JP2010523202A - 心臓交感神経抑制器械 - Google Patents
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Abstract
突然心臓死の恐れを減少させるために心臓交感神経活動を抑制するための電気的神経刺激を利用する方法及び器械が開示される。一実施形態では、1つ又は2つ以上刺激電極が左星状神経節の近くに配置される。植え込み型パルス発生器が、神経節組織の活動を抑制する仕方で神経刺激を電極に送り出す。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
本願は、電気刺激療法による病気の治療のための方法及び器械に関する。
〔関連出願の説明〕
本願において、2007年4月5日に出願された米国特許出願第11/696,923号について優先権が主張され、この出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
本願において、2007年4月5日に出願された米国特許出願第11/696,923号について優先権が主張され、この出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
突然心臓死(SCD)は、心臓ポンピング(心ポンプ機能)が突然失われることを意味し、これは、心臓病による死亡の最も普通の原因のうちの1つである。SCDの原因となるイベントの通常のシーケンスは、心室性頻拍(VT)から心室細動(VF)への変性であると考えられる。VTとVFの両方は、互いに異なる伝導特性を備えた心室心筋層(心室筋)の領域における脱分極波面のリエントリ(再入)が持続性になった場合、又は心室内の興奮性病巣が洞房結節からの心拍数の制御を損なった場合に生じる異常な心室頻拍性不整脈である。その結果、心室が急に且つ非効率的に収縮して心房との電気機械的同期性から外れる。大抵の心室律動は、これら心室律動が通常の心室伝導系を利用しないので、心電図において異常なQRS群を示し、脱分極は、その代わり、リエントリの興奮性病巣又は箇所から直接心筋層中に広がる。心室頻拍は、典型的には、迅速なレートで生じる歪んだQRS群によって特徴づけられ、他方、心室細動は、識別可能なQRS群のない状態で心室が無秩序に脱分極する場合に診断される。心室頻拍と心室細動の両方は、血行力学的に悪化性であり、両方共生命を脅かす場合がある。しかしながら、心室細動により、数秒以内に循環停止が生じ、かかる心室細動は、SCDの最も良く見られる原因である。あらかじめ存在する冠動脈疾患及びその結果(例えば、急性心筋虚血、以前の心筋梗塞からの瘢痕化、心不全)が、大抵のSCD犠牲者に存在する。SCDの原因となる場合のある他の要因は、拡張型の非虚血性及び肥大性心筋症、先天性心臓欠陥及び遺伝的に決定されたイオンチャネル異常(例えば、長期QT症候群)である。
植え込み型電気的心臓除細動器/細動除去器(ICD)と呼ばれている心リズム管理器械は、SCDの発生を減少させる上でうまくゆくことが判明した。ICDは、患者の体内に植え込まれ、器械が頻拍性不整脈、例えばVT又はVFを検出すると、衝撃(ショック)パルスを心臓に送り出す。心臓除細動衝撃(VTを終了させるためにQRS群と同期して心臓に送られる電気ショック)として又は細動除去衝撃(VFを終了させるためにQRS群とは同期化しないで送り出させる電気ショック)として施されるかかるショック療法は、心筋層の全てを同時に脱分極し、これを無反応性にすることにより頻拍性不整脈を終了させる。
また、交感神経系がSCDの原因となる頻拍性不整脈をトリガする際に大きな役割を果たすことが考えられる。例えば、心筋虚血の結果として生じる交感神経系の緊張の増大は、VTからVFへの移行を容易にすると考えられる。これは、SCDの恐れを減少させるよう設計されていて、心臓に対する交感神経系の作用を遮断又はブロックすることによって機能する他の治療にとっての基本原理である。例えば、心臓中のアドレナリン作動性受容体を遮断する薬剤(β‐遮断薬)は、SCDの恐れがある場合に患者に通常用いられている。β‐遮断薬は、常に効果的であるとは限らず、何割かの患者は、許容できないと考えられる副作用が存在する。心臓交感神経の活動を減少させる別の治療は、左星状神経節切除術による心臓の外科的交感性神経切除である。左星状神経節切除術は、SCDの発生を減少させる上で効果的であることが判明したが、かかる手術と関連した合併症、特に、血胸及び気胸が存在する。加うるに、交感性神経支配の喪失に起因して生じる永続的なホルネル症候群(瞼の垂れ下がり又は下垂、乳頭状狭窄及び顔面及び首の発汗が生じない状態での血管拡張)を引き起こす恐れが存在する。
突然心臓死の恐れを減少させるために心臓交感神経活動を抑制するための電気的神経刺激を利用する方法及び器械が開示される。一実施形態では、1つ又は2つ以上刺激電極が左星状神経節の近くに配置される。植え込み型パルス発生器が、神経節組織の活動を抑制する仕方で神経刺激を電極に送り出す。
本明細書では、電気刺激を用いて心臓交感神経の活動を抑制することによりSCDの恐れのある患者を治療する方法及び器械について説明する(本明細書で用いられる「電気刺激」又は「神経刺激」という用語は、電気信号を意味し、かかる電気信号が送り出される組織に対するかかる電気信号の作用効果を意味しているわけではない。神経刺激がどのように送り出されるかに応じて、神経刺激は、伝搬活動電位の発生を誘発する興奮性刺激か、かかる活動電位の発生を阻止するよう働く抑制性刺激かのいずれかの場合がある)。遠心性副交感神経信号を心臓まで導く最も重要な神経節後ニューロンは、左頸胸神経節に位置しており、かかる頸胸神経節は、左星状神経節と呼ばれる場合がある。以下に説明するように、植え込み型医療器械は、抑制性電気刺激を適当に配置された神経刺激電極を介して左星状神経節の1つ又は2つ以上の選択された部位に送り出すためのパルス発生器を備えるのが良い。かかる抑制性電気刺激は、特定の患者にとって妥当であると考えられる他の部位(例えば、右星状神経節又は神経節後交感神経線維)のところに配置された神経刺激電極を用いても送り出し可能である。この器械は、実験試験に従って植え込み後に神経刺激チャネルの状態に構成可能であり又はそうでなくても良い多数の神経刺激電極を備えるのが良い。種々の実施形態では、患者により起動される指令に応答して、或いは、測定され若しくは導き出された生理学的変数又は検出された生理学的条件に従って、抑制性神経刺激を常習的に、定められたスケジュールに従って間欠的に送り出すことができる。器械は、専用神経刺激器械であっても良く、心臓再同期化器械、ICD及び(又は)ペースメーカと組み合わされても良い。
図1は、密閉封止ハウジング130を有する例示の植え込み型神経刺激器械100を示しており、このハウジングは、患者の胸部又は心臓ペースメーカ又はICDに類似した他の都合の良い場所に皮下的に又は筋下的に配置される。ハウジング130は、導電性金属、例えばチタンで作られるのが良く、かかるハウジングは、単極誘導(unipolar lead)で電気刺激を送り出す電極としての役目を果たすことができる。ハウジング130内の電気パルス発生回路が、リード110に接続されており、このリードは、その遠位端部のところに設けられていて、神経組織を刺激する1つ又は2つ以上の電極を有する。一実施形態では、リードは、左星状神経節LSGの下に植え込み可能な電極アレイ120を有する多極リードである。他の実施形態では、電極アレイは、別のやり方として、左星状神経節の近くに配置されても良い。この場合、アレイ中の電極のうちの1つ又は2つ以上は、心臓副交感神経の活動を抑制する神経刺激を送り出す神経刺激チャネルに設定されるのが良い。
絶縁材料で形成されるのが良いヘッダ140が、ハウジング内の回路に電気的に接続された1本又は2本以上のリードを受け入れるためにハウジング130に取り付けられている。ハウジング130内には、上述したように機能を器械に提供する電子回路132が収容されており、かかる電子回路は、電源、センシング回路、パルス発生回路、器械の動作を制御するプログラム可能電子コントローラ、及び外部プログラマ又は遠隔モニタ装置190と通信可能なテレメトリ(遠隔計測)トランシーバ、を含むのが良い。外部プログラマは、器械100とワイヤレスで通信し、かかる外部プログラマにより、臨床医は、データを受け取ってコントローラのプログラミングを変更することができる。神経刺激器械は、時間間隔の経過時に又は指令入力時に基づく開ループ方式で、又はセンシングされた生理学的変数に基づく閉ループ方式で、神経刺激の送り出しを制御するよう構成されているのが良い。患者が神経刺激パルスの送り出しを開始させ又は停止させることができる磁気的に又は触って作動されるスイッチも設けられるのが良い。
図1に示された実施形態では、リード110は、心臓交感神経の活動を抑制する神経刺激を送り出すのに適した刺激部位に配置されるのが良い多電極アレイグリッド120を有している。例えば、グリッド120は、縫合又は胸腔鏡下外科手技、開放外科手技又は随伴外科手技により左星状神経節に固定されるのが良い。グリッド120は、比較的広い領域にわたって広がった個々の電極のアレイを有し、各電極は、リード110内の別々の導体に接続されている。神経刺激器械の植え込み後、グリッド120の個々の電極は、外部プログラマを用いて神経刺激チャネルの状態に構成することができ、これらが種々の刺激波形及び極性構成を用いることで心臓交感神経の抑制を生じる効果があるかどうかについて試験することができる。このように、神経刺激チャネルは、交感神経支配を心臓に供給する際に最も重要である神経節部位の個々の解剖学的ばらつきを見込んだ仕方で最適に構成されるのが良い。他の実施形態は、別の形式の多電極リード、別々のリードに設けられた多くの電極又は単一電極を備えたリードを用いても良い。
図2は、神経刺激器のハウジング130内に収容された例示の電子コンポーネントの系統図である。ハウジング内に収容されたバッテリ22は、電力を器械に提供する。プログラム可能電子コントローラ10が、パルス発生回路20にインタフェースされており、かかるコントローラは、神経刺激パルスの出力を制御する。コントローラは、心臓活動度又は他の生理学的変数をセンシングするセンシング回路にもインタフェースされるのが良い。コントローラ10は、記憶装置と通信するマイクロプロセッサで構成されているのが良く、この場合、記憶装置は、プログラムを記憶するROM(読取り専用記憶装置)及びデータを格納するRAM(読取り書込み記憶装置)を含むのが良い。コントローラは、状態機械型設計を用いた他形式の論理回路(例えば、ディスクリートコンポーネント又はプログラム可能ロジックアレイ)によっても具体化できる。コントローラのプログラミングという用語は、本明細書で用いられる場合、マイクロプロセッサにより実行されるコードか、特定の機能を実行するためのハードウェアコンポーネントの専用構成かのいずれかを意味している。コントローラは、時間間隔の経過を常時監視するために用いられるクロック信号を発生させる回路を含み、かかるコントローラは、規定のスケジュールに従って神経刺激を送り出すために使用できる。テレメトリ(遠隔計測)トランシーバ80が、外部プログラマ又は他の外部装置との通信を可能にし、器械の植え込み後に選択された神経刺激チャネルの構成を可能にするようコントローラにインタフェースされている。
パルス発生回路20は、心臓ペースメーカで用いられているパルス発生回路とほぼ同じであって良く、かかるパルス発生回路は、1つ又は2つ以上の神経チャネルを通って電気刺激パルスを送り出し、この場合、神経刺激チャネルは、電極に接続されたパルス発生器で構成される。パルス発生回路20は、コンデンサ放電型又は電流源型パルス発生器と、パルス発生器を制御するレジスタと、パルスエネルギー(例えば、パルス振幅及びパルス幅),極性,及び周期数のようなペーシングパラメータを調節するレジスタと、を含むのが良い。電極401〜40Nが図示されており、この場合、Nは、或る整数である。電極401〜40Nは、例えば多電極グリッドアレイ120の電極を含んでも良い。これら電極を互いに電極に接続すると共に、場合によっては別々のリードの追加の電極をパルス発生器の出力に電気的に接続するために、MOSスイッチマトリックス70が用いられる。スイッチマトリックス70は、コントローラによって制御され、このスイッチマトリックスは、特定の神経刺激チャネルを構成するために、選択された電極をパルス発生器の出力に切り替えるために用いられる。器械は、神経刺激を特定の部位に送り出す神経刺激チャネルを形成するよう恣意的に組み合わせ可能な多数のパルス発生器及び電極を備えても良い。神経刺激パルスは、所定のスケジュールに従って、且つ(或いは)、センシングされた条件に応答して、送り出されるのが良い。コントローラ10にインタフェースされた磁気的に又は触って作動されるスイッチ24を設けることができ、かかるスイッチにより、患者は、神経刺激パルスの送り出しを開始させると共に(或いは)停止させることができる。この実施形態におけるパルスの周期数又は頻度、パルス幅、パルス振幅、パルス極性、バースト持続時間及び双極/単極刺激構成は、プログラム可能なパラメータであり、これらパラメータの最適設定値は、刺激部位及び刺激電極の形式で決まる。
器械は、生理学的変数をセンシングする種々のセンシングモダリティ又は様式を更に備えても良く、かかる器械は、神経刺激の送り出しを制御する際、これら変数を用いるようプログラムすることができる。図2の器械は、センシング増幅器、センシング増幅器からのセンシング信号入力をディジタル化するアナログ‐ディジタル変換器、及びセンシング増幅器のゲイン及びしきい値を調節するために書込み可能なレジスタ、を含むセンシング回路30を有している。スイッチマトリックス70は、センシングチャネルを構成するために、特定の電極をセンシング増幅器に接続するように使用可能である。例えば、電極401〜40Nは、心房及び(又は)心室内に配置され、心臓センシングチャネルを構成できる電極を含むのが良い。センシング回路30により、器械は、心拍数を測定すると共に、これから導き出されたパラメータ(例えば心拍数の変動度及び(又は)頻拍性不整脈の存在)をコンピュータ処理して、神経刺激の送り出しを制御する際に利用できるようにする。心臓センシングチャネルにより得られた電気図は、心筋虚血を検出するためにも使用できる。器械は、心リズム管理装置(例えば、分時換気量センサ25、及び加速度計26)に通常用いられている労作レベルセンシングモダリティを更に備えても良い。以下に説明するように、測定された労作レベルは、交感神経の活動レベルの代替手段として使用できると共に、心臓交感神経の活動を抑制する神経刺激パルスの送り出しを制御するために使用できる。器械は、患者の自律神経のバランスに関連づけられた変数(例えば、血圧)をセンシングするための他のセンシングモダリティを更に有しても良い。
上述したように、神経刺激器は、心臓ペーシング及び(又は)心臓除細動/細動除去機能を備えた植え込み型心リズム管理器械に組み込み可能である。この場合、電極401〜40Nは、選択されたペーシングモード(例えば、従来型徐脈ペーシングモード又は心臓再同期化ペーシングモード)で、心房又は心室をセンシング及び/又はペーシングするようにセンシング又はペーシングチャネルに構成できる1つ又は2つ以上の心臓内電極を含むと良い。パルス発生回路は、頻拍性不整脈の検出時に、衝撃電極を介して細動除去/心臓除細動ショックを与える衝撃パルス発生器を更に含んでも良い。
図3及び図4は、上述した神経刺激パルス列を送り出す回路、例えば図3及び図2のパルス発生器の別々の実施形態を示している。図3では、電流源型パルス出力回路2003は、コントローラ1351からの指令入力に応じて、刺激電極1258A,1258B相互間に電流パルスを出力する。ユーザによりプログラム可能なコントローラからの指令入力は、パルスの周期数、パルス幅、パルス振幅、パルス極性、及び単極又は双極刺激を送り出すかどうかを指定する。図4は、容量放電型パルス出力回路2001が、コントローラ1351からの指令入力に応じて、刺激電極1258A,1258B相互間に電圧パルスを出力するために用いられた別の実施形態を示している。この実施形態では、ユーザによりプログラム可能なコントローラからの指令入力は、パルスの周期数、パルス幅、パルス振幅、パルス極性、及び単極又は双極刺激を送り出すかどうかを指定する。結果的にパルスに関する所望の電流振幅が得られるような電圧振幅をコントローラが指定するように、リードのインピーダンスをリードインピーダンス測定回路2002によって測定することができる。次に、パルス出力回路の出力キャパシタ(コンデンサ)は、各パルスにとって適した電圧まで充電することができる。リードインピーダンスをモニタするため、定期的に又はテレメトリを介するユーザからの指令時に、出力キャパシタを既知の電圧レベルまで充電し、出力キャパシタを刺激リードに接続して刺激パルスを送り出し、キャパシタの電圧が或る特定の量だけ(例えば、初期値の半分まで)減少するのに要する時間を測定するよう、コントローラはプログラムされている。
上述したように、神経組織に加えられる電気刺激は、これが送り出される仕方に応じて、組織を興奮させて伝搬する活動電位を発生させるか、活動電位の発生を抑制する神経ブロックとして働くかのいずれかである。後者の現象の背後にあるメカニズムは、脱分極により引き起こされるナトリウムチャネルの不活性化及び(又は)カリウムチャネルの活性化が関与すると想定されるが、完全には理解されていない。また、過分極刺激で神経ブロックを生じさせることが可能である。例えば、或る特定の状況では、方形パルスか正弦波波形かのいずれかとして送り出される高周波二相性刺激は、神経組織の活動を制止するのに有効であることが実証された。例えば、一実施形態では、植え込み型パルス発生器械は、抑制性神経刺激を350Hz〜12.5kHzの周期数又は頻度で送り出すよう構成され、他方、他の実施形態では、これよりも高い又はこれよりも低い周期数が用いられる場合がある。抑制性刺激に最適の周期数は、左星状神経節の解剖学的ばらつきに起因して個々の患者で様々な場合があると共に、刺激振幅及び波形の種類でも様々な場合がある。過分極DCパルス(即ち、アノード刺激)の形態で適用される刺激は、神経ブロックを生じさせるのにも有効である場合がある。器械の植え込み後、神経刺激チャネル及び刺激パラメータ(例えば、波形の種類、振幅、極性及び周期数(又は頻度))は、臨床試験から導き出された実験データに応じて、心臓交感神経の活動を最適に制止するよう構成されるのが良い。
一実施形態では、神経刺激器械は、継続的に心臓交感神経の活動を抑制する神経刺激を送り出すよう構成されている。別の実施形態では、神経刺激器械は、神経刺激(NS)状態か非神経刺激(非NS)状態かのいずれかの動作相互間を交番動作するよう構成される。NS状態にあるとき、器械は、例えば左星状神経節に作用することにより心臓交感神経活動を抑制するプログラムされた刺激パラメータに従って神経刺激を送り出す。非NS状態では、器械は、神経刺激を送り出さない。かくして、NS状態の持続時間及び非NS状態の持続時間は、神経刺激デューティサイクルを定める。以下に説明するように、器械は、規定された入口及び出口条件に従って、NS状態のデューティサイクルを制御するようプログラムすることができる。入口及び出口条件の例としては、時間間隔の経過、患者が作動させることができる患者作動式スイッチの作動、テレメトリ指令の受け取り、心筋虚血の存在と相関するセンシングされた変数(例えば、センシングされた心臓電気活動度から導き出される特徴)に従う装置による心筋虚血の存在の検出若しくは非検出、又はセンシングされた生理学的変数又はこれから導き出された変数が指定されたしきい値よりも小さい又は大きいこと、が挙げられる。この器械は、適当なセンサを備え、しきい値と比較可能であり且つ入口及び/又は出口条件のために用いられる生理学的変数(例えば、心拍数、PR間隔、分時換気量、活動レベル、血圧、及び心拍変動)を測定するよう構成されると良い。入口及び/又は出口条件について用いられるかかる生理学的変数は、心臓不整脈の存在を示し、患者の自律神経のバランスを反映し、且つ/又は、患者が不整脈及び/又は突然心臓死のリスクが増大したらしいこと示唆する状態を示すことができる。そして、交感神経の緊張が高く且つ(或いは)患者がSCDの恐れが増大した状態にあると見なされた場合に、心臓交感神経活動を抑制する神経刺激を送り出すことができる。生理学的変数は、瞬時の測定値であっても良く、或いは、或る指定された期間にわたり先に測定された値の平均値であっても良い。また、生理学的変数は、単一の変数の測定値又は複数の変数の複合関数であっても良い。例えば、生理学的変数は、心拍数、血圧、活動レベル、及び呼吸数の重みづけ平均値であっても良い。また、複合入口及び/又は出口条件は、上述した条件のうちの任意のものの論理積(AND)又は論理和(OR)を任意所望の仕方で取ることによって形成されても良い。かくして、入口及び出口条件により、器械は、そのようにするための指令入力を受け取った際又は心室性不整脈及び(又は)SCDの恐れが増大していることを指示する条件が器械によって検出された場合、心臓交感神経活動を抑制する神経刺激を送り出すことができる。
上述の方法及び器械は、SCDの恐れのある患者を治療する目的で、他の治療手段(例えばICD)の代替手段としてかその補助手段かのいずれかとして使用できる。しかしながら、理解されるべきこととして、かかる方法及び器械は又、交感神経の活動レベルが異常であることを特徴とする任意の状態を治療するために利用できる。
Claims (10)
- 植え込み型器械であって、
神経刺激パルスを出力するパルス発生器を有し、
前記パルス発生器に接続されていて、電気刺激を選択された神経部位に送り出す1つ又は2つ以上の刺激電極を有し、前記刺激電極は、患者の左星状神経節の近くに配置されるようになっており、
前記パルス発生器に接続されていて、前記左星状神経節に作用することにより心臓交感神経活動を抑制する仕方で神経刺激パルスの出力を制御するコントローラを有し、
前記コントローラは、1つ又は2つ以上の規定の入口条件及び出口条件に従って神経刺激状態と非神経刺激状態との間で交番変化するデューティサイクルに従って神経刺激パルスを制御するようプログラムされており、
前記コントローラに接続されていて、突然心臓死の恐れの増大に関連した1つ又は2つ以上の生理学的変数をセンシングする1つ又は2つ以上のセンサを有し、
前記コントローラは、患者が突然心臓死の恐れが増大した状態にあることを前記1つ又は2つ以上の生理学的変数が示す場合として定められた入口条件に従って、前記神経刺激状態に移行して、心臓交感神経活動を抑制する神経刺激を送り出すようプログラムされている、器械。 - 前記1つ又は2つ以上のセンサは、心拍数、PR間隔、分時換気量、活動レベル、血圧、心筋虚血、及び心拍数変動から成る群から選択された生理学的変数を測定するためのセンサを含む、請求項1記載の器械。
- 患者作動式スイッチを更に有し、前記規定入口及び出口条件は、前記神経刺激状態に入り又はこれから出るための前記患者作動式スイッチによる指令の受け取りを含む、請求項1記載の器械。
- テレメトリトランシーバを更に有し、前記規定入口及び出口条件は、前記神経刺激状態に入り又はこれから出るための前記テレメトリトランシーバによる指令の受け取りを含む、請求項1記載の器械。
- 前記規定入口及び出口条件は、時間間隔の経過、心筋虚血の存在と相関するセンシングされた変数、例えばセンシングされた心臓電気活動から導き出される特徴に従う、前記器械による心筋虚血の存在の検出若しくは非検出、又はセンシングされた生理学的変数が指定されたしきい値よりも小さい又は大きいこと、から成る群から選択された条件を含む、請求項1記載の器械。
- 前記1つ又は2つ以上の刺激電極は、複数の刺激電極を含むグリッドアレイであって、スイッチマトリックスにより前記パルス発生器に接続可能であり、電気刺激を選択された神経部位に送り出す前記グリッドアレイを更に有し、前記グリッドアレイは、患者の前記左星状神経節の近くに配置されるようになっている、請求項1記載の器械。
- 前記パルス発生器は、臨床試験から導き出された実験データに従って心臓交感神経の活動を最適に抑制するために、指定された振幅及び周期数の二相パルスとして神経刺激パルスを出力するよう調節可能である、請求項1記載の器械。
- 植え込み型器械であって、
神経刺激パルスを出力するパルス発生器を有し、
前記パルス発生器に接続可能であり、電気刺激を選択された神経部位に送り出す複数の刺激電極を含むグリッドアレイを有し、前記グリッドアレイは、患者の左星状神経節の近くに配置されるようになっており、
前記パルス発生器に接続されていて、前記左星状神経節に作用することにより心臓交感神経活動を抑制する仕方で神経刺激パルスの出力を制御するコントローラを有し、
前記コントローラにインタフェースされたテレメトリトランシーバを有し、
前記コントローラは、前記テレメトリトランシーバを介して受け取った指令に従ってスイッチマトリックスを作動させることにより、前記グリッドアレイの1つ又は2つ以上の電極を用いて神経刺激チャネルを構成するようプログラムされている、器械。 - 前記スイッチマトリックスは、臨床試験から導き出された実験データに従って心臓交感神経の活動を最適に抑制する1つ又は2つ以上の神経刺激チャネルを構成するよう作動可能である、請求項8記載の器械。
- 前記パルス発生器は、臨床試験から導き出された実験データに従って心臓交感神経の活動を最適に抑制するために、指定された振幅及び周期数の二相パルスとして神経刺激パルスを出力するよう調節可能である、請求項8記載の器械。
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