JP2010524874A - α−リン酸擬似体を有するヌクレオチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、改変されたモノヌクレオチドおよびその製造方法に関し、これらのヌクレオチドは、少なくとも1回、P=N-Acc構造(ここで、Accは電子受容体またはR残基で置換された電子受容体であり、Rは任意の有機置換基である)を有する。

Description

本発明は、ヌクレオチド化学の分野における、新規物質およびその製造方法に関する。これらの物質はいわゆるリン酸擬似体であり、そこでは酸素原子が対応する擬似体により置き換えられている。
とりわけ本発明は、改変されたα−リン酸を有するヌクレオチド、特に三リン酸ヌクレオチドの新しい一群およびその製造方法に関する。
リン酸残基において改変されているヌクレオチドを製造する種々の方法が以前に記載されている。ヌクレオシド三リン酸(NTP)を合成するために現在使用されている技術の総説はBurgess, K., and Cook, D., Chem. Rev. 100 (2000) 2047-2059にあり、改変された三リン酸側鎖を有するNTPを特に取り上げた総説はKoukhareva, Vaghefi and Lebedev, Nucleoside Triphosphates and their Analogs (2005) 第2章, “Synthesis and properties of NTP analogs with modified Triphosphate side chains”, M. Vaghefi編, CRC Press, Taylor & Francis, Boca Ratonにある。三リン酸エステルは特に重要であり、それは特に、これらがピロリン酸の切断後にDNAまたはRNAポリメラーゼにより一リン酸基質として長鎖核酸中に組み込まれるからである。一般的に今日においては、ヌクレオシド一リン酸が最初に調製され、これらがその後、例えばキナーゼなどにより酵素的に三リン酸へと変換される。
改変されたヌクレオシド三リン酸は、例えばアプタマー(WO 03/50290)またはアンチセンス分子(US 5,587,361)の調製など様々な用途に有用であり、また、配列決定(WO 02/46468)およびPCR(WO 03/27258)に使用されている。α-チオ-dATPの、パイロシークエンシング反応のための基質としての使用は、特に重要である(WO 05/54431)。
例えばα-チオ三リン酸またはα-アミノNTP(Simoncsits, A., Tomasz, J., A new type of nucleoside 5'-triphosphate analog: P1-(nucleoside 5'-) P1-aminotriphosphates. Tetrahedron Letters 17(44) (1976) 3995-8)のようなα-リン酸改変されたヌクレオシド三リン酸は公知となって久しい。α-メチルホスホン酸(JP 01224392)およびα-ボラノリン酸の調製(Tomasz, J., ら, 5'-P-borane-substituted thymidine phosphate and triphosphate, Angewandte Chemie 104(10) (1992) 1404-6; Tomasz, J., ら, Angew. Chemie 31(10) (1992) 1373-5)も既に記載されている。WO 03/008432には、ヌクレオチジル-シクロ-三亜リン酸をアミンの存在下で酸化剤で処理することによる、N-アルキル置換された誘導体の分離が記載されている。
アジドを利用した改変ヌクレオチドエステルの調製も従来技術により知られている。Baschang and Kvita, Angewandte Chemie 85(1) (1973) 43-44は、ヌクレオチドリン酸トリエステルの、メチル-スルホニルアジドのようなアジドとの反応によるトリアルキル(アリール)イミドリン酸の調製を記載している。しかしながらこれらは不安定であり崩壊する。
Nielsen, J., and Caruthers, M.H., J. Am. Chem. Soc. 110 (1988) 6275-6276には、2-シアノ-1,1-ジメチルエチル保護基を伴って用意されたデオキシヌクレオシド亜リン酸の、アルキルアジド存在下での反応が記載されている。さらに該文献の著者らは、この原理が改変されたヌクレオシド間リン酸を有するオリゴヌクレオチドを調製するのに適していると提案しているが、しかし、開示された方法を用いて調製するどの種類の改変が特に有利でありうるかを明らかにしていない。特に、該文献の著者らはオリゴヌクレオチド合成中に、オリゴヌクレオチド中にアルキル基を導入することを提唱している。ヌクレオシド三リン酸は該刊行物の主題ではない。
このように、これらの刊行物はいずれも、リン酸残基の代わりにホスホルアミダイトを含有する分子の調製を記載している。しかしながら、ホスホルアミダイトを含有する分子は、アミン基が酸性媒体中でプロトン化され次いで水により置換されることから、加水分解に晒される。結果として、これまでに記載された方法は安定なα-リン酸改変されたヌクレオチドの製造には、ごく限定的にしか向いていない。
国際公開第03/50290号パンフレット 米国特許第5,587,361号明細書 国際公開第02/46468号パンフレット 国際公開第03/27258号パンフレット 国際公開第05/54431号パンフレット 特開平1-224392号公報 国際公開第03/008432号パンフレット
Burgess, K., and Cook, D., Chem. Rev. 100 (2000) 2047-2059 Koukhareva, Vaghefi and Lebedev, Nucleoside Triphosphates and their Analogs (2005) Chapter 2, "Synthesis and properties of NTP analogs with modified Triphosphate side chains", M. Vaghefi編, CRC Press, Taylor & Francis, Boca Raton Simoncsits, A., Tomasz, J., A new type of nucleoside 5'-triphosphate analog: P1-(nucleoside 5'-) P1-aminotriphosphates. Tetrahedron Letters 17(44) (1976) 3995-8 Tomasz, J., ら, 5'-P-borane-substituted thymidine phosphate and triphosphate, Angewandte Chemie 104(10) (1992) 1404-6 Tomasz, J., ら, Angew. Chemie 31(10) (1992) 1373-5 Baschang and Kvita, Angewandte Chemie 85(1) (1973) 43-44 Nielsen, J., and Caruthers, M.H., J. Am. Chem. Soc. 110 (1988) 6275-6276
本願発明の基礎を成す技術的目的は、したがって、α-リン酸の改変された改良ヌクレオチド、いわゆるα-リン酸擬似体を提供することであり、また簡便なその製造方法を提供することである。
本発明は、以下の構造式のヌクレオチド:
X-S-B
[式中、Bは天然の核酸塩基、改変された核酸塩基または核酸塩基アナログであり、
Sは糖単位であり、
Xは一、二、または三リン酸であり、
α-リン酸の酸素原子が、
-N-Acc
により置き換えられていることを特徴とし、
ここで、Accは電子受容体、またはR残基で置換された電子受容体であり、Rは任意の有機置換基である]
に関する。
Accは、好ましくは以下を含む群より選択される:
a) -CN、
b) -SO2-R'、ここでR'は、少なくとも1つのアミノ置換されたアルキル、場合により置換されてもよいアリール、または場合により置換されてもよいヘテロ環を含有する、ならびに
c) 電子不足の、六員環のN+-ヘテロ環、ここで少なくとも1つの窒素原子はアルキル化されており、かつオルトまたはパラ位にあり、このときこれらのヘテロ環は場合によりR で置換されていてもよい。
これに関連して、RまたはR'は、検出可能な単位または官能基を含有し得る。AccまたはSO2基は、前記検出可能な単位または前記官能基の一部であり得る。
糖単位は特に、リボース、デオキシリボースまたはジデオキシリボースである。
本発明のヌクレオチドの3'位は好ましくは、H、OH、保護基、標識、モノヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたは固相を含む群より選択される。
本発明はまた、ヌクレオチドの5'位に位置し、少なくとも1つの保護されたヒドロキシル基を有して提供される三価のリン原子を、以下の構造式のアジド:
N=N=N-Acc
[式中、Accは電子受容体またはR基で置換された電子受容体であり、Rは任意の有機置換基である]
と反応させることを特徴とする、α位において改変されたヌクレオチドの製造方法に関する。
Accは好ましくは以下を含む群より選択される:
a) -CN、-SO2-R’、および
b) 電子不足の、六員環のN+-ヘテロ環、ここで少なくとも1つの窒素原子はアルキル化されており、オルト位またはパラ位にあり、こうしたヘテロ環は場合によりRで置換されていてもよい。
本発明は特にまた、5'-リン酸トリエステルヌクレオシドを、以下の構造式のアジド:
N=N=N-Acc
[式中、Accは電子受容体または残基Rで置換された電子受容体であり、Rは任意の有機置換基である]
と反応させる方法に関する。
さらに、本発明は、本発明のヌクレオチドの、ポリメラーゼ触媒核酸合成、特に改変された核酸の合成における基質としての使用に関する。
本発明はさらに、本発明のヌクレオチドの、ピロリン酸配列決定反応における基質としての使用に関する。
本発明の基礎的な思想
本発明の目的は、α-リン酸が改変されたリン酸残基を含有し、したがって好ましくは検出可能標識も含有することができるヌクレオチドを簡便な様式で製造することである。
本発明の核となる思想は、この点に関して、まずヌクレオチドの三価のリン原子から出発して、それを安定なリン酸擬似体が形成されるように試薬と反応させることである。本発明のこの目的のために、保護基で保護されて提供されている少なくとも1つのヒドロキシル残基を含有するリン原子を、構造式:N=N=N-Acc(式中、Accは、電子受容体または残基Rで置換された電子受容体であり、Rは任意の有機置換基である)のアジドと反応させる。これは結果的に、強力な電子吸引性の電子受容基に窒素原子を介して共有結合した5価のリン原子の形成をもたらす。この基によって、この様式で調製した化合物は、従来技術により知られているホスホルアミダイトと対照的に、共鳴安定化され、加水分解を受けることがない。
本発明の基礎をなすこの思想は、合成の中間体として三価のリン化合物が形成される、あらゆる方法に適用することができる。
定義
本発明の範囲において用いるいくつかの用語を以下に定義する:
分子の基を反応基といい、これらは適当な条件下で別の分子と反応して共有結合を形成することができる。反応基の例は、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール、ヒドラジノ、ヒドロキシルアミノ、ジエン、アルキンおよびカルボン酸基などである。
保護基とは、分子内の1以上の反応基と反応し、そのことによりある特定の保護されていない反応基のみが所望の反応相手と多段階合成反応において反応しうるようにする分子を言う。ヒドロキシル基を保護するために頻繁に使用される保護基の例は、β-シアノ-エチル、メチル、トリアルキルシリルおよびアリル保護基などである。アミノ基を保護するための保護基は、トリフルオロアセチルおよびFmocである。他の考えられる保護は標準的な著作物において要約されている(Greene, T.W., Protective groups in organic synthesis (1981) Wiley Interscience Publications, John Wiley & Sons, New York, Chichester, Brisbane Toronto; Sonveaux, E., in Methods in Mol. Biology 26 (1993) 第1章, Protocols for Oligonucleotide Conjugates Humana Press, Totowa, NJ)。
長さ1〜30のC原子を有する炭素鎖のことをリンカーと呼ぶ。かかるリンカー鎖はさらに、1以上の窒素、酸素、硫黄、および/またはリン原子を含有することができる。さらに、リンカーは分岐していてもよく、例えば枝分かれしていてもよい。
検出可能な単位とは、分析手法により検出することのできる物質である。これらは、例えば質量分析により、免疫学的に、またはNMRにより検出可能な単位または物質であり得る。検出可能な単位は特にまた、蛍光やUV/VIS分光法のような光学手法により検出され得る物質、例えばフルオレセイン、ローダミンまたは金粒子である。これらにはまた、インタカレーターおよびマイナーグルーブ結合物質も含まれ、それらは融解特性に影響を及ぼすと同時にハイブリダイゼーションによりその蛍光を変更する。
「ヌクレオシド三リン酸(NTP)」という用語は、本発明において、天然の(デオキシ)ヌクレオシド三リン酸のみならず、本発明の改変の他に、三リン酸側鎖に追加の改変を有し得るNTP(例えばメチルホスホン酸、ホスホチオエート)を含む。さらに、それらはまた、改変された糖または糖アナログ(例えば2'-O-アルキル誘導体、3'および/または5'アミノリボース、ロックされたリボース、ヘキシトール、アルトリトール、シクロヘキセン、シクロペンタン)または改変された塩基、例えば5メチルC、または塩基アナログ、例えば7-デアザプリンを含みうる。かかるNTPの塩基、糖または三リン酸側鎖は、リンカーを介して、検出可能な単位または反応基に連結され得る。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、本発明において、(デオキシ)オリゴリボヌクレオチドのみならず、リン酸骨格(例えばメチルホスホン酸、ホスホチオエート)に、糖(例えば2'-O-アルキル誘導体、3'および/または5'アミノリボース、LNA、HNA、TCA)に改変を有する1以上のヌクレオチドアナログまたは7-デアザプリンのような改変された塩基を含有するオリゴヌクレオチドを含む。
「電子受容体」という用語は、自由電子対に結合する傾向のある原子構造を包含する。これをあらわす尺度の一つはハメット定数である。本発明は、特に、ハメット定数(σp)が、0.30、好ましくは0.45および最も好ましくは0.60という特定の値を超える実施形態に関する。
こうした条件を満たす電子受容体の例は、-NO2、-SO2-R、-CN、-CO-R、ピリニジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ヘキサフルオロフェニル、ベンゾ-トリアゾリルなどである(Hansch, C., ら, Chem. Reviews 91 (1991) 165-195)。さらに、こうした電子受容体はまた、ビニル性のまたはフェニル性の形態で窒素原子に結合することができる。
「置換された」という用語は、置換されていると表現される構造が、任意の位置(この位置がより詳細に定義されていないことを条件とする)においてさらなる残基を含有することを意味する。「場合により置換されてもよい」と言う用語は、置換されてもよい構造が、追加の残基を有するまたは有しない実施形態を包含することを意味する。
「アミノ置換されたアルキル」という用語は、少なくとも1つのアミノ基(このとき該アミノ基は保護されているかまたはリンカーを介して検出可能な単位に連結されている)を含有するC1-C30 直鎖状または分枝状アルキルを包含する。
「電子不足の、六員環のN+-ヘテロ環」という用語は、sp2窒素がアルキル化され、したがってヘテロ環の電荷が全体として正であるNヘテロ環を含む。この例はピリジニウム、ピリミジニウムおよびキノリニウムなどである。
「核酸塩基」という用語は、あらゆるプリンおよびピリミジン、ならびにその誘導体およびアナログを言う。
「α-リン酸」という用語は、ヌクレオシドのリボース単位の5' C原子に直接共有結合しているリン酸原子を言う。
本発明のヌクレオチド
本発明は、以下の構造式のヌクレオチド:
X-S-B
に関し、Xは一、二、または三リン酸である。
Bは天然核酸塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミジンまたはウリジンであり得る。あるいはBは、改変された核酸塩基 例えば5-アミノアリルウリジンまたはN6-[(2-ビオチニルアミド)エチル]-アデノシンまたは核酸塩基アナログ、例えば7-デアザグアノシンまたはエテノ-アデノシンである。
Sは糖単位である。特に、糖単位はリボース、デオキシリボースまたはジデオキシリボースである。Sは好ましくは単一の糖単位、例えば単一リボース、デオキシリボースまたはジデオキシリボースである。
リボースの2'および/または3'位は好ましくはH、OH、リン酸、保護基、標識、モノヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたは固相を含む群より選択される。2'および3'位がヒドロキシル基を有する場合、これは結果的にRNAポリメラーゼによりRNA中に三リン酸の形態で酵素的に組み込まれうるリボヌクレオチドである。3'位にヒドロキシル基があり、2'位に水素原子がある場合、これはDNAポリメラーゼにより三リン酸の形態でDNA中に組み込まれうるデオキシリボヌクレオチドである。かかるDNAポリメラーゼの例は、AMV-RTのような逆転写酵素、クレノウポリメラーゼまたはTaq DNAポリメラーゼのようなPCRに適したポリメラーゼである。
ところで本発明はまた、リボースの3'位が少なくとも1つのさらなるヌクレオチド残基に結合しているオリゴヌクレオチド三リン酸に関する。別の実施形態においてリボースは、直接的に、または適当な分子リンカーを介して、固相、例えばマイクロタイタープレート表面または粒子に結合していてもよい。かかる粒子の例は、いわゆる磁気ビーズまたはガラスビーズである。さらにリボースの3'または2'位は、検出可能単位に連結され得る。あるいはまた、Sは、改変された糖、例えば2'フルオロリボースまたはへキシトールのようなリボースアナログである。Xは一、二、または三リン酸であり、α-リン酸の酸素原子が- N - Accにより置き換えられていることを特徴とする。
好ましくは、本発明の分子は以下の構造式:
Figure 2010524874
[式中、Bは核酸塩基を表し、Sは糖単位を表し、YはOHまたは一リン酸もしくは二リン酸を表す]
を有する。
Accは電子受容体、またはR残基で置換された電子受容体である。Rは任意の有機置換基である。
本発明の一の変法形態では、Accはシアノ基、-CNである。
第二の実施形態ではAccは電子不足の、六員環のN+ヘテロ環であり、ここで少なくとも1つの窒素原子はアルキル化されておりオルト位またはパラ位にある。こうしたヘテロ環は、場合により任意の残基Rで置換されていてもよい。こうしたヘテロ環は特に、ピリジニウム、ピリミジニウムまたはキノリニウムである。
好ましい実施形態ではAccは、-SO2-R'であり、ここでR'は少なくとも1つのアミノ置換されたC1-C12アルキル、場合により置換されてもよいアリールまたは場合により置換されてもよいヘテロ環を含有する。
これに関連してRまたはR'は検出可能単位または官能基を含有し得る。AccまたはSO2基は、前記検出可能単位または前記官能基の一部であり得る。
したがって本発明はまた-SO2-R'の実施形態に関し、ここで前記R'はアミノ置換されたC1-C12アルキル、場合により置換されてもよいアリールまたは場合により置換されてもよいヘテロ環である。しかしながら、あらゆる電子受容体が特に着目され、それらはどのような有機性残基を含有してもよい。なぜならば、本明細書の範囲内に記載された合成方法は、任意の有機性残基で改変されたヌクレオチドの簡便な調製を可能にするからである。
したがって本発明は特に、R残基で置換された電子受容体が、検出可能な単位としてRを含有するか、あるいは官能基としてRを含有しそれに検出可能な単位が結合することができるヌクレオチドにも関する。
あるいはまた、本発明は、電子受容体が検出可能な単位の成分である実施形態を包含する。あるいは残基RまたはR'は、検出可能な単位または官能基を表し得る。
このように、検出可能な標識は好ましくは蛍光色素または蛍光抑制分子である。例えば配列決定において検出可能な単位として使用可能な適当な色素または分子は、当業者に周知である。本発明の保護範囲を限定するものではないが、こうしたものの例としては、フルオレセイン、ローダミン、シアニン、メロシアニン、カルボシアニンならびにアゾおよびポリアゾ化合物が挙げられる。
本発明のヌクレオチドの製造
本発明はまた、α位において改変されたヌクレオチドの製造方法であって、少なくとも1つの保護されたヒドロキシル基を有し、かつヌクレオチドの5'位にある三価のリン原子を、以下の構造式のアジド:
N=N=N-Acc
[式中、Accは電子受容体または残基Rで置換された電子受容体であり、Rは任意の有機置換基である]
と窒素を切断して反応させることを特徴とする前記方法に関する。
三価リンのヒドロキシル基のための保護基として、β-シアノエチル、メチル、トリアルキルシリルおよびアリルの基が考えられる。
電子受容体で置換されたアジドは、刊行物により当業者に知られている。その一部は市販されており、または簡便な合成により調製することができる。Acc-アジド、例えばアシルアジドおよびスルホニルアジドは、アジ化ナトリウムを用いてアシルまたはスルホニルクロリドから、または亜硝酸を用いてヒドラジドから調製することができる (Review: Braese, S., ら, Angewandte Chemie 117 (2005) 5320-5374, 3.4および3.5.2)。
色素スルホニルアジドは、例えば染色方法にも使用される(例えばDE 196 50 252)。シアンアジドは、アセトニトリル中でアジ化ナトリウムとブロモシアンとを反応させることにより簡便に調製することができる(McMurry, J.E., ら, J. Organic Chemistry 38(16) (1973) 2821-7)。ヘテロアリールアジドは、ハロゲンを求核置換的にアジドで置き換えることにより、またはヘテロアリールヒドラジンから調製することができる。電子吸引性の窒素がアジド基に対してパラ位またはオルト位にあることが前提条件となる。なぜならばそのような場合にのみ、共鳴安定化されたリン酸擬似体が形成されるからである。これに関連して、オルトまたはパラN-アルキルピリジニウムアジドは特に適している。一部のアシル、スルホニルおよびピリジルアジドも市販されている。
Accは、好ましくは以下を含む群より選択される:
a) -CN、
b) -SO2-R、
c) 電子不足の、六員環のN+-ヘテロ環、ここで少なくとも1つの窒素原子はアルキル化されており、オルト位またはパラ位にあり、これらのヘテロ環は場合によりRで置換されていてもよい。
特に好ましい電子受容体であるAccは「本発明のヌクレオチド」の章にすでに詳述した。
本発明において、最初にα-リン酸擬似体を有するモノヌクレオチドは必ずこの合成方法により製造する。その後、α-リン酸改変されたヌクレオシド二リン酸および三リン酸を、基本的に従来技術により知られた方法を用いて調製する。これは好ましくは酵素的に行う。最初に一リン酸擬似体をアデニル酸キナーゼのようなNMPキナーゼの存在下でATPと反応させて、α-リン酸改変された二リン酸擬似体を形成する。さらなる工程において、この生成物を次にクレアチンキナーゼの存在下でATPと反応させて、対応するα-リン酸改変された異性体的に純粋な三リン酸擬似体を形成することができる。あるいはまた、三リン酸化物はピロリン酸との縮合により化学的に調製することができる。2種のジアステレオ異性体がこの手法により形成され、それらはHPLCにより分離することができる。
本発明はまた、特に、5'ホスホルアミダイトヌクレオシドを、以下の構造式のアジド:
N=N=N-Acc
[式中、Accは、上記の本発明の実施形態の電子受容体であり得る]
と反応させる方法に関する。
従来のオリゴヌクレオチド合成に使用される3'ホスホルアミダイトと同様に、本発明に使用する5'ホスホルアミダイトも市販されている(GlenResearch; 5' CE phosphoramidites)。それらは逆オリゴヌクレオチド合成に使用される(Wagner, T., and Pfleiderer, W., Nucleosides & Nucleotides 16(7-9) (1997) 1657-1660)。さらに、これらの分子は、改変されたα-リンを有する一リン酸を調製するための適当な出発物質でもある。この目的のために、(デオキシ)リボヌクレオシドの5-シアノエチルホスホルアミダイトをテトラゾールで活性化し、シアノエタノールなどのアルコールと反応させる。その結果、ヌクレオシドへのエステル結合を有し、保護されたヒドロキシル基への2つのさらなるエステル結合を有するホスホン酸トリエステルが形成される。そのうちの一方は既にホスホルアミダイトに存在し、他方はアルコールとの反応により導入される。その後、三価のリン中間体を、N=N=N-Accなる構造のアジドと反応させる。窒素はこの工程において副生成物として切断され除かれる。ヒドロキシル基に結合する保護基は、例えばβ-シアノエチル、メチル、アリルまたはシリルにより形成することができ、その後例えばアンモニアを用いて切断することができる。
あるいはホスホン酸トリエステルは、ビス(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホルアミダイトとのホスフィチル化によりヌクレオシドから直接調製することもできる(Graham, S.M., and Pope, S.C., Organic Letters 1(5) (1999) 733-736)。形成されるホスホン酸トリエステルを、次に上記のようにアジドと反応させ、シアノエチル保護基および保護性基を切断する。生じる改変されたリンを有する一リン酸を、次いでキナーゼを用いて酵素的に、またはカルボニルジイミダゾールのような縮合剤を用いて、リン酸またはピロリン酸と反応させ、二リン酸または三リン酸を形成することができる。
あるいは、三価のリン原子を含有する他のヌクレオシド亜リン酸を出発物質として使用することもできる。このために保護されたヌクレオシドは、2-クロロ-4H-1,3,2-ベンゾジアオキサホスホリン-4-オンを用いてホスフィチル化する。これをその後、ピロリン酸と反応させて環状の三亜リン酸を形成し、次いでこれをアジドと反応させる。その後、形成されるトリメタリン酸の加水分解と、保護基の切断により、α-改変された三リン酸が得られる (Ludwig, J., and Eckstein, F., Journal of Organic Chemistry 54(3) (1989) 631-35)。この方法を市販されているCPG上に固定されたヌクレオシド(WO 03/008432)にも適応し、また、オリゴ-ヌクレオチド三リン酸を調製するために用いることもできる。2-クロロ-4H-1,3,2-ベンゾジオキサ-ホスホリン-4-オンの代わりとして、オキサチオホスホランを用いてホスフィチル化を行うことも可能である(Misiura, K., Szymanowicz, D., Stec, W.J., Organic Letters 7(11) (2005) 2217-2220)。
他の価数の低いリン前駆体は、H-ホスホン酸である。これらもアジドと反応させて、本発明に記載の改変された一リン酸を形成することができる(Zhu, S.Z., ら, Chinese Journal of Chemistry 19 (2001) 1259-1262)。
応用の範囲
本発明のα-リン酸擬似体ヌクレオチドおよびα-リン酸擬似体ヌクレオシドの一、二または三リン酸は、従来技術から知られている改変されたα-アミデート、α-チオリン酸およびα-ボラノリン酸と比較して、いくつかの利点がある。第一に、本発明の構造は、酸化に感受性ではない。アミデートとは対照的に、本発明の化合物は加水分解にも感受性ではなく、したがって水溶液中で大幅に安定である。その上、チオリン酸およびボラノリン酸と対照的に、本発明の化合物は、ヌクレオチドを検出可能な単位で標識するのに適している。なぜならば、N=N=N-SO2-Rなる構造のアジドを用いることにより、比較的単純な合成方法にて、ほぼどのような検出可能な単位も任意のヌクレオチドにカップリングさせることができる。
したがって本発明はまた、本発明のヌクレオチド三リン酸の、ポリメラーゼ触媒された核酸合成の基質としての使用に関する。
第1の実施形態において、核酸合成はRNAポリメラーゼ、例えばT7 RNAポリメラーゼまたはSP6 RNAポリメラーゼを用いたin vitro転写であり、このとき本発明のリボヌクレオシド三リン酸は生成中のRNAに取り込まれる。この方法だと大量の標識化されたRNAを製造することが可能であり、それらを例えばアレイハイブリダイゼーションのような分析目的に使用することが可能である。
第2の実施形態において、核酸合成は逆転写酵素反応であり、このとき本発明のデオキシリボヌクレオシド三リン酸は、RNA依存性DNAポリメラーゼ、例えばAMV逆転写酵素または逆転写活性のある熱安定ポリメラーゼにより合成されるcDNAに取り込まれる(例えば T.th, Roche Applied Science カタログ番号第11 480 014 001番)。この様式で調製された標識化cDNAはまた、種々の分析用途においてハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。
第3の実施形態において、本発明のデオキシリボヌクレオシド三リン酸は、クレノウポリメラーゼのようなDNA依存性DNAポリメラーゼにより新たに合成されたDNA鎖に取り込まれる。この様式で調製された標識されたcDNAはまた、分析用途のためにハイブリダイゼーションプローブとして使用することが可能である。
本発明のα-リン酸擬似体dNTPはまた、配列決定法において有利に使用することができる。したがって新たに合成されたDNA鎖は、サンガー配列決定の一貫として標識化され得る。
ところで本発明のα-リン酸擬似体dATPは特にパイロシークエンシング反応に有利に使用される。パイロシークエンシングの原理は、配列決定用プライマーをテンプレートDNAにアニーリングさせた後、プライマーがDNAポリメラーゼにより伸長され、このとき4種類の異なるデオキシヌクレオシド三リン酸が複数のサイクルにおいて連続的に追加されていくという事実に基づく。一リン酸の取込により、反応の副生成物としてそれぞれ形成されるピロリン酸は、反応カスケードにより時間的に分離された様式で検出される。この手法においてスルフリラーゼは、アデノシン5'ホスホスルフェートと、形成されるピロリン酸との反応を触媒し、ATPが形成される。次いでルシフェリンと生成するATPとを、酵素ルシフェラーゼを用いて反応させてオキシルシフェリンを形成させ、その結果、検出可能な化学発光シグナルが生じる(US 6,210,891、US 6,258,568)。生成中のDNAにアデノシン残基を組込むには、dATPアナログを用いることが必要である。なぜならば、ATPと同様、dATPもルシフェラーゼにより認識される共役基質であり、そのためパイロシークエンシングに使用することはできないからである。
しかしながら、従来技術に使用されてきたα-チオ-dATPは、室温では比較的不安定であり、そのため配列決定反応には部分的にしか適していない。したがって本発明の一の主題は、特に、本発明のα-リン酸擬似体アデノシン三リン酸のピロリン酸配列決定反応における基質としての使用である。受容基の立体的要件が厳しくないとき、この目的のための実施形態は特に適当であることが示されている。シアノおよびメチルスルホニルは特に受容基として適当である。
立体的により要求の高い残基については、ポリメラーゼを例えばCSRを用いて改変することにより、それを基質に適合させることができる(Ghadessy, F.J., and Holliger, P., Methods in Molecular Biology 352 (2007) 237-248 (Protein Engineering Protocols)、(Totowa, NJ, United States)、Compartmentalized self-replication: a novel method for the directed evolution of polymerases and other enzymes)。このことにより、高度に多様化されたアプタマーの酵素的合成が可能になる。なぜならばα-リン酸にどのような残基を導入することもできるからである。
本発明の三リン酸はまた、末端トランスフェラーゼを利用することで、オリゴヌクレオチドを酵素的に標識するために使用することができる。ジデオキシA,G,C,Tのα-リン酸をそれぞれ異なる色素で標識すれば、かかる三リン酸を、従来の塩基標識化された三リン酸と同じように、いわゆるダイターミネーター配列決定において使用することもできる。
(実施例)
本発明の保護範囲は特許請求の範囲に基づくが、本発明を以下の実施例および刊行物によりさらに明らかにする。記載する方法は、改変後も本発明の主題を依然として説明する例として理解すべきである。
2'-デオキシチミジンモノシアノイミノ一リン酸
370mg(0.5mmol)の3'-ジメトキシトリイル-2'-デオキシチミジン、5'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト(GlenResearch社)をアルゴン雰囲気下で2.5mL無水アセトニトリルに溶解し、最初に2.2mLのアセトニトリル中テトラゾール0.45M溶液(Fluka社)および次に150μL(1.5mmol)の3-ヒドロキシプロピオニトリルを連続的に添加する。反応混合物を室温で20分攪拌し、その後1.56mLのアセトニトリル中0.32Mシアンアジド溶液を添加する(シアンアジドの調製は、McMurry, J.E., ら, J. Organic Chemistry 38(16) (1973) 2821-7に従う)。30分後にこの溶液を酢酸エチルで希釈し水を加えて振る。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をロータリー蒸発器で蒸発させる。8mLの7Nメタノール性アンモニア溶液を残留物に加え、室温で5時間、密封容器内で静置する。溶媒を除き、残留物に水を加え、次いで水も除く。油状の残留物を40mLの80%酢酸溶液に溶解し、室温で15分攪拌する。酢酸をロータリー蒸発器を用いて除去する。残留物を10mLの37%アンモニア水溶液に溶解し、その後アンモニアを除き、次いで生成物をDEAE Sephadex A25 アニオン交換器 (溶離液濃度勾配: 120分で、0.1M酢酸アンモニウム溶液pH=7から、1M酢酸アンモニウム溶液pH=7へ)を用いて精製する。Mass (ESI) M/e 347.1 (計算値C11H15N4O7P 345.2), 1H NMR (D2O, ppm) 7.76 (s, 1H), 6.34 (t, 1H), 4.42 (m, 1H), 4.16 (m, 1H), 4.04 (m, 2H), 2.36 (m, 2H), 1.94 (s, 3H), 31P NMR (D2O, ppm) 1.5。
2'-デオキシチミジンモノシアノイミノ三リン酸(酵素的合成)
2mgの2'-デオキシチミジンモノシアノイミノ一リン酸を1mLの水に溶解し、4mgのクレアチンリン酸x 4 H2O、1mgの酢酸マグネシウムx 4 H2Oおよび0.01mgのATPを加える。希水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7.3に調整し、その後1mgのウサギ筋肉由来クレアチンホスホキナーゼ (EC 2.7.3.2) (185 U/mg)および1mgのdTMPキナーゼ(EC 2.7.4.9)(32 U/mg)を加える。このすべてを慎重に37℃にて攪拌する。1時間後に酵素を65℃にて15分変性し、溶液をろ過し、DEAE Sephadex A25 アニオン交換器 (溶離液濃度勾配: 120分で、0.01M酢酸アンモニウム溶液 pH=7から1M酢酸アンモニウム溶液pH=7へ)で精製する。Mass (ESI) M/e 504.18 (計算値 C11H17N4O13P3 506.2), 1H NMR (D2O, ppm) 7.73 (s, 1H), 6.34 (t, 1H), 4.72 (m, 1H), 4.21 (m, 3H), 2.37 (m, 2H), 1.92 (s, 3H)。
2'-デオキシチミジンモノ-(4-アセトアミドベンゼンスルホニル)イミノ三リン酸 (化学合成)
1.8mLのジメチルホルムアミドおよび150μLのピリジンに溶解させた200mg(0.99mmol)の2-クロロ-1,3,2-ベンゾ-ジオキサホスホリン-4-オン(Aldrich社)に、アルゴン雰囲気下で0℃にて240mg (0.5mmol)の2'-デオキシ-3'-tertブチルジフェニルシリル-チミジンを加えた。この溶液を0℃で5分、および室温で30分攪拌し、その後、2mLのジメチルホルムアミド中のBis(トリブチルアンモニウム)-ピロリン酸の0.7M溶液および280μLのトリエチルアミンの混合物を加える。室温で1時間後に、360mg(1.5mmol)のp-アセトアミドベンゼンスルホニルアジドを加え、室温でさらに一時間攪拌する。5mLの水を反応混合物に添加し、15分攪拌する。溶媒をロータリー蒸発器で除き、残留物を酢酸エチルで回収し、水で抽出する。水相から水を除き、残留物をテトラヒドロフランに懸濁し、4mLのテトラヒドロフラン中1Mフッ化テトラブチルアンモニウム溶液を加え、室温で2時間攪拌する。溶媒を除き、生成物を、DEAE Sephadex A25アニオン交換器 (溶離液濃度勾配: 120分で、0.1M酢酸アンモニウム溶液pH=7から1M酢酸アンモニウム溶液pH=7へ)で精製する。Mass (ESI) M/e 678.0 (計算値C18H25N4O16P3S 678.4)。
伸長実験
10μLの2.5μM 39merテンプレートデスオキシ-オリゴヌクレオチドおよび、テンプレートオリゴヌクレオチドの3’部分に相補的な5μLの5μM 20merプライマーデスオキシ-オリゴヌクレオチドを、互いにハイブリダイズさせて、標準法にしたがい、部分的二重鎖DNA分子を生成させた。
次いで20μLの1mM 2'-デスオキシチミジンαモノシアノイミノ三リン酸ナトリウム塩、10μLのThermoPol Reaction Buffer BioLabs (M0257S)および0.5μL(2U/μL)のVent(エキソ-)DNAポリメラーゼBioLabs (M0257S)を加えた。この調製物のインキュベーションを55℃で20分行った。
その後、サンプルをVivaspin 500 - 10.000 MWCOゲル濾過スピンカラムを用いて精製し、Vivaspin 500 - 5.000 MWCOゲル濾過スピンカラムを用いて脱塩した。
伸長されたプライマーデスオキシオリゴヌクレオチドについては、質量分析から、7401,9という計算値に相当する(ESI) M/e 7403という分子量が明らかにされた。

Claims (9)

  1. 以下の構造式のヌクレオチド:
    Figure 2010524874
    [式中、Bは天然の核酸塩基、改変された核酸塩基または核酸塩基アナログであり、
    Sは糖単位であり、
    Yは一または二リン酸である]
    であって、α-リン酸の酸素原子が、
    -N-Acc
    [式中、Accは、
    a) -CN、
    b) -SO2-R'(ここで、R'は少なくとも1つのアミノ置換されたアルキル、場合により置換されてもよいアリールまたは場合により置換されてもよいヘテロ環を含有する)、ならびに
    c) ピリジニウム、ピリミジニウムおよびキノリニウムを含む群より選択される電子不足の、六員環のN+-ヘテロ環、
    を含む群より選択される電子受容体である]
    により置き換えられていることを特徴とする、前記ヌクレオチド。
  2. RまたはR'が検出可能な単位または官能基を有することを特徴とする、請求項1に記載のヌクレオチド。
  3. 糖単位がリボース、デオキシリボースまたはジデオキシリボースであることを特徴とする、請求項1または2に記載のヌクレオチド。
  4. 3'位が、H、OH、保護基、検出可能な標識、モノヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたは固相を含む群より選択される、請求項4に記載のヌクレオチド。
  5. α位において改変されたヌクレオチドの製造方法であって、
    少なくとも1つの保護された水酸基を有して用意され、ヌクレオチドの5'位にある三価のリン原子を、以下の構造式のアジド:
    N=N=N-Acc
    [式中、Accは、
    a) -CN、-SO2-R、ならびに
    b) ピリジニウム、ピリミジニウムおよびキノリニウムを含む群より選択される、電子不足の、六員環のN+-ヘテロ環、
    を含む群より選択される電子受容体である]
    と反応させることを特徴とする、前記方法。
  6. 5'ホスホルアミダイトヌクレオシドを、以下の構造式のアジド:
    N=N=N-Acc
    と反応させることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. ポリメラーゼにより触媒される核酸合成の基質としての、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヌクレオチドの使用。
  8. 改変された核酸を合成するための請求項7に記載の使用。
  9. ピロリン酸配列決定反応における基質としての請求項8に記載の使用。
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