JP2010528877A - 高速・高出力レーザースクライビング方法およびレーザースクライビングシステム - Google Patents

高速・高出力レーザースクライビング方法およびレーザースクライビングシステム Download PDF

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Abstract

【課題】工業規模の製造に適した高加工レートで材料、特に建築材料にグラフィックをスクライビングする。
【解決手段】材料の上にグラフィックをスクライビングする方法が与えられる。その方法では、レーザー(32)の出力(34)が材料に当てられる。材料の表面にグラフィックをスクライビングするために、レーザー(32)の出力(34)は10m/sより早い速度で材料に対して動かされ、500Wより大きなパワーを持つ。また、材料の上にグラフィックをスクライビングするためのシステムが与えられる。本発明に係る方法とシステムは、特に建築材料をスクライビングするために有用である。
【選択図】図1

Description

関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2007年6月12日に出願された米国特許仮出願第60/943,943,317号と、2007年7月27日に出願された米国特許仮出願第60/952,431号について優先権の利益を有する。米国特許仮出願第60/943,943,317号明細書と米国特許仮出願第60/952,431号明細書の開示全部を参照によりここに含める。
本発明は、一般に工業規模の製造に適した高加工レートで材料、特に建築材料にグラフィック(graphics)をスクライビング(scribing)するためのレーザーをベースとする方法とシステムに関する。
住宅用および商業用の建材は、ドライウォール、調理台、バスルームの備品、キッチンキャビネット、室内ドア、床張り材、壁板、天井タイルのような室内建材と、デッキング、サイディング、トリム、柵の材料、窓用・屋外用ドアのような屋外建材とを含む。これらの建材は、石こうボード、ビニール生産品、アクリル、ハードボード、強化ガラス、焼きなましガラス、樹脂複合材、さまざまな積層板、化粧板、薄型カーペットタイル、繊維ガラス、セラミック、花こう岩、プラスチック、プラスチック木質複合材およびさまざまな他の材料で製造される。材料にさまざまなグラフィックデザインが刻まれた装飾本位のやり方でそのような部品を提供するという要望がしばしばある。
エンボス加工やインクジェット印刷のような従来の印刷技術は、しばしば魅力のない美学を生じる。サンドブラスティングや化粧張りのような他のプロセスは、高コストになるという欠点がある。
レーザー彫刻建材は、建材を飾る魅力的な手段を提供すると思われる。けれども、商用生産用レーザーは、経済的に魅力のあるレートで大規模生産において建材を装飾するために使われたことはない。大量生産規模において建材がレーザーで刻まれない要因として少なくとも2つ考えられる。これらの要因は、商用レーザー彫刻システムの相対的に低いスキャン速度と相対的に低いパワー性能である。
スキャン速度に関しては、レーザービームは一般に0.5から3.0m/s(meters per second)までのレーザースキャン速度でx−yテーブル上をリニアモーターまたはねじ駆動を用いて駆動される。この方法は、例えば鋼鉄を切断するために1,000−10,000ワットのレーザーを使うレーザー切断産業で普通である。アマダ(Amada)、トランプ(Trumph)、ロフィン(Rofin)、ファナック(Fanuc)およびパナソニック(Panasonic)のような会社がそのような1,000−10,000ワットのレーザーシステムを提供する。
これらの従来のリニアモーター駆動レーザーシステムの速度は、1平方フィートの材料を刻むために全体の処理に数分を要する。例えば、主要なレーザーシステム(Vyteck L−Star)の最近の広告は、石材、タイルおよびガラス産業のための世界最速のレーザーシステムであると主張する。更に、その広告は、「L−Starは150ips、すなわち3.8m/sまでの彫刻スピードを有し、競合機種よりパフォーマンスが優れている」と主張する。
けれども、従来のリニアモーターシステムによって得られる速度では、基板を装飾するためにあまりに時間がかかるので建材を経済的にスクライビング加工することができないことを発明者たちは認識した。このリニアモータータイプのレーザーは建築材料上にグラフィックパターンを刻むために1平方フィート当たり数分かかると推定される。たとえば、この速度では、建築材料用の一般的な基板であるメディアム・デンシティ・ファイバーボード(medium density fiberboard)の1平方フィートに複合グラフィックパターンを刻むために約6分かかると推定される。従って、そのユニットの製造コストがあまりに高いのでそのような建築材料を大規模に経済的に加工することができない。このリニアモーターのゆっくりした速度は、大量の木質複合デッキング、床張り材、木質複合材または他の一般的な建材基板上にグラフィックパターンをレーザーで刻むための実際的なまたは経済的な方法になり得ないであろう。現在のレーザー彫刻技術で1平方フィートの工業用の木材またはプラスチック材に複雑な木目模様をレーザーで刻むことは1平方フィート当たり数分要する。これがそのような建築材料が大量にレーザーで刻まれない理由であると、発明者たちは信じる。
また、ガルバノメーター駆動ミラー(galvanometer−driven mirrors:または、略してガルボミラーという。)が材料の表面におけるレーザービームの移動を制御するために使われることができる。ガルボミラーは制御信号によって動かされ、その動きに対応してレーザーの出力ビームが望まれるパスに沿って材料上を動き、パターン(pattern)の形成を可能にする。この方法は、鋼鉄、木およびプラスチックを含むさまざまな材料のレーザー彫刻において広い応用を見出す。この方法は50−250ワットのレーザーを使用する。
ガルボミラーによって駆動されるレーザーシステムは、比較的小規模(一般的に、1辺が61cm(または2フィート)の正方形のフィールドサイズより小さい)、低速(1秒当たり5mより遅い彫刻速度)、低出力(一般に、50ワットと250ワットの間)で使われる。これらのシステムは、一般的にワイングラス、小さな真ちゅう製ブッシング、小さな木製額または小さな花こう岩の厚板のような生産品を刻む。リニアモーターで駆動されるレーザーと違って、ガルボミラー駆動システムは比較的大きな部分を加工するためのレーザーパワーが欠けている。リニアモーター駆動レーザーと同様に、ガルボミラー駆動システムの動きはあまりに遅いので建材部品を経済的に生産することはできない。
本発明の第1の態様は、材料の上にグラフィックをスクライビングする方法に向けられる。第1の態様ではレーザーの出力は材料に当てられる。材料の表面にグラフィックをスクライビングするために、レーザーの出力は10m/sより早い速度で材料に対して動かされ、レーザーの出力は500Wより大きなパワーを持つ。
本発明の第2の態様は、材料の表面にグラフィックをスクライビングするためのシステムを含む。そのシステムは、材料の表面にグラフィックをスクライビングするために、500Wより大きなパワー出力で動作できるレーザーと、10m/sより速い速度でレーザーの出力を動かすためのミラーシステムを含む。
本発明の第3の態様は、グラフィックをスクライビングするためのミラーの位置決めとレーザーのパワーを制御するために、効率的にグラフィックイメージを処理するグラフィックプロセシングモジュールに向けられる。
付加的な方法、付加的なシステム、デバイス、装置、項目等を含む本発明の付加的な態様は、添付図面を見ることと、以下に記載される詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。
添付図面は明細書に組み込まれ、その一部を構成する。上述した概要および以下の実施形態と方法の詳細な説明とともに、図は本発明の原理を説明する役割を果たす。
本発明の実施形態に係る材料の上にグラフィックをスクライビングするためのシステムの概略図である。 本発明の他の実施形態に係る材料の上にグラフィックをスクライビングするためのシステムの概略図である。
添付図面に示すように本発明の実施形態と方法に対して参照が詳細に行われ、参照符号が図面中の対応する部分を示す。けれども、より広い態様において本発明は特定の詳細、代表的な装置と方法、およびこの発明を実施するための形態に記載された実施例に限定されないことに注意すべきである。
本発明の発明者たちは、本発明に先立って高パワーレーザーを用いた高速彫刻処理を提案した人を誰も知らない。高パワー(500ワットよりも大きい)かつ高速(10m/sより速い)のレーザーは、従来のシステムを大きく改善し、大量生産において建材基板や他の材料の上にグラフィックやパターンをレーザーで刻み、低い単位原価と満足できる経済性を達成するための商業的に妥当な方法であることを発明者たちは見出した。
一実施形態では、2,000ワット以上、より適切には2,500ワット以上のレーザーと、30m/s以上の速度で動くことができる超高速スキャンヘッドとが組み合わされて、魅力的な単位製造原価と経済性を提供する。30−50m/sのレーザースキャン速度は、1平方フィート当たり数秒の時間と1平方フィート当たり数ペニーの単位原価でグラフィックパターンを刻むことができると発明者たちは見積もった。ここで、”速度”は材料の表面に対するレーザーの出力(例えば、ビーム)の速度である。材料を静止させてレーザー出力を動かすこと、またはレーザー出力を静止させて材料を動かすこと、または異なる方向に、および/または異なるレートでレーザー出力と材料を同時に動かすことによって相対的な速度が与えられる。
実施形態によれば、建築材料の基板にグラフィックとパターンを形成するために高速・高パワーレーザーが使われる。図1の符号32によって示されるレーザーは、500Wより大きい出力パワーを持つ高パワーレーザーである。そして、一実施形態では、このレーザーは1000W(1kW)より大きい、または2000W(2kW)より大きい、または2500W(2.5kW)より大きい出力パワーを持つ。ここに述べるレーザーのパワー出力は、連続的であり、一時的にエネルギーが急増するパワー出力やパルス状のパワー出力と区別される。連続的なパワーはレーザーに設定するパワーを調節することによって変えられる。レーザーの周波数は一般的に例えば10から60kHzまでの範囲である。典型的な商用レーザーとしてロフィン−シーナーテクノロジーズ社(Rofin−Sinar Technokogies,Inc.)の2.5kW COレーザー(モデル番号DC025)を利用することができる。
レーザー32の出力34は、スキャニングヘッド36と対にされる。スキャニングヘッド36は、レーザー出力を比較的高速にスキャンすることができ、制御可能で可動の比較的軽量のコーティングされたミラーを含んでいる。実施形態では、その速度は10m/sより速い。またはその速度は1秒当たり30mよりも速い。またはレーザーのパワーがより大きいとき、その速度はより速い。ここに記載されるように、65m/sまでのスキャン速度、またはより速いスキャン速度が使われてよい。更に、図1に示されるように、レーザー出力38は作業面40の上の作業片を横切ってスキャンされることができる。例えば、レーザー出力38は0.9m(3フィート)以上の長さをスキャンする。
本実施形態に従うレーザーシステムは、構造的装飾的建築材料のような材料の加工において低い単位原価を達成するために非常に高速のスキャン速度を用いる。ここに具体化されるシステムと方法を使って処理される材料の例は、ガラス(強化ガラスおよび/または焼きなましガラス)、石、セラミック、花こう岩、加工木材、積層板、金属、プラスチック、石こうボード、サイディング、ガラス繊維強化プラスチック、木質複合材、ビニール、アクリル、ハードボード、化粧板、薄型カーペットタイル等を含む。本発明の実施形態に従うそのような高速度でスキャンするレーザーは、産業生産レベルで建築材料や他の基板の上にグラフィックを十分に刻むために、桁外れのパワーを使い、単位時間当たりに高いエネルギー密度を与える。500ワットより小さいレーザーパワーでは、30−50m/sの高速のスキャン速度で動作するレーザーは、建材の上にグラフィックイメージを効率的に刻むための十分なパワーを絶対に持たないであろう。
高速のスキャン速度、例えば30−50m/sでガルボ(galvo)駆動される1,000−2,500ワットを持ったレーザーシステムを提供するために、本発明の実施形態では、商業的に利用できる高温コーティングを持った軽量ハイテクミラーシステムが使われる。商業的に利用できる軽量ハイテクミラーシステムの例は、スキャンラボ エージー(ScanLab AG)、Model PowerSCAN33 Be、33mm Beミラーを備えた3軸ガルバノメータースキャナー(3−axis Galvanometer scanner)である。高温コーティングは物理蒸着合金であると信じられる。軽量ベリリウム基板は、COの波長、10.6ミクロンにおいて98%を超えてミラー面に反射させる材料でコーティングされる。軽量ハイテクミラーシステムは、ガルバノメーター(galvanometers:または略してガルボという。)が基板表面上で繰り返し可能かつ効率的な方法でレーザーの出力(例えば、ビーム)を動かすことを可能にする。そのようなレーザーシステムのスキャン速度は、驚いたことには、リニア駆動や従来のガルボミラーで達成されるレーザースキャン速度より1桁速い。従来のレーザー彫刻技術による4−5m/sの最大スキャン速度に対し、発明者たちはそのような軽量ミラーシステムを使用して65m/sを超えるレーザースキャン速度を達成した。
そのシステムは図1の符号30によって示されるコントローラーを含む。それは軽量ミラーによって生じる超高速のスキャン速度に対応し、特定の速度で必要なパワーに変化させることができる。細かい解像度のグラフィックを描くために、コントローラー30はビームスキャンの数ミリメートルごとのように高いレートでパワーを変化させる。レーザーのスキャン速度はグラフィック内のパワーの変化量を決定する。また、グラフィックのタイプ(例えば、複雑度や複雑さ)や深さはグラフィックが基板にどのようにスクライビングされるかに影響を与える。商業的に利用できるコントローラーの一例は、ラスクスインダストリーズ社(Lasx Industries,Inc)を通して利用できるModel Foresight Controller、Embedded Laser Process Controllerである。パワーの変化、コントローラーの速度およびレーザースキャン速度の依存関係が後述する表IIと表IIIに示される。
図2は、建築材料のような材料をスクライビングするためのシステムの他の実施形態を示す。システムは、一般に符号10によって示される。システム10はコンピュータにより制御されるミラーシステムの方向にレーザービーム12を発生するためのレーザー11を含む。
図示されるミラーシステムは、x軸ガルバノメーター14に回転自在に取り付けられて駆動されるx軸ミラー13を含む。x軸ガルバノメーター14は回転し、x軸ミラー13を回転させることに適合する。レーザービーム12がx軸ミラー13に入射する間におけるx軸ミラー13の回転は、レーザービーム12をx軸に沿って移動させることができる。(数値)制御コンピュータ15は、x軸ガルバノメーター14によるx軸ミラー13の回転を制御するために電源16の出力を制御する。レーザービーム12はx軸ミラー13によってそらされ、y軸ガルバノメーター18に回転自在に取り付けられたy軸ミラー17に向かう。y軸ガルバノメーター18は回転し、y軸ミラー17を回転させることに適合する。y軸ミラー17の回転は、y軸ミラー17に入射するレーザービーム12をy軸に沿って移動させる。制御コンピュータ15は、y軸ガルバノメーター18の回転を制御するためにy軸ガルバノメーター18に送られる電源16の出力を制御する。
レーザービーム12は、y軸ミラー17によってそらされ、レーザービーム12の焦点を合わせるための焦点調節レンズ19に向かう。焦点調節レンズ19はマルチエレメント・フラットフィールド焦点調節レンズアセンブリである。焦点調節レンズ19は図形をスクライビングするためにレーザービーム12が材料の上を動くように、光学的に平面上に焦点を維持する。焦点調節レンズ19、x軸ミラー13、y軸ミラー17、x軸ガルバノメーター14およびy軸ガルバノメーター18は(図示されない)ガルバノメーターブロックに格納される。
システム10は、更にテーブルのような固体基板または流動床である作業面20を含む。材料(または作業片)21が作業面20上に置かれる。材料21はスクライビングされる作業面22を含む。焦点調節レンズ19から材料21の作業面22までの距離を調節するために、作業面20は垂直方向に調節可能である。レーザービーム12はx軸ミラー13とy軸ミラー17によって材料21の作業面22に向けられる。通常レーザービーム12は作業面22に対して大体垂直に向くが、レーザービーム12と作業面22の間の角度を約45°から約135°まで調整することによって異なるグラフィックを描くことができる。材料21の作業面22と接触するレーザービーム12の相対的な動きは、作業面22にスクライビングされるグラフィック23を生じさせる。x軸ミラー13とy軸ミラー17の動きとタイミング、およびレーザービーム12のパワーは、個別の望まれるグラフィック23をスクライビングするために数値制御コンピュータ15によって制御される。ここに記載するように、相対的な動きは、作業面22が動かない場合における(例えば、ミラーシステムを使う)レーザービーム12の動き、レーザービーム12が動かない場合における作業面22の動き、またはレーザービーム12と作業面22が異なる方向に、および/または異なる速度で同時に動く場合におけるそれらの動きの組み合わせを含む。
望まれるグラフィックの形成を補助するために、(図示されない)ワークステーションコンピュータのような第2のコンピュータがその方法の中で使われることができる。例えば、グラフィックをワークステーションコンピュータでスキャンし、正しいフォーマットに変換し、それから制御コンピュータに送ることができる。そのとき、数値制御コンピュータは、高スループットのために適切なパワーと動作速度で材料22の表面にグラフィックを形成するために、x軸ガルバノメーター14、y軸ガルバノメーター18、x軸ミラー13、y軸ミラー17およびレーザービーム12のパワー出力を制御する。
また、システム10は作業ゾーンに不活性ガスのようなガスを注入するためにタンク24を含むことができる。ガスの量は数値制御コンピュータまたは他の手段によって制御される。
ここで使用される用語「スクライビングする」は、グラフィックを形成するためにレーザービームで材料に接触することを意味する。スクライビングの過程で、レーザービーム12は基板にパワーを加え、基板のコーティングの除去や基板材料の除去などのような目に見える変化を基板に生じさせる。その結果は、目に見える基板の変化である。
用語「グラフィック」は、装飾的で芸術的なデザイン、非装飾的なデザイン、パターン、グラフィックイメージ、外観、英数字文字、ロゴ、他の識別符号などを指す。
材料の上にグラフィックをスクライビングするレーザーの2つの技術は、ラスター技術とベクター技術を含む。ラスター技術は、グラフィックが終了するまで連続的な方法で前後にスキャンすることによって水平方向または垂直方向にグラフィックをレーザーで描くこととして定義される。ベクター描画は、グラフィック全体が完成するまでグラフィックの個々の部分の輪郭をレーザーで描くこととして定義される。
高速で許容できるデザインを与えるために必要とされるレーザーのパワーの量は、基板の性質によって決まる。レーザーのパワーは500ワットより上の範囲にあり、例えば5,000ワットと同じくらいの大きさである。例えば、高速のスキャン速度で綿のシャツまたは絹にレーザーで描くために必要なパワーは500ワットのみ必要である。一方で、同様なスキャン速度でプラスチック材、加工木材またはデニムに効率的にレーザーで描くために2,500ワット以上のようなずっと大きなパワーを要する。また、このコンセプトはマス・カスタマイゼーションなどにおいてより小さなサイズの基板に適用してよい。
実施形態によれば、レーザーを制御するための制御情報はコントローラー30に前もって記憶される。記憶された制御情報は、1つまたは多くの異なるグラフィック、例えばパターンに関連づけられる。
発明者たちは、プラスチック材、ビニールサイディング、木質複合材、ドライウォール、積層材、ハードボード、木質繊維材、強化ガラス、焼きなましガラス、ビニール、天井タイル、床張り材、繊維ガラス・樹脂部品、カーペットタイルを含む多数の材料と建材を入手した。そして、発明者たちは、高速(10m/sより速く、望ましくは30m/sより速い)かつ高レーザーパワー(500ワットより大きく、一実施形態では2,000ワット以上、または2,500ワットと同じ程度)を使用して、これらの部品にファッションデザインを付与することを試みた。実験の結果は、どの場合においてもレーザーがほんの数秒でこれらの生産品に印象的で芸術的なデザインを付与することができたということにおいて驚くばかりであった。従って、実施形態に開示される技術は、建材にグラフィックイメージをレーザーで描くことに対する経済的ブレイクスルーを初めて提供する。
発明者たちは、アクリル、ビニール、繊維ガラス建材部品、プラスチック材および木質複合材に高速でスクライビングされる魅力的で精密なグラフィックデザインとテクスチャに驚いた。様々なグラフィックと木目模様が1平方フィート当たり数秒の時間でこれらの建材にスクライビングされた。簡素な面白みのない装飾の生産品が数秒で装飾本位のものに変わった。木を模擬したリアルなデッキ部品を提供するために、オーク、クルミ、シーダ、マホガニーの木目模様がプラスチック材と木質複合材にレーザーで刻まれた。印象的な新しいデザインを与えるために、ヒョウ柄の木目模様、他の花柄や写実的な模様のような風変わりな木目模様さえ高いスループットでプラスチック材や木質複合材にレーザーで刻まれた。
最も重要なことだが、そのようなデザインは非常に短い時間で作られたので、レーザー彫刻プロセスは大規模生産のために実に安価になるであろう。ドライウォールにレーザーで刻まれたグラフィックは屋内壁の設計の美学にある程度の新しい自由を付け加え、さらに他の驚きを示した。ハードやソフトのボードからセラミックタイルまで及ぶ床張り材に異なるテクスチャをレーザーで刻むことは、床張り材に装飾とデザインを付け加えるための新しい低コストの代替手段を提供した。全く新しい大量生産される見て美しい外観を与えるために、くっきりと描かれたグラフィックとパターンがミラー上にさえレーザーで刻まれることができる。
ここに具体化されたレーザーシステムは経済的な生産プロセスにおいて初めて建材にほとんど制限のないファッションとデザインの特徴を提供することができると発明者たちは信じる。ガルボメトリックミラーによって駆動される2,500ワットレーザーは実に数秒で建材を装飾することができ、コスト構造において革命的とまではいかなくても非常に経済的であることを発明者たちは実証した。経済性をさらに改善するために、生産品を高速(例えば、10m/sより速い)かつ高パワー(例えば、500ワットより大きい)でレーザーによってスクライビングし、さらに単純な可動運搬システムと連結することができる。レーザーシステムは、連続的なレーザースクライビングプロセスにおいて”急速に描く(print−on−the−fly)”ことができる。また、経済性を改善するために複数の他の手段がある。例えば、スループットを2倍または3倍にするために生産ラインに沿って複数のレーザーを導入すること、部品全体が終了するまで区域中でより大きな材料をレーザーで描くようにスキャンヘッドをリニアモーターに取り付けること、より大きな部品または同時に複数の部品をレーザーで描画可能にするためにレーザーから作業面までの距離を増加させること等である。
例えば、大量生産のための連続的な製造プロセスにおいてプラスチック材をレーザーで描画するために、その製造プロセスのライン速度に釣り合うような高速で動作する50.8cm(20インチ)の作業面に向けられた1個の2,500ワットのレーザーを用いてよい。しかし、3フィート×8フィートのサイズである大量生産用室内ドアを正しくレーザーで描画するために、複数のレーザーまたは作業面全体をカバーするリニアモーターを使うことはもっと効率的である。その設定であっても、500ワット以上(例えば、500−2,500ワット)のレーザーパワーと10m/s以上(例えば、10−50m/s)のレーザースキャン速度は、建材の上にグラフィックをレーザーで刻むための単位原価において満足できる経済性を生じると、発明者たちは決定した。産業用の標準である3.8m/sから、例えば50m/sまでレーザーの速度を増加させることによって、1平方フィート当たり数ドルから1平方フィート当たり数セントまで実際の単位原価を削減することができる。
完全な炭化、溶け落ち および/またはスクライビングされた材料の融解のような処理し過ぎたことによる望ましくない結果を避けるために、パワーと速度は制御されるべきである。
ここに記載される方法とシステムは建築材料以外の材料をスクライビングするために使われてよいことは理解されるべきである。ここに記載された実施形態に従ってスクライビングされる他の材料は、衣料産業で見られるようなデニム生地や皮を含む。
ここに記載される本発明の実施形態を実現するためのコンピュータハードウェアとソフトウェアはどんな種類であってもよい。例えば、一般目的またはワークステーションのような特定目的のものであってよい。コンピュータは、Windows XP(登録商標)、Windows Vista(登録商標)またはLinux(登録商標)が走るPentium(登録商標)クラスのコンピュータであってよいし、Macintosh(登録商標)コンピュータであってもよい。また、コンピュータはPDA、携帯電話またはラップトップのようなハンドヘルドコンピュータであってもよい。
プログラムは、C、Java(登録商標)、Brewまたは他のプログラミンング言語で書かれてよい。プログラムは、例えばコンピュータハードドライブ、メモリースティックやSDメディアあるいは他のリムーバブルメディア等のリムーバブルディスクやリムーバブルメディアのような磁気記憶メディアまたは光記憶メディアに置かれてよい。また、プログラムは例えば、1つ以上のローカルマシンに信号を送るサーバまたは他のマシンが接続されたネットワーク上でプログラムを送ってよい。これは、ここに記載された動作をローカルマシンが実行することを可能にする。
(実施例)
レーザーのパワーとスキャン速度に関する基板材料とグラフィックイメージパターンの影響を明示するために、次の表Iに示す実験を様々な基板について実行した。
Figure 2010528877
2つの別々のグラフィックイメージに対するレーザーパワーの変化幅についてのコントローラー速度の効果が下の表IIとIIIに示される。表IIは1インチ当たり32本のレーザーラインに対するデータを含み、表IIIは1インチ当たり60本のレーザーラインに対するデータを含む。例えば、1インチ当たり32本のラインを持ったグラフィックイメージは、レーザーパワーを2ピクセルごとに変化させるとき、1秒当たり10,000ピクセルのコントローラーの速度で15m/sの最大レーザースキャン速度を達成することができる(図2参照)。この例では、レーザーの速度を倍にして30m/sにするために、コントローラーは1秒当たり20,000ピクセルのプロセシングパワーを持つべきである。(表IIとIIIを比較すると、)1インチ当たりのレーザーラインが増えるにつれて、高速のレーザーライン速度を維持するためにコントローラーの速度がもっと重要になる。
Figure 2010528877
Figure 2010528877
本発明の一実施形態についての上述の詳細な説明は、本発明の原理とその実際の応用を説明する目的のために与えられた。従って、他の当業者は、様々な実施形態に対して、そして意図された特定の使用に合うような様々な変更形態について本発明を理解することができる。この説明は、網羅的であること、または開示された詳細な実施形態に本発明を制限することを意図しない。2、3の実施形態のみが上述の詳細の中で開示されたけれども、他の実施形態が可能であり、発明者たちはそれらがこの明細書と特許請求の範囲に包含されることを意図する。他の方法でも達成されるかもしれないもっと一般的なゴールを達成するために、明細書は特定の例を開示する。変更形態と均等物が熟練した当業者には明白であり、それらは特許請求の範囲に記載された発明およびそれらの適切な均等物の精神と範囲に包含される。この開示は例示であり、特許請求の範囲は当技術分野における通常の技術を持つ者に予測可能であるいかなる変更形態または代替手段もカバーすることを意図されている。例えば、上述のものを超えて、他の種類とワット数のレーザーが本技術とともに使われることができる。
”〜の手段(means for)”という用語を使う請求項のみが米国特許法第112条第6段落に基づいて解釈される。更に、請求項の中に制限が明示的に含まれないならば、どの請求項も明細書の記載により制限されない。

Claims (41)

  1. レーザーの出力を材料に当てる工程を備え、
    前記材料の表面にグラフィックをスクライビングするために、前記レーザーの出力は10m/sより早い速度で前記材料に対して動かされ、前記レーザーの出力は500Wよりも大きなパワーを持つことを特徴とする材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  2. グラフィックを示す情報を記憶する工程を備え、
    前記レーザーの出力を材料に当てる工程が、前記レーザーの出力のための制御情報を設定するために記憶されている前記グラフィックを示す情報を使用する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  3. 前記材料が、商業用建物または住居用建物の室内用部品または屋外用部品で、またはそれらのために使用される建築材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  4. 前記建築材料が、屋外デッキング材料、屋外遊具材料および家庭用屋外材料のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項3に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  5. 前記建築材料が、複数の異なる材料で作られた複合建築材料を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  6. 前記材料が、ガラス繊維強化プラスチック、コーティングされた鋼鉄および木質複合材ボードのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  7. 前記材料が、ガラス生産品を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  8. 前記材料が、窓を含むことを特徴とする請求項7に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  9. 前記材料が、ミラーを含むことを特徴とする請求項7に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  10. 前記材料が、床張り材を含むことを特徴とする請求項3に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  11. 前記材料が、天井タイル生産品を含むことを特徴とする請求項3に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  12. 前記材料が、ドライウォール生産品を含むことを特徴とする請求項3に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  13. 前記材料が、透明なプラスチック材料を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  14. 前記レーザーの出力を材料に当てる工程が、制御可能なミラーを用いてレーザーの出力を動かす工程を含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  15. 前記制御可能なミラーが、コーティングされているベリリウム基板を含むことを特徴とする請求項14に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  16. 前記レーザーの出力のパワーが、1000Wより大きく、
    前記制御可能なミラーが、20m/sより速い速度で前記レーザーの出力を動かすことができる、
    ことを特徴とする請求項14または15に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  17. 前記レーザーの出力のパワーが、2000Wより大きく、
    前記制御可能なミラーが、30m/sより速い速度で前記レーザーの出力を動かすことができる、
    ことを特徴とする請求項14または15に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  18. 前記レーザーの出力を材料に当てる工程が、0.9メートル以上の面積で材料に前記レーザーの出力を当てる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  19. 前記レーザーの出力を材料に当てる工程が、前記材料の第1の部分を加工するために前記レーザーの出力を当てる工程を含み、当該レーザーの出力は第1のレーザーから発せられる第1のレーザーの出力を含み、前記材料の別の部分を加工するために第2のレーザーから発せられる別の第2のレーザーの出力を当てる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  20. コントローラーが前記レーザーの出力の移動速度を変える工程を備えることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  21. コントローラーが前記レーザーの出力のパワーを変える工程を備えることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  22. 前記レーザーの出力を材料に当てる工程が、前記材料に対して前記レーザーの出力を継続的に動かす工程を含むことを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  23. 前記レーザーの出力を材料に当てる工程が、前記材料に望ましくないダメージを与えずに前記材料の上にパターンを形成するパラメータに従って実行されることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビング方法。
  24. 500Wよりも大きなパワー出力で動作可能なレーザーと、
    材料の表面にグラフィックをスクライビングするために、10m/sより早い速度でレーザーの出力を動かすためのミラーシステムと、
    を備えることを特徴とする材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  25. 前記レーザーのための制御情報を設定するために前記グラフィックを示す情報を記憶するためのコントローラーを備えることを特徴とする請求項24に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  26. 前記材料が、商業用建物または住居用建物の室内用部品または屋外用部品で、またはそれらのために使用される建築材料を含むことを特徴とする請求項24または25に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  27. 前記建築材料が、屋外デッキング材料、屋外遊具材料および家庭用屋外材料のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項26に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  28. 前記建築材料が、複数の異なる材料で作られた複合建築材料を含むことを特徴とする請求項26または27に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  29. 前記材料が、ガラス繊維強化プラスチック、コーティングされた鋼鉄および木質複合材ボードのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項24乃至28のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  30. 前記材料が、ガラス生産品を含むことを特徴とする請求項24乃至28のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  31. 前記材料が、窓を含むことを特徴とする請求項30に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  32. 前記材料が、ミラーを含むことを特徴とする請求項30に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  33. 前記材料が、床張り材を含むことを特徴とする請求項26に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  34. 前記材料が、天井タイル生産品を含むことを特徴とする請求項26に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  35. 前記材料が、ドライウォール生産品を含むことを特徴とする請求項26に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  36. 前記材料が、透明なプラスチック材料を含むことを特徴とする請求項24乃至28のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  37. 前記ミラーシステムが、コーティングされているベリリウム基板を含むことを特徴とする請求項24乃至36のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  38. 前記レーザーのパワー出力が、1000Wより大きく、
    前記ミラーシステムが、20m/sより速い速度で前記レーザーの出力を動かすことができる、
    ことを特徴とする請求項24乃至37のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  39. 前記レーザーのパワー出力が、2000Wより大きく、
    前記ミラーシステムが、30m/sより速い速度で前記レーザーの出力を動かすことができる、
    ことを特徴とする請求項24乃至37のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  40. 前記レーザーの移動速度を変えるためのコントローラーを備えることを特徴とする請求項24乃至39のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
  41. 前記レーザーのパワー出力を変えるためのコントローラーを備えることを特徴とする請求項24乃至39のいずれか1項に記載の材料上へのグラフィックスクライビングシステム。
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