC50を、同様に概算した。500nMで50%またはそれ以上を遮断する化合物を、様々な濃度で再試験し、そして各々での遮断%を標準方程式に適合させて、5〜6ポイント濃度/反応実験を用いて正確にIC50を確定した。指示された場合を除いて、表1、2、3及び4に示されたIC50値はパッチクランプ実験により得た。
実施例3:その他のスクリーニング検定
ここに提供されたTRPA1の阻害薬の例は実施例1及び2に記載した検定を用いて確認した一方で、その他の細胞ベースの検定を用いてTRPA1阻害薬を同定し、および/又は特性化し得る。ひとつのそのような検定は米国特許出願番号11/078,188、出願日2005年3月11日、に記載されている(それらの全ての記載内容は参照により本明細書中で援用されるされる)。TRPA1タンパク質は出願番号11/078,188に示された原核生物細胞系で発現され得るし、この系はTRPA1タンパク質の活性を調節する化合物のスクリーンに用い得る。あるいは、TRPA1以外のイオンチャネルは原核生物細胞系で発現され得るし、そしてこの系はその他のイオンチャネルに関する同定されたTRPA1阻害薬の活性プロフィールを評価するために用いられ得る。
TRPA1活性を阻害する化合物を同定し、及び/または特性化するために実施される任意の検定は、高処理量様式で行うことができ、あるいは個々の化合物または化合物の少数を試験することをより小規模で実行可能である。加えて、これらのどの検定も、(i)TRPA1の機能を阻害する化合物を同定するための一次検定として、(ii)その他のイオンチャネルに対するその活性に関して化合物の特異性を評価するための二次検定として、(iii)対象化合物を最適化するための医薬化学プログラムに用いられる検定として、実施され得る。
実施例4:疼痛の熱性損傷モデルにおけるTRPA1アンタゴニストの試験
熱性損傷モデルを用いて、下記のプロトコルを用いる侵害受容性疼痛の治療における例示的TRPA1阻害薬の有効性を評価した。雄ホルツマンラット(約300グラム)を、ハーグリーブス型装置を用いて熱回避潜伏期で試験した。軽度の麻酔下で、熱性損傷(52℃、45分)を一方の踵に適用する。この動物を、損傷前、ならびに損傷後30、60、80及び120分に、傷害及び非傷害の足の熱回避潜伏期を試験する。薬剤(あるTRPA1阻害薬)またはビヒクル(0.5%メチルセルロース)を、基準測定の後及び熱性損傷の約15〜20分前に投与する。回避潜伏期測定に加えて、行動観察を実験全体を通して行う。
実施例5:神経障害性疼痛のチャンモデルにおけるTRPA1アンタゴニストの試験
要するに、雄SDラット(約175グラム)を、L4/5神経を結紮して準備する。5〜8日後、動物を、Von Frey毛を用いた触覚性アロデニアに関して試験する。閾値を、「上げ下げ」法により評価する。薬剤またはビヒクルを投与し、そして動物を次の4時間に亘って定期的に試験する。
実施例6:合成方法
EDCIを用いたカップリングによるアミドの調製のための一般手順A
DMF(20mL)中のテオフィリン−7−酢酸(2mmol)、DMAP(2mmol)置換フェネルチアミン(2mmol)及びDIPEA(4mmol)の混合物に、EDCI(2mmol)を添加する。反応混合物を40℃に加熱し、一晩撹拌する。その溶液を真空濃縮し、残渣を酢酸エチル(100ml)に溶解し、水、クエン酸(10%)、NaHCO(飽和)及び塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、そして真空濃縮する。粗生成物を、メタノール/酢酸エチル(1〜8%)溶出によるシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
酸塩化物を経由したアミドの調製のための一般手順B
クロロホルム(15mL)及びアセトニトリル(15mL)中のテオフィリン−7−酢酸(2mmol)の懸濁液を、氷水浴中で冷却する。次に、塩化オキサリル(2.2mmol)を滴下する。触媒DMF(25μL)を次に添加する。混合物を室温で一晩撹拌する。その後、その溶液を氷水浴中で冷却し、DMAP(2.5mmol)を一部ずつ添加する。置換フェネルチアミンを滴下して、反応混合物を室温で一晩撹拌する。クロロホルム(50mL)で希釈した後、この混合物を水、クエン酸(水中10%)、NaHCO(飽和)で洗浄しNa SO で乾燥し、真空濃縮する。この粗生成物を、メタノール/酢酸エチル(1〜8%)溶出によるシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
ジヒドロピリミジン−ジオン2は1−プロピル尿素(1)及びエチル2−シアノアセテートを反応させることにより調製し、これはその後、化合物6、エチル2−(2,6−ジオキソ−1−プロピル−2,3−ジヒドロ−1H−プリン−7(6H)−イル)アセテートを得るために臭素、エチル2−アミノ酢酸塩、及びトリエトキシメタンで処理される。得られたジヒドロプリン6は、メチル化、加水分解、ならびにCDI下でのカップリング反応により、化合物10に変換され得る。
ジヒドロピリミジン−ジオン2は1−プロピル尿素(1)及びエチル2−シアノアセテートを反応させることにより調製され、これはその後、化合物6、エチル2−(1−メチル−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−プリン−7(6H)−イル)アセテートを得るために臭素、エチル2−アミノ酢酸塩、及びトリエトキシメタンで処理され得る。得られたジヒドロプリン6は、アルキル化反応、加水分解、及びCDIにより触媒されるカップリング反応を通して化合物10に転化され得る。
N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミンは尿素2に転化され、これは次に、ジヒドロピリミジン−ジオン3を得るためにエチル 2−シアノアセテートと反応され得る。その後、化合物3が、化合物7、エチル 2−(1−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−プリン−7(6H)−イル)アセテートを得るために、臭素、エチル 2−アミノ酢酸塩およびトリエトキシメタンで処理され得る。得られたジヒドロプリン7は、アルキル化反応、加水分解、及びCDIにより触媒されるカップリング反応を通して化合物11に変換され得る。
化合物2は、ジヒドロプリン1を2−p−トリルエタノールとカップリングさせることにより調製され得る。
ジヒドロプリン1のエステル化とその後のLAHによる還元、Swern酸化及びカップリング反応は化合物5を生じ得るが、これはその後、メチル化、アシル化またはスルホニル化を通して化合物6、化合物7および化合物8に転化され得る。
ジヒドロプリン1は、化合物2を得るために、CDIにより2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エタンアミンと結合され得る。
2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)エタンアミン 4は、1−フェニルピペラジンと2−クロロアセトアミドとの反応と、その後のLAHを用いた還元反応により調製され得る。次にアミン4は、化合物6を得るためにジヒドロプリン5と結合され得る。
2−(1−ベンジル−1H−イミダゾール−2−イル)エタンアミン4は、イミダゾールの保護とその後のアルキル化及びTFAを用いた脱保護反応により調製され得る。アミン4は次に、化合物6を得るためにジヒドロプリン5と結合され得る。
n−BuLiによるイミダゾール1の処理と、その後のアルキル化反応、及びTFAを用いた脱保護反応は、2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)エタンアミンを生じる。アミン3は、化合物5を得るためにジヒドロプリン4と結合され得る。
2−(チアゾール−2−イル)エタンアミン3は、チアゾール1のn−BuLiによる処理と、その後のBoc保護化2−ブロモエタンアミンの付加、及びTFAを用いた脱保護反応により調製され得る。得られたアミン3は次に、化合物5を得るためにカルボン酸4と結合され得る。
オキサゾール1のn−BuLiによる処理と、その後のアルキル化反応、ならびにTFAを用いた脱保護反応は、2−(オキサゾール−2−イル)エタンアミン3を生じる。アミン3は、化合物6を得るためにジヒドロプリン4と結合され得る。
化合物10(スキーム12)は、スキーム1に示された同様の反応手順にしたがって調製され得る。
LDA及びジブロモプロパンによる保護化インドリン2の処理は化合物3を生じ、これはその後、プリン−ジオン4と反応された後、加水分解反応により化合物6を得る。
p−トリメタノール(1)は1−(ブロモメチル)−4−メチルベンゼン2に転化され、これは、化合物3を与えるためにマグネシウム及びアシルブロミドで処理され得る。NCHCOEtによるアルケン3の処理と、その後の還元反応により、(2−(4−メチルフェネチル)シクロプロピル)メタノール(5)が生じる。シクロプロピルメタノール5はMsClと反応されて、結果として生成する化合物6は、化合物8を得るためにプリン−ジオン7と結合され得る。
2−(5−メチルピリジン−2−イル)メタンアミン4は、2−クロロ−5−メチルピリジン(1)を2−ブロモ−5−メチルピリジンに転化し、その後、Boc保護化2−ブロモエタンアミンと反応させて、TFAにより保護基を除去することにより、調製され得る。得られたアミン4は次に、化合物6を得るためにカルボン酸5と結合され得る。
LAHは、エチル6−メチルニコチネートを還元してアルコール2を得るが、これは、酸化され、その後、化合物4を得るためにMeNOで処理され得る。化合物4はアミン4に還元され、これは、化合物7を得るためにカルボン酸6と結合され得る。
実施例7:N−(4−(4−(ジエチルアミノ)フェニル)チアゾール−2−イル)−2−(1,3−ジメチル−2,6−ジオキソ−3,4,5,6−テトラヒドロ−1H−プリン−7(2H)−イル)アセトアミドの合成
45mLのHBr(水48%)中の4’−ジエチルアミノアセトフェノン(20.80g、0.109mol)の溶液に、35mL HBr中の臭素(5.50mL、0.109mol)の溶液を、20分間に亘って添加漏斗で徐々に添加した。反応混合を室温で一晩撹拌し、300mLの水で希釈し、そしてNaHCO/氷混合物上に注いだ。混合物をクロロホルム(2×400mL)で抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、次にNaSO上で乾燥した。蒸発させた後、この緑色油を120mLエタノール中に溶解した後、チオ尿素(8.30g、0.109mol)を加え、この溶液を2時間還流した。ロトバップ上での約50mLエタノールの蒸発後、フラスコ中に多数の固体が沈殿した。混合物を濾過し、エタノール(100mL)で洗浄し、次に真空下で乾燥して、茶色っぽい固体20.86g(77%)を得た。参照として、J. Org. Chem. 2003,68,839−853。
炉乾燥丸底フラスコ中で、テオフィリン−7−酢酸(3.18g、13.3mmol)及びトリエチルアミン(2.5mL、18.2mmol)を60mLのDMF中に溶解し、次に、4−(ジエチルアミノ−フェニル)−チアゾール−2−イルアミン(3.00g、12.1mmol)を加えた。アミン全てが溶解した後、この溶液を20分間氷水浴中で冷却し、次に、HATUを一部ずつ添加した。反応混合物を次第に室温まで温めて、この温度で90分間撹拌した。質量とTLCはアミンの消費を示した。この溶液を0℃で500mLブライン中に注ぎ入れ、この濁った懸濁液をこの温度で30分間撹拌した。この懸濁液を濾過し、水とエーテルで洗浄した。固体をオーブン(50℃)中で2時間乾燥し、次に、オフホワイト色の固体を500mLの酢酸エチル/10%メタノール中に懸濁し、そして2時間還流した。熱濾過を行い、そして固体をエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して、白色固体4.00g(71%)を得た。融点:305〜307℃。R=0.31(酢酸エチル)。
参照による援用
ここで言及した全ての出版物及び特許は、各々個々の出版物及び特許が特定的に及び独立して参照により援用されることが示されたように、参照により本明細書中で援用される。
対応
当業者は、ここに記載された本発明の具体的な実施形態と等価なものを多数、認識するであろうし、あるいは慣例的な実験にすぎないものを用いて確認し得る。このような等価物は、下記の特許請求の範囲に包含されるよう意図されている。
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