JP2010523713A - インスリン分泌を増強するためのラノラジン - Google Patents

インスリン分泌を増強するためのラノラジン Download PDF

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Abstract

本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法を対象とし、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。また、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するためのラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を含む治療方法も対象とする。また、本発明は、インスリン分泌増強量のラセミ体のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体、および少なくとも1つの抗糖尿病薬を含む組成物も対象とする。

Description

本願は、2007年4月12日に出願された米国仮特許出願第60/911,457号、2007年10月2日に出願された米国仮特許出願第60/977,009号、および2008年2月5日に出願された米国仮特許出願第60/026,223号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第60/911,457号、同第60/977,009号、および同第60/026,223号の全体が本明細書中に参考として援用される。
本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法に関し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジン(ラセミ体もしくは(±))またはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。また、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するためのラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を含む治療方法および組成物にも関する。
その明細書の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,567,264号は、ラノラジン、すなわち、(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド、およびその薬学的に許容できる塩、さらに不整脈、異型および労作性の狭心症、ならびに心筋梗塞を含めた心血管疾患の治療におけるそれらの使用を開示している。その二塩酸塩の形態として、ラノラジンは、以下の式によって表される。
また、この特許は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ツイーン80および0.9%食塩水をさらに含むラノラジン二塩酸塩の静脈内(IV)投与製剤も開示している。
その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,506,229号は、心筋もしくは骨格筋または脳組織に対する心筋保護法、低酸素性または再灌流による障害を含めた物理的または化学的な損傷を被っている組織の治療のため、および移植において使用するためのラノラジンならびにその薬学的に許容できる塩およびエステルの使用を開示している。制御放出性製剤を含めて、経口および非経口の投与製剤が開示されている。特に、米国特許第5,506,229号の実施例7Dは、制御放出性ポリマーで被覆されている、ラノラジンと微結晶セルロースとのマイクロスフェアを含むカプセル剤の形態の制御放出性製剤を記載している。また、この特許は、下限として、約5重量%のデキストロースを含有するIV用液剤1ミリリットル当たり5mgのラノラジンを含む、ラノラジンのIV投与製剤も開示している。上限として、約4重量%のデキストロースを含有するIV用液剤1ミリリットル当たり200mgのラノラジンを含有するIV用液剤が開示されている。
ラノラジンならびにその薬学的に許容できる塩およびエステルの、現在の好ましい投与経路は、経口である。典型的な経口投与剤型は、圧縮錠剤、粉末のミックスもしくは顆粒を充填したゼラチン硬カプセル剤、または溶液もしくは懸濁液を充填したゼラチン軟カプセル剤(ソフトゲル剤)である。その明細書の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,472,707号は、過冷却液体ラノラジンをゼラチン硬カプセル剤またはソフトゲル剤のための充填用溶液として利用する高用量経口投与製剤を開示している。
その明細書の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,503,911号は、製剤が胃内の酸性環境および腸全体にわたるより塩基性の環境の両方を通って移動する間に、満足な血漿ラノラジンレベルをもたらすという問題を克服する持続放出性製剤を開示し、狭心症およびその他の心血管疾患の治療のために必要である血漿レベルをもたらすのに非常に有効であることを証明している。
その明細書の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,852,724号は、不整脈、異型および労作性の狭心症、ならびに心筋梗塞を含めた心血管疾患を治療する方法を開示している。
その明細書の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2006/0177502号は、ラノラジンが35〜50%、好ましくは40〜45%で存在する、持続放出性の経口投与剤型を開示している。1つの実施形態では、この発明のラノラジンの持続放出性製剤は、pH依存性の結合剤;pH非依存性の結合剤;および1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤を含む。適切なpH依存性の結合剤として、これらに限定されないが、メタクリル酸コポリマー、例えば、強塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムを、メタクリル酸コポリマーを、約1〜20%、例えば、約3〜6%の程度まで中和するのに十分な分量で用いて部分的に中和したEudragit(登録商標)(Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100−55の擬ラテックス等)が挙げられる。適切なpH非依存性の結合剤として、これらに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えば、Methocel(登録商標)E10M Premium CRグレードHPMCまたはMethocel(登録商標)E4M Premium HPMCが挙げられる。適切な薬学的に許容できる賦形剤には、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロース(Avicel(登録商標)pH101)がある。
膵臓のベータ細胞が分泌するインスリンは、血中グルコース濃度を、筋肉および脂肪組織によるグルコースの取り込みおよび代謝を刺激することによって低下させる必要なホルモンである。インスリンは、グルコースの肝臓におけるグリコーゲンとしての、および脂肪組織におけるトリグリセリドとしての保管を刺激する。インスリンはまた、グルコースの筋肉における活用を促進してエネルギーをもたらす。したがって、不十分な血中インスリンレベルまたはインスリンに対する感受性の低下によって、過度に高い血中グルコースレベルが生じる恐れがある。
炭水化物(または糖)は、食事後、腸から吸収され、血流に入る。次いで、この血糖の上昇に応答して、インスリンが膵臓によって分泌される。身体の大部分の細胞が、循環血液中のインスリンに結合するインスリン受容体を有する。細胞表面上の受容体にインスリンがつながると、血流からグルコース(糖)を吸収するように設計されているグルコース輸送体が活性化される。インスリンがないと、途方もない量の食料を消費しても、実際には飢餓状態であり得る。これは、体細胞の多くが、インスリンの作用なしではグルコース中に含有されている熱量を利用することができないからである。
糖尿病は、高血糖(異常に高い血中グルコースレベル)によって特徴付けられる代謝障害である。2つの主要な型の糖尿病がある:1)インスリン依存性糖尿病としても知られているI型、および2)インスリン非依存性糖尿病としても知られているII型。一般に、II型は、「インスリン非依存性糖尿病」と呼ばれるが、増強されたレベルのインスリンに応答することができるが、自らは十分なインスリンを産生しないII型糖尿病患者の亜集団がある。
I型は、遺伝的障害が引き起こす場合がある。I型の起源は、完全には理解されておらず、いくつかの理論がある。これは、膵臓のランゲルハンス島におけるベータ細胞の広域な喪失によって特徴付けられる自己免疫疾患である。ベータ細胞は、インスリンを産生する。これらの細胞が進行性に破壊されるにつれて、インスリンの分泌量が低下し、最終的には、インスリンの分泌量が正常血糖(正常な血中グルコースレベル)に必要なレベル以下に落ちて高血糖を生じる。この免疫応答についての正確な誘因は分かっていないにもかかわらず、考えられる原因の全てが同一の最終結果をもたらす。すなわち、膵臓が、インスリンをごくわずかしか産生しないか、または全く産生しないようになる。
II型糖尿病の場合、身体が十分なインスリンを産生しない、または細胞がインスリンの作用に対して抵抗性になる(正常に応答できない)のいずれかである。いずれにしても、グルコースが、細胞によって吸収および代謝される代わりに、血中に留まる。この応答不全は、細胞上のインスリン受容体の数の減少もしくは細胞内のシグナル伝達経路の機能障害または両方が引き起こす場合がある。最初は、膵臓からベータ細胞が、このインスリン抵抗性を、インスリンの産出を増加することによって補う。時間と共に、これらの細胞は、正常なグルコースレベルを維持するのに十分なインスリンを産生することができなくなり、その結果、II型糖尿病に至る。
膵臓のベータ細胞が、十分な分量のインスリンを産生できなくなると、いくつかの問題が生じる。血中グルコースレベルの上昇は、主に、足、手、腎臓、眼において、さらに身体のその他部分においても、神経および血管に対する損傷を引き起こす。その他の合併症には、心疾患、冠動脈疾患(CAD)を含めた心血管疾患、および卒中がある。
高い血中グルコースレベルは、毛細血管の基底膜の肥厚を引き起こし、その結果、血管の管腔が進行性に狭小化する。こうした血管の病態から、失明に至る恐れがある糖尿病性網膜症、冠動脈心疾患、毛細管間糸球体硬化症、ニューロパシー、ならびに四肢の潰瘍化および壊疽等の状態が生じる。
過剰な血漿グルコースレベルの毒性効果には、細胞および組織のグリコシル化がある。グリコシル化された産物が組織中に蓄積し、最終的には、架橋したタンパク質を形成する場合があり、これは、終末糖化産物と呼ばれている。非酵素的なグリコシル化が、血管マトリックスの拡大および糖尿病の血管合併症の直接的な原因である可能性がある。例えば、コラーゲンのグリコシル化は、過剰な架橋結合に至り、その結果、アテローム硬化性の血管を生じる。また、マクロファージによるグリコシル化されたタンパク質の取り込みが、これらの細胞による炎症促進性サイトカインの分泌も刺激する。これらのサイトカインは、間葉細胞における分解性カスケードおよび内皮細胞における増殖性カスケードを活性化するかまたは引き起こす。
したがって、血中グルコースの制御は、非常に望ましい治療目標である。この目標を達成する1つの方法は、インスリンの分泌を、その増強を必要とする患者において増強する方法を提供することによる。
その明細書が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,567,264号は、化合物(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド(ラノラジンとして知られている)、ならびにそのR−およびS−鏡像異性体を開示している。ラノラジンは、慢性狭心症の治療に対して承認されており、後期ナトリウム電流の阻害剤であることが見い出されている。これはまた、うっ血性心不全および不整脈の治療のために有用であることも見い出されている。例えば、それらの明細書が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,528,511および第6,677,342号ならびに米国特許出願公開第2003/0220344号を参照されたい。
ラノラジンの糖尿病患者における耐容性は、以前に開示されている。特許文献1を参照されたい。従来は、ラノラジンの糖尿病の治療における使用は主として、ラノラジンが、ラノラジンを投与した患者においてHbA1cのレベルを低下させるという発見に向けられた。例えば、その明細書が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2004/0063717号を参照されたい。
本出願は、I型およびII型を含めた全ての型の糖尿病について論じるが、予想に反して、ラノラジン、特に、そのR−鏡像異性体が、インスリン分泌を増強し、インスリン応答性かつインスリン分泌不全であるクラスの患者の糖尿病を治療する場合に有効であることが発見されるに至った。また、驚くべきことには、ラノラジンのR−鏡像異性体はまた、CYP2D6酵素の阻害がより弱いことから、その他の薬物動態学的な利益をもたらすことも発見されている。
米国特許出願公開第2002/0052377号
したがって、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法を対象とし、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を投与するステップを含む。さらに、また、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患または心疾患症状に罹患している患者を治療する方法も対象とし、この方法は、患者間における個人相互の変動を減少させ、内因性インスリンのレベルを増強させる一方でさらに不良な代謝を有する患者において予想される有害事象を低減させる方法であり、ラノラジンのSおよび/またはR−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む。
1つの態様では、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を投与するステップを含む。好ましくは、患者は、インスリン応答性かつインスリン分泌不全である。
別の態様では、本発明は、患者へのインスリン投与の量および/または頻度を減少させるための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、患者への抗糖尿病薬投与の量および/または頻度を減少させるための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、患者において膵臓のベータ細胞の機能を保つための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、糖尿病患者を治療するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンを、少なくとも1つの追加の抗糖尿病薬と一緒に患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、インスリン分泌増強量のラノラジンおよび少なくとも1つの追加の抗糖尿病薬を含む組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンのR−鏡像異性体を投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンのS−鏡像異性体を投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、患者へのインスリン投与の量および/または頻度を減少させるための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンのR−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、インスリン抵抗性の患者を治療するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンのR−鏡像異性体を、少なくとも1つの追加の抗糖尿病薬と一緒に患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、インスリン分泌増強量のラノラジンのR−鏡像異性体および少なくとも1つの追加の抗糖尿病薬を含む組成物を提供する。
また、本発明は一部、R−ラノラジンが、ラセミ体のラノラジンよりも弱いCYP2D6阻害剤であり、したがって、糖尿病および/または1つもしくは複数の心血管疾患の治療におけるR−ラノラジンの使用は、CYP2D6酵素の機能障害および/またはCYP2D6基質の同時投与によっておそらく引き起こされる有害事象および/または薬物間相互作用を低減させる可能性があるという発見にも向けられる。
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患に罹患している患者を治療するための方法に関し、この方法は、有害事象および/または薬物間相互作用を低減させる方法であり、ラノラジンのR−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患に罹患している患者を治療するための方法に関し、この方法は、患者において有害事象を低減させる方法であり、ラノラジンのR−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患に罹患している患者を治療するための方法に関し、この方法は、患者において薬物間相互作用を低減させる方法であり、ラノラジンのR−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患に罹患している患者を治療するための方法に関し、患者を試験してCYP2D6酵素機能障害があるか否かを決定することなく、患者をラノラジンのR−鏡像異性体を用いて治療する。
別の態様では、本発明は、治療有効量のラノラジンのR−鏡像異性体、またはその薬学的に許容できる塩、エステル、プロドラッグもしくは水和物を含む医薬組成物に関する。
また、本発明は一部、S−ラノラジンが、ラセミ体のラノラジンよりもベータアドレナリン受容体の強力な阻害剤であり、したがって、より低用量のS−ラノラジンが、ラセミ体のラノラジンと治療上同等であり得ることから、S−ラノラジンは、有害事象の低減のために有用であるという発見にも向けられる。
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患に罹患している患者を治療するための方法に関し、この方法は、有害事象を低減させる方法であり、ラノラジンのS−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む。
別の態様では、本発明は、治療有効量のラノラジンのS−鏡像異性体、またはその薬学的に許容できる塩、エステル、プロドラッグもしくは水和物を含む医薬組成物に関する。
別の態様では、本発明は、治療に有効な非等量のラノラジンのR−鏡像異性体とS−鏡像異性体とを、またはそれらの薬学的に許容できる塩、エステル、プロドラッグもしくは水和物を含む医薬組成物に関する。
その上さらなる態様では、また、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患に罹患している糖尿病患者を治療する方法にも関し、この方法は、有害事象を低減させる方法であり、治療有効量のラノラジンのR−鏡像異性体を、S−鏡像異性体を投与する量とは異なる量で投与するステップを含む。
ラット単離膵島におけるラノラジンのグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)に対する効果を示すグラフである。 正常SDラットにおいて実施した静脈内グルコース負荷試験(IVGTT)の間のインスリンレベルを示すグラフである。図2中、中抜きの四角はラノラジンを示し、中抜きの丸はビヒクルを示す。 正常SDラットにおいて実施した静脈内グルコース負荷試験(IVGTT)の間の(±)ラノラジン、ラノラジンのR−鏡像異性体およびラノラジンのS−鏡像異性体(15mg/kg)についてのインスリンレベルを示すグラフである。図3中、中黒の丸はビヒクルを示し、中黒の三角はラノラジンのR−鏡像異性体を示し、中抜きの四角はラノラジンのS−鏡像異性体を示す。 ヒト単離膵島におけるラノラジンのR−鏡像異性体(「R−」と指定)、ラノラジンのS−鏡像異性体(「S−」と指定)、グルコース(「G」と指定)および正の対照(「GLP1」と指定)のGSISに対する効果を示すグラフである。指定の後の数字は、その化合物の濃度(「G」の場合、ミリモル、ならびに「R−」および「S−」の場合、マイクロモル)を示す。 ヒト単離膵島における(±)ラノラジンのグルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)に対する効果を示すグラフである。
本発明は、内因性インスリンのレベルを、好ましくはその増強を必要とする患者において増強するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジン(ラセミ体もしくは(±))またはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を投与するステップを含む。また、本発明は、インスリンの分泌を、その増強を必要とする患者において増強するためのラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を含む治療方法および組成物も提供する。
定義
本明細書および以下の特許請求の範囲では、別段の記載がない限り、以下の意味を有すると定義されるいくつかの用語を参照する。
Ranex(登録商標)と呼ばれる「ラノラジン」は、化合物(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−1−ピペラジン−アセトアミドである。ラノラジンはまた、その鏡像異性体である(R)−(+)− N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド(R−ラノラジンとも呼ばれる)、および(S)−(−)− N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド(S−ラノラジンとも呼ばれる)、ならびにそれらの薬学的に許容できる塩やそれらの混合物としても存在することができる。別段の言及がない限り、本明細書および実施例において使用する血漿ラノラジン濃度は、ラノラジンの遊離の塩基を指す。約pH4においては、水性溶液中、塩酸で滴定した場合、ラノラジンは大部分、その二塩酸塩として存在する。
ラノラジンは、N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド{1−[3−(2−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]−4−[(2,6−ジメチルフェニル)−アミノカルボニルメチル]−ピペラジンとしても知られている}に付けられた名前であり、ラセミ混合物もしくはその鏡像異性体またはその鏡像異性体の混合物あるいはそれらの薬学的に許容できる塩として存在することができる。ラノラジンは、その明細書が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,567,264号に従って調製することができ、また市販されてもいる。ラノラジンの鏡像異性体は、ラセミ体のラノラジンのクロマトグラフ分離またはキラル前駆体からのデノボ合成等の従来の方法を使用して得ることができる。
「徐脈または徐脈性不整脈を低減する有効量」は、徐脈または徐脈性不整脈を治療するラノラジンの量である。
「生理的に許容できるpH」は、ヒト患者への送達に適合する静脈用の液剤のpHを指す。好ましくは、生理的に許容できるpHは、約4から約8.5まで、好ましくは、約4から7までの範囲である。いずれの理論にも制限されないが、約4から6のpHを有する静脈用の液剤の使用は、体内の多量の血液がこれらの静脈用の液剤を有効に緩衝するので、生理的に許容できるとみなされている。
「心血管疾患」または「心血管症状」は、例えば、うっ血性心不全、急性心不全、虚血、再発性虚血、心筋梗塞、すなわちSTEMIおよびNSTEMI、等を含めた心不全、不整脈、労作性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症、急性冠症候群、NSTEACS等を含めた狭心症、糖尿病、ならびに間欠性跛行が示す疾患または症状を指す。そのような疾患状況の治療が、それらの完全な開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,503,911号および第6,528,511号、米国特許出願第2003/0220344号および第2004/0063717号を含めて、種々の米国特許および米国特許出願に開示されている。
「外用投与」は、治療剤の創傷表面および隣接する上皮への送達と定義するものとする。
「非経口投与」は、治療剤の注射を介しての患者への全身送達である。
「基質」は、所与の酵素によって代謝される化合物を指す。
「阻害剤」は、基質の代謝を「減速させる」化合物を指す。阻害剤は、強力なカテゴリー、中等度のカテゴリーおよび弱いカテゴリーに分類することができる。強力な阻害剤として、例えば、ブプロピオン、フルオキセチン、パロキセチンおよびキニジンが挙げられ、これらは、血漿AUC値の>5倍の増加、またはクリアランスの80%超の減少を引き起こすことができる。中等度の阻害剤として、例えば、デュロキセチンおよびテルビナフィンが挙げられ、これらは、血漿AUC値の>2倍の増加、またはクリアランスの50〜80%の減少を引き起こすことができる。弱い阻害剤として、例えば、アミオダロンおよびシメチジンが挙げられ、これらは、血漿AUC値の>1.25倍から<2倍の増加、またはクリアランスの20〜50%の減少を引き起こすことができる。
「誘発剤」は、基質の代謝を「加速させる」化合物を指す。
「代謝の広い人」またはEMは、特定の薬物の標準的な用量に対して正常な応答を示す人の群を指す。
「代謝の中間の人」またはIMは、代謝の不良な人の問題を有する場合があるが、その問題は通常重大ではない人の群を指す。
「代謝の不良な人」またはPMは、遺伝子が機能性の酵素を産生しないので、薬物の標準的な用量をプロセシングするのに問題を有する人の群を指す。医薬品の型に依存して、薬物が十分に迅速に代謝されない場合もあれば、標準的な用量が過剰投与において見られる副作用をもたらす場合もある。または、その人が、薬物をその活性な形態に変換するのに十分な酵素を産生しない場合もあれば、標準的な用量がいずれの治療効果も示さない場合もある。
「代謝の極めて良好な人」またはUMは、酵素を産生する1つまたは複数の余分な遺伝子を有する人の群を指し、したがって、彼らは、正常よりも多くの酵素を生み出す。UMが産生する余分な酵素は、あまりに迅速に薬物を代謝し、身体から除去することができるので、標準的な用量が治療効果を示さない場合がある。または、余分な酵素が、極度に迅速に薬物をその活性な形態に変換することができるので、標準的な用量が毒性レベルまで蓄積する場合がある。
「間欠性跛行」は、末梢動脈疾患に伴う疼痛を意味する。「末梢動脈疾患」またはPADは、閉塞性末梢血管疾患(PVD)のある型である。PADは、心臓および脳以外の動脈に影響を及ぼす。PADの最も一般的な症状は、歩行時、階段上昇時または運動時の臀部、大腿またはふくらはぎの有通性の筋けいれんである。この疼痛は、間欠性跛行と呼ばれている。間欠性跛行という症状を記載する場合、PADおよびPVDの両方を含むことを意図する。
「(1つまたは複数の)有害事象」は、薬物に対するいずれかの予想外または危険な反応を指す。
「場合による」および「場合により」は、それに続いて記載された事象または状況が起きても、または起きなくてもよく、その記載は、そうした事象または状況が起きる場合およびそうした事象または状況が起きない場合を含むことを意味する。例えば、「場合による」薬学的賦形剤は、そのように記載された製剤が、存在すべきことが具体的に言及されたもの以外の薬学的賦形剤を含んでも、または含まなくてもよく、そのように記載された製剤は、場合による賦形剤が存在する場合および場合による賦形剤が存在しない場合を含むことを指す。
「治療する」および「治療」は、患者における疾患の任意の治療を指し、
1.疾患に罹患する素因がある恐れがあるが、それを有するとはまだ診断されていない対象において、疾患を発症するのを予防すること;
2.疾患を阻害する、すなわち、そのさらなる発展を抑止すること;
3.疾患の症状を阻害すること;疾患を緩和する、すなわち、疾患の後退を引き起こすこと、または疾患の症状を緩和すること
を含む。
「患者」は、哺乳動物、好ましくは、ヒトである。
「治療有効量」という用語は、治療を必要とする哺乳動物に投与した場合、そのような治療をもたらすのに十分である、以下に定義する、式1の化合物の量を指す。治療有効量は、使用する治療剤の特異的な活性、ならびに患者の年齢、健康状態、その他の疾患状況の存在および栄養状況に依存して変化するであろう。さらに、患者が投与されている場合がある、その他の医薬品も、投与すべき治療剤の治療有効量の決定に影響を及ぼすであろう。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容できる担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、被覆、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のための、そのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野では周知である。いずれの従来の媒体および薬剤も活性成分と適合しない場合を除いて、治療用組成物中でのその使用が企図される。また、補助的な活性成分も、組成物中に組み込むことができる。
「即時放出」(「IR」)は、in vitroにおいて迅速に溶解し、胃または上部消化管内で完全に溶解し、吸収されることを意図する製剤または投与単位を指す。通常、そのような製剤は、投与30分以内に活性成分の少なくとも90%を放出する。
「持続放出」(「SR」)は、胃または上部消化管内で、約6時間以上の期間にわたり、緩慢かつ連続的に溶解し、吸収される、本明細書で使用する製剤または投与単位を指す。好ましい持続放出性製剤は、以下に記載するように、1回の投与当たり2つ以下の錠剤を用いる1日2回以下の投与に適切した血漿ラノラジン濃度を示すものである。
「異性体」は、同一の分子式を有する異なる化合物である。
「立体異性体」は、原子の空間配置の状態のみが異なる異性体である。
「鏡像異性体」は、相互に重ねることができない鏡像である一対の立体異性体である。一対の鏡像異性体の1:1混合物が、「ラセミ」混合物である。必要に応じて、(±)という用語を使用して、ラセミ混合物を指定する。
「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの非対称原子を有するが、相互には鏡像ではない異性体である。
絶対立体化学は、カーン−インゴルド−プレローグのR−Sシステムに従って特定する。化合物が、純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素における立体化学を、RまたはSのいずれかのよって特定することができる。絶対的な立体配置が分かっていない分解した化合物に、化合物がナトリウムD線の波長の偏光の面を回転させる方向(右旋性または左旋性)に依存して(+)または(−)を指定する。
「ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体」という用語は、これらの3つの化合物のうちのいずれかの遊離の塩基、またはこれらの3つの化合物のうちのいずれかのエステルもしくは塩を指す。これらの3つの化合物のうちのいずれかのエステルまたは塩は、これらに限定されないが、その明細書が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,567,264号に指定されているエステルまたは塩であってよい。
「インスリン」という用語は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、好ましくはヒトを含めた任意の種から、および天然、合成または組換えのいずれかの任意の源からの任意の型のインスリンを指す。患者の「内因性インスリン」という用語は、その患者の膵臓の島細胞が産生するインスリンを指す。
「インスリン応答性」の対象という用語は、
a)インスリンの不十分なレベルに罹患している対象であって、インスリンのレベルが増強された後の対象の血中グルコースレベルの低下によって確認できる、増強されたレベルのインスリンに対して正に応答することができる対象、または
b)インスリンに対する正常な応答が不全な状態(インスリン抵抗性)に罹患している対象であって、インスリンのレベルが増強された後の対象の血中グルコースレベルの低下によって確認できる、増強されたレベルのインスリンに対して正に応答する対象
を指す。
「インスリン分泌不全」の対象という用語は、膵臓の島細胞においてインスリンを産生することができるが、島細胞では、インスリンの放出または産生が損なわれている対象を指す。
現存の抗糖尿病療法の「有効性を維持する」という用語は、現存の抗糖尿病薬の用量を増加させるまたは強化する必要性を低減することを指す。これはまた、現存の抗糖尿病薬を用いた療法の失敗を減少させ、それによって、現存の抗糖尿病薬を変更する必要性または別の抗糖尿病薬を付け加える必要性のいずれかを低減することも指す。
「インスリン分泌増強」量という用語は、膵臓の島細胞が分泌する内因性インスリンのレベルを増強するのに十分な量を指す。
「抗糖尿病」薬という用語は、糖尿病の症状を予防または軽減する薬剤を指す。
「抗糖尿病療法」という用語は、抗糖尿病薬を用いる治療コースを指し、抗糖尿病薬は、本明細書の定義に従う。
「前糖尿病」患者という用語は、血中グルコースレベルが正常よりも高いが、糖尿病患者または耐糖能障害を有する患者と診断するにはまだ十分には高くない患者を指す。
糖尿病「に罹患する素因がある」という用語は、糖尿病を発症するリスクが高い人を指す。いくつかのリスク要因が当業者には知られている。それらの要因のいくつかとして、これらに限定されないが、遺伝的要因;過体重(例えば、25kg/m以上の肥満度指数(BMI));習慣的な運動不足、人種/民族性(例えば、アフリカ系アメリカ人、ラテンアメリカ系アメリカ人、先住アメリカ人、アジア系アメリカ人、太平洋諸島系);以前に同定された空腹時高血糖もしくは耐糖能障害、高血圧(例えば、成人において140/90mmHg以上);35mg/dl以上のHDLコレステロール;250mg/dl以上のトリグリセリドレベル;妊娠糖尿病の病歴もしくは9ポンド超の乳児の出産経験;および/または多嚢胞性卵巣症候群が挙げられる。例えば、「Report of the Expert Committee on the Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus」および「Screening for Diabetes」、Diabetes Care、2002年、25巻(1号)、S5〜S24頁を参照されたい。
ラノラジンは、アミノ基および/もしくはカルボキシル基、またはそれらに類似する基の存在によって、酸および/または塩基の塩を形成することができる。「薬学的に許容できる塩」という用語は、ラノラジンの生物学的な有効性および特性を保持し、生物学的にもその他の面でも望ましい塩を指す。薬学的に許容できる塩基付加塩は、無機および有機の塩から調製することができる。無機塩から誘導した塩として、単なる例に過ぎないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩から誘導した塩として、これらに限定されないが、一級、二級および三級アミンの塩、すなわち、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、ジ置換シクロアルキルアミン、トリ置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、ジ置換シクロアルケニルアミン、トリ置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジへテロアリールアミン、トリへテロアリールアミン、複素環式アミン、ジ複素環式アミン、トリ複素環式アミン、ジアミンとトリアミンとの混合型(ただし、アミン上の置換基のうちの少なくとも2つが異なり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環等からなる群から選択される)が挙げられる。また、2つまたは3つの置換基が、アミノ窒素と一緒になって複素環基またはヘテロアリール基を形成するアミンも挙げられる。
適切なアミンの具体的な例として、単なる例に過ぎないが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ−プロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン(N−alkylglucamine)、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジン等が挙げられる。
薬学的に許容できる酸付加塩は、無機および有機の酸から調製することができる。無機酸から誘導した塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸から誘導した塩として、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸等が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容できる担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、被覆、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のための、そのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野では周知である。いずれの従来の媒体および薬剤も活性成分と適合しない場合を除いて、治療用組成物中でのその使用が企図される。また、補助的な活性成分も、組成物中に組み込むことができる。
本発明の方法
本発明の方法は、ラノラジンおよびその鏡像異性体、特にR−鏡像異性体が、膵島からのインスリン分泌を増加させるという驚くべき発見に基づいている。膵臓によるインスリン分泌は、多様な要因によって調整され、それらのうちで最も重要な要因は、グルコースである。
グルコース代謝により、電気的活動の調整に関与するチャネルの活性を調節する各種の共役因子が生じ、したがって、インスリンが分泌される。ATP−ADPの比の増加の結果生じるKATPチャネルの閉鎖は、膜の脱分極、およびその結果としての電位依存性のカルシウムチャネルの活性化に至り、その結果、膜貫通活動電位が発生する。脱分極は、細胞内カルシウムの増加に至り、これは、インスリン分泌における中心的な役割を担う。したがって、電気的活動の変化は、GSIS(グルコース刺激性インスリン分泌)における必要な中間のステップである。
本発明の理論に束縛されることなく、以下の5つの仮説のうちのいずれかが、ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体のGSISを増加させる効果に寄与するであろう。
a)ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体は、IKATPを阻害し、β−細胞を脱分極させ、それによって、カルシウムチャネルを活性化することによって、細胞内Ca++を増加させ、それに続いて、インスリンの放出を増加させる。
b)ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体は、電位開口型Kチャネル(Kvx、ただし、Xは、Kチャネルの2.1または2.2または3.の種々のアイソフォームを意味する)のうちの1つまたはいずれかを阻害し、β−細胞を脱分極させ、それによって、カルシウムチャネルを活性化することによって、細胞内カルシウム濃度を増加させ、それに続いて、インスリンの放出を増加させる。
c)ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体は、IKATPのグルコース誘発性阻害により、Kvxチャネルを阻害して、β−細胞によって生じる活動電位を延長させることによって、細胞内カルシウムの放出を増加させ、したがって、インスリン分泌を増加させる。
d)ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体は、INaを阻害し、ATP消費を低下させることにより細胞内ATP濃度を増加させ、それによって、IKATPが引き起こすβ−細胞の脱分極を阻害し、それに続いて、カルシウムチャネルを活性化させることによって、細胞内カルシウム濃度を増加させ、それに続いて、インスリンの放出を増加させる。
e)ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体は、(ピークまたは後期の)INaを阻害して、[Na(細胞内ナトリウム)を減少させることによって、Ca++過負荷を間接的に減少させることができるであろう。
f.)ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体は、Na+およびCa2+の過負荷ならびにベータ細胞のアポトーシスの誘発および細胞死の増加を含めた、膵臓のベータ細胞の機能障害を低減させることによって、長期の治療の間にインスリン分泌を増加させることができる。
g.)ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体は、アルファ−アドレナリン作動性の遮断効果によって、インスリン分泌の増加に寄与することができる。
1つの実施形態では、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
別の実施形態では、本発明は、内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンのR−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
さらに別の実施形態では、本発明は、インスリン応答性かつインスリン分泌不全の患者へのインスリン投与の量および/または頻度を減少させるための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
上記の実施形態のそれぞれにおいて、患者は、好ましくは、インスリン応答性かつインスリン分泌不全である。患者は、前糖尿病であっても、もしくはそうでなければ糖尿病に罹患する素因があってもよく、または患者は、II型糖尿病にすでに罹患していてもよい。
R−鏡像異性体の特別な特性
以前に言及したように、本発明の方法は、ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体のいずれかを用いて実施することができる。しかし、R−鏡像異性体に特異的な種々の特性により、この化合物は、使用に驚異的かつ特別に適している。実施例4において論じ、図4に示すように、R−鏡像異性体は、グルコースに応答してインスリン分泌を顕著により有効に増加させる。この結果として、所望の治療効果を、ラノラジンまたはラノラジンS−鏡像異性体のいずれかを用いる場合に必要であろう用量に比べて、より低い用量のR−鏡像異性体を使用して達成することができることが期待される。
さらに、R−鏡像異性体はまた、ラノラジンまたはラノラジンのS−鏡像異性体を上回る薬物動態学的な利点も示す。ラノラジンのCYP2D6に対する阻害効果が、デキストロメトロファンの代謝の広い人において評価されている。この研究によって、ラノラジンおよび/または代謝産物がCYP2D6を部分的に阻害することが示された。ラノラジンの、CYP2D6によって代謝されるその他の薬物、すなわち、三環系抗うつ薬および抗神経薬等との併用は、正式には研究されていないが、ラノラジンの存在下では、通常処方される用量に比べ、より低い用量のその他の薬物を必要とする場合がある。ラノラジンは、CYP2D6の活性を阻害することができ、したがって、この酵素によって主として代謝される薬物、例えば、三環系抗うつ薬およびいくつかの抗神経薬の代謝が損なわれ、これらの薬物に対する暴露が増加する場合がある。ラノラジンを同時投与する場合には、そのような薬物の用量を、減少させなければならない場合がある。
チトクロームP450(CYP)は一般に、薬物の酸化的代謝の原因である主要な酵素を含む。CYPのアイソザイムであるCYP2D6は、ヒト集団内において広い範囲の活性を特異的に有し、個人相互間の代謝速度は、10,000倍超も異なる。大部分の個人は、代謝の広い人(EM)であり、CYP2D6の基質を広範に代謝することができるが、白人の個人の7〜10%は、代謝の不良な人(PM)であり、機能性のCYP2D6酵素を産生しない。アジア人およびアフリカ系アメリカ人を含めた全集団では、代謝の不良な人は2〜10%を占める。
DNAの多型が、薬物クリアランスにおける広い個人相互間の変動をもたらす、いくつかのCYPアイソザイムをコードする遺伝子において同定されている。CYP2D6は、顕著な数の臨床で使用される医薬品を代謝し、様々なレベルの代謝活性をもたらすCYP2D6アイソザイムの遺伝子変異体は、いくつかの状況では臨床上重要である。遺伝子多型によって引き起こされる臨床的な効果の正確な性質は、問題の薬物および発現している特異的な変異対立遺伝子に依存する。これは、個々の変異体から、様々な範囲の酵素活性を示す、異なる表現型が生じるからである。
薬物代謝における個人相互間の変動は、薬物の投与量、安全性および効能の予測にあたり課題をもたらす。例えば、薬物動態学的な要因、および多大な対象相互間の薬物動力学的変動が、メチルフェニデートの治療に失敗した症例における要因として提案されている[DeVaneら、Journal of Clinical Psychopharmacology、20巻(3号)、347頁(2000年)]。
多型薬物代謝酵素の発現を欠く個人(通常、「代謝の不良な人」またはPMと呼ばれている)は、薬物がそれらの多型酵素によって代謝される場合には、それらの薬物への暴露が高まり、その結果、同一の用量を投与した代謝の中間の対象および代謝の広い(EM)対象と比べて、過剰な薬理作用または増強された副作用を生じる場合があろう。あるいは、多型酵素が、薬物の活性に寄与する特定の代謝産物を形成する場合には、EM患者とPM患者とでは異なる効能プロファイルを観察する場合があろう[Gibbsら、Drug Metabolism and Disposition、34巻(9号)、1516〜1522頁(2006年)]。
同定されている、薬物代謝に関与する多型酵素のうち、CYP2D6は、最も重要な酵素の1つとみなされており、多くの新しい化学的実体に典型的な基質特異性を有する。臨床において使用されている全ての薬物のうちの推定20から25%が、少なくとも部分的にCYP2D6によって代謝される。集団におけるCYP2D6 PMの頻度は、人種に依存し、アジア人の場合には約1%であり、白人の場合には5から10%であると報告されている[Gibbsら、Drug Metabolism and Disposition、34巻(9号)、1516〜1522頁(2006年)]。この酵素は主として肝臓で発現し、経口薬物投与後の初回通過代謝を統制するが、低いレベルの腸における発現は、重要であるようには見えない。多数の研究によって、EM対象およびPM対象における、CYP2D6の多型の、基質の曲線下面積(AUC)に対する影響が特徴付けられている。
CYP2D6の基質であることが知られている心血管薬として、これらに限定されないが、
抗不整脈薬:アミオダロン、エンカイニド、フレカイニド、リドカインおよびメキシレチン;
血圧降下薬:カプトプリル、クロニジン、デブリソキン、ガウノキサン(gaunoxan)、インダパミド、N−プロピルアジマリン(propylajmaline)、プロカインアミド、プロパフェノンおよびスパルテイン;
ベータ遮断薬:アルプレノロール、ビソプロロール、ブフラロール、ブプラノロール、カルベジロール、ラベタロール、メトプロロール、ピンドロール、プロパノロール(propanolol)およびチモロール;
カルシウムチャネル遮断薬:シンナリジン、フルナリジン、ニモジピン、ニトレンジピンおよびペルヘキシリン;ならびに
抗糖尿病薬:フェンホルミン
が挙げられる。
代謝が不良な人の表現型は、機能性CYP2D6タンパク質の不在をもたらす、2つのヌル対立遺伝子によって引き起こされることが知られているが、機能性の対立遺伝子を有する個人間の大きな変動の大部分は、説明されていない。
多くの薬物相互作用が、CYP酵素の阻害(例えば、同一の酵素結合部位を競合することによる)または誘発(酵素タンパク質合成の増加)の結果生じる。その他のCYPアイソザイムとは異なり、CYP2D6は、誘発可能である(例えば、リアムピシン(riampicin)等の薬物によって)とはみなされていない。しかし、これは、阻害を受ける。パロキセチン等のいくつかの薬物は、CYP2D6を非常に強力に阻害するので、EMの80%までがPMに「転向する」、すなわち、CYP2D6の基質を代謝する能力を目覚しく低下させる。その他の強力なCYP2D6阻害剤には、フルオキセチン、テルビナフィンおよびチオリダジンがある。より弱い阻害剤には、三環系抗うつ薬およびシタロプラムがある。
一般に、PMは、より高い親薬物の濃度を有し、標準的な用量で毒性濃度を生じる恐れがある。場合によっては、CYP2D6代謝産物が、親よりも活性である場合があり、活性な代謝産物の産生の減少により、薬物の効果の低下が生じ得る。代謝の極めて迅速な人は、CYP2D6の基質を非常に急速に排除し、標準的な用量では治療濃度に達することができない。
したがって、CYP2D6の阻害の低下を示す薬物の使用には、強力な利点がある。1つまたは複数の心血管疾患または心疾患症状に罹患している患者に投与する場合、これらの薬剤の使用によって、患者間における個人相互の変動が減少し、代謝の不良な患者において予想される有害事象が低減する。CYP2D6の阻害の低下はまた、心血管症状について薬物の組合せを患者に処方する場合にも、特に、薬物の組合せがCYP2D6によって代謝される場合には、患者間において見られる個人相互の変動を減少させ、代謝の不良な患者において予想される有害事象を低減させることができる。
実施例6および7において論じるように、ラノラジンのR−鏡像異性体は、CYP2D6を、ラノラジンまたはラノラジンのS−鏡像異性体と比べ、はるかにより弱い程度で阻害することが示されている。
グルコース誘発性インスリン排泄を増加させる能力の増大およびCYP2D6阻害能力の減弱の両方に関する、R−鏡像異性体が示す驚くべき利点を考慮して、1つの態様では、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患または心血管疾患症状に罹患している患者を治療するための方法を提供し、この方法は、CYP2D6酵素の機能障害によっておそらく引き起こされる有害事象および/または薬物間相互作用を低減させる方法であり、ラノラジンのR−鏡像異性体を患者に投与するステップを含む。
1つまたは複数の心血管疾患の事象または症状を示す患者として、これらに限定されないが、以下の1つまたは複数について治療されている患者が挙げられる:安定狭心症、不安定狭心症(UA)、労作性狭心症、異型狭心症を含めた狭心症、不整脈、間欠性跛行、STEMI心筋梗塞および非STE心筋梗塞(NSTEMI)を含めた心筋梗塞、うっ血性(慢性)心不全、急性心不全または再発性虚血を含めた心不全。
本発明の方法を使用して治療可能であるその他の状態として、これらに限定されないが、うっ血性心不全、急性心不全、心筋梗塞等を含めた心不全、心房細動、心房粗動、AV結節性リエントリー頻脈、心房性頻脈等の上室性頻脈ならびに特発性心室性頻脈、心室細動、早期興奮症候群およびトルサード−ド−ポアン(TdP)を含めた心室性頻脈(VT)の治療を含めた不整脈、労作性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症、急性冠症候群等を含めた狭心症、さらに間欠性跛行を含めた末梢動脈疾患が挙げられる。
S−鏡像異性体の特別な特性
R−鏡像異性体は、本発明の方法における使用に非常に適しているが、また、S−鏡像異性体も、抗虚血薬および抗不整脈薬としての使用に理想的である、独特の特性を有することにも注目しなければならない。実施例8、9および10において論じるように、ラノラジンのS−鏡像異性体は、後期ナトリウムチャネル、IKr、β−ARおよびβ−ARの阻害剤として、R−鏡像異性体またはラセミ体のラノラジンのいずれよりも強力である。その結果として、S−鏡像異性体は、R−鏡像異性体またはラセミ体のラノラジンのいずれよりも強くかつ優れた抗狭心症薬および抗不整脈薬である可能性がある。
これらの2つの鏡像異性体の異なる特性を考慮して、本発明の別の態様では、ラノラジンのR−およびS−の両方の鏡像異性体を、等しくない量で含む投与剤型を提供する。そのような非ラセミ体の組合せの利点は、R−またはS−のいずれかの鏡像異性体の量を変化させることによって、当業者であれば、インスリンが欠乏している患者もしくは心血管疾患に罹患している患者または両方に罹患している患者を治療するために、より優れた効能をもたらす製剤を調製することができるであろう点である。
心血管適応症に対する効力の増加に関するS−鏡像異性体が示す驚くべき利点に基づいて、さらに別の態様では、本発明は、1つまたは複数の心血管疾患または心血管疾患症状に罹患している患者を治療するための方法を提供し、この方法は、有害事象を低減させる方法であり、治療有効最低用量のラノラジンのS−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む。
同時投与
本発明により、ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を、もう1つの抗糖尿病薬と組み合わせて、または2つ以上の抗糖尿病薬と組み合わせて使用して、糖尿病の治療および/または血糖管理の改善を、治療を必要とする患者において行うことができる。この化合物は、個別に投与してもよく、または単一の製剤中で組み合わせて、例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤としても、制御放出性製剤としてもよい。各薬剤の投与量は、疾患の重症度、投与頻度、活用する特定の薬剤および組合せ、ならびに担当の医師が日常的に考慮するその他の要因に依存して変化するであろう。
したがって、別の実施形態では、本発明は、インスリン応答性かつインスリン分泌不全の患者を治療するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体を、少なくとも1つの抗糖尿病薬と組み合わせて患者に投与するステップを含む。
別の実施形態では、本発明は、患者において抗糖尿病療法の有効性を維持するための方法を提供し、この方法は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体を、当該の抗糖尿病薬と組み合わせて患者に投与するステップを含む。
別の実施形態では、本発明は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体、および少なくとも1つの抗糖尿病薬を含む組成物を提供する。
別の実施形態では、また、本発明は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体と、少なくとも1つの抗糖尿病薬とを同時投与するステップを含む方法を提供する。同時投与は、単一の製剤の形態であっても(例えば、ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体および別の抗糖尿病薬を、薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせ、場合により、これら2つの活性成分をそれぞれの放出の速度および持続時間を独立に制御するように設計された、異なる賦形剤混合物中に分離する)、または活性剤を含有する個別の製剤の独立した投与によってもよい。
「同時投与」は、同時的な投与(ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体とその他の抗糖尿病薬とを同一の時に投与する)も、ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体および他の抗糖尿病薬の両方が、少なくとも部分的に重複する時間の間、血漿中に治療有効濃度で存在する限りは、時差投与(ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体を、その他の抗糖尿病薬とは異なる時期に投与する)もさらに含む。
したがって、いくつかの態様では、ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体および(1つまたは複数の)抗糖尿病薬を、単一の製剤として投与することができる。いくつかのその他の態様では、ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体および(1つまたは複数の)抗糖尿病薬を、個別にしかし同時に投与することができる。いくつかのその他の態様では、ラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体および(1つまたは複数の)抗糖尿病薬を、個別にしかし連続して投与することができる。
いくつかの態様では、前記抗糖尿病薬は、スルホニル尿素、DPP−IV阻害剤、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、アルファ−グリコシダーゼ阻害剤、インクレチン模倣薬、PPARガンマ調節物質、二重PPARアルファ/ガンマアゴニスト、RXR調節物質、SGLT2阻害剤、aP2阻害剤、インスリン感作物質、PTP−IB阻害剤、GSK−3阻害剤、DP4阻害剤、インスリン感作物質、インスリン、メグリチニド、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤およびアミリン類似体からなる群から選択される。
スルホニル尿素の例として、これらに限定されないが、トルブタミド、トラザミド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、グリクラジド、グリキドン等が挙げられる。ビグアナイドの例として、これらに限定されないが、メトホルミン、フェンホルミン等が挙げられる。メグリチニドの例として、これらに限定されないが、レパグリニド、ナテグリニド等が挙げられる。PPARガンマ調節物質の例として、これらに限定されないが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン等のチアゾリジンジオンが挙げられる。アルファ−グルコシダーゼ阻害剤の例として、これらに限定されないが、ミグリトール、アカルボース等が挙げられる。インクレチン模倣薬の例として、これらに限定されないが、エクセナチドが挙げられる。DPP−IV阻害剤の例として、これらに限定されないが、ビルダグリプチン、シタグリプチン等が挙げられる。アミリン類似体の例として、これらに限定されないが、プラムリンチドが挙げられる。
いくつかの好ましい態様では、本発明は、インスリン分泌増強量のラノラジンまたはラノラジンのR−鏡像異性体、および少なくとも1つの抗糖尿病薬を含む組成物を提供し、前記抗糖尿病薬は、メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン、クロロプロパミド、グリソキセピド、グリブリド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、グリメピリド、グリクラジド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンベンタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ミグリトール、アカルボース、エクセナチド、ビルダグリプチン、シタグリプチン、レパグリニド、プラムリンチドおよびナテグリニドからなる群から選択される。
有用性試験および投与
一般的な有用性
本発明の方法は、インスリン応答性かつインスリン分泌不全である患者においてグルコース刺激性インスリン分泌を増加させる場合に有用である。この方法はまた、例えば、うっ血性心不全、急性心不全、虚血、再発性虚血、心筋梗塞、すなわちSTEMIおよびNSTEMI、等を含めた心不全、不整脈、労作性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症、急性冠症候群、NSTEACS等を含めた狭心症、糖尿病、ならびに間欠性跛行等の種々の疾患状況について、哺乳動物を治療する場合に有効であるラノラジンのR−鏡像異性体に関しても有用である。
医薬組成物および投与
ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体は通常、医薬組成物の形態として投与する。したがって、本発明は、活性成分としてのラノラジンまたはその薬学的に許容できる塩もしくはエステルと、1つまたは複数の薬学的に許容できる賦形剤、不活性な固体の希釈剤および充填剤を含めた担体、無菌の水溶液および種々の有機溶媒を含めた希釈剤、可溶化剤、ならびにアジュバントとを含有する医薬組成物を提供する。ラノラジンは、単独でまたはその他の治療剤と組み合わせて投与することができる。そのような組成物は、薬学の分野において周知の様式で調製する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、PA、17th Ed. (1985年)、および「Modern Pharmaceutics」、Marcel Dekker, Inc. 3rd Ed.(G.S. Banker & C.T. Rhodes編)を参照されたい)。
ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体は、単回投与または複数回投与のいずれかで、類似の有用性を有する薬剤の一般に認められている投与形態のいずれかによって、例えば、参照により組み込まれている特許および特許出願の記載に従って投与することができる。投与形態として、直腸、頬側、経鼻内および経皮の経路からの投与、動脈内注射による投与、静脈内投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、外用としての投与、吸入薬としての投与、例えば、ステント等の装置または動脈内に挿入する円筒状のポリマーに浸透させるか、またはそれを被覆することによる投与が挙げられる。
坐剤、懸濁剤、Sub−Qおよび外用
坐剤、懸濁剤、皮下投与製剤および外用調製物の代表的な例を、以下に示す。
各25mgの活性成分を含有する坐剤を、以下のように作製することができる。
活性成分を、No.60メッシュU.S.篩を通過させ、最低限必要な熱を使用してあらかじめ融解させた飽和脂肪酸グリセリド中に懸濁させる。次いで、混合物を、名目2.0g最大容積の坐剤用の型内に注入し、冷却させる。
5.0mL用量当たり各50mgの活性成分を含有する懸濁剤を、以下のように作製することができる。
活性成分、スクロースおよびキサンタンガムをブレンドし、No.10メッシュU.S.篩を通過させ、次いで、微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムのあらかじめ作製した水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、芳香剤および着色剤を、水の一部を用いて希釈し、撹拌しながら添加する。次いで、十分な水を添加して、必要な容量とする。
皮下投与製剤を、以下のように調製することができる。
以下の組成を有する外用調製物を調製することができる。
水以外の上記の成分の全てを組み合わせ、撹拌しながら60℃まで加熱する。次いで、十分な分量の60℃の水を激しく撹拌しながら添加し、成分を乳化させ、次いで、水を適量添加して、100gとする。
経口投与製剤
経口投与が、ラノラジンおよびラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体の好ましい投与経路である。投与は、カプセル剤または腸溶性錠剤等によることができる。ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を含む医薬組成物を作製する場合、通常、活性成分を、賦形剤によって希釈し、かつ/またはカプセル、サシェ、紙またはその他の容器の形態をとることができるように担体内部に封入する。賦形剤が希釈剤として働く場合には、賦形剤は、(上記のように)固体、半固体または液体の材料であってよく、こうした材料は、活性成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ドロップ剤、サシェ、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、(固体としてまたは液体媒体中の)エアロゾル剤、例えば、50重量%までの活性化合物を含有する軟膏剤、ゼラチン軟カプセル剤およびゼラチン硬カプセル剤、無菌注射用液剤、および無菌のパッケージされた散剤の形態をとることができる。
カプセル剤および錠剤の代表的な例を、以下に示す。
以下の成分を含有するゼラチン硬カプセル剤を調製することができる。
上記の成分を混合し、ゼラチン硬カプセル中に充填する。
錠剤の製剤を、以下の成分を使用して調製することができる。
構成成分をブレンドし、圧縮して錠剤を形成する。
各30mgの活性成分を含有する錠剤を、以下のように調製することができる。
活性成分、デンプンおよびセルロースを、No.20メッシュU.S.篩を通過させ、十分に混合する。ポリビニルピロリドン溶液を、得られた粉末と混合し、次いで、これを、16メッシュU.S.篩を通過させる。こうして得られた顆粒を、50℃から60℃で乾燥し、16メッシュU.S.篩を通過させる。カルボキシメチルデンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを、あらかじめ30メッシュU.S.篩を通過させ、次いで、顆粒に添加し、これを、混合後に、打錠機上で圧縮して、各120mgの重量の錠剤を得る。
適切な賦形剤のいくつかの例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、無菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられる。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油等の滑沢剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;メチル−およびプロピルヒドロキシ−安息香酸等の保存剤;甘味剤;ならびに矯味剤をさらに含むことができる。
錠剤等の固体の組成物を調製するためには、主たる活性成分を、薬学的賦形剤と混合して、本発明の化合物の均一な混合物を含有する固体の製剤前組成物を形成する。これらの製剤前組成物が均一であるいう場合、活性成分が組成物を通して均一に分散し、したがって、組成物を小分けして、等しく有効な単位投与剤型、すなわち、錠剤、丸剤およびカプセル剤等を容易に得ることができることを意味する。
本発明の錠剤または丸剤は、被覆してもよく、またはそうでなければ、作用を延長させる利点もしくは胃の酸性条件から保護する利点をもたらす投与剤型を得るように作り上げてもよい。例えば、錠剤または丸剤は、内部の投与構成成分と外部の投与構成成分とを含み、後者は、前者上の外皮の形態をとることができる。これら2つの構成成分は、胃における崩壊に抵抗するのに役立ち、内部の構成成分が未変化のまま通過し、十二指腸に達すること、またはその放出を遅延させることを可能にする、腸溶性の層によって分離することができる。多様な材料を、そのような腸溶性の層または被覆のために使用することができ、そのような材料として、いくつかのポリマー性の酸、ならびにポリマー性の酸と、セラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロース等の材料との混合物が挙げられる。
吸入または送気用の製剤
吸入または送気のための組成物には、薬学的に許容できる水性溶媒もしくは有機溶媒またはそれらの混合液中の液剤および懸濁剤、ならびに散剤がある。液体または固体の組成物は、上記に記載した、適切な薬学的に許容できる賦形剤を含有することができる。好ましくは、組成物は、経口経路または経鼻の呼吸系経路により投与して、局所性または全身性の効果を得る。組成物は、好ましくは、薬学的に許容できる溶媒中にあり、不活性ガスの使用によって噴霧することができる。噴霧された液剤を、噴霧装置から直接吸入してもよく、または噴霧装置を、顔面マスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸器につないでもよい。液剤、懸濁剤または散剤の組成物は、製剤を適切な様式で送達する装置から、好ましくは、経口または経鼻により投与することができる。
以下の構成成分を含有する、乾燥散剤の吸入器用製剤の代表的な例を、調製することができる。
活性成分を、ラクトースと混合し、混合物を、乾燥散剤用の吸入器に添加する。
非経口投与
投与形態の1つに、非経口投与、特に注射によるものがある。本発明の新規の組成物を、注射による投与のために組み込むことができる形態には、水性または油性の懸濁剤または乳剤があり、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油もしくは落花生油、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロースまたは無菌の水溶液および類似の薬学的ビヒクルを用いる。また、食塩水中の水性の液剤も、注射のために従来から使用されているが、本発明のからみでは、あまり好ましくない。また、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等(およびそれらの適切な混合液)、シクロデキストリン誘導体、ならびに植物油も利用することができる。適切な流動性を、例えば、レシチン等の被覆を使用すること、分散剤の場合には、必要な粒子サイズを維持すること、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の活動を、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって予防することができる。
無菌の注射用液剤は、本発明の化合物を、必要量で適切な溶媒中に、必要に応じて、上記で列挙した、種々のその他の成分と共に組み込み、それに続いて、ろ過および滅菌することによって調製する。一般に、分散剤は、種々の滅菌した活性成分を、基本的な分散媒体および上記で列挙したものからの必要なその他の成分を含有する無菌のビヒクル中に組み込むことによって調製する。無菌の注射用液剤を調製するための無菌の散剤の場合には、調製の好ましい方法は、活性成分に任意の追加の所望の成分を足し、あらかじめ無菌ろ過した溶液から、それらの散剤を得る真空乾燥または凍結乾燥の技法である。
以下の組成を有する注射用調製物の代表的な例を調製することができる。
IV投与およびステント
ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体の静脈内投与製剤を、以下の無菌充填工程によって製造する。適切な容器中で、デキストロース一水和物の必要量を、注射用水(WFI)中に、最終バッチ重量の約78%で溶解させる。連続して撹拌しながら、ラノラジン遊離塩基の必要量を、デキストロース溶液に添加する。ラノラジンの溶解を促進するために、溶液のpHを0.1Nまたは1Nの塩酸溶液を用いて加減して、目標の3.88〜3.92とする。さらに、0.1N HClまたは1.0N NaOHを活用して、溶液を最終的に加減して、3.88〜3.92の目標のpHとすることができる。ラノラジンが溶解したら、バッチを、WFIを用いて加減して、最終重量とする。製造工程の仕様が満たされていることが確認されたら、ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体のバルク溶液を、2つの0.2μm無菌フィルターを通して無菌ろ過することによって滅菌する。それに続いて、無菌のラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体のバルク溶液を、無菌のガラス製バイアル中に無菌充填し、無菌の栓で無菌的に栓をする。次いで、栓をしたバイアルを、清潔な押し上げ式のアルミニウム製シールで密閉する。
ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体を、本開示に照らして当業者に既知の手順を使用して、ステント中に、例えば、拡散により浸透させるか、またはステント上に、例えば、ゲルの形態等として被覆することができる。
単位投与剤型
組成物は、好ましくは、単位投与剤型として製剤化する。「単位投与剤型」という用語は、ヒト対象およびその他の哺乳動物のための投与単位として適している、物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な薬学的賦形剤と共同して所望の治療効果をもたらすように計算された、あらかじめ決定された分量の活性材料を含有する(例えば、錠剤、カプセル剤、アンプル剤)。
ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体は、広い投与範囲にわたり有効であり、一般に、薬学的有効量で投与する。各投与単位は、経口投与のためには、好ましくは、10mgから3gまでのラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体、より好ましくは、10mgから2gのラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体、より好ましくは、10mgから1500mg、より好ましくは、10mgから1000mgまで、より好ましくは、10mgから700mgまで、かつ非経口投与のためには、好ましくは、10mgから700mgまで、より好ましくは、約50mgから200mgを含有する。
しかし、ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体の実際に投与する量は、治療すべき状態、選ばれた投与経路、投与する実際の化合物およびその相対的な活性、個々の患者の年齢、体重および応答、ならびに患者の症状の重症度等を含めた、関連の状況に照らして医師が決定するものであることを理解されたい。典型的には、単位投与剤型を、1日1、2、3または4回投与する。単位投与剤型は、食前、食事と共に、または食後に服用することができる。
急速放出および持続放出
1つの実施形態では、ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体は、患者への投与後、活性成分の急速放出、持続放出または遅延放出、特に、当技術分野で既知の手順を利用することによる持続放出をもたらすように製剤化する。別段の言及がない限り、本明細書および実施例において使用する血漿ラノラジン濃度は、ラノラジンの遊離の塩基のラノラジンまたはR−もしくはS−鏡像異性体を指す。経口投与のための制御放出性薬物送達システムには、浸透圧ポンプシステム、およびポリマー被覆リザーバもしくは薬物−ポリマーのマトリックス製剤を含有する溶解システムがある。制御放出性システムの例は、米国特許第3,845,770号;第4,326,525号;第4,902,514号;および第5,616,345号に提供されている。
ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体は、急速放出と持続放出または遅延放出との組合せを提供するように製剤化することを企図する。この実施形態では、持続放出性または制御放出性のコアを、即時放出性の層を用いて覆うことができる。この型の製剤は、大量の食事の前に服用し、それによって、投与直後に食事に応答するインスリン分泌の増加をもたらし、その後に持続放出が伴うことができるであろうことから、好都合であろう。また、被覆およびコアのこの型の製剤を使用して、上記で論じた1つまたは複数の抗糖尿病薬を含む製剤を調製することもできる。
本発明の方法において使用するための別の製剤は、経皮送達装置(「パッチ」)を利用する。そのような経皮パッチを使用して、本発明の化合物を、制御された量で連続的または不連続的に注入することができる。薬剤の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当技術分野ではよく知られている。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号および第5,001,139号を参照されたい。そのようなパッチは、薬剤の連続的な、拍動性のまたは応需型の送達のために構築することができる。
本発明の好ましい持続放出性製剤は、好ましくは、化合物と、胃内のpH(典型的には約2)および腸内のpH(典型的には約5.5)の範囲にわたり水性媒体中での溶解速度を制御する、部分的に中和されたpH依存性の結合剤との密接な混合物を含む圧縮錠剤の形態をとる。持続放出性製剤の例が、それらの完全な開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,303,607号;第6,479,496号;第6,369,062号;および第6,525,057号に開示されている。
ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体の持続放出をもたらすために、1つまたは複数のpH依存性の結合剤を選んで、化合物の溶解プロファイルを制御し、その結果、製剤が胃および消化管を通過するにつれて、薬物を緩慢かつ連続的に放出する。(1つまたは複数の)pH依存性の結合剤の溶解制御能力は、持続放出性製剤中では特に重要である。これは、1日2回の投与に十分な化合物を含有する持続放出性製剤が、化合物があまりに迅速に放出されると、都合の悪い副作用を引き起こす(「用量ダンピング」)恐れがあるからである。
したがって、本発明における使用に適したpH依存性の結合剤は、胃(pHが約4.5未満である)内に存在する間は、錠剤からの薬物の迅速な放出を阻害し、下部消化管(pHが一般に、約4.5超である)内では、投与剤型からの治療量の化合物の放出を促す結合剤である。薬学の分野で「腸溶性」の結合剤および被覆剤として知られている多くの材料が、所望のpH溶解特性を有する。これらには、ビニルポリマーおよびコポリマーのフタル酸誘導体等のフタル酸誘導体、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、酢酸セルロース、酢酸ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、酢酸アルキルセルロース、ならびにそれらの部分エステル、さらに低級アルキルアクリル酸および低級アルキルアクリレートのポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの部分エステルがある。
化合物と組み合わせて使用して、持続放出性製剤を生み出すことができる、好ましいpH依存性の結合剤材料は、メタクリル酸コポリマーである。メタクリル酸コポリマーは、メタクリル酸と、エチルアクリレートまたはメチルメタクリレート等の中性のアクリル酸のまたはメタクリル酸のエステルとのコポリマーである。最も好ましいコポリマーは、メタクリル酸コポリマー、C型、USP(これは、メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマーであり、46.0%から50.6%のメタクリル酸単位を有する)。そのようなコポリマーは、Rohm PharmaからEudragit(登録商標)L100−55(粉末として)またはL30D−55(水中の30%分散剤として)として市販されている。持続放出性製剤の投与剤型中で単独でまたは組み合わせて使用することができる、その他のpH依存性の結合剤材料には、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースフタレート、酢酸セルロースフタレート、ポリ酢酸ビニルフタレート、ポリビニルピロリドンフタレート等がある。
1つまたは複数のpH非依存性の結合剤を、経口投与剤型としての持続放出性製剤中で使用することができる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、中性ポリ(メタ)クリル酸エステル等のpH依存性の結合剤および増粘剤は、それら自体では、同定したpH依存性の結合剤によってもたらされる、必要な溶解制御をもたらすことができないことに注目すべきである。pH非依存性の結合剤は、本発明の製剤中に、約1から約10wt%に及ぶ量、好ましくは、約1から約3wt%に及ぶ量、最も好ましくは、約2.0wt%で存在することができる。
表1に示すように、ラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体は、約6.5を上回るpHを有する水溶液中では比較的不溶性であるが、溶解性は、約pH6を下回ると、劇的に増加し始める。
製剤中のpH依存性の結合剤の含有量が増加すると、胃内に見い出されるpHに典型的な4.5を下回るpHにおいては、製剤からの、持続放出性形態の化合物の放出速度が減少する。結合剤によって形成した腸溶性被覆は、溶解性がより低く、化合物の溶解性がより低くなるpH4.5より上の相対的な放出速度を増加させる。pH依存性の結合剤を適切に選択することによって、低いpHにおける放出に大きな影響を及ぼす一方で、pH4.5より上では、製剤からの化合物のより急速な放出が可能になる。結合剤の部分的な中和が、結合剤の、個々の顆粒の周りに形成するラテックス様被膜への変換を促進する。したがって、pH依存性の結合剤の型および分量ならびに部分的に中和されている組成物の量を選んで、製剤からの化合物の溶解速度を綿密に制御する。
本発明の投与剤型は、持続放出性製剤をもたらすのに十分な分量のpH依存性の結合剤を有する必要がある。この製剤からの化合物の放出速度は、低いpH(約4.5未満)では、溶解速度が顕著に緩慢になるように制御される。メタクリル酸コポリマー、C型、USP(Eudragit(登録商標)L100−55)の場合、pH依存性の結合剤の適切な分量は、5%から15%である。典型的には、pH依存性の結合剤は、約1から約20%の結合剤のメタクリル酸のカルボキシル基が中和されている。しかし、中和の程度は、約3から6%の範囲であることが好ましい。持続放出性製剤はまた、化合物およびpH依存性の結合剤と密接に混合した薬学的賦形剤も含有することができる。
薬学的に許容できる賦形剤として、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、中性ポリ(メタ)クリル酸エステル(例えば、Eudragit(登録商標)NEの商標下、Rohm Pharmaから販売されているメチルメタクリレート/エチルアクリレートのコポリマー、デンプン、ゼラチン、糖カルボキシメチルセルロース等のpH非依存性の結合剤または被膜形成剤を挙げることができる。その他の有用な薬学的賦形剤には、ラクトース、マンニトール、乾燥デンプン、微結晶セルロース等の希釈剤;ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ソルビタンエステル等の表面活性剤;ならびに着色剤および矯味剤がある。潤滑剤(タルクおよびステアリン酸マグネシウム等)、ならびにその他の打錠補助剤も、場合により存在する。
本発明の持続放出性製剤は、約35重量%から約95重量%以上、約50重量%から約95重量%以上、より好ましくは、約70%から約90重量%、最も好ましくは、約70から約80重量%の活性化合物の含有量;5%から40%,好ましくは、5%から25%、より好ましくは、5%から15%のpH依存性の結合剤の含有量を有し;投与剤型の残部は、pH非依存性の結合剤、充填剤および場合によりその他の賦形剤を含む。
1つの特に好ましい本発明の持続放出性製剤を、以下の表2に示す。
本発明の持続放出性製剤を、以下のように調製する。化合物およびpH依存性の結合剤ならびに場合により任意の賦形剤を密接に混合する(乾燥状態でブレンドする)。次いで、乾燥状態でブレンドした混合物を、ブレンドした粉末中にスプレーした強塩基の水溶液の存在下で顆粒化する。顆粒を乾燥し、篩にかけ、場合により滑沢剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウム等)と混合し、圧縮して錠剤とする。好ましい強塩基の水溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウムの水溶液である(場合により、25%までの低級アルコール等の水混和性溶媒を含有する)。
得られた錠剤は、同定、味のマスクの目的のため、および嚥下を容易にするために、場合により被膜形成剤を用いて被覆することができる。典型的には、被膜形成剤は、錠剤重量の2%から4%の範囲の量で存在する。適切な被膜形成剤は、当技術分野ではよく知られており、これらには、ヒドロキシプロピル.メチルセルロース、カチオン性メタクリレートコポリマー(ジメチルアミノエチルメタクリレート/メチル−ブチルメタクリレートのコポリマー−Eudragit(登録商標)E−Rohm.Pharma)等がある。これらの被膜形成剤は、場合により、着色剤、可塑剤およびその他の補助的な成分を含有してよい。
圧縮錠剤は、好ましくは、8Kpの圧縮に耐えるのに十分な硬度を有する。錠剤のサイズは、主として、錠剤中の化合物の量によって決まる。錠剤は、300から1100mgの化合物の遊離の塩基を含む。好ましくは、錠剤は、400〜600mg、650〜850mg、および900〜1100mgの範囲の量の化合物の遊離の塩基を含む。
溶解速度に影響を与えるために、化合物を含有する粉末を湿潤混合する時間を制御する。好ましくは、全体的な粉末混合時間,すなわち、粉末が水酸化ナトリウム溶液に曝される時間は、1から10分、好ましくは、2から5分の範囲である。顆粒化に続き、粒子を顆粒製造機から取り出し、流動床乾燥機中に入れ、約60℃で乾燥する。
化合物を、薬学的により一般的な二塩酸塩、または別の塩もしくはエステルとしてではなく、その遊離の塩基として使用する場合、これらの方法により、より低い最大血漿レベルをもたらし、かつそれにもかかわらず、投与後上限12時間以上の間、化合物の有効血漿濃度をもたらす持続放出性製剤が得られることが見い出されている。遊離の塩基の使用は、少なくとも1つの利点をもたらす。すなわち、遊離の塩基の分子量が、その二塩酸塩の分子量のわずか85%に過ぎないので、錠剤中の化合物の比率を増加させることができる。このようにして、投与単位の物理的なサイズを制限しながら、有効量の化合物の送達が達成される。
R−鏡像異性体に特異的な単位投与剤型
静脈内投与製剤
1つの態様では、本発明は、選択された濃度のR−ラノラジンを含む静脈(IV)用液剤を提供する。具体的には、IV用液剤は、薬学的に許容できる水溶液1ミリリットル当たり、好ましくは、約1.5から約3.0mg、より好ましくは、約1.8から約2.2mg、さらにより好ましくは、約2mgのR−ラノラジンを含む。
経口投与製剤
1つの実施形態では、R−ラノラジンの製剤は、経口投与製剤である。1つの実施形態では、R−ラノラジンの経口投与製剤は、錠剤である。1つの実施形態では、R−ラノラジンの錠剤は、500mgまでである。好ましい実施形態では、R−ラノラジンの錠剤は、375mgおよび/または500mgである。
ラノラジンの経口投与製剤は、いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,303,607号および米国特許出願公開第2003/0220344号において十分に論じられている。
治療レベルの閾値を上回りかつ最大耐性レベルを下回る血漿ラノラジンレベルを維持するためには、本発明のR−ラノラジンの持続放出性経口投与製剤を、24時間の期間に1、2または3回投与する。こうしたレベルは、患者中、好ましくは、約550から7500ng塩基/mLの血漿レベルである。好ましい実施形態では、血漿ラノラジンレベルは、約1500〜3500ng塩基/mLの範囲である。
好ましい血漿ラノラジンレベルを達成するためには、本明細書に記載するR−ラノラジンの経口投与剤型を、1日1回または2回投与することが好ましい。投与剤型を、1日2回投与する場合には、R−ラノラジンの経口投与剤型を、約12時間の間隔で投与することが好ましい。
本発明の持続放出性経口投与剤型を、血漿ラノラジンレベルを制御する様式で製剤化および投与することに加え、また、血漿ラノラジンレベルの山と谷との間の差を最小限に抑えることも重要である。典型的には、血漿ラノラジンレベルの山には、投与剤型を最初に摂取した約30分から8時間以上までの後に達し、一方、血漿ラノラジンレベルの谷には、次に予定される投与剤型の摂取時の頃に達する。本発明の持続放出性投与剤型を、山のラノラジンレベルが、谷のラノラジンレベルの8倍未満の高さ、好ましくは、谷のラノラジンレベルの4倍未満の高さ、好ましくは、谷のラノラジンレベルの3倍未満の高さ、最も好ましくは、谷のラノラジンレベルの2倍未満の高さとなる様式で投与することが好ましい。
本発明のR−ラノラジンの持続放出性製剤は、血漿ラノラジン濃度の変動を最小限に抑え、かつ多くても1日2回の投与を可能にするという治療上の利点をもたらす。製剤は、単独で、もしくは治療に有効な血漿ラノラジン濃度の迅速な達成が所望される場合には、(少なくとも最初は)即時放出性製剤と組み合わせて投与してもよく、または可溶性IV投与製剤および経口投与剤型によって投与してもよい。
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに理解が深まる。以下の実施例は、本発明を例示するためだけのものである。本発明は、例示した態様によって範囲が制限されることはない。例示した態様は、本発明の単一の態様を説明するためだけのものである。機能的に等価である方法はいずれも、本発明の範囲に属する。本明細書に記載するものに加えて、本発明の種々の改変形態が、前述の説明および付随する図から当業者には明らかになるであろう。そのような改変形態は、添付の特許請求の範囲に属する。
(実施例1)
ラット単離膵島におけるラノラジンまたはラノラジンのR−もしくはS−鏡像異性体のGSISに対する効果
図1は、ラット単離膵島におけるラノラジンのGSISに対する効果を示す。ラットの島を、雄のSprague−Dawley(SD)ラット(8〜12週齢、n=6)から、Yang Z.ら、Transplantation、2004年、77巻、55〜60頁による記載に従って単離し、完全RPMI1640中に一晩維持した。インスリン分泌アッセイを、基本的には、Liu D. ら、Steroids、2006年、71巻、691〜699頁による以前の記載に従って実施した。手短にいうと、実験前に、島を、3mMグルコースを含有するクレブス−リンゲル炭酸水素緩衝液(KRB;129mM NaCl、4.8mM KCl、1.2mM MgSO、1.2mM KHPO、2.5mM CaCl、5mM NaHCO、0.1%BSA、10mM HEPES、pH7.4)中で、30分間あらかじめインキュベートし、その後に次いで、島を洗浄し、24ウエルプレート(50島/ウエル)中において、三つ組みで、種々の濃度のラノラジンまたはビヒクルの存在下、3mMグルコースまたは20mMグルコースを有する、酸素処理したKRB緩衝液中、37℃で60分間インキュベートした。実験試料中に分泌されたインスリンを、RIAキット(Mercodia、ノースカロライナ州)によって測定した。
目下の研究における全てのインスリン分泌データを、島当たりのインスリン分泌に正規化した。ラノラジンに対するインスリン分泌の応答は二相性であった。より低い濃度(1nMから1μM)においては、ラノラジンは、インスリン分泌を、濃度依存性の様式で増加させた(2〜5倍)。10μMの濃度においては、ラノラジンは、GSISに対して顕著な効果を示さず、すなわち、インスリン放出量は、20mMグルコースの場合に観察されたインスリン放出量とあまり差がなかった。
上記に記載した手順を使用して、ラノラジンのR−およびS−鏡像異性体を、ラット単離膵島において試験して、ラノラジンのR−およびS−鏡像異性体のGSISに対する効果を示した。
(実施例2)
ラットにおけるラノラジンのインスリンレベルに対する効果
図2は、正常SDラットにおいて実施した静脈内グルコース負荷試験(IVGTT)の間の血漿インスリンレベルを示す。各ラットに対して、IVGTTを、Hendrickら、Metabolism、42巻(l号):1〜6頁、1993年の方法に従って行った。ラットを一晩絶食させてから、試験を行った。11匹のラットの1群には、グルコース負荷に先立って食塩水のみを与え、一方、7匹のラットの第2の群には、グルコース負荷に先立ってラノラジンを与えた。グルコースは、ゼロ時に投与し、ラノラジンは、グルコースの30分前に、15mg/kg体重の用量で投与した。次いで、血中インスリン濃度を、−30、0、2、4、7、15および30分において測定した。時間対ベースラインに対するインスリンレベルのプロットから見られるように、インスリンレベルは、ビヒクル処理ラットと比較した場合、ラノラジンを用いて処理したラットの場合がより高かった。
(実施例3)
ラットにおけるラノラジンの鏡像異性体のインスリンレベルに対する効果
図3は、正常SDラットにおいて実施した静脈内グルコース負荷試験(IVGTT)の間のインスリンレベルを示す。手順は、上記の実施例2で記載したものを使用した。時間対ベースラインに対するインスリンレベルのプロットから見られるように、インスリンレベルは、ビヒクル処理ラットと比較した場合、ラノラジンのR−鏡像異性体を15mg/kgで用いて処理したラットの場合がより高かった。S−鏡像異性体の場合、インスリン応答は、ビヒクル処理ラットと差がなかった。
(実施例4)
ヒトの島におけるラノラジンのR−またはS−鏡像異性体のGSISに対する効果
図4は、1人のドナーから単離したヒト膵島におけるラノラジンのR−鏡像異性体(「R−」と指定)およびラノラジンのS−鏡像異性体(「S−」と指定)のGSISに対する効果を示す。ヒトの島について使用した手順は、インキュベーション期間が実施例1で使用した60分に代わって30分である以外は、上記の実施例1で使用した手順と同一であった。
(実施例5)
ヒトの島におけるラノラジンのGSISに対する効果
図5は、単離ヒト膵島における(±)ラノラジンのGSISに対する効果を示す。ヒトの島について使用した手順は、インキュベーション期間が実施例1で使用した60分に代わって30分である以外は、上記の実施例1で使用した手順と同一であった。「n」は、ドナーの数である。
(実施例6)
ラセミ体のラノラジンのCYP2D6に対する効果
ラセミ体のラノラジンのCYP2D6に対する効果を、リン酸カリウム、pH7.4(最終濃度=100mM)、0.163mM NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、1.64mM G−6−P(グルコース−6−リン酸)および0.4単位/mLグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有するNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型)再生混合液、CYP2D6特異的マーカー基質(ブフラロール、12.5μMもしくはデキストロメトルファン、10μM)、ラノラジン(10、25、50、100、250、500、1000μM)、または既知のCYP2D6阻害剤(キニジン、1μM)、ならびにヒト肝臓ミクロソーム(HLM)タンパク質(0.5mg/mL)を含有するインキュベーション混合液を使用して試験した。基質、緩衝液および酵素を、37℃であらかじめ加温した。次いで、あらかじめ加温したNADPH再生系を添加し、試料を穏やかに混合し、30分間インキュベートした。ラノラジンの、1−ヒドロキシ−ブフロロール(bufurolol)を形成するCYP2D6マーカー反応に対する効果、およびデキストロファン(dextrophan)をタンデム質量分析アッセイによってモニターした。既知のCYP2D6阻害剤であるキニジンを、正の対照として含めた。負の対照試料は、ラノラジンまたは既知の阻害剤以外の全ての構成成分からなった。インキュベーションを、二つ組みで実施した。(遊離の塩基の形態の)ラセミ体のラノラジンは、324のIC50(μM)を有することが見い出された。
(実施例7)
ラノラジンのR−およびS−鏡像異性体のCYP2D6に対する効果
インキュベーション混合液は、リン酸カリウム、pH7.2(最終濃度=100mM)、塩化マグネシウム(5mM)、NADPH(1mM)、CYP2D6特異的マーカー基質(ブフラロール、25μM)、(R)または(S)−ラノラジン(10、25、100、250、1000μM)または既知のCYP2D6阻害剤(キニジン、5μM)、ならびにヒト肝臓ミクロソーム(HLM)タンパク質を含有した。NADPH以外の全ての試薬を組み合わせて、37℃で2〜3分間あらかじめインキュベートした。反応を、NADPHの添加によって開始し、20分間インキュベートした。CYP2D6マーカー反応、すなわち、ブフラロールの1−ヒドロキシル化をモニターした。既知のCYP2D6阻害剤であるキニジンを、正の対照として含めた。負の対照試料は、ラノラジン以外の全ての構成成分からなった。インキュベーションを、正の対照以外の各条件について三つ組みで行い、正の対照につては、二つ組みで実施した。(遊離の塩基の形態の)R−ラノラジンは、430のIC50(μM)を有することが見い出された。(遊離の塩基の形態の)S−ラノラジンは、130のIC50(μM)を有することが見い出された。
(実施例8)
ラノラジンならびにラノラジンのR−およびS−鏡像異性体の、β1ならびにβ2−アドレナリン作動性受容体に対する効果。
この実施例の目的は、種々の組織および細胞系における、ラノラジンならびにそのS−およびR−鏡像異性体の、βならびにβ−アドレナリン作動性受容体(AR)に対する親和性ならびに効力を示すことである。放射性リガンド結合技法を使用して、β−およびβ−ARに対する特異的な放射性リガンドの結合について、ラット心室およびモルモット肺からそれぞれ調製した膜を使用して、これらの化合物の競合を決定した。ラノラジンの親和性(K値)は、β−およびβ−ARのそれぞれに対して、8.6および14.8μMであった。β−およびβ−ARのそれぞれに対して、S−鏡像異性体は、4.8および6.7μMのK値を有し、より高い親和性を示し、一方、R−鏡像異性体は、>100および39.0μMのK値を有し、はるかにより低い親和性を示した。
ラットC6神経膠腫細胞(大部分β−ARを発現する)およびDDTi MF−2ハムスター平滑筋細胞(大部分β−ARを発現する)における、ラノラジンならびにそのS−およびR−鏡像異性体の、cAMPの蓄積に対する効果を決定した。これらの化合物はいずれも、アゴニスト活性を何ら示さなかった。すなわち、これらの化合物はそれ自体では、cAMPの蓄積を増加させなかった。しかし、これらの化合物の存在下では、cAMPのイソプロテレノール誘発性の増加についての濃度−応答曲線が、右にシフトしたが、最大応答の明らかな低下は見られなかった。このことから、これらの化合物は、β−およびβ−ARの競合的なアンタゴニストであることが示された。アンタゴニスト(ラノラジン)の複数の濃度について、または鏡像異性体の単一の濃度について、シルドの式を使用すると、ラノラジンならびにそのS−およびR−鏡像異性体のK値は、(β−ARについては)9.7、8.0および>50μMであり、(β−ARについては)12.2、9.0および>50μMであった。要約すると、ラノラジンならびにそのS−およびR−鏡像異性体は、β−およびβ−ARの競合的なアンタゴニストでありS−鏡像異性体が、全てのうち、最も高い結合親和性を示した。
(実施例9)
ラノラジンのR−およびS−鏡像異性体のIKr、IKsおよびINaに対する効果。
この実施例の目的は、ラノラジンのR−およびS−鏡像異性体のIKr、IKsおよび後期INaに対する効果を実証することである。全細胞電流を、単離したイヌ左心室midmyocrdial細胞から、37℃で記録した。IKrおよびIKsを、標準的な脈拍プロトコールの間に記録した。300および2000ミリ秒の基本周期長(BCL)において記録した活動電位を、電位要求の間のコマンド波形として使用して、後期INaを測定した。鏡像異性体の効果を、3、10および30μMの濃度において決定した。
後期INaを、活動電位の電位要求のプラトーおよび最後の再分極の間に、2つの電位において評価した。S−およびR−ラノラジンは、後期INaを、濃度依存性の様式で阻害した。ラセミ体のラノラジンとまさしく同様に、鏡像異性体による阻害は、プラトー電位および迅速な刺激の間において最大であった。300のBCLにおいては、S−ラノラジンおよびR−ラノラジンによる後期INaの半抑制濃度(IC50)はそれぞれ、5±0.4μMおよび8±2.6μMで生じた(R対S、n.s.)。IKrについては、IC50は、S−ラノラジンの場合、10±2μMであり、R−ラノラジンの場合、28±4μMであった(r対S;p<0.05)。IKsは、30μMのS−ラノラジンによって27%減少し、一方、同一濃度のR−ラノラジンは、IKsをわずか5%だけ減少させたに過ぎなかった(p<0.004)。比較すると、ラセミ体のラノラジンは、5μMの後期INaについてのIC50、11μMのIKrについてのIC50、および>100μMのIC50値を有することが示されている(Zygmuntら(2002年)Pacing Clin.Electrnphysiol、25巻、11〜626頁、Abstractを参照されたい)。結論として、R−ラノラジンにより、より弱いIKrおよびIKsの遮断を生じ、S−ラノラジンまたはこの薬物のラセミ体によって生じるものとほぼ同等の後期INaの阻害を生じる。
(実施例10)
ラノラジンならびにラノラジンのR−およびS−鏡像異性体の、LV MAPDに対する効果
この実施例の目的は、ラノラジンならびにラノラジンのR−およびS−鏡像異性体の、左心室の単相性活動電位持続時間(LV MAPD)、MAPDの領域的なLV分散(尖部−底部)、および催不整脈に対する効果を示すことである。雌ウサギ単離心臓を、改変したK−H溶液を用いて灌流し、完全房室ブロックを外科的に誘発した後、1Hzの一定速度でペーシングした。底部および尖部からのLV MAPを、MAP用接触電極を使用して測定した。ラノラジン(1〜100μM)は、底部および尖部のMAPD90の類似の濃度依存性の延長を引き起こした。すなわち、それぞれが、32±4%および35±4%対照を上回って延長し、4.3および4.8μmol/LのEC50を示した(n=7)が、領域的なMAPDの分散の増加も、早発性の心室拍動(PVB)および心室性頻脈(VT)の惹起も伴わなかった。ラノラジンの鏡像異性体であるRおよびSは、MAPD90を延長し、22±5および28±4%の最大延長を示した(それぞれ、n=11および9)。
材料
ラノラジン、すなわち、(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−(4[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−1−ピペラジン(ロット番号E4−NE−002)、ラノラジンのR−異性体(ロット番号SAR−224−12−6)、およびS−異性体(ロット番号SAR−224−24−11)を、CV Therapeutics,Inc.のBio−organic Chemistry Department(Palo Alto、カリフォルニア州)が合成した。E−4031(1−[2−(6−メチル−2−ピリジル)エチル]−4−メチルスルホニルアミノベンゾイル)ピペリジン、ロット番号E−04)、およびATX−II(anemonia sulcata、ロット番号AT−04)は、Alomone Labs(Jerusalem、イスラエル)から購入した。ジメチルスルホキシド(100%DMSO;Sigma、St.Louis、ミズーリ州)を使用して、40mmol/L濃度のラノラジンならびにそのRおよびS異性体の原液を調製した。ATX−llおよびE−4031を食塩水中に溶解させて、それぞれ、10μmol/Lおよび1mmol/Lで原液を調製した。全ての溶液を、−4から−20℃で保管し、生理食塩水で希釈してから使用した。心臓を灌流するために使用する最終溶液中の最終DMSO含有量は、<0.1%であった。雌ウサギ(New Zealand White、2.5〜3.5kg)を、Western Oregon Rabbitry(Philomath、オレゴン州)から入手した。動物の使用は、CV Therapeutics,Inc.のInstitutional Animal Care and Use Committeeによって、審査され、承認された。
実験用調製物
各動物を、6mg/kgのキシラジンi.m.および40mg/kgのケタミンi.m.を使用して鎮静させ、次いで、辺縁部の耳静脈から、「カクテル」(1.5mL食塩水中の15mg/kgのケタミン+4mg/kgのキシラジン)i.v.によって麻酔した。胸部を、素早く開いた。心臓を切除し、改変したクレブス−ヘンセレイト(K−H)溶液中に室温で置いた。K−H溶液は、以下を含有した(mmol/L):NaCl 118、KCl 2.8、KHPO 1.2、CaCl 2.5、MgSO 0.5、ピルビン酸 2.0、グルコース 5.5、NaEDTA 0.57、およびNaHCO 25。溶液に、95%Oおよび5%COを用いて連続的にガスを供給し、溶液のpHは、加減して7.4とした。大動脈を迅速にカテーテル処置し、心臓を、ランゲンドルフの方法によって、36〜36.5℃まで加温したK−H溶液を用いて、ローラーポンプ(Gilson Minipuls3、Middleton、ウィスコンシン州)により20mL/分の速度で灌流した。灌流圧力を、(Biopac MP150圧力変換器、Goleta、カリフォルニア州を用いて)大動脈カテーテルのサイドポートから測定した。左心室(LV)チャンバーから流体が出ていくのを促進するために、僧帽弁の尖端部を、微細な、ばね付きハンドルのはさみを用いて刈り込んだ。右心房壁は、AV結節アブレーションのために一部除去して、AV伝導をブロックした。
完全AVブロックは、AV結節領域の外科的アブレーション(加熱)によって引き起こした。良好なAV結節アブレーションの後には、自発的な心拍数(すなわち、心室補充収縮)は、1分当たり数回であった。双極のテフロン(登録商標)被覆電極を、右心室中隔上に置いて、心臓をペーシングした。幅3ミリ秒および3倍閾値振幅の電気的刺激を、Grass S48刺激装置(W.Warwick、ロードアイランド州)を使用して、ペーシング用電極に1Hzの周波数で送達した。
心室ペーシング開始後、心臓の鼓動および灌流圧力が定常状態、すなわち、質の高いの単相性活動電位(MAP)を記録するための必須の実験条件に達するまでに、30〜40分を要した。実験プロトコールの全持続時間を、2.5時間に制限した。この間、調製物は、良好な安定性を示した。
シグナルの記録および処理
Harvard Apparatus Inc.(Holliston、マサチューセッツ州)製の単相性活動電位(MAP)用およびECG用電極を使用して、左心室MAPおよび双極ECGを記録した。2つのMAP用電極を、心外膜心室自由壁上で、房室弁のレベルより下に置いて、底部MAPおよび尖部MAPのシグナルをそれぞれ記録した。MAP用電極は、電極とLV心外膜表面との接触を維持するためのばねを有する円形ホルダーにつなぐ、圧力により接触させるAg−AgCl電極である。電極シグナルは、増幅し、コンピュータモニター上に表示して、実験を通して、視覚的にモニターした。(1つまたは複数の)薬物に対する各応答が定常状態に達したことを確認してから、薬物濃度を変化させるために、MAPの持続時間(脱分極の開始から100%の再分極まで)を、画面上のキャリパーを使用して、各薬物の灌流の期間を通して測定した。シグナルを、その後の解析のために、コンピュータのハードディスク上に保存した。双極心電図(ECG)を、Biopac増幅システムにつなげた、単離した心臓用のECG機器(Harvard Apparatus、Hollistonマサチューセッツ州)を使用して得た。冠動脈の灌流圧力を、圧力変換器(BiopacまたはPowerLabの圧力測定システム)を使用して測定した。MAP、ECGおよび冠動脈の灌流圧力(CPP)のシグナルを、(Biopac MP 150、Goleta、カリフォルニア州を使用して)リアルタイムで、適切に増幅、フィルター、サンプリングおよびデジタル化し、コンピュータスクリーン上に表示した。全てのシグナルを、その後の解析のために、コンピュータのハードディスク上に保存した。
3〜5回の連続した拍動の元々のMAPプロファイルを重ね合せて、コンピュータソフトウエア(Biopac、Goleta、カリフォルニア州)を使用して1つの平均シグナルを得、次いで、Microsoft Excelのソフトウエアに移し、プロットして、再分極が90%完了したレベルにおけるMAPの持続時間を測定した(MAPD90)。
除外の判定基準
平衡化期間の間に、以下のいずれかの問題が生じた場合、調製物をこの研究から除外した:(1)不安定な冠動脈灌流圧力;(2)AV結節アブレーション後の持続性の心室性期外収縮(PVB)もしくは心室性頻脈;(3)心臓に対する肉眼で見える解剖学的損傷;または(4)不安定なMAPシグナル。全ての調製物の約5%を除外した。
統計学的解析
全てのデータを、平均±SEMとして報告する。濃度−応答曲線を、Prism Version 3.0(GraphPad、San Diego、カリフォルニア州)を使用して解析した。薬物処理の前および後で同一の心臓から得た測定値を比較するために、反復測定一元配置分散分析(ANOVA)を使用した(SigmaStat、イリノイ州)。ANOVAから値間の有意な差が明らかになった場合、スチューデント−ニューマン−クールズの検定およびスチューデントのt−検定を適用して、群平均のどの対が有意に異なるかを決定した。2つの群平均間の有意な差は、p<0.05と定義した。薬物の効果は時には、異なる心臓における薬物に対する応答の解釈を促進するために、対照からのパーセント変化として計算した。
ラノラジンならびにR−およびS−鏡像異性体を用いた試験
ラノラジンならびにそのR−およびS−鏡像異性体の濃度を増加させて(各薬物の濃度範囲は、0.1〜100μmol/Lであった)ウサギ心臓中に累積的な様式で灌流した。ラノラジン濃度を変化させる毎に7〜15分間かけて、濃度−MAPD90応答曲線を構築するための定常状態効果を達成した。全ての心臓を、実験手順を通して1Hzでペーシングした。最大MAP延長を、各濃度の薬物の灌流の間に測定した。
LVの底部および尖部のMAPを、実験を通して同時に記録した。90%完了である再分極のレベルにおける、心臓の底部および尖部からのMAPの持続時間(MAPD90)を測定して、各薬物が引き起こしたMAP延長、領域的なLV MAPD分散を比較した。
ラノラジンは、1Hzでペーシングしたウサギ左心室から記録したMAPD90を、濃度依存性の様式で延長した。30〜100μmol/Lのラノラジン濃度において、底部および尖部のMAPD90の最大延長はそれぞれ、32.2±4.2%および35.2±4.1%対照(薬物なし)を上回り、両者は類似していた(n=7、p<0.01)。ラノラジンの、LV MAPD90(底部および尖部)を延長する推定効力(EC50値)はそれぞれ、4.3および4.8μmol/Lであった。ラノラジンは、いずれの濃度においても、EAD、PVBまたはVTのいずれをも誘発しなかった。
また、ラノラジンの鏡像異性体であるRおよびSも、MAPD90を延長し、それぞれ、22±5および28±4%の最大延長を示した。RおよびS異性体の、LV MAPD90を延長するEC50はそれぞれ、6.4および5.9μmot/Lであり、このことから、S異性体がR異性体よりも強力であることが示されている。

Claims (45)

  1. 内因性インスリンのレベルを、その増強を必要とする患者において増強するための方法であって、ラノラジンのラセミ体またはR−もしくはS−鏡像異性体としての、インスリン分泌増強量のラノラジンを前記患者に投与するステップを含む方法。
  2. 前記患者が、インスリン応答性かつインスリン分泌不全である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が、前糖尿病、またはそうでなければ、糖尿病に罹患する素因がある、請求項2に記載の方法。
  4. 前記患者が、II型糖尿病に罹患している、請求項2に記載の方法。
  5. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラセミ体の形態である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラノラジンのR−またはS−鏡像異性体の形態である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラノラジンのR−鏡像異性体の形態である、請求項6に記載の方法。
  8. 患者へのインスリン投与の量および/または頻度を減少させるための方法であって、ラノラジンのラセミ体またはR−もしくはS−鏡像異性体としての、インスリン分泌増強量のラノラジンを前記患者に投与するステップを含む方法。
  9. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラセミ体の形態である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラノラジンのR−鏡像異性体の形態である、請求項8に記載の方法。
  11. 糖尿病患者を治療するための方法であって、ラノラジンのラセミ体またはR−もしくはS−鏡像異性体としての、インスリン分泌増強量のラノラジンを、少なくとも1つの抗糖尿病薬と組み合わせて、前記患者に投与するステップを含む方法。
  12. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラセミ体の形態である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラノラジンのR−鏡像異性体の形態である、請求項11に記載の方法。
  14. 患者において抗糖尿病療法の有効性を維持するための方法であって、ラノラジンのラセミ体またはR−もしくはS−鏡像異性体としての、インスリン分泌増強量のラノラジンを、前記抗糖尿病薬と組み合わせて、前記患者に投与するステップを含む方法。
  15. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラセミ体の形態である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラノラジンのR−鏡像異性体の形態である、請求項14に記載の方法。
  17. ラノラジンのラセミ体またはR−もしくはS−鏡像異性体としての、インスリン分泌増強量のラノラジン、および少なくとも1つの抗糖尿病薬を含む組成物。
  18. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラセミ体の形態である、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記インスリン分泌増強量のラノラジンが、ラノラジンのR−鏡像異性体の形態である、請求項17に記載の組成物。
  20. 前記抗糖尿病薬が、スルホニル尿素、DPP−IV阻害剤、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、インクレチン模倣薬、PPARガンマ調節物質、二重PPARアルファ/ガンマアゴニスト、RXR調節物質、SGLT2阻害剤、aP2阻害剤、インスリン感作物質、PTP−IB阻害剤、GSK−3阻害剤、DP4阻害剤、インスリン感作物質、インスリン、メグリチニド、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤およびアミリン類似体からなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
  21. 前記抗糖尿病薬が、メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン、クロロプロパミド、グリソキセピド、グリブリド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、グリメピリド、グリクラジド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンベンタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ミグリトール、アカルボース、エクセナチド、ビルダグリプチン、シタグリプチン、レパグリニド、プラムリンチドおよびナテグリニドからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
  22. 前記抗糖尿病薬が、スルホニル尿素、DPP−IV阻害剤、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、インクレチン模倣薬、PPARガンマ調節物質、二重PPARアルファ/ガンマアゴニスト、RXR調節物質、SGLT2阻害剤、aP2阻害剤、インスリン感作物質、PTP−IB阻害剤、GSK−3阻害剤、DP4阻害剤、インスリン感作物質、インスリン、メグリチニド、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤およびアミリン類似体からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
  23. 前記抗糖尿病薬が、メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン、クロロプロパミド、グリソキセピド、グリブリド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、グリメピリド、グリクラジド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンベンタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ミグリトール、アカルボース、エクセナチド、ビルダグリプチン、シタグリプチン、レパグリニド、プラムリンチドおよびナテグリニドからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記抗糖尿病薬が、スルホニル尿素、DPP−IV阻害剤、ビグアナイド、チアゾリジンジオン、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、インクレチン模倣薬、PPARガンマ調節物質、二重PPARアルファ/ガンマアゴニスト、RXR調節物質、SGLT2阻害剤、aP2阻害剤、インスリン感作物質、PTP−IB阻害剤、GSK−3阻害剤、DP4阻害剤、インスリン感作物質、インスリン、メグリチニド、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤およびアミリン類似体からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  25. 前記抗糖尿病薬が、メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン、クロロプロパミド、グリソキセピド、グリブリド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、グリメピリド、グリクラジド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンベンタミド、トルシクラミド、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ミグリトール、アカルボース、エクセナチド、ビルダグリプチン、シタグリプチン、レパグリニド、プラムリンチドおよびナテグリニドからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 1つまたは複数の心血管疾患に罹患している患者を治療するための方法であって、内因性インスリンのレベルを増強させる一方で、有害事象および/または薬物間相互作用を低減させる方法であって、ラノラジンのR−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む方法。
  27. 投与が経口である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記ラノラジンのR−鏡像異性体を、持続放出性製剤として投与する、請求項27に記載の方法。
  29. 前記ラノラジンのR−鏡像異性体を、即時放出性製剤として投与する、請求項27に記載の方法。
  30. 前記患者を試験してCYP2D6酵素機能障害があるか否かを決定することなく、前記患者を前記ラノラジンのR−鏡像異性体を用いて治療する、請求項1に記載の方法。
  31. 少なくとも1つの心血管疾患または心血管疾患症状が、うっ血性心不全、急性心不全、心筋梗塞等を含めた心不全、心房細動、心房粗動、AV結節性リエントリー頻脈、心房性頻脈等の上室性頻脈ならびに特発性心室性頻脈、心室細動、早期興奮症候群およびトルサード−ド−ポアン(TdP)を含めた心室性頻脈(VT)の治療を含めた不整脈、労作性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症、急性冠症候群等を含めた狭心症、さらに間欠性跛行を含めた末梢動脈疾患から選択される、請求項26に記載の方法。
  32. 前記患者が、インスリン応答性かつインスリン分泌不全である、請求項26に記載の方法。
  33. 前記患者が、前糖尿病、またはそうでなければ、糖尿病に罹患する素因がある、請求項32に記載の方法。
  34. 前記患者が、II型糖尿病に罹患している、請求項32に記載の方法。
  35. 治療有効量のラノラジンのR−鏡像異性体、またはその薬学的に許容できる塩、エステル、プロドラッグもしくは水和物を含む医薬組成物。
  36. 1つまたは複数の心血管疾患に罹患している患者を治療するための方法であって、ラノラジンのS−鏡像異性体をこれらの患者に投与するステップを含む、有害事象を低減させる方法。
  37. 投与が経口である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記ラノラジンのS−鏡像異性体が、持続放出性製剤として投与される、請求項37に記載の方法。
  39. 前記ラノラジンのS−鏡像異性体が、即時放出性製剤として投与される、請求項37に記載の方法。
  40. 少なくとも1つの心血管疾患または心血管疾患症状が、うっ血性心不全、急性心不全、心筋梗塞等を含めた心不全、心房細動、心房粗動、AV結節性リエントリー頻脈、心房性頻脈等の上室性頻脈ならびに特発性心室性頻脈、心室細動、早期興奮症候群およびトルサード−ド−ポアン(TdP)を含めた心室性頻脈(VT)の治療を含めた不整脈、労作性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症、急性冠症候群等を含めた狭心症、さらに間欠性跛行を含めた末梢動脈疾患から選択される、請求項36に記載の方法。
  41. 前記患者が、糖尿病、前糖尿病、またはそうでなければ、糖尿病に罹患する素因があり、治療有効量のラノラジンのR−鏡像異性体を、S−鏡像異性体を投与する量とは異なる量で投与するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
  42. 前記患者が、前糖尿病、またはそうでなければ、糖尿病に罹患する素因がある、請求項41に記載の方法。
  43. 前記患者が、II型糖尿病に罹患している、請求項41に記載の方法。
  44. 治療有効量のラノラジンのS−鏡像異性体、またはその薬学的に許容できる塩、エステル、プロドラッグもしくは水和物を含む医薬組成物。
  45. 治療に有効な非等量のラノラジンのR−鏡像異性体とS−鏡像異性体とを、またはそれらの薬学的に許容できる塩、エステル、プロドラッグもしくは水和物を含む医薬組成物。
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