JP2010529041A - Bmp−10活性を調整する方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
BMP−10のアゴニストおよびアンタゴニストを用いて、心臓、腎臓および血管の細胞機能および恒常性を調整する方法および組成物が開示されている。特に、BMP−10関連の血管、腎臓、線維性および心臓の疾患および/または障害を治療、予防、および/または診断する方法が開示されている。BMP−10モジュレータ、例えば、アゴニストおよびアンタゴニストを評価するスクリーニング方法も開示されている。
Description
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年6月1日に出願された米国出願番号第60/932,815号の優先権を主張する。上述した出願の内容は、その全体を出典明示により本明細書の一部とする。
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(配列表)
pdfおよびtxt形式の配列表の電子コピーは、これと共に提出されている。
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骨形態形成タンパク質(BMP)は、異所性骨形成を誘発するそれらの初期の生物活性に由来し、トランスフォーミング成長因子β(TGFβ)ファミリーに属する。TGFβファミリーの他のメンバーは、増殖分化因子(GDF)、アクチビン、インヒビン、および、節およびミュラー管抑制物質(MIS)を含む(Massague, J. (1998) Annu. Rev. Biochem. 67:753-791)。TGFβファミリーのメンバーは、プレ−プロペプチドとして発現され、それはタンパク分解処理されて、シスチン―結節サイトカインとして分泌される。大部分のTGFファミリーのメンバーは、タイプIおよびタイプIIのセリン/スレオニン・キナーゼレセプターの異種複合体と結合する。加えて、タイプIII受容体(ベータグリカンおよびエンドグリン)は、シグナル伝達カスケードを強化することができるコレセプターとして作用する(Shi, Y. and Massague, J. (2003) Cell 113:685-700で再検証)。リガンド結合によって、タイプIIレセプターはタイプIレセプター(アクチビン・レセプター様キナーゼ(ALK)としても知られている)をリン酸化し、活性化し、そして、それは次にSmadタンパク質(Smad1、Smad2、Smad3、Smad5またはSmad8)をリン酸化する。リン酸化されたSmadは共通パートナー(Smad4)と二量体化し、そして、この複合体は、標的遺伝子の転写を調整する核に転位される。抑制性Smad(Smad6およびSmad7)は、このシグナリング・プロセスを中断することができる(Derynck, R. and Zhang, Y.E. (2003) Nature 425:577-584参照)。TGFファミリーのメンバーは発育上および形態形成上の作用の様々な変動範囲を媒介し、そして、細胞増殖、転位および分化プロセス(例えば、脂肪生成、筋生成、軟骨形成、心臓生成、血液生成および上皮細胞分化)を含む(概説については、Ducy, P. and Karsenty, G. (2000) Kidney International 57:2207-2214; Nakayama et al. (2000)) Cell Mol. Life Sci 57:943-956参照)。
骨形態形成タンパク質10(BMP−10)は、ハーバート・ノイハウス(Herbert Neuhaus)によって1999年にクローン化され、心臓の発達におけるその生物学的作用について研究された(Neuhaus et al. (1999) Mechanism of Development 80:181-184)。典型的切断部位は、モノマー当たり421のアミノ酸タンパク質をプロ領域(309のアミノ酸)および約108のアミノ酸残基の成熟した領域に分ける。成熟したBMP−10タンパク質は、TGFファミリーのメンバーに典型的に見られる6〜7つのシステインの立体的に保存されたパターンを有する。BMP−10シグナルは、心臓の誘導、未発達の心臓の肉柱形成、および心室筋細胞系統の明確化を含む、心臓の発達の複数のステップを媒介することが示された(Schneider (2003) Cytokine Growth Factor Rev. 14:1-4参照)。
Massague, J. (1998) Annu. Rev. Biochem. 67:753-791
Shi, Y. and Massague, J. (2003) Cell 113:685-700
Derynck, R. and Zhang, Y.E. (2003) Nature 425:577-584
Ducy, P. and Karsenty, G. (2000) Kidney International 57:2207-2214
Nakayama et al. (2000)) Cell Mol. Life Sci 57:943-956
Neuhaus et al. (1999) Mechanism of Development 80:181-184
Schneider (2003) Cytokine Growth Factor Rev. 14:1-4
TGFファミリーのメンバー、特にBMP−10に関連する広範囲の活性が得られるが、このファミリーのメンバー、例えば、BMP−10に関連する新規な活性およびモジュレータを同定することの必要性がまだ存在する。
本発明は、少なくとも一つには、骨形態形成タンパク質−10(BMP−10)のインビボ過剰発現が遺伝性出血性毛細管拡張症(HHT)と同様の表現型を伴う動物モデルにおいて血管形成異常をもたらすという知見に基づく。該知見は、心臓および血管の恒常性の調節におけるBMP−10の発現に関与する。血管機能を調整することにおけるBMP−10の役割をさらに支持するために、BMP−10は、インビトロで内皮細胞における細胞シグナル現象および遺伝子発現を活性化することが示された。他の実施態様において、BMP−10は、インビトロで腎臓細胞の一つ以上のシグナル経路および遺伝子発現を活性化することが示された(例えば、ヒト初期腎臓近位尿細管上皮細胞)。本発明者らは、肝臓、肺、腎臓および心臓を含むさまざまな器官および組織の線維症とBMP−10との関連性をさらに見出した。したがって、本発明は、一つには、BMP−10のアゴニストおよびアンタゴニストを使用して、BMP−10機能(例えば、心臓および血管の恒常性、腎機能、および/または、線維組織の形成および/または蓄積)を調整する方法および組成物を提供する。特に、BMP−10に関連する疾患および/または障害(例えば、BMP−10に関連する血管、心臓、腎臓および/または線維形成の疾患および障害)を治療、予防、および/または診断する方法が開示されている。BMP−10モジュレータ(例えば、BMP−10機能または発現のアゴニストおよびアンタゴニスト)を評価するスクリーニング方法も開示されている。
したがって、一の態様において、本発明は、BMP−10応答性細胞、組織および/または器官(例えば、血管(例えば、内皮の、平滑筋)、腎臓および/または心臓の細胞または組織、または線維症組織または器官)のBMP−10の機能(例えば、一つ以上の生物活性)を調整する方法を特徴とする。該方法は、BMP−10応答性細胞、組織および/または器官の機能(または細胞、組織および/または器官のBMP−10の生物活性)を調整するのに十分な量において、BMP−10モジュレータ、例えば、BMP−10のアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、BMP−10のヒトの成熟体またはプロペプチドの形状のアゴニストまたはアンタゴニスト)により、BMP−10応答性細胞、組織および/または器官を接触させることを含む。一の実施態様において、接触ステップを、例えば、細胞可溶化物、または、再構成されたシステムにおいて、インビボで達成することができる。あるいは、目的の方法を、培養細胞、例えば、インビトロまたはエクスビボにおいて、実施することができる。例えば、細胞(例えば、精製された、または、組換え細胞)をインビトロで培養することができ、そして、接触ステップをBMP−10モジュレータを培養液に加えることによって達成することができる。実施態様において、細胞は、あらかじめまたは同時にBMP−10にさらされる。典型的には、BMP−10応答性細胞は、哺乳類の細胞(例えば、ヒト細胞)である。いくつかの実施態様においては、BMP−10応答性細胞は、内皮細胞または細胞(例えば、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVECS)、ヒト大動脈内皮細胞(HAECS))の集団;血管平滑筋細胞またはその集団;心臓細胞(例えば、心筋細胞)またはその集団;あるいは腎臓細胞(例えば、ヒト腎臓近位尿細管細胞)またはその集団である。他の実施態様において、BMP−10組織は、内皮、血管、心臓、腎臓または線維形成の組織または器官(例えば、肝臓、肺、腹膜、腎臓または心臓の線維性または線維状の組織)である。他の実施態様において、その方法を、例えば、インビボ(例えば、治療または予防の)プロトコルの一部として、被験者、または、動物の被験者(例えば、心血管虚血性モデルまたは遺伝子変異モデルのようなインビボ動物モデル、例えば、BMPレセプター(BMPR2)に突然変異を有する動物モデルまたはNKX2−5欠損性の動物;または線維症動物モデル)に存在する細胞(例えば、BMP−10応答性細胞)において実施することができる。実施態様において、被験者は、BMP−10の発現または活性が上昇している。
インビボ方法について、BMP−10モジュレータは、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて、BMP−10関連の血管、心臓、腎臓、または線維形成の疾患および/または障害に罹患している被験者(例えば、哺乳類)に、被験者のBMP−10機能(例えば、一つ以上のBMP−10活性)を変調するのに十分な量で投与されうる。
いくつかの実施態様において、例えば、被験者に対する投与の前に、BMP−10モジュレータ(例えば、アンタゴニスト)の総量または適用量は、一つ以上のBMP−10生物活性(例えば、本明細書において記載されているBMP−10活性の一つ以上)を調整、例えば、減少または阻害するのに必要とするBMP−10アンタゴニストの総量を試験することによって決定されうる。インビボ方法は、所望により、障害または疾患に関連する一つ以上の症状を有する危険性のある、または、有している被験者を特定(例えば、評価、診断、スクリーニングおよび/または選択)するステップ(複数)を含みうる。
阻害、低下または一つ以上のBMP−10生物活性の減衰が要求される実施態様において、BMP−10応答性細胞および/または組織は、例えば、被験者にBMP−10アンタゴニストを投与することによって、BMP−10アンタゴニストに接触する。一の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプター(また、それぞれ、本明細書において、「BMP−10アンタゴニスト」および「BMP−10レセプターアンタゴニスト」と称される)に相互作用、例えば、結合し、そして、一つ以上のBMP−10および/またはBMP−10レセプター活性を低下または阻害する。典型的には、拮抗されるBMP−10またはBMP−10レセプターは、哺乳類、例えば、ヒトのBMP−10またはBMP−10レセプター(またはその機能的な変異体)である。実施態様において、拮抗されるBMP−10は、成熟したBMP−10配列(例えば、図2(配列番号2)に示されるヒトBMP−10のアミノ酸配列またはそれに実質的に対応する配列、または図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列またはそれに実質的に対応する配列によってコード化されるアミノ酸配列の中で、アミノ酸約314〜424または一部のアミノ酸配列からなる成熟したBMP−10配列)を含む。他の実施態様において、拮抗されるBMP−10は、プロペプチドBMP−10配列(例えば、図2(配列番号2)に示されるヒトBMP−10アミノ酸配列またはそれに実質的に対応する配列、または図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列またはそれに実質的に対応する配列によってコード化されるアミノ酸配列の中で、アミノ酸約22〜424または一部のアミノ酸配列からなるプロペプチドBMP−10配列)を含む。実施態様において、拮抗されるBMP−10レセプターは、エンドグリンまたはアクチビン・レセプター様キナーゼ(ALK)−1、−3または−6(例えば、図3D(配列番号4)に示されるか、または、図3A−3C(配列番号3)に示されるヌクレオチド配列からなる核酸によってコード化される、哺乳類の、例えば、ヒトのALK−1のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなるALK−1または−3;または図4C(配列番号6)に示されるか、または図4A−4B(配列番号5)に示されるヌクレオチド配列からなる核酸によってコード化されるアミノ酸配列からなるヒトALK−3;またはそれに実質的に対応する配列)である。
典型的なアンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプターに、高い親和性(例えば、約107M−1、典型的には、約108M−1、さらに典型的には約109M−1〜1010M−1またはそれ以上の親和定数)で結合し、BMP−10応答性細胞、組織および/または器官(例えば、血管(例えば、内皮、平滑筋)および/または心臓、細胞または組織、または線維形成の組織または器官)において一つ以上のBMP−10生物活性を低下および/または阻害する。本発明の方法および組成物を用いて阻害または低下されうる典型的なBMP−10活性は、これに限定されるものではないが、1つ以上の以下:(i) Smadタンパク質のリン酸化(例えば、Smad1、5および/または8のリン酸化);(ii) ミオスタチン、エンドグリンおよび/または抑制性Smadの遺伝子発現の誘導(例えば、Smad6および/または7の発現の誘導);(iii) 一つ以上のプロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)の発現の増加;(iv)Ras関連タンパク質1a(Rap1a)の発現の減少;(v) 図22−28において同定された、インビトロまたはインビボ内皮または腎臓細胞のBMP−10刺激に応答する一つ以上の遺伝子の発現の調整、例えば、増加または減少;(iv)ストロマ由来の分化要因(SDF−1)および/またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清濃度の増加;および/または(iv)血管異常(例えば、血管形成異常、大量出血、毛細管拡張症および/または動静脈奇形)の増加を含む。
一の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプターに対する抗体分子である。抗体分子は、モノクローナルまたは単一特異性抗体、または、BMP−10またはBMP−10レセプター(例えば、哺乳類(例えば、ヒトBMP−10またはBMP−10レセプター(またはその機能的な変異体))に結合する、その抗原−結合断片(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、単鎖Fv断片、単一領域の抗体、ジアボディー(diabody)(dAb)、二価または二重特異性抗体、またはその断片、その単一領域の変異体、またはラクダ科の動物またはサメ抗体)でありうる。実施態様において、抗体分子は、成熟したBMP−10(例えば、本明細書において記載されている成熟したヒトBMP−10)と結合する。典型的には、抗体分子は、ヒトの、ヒト化された、キメラの、ラクダ科の動物の、サメの、または、インビボ生成された、ヒトBMP−10またはヒトBMP−10レセプター・ポリペプチドに対する抗体(またはその機能的な断片、例えば、本明細書において記載されている抗体断片)である。典型的には、抗体は、BMP−10またはBMP−10レセプターの一つ以上の活性(例えば、本明細書において記載されているBMP−10の一つ以上の生物活性)を阻害、低下または中和する。
一の態様において、抗体分子は、成熟したBMP−10ポリペプチド(例えば、図2(配列番号2)の、アミノ酸約314〜424またはその断片からなるエピトープ、例えば、アミノ酸約314〜325、325〜335、335〜345、345〜355、355〜365、365〜375、375〜385、385〜395、395〜405、405〜415および415〜424)と結合して、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。別の実施態様において、抗体分子は、BMP−10プロペプチド(例えば、アミノ酸約22〜424またはその断片からなるエピトープ(例えば、図2(配列番号2)の中で、アミノ酸約22〜313、22〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、150〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜210、210〜220、220〜230、230〜240、240〜250、250〜260、260〜270、270〜280、280〜290、290〜300、300〜310)と結合し、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。さらに他の実施態様において、抗体分子は、BMP−10プロペプチドの切断部位に結合し、例えば、配列番号2のアミノ酸約21−22または313−314に位置するエピトープに結合し、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。実施態様において、抗体分子は、BMP−10レセプター、例えば、エンドグリン(例えば、ヒトエンドグリン);またはアクチビン・レセプター様キナーゼ(ALK)−1、−3または−6(例えば、図3D(配列番号4)および図4C(配列番号6)にそれぞれ示される、哺乳類の、例えば、ヒトのALK−1および−3と同一のアミノ酸配列からなるALK−1または−3)、またはそれに実質的に対応する配列に結合し、そして、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。
抗体分子は、完全長であり、(例えば、少なくとも1つ、典型的には2つの完全な重鎖、および、少なくとも1つ、典型的には2つの完全な軽鎖を含むことができ)あるいは、抗原−結合断片(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、単鎖Fv断片または単一領域の抗体またはその断片)を含むことができる。さらに他の態様において、抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEの重鎖定常領域から選択される、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の(例えば、ヒト)重鎖定常領域から選択される、重鎖定常領域を有する。他の態様において、抗体分子は、例えば、カッパまたはラムダの(例えば、ヒト)軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。定常領域は、抗体の特性を修正するために(例えば、Fcレセプター結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能および/または補足機能の一つ以上を増減するために)、変異、例えば、突然変異されうる。
他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10レセプター・ポリペプチド(例えば、BMP−10レセプター・ポリペプチドの抑制性BMP−10結合領域)の完全長または断片である。例えば、アンタゴニストは、BMP−10レセプターの可溶形態(例えば、BMP−10結合領域からなる哺乳類の(例えば、ヒトの)ALK−1、−3または−6の可溶形態;例えば、哺乳類の(例えば、ヒトの)ALK−1、−3または−6の細胞外領域の可溶形態)でありうる。例えば、BMP−10アンタゴニストは、ヒトALK−1(図3D;配列番号4)のうちのアミノ酸約22〜118、または、ヒトALK3(図4C;配列番号6)のアミノ酸約24〜152を含みうる。他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、哺乳類の(例えば、ヒト)アクチビン・レセプター(例えば、図5B;配列番号18のアミノ酸約17〜133を含む、例えば、アクチビン・レセプターIIB(ActRIIB)の可溶形態である。
さらに他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10拮抗的なプロペプチド(例えば、抑制性複合体を成熟したBMP−10により形成することができる、BMP−10の不完全なまたは変異体の形態(例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約22〜313からなるヒトBMP−10のプロペプチド領域の不完全なまたは変異体の形態)またはその部分または変異体)である。
BMP−10レセプターまたはBMP−10拮抗的なプロペプチドの可溶形態は、単独で使用されうるかまたは機能的に第2の部分(例えば、免疫グロブリンFc領域、血清アルブミン、PEG化、GST、Lex−AまたはMBPポリペプチド配列)に、結合(例えば、化学的結合、遺伝子またはポリペプチドの融合、非共有結合など)されうる。融合タンパク質は、さらに、第1の部分(例えば、可溶なBMP−10レセプターまたはBMP−10プロペプチド)を第2の部分に結合しているリンカー配列を含みうる。他の実施態様において、付加的なアミノ酸配列は、発現、立体的柔軟性、検出および/または単離または精製を容易にするために、融合タンパク質のN末端またはC末端に加えられうる。例えば、BMP−10レセプターまたはBMP−10拮抗的なプロペプチドの可溶形態は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEを含む、さまざまなアイソタイプの重鎖定常領域に融合することができる。典型的には、融合タンパク質は、例えば、ヒト免疫グロブリンFc鎖、例えば、ヒトIgG(例えば、ヒトIgG1またはヒトIgG2またはその変異体の形態)に融合した、ヒトBMP−10レセプターまたはBMP−10プロペプチド(またはそれに対応する配列)の細胞外領域を含むことができる。Fc配列は、エフェクター細胞機能、Fcレセプター結合および/または補足活性を低下させるために、一つ以上のアミノ酸で変異することができる。ヒトIgG1Fcと融合するActRIIBのアミノ酸約17〜133からのアミノ酸配列を含む典型的な融合タンパク質は、図5B;配列番号18に示される。
本明細書において記載されている抗体分子および可溶性または融合タンパク質は、その中に一つ以上の他の分子存在物、例えば、抗体(例えば、二重特異性であるかマルチ特異性の抗体)、毒素、放射性同位元素、細胞障害性であるか細胞増殖抑制薬剤に、機能的に(例えば、化学的結合、遺伝子の融合、非共有結合、その他によって)結合されることができることが理解されるであろう。
さらに別の実施態様では、BMP−10アンタゴニストは、結合領域融合変異体または低分子である。結合領域融合変異体は、CH1以外(例えば、IgGおよびIgAのCH2およびCH3領域またはIgEのCH3およびCH4領域)の重鎖からの一つ以上の天然または設計された定常領域からなる領域に次に融合するかまたは接続している、ヒンジまたはヒンジ作用領域のポリペプチドに融合するかまたは接続している結合領域ポリペプチドを典型的に含む変異体分子の実施例を提供する。典型的には、結合領域融合変異体または低分子は、哺乳類の、例えば、ヒトのBMP−10またはBMP−10レセプターに、少なくとも約107 M-1、典型的には、約108 M-1、より典型的には、約109 M-1 から 1010 M-1またはそれ以上の親和性で結合し、本明細書において記載されているように、一つ以上のBMP−10生物活性を低下および/または阻害する。実施態様において、結合領域融合変異体または低分子は、成熟したBMP−10配列(例えば、図2(配列番号2)の中で、アミノ酸約314〜424、または、その断片、例えば、アミノ酸約314〜325、325〜335、335〜345、345〜355、355〜365、365〜375、375〜385、385〜395、395〜405、405〜415および415〜424)と結合し、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。もう一つの実施態様において、結合領域融合変異体または低分子は、BMP−10プロペプチド(アミノ酸約22〜424またはその断片、(例えば、図2(配列番号2)の中で、アミノ酸約22〜313、22〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、150〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜210、210〜220、220〜230、230〜240、240〜250、250〜260、260〜270、270〜280、280〜290、290〜300、300〜314)と結合し、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。さらに他の実施態様において、結合領域融合変異体または低分子は、BMP−10プロペプチドの切断部位に結合し、例えば、配列番号2のアミノ酸約21―22または313―314に位置する領域に結合し、そして、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。実施態様において、結合領域融合変異体または低分子は、BMP−10レセプター、例えば、エンドグリン(例えば、ヒトエンンドグリン);または、アクチビン・レセプター様キナーゼ(ALK)−1、−3または−6(例えば、図3D(配列番号4)および図4C(配列番号6)でそれぞれ示される、哺乳類の、例えば、ヒトのALK−1および−3と同一のアミノ酸配列からなるALK−1または−3)またはそれに実質的に対応する配列に結合し、そして、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。
さらにもう一つの実施態様では、BMP−10アンタゴニストは、KL−4 表面活性物質(lucinactant)またはその変異体である。例えば、BMP−10アンタゴニストは、天然ヒト肺表面活性物質(例えば、ヒト表面活性物質タンパク質B(SPB)の特性にきわめて類似するように設計されているKL−4タンパク質様物質)の設計された変形であることができる。他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、自然に生じるBMP−10アンタゴニストのアミノ酸配列、またはそれに実質的に対応する配列を有する。例えば、BMP−10アンタゴニストは、子宮の感作関連gene1(USAG−1)、スクレロジン(sclerosin)、ノジン、コーディン、グレムリンまたはねじれた原腸形成、またはその変異体または断片から選択される自然に生じるBMP−10アンタゴニストのアミノ酸配列を有することができる。
もう一つの実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプターをコード化している核酸の発現を阻害する。このようなBMP−10アンタゴニストの例は、核酸分子、例えば、アンチセンス分子、リボザイム、RNAi、BMP−10またはBMP−10レセプターをコード化している核酸にハイブリダイズする三重らせん体分子、または転写調節領域を含み、そして、BMP−10またはBMP−10レセプターのmRNA発現を阻害または低下させる。
インビボの実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10関連の障害および/または疾患を有する危険性がある、または、有している被験者に投与されることができる。被験者は、例えば、BMP−10関連の血管、腎臓、線維形成、または、心臓の障害または疾患を患っている、哺乳類(例えば、ヒト)であることができる。例えば、被験者は、血管障害または内皮細胞機能不全によって特徴づけられる障害、例えば、以下の一つ以上から選択される疾患または障害で苦しんでいる哺乳類(例えば、ヒト患者)である。:遺伝性出血性毛細管拡張症(HHT);腎臓症候群、腎症(例えば、糖尿病性腎症)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症)、新脈管の緑内障および他の糖尿病の脈管障害;脳卒中、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化、末梢血管疾患、高血圧(例えば、肺高血圧)、肺疾患、高脂血症、血栓症および/または再狭窄。BMP−10アンタゴニストは、望ましくないか過剰な内皮細胞増殖または新血管形成によって特徴づけられる腫瘍性および非腫瘍性血管障害を治療するかまたは防止するために用いることもできる。添付の実施例に示すように、BMP−10の投与は、培養の内皮細胞のプロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)の発現を増加させて、インビボでSDF−1bおよびMMP−9の発現を増加させた。従って、これらの遺伝子およびタンパク質のBMP−10誘導の拮抗作用は、脈管形成および血管化を阻害または減少させるために用いることができ、このように、以下の一つ以上から選択される腫瘍性および非腫瘍性の疾患を治療または予防することに有用である:腫瘍(例えば、充実性の悪性腫瘍、例えば、結腸直腸、胃、胸部、肺、腎臓、食道および肝臓の癌腫);および、他の癌障害(例えば、網膜芽腫、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、その他);同様に、非腫瘍性の障害(例えば、慢性関節リウマチ、乾癬および他の慢性の炎症性の障害、角膜および組織移植、その他)。
他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストで処理される被験者は、BMP−10に関連する心臓の疾患または障害を患う。心臓病または心臓の疾患は、例えば、心臓への不十分な血液供給;心臓のリズムの不規則性;および/または心臓の心房から心室への刺激の不完全な伝導、を含む任意の種類の心臓機能不全によって特徴づけられることができる。心臓の疾患の例には、これらに制限されるわけではないが、先天性心臓病、心筋症(例えば、拡張性、肥大性、拘束性の心筋症)、鬱血性心不全および心筋梗塞が含まれる。
他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストで処理される被験者は、線維症の疾患または障害を患う。出願人は、BMP−10のヒト腎臓近位尿細管上皮細胞への付加がプロ線維症遺伝子の発現を誘発することを本明細書において示した(図24−25)。培養の腎臓細胞へのBMP−10の付加も、腎臓上皮細胞を刺激し、BMP−10レセプターアンタゴニストによって遮断される活性化をもたらす(図19−20)。これらの結果は、BMP−10の拮抗作用が線維症疾患または障害を処理または防止することに有用であることができることを示す。線維症疾患または障害は、線維様材料(例えば、細胞外マトリックス)または組織の異常なおよび/または過剰な形成または蓄積によって特徴づけられることができる。実施態様において、線維結合組織は、通常の組織(例えば、通常の平滑筋または他の通常の器官組織)に置き換えられる。線維組織の形成は、修復性または反応性の方法から生じ得る。線維形成の障害または疾患は、これに限定はされないが、心臓、皮膚、腎臓、肺、腹膜、腸および肝臓を含む組織および器官系と同様に、血管病(例えば心臓病、脳疾患および末梢血管疾患)を伴う線維増殖的な疾患を含む(例えば、Wynn, Nature Reviews 4:583-594 (2004), incorporated herein by referenceに開示されるように)。治療されることができる典型的な疾患は、これに限定されるものではないが、腎臓線維症を含み、そして、これに限定されるものではないが、損傷/線維症に関連する腎症、例えば、慢性腎症に関連する糖尿病(例えば、糖尿病性腎症)、ループス、硬皮症、糸球体腎炎、焦点性分節糸球体硬化症およびIgA腎症;肺または肺線維症、例えば、特発性肺線維症、放射線誘発性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、硬皮症および慢性喘息;腸線維症、例えば、硬皮症および放射線誘発性腸線維症;肝臓線維症、例えば、肝硬変、アルコール誘発性肝臓線維症、胆汁導管損傷、原発性胆汁性肝硬変、感染またはウィルス誘発性肝臓線維症、先天性肝臓線維症および自己免疫肝炎;そして、他の線維症障害、例えば、嚢胞性線維症、心内膜心筋線維症、縦隔線維症、肋膜線維症、類肉腫症、硬皮症、脊髄損傷/線維症、骨髄線維症、脈管再狭窄およびアテローム性動脈硬化症を含む。
BMP−10アンタゴニストは、被験者に、単独で、または、一つ以上の薬剤または治療的な形態(例えば、治療薬)と組み合わせて投与されることができ、そして、BMP−10に関連する脈管、腎臓、線維形成または心臓の疾患および/または障害を治療することに有用である。一の実施態様において、第2の薬剤または治療的な形態は、以下の一つ以上から選択される:血管形成術、ベータレセプター遮断薬、高血圧治療薬、強心薬、抗血栓剤、血管拡張薬、ホルモン拮抗物質、エンドセリン・アンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ抑制剤、アンギオテンシン・タイプ2アンタゴニスト、サイトカイン遮断薬/抑制剤、スタチン、抗炎症剤。
BMP−10機能の増加が要求される実施態様において、BMP−10応答性細胞、組織または器官(例えば、脈管(例えば、内皮、平滑筋)、腎臓および/または心臓の細胞または組織)は、例えば、被験者にBMP−10アゴニストを投与することによって、BMP−10アゴニストと接触する。BMP−10アゴニストの例は、BMP−10タンパク質または機能的に活性な断片、ペプチドまたはその変異体(例えば、哺乳類、例えば、ヒト、BMP−10(例えば、本明細書において記載されている成熟したBMP−10またはそれに実質的に対応する配列);またはBMP−10タンパク質または機能的に活性な断片またはその変異体をコード化している核酸(例えば、図1(配列番号1)に示されるヌクレオチド配列を含む核酸(または部分またはその変異体)を含む。本明細書において記載されているように、BMP−10アゴニストが単独で使われることができるかまたは機能的に第2の部分(例えば、免疫グロブリンFc領域、血清アルブミン)に結合(例えば、化学的結合、遺伝子またはポリペプチド融合、非共有結合、またはそれ以外によって)することができる。他の実施態様において、BMP−10アゴニストは、BMP−10レセプター(例えば、本明細書において記載されているレセプター)と結合して、レセプター活性を増加させる。例えば、BMP−10アゴニストは、抗体分子、結合領域融合変異体またはBMP−10レセプターと結合して、一つ以上の活性を刺激する任意の他の薬剤であることができる。
実施態様において、BMP−10アゴニストは、培養またはインビトロの細胞の成長および/または分化を拡大するために用いることができる。例えば、幹細胞は被験者(例えば、BMP−10関連の疾患にかかって、BMP−10アゴニストに接触される患者)から得られることができ、それによって、幹細胞集団を拡張する。拡張された幹細胞は、それから被験者に再導入されることができる。
実施態様において、BMP−10アゴニストは、被験者に投与される。被験者は、例えば、異常に不活性であるか損なわれたBMP−10機能によって特徴づけられる疾患(例えば、異常に不活性であるか途絶された脈管であるか心臓細胞の増殖および/または活性によって特徴づけられる疾患)を患っている哺乳類(例えば、ヒト)であることができる。例えば、BMP−10アゴニストは、内皮細胞損傷の後(例えば、虚血発作または微小血管性脈管障害の後)、疾患または障害を処理するかまたは防止するために用いることができる。いくつかの実施態様において、投与されるBMP−10アゴニストの総量または投与量は、例えば、被験者に対する投与の前に、上述したBMP−10生物活性の一つ以上を増加または刺激するのに必要とされるBMP−10アゴニストの総量をインビトロ または エクスビボでテストすることによって、測定されることができる。インビボ方法が、選択的に、疾患または障害と関連した一つ以上の症状を有する危険性のある、または、有している被験者を確認(例えば、評価、診断、スクリーニングおよび/または選択)するステップを含むことができる。
さらにもう一つ実施態様では、本発明は、被験者において、BMP−10関連の障害および/または疾患(例えば、BMP−10関連の脈管、腎臓、心臓または線維形成の障害および/または疾患)を治療または予防(例えば、治癒、抑制、改善、発病の遅延または防止、または、再発またはぶり返しの防止)する方法を特徴とする。その方法は、被験者にBMP−10アンタゴニスト(例えば、本明細書において記載されているBMP−10アンタゴニスト)を、BMP−10−応答性細胞および/または組織、例えば、脈管(例えば、内皮、平滑筋)、腎臓、および/または、心臓、細胞または組織または線維症組織の一つ以上のBMP−10生物活性(例えば、本明細書において記載されている生物活性)を阻害するかまたは低下させるのに十分な量で、投与することを含み、このことにより、疾患または障害を治療または防止する。被験者は、例えば、本明細書において記載されているBMP−10関連の障害および/または疾患を患っている哺乳類(例えば、ヒト)であることができる。いくつかの実施態様において、投与されるBMP−10アンタゴニストの総量または投与量は、例えば、被験者に対する投与の前に、上述したBMP−10生物活性の一つ以上を阻害するかまたは低下させることを必要とするBMP−10アンタゴニストの量をインビトロまたはエクスビボで試験することによって、決定されることができる。その方法は、選択的に、BMP−10関連の障害および/または疾患(例えば、本明細書において記載されている脈管、腎臓、心臓であるか線維症障害および/または疾患)に関連する一つ以上の症状を有する危険性のある、または、有している被験者を確認(例えば、評価、診断、スクリーニングおよび/または選択)するステップ含むことができる。
BMP−10アンタゴニストは、被験者に、単独に、または、一つ以上の薬剤または治療的な形態(例えば、治療薬)と併用して投与されることができ、そして、それはBMP−10関連の(例えば、血管、腎臓、心臓であるか線維症の)疾患または障害を治療することに有用である。一の実施態様において、第2の薬剤または治療的な形態は、以下の一つ以上から選択される:腫瘍壊死因子抑制剤;抗線維芽細胞成長因子(FGF)抗体;肝細胞増殖因子(例えば、糖尿病性腎症および他の腎臓の徴候の処置において);組織成長因子、プロテインCまたはプロテインSの凝固薬活性を阻害するかまたは中和することできる抗体;抗悪性腫瘍薬(例えば、特に、アルキル化薬、葉酸アンタゴニスト、代謝拮抗物質、5−フルオロウラシル、プリン・ヌクレオシド);血管形成術;ベータレセプター遮断薬;高血圧治療薬;強心薬;抗血栓剤;血管拡張薬;ホルモン拮抗物質;エンドセリン・アンタゴニスト;カルシウムチャンネル遮断薬;ホスホジエステラーゼ抑制剤;アンギオテンシン・タイプ2アンタゴニスト、サイトカイン遮断薬/抑制剤、スタチンおよび/または抗炎症剤。
さらにもう一つの実施態様では、本発明は、異常に不活性であるか阻害されたBMP−10反応性細胞の増殖および/または活性によって特徴づけられる疾患の治療または予防(例えば、治癒、抑制、改善、発病の遅延または防止、または、再発またはぶり返しの防止)の方法を特徴とする。例えば、BMP−10アゴニストは、内皮細胞損傷の後(例えば、虚血発作または微小血管性脈管障害の後)、疾患または障害を治療するかまたは防止するために用いることができる。内皮細胞および/または維管束組織の一つ以上のBMP−10生物活性(例えば、本明細書において記載されている生物活性)を増加または刺激するのに十分な量において、その方法は、被験者に、BMP−10アゴニスト(例えば、本明細書において記載されているBMP−10アゴニスト)を投与することを含み、それによって、疾患または障害を治療または防止する。被験者は、例えば、疾患または障害を患っている哺乳類(例えば、ヒト)であることができる。いくつかの実施態様において、投与されるBMP−10アゴニストの総量または投与量は、例えば、被験者に対する投与の前に、上述したBMP−10生物活性の一つ以上を増加または刺激するために必要とするBMP−10アゴニストの量を試験することによって、決定されることができる。その方法は、任意に、障害または疾患に関連する一つ以上の症状を有する危険性のある、または、有している被験者を確認(例えば、評価、診断、スクリーニングおよび/または選択)するステップを含むことができる。
もう一つの実施態様において、本発明は、血管(例えば、内皮、平滑筋)、腎臓および/または心臓、細胞または組織または線維形成の組織における、BMP−10モジュレータ(例えば、BMP−10発現および/または活性のアゴニストまたはアンタゴニスト)を提供する。例えば、BMP−10アンタゴニスト(例えば、抗BMP−10または抗BMP−10レセプターの抗体、BMP−10プロペプチド、可溶性のBMP−10レセプター(例えば、BMP−10レセプター));または、BMP−10アゴニストは、本明細書において開示される方法を用いて、確認および/または生成されることができる。BMP−10モジュレータを含む組成物(例えば、医薬品組成物)もまた、開示される。組成物(例えば、医薬品組成物)がさらに、第2の治療薬(例えば、本明細書において記載されている第2の治療薬)を含むことができることを付記しておく。
血管および/または心臓の、本明細書において記載されている障害または疾患を治療するために用いるために、BMP−10モジュレータを含むパッケージされた医薬品組成物もまた、本発明によっても含まれる。任意に、パッケージされた医薬品組成物は、ラベルを付され、および/または、本明細書において記載されている血管、腎臓、線維症、および/または、心臓の疾患または障害を治療するために用いるための、いくつかの説明書を含む。
もう一つの実施態様においては、本発明は、BMP−10結合試薬(例えば、抗体分子)、結合領域融合変異体、BMP−10ポリペプチドまたはその断片またはBMP−10をコード化している核酸に、相互作用するか、または、より好ましくは、特異的に結合するアンチセンス核酸分子を特徴とする。一の実施態様において、抗体分子または結合領域融合変異体は、哺乳類(例えば、ヒト)のBMP−10ポリペプチドまたはその断片と結合する。一の実施態様において、抗体分子は、以下に位置するエピトープと結合する:プレ・プロBMP−10ポリペプチド(例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約1〜424);成熟したBMP−10ポリペプチド(例えば、図2(配列番号2)の中で、アミノ酸約314〜424、314〜325、325〜335、335〜345、345〜355、355〜365、365〜375、375〜385、385〜395、395〜405、405〜415、415〜424;BMP−10シグナル配列(例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約1〜21);および/またはBMP−10プロペプチド領域(例えば、図2(配列番号2)の中で、アミノ酸約22〜424、22〜313、22〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、150〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜210、210〜220、220〜230、230〜240、240〜250、250〜260、260〜270、270〜280、280〜290、290〜300、300〜310)。一の実施態様において、抗体分子または結合領域融合変異体は、一つ以上のBMP−10に関連する活性(例えば、本明細書において記載されている活性)を変調、例えば、同調または拮抗する。
一の実施態様では、本発明は、ヒトBMP−10タンパク質と特異的に結合する抗体分子または結合領域融合変異体を提供する方法を特徴とする。その方法は、:ヒトBMP−10タンパク質またはその断片(例えば、本明細書において記載されている少なくとも一部のBMP−10タンパク質からなる抗原)を提供すること;ヒトBMP−10タンパク質またはその断片と特異的に結合する抗体分子または結合領域融合変異体を得ること;そして、抗体分子または結合領域融合変異体がヒトBMP−10タンパク質に特異的に結合するかどうかを評価すること、または、ヒトBMP−10タンパク質の活性を変調、例えば、抑制することにおける、抗体分子または結合領域融合変異体の有効性を評価すること;を含む。その方法は、被験者(例えば、ヒトまたはヒト以外の動物)に抗体分子を投与することを更に含むことができる。
もう一つの実施態様においては、本発明は、試験サンプルにおいて、BMP−10関連の疾患、例えば、血管および/または心臓の疾患(例えば、本明細書において記載されている疾患)を評価、診断および/または進行をモニターする方法を特徴とする。その方法はBMP−10またはBMP−10関連の遺伝子から選択される核酸またはポリペプチドの発現または活性を評価することを含み、対照サンプル(例えば、通常の被験者から、または、処理の前に得られたサンプル)に対する核酸の濃度の違いは、疾患の存在または進行を示す。実施態様において、BMP−10関連の核酸またはポリペプチドは、BMP−10に応答して変えられた発現によって特徴づけられる。典型的なBMP−10関連の遺伝子は、これに限定されるものではないが、GDF−8、GDF−10、エンドグリン、抑制性Smad(例えば、Smad6および/または7);およびプロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)を含む。ある実施態様では、対照サンプルに対する試験サンプルのBMP−10またはBMP−10関連の遺伝子のレベルの増加は、BMP−10機能の拮抗作用が望ましいBMP−10疾患(例えば、本明細書において記載されている、血管、腎臓、線維症および/または心臓の疾患)の診断と関係している。他の実施態様において、対照サンプルに対する試験サンプルのBMP−10またはBMP−10関連の遺伝子のレベルの減少は、BMP−10機能の同調性が望ましい、BMP−10の血管および/または心臓の疾患の診断と関係している。
一の実施態様において、評価ステップは、インビトロまたはエクスビボで行われる。例えば、サンプル(例えば、血清サンプル)は、被験者から得られる。
もう一つの実施態様において、評価ステップは、インビボで行われる。例えば、被験者にBMP−10またはBMP−10に関連する核酸またはポリペプチドと相互作用する検出可能にラベルをつけられた薬剤を投与することにより、そうすると、シグナルは、核酸またはポリペプチドの活性または発現のレベルと関連して発生する。
さらに他の実施態様では、本発明は、内皮細胞または血管機能を調整する化合物(例えば、テスト化合物)を確認する方法または分析法を提供する。その方法または分析法は、(i)(選択的に)BMP−10またはBMP−10レセプターに相互作用、例えば、結合するテスト試薬を提供または確認すること、および/または、(ii)対照(例えば、対照サンプル)に対して、試験試薬の存在下、内皮細胞または維管束組織の活性の変化を評価することを含む。
テスト化合物は、抗体分子、ペプチド、可溶なBMP−10レセプターまたはその融合体、結合領域融合変異体、低分子(例えば、コンビナトリアルまたは天産物ライブラリの一つ)、核酸、アンチセンス分子、リボザイム、RNAiであることができる。一の実施態様において、テスト化合物は、BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチドまたは核酸の活性または発現を調整(例えば、減少または増加)する。例えば、BMP−10またはBMP−10レセプターの核酸の発現は、例えば、mRNA転写、mRNA安定性などを変えることによって、変調されることができる。
実施態様において、評価ステップは、テスト化合物を有し、BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチド(例えば、本明細書において記載されているBMP−10またはBMP−10レセプター)またはBMP−10またはBMP−10レセプターをコード化している核酸の一つ以上と接触させること、および、所定レベル、例えば、テスト化合物の非存在下のコントロールサンプルと比較して、テスト化合物の存在下、BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチドまたは核酸の一つ以上の活性の変化を評価することを含む。接触ステップは、インビトロ(培養細胞、例えば、HUVECSまたはHAECSまたは再構成されたシステムにおいて)またはインビボ(例えば、非ヒト被験者、例えば、BMPR2またはNKX2−5遺伝子の突然変異を有する動物モデルにテスト化合物を投与することによって)において有効である。テスト化合物の接触ステップおよび/または投与は、繰り返されることができる。
実施態様において、以下の一つ以上において、対照、例えば、対照サンプル(例えば、テスト化合物にさらされないコントロールサンプル)と対比して、テスト化合物の存在下の変化を測定することによって、内皮細胞または維管束組織の活性の変化は評価される:(i) Smadタンパク質のリン酸化(例えば、Smad1、5および/または8のリン酸化)、(ii) ミオスタチン、エンドグリンおよび/または抑制性Smadの遺伝子発現(例えば、Smad6および/または7の発現の誘導)、(iii) 一つ以上のプロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)の発現、(iv) Ras関連タンパク質−1a(Rap1a)の発現、(v) 図22-28において確認されるインビトロまたはインビボにおける内皮細胞のBMP−10刺激に応答する一つ以上の遺伝子の発現、(vi) ストロマ由来分化因子(SDF−1)および/またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清レベル、および/または、(vii)血管の異常、例えば、血管形成異常、大量出血、毛細管拡張症および/または動静脈奇形。実施態様において、(i)から(iii)および(vi)の一つ以上の減少、おおよび、(iv)の増加は、BMP−10の機能のアンタゴニストを表し、そして、このようにして、BMP−10の拮抗作用が望ましい、血管および/または心臓の疾患の治療の候補を表す。
ある実施態様では、テスト化合物、BMP−10またはBMP−10レセプターの間の相互作用は、評価される。実施態様において、このような相互作用は、テスト化合物とBMP−10および/またはBMP−10レセプターの間の複合体の形成および/または安定性の変化を検出することによって評価されることができ、以下の一つ以上を検出することによって決定されることができる。:例えば、生化学検出、親和性に基づく検出(例えば、ウエスタンブロット、親和性カラム)、免疫沈降法、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に基づく分析法、分光測光的な手法(例えば、円偏光二色性、吸収度および溶液特性の他の測定値)による複合体自体の結合または物理的形成における変化;シグナル形質導入(例えば、Smadsのリン酸化および/またはBMP−10関連の遺伝子の転写活性)における変化、例えば、増加または減少;ストロマ由来の分化要因(SDF−1)および/またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清濃度の変化、例えば、増加または減少;および/または、(vii)血管の異常(例えば、血管形成異常、大量出血、毛細管拡張症および/または動静脈奇形)の変化、例えば、増加または減少。
一の実施態様において、テスト化合物は、同じまたは異なる分析法において確認されて、再テストされる。例えば、テスト化合物は、インビトロであるか無細胞系で確認され、動物モデルまたは細胞に基づく分析において再テストされる。分析の任意の順序または組合せが、使われることができる。例えば、高いスループット分析法が、動物モデルまたは組織培養との組合せで用いられることができる。
他の実施態様において、その方法または分析法は、ほぼ依存するシグナル生成、例えば、第1の融合タンパク質(例えば、BMP−10部からなる融合タンパク質)および第2の融合タンパク質(例えば、BMP−10レセプターからなる融合タンパク質)を含む2複合型分析に基づくステップを提供すること、前記2複合型分析法が複合体の形成または安定性の変化を検出する、例えば、複合体の形成がリポーター遺伝子の転写活性化を開始する条件下、2複合型分析法をテスト化合物に接触させることを含む。
さらに他の実施態様では、本発明は、本明細書において開示される複合体のBMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチド成分の一つ以上をコード化している一つ以上の核酸からなる宿主細胞を提供する。
本明細書で用いられる、冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法の対象のうちの1つ以上(例えば、少なくとも1つ)を指す。
用語「or」は、明らかにそれ以外を意味しない限り、本明細書において、「and/or」を意味するために用いられるか、それと交換可能に用いられる。
用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書において、交換可能に用いられる。
「およそ」および「約」は、通常、測定値の性質または精度を与えられて計量される数の誤差の許容できる程度を意味する。誤差の典型的な程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には、10%以内、そして、より典型的には、5%以内である。
本明細書において記載のすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全部において引用したものとする。
本発明の他の特徴、目的および効果は、詳細な説明および図面から、そして、特許請求の範囲から明らかである。
さまざまな図面の参照符号の同類は、要素の同類を示す。
(詳細な説明)
本発明は、少なくとも一つには、骨形態形成タンパク質−10(BMP−10)のインビボ過剰発現が、遺伝性出血性毛細管拡張症(HHT)と類似の表現型をもつ動物モデルにおいて、脳と肝臓の根深い皮下血管形成異常という結果になったという発見に基づく。BMP−10を過剰発現させている動物は、また、広範囲にわたるうっ血および拡散した出血、および、脳、肝臓および肺の拡大した血管を含む、血管恒常性を調整する際のBMP−10の機能と整合した多くの生理的異常を提示した。マウスのBMP−10過剰発現に応答する転写プロファイリング研究は、筋肉の成長のレギュレーター(例えば、ミオスタチン、プロ血管形成タンパク質(例えば、VEGFおよびID1)の上流制御および脂肪および心臓の抑制性Smads)の遺伝子発現の広範囲にわたる変化を示した。これらの結果は、BMP−10シグナル形質導入カスケードの上流制御と整合している。
本発明は、少なくとも一つには、骨形態形成タンパク質−10(BMP−10)のインビボ過剰発現が、遺伝性出血性毛細管拡張症(HHT)と類似の表現型をもつ動物モデルにおいて、脳と肝臓の根深い皮下血管形成異常という結果になったという発見に基づく。BMP−10を過剰発現させている動物は、また、広範囲にわたるうっ血および拡散した出血、および、脳、肝臓および肺の拡大した血管を含む、血管恒常性を調整する際のBMP−10の機能と整合した多くの生理的異常を提示した。マウスのBMP−10過剰発現に応答する転写プロファイリング研究は、筋肉の成長のレギュレーター(例えば、ミオスタチン、プロ血管形成タンパク質(例えば、VEGFおよびID1)の上流制御および脂肪および心臓の抑制性Smads)の遺伝子発現の広範囲にわたる変化を示した。これらの結果は、BMP−10シグナル形質導入カスケードの上流制御と整合している。
さらに、心臓および血管機能を調整する際のBMP−10の役割を裏づけるために、BMP−10は、主要なヒト大動脈内皮細胞および主要なヒト臍静脈内皮細胞において、細胞のシグナル現象および遺伝子発現を活性化することが示された。例えば、これらの細胞におけるBMP−10シグナリングの活性化は、Smads(例えば、Smad 1、5および8)のリン酸化を増加させて、抑制性Smad6および7の発現を誘発することが示された。
他の実施態様において、BMP−10は、インビトロの腎臓細胞(例えば、ヒトの主要な腎臓近位尿細管上皮細胞)において、一つ以上のシグナリング経路および遺伝子発現を活性化することが示された。出願人は、肝臓、肺、腎臓および心臓を含む、さまざまな器官および組織の線維症とBMP−10の関連性を更に発見した。
従って、本発明は、BMP−10アゴニストおよびアンタゴニストを用いて、血管(例えば、内皮、平滑筋)、腎臓および/または心臓の細胞機能を調整する方法および組成物を提供する。特に、BMP−10関連の血管、腎臓、線維形成および/または心臓の障害および/または疾患を治療、予防および/または診断する方法が開示される。BMP−10モジュレータ(例えば、アゴニストおよびアンタゴニスト)を評価するスクリーニング方法も開示される。
本発明がより容易に理解されることができるために、特定の用語は最初に定められる。
追加的な定義は、詳細な説明の全体にわたって記載される。
追加的な定義は、詳細な説明の全体にわたって記載される。
TGFスーパーファミリー(例えば、BMP−10)のメンバーは、ここでは「プレ・プロペプチド」と記載され、そのN末端(例えば、ヒトBMP−10のアミノ酸約1〜21(図2;配列番号2))でシグナル配列を含み、通常、大きな前駆体としてコード化され、二塩基性アミノ酸切断部位およびプロペプチド(次に、他の二塩基性のアミノ酸切断部位および成熟した領域が続く)に続く。従って、プロペプチドまたはプロ領域は、成熟した領域へのN末端およびシグナル・ペプチドへのC末端の部分である。例えば、ヒトBMP−10は、424のアミノ酸タンパク質を、プロペプチド領域(例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸22〜313からの約291のアミノ酸)およびモノマー(例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約314〜424からの)当たり、約110のアミノ酸残基の成熟した領域に分ける切断部位を有する。成熟したBMP−10タンパク質は、通常、TGFファミリーメンバーの中に見つかる6〜7つのシステインの空間的に保存されたパターンを有する。成熟したBMP−10領域は、通常、種の中で高度に保存される。
「骨形態形成タンパク質−10」または「BMP−10」は、BMP−10活性(BMP−10レセプター(通常は、哺乳類、例えば、ネズミまたはヒトのBMP−10レセプター)を保持するそれらの任意の変異体(変異体、断片および疑似ペプチドを含む)と同様に、任意の種(通常は、哺乳類、例えば、ネズミ、ヒト、非ヒトの霊長類起源)からのトランスフォーミング成長因子β(TGF)ファミリーのメンバーを指す。通常は、BMP−10は本明細書において記載されている生物活性を有し、そして、以下のうちの1つは以下を特徴とする:(i) 天然に存在する哺乳類のBMP−10ポリペプチドまたはその断片のアミノ酸配列(例えば、BMP−10の熟成したまたはプロペプチドの形態)、例えば、図2(配列番号2)(ヒト)として示されるアミノ酸配列またはその断片(例えば、図2(配列番号2)(成熟した)のアミノ酸約314〜424);(ii) 図2(配列番号2)(ヒト)として示されるアミノ酸配列またはその断片(例えば、図2(配列番号2)(成熟した)のアミノ酸約314〜424)に、実質的に同一な、例えば、85%、90%、95%、98%で同一なアミノ酸配列;(iii) 自然に生じる哺乳類のBMP−10のヌクレオチド配列またはその断片(例えば、図1(配列番号1)(ヒト)またはその断片)によってコード化されたアミノ酸配列;(iv) 図1(配列番号1)(ヒト)として示されるヌクレオチド配列またはその断片に、実質的に同一な、例えば、少なくとも85%、90%、95%、98%、99%で同一なヌクレオチド配列によってコード化されるアミノ酸配列;(v) 自然に生じるBMP−10ヌクレオチド配列またはその断片、例えば、図1(配列番号1)(ヒト)またはその断片に変質するヌクレオチド配列によってコード化されたアミノ酸配列;または、(vi) ストリンンジェントな条件で、例えば、高度にストリンンジェントな条件で、前述のヌクレオチド配列のうちの1つにハイブリダイズするヌクレオチド配列。
用語「BMP−10プロペプチド」は、有用な活性を保持するその変異体(例えば、変異体、断片および疑似ペプチドの形態を含む)と同様に、BMP−10ファミリーメンバーの任意の天然に存在するプロペプチドからなるポリペプチドを指す。いくつかの実施態様において、本明細書において開示されるBMP−10プロペプチドは、成熟したBMP−10のアンタゴニストとして用いられる。その用語が本明細書において使われるとき、BMP−10プロペプチドは、BMP−10プロペプチドの断片、機能的な変異体および改変された形態を含む。一の実施態様において、BMP−10プロペプチドは、図2(配列番号2)のアミノ酸22〜313のアミノ酸配列またはその部分を含むが、全長の成熟したBMP−10配列を含まない。BMP−10プロペプチドは、その同族の成熟した領域の50、40、30、20、10または5アミノ酸より少数を含むことができる。例えば、BMP−10プロペプチドの機能的な変異体は、成熟したBMP−10タンパク質への結合および/またはBMP−10レセプターへのBMP−10の結合を競合的に阻害する能力によって特徴づけられることができる。
本明細書で用いられる場合、「骨形態形成タンパク質−10レセプター」または「BMP−10レセプター」という用語は、BMP−10に結合し、細胞(例えば、内皮細胞)のシグナルを変換することができる任意の種からのレセプターを指す。BMP−10レセプターの例は、エンドグリン、アクチビンAレセプターType-II様1前駆体タンパク質(また、本明細書において「ALK1」として示される、図3;配列番号3および4として本明細書においてそれぞれ表されるヌクレオチドおよびアミノ酸配列)、および、ヒトBMP−10レセプターType 1A前駆体タンパク質(また、本明細書において「ALK3」として示され、図4A−4C;配列番号5および配列番号6としてそれぞれ本明細書において表されるヌクレオチドおよびアミノ酸配列)を含む。BMP−10レセプターの活性化は、通常は、Smadタンパク質のリン酸化(例えば、Smad1、Smad2、Smad3、Smad5またはSmad8の一つ以上のリン酸化)および遺伝子転写現象という結果になる。
通常は、BMP−10レセプターは本明細書において記載されている生物活性、および/または、以下の特徴のうちの1つを有する:(i) 天然に存在する哺乳類のBMP−10レセプター・ポリペプチドまたはその断片のアミノ酸配列、例えば、図3D(配列番号4)(ヒトALK―1)または図4C(配列番号6)(ヒトALK3)として示されるアミノ酸配列またはその断片(例えば、図3D(配列番号4)のアミノ酸約22―118、または、図4C(配列番号6)(細胞外領域)のアミノ酸約24〜152);(ii) 図3D(配列番号4)(ヒトALK―1)または図4C(配列番号6)(ヒトALK3)として示されるアミノ酸配列またはその断片(例えば、図3D(配列番号4)のアミノ酸約22―118または図4C(配列番号6)(細胞外領域)のアミノ酸約24〜152)に、実質的に同一、例えば、少なくとも85%、90%、95%、98%、99%で同一なアミノ酸配列;(iii) 自然に生じる哺乳類のBMP−10レセプターのヌクレオチド配列またはその断片によってコード化されたアミノ酸配列(例えば、図3A−3C(配列番号3)(ヒトALK1)または図4A−4B(配列番号5)(ヒトALK3)またはその断片);(iv) 図3A−3C(配列番号3)(ヒトALK1)または図4A−4B(配列番号5)(ヒトALK3)として示されるヌクレオチド配列に、実質的に同一な、例えば、少なくとも85%、90%、95%、98%、99%で同一なヌクレオチド配列によってコード化されるアミノ酸配列;(v) 自然に生じるBMP−10ヌクレオチド配列またはその断片(例えば、図3A−3C(配列番号3)(ヒトALK1)または図4A−4B(配列番号5)(ヒトALK3))を変質するヌクレオチド配列によってコード化されたアミノ酸配列;または、(vi) ストリンジェントな条件、例えば、高度にストリンジェントな条件で、前述のヌクレオチド配列のうちの1つにハイブリダイズするヌクレオチド配列。
本明細書で用いられる場合、「可溶なBMP−10レセプター・ポリペプチド」は、それ自体を膜に固定することができないBMP−10レセプター・ポリペプチドである。このような可溶なポリペプチドは、例えば、そのポリペプチドを固定するために膜に及んでいる領域の中で充分な部分を欠如するか、または、膜に及んでいる領域が機能しないように修正された、本明細書において記載したBMP−10レセプター・ポリペプチドを含む。通常、可溶なBMP−10レセプター・ポリペプチドは、BMP−10と結合する能力を保持する。例えば、BMP−10レセプター・ポリペプチドの可溶性の断片(例えば、ヒトALK−1の細胞外領域、または、図3D(配列番号4)のアミノ酸約22−118からのALK含んでいるアミノ酸配列からなるBMP−10レセプターの断片);図4C(配列番号6)のアミノ酸約24〜152;または、アクチビン・レセプターIIB(ActRIIB)の可溶性の断片(例えば、図5B;配列番号18のアミノ酸約17〜133を含む)。さらに、可溶なBMP−10レセプター・ポリペプチドは、第2の部分、例えば、ポリペプチド(例えば、免疫グロブリン鎖、GST、レックス−AまたはMBPポリペプチド配列)を含む、例えば、融合することができる。例えば、融合タンパク質は、少なくともBMP−10レセプター・ポリペプチドの断片を含むことができ、それはBMP−10に結合することができ、第2の部分、例えば、ポリペプチド(例えば、免疫グロブリン鎖、Fc断片、以下を含むさまざまなアイソタイプの重鎖定常部:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgE)に融合する。
BMP−10レセプター・ポリペプチドの用語「生物活性」は、成熟したBMP−10タンパク質に対応する一つ以上の生物活性を指し、以下を含むが、これに限定されるものではない。;(1) BMP−10ポリペプチド(例えば、ヒトの成熟したBMP−10ポリペプチド)との相互作用、例えば、結合;(2) Smadタンパク質のリン酸化および/または活性化(例えば、一つ以上のSmad1、Smad2、Smad3、Smad5またはSmad8のリン酸化)を刺激すること;(3) BMP−10関連遺伝子の増加または減少した転写;および/または、(4) 内皮および心臓の細胞の増殖、分化を調整すること、例えば、刺激すること、または、減少すること。
本発明の方法および組成物は、特定される配列を有しているか、または、その特定される配列と実質的に同一であるか類似する配列、例えば、特定される配列に、少なくとも85%、90%、95%、またはそれ以上に同一である配列を有するBMP−10およびBMP−10レセプター・ポリペプチドおよび核酸を含む。アミノ酸配列の文脈において、「実質的に同一である」という用語は、i) それと同一の、または、ii) 第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造領域および/または共通の機能的活性を有することができる第2のアミノ酸配列の整列配置されたアミノ酸残基の保守的な置換である、十分であるか最小限の数のアミノ酸残基を含む第一のアミノ酸を指すために本明細書において使われる。例えば、配列番号2、配列番号4または配列番号6に対して、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する共通構造領域を含むアミノ酸配列は、実質的に同一であると称される。
核酸配列の文脈において、「実質的に同一である」という用語は、第1および第2の核酸配列が、共通の機能的活性を有するポリペプチドをコード化するか、あるいは、共通構造のポリペプチド領域または共通の機能を有するポリペプチドをコード化する第2の核酸配列の整列配置されたヌクレオチドと同一であるヌクレオチドの十分であるか最小限の数を含む第1の核酸配列を指すために、本明細書において使われる。例えば、配列番号1、3または5に対して、少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸配列は、実質的に同一であると称される。
「機能的な変異体」という用語は、天然に存在する配列に実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、または実質的に同一の核酸配列によってコード化され、そして、天然に存在する配列の一つ以上の活性を有することができるポリペプチドを指す。
配列の間の相同性の算出または配列の同一性(本明細書において、この用語は交換可能に用いられる)は、以下の通りに実行される。
2つのアミノ酸配列の、または、2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は、最適な比較のために整列配置される。(例えば、最適な配置のため、ギャップは第一および第二のアミノ酸の一方または両方または核酸配列において導かれることができ、そして、非相同性の配列は比較のために無視されることができる。)好ましい実施態様において、比較のために整列配置される対照配列の長さは、対照配列の長さの、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、60%、および、さらにより好ましくは、少なくとも70%、80%、90%、100%である。対応するアミノ酸位またはヌクレオチド位のアミノ酸残基またはヌクレオチドは、それから比較される。第1の配列の位置が第2の配列の対応する位置として同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められるとき、その分子はその位置で同一である(本明細書において使用するとき、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」に等しい。)。
2つの配列間のパーセント同一性は、配列によって共有される同一の位置の数の関数であり、それは、2つの配列の最適配列のために導かれることを必要とするギャップの数および各ギャップの長さを考慮している。
配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成されることができる。好ましい実施態様において、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェア・パッケージ(http://www.gcg.comで利用できる)のGAPプログラムに組み込まれた、ニードルマンおよびブンシュ((1970) J. Mol. Biol. 48:444-453 )アルゴリズムを使用して、Blossum 62 matrix またはPAM250 matrixのいずれか、および、16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重量および1、2、3、4、5、または6の長さ重量を使用して決定される。さらにもう一つの好ましい実施態様において、2つの核酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェア・パッケージ(http://www.gcg.comで利用できる)のGAPプログラムを使用すること、NWSgapdna.CMP matrixおよび40、50、60、70、または80のギャップ重量および1、2、3、4、5、または6の長さ重量を使用することによって決定される。パラメータ(そして、特記しない限り、使われなければならないもの)の特に好適なセットは、12のギャップペナルティ、4のギャップ延長ペナルティ、および、5のフレームシフトギャップペナルティを有するマトリックスを記録しているBlossum 62である。
2つのアミノ酸または核酸配列の間のパーセント同一性は、ALIGN program (version 2.0)に組み込まれたE.メイヤーズおよびW.ミラー((1989) CABIOS, 4:11-17)のアルゴリズムを使用すること、PAM120重量残基テーブル、12のギャップ長さペナルティ、4のギャップペナルティを使用することによって決定されることができる。
本明細書において記載されている核酸およびタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を確認するために、公共データベースに対して検索を実行する「質問配列」として用いられることができる。このような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol.Biol. 215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(version 2.0)を使用することによって実行されることができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明のBMP−10/BMP−10レセプター核酸(配列番号1)分子に相同性の核酸配列を得るために、NBLASTプログラムscore = 100, wordlength = 12によって実行されることができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のBMP−10/BMP−10レセプター(配列番号1)タンパク質分子に相同性のアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラムscore = 50, wordlength = 3によって実行されることができる。比較のためにギャップされた配列を得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に開示される、Gapped BLASTが利用されることができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用するときに、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルト・パラメータが使われることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.参照。
本明細書で用いられる場合、「低いストリンジェント、中位のストリンジェント、高いストリンジェント、または非常に高いストリンジェントな条件でハイブリダイズする」という用語は、ハイブリッド形成および洗浄の条件を説明する。ハイブリダイゼーション反応を実行するためのガイダンスは、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に見られることができ、それは、引用したものとする。水性および非水系の方法が、その参考文献に記載されていて、いずれも用いられることもできる。本明細書において紹介される特定のハイブリッド形成条件は、以下の通りである:1)約45℃の6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)の低いストリンジェントなハイブリッド形成条件(0.2X SSC、0.1%のSDS、少なくとも50℃の2回の洗浄が続く)(洗浄の温度は、低いストリンジェントな条件のために55℃に増やされることができる);2)6X SSC、約45℃の中程度のストリンジェントなハイブリッド形成条件(0.2X SSC、0.1%のSDS、60℃の一回以上の洗浄が続く);3)6X SSC、約45℃の高いストリンジェントなハイブリッド形成条件(0.2X SSC、0.1%のSDS、65℃の一回以上の洗浄が続く);そして、好ましくは、4)非常に高いストリンジェンントなハイブリッド形成条件は、0.5Mのリン酸ナトリウム、7%のSDS、65℃(0.2X SSC、1%のSDS、65℃の一回以上の洗浄が続く)である。非常に高いストリンジェントな条件4)は、特記しない限り、用いられるべき好適な条件である。
本発明のBMP−10/BMP−10レセプター・アゴニストとアンタゴニストがさらに保守的であるか必須ではないアミノ酸の置換を有することができ、そして、それはそれらの機能に実質的な影響を及ぼさないものと理解される。
「保守的なアミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基の一系統は、従来技術において明らかにされた。これらの系統は、塩基性の側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷を帯びていない極性の側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、無極性の側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β枝分れ側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
さまざまな本発明の実施態様は、下記に詳述される。
I.BMP−10関連の細胞機能の調節
本発明は、BMP−10機能を調整する方法を提供する(例えば、心臓、腎臓および/または血管細胞および/または組織または線維症組織または器官のBMP−10の一つ以上の生物活性を調整することによって)。その方法は、BMP−10応答性の細胞および/または組織の機能(または細胞または組織のBMP−10の生物活性)調整する(例えば、増減する)のに十分な量において、BMP−10モジュレータ、例えば、BMP−10のアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、ヒト成熟したBMP−10またはBMP−10プロペプチドのアゴニストまたはアンタゴニスト)活性または発現を有する細胞および/または組織と接触することを含む。用語「BMP−10応答性の細胞および/または組織」は、BMP−10に応答して、シグナルを変換すること、例えば、リン酸エステル化、遺伝子発現することができる任意の細胞および/または組織を指す。実施態様において、BMP−10応答性の細胞は、血管の細胞および/または組織(例えば、内皮および/または平滑筋の細胞または組織)である。他の実施態様において、BMP−10応答性の細胞および/または組織は、心臓の細胞および/または組織(例えば、心筋細胞)を含む。他の実施態様において、BMP−10応答性の細胞および/または組織は、腎細胞または組織を含む。更に他の実施態様において、BMP−10応答性の細胞は、線維症組織または器官(例えば、線維症皮膜、腎臓、肺、腸、肝臓、腹膜または心臓)を含む。本発明の方法および組成物を使用して調整されることができる典型的なBMP−10活性は、これに限定されるものではないが、以下の一つ以上を含む。:(i) Smadタンパク質のリン酸エステル化(例えば、Smad1、5および/または8のリン酸エステル化);(ii) ミオスタチン、エンドグリンおよび/または抑制性Smadの遺伝子発現の誘導(例えば、Smad6および/または7の発現の誘導);(iii) プロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)の発現の増加;Ras関連のタンパク質−1a(Rap1a)の発現の減少;(v) 調整、例えば、図22-28で確認されたインビボまたはインビトロにおける内皮細胞のBMP−10刺激に対する一つ以上の遺伝子の発現の増加;(vi) ストロマ由来の分化因子(SDF―1)および/またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清レベルの増加;および/または、(vii) 血管異常、例えば、血管異形成、大量出血、毛細管拡張症および/または動静脈奇形の増加。
本発明は、BMP−10機能を調整する方法を提供する(例えば、心臓、腎臓および/または血管細胞および/または組織または線維症組織または器官のBMP−10の一つ以上の生物活性を調整することによって)。その方法は、BMP−10応答性の細胞および/または組織の機能(または細胞または組織のBMP−10の生物活性)調整する(例えば、増減する)のに十分な量において、BMP−10モジュレータ、例えば、BMP−10のアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、ヒト成熟したBMP−10またはBMP−10プロペプチドのアゴニストまたはアンタゴニスト)活性または発現を有する細胞および/または組織と接触することを含む。用語「BMP−10応答性の細胞および/または組織」は、BMP−10に応答して、シグナルを変換すること、例えば、リン酸エステル化、遺伝子発現することができる任意の細胞および/または組織を指す。実施態様において、BMP−10応答性の細胞は、血管の細胞および/または組織(例えば、内皮および/または平滑筋の細胞または組織)である。他の実施態様において、BMP−10応答性の細胞および/または組織は、心臓の細胞および/または組織(例えば、心筋細胞)を含む。他の実施態様において、BMP−10応答性の細胞および/または組織は、腎細胞または組織を含む。更に他の実施態様において、BMP−10応答性の細胞は、線維症組織または器官(例えば、線維症皮膜、腎臓、肺、腸、肝臓、腹膜または心臓)を含む。本発明の方法および組成物を使用して調整されることができる典型的なBMP−10活性は、これに限定されるものではないが、以下の一つ以上を含む。:(i) Smadタンパク質のリン酸エステル化(例えば、Smad1、5および/または8のリン酸エステル化);(ii) ミオスタチン、エンドグリンおよび/または抑制性Smadの遺伝子発現の誘導(例えば、Smad6および/または7の発現の誘導);(iii) プロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)の発現の増加;Ras関連のタンパク質−1a(Rap1a)の発現の減少;(v) 調整、例えば、図22-28で確認されたインビボまたはインビトロにおける内皮細胞のBMP−10刺激に対する一つ以上の遺伝子の発現の増加;(vi) ストロマ由来の分化因子(SDF―1)および/またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清レベルの増加;および/または、(vii) 血管異常、例えば、血管異形成、大量出血、毛細管拡張症および/または動静脈奇形の増加。
本発明の方法は、例えば、インビボでの(例えば、治療上または予防上の)プロトコルの一部としての被験者、または、動物の被験者(例えば、例えば、インビボ動物モデル(例えば、心血管虚血モデルまたは遺伝子組換えモデル)、例えば、BMPレセプター(BMPR2)の突然変異を有する動物モデルまたはNKX2−5が欠損する動物)に存在する細胞(例えば、心筋細胞、内皮および/または平滑筋細胞)において実行されることができる。インビボでの方法のために、BMP−10モジュレータは、単独で、または、他の薬剤と併用して、BMP−10関連の(例えば、血管であるか心臓の)障害または疾患を患っている被験者(例えば、哺乳類)に、BMP−10機能、および/または、被験者の一つ以上のBMP−10活性を調節するのに十分な量で投与されることができる。
実施態様において、BMP−10モジュレータは、治療上有効量において投与される。本明細書で用いられる場合、用語「治療上有効量」は、意味のある患者の利益、例えば、このような障害の症状の改良、治癒、または治癒率の増加を示すのに十分な、医薬組成物または方法の各活性成分の総量を意味する。個々の有効成分に適用され、単独で投与されるとき、その用語は、その成分を単独で指す。組み合わせに適用されるときに、その用語は、組み合わせて、連続的に、または、同時に投与されるかどうかにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の組合わされた量を指す。
本発明の処理または使用の方法を実施することにおいて、BMP−10−アゴニストまたはアンタゴニストの治療上有効量は、単独で、または、他の療法(例えば、治療)と組み合わせて投与されることができる。一つ以上の薬剤によって共同投与されるときに、BMP−10および/またはBMP−10レセプター−モジュレータは第2の薬剤と同時に、または、順次投与されることもできる。順次投与される場合、主治医は他の薬剤と併用してBMP−10/BMP−10レセプター−アゴニストまたはアンタゴニストを投与する適切な順序を決定する。この文脈において、「共に」という用語は、薬剤が、実質的に同時期に、同時または順次、与えられることを意味する。第2の化合物の投与の開始で、順次与えられる場合、2つの化合物の第1のものは、好ましくは、治療の部位の有効濃度で検出可能である。
多くのBMP−10生物活性のうちの1つの抑制、減少、または、さもなければ減退が要求される実施態様において、BMP−10応答性の細胞、例えば、血管(例えば、内皮、平滑筋)および/または心臓の細胞および/または組織は、例えば、被験者にBMP−10アンタゴニストを投与することによって、BMP−10アンタゴニストに接触される。一の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプター(また、個々に、それぞれ、本明細書において、「BMP−10アンタゴニスト」および「BMP−10レセプターアンタゴニスト」と称される)に相互作用、例えば、結合し、そして、一つ以上のBMP−10および/またはBMP−10レセプター活性を低下または阻害する。典型的アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプターに、高親和性(例えば、少なくとも約107 M1、典型的には約108 M-1、そしてされに典型的には、約109 M-1 から 1010 M-1またはそれ以上の親和定数)で結合し、そして、内皮細胞および/または維管束組織の一つ以上のBMP−10生物活性を低下および/または阻害する。本明細書で用いられる場合、本発明の方法に役立つ「BMP−10アンタゴニスト」または「BMP−10レセプターアンタゴニスト」は、BMP−10/BMP−10レセプター・ポリペプチドの一つまたは生物活性を低下、阻害、または、減弱させる薬剤を指す。典型的には、アンタゴニストは、BMP−10/BMP−10/レセプター・ポリペプチドに相互作用、例えば、結合する。BMP−10/BMP−10レセプターアンタゴニストに用いている拮抗作用が、BMP−10/BMP−10レセプター・ポリペプチドの生物活性の完全な除去を必ずしも示すというわけではない。
したがって、本発明は、被験者において、BMP−10関連の(例えば、血管または心臓の)障害および/または疾患を治療または予防(例えば、治癒、改善、発症の遅延または防止、再発またはぶり返しの抑制)する方法を提供する。その方法は、被験者にBMP−10アンタゴニスト(例えば、本明細書において記載されているBMP−10アンタゴニスト)を、血管および/または心臓の細胞および/または組織の一つ以上のBMP−10生物活性(例えば、本明細書において記載されている生物活性)を阻害するかまたは低下させるのに十分な量において、投与することを含み、このことにより、疾患または障害を治療または予防する。
BMP−10アンタゴニストが投与される被験者は、例えば、異常な血管(例えば、内皮および/または平滑筋)の細胞活性(本明細書において「BMP−10関連の血管の障害および/または疾患」と記載される)によって特徴づけられる障害および/または疾患を患う哺乳類(例えば、ヒト)であることができる。例えば、被験者は、以下の一つ以上から選択される障害または疾患を患っている哺乳類(例えば、ヒト患者)であえる。:遺伝性出血性毛細管拡張(HHT);腎炎症候群および腎症(例えば、糖尿病ネフロパシ)、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症)、血管新生緑内障および他の糖尿病性血管障害;脳卒中、アテローム硬化、動脈硬化、末梢血管疾患、高血圧(例えば、肺性高血圧)、高脂血症、血栓症、再狭窄、慢性関節リウマチ、乾癬、血管腫、甲状腺の過形成(グレーブス病を含む)、角膜および他の組織移植および慢性炎症および後水晶体線維増殖。そのアンタゴニストは、望ましくない過剰な血管透過性(例えば、脳腫瘍、悪性を伴う腹水、メイグスの症候群、肺炎症、ネフローゼ症候群、心膜液(例えば、心外膜炎に伴うもの)および胸水を伴う水腫)によって特徴づけられる疾患の治療にも役立つ。
例えば、出願人は、マウスのBMP−10の過剰発現によって遺伝性出血性毛細管拡張(HHT)と類似の表現型が生じるということを発見した。HHT(別名ランデュ―オスラー病)は、10,000人の約1人に影響を及ぼす常染色体優性血管の異常形成である(Johnson, D.W. et al. (1996) Nat. Genet. 13:189。HHTの臨床異常は、通常、毛細管床の介在のない直接の動静脈接続によって生じる。結果として生じる毛細管拡張は、口腔(例えば、唇および舌)、鼻、および指先に生じる。より大きい動静脈奇形(AVM)は、肺、脳および肝臓において見られることもできる(Marchuk, D.A. et al. (2003) Hum. Mol. Genet. 12:R97-R112)。大部分のHHT症例は、エンドグリン(ENG)またはALK1遺伝子の突然変異によって生じる。最近、SMAD4の突然変異は、併発性若年性ポリープ症およびHHT症候群を有する症例にも記載されていた(Gallione, C.J. et al. (2006) J. Med. Genet. 43:793-797)。HHT(ENG、ACVRL1およびSMAD4)に関係している3つの遺伝子の各々は、TGF族からのレセプターまたはシグナル伝達分子をコード化する。従って、添付の実施例は、論文と組み合わせて、HHTを治療するためのBMP−10活性のアンタゴニストの利用を支持する。
BMP−10アンタゴニストは、さまざまな腫瘍性疾患の治療にとっても、有用であることができる。治療に従う腫瘍および関連した障害は、乳癌、肺癌腫、胃癌腫、食道癌、結腸直腸癌腫、肝臓癌腫、卵巣癌、卵胞膜細胞腫、男性胚細胞腫、子宮頸癌、子宮内膜癌、子宮内膜増殖症、子宮内膜症、線維肉腫、絨毛癌、頭部および頸部癌、上咽頭癌、喉頭癌腫、肝芽細胞腫、カポジ肉腫、黒色腫、皮膚癌、血管腫、海綿状血管腫、血管芽細胞部、膵臓癌腫、網膜芽細胞腫、神経膠星状細胞腫、グリア芽細胞腫、シュワン細胞腫、希突起膠細胞腫、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、骨原性肉腫、平滑筋肉腫、尿路癌腫、甲状腺癌、ウィルム腫瘍、腎癌、前立腺癌、母斑症と関連した異常な血管増殖およびメイグス症候群)を含む。
BMP−10アンタゴニストは、線維症障害または疾患の治療においても有用であることができる。線維症障害は、組織の損傷の後、線維症物質(例えば、細胞外基質)の異常なおよび/または過剰な蓄積によって特徴づけられる病的状態である。線維症障害は、皮膚、腎臓、肺、腸および肝臓を含む多くの組織および器官系と同様に、血管疾患(例えば心疾患、脳疾患および末梢血管疾患)に関連する線維増殖疾患を含む(Wynn, Nature Reviews 4:583-594 (2004))。線維症障害が症状の多様な群であるにもかかわらず、大部分の線維症障害のために、線維症組織の蓄積を導く通常のメカニズムが共通して多くの要素を備えていると思われている。
典型的な線維症障害は、以下を含むが、これに限定されるものではない。:(i) 肺または肺線維症、例えば、特発性肺線維症、放射線によって誘発された線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、強皮症、肺線維症、慢性喘息、ケイ肺症、アスベストによって誘発された肺線維症、急性肺損傷および急性呼吸窮迫(細菌性肺炎に誘発されるもの、外傷に誘発されるもの、ウイルス性肺炎に誘発されるもの、ベンチレータに誘発されるもの、非肺敗血症に誘発されるもの、および、吸引に誘発されるものを含む);(ii) 腎臓線維症(これに限定されないが、損傷/線維症を伴う腎症、例えば、糖尿病(例えば、糖尿病ネフロパシ)、ループス、強皮症、糸球体腎炎、焦点性分節糸球体硬化症およびIgA腎症を伴う慢性腎症を含む);(iii) 腸線維症、例えば、強皮症および放射線で誘発される腸線維症;(iv) 肝臓線維症、例えば、肝硬変、アルコールによって誘発された肝臓線維症、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、胆管導管損傷、原発性胆汁性肝硬変、感染またはウイルスに誘発された肝臓線維症(例えば、慢性HCV感染)および自己免疫肝炎;(v) 頭頸部線維症、例えば、放射線で誘発されるもの;(vi) 角膜瘢痕、例えば、レーザー手術、角膜移植片および柵状織切除;(vii) 肥大性の瘢痕およびケロイド、例えば、熱傷に誘導されるもの、および、外科的なもの;そして、(viii) 他の線維症疾患、例えば、類肉腫症、強皮症、脊髄損傷/線維症、骨髄線維症、血管再狭窄、アテローム硬化、ウェゲナー肉芽腫症、混合型結合組織病およびパイロニー病。
いくつかの分析系および動物モデルは、BMP−10モジュレータの作用を評価するために公知技術である(例えば、Wynn, Nature Reviews 4:583-594 (2004); Phan and Kunkel (1992) Exp. Lung Res., 18: 29-43; WO2000/064944参照。その内容をここに参考文献として組み入れる。)。肺線維症の1つの典型的なモデルは、ブレオマイシン(BL)−齧歯動物モデルである。このモデルは、それがヒトの疾病の構成要素の多数を有する線維症の症状をもたらすので、また、BLによって誘発された肺線維症がヒト化学療法においてよく認識される副作用であるので、魅力的である。齧歯動物のBLの気管内(IT)滴下注入は、線維形成のメカニズムを研究するために、そして、潜在的に望ましい抗線維化化合物を選別するために、広く使われてきた。一旦それが鉄およびDNAと結合するならば、BLによって誘発された肺毒性の最初の原因が、反応性の酸素種(ROS)の生成に起因しているにもかかわらず、肺線維症の最終的な徴候につながっているプロセスは、さまざまな炎症性の媒介物質の放出を伴う(Giri and Wang., Comments Toxicol., 3: 145-176 (1989))。
BLによって誘発された肺損傷の原因は、水腫、出血、そして、好中球およびマクロファージが優位を占める細胞浸潤物によって最初に特徴づけられる。肺の血管、間質および肺胞空間の炎症性白血球の過剰な蓄積は、ROSおよび蛋白質分解酵素の生成によって、血管−および実質の損傷を負わせることができる。
本発明の他の実施態様によれば、疾患を予防または治療する際のアンタゴニストの効果は、連続的に、または、それらの目的のために効果的である他の薬剤(例えば、以下に示される)と組み合わせて、アンタゴニストを投与することによって改良されることができる。;例えば、腫瘍壊死因子(TNF)抑制物質;酸性であるか塩基性の線維芽細胞成長因子(FGF)の血管形成活性を阻害または中和することができる抗体;肝細胞増殖因子(HGF)(TGFB)(例えば、糖尿病ネフロパシおよび他の腎臓適応症の治療において);組織因子、プロテインCまたはタンパク質Sの血液凝固性活性を阻害または中和することができる抗体(1991年2月21日に公表された、Esmon, et al., PCT Patent Publication No. WO 91/01753参照。)、または、一つ以上の従来の治療薬(例えば、アルキル化剤、葉酸拮抗薬、核酸代謝の代謝対抗物質、抗生物質、ピリミジン類似体、5−フルオロウラシル、プリンヌクレオシド、アミン、アミノ酸、トリアゾル・ヌクレオシドまたはコルチコステロイド)。このような他の薬剤は、投与されている組成物に存在してもよいかまたは別に投与されることができる。また、放射性物質の照射または投与を含むかどうかにかかわらず、アンタゴニストは、連続的に、または、放射線治療と組み合わせて最適に投与される。
他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10関連の心臓の疾患または障害を患う被験者を治療するために用いられることができる。心臓性または心臓の疾患は、例えば、心臓への不十分な血液供給、心臓のリズムの不規則性、および/または心臓の心房から心室へのインパルスの不完全な伝導を含む任意の種類の心臓機能不全によって特徴づけられることができる。心臓性の疾患の例は、これに限定されないが、先天性心疾患、心筋症(例えば、拡張型、肥大性の、拘束性の心筋症)、うっ血心不全および心筋梗塞を含む。BMP−10アンタゴニストは、単独で、または、一つ以上の薬剤または治療法(例えば、治療薬)と組み合わせて、被験者に投与されることができ、それは、BMP−10に関連する血管または心臓性の疾患および/または障害を治療するために有用である。一の実施態様において、第2の薬剤または治療法は、以下の一つ以上から選ばれる。:血管形成術、ベータレセプター遮断薬、抗高血圧薬、強心薬、抗血栓剤、血管拡張神経、抗ホルモン剤、エンドセリン・アンタゴニスト、カルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ抑制物質、アンギオテンシン2型アンタゴニストおよび/またはサイトカイン遮断薬/抑制物質。
内皮細胞または血管機能の増加が要求される実施態様において、内皮細胞または維管束組織は、例えば、被験者にBMP−10アゴニストを投与することによって、BMP−10アゴニストに接触される。本明細書で用いられる場合、本発明の方法に有用な「BMP−10アゴニスト」または「BMP−10レセプター・アゴニスト」は、BMP−10/BMP−10レセプター・ポリペプチドの生物活性の一つを強化、誘発、または、増強する薬剤を指す。典型的に、そのアゴニストは、BMP−10レセプター・ポリペプチド相互作用、例えば、結合し、そして、一つ以上のBMP−10レセプター活性を活性化する。BMP−10アゴニストの例は、BMP−10タンパク質または機能的に活性な断片、ペプチド、またはその変異体(例えば、哺乳動物、例えば、ヒトのBMP−10(例えば、本明細書において記載されている成熟したBMP−10またはそれに実質的に相同性の配列));または、BMP−10タンパク質または機能的に活性な断片またはその変異体をコード化している核酸(例えば、図1(配列番号1)に示される核酸配列または部分またはその変異体を含む核酸)を含む。BMP−10アゴニストは、単独で用いられるか、または、第2の部分、例えば、本明細書において記載されているように、免疫グロブリンFc領域、血清アルブミンに機能的に結合(例えば、化学的結合、遺伝子のまたはポリペプチド融合、非共有結合、その他によって)されることができる。他の実施態様において、BMP−10アゴニストは、BMP−10レセプター(例えば、本明細書において記載されているレセプター)と結合して、レセプター活性を増加させる。例えば、BMP−10アゴニストは、抗体分子、結合領域融合変異体またはBMP−10レセプターと結合して、一つ以上の活性を刺激する任意の他の薬剤であることができる。
BMP−10アゴニストで治療される被験者は、例えば、異常に不活性であるか破壊されたBMP−10細胞増殖および/または活性によって特徴づけられる疾患を患う哺乳類、例えば、ヒトであることができる。例えば、BMP−10アゴニストは、内皮細胞損傷の後(例えば、虚血発作または微小血管性脈管症の後)、疾患または障害を治療または防止するために用いられることができる。従って、異常に不活性であるか損なわれたBMP−10−応答性細胞の増殖および/または活性によって特徴づけられる疾患を治療するかまたは予防する(例えば、治癒、改善、発症の遅延または防止、再発またはぶり返しを防止する)方法が開示される。例えば、BMP−10アゴニストは、内皮細胞損傷の後(例えば、虚血発作または微小血管性脈管症の後)、疾患または障害を治療または防止するために用いられることができる。その方法は、被験者にBMP−10アゴニスト(例えば、本明細書において記載されているBMP−10アゴニスト)を、内皮細胞および/または維管束組織の一つ以上のBMP−10生物活性(例えば、本明細書において記載されている生物活性)を増加または刺激するのに十分な量において投与することを含み、このことにより、疾患または障害を治療または防止する。被験者は、例えば、疾患または障害を患う哺乳類、例えば、ヒトであることができる。
本発明のBMP−10/BMP−10レセプター・アゴニストおよびアンタゴニスト(また、本明細書において、「活性体」と称される)は、医薬組成物に組み込まれることができる。このような組成物は、通常、核酸分子、タンパク質、抗体および薬学的に受け入れられるキャリアを含む。本明細書で用いられる場合、用語「薬学的に受け入れられるキャリア」は、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌性薬剤、等張性および吸収を遅らせる薬剤、および、薬学的な投与と両立する同類を含む。補助活性体も、組成物に組み込まれることがある。
医薬組成物は、投与の目的とするルートと両立するために調製される。投与ルートの例は、非経口投与薬(例えば、静脈、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所的の)、経粘膜および直腸投与を含む。腸管外、皮内または皮下の適用のために使用する溶液またはサスペンションは、以下の成分を含むことができる。:無菌の希釈液(例えば、注射用蒸留水、食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗菌物質(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート薬(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝液(例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩および張性の調整のための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはブドウ糖))。pHは、酸または塩基(例えば、塩化水素または水酸化ナトリウム)によって調整されることができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは多回投与バイアルに封入することができる。
BMP−10/BMP−10レセプター・アゴニストまたはアンタゴニストの治療上有効量が経口的に投与されるときに、結合剤は錠剤、カプセル、散剤、溶液またはエリキシルの形である。錠剤の形で投与されるときに、本発明の医薬組成物は、さらに、固体担体(例えばゼラチンまたはアジュバント)も含むことができる。錠剤、カプセルおよび散剤は、約5〜95%の結合剤、および、好ましくは約25〜90%の結合剤を含む。液体状態で投与されるときに、液体担体、例えば、水、石油、動物または植物起源の油(例えば、落花生油、鉱油、ダイズ油または胡麻油)または合成油脂は、加えられることができる。医薬組成物の液体状態は、更に、生理的食塩水、ブドウ糖または他のサッカリド溶液、またはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)を含むことができる。液体状態において投与されるときに、医薬組成物は、約0.5〜90重量%、そして、好ましくは約1〜50%の結合剤を含む。
BMP−10/BMP−10レセプター・アゴニストまたはアンタゴニストの治療上有効量が静脈内、皮膚または皮下注射によって投与されるときに、結合剤は、発熱原のない、非経口的に受け入れられる水溶液の形である。pH、等張性、安定性などを十分に考慮した、このような非経口的に受け入れられるタンパク質溶液の製剤は、従来技術の範囲内である。静脈内、皮膚または皮下注射のための好適な医薬組成物は、結合剤に加えて、等張性溶媒、例えば、塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、ブドウ糖注射剤、ブドウ糖および塩化ナトリウム注射剤、泌乳されたリンゲル注射剤または他の公知の溶媒を含まなければならない。本発明の医薬組成物は、安定剤、防腐剤、緩衝液、抗酸化剤または当業者に知られている他の添加物を含むこともできる。
吸入による投与のために、その化合物は、適切な噴霧剤、例えば、ガス(例えば、二酸化炭素)を含む加圧された容器またはディスペンサまたは噴霧器からエアゾールスプレーの形で供給される。
全身投与は、経粘膜または経皮の手段によることも可能である。経粘膜または経皮の投与のために、浸透されるバリアに適切な浸透剤が、製剤において使われる。このような浸透剤は、通常、公知技術であり、そして、例えば、経粘膜投与のために、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻内噴霧または坐薬を用いることにより達成されることができる。経皮投与のために、活性な化合物は、一般に公知技術の軟膏、塗剤、ゲル類またはクリームに調製される。
化合物は、(例えば、従来の座薬基剤例えば、カカオ脂および他のグリセリドによって)坐薬または直腸到達のための貯留浣腸剤の形で調合されることもできる。
一の実施態様において、活性化合物は、化合物を身体からの迅速な除去から保護するキャリア(例えば、インプラントおよびマイクロカプセルに入れられたデリバリー・システムを含む徐放製剤)で調合される。生物分解可能な、生物学的適合性のポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水塩、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸が用いられることができる。このような製剤の調製の方法は、当業者にとって明らかである。その物質は、商業的にAlza Corporation および Nova Pharmaceuticals, Inc.から得られることもできる。リポソーム型サスペンション(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を目標とされるリポソームを含む)が、薬学的に受け入れられるキャリアとして用いられることもできる。例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているように、これらは周知の方法に従って調合されることができる。
アンタゴニストが、生物学的な、例えば、抗体分子、可溶性のレセプター融合である実施態様において、約1g/kgから15mg/kgのアンタゴニストは、例えば、一つ以上の独立した投与か、または、持続性点滴によるかにかかわらず、疾患の種類および重症度に基づく患者への投与のための最初の投与量の候補である。典型的1日の投与量は、前述の要因に応じて、約1g/kgから、100mg/kg以上にわたるかもしれない。障害に応じて、少なくとも数日にわたる繰り返し投与のために、病徴の所望の抑制が発生するまで、治療は繰り返される。しかしながら、他の投与計画が有用かもしれない。この療法の経過は、例えば、X線撮影腫瘍イメージングを含めて、従来の技術および分析によって容易にモニターされる。
本発明の医薬組成物を用いた療法の継続時間は、治療されている疾患および障害の重症度および個々の患者の潜在的特異体質の反応に依存して変化する。BMP−10/BMP−10レセプター―アゴニストまたはアンタゴニストの各使用の継続時間は、連続静脈内投与の12〜24時間の範囲であることが考えられる。最後に、主治医は、本発明の医薬組成物を使用している静注療法の適切な継続時間を決定する。
細胞培養分析および動物試験から得られるデータが、ヒト用の投与量の範囲を作成する際に使われることができる。このような化合物の投与量は、好ましくは、ほとんど毒性を有しないED50を含む循環濃度の範囲の中にある。投与量は、使用される剤形および利用される投与ルートによって、この範囲の中で変化するかもしれない。本発明の方法で使用する任意の化合物のために、治療的に有効な投与量は、細胞培養分析から最初に測定されることができる。投与量は、細胞培養において決定されるように、IC50(すなわち、症状の最大の半減抑制を達成するテスト化合物の濃度)を含む循環血漿の濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて作成されるかもしれない。このような情報は、より正確にヒトの有用な投与量を決定するために用いることができる。血漿のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィによって、測定されるかもしれない。
本明細書で定義されるとき、タンパク質またはポリペプチドの治療上有効量(すなわち、有効薬量)は、約0.001〜30mg/kg体重、好ましくは、約0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは、約0.1〜20mg/kg体重、そして、さらにより好ましくは、約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kgまたは5〜6mg/kg体重の範囲で変動する。タンパク質またはポリペプチドは、約1〜10週の間、好ましくは、2〜8週の間、より好ましくは、約3〜7週の間に、そして、さらにより好ましくは、約4、5または6週間につき1回投与されることができる。特定の要因は、これに限定されるものではないが、疾病または疾患の重症度、被験者のそれ以前の治療、総合的な健康状態および/または年齢、および現在の他の疾患を含み、効果的に被験者を治療することを必要とする投与量およびタイミングに影響するかもしれないことを、当業者は理解する。さらに、タンパク質、ポリペプチドまたは抗体の治療上有効量による被験者の治療は、単一の治療、または、好ましくは、一連の治療を含むことができる。
抗体のために、好適な投与量は、0.1mg/kg体重(通常、10mg/kg〜20mg/kg)である。抗体が脳に作用する場合、50mg/kg〜100mg/kgの投与量は、通常、適切である。通常、部分的なヒト抗体および完全にヒト抗体は、ヒト身体の範囲内で、他の抗体より長い半減期を有する。したがって、より低い投与量、および、より頻繁でない投与は、しばしば可能である。脂質化のような変性は、抗体を安定させて、取り込みおよび組織浸透(例えば、脳に)を強化するために用いることができる。抗体の脂質化のための方法は、Cruikshank et al. ((1997) J. Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193)により開示されている。
典型的な投与量は、被験者またはサンプル重量のキログラム当たり、低分子のミリグラムまたはマイクログラム量を含む(例えば、1キログラムにつき約1マイクログラムから約500ミリグラムまで、1キログラムにつき約100マイクログラムから約5ミリグラムまで、1キログラムにつき、約1マイクログラムから約50マイクログラムまで)。低分子の適切な投与量は、調整される発現または活性に関して低分子の効能に依存することがさらに理解される。これらの低分子の一つ以上が動物(例えば、ヒト)に投与されるときに、本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調整するために、医師、獣医師または研究者は、例えば、最初は比較的低い投与量を定めるかもしれないが、その後で、適切な反応が得られるまで、投与量を増加させる。さらに、任意の特定の動物の被験者のための特定の投与量レベルは、用いられる特定の化合物、被験者の年齢、体重、総合的な健康状態、性および食事制限、投与時間、投与ルート、排出率、任意の複合製剤および調整される発現または活性の程度を含む様々な要因に依存することが理解される。
本発明の核酸分子は、ベクトルに挿入され、遺伝子治療ベクトルとして用いられることができる。遺伝子治療ベクトルは、例えば、静脈注射、局所投与(米国特許5,328,470号を参照)または定位的注入(例えば、Chen et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057)によって、被験者に提供されることができる。遺伝子治療ベクターの製剤は、遺伝子治療ベクターを受け入れられる希釈液に含み、または、遺伝子伝達ビヒクルに埋め込まれる緩徐溶出マトリックスからなることができる。別法として、完全な遺伝子伝達ベクターが、組換え型細胞から完全に生産されることができる場合(例えば、レトロウイルスベクター)には、製剤は、遺伝子デリバリー・システムを生じる一つ以上の細胞を含むことができる。
医薬組成物は、投与のための説明書と共に、容器、パックまたはディスペンサに含まれることができる。
II.BMP−10アゴニストおよびアンタゴニスト
抗体分子
ある実施態様では、BMP−10アゴニスト/アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプターに対する抗体分子である。実施態様において、抗体分子は、モノクローナルであるか単一特異性抗体またはその抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、単鎖Fv断片、またはラクダ科の動物の変異体)であり、それは、BMP−10またはBMP−10レセプター、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)BMP−10またはBMP−10レセプター(またはその機能的な変異体)と結合する。実施態様において、抗体分子は、成熟したBMP−10(例えば、本明細書において記載されている成熟したヒトBMP−10)と結合する。
抗体分子
ある実施態様では、BMP−10アゴニスト/アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプターに対する抗体分子である。実施態様において、抗体分子は、モノクローナルであるか単一特異性抗体またはその抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、単鎖Fv断片、またはラクダ科の動物の変異体)であり、それは、BMP−10またはBMP−10レセプター、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)BMP−10またはBMP−10レセプター(またはその機能的な変異体)と結合する。実施態様において、抗体分子は、成熟したBMP−10(例えば、本明細書において記載されている成熟したヒトBMP−10)と結合する。
典型的には、抗体分子は、ヒトBMP−10またはヒトBMP−10レセプター・ポリペプチド(または機能的なその断片)に対するヒトの、ヒト化された、キメラの、ラクダ科の動物の、または、インビトロで生成された抗体である。典型的には、抗体は、BMP−10またはBMP−10レセプターの一つ以上の活性(例えば、本明細書において記載されているBMP−10の一つ以上の生物活性)を阻害、低下または中和する。一の実施態様において、抗体分子は、成熟したBMP−10ポリペプチド(例えば、約アミノ酸314〜424)、または、その断片からなる抗原決定基、例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約314〜325、325〜335、335〜345、345〜355、355〜365、365〜375、375〜385、385〜395、395〜405、405〜415および415〜424と結合する。他の実施態様において、抗体分子は、BMP−10プロペプチド(例えば、アミノ酸約22〜424)、または、その断片からなる抗原決定基、例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約22〜313、22〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、150〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜210、210〜220、220〜230、230〜240、240〜250、250〜260、260〜270、270〜280、280〜290、290〜300、300〜310と結合する。更に他の実施態様において、抗体分子は、BMP−10プロペプチドの切断部位と結合する(例えば、配列番号2のアミノ酸約21〜22または313〜314に位置する抗原決定基に結合する)。実施態様において、抗体分子は、BMP−10レセプター、例えば、エンドグリン(例えば、ヒト・エンドグリン);または、アクチビン・レセプター様キナーゼ(ALK)−1、−3または−6(例えば、図3D(配列番号4)および図4C(配列番号6)にそれぞれ示される哺乳動物、例えば、ヒトALK−1および−3と同一のアミノ酸配列からなるALK−1または−3)、または、それに実質的に相同的な配列に結合する。
本明細書で用いられる場合、「抗体分子」という用語は、少なくとも一つの免疫グロブリン可変ドメイン配列からなるタンパク質をいう。抗体分子という用語は、例えば、完全長の、成熟した抗体および抗原結合断片を含む。例えば、抗体分子は、重(H)鎖可変ドメイン配列(VHとして本明細書において略記される)、および、軽(L)鎖可変ドメイン配列(VLとして本明細書において略記される)を含むことができる。他の実施態様において、抗体分子は、2つの重(H)鎖可変ドメイン配列および2つの軽(L)鎖可変ドメイン配列を含み、それによって、2つの抗原結合部位(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fc、Fd、Fd'、Fv,、単鎖抗体(例えば、scFv)、単一可変ドメイン抗体、二重特異性抗体(Dab)(二価および二重特異性)およびキメラ(例えば、ヒト化された)抗体)を形成し、それは、抗体全体または組換えDNA技術を使用して新規に合成されるものの変性によって生成されるかもしれない。これらの機能的な抗体断片は、選択的にそれらのそれぞれの抗原またはレセプターと結合する能力を保持する。抗体および抗体断片は、抗体の任意のクラスに由来するものであることができ、これに限定されるものではないが、IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgE、および、抗体の任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)に由来するものを含む。本発明の抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであることができる。抗体は、ヒトの、ヒト化された、CDR融合された、または、インビトロで生成された抗体であることもでる。抗体は、例えば、IgG1(IgG2、IgG3またはIgG4)から選択される重鎖定常領域を有することができる。抗体は、例えば、kappa またはλから選択される軽鎖を有することもできる。
抗原結合フラグメントの例は、以下からなる。:(i) Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1領域からなる一価の断片;(ii) F(ab')2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結合される2つのFabフラグメントからなる二価断片;(iii) VHおよびCH1領域からなるFd断片;(iv) 抗体の単一アームのVLおよびVH領域からなるFv断片、(v) VH領域からなる二重特異性抗体;(vi) ラクダ科の動物またはラクダ科の動物化された可変ドメイン;(vii) 単鎖Fv(scFv)、例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426、および、Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883、参照;(viii) 単一領域の抗体。これらの抗体断片は、当業者に知られている従来技術を使用して得られ、そして、その断片は、完全な抗体と同様に、有用性についてスクリーニングされる。
「抗体」という用語には、その機能的な断片と同様に完全な分子を含み、抗体の定常領域は、抗体の特性を修正するために(例えば、Fcレセプター結合、抗体糖鎖形成、システイン残基の数、エフェクター細胞機能または補足的機能の一つ以上を増減するために)、変更、例えば、突然変異されることができる。
本発明の抗体は、単一領域の抗体でもあることもできる。単一領域の抗体は、補完的な決定領域が単一領域のポリペプチドの部分である抗体を含むことができる。実施例は、これに限定されないが、H鎖抗体、軽鎖が自然に欠けている抗体、通常の4鎖の抗体から誘導される単一領域の抗体、抗体に由来するもの以外の、改変抗体および単一領域の足場(scaffolds)を含む。単一領域の抗体は、人工または将来の単一領域の抗体のいずれかでもよい。単一領域の抗体は、これに限定されないが、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚、サメ、ヤギ、ウサギおよびウシを含むいくつかの種に由来してもよい。本発明の一の実施態様において、単一領域の抗体は、魚において見られる免疫グロブリンの可変領域から誘導されることができる(例えば、サメの血清において見られる新規な抗原レセプター(NAR)として知られている免疫グロブリン・アイソタイプから誘導されるもの)。NAR(「IgNARs」)の可変領域から誘導される単一領域の抗体を製造する方法は、WO 03/014161 および Streltsov (2005) Protein Sci. 14:2901-2909に記載されている。本発明の別の実施態様では、単一領域の抗体は、軽鎖が欠けているH鎖抗体として公知の天然に生じる単一領域の抗体である。このような単一領域の抗体は、例えば、WO 9404678において開示される。明らかな理由で、軽鎖が自然に欠けているH鎖抗体に由来するこの可変領域は、それと4鎖の免疫グロブリンの通常のVHを区別するVHHまたはナノボディとして本明細書において知られる。このようなVHH分子は、ラクダ科種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコにおいて、増やされる抗体から誘導されることができる。ラクダ科以外の他の種は、軽鎖が自然に欠けている重鎖抗体を生産してもよく、このようなVHHsは、本発明の範囲内である。
VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FR)と称される、より保存される領域に点在する、「相補性決定領域」(CDR)と称される超可変性の領域に再分割されることができる。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、多くの方法(例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; Chothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917参照)、および、Oxford Molecular's AbM antibody modelling softwareにより用いられるAbM定義(例えば、Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains. In: Antibody Engineering Lab Manual (Ed.: Duebel, S. and Kontermann, R., Springer-Verlag, Heidelberg)、参照)によって明確に定義された。通常、特に示されない限り、以下の定義は使われる。重鎖可変領域のCDR1のAbM定義および他のCDRのカバット定義。さらに、カバットまたはAbM CDRに関して記載されている本発明の実施態様は、コチアの超可変性ループを使用して実施されてもよい。各VHおよびVLは、通常は3つのCDRおよび4つのFRsを含み、以下の順序で、アミノ末端からカルボキシ末端まで配列される。:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
本明細書で用いられる場合、「免疫グロブリン可変領域の配列」とは、免疫グロブリン可変領域の構造を形成することができるアミノ酸配列をいう。例えば、その配列は、自然に生じる可変領域のアミノ酸配列の全部または一部を含んでもよい。例えば、その配列は、1つ、2つまたはそれ以上のN末端またはC末端アミノ酸を含んでもよいし含まなくてもよく、または、タンパク質構造の形態と互換性を持つ他の改変を含んでもよい。
用語「抗原結合部位」は、BMP−10/BMP−10レセプターまたはその抗原決定基と結合する界面を形成する決定因子からなる抗体分子の部分を指す。タンパク質(または疑似タンパク質)に関して、抗原結合部位は、通常は、BMP−10/BMP−10レセプターと結合する界面を形成する一つ以上のループ(少なくとも4つのアミノ酸または疑似アミノ酸疑の)を含む。通常は、抗体分子の抗原結合部位は、少なくとも1つ、または、2つのCDR、または、より通常は、少なくとも3つ、4つ、5つまたは、6つのCDRを含む。
本明細書で用いられる、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、単一の分子組成物の抗体分子の製剤を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定の抗原決定基に対する単一の結合特異性および親和性を示す。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術によって、または、ハイブリドーマ技術(例えば、組換え法)を利用しない方法によって製造されることができる。
「有効なヒト」タンパク質は、中和抗体反応、例えば、ヒト抗ネズミ抗体(HAMA)反応を引き起こさないタンパク質である。HAMAは、例えば、抗体分子が繰り返し投与される場合、例えば、慢性であるか再発性の疾病症状の治療において、多くの状況における問題を含む可能性がある。HAMA反応は、血清からさらなる抗体の除去のため(例えば、 Saleh et al., Cancer Immunol. Immunother., 32:180-190 (1990)、参照)、更に、潜在的アレルギー性反応のため(例えば、LoBuglio et al., Hybridoma, 5:5117-5123 (1986)、参照)、反復抗体投与を潜在的に無効にすることができる。
抗−BMP−10/BMP−10レセプター抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であることができる。他の実施態様において、抗体は、リコンビナント的に生じることができ、例えば、ファージ・ディスプレイによって、または、コンビナトリアルな方法によって生じることができる。
抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体を生成するファージ・ディスプレイおよびコンビナトリアルな方法は、公知技術である。(例えば、Ladner et al. U.S. Patent No. 5,223,409; Kang et al. 国際公開番号 WO 92/18619; Dower et al. 国際公開番号WO 91/17271; Winter et al. 国際公開WO 92/20791; Markland et al. 国際公開番号WO 92/15679; Breitling et al. 国際公開WO 93/01288; McCafferty et al. 国際公開番号WO 92/01047; Garrard et al. 国際公開番号WO 92/09690; Ladner et al. 国際公開番号WO 90/02809; Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372; Hay et al. (1992) Hum Antibod Hybridomas 3:81-85; Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281; Griffths et al. (1993) EMBO J 12:725-734; Hawkins et al. (1992) J Mol Biol 226:889-896; Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628; Gram et al. (1992) PNAS 89:3576-3580; Garrad et al. (1991) Bio/Technology 9:1373-1377; Hoogenboom et al. (1991) Nuc Acid Res 19:4133-4137; and Barbas et al. (1991) PNAS 88:7978-7982に記載されており、それらのすべては本明細書において引用される。)
抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体は、完全にヒト抗体(例えば、抗体をヒト免疫グロブリン配列から作り出すように遺伝子操作されたマウスにおいて製造される抗体)、または、非ヒトの抗体、例えば、齧歯動物(マウスまたはネズミ)、ヤギ、霊長類(例えば、サル)、ラクダの抗体である。好ましくは、非ヒトの抗体は、齧歯動物(マウスまたはネズミ抗体)である。齧歯目の抗体を製造する方法は、公知技術である。
ヒト・モノクローナル抗体は、マウス系よりもむしろヒト免疫グロブリン遺伝子を担持しているトランスジェニック・マウスを使用して発生することができる。興味ある抗原によって免疫化されるこれらのトランスジェニック・マウスからの脾細胞は、ヒト・タンパク質からの抗原決定基に対する特異的親和性を有するヒトmAbsを分泌するハイブリドーマを生じるために用いられる(例えば、Wood et al. 国際出願WO 91/00906, Kucherlapati et al. PCT publication WO 91/10741; Lonberg et al. 国際出願WO 92/03918; Kay et al. 国際出願92/03917; Lonberg, N. et al. 1994 Nature 368:856-859; Green, L.L. et al. 1994 Nature Genet. 7:13-21; Morrison, S.L. et al. 1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855; Bruggeman et al. 1993 Year Immunol 7:33-40; Tuaillon et al. 1993 PNAS 90:3720-3724; Bruggeman et al. 1991 Eur J Immunol 21:1323-1326、参照)。
抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体は、その可変領域またはその部分(例えば、CDR)が非ヒトの生物(例えば、ネズミまたはマウス)において生成されるものであることができる。キメラ、CDR融合およびヒト化の抗体は、本発明の範囲内である。非ヒトの生物(例えば、ネズミまたはマウス)において発生して、それから、例えば、可変フレームワークまたは定常領域において、ヒトの抗原性を減少させるために変更される抗体は、本発明の範囲内である。
キメラ抗体は、公知技術の組み換えDNA技術によって製造されることができる。例えば、ネズミ(または他の種)モノクローナル抗体分子のFc定常領域をコード化している遺伝子は、ネズミFcをコード化している領域を取り除くために、制限酵素によって分解され、そして、ヒトFc定常領域をコード化している遺伝子の均等物は、置換される(Robinson et al., 国際特許公開PCT/US86/02269; Akira, et al., 欧州特許出願184,187; Taniguchi, M., 欧州特許出願171,496; Morrison et al., 欧州特許出願173,494; Neuberger et al., 国際出願 WO 86/01533; Cabilly et al. 米国特許番号4,816,567; Cabilly et al., 欧州特許出願 125,023; Better et al. (1988 Science 240:1041-1043); Liu et al. (1987) PNAS 84:3439-3443; Liu et al., 1987, J. Immunol. 139:3521-3526; Sun et al. (1987) PNAS 84:214-218; Nishimura et al., 1987, Canc. Res. 47:999-1005; Wood et al. (1985) Nature 314:446-449; and Shaw et al., 1988, J. Natl Cancer Inst. 80:1553-1559)。
ヒト化であるかCDR融合された抗体は、ドナーCDRと置き換わる、少なくとも1つまたは2つ、しかし、通常、全3つのレセプターCDR(重いまたは軽い免疫グロブリン鎖)を有する。抗体は、少なくとも一部の非ヒトのCDRと置き換えられてもよく、または、CDRのいくつかだけは、非ヒトのCDRと置き換えられてもよい。BMP−10/BMP−10レセプターまたはその断片にヒト化抗体の結合のために必要とされるCDRの数を置き換えることだけが必要である。好ましくは、ドナーは、齧歯目の抗体(例えば、ネズミまたはマウス抗体)であり、そして、レセプターは、ヒト・フレームワークまたはヒト・コンセンサス・フレームワークである。通常は、CDRを提供している免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれて、そして、フレームワークを提供している免疫グロブリンは「レセプター」と呼ばれている。一の実施態様において、ドナー免疫グロブリンは、非ヒトの(例えば、齧歯目の)である。レセプターフレームワークは、自然に生じる(例えば、ヒト)フレームワークまたはコンセンサス・フレームワーク、または、それに対して、85%またはそれ以上、同一な、好ましくは、90%、95%、99%またはそれ以上、同一な配列である。
本明細書で用いられる場合、「共通配列」という用語は、関連配列の一系統の最もしばしば発生しているアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成される配列をいう(例えば、Winnaker, From Genes to Clones (Verlagsgesellschaft, Weinheim, Germany 1987参照)。タンパク質の一系統において、共通配列の各位置は、系統のその位置で最もしばしば発生しているアミノ酸によって占められる。2つのアミノ酸が等しくしばしば発生する場合、いずれも共通配列に含まれることができる。「コンセンサス・フレームワーク」とは、コンセンサス免疫グロブリン配列のフレームワーク領域をいう。
抗体は、公知技術の方法によってヒト化されることができる。ヒト化抗体は、ヒトFv可変領域から均等な配列を有する抗原結合に直接関係していないFv可変領域の配列を置き換えることによって生成されることができる。ヒト化抗体を生成する一般の方法は、Morrison, S. L., 1985, Science 229:1202-1207, Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214, およびQueen et al. US 5,585,089, US 5,693,761 and US 5,693,762により提供され、その全ての内容は、本明細書に引用したものとする。それらの方法は、重鎖または軽鎖のうちの少なくとも1つから免疫グロブリンFv可変領域の全部または一部をコード化する核酸配列を分離、操作、発現することを含む。このような核酸の供給源は、当業者に公知であり、そして、例えば、BMP−10/BMP−10レセプター・ポリペプチドまたはその断片に対する抗体を生産しているハイブリドーマから得られるかもしれない。ヒト化抗体またはその断片をコード化している組み換えDNAは、それから適切な発現ベクターにクローンされることができる。
ヒト化であるかCDR融合される抗体は、CDR−融合またはCDR置換によって製造されることができ、そこにおいて、免疫グロブリン鎖の1、2またはすべてのCDRは、置き換えられることができる。例えば、U.S. Patent 5,225,539; Jones et al. 1986 Nature 321:552-525; Verhoeyan et al. 1988 Science 239:1534; Beidler et al. 1988 J. Immunol. 141:4053-4060; Winter US 5,225,539、参照。その全ての内容は、ここに明白に引用したものとする。Winterは、本発明のヒト化抗体を調製するために用いられるかもしれないCDR−グラフト法を記載し(UK Patent Application GB 2188638A, filed on March 26, 1987; Winter US 5,225,539)、その内容は、明白に引用したものとする。
特定のアミノ酸が置換、削除、または、付加されたヒト化抗体もまた、本発明の範囲内である。例えば、抗原への結合を改良するために、好適なヒト化抗体は、フレームワーク領域のアミノ酸置換を有する。例えば、ヒト化抗体は、ドナー・フレームワーク残基に、または、レセプターフレームワーク残基以外の他のアミノ酸に同一のフレームワーク残基を有する。このような抗体を生成するために、ヒト化免疫グロブリン鎖のレセプターフレームワーク残基の選択された、少ない数は、対応するドナー・アミノ酸によって置き換えられることができる。置換の好適な位置は、CDRに隣接するアミノ酸残基を含むか、または、それは、CDRと相互作用することができる(例えば、US 5,585,089、参照)。アミノ酸をドナーから選択するための基準は、US 5,585,089, 例えば、US 5,585,089のcolumns 12-16, 例えば、US 5,585,089 のcolumns 12-16中に記載され、その内容をここに参考文献として組み入れる。抗体をヒト化するための他の技術は、Padlan et al. EP 519596 A1, published on December 23, 1992中に記載されている。
一の実施態様において、抗体は、精製されたBMP−10/BMP−10レセプター抗原またはその断片(例えば、本明細書において記載されている断片)、膜関連の抗原、組織(例えば、天然組織)調製物、細胞全体、好ましくは、生きている細胞、溶解する細胞または細胞分画(例えば、膜画分)を免疫化することによって製造されることができる。
抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体は、単一の鎖抗体であることができる。単鎖抗体(scFV)は、設計されてもよい(例えば、Colcher, D. et al. (1999) Ann N Y Acad Sci 880:263-80; and Reiter, Y. (1996) Clin Cancer Res 2:245-52、参照)。単一の鎖抗体は、同じ目標BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の異なる抗原決定基のための特異性を有する多価抗体を生成するために、二量体化または多量体化されることができる。
更に他の実施態様において、抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEの重鎖定常領域から選択される;特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の(例えば、ヒト)重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域を有する。他の実施態様において、抗体分子は、例えば、κまたはλの(例えば、ヒト)軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。定常領域は、抗体の特性を修正するために(例えば、以下の一つ以上を増減するために:Fcレセプター結合、抗体糖鎖形成、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、および/または、補足的な機能)、変更、例えば、突然変異されることができる。一の実施態様において、抗体は、エフェクター機能を有し、そして、補体を固定することができる。他の実施態様において、抗体は、エフェクター細胞を補充せず、または、補体を固定しない。他の実施態様において、抗体は、Fcレセプターを結合するための低下された能力を有するか、または、その能力を有しない。例えば、それは、アイソタイプまたはサブタイプ、断片または他の変異体であり、それはFcレセプターへの結合を裏づけない。(例えば、それは、突然変異を起こすか削除されたFcレセプター結合領域を有する。)
抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、標準技術(例えば、アフィニティークロマトグラフィまたは免疫沈降法)によって、BMP−10/BMP−10レセプターを分離するために用いることができる。そのうえ、抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体は、タンパク質の発現の発生量およびパターンを評価するために、(例えば、細胞可溶化液または細胞上澄みにおいて)BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質を検出するために用いられることができる。抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体は、診断によって、臨床試験ステップの一部として、組織のタンパク質レベルをモニターするために、例えば、与えられた治療法の有効性を決定するために、用いられることができる。検出は、抗体を検出可能な物質(すなわち、抗体標識)に連結する(すなわち、物質的に結合する)ことによって容易になることができる。検出可能な物質の例は、さまざまな酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光材料、生物発光物質および放射性物質を含む。適切な酵素の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼを含み、;好適な補欠分子族錯体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み、;好適な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレッセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトラニジラミン・フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンを含み、;発光材料の例は、ルミノールを含み、;生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを含む、そして、適切な放射性物質の例は、125I, 131I, 35S または 3Hを含む。
本発明は、また、抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体(例えば、本明細書において記載されている抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体)をコード化する核酸も含む。また、核酸を含むベクター、および、核酸によって形質転換される細胞(特に、抗体を生産するために有用である細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、CHOまたはリンパ細胞)も含まれる。
本発明は、また、抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体、例えば、および、本明細書において記載されている抗体を製造するセル・ライン(例えば、ハイブリドーマ)、および、BMP−10/BMP−10レセプター抗体を製造するために前記細胞を使用する方法も含む。
また、BMP−10/BMP−10レセプター配列およびその変異体をコード化する核酸にも特徴がある。ポリペプチドは、BMP−10/BMP−10レセプター、および、選択的に、他の種からのBMP−10も結合するBMP−10/BMP−10レセプター結合剤を提供するために用いることができる。
一の実施態様では、本発明は、特異的にBMP−10/BMP−10レセプターと結合する標的結合分子を提供する方法を特徴とする。例えば、標的結合分子は、抗体分子である。この方法は、以下からなる:少なくとも非ヒトのタンパク質の一部からなる標的タンパク質を提供すること;ヒト標的タンパク質の対応する部分に相同的(少なくとも、70、75、80、85、87、90、92、94、95、96、97、98%同一)であるが、少なくとも一つのアミノ酸(例えば、少なくとも1つの、2つの、3つの、4つの、5つの、6つの、7つの、8つのまたは、9つのアミノ酸)によって異なる部分;特異的に抗原と結合する結合剤を得ること;そして、標的タンパク質の活性を調整する際の結合剤の有効性を評価すること。方法は、ヒト被検者に結合剤(例えば、抗体分子)または誘導体(例えば、ヒト化された抗体分子)を投与することを更に含むことができる。一の実施態様において、標的タンパク質は、BMP−10/BMP−10レセプターである。
一の実施態様において、採取のステップは、上記の通りのタンパク質発現ライブラリを使用することからなる。例えば、ライブラリは、抗体分子、例えば、scFv’sのFab’sを表示する。一の実施態様において、採取のステップは、免疫原として抗原を使用している動物を免疫化することからなる。例えば、動物は、齧歯動物、例えば、マウスまたはネズミであることができる。動物は、トランスジェニック動物であることができる。
BMP−10プロペプチド
更に他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10に拮抗的なプロペプチド(例えば、成熟したBMP−10とともに抑制性複合体を形成することができるBMP−10のトランケートされた、または、変異体の形態、(例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約22〜313からなるヒトBMP−10のプロペプチド領域のトランケートされた、または、変異体の形態)である。BMP−10プロペプチドおよびその変異体を生成する方法は、公知技術であり、そして、US 2006/0024783において開示され、その内容は、ここに参考文献として組み入れる。
更に他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10に拮抗的なプロペプチド(例えば、成熟したBMP−10とともに抑制性複合体を形成することができるBMP−10のトランケートされた、または、変異体の形態、(例えば、図2(配列番号2)のアミノ酸約22〜313からなるヒトBMP−10のプロペプチド領域のトランケートされた、または、変異体の形態)である。BMP−10プロペプチドおよびその変異体を生成する方法は、公知技術であり、そして、US 2006/0024783において開示され、その内容は、ここに参考文献として組み入れる。
可溶性BMP−10レセプター
BMP−10レセプターまたはBMP−10に拮抗的なプロペプチドの可溶形態は、単独で使われるか、または、第2の部分(例えば、免疫グロブリンFc領域、血清アルブミン、PEG化、GST、レックス−AまたはMBPポリペプチド配列)に、機能的に結合(例えば、化学的結合、遺伝子のまたはポリペプチド融合、非共有結合またはその他によって)されることができる。本明細書で用いられる場合、「融合タンパク質」は、使用可能な状態で結合された、例えば、結合された部分(例えば、タンパク質部分)を2つ以上含んでいるタンパク質を指す。通常は、その部分は、共有結合性に結合される。その部分は、直接、結合されるか、または、スペーサまたはリンカーを介して連結されることができる。
BMP−10レセプターまたはBMP−10に拮抗的なプロペプチドの可溶形態は、単独で使われるか、または、第2の部分(例えば、免疫グロブリンFc領域、血清アルブミン、PEG化、GST、レックス−AまたはMBPポリペプチド配列)に、機能的に結合(例えば、化学的結合、遺伝子のまたはポリペプチド融合、非共有結合またはその他によって)されることができる。本明細書で用いられる場合、「融合タンパク質」は、使用可能な状態で結合された、例えば、結合された部分(例えば、タンパク質部分)を2つ以上含んでいるタンパク質を指す。通常は、その部分は、共有結合性に結合される。その部分は、直接、結合されるか、または、スペーサまたはリンカーを介して連結されることができる。
融合タンパク質は、さらに、第2の部分に第1の部分(例えば、可溶性BMP−10レセプターまたはBMP−10プロペプチド)を接続しているリンカー配列を含むかもしれない。例えば、融合タンパク質は、ペプチド・リンカー(例えば、約4〜20の、より好ましくは、5〜10の長さのアミノ酸のペプチド・リンカー)を含むことができ、ペプチド・リンカーは、8のアミノ酸の長さである。ペプチド・リンカーのアミノ酸の各々は、Gly、Ser、Asn、ThrおよびAlaからなる群から選択され、ペプチド・リンカーは、Gly−Ser要素を含む。他の実施態様において、融合タンパク質はペプチド・リンカーを含み、そして、ペプチド・リンカーは式(Ser-Gly-Gly-Gly-Gly)yを有する配列を含み、ここで、yは、1、2、3、4、5、6、7、または8である(配列番号19)。
他の実施態様において、追加的なアミノ酸配列は、発現、検出および/または単離または精製を容易にするために、融合タンパク質のN末端またはC末端に加えられることができる。例えば、BMP−10レセプター融合タンパク質は、一つ以上の追加的な部分(例えば、GST、His6タグ(配列番号20)、FLAGタグ)に結合されてもよい。例えば、融合タンパク質は、さらに、融合タンパク質配列がGST(すなわち、グルタチオンS―トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合するGST融合タンパク質に結合されてもよい。このような融合タンパク質は、BMP−10レセプター融合タンパク質の精製を容易にすることができる。
他の実施態様において、融合タンパク質は、非相同のシグナル配列(すなわち、BMP−10レセプター核酸によってコード化されるポリペプチドに存在しないポリペプチド配列)をそのN末端で含む。例えば、自然のBMP−10レセプター・シグナル配列は、取り除かれ、そして、他のタンパク質からシグナル配列で置き換えられることができる。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、BMP−10レセプターの発現および/または分泌は、非相同のシグナル配列を用いることにより増加することができる。
本発明のキメラまたは融合タンパク質は、標準的な組み換えDNA技術によって生じることができる。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片は、従来の技術、例えば、ライゲーションのための平滑末端化または付着末端化された末端を使用すること、適切な末端を提供する制限酵素消化、適切なものとしての粘着末端のフィルイン、望ましくない合併を回避するアルカリ性ホスファターゼ治療、そして、酵素的な結合によって、フレームで一緒に結合される。他の実施態様において、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む従来技術によって合成されることができる。別法として、遺伝子断片のPCR増幅は、その後、キメラ遺伝子配列を生成するために、アニールまたは再増幅されることされることができる2つの連続的な遺伝子断片の間に補完的なオーバーハングを引き起こすアンカー・プライマーを使用して行われることができる(例えば、Ausubel et al. (eds.) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, 1992、参照)。そのうえ、融合部分(例えば、免疫グロブリン重鎖のFc領域)をコード化する、多くの発現ベクターは市販されている。融合部分が免疫グロブリン・タンパク質にフレームで結合されるように、核酸をコード化しているBMP−10レセプターは、このような発現ベクターにクローンされることができる。
いくつかの実施態様において、BMP−10レセプター融合ポリペプチドは、オリゴマ(例えば二量体または三量体)として存在する。
他の実施態様において、BMP−10レセプター・ポリペプチド部分は、自然に生じるBMP−10レセプター配列(野生型)の突然変異を有する変異体BMP−10レセプター・ポリペプチドとして提供され、それは、BMP−10にBMP−10レセプター・ポリペプチドのより高い親和性(非変異の配列と比較して)の結合という結果になる。
他の実施態様において、BMP−10レセプター・ポリペプチド部分は、自然に生じるBMP−10レセプター・ポリペプチド配列(野生型)の突然変異を有する変異体BMP−10レセプター・ポリペプチドとして提供され、それは、(非変異の配列と比較して)蛋白質分解に対してより高い耐性のあるBMP−10レセプター配列という結果になる。
いくつかの実施態様において、第1のポリペプチドは、全長BMP−10レセプター・ポリペプチドを含む。別の実施態様では、第1のポリペプチドは、全長BMP−10レセプター・ポリペプチドより少ないものからなる。例えば、アンタゴニストは、BMP−10レセプターの可溶形態(例えば、BMP−10結合領域からなる哺乳類の(例えば、ヒト)エンドグリン、ALK−1、−3または−6の可溶形態;例えば、哺乳類の(例えば、ヒト)ALK−1、−3または−6の細胞外領域の可溶形態)であることができる。)例えば、BMP−10アンタゴニストは、ヒトALK−1(図3D;配列番号4)のアミノ酸約22〜118;ヒトALK3(図4C;配列番号6)のアミノ酸約24〜152;または、アクチビン・レセプターIIB(ActRIIB)の可溶性の断片(例えば、図5B;配列番号18のアミノ酸約17〜133を含む);を含むことができる。
他の実施態様において、追加的なアミノ酸配列は、発現、立体化学的柔軟性、検出および/または単離または精製を容易にするために、融合タンパク質のN末端またはC末端に加えられることができる。第2のポリペプチドは、好ましくは、可溶性である。いくつかの実施態様において、第2のポリペプチドは、結合されたポリペプチドの半減期(例えば、血清半減期)を高める。いくつかの実施態様において、第2のポリペプチドは、第2のBMP−10レセプター・ポリペプチドを有する融合ポリペプチドの結合を促進する配列を含む。実施態様において、第2のポリペプチドは、少なくとも免疫グロブリン・ポリペプチドの領域を含む。免疫グロブリン融合ポリペプチドは、公知技術で、例えば米国特許5,516,964;5,225,538;5,428,130;5,514,582;5,714,147;および、5,455,165に記載されている。例えば、BMP−10レセプターまたはBMP−10拮抗性プロペプチドの可溶形態は、以下を含む、さまざまなアイソタイプの重鎖定常領域に融合することができる。:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgE。通常は、融合タンパク質は、ヒトBMP−10レセプター、または、BMP−10プロペプチド(またはそれに相同的な配列)の細胞外領域、および、例えば、融合させた、ヒト免疫グロブリンFc鎖、例えば、ヒトIgG(例えば、ヒトIgG1またはヒトIgG2またはその変異体)を含むことができる。
Fc配列は、エフェクター細胞機能、Fcレセプター結合および/または補体活性を低下させるために、一つ以上のアミノ酸で変異されることができる。抗体定常領域を変える方法は、公知技術である変えられた機能、例えば、エフェクター・リガンド(例えば細胞上のFcR)の換えられた親和性、または、補体のC1成分を有する抗体は、抗体の恒常的な部分の少なくとも一つのアミノ酸残基を異なる残基に置き換えることによって製造することができる(例えば、EP 388,151 A1, U.S. Pat. No. 5,624,821 and U.S. Pat. No. 5,648,260、参照)。類似のタイプの改変は、記載されていることができ、それは、ネズミまたは他の種の免疫グロブリンに適用される場合に、これらの機能を低下または除去する。例えば、特定された残基をその側鎖上に適切な機能を有する残基に置き換えることによって、または、荷電される機能的な基、例えば、グルタミン酸塩またはアスパラギン酸、または、おそらく芳香族無極性残基(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンまたはアラニンを導入することによって、FcR(例えば、FcγR1)のための、または、C1q結合のための抗体(例えば、IgG、例えば、ヒトIgG)のFc領域の親和性を変えることは、可能である(例えば、米国特許第5,624,821号、参照)。
実施態様において、第2のポリペプチドは、野生型免疫グロブリン重鎖のFc領域のエフェクター機能より少ないエフェクター機能を有する。Fcエフェクター機能は、例えば、Fcレセプター結合、補体結合およびT細胞減少活性を含む(例えば、米国特許第6,136,310号参照)。T細胞減少活性、Fcエフェクター機能、そして、抗体安定性を測定する方法は、公知技術である。一の実施態様において、第2のポリペプチドは、Fcレセプターに対する低いか少しも検出可能でない親和性を有する。別の実施態様において、第2のポリペプチドは、補体タンパク質C1qのための低いか少しも検出可能でない親和性を有する。
本明細書において記載されている抗体分子および可溶性レセプターまたは融合タンパク質は、抗体(例えば、二重特異性またはマルチ特有性の抗体)、毒素、放射性同位元素、細胞毒性または細胞増殖抑制性剤のような一つ以上の他の分子存在物に機能的に結合(例えば、化学的結合、遺伝子の融合、非共有結合等によって)されることができることが理解されるであろう。
結合領域融合変異体
さらに別の実施態様ではBMP−10アゴニスト/アンタゴニストは、結合領域融合変異体または低分子である。結合領域融合変異体は、通常は、融合するかまたはヒンジまたはヒンジ作用する領域ポリペプチドに接続している結合領域ポリペプチドを含む変異体分子の例を提供し、それは、次に、CH1(例えば、IgGおよびIgAのCH2およびCH3領域またはIgEのCH3およびCH4領域)以外の重鎖からの、天然の、または、設計された定常領域の一つ以上からなる領域に融合または接続している(例えば、さらに詳しい説明は、U.S. 05/0136049 by Ledbetter, J. et al.、参照)。結合領域−融合タンパク質は、ヒンジ領域ポリペプチドおよび天然の、または、設計された重鎖CH3定常領域ポリペプチド(または全体的にあるいは部分的にIgEに由来するものの場合、CH4)に融合または接続し、CH2定常領域ポリペプチド(または全体的にあるいは部分的にIgEに由来するものの場合、CH3)に融合または接続している、天然または設計された重鎖CH2定常領域ポリペプチド(または全体的にあるいは部分的にIgEに由来するものである場合、CH3)を含む領域を更に含むことができる。通常は、このような結合領域―融合タンパク質は、融合タンパク質に依存する細胞媒介細胞障害性、補体結合、および/または、標的、例えば、BMP−10/BMP−10レセプターに対する結合からなる群から選択される少なくとも一つの活性を有する。
さらに別の実施態様ではBMP−10アゴニスト/アンタゴニストは、結合領域融合変異体または低分子である。結合領域融合変異体は、通常は、融合するかまたはヒンジまたはヒンジ作用する領域ポリペプチドに接続している結合領域ポリペプチドを含む変異体分子の例を提供し、それは、次に、CH1(例えば、IgGおよびIgAのCH2およびCH3領域またはIgEのCH3およびCH4領域)以外の重鎖からの、天然の、または、設計された定常領域の一つ以上からなる領域に融合または接続している(例えば、さらに詳しい説明は、U.S. 05/0136049 by Ledbetter, J. et al.、参照)。結合領域−融合タンパク質は、ヒンジ領域ポリペプチドおよび天然の、または、設計された重鎖CH3定常領域ポリペプチド(または全体的にあるいは部分的にIgEに由来するものの場合、CH4)に融合または接続し、CH2定常領域ポリペプチド(または全体的にあるいは部分的にIgEに由来するものの場合、CH3)に融合または接続している、天然または設計された重鎖CH2定常領域ポリペプチド(または全体的にあるいは部分的にIgEに由来するものである場合、CH3)を含む領域を更に含むことができる。通常は、このような結合領域―融合タンパク質は、融合タンパク質に依存する細胞媒介細胞障害性、補体結合、および/または、標的、例えば、BMP−10/BMP−10レセプターに対する結合からなる群から選択される少なくとも一つの活性を有する。
通常は、結合領域融合変異体または低分子は、哺乳動物(例えば、ヒト、BMP−10またはBMP−10レセプター)と、少なくとも約107 M-1、典型的には、約108 M-1、そして、より典型的には、約109 M-1 to 1010 M-1またはより高い親和性で結合し、そして、本明細書において記載されているように、一つ以上のBMP−10生物活性を低下および/または阻害する。実施態様において、結合領域融合変異体または低分子は、成熟したBMP−10配列(例えば、図2;配列番号2で示されるヒトBMP−10のアミノ酸約314〜424、314〜325、325〜335、335〜345、345〜355、355〜365、365〜375、375〜385、385〜395、395〜405、405〜415、415〜424のアミノ酸配列からなる成熟したBMP−10配列)またはそれに実質的に相同的な配列に結合し、そして、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。実施態様において、BMP−10レセプターは、アクチビン・レセプター様キナーゼ(ALK)−1、−3または−6(例えば、図3D(配列番号4)および図4C(配列番号6)に示される、哺乳動物(例えば、ヒト)のALK−1および−3に同一のアミノ酸配列からなるALK−1または−3)、または、それに実質的に相同的な配列であり、そして、BMP−10の一つ以上の活性を阻害、低下または中和する。
他のBMP−10アンタゴニスト
例えば、BMP−10アンタゴニストは、密接にヒト表面活性物質タンパク質B(SPB)の特性に類似するように設計されている、天然ヒト肺表面活性物質(例えば、KL−4タンパク質のような物質)の設計されたバージョンであることができる。
例えば、BMP−10アンタゴニストは、密接にヒト表面活性物質タンパク質B(SPB)の特性に類似するように設計されている、天然ヒト肺表面活性物質(例えば、KL−4タンパク質のような物質)の設計されたバージョンであることができる。
他の実施態様において、BMP−10アンタゴニストは、その自然に生じるアンタゴニストまたはその機能的な断片または変異体である。自然に生じるBMP−10アンタゴニストの例は、USAG−1、スクレロジン(sclerosin)、コーディン、ねじれ原腸形成、エンンドグリン、および、Yanagita, M. (2005) Cytokine & Growth Factors Reviews 16:309-317(本書にその内容が参考文献として内含される)に記載されている他のアンタゴニストを含む。
さらに別の実施態様では、BMP−10アンタゴニストは、BMP−10またはBMP−10レセプターをコード化している核酸の発現を阻害する。このようなBMP−10アンタゴニストの例としては、核酸分子、例えば、アンチセンス分子、リボザイム、RNAi、BMP−10またはBMP−10レセプターをコード化している核酸にハイブリダイズする三重らせん分子または転写調節領域を含み、そして、BMP−10またはBMP−10レセプターのmRNA発現を遮断または低下させる。
実施態様において、核酸アンタゴニストは、BMP−10/BMP−10レセプターをコード化している内因性遺伝子の発現を減少させるために用いられる。一の実施態様において、核酸アンタゴニストは、BMP−10/BMP−10レセプターをコード化しているmRNAを標的とするsiRNAである。他のタイプの拮抗的な核酸は、例えば、dsRNA、リボザイム、トリプルヘリックス形成剤またはアンチセンス核酸が用いられることもできる。したがって、BMP−10/BMP−10レセプター―コード化核酸分子に対する核酸阻害剤、例えば、アンチセンス、RNAiである単離された核酸分子が提供される。
「アンチセンス」核酸は、例えば、二本鎖のcDNA分子またはmRNA配列のコード鎖に相補的なタンパク質をコード化している「センス」核酸に相補的な核酸配列を含むことができる。アンチセンス核酸は、全てのBMP−10/BMP−10レセプター・コード鎖に、または、その部分だけに相補的であることができる。他の実施態様において、アンチセンス核酸分子は、BMP−10/BMP−10レセプターをコード化している核酸配列のコード鎖の「非コード領域」(例えば、5’および3’非翻訳領域)にアンチセンスである。アンチセンス剤は、例えば、約8〜約80の核酸塩基、(すなわち、約8〜約80のヌクレオチド)、例えば、約8〜約50の核酸塩基、または約12〜約30の核酸塩基を含むことができる。アンチセンス化合物は、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)、オリゴヌクレオチド(オリゴザイム)、および、標的核酸にハイブリダイズして、その発現を調整する触媒性RNAまたは触媒性オリゴヌクレオチドを含む。アンチセンス化合物は、標的遺伝子の配列と相補的である少なくとも8つの連続的な核酸塩基の範囲を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズ可能なその標的核酸配列に100%相補的である必要はない。標的に対するオリゴヌクレオチドの結合が有用性の低下を引き起こすために標的分子の通常機能を妨げるときに、オリゴヌクレオチドは特異的にハイブリダイズ可能であり、そして、対象外の配列へのオリゴヌクレオチドの非特異的な結合を回避するために、特異的結合が要求される条件の下で、すなわち、生理的条件の下で、インビボでの分析または治療的な処置の場合、または、インビトロ分析の場合、相補性の充分な段階がある。
mRNAを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成は、mRNAの通常機能の一つ以上を妨げることができる。阻害されるmRNAの機能は、すべての主要な機能、例えば、タンパク質翻訳の部位に対するRNAの転位、RNAからのタンパク質の翻訳、一つ以上のmRNA種を得るRNAのスプライシングおよびRNAによって関与される異かもしれない触媒活性を含む。RNAに対する特異的タンパク質の結合は、RNAへのアンチセンス・オリゴヌクレオチド・ハイブリッド形成によっても阻害されるかもしれない。
典型的なアンチセンス化合物は、特異的に標的核酸にハイブリダイズするDNAまたはRNA配列、例えば、BMP−10/BMP−10レセプターをコード化しているmRNAを含む。補完的な領域は、約8〜約80の間で延長することができる。その化合物は、一つ以上の変更された核酸塩基を含むことができる。変更された核酸塩基は、例えば、5置換ピリミジン、例えば、5−ヨードウラシル、5−ヨードシトシンおよびC5―プロピニル・ピリミジン、例えば、C5−プロピニル・シトシンおよびC5−プロピニル・ウラシルを含むかもしれない。他の適切な変更された核酸塩基は、N4 --(C1 -C12)アルキル・アミノ・シトシンおよびN4,N4 --(C1 -C12)ジアルキル・アミノ・シトシンを含む。変更された核酸塩基は、7−置換−8−アザ−7−ジアザプリンおよび7−置換−7−ジアザプリン、例えば、7−ヨウ化−7−ジアザプリン、7−シアノ−7−ジアザプリン、7−アミノカルボニル−7−ジアザプリンも含むかもしれない。これらの例は、6−アミノ−7−ヨウ化−7−ジアザプリン、6−アミノ−7−シアノ−7−ジアザプリン、6−アミノ−7−アミノカルボニル−7−アザプリン、2−アミノ−6−ドロキシ−7−ヨウ化−7−ジアザプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−7−シアノ−7−ジアザプリンおよび2−アミノ−6−ヒドロキシ−7−アミノカルボニル−7−ジアザプリン含む。さらに、N6 -メチル・アミノ・アデニンおよびN6,N6 -ジメチルアミノ・アデニンを含むN6 --(C1 -C12)アルキル・アミノプリンおよびN6,N6 --(C1 -C12)ジアルキル・アミノプリンも、適切な変更された核酸塩基である。同様に、例えば、6‐チオグアニンを含んでいる他の6置換プリンは、適切な変更された核酸塩基を構成するかもしれない。他の適切な核酸塩基は、2‐チオウラシル、8−臭化アデニン、8−臭化グアニン、2−フルオロアデニンおよび2−フルオロ・グアニンを含む。上述した変更された核酸塩基のいずれかの誘導体も、適切である。前述の化合物のいずれかの置換基は、C1−C30アルキル、C2−C30アルケニル、C2―C30アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ハロゲン、アミノ、アミド、ニトロ、チオ、アルコキシル、スルホニル、カルボキシル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルなどを含むかもしれない。他のタイプの核酸試剤の説明も、利用可能である。例えば、U.S. Patent Nos. 4,987,071;. 5,116,742; および 5,093,246; Woolf et al. (1992) Proc Natl Acad Sci USA; Antisense RNA and DNA, D.A. Melton, Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1988); 89:7305-9; Haselhoff and Gerlach (1988) Nature 334:585-59; Helene, C. (1991) Anticancer Drug Des. 6:569-84; Helene (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:27-36; and Maher (1992) Bioassays 14:807-15、参照。
本発明のアンチセンス核酸分子は、被験者に典型的に投与(例えば、組織部位の直接噴射によって)されるか、または、それらがBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質をコード化している細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAによって交雑するかまたは結合するように、in situに生成され、このことにより、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、タンパク質の発現を阻害する。別の実施態様では、アンチセンス核酸分子は、選択セルを目標とするために変更されることができ、そして、全身的に投与される。全身投与のために、それらが選択された細胞表面に発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合するように、例えば、アンチセンス核酸分子を細胞表面レセプターまたは抗原と結合するペプチドまたは抗体に結合することによって、アンチセンス分子は修正されることができる。アンチセンス核酸分子は、本明細書において記載されているベクターを使用して、細胞に伝達されることもできる。アンチセンス分子の充分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強いpol IIまたはpol IIIプロモータの制御下に配置されるベクター構造物が好ましい。
さらに別の実施態様では、本発明のアンチセンス核酸分子は、α-アノマー核酸分子である。α-アノマー核酸分子は、相補RNAと特異的二本鎖のハイブリッドを形成し、通常のβ-単位とは反対に、鎖は、互いに平行している。アンチセンス核酸分子は、2’-o-メチル・リボヌクレオチド(Inoue et al. (1987) Nucleic Acids Res. 15:6131-6148)、または、キメラRNA-DNAの類似体(Inoue et al. (1987) FEBS Lett. 215:327-330)からなることもできる。
siRNAsは、選択的に突出部を含む小さい二重鎖RNA(dsRNAs)である。例えば、siRNAの二重領域は、約18〜25の長さのヌクレオチド、例えば、19、20、21、22、23、または24の長さのヌクレオチドである。通常は、siRNA配列は、正確に標的mRNAと相補的である。特に、dsRNAsおよびsiRNAsは、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)の遺伝子発現を静まらせるために用いることができる。iRNAsは、29-塩基対ステムおよび2-ヌクレオチド3’突出部を有する短いヘアピンRNA(shRNAs)も含む。例えば、Clemens et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:6499-6503; Billy et al. (2001) Proc. Natl. Sci. USA 98:14428-14433; Elbashir et al. (2001) Nature. 411:494-8; Yang et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:9942-9947; Siolas et al. (2005), Nat. Biotechnol. 23(2):227-31; 20040086884; U.S. 20030166282; 20030143204; 20040038278; and 20030224432、参照。
さらに他の例では、本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムである。BMP−10/BMP−10レセプター―コード化核酸への特異性を有するリボザイムは、本明細書(すなわち、配列番号1または配列番号3)において開示されるBMP−10/BMP−10レセプターcDNAの核酸配列と相補的な一つ以上の配列、および、mRNAの裂開に関する役割を持つ公知の触媒配列を有する配列を含むことができる(例えば、U.S. Pat. No. 5,093,246 or Haselhoff and Gerlach (1988) Nature 334:585-591、参照)。例えば、テトラヒメナL−19 IVS RNAの誘導体は、その活性部位の核酸配列が、BMP−10/BMP−10レセプター―コード化mRNA中において切断される核酸配列に相補的に構築されることができる。例えば、Cech et al. U.S. Patent No. 4,987,071; and Cech et al. U.S. Patent No. 5,116,742、参照。別の実施態様では、BMP−10/BMP−10レセプターmRNAは、特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAをRNA分子のプールから選択するために用いられることができる。例えば、Bartel, D. and Szostak, J.W. (1993) Science 261:1411-1418、参照。
BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子発現は、標的細胞のBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子の転写を防止する三重ら旋構造を形成するために、BMP−10/BMP−10レセプターの調節領域(例えば、BMP−10/BMP−10レセプター・プロモータおよび/またはエンハンサ)と相補的な標的としている核酸配列によって阻害されることができる。一般的に、 Helene, C. (1991) Anticancer Drug Des. 6:569-84; Helene, C. i (1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:27-36; and Maher, L.J. (1992) Bioassays 14:807-15、参照。三重らせん形態を目標とすることができる潜在的配列は、いわゆる「スイッチバック」核酸分子をつくることによって増加することができる。スイッチバック分子は、二重鎖の最初の1つの鎖、そして、それから、もう一つの鎖で塩基対を形成するように、交互の5´−3、3´−5の方法において合成され、プリンまたはピリミジンの大きい伸展が二重鎖の1つの鎖に存在する必要を除去する。
本発明は、検出可能的に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブ分子も提供する。通常は、このようなラベルは、化学発光、蛍光性、放射能、比色計である。
BMP−10/BMP−10レセプター核酸分子は、例えば、分子の安定性、ハイブリッド形成または溶解性を改善するために、塩基部分、糖残基またはリン酸塩骨格鎖において修飾されることができる。修飾を有する合成オリゴヌクレオチドの非限定的な例は、Toulme (2001) Nature Biotech. 19:17 and Faria et al. (2001) Nature Biotech. 19:40-44を参照。このようなホスホラミダイト・オリゴヌクレオチドは、有効なアンチセンス剤であることができる。
例えば、核酸分子のデオキシリボース・リン酸塩骨格は、ペプチド核酸を生成するために変更されることができる(Hyrup B. et al. (1996) Bioorganic & Medicinal Chemistry 4: 5-23参照)。本明細書で用いられる場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、核酸の疑似体、例えば、DNA疑似体を意味し、ここにおいて、デオキシリボース・リン酸塩骨格鎖は、偽ペプチド骨格鎖によって置き換えられ、そして、4つの天然の核酸塩基だけが保持される。PNAの中性の骨格鎖は、低いイオン強度の状態の下で、DNAおよびRNAに特異的ハイブリッド形成を許すことができる。PNAオリゴマの合成は、Hyrup B. et al. (1996) supra and Perry-O'Keefe et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 14670-675に開示される標準的な固相ペプチド合成プロトコルを使用して、実施されることができる。
BMP−10/BMP−10レセプター核酸分子のPNAsは、治療的および診断用アプリケーションで使われることができる。例えば、PNAsは、例えば、転写または翻訳停止を誘発するかまたは複製を阻害することによって、遺伝子発現の配列特異的な調節のためのアンチセンスまたはアンチジーン剤として使われることができる。BMP−10/BMP−10レセプター核酸分子のPNAsは、他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup B. et al. (1996) supra))と併用して使われるときに「人工制限酵素」として、または、DNA塩基配列決定またはハイブリッド形成のためのプローブまたはプライマーとして、(例えば、PNAに誘導されたPCRクランピングによって)遺伝子の単一の塩基対突然変異の分析において使われることもできる(Hyrup B. et al. (1996) supra; Perry-O'Keefe supra)。
他の実施態様において、オリゴヌクレオチドは、他の追加される群、例えば、ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的とするために)または細胞膜全体(例えば、Letsinger et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6553-6556; Lemaitre et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:648-652; W088/09810、参照)、または、血液脳関門(例えば、W0 89/10134、参照)の輸送を容易にしている剤を含んでもよい。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリッド形成を起動する裂開試薬(例えば、Krol et al. (1988) Bio-Techniques 6:958-976、参照) または挿入剤(例えば、Zon (1988) Pharm. Res. 5:539-549、参照)によって修正されることができる。このために、オリゴヌクレオチドは、他の分子(例えば、ペプチド、ハイブリッド形成起動する架橋剤、輸送試薬またはハイブリッド形成を起動する裂開試薬)に結合されてもよい。
III.組換え発現ベクター、宿主細胞および遺伝子工学による細胞
別の実施態様においては、本発明は、本明細書において記載されているポリペプチドをコード化している核酸を含む、ベクター、好ましくは発現ベクターを含む。本明細書で用いられる場合、「ベクター」という用語は、それが結合された他の核酸を輸送することができる核酸分子を指し、そして、プラスミド、コスミドまたはウイルス性ベクターを含むことができる。ベクターは自律増殖ができ、または、それは宿主DNAに統合されることができる。ウィルス・ベクターは、例えば、複製に欠陥あるレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスを含む。
別の実施態様においては、本発明は、本明細書において記載されているポリペプチドをコード化している核酸を含む、ベクター、好ましくは発現ベクターを含む。本明細書で用いられる場合、「ベクター」という用語は、それが結合された他の核酸を輸送することができる核酸分子を指し、そして、プラスミド、コスミドまたはウイルス性ベクターを含むことができる。ベクターは自律増殖ができ、または、それは宿主DNAに統合されることができる。ウィルス・ベクターは、例えば、複製に欠陥あるレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスを含む。
ベクターは、BMP−10/BMP−10レセプター核酸を、宿主細胞の核酸の発現に適している形で含むことができる。好ましくは、組換え発現ベクターは、有効に発現される核酸配列に結合される一つ以上の制御配列を含む。「制御配列」という用語は、プロモータ、エンハンサおよび他の発現調節領域(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。制御配列は、組織に特異的な調節性のおよび/または誘導可能な配列と同様に、核酸配列の構成要素の発現を導くものを含む。発現ベクターの設計は、形質転換された宿主細胞、要求されるタンパク質の発現レベルなどの選択のような要因に依存することができる。本発明の発現ベクターは、このことにより、本明細書において記載されている核酸によってコード化される融合タンパク質またはポリペプチド(例えば、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の変異体形、融合タンパク質など)を含む、タンパク質またはポリペプチドを生じるために、宿主細胞に導入されることができる。
本明細書において使われるとき、「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターが導入された細胞を指すことを意図する。このような用語は、特定の被験者細胞だけでなく、このような細胞の子孫をも指すことを意図すると理解すべきである。特定の修飾が、突然変異または環境影響のため次の生成で起こるかもしれないので、このような子孫は、事実、親細胞と同一ではないかもしれないが、本明細書で用いられるとき、依然として「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物であるか真核生物細胞のBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の発現のために設計されることができる。例えば、本発明のポリペプチドは、大腸菌、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母菌または哺乳動物細胞において発現されることができる。適切な宿主細胞は、更にGoeddel, (1990) Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA中に開示される。別の実施態様では、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモータ制御配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写または翻訳されることができる。
原核生物のタンパク質の発現は、多くの場合、融合または非融合タンパク質の発現を導いている構成的または誘導可能なプロモータを含んでいるベクターを有する大腸菌において実施される。融合ベクターは、多くのアミノ酸を、コード化されるタンパク質に、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に加える。このような融合ベクターは、通常は3つの目的を満たす。1)組換えタンパク質の発現を増加させるため;2)組換えタンパク質の溶解性を増加させるため;そして、3)親和性による精製におけるリガンドとして作用することによる組換え型タンパク質の精製を補助するため。融合タンパク質の精製に続く融合部分から組換えタンパク質の分離を可能にするために、しばしば、タンパク分解性切断部位は、融合部分および組換えタンパク質が結合する所に導入される。このような酵素およびそれらの同族の認識配列は、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターは、標的組換え型タンパク質にグルタチオンS―トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質またはプロテインAを、それぞれ、融合させるpGEX(Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.B. and Johnson, K.S. (1988) Gene 67:31-40)、pMAL(New England Biolabs, Beverly, MA)およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, NJ)を含む。
精製された融合タンパク質は、BMP−10/BMP−10レセプター活性分析(例えば、以下に詳細に記載されている直接的な分析または競合的な分析)において、または、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質に特異的な抗体を生成するために使われることができる。好ましい実施例において、本発明のレトロウイルスの発現ベクターにおいて発現される融合タンパク質は、照射を受けたレセプターにその後、移植される骨髄細胞を感染させるために用いられることができる。充分な時間が過ぎた(例えば、6週)あと、被験者レセプターの症状はそれから診察される。
大腸菌における組換えタンパク質の発現を最大にすることは、組換えタンパク質をタンパク分解性に切断する障害性の能力を有する宿主細菌においてタンパク質を発現することである(Gottesman, S., (1990) Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California 119-128)。他のストラテジーは、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変えることであり、それによって、各アミノ酸の個々のコドンが大腸菌において優先して利用されるようにすることである(Wada et al., (1992) Nucleic Acids Res. 20:2111-2118)。本発明の核酸配列のこのような改変は、標準的なDNA合成技術によって行われることができる。
BMP−10/BMP−10レセプター発現ベクターは、酵母発現ベクター、昆虫細胞における発現のためのベクター、例えば、バキュロウイルス発現ベクター、または、哺乳動物細胞の発現に適しているベクターであることができる。
哺乳動物細胞において用いられるときに、発現ベクターの制御機能はウイルス性調節エレメントによって提供されることができる。例えば、一般的に用いられるプロモータは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびサルウイルス40から誘導される。
他の実施態様において、プロモータは、誘導性プロモータ、例えば、ステロイドホルモン、ポリペプチドホルモン、(例えば、シグナル伝達経路によって)または、異種ポリペプチド(例えば、テトラサイクリン誘導可能な系、「Tet−On」および「Tet−Off」;Clontech Inc., CA, Gossen and Bujard (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5547, および Paillard (1989) Human Gene Therapy 9:983参照)によって制御されるプロモータである。
他の実施態様において、組換え哺乳類の発現ベクターは、特定の細胞タイプにおいて、優先して核酸の発現を導くことができる(例えば、組織特異的な調節エレメントは、核酸を発現するために用いられる)。適切な組織特異なプロモータの非限定的な例は、アルブミン・プロモータ(肝臓特異的;Pinkert et al. (1987) Genes Dev. 1:268-277)、リンパ様特異的プロモータ(Calame and Eaton (1988) Adv. Immunol. 43:235-275)、T細胞レセプター(Winoto and Baltimore (1989) EMBO J. 8:729-733)および免疫グロブリン(Banerji et al. (1983) Cell 33:729-740; Queen and Baltimore (1983) Cell 33:741-748)の特定のプロモーター、ニューロン特異的プロモータ(例えば、神経細線維プロモータ:Byrne and Ruddle (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473-5477)、膵臓特異的プロモータ(Edlund et al. (1985) Science 230:912-916)、そして、乳腺特異的プロモータ、(例えば、ミルク乳漿プロモータ;U.S. Patent No. 4,873,316 and European Application Publication No. 264,166)を含む。発生的に調整されたプロモータ、例えば、ネズミhoxプロモータ(Kessel and Gruss (1990) Science 249:374-379) およびα−フェトプロテイン・プロモータ(Campes and Tilghman (1989) Genes Dev. 3:537-546)も含まれる。
本発明は、更に、アンチセンス方向の発現ベクターにクローンされる本発明のDNA分子からなる組換え発現ベクターを提供する。アンチセンス方向においてクローンされる核酸に有効に結合される制御配列(例えば、ウイルス・プロモータおよび/またはエンハンサ)は、選択されることができ、それは、様々な細胞タイプのアンチセンスRNAの構成的な、組織特異的な、または、細胞タイプ特異的な発現を導く。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒ウイルスの形であることができる。
本発明の他の実施態様は、本明細書において記載されている核酸分子、例えば、宿主細胞のゲノムの特異的な部位への相同的な再結合を許す配列を含む、組換え発現ベクターまたはBMP−10/BMP−10レセプター核酸分子の範囲内のBMP−10/BMP−10レセプター核酸分子を含む宿主細胞を提供する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、交換可能に本明細書において使われる。このような用語は、特定の被験者細胞だけでなく、このような細胞の子孫または潜在的子孫も指す。特定の修飾が突然変異または環境影響のため後継の世代で起こるかもしれないので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でないかもしれないが、本明細書で用いられる用語の範囲内にまだ含まれる。
宿主細胞は、任意の原核生物であるか真核生物細胞であることができる。例えば、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質は、細菌性細胞(例えば大腸菌)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞、例えば、COS−7細胞、CV−1起源SV40細胞:Gluzman (1981) Cell 23:175-182)において発現されることができる。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
ベクターDNAは、従来の形質転換または形質導入技術を介して宿主細胞に導入されることができる。本明細書で用いられる場合、用語「形質転換」および「形質導入」は、外来の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための、様々な人工的に認識された技術(リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストランによって媒介される形質移入、リポフェクションまたは電気穿孔法を含む)を指すことを意図する。
本発明の宿主細胞は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質を生産する(すなわち、発現する)ために用いられることができる。したがって、本発明は、更に、本発明の宿主細胞を用いたBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質を生産する方法を提供する。一の実施態様において、その方法は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質が生産されるこのような適切な培地で、本発明の宿主細胞(それに、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質をコード化している組換え発現ベクターが導入された)を培養することを含む。他の実施態様において、この方法は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質を培地または宿主細胞から分離することを更に含む。
別の実施態様においては、本発明は、BMP−10/BMP−10レセプター導入遺伝子を含み、または、BMP−10/BMP−10レセプターを誤って発現する細胞または細胞の精製された調製物を特徴とする。細胞調製物は、ヒトまたは非ヒトの細胞、例えば、齧歯目の細胞(例えば、マウスまたはネズミ細胞、ウサギ細胞またはブタ細胞)からなることができる。好ましい実施態様において、細胞は、BMP−10/BMP−10レセプター導入遺伝子、例えば、BMP−10/BMP−10レセプターの非相同の形態、例えば、(非ヒト細胞の場合)ヒトに由来する遺伝子を含む。BMP−10/BMP−10レセプター導入遺伝子は、例えば、過剰発現するかまたは過小発現して誤った発現がなされることがある。他の好ましい実施態様において、細胞は、例えば、内因性のBMP−10/BMP−10レセプター(例えば、発現が途絶する遺伝子、例えば、ノックアウト)を誤って発現する遺伝子を含む。このような細胞は、変異される、または、誤って発現されるBMP−10/BMP−10レセプター対立遺伝子に関する疾患を調査するために、または、に、または、薬物スクリーニングに用いるために、モデルとして役立つことができる。
細胞、好ましくはヒト細胞、例えば、線維芽細胞も、また提供され、そこでは、内因性のBMP−10/BMP−10レセプターは、通常、内因性のBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子の発現を制御しない制御配列の制御下にある。細胞(例えば、セル・ラインまたは微生物)の中の内因性遺伝子の発現の特徴は、挿入された調節性の要素が内因性のBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子に使用可能な状態で結合されるように、細胞のゲノムに異種性のDNA調節性の要素を挿入することによって修正されることができる。例えば、「転写的にサイレントな」、例えば、正常に発現されないか、または単に非常に低レベルで発現される内因性のBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子は、その細胞の正常に発現された遺伝子産物の発現を促進することができる調節性の要素を挿入することによって、活性化されるかもしれない。標的とされる相同的組換えのような技術は、Chappel, US 5,272,071; WO 91/06667, published in May 16, 1991中で記載されている異種性のDNAを挿入するために用いられることができる。
好ましい実施態様において、本明細書において記載されている組換え型細胞は、被験者の代償療法の用に供することができる。例えば、使用可能な状態で誘導性プロモータ(例えば、ステロイドホルモン・レセプターを調整されたプロモータ)に結合されるBMP−10/BMP−10レセプター・ポリペプチドをコード化している核酸は、ヒトまたは非ヒト、例えば、哺乳動物(例えば、豚の組換え型細胞)に導入される。細胞は、培養されて、生物適合材料(例えば、ポリ・リシン・アルギン酸)にカプセル化されて、被験者にその後、インプラントされた。例えば、Lanza (1996) Nat. Biotechnol. 14:1107; Joki et al. (2001) Nat. Biotechnol. 19:35; and U.S. Patent No. 5,876,742、参照。BMP−10/BMP−10レセプター・ポリペプチドの生産は、被験者に試薬(例えば、ステロイドホルモン)を投与することによって、被験者において調整されることができる。他の好ましい実施態様において、インプラントされた組換え型細胞は、BMP−10/BMP−10レセプター・ポリペプチドに特異的な抗体を発現し、そして、分泌する。抗体は、本明細書において記載されている任意の抗体または任意の抗体誘導体であることができる。
IV. スクリーニング分析
本発明は、モジュレータ、すなわち、候補またはテスト化合物または試薬(例えば、タンパク質、ペプチド、タンパク質疑似体、ペプトイド、低分子または他の薬物)を特定する方法(また、本明細書において、「スクリーニング分析」と称される)を提供し、それは、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質と結合して、例えば、BMP−10/BMP−10レセプター発現またはBMP−10/BMP−10レセプター活性への刺激性または抑制性作用を有するか、または、例えば、BMP−10/BMP−10レセプター基質の発現または活性への刺激性または抑制性作用を有する。このように特定される化合物は、治療的なプロトコルにおいて、標的遺伝子産物の生物学的機能を詳しく述べるために、または、通常の標的遺伝子の相互作用を途絶させる化合物を特定するために、標的遺伝子産物(例えば、BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子)の活性を調整するために用いられることができる。一の実施態様において、本発明は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合するか、または、その活性を調整する候補またはテスト化合物をスクリーニングするための分析を提供する。
本発明は、モジュレータ、すなわち、候補またはテスト化合物または試薬(例えば、タンパク質、ペプチド、タンパク質疑似体、ペプトイド、低分子または他の薬物)を特定する方法(また、本明細書において、「スクリーニング分析」と称される)を提供し、それは、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質と結合して、例えば、BMP−10/BMP−10レセプター発現またはBMP−10/BMP−10レセプター活性への刺激性または抑制性作用を有するか、または、例えば、BMP−10/BMP−10レセプター基質の発現または活性への刺激性または抑制性作用を有する。このように特定される化合物は、治療的なプロトコルにおいて、標的遺伝子産物の生物学的機能を詳しく述べるために、または、通常の標的遺伝子の相互作用を途絶させる化合物を特定するために、標的遺伝子産物(例えば、BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子)の活性を調整するために用いられることができる。一の実施態様において、本発明は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合するか、または、その活性を調整する候補またはテスト化合物をスクリーニングするための分析を提供する。
したがって、本発明は、内皮細胞または血管機能を調整する、化合物、例えば、テスト化合物を特定する方法または分析を提供する。その方法または分析は、以下からなる:(i)(選択的に)例えば、BMP−10またはBMP−10レセプターに相互作用、例えば、結合するテスト試薬を提供または特定すること;および/または、(ii) 対照(例えば、対照サンプル)と比較して、テスト試薬の存在下のBMP−10応答性細胞(例えば、血管および/または心臓の細胞および/または組織)の活性の変化を評価すること。
テスト化合物または試薬は、抗体分子;ペプチド;可溶性BMP−10レセプターまたはその融合;結合領域融合変異体;低分子(例えば、組合せのまたは天然の生産物ライブラリのメンバー);核酸;アンチセンス分子;リボザイム;RNAi;三重らせん分子;または任意のそれらの組み合わせであることができる。一の実施態様において、テスト化合物は、BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチドまたは核酸の活性または発現を調整(例えば、減少または増加)する。例えば、BMP−10またはBMP−10レセプター核酸の発現は、例えば、mRNA転写、mRNA安定性などを変更することによって、変調されることができる。
実施態様において、評価ステップは、以下の一つ以上と接触することを含み、:BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチド(例えば、本明細書において記載されているBMP−10またはBMP−10レセプター)、またはBMP−10またはBMP−10レセプターをコード化している核酸(テスト化合物を有する);そして、所定レベル(例えば、テスト化合物のないコントロール試料)と比較して、テスト化合物がある場合には、BMP−10またはBMP−10レセプターのポリペプチドまたは核酸の一つ以上の活性の変化を評価することを含む。
実施態様において、評価ステップは、BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチド(例えば、本明細書において記載されているBMP−10またはBMP−10レセプター)、またはBMP−10またはBMP−10レセプターをコード化している核酸(テスト化合物を有する)の一つ以上と接触すること、および、所定レベル(例えば、テスト化合物のないコントロール試料)と比較して、テスト化合物がある場合のBMP−10またはBMP−10レセプターのポリペプチドまたは核酸の一つ以上の活性の変化を評価することを含む。接触ステップは、インビトロ(培養細胞、例えば、HUVECSまたはHAECSまたは再構成された系において)、または、インビボ(例えば、非ヒトの被験者、例えば、BMPR2またはNKX2−5遺伝子の突然変異を有する動物モデルにテスト化合物を投与することによって)で有効であることができる。接触ステップおよび/またはテスト化合物の投与は、繰り返されることができる。
実施態様において、以下の一つ以上の対照、例えば、対照サンプル(例えば、テスト化合物にさらされないコントロールサンプル)と比較して、テスト化合物がある場合のBMP−10応答性細胞(例えば、血管および/または心臓の細胞および/または組織)の活性の変化は、変化を測定することによって評価される:(i) Smadタンパク質のリン酸エステル化(例えば、Smad1、5および/または8のリン酸エステル化);(ii) ミオスタチン、エンドグリンおよび/または抑制性Smadの遺伝子発現(例えば、Smad6および/または7の発現の誘導);(iii) プロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)の発現;(iv) Ras関連タンパク質−1a(Rap1a)の発現;(v) 図22−28において特定されたインビトロまたはインビボの内皮細胞のBMP−10刺激に応答する一つ以上の遺伝子の発現;(vi) ストロマ由来の分化因子(SDF−1)、および/または、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清レベル;および/または、(vii) 血管異常(例えば、血管異形成、大量出血、毛細管拡張症、および/または動静脈奇形)。実施態様において、一つ以上の(i)−(iii)および (vi)における減少、そして、(iv)における増加は、BMP−10機能のアンタゴニストを表し、そして、このように、BMP−10拮抗作用が望ましい、血管および/または心臓性の疾患の処置の候補を表わす。他の実施態様において、一つ以上の(i)-(iii)および(vi)における増加、そして、(iv)における減少は、BMP−10機能のアゴニストを表し、そして、このように、BMP−10アゴニストが望ましい血管および/または心臓性の疾患の処置の候補を表わす。
特定の実施態様において、テスト化合物であるBMP−10またはBMP−10レセプターの間の相互作用が評価される。このような相互作用は、形態の変化を検出することによって評価され、および/または、テスト化合物とBMP−10および/またはBMP−10レセプター間の複合体の安定性は、以下の一つ以上を検出することによって決定されることができる。:例えば、生化学検出、親和性に基づく検出(例えば、ウエスタンブロット、アフィニティーカラム)、免疫沈降法、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に基づく分析、分光光度的な手法(例えば、円偏光二色性、吸光度および溶液特性の他の測定)による複合体自体の結合または物理的な形態の変化;シグナル伝達(例えば、Smadsのリン酸エステル化)および/またはBMP−10関連の遺伝子の転写活性の変化(例えば、増加または減少);ストロマ由来の分化因子(SDF−1)および/またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清レベルの変化(例えば、増加または減少);および/または、血管(例えば、血管異形成、大量出血、毛細管拡張症、および/または、動静脈奇形)の異常の変化(例えば、増加または減少)。
一の実施態様において、テスト化合物は、同じまたは異なる分析において確認され、再テストされる。例えば、テスト化合物は、インビトロまたは無細胞系において確認され、動物モデルまたは細胞に基づく分析において再テストされる。分析の任意の順序または組合せが、用いられることができる。例えば、高いスループット分析法が、動物モデルまたは組織培養と組み合わせて用いられることができる。分析の任意の順序または組合せが、使われることができる。例えば、ハイスループット分析法が、動物モデルまたは組織培養と組み合わせて用いられることができる。
他の実施態様において、方法または分析は、近接に依存するシグナル発生に基づくステップ、例えば、第1の融合タンパク質(例えば、BMP−10部分からなる融合タンパク質)および第2の融合タンパク質(例えば、BMP−10レセプターからなる融合タンパク質)を含む2ハイブリッド分析を提供すること、および、2つのハイブリッド分析法が複合体の形態および/または安定性の変化を検出する条件、例えば、複合体の形態がリポーター遺伝子の転写活性化を開始する条件で、テスト化合物を2ハイブリッド分析と接触することを含む。
1つの非限定的な実施態様において、BMP−10の活性部位の三次元構造は、酵素および周知の抑制物質によって形成される複合体を結晶化させることによって決定される。合理的な薬物設計は、それから、周知の抑制物質の構造を改変することによって、または、酵素の活性部位と結合する低分子化合物を設計することによって、新しいテスト試薬を特定するために用いられる。同様に、合理的な薬物設計は、BMP−10レセプターのアンタゴニストを設計するためにも用いられることができ、それは、BMP−10/BMP−10レセプターの生産を調整する際にも有用であることを、当業者は認識する。
本発明のテスト化合物は、公知技術の組合せのライブラリ法(以下を含む)の多数のアプローチのいずれかを用いて得られることができる。:生物学的ライブラリ;ペプトイド・ライブラリ(ペプチドの機能を有するが、酵素的分解に抵抗し、生理活性を維持する、新規な非ペプチド骨格鎖を有する分子のライブラリ;Zuckermann, R.N. et al. (1994) J. Med. Chem. 37:2678-85、参照);空間的にアドレス指定可能な平行した固相または液相ライブラリ;ディコンボリューションを必要としている合成ライブラリ方法;「1−ビーズ、1−化合物」ライブラリ方法;そして、アフィニティークロマトグラフィ選択を用いた合成ライブラリ方法。その他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチド、オリゴマまたは低分子ライブラリに適用できるが、生物学的ライブラリおよびペプトイド・ライブラリのアプローチは、ペプチド・ライブラリに限定される。
分子ライブラリの合成の方法の例は、技術文献において見つけられることができえる。例えば、:DeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermann et al. (1994). J. Med. Chem. 37:2678; Cho et al. (1993) Science 261:1303; Carrell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061; および Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37:1233。
化合物のライブラリは、溶液(例えば、Houghten (1992) Biotechniques 13:412-421)、または、ビーズ(Lam (1991) Nature 354:82-84)、チップ(Fodor (1993) Nature 364:555-556)、細菌(Ladner, U.S. Patent No. 5,223,409)、胞子(Ladner U.S. Patent No. 5,223,409)、プラスミド(Cull et al. (1992) Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869)、または、ファージ(Scott and Smith (1990) Science 249:386-390; Devlin (1990) Science 249:404-406; Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382; Felici (1991) J. Mol. Biol. 222:301-310; Ladner supra.)において提示されてもよい。
一の実施態様において、分析は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはその生物学的に活性な部分を発現する細胞がテスト化合物に接触される細胞に基づく分析であり、そして、BMP−10/BMP−10レセプター活性を調整するテスト化合物の能力は測定される。BMP−10/BMP−10レセプター活性を調整するテスト化合物の能力を決定することは、例えば、Smadタンパク質リン酸エステル化および/または転写活性をモニタリングによって達成されることができる。細胞は、例えば、哺乳類の由来、例えば、ヒト(例えば、HUVECSまたはHAECS)であることができる。
化合物(例えば、BMP−10/BMP−10レセプター基質)へのBMP−10/BMP−10レセプター結合を調整する、または、BMP−10/BMP−10レセプターと結合するテスト化合物の能力も評価されることができる。これは、例えば、化合物(例えば、基質)を放射性同位元素または酵素標識に連結することによって達成されることができ、BMP−10/BMP−10レセプターに対する化合物(例えば、基質)の結合は、複合体の標式化合物(例えば、基質)を検出することによって測定されることができる。別の実施態様では、BMP−10/BMP−10レセプターは、複合体のBMP−10/BMP−10レセプター基質へのBMP−10/BMP−10レセプター結合を調整するテスト化合物の能力をモニターするために、放射性同位元素または酵素標識に連結することができる。例えば、直接的または間接的に化合物(例えば、BMP−10/BMP−10レセプター基質)は、125I、35S、14Cまたは3Hでラベルされることができ、そして、放射性同位元素は、放射性エミッションを直接に計数することによって、または、シンチレーション計数によって検出されることができる。別の実施態様では、化合物は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはルシフェラーゼ、および、生成物への適切な基質の転換の測定によって検出される酵素標識により酵素的にラベルされることができる。
反応体のいずれかの標識の有無にかかわらずBMP−10/BMP−10レセプターと相互作用する化合物(例えば、BMP−10/BMP−10レセプター基質)の能力は、評価されることができる。例えば、ミクロ生理学メーターは、化合物またはBMP−10/BMP−10レセプターの標識のないBMP−10/BMP−10レセプターを有する化合物の相互作用を検出するために用いられることができる。McConnell, H. M. et al. Science 257:1906-1912, 1992。本明細書で用いられる場合、「ミクロ生理学メーター」(例えば、Cytosensor)は、細胞が光アドレス指定可能な電位差測定のセンサ(LAPS)を使用しているその環境を酸性化する割合を測定する分析機器である。この酸性化割合の変化は、化合物とBMP−10/BMP−10レセプターの間の相互作用のインジケータとして使われることができる。
さらに別の実施態様では、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはその生物学的に活性な部分がテスト化合物によって接触され、そして、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはその生物学的に活性な部分と結合するテスト化合物の能力が評価される無細胞分析が提供される。本発明の分析において使われるBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の好適な生物学的に活性な部分は、非BMP−10/BMP−10受容分子(例えば、高い表層可能性スコアを有する断片)を有する相互作用に関与する断片を含む。
単離されたタンパク質(例えば、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはその生物学的に活性な部分)の可溶性のおよび/または膜結合形態が、本発明の無細胞分析において用いられることができる。タンパク質の膜結合形態が使われるときに、可溶化剤を利用することは、望ましいかもしれない。そのような可溶化剤の例は、以下のものを含む。非イオン性界面活性剤、例えばn−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標) X-100、Triton(登録商標) X-114、Thesit(登録商標)、Isotridecypoly(エチレン・グリコールエーテル)n、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアミノ]−1−プロパン・スルホン酸塩(CHAPS)、3−[(3−胆汁アミド・プロピル)ジメチルアミノ]−2−ヒドロキシ−1−プロパン・スルホン酸塩(CHAPSO)またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパン・スルホン酸塩。
無細胞分析は、2つの成分が相互作用および結合を許すのに十分な条件および時間の下で、標的遺伝子タンパク質およびテスト化合物の反応混合物を準備することが必要であり、このようにして、除去および/または検出されることができる複合体を形成する。
2つの分子の間の相互作用は、例えば、蛍光エネルギー移動(FET)を使用して検出されることもできる(例えば、Lakowicz et al., U.S. Patent No. 5,631,169; Stavrianopoulos, et al., U.S. Patent No. 4,868,103、参照)。その発された蛍光エネルギーが第2の『レセプター』分子の蛍光ラベルによって吸収されるように、第1の『ドナー』分子の蛍光ラベルは選択され、それは、次に、吸収エネルギーのため蛍光を発することができる。あるいは、『ドナー』タンパク質分子は、単にトリプトファン残基の自然の蛍光エネルギーを利用してもよい。光の異なる波長を発するラベルは選択され、そうすると、『レセプター』分子ラベルは『ドナー』のそれと区別されるかもしれない。ラベル間のエネルギー転移の効率が分子を分離している距離に関連あるので、分子の空間関係は評価されることができる。結合が分子の間に発生する状況において、分析の『レセプター』分子ラベルの蛍光放出は、最大でなければならない。FETを結合している現象は、公知技術の標準的な蛍光定量的検出手段によって(例えば、蛍光光度計を使用して)、都合よく測定されることができる。
他の実施態様において、標的分子と結合するBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の能力を測定することは、リアルタイム生物分子相互作用分析(BIA)を使用して達成されることができる(例えば、Sjolander, S. and Urbaniczky, C. (1991) Anal. Chem. 63:2338-2345 and Szabo et al. (1995) Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705、参照)。反応体(例えば、BIAcore)のいずれかにラベルをつけずに、「表面プラスモン共鳴」または「BIA」は、リアルタイムの生物特異的な相互作用を検出する。結合面(結合現象を表す)の塊の変化は、表面(表面プラスモン共鳴(SPR)の光学現象)の近くで、光の屈折率の改変という結果をもたらし、生体分子間のリアルタイム反応の徴候として使われることができる検出可能なシグナルという結果をもたらす。
一の実施態様において、標的遺伝子産物または検体は、固相に固定される。固相に固定される標的遺伝子産物/テスト化合物複合体は、反応の終わりに検出されることができる。好ましくは、標的遺伝子産物は、固体の表面上へ固定されることができ、そして、テスト化合物(それは、固定されない)は、直接的または間接的に、本明細書において述べられる検出可能なラベルにより標識されることができる。
分析の自動化に対応するのと同様に、タンパク質の非複合型形態から複合型ものの分離を容易にするために、BMP−10/BMP−10レセプター、抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体またはその標的分子のいずれかを固定することは、望ましいかもしれない。BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質に対するテスト化合物の結合、または、候補化合物の存在下および非存在下の標的分子とのBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の相互作用は、反応物を含むことに適している任意の容器において達成されることができる。このような容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管およびミクロ遠心管が含まれる。一の実施態様において、タンパク質の一方または両方がマトリックスに密接に結びつくことを許す領域を加える融合タンパク質が提供されることができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/BMP−10/BMP−10レセプター融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質はグルタチオン・セファロース・ビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)、または、グルタチオンに誘導されたマイクロタイタープレート上へ吸着されることができ、それは、それからテスト化合物、または、テスト化合物および非吸着標的タンパク質、または、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質、および、複合体形成を引き起こす条件下(例えば、塩およびpHについて生理的条件)でインキュベートされる混合物と結合される。インキュベーション後、マイクロタイタープレート・ウェルは、任意の非結合の成分、ビーズの場合のマトリックス、例えば、上記の通りに、直接的または間接的に測定される複合体を取り除くために洗浄される。別の実施態様では、複合体はマトリックスから解離することができ、そして、BMP−10/BMP−10レセプター結合または活性のレベルは標準的な技術を使用して測定された。
BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはマトリックス上の標的分子を固定するための他の技術は、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を使用することを含む。ビオチン化されたBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質または標的分子は、公知技術の(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals, Rockford, IL)技術を使用しているビオチン―NHS(N―ヒドロキシ―スクシンイミド)から調製されることができ、ストレプトアビジン被覆96穴プレート(Pierce Chemical)のウェルにおいて固定されることができる。
分析を実行するために、非固定化成分は、固定された成分を含んでいるコーティング表面に加えられる。反応が終了したあと、形成される任意の複合体が固体の表面に固定されるままである条件下、反応していない成分は(例えば、洗浄によって)取り除かれる。固体の表面に固定される複合体の検出は、多くの方法で達成されることができる。すでに非固定化成分が予めラベルをつけられる所で、表面に固定されるラベルの検出は複合体が形成されたことを示す。すでに非固定化成分が予めラベルをつけられない所で、間接的なラベルは、例えば、固定化成分に特異的な標識抗体を使用して(次に、抗体は、直接的にラベルされるか、または、間接的に、例えば、標識抗免疫グロブリン抗体によりラベルされることができる。)、表面に固定される複合体を検出するために用いることができる。
一の実施態様において、この分析はBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質または標的分子に反応性の抗体を利用して実行されるが、それはその標的分子へのBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の結合を妨げない。このような抗体は、プレートのウェルに誘導体化され、また、非結合の標的またはBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質は、抗体結合によってウェルに閉じ込められる。このような複合体を検出する方法は、GST固定化複合体のための上記方法に加えて、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質または標的分子に反応性の抗体を使用している複合体の免疫検出(BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質または標的分子と結合される酵素活性を検出することに依存する酵素結合分析と同様に)を含む。
別の実施態様では、細胞フリーな分析は、液相において実行されることができる。このような分析において、これに限定されないが、以下を含むが、多くの標準的な技術のいずれかによって、反応生成物は、反応していない成分から切り離される。:分画遠心分離法(例えば、Rivas, G., and Minton, A.P., (1993) Trends Biochem Sci 18:284-7、参照);クロマトグラフィ(ゲル濾過クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ);電気泳動法(例えば、Ausubel, F. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology 1999, J. Wiley: New York.、参照);そして、免疫沈降法(例えば、Ausubel, F. et al., eds. (1999) Current Protocols in Molecular Biology, J. Wiley: New York、参照)。このような樹脂およびクロマトグラフィの技術は、当業者に公知である(例えば、Heegaard, N.H., (1998) J Mol Recognit 11:141-8; Hage, D.S., and Tweed, S.A. (1997) J Chromatogr B Biomed Sci Appl. 699:499-525、参照)。更に、本明細書において記載されているように、水溶液から複合体の更なる精製なしで結合を検出するために、蛍光エネルギー転移も、都合よく利用されるかもしれない。
好ましい実施態様において、分析法は、分析の混合物を形成するためにBMP−10/BMP−10レセプターを結合する周知の化合物によってそのBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質または生物学的に活性な部分と接触すること、テスト化合物を分析の混合物と接触すること、そして、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質と相互作用するテスト化合物の能力を測定することを含み、そこにおいて、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質と相互作用するテスト化合物の能力を測定することは、周知の化合物と比較して、優先してBMP−10/BMP−10レセプターまたはその生物学的に活性な部分と結合するか、または、標的分子の活性を調整するために、テスト化合物の能力を測定することを含む。
本発明の標的遺伝子産物は、インビボで、一つ以上の細胞性または細胞外巨大分子(例えば、タンパク質)と相互作用することができる。この考察のために、このような細胞性および細胞外巨大分子は、本明細書において、「結合パートナー」と称される。このような相互作用を損なう化合物は、標的遺伝子産物の活性を調整する際に有用であることができる。このような化合物は、これらに限定されないが、分子、例えば、抗体、ペプチドおよび低分子を含む。この実施態様に用いられる好ましい標的遺伝子/生成物は、本明細書において特定されたBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子である。別の実施態様において、本発明は、BMP−10/BMP−10レセプター標的分子の下流のエフェクターの活性の調節によりBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の活性を調整するテスト化合物の能力を測定する方法を提供する。例えば、適切な標的上のエフェクター分子の活性は、測定されることができ、または、前述したように、適切な標的に対するエフェクターの結合は測定されることができる。
標的遺伝子産物およびその細胞性または細胞外結合パートナーの間の相互作用を阻害する化合物を特定するために、標的遺伝子産物および結合パートナーを含んでいる反応混合物は、2つの生成物に複合体の形成を許すのに十分な条件及び時間の下で、調製される。抑制性試薬をテストするために、反応混合物は、テスト化合物の存在下および非存在下において提供される。テスト化合物は、最初に反応混合物に含まれることがあるか、または、標的遺伝子およびその細胞性または細胞外結合パートナーの付加に続く時刻に加えられることができる。制御反応混合物は、テスト化合物なしで、または、プラセボによってインキュベートされる。標的遺伝子産物間および細胞性または細胞外結合パートナーの間の任意の複合体の形態は、それから検出される。テスト化合物を含んでいる反応混合物ではなく、コントロール反応における複合体の形態は、化合物が標的遺伝子産物および相互作用性のある結合パートナーの相互作用を阻害することを示す。さらに、テスト化合物および通常の標的遺伝子産物を含んでいる反応混合物内の複合体形成は、テスト化合物および変異体標的遺伝子産物を含んでいる反応混合物内の複合体形成と比較されることもできる。この比較は、突然変異であるが、正常でない標的遺伝子産物の相互作用を損なう化合物を特定することが望ましい場合に重要である。
これらの分析は、異種であるか同種の形態において実行されることができる。異種の分析法は、固相上へ標的遺伝子産物または結合パートナーを固定すること、および、反応の終わりに固相に固定される複合体を検出することが必要である。同種の分析において、全ての反応は、液相において実施される。いずれのアプローチにおいても、テストされている化合物に関する異なる情報を得るために、反応物の付加の序列は、変化されることができる。例えば、標的遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を(例えば、競合によって)阻害するテスト化合物は、検体が存在する場合には、反応を実行することによって特定されることができる。別の実施態様では、予備成形された複合体(例えば、複合体からの成分のうちの1つを移すより高い結合定数を有する化合物)を破壊するテスト化合物は、複合体が形成されたあと、テスト化合物を反応混合物に加えることによってテストされることができる。さまざまな形態は、以下で簡単に説明される。
異種の分析系において、標的遺伝子産物または相互作用的な細胞性または細胞外結合パートナーは固体の表面(例えば、マイクロタイタープレート)上へ固定され、その一方で、直接的、または、間接的に、非固定された種はラベルをつけられる。固定された種は、非共有であるか共有結合性付着によって固定されることができる。別の実施態様では、固定される種に特異的な固定化抗体は、種を固体の表面に固定するために用いることができる。
分析を実行するために、固定化種のパートナーは、テスト化合物の有無にかかわらずコーティング表面にさらされる。反応が終了していたあと、反応していない成分は(例えば、洗浄によって)取り除かれ、そして、形成される任意の複合体は固体の表面に固定されるままである。非固定化種が予めラベルをつけられる所で、表面に固定されるラベルの検出は複合体が形成されたことを示す。非固定化種が予めラベルをつけられない所で、間接的なラベルは、例えば、初めに非固定化種に特異的な標識抗体を使用して、表面に固定される複合体を検出するために用いられることができる。(抗体は、次に、直接的にラベルされるか、または、間接的に、例えば、標識抗免疫グロブリン抗体によりラベルされることができる。)反応成分の付加の序列によって、複合体形成を阻害する、または、予備成形された複合体を破壊するテスト化合物は、検出されることができる。
別の実施態様では、反応はテスト化合物の有無の液相において実施されることができ、反応生成物は反応していない成分と分離され、そして、複合体は検出される。(例えば、水溶液において形成された任意の複合体、および、固定された複合体を検出するための他のパートナーに特異的な標識抗体を固定するために結合成分のうちの1つに特異的な固定化抗体を使用して)さらにまた、液相に対する反応物の付加の序列によって、複合体を阻害する、または、予備成形された複合体を破壊するテスト化合物は、特定されることができる。
本発明の別の実施態様において、同種の分析法が、用いられることができる。例えば、標的遺伝子産物またはそれらの結合パートナーはラベルされることで、標的遺伝子産物および相互作用性の細胞性または細胞外の結合パートナー生成物の予備成形された複合体は調製されるが、ラベルによって発生するシグナルは複合体形成のため消光される(例えば、U.S. Patent No.4,109,496 that utilizes this approach for immunoassays、参照)。本発明の別の実施態様において、種のうちの1つを予備成形された複合体から争って、置き換える検体の添加は、上記背景のようにシグナルの発生という結果になる。このようにして、標的遺伝子産物−結合パートナーの相互作用を破壊する検体は、特定されることができる。
さらに他の実施態様では、BMP−10/BMP−10レセプター(「BMP−10/BMP−10レセプター―結合タンパク質」または「BMP−10/BMP−10レセプター―bp」)と結合するかまたは相互作用し、BMP−10/BMP−10レセプター活性に関係している他のタンパク質を特定するために、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質が、2ハイブリッド分析または3ハイブリッド分析(例えば、U.S. Patent No. 5,283,317; Zervos et al. (1993) Cell 72:223-232; Madura et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:12046-12054; Bartel et al. (1993) Biotechniques 14:920-924; Iwabuchi et al. (1993) Oncogene 8:1693-1696; and Brent WO94/10300、参照)の「おとりタンパク質」として使われることができる。このようなBMP−10/BMP−10レセプター−bpsは、例えば、BMP−10/BMP−10レセプターに媒介されるシグナル伝達経路の下流の要素として、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはBMP−10/BMP−10レセプター標的によるシグナルの活性化物質または抑制物質であることができる。
2ハイブリッド系は大部分の転写因子のモジュール式の性質に基づき、そして、それは分離可能なDNA−結合および活性化領域からなる。簡潔には、分析は、2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築物において、それがBMP−10/BMP−10レセプタータンパク質をコード化する遺伝子は、公知の転写制御因子(例えば、GAL−4)のDNA結合領域をコード化している遺伝子に融合する。他の構築物において、DNA塩基配列のライブラリからの、未確認のタンパク質(「餌食」または「サンプル」)をコード化するDNA塩基配列は、公知の転写因子の活性化領域をコード化する遺伝子に融合する。(あるいは、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質は、活性化物質領域に融合されることができる。)「おとり」および「餌食」タンパク質が、インビボで、BMP−10/BMP−10レセプターに依存する複合体を形成して相互作用することが可能である場合、転写因子のDNA−結合および活性化領域は近い付近に挿入される。この付近は、転写因子に応答する転写調節部位に使用可能な状態で結合されるリポーター遺伝子(例えば、lacZ)の転写を許す。リポーター遺伝子の発現は検出されることができ、そして、機能的な転写因子を含んでいる細胞群体は分離されることができ、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質と相互作用するタンパク質をコード化するクローンされた遺伝子を得るために用いられることができる。
他の実施態様において、BMP−10/BMP−10レセプター発現のモジュレータは、特定される。例えば、細胞または細胞フリーな混合物は、候補化合物に接触され、BMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質の発現は、候補化合物の非存在下でのBMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較して評価される。BMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物が存在する場合に、その不存在の場合より大きいときに、候補化合物はBMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質の発現の刺激物質として特定される。別の実施態様では、BMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物が存在する場合に、その不存在の場合より少ない(統計学的に著しくより少ない)ときに、候補化合物はBMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質の発現の抑制物質として特定される。BMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質の発現のレベルは、BMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはタンパク質を検出するために本明細書において記載されている方法で測定されることができる。
別の実施態様においては、本発明は、本明細書において記載されている分析のうちの2つ以上の組合せに関係する。例えば、モジュレートする試薬は、細胞に基づく、または、細胞フリーな分析を使用して特定されることができ、そして、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の活性を調整する試薬の能力は、例えば、炎症性肺疾患(例えば、喘息)の動物モデルのような動物においてインビボで特定されることができる。
本発明は、更に、上記のスクリーニング分析によって特定される新規試薬に関係する。本明細書において記載されているように、このような試薬を有する処置の有効性、毒性、副作用または作用メカニズムを測定するために、適切な動物モデルにおいて、更に特定される試薬(例えば、BMP−10/BMP−10レセプターを調整する試薬、アンチセンスBMP−10/BMP−10レセプター核酸分子、BMP−10/BMP−10レセプター−特異的抗体、または、BMP−10/BMP−10レセプター−結合パートナー)
を使用することは、本発明の範囲内である。さらにまた、上記のスクリーニング分析によって特定される新規試薬は、本明細書において記載されている処置のために用いられることができる。
を使用することは、本発明の範囲内である。さらにまた、上記のスクリーニング分析によって特定される新規試薬は、本明細書において記載されている処置のために用いられることができる。
本発明のスクリーニング方法は、インビトロ(例えば、細胞に基づく分析、または、酵素活性分析におけるBMP−10/BMP−10レセプター活性をモニターすることによって)、または、インビボ(例えば、組織サンプル(例えば、哺乳類にテスト試薬を投与した後のBAL)のBMP−10/BMP−10レセプターの活性または発現をモニターすることによって)で実施される。典型的な哺乳類は、これに限定されないが、ヒト、マウス、ネズミおよびイヌを含む。
本発明は、非ヒトのトランスジェニック動物も提供する。このような動物は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の機能および/または活性を研究するため、および、BMP−10/BMP−10レセプター活性のモジュレータを特定および/または評価するために有用である。
本明細書で用いられる場合、「トランスジェニック動物」は非ヒトの動物、好ましくは、哺乳類、より好ましくは、ネズミまたはマウスのような齧歯動物であり、動物の細胞の一つ以上は導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例は、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等を含む。導入遺伝子は外因性のDNAまたは再編成(例えば、内因性の染色体DNAの削除)であり、それは、好ましくは、トランスジェニック動物の細胞のゲノムに統合されるかまたは発生する。導入遺伝子は、トランスジェニック動物の細胞タイプまたは組織の一つ以上において、コード化された遺伝子産物の発現を導くことができ、他の導入遺伝子(例えば、ノックアウト)は、発現を低下させる。従つて、トランスジェニック動物は、内因性のBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子が、動物の開発の前に、例えば、動物(例えば、動物の胚細胞)の細胞に導入される内因性遺伝子と外因性のDNA分子の間の相同的組換えによって、変更されたものであることができる。
イントロン配列およびポリアデニル化シグナルも、導入遺伝子の発現の効率を上昇させるために、導入遺伝子に含まれることができる。組織特異的な制御配列は、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質の発現を特定の細胞に導くために、本発明の導入遺伝子に、使用可能な状態で結合されることができる。初代トランスジェニック動物は、そのゲノムにおけるBMP−10/BMP−10レセプター導入遺伝子の存在、および、動物の組織または細胞のBMP−10/BMP−10レセプターmRNAの発現に基づいて特定されることができる。初代トランスジェニック動物は、それから、導入遺伝子を担持している追加的な動物を育てるために用いられることができる。さらに、BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質をコード化している導入遺伝子を担持しているトランスジェニック動物は、他の導入遺伝子を担持している他のトランスジェニック動物に、更に育てられることができる。
BMP−10/BMP−10レセプタータンパク質またはポリペプチドは、トランスジェニック動物または植物において発現されることができ、例えば、タンパク質またはポリペプチドをコード化している核酸は、動物のゲノムに導入されることができる。好ましい実施態様において、核酸は、組織特異的なプロモータ(例えば、ミルクまたは卵に特異的なプロモータ)の制御下に配置され、動物によって生産されるミルクまたは卵から回収される。適切な動物は、マウス、ブタ、ウシ、ヤギおよびヒツジである。
例えば、以下に述べられるように、本発明は、トランスジェニック動物からの細胞集団も含む。
V.診断および予後の分析
別の実施態様においては、本発明は、試験サンプルにおける血管に関連するBMP−10および/または心臓性の疾患(例えば、本明細書において記載されている疾患)の事前評価、診断、および/または、進行をモニターする方法を提供する。その方法は、BMP−10またはBMP−10関連の遺伝子から選択される核酸またはポリペプチドの発現または活性を評価することを含み、対照サンプル(例えば、正常な被験者から、または、処置の前に得られたサンプル)と比較した核酸またはポリペプチドのレベルの違いは、疾患の存在または進行を表す。典型的なBMP−10関連の遺伝子は、これに限定されないが、GDF−8、GDF−10、エンドグリン、抑制性Smad(例えば、Smad6および/または7)および、プロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)を含む。特定の実施態様において、試験サンプルのBMP−10またはBMP−10関連の遺伝子のレベルの増加は、対照サンプルと比較して、BMP−10機能の拮抗作用が望ましいBMP−10血管および/または心臓の疾患(例えば、本明細書において記載されている血管および/または心臓の疾患)の診断と関連する。他の実施態様において、試験サンプルのBMP−10またはBMP−10関連の遺伝子のレベルの減少は、対照サンプルと比較して、BMP−10機能のアゴニズムが望ましいBMP−10血管および/または心臓の疾患の診断と関連する。
別の実施態様においては、本発明は、試験サンプルにおける血管に関連するBMP−10および/または心臓性の疾患(例えば、本明細書において記載されている疾患)の事前評価、診断、および/または、進行をモニターする方法を提供する。その方法は、BMP−10またはBMP−10関連の遺伝子から選択される核酸またはポリペプチドの発現または活性を評価することを含み、対照サンプル(例えば、正常な被験者から、または、処置の前に得られたサンプル)と比較した核酸またはポリペプチドのレベルの違いは、疾患の存在または進行を表す。典型的なBMP−10関連の遺伝子は、これに限定されないが、GDF−8、GDF−10、エンドグリン、抑制性Smad(例えば、Smad6および/または7)および、プロ血管形成遺伝子(例えば、VEGF、ID1およびID2)を含む。特定の実施態様において、試験サンプルのBMP−10またはBMP−10関連の遺伝子のレベルの増加は、対照サンプルと比較して、BMP−10機能の拮抗作用が望ましいBMP−10血管および/または心臓の疾患(例えば、本明細書において記載されている血管および/または心臓の疾患)の診断と関連する。他の実施態様において、試験サンプルのBMP−10またはBMP−10関連の遺伝子のレベルの減少は、対照サンプルと比較して、BMP−10機能のアゴニズムが望ましいBMP−10血管および/または心臓の疾患の診断と関連する。
一の実施態様において、評価ステップは、インビトロまたはエクスビボで行われる。例えば、サンプル(例えば、血清サンプル)は、被験者から得られる。
他の実施態様において、評価ステップは、インビボで発生する。例えば、被験者に、BMP−10またはBMP−10に関連する核酸またはポリペプチドと相互作用する検出可能的に標識試薬を投与することによって、シグナルが核酸またはポリペプチドの活性または発現のレベルと関連して発生する。
発現のモニタリングおよびプロファイリング
生体試料のBMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸の存在、レベルまたは不存在は、テスト被験者から生体試料を得ること、および、BMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸の存在が生体試料において検出されるように、BMP−10/BMP−10受容体タンパク質をコード化するBMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出することができる化合物または試薬に生体試料を接触することによって、評価されることができる。「生体試料」という用語は、被験者内に存在する組織、細胞および体液と同様に、被験者から分離される組織、細胞および生物的な体液を含む。好適な生体試料は、血清である。BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子の発現のレベルは、これに限定されないが、以下を含む多くの方法により測定されることができる。:BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子によってコード化されるmRNAを測定すること;BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子によってコード化されるタンパク質の量を計量すること;またはBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子によってコード化されるタンパク質の活性を測定すること。
生体試料のBMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸の存在、レベルまたは不存在は、テスト被験者から生体試料を得ること、および、BMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸の存在が生体試料において検出されるように、BMP−10/BMP−10受容体タンパク質をコード化するBMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出することができる化合物または試薬に生体試料を接触することによって、評価されることができる。「生体試料」という用語は、被験者内に存在する組織、細胞および体液と同様に、被験者から分離される組織、細胞および生物的な体液を含む。好適な生体試料は、血清である。BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子の発現のレベルは、これに限定されないが、以下を含む多くの方法により測定されることができる。:BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子によってコード化されるmRNAを測定すること;BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子によってコード化されるタンパク質の量を計量すること;またはBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子によってコード化されるタンパク質の活性を測定すること。
細胞のBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子に対応するmRNAのレベルは、インサイツ(in situ)およびインビトロの形式の両方で測定されることができる。
単離されたmRNAは、これに限定されないが、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応法分析およびプローブ・アレイを含む、ハイブリッド形成または増幅分析において用いられることができる。mRNAレベルの検出のための1つの好適な診断法は、検出されている遺伝子によってコード化されるmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)に、単離されたmRNAを接触することを含む。核酸プローブは、例えば、完全長BMP−10/BMP−10レセプター核酸、例えば、配列番号1の核酸、または、その部分、例えば、長さにおいて、少なくとも7、15、30、50、100、250または500ヌクレオチドであり、ストリンジェントな条件下でBMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドであることができる。プローブは、アレイ(例えば、後述するアレイ)のアドレスに配置されることができる。診断検査法に用いられる他の適切なプローブは、本明細書において記載されている。
1つの形態において、例えば、アガロースゲル上で単離されたmRNAを走らせて、ゲルから膜(例えば、ニトロセルロース)へmRNAを移すことによって、mRNA(またはcDNA)は、表面に固定されて、プローブに接触される。他の形態において、プローブは表面に固定され、そして、mRNA(またはcDNA)は、例えば、後述する二次元の遺伝子チップ・アレイにおいて、プローブと接触される。当業者は、BMP−10/BMP−10レセプター遺伝子によってコード化されるmRNAのレベルを検出するために、公知のmRNA検出方法を適用することができる。
BMP−10/BMP−10レセプターのうちの1つによってコード化されるサンプルのmRNAのレベルは、核酸増幅、例えば、rtPCR(Mullis (1987) U.S. Patent No. 4,683,202)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193)、自己持続配列複製法(Guatelli et al., (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q−βレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製法(Lizardi et al. U.S. Patent No. 5,854,033)または任意の他の核酸増幅方法(公知技術を用いて増幅された分子の検出が続く)によって評価されることができる。本明細書で用いられる場合、増幅プライマーは、遺伝子の5' または 3'領域(それぞれプラスおよびマイナス鎖、または、逆もまた同じ)にアニール化されることができ、その間の短い領域を含むことができる一対の核酸分子であるとして明らかにされる。一般に、増幅プライマーは、長さにおいて約10〜30のヌクレオチドについてからであり、長さにおいて約50〜200のヌクレオチドからの領域の側面に位置する。適切な条件の下で、そして、適切な試薬とともに、このようなプライマーは、プライマーが側面に並んでいる核酸配列からなる核酸分子の増幅ができるようにする。
インサイツの方法のために、細胞または組織サンプルは、調製され/処理され、支持体(通常はガラススライド)上に固定され、そして、分析されているBMP−10/BMP−10レセプター遺伝子をコード化するmRNAにハイブリダイズすることができるプローブに接触される。
他の実施態様において、その方法は、更に、BMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはゲノムDNAを検出することができる化合物または試薬をコントロール試料と接触すること、および、試験サンプルのBMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはゲノムDNAの存在と、コントロール試料のBMP−10/BMP−10レセプターmRNAまたはゲノムDNAの存在を比較することである。さらに別の実施態様において、遺伝子発現の連続分析法は、米国特許第5,695,937号にて説明されるように、BMP−10/BMP−10レセプター転写物レベルを検出するために用いられる。
様々な方法は、BMP−10/BMP−10レセプターによってコード化されるタンパク質のレベルを測定するために用いられることができる。一般に、サンプルのタンパク質のレベルを評価するために、これらの方法は、選択的にタンパク質(例えば、抗体)と結合する試薬をサンプルと接触することを含む。好ましい実施態様において、抗体は、検出可能なラベルを持つ。抗体は、ポリクローナル、または、より好ましくは、モノクローナルであることができる。完全な抗体またはその断片(例えば、Fab または F(ab')2)が使われることができる。「標識される」という用語は、プローブまたは抗体に関して、検出可能な物質との反応性によるプローブまたは抗体の間接的な標識と同様に、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカプリング(すなわち、物理的に結合)することによって、プローブまたは抗体を直接的にラベルすることを含むことを意図する。検出可能な物質の例は、本明細書において提供される。
検出方法は、インビボと同様に、インビトロで生体試料のBMP−10/BMP−10受容体タンパク質を検出するために用いられることができる。BMP−10/BMP−10受容体タンパク質の検出のインビトロでの技術は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫沈降法、免疫蛍光検査、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)およびウエスタンブロット解析を含む。BMP−10/BMP−10受容体タンパク質の検出のインビボでの技術は、標識抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体を被験者に導入することを含む。例えば、抗体は、被験者の存在および位置が標準的な映像技術によって検出されることができる放射性標識でラベルされることができる。他の実施態様において、サンプルは、ラベル化、例えば、ビオチン化され、それから抗体(例えば、抗体アレイに配置される抗BMP−10/BMP−10レセプター抗体)に接触される(後述するように)。サンプルは、例えば、アビジンを蛍光ラベルに連結して検出されることができる。
他の実施態様において、その方法は、BMP−10/BMP−10受容体タンパク質を検出することができる化合物または試薬をコントロール試料と接触すること、および、コントロール試料のBMP−10/BMP−10受容体タンパク質の存在を試験サンプルのBMP−10/BMP−10受容体タンパク質の存在と比較することを更に含む。
本発明は、生体試料のBMP−10/BMP−10レセプターの存在を検出するためのキットも含む。例えば、キットは、生体試料のBMP−10/BMP−10受容体タンパク質またはmRNAを検出することができる化合物または試薬、および、標準物質を含むことができる。化合物または試薬は、適切な容器で包まれることができる。キットは、BMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸を検出するためのキットを使用するための説明書から更になることができる。
抗体に基づくキットのために、キットは、以下を含むことができる。:(1) 本発明の標識に対応するポリペプチドと結合する(例えば、担体に取り付けられる)第1の抗体;および、選択的に、(2) ポリペプチドまたは第1の抗体と結合して、検出可能な試薬に結合する第2の異なる抗体。
オリゴヌクレオチドに基づくキットのために、キットは、以下を含むことができる。:(1) 本発明の標識に対応するポリペプチドをコード化している核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(例えば、検出可能的に標識されたオリゴヌクレオチド)、または、(2) 本発明の標識に対応する核酸分子を増幅するために有用な一対のプライマー。キットは、緩衝剤、防腐剤またはタンパク質分解防止剤を含むこともできる。キットは、検出可能な試薬を検出するために必要な成分を含むこともできる(例えば、酵素または基質)。キットは、検定され、試験サンプルと比較することができるコントロール試料または一連のコントロール試料を含むこともできる。キットの各成分は、個々の容器内に封入されることができ、そして、さまざまな容器の全ては、キットを使用して実行される分析の結果を説明するための説明書とともに、単一のパッケージ内にあることができる。
本明細書において記載されている診断法は、誤って発現された、または、異常な、または、不必要なBMP−10/BMP−10受容体発現または活性に関連する疾病または疾患を有する、または、発症する危険性のある被験者を特定することができる。本明細書で用いられる場合、「不必要である」という用語は、生物学的反応(例えば、気道炎症)を伴う不必要な現象を含む。
一の実施態様において、異常であるか不必要なBMP−10/BMP−10受容体発現または活性と関連する疾病または疾患は、特定される。試験サンプルは、被験者から得られ、BMP−10/BMP−10受容体タンパクまたは核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)は評価され、そこにおいて、BMP−10/BMP−10受容体タンパク質または核酸のレベル(例えば、有無)は、異常であるか不必要なBMP−10/BMP−10受容体発現または活性と関連する疾病または疾患を有する、または、発症の危険率を有する被験者のために診断である。本明細書で用いられる場合、「試験サンプル」とは、関心のある被験者から得られる生体試料をいい、生体液(例えば、血清)、細胞サンプルまたは組織を含む。
本明細書において記載されている予後の分析は、異常であるか不必要なBMP−10/BMP−10受容体発現または活性と関連する疾病または疾患を治療するために、被験者が試薬(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプトイド疑似体、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子または他の薬物候補)を投与されることができるかどうかを決定するために用いられることができる。例えば、このような方法は、被験者がBMP−10/BMP−10受容体発現または活性を拮抗または阻害する試薬により有効に治療されることができるかどうかを決定するために用いられることができる。
別の実施態様においては、本発明は、複数のデジタル的にコード化されたデータレコードを有するコンピュータ・メディアを特徴とする。各データレコードは、サンプルのBMP−10/BMP−10レセプターの発現のレベルを示す値、および、サンプルの記述を含む。サンプルの記述は、サンプル、サンプルが誘導された被験者(例えば、患者)、診断または処置(例えば、好適な処置)の識別子であることができる。好ましい実施態様において、データレコードは、BMP−10/BMP−10レセプター以外の遺伝子(例えば、BMP−10/BMP−10レセプター―疾患と関連する他の遺伝子またはアレイ上の他の遺伝子)の発現のレベルを示す値を更に含む。データレコードは、テーブル、例えば、リレーショナル・データベース(例えば、Oracle または Sybaseのデータベース環境のSQLデータベース)のようなデータベースの一部であるテーブルとして構築されることができる。
さらに、特徴は、サンプルを評価する方法である。その方法は、例えば、被験者からのサンプルを提供すること、および、サンプルの遺伝子発現プロフィールを決定することを含み、そこにおいて、プロフィールはBMP−10/BMP−10受容体発現のレベルを示す値を含む。その方法は、値またはプロフィール(すなわち、複数の値)を対照値または対照プロフィールと比較することを更に含むことができる。サンプルの遺伝子発現プロフィールは、本明細書において記載されている方法のいずれかによって(例えば、サンプルからの核酸を提供して、アレイに核酸を接触することによって)得られることができる。その方法は、被験者の気道炎症性疾患を診断するために用いられることができ、BMP−10/BMP−10受容体発現または活性の増加は、被験者が喘息を含む慢性気道炎症性疾患を有する、または、有するように処置されているという指標である。その方法は、被験者の喘息の処置をモニターするために用いられることができる。例えば、遺伝子発現プロフィールは、処置を受けている被験者からのサンプルについて決定されることができる。プロフィールは、対照標準プロフィールに、または、処置の前、または、疾患の発症の前に被験者から得られるプロフィールに比較されることができる(例えば、Golub et al. (1999) Science 286:531、参照)。
さらに他の実施態様では、本発明は、テスト化合物を評価する方法を特徴とする(また、上記の「スクリーニング分析」参照)。その方法は、細胞およびテスト化合物を提供すること;細胞をテスト化合物と接触すること;接触された細胞のための被験者発現プロフィールを得ること;そして、被験者発現プロフィールを一つ以上の対照標準プロフィールと比較することを含む。プロフィールは、BMP−10/BMP−10受容体発現のレベルを示す値を含む。好ましい実施態様において、被験者発現プロフィールは、標的プロフィール、例えば、正常な細胞の、または、細胞の所望の障害のプロフィールと比較される。被験者発現プロフィールが非接触細胞から得られる発現プロフィールより標的プロフィールと類似している場合、テスト化合物は有利に評価される。
別の実施態様においては、本発明は、被験者を評価する方法を特徴とする。その方法は、以下からなる。:a) 被験者、例えば、介護者、例えば、被験者からサンプルを得る介護者からサンプルを得ること;b) サンプルの被験者発現プロフィールを決定すること。任意には、その方法は、次のステップのどちらかまたは両方とも更に含む。:c) 被験者発現プロフィールを一つ以上の対照標準発現プロフィールと比較すること;そして、d) 被験者対照標準プロフィールと最も類似の対照標準プロフィールを選択すること。被験者発現プロフィールおよび対照標準プロフィールは、BMP−10/BMP−10受容体発現のレベルを示す値を含む。様々な日常的な統計的な手段は、2つの対照標準プロフィールを比較するために用いることができる。1つの可能な測定基準は、2つのプロフィールの違いである距離ベクターの長さである。被験者および対照標準プロフィールの各々は多次元ベクトルとして示され、そこにおいて、各ディメンションはプロフィールの値である。
その方法は、結果を介護者に発信することを更に含むことができる。その結果は、被験者発現プロフィール、被験者発現プロフィールと他のプロフィールとの比較の結果、非常に類似する対照標準プロフィールまたは前述の者のいずれかの記述であることができる。結果は、コンピュータ・ネットワーク全体に送信されることができ、例えば、結果は、コンピュータ伝送(例えば、搬送波に記憶されるコンピュータ・データ・シグナル)の形であることができる。
次の工程を実施するための実行コードを有するコンピュータ・メディアも特徴である:
被験者発現プロフィールを受けること;対照標準発現プロフィールのデータベースにアクセスすること;および、i) 被験者発現プロフィールと最も類似のマッチしている対照標準プロフィールを選択すること、または、ii) 少なくとも一つの対照標準プロフィールに対する被験者発現プロフィールの類似性の最低1つの比較スコアを決定することのいずれか。被験者発現プロフィールおよび対照標準発現プロフィールは、各々、BMP−10/BMP−10レセプター発現のレベルを示す値を含む。
被験者発現プロフィールを受けること;対照標準発現プロフィールのデータベースにアクセスすること;および、i) 被験者発現プロフィールと最も類似のマッチしている対照標準プロフィールを選択すること、または、ii) 少なくとも一つの対照標準プロフィールに対する被験者発現プロフィールの類似性の最低1つの比較スコアを決定することのいずれか。被験者発現プロフィールおよび対照標準発現プロフィールは、各々、BMP−10/BMP−10レセプター発現のレベルを示す値を含む。
続く実施例は、本発明を理解する際に補助するために記載されるが、いかなる形であれその範囲を限定するように意図されていないし、また、そのように解釈されてはならない。
実施例1:成人ヒトおよびマウス組織のヒトBMP−10のmRNA発現分析
実験A.ヒト成人組織におけるBMP−10 mRNA転写物のノーザンブロット解析
方法
BMP−10mRNA発現のノーザンブロット解析は、製造会社の推薦(Clontech)を使用して実行された。全てのコード領域を示しているヒトBMP−10のための放射性同位元素で識別されたプローブは、製造会社によって調製され、ヒト心臓、骨格筋、コロン、胸腺、脾臓、腎臓、肝臓、小腸、胎盤、肺および末梢血リンパ球組織のBMP−10 mRNAの発現を評価するために用いられた。
実験A.ヒト成人組織におけるBMP−10 mRNA転写物のノーザンブロット解析
方法
BMP−10mRNA発現のノーザンブロット解析は、製造会社の推薦(Clontech)を使用して実行された。全てのコード領域を示しているヒトBMP−10のための放射性同位元素で識別されたプローブは、製造会社によって調製され、ヒト心臓、骨格筋、コロン、胸腺、脾臓、腎臓、肝臓、小腸、胎盤、肺および末梢血リンパ球組織のBMP−10 mRNAの発現を評価するために用いられた。
結果
BMP−10 mRNA発現は、図7Aのノーザンブロットに示されるように、ヒト成人心臓、腎臓および肝臓組織において検出された。
BMP−10 mRNA発現は、図7Aのノーザンブロットに示されるように、ヒト成人心臓、腎臓および肝臓組織において検出された。
実験B.成人ヒト組織のBMP−10発現
方法
ヒト成人組織のBMP−10 mRNAの検出は、複数の組織ノーザンドットブロット(Clontech cat #636806)を使用して実行された。全てのコード領域を示している放射性同位元素で識別されたBMP−10cDNAプローブは、ランダム・プライマー放射性標識のための製造会社の指示に従って生成された。ハイブリッド形成は、製造会社の推薦に従って実行された。
方法
ヒト成人組織のBMP−10 mRNAの検出は、複数の組織ノーザンドットブロット(Clontech cat #636806)を使用して実行された。全てのコード領域を示している放射性同位元素で識別されたBMP−10cDNAプローブは、ランダム・プライマー放射性標識のための製造会社の指示に従って生成された。ハイブリッド形成は、製造会社の推薦に従って実行された。
結果
成人ヒト心臓組織において見られるBMP−10mRNA発現のハイレベルに加えて、他の成人ヒト組織、特に、リンパ節組織および肝臓組織は、有意なmRNA発現を示した(図7Bおよび7C)。
成人ヒト心臓組織において見られるBMP−10mRNA発現のハイレベルに加えて、他の成人ヒト組織、特に、リンパ節組織および肝臓組織は、有意なmRNA発現を示した(図7Bおよび7C)。
実施例2.マウスのヒトAdBMP―10過剰発現のインビボでの観察および症状
実験A.AdBMP−10を注射されるマウスのインビボの全体観察
方法
組換えアデノウイルスは、以下の通りに構成された。Adori 1-2 ヒトBMP−10(hBMP−10)ベクターは、pED6dpc-hBMP-10を消化して、アデノウイルス・ベクターAdori 1-2 に1.27kbのhBMP−10cDNA断片を結紮することによって誘導された。構築物は、プラスミド(AdBMP−10)の中へのcDNA挿入物の広範囲な制限消化分析および塩基配列決定によって確認された。緑色蛍光タンパク質(GFP)(AdGFP)、分泌されたアルカリ性ホスファターゼ(SEAP)(AdSEAP)またはベータ−ガラクトシダーゼ(B-gal)(Ad B-gal)をコードするアデノウイルス・ベクターも用いられた。hBMP―10 cDNA、B−galおよびGFPの発現は、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモータおよびエンハンサから可動される。
実験A.AdBMP−10を注射されるマウスのインビボの全体観察
方法
組換えアデノウイルスは、以下の通りに構成された。Adori 1-2 ヒトBMP−10(hBMP−10)ベクターは、pED6dpc-hBMP-10を消化して、アデノウイルス・ベクターAdori 1-2 に1.27kbのhBMP−10cDNA断片を結紮することによって誘導された。構築物は、プラスミド(AdBMP−10)の中へのcDNA挿入物の広範囲な制限消化分析および塩基配列決定によって確認された。緑色蛍光タンパク質(GFP)(AdGFP)、分泌されたアルカリ性ホスファターゼ(SEAP)(AdSEAP)またはベータ−ガラクトシダーゼ(B-gal)(Ad B-gal)をコードするアデノウイルス・ベクターも用いられた。hBMP―10 cDNA、B−galおよびGFPの発現は、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモータおよびエンハンサから可動される。
複製に欠陥がある、E1およびE3が欠損した組換え体、タイプ5のアデノウイルスが、ヒト胚腎臓293細胞(ATCC, Rockville, Maryland)の相同的組換えによって生成された。組換え体アデノウイルスは293の細胞において増幅され、そして、ウイルスは3サイクルの凍結融解によって感染した細胞から放出された。ウイルスは、2つの塩化セシウム遠心沈降勾配によって更に精製され、リン酸緩衝液食塩水(PBS)pH 7.2、4℃に対して透析された。透析の後、グリセロールは10%の濃度にまで加えられ、そして、ウイルスは80℃で利用まで保存された。ウイルス濃度(粒子/mlで表現される)は、260ナノメートルで光学濃度を測定することによって決定された。内毒素レベルは、Limulus Amebocyte Lysate kit (BioWhittaker, Walkersville, MD)を用いて測定されて、分析の検出限界より下にあった。ウイルスは、ベクター特異的プライマーを使用し、PCR生成物の末端を配列決定する挿入物のPCR増幅によって更に特徴づけられた。hBMP−10の発現は、35S−メチオニン/システインを用いて代謝的にラベルされ変換された293細胞、および、ドデシル硫酸ナトリウム−(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動法((PAGE)Novex, Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)による調整培地の分析によって検査された。実施例3にて説明したように、BMP−10の非相同の発現は、HEK293細胞の形質移入の後、ウエスターンイムノブロット分析によって更に確認された。
hBMP−10をコード化している組換え体アデノウイルスの5×1010の粒子の単一投与量は、雌のC57BL/6Jマウス(年齢7―8週)の尾部静脈に注入された。コントロール・マウスは、B-galまたはGFPをコード化しているアデノウイルスを導入したか、または緩衝液コントロールとしてPBS/10%のグリセロールを注射された。各実験群からのマウスは、注射後の予定の時点で安楽死され、そして、終末の体重が得られた。血液は後方の眼窩洞を経て集められ、そして、差動カウントが血液塗抹標本に実施された。血液学的なおよび血清化学分析のために、血液は、心臓穴によって集められた。肉眼による分析はすべての動物に実行され、そして、選択された組織は重量を測定された。組織は、収集されて、10%の中性緩衝ホルマリンにおいて固定されて、調整されて、パラフィンに封埋されて、切断されて、組織変化のためのヘマトキシリンおよびエオシンで染色された。RNA分析のための組織は、液体窒素において凍結され、分析の前に−80℃で保存される。
結果
vBMP−10の過剰発現の作用は3日目までに明らかであり、そして、マウスは7日目で瀕死であった。顕著な虚弱および痩せ衰えのため、すべての動物は、7日目までに分析された。脳および肝臓において全体的に観察される皮下血管の顕著な増加によって、血管異形成が明示された。代表的なコントロール・マウス、AdGFP day 5の全身動物の概観は、図8に示される。対照的に、代表的なAdBMP-10 day 5マウスおよび代表的なAdBMP-10 day 7マウスは、多数の器官(脂肪、脳および肺)の赤い変色、皮下の赤色化(血管異形成)、全体的な消耗、および、体脂肪の減少を有した(図8)。綿密に詳細に研究されるとき、脳および肝臓は、BMP−10過剰発現に応答して血管異形成の他の徴候を示した。図9は、代表的なAdBMP-10 day 7 マウスの脳の顕著な血管を示し、比較のために、コントロールAdGFP day 7マウスの脳が示される。
vBMP−10の過剰発現の作用は3日目までに明らかであり、そして、マウスは7日目で瀕死であった。顕著な虚弱および痩せ衰えのため、すべての動物は、7日目までに分析された。脳および肝臓において全体的に観察される皮下血管の顕著な増加によって、血管異形成が明示された。代表的なコントロール・マウス、AdGFP day 5の全身動物の概観は、図8に示される。対照的に、代表的なAdBMP-10 day 5マウスおよび代表的なAdBMP-10 day 7マウスは、多数の器官(脂肪、脳および肺)の赤い変色、皮下の赤色化(血管異形成)、全体的な消耗、および、体脂肪の減少を有した(図8)。綿密に詳細に研究されるとき、脳および肝臓は、BMP−10過剰発現に応答して血管異形成の他の徴候を示した。図9は、代表的なAdBMP-10 day 7 マウスの脳の顕著な血管を示し、比較のために、コントロールAdGFP day 7マウスの脳が示される。
実験B.AdBMP−10マウスのインビボでの変化の全体的な組織病理学的分析
方法
組織病理学的な方法は、上記の、および/または、標準的な手順であった。
方法
組織病理学的な方法は、上記の、および/または、標準的な手順であった。
結果
組織病理学的な分析で、拡張血管、広範囲にわたるうっ血および散在する出血がみられた。代表的なAdBMP-10 Day 7マウスの組織病理学的な分析は図10に示され、うっ血、出血および軽度の壊死が見られる。代表的なAdBMP−10、および、AdGFPコントロール・マウスの肝臓は、図11に示される。AdBMP−10マウスの肝臓は、拡大肝細胞および凝固壊死の多病巣性領域を有する。
組織病理学的な分析で、拡張血管、広範囲にわたるうっ血および散在する出血がみられた。代表的なAdBMP-10 Day 7マウスの組織病理学的な分析は図10に示され、うっ血、出血および軽度の壊死が見られる。代表的なAdBMP−10、および、AdGFPコントロール・マウスの肝臓は、図11に示される。AdBMP−10マウスの肝臓は、拡大肝細胞および凝固壊死の多病巣性領域を有する。
実験C.コントロール・マウスと比較されるAdBMP−10マウスの器官および体重
方法
AdBMP−10マウスの終末の体重は、AdBMP−10の5×1010の粒子の単一投与量を有する注射の後で、3日目および7日目に測定され、そして、緩衝液を注射されるか、またはアデノウイルスをコード化しているGFPを注射されるコントロール・マウスと比較される。AdBMP−10マウスの器官(脾臓、肝臓、胸腺)の重量は、AdBMP−10の5×1010の粒子の単一投与量または緩衝液またはAdB−galのコントロール注射剤を有する注射の7および14日後に計量された。すべてのAdBMP−10マウスは、顕著な虚弱および痩せ衰えにより7日目で殺されなければならなかった。
方法
AdBMP−10マウスの終末の体重は、AdBMP−10の5×1010の粒子の単一投与量を有する注射の後で、3日目および7日目に測定され、そして、緩衝液を注射されるか、またはアデノウイルスをコード化しているGFPを注射されるコントロール・マウスと比較される。AdBMP−10マウスの器官(脾臓、肝臓、胸腺)の重量は、AdBMP−10の5×1010の粒子の単一投与量または緩衝液またはAdB−galのコントロール注射剤を有する注射の7および14日後に計量された。すべてのAdBMP−10マウスは、顕著な虚弱および痩せ衰えにより7日目で殺されなければならなかった。
結果
注射の後の3日目または7日目のAdBMP−10およびコントロール・マウスの群による終末の体重(gm)の分配は、図12に示される。7日目までに、緩衝液およびAdGFPコントロールと比較して、AdBMP−10マウスの終末の体重の劇的な減少があった。7日目のAdBMP−10マウス、および、7日目および14日目のコントロールAdB-galおよび緩衝液マウスの脾臓、肝臓および胸腺の器官の重量の分布は図13に示される。AdBMP−10マウスの脾臓、肝臓および胸腺は、すべて、AdB-galおよび緩衝液コントロール・マウスと比較して、著しい量の減少を示す。
注射の後の3日目または7日目のAdBMP−10およびコントロール・マウスの群による終末の体重(gm)の分配は、図12に示される。7日目までに、緩衝液およびAdGFPコントロールと比較して、AdBMP−10マウスの終末の体重の劇的な減少があった。7日目のAdBMP−10マウス、および、7日目および14日目のコントロールAdB-galおよび緩衝液マウスの脾臓、肝臓および胸腺の器官の重量の分布は図13に示される。AdBMP−10マウスの脾臓、肝臓および胸腺は、すべて、AdB-galおよび緩衝液コントロール・マウスと比較して、著しい量の減少を示す。
実験D.AdBMP−10マウスの細胞変化および血清化学の更なる病理分析
方法
ヒトBMP−10(AdBMP−10)またはコントロール・ウイルス(AdB gal、または、分泌されたアルカリ性ホスファターゼ(SEAP))をコード化している複製欠乏性組換え体アデノウイルスの5×1010の粒子の単一投与量は、上記の通りに静脈内にC57BL/6マウス(年齢7−8週)に注射された。血清化学は、4日目に分析された。
方法
ヒトBMP−10(AdBMP−10)またはコントロール・ウイルス(AdB gal、または、分泌されたアルカリ性ホスファターゼ(SEAP))をコード化している複製欠乏性組換え体アデノウイルスの5×1010の粒子の単一投与量は、上記の通りに静脈内にC57BL/6マウス(年齢7−8週)に注射された。血清化学は、4日目に分析された。
結果
遺伝子発現と関連すると考えられる大部分の変化は、顕著な虚弱に特徴的だった。これらの変化は、痩せ衰えの全体観察、胸腺、脾臓および場合により肝臓の萎縮、終末の体重、および、絶対的な、および/または、相対的な肝臓、脾臓および胸腺の重量の減少を含む。(上記の方法及び結果は、図8−13にすべて含めて示される。)
遺伝子発現と関連すると考えられる大部分の変化は、顕著な虚弱に特徴的だった。これらの変化は、痩せ衰えの全体観察、胸腺、脾臓および場合により肝臓の萎縮、終末の体重、および、絶対的な、および/または、相対的な肝臓、脾臓および胸腺の重量の減少を含む。(上記の方法及び結果は、図8−13にすべて含めて示される。)
観察された全体的な変化の微視的な相関物は、腹部および皮下脂肪の萎縮および胸腺の萎縮であった。虚弱の更に微視的な指標は、リンパ節(リンパ様減少)および胃(単一の細胞壊死を有する腺粘膜の萎縮)において見られた。うっ血は、いくつかの器官(腹部および皮下脂肪、大腿骨および腸)において見られて、全体のレベルでこれらの器官において観察される変色と相関していた。
すべての動物において、多病巣性肝壊死を緩和するための最小があった。この変化は、分布においてランダムであり、凝固壊死の小さい領域(小裂片の約1/4〜2/3の大きさ)によって特徴づけられた。壊死の領域のいくつかは、顆粒球の穏やかな流入と関連するふくれた水腫の壊死性肝細胞から成った(空胞変性および壊死)。これらの領域は、通常明確に境界を定められた。この壊死の現象の病態生理学は、明らかでなかった。この変化は、通常はマウスの虚弱と関係していない。AdBMP−10群からのすべての動物のこの変化の一貫した発生は、遺伝子発現との関連を強く示唆する。
SEAP群と比較して、4日目のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)およびアルカリ性ホスファターゼ(ALP)に統計的に有意および顕著な増加があった(図14A−14B)。他の全ての血液学および臨床化学データ変動は、それらが軽微な振幅であり、対応する微視的な肝臓の変化がなく、時間とともに整合していたので、遺伝子発現への関連がないと考慮した(データは示されない)。他の微視的な肝変化は、ウイルス系と関連する病変と整合していて、特徴的な血清化学プロフィールと関連した。
AdBMP 10マウスの特定の細胞性および血清化学の変化は、コントロール・ウイルスを注射されるマウスと比較して、統計的に有意であることがわかった。増加したヘマトクリット、増加したヘモグロビン、増加した赤血球、減少した血小板があった(図15A−15B)。
遺伝子発現をテストするために関連があると考慮される変化は、AdBMP−10群において見られ、AdBMP−10で治療された全ての動物の顕著な虚弱および痩せ衰えにあった。この変化は、AdBMP−10の治療7日目の全ての動物の早産の犠牲の原因となった。さらに、すべてのBMP−10動物の肝臓の多病巣性ランダムな液化変性および凝固壊死があった。うっ血は、いくつかの器官(腹部および皮下脂肪、大腿骨および腸)において見られて、全体のレベルでこれらの器官において観察される変色と関連があった。
実験E.AdBMP−10マウスのBMP−10発現の形態学的作用の継続研究
方法
C57BL/6マウスの2つの群は治療され、一つはAdBMP−10を有し、一つはコントロールとしてAdSEAPを有するものであった。投与のルートは、前述したようにAdBMP−10またはアデノウイルスをコード化しているSEAPの静脈注射を介した。組織学的調製物および微視的な評価のための湿った組織は、標準的な技術を使用して調製された。統計学的に分析された器官の重量データ、臨床化学データ、血液学データおよび終末の体重データは、この報告の分析のためのスポンサによって提供された。
方法
C57BL/6マウスの2つの群は治療され、一つはAdBMP−10を有し、一つはコントロールとしてAdSEAPを有するものであった。投与のルートは、前述したようにAdBMP−10またはアデノウイルスをコード化しているSEAPの静脈注射を介した。組織学的調製物および微視的な評価のための湿った組織は、標準的な技術を使用して調製された。統計学的に分析された器官の重量データ、臨床化学データ、血液学データおよび終末の体重データは、この報告の分析のためのスポンサによって提供された。
結果
AdSEAPコントロール・マウスにおいて観察されるすべての肉眼および微視的な病変は、マウスにおいて共通に観察される変化と整合していた。BMP−10の異所性発現と関連すると考えられる大部分の変化は、痩せ衰えおよび脱水を伴う顕著な虚弱に特徴的だった。これらの変化は、痩せ衰えの全体的なの観察、胸腺、膵臓、および、場合により肝臓および脾臓の萎縮、終末の体重、および、絶対的な、および/または、相対的な肝臓、脾臓および胸腺の重量の減少を含む。最も顕著な微視的な関連は、胸腺の中程度の萎縮および膵臓の軽度から中度の酵素原顆粒減少であった。多病巣性肝壊死を緩和する最小は、2匹の動物において見られ、肝臓変色の全体的な観察に関連があった。壊死は、中央ゾーン領域、および、場合により、小葉中心付近を包含する領域に優先的に分布される急性凝固壊死の散在する病巣によって特徴づけられた。この変化は肝臓の全体にわたって均一に分布されず、そして、肝臓のいくつかの領域は残された。肝壊死の原因は、明らかでなかった。通常はウイルス性曝露と関連する微視的な肝臓変化は、低下した(特に、細胞分裂反応)。3匹の動物の近位十二指腸の壁の出血に関連があるすべての動物において、幽門の赤い変色の全体的な観察が見られる。出血は、基底膜、粘膜下組織(ブルネル腺と関連する血球基質において)、および、筋肉の壁、特に、内側筋肉の層に位置した。内側筋肉の層は、区分的に出血によって消失し、1匹の動物において区分的に壊死にみえた。随時のフィブリン血栓は、粘膜下組織の拡張血管に存在した(ブルネル腺に関連して)。わずかな筋肉の壊死を伴うこの十二指腸経壁の出血の理由は、明らかでなかった。重積によって観察される虚血変化で特有症候でないにもかかわらず、この変化の形態は局所的な血管妥協を暗示する。
AdSEAPコントロール・マウスにおいて観察されるすべての肉眼および微視的な病変は、マウスにおいて共通に観察される変化と整合していた。BMP−10の異所性発現と関連すると考えられる大部分の変化は、痩せ衰えおよび脱水を伴う顕著な虚弱に特徴的だった。これらの変化は、痩せ衰えの全体的なの観察、胸腺、膵臓、および、場合により肝臓および脾臓の萎縮、終末の体重、および、絶対的な、および/または、相対的な肝臓、脾臓および胸腺の重量の減少を含む。最も顕著な微視的な関連は、胸腺の中程度の萎縮および膵臓の軽度から中度の酵素原顆粒減少であった。多病巣性肝壊死を緩和する最小は、2匹の動物において見られ、肝臓変色の全体的な観察に関連があった。壊死は、中央ゾーン領域、および、場合により、小葉中心付近を包含する領域に優先的に分布される急性凝固壊死の散在する病巣によって特徴づけられた。この変化は肝臓の全体にわたって均一に分布されず、そして、肝臓のいくつかの領域は残された。肝壊死の原因は、明らかでなかった。通常はウイルス性曝露と関連する微視的な肝臓変化は、低下した(特に、細胞分裂反応)。3匹の動物の近位十二指腸の壁の出血に関連があるすべての動物において、幽門の赤い変色の全体的な観察が見られる。出血は、基底膜、粘膜下組織(ブルネル腺と関連する血球基質において)、および、筋肉の壁、特に、内側筋肉の層に位置した。内側筋肉の層は、区分的に出血によって消失し、1匹の動物において区分的に壊死にみえた。随時のフィブリン血栓は、粘膜下組織の拡張血管に存在した(ブルネル腺に関連して)。わずかな筋肉の壊死を伴うこの十二指腸経壁の出血の理由は、明らかでなかった。重積によって観察される虚血変化で特有症候でないにもかかわらず、この変化の形態は局所的な血管妥協を暗示する。
血液学および血清化学の値は、著しい赤血球増加(増加した赤血球(RBC)、ヘモグロビン(Hb)およびヘマトクリット(HCT))を示した。骨髄および脾臓の赤血球過形成がない場合、赤血球増加は、顕著な脱水を表す。MCVのわずかな減少は、脱水にも関連があるかもしれない。MCHのわずかな減少の理由は、不明である。おそらく十二指腸出血の部位の適度な消費の結果、血小板は、適度に減少した。SEAP群と比較されるときに、ASTおよびALTは適度に増加した。この増加の大きさは、ウイルスベクター関連の肝障害に共通に関連する大きさの範囲内であった。ウイルス曝露を表す微視的な変化がその群に存在したことを考えると、SEAP群の肝臓酵素の類似の変動の欠如の理由は不明である。脱水は、通常はアルブミンおよび総蛋白の増加と関連する。アルブミン増加の欠如および総蛋白(TP)の比較的低い増加は、肝臓障害からなるか、または、タンパク質損失によるためかもしれない。
腎機能不全または腸疾患を表す変化がない場合、上記の所見のクラスター形成は、痩せ衰えおよび脱水を伴う虚弱が食物および水の摂取量を減少させることに関連がある可能性を示唆する(膵臓酵素原顆粒減少、拡大胆嚢)。肝臓および/または十二指腸の微視的な変化は、この症候群の発症と関連するかもしれない。
統計学的に、および/または、生物学的に重要な所見が以下の表1に示される。省略形は、以下の通りである:RBC、赤血球数算定;Hb、ヘモグロビン;HCT、ヘマトクリット;MCV、平均細胞容量;MCH;細胞ヘモグロビン;AST、分離人工酸塩アミノトランスフェラーゼ;ALT、アラニンアミノ基転移酵素;ALP、アルカリ性ホスファターゼ;TP、総蛋白;Plat、血小板。
要約すると、以下の顕著な組織病理学的な変化は、コントロール・マウスと比較して、AdBMP−10マウスにおいて見られた。近位十二指腸の壁の出血が見られ、幽門で赤い変色の全体的な観察に関連があった。十二指腸のブルネル腺の所見に関連して、フィブリン血栓は、粘膜下組織の拡張血管に存在した。わずかな筋肉の壊死を伴う十二指腸経壁の出血が観察され、局所的な血管障害を表した。AdBMP−10マウスの肝臓にはまだら状があり、散在する大量出血によって引き起こされる焦点性壊死から生じている。
要約すると、AdBMP−10マウスは、顕著な皮下血管異形成、広範囲にわたるうっ血および散在する出血によって証明されたように、血管異形成を有することが観察され、脳、肝臓および肺の血管を増大した。AdBMP−10マウスは、衰弱して、7日目によって死んだ。皮下および内臓脂肪の損失とともに、体重の著しい減少があった。血小板減少に加えて、リンパ様萎縮は観察された。
実施例3.ヒトの初代内皮細胞のシグナル伝達のBMP−10活性化
内皮細胞は、血管恒常性において重要な役割を果たす。レセプターを介するセリン/スレオニン・キナーゼによるシグナル伝達を活性化するBMP−10の能力は、ヒトの初代内皮細胞において研究された。BMP−10処置への細胞反応は、BMP−10処置後、抑制性レセプターSmadsの発現レベルを決定するために定量的PCRを使用することに加えて、さらにレセプターSmads(R−Smad)のリン酸エステル化状態を評価することによって分析された。
内皮細胞は、血管恒常性において重要な役割を果たす。レセプターを介するセリン/スレオニン・キナーゼによるシグナル伝達を活性化するBMP−10の能力は、ヒトの初代内皮細胞において研究された。BMP−10処置への細胞反応は、BMP−10処置後、抑制性レセプターSmadsの発現レベルを決定するために定量的PCRを使用することに加えて、さらにレセプターSmads(R−Smad)のリン酸エステル化状態を評価することによって分析された。
実験A.HUVECsおよびHUAECsにおけるR−Smad1、5、8の活性化
方法
BMP−10およびGFP調整された培地は、以下の通りに生成された。ヒト胚腎臓細胞(HEK293)は、ダルベッコの変更されたイーグル培地(DMEM)+10%熱不活化ウシ胎児血清+200mMグルタミンの10mlsを1 x 106 cells/p100の組織ペトリ皿の密度で塗布した。プレートは、37℃、5%CO2、24時間でインキュベートされた。細胞は、AdBMP−10プラスミドの10ugまたはfugeneを用いたAdGFPプラスミドによって形質導入された(脂質に基づく形質移入方法)。プレートは、18時間、インキュベーターに戻されて、そして、DMEM+200mMグルタミンで1回、洗浄した。培地は、取り除かれて、DMEM+200mMグルタミンの6mlに置き換えられた。プレートは、更なる48時間、インキュベートされた。培地は取り除かれて、浮動細胞を取り除くために3000rpmで5分間、遠心分離されて、きれいな管へ転送された。BMP−10またはGFPを含んでいる調整培地は、SDS−ポリアクリルアミドゲルの非変性条件下で分析されて、ニトロセルロース膜に転送された。BMP−10の免疫検出は、製造会社の指示に従ってBMP−10特異的抗体(Orbigen, Catalog Number PAB―10450)を使用して実行された(下記の実験C)。
方法
BMP−10およびGFP調整された培地は、以下の通りに生成された。ヒト胚腎臓細胞(HEK293)は、ダルベッコの変更されたイーグル培地(DMEM)+10%熱不活化ウシ胎児血清+200mMグルタミンの10mlsを1 x 106 cells/p100の組織ペトリ皿の密度で塗布した。プレートは、37℃、5%CO2、24時間でインキュベートされた。細胞は、AdBMP−10プラスミドの10ugまたはfugeneを用いたAdGFPプラスミドによって形質導入された(脂質に基づく形質移入方法)。プレートは、18時間、インキュベーターに戻されて、そして、DMEM+200mMグルタミンで1回、洗浄した。培地は、取り除かれて、DMEM+200mMグルタミンの6mlに置き換えられた。プレートは、更なる48時間、インキュベートされた。培地は取り除かれて、浮動細胞を取り除くために3000rpmで5分間、遠心分離されて、きれいな管へ転送された。BMP−10またはGFPを含んでいる調整培地は、SDS−ポリアクリルアミドゲルの非変性条件下で分析されて、ニトロセルロース膜に転送された。BMP−10の免疫検出は、製造会社の指示に従ってBMP−10特異的抗体(Orbigen, Catalog Number PAB―10450)を使用して実行された(下記の実験C)。
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)(Lonza Catalog Number CC-2517)およびヒト大動脈内皮細胞(HUAEC)(Lonza Catalog Number CC-2520)は、製造会社のEGM完全培地(Lonza Catalog Number CC-3024)の指示に従って、p60組織培養シャーレにて37℃、5%CO2でインキュベートされて、培養され、それらが~70-80%の合流点に達するときに、完全な成長培地は取り除かれ、細胞は基礎培地(Lonza Catalog Number CC-3129)+0.1%脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)で1回、洗浄され、そして、0.1%脱脂BSAを有する3.6mlの基礎培地が加えられ、そして、プレートは、4時間、インキュベートされた。4時間後に、BMP−10調整培地400ul、または、GFP(コントロール)調整培地400ulが細胞に加えられる。プレートは、15、30、60または120分間、インキュベーターに戻された。決められたさまざまな時点で、プレートはインキュベーターから取り除かれ、培地は取り除かれ、そして、細胞は3mlの冷えたPBSで1回、洗浄された。PBSは取り除かれ、そして、細胞はイムノブロットサンプルのための300ul細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology Catalog Number 9803)プラス・プロテイナーゼ阻害剤によって溶解した。細胞可溶化物は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって切り離されて、ニトロセルロース膜へ転送された。リン酸化されたSmad1、5、8の免疫検出は、製造会社の指示に従って、リン酸化Smad1,5,8特異的抗体(Cell Signaling Technology Catalog Number 9511)を使用して実行された。
結果
BMP−10調整培地は、図16のイムノブロットに示されるように、明らかにR−Smad1、5および8のリン酸エステル化を導き出した。Smadリン酸エステル化は、GFP調整培地によってHUVECsにおいて導き出されなかった。こうして、結果は、BMP−10含有の調整培地で治療される内皮細胞に特異的であるBMPシグナル経路の活性化を示した。
BMP−10調整培地は、図16のイムノブロットに示されるように、明らかにR−Smad1、5および8のリン酸エステル化を導き出した。Smadリン酸エステル化は、GFP調整培地によってHUVECsにおいて導き出されなかった。こうして、結果は、BMP−10含有の調整培地で治療される内皮細胞に特異的であるBMPシグナル経路の活性化を示した。
方法
実験B.BMP−10調整培地に反応したSmad6、7mRNA発現
BMP−10調整培地による処置のさまざまな時間(30、60、120分)以後、HUVECsは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応法分析(TaqMan(登録商標))またはオリゴヌクレオチド・アレイを使用している広域的な遺伝子発現分析を使用しているRNAの分析のための全てのRNAの回収に適している緩衝液において溶解されたことを除いて、調整培地を含んでいるBMP−10またはGFPは、上記の実験にて説明したように基本的に調製された(後者の実験は、実施例8で後述する)。定量的PCR実験は、抑制性Smads6および7のためのmRNAの誘導を測定するために実行され、実施例8の遺伝子発現プロファイリング結果を確認した。ヒトSMAD6、SMAD7およびGAPDH(グリセルアルデヒド3‐燐酸デヒドロゲナーゼ)mRNAレベルの分析は、製造会社の推薦にしたがって、TaqMan(登録商標) EZ RT-PCRコア試薬(Applied Biosystems)を使用して実行された。倍率変化の測定は標準曲線法を使用して算出され、そして、サンプルは製造会社によって記載されているGAPDHに正常化された。
実験B.BMP−10調整培地に反応したSmad6、7mRNA発現
BMP−10調整培地による処置のさまざまな時間(30、60、120分)以後、HUVECsは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応法分析(TaqMan(登録商標))またはオリゴヌクレオチド・アレイを使用している広域的な遺伝子発現分析を使用しているRNAの分析のための全てのRNAの回収に適している緩衝液において溶解されたことを除いて、調整培地を含んでいるBMP−10またはGFPは、上記の実験にて説明したように基本的に調製された(後者の実験は、実施例8で後述する)。定量的PCR実験は、抑制性Smads6および7のためのmRNAの誘導を測定するために実行され、実施例8の遺伝子発現プロファイリング結果を確認した。ヒトSMAD6、SMAD7およびGAPDH(グリセルアルデヒド3‐燐酸デヒドロゲナーゼ)mRNAレベルの分析は、製造会社の推薦にしたがって、TaqMan(登録商標) EZ RT-PCRコア試薬(Applied Biosystems)を使用して実行された。倍率変化の測定は標準曲線法を使用して算出され、そして、サンプルは製造会社によって記載されているGAPDHに正常化された。
使用されるプライマーは、以下の通りであった。
ヒトSMAD6(図6A〜6B、配列番号16、Accession number NM_005585)
順方向プライマー
5'-GCCACTGGATCTGTCCGATT-3' (配列番号7)
逆方向プライマー
5'-CACCCGGAGCAGTGATGAG-3' (配列番号8)
プローブ
5'-FAM-ACATTGTCTTACACTGAAACGGAGGCTACCAACT-TAMRA-3' (配列番号9)
ヒトSMAD6(図6A〜6B、配列番号16、Accession number NM_005585)
順方向プライマー
5'-GCCACTGGATCTGTCCGATT-3' (配列番号7)
逆方向プライマー
5'-CACCCGGAGCAGTGATGAG-3' (配列番号8)
プローブ
5'-FAM-ACATTGTCTTACACTGAAACGGAGGCTACCAACT-TAMRA-3' (配列番号9)
ヒトSMAD7 (Hayashi et al. (1997) Cell 89:1165-1173)
順方向
5'-CAGAAGGTGCGGAGCAAAAT-3' (TM=59) (配列番号10)
逆方向
5'-TGTACACCCACACACCATCCA-3' (TM=59) (配列番号11)
プローブ
5'-FAM-CTGCGGCATCCAGCTGACGC-TAMRA-3' (配列番号12)
順方向
5'-CAGAAGGTGCGGAGCAAAAT-3' (TM=59) (配列番号10)
逆方向
5'-TGTACACCCACACACCATCCA-3' (TM=59) (配列番号11)
プローブ
5'-FAM-CTGCGGCATCCAGCTGACGC-TAMRA-3' (配列番号12)
ヒトGAPDH:
順方向プライマー
5'-CCACATCGCTCAGACACCAT-3' (配列番号13)
逆方向プライマー
GCGCCCAATACGACCAAA (配列番号14)
プローブ
5'-FAM-CGTTGACTCCGACCTTCACCTTCCC-TAMRA-3' (配列番号15)
順方向プライマー
5'-CCACATCGCTCAGACACCAT-3' (配列番号13)
逆方向プライマー
GCGCCCAATACGACCAAA (配列番号14)
プローブ
5'-FAM-CGTTGACTCCGACCTTCACCTTCCC-TAMRA-3' (配列番号15)
結果
抑制性Smads6および7のmRNAの誘導の時間経過の研究は、図17に示すことができる。GFP処理された細胞と比較すると、Smad7の発現は4〜6倍誘発され、そして、Smad6は120分後に2倍に発現された。
抑制性Smads6および7のmRNAの誘導の時間経過の研究は、図17に示すことができる。GFP処理された細胞と比較すると、Smad7の発現は4〜6倍誘発され、そして、Smad6は120分後に2倍に発現された。
実験C.抗BMP−10プロ抗体イムノブロットによって確認される調整培地のBMP−10の存在
方法
AdBMP10またはAdGFPによって形質導入されるHEK293細胞からの調整培地は、実験A(上記の)にて説明したように生成された。調整培地のサンプルは、ドデシル硫酸ナトリウム―(SDS)PAGEによって分離され、ニトロセルロースに転送され、抗―BMP―10proの一次抗体によって探索され、そして、標準的な免疫検出技術が続いた。
方法
AdBMP10またはAdGFPによって形質導入されるHEK293細胞からの調整培地は、実験A(上記の)にて説明したように生成された。調整培地のサンプルは、ドデシル硫酸ナトリウム―(SDS)PAGEによって分離され、ニトロセルロースに転送され、抗―BMP―10proの一次抗体によって探索され、そして、標準的な免疫検出技術が続いた。
結果
イムノブロット分析によって検出される調整培地のヒトBMP−10タンパク質の存在は、図18に示される。BMP−10は、SDS−PAGE変性ゲルにおいて、約60kDaの予想される分子量とともに移動した。
イムノブロット分析によって検出される調整培地のヒトBMP−10タンパク質の存在は、図18に示される。BMP−10は、SDS−PAGE変性ゲルにおいて、約60kDaの予想される分子量とともに移動した。
実施例4.ヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞のシグナル伝達のBMP−10活性化
レセプターを介してセリン/スレオニン・キナーゼによるシグナル伝達を活性化するBMP−10の能力は、ヒトの一次性腎臓上皮細胞において研究された。BMP−10処置への細胞反応は、BMPレセプターSmads(R−Smads1,5,8)のリン酸エステル化状態を評価することによって分析された。
レセプターを介してセリン/スレオニン・キナーゼによるシグナル伝達を活性化するBMP−10の能力は、ヒトの一次性腎臓上皮細胞において研究された。BMP−10処置への細胞反応は、BMPレセプターSmads(R−Smads1,5,8)のリン酸エステル化状態を評価することによって分析された。
RPTECsにおけるR−Smad1、5、8の活性化
方法
ヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)(Lonza Catalog Number CC-2517)は、60mmの組織培養プレートに添加された成長補助剤(Lonza Catalog Number CC-3190)を有する腎臓上皮成長培地(REGM)において、製造会社指示に従って培養され、そして、37℃、5%CO2でインキュベートされ、それらが~70-80%の合流点に到達するときに、完全な成長培地は取り除かれ、そして、細胞は、腎臓上皮基礎培地、REBM(Lonza Catalog Number CC-3191)+0.1%脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)により1回、洗浄され、そして、0.1%の脱脂BSAを有する4mlのrREBMが加えられ、そして、プレートは3時間、インキュベートされた。3時間後に、細胞は、最終濃度100ng/mlの成熟した組換え体BMP−10タンパク質(R&D Systems Catalog Number 2926-BP)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)のいずれかで治療された。プレートは、60分間のインキュベーターに戻された。60分後に、培地は取り除かれた、そして、細胞は3mlの冷えたPBSにより1回、洗浄された。PBSは取り除かれ、そして、細胞はウエスターンイムノブロットを用いたタンパク質分析のための300ul 細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology Catalog Number 9803)プラス・プロテイナーゼ阻害剤(Roche Applied Science Catalog Number 11697498001)によって溶解された。細胞可溶化物は、ドデシル硫酸ナトリウム―ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離され、ニトロセルロース膜へ転送された。リン酸化されたSmad1、5、8の免疫検出は、製造会社の指示に従って、リン酸化Smad1、5、8特異的抗体(Cell Signaling Technology Catalog Number 9511)を使用して実行された。アクチン(Cell Signaling Technology Catalog Number 4967)の免疫検出は、サンプル・タンパク質のローディングを正常化するために用いられた。
方法
ヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)(Lonza Catalog Number CC-2517)は、60mmの組織培養プレートに添加された成長補助剤(Lonza Catalog Number CC-3190)を有する腎臓上皮成長培地(REGM)において、製造会社指示に従って培養され、そして、37℃、5%CO2でインキュベートされ、それらが~70-80%の合流点に到達するときに、完全な成長培地は取り除かれ、そして、細胞は、腎臓上皮基礎培地、REBM(Lonza Catalog Number CC-3191)+0.1%脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)により1回、洗浄され、そして、0.1%の脱脂BSAを有する4mlのrREBMが加えられ、そして、プレートは3時間、インキュベートされた。3時間後に、細胞は、最終濃度100ng/mlの成熟した組換え体BMP−10タンパク質(R&D Systems Catalog Number 2926-BP)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)のいずれかで治療された。プレートは、60分間のインキュベーターに戻された。60分後に、培地は取り除かれた、そして、細胞は3mlの冷えたPBSにより1回、洗浄された。PBSは取り除かれ、そして、細胞はウエスターンイムノブロットを用いたタンパク質分析のための300ul 細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology Catalog Number 9803)プラス・プロテイナーゼ阻害剤(Roche Applied Science Catalog Number 11697498001)によって溶解された。細胞可溶化物は、ドデシル硫酸ナトリウム―ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離され、ニトロセルロース膜へ転送された。リン酸化されたSmad1、5、8の免疫検出は、製造会社の指示に従って、リン酸化Smad1、5、8特異的抗体(Cell Signaling Technology Catalog Number 9511)を使用して実行された。アクチン(Cell Signaling Technology Catalog Number 4967)の免疫検出は、サンプル・タンパク質のローディングを正常化するために用いられた。
結果
BMP−10処置は、図19のイムノブロットに示されるように、明らかにR−Smad1、5および8のリン酸化を誘発した。Smadリン酸エステル化は、PBS処置によってhRPTECsにおいて導き出されなかった。こうして、結果は、BMP−10タンパク質で治療される腎臓近位尿細管上皮細胞に特異的であるBMPシグナル経路の活性化を示した。
BMP−10処置は、図19のイムノブロットに示されるように、明らかにR−Smad1、5および8のリン酸化を誘発した。Smadリン酸エステル化は、PBS処置によってhRPTECsにおいて導き出されなかった。こうして、結果は、BMP−10タンパク質で治療される腎臓近位尿細管上皮細胞に特異的であるBMPシグナル経路の活性化を示した。
実施例5:可溶性アクチビン・レセプター様キナーゼ1(ALK1)および可溶性アクチビン・レセプターIIb(ActRIIb)を用いたヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞のBMP−10シグナル伝達の抑制
ALK1は、トランスフォーミング成長因子(TGF)系統のタンパク質のタイプIレセプターである。ヒト臍静脈内皮細胞のBMP−10シグナル伝達が可溶性ALK1によって遮断されることがすでに報告された(David et al. (2007) Blood 109:1953-1961)。本発明者らは、一次性腎臓近位尿細管細胞のBMPレセプターSmads(R―Smads 1、5、8)のリン酸エステル化を遮断する可溶性ALK1およびActRIIbの能力を試験した。
ALK1は、トランスフォーミング成長因子(TGF)系統のタンパク質のタイプIレセプターである。ヒト臍静脈内皮細胞のBMP−10シグナル伝達が可溶性ALK1によって遮断されることがすでに報告された(David et al. (2007) Blood 109:1953-1961)。本発明者らは、一次性腎臓近位尿細管細胞のBMPレセプターSmads(R―Smads 1、5、8)のリン酸エステル化を遮断する可溶性ALK1およびActRIIbの能力を試験した。
可溶性のALK―1および可溶性ActRIIbを用いたRPTECsのR―Smad 1、5、8の抑制
方法
ヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)(Lonza Catalog Number CC-2517)は、60mmの組織培養プレートに、添加された成長補助剤(Lonza Catalog Number CC-3190)を有するREGM培地において、製造会社指示に従って培養され、そして、37℃、5%CO2でインキュベートされ、それらが~70-80%の合流点に達するときに、完全な成長培地が取り除かれ、そして、細胞は、腎臓上皮基礎培地,REBM(Lonza Catalog Number CC-3191)+0.1%の脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)により1回、洗浄され、そして、0.1%の脱脂BSAを有する4mlのREBMが加えられ、そして、プレートは3時間、インキュベートされた。3時間の血清飢餓の後、培地は、取り除かれて、可溶性のALK−1(R&D Systems Catalog Number 370-AL、ヒトIgG11のFc領域に融合する細胞外領域のアミノ酸残基1−118)、可溶性のActRIIb(ヒトIgG1に融合する細胞外領域)、または、可溶性のALK−3(R&D Systems Catalog Number 315−BR、ヒトIgG11のFc領域に融合する細胞外領域のアミノ酸残基1−152)のいずれかの濃度を変化(BMP−10(8nM)と比較される20、10、2.5および1.25倍のモル過剰)させて、37℃で45分間予めインキュベートされた100ng/ml(R&D Systems Catalog Number 2926−BP)の濃度で成熟した組換え体BMP−10タンパク質を含んでいる4mlの無血清基礎培地に置き換えられる。コントロールは、BMP−10単独、および、単独の10倍のモル過剰でFc構築物を含んだ。60分後に、培地は取り除かれ、そして、細胞は3mlの冷えたPBSで1回、洗浄された。PBSは取り除かれ、そして、細胞はリン蛋白分析のための300ul 細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology Catalog Number9803)プラス・プロテイナーゼ阻害剤(Roche Applied Science Catalog Number 11697498001)によって溶解した。細胞可溶化物は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離されて、ニトロセルロース膜へ転送された。リン酸化されたSmad1、5、8の免疫検出は、製造会社の指示に従って、リン酸化−Smad1、5、8(p−Smad1、5、8)特異的抗体(Cell Signaling Technology Catalog Number9511)を使用して実行された。アクチン(Cell Signaling Technology Catalog Number 4967)の免疫検出は、サンプル・タンパク質ローディングを正常化するために用いられた。
方法
ヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)(Lonza Catalog Number CC-2517)は、60mmの組織培養プレートに、添加された成長補助剤(Lonza Catalog Number CC-3190)を有するREGM培地において、製造会社指示に従って培養され、そして、37℃、5%CO2でインキュベートされ、それらが~70-80%の合流点に達するときに、完全な成長培地が取り除かれ、そして、細胞は、腎臓上皮基礎培地,REBM(Lonza Catalog Number CC-3191)+0.1%の脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)により1回、洗浄され、そして、0.1%の脱脂BSAを有する4mlのREBMが加えられ、そして、プレートは3時間、インキュベートされた。3時間の血清飢餓の後、培地は、取り除かれて、可溶性のALK−1(R&D Systems Catalog Number 370-AL、ヒトIgG11のFc領域に融合する細胞外領域のアミノ酸残基1−118)、可溶性のActRIIb(ヒトIgG1に融合する細胞外領域)、または、可溶性のALK−3(R&D Systems Catalog Number 315−BR、ヒトIgG11のFc領域に融合する細胞外領域のアミノ酸残基1−152)のいずれかの濃度を変化(BMP−10(8nM)と比較される20、10、2.5および1.25倍のモル過剰)させて、37℃で45分間予めインキュベートされた100ng/ml(R&D Systems Catalog Number 2926−BP)の濃度で成熟した組換え体BMP−10タンパク質を含んでいる4mlの無血清基礎培地に置き換えられる。コントロールは、BMP−10単独、および、単独の10倍のモル過剰でFc構築物を含んだ。60分後に、培地は取り除かれ、そして、細胞は3mlの冷えたPBSで1回、洗浄された。PBSは取り除かれ、そして、細胞はリン蛋白分析のための300ul 細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology Catalog Number9803)プラス・プロテイナーゼ阻害剤(Roche Applied Science Catalog Number 11697498001)によって溶解した。細胞可溶化物は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離されて、ニトロセルロース膜へ転送された。リン酸化されたSmad1、5、8の免疫検出は、製造会社の指示に従って、リン酸化−Smad1、5、8(p−Smad1、5、8)特異的抗体(Cell Signaling Technology Catalog Number9511)を使用して実行された。アクチン(Cell Signaling Technology Catalog Number 4967)の免疫検出は、サンプル・タンパク質ローディングを正常化するために用いられた。
結果
可溶性ALK1または可溶性のActRIIBの処置は、明らかに、図20のイムノブロットに示されるようにBMP−10によって導き出されるR−Smad1、5および8のリン酸エステル化を阻害した。こうして、結果は、BMP−10で治療される腎臓近位尿細管上皮細胞に特異的であるBMPシグナル経路の阻害を示した。
可溶性ALK1または可溶性のActRIIBの処置は、明らかに、図20のイムノブロットに示されるようにBMP−10によって導き出されるR−Smad1、5および8のリン酸エステル化を阻害した。こうして、結果は、BMP−10で治療される腎臓近位尿細管上皮細胞に特異的であるBMPシグナル経路の阻害を示した。
実施例6:BMP−10は、脂肪細胞分化のさまざまなステージで3T3−L1細胞を活性化する。
方法
脂肪細胞分化プロトコル
マウス線維芽細胞セル・ライン、3T3−L1(ATCC, Catalog Number CL-173)が、6ウェル培養皿(分化の2日目)の10%(v/v)のウシ胎児血清(FBS)で補充されるダルベッコ変更されたイーグル培地(DMEM)で成長して集密度になり、そして、37℃、10%CO2でインキュベートした。ポスト集密度の2日後(分化の0日目)、細胞は、分化誘導培地(10%(v/v)FBS, 1μMデキサメタゾン(Sigma)、0.5mMイソブチルメチルキサンチン(Sigma)、1μg/mlインシュリン(NovoNordisk)で補充されたDMEM)によって刺激された。2日後(分化の2日目)、誘導培地はインシュリン培地(10%(v/v)FBS(ウシ胎児血清)、インシュリン(1 g/ml)を補充されたDMEM)に置き換えられる。2日後(分化の4日目)、インシュリン培地は、取り除かれて、10%(v/v)FBSで補充されるDMEMに置き換えられ、そして、完全な分化が10日目で達成されるまで、細胞は2日ごとに養われる。
方法
脂肪細胞分化プロトコル
マウス線維芽細胞セル・ライン、3T3−L1(ATCC, Catalog Number CL-173)が、6ウェル培養皿(分化の2日目)の10%(v/v)のウシ胎児血清(FBS)で補充されるダルベッコ変更されたイーグル培地(DMEM)で成長して集密度になり、そして、37℃、10%CO2でインキュベートした。ポスト集密度の2日後(分化の0日目)、細胞は、分化誘導培地(10%(v/v)FBS, 1μMデキサメタゾン(Sigma)、0.5mMイソブチルメチルキサンチン(Sigma)、1μg/mlインシュリン(NovoNordisk)で補充されたDMEM)によって刺激された。2日後(分化の2日目)、誘導培地はインシュリン培地(10%(v/v)FBS(ウシ胎児血清)、インシュリン(1 g/ml)を補充されたDMEM)に置き換えられる。2日後(分化の4日目)、インシュリン培地は、取り除かれて、10%(v/v)FBSで補充されるDMEMに置き換えられ、そして、完全な分化が10日目で達成されるまで、細胞は2日ごとに養われる。
脂肪細胞分化の間の3T3―L1細胞のBMP−10処置
3T3−L1細胞は、以下の通りに、脂肪細胞分化のさまざまなステージ(−2日目、0日目、2日目、4日目および10日目)で、BMP−10(100ng/ml)で治療された。:培地は取り除かれ、そして、細胞は無血清DMEM(0.1%脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)で補充されるDMEM)でリンスされた。3mlの無血清DMEMは6ウェルプレートの各ウェルに加えられ、そして、細胞は4時間の37℃,10%CO2でインキュベートされた。無血清培養基のインキュベーションの後、PBSの100ng/l(R&D Systems Catalog Number 2926-BP)または3lの濃度で、3lの成熟した組換え体BMP−10タンパク質は細胞に加えられ、そして、プレートはインキュベーターに戻された。処置の1時間後、培地は取り除かれ、そして、細胞は3mlの冷えたPBSで1回、洗浄された。PBSは取り除かれ、そして、細胞はウエスターン・イムノブロットを用いたタンパク質分析のため、300lの細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology Catalog Number9803)プラス・プロテイナーゼ阻害剤(Roche Applied Science Catalog Number 11697498001)によって溶解した。細胞可溶化物は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離され、ニトロセルロース膜へ転送された。リン酸化されたSmad1、5、8の免疫検出は、製造会社の指示に従って、リン酸化−Smad1,5,8特異的抗体(Cell Signaling Technology Catalog Number9511)を使用して実行された。アクチン(Cell Signaling Technology Catalog Number4967)の免疫検出は、サンプル・タンパク質ローディングを正常化するために用いた。
3T3−L1細胞は、以下の通りに、脂肪細胞分化のさまざまなステージ(−2日目、0日目、2日目、4日目および10日目)で、BMP−10(100ng/ml)で治療された。:培地は取り除かれ、そして、細胞は無血清DMEM(0.1%脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)で補充されるDMEM)でリンスされた。3mlの無血清DMEMは6ウェルプレートの各ウェルに加えられ、そして、細胞は4時間の37℃,10%CO2でインキュベートされた。無血清培養基のインキュベーションの後、PBSの100ng/l(R&D Systems Catalog Number 2926-BP)または3lの濃度で、3lの成熟した組換え体BMP−10タンパク質は細胞に加えられ、そして、プレートはインキュベーターに戻された。処置の1時間後、培地は取り除かれ、そして、細胞は3mlの冷えたPBSで1回、洗浄された。PBSは取り除かれ、そして、細胞はウエスターン・イムノブロットを用いたタンパク質分析のため、300lの細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology Catalog Number9803)プラス・プロテイナーゼ阻害剤(Roche Applied Science Catalog Number 11697498001)によって溶解した。細胞可溶化物は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって分離され、ニトロセルロース膜へ転送された。リン酸化されたSmad1、5、8の免疫検出は、製造会社の指示に従って、リン酸化−Smad1,5,8特異的抗体(Cell Signaling Technology Catalog Number9511)を使用して実行された。アクチン(Cell Signaling Technology Catalog Number4967)の免疫検出は、サンプル・タンパク質ローディングを正常化するために用いた。
結果
BMP−10処置は、図21のイムノブロットに示されるように、脂肪細胞分化のさまざまなステージで、明らかにR−Smad1、5および8のリン酸化を誘発した。Smadリン酸エステル化は、PBS処置によって3T3−L1細胞において導き出されなかった。こうして、結果は、脂肪細胞分化の前、および、その間、BMP−10タンパク質で治療される線維芽細胞細胞に特異的であるBMPシグナル経路の活性化を示した。
BMP−10処置は、図21のイムノブロットに示されるように、脂肪細胞分化のさまざまなステージで、明らかにR−Smad1、5および8のリン酸化を誘発した。Smadリン酸エステル化は、PBS処置によって3T3−L1細胞において導き出されなかった。こうして、結果は、脂肪細胞分化の前、および、その間、BMP−10タンパク質で治療される線維芽細胞細胞に特異的であるBMPシグナル経路の活性化を示した。
実施例7.ヒトおよびマウス組織のヒトBMP−10タンパク質発現の免疫組織化学(IHC)分析
実験A.ヒトの正常および疾病組織のBMP−10タンパク質発現の免疫組織化学分析
方法
ペプチド選択および抗体産生:
BMP−10−LP9168の配列は、合成および抗体産生のための潜在的ペプチドを決定するために、HoppおよびWoodsのアルゴリズムによって分析された。ペプチドは、それから、特徴を決定して、結果として生じる抗体の特異性を予測するのを助けるSwissprotデータベースに対してBLAST化された。ペプチドDKGVVTYKFKYE(配列番号21)は選択され、合成され、そして、ウサギ・ポリクローナル抗血清は生成された。キャリアー蛋白質にペプチド結合を許すために、システイン残基は、ペプチドのN末端に加えられた。第3のブリードはペプチド親和性精製を受け、そして、結果として生じる抗血清がそれから免疫組織化学実験の一次抗体として用いられた。
実験A.ヒトの正常および疾病組織のBMP−10タンパク質発現の免疫組織化学分析
方法
ペプチド選択および抗体産生:
BMP−10−LP9168の配列は、合成および抗体産生のための潜在的ペプチドを決定するために、HoppおよびWoodsのアルゴリズムによって分析された。ペプチドは、それから、特徴を決定して、結果として生じる抗体の特異性を予測するのを助けるSwissprotデータベースに対してBLAST化された。ペプチドDKGVVTYKFKYE(配列番号21)は選択され、合成され、そして、ウサギ・ポリクローナル抗血清は生成された。キャリアー蛋白質にペプチド結合を許すために、システイン残基は、ペプチドのN末端に加えられた。第3のブリードはペプチド親和性精製を受け、そして、結果として生じる抗血清がそれから免疫組織化学実験の一次抗体として用いられた。
抗体滴定プロトコルおよびポジティブコントロール研究結果:
抗体滴定実験は、最小のバックグラウンドおよびシグナルの最大検出という結果になる濃度を確立するために、抗体BMP−10−LP9168(ウサギ・ポリクローナル)によって行われた。系列希釈は、20ug/ml、10ug/ml、5ug/mlおよび2.5ug/mlで実行された。系列希釈の研究は、パラフィン包埋、ホルマリン固定組織上の2.5ug/mlの濃度で最も高い信号対雑音比を示した。この濃度が、研究のために使われた。抗体BMP−10−LP9168が一次抗体として使われ、そして、主要な検出系は、第2の抗ウサギベクター(BA−1000)および赤色基質キットベクター(SK−5100)を有するABC−APキットベクター(AK−5000)からなり、そして、それはホクシア色の沈着物を生産するために用いられた。
抗体滴定実験は、最小のバックグラウンドおよびシグナルの最大検出という結果になる濃度を確立するために、抗体BMP−10−LP9168(ウサギ・ポリクローナル)によって行われた。系列希釈は、20ug/ml、10ug/ml、5ug/mlおよび2.5ug/mlで実行された。系列希釈の研究は、パラフィン包埋、ホルマリン固定組織上の2.5ug/mlの濃度で最も高い信号対雑音比を示した。この濃度が、研究のために使われた。抗体BMP−10−LP9168が一次抗体として使われ、そして、主要な検出系は、第2の抗ウサギベクター(BA−1000)および赤色基質キットベクター(SK−5100)を有するABC−APキットベクター(AK−5000)からなり、そして、それはホクシア色の沈着物を生産するために用いられた。
組織抗原が保存されて、免疫組織化学的分析のためにアクセス可能であることを確認にするために、組織は、ポジティブコントロール抗体(CD31)によっても染色された。CD31のためにポジティブに着色した組織だけは、研究の剰余のために選択された。ネガティブコントロールは、一次抗体がない場合、隣接する断片に対して全免疫組織化学処置を行うことからなった。
スライドは、DVC1310Cデジタル・カメラをニコン顕微鏡に連結して撮像された。
画像は、Adobe Photoshopを使用しているTIFFファイルとして格納された。
画像は、Adobe Photoshopを使用しているTIFFファイルとして格納された。
結果
肺性高血圧を有する患者からの選択された正常および糖尿病の組織、正常およびアテローム硬化型冠状動脈、正常および虚血心臓および正常な肺および肺のマッチされた検体と同様に、骨形態発生タンパク質10(BMP−10)に対する抗体LP9168は、広範囲な一連の正常なヒト組織に評価された。他のタンパク質に対するBMP−10の類似性のため、これは、分泌された標的であると考えられている。
肺性高血圧を有する患者からの選択された正常および糖尿病の組織、正常およびアテローム硬化型冠状動脈、正常および虚血心臓および正常な肺および肺のマッチされた検体と同様に、骨形態発生タンパク質10(BMP−10)に対する抗体LP9168は、広範囲な一連の正常なヒト組織に評価された。他のタンパク質に対するBMP−10の類似性のため、これは、分泌された標的であると考えられている。
この抗体は、核染色および膜質染色も存在しなかったが、主に細胞質染色を示した。ポジティブとネガティブな細胞タイプの良好な差異により、染色の品質は十分であった。
正常組織において、最も顕著な染色は、胎盤栄養膜細胞層、胸部上皮、副腎髄質、炎症性サブセット、卵巣卵濾胞、睾丸ライディッヒ細胞、精母細胞 の前駆体および子宮内膜において特定された。陽性染色法は、結腸表層上皮、前立腺上皮、腸管上皮、胃上皮、膵臓腺房および尿乳頭イウムにおいても特定された。
末梢神経、神経節細胞、胃腸神経内分泌の細胞および膵島細胞サブセットは、陽性だった。焦点陽性は、脳の扁平上皮、肝細胞、胆管およびニューロンにおいて特定された。
患部組織において、正常組織と比較されるときに、有意な変化が染色になかった。
「[NTS2]」が続く報告セクションは、Normal Tissue Screen IIパネルの部分であったサンプルを示す。「[TIIDSI]」が続く報告セクションは、Type II Diabetic Screen Iパネルの部分であったサンプルを示す。「[Single Tissue]」が続く報告セクションは、個々の組織切片であったサンプルを示す。
実験B.マウス組織のBMP−10タンパク質発現の免疫組織化学分析
方法
免疫組織化学の方法は、上記の、および/または、標準的な手順であった。
方法
免疫組織化学の方法は、上記の、および/または、標準的な手順であった。
結果
この研究において、骨形態形成タンパク質10(BMP−10)に対する抗体LP9168は、一連の選択されたマウス組織において評価された。BMP−10は、マウス心臓において確認され、胎児の心臓の発生に関与していると考えられている新規TGF―βファミリーのメンバーである。他のタンパク質に対するBMP−10の構造類似性のため、これは、分泌された標的であると考えられている。マウス組織において、大部分の染色は細胞質だったが、時々、核および細胞外染色も確認された。染色の分布は、この標的が利用できる限られた発表データと矛盾しなかった。
この研究において、骨形態形成タンパク質10(BMP−10)に対する抗体LP9168は、一連の選択されたマウス組織において評価された。BMP−10は、マウス心臓において確認され、胎児の心臓の発生に関与していると考えられている新規TGF―βファミリーのメンバーである。他のタンパク質に対するBMP−10の構造類似性のため、これは、分泌された標的であると考えられている。マウス組織において、大部分の染色は細胞質だったが、時々、核および細胞外染色も確認された。染色の分布は、この標的が利用できる限られた発表データと矛盾しなかった。
最も顕著な染色は、心筋細胞、リンパ球サブセット、甲状腺の上皮および膵島において確認された。病巣の顕著な染色は、輸精前駆体および子宮内膜にも存在した。他の陽性細胞タイプは、尿路上皮、神経節細胞、肝細胞および腎尿細管上皮を含んだ。病巣の陽性は、皮膚付属構造、ニューロン、および、消化管(胃、腸および結腸)の内側を覆っている上皮に存在した。時々の弱い染色は、膵臓腺房、呼吸上皮および肺胞マクロファージに存在した。
実施例8.ヒトBMP−10調整培地で治療されるヒト内皮細胞のインビトロの広域の遺伝子発現分析
実験A.コントロール処置に対して、BMP−10で治療されるヒト大動脈内皮細胞(HUAECs)において差別的に発現される遺伝子
方法
AdBMP 10またはAdGFPによって形質転換されるHEK293細胞からの調整培地は、上記の実験3において説明されたように生成された。実施例3にて説明したように、CMの一定分量は、調整培地に発現されたBMP−10の存在を確認するためのBMP−10ウエスタンブロットに用いるために凍結保存された。
実験A.コントロール処置に対して、BMP−10で治療されるヒト大動脈内皮細胞(HUAECs)において差別的に発現される遺伝子
方法
AdBMP 10またはAdGFPによって形質転換されるHEK293細胞からの調整培地は、上記の実験3において説明されたように生成された。実施例3にて説明したように、CMの一定分量は、調整培地に発現されたBMP−10の存在を確認するためのBMP−10ウエスタンブロットに用いるために凍結保存された。
ヒト大動脈内皮細胞は、実施例3にて説明したように、調整培地で処理された。細胞は、転写プロファイリングのために、30分および60分にRNAのために溶解された。全RNAは、RNeasyミニ・キット(Qiagen, Hidden, Germany)を使用して、細胞から分離された。RNAの分析および定量化は、マウス組織から分離されるRNAのための実施例5において、後述するように、実施された。ビオチンのラベルが付いたcRNAプローブの第1および第2鎖cDNA合成および生成は、製造会社(Affymetrix, Inc)の指示に従って行われた。オリゴヌクレオチド・アレイ(GeneChip Human Genome U133_plus 2.0)に対するハイブリッド形成およびデータ分析は、マウス組織のための実施例10において、後述するように実行された。
結果
未処理の蛍光強度値は、集められて、記載されているように、低下した。発現が増加していることを決定する転写物には、「現在の」(「P」)コール(GEDS処理で決定される)、5ppmの最小限の度数(ハイブリッド形成サンプルに組み込まれる標準曲線との比較に基づく)および緩衝液コントロール試料と比較して2倍の発現の最小限の変化を有していなければならかった。処置によって減少していることを決定した遺伝子は、「P」と呼ばれ、緩衝液コントロール試料の5ppmの最小限の度数を有し、処理したサンプルの2倍の発現の最大の変化を有していなければならなかった。BMP−10により30分間処理されるHUVECおよびHUAECsからのmRNAの広域の遺伝子発現分析の結果は、図22に示すことができ;60分間処理されるHUVECおよびHUAECsからの結果は、図23A−23Dに示すことができる。
未処理の蛍光強度値は、集められて、記載されているように、低下した。発現が増加していることを決定する転写物には、「現在の」(「P」)コール(GEDS処理で決定される)、5ppmの最小限の度数(ハイブリッド形成サンプルに組み込まれる標準曲線との比較に基づく)および緩衝液コントロール試料と比較して2倍の発現の最小限の変化を有していなければならかった。処置によって減少していることを決定した遺伝子は、「P」と呼ばれ、緩衝液コントロール試料の5ppmの最小限の度数を有し、処理したサンプルの2倍の発現の最大の変化を有していなければならなかった。BMP−10により30分間処理されるHUVECおよびHUAECsからのmRNAの広域の遺伝子発現分析の結果は、図22に示すことができ;60分間処理されるHUVECおよびHUAECsからの結果は、図23A−23Dに示すことができる。
実験B.GFPに比較して、AdBMP−10で治療されるヒト臍静脈内皮細胞において差別的に発現される遺伝子
方法
AdBMP 10またはAdGFPによって形質転換されるHEK293細胞からの調整培地は、実験3において前述したように生成された。調整培地は、形質転換後、48時間後に収集された。実施例3にて説明したように、CMの一定分量は、調整培地に発現されたBMP−10の存在を確認するためのBMP−10ウエスターンイムノブロット分析用に凍結保存された。
方法
AdBMP 10またはAdGFPによって形質転換されるHEK293細胞からの調整培地は、実験3において前述したように生成された。調整培地は、形質転換後、48時間後に収集された。実施例3にて説明したように、CMの一定分量は、調整培地に発現されたBMP−10の存在を確認するためのBMP−10ウエスターンイムノブロット分析用に凍結保存された。
ヒト臍静脈内皮細胞は、実施例3にて説明したように、AdBMP―10、または、AdGFP調整培地で処理された。上記の実験にて説明したように、細胞は、広範な遺伝子発現分析に用いられるために、30分および60分にRNAのために溶解された。
結果
未処理蛍光強度値は集められ、記載されているように、低下した。発現が増加していることを決定する転写物は、「現在の」(「P」)コール(GEDS処理で決定される)、5ppmの最小限の度数(ハイブリッド形成サンプルに組み込まれる標準曲線との比較に基づく)および緩衝液コントロール試料と比較される2倍の発現の最小限の変化がなければならなかった。処置によって減少していることえお決定する遺伝子は、「P」と呼ばれ、緩衝液コントロール試料の5ppmの最小限の度数を有し、処理したサンプルの2倍の発現の最大の変化がなければならなかった。BMP−10により30分間処理されるHUVECおよびHUAECsからのmRNAの広範な遺伝子発現分析の結果は、図22に示すことができる;60分間処理されるHUVECおよびHUAECsからの結果は、図23A−23Dに示すことができる。
未処理蛍光強度値は集められ、記載されているように、低下した。発現が増加していることを決定する転写物は、「現在の」(「P」)コール(GEDS処理で決定される)、5ppmの最小限の度数(ハイブリッド形成サンプルに組み込まれる標準曲線との比較に基づく)および緩衝液コントロール試料と比較される2倍の発現の最小限の変化がなければならなかった。処置によって減少していることえお決定する遺伝子は、「P」と呼ばれ、緩衝液コントロール試料の5ppmの最小限の度数を有し、処理したサンプルの2倍の発現の最大の変化がなければならなかった。BMP−10により30分間処理されるHUVECおよびHUAECsからのmRNAの広範な遺伝子発現分析の結果は、図22に示すことができる;60分間処理されるHUVECおよびHUAECsからの結果は、図23A−23Dに示すことができる。
実施例9.BMP−10を過剰発現させているヒト腎臓近位尿細管上皮細胞の遺伝子発現分析
方法
この実施例は、5および17時間の時点における、AdBMP−10またはAdGFP(コントロール)によって変換されるヒト腎臓近位尿細管上皮細胞の遺伝子発現分析を示す。AdBMP 10またはAdGFPによって変換されるHEK293細胞からの調整培地(CM)は、上記の実験3にて説明したように、生成された。実施例3にて説明したように、CMの一定分量は、調整培地に発現されたBMP−10の存在を確認するためのBMP−10西のイムノブロット分析用に凍結保存された。ヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)(Lonza Catalog Number CC-2517)は、60mmの組織培養プレートに添加された成長補助剤(Lonza Catalog Number CC-3190)を有するREGM培地において、製造会社の指示に従って培養され、そして、37℃、5%CO2でインキュベートされ、それらが~70-80%の合流点に到達するときに、完全な成長培地は取り除かれ、そして、細胞は、基礎培地(Lonza Catalog Number CC-3191)+0.1%の脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)により1回、洗浄され、そして、0.1%の脱脂BSAを有する4mlの基礎培地が加えられ、そして、プレートは、3時間、インキュベートされた。3時間後に、細胞は、0.1%の脱脂BSAを有する基礎培地に1:10に希釈したCMを含んでいるAdBMP−10またはAdGFPのいずれかで処理された。細胞は、処置の後、5時間および17時間でRNAのために溶解しされ、そして、全RNAはRNeasyミニ・キット(Qiagen, Hidden, Germany)を使用して細胞から分離された。RNAの分析および定量化は、マウス組織から分離されるRNAのための実施例5にて説明したように、実施された。ビオチンのラベルが付いたcRNAプローブの第1および第2鎖cDNA合成および生成は、製造会社(Affymetrix, Inc)の指示に従って実施された。オリゴヌクレオチド・アレイ(GeneChip Human Genome U133_plus 2.0)に対するハイブリッド形成およびデータ分析は、マウス組織のための実施例10にて説明したように、実行された。
方法
この実施例は、5および17時間の時点における、AdBMP−10またはAdGFP(コントロール)によって変換されるヒト腎臓近位尿細管上皮細胞の遺伝子発現分析を示す。AdBMP 10またはAdGFPによって変換されるHEK293細胞からの調整培地(CM)は、上記の実験3にて説明したように、生成された。実施例3にて説明したように、CMの一定分量は、調整培地に発現されたBMP−10の存在を確認するためのBMP−10西のイムノブロット分析用に凍結保存された。ヒトの一次性腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)(Lonza Catalog Number CC-2517)は、60mmの組織培養プレートに添加された成長補助剤(Lonza Catalog Number CC-3190)を有するREGM培地において、製造会社の指示に従って培養され、そして、37℃、5%CO2でインキュベートされ、それらが~70-80%の合流点に到達するときに、完全な成長培地は取り除かれ、そして、細胞は、基礎培地(Lonza Catalog Number CC-3191)+0.1%の脱脂BSA(BD Bioscience Catalog Number 354331)により1回、洗浄され、そして、0.1%の脱脂BSAを有する4mlの基礎培地が加えられ、そして、プレートは、3時間、インキュベートされた。3時間後に、細胞は、0.1%の脱脂BSAを有する基礎培地に1:10に希釈したCMを含んでいるAdBMP−10またはAdGFPのいずれかで処理された。細胞は、処置の後、5時間および17時間でRNAのために溶解しされ、そして、全RNAはRNeasyミニ・キット(Qiagen, Hidden, Germany)を使用して細胞から分離された。RNAの分析および定量化は、マウス組織から分離されるRNAのための実施例5にて説明したように、実施された。ビオチンのラベルが付いたcRNAプローブの第1および第2鎖cDNA合成および生成は、製造会社(Affymetrix, Inc)の指示に従って実施された。オリゴヌクレオチド・アレイ(GeneChip Human Genome U133_plus 2.0)に対するハイブリッド形成およびデータ分析は、マウス組織のための実施例10にて説明したように、実行された。
結果
5時間のBMP−10処置の広範な遺伝子発現分析の結果は、図24A−24Dに示され、そして、17時間のBMP−10処置の結果は、図25A−25Eに示される。シグナル値は算出され、そして、データは以下の通りにフィルターに通された:AdBMP−10 CM処置により発現が増加していることを決定する転写物は、AdGFP CM処理コントロール試料の2倍以上の発現の変化、および、p値<0.05により、「存在する」(シグナル値>43)とみなされなければならなかった。AdBMP―10 CM処置によって減少していることを決定する遺伝子は、AdGFP CM処理コントロール試料に比較して2倍以下の発現の変化、および、p値<0.05により、AdGFP CMコントロール試料に「存在する」(シグナル値>43)とみなされなければならなかった。
5時間のBMP−10処置の広範な遺伝子発現分析の結果は、図24A−24Dに示され、そして、17時間のBMP−10処置の結果は、図25A−25Eに示される。シグナル値は算出され、そして、データは以下の通りにフィルターに通された:AdBMP−10 CM処置により発現が増加していることを決定する転写物は、AdGFP CM処理コントロール試料の2倍以上の発現の変化、および、p値<0.05により、「存在する」(シグナル値>43)とみなされなければならなかった。AdBMP―10 CM処置によって減少していることを決定する遺伝子は、AdGFP CM処理コントロール試料に比較して2倍以下の発現の変化、および、p値<0.05により、AdGFP CMコントロール試料に「存在する」(シグナル値>43)とみなされなければならなかった。
実施例10.コントロール・マウスに比較して、AdBMP−10マウスの心臓、筋肉および脂肪組織において差別的に発現される遺伝子のインビボでの広範な遺伝子発現分析
実験A.AdBMP−10マウスの心臓組織からRNAによるAffymetrix GeneChip MU11k Arrayを使用するインビボでの広範な遺伝子発現分析
方法
C57BL/6マウスは、ヒトBMP−10(AdBMP−10)またはコントロール・ウイルス(5×1010の粒子)をコード化している複製欠乏性組換え体アデノウイルスにより静脈内に注射され、注射の後、3日目または7日目に殺された。全RNAは、心臓組織から調製され(この実験のように);そして、以下の2つの実験にしたがって、筋肉および脂肪組織から調整された。冷凍された組織(筋肉、脂肪および心臓)は、液体窒素において、乳鉢と乳棒を用いて粉砕され、組織溶解緩衝液(RNAgents Kit Catalog Number Z5110, Promega, Madison, WI)において溶解された。全RNAは、製造会社の推薦の修飾によって分離された。簡潔には、RNAは、イソプロパノールの添加によって沈殿して、冷たい75%のエタノールにより、2回、洗浄した。ペレットはRNeasyミニ・キット・サンプル溶解緩衝液に溶かされ、そして、RNAは製造会社の推薦(Qiagen, Hidden, Germany)に従って精製された。全RNAは、260ナノメートルの紫外吸収の測定から数量化された。全RNAの一定分量は、アガロースゲル電気泳動を用いて分析され、そして、RNAの完全性は18Sおよび28SのリボソームRNAバンドの相対的強度の目視比較から評価された。すべてのサンプルで、28SのリボソームRNAバンドの強度は、18Sのバンドのそれを超えた。
実験A.AdBMP−10マウスの心臓組織からRNAによるAffymetrix GeneChip MU11k Arrayを使用するインビボでの広範な遺伝子発現分析
方法
C57BL/6マウスは、ヒトBMP−10(AdBMP−10)またはコントロール・ウイルス(5×1010の粒子)をコード化している複製欠乏性組換え体アデノウイルスにより静脈内に注射され、注射の後、3日目または7日目に殺された。全RNAは、心臓組織から調製され(この実験のように);そして、以下の2つの実験にしたがって、筋肉および脂肪組織から調整された。冷凍された組織(筋肉、脂肪および心臓)は、液体窒素において、乳鉢と乳棒を用いて粉砕され、組織溶解緩衝液(RNAgents Kit Catalog Number Z5110, Promega, Madison, WI)において溶解された。全RNAは、製造会社の推薦の修飾によって分離された。簡潔には、RNAは、イソプロパノールの添加によって沈殿して、冷たい75%のエタノールにより、2回、洗浄した。ペレットはRNeasyミニ・キット・サンプル溶解緩衝液に溶かされ、そして、RNAは製造会社の推薦(Qiagen, Hidden, Germany)に従って精製された。全RNAは、260ナノメートルの紫外吸収の測定から数量化された。全RNAの一定分量は、アガロースゲル電気泳動を用いて分析され、そして、RNAの完全性は18Sおよび28SのリボソームRNAバンドの相対的強度の目視比較から評価された。すべてのサンプルで、28SのリボソームRNAバンドの強度は、18Sのバンドのそれを超えた。
全RNAは、100pMT7/T24−タグ付のオリゴdtプライマーにより、700Cで10分間のさまざまな組織から分離され、氷に冷やされた5gの全RNAを変性させることによって、ハイブリッド形成のために調製された。第1鎖cDNA合成は、以下の緩衝条件で実行された;1倍の第1鎖の緩衝液(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)、10mMのDTT(GIBCO/Invitrogen)、500mの各dNTP(Invitrogen Life Technologies)、400単位のSuperscript RT II (Invitrogen Life Technologies)、40単位RNase抑制物質(Ambion, Austin,TX.)。反応は、1時間、47℃で進行した。第2鎖cDNAは、リストされる最終濃度の以下の試薬の添加によって合成された。1倍の第2鎖の緩衝液(Invitrogen Life Technologies)、追加的な200mの各dNTP(Invitrogen Life Technologies)、大腸菌DNAポリメラーゼIの40単位(Invitrogen Life Technologies)、2単位の大腸菌RNaseH(Invitrogen Life Technologies)および10単位の大腸菌DNAリガーゼ。反応は、2時間、15.8℃でインキュベートされ、そして、6単位のT4 DNAポリメラーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)が加えられた。反応は、更に5分間、15.8℃でインキュベートされた。以下の通りに、BioMagカルボキシル末端粒子を用いて、結果として生じる二重鎖cDNAが精製された;0.2mgのBioMag粒子(Polysciences Inc.,Warrington(PA))は、0.5MのEDTAによって3回洗浄することによって平衡化され、0.5MのEDTAにおいて22.2mg/mlの濃度で再懸濁された。二重鎖cDNA反応は、10%PEG/1.25M NaClの最終濃度に希釈され、そして、ビーズ懸濁液は0.614mg/mlの最終的なビーズ濃度になるように加えられた。反応は、10分間、室温でインキュベートされた。cDNA/ビーズ複合体は、300lの70%エタノールによって洗浄され、エタノールは取り除かれ、そして、チューブは空気乾燥された。cDNAは、20lの10mMトリス―酢酸塩(pH 7.8)の添加によって溶出させられ、2−5分間、インキュベートされ、そして、cDNAを含んでいる上澄みは取り除かれた。
10lの精製された二重鎖cDNAは、以下を含むインビトロ転写(IVT)反応に加えられた。1倍のIVT緩衝役(Ambion,Austin,TX)、5,000単位のT7 RNAポリメラーゼ(Epicentre Technologies, Madison,WI)、3mMのGTP、1.5mMのATP、1.2mMのCTPおよび1.2mMのUTP(Amersham/Pharmacia, Uppsala, Sweden)、それぞれ0.4mMのbio-16 UTPおよびbio-11 CTP(Enzo Diagnostics, Farmingdale, NY)および80単位のRNase抑制物質(Ambion, Austin,TX)。反応は、16時間、37℃でインキュベートされた。標識RNAは、QiagenRNeasyミニ・キットRNAクリーンアップ手順を使用して、カラムを通じて精製され、そして、RNA収率は260ナノメートルで吸光度を測定することによって数量化された。
Affymetrixオリゴヌクレオチド・アレイに対するハイブリッド形成は、以下の通りに実行された。ハイブリッド形成効率を改善するために、15gのcRNAは、前述したように断片化された。断片的なcRNAプローブは、製造会社(Affymetrix, Santa Clara, CA)によって示唆されるGeneChipハイブリダイゼーション溶液をつくるために用いられた。ハイブリダイゼーション溶液は、終夜45℃で2つのガラスビーズ(Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)に、プレ−ハイブリダイズされた。ハイブリダイゼーション溶液は、クリーンなチューブに取り除かれ、95℃で1−2分間、加熱され、ペレット不溶層に高速で2分間、微量遠心分離された。これらの水溶液は、それからAffymetrixマイクロアレイにハイブリダイズされた。マイクロアレイは、45℃で180ulのハイブリダイゼーション溶液によってハイブリダイズされ、終夜、45-60 rpmで回転した。一晩のインキュベーションの後、ハイブリダイゼーション溶液は回収され、洗浄され、そして、チップは製造会社のプロトコル(Affymetrix, Santa Clara, CA)に従ってスキャンするために調製された。未処理蛍光データは集められ、主要なデータ(すなわち、算出された遺伝子の値)を構築するために、GeneChip 3.1 application (Affymetrix, Santa Clara, CA)を用いて低下された。
結果
Affymetrix(登録商標) GeneChip MU11kによって測定される、AdBMP−10による注射の3日後に、マウスの心臓組織から分離されるRNAの分析は、コントロールと比較された;結果は、図26A〜26Bに示される。注射後7日目の広範な遺伝子発現分析の結果は、図26C〜26Lに示される。
Affymetrix(登録商標) GeneChip MU11kによって測定される、AdBMP−10による注射の3日後に、マウスの心臓組織から分離されるRNAの分析は、コントロールと比較された;結果は、図26A〜26Bに示される。注射後7日目の広範な遺伝子発現分析の結果は、図26C〜26Lに示される。
実験B.AdBMP−10マウスの筋肉組織からのRNAを有するAffymetrix GeneChip MUIIkネズミ・アレイを使用するインビボでの転写プロファイリング
方法
AdBMP−10マウス(上記の通りに注射される)からの筋肉組織は、注射後3および7日に犠牲にされたマウスから上記の通りに調製された。Affymetrixオリゴヌクレオチド・アレイに対するハイブリッド形成は、上記の通りに実行された。
方法
AdBMP−10マウス(上記の通りに注射される)からの筋肉組織は、注射後3および7日に犠牲にされたマウスから上記の通りに調製された。Affymetrixオリゴヌクレオチド・アレイに対するハイブリッド形成は、上記の通りに実行された。
結果
Affymetrix(登録商標) GeneChip MU11kネズミ・アレイによって測定される、AdBMP−10による注射後3および7日のマウスの筋肉組織の広範な遺伝子発現分析は、コントロールと比較された。注射後3日の結果は、図27A−27Dに示される。;注射後7日の結果は、図27E−27Tに示される。
Affymetrix(登録商標) GeneChip MU11kネズミ・アレイによって測定される、AdBMP−10による注射後3および7日のマウスの筋肉組織の広範な遺伝子発現分析は、コントロールと比較された。注射後3日の結果は、図27A−27Dに示される。;注射後7日の結果は、図27E−27Tに示される。
実験C.AdBMP−10マウスの脂肪組織からのRNAを有するAffymetrix GeneChip MU11kネズミ・アレイを使用する、インビボでの広範な遺伝子発現分析
方法
AdBMP−10マウス(上記の通りに注射される)からの脂肪組織からのRNAは、3日目に殺されるマウスから上記の通りに調製された。Affymetrixオリゴヌクレオチド・アレイに対するハイブリッド形成は、上記の通りに実行された。
方法
AdBMP−10マウス(上記の通りに注射される)からの脂肪組織からのRNAは、3日目に殺されるマウスから上記の通りに調製された。Affymetrixオリゴヌクレオチド・アレイに対するハイブリッド形成は、上記の通りに実行された。
結果
Affymetrix(登録商標) GeneChip MU11kネズミ・アレイによって測定される、AdBMP−10による注射の3日後のマウスの脂肪組織の広範な遺伝子発現分析は、コントロールと比較された。結果は、図28A―28Dに示される。
Affymetrix(登録商標) GeneChip MU11kネズミ・アレイによって測定される、AdBMP−10による注射の3日後のマウスの脂肪組織の広範な遺伝子発現分析は、コントロールと比較された。結果は、図28A―28Dに示される。
要約すると、AdBMP−10治療をうけているマウスの組織の顕著な遺伝子発現変化(網羅的ではないが図示する)は、以下の通りだった。GDF8 mRNA発現は、筋肉において上流制御され;また、ミオスタチンとして知られているよう、GDF8は、筋肉の成長のネガティブなレギュレータである。公知のBMPに反応する遺伝子(例えば、Smad6、Smad7)およびDNA結合の抑制物質、Id1、Id2およびId4の発現も、増加した。Smad6およびId1 mRNAは、脂肪および心臓組織において増加した。Idタンパク質は、内皮細胞の活性化を示す。Smad6は、BMPおよびTGFJシグナル伝達の抑制物質である。エンドグリン、TGFJ−系統Type III補助受容体は、AdBMP−10治療されたマウスの筋肉において増加した。AdBMP−10マウスの転写プロファイリングは、インテグリンおよび細胞間接着、Ras関連のタンパク質−1a(Rap1a)の重要なレギュレータの減少した発現を示した。
実施例11.ストロマ細胞誘導因子1(SDF−1)およびAdBMP−10マウスのマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)の血清レベル
方法
ELISA分析は、AdBMP−10を注射したマウスの注射後1日の血清におけるストロマ細胞誘導因子1(SDF−1)、および、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)の増加したレベルを示した。hBMP−10をコード化している組換え体アデノウイルスの5×1010の粒子の単一投与量は、雌のC57BL/6Jマウス(年齢7−8週(n=3))の尾部静脈に注射された。コントロール・マウスは、アデノウイルスをコード化しているGFPまたはPBS/10%のグリセロール(n=3)を与えられた。動物は注射後24時間後に犠牲にされ、血液は心臓の穴により集められて、血清を分離するために3000rpmで10分間回転した。血清は、クリーンなチューブへ転送されて、―80℃で凍結された。血清は、特注設計のSearchLight Multiplex Assayを使用する分析のため、Pierce Biotechnology, Inc.に送られた。テスト検体は、SDF−1およびMMP9を含んだ。
方法
ELISA分析は、AdBMP−10を注射したマウスの注射後1日の血清におけるストロマ細胞誘導因子1(SDF−1)、および、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)の増加したレベルを示した。hBMP−10をコード化している組換え体アデノウイルスの5×1010の粒子の単一投与量は、雌のC57BL/6Jマウス(年齢7−8週(n=3))の尾部静脈に注射された。コントロール・マウスは、アデノウイルスをコード化しているGFPまたはPBS/10%のグリセロール(n=3)を与えられた。動物は注射後24時間後に犠牲にされ、血液は心臓の穴により集められて、血清を分離するために3000rpmで10分間回転した。血清は、クリーンなチューブへ転送されて、―80℃で凍結された。血清は、特注設計のSearchLight Multiplex Assayを使用する分析のため、Pierce Biotechnology, Inc.に送られた。テスト検体は、SDF−1およびMMP9を含んだ。
結果
SDF−1およびMMP9の血清レベルは、1日目に、コントロールと比較して、AdBMP−10治療をうけているマウスにおいて増加した。(n=3、p<.05)ELISA分析からの結果は、図29に示される。
SDF−1およびMMP9の血清レベルは、1日目に、コントロールと比較して、AdBMP−10治療をうけているマウスにおいて増加した。(n=3、p<.05)ELISA分析からの結果は、図29に示される。
Claims (24)
- BMP−10応答性細胞または組織における骨形態形成タンパク質−10(BMP−10)の一つ以上の生物活性を減少させる方法であって、BMP−10応答性細胞または組織であって、一つ以上のBMP−10生物活性を増加させる前記細胞または組織を細胞または組織における一つ以上のBMP−10生物活性を減少させるのに十分な量のBMP−10アンタゴニストと接触させることを含み、BMP−10応答性細胞または組織が、血管または腎臓の細胞または組織、または線維性組織であって、BMP−10アンタゴニストが、抗BMP−10抗体分子、抗BMP−10レセプター抗体分子、可溶性BMP−10レセプター、BMP−10核酸抑制物質、BMP−10レセプター核酸抑制物質、BMP−10拮抗性プロペプチド、BMP−10結合領域融合変異体、およびBMP−10レセプター結合領域融合変異体からなる群より選択されるところの、方法。
- BMP−10アンタゴニストが、
(i)Smadタンパク質のリン酸エステル化;
(ii)ミオスタチン、エンドグリンまたは抑制性Smadの遺伝子発現の誘導;
(iii)プロ血管形成遺伝子の発現の増加;
(iv)Ras関連タンパク質−1a(Rap1a)の発現の減少;
(v)図22−28において確認された、インビトロまたはインビボにおける内皮細胞のBMP−10刺激に応答する一つ以上の遺伝子の発現の調整;
(vi)ストロマ由来分化因子(SDF−1)またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清濃度の増加;または
(vii)血管異常、例えば、血管異形成、大量出血、毛細管拡張症、および/または、動静脈奇形の増加から選択される一つ以上のBMP−10生物活性を低下させる、請求項1記載の方法。 - BMP−10アンタゴニストが、一つ以上の血管恒常性、腎機能、または線維組織の形成もしくは蓄積を変化させる、請求項1記載の方法。
- 血管細胞または組織が、内皮または平滑筋の細胞または組織である、請求項1記載の方法。
- 接触ステップが細胞培養に存在するBMP−10応答性細胞または組織に生じ、前記細胞培養があらかじめまたは同時にBMP−10にさらされる、請求項1記載の方法。
- 接触ステップが被験者に存在するBMP−10応答性細胞または組織に生じる、請求項1記載の方法。
- 被験者が、血管、腎臓、または、線維形成の疾患または障害を有するかまたは有する危険性があるヒト患者である、請求項6記載の方法。
- 哺乳類の被験者における、血管、腎臓または線維性疾患または障害を治療または予防する方法であって、被験者において血管または腎臓の細胞または組織または線維性組織における一つ以上のBMP−10生物活性を阻害または低下させるのに十分な量で、BMP−10アンタゴニストを哺乳類の被験者に投与することを含み、BMP−10アンタゴニストが、抗BMP−10抗体分子、抗BMP−10レセプター抗体分子、可溶性BMP−10レセプター、BMP−10核酸抑制物質、BMP−10レセプター核酸抑制物質、BMP−10拮抗性プロペプチド、BMP−10結合領域融合変異体およびBMP−10レセプター結合領域融合変異体からなる群より選択されるところの、方法。
- 血管の疾患または障害が、内皮または平滑筋細胞の機能不全によって特徴づけられる、請求項7または8記載の方法。
- 被験者が、一つ以上の遺伝性出血性毛細管拡張(HHT)、腎炎症候群、腎症、糖尿病ネフロパシ、網膜症、脳卒中、アテローム硬化、動脈硬化、末梢血管障害、高血圧、高脂血症、血栓症または再狭窄から選択される障害を有するかまたは有する危険性があるヒトである、請求項7または8記載の方法。
- 被験者が、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、肺癌、食道癌、および肝臓癌腫からなる群から選択される腫瘍性障害を有するかまたは有する危険性があるヒトである、請求項7または8記載の方法。
- 線維性疾患または障害が、肝臓、肺、腎臓または心臓の線維組織の形成または蓄積によって特徴づけられる、請求項7または8記載の方法。
- BMP−10が、成熟したまたはプロペプチドのヒトBMP−10である、請求項1または8記載の方法。
- BMP−10アンタゴニストが、ヒトBMP−10またはヒトBMP−10レセプターと結合する抗体分子である、請求項1または8記載の方法。
- 抗体分子が、ヒトBMP−10またはヒトBMP−10レセプター・ポリペプチドに対する、ヒト、ヒト化、キメラ、ラクダ科の動物、サメまたはインビトロで生成された抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項14記載の方法。
- BMP−10アンタゴニストが、BMP−10レセプターまたはBMP−10拮抗プロペプチドの可溶性断片である、請求項1または8記載の方法。
- 可溶性断片が、免疫グロブリンFc領域に融合する、請求項16記載の方法。
- BMP−1アンタゴニストが、エンドグリン、ALKレセプター、コーディン、USAG−1、スクレロジンおよびアクチビン・レセプターIIBからなる群より選択される、BMP−10レセプターまたはその断片である、請求項1または8記載の方法。
- BMP−10核酸抑制物質またはBMP−10レセプター核酸抑制物質が、アンチセンス分子、リボザイム、RNAiおよび三重らせん分子からなる群より選択される、請求項1または8記載の方法。
- 不活発なまたは途絶えた血管または心臓の細胞増殖または活性によって特徴づけられる障害を治療する方法であって、血管または心臓の細胞または組織の一つ以上のBMP−10生物活性を増加または刺激するのに十分な量で、BMP−10ポリペプチドまたはその機能的断片を被験者に投与することによって、障害を治療または予防することを含み、疾患が内皮細胞損傷に伴う障害または疾患であるところの、方法。
- 試験サンプルにおいて、BMP−10関連の血管、腎臓、または線維性障害または疾患を評価、診断、またはその進行をモニターする方法であって、対照標準サンプルに対する核酸またはポリペプチドのレベルの違いが、障害または疾患の存在または進行を示すように、BMP−10またはBMP−10関連遺伝子から選択される核酸またはポリペプチドの発現または活性を評価することを含む、方法。
- BMP−10関連遺伝子が、一つ以上のGDF−8、GDF−10、エンドグリン、抑制性Smadおよびプロ血管形成遺伝子を含む、請求項21記載の方法。
- 血管または腎臓の機能を調整する試験化合物を同定する方法またはアッセイであって、
(i)BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチドまたは核酸と相互作用または結合する試験薬を提供するかまたは同定すること;および
(ii)参照サンプルに対する試験薬の存在下における血管または腎臓の細胞または組織の活性の変化を評価することを含み、試験化合物が、抗体分子、BMP−10ペプチド、可溶性BMP−10レセプター、可溶性BMP−10レセプターの融合体、低分子、自然に生じるBMP−10アンタゴニスト、アンチセンス分子、リボザイム、RNAiおよび三重らせん分子からなる群から選択されるところの、方法またはアッセイ。 - 評価ステップが、1つ以上のBMP−10もしくはBMP−10レセプター・ポリペプチド、またはBMP−10もしくはBMP−10レセプターをコード化する核酸を試験化合物と接触させること;および
試験化合物を含まないコントロールサンプルに対する、試験化合物の存在下における、BMP−10またはBMP−10レセプター・ポリペプチドまたは核酸の一つ以上の活性の変化を検出することを含み、ここで、血管または腎臓の細胞または組織の活性の変化が、参照サンプルに対する、テスト化合物の存在下における、1つ以上の
(i)Smadタンパク質のリン酸エステル化;
(ii)ミオスタチン、エンドグリン、または、抑制性Smadの遺伝子発現;
(iii)一つ以上のプロ血管形成遺伝子の発現;
(iv)Ras関連タンパク質1a(Rap1a)の発現;
(v)図22−28において確認された、インビトロまたはインビボにおける内皮細胞のBMP−10刺激に応答する一つ以上の遺伝子の発現;
(vi)ストロマ由来分化因子(SDF−1)またはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP−9)の血清濃度;または
(vii)血管異常、例えば、血管異形成、大量出血、毛細管拡張症または動静脈奇形
の変化を測定することによって検出され、一つ以上の(i)−(iii)および(vi)における減少、および(vi)における増加が、BMP−10機能のアンタゴニストを示し、そして、一つ以上の(i)−(iii)および(vi)の増加、および(iv)の減少が、BMP−10機能のアゴニストを示すところの、請求項26記載の方法。
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