JP2010523159A - ナノレポーターにおける使用のための標的特異的配列を同定するための方法およびコンピュータシステム - Google Patents

ナノレポーターにおける使用のための標的特異的配列を同定するための方法およびコンピュータシステム Download PDF

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Abstract

本発明は生物分子試料中の個々の標的分子の検出および定量のための組成物および方法に関する。特に、本発明はプローブの標識のコードに基づいて標的分子に結合し、そしてこれを認識することができるコードされ標識されたプローブに関する。プローブに包含させるための標的特異的配列を発見するための方法、コンピュータおよびコンピュータプログラムプロダクト、並びにそのようなプローブを作成および使用する方法も提供される。プローブは診断、予後、品質管理およびスクリーニングの用途において使用できる。

Description

関連する出願への相互参照
本願は、米国特許法§119(e)のもとに、2008年2月15日に出願された米国仮特許出願第61/029,220号および2007年4月10に出願された米国仮特許出願第60/922,817号の利益を主張する。これらの仮特許出願は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
本発明は生物分子試料中の個々の標的分子の検出および定量のための組成物および方法に関する。特に、本発明は個々の標的分子に結合することができる、本明細書においては標識された「ナノレポーター」と称するコードされ標識されたレポーター分子に関する。ナノレポーターの標識コードを介して、標的分子へのナノレポーターの結合は標的分子の識別をもたらす。そのようなナノレポーターを作成および使用する方法も提供する。ナノレポーターは診断、予後、品質管理およびスクリーニングの用途において使用できる。
本発明は一般的に混合物中の標的分子の検出、識別、および定量の分野に関する。
ヒト身体における全ての細胞は同じ遺伝子物質を含有しているが、同じ遺伝子がこれらの細胞の全てにおいて活性であるわけではない。遺伝子発現パターンにおける改変は生物学的機能に対して多大な作用を有する場合がある。遺伝子発現におけるこれらの変動は改変された生理学的および病理学的な過程の中心に存在する。従って疾患細胞と比較した場合の正常細胞における遺伝子の発現を識別および定量することは、新しい薬物および診断の標的の発見に寄与する場合がある。
核酸はそれらの特定のポリヌクレオチド配列に基づいて検出および定量できる。検出および定量の既存の方法の根拠となる基本原理は、試料中の目的の標的配列への標識された相補プローブ配列のハイブリダイゼーションである。デュプレックスの形成は試料中の標的配列の存在を示し、そして取り込まれた標識の量として計測した場合のデュプレックス形成の程度は標的配列の量と比例している。
分子ハイブリダイゼーションと称されるこの手法は、複雑な混合物中の特定の核酸配列を識別および分析するための有用なツールとなっている。この手法は例えば生物学的試料中の種々の微生物の核酸配列を検出するための診断において使用されている。更にまた、ハイブリダイゼーション手法は個体間の遺伝子的な相違または多形をマッピングするために使用されている。更にまた、これらの手法は細胞の異なる集団において、または異なる剤で治療された細胞において、遺伝子発現の変化をモニタリングするために使用されている。
過去においては、僅か数遺伝子のみが複雑な試料中で1回に検出できていた。過去10年の間に、細胞内部の転写物多数の発現レベルを一回でモニタリングすることが幾つかの手法により可能となった(例えば非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。ゲノムの大部分または全てが知られている生物において、細胞内部の遺伝子多数の転写物を分析することが可能である。これらの手法の大部分は、このプロセスをより効率的にしたミニチュア化された表面上に存在する固定化DNA配列の数千個よりなるデバイスであるDNAマイクロアレイを使用している。マイクロアレイを使用することにより、生物学的試料中の数千の遺伝子の存在または非存在を単一の実験において検出することができる。これにより1試料上で数種の診断試験を同時に実施すること、または1回の実験において遺伝子数千個における発現レベルの変化を観察することが研究者等にとって可能となる。一般的にマイクロアレイはグリッド上の厳密に定義された位置におけるナイロン膜またはスライドガラスのような表面にDNA配列を結合することにより作成される。次に生物学的試料中の核酸を標識し、そしてアレイにハイブリダイズする。標識された試料DNAはハイブリダイゼーションが起こるアレイ上の厳密な位置をマークし、これにより自動検出を可能とする。
残念なことに、アレイフォーマットのミニチュア化にも関わらず、この方法はなお、多大な量の生物学的試料を必要とする。しかしながら、疾患組織の生検試料または個別の細胞片の試料のような幾つかの例においては、生物学的試料の供給量は限定されている。更にまた、マイクロアレイの表面上のハイブリダイゼーションの動態は少量の水溶液中のハイブリダイゼーションよりも効率が低い。更にまた、マイクロアレイハイブリダイゼーション結果に基づいて試料中に存在する核酸の量を推定する方法が存在するが、これまでのマイクロアレイ技術では個体レベルでの標的分子の検出を可能にしておらず、そして所定の試料中の標的分子の量を直接定量するためのマイクロアレイ系の方法は存在しない。
即ち、複雑な混合物中の標的分子の正確で高感度な検出、識別および定量の必要性が存在している。
本明細書の参考文献の考察または引用はそのような参考文献が本発明の先行技術であることを許容するとみなしてはならない。
Schena等、1995、Science270:467−470 Lckhart等、1996、Nature Biotechnology 14:1675−1680 Blanchard等、1996、Nature Biotechnology 14:1649
本発明の1つの特徴はコンピュータ読み取り可能な格納媒体およびそれに組み込まれたコンピュータプログラム機序を含むコンピュータプログラムプロダクトを提供する。コンピュータプログラム機序は本発明のプローブにおいて有用な標的特異的配列を識別および選択するためのものである。コンピュータプログラム機序はデータ格納モジュールおよび配列選択モジュールを含む。データ格納モジュールは配列データベース1つ以上を含む。配列選択モジュールは、本発明のプローブにおける標的特異的配列としての使用のための配列の適性を評価するため、および/または本発明のプローブにおける使用のための標的特異的配列を選択するための、命令を含む。配列選択モジュールは有用な標的特異的配列を識別する単層列または多層列のプログラムであることができる。
本明細書に開示した方法、コンピュータプログラムプロダクト、およびコンピュータの各々は任意に、更に結果を(例えばモニターに、ユーザーに、コンピュータ読み取り可能な媒体、例えば格納媒体に、またはリモートコンピュータに)出力する工程またはそのための命令を含む。ここで結果は本明細書に開示した方法、コンピュータプログラムプロダクト、およびコンピュータにより得られた何れかの結果である。
特定の特徴において、本発明は、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するための方法(図20A〜Cに反映)であって、以下の工程:(a)標的mRNA配列の逆相補体である第1の所定の長さの候補ヌクレオチド配列の第1のプールを形成すること、ここで各候補ヌクレオチド配列は5’候補配列および3’候補配列よりなる等しい長さの隣接ヌクレオチド配列2つに分割できるものである;(b)前記第1のプールから以下の基準:(i)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい逆方向リピートを含有する;(ii)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい正方向リピートを含有する;(iii)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が所定範囲外のGC含有量を有する:(iv)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が所定の長さより大きいC残基の近接するストレッチを含有する;および(v)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が第1の所定の融点範囲外にある融点を有する;の少なくとも2つに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第2のプールを形成すること;(c)前記第2のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイズ潜在能力を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第3のプールを形成すること;(d)前記第3のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が第2の所定の温度範囲外の融点を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させること、ここで第2の所定の融点範囲は第1の所定の融点範囲内にあること;(e)修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列に関する融点を測定すること、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列は、工程(d)において欠失された候補ヌクレオチド配列のそれぞれ5’候補配列または3’候補配列の修飾された型であり、その理由はその5’候補配列および/または3’候補配列が第2の所定の範囲より高値の融点を有するためであり、ここで修飾された5’候補配列は相当する5’候補配列の5’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されており、そしてここで修飾された3’候補配列は相当する3’候補配列の3’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されている;(f)以下、即ち:(A)修飾された5’または修飾された3’候補配列、および(B)3’または5’のそれぞれの候補配列またはその修飾された形態;の各々が第2の所定の融点範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列から誘導されている事例において;第3のプールに(A)および(B)を含む修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第4のプールを形成すること;(g)修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが第2の所定の長さより大きい場合、工程(e)を1回以上反復すること、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列はそれぞれ、修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが第2の所定の長さと(i)等しくなるか、または(ii)それより低値となるか、の何れか早期の状態となるまで、各回、工程(e)よりも多い数のヌクレオチドによりトリミングされている;(h)以下、即ち:(C)前記修飾された5’または修飾された3’候補配列、および、(D)3’または5’のそれぞれの候補配列またはその修飾された形態;の各々が第2の所定の融点範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列から誘導されている、工程(g)の各々の修飾された5’または修飾された3’候補配列の各々につき;第3のプールに(C)および(D)を含む修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第5のプールを形成すること;および、(i)任意に、工程(d)において欠失された異なる候補ヌクレオチド配列1つ以上につき工程(e)〜(h)を反復することにより、候補ヌクレオチド配列の第6のプールを形成すること、を含み、これにより、第4、第5および第6のプールは標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接した標的特異的配列の対を含む候補ヌクレオチド配列よりなるものである上記方法を提供する。任意に、方法は更に第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列または修飾された5’候補配列および/または3’候補配列または修飾された3’候補配列の1つまたは複数を、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ読み取り可能な格納媒体、またはローカルまたはリモートコンピュータシステムに出力する、または表示する工程を含む。更にまた、候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列は、任意に、それぞれ前記候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列から誘導された隣接標的特異的ヌクレオチド配列の対として出力される。
標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の特徴において、方法は工程(b)において第1のプールから工程(b)の基準の少なくとも3つ(例えば3、4または5つ全て)である候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることを含む。
上記方法によれば、特定の実施形態においては、工程(c)において、5’候補配列または3’候補配列が下記:(i)第1の所定のカットオフ以上である、第1の配列(以降「第1の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列パーセント同一性、ここで前記第1の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第1の非標的配列は細胞mRNA配列またはそれから誘導されたcDNA配列を含むデータベース中に存在する;および(ii)第2の所定のカットオフ以上である、第2の配列(以降「第2の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列同一性の近接するブロック、ここで前記第2の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第2の非標的配列はデータベース中に存在する;を有する場合に、前記5’候補配列または3’候補配列が前記所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイゼーション潜在能力を有することを予測することができる。第1の非標的配列および第2の非標的配列は同じであることができ、またはそれらは異なっていることができる。
標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法によれば、第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の複数は、特定の実施形態においては、前記5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点(weighted score)に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される。特定の実施形態においては、加重評点は下記式:
(Tm評点*WFa)+(MCB評点*WFb)+(PID評点*WFc)
に従って計算され、
式中、Tm評点は下記式:
(示差的評点+一般的評点)/3
に従って計算された融点評点であり、
式中、示差的評点は下記式:
に従って計算され、
式中、一般的評点は下記式:
に従って計算され、
式中TmAは隣接標的特異的配列の対における5’候補配列または修飾された5’候補配列の融点であり、TmBは隣接標的特異的配列の前記対における3’候補配列または修飾された3’候補配列の融点であり、TmHcoは第2の所定温度範囲の上限であり;TmLcoは第2の所定温度範囲の下限であり;そしてTmIは所定の理想的融点であり;
ここで:
MCB評点は下記式:
1−(MCB/MCBco)
に従って計算された最大近接ブロック評点であり;
式中、MCBは下記(i)および(ii)のいずれか大きい方であり、ここで(i)および(ii)はそれぞれ下記:
(i)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の同一性の最大近接ブロック;
および、
(ii)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の同一性の最大近接ブロック;
であり;
そして式中、MCBcoは第1の所定のカットオフであり;
ここで:
PID評点は下記式:
1−(PID/PIDco))
に従って計算されたパーセント同一性評点であり;
式中PIDは下記(i)および(ii)のいずれか大きい方であり、ここで(i)および(ii)はそれぞれ下記::
(i)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の最大のパーセント配列同一性;および、
(ii)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の最大のパーセント配列同一性;
であり;
そして式中、PIDcoは第2の所定のカットオフであり;
そしてここで、WFa、WFb、およびWFcは各々独立して加重ファクターであり、その各々は実数である。
ある特定の実施形態においては、本発明は、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するための方法であって、以下の工程:(a)標的mRNA配列の逆相補体である100ヌクレオチドの候補ヌクレオチド配列の第1のプールを形成すること、ここで各候補ヌクレオチド配列は各々50ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列2つに分割できるものであり、ここで前記隣接ヌクレオチド配列は5’候補配列および3’候補配列よりなるものである;(b)前記第1のプールから以下の基準:(i)6連続ヌクレオチド長以上の逆方向リピートを含有する;(ii)9連続ヌクレオチド長以上の正方向リピートを含有する;(iii)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が40〜70%外のGC含有量を有する:(iv)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が3C残基以上の近接するストレッチを含有する;および(v)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が(A)60〜90℃または(B)65〜85℃の範囲外にある融点を有する;に合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第2のプールを形成すること;(c)前記第2のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が(i)第1の配列(以降「第1の非標的配列」と称する)またはその相補体と85%以上の配列パーセント同一性、ここで前記第1の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第1の非標的配列は細胞mRNA配列またはそれから誘導されたcDNA配列を含むデータベース中に存在する;および(ii)第2の配列(以降「第2の非標的配列」と称する)またはその相補体と15ヌクレオチド以上の配列同一性の近接するブロック、ここで前記第2の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第2の非標的配列はデータベース中に存在する;を有する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第3のプールを形成すること;(d)前記第3のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が78〜83℃の範囲外の融点を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させること;(e)修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列に関する融点を測定すること、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列は、工程(d)において欠失された候補ヌクレオチド配列のそれぞれ5’候補配列または3’候補配列の修飾された型であり、その理由はその5’候補配列および/または3’候補配列が83℃より高値の融点を有するためであり、ここで修飾された5’候補配列は相当する5’候補配列の5’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されており、そしてここで修飾された3’候補配列は相当する3’候補配列の3’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されている;(f)以下、即ち:(A)修飾された5’または修飾された3’候補配列、および(B)3’または5’のそれぞれの候補配列またはその修飾された形態;の各々が78〜83℃の範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列から誘導されている事例において;第3のプールに(A)および(B)を含む修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第4のプールを形成すること;(g)修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが35ヌクレオチドより大きい場合、工程(e)を1回以上反復すること、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列はそれぞれ、修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが35ヌクレオチドと(i)等しくなるか、または(ii)それより低値となるか、の何れか早期の状態となるまで、各回、工程(e)よりも多い数のヌクレオチドによりトリミングされている;(h)以下、即ち:(C)修飾された5’または修飾された3’候補配列、および(D)3’または5’のそれぞれの候補配列または修飾された候補配列;の各々が78〜83℃の範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列から誘導されている工程(g)の各々の修飾された5’または修飾された3’候補配列の各々につき;第3のプールに(C)および(D)を含む修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第5のプールを形成すること;および(i)任意に工程(d)において欠失された異なる候補ヌクレオチド配列1つ以上につき工程(e)〜(h)を反復することにより、候補ヌクレオチド配列の第6のプールを形成すること、を含み、これにより、第4、第5および第6のプールは標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接した標的特異的配列の対を含む候補ヌクレオチド配列よりなるものである上記方法を提供する。第1の非標的配列および第2の非標的配列は同じであることができ、またはそれらは異なっていることができる。
任意に、方法は更に、第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列または修飾された5’候補配列および/または3’候補配列または修飾された3’候補配列の1つまたは複数を、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ読み取り可能な格納媒体、またはローカルまたはリモートコンピュータシステムに出力する、または表示する工程を含む。更にまた、候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列は、任意に、それぞれ前記候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列から誘導された隣接標的特異的ヌクレオチド配列の対として出力される。
上記方法の特定の実施形態においては、第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の複数は、前記5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される。特定の実施形態においては、加重評点が下記式:
(Tm評点*WFa)+(MCB評点*WFb)+(PID評点*WFc)
に従って計算され、
式中、Tm評点は下記式:
(示差的評点+一般的評点)/3
に従って計算された融点評点であり、
式中、示差的評点は下記式:
に従って計算され、
式中、一般的評点は下記式:
に従って計算され、
式中TmAは隣接標的特異的配列の対における5’候補配列または修飾された5’候補配列の融点であり、そしてTmBは隣接標的特異的配列の前記対における3’候補配列または修飾された3’候補配列の融点であり;
ここで:
MCB評点は下記式:
1−(MCB/15)
に従って計算された最大近接ブロック評点であり;
式中、MCBは(i)および(ii)のいずれか大きい方であり、ここで(i)および(ii)はそれぞれ下記:
(i)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の同一性の最大近接ブロック;
および、
(ii)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の同一性の最大近接ブロック;
であり;
ここで:
PID評点は下記式:
1−(PID/85%)
に従って計算されたパーセント同一性評点であり;
式中PIDは(i)および(ii)のいずれか大きい方であり、ここで(i)および(ii)はそれぞれ下記::
(i)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の最大のパーセント配列同一性;および、
(ii)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の最大のパーセント配列同一性;
であり;
そして式中、PIDcoは第2の所定のカットオフであり;
そしてここで、WFa、WFb、およびWFcは各々独立して加重ファクターであり、その各々は実数である。
標的mRNAにハイブリダイズできるプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法は、プローブ対のそれぞれ複数における使用のための隣接標的特異的配列の対複数を識別するために利用することができ、ここで各プローブ対は異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、各標的mRNAに対して、上記方法の何れかの実施形態に従って隣接標的特異的配列の対を識別する工程を含む。
本発明はまた更に、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列を識別するための方法(図21A〜Cに反映)であって、以下の工程:(a)標的mRNA配列の逆相補体である第1の所定の長さの候補ヌクレオチド配列の第1のプールを形成すること;(b)前記第1のプールから以下の基準:(i)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい逆方向リピートを含有する;(ii)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい正方向リピートを含有する;(iii)所定範囲外のGC含有量を有する:(iv)所定の長さより大きいC残基の近接するストレッチを含有する;および(v)第1の所定の融点範囲外にある融点を有する;の少なくとも2つに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第2のプールを形成すること;(c)前記第2のプールから所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイズ潜在能力を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第3のプールを形成すること;(d)前記第3のプールから第2の所定の温度範囲外の融点を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させること、ここで第2の所定の融点範囲は第1の所定の融点範囲内にある;(e)修飾された候補ヌクレオチド配列に関する融点を測定すること、ここで修飾された候補ヌクレオチド配列は、工程(d)において欠失された候補ヌクレオチド配列の修飾された型であり、その理由はそれが第2の所定の範囲より高値の融点を有するためであり、ここで修飾された候補ヌクレオチド配列は前記候補ヌクレオチド配列の5’末端または3’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されている;(f)修飾された候補ヌクレオチド配列が第2の所定の融点範囲内の融点を有する事例において、第3のプールに修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより、候補ヌクレオチド配列の第4のプールを形成すること;(g)修飾された候補ヌクレオチド配列の長さが第2の所定の長さより大きい場合、工程(e)を1回以上反復すること、ここで修飾された候補ヌクレオチド配列は修飾された候補ヌクレオチド配列の長さが第2の所定の長さと(i)等しくなるか、または(ii)それより低値となるか、の何れか早期の状態となるまで、各回、工程(e)よりも多い数のヌクレオチドによりトリミングされている;(h)第3のプールに第2の所定の融点範囲内の融点を有する工程(g)の各々の修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第4のプールを形成すること;および、(i)任意に、工程(d)において欠失された異なる候補ヌクレオチド配列1つ以上につき工程(e)〜(h)を反復することにより、候補ヌクレオチド配列の第6のプールを形成すること、を含み、これにより、第4、第5および第6のプールは標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列よりなるものである上記方法を提供する。方法は任意に、更に、第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の1つまたは複数を、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ読み取り可能な格納媒体、またはローカルまたはリモートコンピュータシステムに出力する、または表示する工程を含む。
標的mRNAにハイブリダイズできるプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列を識別するための上記方法によれば、特定の実施形態においては、工程(c)において、候補標的特異的配列が(i)第1の所定のカットオフ以上である、第1の配列(以降「第1の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列パーセント同一性、ここで前記第1の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第1の非標的配列は細胞mRNA配列またはそれから誘導されたcDNA配列を含むデータベース中に存在する;および(ii)第2の所定のカットオフ以上である、第2の配列(以降「第2の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列同一性の近接するブロック、ここで前記第2の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第2の非標的配列はデータベース中に存在する;を有する場合に、前記候補標的特異的配列が前記所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイゼーション潜在能力を有することを予測することができる。第1の非標的配列および第2の非標的配列は同じであることができ、またはそれらは異なっていることができる。
標的mRNAにハイブリダイズできるプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列を識別するための上記方法においては、第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の複数は、任意に、前記候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される。
標的mRNAにハイブリダイズできるプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列を識別するための上記方法は、プローブのそれぞれ複数における使用のための標的特異的配列複数を識別するために利用することができ、ここで各プローブは異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、各標的mRNAに対して、上記方法の何れかの実施形態に従って標的特異的配列を識別する工程を含む。
標的mRNAにハイブリダイズできるプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列を識別するための上記方法の特定の特徴において、工程(b)の基準の3つ以上、例えば3つ、4つ、または5つ全てに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を工程(b)の第1のプールから欠失させる。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の何れかにおいて、第4、5および/または6のプールが候補ヌクレオチド配列を含有しない場合に、方法は更に工程(b)〜(i)を反復することを含んでよく、ここで工程(b)はより緩やかな基準の下に実施される(例えば正方向および/または逆方向のリピートの増大した所定の長さおよび/またはGC含有量のより広範な範囲および/または融点のより広範な範囲および/または近接C残基のより大きい所定の長さを有するもの)。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の実施形態においては、トリミング工程(e)の各反復は1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、またはそれより多くの漸増量において実施できる。
隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の実施形態において、第1の所定の長さは70〜120ヌクレオチドの範囲から選択でき、および/または第2の所定の長さは30〜45ヌクレオチドの範囲から選択できる。特定の実施形態において、第2の所定の長さは35〜40ヌクレオチドの範囲から選択される。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別するための上記方法の特定の実施形態においては、第1の所定の長さは35〜60ヌクレオチドの範囲から選択でき、および/または第2の所定の長さは30〜45ヌクレオチドの範囲から選択できる。特定の実施形態において、第2の所定の長さは35〜40ヌクレオチドの範囲から選択される。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の実施形態においては、工程(b)(i)の逆方向リピートの所定の長さは5〜7連続ヌクレオチドの範囲から選択でき、および/または工程(b)(ii)の正方向リピートの所定の長さは7〜9連続ヌクレオチドの範囲から選択でき、および/または工程(b)(iii)のGC含有量の所定の範囲は下限における35〜45%から上限における65〜80%であることができる。特定の実施形態においては、工程(b)(iii)のGC含有量の所定の範囲は40〜70%である。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の実施形態においては、工程(b)(iv)の所定の長さは好ましくは3である。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の実施形態においては、第1の所定の融点の範囲の最高および最低の温度は好ましくは15℃〜30℃、最も好ましくは20℃〜25℃異なっている。特定の実施形態においては、第1の所定の融点の範囲は60℃〜90℃、65℃〜85℃、または65℃〜90℃である。
交差ハイブリダイゼーションの潜在能力の測定に関する第1の所定のカットオフの使用を必要とする本発明の方法の特徴において、第1の所定のカットオフは好ましくは70〜95%配列同一性の範囲から選択され、より好ましくは80〜90%の配列同一性の範囲から選択される。特定の実施形態においては、第1の所定のカットオフは85%配列同一性である。
交差ハイブリダイゼーションの潜在能力の測定に関する第2の所定のカットオフの使用を必要とする本発明の方法の特徴において、第2の所定のカットオフは好ましくは10〜18近接ヌクレオチドの範囲から、そしてより好ましくは14〜16近接ヌクレオチドの範囲から選択される。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の実施形態においては、第2の所定の融点の範囲の最高および最低の温度は好ましくは4℃〜8℃異なっている。特定の実施形態においては、第2の所定の融点の範囲は78℃〜83℃である。
特定の実施形態においては、標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法は、更に、第4、5および/または6のプールから、プローブの他の成分中、またはプローブの製造工程中に存在する配列に対する交差ハイブリダイゼーション潜在能力を有する候補ヌクレオチド配列を除去する工程を含む。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の特定の実施形態においては、標的mRNAは代替的にスプライシングされたmRNAである。そのような実施形態において、方法は更に、候補ヌクレオチド配列1つ以上が1つのスプライス型にユニークであるか、または標的mRNAの1つより多いスプライス型に共通であるかどうかを測定する工程を含む。或いは、候補ヌクレオチド配列の第1のプールは、1つのスプライス型にユニークな候補ヌクレオチド配列のみ、または多数のスプライス型に共通の候補ヌクレオチド配列のみを含有するように設計される。
標的特異的ヌクレオチド配列を識別する、および/または隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法のいずれも、コンピュータにより実施される方法であることができる。
本発明は更に、プロセッサおよび隣接標的特異的配列の対を識別するための上記方法の何れか1つの方法をプロセッサに実施させる機械命令複数を含むプロセッサに連結されたメモリを含む、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するためのコンピュータシステムを提供する。本発明はまた更に、プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリを含む、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおける使用のための標的特異的配列を識別するためのコンピュータシステムを提供し、ここでメモリは標的特異的配列を識別するための上記方法の何れかをプロセッサに実施させる機械命令複数を格納している。
本発明は更に、プローブ対のそれぞれ複数における使用のための隣接標的特異的配列の対複数を識別するためのコンピュータシステムを提供し、ここで各プローブ対は異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリを含んでおり、そしてメモリは隣接標的特異的配列の対の複数を識別するための上記方法の何れかをプロセッサに実施させる機械命令複数を格納している。
本発明は更にまた、プローブのそれぞれ複数における使用のための標的特異的配列複数を識別するためのコンピュータシステムを提供し、ここで各プローブは異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、各プローブはプローブのそれぞれ複数における使用のための特異的配列であり、プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリを含んでおり、そしてメモリは標的特異的配列を識別するための上記方法の何れかをプロセッサに実施させる機械命令複数を格納している。
本発明は更に、プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリを含むコンピュータシステムを提供し、ここでメモリは標的特異的配列を識別するための上記方法の何れかをプロセッサに実施させる機械命令複数を格納している。
本発明は更にまた、コンピュータシステムと組み合わせて使用するコンピュータプログラムプロダクトを提供し、ここでコンピュータプログラムプロダクトはコンピュータ読み取り可能な格納媒体およびそれに組み込まれたコンピュータプログラム機序を含み、コンピュータプログラム機序は標的特異的ヌクレオチド配列(またはその複数)を識別するため、および/または隣接標的特異的配列(またはその複数)の対を識別するための上記方法の何れかを実施するための命令を含む。
図1Aは8位置ナノレポーター成分2つを用いた16位置ナノレポーターコードを有する2重ナノレポーターを示す。図1Bは8位置ナノレポーター成分1つおよび単一位置ナノレポーター成分1つを用いた9位置ナノレポーターコードを有する2重ナノレポーターを示す。図1Cはゴーストプローブ1つおよび8位置ナノレポーター成分1つを用いた8位置ナノレポーターコードを有する2重ナノレポーターを示す。図1Dは8位置ナノレポーターコードを有する1重ナノレポーターを示す。図1A〜1Dにおいて星型(矢印で示す)はアフィニティータグを示し、これはナノレポーターを精製するため、または画像化目的のためにナノレポーター(またはナノレポーター−標的分子複合体)を固定化するために使用できる。図1A〜1Dにおける数字を付された領域は別個の標識結合領域を指す。図1Aの位置12を除く全てを、灰色、白、斜線または縞模様の「サン」ダイアグラムとして示した標識単量体の4つの型の1つで標識する。図1Aの位置12は未標識の「ダークスポット」である。図1Eおよび1Fはそれぞれ図1Bおよび1Dのナノレポーターの変形例を示しており、ここではナノレポーターが結合する標的分子がビオチン部分(小型アスタリスクとして示す)、例えば標的核酸内にランダムに取り込まれたビオチン修飾ヌクレオチドを含んでいる。ナノレポーター自体が更に任意にアフィニティータグを含む(図示せず)。 図2Aはナノレポーターの標識ユニットを示しており、これはパッチユニットを有するスカホールドおよびその長さに沿って配置された相当するスプリットフラップを含有している。図2Bは単一パッチ対およびその相当するフラップの成分を示しており、それに含有されるものは1:ナノレポータースカホールドの一部分(例えばM131本鎖DNA);2:パッチ対;3:スプリットフラップ対;および4:各々がスプリットフラップにハイブリダイズする、取り込まれた標識単量体を有する標識されたオリゴヌクレオチドである。図2Cは「スポット」4つを有するナノレポーターを示し、各スポットは60〜65ヌクレオチドの9パッチ対を含有するように設計されており、その各々は95〜100ヌクレオチドのスプリットフラップ対に結合している。各スプリットフラップ対は単一標識単量体に各々結合した12オリゴヌクレオチドに対する結合部位を有している。従って各スポットは108標識単量体に対する結合部位を有している。 パッチがRNAセグメントであるナノレポーターは、レジスターを伴って(図3A)および伴うことなく(図3B)使用できる。図3Aおよび図3Bの両方は(1)ナノレポータースカホールド(太黒線)、(2)それに結合した8RNAセグメント(太灰色線1〜8)、(3)標的特異的配列(点線「T」)、および(4)ナノレポータースカホールドに部分的に相補であり、そして標的特異的配列に部分的に相補であるオリゴヌクレオチド(チェッカー線「0」)を示す。このオリゴヌクレオチドは「ライゲーター」オリゴヌクレオチドと称する。図3Aにおいて僅か1つのレジスター、即ち各々1つ置きのRNAセグメントを標識する。第2のレジスター部分は、コードの連続した位置が同じ「色」またはスペクトル的に区別不可能である、ナノレポーターコードを形成できるようにする「スペーサー」として機能する。図3Bにおいて、両方のレジスター、即ち介在するスペーサーを有さない隣接するRNAセグメントが標識され、最も隣接するものに同じ「色」は存在ならない。 標的分子にハイブリダイズした二重ナノレポーターの画像である。ここでは両方のレジスターを標識する。ナノレポーターは3種の異なる色、即ちAlexa488、Cy3およびAlexa647(それぞれ標識1、2および3)で標識する。左側の括弧は二重ナノレポーターの1つのプローブを示し、そして右側の括弧は二重ナノレポーターのもう一方のプローブを示す。色1、2および3は各々異なるチャンネルにおいて獲得され、そしてスポット列として目視できる第1および第2のレジスターは数ピクセル分上方シフトすることにより各レジスターを個々に示すことができるようになった。 本図は図4に示した二重ナノレポーターの種々の成分を示す。図5Aは1つの色(ここではAlexa488、白丸印として左側コラムに記載)を示しており、これはCy3(図5B、垂直縞模様の丸印として左側コラムに示す)およびAlexa647(対角線方向の縞模様の丸印として図5C中に示す)からスペクトル的に区別可能である。各々から得られた画像を重ね合わせて図5Dを作成した。 図6Aは図6Bおよび6Cに示す実験の模式図である。この場合、星印は伸展の前に表面に一端により複合体を結合させるために使用したビオチンを示す。図6Bおよび6CはS2−Aゴーストプローブ、S2−B標識ナノレポーターおよびS2標的DNA(図6B)またはS2標的RNA(図6C)をハイブリダイズした実験により得られた画像を示す。図6Eは図6Bに由来するナノレポーター複合体のクローズアップであり、各々がS2−Aゴーストプローブ、S2−B標識ナノレポーターおよびS2標的DNAを含有している。図6Dは陰性対照実験の画像を示しており、この場合S2−Aゴーストプローブ、S2−B標識ナノレポーターをハイブリダイズし、S2標的RNAはハイブリダイズしなかった。 図7A、7B、7Cおよび7Dはナノレポータースカホールド上のパッチの異なる順列を示しており、図7Eおよび7Fはナノレポータースカホールド上のスプリットフラップの異なる順列を示しており、これらは図7Gに示す通り、任意にオリゴヌクレオチド1つ以上にハイブリダイズされている。図7A〜Gにおいて、αは5’または3’分子または分子末端を指し、そしてβは相当する3’または5’分子または分子末端を指す。 図7A、7B、7Cおよび7Dはナノレポータースカホールド上のパッチの異なる順列を示しており、図7Eおよび7Fはナノレポータースカホールド上のスプリットフラップの異なる順列を示しており、これらは図7Gに示す通り、任意にオリゴヌクレオチド1つ以上にハイブリダイズされている。図7A〜Gにおいて、αは5’または3’分子または分子末端を指し、そしてβは相当する3’または5’分子または分子末端を指す。 図8は1本鎖M13ファージをナノレポータースカホールドとして使用するために線状化するスキームを示す。環状のM13ファージを5倍過剰量のBamH1カッターオリゴヌクレオチド(線影を付した線)にアニーリングし(1)、そして得られた部分2本鎖M13を制限エンドヌクレアーゼBamHIで消化し(2)、BamH1カッターオリゴヌクレオチドがなお結合している線状化M13を得た(3)。このM113オリゴヌクレオチド複合体をBamH1カッターオリゴヌクレオチドに相補な過剰のオリゴヌクレオチド(「抗BamH1オリゴヌクレオチド」)の存在下に加熱する(灰色線)(4)。BamH1カッターオリゴヌクレオチドは過剰量の抗BamH1オリゴヌクレオチドにアニーリングし、そしてM13分子は例えばサイズエクスクルージョンカラムを用いることによりオリゴヌクレオチドから精製され、M13スカホールドが得られる。 各末端におけるアフィニティータグ、A1およびA2を有する標識されたナノレポーターを示す。図9において、標識されたナノレポーターは、固定化されたアフィニティー相手へのA1の結合を介して固定化される。A2に対するアフィニティー結合相手の非存在下においては、ナノレポーターのA2末端は溶液中に残存する(図9A)が、アフィニティー結合相手(A2’)の存在下では、ナノレポーターのA2末端も固定化される(図9B)。固定化により、ナノレポーターは、ナノレポーターコードの検出を可能にする態様における標識結合領域の分離のために、例えば電気伸張により、図9Bに示す通り、伸展されるか、または「延長される」ことができる。 図10Aは単一のアフィニティータグA1を含有する標識されたナノレポーターを示す。別のアフィニティータグA2は図10Bに示す通りA2を含有する分子へのナノレポーターの直接の結合によりナノレポーターに結合できる(例えばナノレポーターが核酸であるか、それを含む場合は、それはA2が結合する別の核酸と直接ハイブリダイズできる)。或いは、第2のアフィニティータグA2は図10Cに示す通り結合核酸(「X」)のような結合分子を介して標識されたナノレポーターに結合できる。 一端においてアフィニティータグA1を有する標識された(核酸系)ナノレポーターを示す。図11において、標識されたナノレポーターは固定化されたアフィニティー相手へのA1の結合を介して固定化される。ナノレポーターの他方の末端は溶液中にある(図11A)が、ナノレポーターを固定化するために使用される別のアフィニティータグ(A2)を含有する相補オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションにより固定化できる(図11B)。A1およびA2は同じであることができ、例えばビオチンであることができ、これによりアビジン−またはストレプトアビジン−コーティングされた表面への固定化に供することができる。A1の固定化により、ナノレポーターは、ナノレポーターコードの検出を可能にする態様における標識結合領域の分離のために、例えば電気伸張により、図11に示す通り、伸展されるか、または「延長される」ことができる。或いは、ナノレポーターが延長された状態にある間に、A2が導入され、そしてA2に相補であるナノレポーターの末端を表面に結合させる。 図12Aは固定化された第1の部分F1を含むナノレポーターの説明図であり;そして図12Bは電場内に伸展され、そして固定化された第1の部分F1および固定化された第2の部分F2を含むナノレポーターの説明図であり、ここでF2は分子F3との複合体を介して固定化される。 図13Aは伸展されたナノレポーターの固定化のための3メンバー複合体の説明図であり;図13Bは伸展されたナノレポーターの固定化のための2メンバー複合体の説明図であり、そして図13Cは伸展されたナノレポーターの固定化のための不完全な複合体の説明図である。 図14Aは固定化された第1の部分F1を含むナノレポーターの説明図であり;図14Bは第1の部分F1において、そして第2の部分においてF2との複合体を介して固定化された伸展されたナノレポーターの説明図であり;図14Cはビオチンを介してアビジン表面に固定化された第1の部分を含むナノレポーターの説明図であり;そして図14Dは第1の部分において、そして第2の部分においてアビジン表面へのビオチンの選択的結合を介して固定化された伸展されたナノレポーターの説明図である。 図15Aはマイクロ流体デバイス中のDNA分子の一端の固定化を示し;図15Bは電場におけるDNAの伸展を示し;そして図15C伸展されたDNA分子の第2の末端の選択的固定化を示す。 本発明の方法により選択的に固定化した伸展されたナノレポーターの画像を示す。 900bpおよび1100bpの標識結合領域サイズのためのナノレポーターの計算されたエンタングルメント閾値に対する標識結合領域の数の関係を示す。 後述する実施例9(セクション14)において記載する通りナノレポーターマルチプレックス試験において発現を計測した全509遺伝子に関する各々の陽性試料(n=3)に由来する正規化された、および平均のlog2シグナル値を示す散布図である。」 本発明の実施形態に従ったコンピュータシステムを示す。 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対において使用できる隣接標的特異的配列の対の識別のための例示的な方法の工程を示す。 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対において使用できる隣接標的特異的配列の対の識別のための例示的な方法の工程を示す。 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対において使用できる隣接標的特異的配列の対の識別のための例示的な方法の工程を示す。 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおいて使用できる標的特異的配列の識別のための例示的な方法の工程を示す。 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおいて使用できる標的特異的配列の識別のための例示的な方法の工程を示す。 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおいて使用できる標的特異的配列の識別のための例示的な方法の工程を示す。 ハイブリダイズした複合体の模式図を示す(正確な縮尺ではない)。図22aは遺伝子特異的な配列を介して溶液中の相補標的mRNAにハイブリダイズしたキャプチャープローブおよびレポータープローブを示す。ハイブリダイゼーションの後、トリパータイト分子を先ず3’リピート配列により、そして次に5’リピート配列によりアフィニティー精製されることによりそれぞれ過剰なレポーターおよびキャプチャープローブを除去する。図22bは結合、電気泳動、および固定化の模式図である。(i)精製された複合体はビオチニル化キャプチャープローブを介してストレプトアビジンコーティングスライドに結合される。(ii)電圧をかけることにより分子を延長し、そしてアラインさせる。5’リピート配列にハイブリダイズするビオチニル化抗5’オリゴヌクレオチドを添加する。(iii)伸張されたレポーターは、ビオチンを介したスライド表面への抗5’オリゴヌクレオチドの結合により固定化される。電圧を切り、画像化および計数のために固定化されたレポーターを作成する。図22cは固定化されたレポーターp部の擬似色画像である。 NanoStringスパイクイン対照の直線性および再現性を示す。非ヒトDNAオリゴヌクレオチド標的を0.1、0.5、1、5、10および50fMの濃度において各試料にスパイクした。2つの陰性対照プローブ対には標的を添加しなかった。図23aは対数尺度上のスパイクの濃度に対する対数尺度上のシグナル(計数)を示す。擬似およびPV感染RNAにおける各スパイクの3レプリケートの計測の各々を示す。この尺度において、レプリケートによる計測は最低スパイクイン濃度の場合を除き、相互に最高部上に本質的に位置している。図23bは擬似およびPV感染試料両方におけるスパイクに関する直線尺度上の濃度に対する平均のシグナルを示す。平均シグナルへの直線フィットの相関係数(R値)は擬似およびPV感染試料に関してそれぞれ0.9988および0.9992となっている。両方のグラフを作成するために使用した正規化された計数値を表6に示す。 NanoStringnCounterプラットホーム上の509遺伝子に関する再現性および示差的遺伝子発現プロットを示す。図24aはテクニカルレプリケートに関する対数尺度上において示された試験された全509遺伝子に関する正規化されたシグナルの散布図である。遺伝子は検出に基づいてフィルター処理しなかった。このデータへの直線フィットのR値は0.9999±0.0002であった。NanoStringおよびAffymetrixの両方に関するテクニカルレプリケートの全てのペアワイズな比較に関するR値を表6に示す。図24bは509遺伝子に関するPV感染計数に対する擬似感染の散布図である。3連の試験に関する正規化された平均係数を示す。上および下の線は発現レベルにおける2倍上昇および低下をそれぞれ示す。全509データポイントをフィルター処理することなく示す。 図25はNanoStringおよびAffimetrix試験に関する検出/未検出の比較を示す。相当するAffymetrixプローブセットを有する449RefSeq mRNAのセットを本分析において使用した。図25aは擬似感染、そして図25bはPV感染の試料を示す。NanoString試験に関しては、3レプリケートに関する平均正規化シグナルが陰性対照のものより有意に高値である場合に遺伝子は検出されたとみなした(p≦0.05)。Affymetrix試験に関しては3レプリケートの何れかの1つがMAS5.0分析に基づいて「存在(Present)」または「境界線(Marginal)」とコールされた場合に遺伝子は検出されたとみなした。 NanoString nCounterのAffymetrix GeneChipおよびApplied BioSystems TaqManプラットホームに対する比較プロットを示す。図26aはNanoString試験(x軸)およびAffymetrixアレイ(y軸)により計測した場合のlog(PV感染/擬似感染)の比を示す。レプリケートデータに対して実施したStudentのt検定におけるP値が≦0.05(n=3)であった場合に遺伝子は示差的に調節されているとみなした。Affymetrix比はRMA正規化データに基づくものとした。両方の試験において統計学的に有意であると考えられた比への直線フィット(◆)は0.79の相関係数を与えている。この分析に関する倍数変化桁数または検出/未検出のコールに基づく遺伝子のフィルター処理は行わなかった。発現レベルが2つのプラットホームの間で不一致であり、そしてリアルタイムPCR分析のために選択された14遺伝子のセットも示す(◆)。遺伝子は実施例において概説する基準に基づいて選択した。図26bは同じ擬似およびPV感染試料100ngに対して3連で実施されたTaqMan(登録商標)リアルタイムPCRにより分析した場合の図26aに示した不一致14遺伝子を示す。棒グラフは3連におけるNanoString(■)、TaqMan(■)およびAffymetrix(■)プラットホームに関するlog比(PV感染/擬似感染)を示す。NanoStringとTaqManの間のlog比の平方根平均自乗偏差は0.34であり、DNAマイクロアレイとTaqManでは1.20であった。図26cは公開されたMAQCコンソーシアム試験と重複している35のRefSeq mRNAに対するプローブ対のライブラリを市販のレファレンスRNAにハイブリダイズした場合に得られた結果を示す。データは全試料において検出されなかった遺伝子を除去するためにフィルター処理した(方法参照)。本明細書に記載するAffymetrixデータはMAQC試験からダウンロードされ、そして単一の部位に由来するデータを示している(部位1、Affymetrix)。TaqManリアルタイムPCRデータはApplied Biosystems Inc.において実施した。選択基準に合致した27のNanoString遺伝子(◆)および18のAffymetrix遺伝子(■)に関するR値はそれぞれ0.95および0.83であった。元の試験における469遺伝子(部位1)に関するAffymetrixデータの全体的相関は0.92であった。 NanoString nCounterのAffymetrix GeneChipおよびApplied BioSystems TaqManプラットホームに対する比較プロットを示す。図26aはNanoString試験(x軸)およびAffymetrixアレイ(y軸)により計測した場合のlog(PV感染/擬似感染)の比を示す。レプリケートデータに対して実施したStudentのt検定におけるP値が≦0.05(n=3)であった場合に遺伝子は示差的に調節されているとみなした。Affymetrix比はRMA正規化データに基づくものとした。両方の試験において統計学的に有意であると考えられた比への直線フィット(◆)は0.79の相関係数を与えている。この分析に関する倍数変化桁数または検出/未検出のコールに基づく遺伝子のフィルター処理は行わなかった。発現レベルが2つのプラットホームの間で不一致であり、そしてリアルタイムPCR分析のために選択された14遺伝子のセットも示す(◆)。遺伝子は実施例において概説する基準に基づいて選択した。図26bは同じ擬似およびPV感染試料100ngに対して3連で実施されたTaqMan(登録商標)リアルタイムPCRにより分析した場合の図26aに示した不一致14遺伝子を示す。棒グラフは3連におけるNanoString(■)、TaqMan(■)およびAffymetrix(■)プラットホームに関するlog比(PV感染/擬似感染)を示す。NanoStringとTaqManの間のlog比の平方根平均自乗偏差は0.34であり、DNAマイクロアレイとTaqManでは1.20であった。図26cは公開されたMAQCコンソーシアム試験と重複している35のRefSeq mRNAに対するプローブ対のライブラリを市販のレファレンスRNAにハイブリダイズした場合に得られた結果を示す。データは全試料において検出されなかった遺伝子を除去するためにフィルター処理した(方法参照)。本明細書に記載するAffymetrixデータはMAQC試験からダウンロードされ、そして単一の部位に由来するデータを示している(部位1、Affymetrix)。TaqManリアルタイムPCRデータはApplied Biosystems Inc.において実施した。選択基準に合致した27のNanoString遺伝子(◆)および18のAffymetrix遺伝子(■)に関するR値はそれぞれ0.95および0.83であった。元の試験における469遺伝子(部位1)に関するAffymetrixデータの全体的相関は0.92であった。 NanoString nCounterのAffymetrix GeneChipおよびApplied BioSystems TaqManプラットホームに対する比較プロットを示す。図26aはNanoString試験(x軸)およびAffymetrixアレイ(y軸)により計測した場合のlog(PV感染/擬似感染)の比を示す。レプリケートデータに対して実施したStudentのt検定におけるP値が≦0.05(n=3)であった場合に遺伝子は示差的に調節されているとみなした。Affymetrix比はRMA正規化データに基づくものとした。両方の試験において統計学的に有意であると考えられた比への直線フィット(◆)は0.79の相関係数を与えている。この分析に関する倍数変化桁数または検出/未検出のコールに基づく遺伝子のフィルター処理は行わなかった。発現レベルが2つのプラットホームの間で不一致であり、そしてリアルタイムPCR分析のために選択された14遺伝子のセットも示す(◆)。遺伝子は実施例において概説する基準に基づいて選択した。図26bは同じ擬似およびPV感染試料100ngに対して3連で実施されたTaqMan(登録商標)リアルタイムPCRにより分析した場合の図26aに示した不一致14遺伝子を示す。棒グラフは3連におけるNanoString(■)、TaqMan(■)およびAffymetrix(■)プラットホームに関するlog比(PV感染/擬似感染)を示す。NanoStringとTaqManの間のlog比の平方根平均自乗偏差は0.34であり、DNAマイクロアレイとTaqManでは1.20であった。図26cは公開されたMAQCコンソーシアム試験と重複している35のRefSeq mRNAに対するプローブ対のライブラリを市販のレファレンスRNAにハイブリダイズした場合に得られた結果を示す。データは全試料において検出されなかった遺伝子を除去するためにフィルター処理した(方法参照)。本明細書に記載するAffymetrixデータはMAQC試験からダウンロードされ、そして単一の部位に由来するデータを示している(部位1、Affymetrix)。TaqManリアルタイムPCRデータはApplied Biosystems Inc.において実施した。選択基準に合致した27のNanoString遺伝子(◆)および18のAffymetrix遺伝子(■)に関するR値はそれぞれ0.95および0.83であった。元の試験における469遺伝子(部位1)に関するAffymetrixデータの全体的相関は0.92であった。 検査した全509遺伝子に関する倍数変化の結果の比較を示すグラフである。このグラフはNanoStringおよびAffymetrixのプラットホームの両方により計測された317遺伝子に関するlog倍数変化の散布図である。遺伝子は両方のプラットホーム(◆)、NanoStringプラットホームのみ(■)、Affymetrixプラットホームのみ(▲)、または何れのプラットホームにもよらない(X)の何れかにおけるそれらの倍数変化の値(p<0.05)の有意性に基づいてコード化した。示したR2値はNanoStringおよびマイクロアレイプラットホームの両方において有意であることがわかった遺伝子の倍数変化の相関を示す。 nCounterおよびリアルタイムPCRの間の相関を示す。7時点にわたる21遺伝子に関する個々の直線プロットを示す。NanoStringシステムから得られた正規化計数は左側のy軸尺度上( )に示す。コピー/胚としての定量的リアルタイムPCRの結果を右側y軸上( )に示す。7時点(x軸)は0時間(卵)、9.3時間、18時間、24時間、33時間、48時間、および70時間である。全データはポリユビキシン遺伝子の発現レベルに対して正規化してある。リアルタイムPCRデータはコピー/胚として示し、そしてNanoStringデータは正規化計数として示す。nCounterシステムとリアルタイムPCRの定量的比較(図示せず)によれば、一部の遺伝子の転写物の数の推定は2つの系で同様であったのに対し、一部は一致しなかった。隔たりは2つのプラットホームの相違を反映していると考えられる。nCounterシステムは溶液ハイブリダイゼーションの動態に基づいており、mRNA転写物を直接計測し、そして転写物数を推定するために各反応において標準曲線を使用する。これとは対照的に、リアルタイムPCRでは逆転写工程の後に特異的プライマーを用いてcDNAの一部分を増幅し、そして転写物のコピー数をポリユビキチン発現レベルと相対比較しながら計算する。
発明の詳細な説明
本発明はナノレポーター、およびその製造および使用に関する。完全に組み立てられ、そして標識されたナノレポーターは2つの主要な部分、即ち標的分子に結合することができる標的特異的配列、および標的特異的配列に関連するシグナルの「コード」(「ナノレポーターコード」)を放出する標識された領域を含む。標的分子へのナノレポーターの結合時に、ナノレポーターコードはナノレポーターが結合した標的分子を識別する。
ナノレポーターはモジュラー構造である。一般的に、ナノレポーターは3つの基本的要素、即ちラベル結合領域2つ以上を含有するスカホールド、スカホールドに結合したパッチ1つ以上、およびやはりスカホールドに結合した標的特異的配列を含有する分子実体である。ナノレポーターの要素は単一分子実体(「単」ナノレポーター)または2つの区別される分子実体(「2重」ナノレポーター)において見られる。各分子実体は1つの分子、または共有結合または非共有結合の手段により相互に結合した1つより多い分子を含んでよい。一般的に、2重ナノレポーターの各成分は同じ標的分子の異なる部位に結合する標的特異的配列を有する。これにより、標的分子へのナノレポーターの結合のより効率的な動態および高い結合特異性に起因するより良好なシグナル:ノイズ比を有するより小型のナノレポーター成分が得られる。
ナノレポータースカホールドに結合したパッチは標識単量体をナノレポータースカホールドに結合する作用を有する。パッチは例えば核酸パッチへの標識単量体1つ以上の共有結合取り込みにより直接標識してよい。或いは、例えば核酸フラップ内への標識単量体1つ以上の共有結合取り込みにより直接、或いは例えばラベル単量体1つ以上に共有結合したオリゴヌクレオチドへの核酸フラップのハイブリダイゼーションにより間接的に標識してよいフラップにパッチを結合させてもよい。標識結合領域に結合した標識単量体はパッチまたはフラップ内に直接取り込まれなくてもよいが、パッチまたはフラップは標識単量体と標識結合領域の間の「架橋」として作用し、そして「架橋分子」、例えば架橋核酸と称してよい。
或いはナノレポーターは精製のためおよび/または固定化(例えば固体表面への)のためのアフィニティータグを有してよい。ナノレポーター、またはナノレポーター標的分子複合体は、好ましくはアフィニティー選択工程2つ以上において精製される。例えば、2重ナノレポーターにおいて、1つのプローブは第1のアフィニティータグを含むことができ、そして他のプローブは第2の(異なる)アフィニティータグを含むことができる。プローブを標的分子と混合し、そして2重ナノレポーターの2つのプローブを含む複合体を一方または両方の個々のアフィニティータグに対するアフィニティー精製により未結合の物質(例えば標的またはナノレポーターの個々のプローブ)から分離する。第1の工程において、混合物を第1のアフィニティータグに対するアフィニティー試薬に結合させることにより、第1のアフィニティータグおよび所望の複合体を含むプローブのみが精製される。結合した物質を第1のアフィニティー試薬から放出させ、そして任意に第2のアフィニティータグに対するアフィニティー試薬に結合させることにより、第1のアフィニティータグを含むプローブからの複合体の分離が可能となる。この時点において完全な複合体のみが結合している。第2のアフィニティータグに対するアフィニティー試薬から複合体を最終的に放出させ、そして次に好ましくは伸張させ、そして画像化する。アフィニティー試薬はアフィニティータグに対する結合相手でコーティングされた何れかの固体表面、例えば結合相手でコーティングされたカラム、ビーズ(例えばラテックスまたは磁気ビーズ)またはスライドであることができる。アフィニティー試薬を用いたナノレポーターの固定化および伸張は、参照により全体が本明細書に組み込まれる2005年12月23日に出願された代理人訴訟番号11616−014−888の「Composition Comprising Oriented,Immobilized Macromolecules and Methods for Their Preparation」と題された、Sean M,FerreeおよびDwayne L.Dunawayによる米国特許暫定出願60/753,816に完全に記載されている。
核酸であるかそれを含むナノレポーターおよびナノレポーター−標的複合体はナノレポーターまたは標的の少なくとも一部分に対して相補的なオリゴヌクレオチドのような核酸を用いながら、アフィニティー精製または固定化してよい。標的がポリAまたはポリdAストレッチを包含する特定の用途においては、ナノレポーター−標的複合体はポリdTオリゴヌクレオチドでコーティングされたアフィニティー試薬により精製または固定化することができる。
所定のナノレポーターのスカホールドの種々の標識結合領域に関連する標識単量体により放出されるシグナルの配列は、ナノレポーターのユニークな識別を可能にする。ユニークな本質またはユニークなスペクトルシグネチャーを有するナノレポーターを、特定の標的分子またはその一部分を認識する標的特異的配列に会合させる。標的分子へのナノレポーターの標的特異的配列の結合を可能にする条件下で、標的分子を含有する混合物にナノレポーターを曝露すれば、標的特異的配列は優先的に標的分子に結合する。ナノレポーターに会合したスペクトルコードの検出により、混合物中の標的分子の存在の検出が可能になる(定性的分析)。所定のスペクトルコードまたはシグネチャーに会合した標識単量体のすべてを計数することにより、ナノレポーターにカップリングした標的特異的配列に会合した混合物中のすべての分子の計数が可能となる(定量的分析)。即ちナノレポーターは知られたバイオマーカーの定量的分析による異なる生物学的状態(例えば疾患vs健常)の診断または予後のために有用である。更にまた、本発明のナノレポーターにより可能となった単一分子の検出および定量の優秀な感度によって、新しい診断および予後のマーカー、例えば従来の分子方法を用いて特定の生物学的状態との相関を検出するには異なる生物学的状態の間での変動が少なすぎるものの識別を可能にする。ナノレポーター系の分子検出の感度は少量の生物学的試料中の治療薬および診断薬の詳細な薬物動態の分析を可能にする。
単ナノレポーターと称される多くのナノレポーターは図1Dに示す通り1分子実体を含む。しかしながら、ナノレポーターの特異性を高めるため、および/または標的分子へのその結合の動態を向上させるためには、好ましいナノレポーターは、同じ標的分子の異なる領域に結合する異なる標的特異的配列を各々が含有する2分子実体を含む2重ナノレポーターである。2重ナノレポーターの種々の実施形態を図1A〜1Cに示す。2重ナノレポーターにおいて、分子実体2つの少なくとも1つを標識する。他の分子実体は必ずしも標識する必要はない。2重ナノレポーターのそのような未標識の成分は本明細書においては「ゴーストプローブ」(図1C参照)と称し、そして頻繁には結合したアフィニティータグを有し、それは2重ナノレポーターおよび標的分子を含有する複合体を固定化および/または伸張する場合に有用であり、これにより複合体の可視化および/または画像化が可能となる。
自身のモジュール構造のために、ナノレポーターは種々の異なる方法において組立および標識してよい。例えば、ナノレポータースカホールドを標的特異的配列に結合(例えばハイブリダイゼーション、および任意にライゲーションによる)し、そしてスカホールドおよび標的特異的配列を含む構造物を1つ以上のパッチ、および所望によりフラップに結合させる。或いは、ナノレポータースカホールドをまず1つ以上のパッチ(および任意にフラップ)に結合させ、そして次にスカホールド/パッチ構造物を標的特異的配列に結合させる。即ち特段の記載が無い限り、ナノレポーター組み立てにおける工程の考察および列挙は組み立ての特定の経路を追従しなければならないことを意味していない。
ナノレポーターの組み立ておよび使用は本明細書においては大部分を種々の核酸系ナノレポーターの説明により例示するが;当業者の知る通り、本明細書に記載した方法はアミノ酸系(またはハイブリッド核酸−/アミノ酸−系)ナノレポーターにも適用可能である。部分的および完全に組み立てられたナノレポーターの代表例を以下に列挙する。
最も簡素には、本発明は標識され、そして分割されることができる少なくとも2つの標識結合領域を有するスカホールドを提供する。スカホールドは別個に標識され、そして分割されることのできるスカホールド上の標識結合領域の形成を可能にする何れかの分子実体であることができる。スカホールド上に形成すべき標識結合領域の数はスカホールドの長さおよび性質、ナノレポーターを標識する手段、並びにスカホールドの標識結合領域に結合すべきシグナルを放出する標識単量体の型に基づく。本発明によるナノレポーターは標識結合領域2つ以上を包含するスカホールドを有してよい。適当なスカホールド構造はDNA系スカホールドを含む。
本発明はまた、標識結合領域1つ以上が相当する標識単量体に結合され、そして各標識単量体がシグナルを放出する標識されたナノレポーターを提供する。例えば本発明の標識されたナノレポーターは、標識の単量体少なくとも2つがスカホールドの相当する標識結合領域2つに結合することによりこれらの標識された標識結合領域、または「スポット」が区別可能となる場合に、得られる。スカホールドの異なる標識結合領域に会合しているシグナルを放出する標識単量体は、検出条件下にスペクトル的に区別不可能なシグナル(「同類」シグナル)を放出できるか、または少なくとも検出条件下ではスペクトル的に区別可能であるシグナルを放出できる(例えばナノレポーターが固定化、伸張および顕微鏡下に観察された場合)。
本発明はまた、標識結合領域に標識単量体2つ以上が結合しているナノレポーターを提供する。前記標識結合領域に会合している標識単量体により放出されるシグナルは検出される凝集シグナルを発生させる。発生した凝集シグナルは同類シグナルから形成されるか、またはスペクトル的に区別可能なシグナル少なくとも2つから形成されてよい。
1つの実施形態において、本発明は同類シグナルを放出する標識単量体少なくとも2つをスカホールドの相当する標識結合領域2つに結合させ、そして前記標識単量体2つが空間的に区別可能であるナノレポーターを提供する。別の実施形態においては、本発明は区別可能なシグナル2つを放出する標識単量体少なくとも2つが近隣の標識結合領域2つ、例えば隣接する標識結合領域2つに結合することにより前記標識単量体少なくとも2つがスペクトル的に区別可能となるナノレポーターを提供する。
本発明は同類シグナルを放出するスポット2つがスペーサー領域により分離されることにより、スペーサー領域に介在することで前記スポット2つに結合した標識単量体により放出される前記同類シグナルの分解または良好な分解を可能にするナノレポーターを提供する。1つの実施形態において、スペーサー領域はナノレポーターの検出において使用される機器の解像度により決定される長さを有する。
本発明は「ダブルスポット」1つ以上を有するナノレポーターを提供する。各ダブルスポットはスペーサー領域により分離されることなく、同類シグナルを放出する隣接スポット2つ以上(例えば3つ、4つまたは5つ)を含有する。ダブルスポットはそれらのサイズにより識別できる。
本発明によりシグナルを放出する標識単量体は標識結合領域に結合しているパッチに共有結合または非共有結合的に(例えばハイブリダイゼーションを介して)結合してよい。標識単量体はまた、共有結合または非共有結合的に(例えばハイブリダイゼーションを介して)フラップに結合してよく、これがパッチに結合し、そして次にこれがスカホールドに結合する。フラップはスプリットフラップを形成する分子1つまたは分子2つ以上(「フラップピース」)により形成できる。
本発明はまた、ナノレポーターのスカホールド上の標識結合領域に結合した(例えばパッチを介して間接的に)標識単量体により放出されるシグナルの配列により決定されるスペクトルコードを伴うことにより、スペクトルコードの検出がナノレポーターの識別を可能にするナノレポーターを提供する。
1つの実施形態において、本発明はナノレポータースカホールドに結合したアフィニティータグをさらに含むことにより支持体へのアフィニティータグの結合がスカホールド伸張およびスカホールド上の異なる標識結合領域に相当する標識単量体により放出されるシグナルの分解を可能にするナノレポーターを提供する。ナノレポーター伸張は当該分野で知られている何れかの伸張手段、例えば限定しないが物理的、流体力学的または電気的手段を使用する手段を使用してよい。
更に別の実施形態において、本発明はスカホールドの標識結合領域に結合したフラップをさらに含むナノレポーターを提供し、この場合、スカホールドの標識結合領域に結合したフラップは前記標識結合領域に相当する標識単量体を結合することにより、前記スカホールド上の相当する標識結合領域に標識単量体を間接的に結合させる。別の実施形態においては、各標識単量体は所定の配列のシグナル放出部分およびオリゴヌクレオチド部分を含み、そしてフラップは相当する標識のオリゴヌクレオチド部分に相補なフラップ配列のリピートを含むことにより、前記フラップ配列の前記リピートへの前記標識単量体の前記オリゴヌクレオチド部分のハイブリダイゼーションを介して相当する標識結合領域に標識単量体1つ以上が結合し、これにより標識されたナノレポーターが形成される。
本発明のナノレポーターは更にスカホールドにカップリングした標的特異的配列を包含できる。標的特異的配列はナノレポーターが標的分子を認識するか、結合させるか、またはそれに結合することができるように選択される。本発明のナノレポーターは全ての型の標的分子の識別に適している。例えば適切な標的特異的配列をナノレポーターのスカホールドにカップリングすることにより標的分子の検出を可能とすることができる。好ましくは、標的分子はDNA(cDNAを包含)、RNA(mRNAおよびcRNAを包含)、ペプチド、ポリペプチド、または蛋白である。
本発明の1つの実施形態は、本発明による標識単量体を用いた標的分子の検出における増大した柔軟性を与える。本実施形態においては、少なくとも一方が標識されている、各々が別個の標的特異的領域を有する2つの異なる分子実体を含む2重ナノレポーターが同じ標的分子に結合する。即ち、2重ナノレポーターの2成分の標的特異的配列は選択された標的分子の異なる部分に結合し、これにより2重ナノレポーターに関連するスペクトルコードの検出が前記2重ナノレポーターに接触した生体分子試料中の選択された標的分子の検出をもたらす。
本発明はまた生体分子試料中の特異的標的分子の存在を検出する方法を提供し、これは(i)標的分子への2重ナノレポーターにおける標的特異的配列の結合を可能にする条件下で2重ナノレポーターに前記試料を接触させること、および(ii)2重ナノレポーターに関連するスペクトルコードを検出することを含む。ナノレポーターのアーキテクチャーに応じて、2重ナノレポーターは標的分子への結合の前または後に標識してよい。
特定の実施形態においては、検出方法は多重の試験において実施され、その場合複数の標的分子を同じ試験(単一の反応混合物)において検出する。好ましい実施形態においては、試験は複数の標的分子を同時に検出するハイブリダイゼーション試験である。特定の実施形態においては、同じ試験において検出される複数の標的分子は、少なくとも5種の異なる標的分子、少なくとも10種の異なる標的分子、少なくとも20種の異なる標的分子、少なくとも50種の異なる標的分子、少なくとも75種の異なる標的分子、少なくとも100種の異なる標的分子、少なくとも200種の異なる標的分子、少なくとも500種の異なる標的分子、少なくとも750種の異なる標的分子、または少なくとも1000種の異なる標的分子である。他の実施形態においては、同じ試験において検出される複数の標的分子は、50種までの異なる標的分子、100種までの異なる標的分子、150種までの異なる標的分子、200種までの異なる標的分子、300種までの異なる標的分子、500種までの異なる標的分子、750種までの異なる標的分子、1000種までの異なる標的分子、2000種までの異なる標的分子、または5000種までの異なる標的分子である。更に他の実施形態においては、検出される複数の標的分子は、異なる標的分子の上記した数の間の何れかの範囲にあり、例えば限定しないが、20〜50種の異なる標的分子、50〜200種の異なる標的分子、100〜1000種の異なる標的分子、500〜5000種の異なる標的分子等である。
特定の実施形態においては、本発明は同じRNAの異なるスプライス型を検出することを対象にしている。異なるスプライス型は、同じ遺伝子の異なるエクソンに相補な異なる標的特異的配列を各々有する複数のナノレポータープローブを使用しながら検出できる。
ナノレポーターの構造的安定性はパッチのライゲーション、および任意にスプリットフラップおよび/またはスプリットフラップにハイブリダイズした標識オリゴヌクレオチドのライゲーションを介して増大できる。
本発明のナノレポーターおよびそれに基づく分析手法により提供される定量分析的な能力に加えて、本発明のナノレポーターは定量分析を実施する場合にユニークな適性を示す。本発明のナノレポーター(単または2重ナノレポーターの何れも)と生体分子試料中のそれらの標的分子との間の一対一の結合をもたらすことにより、試料中に存在する標的分子の全てまたは代表的部分を識別して計数することができる。種々の分子種のこのような個々の計数は、生体分子試料中の標的分子の絶対的または相対的な濃度を測定するための正確で直接的な方法を提供する。更にまた、混合物中の分子各々を個々に目標とする能力は、ミニチュア化の利益、例えば高感度、最小限の試料必要量、小容量での溶液相動態により可能となる高い反応速度、および究極的に低い試薬経費を増幅する。
以下に記載する説明および実施例から明らかにされる通り、本発明は多くの利点を提供する。例えば、本発明のナノレポーターを形成する場合の複雑なモジュール性は、極めて高度な多様性を有するユニークなナノレポーター(例えばユニークに認識可能なナノレポーター数百万)のライブラリの系統的創生を可能とする。このモジュール性はナノレポーター集団を特定の用途にカスタマイズする場合に柔軟性を与えるものであり、これにより高い製造効率がもたらされる。以下の説明により明らかにされる別の利点は本発明のナノレポーターを組み立てる場合の柔軟性から生じるものである。即ち、それらのモジュール性の構造のために、本発明のナノレポーターは使用場所への出荷の前に組み立てるか、または使用場所において組み立てることができる。
ナノレポーターの専門用語
ナノレポーター:「ナノレポーター」という用語は、(i)標識結合領域少なくとも2つを含有する分子(「スカホールド」);(ii)標識結合領域少なくとも1つに結合したパッチ少なくとも1つ;および(iii)標的特異的配列を有する分子実体を指す。以下により詳細に説明する通り、ナノレポーターは単ナノレポーター(全成分が単一の分子実体内にある)または2重ナノレポーター(全成分が2つの別個の分子実体内にある)であることができる。ナノレポーターは好ましくは合成、即ち天然に存在しない分子であり、例えば人工および/または分子(例えばプラスミド、染色体、ウィルスゲノム、蛋白等)1つより多くの上に通常存在する天然に存在する配列2つ以上を連結することにより作成されるキメラ分子である。
標識されたナノレポーター:標識されたナノレポーターはナノレポーターの少なくとも1つのパッチがナノレポーターコードの少なくとも一部分を形成するシグナルを発生する標識単量体1つ以上に結合したナノレポーターである。
標識ユニット:「標識ユニット」という用語は標識されたナノレポーターの非標的特異的部分を指す。
プローブ:これは標的特異的配列を有する分子を指す。単ナノレポーターに関して、「プローブ」という用語はナノレポーターそのものを指し;2重ナノレポーターに関して、「プローブ」という用語はナノレポーターの成分2つの一方または両方を指す。
プローブ対:これは2重ナノレポーターを指す。
パッチ:「パッチ」という用語は、一般的にナノレポーターを標識する目的のためにナノレポータースカホールドの標識結合領域に結合される分子実体を指す。パッチはスカホールドへのその結合の前または後の何れかに自身に直接(共有結合または非共有結合的に)または間接的に結合した状態で標識単量体1つ以上を有することができる。
フラップ:「フラップ」という用語は本明細書においては、標識結合領域に結合したパッチまたはパッチ対に結合した分子実体を指す。フラップは標識単量体を含有するか、または標識単量体を含有している分子1つ以上に結合することができる分子1つ以上である。領域の間接的標識を行うことにより、フラップは領域に関連するシグナル放出単量体の数並びにそのような単量体の性質を制御する大きい柔軟性を与える。フラップは「スプリットフラップ」を形成する単一の分子片または数個の分子片(例えば2片)により形成してよい(例えば図7参照)。
標的特異的配列:「標的特異的配列」とは標的分子に結合できる分子実体を指す。ナノレポーターに関して標的特異的配列はナノレポータースカホールドに結合される。標的分子は好ましくは(そして必須ではなく)天然に存在する分子、または天然に存在する分子のcDNAまたは該cDNAの相補体である。
ゴーストプローブ:標的特異的配列を含むが、それがナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する標識単量体で標識されていない分子を指す。
レポータープローブ:ナノレポーターコードに寄与するシグナルを放出する標識単量体少なくとも1つで標識されている標的特異的配列を含む分子。単ナノレポーターは2重ナノレポーターの標識された成分と同様、レポータープローブである。
FフックおよびGフック:2重ナノレポーターに関して、FおよびGフックは各々プローブの1つに選択的に結合できるアフィニティータグである。好ましい実施形態においては、FフックおよびGフックは2重ナノレポーター内のそれぞれのナノレポータープローブ中に存在(例えばライゲーションを介して)するかそれに結合(例えばハイブリダイゼーションを介して)しているそれぞれの相補配列にハイブリダイズ可能なビオチニル化オリゴヌクレオチドである。即ち、FフックおよびGフックはナノレポーターの精製、固定化および伸張のために使用できる。一般的に、2重ナノレポーターがレポータープローブ1つおよびゴーストプローブ1つを含有する場合、Gフックはレポータープローブに結合することになり、そしてFフックはゴーストプローブに結合することになる。FフックおよびGフックは何れかの末端において、または内部においてビオチニル化することができる。それらはまた、アフィニティー精製のための固体基盤への結合を可能にするようにアミン修飾することができる。
F−TAGおよびG−TAG:それぞれFフックおよびGフックに相補である約10〜約25ヌクレオチドのタンデムリピートした配列。GタグおよびFタグはナノレポータープローブに結合される。一般的に、Fタグはゴーストプローブ中に存在するかライゲーター配列を介してそれに結合し、そしてGタグはレポータープローブスカホールド中に存在するかライゲーター配列を介してそれに結合する。
スポット:ナノレポーター検出に関するスポットは、ナノレポーター上の単一の標識結合部位に結合した標識単量体から検出され、そして顕微鏡げに可視化した場合に標識結合領域のサイズおよび標識単量体の性質(例えば一次発光波長)に応じて単一光源として観察される、凝集シグナルである。ナノレポーターからのスポットはオーバーラップまたは非オーバーラップする場合がある。その標的分子を識別するナノレポーターコードは、スポットの長さ、他のスポットと相対的なその位置、および/またはそのシグナルの性質(例えば一次発光波長)の何れかの順列を含むことができる。一般的に、本発明の各プローブまたはプローブ対に関して、隣接する標識結合領域は非オーバーラップであり、および/または隣接する標識結合領域に由来するスポットは、少なくとも検出条件下で空間的および/またはスペクトル的に区別可能である(例えば本明細書に記載する通りナノレポーターを固定化し、伸張し、そして顕微鏡下に観察した場合)。
頻繁には、特定の数の塩基またはヌクレオチドとしてのスポット「サイズ」を参照する。当該分野で知られる通り、これは相当する標識結合領域内の塩基またはヌクレオチドの数を指す。
ナノレポーターコード:ナノレポーターに由来するスポットの順序および性質(例えば一次発光波長、任意に長さも)はナノレポーターの標的特異的配列を介してナノレポーターにより結合されることができる標的分子を識別するナノレポーターコードとして機能する。ナノレポーターが標的分子に結合している場合、ナノレポーターコードも標的分子を識別する。任意に、スポットの長さはナノレポーターコードの成分であることができる。
ダークスポット:「ダークスポット」という用語はナノレポーター上の標識結合部位からのシグナルまたは「スポット」の欠如を指す。ダークスポットをナノレポーターコード内に組み込むことにより、更に多くの符号化順列を付加し、そしてより多くのナノレポーターの多様性をナノレポーター集団内に発生させることができる。
レジスター:「レジスター」という用語は標識結合領域を改変するセットを指す。
ナノレポータースカホールド
ナノレポータースカホールドは直接または間接的に標識単量体を結合できる標識結合領域を含有する何れかの分子実体、より好ましくは核酸分子であることができる。1つの実施形態において、ナノレポータースカホールドは蛋白スカホールドであり;好ましい実施形態においては、ナノレポータースカホールドは、標識結合領域が1本鎖領域であり、そしてこれに他の核酸、例えばオリゴヌクレオチドパッチ、RNAパッチ、またはDNAパッチがハイブリダイズにより結合することができる、核酸スカホールドである。特定の実施形態においては、ナノレポータースカホールドは核酸分子である。
本発明のナノレポーターの形成に適するスカホールドの型に対しては特に制限は設けない。本発明のスカホールドは本質的には如何なる構造を有することもでき、例えば1本鎖線状スカホールド、2本鎖線状スカホールド、1本鎖環状スカホールドまたは2本鎖環状スカホールドである。スカホールド構造の例は、例えば、ポリペプチド、核酸または炭水化物のような1つの分子実体より形成されたスカホールドを包含する。スカホールドはまた、構造体の組み合わせを包含してよく、例えばスカホールドは炭水化物ストレッチ1つ以上にカップリングしたポリペプチドストレッチ1つ以上から形成されてよい。
本発明のスカホールドのための適当な分子実体は、重合体構造、特に核酸系の重合体構造、例えばDNAを包含する。DNA系構造は、少なくとも部分的にはDNAコンストラクトの操作を可能にする既存の手法および方法が広範であることから、本発明において多くの利点をもたらす。
上記した通り、スカホールドは1本鎖または2本鎖であることができる。2本鎖スカホールドは従来の2本鎖DNAまたはパッチユニットまたはフラットパッチが結合した核酸の線状1本鎖ストレッチを含む2本鎖の何れかであることができる。
スカホールドは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21〜100標識結合領域またはそれより多くを有することができる。
ナノレポータースカホールドの標識結合領域は標識方法に応じてサイズが変動することになる。種々の実施形態において、標識結合領域は10nm〜10,000nmの何れかの長さを有することができるが、より好ましくは50nm〜5,000nmであり、そしてより好ましくは100nm〜1,000nmである。種々の実施形態において、標識結合領域は約100nm〜約500nm、約150nm〜約450nm、約200nm〜約400nm、または250nm〜約350nmである。好ましい実施形態においては、標識結合領域は回折限界スポット、即ち標準的な光学機器で検出できる最小のスポットのサイズに緊密に相当しており、これは約300nmである。
スカホールドが核酸である場合、1nmは約3ヌクレオチドに相当し;即ち、約300nmの標識結合領域は約900塩基に相当する。他の好ましい実施形態においては、標識結合領域は約300ヌクレオチド〜約1.5kb、約450ヌクレオチド〜約1.35kb、約0.6kb〜約1.2kb、または0.75kb〜約1.05kbである。
本発明のナノレポータースカホールドの分子実体の代表例は1本鎖であるM13DNAである。1つの実施形態において、ナノレポータースカホールドは環状の少なくとも部分的に1本鎖のDNA、例えば環状M13である。より好ましい実施形態においては、ナノレポータースカホールドは線状の少なくとも部分的に1本鎖のDNA、例えば線状M13である。特定の実施形態においては、M131本鎖DNAは環状M13DNAのBamH1部位における切断を行うことにより得られる。
当然ながら、本発明において、線状DNAは環状DNAと比較して追加的な利点をもたらす。本発明のスカホールドを形成する場合に線状DNAを使用することの1つの利点は線状DNAに関連する大きく低減された捻じれ応力に関連している。環状DNAに関連する追加的な捻じれ応力は、パッチユニットのようなナノレポーターの他の成分のスカホールドへの添加時に、スカホールドの構造的一体性を妨害する場合がある。重度の捻じれ応力はスカホールドの構造の破壊をもたらす場合がある。しかしながら、僅か数個の短い標識結合部位を標識するナノレポーターには環状DNAも適している。
新しい合成ナノレポータースカホールド配列
本発明はナノレポーターの標識および検出を最適化する特徴を有するように設計された人工の核酸分子(DNA、RNA、またはDNA/RNAハイブリッド)であるナノレポータースカホールドを提供する。本発明のこれらの特徴においては、ナノレポータースカホールドは50〜50,000塩基長の合成配列1つ以上を含む人工の核酸である。従って、好ましくはDNAであるナノレポータースカホールドは特定の塩基の規則的なパターン(「規則的にリピートされる塩基」)を含む標識結合領域として有用な領域1つ以上を有するように設計される。そのような領域においては、規則的にリピートされる塩基はn残基毎に周期的に発生し、ここでnは何れかの数、好ましくは4〜25である。
好ましくは、領域内の規則的にリピートされる塩基の25%以下は前記規則的な間隔以外で生じる。例えば、100ヌクレオチドの領域において12チミジン塩基が存在し、そしてチミジンが規則的にリピートされる塩基である場合、本発明のこの特徴においてはこれらの25%、即ち3チミジン塩基以下がチミジンの規則的パターン外にある。特定の実施形態においては、前記塩基の20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下が前記領域内の前記規則的間隔外で生じる。
ナノレポータースカホールドの領域内の規則的にリピートされる塩基、またはアニーリングされたパッチ(またはセグメント)におけるその相補の規則的にリピートされる塩基を用いることにより、標識単量体、好ましくは光放出標識単量体を、ナノレポーターシグナルの良好な分散のための規則的で均一に間隔をおいたパターンにおいて、ナノレポーターに結合することができる。好ましくは、領域が標識されている場合、規則的にリピートされる塩基の存在の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%が、塩基への標識単量体の共有結合によるか、または規則的にリピートされる塩基の相補体がそのように標識されている核酸へのハイブリダイゼーションによるかの何れかにより、光放出標識単量体少なくとも1つに結合される。
この発生パーセンテージは当該分野で知られた何れかの手段により計測できる。1つの方法においては、標識反応において形成される核酸の量を精製(例えばQiagenRNeasyキットを用いてRNAを精製できる)し、そしてUVスペクトル分析に付す。適切な波長における吸光度(「A」)を核酸(260nm)および存在を計測すべき標識単量体の各々(例えばAlexaFluor488に関しては495nm;AlexaFluor594に関しては590nm;AlexaFluor647に関しては650nm;およびCy3に関しては550nm)に関して計測する。標識単量体のピーク波長における吸光度(ALM)−その標識単量体に関する補正ファクターの差引により標識単量体からの「ノイズ」の寄与分を排除するために、260nmにおける吸光度の値(「A260」)を調節することにより核酸の吸光度を補正する。核酸がRNAである場合、1000ヌクレオチド当たりの標識単量体の数は下記式に従って計算される。
標識単量体の数/1000ヌクレオチド
=(A260/ALM)×(9010/ECLM)×1000
式中、ECLMは標識単量体に関する消衰係数である。この式より、光放出標識単量体に結合した規則的にリピートされる塩基の発生パーセンテージを計算できる。
一般的に、標識結合領域中の好ましい規則的にリピートされる塩基はチミジンであり、これにより領域は規則的にリピートされる塩基がウリジンである相補パッチ(例えばRNAセグメント)1つ以上へのハイブリダイゼーションにより標識できる。これによりあるいはランダムな配列における標識単量体結合部位として、手軽に市販されている、アミノアリル修飾UTPの使用が可能となる。好ましくは、領域の規則的周期性のほかに、領域(およびそれらを含む核酸)は最小限の二次構造を含有する。全体的なGC含有量は好ましくは50%近傍に維持され、そして好ましくは局所的なTmを同様にするために相対的に短いストレッチに渡って一貫したものとなる。
本発明の人工核酸、または少なくともその領域は、好ましくは12塩基長を超える正方向または逆方向のリピートを有さない。他の実施形態において、人工核酸および/または領域は約11、約10または約9塩基長を超える正方向または逆方向のリピートを有さない。
規則的にリピートされるヌクレオチドがチミジンでありGC含有量約50%の例示される領域においては、過剰のアデニンはTの大量存在下で損失分を補充することになる。選択された配列を形成するためには、4塩基毎〜25塩基毎の範囲のTの固定されたパターンを有するランダム配列を作成し、そしてスクリーニングすることにより逆方向および正方向のリピートの存在を最小限にする。
配列はまた好ましくは共通の6塩基カッター制限酵素認識部位を回避するためにスクリーニングされる。選択された配列は追加的に予測二次構造分析に付し、そして最小限の二次構造を有するものを選択してその後の評価に付す。当該分野で知られた何れかのプログラム、例えばMFOLDプログラム(Zuker,2003,Nucleic Acids Res.31(13:3406−15;Mathews等、1999、J.Mol.Biol.288:911−940)を用いることにより二次構造を予測できる。
適切な配列を50塩基〜2キロ塩基長(より長い場合もある)の範囲の標識結合領域に分割する。各標識結合領域はユニークな配列であるが、しかしなお、所定のレポーター配列内の他の標識結合領域に相対比較してTの一貫した数および間隔を含有する。これらの標識結合領域には配列が問題とならない他の領域が介在できる。ナノレポータースカホールド内の合成標識結合領域は異なる長さであることができ、および/または異なる規則的にリピートされる塩基を有することができる。RNAポリメラーゼT7、T3、またはSP6による転写のための最適な開始配列(転写物の+1位で開始する)を各標識結合領域の5’末端に付加することができる。制限部位を任意に各標識結合領域の境界部に付加することにより、従来のクローニング手法を用いた配列への個々の標識結合領域の特異的な付加または欠失を施すことができる。ナノレポーター中の合成標識結合領域の数は、好ましくは1〜50である。更に他の実施形態において、ナノレポーター中の合成標識結合領域の数は1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10合成標識結合領域〜15、20、30、40、または50合成標識結合領域の範囲であり、或いはその間の何れかの範囲にある。
そのような新しい合成の標識結合領域の例を以下に示す。5’から3’に示すこの配列において、Tは8位毎に位置し、そして領域は5’SacI制限部位および3’KpnI制限部位を境界としている。T7ポリメラーゼに対する最適化転写物開始部位(GGGAGA)は領域の5’末端において、5’制限部位の下流に包含される。この配列の相補体は、1本鎖分子として発生する場合は、この標識結合領域から転写されたRNA分子に対するスカホールドを形成する。
本発明の合成核酸は天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増大させるため、または、標識結合領域とアニーリングしたパッチまたはセグメントの間に形成されたデュプレックスの物理的安定性を増大させるために設計された種々多様に修飾されたヌクレオチドを用いながら化学合成することができ、例えばホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用できる。合成核酸を形成するために使用できる修飾されたヌクレオチドの例は5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチルー2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルケオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウイブトキシン、シュードウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンを包含する。
或いは、合成核酸は、核酸をサブクローニングしてあるベクターを用いながら生物学的に作成できる。
種々の実施形態において、本発明の合成核酸分子は塩基部分、糖部分またはホスフェート骨格部分において修飾することにより、例えば分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解性を向上させることができる。例えば、核酸のデオキシリボースホスフェート骨格はペプチド核酸を形成するように修飾できる(Hyrup等、1996、Bioorganic&Medicinal Chemistry 4(1):5−23参照)。本明細書においては、「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は核酸ミメティック、例えばDNAミメティックを指し、その場合、デオキシリボースホスフェート骨格は擬似ペプチド骨格により置き換えられ、そして4つの天然のヌクレオ塩基のみが保持される。PNAの中性の骨格は低イオン強度条件下においてDNAおよびRNAへの特異的なハイブリダイゼーションを可能にすることがわかっている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup等、1996、Bioorganic&Medicinal Chemistry 4(1):5−23;Oerry−O’Keefe等、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:14670−675に記載されているような標準的な固相ペプチド合成プロトコルを用いて実施できる。
例示的な実施形態において、選択された新しい合成配列は商業的な遺伝子合成会社により2本鎖DNAとして合成により構築することができ、そして「ファージミド」、即ちpUC119のようなDNA複製およびファージのキャプシド化のために必要なシス作用性の配列を含有するM13またはf1ファージ遺伝子内(IG)領域を含有するプラスミドベクター内に方向性を伴いながらクローニングされることができる。複製のファージ起点と相対比較してクローニングされたインサートの適切な方向は、各標識結合領域に関するインビトロの転写により形成されたRNA分子の逆相補物である1本鎖DNAスカホールドの形成を可能にする。
新しいレポーターの1本鎖DNAスカホールドを形成するためには、F’エピソームを含有するE.coli菌株内にファージミドを形質転換する。その後、M13突然変異体K07のようなヘルパーファージによる形質転換細菌の感染を行うことにより、1本鎖のパッケージされたファージ型としての新しいレポーター配列を担持するファージミドの分泌が起こり、これから、環状の1本鎖DNAを標準的プロトコルを用いて製造する。このDNAを線状化し、そして、新しいレポーター配列の何れかの末端に短鎖の相補オリゴヌクレオチドをアニーリングすることによりベクター部分を切り出し、2本鎖制限部位を形成し、その後、適切な制限酵素で処理する。
各標識結合領域に対するRNA分子(パッチまたは「セグメント」)を作成するためには、転写開始部位のすぐ上流(5’)においてRNAポリメラーゼプロモーター(T7、T3、またはSP6)で開始し、そして3’制限酵素部位の後方で終止する2本鎖鋳型を形成するようにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーを設計する。この鋳型を使用しながら、RNA分子のインビトロの転写をRNA(例えばUTP)および未修飾の他の塩基(例えばATP、CTPおよびGTP)においてアミノアリル修飾された規則的にリピートされる塩基の存在下に実施する。これにより、各規則的にリピートされる塩基(例えばU)が修飾されRNA分子内のその位置における標識単量体の共有結合カップリングが可能となったRNA産物がもたらされる。
光放出標識単量体のRNA分子へのカップリングおよび標識されたRNA分子のスカホールドへのアニーリングは以下に記載する通り実施する。
新規配列に関する一部の設計の要点を以下の表1に示す。
パッチ
ナノレポーターコードの全てまたは部分を構成するシグナルを放出する標識単量体は本明細書においては「パッチ」と称される構造を介してナノレポータースカホールドの標識結合領域に結合される。標識単量体は直接(例えば共有結合または非共有結合的に)パッチに結合するか、または間接的にパッチに結合(例えばハイブリダイゼーションを介する)することができる。
核酸パッチは25ヌクレオチド〜数キロ塩基(例えば5kb)長の何れかであることができ、そして好ましくは50ヌクレオチド〜2kb長である。特定の実施形態においては、核酸パッチは約25〜250、50〜200、50〜150、または50〜100ヌクレオチド長である。他の実施形態において、核酸パッチは約500〜2,000、500〜1,500、500〜1,000、750〜1,250、または750〜1,000ヌクレオチド長である。核酸パッチはRNAパッチまたはDNAパッチであることができる。
標識単量体はナノレポータースカホールドの標識結合領域にパッチが結合する前、または後に、パッチに共有結合することができる。例えばパッチが核酸分子である場合は、標識は、標識単量体を含有するヌクレオチドの核酸への取り込みにより、その合成の最中であるがそれが結合される前に、例えばハイブリダイゼーションにより、スカホールドの標識結合領域に共有結合することができる。或いは、核酸パッチの合成の間、標識単量体アクセプター基を含有するヌクレオチドを包含させ、そして標識単量体をその合成の後、それがスカホールドの標識結合領域に結合される前または後の何れかに、核酸パッチに付加させる。或いは標識単量体は例えばナノレポーターへの標識単量体の結合の基礎として作用する「フラップ」へのパッチのハイブリダイゼーションにより、パッチに間接的に結合できる。
即ち、パッチが核酸である場合は、それはナノレポーターの組み立ての方法に応じて20ヌクレオチド〜5kb超の長さの範囲であることができる。
例えば、標識されたナノレポーターにおけるナノレポーターコードの部分であるシグナルを放出する標識単量体1つ以上をパッチが自身内に共有結合的に取り込んでいる場合、パッチは好ましくは約100〜約10,000塩基、より好ましくは200〜約2000塩基、そしてさらに好ましくは700〜約1200ヌクレオチド長であり、そして一般的に本明細書においては「セグメント」と称し、ここで「ダークセグメント」は標識単量体の取り込みの前のパッチであり(ただし好ましい実施形態においてはアミノアリルヌクレオチドのような標識単量体アクセプター部位を含有)、そして「カラード」セグメントは所望の標識単量体を含有するものである。自身の標識結合領域にハイブリダイズしたセグメントのTmは、825mMNa(5XSSC)中で好ましくは>80℃、より好ましくは>90℃である。
パッチがナノレポーターへのフラップ結合のための鋳型として機能するのみである場合、それは好ましくはより小さいサイズ、例えば約25〜250ヌクレオチド長であり、そして最も好ましくは約50〜100ヌクレオチド長である。そのようなパッチは本明細書においては「オリゴヌクレオチドパッチ」と称する。後記のセクションで詳述する通り、オリゴヌクレオチドは好ましくはスカホールドに対して配列において部分的に相補であり、これにより、それがスカホールドにアニーリングした場合に、フラップの全てまたは一部分に相補であるオーバーハングが形成される。
「セグメント」および「オリゴヌクレオチドパッチ」という用語は本明細書においては、説明の簡便性のためのみに使用するが;「オリゴヌクレオチドパッチ」から「セグメント」を区別可能するためのサイズカットオフは存在しない。構造の両方の型の目的は、ナノレポーターからの標識、そしてその結果当然ながらシグナル強度を最大限とすることにより、ナノレポーターによる単一の標的分子検出を可能にすることである。
特定の特徴においては、本発明は合成分子を提供し、その配置は図7Aを参照することにより説明され、これは核酸の鎖(スカホールド)および該鎖にハイブリダイズしたパッチ対複数を含み、ここで各パッチ対は「A」パッチおよび「B」パッチを含み、ここで各パッチ対に関し、(a)各「A」パッチは第1の領域(1P)および第2の領域(2P)を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第1の領域は(i)前記「A」パッチのアルファ末端にあり、そして(ii)前記鎖の第1の部分にハイブリダイズし、第2の領域は(ii)前記「A」パッチのベータ末端にあり;(b)各「B」パッチは第3の領域(3P)および第4の領域(4P)を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第3の領域は(i)前記「B」パッチのアルファ末端にあり、そして(ii)前記「A」パッチの前記第2の領域にハイブリダイズし、前記第4の領域は(i)前記「B」パッチのベータ末端にあり、そして(ii)前記鎖の第2の部分にハイブリダイズし、前記鎖の前記第2の部分は前記鎖の前記第1の部分のベータ末端側にあり、ここで前記第2の領域または前記第3の領域は更にそのベータ末端またはアルファ末端において、それぞれ前記「B」パッチまたは「A」パッチにそれぞれハイブリダイズしないハイブリダイズ可能な領域を含んでいる。
図7Aの合成分子において、第2の領域は更にそのベータ末端において図7Bに示す通り前記「B」パッチにハイブリダイズしないハイブリダイズ可能な領域を含むか、または第3の領域は更にそのアルファ末端において図7Cに示す通り前記「A」パッチにハイブリダイズしないハイブリダイズ可能な領域を含む。
本発明は更に合成分子を提供し、その配置は図7Dを参照することにより説明され、これは核酸の鎖(スカホールド)および該鎖にハイブリダイズしたパッチ対複数を含み、ここで各パッチ対は「A」パッチおよび「B」パッチを含み、ここで各パッチ対に関し、(a)各「A」パッチは第1の領域(1P)および第2の領域(2P)を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第1の領域は(i)前記「A」パッチのアルファ末端にあり、そして(ii)前記鎖の第1の部分にハイブリダイズし、第2の領域は(ii)前記「A」パッチのベータ末端にあり;(b)各「B」パッチは第3の領域(3P)および第4の領域(4P)を含むオリゴヌクレオチドであり、前記第3の領域は(i)前記「B」パッチのアルファ末端にあり、そして(ii)前記「A」パッチの前記第2の領域にハイブリダイズし、前記第4の領域は(i)前記「B」パッチのベータ末端にあり、そして(ii)前記鎖の第2の部分にハイブリダイズし、前記鎖の前記第2の部分は前記鎖の第1番目側にあり、ここで前記第2の領域はそのベータ末端に前記「B」パッチにハイブリダイズしない第1のハイブリダイズ可能な領域を含み、そしてここで前記第3の領域は更にそのアルファ末端において前記「A」パッチにハイブリダイズしない第2のハイブリダイズ可能な領域を含んでいる。
図7Bの合成分子において、図7Fに示す通り各パッチ対はフラップ対に結合することができ、ここで各フラップ対は「A」フラップおよび「B」フラップを含み、ここで各フラップ対に関し、(a)各「A」フラップは第1のフラップ領域(1F)および第2のフラップ領域(2F)を含むオリゴヌクレオチドであり;前記第1のフラップ領域は前記「A」フラップのアルファ末端にあり;前記第2のフラップ領域は(i)前記「A」フラップのベータ末端にあり、そして(ii)前記「A」パッチ、「B」パッチまたは「B」フラップにハイブリダイズしないハイブリダイズ可能な領域をそのベータ末端において含み;そして(b)各「B」フラップは第3のフラップ領域(3F)、第4のフラップ領域(4F)、および第5のフラップ領域(F5)を含むオリゴヌクレオチドであり;前記第3のフラップ領域は(i)前記「B」フラップのアルファ末端にあり、そして(ii)前記「A」パッチ、「B」パッチまたは「A」フラップにハイブリダイズしないハイブリダイズ可能な領域をそのアルファ末端に含み;前記第4のフラップ領域は(i)第3のフラップ領域および第5のフラップ領域の間にあり、そして(ii)前記「A」フラップの前記第1のフラップ領域にハイブリダイズし;前記第5のフラップ領域は(i)前記「B」フラップのベータ末端にあり、そして(ii)前記「A」パッチの前記第2の領域の前記ハイブリダイズ可能な領域にハイブリダイズする。
図7Cの合成分子において、図7Eに示す通り各パッチ対はフラップ対に結合することができ、ここで各フラップ対は「A」フラップおよび「B」フラップを含み、ここで各フラップ対に関し、(a)各「A」フラップは第1のフラップ領域(1F)、第2のフラップ領域(2F)および第3のフラップ領域(3F)を含むオリゴヌクレオチドであり;前記「A」フラップ領域は(i)前記「A」フラップのアルファ末端にあり、そして(ii)前記「B」パッチの前記第3の領域の前記ハイブリダイズ可能な領域にハイブリダイズし;前記第2のフラップ領域は第1のフラップ領域と第3のフラップ領域の間にあり;前記第3のフラップ領域は(i)前記「A」フラップのベータ末端にあり、そして(ii)前記「A」パッチ、「B」パッチまたは「B」フラップにハイブリダイズしないハイブリダイズ可能な領域をそのベータ末端に含み、そして(b)各「B」フラップは第4のフラップ領域(4F)および第5のフラップ領域(5F)を含むオリゴヌクレオチドであり;前記第4のフラップ領域は(i)前記「B」フラップのアルファ末端にあり、そして(ii)前記「A」パッチ、「B」パッチまたは「A」フラップにハイブリダイズしないハイブリダイズ可能な領域をそのアルファ末端に含み;前記第5のフラップ領域は(i)前記「B」フラップのベータ末端にあり、そして(ii)前記「A」フラップの前記第2のフラップ領域にハイブリダイズする。
図7Dおよび7Eの合成分子において、スプリットフラップは、図7Gに示す通り、1つ(例えば(1O))、またはそれより多い(例えば(2O)および(3O))のオリゴヌクレオチドに結合できる。即ち、オリゴヌクレオチド1つ以上を全てまたは一部分の「A」フラップに個々に(例えば(1O))、「B」フラップに個々に(例えば(3O))結合するか、または「A」フラップおよび「B」フラップの各々の全てまたは一部分にわたる(例えば(2O))ことができる。そのようなオリゴヌクレオチドは好ましくは標識単量体1つ以上に共有結合する。
前記合成分子のハイブリダイズ可能な領域は、標識単量体少なくとも1つ、より好ましくは標識単量体少なくとも5つに各々結合、好ましくは共有結合したオリゴヌクレオチド複数にハイブリダイズしてよい。特定の実施形態においては、単一のパッチ対に結合しているオリゴヌクレオチドの全てが同じ標識単量体を含み、例えば、同じ波長において光を放出する標識単量体を含み;特定の実施形態においては、隣接するパッチ対の少なくとも2つ、または少なくとも4つに結合したオリゴヌクレオチドの全てが好ましくは同じ標識単量体を含む。オリゴヌクレオチドの1つ以上はアフィニティータグ少なくとも1つに結合してよい。
特定の好ましい実施形態においては、標識単量体は蛍光団または量子ドットである。
上記した合成分子において、アルファは5’または3’の何れかを指すことができ、そして相当するベータはそれぞれ3’または5’を指すことができる。
各パッチ対における、または所定のパッチと相当するフラップの間の相補領域は、好ましくは約20〜5,000ヌクレオチドである。特定の実施形態においては、相補性領域は約20〜100ヌクレオチド、または約5〜50ヌクレオチドである。
上記した合成分子において、各フラップは好ましくは約50〜5,000ヌクレオチド長である。特定の実施形態においては、各フラップは約50〜150ヌクレオチドである。
上記した合成分子は更に標的分子に結合する標的特異的領域を含んでよい。標的特異的領域は前記鎖のベータまたはアルファ末端に結合できる。
特定の実施形態においては、上記した合成分子はパッチ対少なくとも10個、またはパッチ対少なくとも50個を含んでよい。
上記した合成分子において、鎖、またはスカホールドは線状化ベクター、例えば線状化M13であることができる。
上記した合成分子は更に、(a)第1のシグナルを構成する光を放出する標識単量体1つ以上が(直接または間接的に)結合している第1の標識結合領域;(b)第2のシグナルを構成する光を放出する標識単量体1つ以上が結合している、第1の標識結合領域とオーバーラップしていない第2の標識結合領域;(c)第3のシグナルを構成する光を放出する標識単量体1つ以上が結合している、第1および第2の標識結合領域とオーバーラップしていない第3の標識結合領域;を含んでよく、ここで各結合領域は複数のパッチ対を含み;ここで第1および第2のシグナルはスペクトル的に区別可能であり;ここで第2および第3のシグナルはスペクトル的に区別可能であり;ここで第1および第2のシグナルは前記第1、第2および第3のシグナルを検出するために使用できる条件下で空間的に分割可能ではなく;ここで第2および第3のシグナルは前記第1、第2および第3のシグナルを検出するために使用できる条件下で空間的に分割可能ではなく;ここで第1および第3のシグナルは前記第1、第2および第3のシグナルを検出するために使用できる条件下で空間的に分割可能であり;そしてここで第1、第2および第3のシグナルの実体および第1および第3のシグナルの相互に相対的な位置は標的分子を識別するコードの少なくとも一部分を構成する。
標識単量体
本発明のナノレポーターは種々の標識単量体の何れか、例えば放射性同位体、蛍光色素、染料、酵素、ナノ粒子、ケミルミネセントマーカー、ビオチン、または直接(例えば光放出により)または間接的に(例えば蛍光標識抗体の結合により)検出できる当該分野で知られた他の単量体で標識することができる。一般的に、ナノレポーターにおける標識結合領域1つ以上は標識単量体1つ以上で標識され、そして、ナノレポーターの標識結合領域に結合した標識単量体により放出されるシグナルがナノレポーターの標的特異的領域が結合する標的を識別するコードを構成する。特定の実施形態においては、標識結合領域に由来する所定のシグナルの欠如(即ち「ダーク」スポット)もまたナノレポーターコードの部分を構成する。ダークスポットの例は図1Aにおけるナノレポーターの位置12に示す。
放射性同位体は本発明により利用されることができる標識単量体の例である。幾つかの放射性同位体、例えば32P、33P、35S、H、および125Iをヌクレオチドまたは蛋白を標識するための標識単量体として使用できる。これらの放射性同位体は異なる半減期、崩壊型、およびエネルギーレベルを有し、これらは特定の実験の必要性に適合するようにあつらえることができる。例えばHは低いバックグラウンドレベルを与える低いエネルギー放出物質であるが、この低いエネルギーはまたオートラジオグラフィーのための長い時間の原因となる。放射標識リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドおよびアミノ酸は市販されている。第1、またはα、ホスフェート基、または第3、またはγ、ホスフェート基で放射標識されたヌクレオチドを入手できる。例えば、[α−32P]dATPおよび[γ−32P]dATPの両方が市販されている。更にまた、放射標識ヌクレオチドに関する異なる比活性も市販されており、そして異なる実験のためにあつらえることができる。
本発明により利用できる標識単量体の別の例は蛍光団である。数種の蛍光団、例えばフルオレセイン、テトラメチルローダミン、およびTexasRedがヌクレオチドを標識するための標識単量体として使用できる。数種の異なる蛍光団が知られており、そして全スペクトルを網羅するより多くのものが継続して生産されている。更にまた、同じ蛍光団の異なる製剤が異なる用途のために生産されている。例えばフルオレセインはそのイソチオシアネート型(FITC)において、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルの混合異性体または単一の異性体の形態(FAM)として、またはフルオレセインの異性体ジクロロトリアジン型(DTAF)として、使用できる。これらの単量体は化学的に異なるが、すべて515〜520nmにピークを有する光を放出し、これにより同様のシグナルを発生する。フルオレセインの化学修飾のほかに、フルオレセインと同じか極めて同様の発光ピークを有する完全に異なる蛍光団が合成されている。例えばOregon Green染料はフルオレセインと比較して実質的に重ね合わせることができる励起および発光スペクトルを有している。他の蛍光団、例えばRhodol GreenおよびRhodamine Greenはその発光ピークにおいて僅かにのみシフトしており、そして同様にフルオレセインの代替物として機能的に作用する。更にまた、スペクトルの他の部分において光を放出する異なる製剤または関連する染料が他の蛍光団関連で開発されている。
非放射性および非蛍光の標識単量体もまた入手可能である。例えば、ビオチンをヌクレオチドに直接結合させ、そして比色定量反応を触媒する酵素(例えばホスファターゼ、ルシフェラーゼ、またはパーオキシダーゼ)に化学的にカップリングされているアビジンまたはストレプトアビジンへの特異的で高度なアフィニティー結合により検出できる。ジゴキシゲニン標識ヌクレオチドもまた核酸の非同位体検出のために同様に使用できる。ビオチニル化およびジゴキシゲニン標識ヌクレオチドは市販されている。
ナノ粒子と称される極めて小型の粒子もまた核酸を標識するための標識単量体として使用できる。これらの粒子は1〜1000nmの範囲のサイズであり、そして多様な化学的構造、例えば金および銀の粒子および量子ドットを包含する。
角度を有する入射白色光で照射した場合、40〜120nmの範囲の銀または金のナノ粒子は高い強度を有する単色光を散乱する。散乱光の波長は粒子のサイズに依存している。近接する4〜5個の異なる粒子が各々単色光を散乱し、これが重なり合うと特定のユニークな色を生じる。粒子はGenicon Sciencesのような企業により製造されている。誘導体化された銀または金の粒子を広範なアレイの分子、例えば蛋白、抗体、小分子、受容体リガンド、および核酸に結合させることができる。例えば、粒子の表面はヌクレオチドへの結合が可能になるように化学的に誘導できる。
標識単量体として使用できるナノ粒子の他の型は量子ドットである。量子ドットは広範な範囲の光波長により励起される直径1〜5nmの蛍光性の結晶である。これらの結晶はそれらの化学組成およびサイズに依存した波長で例えば単色光のような光を放出する。量子ドット、例えばCdSe、ZnSe、InP、またはInAsはユニークな光学的特性を保有している。
粒子のクラスの多くは量子ドット結晶のサイズクラスの数に従って作成できる。結晶のサイズクラスは1)粒子の各所望のサイズクラスを作成するための結晶形成パラメーターの堅固な制御によるか、または2)緩慢に制御された結晶形成パラメーター下の結晶バッチの作成とその後の所望のサイズおよび/または発光波長による分類の何れかにより作成される。標識粒子に関する量子ドットの使用は、本発明においては、新規であるが、半導体の技術分野においては旧知である。量子ドットが半導体光放出/検出デバイスの固有エピタキシャル層内に包埋されているより早期の参考文献の2例はChappleSokol等への米国特許5,293,050および5,354,707である。
特定の実施形態においては、ナノレポーター中の標識結合領域1つ以上を光放出染料1つ以上で標識し、各標識結合領域が標識単量体1つ以上を直接または間接的に含有するようにする。染料により放出された光は可視光または非可視光、例えば紫外線または赤外線であることができる。例示的な実施形態においては、染料は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)染料;キサンテン染料、例えばフルオレセインおよびローダミン;アルファ位またはベータ位にアミノ基を有する染料(例えばナフチルアミン染料、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホネートおよび2−p−トルイジニル−6−ナフタレンスルホネート);3−フェニル−7−イソシアナトクマリンを有する染料;アクリジン、例えば9−イソチオシアナトアクリジンおよびアクリジンオレンジ;ピレン、ベンゾキサジアゾールおよびスチルベン;3−(ε−カルボキシペンチル)−3’−エチル−5,5’−ジメチルオキサカルボシアニン(CYA)を有する染料;6−カルボキシフルオレセイン(FAM);5および6−カルボキシローダミン−110(R110);6−カルボキシローダミン−6G(R6G);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX);6−カルボキシ−4’、5’−ジクロロ−2’、7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE);ALEXA FluorTM;Cy2;Texas RedおよびRhocamine Red;6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン(TET);6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX);5−カルボキシ−2’,4’、5’、7’−テトラクロロフルオレセイン(ZOE);NAN;NED;Cy3;Cy3.5;Cy5;Cy5.5;Cy7;およびCy7.5;Alexa Fluor 350;Alexa Fluor 488;Alexa Fluor 532;Alexa Fluor 546;Alexa Fluor 568;Alexa Fluor 594;またはAlexa Fluor 647である。
標識単量体はその組み立ての種々の段階においてナノレポーター内に、または成分(例えばナノレポーターへのその組み込みの前の「フラップ」またはナノレポーターのもの)内に組み込むことができる。
標識単量体は当該分野で良く知られている方法を用いてヌクレオチドに直接結合できる。ヌクレオチドはまた、標識単量体を結合するために化学修飾または誘導体化できる。例えばフルオレセイン分子のような蛍光単量体は4原子アミノアルキル基を用いながらdUTP(デオキシウリジン−トリホスフェート)に結合できる。各標識単量体をヌクレオチドに結合することにより標識単量体:ヌクレオチド複合体を作成する。
この標識単量体:ヌクレオチド複合体は種々の方法において核酸(例えばDNAパッチまたは検出オリゴヌクレオチド)内に取り込むことができる。例えば、標識単量体:ヌクレオチド複合体は核酸内の僅か1位置のみ、または核酸内の2つ以上の位置において取り込むことができる。
アミン反応性およびチオール反応性の蛍光団を入手し、ヌクレオチドおよび生体分子の標識のために使用する。一般的にヌクレオチドは化学合成の間に蛍光標識され、例えばヌクレオチド合成の間のアミンまたはチオールの取り込みにより蛍光団の付加が可能となる。蛍光標識されたヌクレオチドは市販されている。例えば、ウリジンおよびデオキシウリジントリホスフェートはスペクトルに対応した10種の異なる蛍光団にコンジュゲートされたものが入手可能である。
ヌクレオチドを先ず標識単量体に結合し、そして次に核酸内に取り込むことができる。或いは、既存の核酸は、核酸内のヌクレオチドに標識単量体を結合することにより、標識されることができる。例えば、アミノアリル−(「AA−」)修飾UTPヌクレオチドは転写中にRNA産物内に取り込むことができる。種々の実施形態において、RNAパッチを形成するための転写反応におけるUTPヌクレオチドの20%以上がAA修飾されている。種々の実施形態において、転写反応におけるUTPの約20%〜100%、20%〜80%、30%〜80%、40%〜60%または50%〜75%がAA修飾されており、好ましい実施形態においては、転写反応におけるUTPの約50%がAA修飾されている。
更にまた、例えば、異なる型の標識単量体:ヌクレオチド複合体を単一酸の核酸内に取り込むことができ、そのような場合、ナノレポーターコードの1つの成分は1つの型より多いシグナルを含む。
ヌクレオチドに直接結合できる蛍光染料はまた、標識単量体としても利用できる。例えば、FAM、JOE、TAMRA、およびROXはヌクレオチドに結合されており、そして自動DNA配列決定において使用されているアミン反応性の蛍光染料である。これらの蛍光標識ヌクレオチド、例えばROX−ddATP、ROX−ddCTP、ROX−ddGTPおよびROX−ddUTPは市販されている。
ナノレポーターを標識するために使用してよい他の型の標識単量体は量子ドットである。それらの極めて小さいサイズのために、量子ドットはオリゴヌクレオチドの溶解性または使用に影響することなく直接オリゴヌクレオチド内にカップリングできる。好ましい実施形態においては、僅か1つのみのオリゴヌクレオチド分子を各ナノ粒子にカップリングする。従来のバッチ化学により1:1の比においてオリゴヌクレオチド−ナノ粒子複合体を合成するためには、オリゴヌクレオチドとナノ粒子の両方が相互に反応できる異なる種類の単一の反応基を必要とする。例えばオリゴヌクレオチドがアミノ基を有し、そしてナノ粒子がアルデヒド基を有する場合、これらの基を反応させてシッフ塩基を形成できる。オリゴヌクレオチドは当該分野で良く知られている化学的手法を用いながら単一のアミノまたは他の官能基に結合するように誘導体化できる。しかしながら、ナノ粒子を誘導体化する場合、それは化学的試薬により被覆され、その結果、数種の官能基でナノ粒子の全表面がコーティングされることになる。
本発明はオリゴヌクレオチドの合成のために使用されるガラス支持体のような固体表面上にオリゴヌクレオチドを化学的にカップリングすることにより1つのナノ粒子に1つのオリゴヌクレオチドをカップリングする方法を提供する。
例えば、オリゴヌクレオチド合成のための市販の樹脂、例えば長鎖アルキルアミノ制御細孔ガラス(lcaaCPG)を使用できる。
或いは、誘導体化された顕微鏡用スライドのような平板表面を使用できる。製造直後のオリゴヌクレオチド鎖の表面密度はナノ粒子の直径より低値でなければならない。これは、反応性の基の低表面密度を有するガラス支持体を選択することによるか、または表面が飽和しないようにオリゴヌクレオチド合成の第1工程に関して希釈された試薬を使用することによるかのいずれかにより、達成できる。オリゴヌクレオチド合成のための標準的なガラスマトリックスを使用する場合のもう1つの考慮すべき点は試薬の流動を確保するためにナノ粒子直径より高値の孔径を使用することである。例えば、オリゴヌクレオチドは固体支持体と相対比較して希釈された状態に基づいて、例えば通常の合成の10分の1で合成することができ、これによりガラス支持体上のオリゴヌクレオチドの良好なスペーシングを確保できる。反応性官能基、例えばアミノ基を用いてオリゴヌクレオチドを合成した後、誘導体化されたナノ粒子をガラス支持体上を通過させることによりオリゴヌクレオチドと反応させる。ガラス支持体の十分に大きい孔径を選択することによりナノ粒子の目詰まりを防止できる。例えば約200nmの孔径を使用できる。反応終了後、ナノ粒子上の未反応の基をブロックし、そして複合体をガラス支持体から脱カップリングすることができる。
ナノレポーターコード
二重ナノレポーター
自身の成分が2分子実体中に存在するナノレポーターは2重ナノレポーターと称する。2重ナノレポーターにおいては、一般的に各成分が標的特異的配列を含有し、これがナノレポーターのその標的への特異性および結合動態を向上させる。2つの異なる標的特異的配列を設計するか、または選択することにより、各々が標的分子の異なる部分を認識するようにする。
図1A〜1Cは2重ナノレポーターを使用した本発明の実施形態を示す。図1Aおよび1Bにおいて、ナノレポーターの2成分の各々は、2重ナノレポーターのその標的分子への結合時にナノレポーターの2成分が一緒になった場合にのみナノレポーターのスペクトルコードが形成されるように標識される。しかしながら、2重ナノレポーターにおいては、両方の成分が標識される必要はない。例えば、図1Cに示す通り、2重ナノレポーターの1成分がナノレポーターコードにより標識され、そして他の成分は可視化の伸張のためにナノレポーターを固定化するのに有用なアフィニティータグ(矢印)に結合する。
レジスター
「レジスター」という用語は交互の(1つ置きの)標識結合領域のセットを指す。レジスターはそれがスペーサー領域を伴わない隣接標識結合領域を標識するために必要な場合、そして、隣接する標識結合領域から生じるシグナルを所望の検出方法を用いて空間的に分解できない場合に、有用である。即ち、レジスターの使用により検出されるシグナルは隣接するものではなく交互の標識結合領域により形成されるものである。複数のレジスター(例えば一緒になって全てが標識結合領域である)から検出されるシグナルを組み合わせてナノレジスターコードを形成できる。一般的に、レジスターを使用する場合は、隣接する標識結合領域をスペクトル的に区別可能な標識単量体により標識する。
レジスターの例を図3および5に示す。例えば図3A〜3Bにおいて、8つの標識結合領域1〜8が存在する。交互の標識結合領域1、3、5および7が1つのレジスターを形成し、そして標識結合領域2、4、6および8がもう1つのレジスターを形成する。図3Aにおいて、レジスター(1、3、5および7)の1つのみが標識され;そして図3Bにおいては両方のレジスターが標識される。
アフィニティータグ
当該分野で知られた種々のアフィニティータグをナノレポーターを精製および/または固定化するために使用してよい。
検出または画像化の目的のためにナノレポーターを固定化するためにアフィニティータグを使用する場合は、それは本明細書においては、「アンカー」と称する。好ましい実施形態においては、ビオチンアンカーをナノレポーターに結合することによりストレプトアビジンコーティングスライド上のナノレポーターの固定化を行う。
例えば限定しないが精製のような種々の用途においてビーズまたは他のマトリックスへの結合のためにアフィニティータグを使用できる。
適当なアフィニティータグの非限定的な例を以下に示す。大部分のアフィニティータグは二重の目的、即ちナノレポーターの固定化のためのアンカーおよびナノレポーター(完全または部分的にのみ組み立てられたもの)またはその成分の精製のためのタグに寄与するものである。
特定の実施形態においては、アフィニティータグは蛋白単量体である。蛋白単量体の例は、限定しないが、免疫グロブリン定常領域(Petty,1996、Metal−chelate affinity chromatography,Current Protocols in Molecular Biology,Vol,2,Ed.Ausubel等、Greene Publish Assoc.&Wiley Interscience)、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST;Smith,1993,Methods Mol.Cell Bio.4:220−229)、E.coliマルトース結合蛋白(Guan等、1987、Gene67:21−30)、および種々のセルロース結合ドメイン(米国特許5,496,934;5,202,247;5,137,819;Tomme等、1994、Protein Eng.7:117−123)等を包含する。他のアフィニティータグは特定の結合相手により認識され、そしてこのため、固体支持体上に固定化できる結合相手へのアフィニティー結合による単離および固定化を容易にする。例えば、アフィニティータグはエピトープであることができ、そして結合相手は抗体であることができる。そのようなエピトープの例は、限定しないが、FLAGエピトープ、アミノ酸408〜439におけるmycエピトープ、インフルエンザウィルスヘマグルチニン(HA)エピトープ、またはジゴキシゲニン(DIG)を包含する。他の実施形態において、アフィニティータグは別の蛋白またはアミノ酸により認識される蛋白またはアミノ酸配列、例えばアビジン/ストレプトアビジンおよびビオチンである。
本発明の特定の特徴において、アフィニティータグはヌクレオチド配列である。約8〜約30塩基、より好ましくは約10〜約20塩基の広範な種類の配列をナノレポーターの精製および固定化に使用でき、そして配列は縦列リピートすることができる(例えば1〜10縦列リピート)。そのような配列は好ましくは試験すべき試料中で広範には表れず(即ち遺伝子の5%未満で存在、より好ましくは遺伝子の3%未満で存在、そして最も好ましくは遺伝子の1%未満で存在)(例えばナノレポーターをヒト細胞RNAの検出のために使用する場合は、配列は好ましくはヒトゲノム中に広範には表れない);多量体化された場合に二次構造および内部または自身のコピーに対する自己相補性を殆ど、または全く有さず(即ち多量体化タグの全ての二次構造は1M NaCl中25℃未満のTmを有する);スカホールドまたはセグメント配列に対する有意な同一性または相補性を有さず(即ち相補配列のTmは好ましくは0.2M NaCl中25℃未満である);そして50mM Na中約35〜65℃、より好ましくは約40〜50℃のTmを有する。
特定の実施形態においては、異なる配列を精製および固定化タグとして使用する。この場合、例えば精製タグは上記したものであることができるが、固定化タグは10〜100塩基の範囲にあることができ、Tmは50mM Na中95℃までである。代替の実施形態は固定化タグ内部に居留する精製タグを有する場合もある(例えばアフィニティータグは25塩基配列を含み、そのうち15塩基が精製タグとして使用され、そして全25塩基が固定化タグとして使用される)。
特定の場合において、アフィニティータグはナノレポーターを精製または固定化することに加えてナノレポーターを標識するためにも使用できる。
当業者の知る通り、多くの方法、例えば限定しないが、DNAクローニング、DNA増幅、および合成方法を用いてアフィニティータグの符号化領域を得ることができる。アフィニティータグおよびそれらの検出および単離のための試薬の一部は市販されている。
標的特異的配列
「標的特異的配列」という用語は標的分子に結合できる分子実体を指す。ナノレポーターにおいては、標的特異的配列はナノレポータースカホールドに結合する。
標的特異的配列は一般的にアミノ酸配列(即ちポリペプチドまたはペプチド配列)または核酸配列である。
特定の実施形態において、標的特異的配列がアミノ酸配列である場合、標的特異的配列は抗体フラグメント、例えば抗体Fab’フラグメント、単鎖Fv抗体である。
標的特異的配列は好ましくは核酸配列であり、そして最も好ましくはナノレポータースカホールドに共有結合的に結合(例えばライゲーションによる)または非共有結合的に結合(例えばハイブリダイゼーションによる)したオリゴヌクレオチド内にある。標的特異的核酸配列は好ましくは少なくとも15ヌクレオチド長であり、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長である。特定の実施形態においては、標的特異的配列は約10〜500、20〜400、30〜300、40〜200、または50〜100ヌクレオチド長である。他の実施形態においては、標的特異的配列は約30〜70,40〜80、50〜90、または60〜100、30〜120、40〜140、または50〜150ヌクレオチド長である。
標的特異的ヌクレオチド配列は好ましくは825mM Na中(5XSSC)中各プローブに関して約65〜90℃、最も好ましくは約78〜83℃のTmを有する。
特定の好ましい実施形態においては、2重ナノレポーターの各プローブの標的特異的配列は約35〜100ヌクレオチド(2プローブに包含される約70〜200ヌクレオチドの総標的配列の場合)、最も好ましくは各プローブにつき約40〜50ヌクレオチド(約80〜100ヌクレオチドの合計の場合)である。
標的特異的配列の選択のためのコンピュータプログラム
本発明はナノレポーターにおいて使用するための標的特異的配列を選択するための方法、およびコンピュータシステムおよび本発明の方法を自動化するために使用してよいコンピュータプログラムプロダクトを提供する。本発明は後述するプログラム1つ以上を実行する方法および種々のコンピュータシステム(例えば標的特異的配列選択モジュール50)、並びに本発明の方法を実施する、即ち後述するプログラム1つ以上を実行するための命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体およびそれに組み込まれたコンピュータプログラム機序を含むコンピュータプログラムプロダクトを提供する。
図19は本明細書に記載した機能を支持する例示的なシステムを詳細に示している。システムは好ましくは下記要素:
・セントラルプロセシングユニット22;
・ソフトウエアおよびデータを格納数するためのメイン不揮発性格納ユニット14、例えば、ハードディスクドライブ、コントローラー12によりコントロールされる格納ユニット14;
・不揮発性格納ユニット14からロードされたプログラムおよびデータを含むシステムコントロールプログラム、データ、およびアプリケーションプログラムを格納するためのシステムメモリ36、好ましくは高速ランダムアクセスメモリ(RAM);システムメモリ36はまたリードオンリーメモリー(ROM)を包含してよい;
・入力装置(例えばキーボード28)およびディスプレイ26または他の出力装置1つ以上を含むユーザーインターフェース32;
・検出器72に連結するためのネットワークインターフェースカード20または他の通信回路、および、任意に、何れかの有線または無線の通信ネットワーク34(例えばインターネットまたは何れかの他の広域ネットワーク);
・システムの上記したエレメントを相互に連結するための内部バス30;および、
・上記したエレメントに電力を供給する電源24;
を含むコンピュータシステム10である。
コンピュータシステム10の作動はセントラルプロセシングユニット22により実行されるオペレーティングシステム40により主に制御される。オペレーティングシステム40はシステムメモリ36中に格納できる。オペレーティングシステム40に加えて、典型的なインプレメンテーションにおいてはシステムメモリ36は下記:
・本発明により使用される種々のファイルおよびデータストラクチャーへのアクセスを制御するためのファイルシステム42;
・複数の配列を格納するための命令を含むデータ格納モジュール44;および、
・複数の標的特異的配列を識別するための標的特異的配列選択モジュール50;
の1つ以上を包含できる。
図19に示す通り、コンピュータシステム10はソフトウエアプログラムモジュールおよびデータストラクチャーを含む。コンピュータシステム10に格納されるデータストラクチャーは例えば目的の配列データベースおよびナノレポーター構造中に存在する配列(これらはプロトコル−およびファブリケーション−特異的な配列である)を包含する。これらのデータストラクチャーの各々は、データ格納の何れかの形態、例えば限定しないが、フラットASCIIまたはバイナリファイル、エクセルスプレッドシート、リレーショナルデータベース(SQL)、オンライン分析プロセシング(OLAP)データベース(MDXおよび/またはその変形例)、またはコンマセパレーテッドバリューファイルを含むことができる。一部の実施形態においては、図19に示したデータストラクチャーおよびソフトウエアモジュールはコンピュータシステム10内に収容されず、むしろ、ネットワーク34を通過してコンピュータシステム10と電気的に連絡しているコンピュータまたは別の型の格納装置上に収容される。
本発明の1つの特徴はコンピュータ読み取り可能な格納媒体(例えばメモリ36、格納ユニット14、および/または他のコンピュータ読み取り可能な格納媒体)およびそこに組み込まれたコンピュータプログラム機序を含むコンピュータプログラムプロダクトを提供する。コンピュータプログラム機序はナノレポーターにおいて使用するための適当な標的特異的配列を識別するためのものである。コンピュータプログラム機序はデータ格納モジュール44および標的特異的配列識別モジュール50を含む。
データ格納モジュール44。データ格納モジュール44は例えばレファレンス配列としての使用のための配列データベースを含む。例えば、ヒトレファレンス配列はmRNA配列に関するrefseqデータベースから獲得できる(Pruitt等、2005、Nucleic Acids Res.33(1):D501−D504)。
更にまた、データ格納モジュールはプログラムのユーザーに関連する配列、例えば標的特異的配列選択プログラムの第3の選択のハイヤーレソリューションコンテクストセンシティブストラクチュラルフィルター(後述)におけるレファレンス配列として使用できるナノレポーター組立において使用される配列を含むことができる。
標的特異的配列識別モジュール50。
本モジュールをそれぞれ2重ナノレポーターおよび単ナノレポーターの標的特異的配列選択に関する図21および22に示す。しかしながら、本明細書に記載した方法は何れかの他のプローブ系における使用のため、例えばRT−PCRまたはマイクロアレイによる遺伝子発現分析における使用のために、標的特異的配列(またはその対)を識別する場合に有用である。
第1の選択層列
単層列プログラムにおいて、または多重層列プログラムにおける第1層列において、プログラムは各標的mRNAから所定のサイズ(例えば100塩基)の候補標的特異的配列を発生させる。図20および21において、この工程はそれぞれ工程2002および2202として示す。
種々の実施形態において、標的特異的配列は1〜10,000標的mRNA、例えば、1〜20標的mRNA、5〜100標的mRNA、20〜250標的mRNA、100〜500標的mRNA、200〜1,000標的mRNA、500〜2,000標的mRNA、1,000〜10,000標的mRNA、またはこれらの間の何れかの範囲(例えば5〜250標的mRNA)の何れかに対して選択される。特定の実施形態においては、標的特異的配列は少なくとも10標的mRNA、少なくとも25標的mRNA、少なくとも50標的mRNA、少なくとも100標的mRNA、少なくとも200標的mRNA、または少なくとも500標的mRNAに対して選択される。
候補標的特異的配列は好ましくは30〜160塩基長である。単ナノレポータープローブにおける使用のための候補標的特異的配列は好ましくは30〜80、より好ましくは35〜70、そして最も好ましくは40〜55塩基長である。2ナノレポータープローブにおける使用のための候補標的特異的配列の場合、候補標的特異的配列は好ましくは60〜160、より好ましくは70〜150、そして最も好ましくは80〜110塩基長である。
各標的分子に関し、候補標的特異的配列のプールは標的分子に対する選択されたサイズの全ての可能な標的特異的配列であってよい。標的特異的配列のプールは、各候補標的特異的配列が隣接する候補標的特異的配列に隣接するか、またはそれとオーバーラップするようにスライディングウインドウを使用しながら形成することができる。スライディングウインドウがオーバーラップする候補標的特異的配列を網羅する実施形態においては、オーバーラップは1塩基から候補標的特異的配列より1塩基分短い長さまでのステップサイズのものであることができる(例えば100塩基の標的特異的配列の場合、ステップサイズは1〜99塩基の何れかであることができ、この場合1塩基ステップサイズは隣接候補標的特異的配列の間に99塩基オーバーラップをもたらし、そして99塩基ステップサイズは隣接候補標的特異的配列の間に1塩基オーバーラップをもたらす)。好ましい実施形態においては、ステップサイズは3の倍数にはならない。他の好ましい実施形態においては、ステップサイズはウインドウサイズより2〜20塩基小さく、最も好ましくはウインドウサイズより4〜10塩基小さい。候補標的特異的配列が2つのナノレポータープローブ(例えば2重ナノレポーターの2つの成分)における使用のための2つの標的特異的配列に分割される場合、ステップサイズは好ましくはウインドウサイズの半分未満となる(例えば2重ナノレポーターの2つの50塩基標的特異的領域の基本を形成することになる100塩基の標的特異的配列の場合、ウインドウサイズは好ましくは50未満となる)。
一部の実施形態においては、各候補標的特異的配列は以下の基準、即ち:
(1)候補標的特異的配列は所定の長さ以上、例えば5つ以上、好ましくは6つ以上の、連続塩基の逆方向リピートを有さない(この基準はプローブ間相互作用を防止する);
(2)候補標的特異的配列は所定の長さ以上、例えば5つ以上の連続塩基、より好ましくは6つ、7つまたは8つ以上の連続塩基、そして最も好ましくは9つ以上の連続塩基の正方向リピートを有さない(この基準はプローブ間相互作用を防止する);
(3)各標的特異的配列(または、標的特異的配列が2重ナノレポーターの2つの標的特異的配列の基となる場合は候補標的特異的配列の5’側半分および3’側半分の各々)が好ましい範囲、例えば25〜85%、より好ましくは30〜80%、更により好ましくは35〜75%のGC、そして最も好ましくは40〜70%、またはこれらの間の何れかの範囲(例えば32%〜76%または38%〜68%)のGC含有量を有する(この基準は2重ナノレポーターの標的特異的領域を識別/選択するために使用され、そして2重ナノレポーターの2つの成分のハイブリダイゼーション特性における偏位を回避する);および、
(4)候補標的特異的配列は所定の長さより長い、例えば3つより長い、4つより長い、または5つより長いCの近接ストレッチを有さない(この基準はプローブ合成における複雑性を回避する);および、
(5)候補標的特異的配列は所定範囲、好ましくはその下端の60〜75℃からその上端の80〜90℃の融点を有する;
の2つ以上、好ましくは3つ以上、そしてより好ましくは4つまたは全4つの何れかの組み合わせに対して評価される(この工程は図20のステップ2004および図21のステップ2104としてそれぞれ反映されている)。
特定の実施形態においては、mFOLDまたはOligowalk(インターネット上で入手可能)を使用してプローブ折り畳みを予測してよい。所定の標的分子に関して上記基準の所定の組み合わせを満たす候補標的特異的配列1つ以上があれば、標的特異的配列を本発明のナノレポータープローブにおける使用のために選択でき(単層列選択において)、或いは候補標的特異的配列は後述する通り追加的な選択基準に付すことができる。一方、上記4基準の所定の組み合わせ(例えば4基準全てまたは4基準の一部所定サブセット)に合致する特定の標的分子に対する候補標的特異的配列が存在しない場合はこの選択工程において使用した基準1つ以上を緩和し、そして厳密度のより低い基準を基にして候補標的特異的配列を選択する。
各候補標的特異的配列の融点は実際の融点(例えば目的の条件下に計測された融点)であるか、または標準的なアルゴリズムおよび熱力学的パラメーターを用いて計算される。本明細書においては、融点、即ちTmに言及した場合、対象となっている配列(例えば候補標的特異的配列、通常はDNA)および逆相補体(通常はmRNA)より成るデュプレックスの融点を指す。RNA/DNAハイブリッドに関しては、例えばEMBOSSフリーウエアプログラム一式(インターネット上で入手可能)のDanプログラムが核酸配列の融点(Tm)およびパーセントG+Cを計算する。融点プロファイルに関しては、ニアレストネイバー熱力学から計算したフリーエネルギー値を使用する(Breslauer等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA83:3746−3750およびBaldino等、Methods in Enzymol.168:761−777)。Tmの情報は適当ではない融点(例えば65℃〜90℃の範囲外)の候補標的特異的配列を排除するために使用でき、そしてプローブ選択を更に確実化するための多層列プログラムのその後の選択ラウンドにおいて使用される。
多くの遺伝子が異なるRNAを、例えばオルタナティブスプライシングの結果として形成する。第1の選択層列は「特定」モードまたは「一般」モードにおける第1の選択層列を実行することにより特定の遺伝子の特定の産物または全産物を識別するために使用できる。「特定」モードにおいては、スライディングウインドウは1つのRNAに特異的な領域、例えばそのRNAに特異的なスプライス接合点にある領域を網羅するのみである。「共通」モードにおいては、スライディングウインドウは所定の遺伝子の目的の全産物に共通の領域を網羅する。
第1の選択ラウンドの後、またはその最中に、BLASTまたはFASTAアライメントのようなアライメントを標的特異的配列に対して実施する(以下のパラメーター、即ち「w11q−1」とともに2重鎖BLASTを選択しながらNCBI BLASTのようなアルゴリズムを用いる)。多重層列プログラムのその後の選択ラウンドにおいてはアライメント出力を使用する。アライメントはローカルまたはリモートで実施できる。ローカルアライメントはローカルコンピュータがアライメントプログラム(例えばBLAST)および候補標的特異的配列を比較する予定である配列データベースを保有していることが必要であり;例えば、標的遺伝子が発現をモニタリングすることになるヒト遺伝子である場合は、配列データベースは発現されたヒト遺伝子のデータベースであることができる。任意に、配列データベースは目的の標的組織において発現される配列のみを含有する。リモートアライメントはNCBIウエブサイトのようなアライメントを実施できるリモートサイトへの接続を必要とする。
第2の選択層列
図20の工程2006および図21の工程2106に反映されている通り、候補配列は、それらが目的の生物学的試料中に存在する非特異的配列に交差ハイブリダイズする潜在能力を有する場合には競合状態から排除される。
1つの実施形態において、標的特異的配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力は以下の通り測定される。配列選択プログラムはアライメント出力の解釈および採点の追加的第2工程を実施する。この工程において、BLAST(好ましくは2重鎖モデル)または他のアライメントプログラムの結果を用いて各ヒットにつき一部の基本的測定基準を計算する。1つの実施形態において、BLASTヒットの座標(これは、100塩基候補標的特異的配列の場合は「w11q−1」BLASTパラメーターセットを使用する場合は約12〜100塩基の範囲となる)を候補標的特異的配列と並置して伸ばし、そして以下:
(i)各ヒットと候補標的特異的配列の間で計算されるパーセント同一性;および、
(ii)各ヒットと候補標的特異的配列(または、標的特異的配列が2重ナノレポーターの2つの2分の1量の基となる場合は候補標的特異的配列の5’側半分と3’側半分の各々)の間の同一性の最大近接ブロック(完全にアラインする近接塩基のストレッチ);
を計算する。
下記:
(1)非特異的ヒット(即ち標的特異的配列が相当する遺伝子に相当しないアライメントプログラム(例えばBLAST)により識別される配列ヒット)と候補標的特異的配列の間のパーセント同一性が所定量より高値である場合;および/または、
(2)候補標的特異的配列と非特異的ヒットとの間の配列同一性の最長近接ブロック;
の場合には配列を競合状態から排除する。
特定の実施形態においては、上記カットオフは(i)95%以上、90%以上、85%以上、または80%以上の非特異的ヒットを有する配列同一性および(ii)20塩基以上、19塩基以上、18塩基以上、17塩基以上、16塩基以上、15塩基以上、14塩基以上、13塩基以上、12塩基以上、11塩基以上または10塩基以上の非特異的ヒットを有する配列同一性の近接ブロックとする。
第2選択層列の基準(i)および/または(ii)を満たす候補標的特異的配列を排除する。この工程2よりナノレポーター試験における標的転写物以外の転写物に交差ハイブリダイズすることになる標的特異的配列の排除が可能となる。上記基準(i)および/または(ii)に加えて、ユーザーにより選択される他の基準を用いることにより候補排除標的特異的配列をそれらの非標的配列に交差ハイブリダイズする能力に基づいて採点してよい。
第2選択層列の採点された候補標的配列は、後述する第3選択層列におけるその後の任意の工程に付すことができる。
第3選択層列
この第3の選択層列は標的特異的配列選択を最適化するための種々の任意の工程のシリーズより成る。
(a)高解像度コンテクスト感受性構造フィルター
「高解像度コンテクスト感受性構造フィルター」即ちHRCSSFはナノレポーターの種々の部分、例えばナノレポーター骨格(例えばM13)、アフィニティータグ(例えばGフック、Fフック)をスキャンし、そしてどのような場合に特定の暴露された配列が相互作用する潜在能力を有するかのコンテクストに基づいてレポーター間およびレポーター内の相互作用の有無をチェックする。
特定の実施形態においては、HRCSSFは以下に記載する2つまたは3つの主要な特徴を含有する。
(1)標的特異的配列(または標的特異的配列の対)に対する構造的チェック。これは第1層列の最初の2つの基準とほぼ同一(例えば図20の工程2004および図21の工程2104の(i)および(ii)において反映されている)であるが、標的特異的配列に隣接するナノレポーターまたはmRNA配列中に存在する非標的特異的配列の付加を可能にする。2つの主要なカットオフは正方向リピート(DR)および逆方向リピート(IR)である。好ましくは、例えば6〜10塩基長以上の所定の長さのDRを有する標的特異的配列が排除される。例えば、10塩基以上、少なくとも8塩基以上、6塩基以上のDRを有する標的特異的配列が排除される。好ましくは、例えば4〜8塩基以上の所定の長さのIRを有する標的特異的配列が排除される。例えば4塩基以上、6塩基以上、または8塩基以上のIRを有する標的特異的配列が排除される。
(2)各ナノレポーター(または2重ナノレポーターの各成分)の分子内チェック。ここでもまた、好ましくは、2つの主要なカットオフは正方向リピート(DR)および逆方向リピート(IR)である。好ましくはDRおよびIRの各々のカットオフサイズは8〜12であり、これにより8塩基以上、10塩基以上、または12塩基異常のDRまたはIRを有する標的特異的配列が排除される。
(3)任意に、2重ナノレポーターに関して、ナノレポーターの異なる成分の間(例えばゴーストプローブとレポータープローブの間)の分子間チェック。ここでもまた2つの主要なカットオフは正方向リピート(DR)(好ましくは12〜18塩基以上、例えば17塩基以上、16塩基以上、または15塩基以上の正方向リピートを有する標的特異的配列は排除される)および逆方向リピート(IR)(好ましくは12〜18塩基以上、例えば13塩基以上、少なくとも15塩基以上、または少なくとも17塩基以上の逆方向リピートを有する標的特異的配列は排除される)である。
特徴がカットオフを超えて観察された場合、標的特異的配列(または標的特異的配列の対)が完全に廃棄されるという採点をアルゴリズムは含有しない。
(b)動的Tmフィルター
多重ナノレポーター検出試験(1実験において多数の標的分子の検出を行う)におけるSN比を最適化するためには、全てのレポータープローブの標的特異的配列が小さい融点範囲内、例えば72℃と86℃の間の3、4、5、6、または7℃区分(例えば78℃〜83℃、または75℃〜82℃)に属することが好ましい。動的TmフィルターはTm範囲を超えた候補標的特異的配列を採用し、そして、標的特異的配列を、それらが範囲内に属するようになるか、または最小サイズに到達するまで「トリミング」する。好ましくは、2重ナノレポーターに関する候補標的特異的配列は、その外側の端部(即ち5’候補配列の場合は5’末端および3’候補配列の場合は3’末端)から、または個々の標的特異的配列の何れかの末端からトリミングされる。本実施形態は図20の工程2008、2010、2012、2014、2016、および2018、および図21の工程2108、2110、2112、2114、2116、および2118に記載されている。標的特異的配列が隣接していない2重ナノレポーターの場合は、反対側の末端もトリミングできるが;標的特異的配列の各対が標的mRNA上で5ヌクレオチドより多く隔たっていない、そしてより好ましくは標的mRNA上で3ヌクレオチドより多く隔たっていない、またはさらには1ヌクレオチドより多く隔たっていない配列に相当することが好ましい。
動的Tmフィルターは範囲内に属するか、最大サイズに達するまでは低すぎるTm(あらかじめ選択されたTm範囲外)を有する配列を伸展させるように設計することもできる。好ましくは、2重ナノレポーターに関する候補標的特異的配列は、それらの外側の端部(即ち5’候補配列の場合は5’末端および3’候補配列の場合は3’末端)から、または個々の標的特異的配列の何れかの末端から伸展される。
即ち、この動的Tmフィルター工程において、候補標的特異的配列は第1の選択層列の初期ウインドウサイズよりも長く、或いは短くなるように修飾してよい。
(c)転写物特異性チェック
多くの遺伝子が例えばオルタナティブスプライシングの結果として異なるRNAを形成する。本発明の特定の実施形態においては、転写物特異性チェックを実施する。
標的特異的配列がmRNAの多数の変異体にハイブリダイズするためには、完全またはほぼ完全なアライメントを変異体に対して共通して有さなければならない。従って、標的特異的配列1つ以上を識別した後、それらが同じRNAの多数のスプライス型(または他の変異、例えば対立遺伝子変異)にハイブリダイズするかどうかチェックすることができる。実際には、第2選択層列において、配列が同じRNAの変異体に交差ハイブリダイズするのみであれば排除されないのかどうか、チェックすることが可能である。
転写物特異性チェックの代替として、第1選択層列のためのプールにおいて、目的のRNAの特定の変異体のみに存在する候補配列のみ(これによりその変異体にのみハイブリダイズ可能な標的特異的配列を識別できる)、または多数の変異体に存在する候補配列(これにより多数の変異体にハイブリダイズ可能な標的特異的配列を識別できる)を包含することが可能である
採点
採点ソフトウエアは候補標的特異的配列に関する品質評点(評点という用語は標的特異的配列の所望の特性に関する何れかの定性的および定量的な値を指す)を計算するモジュールである。各標的特異的候補のTm値および非特異的ハイブリダイゼーション潜在能力に基づいた評点を評点シートに挿入し、これを用いて各標的分子に関する「最高評点」標的特異的配列を選択する。全ての最低条件に合格した標的特異的配列(または2重ナノレポーターの場合は標的特異的配列対)には良好な性能を示す可能性が最も高い対を選択するための評点が与えられる。例示的な実施形態においては、この評点は隣接標的特異的配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重された評点に基づく(動的Tmフィルターによる修飾の有無に関わらない)。特定の実施形態においては、加重評点は下記式:
(Tm評点*WFa)+(MCB評点*WFb)+(PID評点*WFc)
に従って計算され、
式中、Tm評点は下記式:
(示差的評点+一般的評点)/3
に従って計算された融点評点であり、
式中、示差的評点は下記式:
に従って計算され、
式中、一般的評点は下記式:
に従って計算され、
式中TmAおよびTmBは隣接標的特異的配列のそれぞれの融点であり(その一方または両方は任意に動的Tmフィルターにより修飾されている)、TmHcoは第2の所定温度範囲の上限であり;TmLcoは第2の所定温度範囲の下限であり;そしてTmIは所定の理想的融点であり;
ここで:
MCB評点は下記式:
1−(MCB/MCBco)
に従って計算された最大近接ブロック評点であり;
式中、MCBは下記(i)および(ii)いずれかの大きい方であり、ここで(i)および(ii)はそれぞれ下記:
(i)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNAのような変異体1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の同一性の最大近接ブロック;
および、
(ii)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNAのような変異体1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の同一性の最大近接ブロック;
であり;
そして式中、MCBcoは第1の所定のカットオフであり;
ここで:
PID評点は下記式:
1−(PID/PIDco))
に従って計算されたパーセント同一性評点であり;
式中PIDは下記(i)および(ii)いずれかの大きい方であり、ここで(i)および(ii)はそれぞれ下記::
(i)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNAのような変異体1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の最大のパーセント配列同一性;および、
(ii)下記(A)および(B):
(A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
(B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNAのような変異体1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
の間の最大のパーセント配列同一性;
であり;
そして式中、PIDcoは第2の所定のカットオフであり;
そしてここで、WFa、WFb、およびWFcは各々独立して加重ファクターであり、その各々は実数である。
2重ナノレポーターの場合、標的特異的配列の最高評点対を選択し、これは好ましくは10塩基より多く隔たらない標的分子の部分に相補であり、より好ましくは5、4、3、2または1塩基より多く隔たらない標的分子の部分に相補であり、そして最も好ましくは標的分子にすぐ隣接する部分に相補である。
本発明のコンピュータプログラムの変形例においては、カットオフポイントとしての第1選択層列の5つの基準を用いる代わりに、そのような基準を候補標的特異的配列の評点の計算に組み込んでもよい。
漸進的により緩和されたパラメーター(例えばより広範な融点範囲、より広範な%GC含有量範囲、逆方向および/または正方向リピートに関するより高値のカットオフ)を用いる第1の選択層列による選択の反復ラウンドを用いることにより、より厳格な基準下で適当な標的特異的配列を識別しようとする対象である遺伝子の標的特異的配列を識別することができる。
当業者の知る通り、本発明は方法、コンピュータシステムまたはプログラムプロダクトとして実施してよい。従って、本発明はデータ分析システム、方法、分析ソフトウエア等の形態を取ってよい。本発明により書かれたソフトウエアはコンピュータ読み取り可能な媒体、例えばメモリ、またはCD−ROMの何らかの形態において格納でき、或いはネットワークにより送信され、そしてプロセッサにより実行できる。基本的なコンピュータシステムおよびコンピュータネットワークの説明に関しては、例えばIntroduction to Computing Systems:From Bits and Gates to C and Beyond,Yale N.Patt,Sanjay J.Patel,第1版(2000年1月15日)McGraw Hill Text;ISBN:0072376902;およびIntroduction to Client/Server Systems:A Practical Guide for Systems Professionals,Paul E.Renaud,第2版(1996年6月)John Wiley&Sons;ISBN:0471133337を参照できる。
本明細書に開示した方法、コンピュータプログラムプロダクト、およびコンピュータシステムの各々は任意に更に、(例えばモニターに、ユーザーに、コンピュータ読み取り可能な媒体、例えば格納媒体に、またはリモートコンピュータに)結果を出力することまたは表示することの工程またはそのための命令を含む。ここで結果とは本明細書に開示した方法、コンピュータプログラムプロダクト、およびコンピュータシステムにより得られる何れかの結果である。任意に、方法は更に、候補標的特異的配列(任意に動的Tmフィルターにより修飾されている)の1つまたは複数を、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ読み取り可能な格納媒体、またはローカルまたはリモートコンピュータシステムに出力する、または表示する工程を更に含む。更にまた、特定の実施形態においては、候補標的特異的配列(任意に動的Tmフィルターにより修飾されている)は例えば2重ナノレポーターにおける使用のための隣接標的特異的ヌクレオチド配列の対として出力されてよい。この態様において出力された候補標的特異的配列は第1選択層列のみ;第1および第2選択層列;または第1選択層列、第2選択層列、および第3選択層列の実施形態1つ以上(例えば動的Tmフィルターおよび/またはHRCSSFおよび/または転写物特異性チェック)に付されている標的特異的配列であることができる。特定の実施形態においては、候補標的特異的配列は、加重評点、例えば配列(またはそれに含有される隣接標的特異的ヌクレオチド配列の一方または両方)の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される。採点アルゴリズムの例は上記した通りである。
コンピュータソフトウエアプロダクトは種々の適当なプログラミング言語、例えばC、C++、FortranおよびJava(登録商標)(Sun Microsystems)の何れかにより書かれてよい。好ましくは、ソフトウエアプロダクトはCから大部分は誘導されたダイナミックプログラミング言語であるPerlで書かれる。コンピュータソフトウエアプロダクトはデータ入力およびデータ表示モジュールを伴った独立したアプリケーションであってよい。或いは、コンピュータソフトウエアプロダクトは分散オブジェクトとして実体化してよいクラスであってよい。コンピュータソフトウエアプロダクトはコンポーネントソフトウエア、例えばJava(登録商標) Beans(Sun Microsystems)、Enterprise Java(登録商標) Beans(EJB),MicrosoftTMCOM/DCOM等であってもよい。
標的分子
「標的分子」という用語は自身の標的特異的配列が認識する(それに対する特異的結合相手である)標識されたナノレポーターの結合により検出または計測される分子である。好ましくは、標的分子は限定しないが、以下の何れか、即ち、DNA、cDNA、RNA、mRNA、ペプチド、ポリペプチド/蛋白(例えば細菌またはウィルス性の蛋白または抗体)、脂質、炭水化物、糖蛋白、糖脂質、小分子、有機単量体、または薬物であることができる。一般的に、標的分子は天然に存在する分子または天然に存在する分子のcDNAまたは前記cDNAの相補体である。
標的分子は他の成分を含有する生体分子試料の一部であることができ、或いは試料の唯一または主要な成分であることができる。標的分子は全細胞または組織の成分、細胞または組織の抽出物、その分画された溶解物または実質的に精製された分子であることができる。標的分子は溶液または固相中に、例えばチップ、マイクロアレイまたはビーズのような固体表面に結合できる。標的分子はまた、知られたまたは知られていない構造または配列の何れかを有することができる。
特に特定される実施形態においては、標的分子は染色体ではない。他の特定の実施形態においては、標的分子は1,000kb(または1mb)のサイズを超えず、500kbのサイズを超えず、250kbのサイズを超えず、175kbのサイズを超えず、100kbのサイズを超えず、50kbのサイズを超えず、20kbのサイズを超えず、または10kbのサイズを超えない。更に他の特異的な実施形態において、標的分子はその細胞環境から単離される。
特定の非限定的な実施形態において、標的分子は以下の抗体の1つ、または以下の抗体の1つにより認識される抗原、即ち、抗エストロゲン受容体抗体、アチプロゲステロン受容体抗体、抗p53抗体、抗Her−2/neu抗体、抗EGFR抗体、抗カテプシンD抗体、抗Bcl−2抗体、抗E−カドヘリン抗体、抗CA125抗体、抗CA15−3抗体、抗CA19−9抗体、抗c−erbB−2抗体、抗P糖蛋白抗体、抗CEA抗体、抗網膜芽細胞腫蛋白抗体、抗ras癌蛋白抗体、抗LewisX抗体、抗Ki−67抗体、抗PCNA抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD7抗体、抗CD8抗体、抗CD9/p24抗体、抗CD10抗体、抗CD11c抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD30抗体、抗CD31抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD35抗体、抗CD38抗体、抗CD41抗体、抗LCA/CD45抗体、抗CD45RO抗体、抗CD45RA抗体、抗CD39抗体、抗CD100抗体、抗CD95/Fas抗体、抗CD99抗体、抗CD106抗体、抗ユビキチン抗体、抗CD71抗体、抗c−myc抗体、抗サイトケラチン抗体、抗ビメンチン抗体、抗HPV蛋白抗体、抗カッパ軽鎖抗体、抗ラムダ軽鎖抗体、抗メラノソーム抗体、抗前立腺特異的抗原抗体、抗S−100抗体、抗tau抗原抗体、抗フィブリン抗体、抗ケラチン抗体、抗Tn抗原抗体受容体蛋白、リンホカイン、酵素、ホルモン、成長因子、または核酸結合蛋白、細胞接着受容体に対するリガンド、シグナルトランスダクション受容体に対するリガンド、ホルモン;デスドメインファミリー分子に結合する分子;抗原;ウィルス粒子、ウィルスコーティング蛋白またはそのフラグメント、(a)リシン、(b)シュードモナス外毒素(PE);(c)ブリオジン;(d)ゲロニン;(e)α−サルシン;(f)アスペルギリン;(g)レストリクトシン;(h)アンジオゲニン;(i)サポリン;(j)アブリン;(k)アメリカヤマゴボウ抗ウィルス蛋白(PAP);および(l)(a)〜(k)の何れかの機能的フラグメントよりなる群から選択される毒性ポリペプチド;エリスロポエチン、インターロイキン、インターフェロン、線維芽細胞成長因子、形質転換成長因子、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子および表皮成長因子よりなる群から選択されるサイトカイン、または可溶性サイトカイン、クラスI MHC抗原、クラスII MHC抗原、内在化細胞表面受容体および/またはウィルス受容体である。
特定の非限定的な実施形態において、標的分子は抗原、例えばアルファフェト蛋白、アルファ−1抗トリプシン、α−2−マクログロブリン、アジポネクチン、アポリポ蛋白−A−1、アポリポ蛋白−CIII、アポリポ蛋白−H、BDNF、β−2ミクログロブリン、C反応性蛋白、カルシトニン、癌抗原19−9、癌抗原125、CEA、CD40、CD40リガンド、補体3、CK−MB、EGF、ENA−78、エンドセリン−1、エンレージ、エオタキシン、エリスロポエチン、第VII因子、FABP、フェリチン、FGF−塩基性、フィブリノーゲン、G−CSF、GST、GM−CSF、成長ホルモン、ヘパトグロビン、ICAM−1、IFN−ガンマ、IgA、IgE、IGF−1、IgM、IL−Iα、IL−1β、IL−1ra、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12p40、IL−12p70、IL−13、IL−15、IL−16、インスリン、レプチン、リポ蛋白(a)、リンホタクチン、MCP−1、MDC、MIP−1α、MIP−1β、MMP−2、MMP−3、MMP−9、ミエロパーオキシダーゼ、ミオグロビン、PAI−1、PAP、PAPP−A、SGOT、SHBG、PSA(遊離)、RANTES、血清アミロイドP、幹細胞因子、TBG、トロンボポエチン、TIMP−1、組織因子、TNF−α、TNF−β、TNFRII、TSH、VCAM−1、VEGF、またはvWFである。
一部の実施形態においては、標的分子は自己免疫疾患関連分子、例えばASCA、β−2糖蛋白、CIq、動原体蛋白B、コラーゲン1型、コラーゲン2型、コラーゲン4型、コラーゲン6型、CytoP450、dsDNA、ヒストン、ヒストンHl、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH3、ヒストンH4、HSC−70、HSP−32、HSP−65、HSP−71、HSP−90α、HSP−90β、インスリン、JO−I、ミトコンドリアル、ミエロパーオキシダーゼ、膵臓島細胞、PCNA、PM−I、PR3、リボソームP、RNP−A、RNP−C、RNP、Sel−70、Smith、SSA、SSB、T3、T4、サイログロブリン、tTG、(セリアック病)、または甲状腺ミクロソームである。
一部の実施形態においては、標的分子は感染性物質から単離された成分、例えば
コレラ毒素、コレラ毒素β、カンピロバクター・ジェジュニ、サイトメガロウィルス、ジフテリア毒素、エプスタイン・バーNA、エプスタイン・バーEA、エプスタイン・バーVCA、ヘリコバクター・ピロリ、HBVコア、HBVエンベロープ、HBV表面(Ad)、HBV表面(Ay)、HCVコア、HCV NS3、HCV NS4、HCV NS5、A型肝炎、D型肝炎、HEV orf2 3KD、HEV orf2 6KD、HEV orf 3KD、HIV−1 p24、HIV−1 gp41、HIV−1 gpl20、HPV、HSV−1/2、HSV−1 gD、HSV−2 gD、HTLV−1/2、インフルエンザA、インフルエンザA H3N2、インフルエンザB、リューシュマニア・ドノラニ、ライム病、おたふくかぜ、M.ニューモニア、M.ツベルキュローシス、パラインフルエンザ1、パラインフルエンザ2、パラインフルエンザ3、ポリオウィルス、RSV、風疹、麻疹、ストレプトリシンO、破傷風毒素、T.パリダム15kD、T.パリダムp47、T.クルージ、トキソプラズマ、水痘・帯状疱疹である。
ナノレポーター集団
本発明は少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも750、または少なくとも1,000のユニークなナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニットをそれぞれ含有するナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニット集団、例えばナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニットライブラリを提供する。本明細書においては、「ユニーク」とは集団内のナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニットに言及する場合、同じ集団の他のナノレポーターまたは標識ユニットから自身を区別するコードを有するナノレポーターまたは標識ユニットを意味することを意図している。
特定の実施形態においては、本発明は少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも20,000または少なくとも50,000のユニークなナノレポーターまたはナノレポーター標識ユニットを有するナノレポーター集団を提供する。
ナノレポーターの集団におけるナノレポーターは単ナノレポーター、2重ナノレポーター、またはそれらの組み合わせであることができる。ナノレポーターは標識または未標識であることができる。
ナノレポーター集団のサイズおよびその内部のナノレポーターの標的特異的配列の性質は、ナノレポーターの意図する用途に応じたものとなる。ナノレポーター集団は、疾患を有する細胞型を包含する所定の細胞型のマーカーに標的特異的配列が相当するように製造できる。特定の実施形態においては、ナノレポーター集団は、標的特異的配列が細胞中の転写物の異なる型の少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%となるように形成する。特定の実施形態においては、ナノレポーター集団は、標的特異的配列が細胞中の異なる遺伝子の少なくとも0.1%、少なくとも0.25%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%となるように形成する。更に別の実施形態においては、ナノレポーター集団は、標的特異的配列の少なくとも一部分が細胞または組織において希少な転写物を呈するように形成される。そのようなナノレポーター集団は好ましくは少なくとも5種の希少転写物を呈する。特定の実施形態においては、そのようなナノレポーター集団は少なくとも10種、少なくとも20種、少なくとも30種、少なくとも40種または少なくとも50種の希少転写物を呈する。
特定の実施形態においては、細胞または組織は哺乳類の細胞または組織、そしてより好ましくはヒトの細胞または組織である。
特定の実施形態においては、ナノレポーター集団は診断用または予後用のナノレポーター集団である。例えば、診断用のナノレポーター集団は血液産物をスクリーニングする場合に有用であるものとして形成され、その場合、標的特異的配列はB型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、およびヒト免疫不全ウィルスのような汚染ウィルスの核酸に結合する。或いは、診断用ナノレポーター集団は腫瘍抗原のような細胞疾患マーカーに相当する標的特異的配列を含有してよい。予後用のナノレポーター集団は、一般的に癌のような所定の疾患の異なる病期を表す標的特異的マーカーを包含する。適切な標的特異的配列を選択することにより、ナノレポーター集団は疾患の診断および予後の両方のために使用できる。
生体分子試料
本発明のナノレポーターシステムは何れかの生体分子試料中の標的分子を検出するために使用できる。当業者の知る通り、試料は何れかの数量のもの、例えば限定しないが、実質的に如何なる生物に由来してもよいが哺乳類試料が好ましく、そしてヒト試料が特に好ましい細胞(一次細胞および培養細胞系統の両方を包含)、細胞溶解物または抽出物(限定しないがRNA抽出物;精製されたmRNAを包含)、組織および組織抽出物(限定しないがRNA抽出物;精製されたmRNAを包含);体液(限定しないが血液、尿、血清、リンパ、胆汁、脳脊髄液、間質液、房水または硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門および膣の分泌物、汗および精液、漏出液、滲出液(例えば膿瘍または何れかの他の感染または炎症部位から得られた液)または関節(例えば正常な関節または慢性関節リューマチ、変形性関節症、痛風または敗血症性関節炎のような疾患に罹患した関節)から得られた液;環境試料(限定しないが空気、農業、水および土壌の試料を包含);細菌戦争物質試料;研究用試料、例えば細胞外液、細胞培養物に由来する細胞外上澄み、細菌、細胞コンパートメント、細胞ペリプラズム、ミトコンドリアコンパートメント等の封入体を含んでよい。
生体分子試料は生物学的標本から間接的に誘導できる。例えば、目的の標的分子が細胞転写物、例えばメッセンジャーRNAである場合、本発明の生体分子試料はメッセンジャーRNAの逆転写により生成したcDNAを含有する試料であることができる。別の例においては、本発明の生体分子試料は生物学的標本を分画、例えばサイズ分画または膜分画に付すことにより形成される。
本発明の生体分子試料は「ネイティブ」即ち操作または処理に付されていないか、または「処理された」ものであってよく、これには何れかの数量の処理、例えば薬剤を包含する候補物質への曝露、遺伝子操作(例えば遺伝子の付加または欠失)等が包含され得る。
標識単量体の分離
標識されたナノレポーターから発生した全体的なシグナルを検出することに加えて、本発明はナノレポーター上の標識単量体から生じたシグナルの空間的位置(即ちスポット)の測定の可能にし、ここで各スポットは所定の標識結合領域に結合した標識単量体に由来する凝集シグナルを示す。スポットは同じ波長または異なる波長のシグナルを含有してよい。即ちナノレポーター上のスポットの性質およびその位置はナノレポーターコードを構成する。
種々の手段の何れかを個々のスポットを分離するためにナノレポーターを「伸張」するために使用できる。例えばナノレポーターはフロー伸張法(Henegariu等、2001、Biotechniques 31:246−250)、後退メニスカス手法(Yokota等、1997,Nuc.Acids Res.25:1064−1070)または電気伸張法(Matsuura等、2001,Nuc.Acids Res.29:E79)を用いながら伸張できる。
フロー伸張、後退メニスカス、または電気伸張の手法を用いることにより、ナノレポーター内の標識結合領域の分離が可能となり、これにより特定のシグナルがナノレポーター中の何処に位置するかを空間的に測定できる。従って、標識単量体の同じ組み合わせおよび同じ全体的シグナルを有するユニークなナノレポーターを、ナノレポーター内部のこれらの標識単量体の位置に基づいて相互に差別化できる。
標識結合領域またはナノレポーター内部のスポットの位置を特定するこの能力は、各標識結合領域における標識単量体により放出されるシグナルの位置を、ユニークなナノレポーターのセットを形成する場合に区別可能な特性として使用できるようにする。従って、ナノレポーターの複雑なセットは、ナノレポーター内部の標識単量体の位置を変動させることにより出発標識単量体の同じ組み合わせを用いながら形成できる。
ナノレポーターを伸張する前に、上記セクション5.6に記載したとおり、アフィニティータグを用いながら固体表面にナノレポーターを固定化することが好ましい。
本発明の特定の特徴において、固体表面への特異的または非特異的結合の何れかを介してナノレポーターの一端を固定化し、ナノレポーターを伸張し、そして次にレポーターのもう一端をやはり固体表面への特異的または非特異的結合の何れかを介して固定化する。従って、ナノレポーターはその伸張された、または伸展された状態で「凍結」されることにより、ナノレポーターに結合した標識単量体により放出されるシグナルを検出および/または画像化することによるナノレポーターコードおよび相互に対する相対的なその位置の分解を容易にすることができる。本発明のこれらの特徴はセクション5.13において後述する。
伸張されたナノレポーターの固定化
本発明は種々のナノレポーターの一次構造の識別を容易にする方法および組成物を提供する。特定の特徴において、本発明は伸展した状態におけるナノレポーターの選択的固定化のための方法を提供する。本発明によれば、ナノレポーターは伸展のためにどのような力が使用されるかに関わらず完全に伸展された状態で選択的に固定化できる。更にまた、本発明の方法は相互に関して配向性付与された伸展ナノレポーターの選択的固定化を容易にする。換言すれば、本発明の方法によれば、複数のナノレポーターを相互に対して同じ方向において容易に固定化できる。
1つの特徴において、本発明は伸展された状態においてナノレポーターを選択的に固定化するための方法を提供する。本発明のこの特徴の方法では、一般的に、ナノレポーターの第1の部分を当該分野で知られた何れかの手法により固定化する。実際は、ナノレポーターの第1の部分を固定化するための手法は本発明の多くの実施形態にとって重要ではない。特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分は、選択的、または非選択的に固定化することができる。特定の実施形態においては、第1の部分は共有結合1つ以上により固定化する。特定の実施形態においては、第1の部分は非共有結合1つ以上により固定化する。例示的な固定化された第1の部分は後述するセクションに記載する。
固定化された第1の部分を有することにより、ナノレポーターは当業者のよく知るナノレポーターを伸展するための何れかの手法により伸展することができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターを伸展するための手法は本発明の方法にとって重要ではない。特定の実施形態においては、ナノレポーターのクラスに対して適切であるナノレポーターを伸展するための手法は当業者の判断する通りである。特定の実施形態においては、ナノレポーターはナノレポーターを伸展することができる力を適用することにより伸展される。力はナノレポーターを伸展するための当業者のよく知る如何なる力であることもできる。例示的な力は重力、流体力学的な力、電磁気学的な力、およびこれらの組み合わせを包含する。ナノレポーターを伸展するための特定の手法は後述するセクションに記載する。
ナノレポーターは当業者により伸展されていることが認識されれば伸展された状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターはナノレポーターを伸展することができる力の場にそれがある場合に伸展された状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターはその平均の流体力学的な半径が当業者の認識するそのネイティブの状態におけるナノレポーターの平均の流体力学的半径の2倍より大きい場合に伸展された状態にある。
本発明のこの特徴において、方法は一般的に、ナノレポーターの第2の部分を、それが伸展された状態としながら選択的に固定化する工程を含む。これは第1および第2の部分の間で伸展されている固定化されたナノレポーターをもたらす場合がある。注目すべきは、ナノレポーターは伸展されつつ選択的に固定化されるため、その伸展は固定化されたナノレポーターにおいて温存されることができる。一般的に、ナノレポーターの第1の部分および第2の部分は同じではない。
選択的固定化は当業者のよく知るナノレポーターの一部分の選択的固定化のための何れかの手法に従って行う。選択的固定化は、例えば共有結合1つ以上または非共有結合1つ以上または両方の形成を介して行うことができる。選択的固定化の手法の特定の例は後述するセクションにおいて記載する。特定の実施形態においては、結合対の1つ以上を用いてナノレポーターの第2の部分を固定化する。
第2の部分は当業者のよく知る何れかの基盤上に固定化できる。基盤は当業者の知る固定化のために有用であると判断される何れかの基盤であることができる。特定の実施形態においては、第2の部分は別の分子に固定化できる。別の有用な基盤は、表面、膜、ビーズ、多孔性物質、電極、アレイおよび当業者のよく知る何れかの他の基盤を包含する。
別の特徴において、本発明は選択的に固定化された伸展されたナノレポーターを含む組成物を提供する。組成物は一般的に、基盤および基盤上に選択的に固定化された伸展されたナノレポーターを含む。基盤は当業者の知る何れかの基盤であることができる。例示的な基盤は後述するセクションに記載するものを包含する。ナノレポーターの少なくとも2つの部分を基盤上に固定化し、そしてナノレポーターは2つの部分の間で伸展状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターの少なくとも一部分が基盤上に選択的に固定化される。特定の実施形態においては、ナノレポーターの2つ以上の部分が基盤上に選択的に固定化される。ナノレポーターは特に本発明の方法を包含する当業者のよく知る何れかの手法により伸展および/または固定化できる。
別の特徴において、本発明は配向性付与された状態でナノレポーターを選択的に固定化するための方法を提供する。ナノレポーターは上記した何れかのナノレポーターであることができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターは可撓性であることができ、或いは特定の実施形態においては、ナノレポーターは剛性または半剛性であることができる。本発明のこの特徴の方法に関しては、一般的にナノレポーターの第1の部分は上記した通り固定化される。固定化された第1の部分を有することにより、ナノレポーターは当業者のよく知るナノレポーターを伸展するための何れかの手法により配向性付与することができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターに配向性付与するための手法は本発明の方法にとって重要ではない。特定の実施形態においては、ナノレポーターのクラスに対して適切であるナノレポーターに配向性付与するための手法は当業者の判断する通りである。特定の実施形態においては、ナノレポーターはナノレポーターに配向性付与することができる力を適用することにより配向性付与される。力はナノレポーターに配向性付与するための当業者のよく知る如何なる力であることもできる。例示的な力は重力、流体力学的な力、電磁気学的な力、およびこれらの組み合わせを包含する。ナノレポーターを伸展するための特定の手法は後述するセクションに記載する。
ナノレポーターは当業者により配向性付与されることが認識されれば配向性付与された状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターはナノレポーターに配向性付与することができる力の場にそれがある場合に配向性付与された状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、その末端がナノレポーターに配向性付与することができる力の場により当業者が認識するものとして平行に配置されている場合に、配向性付与された状態にある。特定の実施形態においては、複数のナノレポーターは、ナノレポーターの末端が当業者が認識するものとして平行に配置されている場合に、配向性付与された状態にある。
本発明のこの特徴において、方法は一般的に、ナノレポーターの第2の部分を、それが配向性付与された状態としながら選択的に固定化する工程を含む。これは第1および第2の部分の間で配向性付与される固定化されたナノレポーターをもたらす場合がある。注目すべきは、ナノレポーターは伸展されつつ選択的に固定化されるため、その配向性付与は固定化されたナノレポーターにおいて温存されることができる。選択的固定化は上記した方法に従って行うことができる。
別の特徴において、本発明は選択的に固定化された配向性付与されたナノレポーターを含む組成物を提供する。組成物は一般的に基盤および基盤に選択的に固定化された配向性付与されたナノレポーターを含む。基盤は当業者の知る何れかの基盤であることができる。例示的な基盤は後述するセクションに記載するものを包含する。ナノレポーターの少なくとも2つの部分を基盤に固定化し、そしてナノレポーターは2つの部分の間で配向性付与された状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターの少なくとも一部分が基盤に選択的に固定化される。特定の実施形態においては、ナノレポーターの両方の部分が基盤に選択的に固定化される。ナノレポーターは特に本発明の方法を包含する当業者のよく知る何れかの手法により配向性付与および/または固定化できる。
本発明の方法および組成物は当業者のよく知るいずれかの目的のために使用できる。例えば、固定化および伸展および/または配向性付与されたナノレポーターはナノレポーターが固定化されている基盤のための標識として使用できる。固定化および伸展および/または配向性付与されたナノレポーターの一次配列は当業者のよく知る何れかの手法により識別できる。好都合には、伸展および/または配向性付与されたナノレポーターの固定化はそのような手法を容易にすることができる。特定の実施形態においては、固定化および伸展および/または配向性付与されたナノレポーターはナノ経路の製造をガイドするため、例えばナノ配線またはナノ回路を作成するために使用できる。固定化および伸展および/または配向性付与されたナノレポーターのその他の用途は後述するセクションにおいて記載する。
本明細書において使用するすべての用語は、特段の記載が無い限り当業者に対するそれらの通常の意味を有する。以下の用語は以下の意味を有するものとする。
本明細書においては、「結合対」という用語は、相互に選択的に結合する、即ち、組成物の他の成分に対するよりも高値の親和性で相互に結合することができる第1および第2の分子または部分を指す。結合対のメンバーの間の結合は共有結合または非共有結合であることができる。特定の実施形態においては、結合は非共有結合である。例示的な結合対は免疫学的結合対(例えば何れかのハプテン性または抗原性の化合物を相当する抗体またはその結合部分またはフラグメントと組み合わせたもの、例えばジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン、フルオレセインと抗フルオレセイン、ジニトロフェノールと抗ジニトロフェノール、ブロモデオキシウリジンと抗ブロモデオキシウリジン、マウス免疫グロブリンとヤギ抗マウス免疫グロブリン)および非免疫学的結合対(例えばビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジン、ホルモン−ホルモン結合蛋白、受容体−受容体リガンド(例えばアセチルコリン受容体−アセチルコリンまたはその類縁体)、IgG−蛋白A、レクチン−炭水化物、酵素−酵素コファクター、酵素−酵素阻害剤、核酸デュプレックスを形成することができる相補ポリヌクレオチド対等)を包含する。例えば、免疫反応性結合メンバーは抗原、ハプテン、アプタマー、抗体(一次および二次)、およびそれらの複合体、例えば組み換えDNA法またはペプチド合成により形成されるものを包含してよい。抗体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体、組み換え蛋白またはその混合物またはフラグメント、並びに抗体と他の結合メンバーの混合物であってよい。他の一般的な結合対は、限定しないが、例えばビオチンとアビジン(またはその誘導体)、ビオチンとストレプトアビジン、炭水化物とレクチン、相補ヌクレオチド配列(プローブとキャプチャー核酸配列を包含する)、相補ペプチド配列、例えば組み換え法により形成されたもの、エフェクターと受容体分子、ホルモンとホルモン結合蛋白、酵素コファクターと酵素、酵素阻害剤と酵素等を包含する。
「選択的結合」とは、分子または部分のある対が、当業者の認識する組成物中の他の分子または部分との関連において、相互に優先的に結合することを指す。特定の実施形態においては、分子または部分の対は、それらが他の分子または部分と比較して相互に優先的に結合する場合に選択的に結合する。選択的結合はある分子または部分の別の分子または部分に対する親和性またはアビディティ、または両方を包含できる。特定の実施形態においては、選択的結合は約1×10−5M未満または約1×10−6M、1×10−7M、1×10−8M、1×10−9M、または1×10−10M未満の解離定数(K)を必要とする。これとは対照的に、特定の実施形態においては、非選択的結合は有意に低値の親和性、例えば1×10−3Mより大きいK値を有する。
「伸展された状態」とは当業者により伸展されていると認識される状態におけるナノレポーターを指す。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、溶液中のそのネイティブのコンホーメーションと相対比較してそれが伸展されている場合に伸展されている状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、ナノレポーターを伸展することができる力の場にそれがある場合に伸展された状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターの伸展された状態は定量的に測定できる。そのような実施形態においては、当業者はRをナノレポーターの末端から末端へのベクトル、即ちナノレポーターの2つの末端の間の距離として、そして<R>を平均の末端から末端へのベクトルとして認識し、これによりRの95%は当業者が適切とみなす溶液中で2<R>内となることになる。例示的な溶液は、例えば、水中、またはpH緩衝液中のナノレポーターの希釈溶液を包含する。特定の実施形態においては、ナノレポーターはRが2.0<R>より高値である場合に伸展された状態にある。
「配向性付与された状態」とは当業者により配向性付与されたとみなされる状態にあるナノレポーターを指す。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、溶液中のそのネイティブのコンホーメーションと相対比較してそれが配向性付与される場合に配向性付与される状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、それがナノレポーターに配向性付与することができる力の場と平行して配置されている場合に配向性付与される。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、当業者が認識するものとして平行に配置されたナノレポーター複数の1つである場合に配向性付与される。
選択的固定化の方法
上記した通り、本発明は伸展された状態におけるナノレポーターの選択的固定化のための方法を提供する。ナノレポーターは、選択的に固定化された後、当業者のよく知る何れかの目的のために使用できる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターは当業者の知る何れかの重合体である。例えば、ナノレポーターは多糖類、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであることができる。有用なポリヌクレオチドはリボ核酸、デオキシリボ核酸および当業者の知る他のポリヌクレオチドを包含する。
ナノレポーターは本発明の方法に従ってナノレポーターの伸展および固定化を可能にするために十分な何れかのサイズのものであることができる。ナノレポーターがポリヌクレオチドである特定の実施形態においては、ナノレポーターは500bp超、750bp超、1kb超、1.5kb超、2.0kb超、2.5kb超、3.0kb超、4.0kb超または5.0kb超の長さを有することができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターがポリペプチドである場合は、ナノレポーターは50アミノ酸超、100アミノ酸超、200アミノ酸超、300アミノ酸超、400アミノ酸超、500アミノ酸超、750アミノ酸超、1000アミノ酸超、1500アミノ酸超、2000アミノ酸超、2500アミノ酸超、3000アミノ酸超、4000アミノ酸超または5000アミノ酸超のサイズを有することができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターが多糖類である場合は、ナノレポーターは50糖類超、100糖類超、200糖類超、300糖類超、400糖類超、500糖類超、750糖類超、1000糖類超、1500糖類超、2000糖類超、2500糖類超、3000糖類超、4000糖類超または5000糖類超のサイズを有することができる。
ナノレポーターは当業者の理解するネイティブのナノレポーターであることができ、または、ナノレポーターは非ネイティブのナノレポーターであることができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターがポリペプチドである場合は、ナノレポーターは天然に存在するアミノ酸のみを含むことができるか、または、ナノレポーターは天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸を含むことができる。他のアミノ酸は、当業者の知る何れかのアミノ酸、またはその誘導体または類縁体であることができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターがポリヌクレオチドである場合は、ポリヌクレオチドは天然に存在するヌクレオチドのみを含むことができ、或いは、ポリヌクレオチドは天然に存在するヌクレオチドおよび天然に存在しないヌクレオチドを含むことができる。特定の実施形態において、ナノレポーターは多糖類である場合は、多糖類は天然に存在する糖類のみを含むことができ、或いは多糖類は天然に存在する糖類および天然に存在しない糖類を含むことができる。特定の実施形態においては、重合体は天然に存在しない単量体のみを含むことができる。そのほかの実施形態においては、ナノレポーターは複数のクラスの単量体、例えばアミノ酸、ヌクレオチドおよび/または糖類を含むことができる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターは単量体の一次共有結合鎖1つのみを含む。例えば、ナノレポーターがポリペプチドである場合は、特定の実施形態においては、ナノレポーターは僅か1つのみの一次アミノ酸鎖を含む。ナノレポーターがポリヌクレオチドである場合は、特定の実施形態においては、ナノレポーターは1本鎖である。更に別の実施形態においては、ナノレポーターは単量体の一次共有結合鎖2つを含む。例えば、ナノレポーターがポリペプチドである場合、特定の実施形態においては、ナノレポーターは一次アミノ酸鎖2つを含む。ナノレポーターがポリヌクレオチドである場合、特定の実施形態においては、ナノレポーターはポリヌクレオチド鎖2つを含み;特定の実施形態においては、ナノレポーターは部分的に、または全体において2本鎖である。他の実施形態において、ナノレポーターは単量体の一次共有結合鎖3つ以上を含む。例えば、ナノレポーターがポリペプチドである場合、特定の実施形態においては、ナノレポーターは一次アミノ酸鎖3つを含む。ナノレポーターがポリヌクレオチドである場合、特定の実施形態においては、ナノレポーターはポリヌクレオチド鎖3つを含む。例えば、ナノレポーターは3つの鎖F1、XおよびF2を含むことができ、ここで鎖Xの一部分は鎖F1に相補であり、そして鎖Xの一部分は鎖F2に相補である。例を図13Aに示す。特定の実施形態においては、ナノレポーターは単量体の一次共有結合鎖3つより多くを含む。
好都合には、本発明のナノレポーターは当業者の知る手法によるナノレポーターの検出、画像化または識別を容易にする標識1つ以上を含むことができる。標識は当業者の知る何れかの検出可能な部分であることができる。ナノレポーターのための例示的な標識は検出可能な同位体、放射性同位体、蛍光物質、染料、酵素、リガンド、受容体、抗原、抗体、レクチン、炭水化物、ヌクレオチド配列、および当業者のよく知る何れかの他の検出可能な標識を包含する。
特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドは天然(例えばA、G、C、T、U)または合成の核酸塩基、または両方の組み合わせの重合体である。ポリヌクレオチドの骨格は完全に「ネイティブ」のホスホジエステル連結部よりなることができ、或いはそれは、1つ以上の修飾された連結部、例えば1つ以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデートまたは他の修飾された連結部を含有してよい。特定の実施例として、ポリヌクレオチドはアミド中間連結部を含有するペプチド核酸(PNA)であってよい。本発明と共に使用できる合成の塩基および骨格の別の例、並びにそれらの合成のための方法は、例えば米国特許6,001,983;Uhlman&Peyman,1990,Chemical Review90(4):544〜584;Goodchild,1990,Bioconjugate Chem.1(3):165〜186;Egholm等、1992,J.Am.Chem.Soc.114:1895〜1897;Gryaznov等、J.Am.Chem.Soc.116:3143〜3144、並びに上記全てにおいて引用されている参考文献に記載されている。ポリヌクレオチドの原料としてよい共通の合成核酸塩基は3−メチルウラシル、5,6−ジヒドロウラシル、4チオウラシル、5ブロモウラシル、5−ソロウラシル、5−ヨードウラシル、6−ジメチルアミノプリン、6−メチルアミノプリン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、6−アミノ−8−ブロモプリン、イノシン、5−メチルシトシン、7−デアザアデニン、および7−デアザグアノシンを包含する。標的核酸の原料としてよい合成核酸塩基のその他の非限定的な例は、Fasman,CRC Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,1985,pp.385−392;Beilstein’s Handbuch der Organischen Chemie,Springer Verlag,BerlinおよびChemical Abstractsに記載されており、これらの全てはそのような核酸塩基の構造、特性および製造を説明した出版物を参照している。
ナノレポーターは当業者のよく知る何れかの手法に従って製造できる。好都合には、本発明によるナノレポーターは、ナノレポーターの製造および/または精製を容易にするために使用できる、後述するセクションに記載する通り標識および/または結合対のメンバーを含むことができる。更にまた、本発明の特定のナノレポーターは後述する通り結合対のメンバーを含む分子と複合体を形成することができる。これらの複合体はナノレポーターまたは複合体の製造および/または精製を容易にするために使用できる。
第1の部分の固定化
本発明の方法においては、ナノレポーターの第1の部分を固定化する。
一般的に、第1の部分は当業者が固定化されていると認識する場合に固定化されている。第1の部分は当業者のよく知る何れかの手法により固定化できる。特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分の固定化のための手法は本発明の方法にとって重要ではない。
ナノレポーターの第1の部分はナノレポーターにおける何れかの位置にあることができる。特定の実施形態においては、第1の部分はナノレポーターの末端にある。本発明の目的のためには、ナノレポーターの一部分は、それがナノレポーターの末端から5、4、3、2、1、または0単量体未満である場合に、「末端に」あることができる。当然ながら、多くのナノレポーターが2つの末端を有するが、本発明の方法は2つより多い末端を有するナノレポーターにも、そして1または0末端を有するナノレポーター、例えば環状ナノレポーターにも、適用できる。特定の実施形態においては、第1の部分はナノレポーターの末端にはない。
ナノレポーターは当業者のよく知る何れかの基盤上に固定化できる。基盤はナノレポーターを制限なく固定化できる如何なる部分であることもできる。特定の実施形態においては、基盤は表面、膜、ビーズ、多孔性物質、電極またはアレイである。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分は非選択的に固定化できる。他の実施形態において、ナノレポーターの第1の部分は選択的に固定化できる。好都合な実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分が固定化された後、ナノレポーターの一部の部分は方法の後の工程においてナノレポーターを伸展できるように十分自由に動けるようにしなければならない。特に、特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分を非選択的に固定化する場合、ナノレポーターの何れかの部分の伸展を防止する程度にまで全ナノレポーターを非選択的に固定化しないという点が重要である。
固定化は当業者のよく知る基盤との何れかの相互作用であることができる。固定化は静電気的またはイオン的な相互作用を介して、共有結合1つ以上を介して、非共有結合1つ以上を介して、またはこれらの組み合わせにより行うことができる。特定の実施形態においては、固定化は電極との静電気的な相互作用を介することができる。他の実施形態において、固定化は電極以外の基盤との静電気的相互作用を介する。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分は結合対の第1のメンバーを含む。結合対の第1のメンバーはナノレポーターの第1の部分に共有結合することができるか、またはそれらは非共有結合的に結合できる。有用な共有結合および非共有結合は当業者のよく知る通りである。有用な実施形態において、ナノレポーターの第1の部分が結合する基盤は結合対の第2のメンバーを含む。基盤は第2のメンバーに共有結合することができるか、或いはそれらは非共有結合的に結合できる。図12Aは基盤の部分に選択的に結合できる部分F1を含むナノレポーターを示す。部分F1は例えばアビジンでコーティングされた基盤に結合できる例えばビオチンであることができる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分は基盤上の結合対のメンバーと結合して非共有結合1つ以上を形成できる結合対のメンバーを含むことができる。例示的な有用な基盤はリガンド、抗原、炭水化物、核酸、受容体、レクチン、および抗体よりなる群から選択される結合部分を含むものを包含する。ナノレポーターの第1の部分は基盤の結合部分と結合可能な結合部分を含む。反応部分を含む例示的な有用な基盤は限定しないが、例えばエポキシ、アルデヒド、金、ヒドラジド、スルフィドリル、NHS−エステル、アミン、チオール、カルボキシレート、マレイミド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、ヒドロキシル、ペンタフルオロフェニルエステル、ソラレン、ピリジルジスルフィドまたはビニルスルホン、またはこれらの混合物を含む表面を包含する。そのような表面は市販元から得るか、または標準的な手法に従って製造できる。
好都合な実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分はアビジン−ビオチンの結合対を介して基盤に固定化できる。特定の実施形態においては、ナノレポーターはその第1の部分においてビオチンを含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドナノレポーターはビオチニル化されたヌクレオチド残基を含むことができる。同様に、ポリペプチドナノレポーターはビオチニル化アミノ酸残基を含むことができる。アビジンを含む基盤は当業者の知るアビジンを含む何れかの基盤であることができる。アビジンを含む有用な基盤は市販されており、例えばTB0200(Accelr8)、SAD6、SAD20、SADl00、SAD500、SAD2000(Xantec)、SuperAvidin(Array−It)、ストレプトアビジンスライド(カタログ番号MPC000、Xenopore)およびSTREPTAVIDINnslide(カタログ番号439003、GreinerBio−one)が挙げられる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分は基盤上のヌクレオチド配列に選択的に結合できるヌクレオチド配列を含むことができる。
他の実施形態において、ナノレポーターの第1の部分はアビジンを含むことができ、そして基盤はビオチンを含むことができる。ビオチンを含む有用な基盤は市販されており、例えばOptiarray−ビオチン(Accelr8)、BD6、BD20、BDl00、BD500およびBD2000(Xantec)が挙げられる。
他の実施形態において、ナノレポーターの第1の部分は他の分子1つ以上と複合体を形成することができ、そして次にこれが基盤の結合部分に共有結合または非共有結合的に結合することができる。例えば、ナノレポーターの第1の部分は、例えば基盤のアビジン部分に選択的に結合できる例えばビオチン部分を含む別の分子に選択的に結合できる。図13AはF1を含む第3の分子に選択的に結合できる第2の分子Xに選択的に結合できるナノレポーターを示している。F1は基盤上の部分に選択的に結合できる。図13BはF1を含む第2の分子に選択的に結合できるナノレポーターを示しており、そしてF1は基盤上の部分に選択的に結合できる。
他の実施形態において、ナノレポーターの第1の部分は基盤の上の結合対のメンバーと反応して共有結合1個以上を形成できる結合対のメンバーを含むことができる。反応性の基を含む例示的な有用な基盤はスクシンアミド、アミン、アルデヒド、エポキシおよびチオールから選択される反応性の部分を含むものを包含する。ナノレポーターの第1の部分は基盤の反応性の部分と反応することができる反応性の部分を含むことになる。反応性の部分を含む例示的な有用な基盤は、限定しないが例えば、OptArray−DNA NHS基(Accelr8)、Nexterion Slide AL(Schott)およびNexterion Slide E(Schott)を包含する。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分は光活性化により基盤に結合できる反応性の部分を含むことができる。基盤は光反応性の部分を含むことができ、或いはナノレポーターの第1の部分は光反応性の部分を含むことになる。光反応性の部分の一部の例はアリールアジド、例えばN−((2−ピリジルジチオ)エチル)−4−アジドサリシルアミド;フッ素化アリールアジド、例えば4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸;ベンゾフェノン系試薬、例えば4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステル;および5−ブロモ−デオキシウリジンを包含する。
他の実施形態において、ナノレポーターの第1の部分は当業者のよく知る他の結合対を介して基盤に固定化できる。
ナノレポーターの伸展
本発明の特定の方法において、ナノレポーターは伸展された状態にある。一般的に、いずれかのナノレポーターは当業者によりそのように認識されていれば伸展された状態にある。
特定の実施形態においては、ナノレポーターはナノレポーターを伸展するために適する条件下でナノレポーターを伸展することができる力の場にある場合に伸展された状態にある。そのような力および条件は当業者のよく知る通りである。例えば、多くのナノレポーターは流体力学的力により、または重力により伸展でき、そして多くの荷電したナノレポーターは電磁気学的力により伸展できる。特定の実施形態においては、力は間接的にナノレポーターに適用できる。例えば、ナノレポーターは力により動かすことができる部分を含むか、それに共有結合的または非共有結合的に連結することができる。特定の実施形態においては、ナノレポーターは部分に連結できる。
特定の実施形態においては、力は電磁気学的な力である。例えば、ナノレポーターが荷電している場合、例えばポリヌクレオチドの場合、ナノレポーターは電場または磁場において伸展できる。場は当業者の判断に従ってナノレポーターを伸展するのに十分強力でなければならない。電場または磁場においてナノレポーターを伸展するための例示的な手法はMatsuura等、2002,J Biomol Struct Dyn.20(3):429−36;Ferree&Blanch,2003,Biophys J.85(4):2539−46;Stigter&Bustamante,1998,Biophys J.1998 75(3):1197−210;Matsuura等、2001,Nucleic Acids Res.29(16);Ferree&Blanch,2004,Biophys.J 87(l):468−75に記載されており;これ等の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態においては、力は流体力学的な力である。例えば、多くのナノレポーター、例えば多糖類、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドは運動する流体の場内で伸展できる。流体力学的な力は、当業者の判断に従ってナノレポーターを伸展するのに十分強力でなければならない。流体力学的な場においてナノレポーターを伸展するための例示的な手法はBensimon等、1994,Science265:2096−2098;Henegariu等、2001,BioTechniques31:246−250;Kraus等、1997,Human Genetics 99:374−380;Michalet等、1997,Science277:1518−1523;Yokota等、1997,Nucleic Acids Res.25(5):1064−70;Otobe等、2001,Nucleic Acids Research29:109;Zimmerman&Cox,1994,Nucleic Acids Res.22(3):492−7,および米国特許6,548,255,6,344,319,6,303,296,6,265,153,6,225,055,6,054,327,5,840,862に記載されており;これ等の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態においては、力は重力である。好都合な実施形態においては重力を例えば流体力学的な力と組み合わせることによりナノレポーターを伸展できる。特定の実施形態においては、力は当業者の判断に従ってナノレポーターを伸展するのに十分強力でなければならない。重力によりナノレポーターを伸展するための例示的な手法はMichalet等、1997,Science277:1518−1523;Yokota等、1997,Nucleic Acids Res.25(5):1064−70;Kraus等、1997,Human Genetics 99:374−380に記載されており、これ等の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態において、力は移動メニスカスを介して適用される。当業者の知る通り、移動メニスカスは、流体力学的な力、表面張力および当業者の知る何れかの他の力を包含する種々の力をナノレポーターに適用できる。メニスカスは蒸発および重力を包含する当業者のよく知る何れかの手法により移動できる。移動メニスカスによりナノレポーターを伸展するための例示的な手法は例えば米国特許6,548,255、6,344,319、6,303,296、6,265,153、6,225,055、6,054,327および5,840,862に記載されており、これ等の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターは光学トラップまたは光ツイーザーにより伸展できる。例えばナノレポーターは光学的な力の適切な発生源によりトラップまたは移動されることができる粒子を含むか、またはそれに共有結合的または非共有結合的に連結することができる。光学トラップまたは光ツイーザーにより粒子を移動させるための有用な手法はAshkin等、1986,Optics Letters 11:288−290;Ashkin等、1987,Science 235:1517−1520;Ashkin等、Nature 330:769−771;Perkins等、1994,Science 264:822−826;Simmons等、1996,Biophysical Journal 70:1813−1822;Block等、1990,Nature 348:348−352;およびGrier,2003,Nature 424:810−816に記載されており;これ等の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターは当業者のよく知る上記力の組み合わせにより伸展できる。後述する実施例においては、特定のナノレポーターを電場と流体力学的な力の組み合わせにより伸展する。
ナノレポーターはナノレポーターの伸展に関する標準的な基準に従って当業者が伸展されていると認識する場合に伸展されている。特定の実施形態においては、ナノレポーターは当業者が認識するその3次構造の特徴の大部分をそれが喪失している場合に伸展されている。特定の実施形態においては、ナノレポーターは当業者が認識するその2次構造の特徴の大部分をそれが喪失している場合に伸展されている。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、標準的な手法に従って画像化した場合にその1次構造の特徴が配列内に検出される場合に伸展されている。例示的な画像化手法は後述する実施例に記載する。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの伸展された状態は、その流体力学的な半径を、希釈溶液中で遊離状態にある場合その平均の流体力学的な半径と比較することにより認識できる。例えば、特定の実施形態においては、ナノレポーターまたはその一部分はその流体力学的な半径が希釈溶液中のその平均の流体力学的な半径の約2倍を超えている場合に伸展されている。より定量的に示せば、Rはナノレポーターまたはその一部分の流体力学的半径を示し、そして<R>は希釈溶液中のナノレポーターまたはその一部分の平均の流体力学的な半径を示す。平均の<R>はナノレポーターまたはその一部分のRが、希釈溶液中で未結合である場合に、95%頻度において2<R>より低値となるように計算しなければならない。特定の実施形態においては、ナノレポーターまたはその一部分はRが1.5<R>超、1.6<R>超、1.7<R>超、1.8<R>超、1.9<R>超、2.0<R>超、2.1<R>超、2.2<R>超、2.3<R>超、2.4<R>超、2.5<R>超または3.0<R>超である場合に伸展された状態にある。特定の実施形態においては、ナノレポーターまたはその一部分はRが2.0<R>超である場合に伸展された状態にある。
ナノレポーターの配向性付与
本発明の特定の方法において、ナノレポーターは配向性付与された状態にある。一般的に何れかのナノレポーターは当業者がそのように認識する場合に配向性付与されている。
特定の実施形態においては、ナノレポーターは、ナノレポーターに配向性付与するために適する条件下にナノレポーターに配向性付与することができる力の場にある場合に配向性付与された状態にある。そのような力および条件は当業者のよく知るものである。
特定の実施形態においては、力は電磁気学的な力である。例えば、ナノレポーターが荷電している場合、例えばポリヌクレオチドの場合、ナノレポーターは電場または磁場において配向性付与できる。場は当業者の判断に従ってナノレポーターに配向性付与するのに十分強力でなければならない。電場または磁場においてナノレポーターに配向性付与するための例示的な手法は上記した通りである。
特定の実施形態においては、力は流体力学的な力である。例えば、多くのナノレポーター、例えば多糖類、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドは運動する流体の場内で配向性付与できる。流体力学的な力は、当業者の判断に従ってナノレポーターに配向性付与するのに十分強力でなければならない。流体力学的な場においてナノレポーターに配向性付与するための例示的な手法は上記した通りである。
特定の実施形態においては、力は重力である。好都合な実施形態においては、重力を例えば流体力学的な力と組み合わせることによりナノレポーターに配向性付与できる。特定の実施形態においては、力は当業者の判断に従ってナノレポーターに配向性付与するのに十分強力でなければならない。重力によりナノレポーターに配向性付与するための例示的な手法は上記した通りである。
特定の実施形態においては、ナノレポーターは当業者のよく知る上記力の組み合わせにより配向性付与できる。後述する実施例においては、特定のナノレポーターは電場と流体力学的な力の組み合わせにより配向性付与する。
ナノレポーターはナノレポーターの配向性付与に関する標準的な基準に従って当業者が配向性付与されていると認識する場合に配向性付与されている。特定の実施形態においては、ナノレポーターはナノレポーターに配向性付与することができる力の場により、当業者の認識において平行に配置されている場合に配向性付与されている。特定の実施形態においては、ナノレポーターは、それが当業者の認識において平行に配置されているナノレポーター複数のうちの1つである場合に、配向性付与されている。例えば、複数のナノレポーターは、ナノレポーターの第1の末端から第2の末端へのベクトルが、当業者の認識において、複数の他のナノレポーターの相当する末端間のベクトルに対して平行である場合に、配向性付与されていることができる。
ナノレポーターの第2の部分の選択的固定化
上記考察した通り、本発明の方法において、ナノレポーターの第2の部分は選択的に固定化される。ナノレポーターの第2の部分はナノレポーターの第1の部分と同一ではないナノレポーターの何れかの部分であることができる。
一部の実施形態においては、ナノレポーターの第2の部分はナノレポーターの第1の部分の如何なる部分ともオーバーラップしない。
特定の実施形態においては、本発明はナノレポーターを伸展または配向性付与しつつ、そしてナノレポーターの第1の部分を固定化しつつ、ナノレポーターの第2の部分を選択的に固定化する単一の工程を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定化のため、およびナノレポーターの伸展または配向性付与のための例示的な方法は上記セクションにおいて詳述した通りである。
特定の実施形態においては、本発明はナノレポーターの第1の部分を固定化しつつナノレポーターを伸展する工程、および、ナノレポーターを伸展した状態としつつナノレポーターの第2の部分を選択的に固定化する工程を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定化のため、およびナノレポーターの伸展のための例示的な方法は上記セクションにおいて詳述した通りである。
特定の実施形態においては、本発明はナノレポーターの第1の部分を固定化する工程、第1の部分を固定化しつつナノレポーターを伸展する工程、およびナノレポーターを伸展した状態としつつナノレポーターの第2の部分を選択的に固定化する工程を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定化のため、およびナノレポーターの伸展のための例示的な方法は上記において詳述した通りである。
特定の実施形態においては、本発明はナノレポーターの第1の部分を固定化しつつナノレポーターに配向性付与する工程、およびナノレポーターを配向性付与した状態としつつナノレポーターの第2の部分を選択的に固定化する工程を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定化のため、およびナノレポーターに配向性付与するための例示的な方法は上記セクションにおいて詳述した通りである。
特定の実施形態においては、本発明はナノレポーターの第1の部分を固定化する工程、第1の部分を固定化しつつナノレポーターに配向性付与する工程、およびナノレポーターに配向性付与した状態としつつナノレポーターの第2の部分を選択的に固定化する工程を含む方法を提供する。ナノレポーターの第1の部分の固定化のため、およびナノレポーターに配向性付与のための例示的な方法は上記において詳述した通りである。
ナノレポーターの第2の部分の選択的固定化は当業者のよく知るナノレポーターの選択的固定化のためのいずれかの手法に従うことができる。顕著には、本発明の好都合な実施形態においては、ナノレポーターの第2の部分は非選択的には固定化されない。選択的固定化はナノレポーターを完全に伸展された状態で、またはほぼ完全に伸展された状態で固定化できるようにする。選択的固定化はまたナノレポーターを配向性付与された態様において固定化できるようにする。換言すれば、ナノレポーターの第1の部分および第2の部分はナノレポーターを伸展するために使用される場の方向に沿って、場において第1の部分が第2の部分に先行するように、固定化することができる。複数のナノレポーターを固定化する場合は、複数を場に沿って均一に配向性付与できる。
ナノレポーターの第2の部分はナノレポーターのいずれかの位置にあることができる。特定の実施形態においては、第2の部分はナノレポーターの末端にある。特定の実施形態においては、第2の部分はナノレポーターの末端にはない。特定の実施形態においては、上記セクションに記載した第1の部分がナノレポーターの1つの末端にあり、そして第2の部分がナノレポーターのもう1つの末端にある。
上記考察した通り、ナノレポーターの第2の部分は選択的に固定化される。固定化は当業者のよく知る基盤との何れかの選択的相互作用によるものであることができる。固定化は静電気的またはイオン的な相互作用を介して、共有結合1つ以上を介して、非共有結合1つ以上を介して、またはこれらの組み合わせにより行うことができる。特定の実施形態においては、固定化は電極との静電気的な相互作用を介することができる。他の実施形態において、固定化は電極以外の基盤との静電気的相互作用を介する。
ナノレポーターの第1の部分および第2の部分が同じ基盤に選択的に固定化される場合、選択的固定化の手法は当然ながら基盤に適合するものでなければならない。特定の実施形態においては固定化手法は同じである。例えばアビジンをコーティングした基盤上に、ナノレポーターの第1の部分および第2の部分の両方をビオチン−アビジン相互作用を介して選択的に固定化できる。しかしながら、当該分野で知られる通り、同じ基盤上の固定化のために第1および第2の部分の両方において同じ相互作用を使用する必要はない。例えば、基盤は選択的結合が可能な複数の部分を含むことができ、或いは第1の部分を非選択的に、または当業者のよく知る他の手法で固定化することができる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第2の部分は結合対の第1のメンバーを含む。結合対の第2のメンバーはナノレポーターの第2の部分に共有結合することができ、或いはそれらは非共有結合することができる。有用な共有結合および非共有結合は当業者のよく知る通りである。有用な実施形態においては、ナノレポーターの第2の部分が結合する基盤は結合対の第2のメンバーを含むことになる。基盤は第2のメンバーに共有結合することができるか、またはそれは非共有結合することができる。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第2の部分は基盤上の結合対のメンバーと結合することにより非共有結合1つ以上を形成することができる結合対のメンバーを含むことができる。例示的な有用な基盤は上記したセクションにおいて記載したもののような、リガンド、抗原、炭水化物、核酸、受容体、レクチン、および抗体よりなる群から選択される結合部分を含むものを包含する。
好都合な実施形態においては、ナノレポーターの第2の部分はアビジン−ビオチンの結合対を介して基盤に固定化できる。特定の実施形態においては、ナノレポーターはその第1の部分においてビオチン部分を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドナノレポーターはビオチニル化されたヌクレオチド残基を含むことができる。同様に、ポリペプチドナノレポーターはビオチニル化アミノ酸残基を含むことができる。アビジンを含む有用な基盤は上記セクションにおいて記載した通りである。
他の実施形態において、ナノレポーターの第2の部分はアビジンを含むことができ、そして基盤はビオチンを含むことができる。ビオチンを含む有用な基盤は上記セクションに記載した通りである。
他の実施形態において、ナノレポーターの第2の部分は基盤上の結合対のメンバーと反応することにより共有結合1つ以上を形成できる結合対のメンバーを含むことができる。反応性の基を含む例示的な有用な基盤は上記セクションに記載した通りである。
特定の実施形態においては、ナノレポーターの第2の部分は光活性化により基盤に結合できる反応性の部分を含むことができる。基盤は光反応性の部分を含むことができ、或いはナノレポーターの第2の部分は光反応性の部分を含むことになる。光反応性の部分の一部の例はアリールアジド、例えばN−((2−ピリジルジチオ)エチル)−4−アジドサリシルアミド;フッ素化アリールアジド、例えば4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸;ベンゾフェノン系試薬、例えば4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステル;および5−ブロモ−デオキシウリジンを包含する。
他の実施形態において、ナノレポーターの第2の部分は上記セクションに記載した他の結合対を介して基盤に固定化できる。
他の実施形態において、ナノレポーターの第2の部分は他の分子1つ以上との複合体を形成することができ、次にこれが基盤の結合部分に共有結合または非共有結合的に結合することができる。例えば、ナノレポーターの第2の部分は、例えば基盤のアビジン部分に選択的に結合できる例えばビオチン部分を含む別の分子に選択的に結合できる。図12Bは基盤上の部分に選択的に結合できるF3を含む第2の分子に選択的に結合するナノレポーターを示す。ナノレポーターの第2の部分とF3を含む分子の間の相互作用は、例えば抗原−抗体相互作用により媒介できる。
図14Aおよび14Bは本発明の方法によるナノレポーターの選択的固定化を示す。図14Aにおいて、ナノレポーターの第1の部分は図示する基盤S上の部分に選択的に結合できる結合部分F1を含む。結合部分F1は例えばビオチンであることができ、そして基盤Sは例えばアビジンでコーティングされることができる。図14Aのナノレポーターは上記セクションにおいて記載した力により伸展される。図14Bにおいて、力は電位である。伸展されつつ、ナノレポーターは、図示した基盤S上の部分に選択的に結合できる結合部分F2を含む分子と接触させられる。結合部分F2は例えばビオチンであることができ、そして基盤Sは例えばアビジンでコーティングされることができる。顕著には、F2を含む3つまでの分子がナノレポーターの第2の部分に選択的に結合することができ、これによりそれを伸展された状態において選択的に固定化する。図示する通り、分子はナノレポーターの反復結合部分に選択的に結合する第2の結合部分を含む。結合部分は、例えば図14Bに示す通り相補核酸配列であることができる。得られたナノレポーターは伸展状態で選択的に固定化され、そして力が除かれた後であっても伸展された状態で残存しなければならない。選択的に固定化され、伸展されたナノレポーターは当業者のよく知る何れかの目的のために使用できる。
伸展または配向性付与されたナノレポーターの2つの部分の固定化
特定の実施形態においては、本発明は伸展または配向性付与の状態にあるナノレポーターの第1の部分および第2の部分の選択的固定化のための方法を提供する。顕著には、本発明のこれらの方法によれば、ナノレポーターはナノレポーターを伸展または配向性付与することができる力の適用の前に固定化する必要はない。
これらの方法において、ナノレポーターは、ナノレポーターを伸展または配向性付与することができる力により、伸展または配向性付与または両方が行われる。そのような力は上記セクションにおいて詳述した通りである。特定の実施形態においては、力は1つの位置にナノレポーターを維持しつつナノレポーターの伸展または配向性付与が行える力、即ち、ナノレポーターを実質的に移動することなく伸展または配向性付与が行える力である。例示的な力は振動電磁気場および振動流体力学場を包含する。特定の実施形態においては、力は振動電場である。振動電場においてナノレポーターの伸展または配向性付与を行うための例示的な手法はAsbury等、2002,Electrophoresis 23(16):2658−66;Kabata等、1993,Science 262(5139):1561−3;およびAsbury and van den Engh,1998,Biophys J.74:1024−30に記載されており、これ等の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
前記方法においては、ナノレポーターは伸展または配向性付与されつつ第1の部分および第2の部分において固定化される。第1の部分および第2の部分の両方は非選択的に固定化でき、両方は選択的に固定化でき、或いは一方を選択的に、他方を非選択的的に固定化できる。第1および第2の部分の固定化のための手法は上記セクションに詳述した通りである。
固定化のための基盤
本発明の方法において、固定化のための基盤は当業者のよく知るナノレポーターに選択的に結合できる何れかの基盤であることができる。更にまた、特定の特長において、本発明は伸展された状態の選択的に固定化されたナノレポーターを含む組成物を提供する。組成物は、本明細書に記載した通り、伸展された状態のナノレポーターを自身に固定化して有する基盤を含む。ナノレポーターは当然ながら本発明の方法に従って固定化することができる。
基盤の唯一の要件は上記した通り、それがナノレポーターの第2の部分に選択的に結合できるということである。即ち、基盤はフィルターまたは膜、例えばニトロセルロースまたはナイロン、ガラス、重合体、例えばポリアクリルアミド、ゲル、例えばアガロース、デキストラン、セルロース、ポリスチレン、ラテックス、またはキャプチャー化合物を固定化できる当業者の知る何れかの他の物質であることができる。基盤は多孔性の物質、例えばアクリル、スチレンメチルメタクリレート共重合体およびエチレン/アクリル酸よりなるものであることができる。
基盤はナノレポーターの第2の部分の選択的固定化を妨げない形態である限り如何なる形態をとることもできる。例えば、基盤はディスク、スラブ、ストリップ、ビーズ、サブミクロン粒子、コーティングされた磁気ビーズ、ゲルパッド、マイクロタイターウェル、スライド、膜、フリットの形態、または当業者の知る他の形態をとることができる。基盤は任意に基盤の上または中を通過する液体の流動を支援するハウジング、例えばクロマトグラフィーカラム、スピンカラム、シリンジバレル、ピペット、ピペット先端、96または384穴のプレート、マイクロチャンネル、キャピラリー等の内部に配置される。
ナノレポーターは単一の基盤上、または、複数の基盤上に固定化できる。例えば、特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1および第2の部分は当業者が認識する通り同じ基盤上に固定化される。特定の実施形態においては、ナノレポーターの第1の部分は第1の基盤上に固定化でき、そしてナノレポーターの第2の部分は第1のものとは異なる第2の基盤上に固定化できる。
基盤は当業者のよく知る何れかの方法に従って作成できる。反応性の基の十分な密度を有する本発明の例示的な基盤を活性化するために使用できる多数の手法の検討についてはWiley Encyclopedia of Packaging Technology,2d Ed.,Brody&Marsh,Ed.,“Surface Treatment,”pp.867〜874,John Wiley&Sons(1997)およびその引用文献を参照できる。酸化ケイ素基盤上でアミノ基を形成するために適する化学的方法はAtkinson&Smith,“Solid Phase Synthesis of Oligodeoxyribonucleotides by the Phosphite Triester Method,”In:Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,M J Gait,Ed.,1984,IRL Press,Oxfordの特にpp.45〜49(およびその引用文献)に記載されており;酸化ケイ素基盤上でヒドロキシル基を形成するために適する化学的方法はPease等、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5022 5026(およびその引用文献)に記載されており;ポリスチレン、ポリアミドおよびグラフトポリスチレンのような重合体上に官能基を形成するための化学的方法は、Lloyd Williams等、1997,Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,Chapter 2,CRC Press,Boca Raton,FL(およびその引用文献)に記載されている。
例示的な有用な基盤はストレプトアビジンでコーティングされた表面、例えばAccelr8 TB0200を包含する。更に有用な物質はアミンを含むナノレポーターの一部分と反応することができるN−ヒドロキシスクシンアミドでコーティングされた表面を包含する。1つのこのような表面は、OptArray−DNA(Accelr8)である。別の有用な表面はアルデヒドでコーティング(例えばNexterion Slide AL,Schott)されており、そしてエポキシでコーティングされた表面(例えばNexterion Slide E,Schott)も挙げられる。他の有用な表面はアビジンまたはストレプトアビジンを含むナノレポーターの一部分の選択的固定化のために有用なビオチニル化BSAコーティング表面である。
選択的に固定化、伸展または配向性付与されたナノレポーターを用いる方法
特定の実施形態においては、選択的に固定化された延長されたナノレポーターは標識の分離および逐次的検出の目的のための巨大分子バーコードを作成するために使用できる。分子に沿って間隔をおいて配置されたこれらの標識は、ナノレポーターを伸展および固定化する場合に読み取ることができるユニークなコードを与える。伸展および選択的固定化は巨大分子バーコードの復号化を容易にすることができる。
選択的に固定化された、延長されたナノレポーターはナノレポーターの検出または画像化が有用となるような何れかの状況において使用できる。それらは診断、予後、治療およびスクリーニングの目的のために使用できる。例えば、それらは患者から得られた、または誘導された生体分子試料の分析に適用することにより疾患細胞型が試料中に存在するかどうかを調べること、および/または疾患の病期を判定することができる。それらは、病原体の感染、例えば細胞内細菌およびウィルスによる感染を、試料中のそれぞれ細菌またはウィルスのマーカーの存在および/または量を測定することにより診断するために使用できる。本発明の組成物および方法は、大量に存在することが生物学的状態または疾患状態の指標となる標的分子、例えば疾患状態の結果としてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる血液マーカーを定量するために使用できる。更にまた、本発明の組成物および方法は患者の治療の過程を決定する場合に役立つ予後情報を得るために使用できる。
選択的に固定化された伸展または配向性付与されたナノレポーターを含むキット
本発明は本発明の成分1つ以上を含むキットをさらに提供する。キットは例えば本発明の基盤、および基盤上に選択的に固定化された伸展または配向性付与または両方を行われたナノレポーター1つ以上を含む。キットは上記したものを含む、当業者のよく知る何れかの目的のために使用できる。
特定の実施形態においては、本発明はナノレポーターの伸展および選択的固定化のために有用なキットを提供する。キットは固定化のための基盤およびナノレポーターの伸展または固定化を容易にするための結合相手1つ以上を含む。結合相手は、特定の実施形態においては、適切な力におけるナノレポーターの伸展のために有用な部分を含む。特定の実施形態においては、結合相手は表面へのナノレポーターの固定化または選択的固定化を容易にする。他の実施形態において、キットは伸展および固定化のためのナノレポーターを含むことになる。他の実施形態において、キットはナノレポーターを伸展できるデバイスを含む。
ナノレポーターの検出
ナノレポーターは所定のナノレポーター上の特定のシグナルを検出することができる当該分野で入手可能な何れかの手段により検出される。ナノレポーターが蛍光標識されている場合は、適切な励起源の適当な注意事項を調査する。可能な光源は、限定しないが例えば、アークランプ、キセノンランプ、レーザー、発光ダイオードまたはこれらのいずれかの組み合わせを包含してよい。適切な励起源を適切な光検出系、例えば倒立蛍光顕微鏡、上蛍光顕微鏡または共焦点顕微鏡と組み合わせて使用する。好ましくは、ナノレポーター上のスポットの配列を決定するために十分な空間的解像度を有する検出を可能にできる顕微鏡を使用する。
顕微鏡および対物レンズの選択
顕微鏡の対物レンズに関する主要な注意事項は光学解像度に関するものであり、これはその開口数(NA)により決定される。一般的にNAが大きいほど、光学解像度は良好になる。必要なNAは好ましくは、δ=0.61λ/NA(δ=光学解像度およびλ=波長)の関係に基づいて少なくとも1.07である。対物レンズにより収集される光の量はNA/Mag(Mag=対物レンズの倍率)により決定される。従って、可能な限り多くの光を収拾するためには、高いNAおよび低い倍率を有する対物レンズを選択しなければならない。
CCDカメラ選択および画像キャプチャー手法
CCDカメラを選択する場合、第1の注意事項は画素サイズであり、これが部分的には画像化系の最終解像度を決定する。最適には、光学解像度はCCDカメラにより損なわれてはならない。例えば、光学解像度が210〜300nmである場合、これは60倍拡大した後のCCDチップ上では12.6〜18μmに相当するが、解像し、そして光学解像度を維持するためには、各スポットをサンプリングするために少なくとも2画素が必要である。そうでない場合は、CCDチップの画素サイズは最大で6.3〜9μmでなければならない。
第2の注意事項は検出感度であり、これは多くの要因、限定しないが例えば画素サイズ、量子効率、リードアウトノイズ、およびダークノイズにより決定される。高い感度を達成するためには、大画素サイズ(大収集面積を与えることができる)、高い量子効率および低ノイズを有する定性的カメラを選択する。これらの基準を有する例示的なカメラは、Hamamatsu Inc.のOrca−Agカメラである。チップサイズは1344×1024画素であり;60倍の対物レンズを使用する場合は、視野は144×110μmとなる。
コンピュータシステム
本発明はナノレポーター画像収集、ナノレポーター識別および/またはナノレポーターコードの復号化をコンピュータ化するために使用してよいコンピュータシステムを提供する。特記すれば、本発明はプロセッサおよびプロセッサにカップリングされたメモリを含み、そしてプログラム1つ以上をコード化した種々のコンピュータシステムを提供する。コンピュータシステムはナノレポーターを画像化する場合に使用される顕微鏡に連結することができ、ナノレポーターの画像化、識別および復号化、並びにナノレポーターの画像および関連する情報の格納を、単一の装置により可能とする。メモリにコード化されたプログラム1つ以上が本発明の方法をプロセッサに実施させる。
また他の実施形態において、本発明はプロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリを有するコンピュータシステム(例えば本発明の上記したコンピュータシステムの1つ)と組み合わせて使用するためのコンピュータプログラムプロダクトを提供する。本発明のコンピュータプログラムプロダクトは自身に符号化または組み込まれたコンピュータプログラム機序を有するコンピュータ読み取り可能な格納媒体を含む。コンピュータプログラム機序はコンピュータのメモリ内にロードされ、そして本発明の方法の工程をプロセッサに実行させることができる。
前期サブセクションにおいて記載した方法は好ましくは以下のコンピュータシステムの使用により、そして以下の方法に従って実施することができる。本発明の方法の実施に適する例示的なコンピュータシステムは、内部コンポーネントおよび外部コンポーネントへの連結を含む。本コンピュータシステムの内部コンポーネントはメインメモリに相互連結されたプロセッサエレメントを包含する。コンピュータシステムは、例えば、200MHz以上のクロックレートのIntel Pentium(登録商標)系プロセッサであることができ、そして32MB以上のメインメモリを有する。
外部コンポーネントは大容量格納部を包含する。この大容量格納部は典型的にはプロセッサおよびメモリと共にパッケージされたハードディスク1つ以上であることができる。そのようなハードディスクは典型的には1GB以上の格納容量のものである。他の外部コンポーネントはユーザインターフェイスデバイスを包含し、これはモニターおよびキーボードであることができ、これはポインティングデバイスを伴っており、それは「マウス」または他の画像入力装置(図示せず)であることができる。典型的には、コンピュータシステムはまたネットワークリンクに連結され、これは他のローカルコンピュータシステム、リモートコンピュータシステムにリンクしたEthernet(登録商標)の部分、または広域通信ネットワーク、例えばInternetであることができる。このネットワークリンクにより、コンピュータシステムは、他のコンピュータシステムとデータおよび処理タスクを共有できるようになる。
本システムの作動中にメモリにロードされるものはいくつかのソフトウエアコンポーネントであり、これは当該分野で標準的なものおよび本発明に特殊なものの両方である。これらのソフトウエアコンポーネントは全体としてコンピュータシステムを本発明の方法に従って機能できるするようにする。ソフトウエアコンポーネントは典型的には大容量格納部上に格納される。第1のソフトウエアコンポーネントはオペレーティングシステムであり、これはコンピュータシステムおよびそのネットワーク相互接続のマネジメントを担っている。このオペレーティングシステムは例えば、Microsoft Windows(登録商標)ファミリー、例えばWindows(登録商標)95、Windows(登録商標)2000、またはWindows(登録商標)XP、または代替としてMacintoshオペレーティングシステム、LinuxオペレーティングシステムまたはUnix(登録商標)オペレーティングシステムであることができる。第2のソフトウエアコンポーネントは本発明に特異的な方法を実施するプログラムを支援するためのシステム中に好都合に存在する共通の言語および関数を包含してよい。本発明の分析方法をプログラムするために使用できる言語は、例えば、C、C++、JAVA(登録商標)、および好適度は低下するがFORTRAN、PASCAL、およびBASICを包含する。本発明の他のソフトウエアコンポーネントは手続き型言語またはシンボリックパッケージにおいてプログラムされる本発明の分析方法を含む。
例示的な実施において、本発明の方法を施行するためには、ナノレポーターコード(即ちナノレポーター上のスポットの順番および性質とそのようなナノレポーターが結合する標的分子の実体の間の相関)をまずコンピュータシステム上にロードする。次に所定のナノレポーターコードを用いてナノレポーターの存在および任意に量を測定する工程を実施する分析ソフトウエアがユーザーにより実行される。
本発明の分析系はまた、コンピュータシステムのメモリ内に上記ソフトウエアコンポーネントがロードされてよいようにソフトウエアコンポーネントの1つ以上を含有するコンピュータプログラムプロダクトを包含する。特記すれば、本発明のコンピュータプログラムプロダクトはコンピュータ読み取り可能なフォーマットにおいて自身に組み込まれた、または符号化されたコンピュータプログラム機序1つ以上を有するコンピュータ読み取り可能な格納媒体を包含する。コンピュータプログラム機序は、例えばコンピュータシステムのメモリ内にロードされることができ、そして本発明の分析方法をコンピュータシステムのプロセッサに実行させることができる上記した分析用ソフトウエアコンポーネントの1つ以上をコードしている。
コンピュータプログラム機序は好ましくはコンピュータ読み取り可能な格納媒体上に格納または符号化される。例示的なコンピュータ読み取り可能な格納媒体は上記考察したものであり、そして限定しないが、本発明のコンピュータシステムの外部または内部のハードドライブであってよいハードドライブ、またはリムーバブルハードドライブ;フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、またはDATテープのようなテープを包含する。本発明のコンピュータプログラム機序において使用できる他のコンピュータ読み取り可能な格納媒体は当業者のよく知る通りである。
本発明はまた本発明の方法を実施するために有用なデータベースを提供する。データベースは標的分子の広範な種類に関するレファレンスナノレポーターコードを包含してよい。好ましくは、そのようなデータベースはコンピュータシステムにロードできる電子形態にある。そのような電子形態は、本発明の方法を実施するために使用されるコンピュータシステムのメインメモリ内部、またはネットワーク接続により連結された他のコンピュータのメインメモリ中にロードされた、または大容量格納媒体上またはCD−ROMまたはフロッピー(登録商標)ディスクのようなリムーバブルな格納媒体上に組み込まれるか符号化された、データベースを包含する。
本発明の方法を実施するための代替となるシステムおよび方法は添付の請求項に内包されることを意図している。特に、添付の請求項は当業者のよく知る本発明の方法を実施するための代替となるプログラムストラクチャーを包含することを意図している。
ナノレポーター技術の適用
本発明の組成物および方法は診断、予後、治療およびスクリーニングの目的のために使用できる。本発明は本発明の方法を用いながら単一の生体分子試料から一回で多くの種類の標的分子を分析できるという利点を提供する。このことは例えば1試料に対して数種の診断試験を実施可能とする。
診断/予後の方法
本発明は、疾患細胞型が試料中に存在するかどうかを調べるため、および/または疾患の病期を判定するために、患者から得られた、または誘導された生体分子試料の分析に適用できる。
例えば、血液試料を本明細書に記載した方法の何れかに従って試験することにより、試料中の癌性細胞型のマーカーの存在および/または量を測定し、これにより癌を診断または病期判定することができる。
或いは、本明細書に記載した方法は、病原体感染症、例えば細胞内細菌またはウィルスによる感染症を、試料中のそれぞれ細菌またはウィルスのマーカーの存在および/または量を測定することにより診断するために使用できる。
即ち、本発明の組成物および方法を用いて検出された標的分子は、患者のマーカー(例えば癌マーカー)または細菌またはウィルスのマーカーのような外因性物質による感染のマーカーの何れかであることができる。
ナノレポーターの定量的な性質のために、本発明の組成物および方法は、大量に存在することが生物学的状態または疾患状態の指標となる標的分子、例えば疾患状態の結果としてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる血液マーカーを定量するために使用できる。
更にまた、本発明の組成物および方法は患者の治療の過程を決定する場合に役立つ予後情報を得るために使用できる。例えば腫瘍に関する特定のマーカーの量を患者由来の少量の試料からさえも、正確に定量することができる。乳癌のような特定の疾患に関しては、Her2−neuのような特定の遺伝子の過剰発現は、治療のより積極的な過程が必要となること示している。
病理学的試料の分析
ホルムアルデヒド−またはパラホルムアルデヒド−固定化パラフィン包埋組織試料から抽出されたRNAは典型的には品質が不良であり(フラグメント化している)、そして低収率である。このことにより、組織学的試料または保管用病理組織中の低発現の遺伝子の遺伝子発現分析は極めて困難となっており、そして全く実施不可能である場合も多い。ナノレポーター技術は低品質の全RNAのきわめて少量の分析を可能にすることにより満たされていなかった必要性を充足できる。
そのような用途においてナノレポーター技術を使用するためには、RecoverAll全核酸単離キット(Ambion)のような市販のキットを用いながら、製造元のプロトコルに従って、ホルムアルデヒド−またはパラホルムアルデヒド−固定化パラフィン包埋組織試料(または同様)から全RNAを抽出することができる。そのような試料中のRNAは頻繁には小型のフラグメント(200〜500ヌクレオチド長)に分解され、そして多くのパラフィン包埋組織学的試料は数10ナノグラム程度の全RNAのみ与える。このフラグメント化された全RNAの少量(5〜100ng)を、本明細書に記載した試験条件に従って、ナノレポーターハイブリダイゼーションにおける標的物質として直接使用できる。後述するセクション11の実施例6に記載する通り、約3.3ngの細胞RNAのナノレポーター分析により約0.5コピー/細胞で存在する転写物の検出が可能となった。
スクリーニング方法
本発明の方法は、特に、混乱要因、例えば化学物質、突然変異、温度変化、成長ホルモン、成長因子、疾患、または培養条件の変化、または種々の標的分子の作用を測定するために使用でき、これにより自身の有無またはそのレベルが特定の生物学的状態を示すような標的分子を識別することができる。好ましい実施形態においては、本発明は疾患状態の成分および経路を解明および発見するために使用される。例えば、疾患組織中に存在する標的分子の量を「正常」組織と比較することにより、疾患に関与する重要な標的分子の解明が可能になり、これにより、疾患を治療するために使用できる新しい薬物候補の発見/スクリーニングのための標的を識別することができる。
5.17 キット
本発明は本発明の成分1つ以上を含むキットをさらに提供する。キットは予め標識されたナノレポーター、またはナノレポーターを標識するための成分1つ以上とともに未標識ナノレポーターを含有できる。更にまた、キットにおいて提供されるナノレポーターは予め結合された標的特異的配列を有しても有さなくてもよい。1つの実施形態において、標的配列はナノレポータースカホールドに未結合の状態でキット中に提供される。
キットは他の試薬、例えばハイブリダイゼーション反応を実施するための緩衝液、リンカー、制限エンドヌクレアーゼ、およびDNAリガーゼも同様に包含できる。
キットはまた、キットの成分を使用するため、および/または標識されたナノレポーターを作成および/または使用するための説明書を包含することになる。
実施例1:ナノレポーターの製造およびプロトコル
種々の成分からのナノレポーターの構築方法の工程毎の例を以下に示す。
当然ながら、種々の成分は他の成分と同時、前、または後の何れかに構築または添加することができる。例えばスカホールドへのパッチユニットまたはフラップのアニーリングは同時に、または交互に行うことができる。
本実施例においては、出発物質は環状M13mp18ウィルスベクターである。単一の直鎖M13mp18を用いながら、パッチユニットをこれにアニーリングすることにより2本鎖スカホールドを形成する。次に、フラップを添加し、そして標的特異的配列をライゲーションする。その間、精製工程を行うことにより過剰な未結合のパッチユニットおよびフラップを濾去する。ナノレポーターに結合する標識された核酸(パッチおよび/またはフラップおよび/または他の標識オリゴヌクレオチド)の構築も記載する。
標的分子の結合(例えばハイブリダイゼーションによる)の際に、ナノレポーターは表面に結合して伸張される。最後に、ナノレポーターをカメラで画像化する。
実質的に本実施例に記載されたとおりの方法を用いながらナノレポーターが形成され、そして標的分子を検出するために良好に使用された。本方法を用いた標的検出の例を図4に示す。
スカホールド構築
選択したオリゴヌクレオチドスカホールド配列は、VectorNTI(登録商標)ソフトウエアを用いて分析した。先ず1本鎖核酸は、New England Biolabsより購入した環状M13mp18の1本鎖DNAを線状化することにより作成した。環状M13mp18をBamH1酵素で消化することによりこれを線状化した。使用した物質の組成はM13mp18ベクター(250ng/μL)、パッチ_1L_BamH1.02(100μM保存液からの10μM希釈物)、10X BamH1緩衝液、BamH1酵素であった。合計0.8pmolの線状M13mp18を作成するためのプロトコルは以下の工程を含んでいる。1)加熱ブロックを37℃に予備加熱し;2)0.65mlのエッペンドルフ試験管中で40μlの250ng/μlのM13mp18ベクター、2μlの10μMパッチ_1L_BamH1.02、および5μlの10X BamH1緩衝液を混合し;3)エッペンドルフ試験管をホイルで上部被覆しながら37℃の加熱ブロック内に入れる。試験管を37℃で15分間インキュベートすることによりパッチユニットをM13mp18スカホールドにハイブリダイズさせ;4)15分後に2μlのBamH1酵素を添加し、そして反応混合物を37℃で30分間消化させ、その後、更に2μlのBamH1酵素を添加し、そして反応混合物を更に30分間37℃で消化継続させ(BamH1酵素の最終容量は8%);そして5)10μlの小分量を0.65mlのエッペンドルフ試験管に移し、フリーザー中で保存する(線状M13mp18の終濃度は200ng/μlとする)。
基本パッチプール(BPP)のパッチユニット製造
第2に、パッチユニットをプールとして製造する。最適な長さおよびM13mp18鎖およびヒトゲノム配列に対する所望の相同性/非相同性に関してパッチオリゴヌクレオチド配列を選択した。パッチは60または65ヌクレオチド塩基長の何れかの市販品のオリゴヌクレオチド(Integrated DNA technologiesより購入)とした。各パッチオリゴヌクレオチドの50ヌクレオチド塩基はM13mp18の1本鎖DNAに相補であり、10ヌクレオチド塩基は隣接パッチに相補であり、そして5ヌクレオチド塩基対は相当するフラップに相補である。パッチ間の10ヌクレオチド塩基マッチは、構造を安定化させ、そして被覆されたスカホールドからフラップを取り上げ易くする根幹構造を形成することにより、それらは標識オリゴヌクレオチドの結合のためにより使用しやすくなる。フラップへの結合のためのパッチ上の5ヌクレオチド塩基の合成結合部位はモジュール型システムの電力の補強を可能にする。
塩基パッチプールはナノレポーター上の特定の文字グループおよび位置に全て相当する9つのパッチユニットを含有する。この例に関しては、4種の異なる蛍光染料(色素)標識A、B、C、およびD、およびナノレポーター上で標識核酸が結合できる8種の異なる位置または領域が存在する。例えば、BBPA3はナノレポーター上の位置3(パッチユニット19〜27)におけるAパッチユニットの全てに相当する。
ナノレポーターの位置は以下の通りである。
位置1:パッチユニット1〜9(AまたはC)
位置2:パッチユニット10〜18(BまたはD)
位置3:パッチユニット19〜27(AまたはC)
位置4:パッチユニット28〜36(BまたはD)
位置5:パッチユニット37〜45(AまたはC)
位置6:パッチユニット46〜54(BまたはD)
位置7:パッチユニット55〜63(AまたはC)
位置8:パッチユニット64〜72(BまたはD)
材料:相互に予備アニーリングされた右および左パッチ(各オリゴヌクレオチドは10μMの濃度である)。100pmolのBPP1を作成するための材料:(位置1において、パッチ座標1LをBamH1消化のために使用し−このパッチはBPP1には包含されない):各々10μlの予備アニーリングされた(10μM/各検体)パッチユニット(座標2〜9)、5μl[20μM]パッチ_1R(AまたはC)。各パッチの最終濃度は1.18pmol/μlとする。100pmolのBPP2〜8を作成するための物質:各々10μlの予備アニーリングされた(10μM/各検体)適切なパッチユニット。各々に添加されたパッチユニットは9種であり、合計90μlとなる。各パッチの終濃度は1.11pmol/μlである。
以下に示すものはナノレポーター上で結合するための染料標識核酸に関する8位置または領域を有する本実施例に関して作成された全パッチユニットプールの表である。位置1、3、5、および7は染料Aまたは染料Cで標識された核酸に結合でき、そして位置2、4、6、および8は染料Bまたは染料Dで標識された核酸に結合できる。
2本鎖スカホールドのためのパッチユニットによる1本鎖オリゴヌクレオチドをアニーリングするための物質および製造
第3に、2本鎖オリゴヌクレオチドスカホールドを作成するための鎖を含む1本鎖線状M13mp18にアニーリングすべきパッチユニットを製造する。M13mp18に60および65ヌクレオチド塩基パッチをアニーリングするための条件は、結合がきわめて特異的なものとなり、そしてパッチがM13mp18鎖上の誤った座標にアニーリングしないようにするためには、高い塩濃度において発生することが必要である。アニーリング工程のためには、各パッチユニットを0.5pmolの全容量において1本鎖M13mp18配列とともに2:1〜4:1の比で添加する。過剰のパッチはフラップをアニーリングする前に除去する。
使用物質の構成は20xSSC、線状M13mp18(0.08pmol/μlまたは200ng/μlにおいてBamH1消化)、適切な塩基パッチプール(BPP)(1.11pmol/μlにおいて合計8つ必要、上記参照)および45℃に設定したデジタル加熱ブロックとした。アニーリング反応の構成は以下の通りである。一般的指針:M13mp18分子当たり2X各パッチユニット、後の精製のために添加し、5XSSCである予備ライゲーションフラップ/パッチ(位置1または8)。実施例(F8フックフラップを有するスカホールド0.5pmol)反応の構成は0.071μMにおける7.1μlのBamH1消化M13mp18鎖、A1、B2、A3、B4、C5、B6およびA7の最初の7位置に関する1.11μMにおける各々0.9μlの新しい塩基パッチプールとする。
1.7μlA1BPP(予備アニーリング、12/15;1.18μM/各パッチ)
1.8μlB2BPP(予備アニーリング、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μlA3BPP(予備アニーリング、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μlB4BPP(予備アニーリング、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μlC5BPP(予備アニーリング、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μlB6BPP(予備アニーリング、12/15;1.11μM/各パッチ)
1.8μlA7BPP(予備アニーリング、12/15;1.11μM/各パッチ)
2.4μlのBPP−D8(最初の7パッチユニットのプール−位置8における座標64、65、66、67、68、69、および70−「D」特異性)+0.83μMの精製タグ−F8(FHF、これはパッチ座標71L、71R、72L、72R、73Lにアニーリングし、位置F78においてビオチンリンカーとして使用するための「F」特異性を有する完全スプリット−フラップ/パッチユニットを形成する、位置F8)、および7.3μlの20XSSCとする。最終反応容量は0.027pmol/μlにおいて29.3μlとする。
抗Bamオリゴヌクレオチドもまた(消失した)1Lパッチユニットに相補であるM13における領域にアニーリングするため、およびライゲーションの間のM13スカホールドの再循環を防止するために添加する。
2本鎖スカホールドを形成するための1本鎖M13mp18へのパッチユニットのアニーリング
第4工程は2本鎖オリゴヌクレオチドスカホールドを作成するために鎖を含む1本鎖線状M13mp18にパッチユニットをアニーリングするプロトコルを含み、以下の工程において実施される。即ち1)42℃まで加熱ブロックを予備加熱し、上記反応溶液を15分間、ホイルで上部被覆しながら小型PCR(またはストリップ)試験管内で45℃に加熱し、加熱ブロックを65℃とし、そして更に1時間45分インキュベートし、そして試験管を取り出し、氷上に置くか凍結する。
ビオチンおよびストレプトアビジンを有する磁気ビーズを用いたナノレポータースカホールドの精製
第5工程はフラップを結合する前に行い、その場合、M13mp18鎖にアニーリングしていない過剰なパッチユニットを2本鎖オリゴヌクレオチドスカホールドから分離する。パッチユニットの相補5ヌクレオチド塩基オーバーハングの一部に対する5ヌクレオチド塩基相同体領域を有する精製タグをアニーリングすることによりスカホールドを「フック」する。ビオチニル化オリゴヌクレオチドを「精製タグ」にアニーリングし、そしてビオチニル化オリゴヌクレオチドを用いながらスカホールドをキャプチャーするためにストレプトアビジンを有する磁気ビーズを使用する。過剰なパッチユニットは上澄みとともに除去する。スカホールドは磁気ビーズから溶融離脱し、回収用の溶液中に入る。
精製タグへのDビオチンキャッチャーのアニーリング
ナノレポーター上の精製タグにD−ビオチンキャッチャーをアニーリングする(溶液中使用できるD8−フラップ位置の量に対して2Xを作成し、これはM13に対して2X、または終濃度の4Xである):0.5pmolX25がオリゴヌクレオチド位置をフックし(5×5)、4Xは50pmolとなり、0.50μlの100pmol/μlD−ビオチンに相当し、0.5μl(D、E、F)−ビオチン(100μMにおける)を試料に添加し、混合し、30分間室温でインキュベートする。
2本鎖スカホールドからの未結合パッチユニットの洗浄除去のための精製プロトコル
室温で30分間5XSSC中のナノレポーターに25倍過剰量においてF−フックオリゴヌクレオチドをアニーリングする。200μlのDynaBead MyOne StreptvidinTMビーズ溶液を1.5ml試験管にピペッティングし、磁石に置き、そして上澄みを除去する。上記工程と同様に磁石による再懸濁および清浄化により5XSSCを用いて2回洗浄する。5XSSC中の試料の80μlを添加する(本実施例においては試料80フェトモル)。15分間回転混合器上に置くことにより十分再懸濁させる。磁石で溶液を清浄化し、上澄みを新しい試験管に移し、後のゲル分析に供する。磁石上で、最初に添加したものと同様の80μl容量で3回ペレット上をピペッティングすることにより80μlのTEでペレットを洗浄する(再懸濁しない)。洗浄液を除去し、新しく「洗浄した」試験管に入れ、分析に付す。45℃までTE緩衝液を加熱し、80μlを各ペレットに添加し、再懸濁する。15分間45℃の加熱ブロック上に試験管を置き、1往復ピペッティングすることによりビーズが懸濁状態で残存することを確実にする。温熱状態の間に磁石で生成物を迅速に清浄化し、保存する。精製されたナノレポーターの大部分は45℃において溶離したこの生成物中に存在するはずである。
スカホールドに対するフラップのアニーリングおよびライゲーション
第6の工程では「被覆されたスカホールド」を形成するためにスカホールドにアニーリングされるスプリットフラップオリゴヌクレオチドを用いる。磁気ビーズによる精製を後に実施することにより過剰のスプリットフラップを除去する。被覆されたスカホールドのライゲーションは構造の安定性を増大させるためにT4リガーゼを用いながら行う。蛍光染料当たり僅か1つの型のフラップが必要である。フラップは95または100塩基長のいずれかであり、そしてパッチに対し、標識されたオリゴヌクレオチドに対し、そして相互に相補な領域を有する。各フラップは標識されたオリゴヌクレオチドに結合するために15塩基反復配列を有する。リピート配列は何れかのパリンドロームおよびヘアピン構造を除去するために分析されているラムダ配列に基づく。
フラップをアニーリングするための条件は以下の通りである。パッチに相当するフラップ上の配列は5ヌクレオチド塩基対長であり、そしてそのため、フラップは高い塩濃度においてさえもパッチに特異的にアニーリングする。フラップのパッチに対する比は2:1である。高温における安定性を増大させるために、パッチ相互およびフラップのパッチへのライゲーションを同じ反応において実施してよい。
1)A260nmにおいてスペクトル分析機を用いながら精製されたスカホールドを定量する。適切な量のナノレポーターを製造するために必要な容量を計算する。本実施例に関しては、本発明者等は110ngまたは0.023pmolを使用し、A260nmにおける読み取り値は110ngに関して7.7ng/μlまたは14.3μlを示している。2)以下の通りライゲーション反応を設定する(容量は精製および規模に応じて変動することになる)。現在は1.5Xフラップ対パッチを用いており、相応に計算する。本実施例に関しては4種の異なる蛍光染料(色素)標識A、B、C、およびD、およびナノレポーター上で染料標識核酸が結合できる8種の異なる位置または領域が存在する。各色素に対する位置の数(本例では1〜4)×9×1.5モルスカホールド=使用されるフラップのモル数である。
配列/位置[ABABCBAD]における蛍光染料を有するナノレポーターに関し:
ABABCBAD=
A:40.5×.023=.93pmol;vol:lμMにおいてSF(スプリットフラップ)−AL.93μl
1μMにおいてSF−AR.93μl
B:40.5×.023=.93pmol;vol:lμMにおいてSF−BL.93μl
1μMにおいてSF−BR.93μl
C:13.5×.023=.31pmol;vol:lμMにおいてSF−CL.31μl
1μMにおいてSF−CR.31μl
D:13.5×.023=.31pmol;vol:lμMにおいてSF−DL.31μl
1μMにおいてSF−DR.31μl
ライゲーション反応(合計25μl)の内容:スプリットフラップ(上記参照;4.96μl、または合計〜5μl)、0.0016pmol/μlにおけるMODB−スカホールド14.3μl、2.5μl 10XT4ライゲーション緩衝液、2.2μl NanoPure HOおよび1μl T4リガーゼ。45℃で5分間試験管をインキュベートする。37℃のウォーターバスに移し、5分間インキュベートする。1μlのT4リガーゼを試料に添加する。37℃で更に1時間インキュベートする。急速冷凍するか、5分間75℃で加熱することによりT4リガーゼを殺傷する。
標的特異的配列のナノレポーターへのライゲーション
第7工程ではナノレポーターへの標的特異的配列のライゲーションを行う。DNA標的特異的配列はRNA(例えばmRNA)またはDNA(例えばcDNAまたはゲノムDNA)であることができる標的分子に相補となるように設計される。標的特異的配列は35、60または70ヌクレオチド塩基長であることができる。標的特異的配列は被覆されたスカホールド上の1本鎖オーバーハンギング領域を用いながらスカホールドにライゲーションできる。標的特異的配列の単一の型を有するスカホールドは別個に製造し、そして次に混合してライブラリとすることができる。
ナノレポーター構築
ナノレポーターへのオリゴヌクレオチドの付加はナノレポーターの構築の間のいずれかの時点において行うことができる。本発明の特定の特長において、標識されたオリゴヌクレオチドは15ヌクレオチド塩基長である。5’末端において、単一の蛍光団染料を結合する。特定の蛍光団染料を有するオリゴヌクレオチドは一般的に同じ配列を有する。これらの標識オリゴヌクレオチドはスプリットフラップのリピート配列に結合する。本実施例に最も適する蛍光団は、限定しないが例えば、Alexa488、Cy3、Alexa594、およびAlexa647を包含する。15ヌクレオチド塩基長は蛍光団を十分離間して保持するため、それらは相互にクエンチングすることなく、そして可視化過程における条件において標識された核酸が安定である(相補鎖から溶融離脱しない)ことを確保する。標識されたオリゴヌクレオチドは40℃で安定である。この短い長さはまた、フラップ上への多数の蛍光染料の充填を可能にする。本発明の特定の特長において、標識されたオリゴヌクレオチドは標的試料の処理の間に導入される。
標的分子へのナノレポーターの結合
ナノレポーターは当業者の知る何れかの手段を用いながら標的分子に結合できる。例示的な実施形態においては、2重ナノレポーターは、標的125pmolに第1のプローブおよび第2のプローブの両方の各々250pmolを混合することにより、標的分子にハイブリダイズされる。総容量は4μlとなるように調節し、そして緩衝液の終濃度は5XSSCとする。この混合物を42℃において一夜被覆されたPCR試験管中でインキュベートすることによりハイブリダイゼーションを起こさせる。
表面結合
ナノレポーターを標的分子と相当する標識核酸、即ち標識単量体に結合した核酸の両方に結合した後、それらを表面に結合させ、そして伸張することにより、標識単量体により放出されたシグナルの順序を分解し、そしてこれにより標的分子を識別する。本実施例において、ナノレポーターを伸張することにより特定の標的分子に相当するそれらの蛍光染料コードを空間的に分解する。ナノレポーターは一端を表面(この実施例においては、カバーガラス、製造は後述参照)に結合することにより伸張される。表面結合のための2つの方法、即ちA)Accelr8 Corporationより入手したストレプトアビジンコーティングスライドと組み合わせたナノレポーターのビオチニル化、およびB)ビオチンコーティングスライドと組み合わせたストレプトアビジン含有ナノレポーターの使用、を用いてよい。緩衝液中、ナノレポーターを活性な表面と接触させ、そして所定時間インキュベートする。反応は、チャンネルを形成するためにエッチングされたシリコンウエハ中に鋳造されたPDMSから作成されたフローセル中で実施する。金属配管を使用することにより緩衝液および試料の挿入のためのチャンネルの末端においてウェル部を切削する。チャンネルの寸法は0.5mmまたは1mm幅および54μmの高さである。試料をフローセルのレーンにロードしてインキュベートした後、ナノレポーターを結合させなければならない。ナノレポーターは、電圧を適用することによるか、または後退メニスカスで液体を除去してストリングを伸張および乾燥した状態で残存させることによるかのいずれかにより、伸張することができる。
表面の製造および装置の組み立て
結合表面(Accelr8ブランドStreptavidin−OptiChem、コーティングカバーガラス)をスライド容器当たり5表面の単位において出荷し、そして各容器はホイルパウチ中シリカ乾燥剤のパッケージとともに封入する。パウチは使用時まで−20℃で保存する。
結合のための表面を製造するために、パウチを先ずフリーザーから引き出し、そして数分間かけて室温まで戻す。予め未開封である場合は、次にパウチを一端に沿ってスライスすることによりスリットを形成し、そして表面の容器を除去する。必要な表面を除去した後、容器をパウチ内にその乾燥剤と共に戻し、スリットをパッケージングテープのストリップを用いて閉鎖しながら密封し、そしてパウチをフリーザー内に戻す。
次に表面をNanopure水(Barnstead Nanopure Diamond)の水流で穏やかに濯ぎ、そして清浄なスロット付きのCoplin Jar中で0.2μm濾過1XPBS中に10分間浸潤させる。浸潤後、表面をNanopure水に浸漬し、そして表面端部を通過させながら濾過窒素を吹き付けることにより乾燥する。
表面と接合させ、そして試料の局在化をもたらすために使用したPDMS装置は、使用直前に、PDMS表面にセロファンテープを貼り付け、そして次に保存中に結合することになる可能性がある粉塵または他の粒子を剥離除去することにより、清浄化する。Accelr8表面の結合側は正面を上にして置き、そして清浄なPDMS構造物は表面上にチャンネル側を下にして中心に置く。PDMSはコーティングされたガラスに容易に接着し、そして追加的な結合機序は必要ではない。
試料結合および洗浄
試料は選択されたレーンの1つのウェル中に試料(現時点で100mMホウ酸ナトリウム緩衝液pH9.8中に希釈されている)5μlの液滴をまず適用することにより表面に結合させる。液滴はチャンネルがウェルと接合する地点にわずかに接触するようにする(一部の試料はこの時点においてチャンネル内に浸みこむ場合がある)。チャンネルを充填し、そして、極めて弱い真空(<2kPa)を用いながら反対側のウェルに向けてチャンネルを通過させながら液滴を吸引することにより、結合をチャンネル内で均等にする。他の試料に関してはそれらの該当するレーンにおいて処理を反復する。次に過剰の液をウェルから除去し、ウェルをテーピングして蒸発を低減し、そして装置を20分間暗所室温でインキュベートする。
結合後、テープを除去し、そして各レーンの上側ウェルに上記したホウ酸塩緩衝液100μLを充填する。その緩衝液の約20μLを真空により他のウェルに向けてチャンネルを通過させながら吸引し、そして処理を再度反復する。次に全てのホウ酸塩緩衝液を全てのウェルから除去し、そして上側ウェルに1XTAE、pH8.3を充填する。約50μLのTAEをチャンネルを通過させながら吸引し、次に全てのTAEを除去し、そしてウェルに再充填する。処理を3回反復し、合計約150μLのTAE濯ぎを行う。最後に全ウェルに100μLの1XTAEを充填する。
電気伸張
カバーガラス/PDMS装置の底部を浸積油でスポットし、そして顕微鏡上に置く。電極を第1のPDMSチャンネルの反対側の端部の上のウェル内に挿入する(負電極を上側ウェル、正電極を下側ウェルとする)。チャンネルの第1の画像は下側ウェルに接近して撮ることになり;顕微鏡のステージは目的の区域が焦点に来るように調節する。
次に電圧(200V)をチャンネルを横切って適用する。電圧はDC電源(Agilent E3630A)により供給し、そしてホームビルドの増幅器を介して100X増幅する。電流を適用した後、焦点を再調節し、そして画像化処理を開始する。
次に電気伸張および画像化過程を残余のチャンネルで反復する。結合を画像化する。
ナノレポーター上の蛍光染料に対する光源
光源としてアークランプを用いる場合、最良の蛍光団の選択肢は蛍光の重複をもたらさない最も高輝度の種類のもの、例えばAlexa488、Cy3、およびAlexa594である。より弱い蛍光染料、例えばAlexa647およびCy5.5もまた使用できる。
ナノレポーター上の蛍光染料を画像化するためのフィルター
選択された蛍光団Alexa488、Cy3、Alexa594、およびAlexa647に関しては、Cy3とAlexa594との間にオーバーラップがある場合がある。しかしながら、572〜600nmのバンド幅の発光フィルターを特注すればオーバーラップを最小限にできる。
ナノレポーターを画像化するための顕微鏡および対物レンズ
使用した顕微鏡モデルは、複数の蛍光染料候補からの蛍光の放出の選択を可能にする6フィルターカセットを有する倒立蛍光画像化ステーションを用いたNikon Corporation製のNikon EclipseTE2000Eとした。選択された染料に対しては、必要な光学解像度は全ての波長(500〜700nm)に対して約400nmである。選択された対物レンズはNA1.45および倍率60のNikon Plan Apo TIRFレンズである。光学解像度は種々の異なる波長に関して約210〜300nmである。
実施例2:パッチ/フラップナノレポーター製造プロトコル
本実施例は1本鎖線状M13mp18ウィルスDNA、オリゴヌクレオチドパッチユニットおよび長フラップよりなるナノレポーターを作成する別の方法を示す。
ナノレポーター標識ユニットは実質的に本実施例に記載する通りの方法を用いて良好に形成された。
予備ホスホリル化されたパッチユニットおよびフラップをM13mp18DNAベクターとともに添加し、そしてともにライゲーションする。M13mp18DNAにライゲーションされたパッチユニットへのフラップのライゲーションの後、BamH1酵素を導入することによりベクターを線状化する。
スカホールドとしてのM13mp18 5μgを出発原料としてナノレポーターのバッチを製造する。ハイブリダイゼーションは所望の量に従ってスケールアップしてよい。この処理は完了するまで約1〜2日間を要する。
プロトコル開始前にウォーターバスを37℃および55℃に予備加熱する。緩衝液は十分混合して解凍した後に使用するよう留意する。作業プレートを確保し、そしてプレート番号529916および610591中のIDTより入手した注文オリゴで標識する。これらの2プレートを取り出し、そして0.5〜1時間室温で解凍し、そして内容物を遠心分離した後にウェルを被覆するテープを除去する。これらのプレートに由来する特定のオリゴヌクレオチドを用いながら1.5mlのエッペンドルフ試験管中に4つの別個の反応を設定する。開始に際して、これらの4本の別個の試験管にローマ数字をそれらのキャップに標記する。カラム5および6A〜Hは反応I、カラム7および8A〜Hは反応ii用であり、全てプレート番号529916中に存在する。カラム1および2は反応iv用であり、そしてカラム3〜4は反応iii用である。
フラップのライゲーション(工程A):ローマ数字i〜ivを4本の別個の1.5ml試験管に標記する(上記)。以下の試薬、即ち:5μlの10xリガーゼ緩衝液、プレート番号529916および610591に属する表記されたウェルに由来する0.5μl/オリゴヌクレオチド、反応I、iiおよびiv用の4μlの長フラップオリゴ/反応(AまたはB)、エリアiii用の3μlのLF、反応I、iiおよびiv用の29HO、反応iii用の32μlのHO、および4μlのT4リガーゼを適宜各50μlの反応混合物に添加する。本混合物中のオリゴを30分間37℃でリガーゼを用いることなく予備アニーリングする。最終試薬としてリガーゼを添加し、そして少なくとも4時間室温でライゲーションさせる。生成物濃度は1pmol/フラップ/μlである。
フラップライゲーションホスホリル化(工程B)生成物がホスホリル化されていることを示す○内のPを併記しながら1〜4のローマ数字を再度4本の別個の1.5ml試験管に表示する。相当する試験管に以下の試薬、即ち:10μl/フラップライゲーション反応(上記の10μl/フラップライゲーション反応をとる)、2.5μlのオプチキナーゼ緩衝液、0.5μlの100mM ATP、11.5μlのHO、および0.5μlのオプチキナーゼ酵素を添加する。1時間37℃でインキュベートする。生成物濃度は0.4pmol/フラップ/μlである。
オリゴヌクレオチドパッチユニットホスホリル化(工程C)27μlのオリゴヌクレオチドパッチユニット混合物0.74pmol/μl、5μlの10x緩衝液、1μlの100mM ATP、3μlのオプチキナーゼ酵素、および14μlの水。試薬が全て揃った後、数回試験管を叩くことにより溶液を穏やかに混合し、そして遠心分離する。1時間37℃でインキュベートする。
M13mp18スカホールドへのハイブリダイゼーション(工程D)新しい1.5mlの試験管に以下の試薬、即ち:20μlの250ng/μlでM13mp18、27μlの0.4pmol/μlのホスホリル化オリゴヌクレオチドパッチユニット(工程C)、5分間55℃で予備加熱して氷上に置いた12.5μl/ホスホリル化フラップライゲーション(工程B)、11μlの10xリガーゼ緩衝液を添加し、そして混合物全体を1分間55℃で加熱する。混合物を少なくとも4時間37℃でハイブリダイズする。
ライゲーション(工程E)エッペンドルフの内容物を遠心分離する。1.2μlの100mM ATPおよび3μlのT4リガーゼを添加する。試験管をたたくことにより内容物を穏やかに混合し、次に遠心分離する。
BamH1消化物(工程F):1μlの10pmolのBamH1オリゴ、20μlの10xBamH1緩衝液を使用し、約1時間37℃でハイブリダイズする。容量を200μlに調節する。3μlのBamHI酵素を添加する。1時間37℃でインキュベートする。
第1工程:1.7ml容のエッペンドルフ試験管を清浄化するために20μlのM13mp18(NEB250μg/ml)を添加することにより開始する。ホスホリル化フラップライゲーション反応5μlを取り、それを2分間70℃で予備加熱し、そして迅速に氷上に置く。各ホスホリル化フラップライゲーション反応5μl(1pmol/フラップ/μl)を試験管に添加し、そして数回ピペッティングすることにより穏やかに混合する。1時間37℃でエッペンドルフ試験管をインキュベートする。
第2工程:新しい1.7ml容のエッペンドルフ試験管に13.5μlのオリゴヌクレオチドパッチユニット混合物(0.74pmol/μl)および1μlのAcrydite混合物(10pmol/μl)を入れる。5μlの10xオプチキナーゼ緩衝液、1μlの100mM ATPおよび27.5μlのHOを添加する。溶液をピペッティングすることにより穏やかに混合する。オプチキナーゼ酵素2μlを添加し、ピペッティングにより穏やかに混合し、そして1時間37℃でインキュベートする。
第3工程:ホスホリル化オリゴrxnを取り、それを全てM13mp18+フラップハイブリダイゼーションの内容物に添加する。反応物をピペッティングにより穏やかに混合し、そして1時間30℃でインキュベートする。ハイブリダイゼーション終了後、反応物に1μl(100ATP)を添加することによりATP、を調節する。
第4工程:エッペンドルフ試験管の内容物を遠心分離し、4μlのT4リガーゼ酵素(5単位/μl)を添加し、ピペッティングにより穏やかに混合する。少なくとも4時間室温でインキュベートする。1μlのBamH1オリゴヌクレオチド(10pmol/μl)を添加することによりライゲーションを起こしながら室温でハイブリダイズする。
第5工程:4μlのBamH1酵素(5単位/μl)を添加することによりライゲーション反応物を消化し、ピペッティングにより穏やかに混合し、そして1時間37℃でインキュベートする。インキュベーション時間の終了後、QC用に500ngの細分量を採取する。
第6工程:15分間ソラレン、UVまたはDMPA光で処理する。
計算の内容:
5μgのM13=20μlのNew England Biolabs製保存溶液=2pmol
オリゴヌクレオチド混合物:180−34フラップ面積−10アクリダイト修飾オリゴ=0.74pmol/オリゴ
10pmol/オリゴヌクレオチド=13.5μl=1350pmol
オプチキナーゼ1単位は1nmolのホスフェートを末端使用過剰量に変換する。4μlのオプチキナーゼを使用した。
配列番号1=M13mp18
実施例3:RNAナノレポーターの製造に関するプロトコル
実質的に本実施例に記載するとおりの方法を用いながらナノレポーターを形成し、そして標的分子を検出するために良好に使用した。このような本方法を使用した標的の検出の例を図6に示す。
スカホールド製造
1本鎖環状M13mp18DNA(USB Corporation)をBamH1認識部位に相補なオリゴヌクレオチド(Bamカッターオリゴ)の10倍モル過剰量にアニーリングし、そしてBamH1制限酵素により切り出して線状1本鎖DNA骨格を得る。Bamカッターオリゴヌクレオチドに相補なオリゴヌクレオチド(抗Bamオリゴヌクレオチド)をその後50倍過剰量でBamカッターオリゴヌクレオチドに添加することにより遊離のBamカッターオリゴヌクレオチドを封鎖し、そしてこれにより後の工程におけるM13の再環化を防止する。
線状M13分子は取り込まれた蛍光団を有するRNAパッチまたはRNAセグメントがアニーリングできるスカホールドとして作用する。
M13スカホールド上に2本鎖位置を形成するためのPCR
オリゴヌクレオチドプライマー対10セットはM13スカホールドに沿って10種の異なる領域が生じる様に設計する。各対は5’末端においてT7RNAポリメラーゼプロモーターを有する1つのプライマーを含有する。領域2〜7を900塩基(約300nm)長となるように設計した理由は、これが回折限界スポットの概ねのサイズであるためである(標準的な光学機器により達成できる最小のスポット)。領域1および8は共に長型および短型であり:長型は900塩基領域全体を含み、そして短型は標的特異的配列のライゲーションを可能にする900塩基領域の一部分のみを含んでいる。即ち、標的特異的配列は何れかの末端に結合できる。末端はまたアンカーまたはタグの結合のために使用できる。
Taqポリメラーゼおよび鋳型としての2本鎖M13mp18(USB Corporation)0.5ngを用いながらPCRを実施する。反応物はQiagen製のQiaquick精製キットを用いながら清浄化する。各PCRにより後述するとおり1つの特異的なセグメントに相当する2本鎖フラグメントが得られる。これらのフラグメントはRNAセグメントのインビトロの転写のための鋳型として用いられる。
ダークRNAセグメントを製造するためのインビトロの転写
2本鎖鋳型として上記したPCR産物を使用しながら、Ambion製のインビトロ転写キット(MegascriptT7キット)を使用しながらRNAセグメントを形成する。転写反応の産物はQiagen製のRNeasyキットを用いながら精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を包含する)。
アミノアリル基で修飾されたRNAセグメントを製造するためのインビトロの転写
2本鎖鋳型として上記したPCR産物を使用しながら、Ambion製のインビトロ転写キット(MessageAmp aRNAキット)を使用しながら後の染料カップリングのためのRNAセグメントを形成する。アミノアリル修飾UTPヌクレオチドは転写中にRNAセグメントに取り込まれる。転写反応の産物はQiagen製のRNeasyキットを用いながら精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を包含する)。
着色されたRNAセグメントを製造するためのアミノアリルRNAセグメントの染料カップリング
アミノアリル修飾されたRNAセグメント20〜100μgをAmbionアミノアリル標識キットを使用しながらNHS−エステル染料にカップリングする。使用した染料はAlexa488、Alexa594、およびAlexa647(Invitrogen/Molecular Probes)並びにCy3(Amersham)である。
スカホールド上の各位置が4色の何れかのセグメントで充填できるように、各セグメントをその4色で別個に作成し;即ち、異なる色を異なる位置に添加することにより多くのユニークな色の組み合わせを作成する。
この特定の実施形態においては、隣接セグメントは、各セグメントが個々の「スポット」として検出されるように、異なる色のものでなければならず、或いは、介在ダークセグメントが散在してもよい。ダークセグメントはナノレポーターコードの部分として使用してよい。
標識分子の組み立て
各位置に関するセグメントを2時間70℃において1xSSPE緩衝液中2:1のセグメントのM13スカホールドに対する比でアニーリングする。
標識されたRNAセグメントを有する組み立てられたナノレポーターを図3A〜3Bに示す。図3Aは交互の「スポット」(1、3、5および7)のみが標識されるナノレポーターを示し、そして図3Bは各スポットが標識されるナノレポーターを示す。
実施例4:RNAナノレポーター/ゴーストプローブ複合物を用いた標的(S2)RNAおよびDNA分子の検出
プローブおよび標的オリゴヌクレオチドの合成
S2DNA標的オリゴヌクレオチドを合成し、そしてポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製した(Integrated DNA Technologies)。S2RNA標的分子はAmbion MegascriptTMキットを用いながら製造元の説明書に従ってクローニングされたSARSコロナウィルス遺伝子(Invitrogen)の領域に相当するPCR産物のインビトロ転写により形成した。S2ゴーストプローブ(図6A(i))はS2標的配列(S2−a)の特異的50塩基領域に相補であり、そして、5’末端においてビオチンTEG単量体を用いて合成し、そして高速液体クロマトグラフィー(Integrated DNA Technologies)により精製した。S2標的に相補である50bpの第2のオリゴヌクレオチド(S2−b)+M13スカホールドへのライゲーションのために使用した追加的配列9bp(合計59bp)を合成し、HPLC(Integrated DNA Technologies)により精製した。S2−aおよびS2−b標的領域はオーバーラップしていないことに留意する。
ナノレポーター合成
オリゴヌクレオチドS2−bを線状化M13の5’末端にライゲーションし[図6A(iii)]、そして得られた産物をYM100フィルター(Millipore)を通したサイズエクスクルージョン濾過により製造元の説明書に従って残存未ライゲーションオリゴヌクレオチドから分離精製した。位置2、4、6、および8(配列番号)においてM13に相補なアミノアリル修飾RNAセグメント(図1C)はAmbion MegascriptTMキットを用いながら製造元の説明書に従ってDNA鋳型(PCR産物)のインビトロ転写により形成した。次にセグメントをAmbionの説明書に従って(アミノアリルMessageAmpTMIIaRNAキット)NHS−エステル修飾Alexa647染料(Invitrogen)にカップリングした。M13スカホールドの位置1、3、5、および7に相当するRNAセグメント(図1C)を上記した通りDNA鋳型から未修飾のインビトロ転写されたRNAとして形成した。ナノレポーターの組み立ては、1xSSPE緩衝液(150mM塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム、1mM EDTA)中70℃において2時間M13−S1−bスカホールドの5fmol/μlに8セグメントの各10fmol/μlをアニーリングすることにより実施した。最終生成物はダークセグメントが散在して介在するA647(赤色)で標識された4セグメントを有するナノレポーターであった。
ハイブリダイゼーション条件
ナノレポーターおよびゴーストプローブの標的へのハイブリダイゼーションは以下の条件、即ち5xSSPE(750mM塩化ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、5mM2ナトリウムEDTA)、40pMゴーストプローブ(結合オリゴヌクレオチドS2−a)、40pMナノレポーターS2−b、100ng/μl剪断処理サケ精子DNA、5xDenhardt溶液および0.1%Tweenの下に実施した。最終標的濃度は20pM S2 DNA標的(図6B)および1pM S2 RNA標的(図6C)であった。陰性対照には標的を添加しなかった(図6D)。ハイブリダイゼーション反応物は少なくとも16時間65℃でインキュベートした。
ハイブリダイゼーション反応物を100mMホウ酸塩緩衝溶液(pH9.8)で1;2希釈し、フローセルのチャンネル内に導入し、そしてチャンネルの底部を形成するストレプトアビジンコーティングカバーガラスに結合させた(Accelr8製のストレプトアビジン−OptiChemカバーガラス)。ナノレポーター/標的/ゴーストプローブ複合体の一端によるスライドへの結合はストレプトアビジン表面に対するビオチニル化ゴーストプローブの相互作用を介して達成した。追加のホウ酸塩緩衝液を用いてチャンネルを濯いで表面に結合していない過剰なレポーターを除去した後、緩衝液を1XTAE(40mMTris酢酸塩、1mM EDTA)と交換し、200Vの電流を印加することにより画像キャプチャーの間にナノレポーター/標的複合体を伸張した。
画像はLeica DMI 6000B顕微鏡、63X油浸積対物レンズ(1.4NA)付き、Xcite−120光源(Exfo)、専用フィルターセット(Chroma Technologies)、Orca−ER CCDカメラ(Hamamatsu)およびMetamorphデータ獲得ソフトウエア(Molecular Devices)を用いて採取した。
予測された通り、正しい標的分子S2が両方のゴーストプローブ[図6A(i)、S2−a]およびS2−b標的特異的ナノレポーター[図6A(iii)]にハイブリダイズ[図6A(ii)]した場合、ゴーストプローブ/標的/ナノレポーター複合体はスライドに結合する単一の物質種を形成し、そして647nmの波長の光に曝露した場合に4スポットとして可視化された(図6B、6C、および6E)。結合の量は標的の濃度に依存していた。S2標的配列の非存在下では有意な結合は無かった(図6D)。
実施例5:1価または2価の抗体フラグメントを含むナノレポーター
標的分子が蛋白またはポリペプチドである場合、ナノレポータースカホールドが核酸であり標的特異的配列が1価または2価の抗体フラグメントであるナノレポーターを形成できる。
定型的な方法を用いながら、目的の標的分子を認識する抗体を任意にペプシンで消化してF(ab’)2フラグメントを形成する。抗体の2つの部分またはペプシン消化で形成された2つのF(ab’)2フラグメントは、例えば2−メルカプトエチルアミンを用いた穏やかな還元により分離する。この還元は抗体または2つのF(ab’)2フラグメントを官能性付与できるスルヒドリル基2つを有する1価のフラグメント2つに分離する。
ヘテロ2官能性交差結合試薬(例えばPierce Biotechnology Inc.より入手可能なm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を用いてマレイミドをアミン修飾を有するオリゴヌクレオチド(これはIntegrated DNA Technologiesのような多くの入手元に注文できる)に結合させる。交差結合試薬上のNHSをオリゴヌクレオチド上のアミンと反応させることによりマレイミドコンジュゲートオリゴヌクレオチドを生成する。
次にこのマレイミドコンジュゲートオリゴヌクレオチドを抗体フラグメント上のスルフヒドリル基の1つと反応させる。立体制限のため、オリゴヌクレオチド1つのみを各フラグメントに結合させることが好ましい。
次にこのオリゴヌクレオチドに結合した1価または2価の抗体フラグメントをナノレポータースカホールド上の相補配列にハイブリダイズすることにより、標的特異的配列が抗体配列であるレポータープローブを形成することができる。そのようなレポータープローブは標的分子を検出するために単独で、またはゴーストプローブまたは同じ標的分子の異なる部分に結合する1価または2価の抗体または抗体フラグメントが標的特異的配列であるような他のレポータープローブと組み合わせて使用できる。
実施例6:NanoStringレポーターシステムを用いた胎盤全RNA100ngへの25細胞遺伝子のハイブリダイゼーション
25内因性細胞遺伝子の検出および定量を単一の多重ハイブリダイゼーション反応において実施した。更にまた、3つの非ヒト対照配列をそれぞれ細胞当たり約10、100および300コピーとなるように各反応物中にスパイクした。陰性対照ハイブリダイゼーションもまた細胞RNAの非存在下に実施した。
ハイブリダイゼーション反応
各試料を3連でハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション試薬の終濃度は以下の通り、即ち:1.12nM全ナノレポーター(28の個々のナノレポーターをそれぞれ40pM)、1.12nM全ゴーストプローブ(28の個々のゴーストプローブ)、5xSSPE(pH7.5)、5xDenhardt試薬、100ng/μl剪断処理サケ精子DNA、0.1%Tween20、150fMS3スパイクDNA、50fMS4スパイク、および5fMS6スパイクとした。全胎盤RNAの終濃度は33ng/μlとした。陰性対照ハイブリダイゼーションには全胎盤RNAは添加しなかった。反応物の最終容量は30μlとした。試薬を混合し、20時間加熱蓋のついたサーモサイクラーブロック中65℃でインキュベートした。
ハイブリダイゼーション後の精製
磁気ビーズ(Fビーズ)に結合したゴーストプローブに相補なオリゴヌクレオチドを用いながらハイブリダイゼーション反応物を精製して未ハイブリダイズのレポーターを除去した。ハイブリダイゼーション反応物を0.1%Tween20で5倍に希釈し、最終塩濃度を1XSSPEとし、そして溶液をFビーズ(150μlの1XSSPE/0.1%Tween20で2回予備洗浄)30μlに添加した。ハイブリダイズした複合体は連続的に回転させながら15分間室温でビーズに結合させ、0.5XSSPE150μlで1回洗浄し、そして45℃で15分間0.1XSSPE 25μl中で溶離させた。
結合、伸張、および固定化
結合用の試料は、0.1uM TetraspecTM蛍光微小球(製品番号T7279、Molecular Probes)の1/1000希釈物1μlおよび1Mビストリスプロパン(pH9.0)3μlを添加することにより製造した。試料をストレプトアビジンでコーティングしたAccelr8 Optichem(登録商標)スライドガラス(製品番号TB0200)への結合のためのNanoString流体デバイス中にロードした。ロードした後、スライドガラスの表面を1XTAEで1回洗浄し、そして各ウェルにTAE40μlを添加することにより電気伸張用に調製した。結合した複合体を流体チャンネルを通過させながら200Vを印加することにより伸張した。1分後、5分間電圧を印加し続けながら負荷電電極を含有するウェルに60μlの500mM Gフックオリゴ溶液を添加することにより、試料を伸張された位置において固定化した。固定化の後、TAE溶液を除去し、画像化のための抗光漂白試薬と交換した。
画像化
スライドガラスをハロゲン化金属光源(X−cite 120、Exfo Corporation)および60倍の油浸積レンズ(1.4NA Plan ApoVC,Nikon)を装着したNikon Eclipse TE2000E上で画像化した。各視野につき、異なる励起波長(480、545、580および622)における4画像を、Metamorphソフトウエア(Universal Imaging Corporation)の制御下にOrca Ag CCDカメラ(Hamamatsu)を用いて獲得した。画像は専用の画像処理ソフトウエアを用いて処理した。
データ分析
生データを専用のソフトウエアを用いながら処理された画像から抽出した。データは各試料における対照スパイクに関する平均の計数に対して正規化した。遺伝子が系により「検出された」かどうかを測定するために、RNAを含有するハイブリダイゼーション由来の各遺伝子に関して得られた計数をスチューデントのt検定を用いながらRNAを使用しないハイブリダイゼーションで得られた計数と比較した。p値<0.05を有する遺伝子を検出することとした。バックグラウンドを差し引いた後、細胞mRNAの濃度をスパイク対照の直線回帰から推定した。これらの濃度は、以下の仮定、即ち:1細胞は10pgの全RNAを含有し;各細胞は300,000mRNA分子を含有し;反応の最終容量は30μlであるとしながら、細胞当たりのコピーに変換した。
結果および結論
以下の表3は上記したデータ分析の結果を示す。これらの結果は本明細書に記載したナノレポーター技術を用いて1転写物/細胞未満の濃度において存在するCASP3のような転写物を検出することができることを示している。即ち、ナノレポーター技術は遺伝子発現を検出および定量する高感度の手段を提供する。
本明細書に記載したハイブリダイゼーション方法は120種までの異なるレポーターを含有する単一の多重反応において実施されており、同様のハイブリダイゼーション効率および結果が得られている。
実施例7:ナノレポーターハイブリダイゼーションの反応速度に関する注意事項
バックグラウンド
標的を上回る大過剰のプローブを用いる溶液ハイブリダイゼーションは擬似1次反応速度に従う。この状況においては、反応の速度はプローブ濃度のみに依存し、標的濃度には依存しない。溶液中の標的の濃度に関する正確な情報を得るための2プローブ1標的の方策の場合、プローブは両方とも標的より過剰に存在しなければならない。従って可能な濃度範囲は好ましくは標的の濃度により下限に制約される。しかしながら、本明細書に記載したナノレポーター技術に関する有用な濃度範囲は実際にはハイブリダイゼーションを実施するために必要な時間の量により下限が制約される。
ハイブリダイゼーション反応速度
好ましい実施形態においては、標的(T)は検出すべきレポータープローブ(R)およびゴーストプローブ(G)の両方にハイブリダイズしなければならないとした標的の検出および定量の試験を実施した(例えばアフィニティー選択および(T)の存在下に複合体を形成するのみである(R)および(G)のみを含む複合体の検出による)。これらの反応が不可逆であると仮定した場合、生じる4種の可能な基本反応が存在する。
RTおよびTGは3物質種のうち2つの中間的複合体であるため、これらの4反応は下記の通り単純化できる。
R+T+G→RTG
しかしながら、RTG(レポーター−標的−ゴーストプローブ複合体)の生成速度を定量的に計算するためには、4種全ての反応を考慮しなければならない。系を説明する微分方程式は下記:
の通りであり、式中、C、C、C、CRT、CTG、およびCRTGは種々の物質種の濃度であり、そしてk〜kは4種の基本反応の速度定数である。プローブおよび標的が相補1本鎖分子である場合(即ちゴーストプローブ上の精製タグおよびレポーターが存在しない場合)のこれらの速度定数に関する値は、文献既知のデータから計算できる(Wetmur,J.Annu.Rev.Biophys.Bioeng.1976.5:337−361)。
上記方程式において、kは核化速度定数、Lは核酸長(塩基対)、Nは核酸の複雑度(非反復配列についてはLに等しい)およびasaltおよびarefは塩濃度に関する補正を示す(Britten等、1974、Methods in Enzymology 29E:363−406)。本明細書に記載したナノレポーター系において、速度定数は結合したゴーストプローブタグおよびレポータープローブのサイズに依存することになる。如何なる理論にも制約されないが、本発明者等の考えにおいては、速度定数は、反応体の拡散定数に対して基本反応が有しているものと同じ依存性を長さに対して有している。
上記方程式において、DおよびDは2つの反応物質種の拡散定数(上記反応参照)であり、そしてD50は50量体の1本鎖DNA分子の拡散定数である。100塩基1本鎖標的、100塩基1本鎖ゴーストプローブ、および7200塩基2本鎖レポーターを仮定した場合、該当する反応速度定数は以下の通りとなる。
これらの反応速度定数を用いて微分方程式の系を数的に解くことにより(標的よりもプローブが少なくとも10倍過剰と過程)、5pMレポーターおよび5pMゴーストプローブは一夜反応(16〜18時間)において完了の10%までハイブリダイゼーションを駆動することになるという予測が得られる。5pM未満の濃度においては、完全にハイブリダイズした分子の量は計測が現実的ではないと考えられる。即ち、好ましい実施形態においてはナノレポーター成分(ゴーストプローブおよび/またはレポータープローブ)の低濃度は5pMである。
レポーターの縺合
プローブ濃度が上昇するに従って、ハイブリダイゼーションの反応速度は際限なく上昇し、唯一の制限はプローブの溶解度のみとなることが理論上予測されている。しかしながら、レポータープローブは本発明のナノレポーター系においては標的特異的配列と比較して極めて大型となることができる。如何なる理論にも制約されないが、本発明者等の考えにおいては、レポータープローブへのその結合により、標的特異的配列の反応速度は古典的な溶液ハイブリダイゼーション反応速度から改変される。レポータープローブが大型の重合体分子であるため、それは、他のナノレポーターが接触すればそれらと長寿命の相互作用(縺合)を有する場合がある。低濃度においては2つの重合体が縺合する確率は小さいが、溶液中の重合体の濃度および/または大きさが増大するに従って、これらの相互作用はより一般的となる。極めて高濃度における極めて長い分子という極端な場合においては、重合体は永久的なネットワーク、またはゲルを溶液中に形成する。溶液ハイブリダイゼーションがおこるためには、プローブ(例えばナノレポータープローブ)/標的の対は、それらが相互に接触しハイブリダイゼーションの核が形成されるまで、溶液中を拡散しなければならない。古典的には、ハイブリダイゼーション反応は、ハイブリダイゼーションの核化よりも分子の平行移動的拡散が高速であることから、拡散律速ではない(即ちプローブおよび標的が一緒になって拡散し、多数回相互作用した後に核化がおこる)。希釈溶液においては、その大型のサイズがレポータープローブの平行移動的拡散を緩徐化することになるが、反応速度には大きく影響しない場合がある。一部の中間的濃度においては、レポータープローブが溶液中の空間の殆ど全てを占有し、永久的に縺合したゲルを効率的に形成し、そしてもはや溶液中に拡散できなくなる。しかしながら、ゴーストプローブおよび標的は縺合したレポータープローブを通過してなお拡散し、ハイブリダイゼーションを可能とすると考えられているより小型の分子である(より低速であるとは考えられる)。本発明者等の考えにおいては、ある程度の高濃度においては、溶液中のレポータープローブはゴーストプローブおよび標的の運動を反応が拡散律速となる地点にまで遮蔽することになる。この濃度(定量的に知られておらず、そしてレポータープローブの構造、ゴーストプローブの構造、および標的のサイズに依存している)はナノレポーター系における有用な濃度範囲の上限であり、そして本明細書に記載した原理を指針として当業者が実験的に決定できる。
反応速度の長さ依存性
ハイブリダイゼーションの律速上限濃度はレポーターの構造およびゴーストプローブの構造(これらのうち多くの可能な変異が存在する)の両方に依存しているため、有用な濃度範囲の順列を予測するための理論的枠組みは本発明の実施において有用である。古典的な理論はハイブリダイゼーションの反応速度はより小さいプローブのサイズにのみ依存すると予測している。従って理論は、レポーターのサイズは、標的分子およびゴーストプローブの両方が有意により小型である限り、ハイブリダイゼーションの反応速度において役割を果たすことにはならないと予測することになる。次に理論はハイブリダイゼーションの速度(一定の標的長の場合)は、ハイブリダイゼーションの立体障害のために、1/L1/2に依存していると予測しており、ここでLはゴーストプローブの長さである。結果的に、ハイブリダイゼーションの反応速度は、より小型のゴーストプローブの場合に高速となる。ゴーストプローブの長さが増大するに従って、ハイブリダイゼーションの速度は1/L1/2として低下するはずである。一定のゴーストプローブ長を仮定すれば、次に計測可能な量のハイブリダイゼーション事象をもたらすことになるレポーターの長さおよび濃度の範囲を定義することができる。レポーターのサイズが定義されれば、次にゴーストプローブのサイズの概ねの範囲が決定できる。これは反復過程であるが、本発明者等の根拠の基本となる理論がレポータープローブを使用しない系におけるハイブリダイゼーションデータから発生していると仮定すれば、詳細な経験的指針を発生するためのデータを収集する元となる良好な開始点を与える。
縺合の閾値
レポータープローブは本質的にはランダムコイルとしての挙動を示す遊離溶液中の重合体である。単一のレポーターVpにより占有される容量は自由連結鎖モデル(FJC、可撓性重合体、例えば1本鎖DNAまたはRNAの場合)または蠕虫様鎖モデル(WLC、堅固な重合体、例えば2本鎖DNAまたはレポーターの場合)に従って重合体物理学理論から計算できる。何れのモデルに関しても、下記式:
が成立し、式中、Rgは回転半径である。FJCに関しては、下記式:
が成立し、式中、bはセグメント長であり、そしてNは鎖内のセグメントの数である。WLCに関しては、下記式:
が成立する。縺合の閾値の濃度は溶液の全体積がレポーターにより占有される濃度として定義され、下記式:
が成立し、式中、Nはアボガドロ数である。この濃度より高値においては、ナノレポーターの平行移動的拡散は厳しく制限されると推定される。縺合閾値濃度はレポーター構造に応じて変動する。レポーター長が増大するに従って、縺合閾値は低下する(1/L1.5として)。上記方程式から、種々の異なるスポットサイズおよび種々の異なる長さを有するレポータープローブの理論上の縺合閾値が計算できる。そのような計算の結果は図17に示す通りであり、これは各々約900bpの8標識結合領域を有する7200bpのRNA/DNAハイブリッドレポータープローブについては、縺合閾値は約70nMであることを示している。
標的およびゴーストプローブの両方がレポーターよりはるかに小型である場合、それらはレポーターのこのような高濃度においてさえも溶液中を通過して自由に拡散することになる可能性が最も高い。初期のデータは、ハイブリダイゼーションの反応速度は7200bpのレポータープローブ、100塩基の標的、および100塩基のゴーストプローブの場合、80nMの濃度まではそれほど緩徐化されないことを示している。
多重化に対する縺合閾値の影響
ハイブリダイゼーション反応におけるレポーターに関する最高濃度をCと仮定すれば、各レポーター(特定の標的に特異的)の濃度はC/Mに等しく、ここでMは反応の多重度(同時に対象とされる異なる標的の数)である。逆に、特定のレポーター構造に関する可能な多重度のレベルはプローブ濃度の下限(反応速度から得られるC、約10nM)および縺合閾値から下記式:
により計算できる。
使用可能なナノレポーターコードの数がレポータープローブサイズに依存しない場合、ナノレポーターの多重化は主にレポータープローブのサイズおよび濃度(これはゴーストプローブより遙かに高値である)に依存している。ゴーストプローブはハイブリダイゼーション中の縺合に有意に寄与していないため、ゴーストプローブの濃度はレポータープローブの濃度より遙かに高値まで上昇できると本発明者等は考える。以下の表4において、最大全ゴーストプローブ濃度([G])は全レポーター濃度に関して1000nMに設定している。ゴーストプローブおよびレポータープローブの濃度におけるこの相違は調節可能なパラメーターである。予備実験によれば、7200bpレポーターおよび100bゴーストを用いた多重ハイブリダイゼーション反応において、40pMの各レポータープローブおよび200pMの各ゴーストプローブは一夜の反応においてほぼ完全なハイブリダイゼーションをもたらしている。
最適なサイズおよび濃度の範囲
以下の表4において、上記理論より近似させたものとして、異なる多重化におけるゴーストプローブおよびレポータープローブの最適な有用サイズおよび濃度を総括した。約200塩基までのゴーストプローブが大部分の用途に対して実用的となることが本発明者等の考えである。
実施例8:2重ナノレポーター組立物に関する例示的な実施形態
本セクションは1つのプローブがゴーストプローブであり、そしてもう1つのプローブがM13骨格上に組み立てられた着色RNAセグメントを含むレポータープローブである2重ナノレポーターの組み立てに関する実施形態を記載する。ゴーストプローブはビオチニル化Fフックに結合させ、そしてレポータープローブはビオチニル化Gフックに結合させる。2重ナノレポーターを生体分子試料にハイブリダイズすることにより標的分子を検出および定量する。以下に示す工程は記載した順序で実施する必要はない。更にまた、各々の特定の工程は後述するもの以外の実施形態と組み合わせてよい特定の実施形態を示す。
M13スカホールドの製造
1本鎖環状M13mp18DNA(USB Corporation)をBamH1認識部位に相補なオリゴヌクレオチド(Bamカッターオリゴ)の5倍モル過剰量にアニーリングし、そしてBam H1制限酵素により切り出して線状1本鎖DNA骨格を得る。Bamカッターオリゴヌクレオチドに相補なオリゴヌクレオチド(抗Bamオリゴヌクレオチド)をその後50倍過剰量で添加することにより遊離のBamカッターオリゴヌクレオチドを封鎖し、そしてこれにより後の工程におけるM13の再環状化を防止する。
線状M13分子は取り込まれた蛍光団を有するRNAパッチまたはRNAセグメントがアニーリングできるスカホールドとして作用する。
スカホールドへの標的特異的配列の結合
目的の標的核酸に相補な配列(例えば30〜70ヌクレオチドのもの)を含むオリゴヌクレオチド+M13スカホールドへのライゲーションのために使用する9bpの追加的配列を形成し、そして線状化されたM13スカホールドの3’末端にライゲーションした。
スカホールドへのGタグの結合
Gタグ(例えば配列5’−AACATCACACAGACCAACATCACACAGACCAACATCACACAGACCAACATCACACAGACCAGCCCTTTG−3’を有するオリゴヌクレオチド、これはGフック5’−GGTCTGTGTGATGTT−3’の相補体の4コピーとそれに続く9塩基のライゲーター配列を包含し、そしてこれはGフックに相補である)を線状化1本鎖M13骨格の5’末端に結合することにより、(1)セグメントのライゲーションおよび/またはアニーリングののちのレポーターの精製;および(2)レポーターが固体表面上で「伸張」されたのちのその固定化を可能にする。BamH1部位において線状化されている1本鎖M13の5’末端にGタグを結合させるためのライゲーターの配列は5’−CTCTAGAGGATCCAAAGGGCT−3’であることができる。ライゲーション反応は以下のプロトコルに従って実施することによりGタグ/M13ライゲーション産物約80pmolを生成できる。
材料:
[100μM]抗G4タグオリゴ
[100μM]抗G4タグライゲーターオリゴ
[80nM]線状1本鎖M13
[10XT4 DNAリガーゼ緩衝液(Fermentas)
T4DNAリガーゼ(Fermentas)
20X SSC(Ambion)
DEPC HO(Ambion)
方法:
1.Gタグおよびライゲーターの予備アニーリング
1X SSC中25uM2:1G/Glig
20μl[100uM]Gタグライゲーター
40μl[100uM]Gタグ
4μl 20X SSC
16μl DEPC H
*MJサーモサイクラー上でアニーリング
95℃、3分間;72℃、30秒、−1℃/サイクル、x68サイクル;4℃維持
2.線状M13へのGタグのライゲーション:
1XLig緩衝液中64nM M13−G4
1000μl[80nM]線状M13
1X SSC中80μl[25uM]2:1G/Glig
124μl 10X T4 DNAリガーゼ緩衝液
40μl T4 DNAリガーゼ
*2時間37℃、次いで15分間65℃において、ホイルで被覆したアルミニウムの加熱ブロック中でライゲーションすることにより酵素を不活性化する。
RNAセグメントの製造
オリゴヌクレオチドプライマー対10セットはM13スカホールドに沿って10種の異なる領域が生じる様に設計する。各対は5’末端においてT7 RNAポリメラーゼプロモーターを有する1つのプライマーを含有する。領域2〜7を900塩基(約300nm)長となるように設計した理由は、これが回折限界スポットの概ねのサイズであるためである(標準的な光学機器により達成できる最小のスポット)。領域1および8は共に長型および短型であり:長型は900塩基領域全体を含み、そして短型は標的特異的配列のライゲーションを可能にする900塩基領域の一部分のみを含んでいる。即ち、標的特異的配列は何れかの末端に結合できる。末端はまたアンカーまたはタグの結合のために使用できる。
Taqポリメラーゼおよび鋳型としての2本鎖M13mp18(USB Corporation)0.5ngを用いながらPCRを実施する。反応物はQiagen製のQiaquick精製キットを用いながら清浄化する。各PCR反応により後述するとおり1つの特異的なセグメントに相当する2本鎖フラグメントが得られる。これらのフラグメントはRNAセグメントのインビトロの転写のための鋳型として用いられる。
2本鎖鋳型として上記したPCR産物を使用しながら、Ambion製のインビトロ転写キット(MegascriptT7キット)を使用しながらRNAセグメントを形成する。転写反応の産物はQiagen製のRNeasyキットを用いながら精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を包含する)。
RNAセグメントの標識
2本鎖鋳型として上記したPCR産物を使用しながら、Ambion製のインビトロ転写キット(MessageAmp aRNAキット)を使用しながら後の染料カップリングのためのRNAセグメントを形成する。アミノアリル修飾UTPヌクレオチドは転写中にRNAセグメントに取り込まれる。転写反応の産物はQiagen製のRNeasyキットを用いながら精製する(鋳型を除去するためのDNAse Iによる処理を包含する)。
アミノアリル修飾されたRNAセグメント20〜100μgをAmbionアミノアリル標識キットを使用しながらNHS−エステル染料にカップリングする。使用した染料はAlexa488、Alexa594、およびAlexa647(Invitrogen/Molecular Probes)並びにCy3(Amersham)である。
スカホールド上の各位置が4色の何れかのセグメントで充填できるように、各セグメントをその4色で別個に作成し;即ち、異なる色を異なる位置に添加することにより多くのユニークな色の組み合わせを作成する。
この特定の実施形態においては、隣接セグメントは、各セグメントが個々の「スポット」として検出されるように、異なる色のものでなければならず、或いは、介在ダークセグメントが散在してもよい。ダークセグメントはナノレポーターコードの部分として使用してよい。
スカホールドへのRNAセグメントのアニーリング
各位置に関するセグメントを2時間70℃において1XSSPE緩衝液中2:1のセグメントのM13スカホールドに対する比でアニーリングする。標識されたRNAセグメントを有する組み立てられたナノレポーターを図3A〜3Bに示す。図3Aは交互の「スポット」(1、3、5および7)のみが標識されるナノレポーターを示し、そして図3Bは各スポットが標識されるナノレポーターを示す。
ゴーストプローブの製造
レポータープローブの標的特異的配列が相補であるものとは異なる目的の標的核酸の領域に相補である配列(例えば30〜70ヌクレオチドのもの)を含むオリゴヌクレオチド1つ以上を形成する。任意に、Fフック結合のためのFタグを、Fフックの3’末端上の短鎖配列並びにゴーストプローブの5’末端上の短鎖配列に相補であるライゲーターオリゴヌクレオチドを用いながらゴーストプローブの5’末端にライゲーションする。ライゲーターオリゴヌクレオチドに相補である配列はFフック配列またはプローブ配列の部分ではないが、ライゲーションを容易にするためにこれらのオリゴに付加された追加的ヌクレオチドである。
ゴーストプローブへのFタグの結合
Fタグ(例えば配列5’−GATGGAGACGTCTATCATCACAGCGTCTATCATCACAGC−ビオチン−3’を有するオリゴヌクレオチド、これはFフック5’−GCTGTGATGATAGAC−3’の相補体の2コピーとそれに続くライゲーター配列の9塩基を包含し、そしてFフックに対して相補である)をゴーストプローブの3’末端に結合することにより、(1)ゴーストプローブ−標的レポーターハイブリダイゼーション複合体の精製;および(2)ビオチン部分を介したスライドガラス上のハイブリダイゼーション複合体の結合を可能にする。ゴーストプローブの3’末端にFタグを結合させるためのライゲーターの配列は5’−GTCTCCATCTTCCGACAG−3’であることができる。
材料:
100uM F−ビオチンタグ
100uMゴーストプローブライゲーター
Fermentas 10X T4 DNAリガーゼ緩衝液
1uMゴーストプローブ
Fermentas T4 DNAリガーゼ
方法:
1.フックおよびライゲーターの予備アニーリング
5uM Fビオチンタグ/ライゲーター混合物
5μl[100uM]Fビオチンタグ
5μl[100uM]Fゴーストプローブライゲーター
10μl 10X T4 DNAリガーゼ緩衝液
80μl DEPC H
MJサーモサイクラー上でアニーリング(95℃、3分間;72℃、30秒、−1℃/サイクル、x68サイクル;4℃維持)
2.以下のゴーストプローブライゲーションのセットアップ
300nM抗F2ビオチン−GP
6.0μl[1uM]ゴーストプローブ
4.8μl[5uM]抗F2ビオチンタグ/ライゲーター混合物
1.52μl 10X T4 DNAリガーゼ緩衝液
3.68μl DEPC H
4.0μl T4 DNAリガーゼ
MJサーモサイクラー上でライゲーション(37℃、18時間;65℃、15分間;4℃維持)
3.15%Novex TBE−尿素ゲル上のライゲーションをQC:
以下のローディング溶液を製造する。
ライゲーション Negコントロール−ゴーストプローブ
3.33μl[300nM]ライゲーション 1μl[1uM]ゴーストプローブ
1.67μl DEPC HO 0.33μl 10X T4DNAリガー
ゼ緩衝液
5μlの2Xローディング緩衝液 3.67μlのDEPC H
5μlの2Xローディング緩衝液
Neg対照Fビオチンタグ/ライゲーター混合物
2μl[0.5uM]Fビオチンタグ/ライゲーター混合物
0.33μl 10X T4 DNAリガーゼ緩衝液
2.67μl DEPC H
5μl 2Xローディング緩衝液
50bpオリゴラダー
4μlラダー
6μl2Xローディング緩衝液
15%Novex TBE尿素ゲルを50分間180Vで泳動する。
SYBR金で30分間染色する。
代替の実施形態
1本鎖Fタグにビオチンを共有結合的にカップリングする代わりに、ゴーストプローブのビオチニル化はまたゴーストプローブの共通部分に相補な配列を有するビオチニル化オリゴヌクレオチド(DNAまたはRNA)をアニーリングすることにより達成することもできる。そのような配列はF配列そのもの、或いは、F配列とは別にゴーストプローブに付加される別の配列であることができる。そのような追加的な配列を付加する場合、それは10〜100塩基長、1〜10コピーであることができ、好ましい構成は50〜100塩基長の単コピーである。
標的mRNAのビオチニル化
Label IT(登録商標)μArrayTM Biotin(Mirus#MIR8010)およびBiotin−Chem−Link(Roche1812149)を包含するmRNA試料の直接標識のために使用できる多くの市販キットがある。製造元の操作手続きに従って、ビオチン標識mRNAをセクション3d(後述)に記載する通りハイブリダイゼーション反応物に添加するが、ただし以下の通り変更、即ちポリA+mRNAの使用を大部分のプロトコルが示唆しているため、使用したRNAの量は典型的なハイブリダイゼーションにおける100ngの全RNAより低値の10ngまで、そして可能であれば1ngまで低減できることとした。本反応にはゴーストプローブは添加しない。Fビーズハイブリダイゼーション後精製はもはや必要ではない。Gビーズハイブリダイゼーション後精製を用いることによりスライドガラスへの結合に関して競合する可能性のある未ハイブリダイズのビオチニル化mRNAを除去する。使用するRNAの量に応じて、これは必要であるか、必要ではない場合がある。或いは、全RNAはポリA+画分の精製を必要とすることなくビオチニル化される。この場合、全RNAの元の量を使用する(100ng)。全RNAの使用は標識効率を上昇させるために製造元のプロトコルの変更を必要とする場合がある。
代替の手順は市販のキットを使用しながらビオチニル化第1鎖cDNAまたはビオチニル化増幅RNA(aRNA)を酵素的に形成すること、および、これらを全またはmRNAの代わりに使用することである。この手順はレポータープローブをセンス方向となるように再設計することを必要とする。ゴーストプローブおよびFビーズの両方のハイブリダイゼーション後反応は省略されるが、Gビーズ精製は非ハイブリダイズRNAの除去のために残存する。
標的への2重ナノレポーターのハイブリダイゼーション
多くのハイブリダイゼーション条件が遺伝子発現データを達成するために十分である。合理的なハイブリダイゼーション効率を維持しつつハイブリダイゼーション時間を短縮化するためには、数種のパラメーターを改変することができ、即ち:i)ゴーストプローブおよびレポーターの濃度を上昇させること、ii)6.5までハイブリダイゼーションのpHを低下させつつ200〜500bpの平均サイズ範囲にまで全RNAをフラグメント化すること、iii)同じハイブリダイゼーション容量においてより多くの全RNAを使用すること、iv)約10μlまでハイブリダイゼーション容量を低下すること、が挙げられる。DenhardtおよびssDNAのようなブロッキング試薬は、ハイブリダイゼーション効率または異なる種々の物質種からのmRNAへの交差ハイブリダイゼーションに対する悪影響を伴うことなく除去することができる。
以下のプロトコルはゴーストプローブを用いながら1〜>500ナノレポーターの多重度において良好に実施できた(25ナノレポーターを利用したナノレポーター試験を示す例は上記実施例6に記載し、そして509ナノレポーターを利用したナノレポーター試験を示す別の例は後述する実施例9に記載する)。全ナノレポーターの終濃度は1)各レポーターの濃度、および2)多重化される遺伝子の数に応じて変動する。
典型的な全ナノレポーター濃度は40pM(40pMにおいて1遺伝子)〜20nM(40pMにおいて500遺伝子)の範囲である。ゴーストプローブ濃度もまた200pM(200pMにおいて1遺伝子)〜100nM(200pMにおいて500遺伝子)に変動する。以下の実施例は陽性および陰性対照を用いた約500内因性遺伝子を含有する単一の多重化ハイブリダイゼーションを記載している。11.1μlの2.7Xハイブリダイゼーション混合物[13.5X SSPE pH7.5(USB#75890)、0.27μg/μl剪断処理サケ精子DNA(Sigma#D−7656)、0.27%Tween20(Sigma#P−1379)、および13.5X Denhardt試薬(SigmaD−2532)]、5μlの遺伝子ナノレポーター混合物(各々0.24nMまたは合計123nM、509内因性遺伝子および8ハイブリダイゼーション対照を包含)、4.6μlの513遺伝子ゴーストプローブ混合物(各々1.3nMまたは合計667nM、509内因性遺伝子および8ハイブリダイゼーション対照を包含)、1μlの精製対照レポーター混合物(0.5pM)、1μlの全細胞RNA(100ng/μl)、1μlの30Xスパイク標的混合物(1.5nM−3fM)および6.3μlのDEPC処理水(Ambion#9922)を0.2mlの薄壁試験管に添加する(最終容量30μl)。
ハイブリダイゼーション試薬の終濃度は5X SSPE、0.1%Tween20、100ng/μl剪断処理サケ精子DNA、5X Denhards試薬、40pM各ナノレポーター(合計〜20nM)、200pM各ゴーストプローブ(合計〜100nM)および33ng/μlの全細胞RNAとする。対照スパイク標的は典型的には単一の反応中で50fM以下0.1fMまでの範囲において変動する。全ての試薬は最も好ましくは全てのヌクレアーゼ活性を含まない。最適な結果のためには、全試薬はヌクレアーゼ活性を含まないことが必要である。
試薬を十分混合し、そして20時間加熱蓋付きの温度ブロック中でインキュベートする。ハイブリダイゼーション後、ゴーストプローブおよびレポータープローブの両方に対するアフィニティー試薬を用いてナノレポーターを精製する。
代替の実施形態:ssDNAおよびDenhardt試薬を使用しない場合のハイブリダイゼーションプロトコル
本プロトコルは1〜500ナノレポーターおよびゴーストプローブを多重化しながら良好に実施されている。ヒト試薬(ナノレポーターおよびゴーストプローブ)を用いて実施したハイブリダイゼーションからssDNAおよびDenhardt試薬をのぞいたことは、ssDNAおよびDenhardtを含有するハイブリダイゼーションと比較してマウス全RNAとの交差ハイブリダイゼーションに対する影響を有していなかった。更にまた、ssDNAおよびDenhardtを除いたことはバックグラウンドシグナルの増大(陰性ハイブリダイゼーション対照に基づく)をもたらしていない。最後に、ssDNAおよびDenhardtの存在下または非存在下においてハイブリダイズした内因性遺伝子に関するシグナルの有意な損失(または増大)は観察されていない(509遺伝子、R値=0.998)。
代替の実施形態:フラグメント化細胞mRNAに関するハイブリダイゼーション条件
細胞RNAのフラグメント化は熱およびカチオン触媒プロトコルの両方により達成している。これらのプロトコルは100〜700bp(平均)のフラグメント長を得るために設計されている。熱フラグメント化:RNAse非含有水中200ng/μlまで全RNA試料を希釈する。加熱蓋付きの温度ブロック中95℃に試料を加熱する。
試料を氷上に置くことによりフラグメント化を停止する。即時使用するか、または使用時まで−80℃で保存する。製造元(Ambion)のプロトコルから変更したカチオン触媒反応を介したフラグメント化を行う。RNA試料の容量をRNAse非含有水を用いて9μlとする。全RNAの終濃度は0.2〜2μg/mlでなければならない。10Xフラグメント化緩衝液(Ambion10Xフラグメント化緩衝液)1μlを添加する。温度ブロック中5分間70℃でインキュベートする。より長い時間はより小さい平均フラグメント化サイズをもたらすことになる。1μlの200mM EDTAを添加することにより反応を停止する。即時使用するか、または使用時まで−80℃で保存する。
フラグメント化RNA試料は以下の変更、即ちi)SSPEのpHを6.5に低減、ii)反応時間を6時間に低減(レポータープローブおよびゴーストプローブの濃度が200pMであるハイブリダイゼーション反応の場合)を行った以外は本明細書に記載した通りハイブリダイズした。
ナノレポーター−標的複合体の精製
ハイブリダイゼーション後の精製は全レポータープローブ濃度が1nM超である場合に好ましい。精製は非特異的結合を有意に低下させ、そしてより高いレポーターおよびゴーストプローブ濃度においてスライドへの特異的結合の効率を上昇させる。上記した実施例においては、単一のFビーズ精製を記載している(ゴーストプローブ末端からハイブリダイズした複合体を精製する)。後述する実施例9に記載する通り、高いゴーストプローブ濃度(合計>5nM)における最適な結果は、過剰な非ハイブリダイズゴーストプローブを効果的に除去するレポーターの5’末端からハイブリダイゼーション複合体を精製する後のGビーズ精製を介して得られる。精製の好ましい順序はFビーズ、次いでGビーズであるが、順序は逆にしてもよく、そしてプロトコルは相応に最適化してよい。本アフィニティー精製において使用される厳密な配列は、技術の代替実施形態においては変動および最適化される可能性がある。これらのアフィニティー精製工程および試薬は、現在は核酸系であるが、理論的には、相互に特異的結合を呈し、そして相互作用が破壊され解放されるような化学処理または結合条件の改変により解放されることができる結合対の何れかの種類である。例えば、抗体/抗原対、蛋白/金属相互作用、またはリガンド/受容体相互作用等が挙げられる。
精製の1例を以下に示す。
ハイブリダイゼーションが終了した後、ハイブリダイゼーション試料の塩(30μl、開始時5xSSPE=825mM Na)を約1xSSPEの終濃度に調節する。希釈された試料を30μlのFフックMyOne Dynabeads(F−MODB)に添加し、そして回転しながら室温で15分間結合させる。ビーズを磁石で封鎖し、そして上澄みを除去する。ビーズを回転しながら15分間室温で150μlの0.1×SSPE+0.1%Tweenで2回洗浄し、そして廃棄する。精製されたレポーターは、回転しながら15分間45℃において30μlの0.1×SSPE中で溶離する。この時点において、ハイブリダイズしたレポーターは夾雑未ハイブリダイズレポーターから精製される。溶離液はなお、夾雑未ハイブリダイズゴーストプローブを含有しており、これはストレプトアビジンコーティングスライド上のビオチン結合部位に対するレポーターと競合することになる。30μlを130μlの1×SSPE+0.1%Tweenに添加することにより塩濃度を増大させる。次に試料(150μl)を30μlのG−MODB上にロードし、そして室温で15分間結合させる。上澄みを廃棄し、ビーズを回転しながら15分間室温で150μlの0.1×SSPE+0.1%Tweenで洗浄する。洗浄液を廃棄し、完全に精製されたレポーターを回転しながら15分間45℃で25μlの0.1×SSPEを用いて溶離する。この時点において、ゴーストプローブ(抗F配列を含有)およびレポーター(抗G配列を含有)の両方にハイブリダイズした標的分子のみが溶液中に残存することになる。
ナノレポーター標的複合体の固定化および伸張および画像化
スライドへの結合および伸張複合体の固定化はビオチン−ストレプトアビジン相互作用を介して達成してよい。代替の実施形態においては、固定化および伸張は他の相互作用対を用いて達成されるが、ただし、2者のうち1つがスライド上に固定化され、もう1つがゴーストプローブまたはレポーターの何れかに結合していなければならない。伸張は電気泳動を介して達成する必要はなく、機械的に行うこともできる。結合前に試料にビストリスプロパンを添加することは必要ではない。異なる標識単量体が画像処理により分離できる限り、本明細書に例示される特定の標識単量体の使用に技術的に限定されるわけではない。
固定化および伸張のプロトコルの1例を以下に示す。
精製の後、ハイブリダイゼーション産物をマイクロ流体デバイスの開放ウェル内に直接ロードする。液体は毛管作用によりマイクロ流体チャンネル内に引き込まれ、そこでハイブリダイズした分子がビオチニル化ゴーストプローブを介してストレプトアビジンコーティングスライドに結合する。次にマイクロ流体デバイスを交互する方向においてチャンネルの長さ方向に垂直な軸にそって間欠的に傾けることにより反応混合物を強制的にチャンネルを反復通過させ、そして結合効率を上昇させる。
ハイブリダイゼーション反応の結合の後、ある角度にデバイスを傾けることにより5分間1xTAEでチャンネルを洗浄する。次に新しいTAEを、ウェル中に挿入されている白金電極に接触するために十分なレベルまで各ウェルに添加する(本発明者等の現在の幾何学的特徴では30マイクロリットル)。次に200Vの電位を、マイクロ流体チャンネルにより連結されている2つのウェルの間に適用し、レポーターを伸張する。チャンネル内に残存する夾雑未結合レポーター分子を除去するために予備電気泳動を1分間行った後、1xTAE中0.5μM Gフックの溶液をカソードウェルに添加する(本溶液60マイクロリットル)。電位はアノードウェルに向けてチャンネルを通過させながらGフックを吸引する。それらがチャンネルを通過するに従い、フックは表面に結合して伸張されているレポーターの遊離の末端上の遊離のGタグ配列とハイブリダイズする。次に表面上のストレプトアビジンがGフック上のビオチンに結合し、そして遊離の末端を固定化する。電位を取り除けば、レポーターは画像化用に伸張されたまま残存する。
実施例9:NanoStringレポーター系を用いたA549細胞由来の100ngの全RNAへの509細胞遺伝子のハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーション反応
509内因性細胞遺伝子の検出を単一の多重化ハイブリダイゼーション反応において実施した。8種の非ヒト対照配列を、細胞当たり約0.1、0.5、1、5、10、50、および100コピーに相当するように各反応物中にスパイクし、標的を有さない2種のレポーター(陰性対照)も同様とした。ハイブリダイゼーション後の精製過程に関する陽性(3)および陰性(1)対照として使用する4種のレポーターも付加した。全NanoStringレポーターライブラリを含有するが細胞RNAを欠いている陰性対照ハイブリダイゼーションのセットもまた実施した。
各試料は3連でハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション試薬の最終濃度は以下の通り、即ち20.8nM全ナノレポーター(521の個々のナノレポーターを各々40pM)、103nM全ゴーストプローブ(517の個々のゴーストプローブを各々200pM)、5X SSPE(pH7.5)、5X Denhard試薬、100ng/μl剪断処理サケ精子DNA、0.1%Tween20、50fM S11スパイク標的DNA、10fM S10スパイク標的DNA、5fM S9スパイク標的DNA、1fM S8スパイク標的DNA、0.5fM S7スパイク標的DNA、0.1fM S6スパイク標的DNAとした。S3およびS4は陰性対照として添加した。RNAは2つの異なる条件下にA549肺上皮細胞から得た。ハイブリダイゼーション当たりの全RNAの終濃度は33ng/μlであった。陰性対照ハイブリダイゼーションには全RNAは添加しなかった。反応の最終容量は30ulであった。試薬を混合し、そして20時間加熱蓋付きのサーモサイクラーブロック中65℃でインキュベートした。
ハイブリダイゼーション後の精製
磁気ビーズ(Fビーズ)に結合したゴーストプローブに相補なオリゴヌクレオチドを用いながらハイブリダイゼーション反応物を精製して未ハイブリダイズのレポーターを除去した。ハイブリダイゼーション反応物を0.1%Tween20/TEで5倍に希釈し、最終塩濃度を1X SSPEとした。次に希釈したハイブリダイゼーション溶液をFビーズ(0.1%Tween20中)100ulに添加し、そして連続的に回転させながら30分間室温でビーズに結合させた。次にビーズを150ulの0.1X SSPE/0.1%Tween20で3回洗浄し、そして45℃で15分間100ulの0.1X SSPE/0.1%Tween20中で溶離させた。
Fビーズ溶離の後、Gビーズを使用しながらハイブリダイズした複合体の反対側の末端から試料を精製した。溶離は、50ulの3X SSPE/0.1%Tween20を添加することにより1X SSPEの終濃度とし、そして回転しながら室温で15分間30ulのGビーズ(0.1%Tween20中)に結合させた。次にビーズを上記した通り洗浄し、そして30ulの0.1X SSPE/Tween20中で溶離し、そして後述する通り結合用に調製した。
結合、伸張、および固定化
結合用の試料は、0.1uM TetraspecTM蛍光微小球(製品番号T7279、MolecularProbes)の1/5000希釈物1μlを添加することにより製造した。試料をNanoString流体デバイスにロードし、そして15分間45度デバイスを傾けることによりストレプトアビジンでコーティングしたAccelr8 Optichem(登録商標)スライドガラス(製品番号TB0200)に結合させ、そして合計4回反復した。ロードした後、スライドガラスの表面を90ulの1X TAEで1回洗浄した。洗浄緩衝液を除去した後、各ウェルにTAE40μlを添加することにより試料を電気伸張用に調製した。結合した複合体を流体チャンネルを通過させながら200Vを印加することにより伸張した。1分後、5分間電圧を印加適用し続けながら負荷電電極を含有するウェルに60μlの500mM Gフックオリゴ溶液を添加することにより、試料を伸張された位置において固定化した。固定化の後、TAE溶液を除去し、画像化のための抗光漂白試薬と交換した。
画像化
スライドガラスをハロゲン化金属光源(X−cite 120、Exfo Corporation)および60倍の油浸積レンズ(1.4NA Plan Apo VC,Nikon)を装着したNikon Eclipse TE2000E上で画像化した。各視野につき、異なる励起波長(480、545、580および622)における4画像を、Metamorphソフトウエア(Universal Imaging Corporation)または専用のソフトウエアの何れかの制御下にOrca Ag CCDカメラ(Hamamatsu)を用いて獲得した。画像は専用の画像処理ソフトウエアを用いて処理した。
データ分析
生データを専用のソフトウエアを用いながら処理された画像から抽出した。データは各試料における対照スパイクに関する平均の計数に対して正規化した。遺伝子が系により「検出された」かどうかを測定するために、RNAを含有するハイブリダイゼーション由来の各遺伝子に関して得られた計数をスチューデントのt検定を用いながら2つの陰性対照の平均計数と比較した。検出された遺伝子の数は、試料#1および#2においてそれぞれ441(87%)および445(88%)であった。
散布図(図は全509遺伝子に関する各陽性試料(n=3)から得られた正規化された平均のlog2シグナル値を示す)。2つの資料において有意に異なっていた遺伝子は試料#1に対して試料#2におけるシグナル値のT検定により識別した。下記に示すグラフにおいて、実線は試料#1と相対比較した場合の、2倍アップレギュレート閾値(黒線)および2倍ダウンレギュレート閾値(灰色の線)を示す。有意な倍数変化(p値<0.05)を有する遺伝子は塗りつぶした黒菱形で示す。倍数変化のp値がこの閾値を超えている遺伝子は白抜きの黒四角で示す。
実施例10:小型スポットの検出
上記した通り、ナノレポータースカホールド領域の標識結合領域は10nm〜10,000nmの何れかの長さを有するが、好ましくは標準的な光学機器により検出できる最小のスポットに緊密に相当しており、これは約300nmである。異なる色のスポット(スペクトル的に区別可能)は同じ色のスポットよりも近接した間隔において空間的に分解可能である。同じ色の2つのスポットの間で異なる色の1、2、3、または4つのスポットをフィットさせ、そしてなお、全てのスポットをスペクトル的および空間的に分解することができる。同じ色の2つのスポットの間の距離を有意に低減することも可能である。
空間的分解、即ち同じ色の近接して配置されたスポットを分別することの限界は頻繁にはハード限界、即ちRayleigh基準と考えられる(Inoue,S/.Spring,Video Microscopy(Plenum Press,1997),p30)。これらの限界を超えるための異なる画像化および/または画像化処理の手法を用いる多くの手法が存在する。画像化の観点からは、構造化照明が相互に近接して配置された同じ色のスポットを分解するための1つの方法である。50nmが報告されているが、理論的には、構造化照明による分解は無制限である(Gustafsson,2005,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:13081−13086)。画像処理の観点からは、混合モデリングが一般的に受け入れられている限界を超越するための有効な手法である(Thomann等、2002、J。Microsc.211:230−248)。これらの手法の組み合わせは50nm未満の標識結合領域に相当するより小型のスポットを有する極端に小型のナノレポーターを可能にする。
このようなより小さいスポット配置は、極端に短く、そしてより安定なレポーター、より多数のコード、並びにより高度な多重化を、縺合閾値を満たす以前に達成可能とする(縺合閾値の説明に関しては、上記実施例9(セクション14において記載)を参照)。
スポットを遙かに小型とし、そしてレポーターを遙かに短鎖化する場合に犠牲となるものは低下したシグナルおよびより緩徐なスキャン時間である。しかしながら、他の技術的進歩、例えばより高輝度の光源、およびより効率的なCCDが増大したスキャン時間を相殺し、これらの手順を合理的なものとする場合がある。
実施例11:マイクロアレイおよびTaqman(登録商標)PCRとのnCounter遺伝子発現システムの比較
1つの実施形態において、本発明は複合体混合物中の特定の核酸分子をキャプチャーして計数する新しい技術を提供する。このシステムは溶液中の核酸の何れかの型を検出するために使用することができ、そして、適切な認識プローブがあれば、他の生体分子も検出できるように改良することができる。本実施例においては、本発明者等はmRNA発現プロファイリングに着目した。慨すれば、多重化されたプローブライブラリを目的の各遺伝子につき2つの配列特異的プローブを用いて作成した。本発明者等がキャプチャープローブ(図22a)と称する第1のプローブは特定の標的mRNAに相補である35〜50塩基配列+ビオチンのようなアフィニティータグにカップリングされた短鎖共通配列を含有している。本発明者等がレポータープローブと称する第2のプローブは検出シグナルを与える色素コードされたタグにカップリングされた標的mRNAに相補である第2の35〜50塩基配列を含有している。タグは、特定の蛍光団により各々標識された相補インビトロ転写RNAセグメントのシリーズにアニーリングされた本発明者等が骨格と称する1本鎖DNA分子よりなるものとした(図22a)。これらの異なって着色されたRNAセグメントの直線的な順序は目的の各遺伝子に関するユニークなコードを与えている。
転写物を検出するために、キャプチャーおよびレポータープローブのユニークな対を目的の各遺伝子に対して構築した。全プローブは溶液中で進行する単一のハイブリダイゼーション反応中の全RNAとともに混合した。ハイブリダイゼーションは各々が自身の特異的レポーターおよびキャプチャープローブに結合した標的mRNAを有する3部分からなる構造の形成をもたらす(図22a)。未ハイブリダイズのレポーターおよびキャプチャープローブはアフィニティー精製を介して除去し、そして残存する複合体は適切なキャプチャー試薬(例えばストレプトアビジン)でコーティングされた表面を通過させながら洗浄した。表面上にキャプチャーした後、電場を溶液に適用し、これにより各複合体を同じ方向に伸展および配向性付与する。次に複合体を延長した状態で固定化(図22b)し、そして画像化する(図22c)。目的の各標的分子はレポータープローブ上に存在する順序づけられた蛍光セグメントにより発生する色コードにより識別した。発現のレベルは各mRNAに関するコードの数を計数することにより計測した。
この作業において、本発明者等は本発明のnCounterシステムの直線性、再現性、および感度を明らかにし、そして有意に調節された遺伝子の倍数変化の計測はマイクロアレイと良好に相関しており、そしてリアルタイムPCRに対してもむしろ更に良好であった。更にまた、本発明者等はnCounterシステムがDNAマイクロアレイにより「非存在」と示された低豊富度のmRNAも検出できることを示した。この検出の有効性はリアルタイムPCRを用いながら遺伝子のサブセットに対して確認された。これらの結果は、本発明の方法およびシステムの利点を明らかにしており、そしてそれらが多くの試料に渡る数百の遺伝子の発現分析における直近の要所を充足できることを明らかにした。用途には平行移動的な医学的試験、遺伝子調節系の関与する研究、診断用指紋採取、および高スループット遺伝子発現実験の有効化が包含される。
nCounter遺伝子発現システム概説
nCounterシステムの基本は試験すべき各遺伝子に割りつけられたユニークなコードである。方法の項目下に後述する通り、本発明者等は7位置(「スポット」として可視化される)および4色を使用した。4色は画像化中のスペクトルのオーバーラップを最小限にするために選択した。位置の数はDNA骨格の長さ、現在の画像化条件下に分解することができる最小スポットサイズ、中程度のサイズの遺伝子のセット(即ち<1000遺伝子)に対するコード選択における柔軟性およびシステムの将来のバージョンのための潜在的コードの数(コードの全ての可能な組み合わせが使用できれば4=16,384)を包含する要因の組み合わせに基づくものとした。以下に記載する実験のために必要なコードの総数は524(15対照および509遺伝子)または7スポット系における使用できるコードの約3%であった。
特異的なレポーターおよびキャプチャープローブを半自動的過程(方法参照)を用いながら96穴プレート中に合成した。慨すれば、遺伝子特異的プローブをレポーター骨格にライゲーションし、そして各ライゲーションされた骨格を、単一のコードに相当する7種の染料カップリングされたRNAセグメントのユニークなプールにアニーリングした。次にレポータープローブをプールし、各骨格(5’リピート配列、図22a参照)の末端における共通の配列を用いながら精製することにより、過剰なプローブオリゴヌクレオチドおよび染料カップリングRNAセグメントを除去した。キャプチャープローブは、ビオチンを含有するユニバーサル配列に各遺伝子に対する第2の配列特異的オリゴヌクレオチドをライゲーションすることにより作成した(図22a参照)。ライゲーションの後、キャプチャープローブもまたプールし、そしてユニバーサル配列を用いながらアフィニティー精製することにより過剰な未ライゲーションの遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを除去した。レポーターおよびキャプチャープローブを合わせて単一の「ライブラリ」とし、そしてその後のハイブリダイゼーションにおける単一の試薬として使用した。
全ての選択されたmRNAの発現レベルを単一の多重化ハイブリダイゼーション反応において計測した。試料をプローブライブラリと合わせ、そしてハイブリダイゼーションを溶液中で行った。ハイブリダイゼーションの後、3部分からなるハイブリダイズした複合体(図22a)を、キャプチャーおよびレポータープローブ上に存在するユニバーサル配列に相補なオリゴヌクレオチドに連結した磁気ビーズを用いた2工程操作法において精製した(方法参照)。この2重精製過程は遺伝子特異的プローブの大過剰量を用いてハイブリダイゼーション反応が完了に至ることを可能としたが、その理由はそれらが最終的には除去され、そしてこのため、試料の結合および画像化を妨害しなかったためである。全てのハイブリダイゼーション後の工程は専用の液体取扱ロボット(Prep Station,NanoString Technologies)上でロボット操作により取り扱った。Prep Stationは10時間以内で機材当たり合計48試験につき、2.5時間以内に12試料を処理することができる。
精製された反応物は試料カートリッジの個々のフローセル内にPrep Stationにより割り付け、キャプチャープローブを介してストレプトアビジンコーティング表面に結合させ、電気泳動に付すことによりレポータープローブを延長し、そして固定化した(図22参照)。処理後、試料カートリッジを完全自動化画像化およびデータ収集装置(Digital Analyzer,NanoString Technologies)に移した。遺伝子の発現レベルは4色において各試料を画像化し、そしてその遺伝子に対するコードが検出された回数を計数することにより計測した。各試料につき、600視野(FOV)を超えて画像化され(1376×1024画素)、結合面約10mmを示していた。典型的な画像化密度は多重化の程度、RNAの量、および全体的遺伝子発現レベルに応じて視野当たり100〜200計数レポーターであった。しかしながら、システムは5〜10倍高値の密度において作動することができる。Digital Analyzerは一回で6カートリッジまでを収容することができ、そして600FOVに対する現在のスキャン時間は試料カートリッジ当たり4時間であった。無人において、それは機材当たり24時間以内に72試料を処理することができる。
画像処理およびコード計数を実施した(方法参照)。擬似陽性を最小限にするためには、レポーターは、コードが正確に解釈されることを確実なものとするためにスポットの数、サイズ、輝度および間隔に関する厳格な基準を満たさなければならない。これらの基準のすべてに合致しなかったレポーターは廃棄した。これらの基準を用いながら、検出された分子の約20%を計数した。現在の系においてはパリティースキームや誤差補正は使用しなかった。データは試料当たり遺伝子当たりの計数値を列挙する単純なスプレッドシートのフォーマットにおいて出力した。
実験デザイン
NanoStringのnCounterシステムの有用性を明らかにするために、本発明者等は509遺伝子の発現レベルをNanoStringのnCounterシステムで試験する一連の実験を実施した。これらの遺伝子のうち347はポリオウィルス(PV)感染A549細胞の以前のマイクロアレイ試験から選択され、そして残余の162遺伝子は多重度を合計で500超とするために追加した以前に設計されたプローブの選択肢であった。他のプローブライブラリを用いた追加的な実験は市販のRNAおよび発生中のウニの胚から単離した全RNAを用いて実施した。本発明者等はnCounterの結果を同じ全RNA試料を計測したAffymetrix GeneChipシステムにより、そして、リアルタイムPCRにより得られたものと比較した。
表5は3種全てのプラットホーム上で試験した14遺伝子のセットを用いて得られた結果を総括している。それらはRefSeqアクセッション番号、Probeset ID、およびTaqMan IDにより列挙されている。3種全てのプラットホームにおける両方の試料に関するシグナルレベルをカッコ内の標準偏差とともに示す。示した値はnCounterシステムに関する正規化された計数、AffymetrixのGeneChipに関するRMA正規化強度、およびABI TaqMan試験に関するサイクル閾値(Ct)に相当する。検出(D)および未検出(U)のコールはプラットホーム特異的基準に基づく。Affymetrixプラットホームに関しては、遺伝子は各々の試料に関する3連全てがMAS5アルゴリズムにより「非存在」をコールされた場合に遺伝子を未検出とみなすのみとした。全ての遺伝子は35サイクル未満のカットオフに基づいてTaqMan試験により検出した。倍数変化の比較は図26bに示す。
方法
細胞培養;感染;およびRNA単離
549細胞、即ちヒト肺上皮細胞系統は、ATCCから購入した。ポリオウィルス(PV)保存株はKurt Gustinの研究室(アイダホ大学)より譲り受けた。サブコンフルエントのA549細胞を擬似感染させるか、または50の感染の多重度においてPVに感染させた。ウィルスは10mM MgClおよび10mM CaClを添加したPBS中32℃において30分間吸着させた。吸着の後、残存ウィルスを除去し、そして10%FBS、2mM L−グルタミンおよびペニシリン−ストレプトマイシンを含有するDMEMを添加した。5時間の感染の後、製造元のプロトコルに従ってQiagen RNeasyミニスピンカラムを用いながら全RNAを抽出した。2つの独立した擬似およびPV感染を実施した。RNA単離の後、各連に属するRNAをプールすることにより、PV感染細胞に由来するRNAの1試料および擬似感染細胞に由来するもう1つのものを作成した。これらの2つのRNAの小分量ずつを全てのその後のマイクロアレイ、リアルタイムPCRおよびnCounter分析に使用した。
対照標的製造
スパイクイン対照用の標的はスパイクインレポーターおよびキャプチャープローブに相補である100塩基のHPLC精製オリゴヌクレオチドよりなるものであった。これらおよび他のすべてのオリゴヌクレオチドはIntegrated DNA Technologiesより購入した。それらは以下の非ヒト配列の特異的な100塩基領域に対して形成され、そして便宜的にA−Hと命名された[スパイクA、EおよびF、(アクセッション番号AY058658.1);スパイクB−D、(アクセッション番号AY058560.1)およびスパイクGおよびH、アクセッション番号DQ412624)]。
蛍光RNAセグメントの形成
レポータープローブ合成のためのRNAセグメントを製造するために、各セグメントに対するPCRフラグメントは、M13に対して特異的であり、そしてT7、T3またはSP6 RNAポリメラーゼプロモーターの何れかを含有するプライマーを用いて作成した。RNA転写物は、これらの鋳型から、Megascriptキット(Ambion)を用いながら、50%アミノアリルUTP(Sigma)の存在下にインビトロで転写した。7種の形成されたアミノアリル標識RNA転写物の各々を4種のNHS−エステル蛍光団[Alexa488、Alexa594、Alexa647(Invitrogen)またはCy3(GE Healthcare)]の1つにカップリングした。
NanoStringレポーターの製造
NanoStringレポーターは、蛍光標識されインビトロ転写されたRNAセグメントにアニーリングした骨格と称する線状化1本鎖M13DNAよりなるものであった。標準的な分子生物学のプロトコルを使用しながら、環状1本鎖M13(United States Biological)を線状化し、そして5’リピートと称する15塩基リピート4つを含有するオリゴヌクレオチドを骨格の5’末端にライゲーションした。Hamilton STAR液体取扱ロボットを用いながら、ライゲーション「架橋」として作用するユニバーサルオリゴヌクレオチド+リガーゼ緩衝液を含有するマスター混合物を、正規化(10μM)遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ(35〜50塩基)を含有する96穴プレートの個々のウェルに添加した。架橋オリゴヌクレオチドの相補部分にプローブオリゴヌクレオチドをアニーリングするための37℃における短時間インキュベーションの後、ウェル当たりM13骨格1.2pmol、追加的ライゲーション緩衝液、およびT4リガーゼの等量を含有する別のマスター混合物の添加によりライゲーションを開始した。プレートを2時間96穴のサーモサイクラー中37℃でインキュベートした。ライゲーション反応の効率は、2本鎖制限部位を形成するために短鎖オリゴヌクレオチドを用いてライゲーション部位から約600塩基離れて骨格を切断すること、および、生じたフラグメントのサイズをPAGEにより分析することにより評価した。ライゲーション反応物は96穴フォーマットにおけるG−50セファデックスカラムを通した遠心分離により脱塩した。
各々の遺伝子特異的骨格は、骨格にアニーリングされた専用の一連の異なって色付されたRNAセグメントを含むユニークなコードを割り当てられている。骨格の個別の配列に相補な7種の約900塩基の蛍光標識RNA転写物のセットをHamiltonSTARロボットを用いながら96穴プレートにおいて作成した。各ウェルには、M13骨格にアニーリングして線状配列において可視化した場合にユニークなコードをもたらしたRNAセグメントのユニークな組み合わせを投入した。RNAセグメントプールを含有するプレートを2:1のモル比においてプローブライゲーションM13骨格と混合した。骨格へのセグメントのアニーリングは96穴PCRプレートの個々のウェル中で実施した。同時に、1未標識RNAセグメントもまた各レポーターにアニーリングすることにより骨格の残存する1本鎖領域を被覆し、これにより一端にプローブのみを、そしてもう一端に5’リピートを、1本鎖DNAとして残存させた。レポーターの残余部分は2本鎖DNA/RNAハイブリッドとする。過剰なRNA転写物および未ライゲーションのプローブを除去するために、次に、レポーターをプールし、各骨格の5’末端上の5’リピート配列に相補なオリゴヌクレオチドにカップリングした磁気ビーズ(Dynal,Invitrogen)上でアフィニティー精製した。最終レポーター分子は線状配列中に7つの標識領域を有しており、その各々が後述する条件下にエピ蛍光顕微鏡により画像化した場合に約300nmスポットをもたらした。
NanoStringキャプチャープローブの製造
キャプチャープローブは、ビオチン分子に連結された3’リピートと称される15塩基リピート2つを含むキャプチャーオリゴヌクレオチドに結合した35〜50塩基の遺伝子特異的配列よりなるものとした。レポータープローブ合成と同様の過程において、正規化された遺伝子特異的オリゴヌクレオチドをライゲーション緩衝液中短鎖ユニバーサル「架橋」オリゴヌクレオチドにアニーリングした。3’リピートオリゴヌクレオチド、追加的ライゲーション緩衝液、およびT4リガーゼを含有するマスター混合物を添加した。3’リピートオリゴヌクレオチドは4倍過剰量で存在させた。ライゲーション反応は37℃で2時間サーモサイクラー中96穴プレート中で実施した。各ライゲーションの効率はPAGEにより評価した。ライゲーションの後、反応物中には3種の潜在的な分子種、即ち、遺伝子特異的プローブにライゲーションした3’リピート(図22における「キャプチャープローブ」)、過剰な未ライゲーションの3’リピート、および反応が完了しなかった場合は何れかの残留未ライゲーションプローブオリゴヌクレオチドが存在している。過剰な遊離のプローブは、それが完全にライゲーションしたキャプチャープローブと標的に対して競合するため、ハイブリダイゼーション結果に負の作用をもたらす唯一の物質種である。従って、ライゲーションの後、キャプチャープローブをプールし、3’リピートに相補なオリゴヌクレオチドにカップリングした磁気ビーズ上で精製することにより遊離のプローブオリゴヌクレオチドを除去した。後のハイブリダイゼーション後の精製工程において過剰の未ライゲーション3’リピートオリゴヌクレオチドをを除去した(後述する抗5’リピートのハイブリダイゼーション後精製を参照)。
プローブ設計および選択
50塩基プローブの潜在的な対を選択するために、先ず、mRNAの100塩基標的領域をスクリーニングすることにより、長鎖正方向および逆方向リピート、高GC含有量、および長鎖ポリCストレッチ(プローブオリゴヌクレオチドにおいてポリG配列を合成することが困難であるため)を排除した。次に標的領域の精鋭リストをNCBIのBLAST13(バージョン2.2.14)を用いながら交差ハイブリダイゼーションに関してスクリーニングすることにより、これらをヒトRefSeq mRNAデータベース(Hs:リリース17)に対してアラインした。これらの100塩基標的BLASTアライメントを用いることにより、85%超の同一性を有する50塩基プローブ、または、何れかの非標的mRNAに相補な15近接塩基より大きいストレッチの何れかをもたらした標的を選別排除した。交差ハイブリダイゼーションのカットオフは以前の50塩基ハイブリダイゼーションおよびプローブ設計試験に基づいて選択した14,15。次にプローブをレポーター間およびレポーター内およびキャプチャープローブの相互作用に関してスクリーニングし、そして80.5℃を理想標的としながら78〜83℃の計算融点(T)を有するプローブ対を有するものを選択した。選択の最終段階において、全ての条件に合致するが83℃より高値の計算Tを有するプローブを、35塩基の最小長カットオフを用いながらTの計算結果が83℃以下となるまで動的にトリミングした。最終プローブ対の選択は交差ハイブリダイゼーションおよびTスクリーンから計算した評点に基づくものとし、Tの要件に合致するためにトリミングを必要としなかったプローブを好ましいものとした。
NanoStringレポーター遺伝子ライブラリ
A549細胞試験に関するレポーターライブラリは509ヒト遺伝子に対するプローブを含有していた。これらの遺伝子の大部分(347)は0.05未満の擬似検出率において遺伝子を識別するためにBioconductor16中のLimmaパッケージを用いながらPV感染A549細胞(未公開)上の以前のマイクロアレイ試験に基づいて選択した。残余の162遺伝子は種々の他の試験から収集しており;それらはPV試験には特に生物学的には関連しないが、500遺伝子を超える多重度までのnCounter試験の能力を評価するために追加した。509RefSeq mRNAのリストはAffymetrixのプローブセットのIDのリストに関連する現在のヒトゲノム機構(HUGO)の遺伝子名称に基づくものとした。Affymetrixプローブセットに関する標的領域の全てがRefSeq mRNAと完全にオーバーラップするわけではないことに留意する。MAQCコンソーシアムの試験に関するレポーターライブラリはMAQCコンソーシアム試験において公開されたRefSeq遺伝子リストに基づいて選択された35ヒト遺伝子に対するプローブを含有していた。Strongylocentrotus purpuratusの試験に関するプローブライブラリは正規化目的のために使用したポリユビキチンおよび陰性対照として使用したHomo sapience遺伝子に対する7プローブを包含する55のS.purpuratus遺伝子に対するプローブを含有していた。本明細書に記載した分析は、同等のリアルタイムPCRデータが存在する21のS.purpuratus遺伝子のみを含有する。記載した全ライブラリはまた、8非ヒト対照プローブ対(スパイクイン)および遺伝子特異的プローブを含有していないが精製および結合効率を評価するために使用した多数の対照レポーターを含有していた。
ハイブリダイゼーション反応
細胞転写物の検出を多重化ハイブリダイゼーション反応において実施した。各試料はハイブリダイゼーション試薬の以下の終濃度、即ち:200pM各キャプチャープローブ、40pM各レポータープローブ、5X SSPE(pH7.5)、5X Denhardt試薬(Sigma)、100ng/μl剪断処理サケ精子DNA(Sigma)、および0.1%Tween20を用いながら3連でハイブリダイズした。各30μlのハイブリダイゼーション反応物はまた3.3ng/μlの終濃度において100ngの全RNAを含有していた。更にまた、非ヒト配列に対する6陽性および2陰性対照プローブ対を各反応に追加した。100塩基対照標的の終濃度は、50fMスパイクA標的、10fMスパイクB標的、5fMスパイクC標的、1fMスパイクD標的、0.5fMスパイクE標的、および0.1fMスパイクF標的とした。スパイクGおよびH(陰性対照)に対しては標的を添加しなかった。試薬を混合して20時間加熱蓋付きのサーモサイクラーブロック中65℃でインキュベートした。
ハイブリダイゼーション後の精製
未ハイブリダイズのレポーターを除去するために、各キャプチャープローブ上に含有される3’リピート配列に相補なオリゴヌクレオチドにカップリングされた磁気ビーズ(Invitrogen)上で反応物を精製した。反応物はまず0.1%Tween20/TE中1X SSPEに希釈し、そして連続回転しながら30分間22.5℃でビーズに結合させた。ビーズを150μlの0.1×SSPE/0.1%Tween20で3回洗浄し、そしてハイブリダイズした複合体を45℃で15分間100μlの0.1×SSPE/0.1%Tween20中で溶離させた。溶離の後、各レポータープローブ上に含有される5’リピート配列に相補なオリゴヌクレオチドにカップリングされた磁気ビーズに結合させることにより試料の2回目の精製を行い、これにより過剰のキャプチャープローブを除去した。抗3’リピートビーズからの溶離液に50μlの3×SSPE/0.1%Tween20を添加することにより1X SSPEの終濃度とし、そして回転しながら22.5℃において15分間結合させた。ビーズを上記した通り洗浄し、そして45℃において30μlの0.1×SSPE/0.1%Tween20で溶離した。次に二重精製した試料を後述する通りキャプチャー用に調製した。
NanoStringレポーターのキャプチャー、伸張および画像化
Tetraspeck蛍光微小球(Invitrogen)の注文処方の0.1%固体溶液の1/5000希釈物1マイクロリットルを各試料に添加した。30μmの深度のマイクロ流体チャンネルを形成するためにレーザーカット両側接着層(Fralock)を用いながらストレプトアビジンでコーティングされたカバーガラス(Optichem(登録商標)Accelr8 Technology Corporation)とのレーザー機器処理キャストアクリルの積層により作成したNanoString流体デバイス中に試料をロードした。試料を流体静力学的圧力によりチャンネルを通過させて駆動させ、そしてキャプチャープローブのビオチニル化3’末端により特異的に結合させた。キャプチャーの後、表面を90μlの1X TAEで一回洗浄し、そして各ウェルに40μlのTAEを添加することにより伸張用に調製した。レポータープローブは流体チャンネルに沿って1分間160V/cmを適用することにより伸張およびアラインした。次に全てのレポータープローブの5’末端上に存在する5’リピートに相補なビオチニル化オリゴヌクレオチドの500nM溶液60μlを添加することにより、伸張されたレポーターを表面に固定化した。固定化過程を通じて電流は5分間残存させた。固定化の後、TAE溶液を除去し、そして画像化用の抗光漂白試薬SlowFade(Invitrogen)の注文処方と交換した。
Perfect Focus、1.4NA Plan Apo VC60X油浸積レンズ(Nikon)、X−cite120ハロゲン化金属光源(Exfo Corporation)、自動H117ステージ(Prior Scientific)、およびSmartShutter(Sutter Instrument)を装着したNikon Eclipse TE2000E上でスライドを画像化した。各視野につき、異なる励起波長(480、545、580および622)における4画像を、Metamorph(Universal Imagning Corporation)または専用のソフトウエアの何れかの制御下にOrca Ag CCDカメラ(Hamamatsu)で獲得した。
画像処理
画像処理はFOV毎に4画像(各波長につき1つ)に対して実施した。専用のアルゴリズムで基本的ブロックとしての各FOVを処理し、その場合、以下の基本的な工程、即ち、1)スポット識別、2)画像登録、3)ストリングを形成するための空間的クラスタリング、および4)ストリングの分類、を実施する。
アルゴリズムの第1工程において、スポットを識別する。各チャンネルのバックグラウンド強度レベルを計算し、そしてシグナルおよびバックグラウンドに画像を分別する閾値として使用し、その場合、シグナル領域は点拡張関数(PSF)として観察された光の特定の波長の結果とする。シグナルマスクは慣用的なWatershedアルゴリズムを用いてセグメント化した。次にセグメント化された領域を標識し、パラメーター化し、そしてフィルター処理することにより非PSFスポットを除去した。残存するスポットを中心にアーカイブし、登録およびレポーターコールにおける使用に付した。
画像の登録は画像化表面に結合した蛍光ビーズ(参照基準)に相当するアーカイブされたスポットに基づいて各FOVに対して実施した(NanoStringレポーターのキャプチャー、伸張、および画像化参照)。アーカイブされたスポットを交互参照することにより参照基準の要件(チャンネル間の強度の閾値および比)に合致するスポットのチャンネル間クラスターを識別した。基準に合致したクラスターを参照基準としてアーカイブした。参照基準の最終リストは画像獲得の間のチャンネルの間で生じた空間的変換を示していた。空間的オフセットは5〜6ピクセルもの大きさであった。空間的変換は観察された参照基準のセントロイドおよびそれらの変換前(仮定)一致セントロイド(X=X T)を用いて解いた。次に逆変換を全識別スポットに適用することによりそれらの元のセントロイドを回復した。
スポット識別および画像登録の後、クラスタリングを介してスポットを組み立てて「ストリング」とした。この時点において、各ストリングをフィルター処理することにより、ブリードスルーシグナルに起因するスポットがあればそれを排除した。次にフィルター処理したストリングをレポーターまたは非レポーターとして分類した。レポーターとして分類されるためには、ストリンジェントは正しい数のスポットを含有し、特定のスポット間の空間的間隔の閾値(1.2〜2.9画素)に合致し、そして許容可能な直線性および配向性の要件に合致しなければならない。次にレポーターと分類されたクラスターを計数し、そして全てのFOVに渡って各遺伝子につき合計した。
NanoStringデータの規格化および分析
ハイブリダイゼーションおよび精製の効率におけるわずかな相違を説明するために、各試料中の全ての対照スパイクに関する平均の計数に対してデータを正規化した。NanoStringシステムにより遺伝子が「検出された」かどうかを決定するために、各実験遺伝子について得られた3連の計測値を2つの陰性対照に関する3連の計測値と比較した。遺伝子が検出されたと類別されるためには、実験遺伝子に関する平均の計数値は2陰性対照の平均の計数値より高値であることが必要であり、そして、スチューデントのt検定のp値が0.05未満でなければならない。S.purpuratusの試験に関して、データはポリユビキチン遺伝子に対して正規化し、そして検出された遺伝子を7ヒト陰性に対してスチューデントのt検定により調べた。
Affymetrixアレイデータの作成
NanoStringのnCounterシステムにより分析されたものと同じRNA試料の細分量を更にマイクロアレイで分析した。慨すれば、全RNAの100ngの3連の試料をHumanU133Plus2アレイ上で分析した。1〜2μgの全RNAが典型的には標準的なAffymetrixの単一の増幅プロトコルに必要であるため、RNA発現データをGenChip(登録商標)2サイクル標的標識キット(Affymetrix部品番号900494)を用いながら製造元の標準的なプロトコルに従って作成した。ハイブリダイゼーション、洗浄および染色は製造元の標準的なプロトコルを用いて実施した。データはRMAを用いて正規化した。Affymetrixの「存在/非存在」のコールはMAS5.0アルゴリズムを用いてデータを独立して処理することにより得た。アレイおよびNanoStringのデータはArrayExpressデータベース(E−MEXP−1072)17を介して公開した。図25のデータに関しては、Affymetrixのプローブセットは、3連の何れかの1つが「存在」または「境界線」とコールされた場合に検出されたと示された。
TaqManリアルタイムPCRデータ
NanoStringとマイクロアレイシステムの間で実験の矛盾するレベルを示した遺伝子は、以下の基準、即ち:1)遺伝子が1つのプラットホームにおいて有意差を伴って発現され(2倍超、p値<0.05)、そして他のプラットホームではそのようにならない(1.5倍未満、p値>0.05);2)AffymetrixおよびNanoStringのプローブセットがともに同じRefSeq mRNAをマッピングしなければならない;および3)目録掲載ABI TaqMan(登録商標)プローブセットが使用可能でなければならない;に基づいて選択した。各試料につき、全RNA4μgを終容量40μlでランダム6量体を用いながら逆転写した。反応物を200μlのTE中に希釈し、次に100ngの全RNAと等しい5μlを各リアルタイムPCR反応において使用した。全試験を3連で実施した。データはベータグルクロニダーゼに対して正規化した(GUS)。
MAQC比較
MAQC TaqManリアルタイムPCRデータセットにも列挙されている35RefSeq mRNAのライブラリを用いて2種の市販のレファレンスRNAであるヒトレファレンス全RNA(Stratagene)およびヒト脳レファレンス全RNA(Ambion)の間の示差的遺伝子発現を分析した。元の試験に記載されている通り、NanoStringおよびTaqManプラットホームの両方に関して全ての試料中で検出されていない遺伝子はその後の分析から除外した。STAT5AはSTAT5Bとの交差ハイブリダイゼーションの問題が知られていることからNanoStringデータから除外した。残余の27遺伝子に関するMAQC TaqmanリアルタイムPCRデータとのNanoString結果の倍数変化相関は、正規化されたシグナル値のlog比をプロット(ヒトレファレンスRNAvsヒト脳レファレンスRNA)し、そして、そのプロットに関して直線回帰係数を計算することにより調べた。
SYBR(登録商標)GreenリアルタイムPCR法
S.purpuratusの全RNAの単離、cDNAの合成およびリアルタイムPCRは記載されている通り実施した6,18。21のS.purpuratus遺伝子を定量的リアルタイムPCRにより試験した。PCR用に使用したプライマーはhttp://sugp.caltech,edu/resources/methods/q−pcr.pspより入手できる。全ての遺伝子は4連で試験した。
NanoStringのnCounter遺伝子発現システムの性能
ハイブリダイゼーション反応は擬似およびPV感染したA549細胞から単離した全RNA試料を用いて3連で実施した。各反応物は100ngの全RNA+RefSeqデータベース中に含有される509のヒトmRNAに対するレポーターおよびキャプチャープローブを含有していた。更にまた、6対の陽性および2対の陰性対照レポーターおよびキャプチャープローブを各反応に包含させた。スパイクイン対照は各ハイブリダイゼーション反応に対して標準濃度曲線を与え、そしてハイブリダイゼーション、精製およびキャプチャーの効率における僅かな相違に対してデータを正規化するために使用した。
本発明者等は先ず、6種の陽性対照の直線性、ダイナミックレンジ、および再現性を検査した。図23aは擬似およびPV感染細胞に由来するRNAとの各ハイブリダイゼーション反応による対照測定の結果を示す(n=6)。各連に関する対照シグナル値(計数)は対数−対数プロット上のオーバーラップする点により示される通り0.5fM〜50fMで極めて高い再現性を示した。試験はまた2.5対数の濃度に渡って高度に直線的であり、計数vs濃度の直線回帰相関係数は≧0.998であった(図23b)。
次に本発明者等はサンプリング効率および検出の下限を検査した。システムのサンプリング効率はスパイクイン標的に関する計数値を反応におけるその標的の分子の理論的数量で割ることにより推定した。例えば、各反応において0.1fMスパイクイン標的は合計約1800分子存在していた。疑似試料中のこの標的の平均計測値は25計数値であり、約1%のサンプリング効率を与えた。試験の検出限界はスチューデントのt検定を用いながら陰性対照の計数値に最低濃度における陽性対照の計数値を比較することにより測定した(方法を参照)。500重度のハイブリダイゼーション反応の内容において検出された対照の最低濃度は、全RNA100ngを含有する30μlの総容量中0.1fM〜0.5fMであった。2つの陰性対照に関するバックグラウンドシグナルの平均は擬似およびPV感染細胞でそれぞれ14.4±−6.5および10.2±−3.5であった。全RNA/細胞10pg(即ち100ng中10,000細胞)と仮定すると、検出限界は細胞当たり対照標的0.2〜1分子に相当する。
509mRNAを計測する場合のnCounterの再現性も検査した。図24aにおいて、PV感染細胞に由来するRNAの2つの独立したハイブリダイゼーション(操作上の多連)に由来する全509遺伝子に関する正規化された計数を対数−対数尺度上に示す。データはNanoStringシステムが再現性を有することを明らかにしており;データへの直線フィットは0.9999の相関係数を与えている。多連試験の各々の対形成組み合わせの平均の相関係数は0.9995±0.0004であった。これはDNAマイクロアレイに対する遺伝子の同様の分析から得られたもの(平均相関係数=0.9934±0.0059)より僅かに高値であった。更にまた、図24aは約25計数値〜50,000計数値を超える範囲に渡るシグナルで内因性遺伝子が検出されたことを示しており、これは陽性スパイクイン対照を用いて試験した2.5対数よりもシステムのダイナミックレンジが大きいことを示唆している。
何れかの遺伝子発現技術の重要な特徴は2つ以上の試料の間の遺伝子発現の相対的な差を測定することである。本発明者等は擬似およびPV感染細胞の間のレポーターライブラリにおける509遺伝子に関する発現レベルの変化を計測した。結果を図24bにおいてプロットする(n=3)。0.05以下のp値による発現の2倍変化のカットオフ基準を用いれば、誘導された28遺伝子およびPV感染により抑制された115遺伝子が図24bにおける上側および下側の線により示される通り存在していた。結果は、単一の試験において500遺伝子超の遺伝子発現を計測し、そして試料間で有意に変化している遺伝子を識別するためにnCounterシステムが使用できることを示している。
NanoStringおよびマイクロアレイの間の比較
本発明者等はマイクロアレイに対する内因性転写物のレベルを検出および計測するNanoStringシステムの能力を、代表的なマイクロアレイプラットホームとしての広範に使用されているAffymetrix GeneChipシステムを用いながら比較した。上記した通りnCounter試験を増幅をおこなうことなく全RNA100ngに対して直接実施した。やはり同じ試料および量のRNAを、製造元の推奨する2サイクル増幅/標識プロトコルを用いながらAffymetrix U133Plus2アレイで分析した。
nCounterシステムがどのようにして感度においてマイクロアレイに比較されるかを調べるために、本発明者等は各プラットホームにおいて検出された遺伝子の数を検査した。試験した509遺伝子のうち、許容できる相当するAffymetrixプローブIDが存在しないものは60であった(Shi等の補足表2に基づく)。残余の449遺伝子については、本発明者等は各プラットホームにより検出されたとコールされる数を調べた。NanoStringシステムは各遺伝子の存在または非存在を決定するために2陰性対照(n=6)と比較しながら各遺伝子に関する多連の値のスチューデントのt検定を使用するのに対し、Affymetrix MAS5.0アルゴリズムはパーフェクトマッチおよびミスマッチのプローブセットの間の関係に基づいている。両方の試料における検出された転写物の平均パーセンテージはDNAマイクロアレイ試験よりもNanoString試験において高値であり(88.4%vs82.6%;それぞれ図4aおよび4b)、そして検出および未検出のコールの間の境界はより明確に区別できた。数種の遺伝子に対するNanoStringの検出コールの確度をTaqMan試験において更に確認した(表5)。
NanoStringおよびAffymetrixのプラットホームの両方において有意に変化している遺伝子に関する倍数変化の計測値の相関を評価した。データの正規化および処理(方法を参照)の後、PV感染と擬似感染の試料の間の平均のlog倍数変化を両方のプラットホームに関して計算した。示差的発現に関するスチューデントのt検定を試料間で実施した。多重試験補正を行わない場合の0.05の閾値のP値を用いて有意に調節された遺伝子を識別した。この分析により4クラスの遺伝子、即ち両方のプラットホームにより(202遺伝子)、NanoStringのみにより(55遺伝子)、またはマイクロアレイのみにより(78遺伝子)調節されると決定されたもの、および、何れのプラットホームによっても調節されないことがわかったもの(114遺伝子)が判明した。全449遺伝子に関するlog比のプロットおよび各プラットホームにおけるそれらの有意性を図27に示す。図26a(◆)はNanoStringおよびマイクロアレイ試験の両方において有意に調節されることがわかった202遺伝子に関するlog比の比較を示す。2つのプラットホームはこれらの202遺伝子に関しては良好に一致しており;僅か4つのみが逆方向に調節されることがわかった(ず26aにおける上左側およびした右側の四分円の黒菱形)。試験の間のlog比への直線フィットの相関係数は0.788であった。この相関係数は異なるアレイプラットホームを比較する以前の結果、並びにリアルタイムPCR2−4のような他の定量的計測技術との比較と同様であり、結果を他のマイクロアレイプラットホームに外挿できることを示唆している。
選択された遺伝子のTaqMan(登録商標)分析
上記した通り、計測されたlog倍数変化が1つのプラットホームで有意であるが他ではそうでない遺伝子が多数存在する。本発明者等はTaqManリアルタイムPCRによりさらに分析するためにこれらの遺伝子のうち14サブセットを選択した。選択基準は方法に記載している。12遺伝子はNanoString試験により、そして2つはマイクロアレイ試験により、示差的に発現されることが決定された。TaqManリアルタイムPCRは擬似およびPV感染試料の同じマスター保存品に由来するRNAを用いて実施し、そしてlog倍数変化を計算した。全体として、NanoString試験はDNAマイクロアレイ試験よりもTaqMan試験と遙かに高値の一致を示していた(図26b)。12遺伝子中の9つがリアルタイムPCRによる場合と同じ倍数変化基準に合致しており、そして他の3つが同様の傾向を示したが僅かに高値のp値を有する(ZNF488)か、または2倍カットオフ基準を満たしていなかった(MOCS3およびPHF20)。これとは対照的に、Affymetrixシステムのみにより調節されていると決定された(GSPT2およびIFT80)2つの遺伝子の何れもTaqMan試験では有効化され無かった。
14遺伝子の同じセットを使用しながら、本発明者等は、各プラットホームの感度を、2つの試料における各々の遺伝子を検出するその能力により比較した(表5)。全14遺伝子を35サイクル未満においてリアルタイムPCRにより両方の試料において検出した。結果はNanoStringシステムに関しては同様であり、14中13試料が両方の試料において検出され、そして1遺伝子(ZNF488)が擬似感染試料では検出されたがPV感染試料では検出されなかった。これとは対照的に、6遺伝子はマイクロアレイにより両方の試料中非存在と示され、そして別の3遺伝子はPV感染細胞中非存在と示された。従って、これらの実験においては、NanoStringシステムの感度はマイクロアレイのものよりも優れており、そしてリアルタイムPCRのものと同様であった。
MAQCデータセットとのnCounterシステムの比較
近年、MAQCコンソーシアムのメンバーにより実施された一連の試験では、異なるマイクロアレイプラットホームの性能を比較するための市販のレファレンスRNA試料2,4、並びに数種の定量的遺伝子発現技術が、ベンチマーク技術としてTaqManリアルタイムPCRを用いながら、利用されている。
MAQC遺伝子セットとオーバーラップしていた35RefSeq mRNAに特異的なnCounterプローブライブラリを構築した。ライブラリはMAQCコンソーシアムにより使用されているヒトレファレンスRNAおよびヒト脳レファレンスRNA試料にハイブリダイズすることによりlog倍数変化の値を求めた。nCounterまたはTaqManデータの何れかにより何れかの試料において非存在と示された遺伝子を除去(Shi等に記載の通り)した後、本発明者等は残余の27遺伝子に対するlog倍数変化の値を比較した。図26cが示す通り、NanoStringおよびTaqManのプラットホームの間にはすぐれた相関があった(R=0.945)。同じ試験に由来するAffymetrixマイクロアレイデータ(サイト1、Affymetrix Inc.)の同様な分析によれば、同じ基準に合致した18遺伝子に関してR=0.832の有意に低値の相関が明らかになった(図26c)。
nCounterシステムおよびSYBR(登録商標)GreenリアルタイムPCRの比較
nCounterシステムの感度、確度、およびダイナミックレンジを更に明らかにするために、本発明者等はそれを異なる生物学的系におけるリアルタイムPCRと比較した。全RNAを発生の7時点(卵〜70h)においてウニ胚から単離し、そしてnCounterシステムで直接分析するか、またはcDNAに変換してリアルタイムPCRにより分析した。21遺伝子の転写物のレベルを各時点において検査した。nCounter試験に関しては、全ての遺伝子を1ライブラリに合わせ、そして多重化反応において分析した。各ハイブリダイゼーションは全RNA100ngに対して3連で実施した(21試験)。リアルタイムPCRに関しては、各遺伝子を原料2.8ngから各時点につき4連で個々に試験した(588試験)。両方の試験に関し、データをユビキチンに対して正規化した
相対的発現パターンにおける顕著な相関が全21遺伝子について時間経過に渡ってnCounterおよびリアルタイムPCRデータの間で観察された(図28)。胚当たり低転写レベル(例えばSnail,Pmar1)および高転写レベル(例えばEst,Dri)において発現された遺伝子、並びに時間経過中3対数にわたって発現レベルが変化したもの(例えばTgif,Msp130)に関しては、相関は一貫していた。これらの結果はnCounterシステムが酵素的またはシグナルの増幅を伴うことなくリアルタイムPCR品質のデータを与えることができることを確認するものである。
考察
上記において明らかにされた通り、本明細書に記載した遺伝子発現分析システム(nCounter)は極めて高感度であり(0.1〜0.5fM検出限界)、再現性があり(3対数のダイナミックレンジに渡り多連平均で0.999のR)、および使用が簡便である。本発明者等は、nCounterシステムは高度な多重化が可能であり、僅か100ngの全RNA試料から開始される単一の反応において500超の遺伝子を計測することを明らかにした。nCounter遺伝子発現システムの全体的性能は、同じ全RNA試料を用いた緊密な比較において、マイクロアレイ(202遺伝子に渡ってR=0.79)およびリアルタイムPCR(MAQCにおいてR=0.95)の両方と良好に相関していた。更にまた、本発明者等のデータによれば、nCounter遺伝子発現システムはマイクロアレイより高感度であり、そしてリアルタイムPCRとは感度および確度において同様であった(表5)。
nCounterシステムは主要な既存の遺伝子発現技術においては観察されていない明らかに異なる利点を有している。第1に、試料RNAは増幅またはクローニングすることなく直接計測される。即ち、遺伝子特異的または3’の偏位が導入されず、そして試料内の各転写物のレベルは、各配列型の分子の数を計数すること、および内標準を参照しながら濃度を計算することにより明確化することができる。これとは対照的に、リアルタイムPCRでは、転写物濃度は生成物の閾値レベルを達成するために必要な酵素工程の数から計算される。第2に、プローブおよび標的の両方が表面に結合するのではなく溶液中に存在する。反応は完了するまで駆動され(データ示さず)、より少量の出発物質で多くの標的遺伝子に渡ってマイクロアレイよりも高レベルの感度が可能となる。第3に、NanoString技術は試料中の転写物の量のデジタル読み取りを可能とする。転写物計数値の純粋なデジタルの読み取りは大きいダイナミックレンジに渡って直線的であり、少ないバックグラウンドノイズを示し、そしてアナログシグナルを使用する技術よりも下流の分析に対して曖昧さが低下する。最後に、nCounterシステムの時間、労力、および試料の必要性はリアルタイムPCRまたはマイクロアレイよりも、規模拡大が行いやすい。例えば、3連でリアルタイムPCR反応当たりRNA2ngを使用しながら500遺伝子を計測するためには、全RNA3μgおよび1500反応を必要とするのに対し、nCounterシステムを用いれば3反応において全RNA300ngで同じ実験を実施できる。
比較的少量の出発物質から遺伝子発現の高度に多重化された計測を行うことができる技術、特に低豊富度の転写物を検出できるものには、多くの用途が存在する。例えばマウスおよびヒトの両方の細胞におけるmRNAの発現レベルの推定によれば、トランスクリプトームにおける遺伝子の大多数が細胞あたり20転写物以下で発現されることが示唆されている7,8。現在、リアルタイムPCRは低豊富度のメッセージを計測するための最も広範に許容されているプラットホームである。本発明者等はnCounterシステムが著明な同様の結果をもたらすことを示している。技術の別の潜在的な用途は臨床環境において発現のプロファイルを計測することである。幾つかの研究では発現アレイを使用することにより発現のパターンまたは「シグネチャー」が臨床診断または予後のインジケーターとして機能できる遺伝子のセットが発見されている。そのような研究の古典的な例はGolub等のAML/ALL作業およびvan’t Veer等10,11の乳癌分類研究を包含する。完全ゲノムアレイを介して予測的遺伝子のセットを発見した後、多数の患者に対してそれらの発現プロファイルを確認し、そして最終的には診断試験を開発することになり得る(最近の考察に関してはSimon12参照)。典型的にはこれらの臨床シグネチャーは30超であるが500より少ない遺伝子を含んでいる。nCounterシステムは理想的には、特にRNAの限定された量を有する少量試料、例えば組織生検、マイクロ切開またはレーザーキャプチャー試料、およびフローサイトメトリーにより分類された細胞に由来する、そのような臨床関連シグネチャーをプロファイリングする場合に適している。細胞溶解物に対して直接nCounterシステムを使用した予備的研究は期待できるものであり、そして必要とされる試料の量および試料の取扱を更に低減する潜在能力を有する。
参考文献
本発明はコンピュータ読み取り可能な格納媒体中に組み込まれたコンピュータプログラム機序を含むコンピュータプログラムプロダクトとして実施できる。コンピュータプログラムプロダクトは例えば図19に示すプログラムモジュールを含有できる。これらのプログラムモジュールは、CD−ROM、DVD、磁気ディスク格納プロダクト、または何れかの他のコンピュータ読み取り可能なデータまたはプログラム格納プロダクトに格納できる。これらのプログラムモジュールはまた永久格納体、例えばROM、1つ以上のプログラム可能なチップ、または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)中に取り込むこともできる。そのような永久格納体はサーバ、802.11アクセスポイント、802.11無線ブリッジ/ステーション、リピータ、ルータ、携帯電話、または他の電子装置中にローカライズできる。コンピュータプログラムプロダクト中のプログラムモジュールはまた、インターネットを介して、または別様に、デジタルで、またはキャリア電波上で、コンピュータデータシグナル(その中にソフトウエアモジュールが組み込まれている)の伝送により電子的に配布することができる。
本発明の多くの変更および変形がその精神および範囲から逸脱することなく行えることは当業者のよく知ることである。例えばデータ格納モジュール44、標識識別モジュール50、およびプローブ識別モジュール54は組み合わせて単一のプログラムとすることができ、各々が別個のプログラムであることができ、或いは実際には複数の(例えば3つ以上の)プログラム中に分散されることができる。本明細書に記載した特定の実施形態は例示のみを目的として提示しており、そして本発明は添付の特許請求の範囲、並びにそのような請求項の権利を受けるべき等価物の完全な範囲によってのみ制限されるものである。
本明細書において参照した、および/または出願データシート中に列挙した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許の出版物は参照により全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の特徴は、種々の特許、出願および出版物の概念を採用する必要がある場合は変更することができ、これにより更に別の実施形態が与えられる。

Claims (55)

  1. 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するための方法であって、下記工程:
    (a)標的mRNA配列の逆相補体である第1の所定の長さの候補ヌクレオチド配列の第1のプールを生成する工程であって、ここで各候補ヌクレオチド配列は5’候補配列および3’候補配列よりなる等しい長さの隣接ヌクレオチド配列2つに分割できる工程;
    (b)前記第1のプールから以下の基準:(i)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい逆方向リピートを含有する;(ii)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい正方向リピートを含有する;(iii)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が所定範囲外のGC含有量を有する:(iv)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が所定の長さより大きいC残基の近接するストレッチを含有する;および(v)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が第1の所定の融点範囲外にある融点を有すること;の少なくとも2つに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第2のプールを生成する工程;
    (c)前記第2のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイズ潜在能力を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第3のプールを生成する工程;
    (d)前記第3のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が第2の所定の温度範囲外の融点を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させる工程であって、ここで第2の所定の融点範囲は第1の所定の融点範囲内にある工程;
    (e)修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列に関する融点を測定する工程であって、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列は、工程(d)において欠失された候補ヌクレオチド配列のそれぞれ5’候補配列または3’候補配列の修飾された型であり、その理由はその5’候補配列および/または3’候補配列が第2の所定の範囲より高値の融点を有するためであり、ここで該修飾された5’候補配列は、相当する5’候補配列の5’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されており、そしてここで該修飾された3’候補配列は、相当する3’候補配列の3’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されている工程;
    (f)以下、即ち:
    (A)修飾された5’または修飾された3’候補配列、および、
    (B)3’または5’のそれぞれの候補配列またはその修飾された形態;
    の各々が第2の所定の融点範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列に由来する事例において;
    第3のプールに(A)および(B)からなる修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第4のプールを生成する工程;
    (g)修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが第2の所定の長さより大きい場合、工程(e)を1回以上反復する工程であって、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列はそれぞれ、修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが第2の所定の長さと(i)等しくなるか、または(ii)それより低値となるか、の何れか早期の状態となるまで、各回、工程(e)よりも多い数のヌクレオチドによりトリミングされている工程;
    (h)以下、即ち:
    (C)前記修飾された5’または修飾された3’候補配列、および、
    (D)3’または5’のそれぞれの候補配列またはその修飾された形態;
    の各々が第2の所定の融点範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列に由来する、工程(g)の各々の修飾された5’または修飾された3’候補配列につき;
    第3のプールに(C)および(D)からなる修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第5のプールを生成する工程;および、
    (i)任意に、工程(d)において欠失された異なる候補ヌクレオチド配列1つ以上につき工程(e)〜(h)を反復することにより、候補ヌクレオチド配列の第6のプールを生成する工程、
    を含み、
    これにより、第4、第5および第6のプールは、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接した標的特異的配列の対からなる候補ヌクレオチド配列よりなるものである方法。
  2. 第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列もしくは修飾された5’候補配列および/または3’候補配列もしくは修飾された3’候補配列の1つまたは複数を、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ読み取り可能な格納媒体、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力する、または表示する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
  3. 候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列が、それぞれ前記候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列に由来する隣接標的特異的ヌクレオチド配列の対として出力される、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(c)において、5’候補配列または3’候補配列が下記:(i)第1の所定のカットオフ以上である、第1の配列(以降「第1の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列パーセント同一性、ここで前記第1の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第1の非標的配列は細胞mRNA配列またはそれに由来するcDNA配列を含むデータベース中に存在する;および(ii)第2の所定のカットオフ以上である、第2の配列(以降「第2の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列同一性の近接するブロック、ここで前記第2の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第2の非標的配列はデータベース中に存在する;を有する場合に、前記5’候補配列または3’候補配列が前記所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイゼーション潜在能力を有することが予測される、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  5. 第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の複数が、前記5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 加重評点が下記式:
    (Tm評点*WFa)+(MCB評点*WFb)+(PID評点*WFc)
    に従って計算され、
    式中、Tm評点は下記式:
    (示差的評点+一般的評点)/3
    に従って計算された融点評点であり、
    式中、示差的評点は下記式:
    に従って計算され、
    式中、一般的評点は下記式:
    に従って計算され、
    式中TmAは隣接標的特異的配列の対における5’候補配列または修飾された5’候補配列の融点であり、TmBは隣接標的特異的配列の前記対における3’候補配列または修飾された3’候補配列の融点であり、TmHcoは第2の所定温度範囲の上限であり;TmLcoは第2の所定温度範囲の下限であり;そしてTmIは所定の理想的融点であり;
    ここで:
    MCB評点は下記式:
    1−(MCB/MCBco)
    に従って計算された最大近接ブロック評点であり;
    式中、MCBは下記:
    (i)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の同一性の最大近接ブロック;
    および、
    (ii)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の同一性の最大近接ブロック;
    のうちの大きいものであり;
    そして式中、MCBcoは第1の所定のカットオフであり;
    ここで:
    PID評点は下記式:
    1−(PID/PIDco))
    に従って計算されたパーセント同一性評点であり;
    式中PIDは下記:
    (i)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の最大のパーセント配列同一性;および、
    (ii)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の最大のパーセント配列同一性;
    のうちの大きいものであり;
    そして式中、PIDcoは第2の所定のカットオフであり;
    そしてここで、WFa、WFb、およびWFcは各々独立して加重ファクターであり、その各々は実数である、請求項5記載の方法。
  7. 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するための方法であって、下記工程:
    (a)標的mRNA配列の逆相補体である100ヌクレオチドの候補ヌクレオチド配列の第1のプールを生成する工程であって、ここで各候補ヌクレオチド配列は、各々50ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列2つに分割できるものであり、ここで前記隣接ヌクレオチド配列は5’候補配列および3’候補配列よりなるものである工程;
    (b)前記第1のプールから以下の基準:(i)6連続ヌクレオチド長以上の逆方向リピートを含有する;(ii)9連続ヌクレオチド長以上の正方向リピートを含有する;(iii)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が40〜70%外のGC含有量を有する:(iv)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が3C残基以上の近接するストレッチを含有する;および(v)自身の5’候補配列および/または3’候補配列が(A)60〜90℃または(B)65〜85℃の範囲外にある融点を有すること;に合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第2のプールを生成する工程;
    (c)前記第2のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が(i)第1の配列(以降「第1の非標的配列」と称する)またはその相補体と85%以上の配列パーセント同一性、ここで前記第1の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第1の非標的配列は細胞mRNA配列またはそれに由来するcDNA配列を含むデータベース中に存在する;および(ii)第2の配列(以降「第2の非標的配列」と称する)またはその相補体と15ヌクレオチド以上の配列同一性の近接するブロック、ここで前記第2の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第2の非標的配列はデータベース中に存在する;を有する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第3のプールを生成する工程;
    (d)前記第3のプールから自身の5’候補配列および/または3’候補配列が78〜83℃の範囲外の融点を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させる工程;
    (e)修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列に関する融点を測定する工程であって、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列は、工程(d)において欠失された候補ヌクレオチド配列のそれぞれ5’候補配列または3’候補配列の修飾された型であり、その理由はその5’候補配列および/または3’候補配列が83℃より高値の融点を有するためであり、ここで修飾された5’候補配列は相当する5’候補配列の5’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されており、そしてここで修飾された3’候補配列は相当する3’候補配列の3’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されている、工程;
    (f)以下、即ち:
    (A)修飾された5’または修飾された3’候補配列、および、
    (B)3’または5’のそれぞれの候補配列またはその修飾された形態;
    の各々が78〜83℃の範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列に由来する事例において;
    第3のプールに(A)および(B)からなる修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第4のプールを生成する工程;
    (g)修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが35ヌクレオチドより大きい場合、工程(e)を1回以上反復する工程であって、ここで修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列はそれぞれ、修飾された5’または修飾された3’候補配列の長さが35ヌクレオチドと(i)等しくなるか、または(ii)それより低値となるか、の何れか早期の状態となるまで、各回、工程(e)よりも多い数のヌクレオチドによりトリミングされている、工程;
    (h)以下、即ち:
    (C)修飾された5’または修飾された3’候補配列、および、
    (D)3’または5’のそれぞれの候補配列または修飾された候補配列;
    の各々が78〜83℃の範囲内の融点を有し、そして両方が同じ候補ヌクレオチド配列に由来する、工程(g)の各々の修飾された5’または修飾された3’候補配列の各々につき;
    第3のプールに(C)および(D)からなる修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第5のプールを生成する工程;および、
    (i)任意に、工程(d)において欠失された異なる候補ヌクレオチド配列1つ以上につき工程(e)〜(h)を反復することにより、候補ヌクレオチド配列の第6のプールを生成する工程、
    を含み、
    これにより、第4、第5および第6のプールは、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接した標的特異的配列の対からなる候補ヌクレオチド配列よりなるものである、方法。
  8. 第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列または修飾された5’候補配列および/または3’候補配列または修飾された3’候補配列の1つまたは複数を、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ読み取り可能な格納媒体、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力する、または表示する工程を更に含む、請求項7に記載の方法。
  9. 候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列が、それぞれ前記候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列に由来する隣接標的特異的ヌクレオチド配列の対として出力される、請求項8に記載の方法。
  10. 第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列、および/またはそれに含有される5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の複数が、前記5’候補配列または修飾された5’候補配列および3’候補配列または修飾された3’候補配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される、請求項7〜9の何れか1項に記載の方法。
  11. 加重評点が下記式:
    (Tm評点*WFa)+(MCB評点*WFb)+(PID評点*WFc)
    に従って計算され、
    式中、Tm評点は下記式:
    (示差的評点+一般的評点)/3
    に従って計算された融点評点であり、
    式中、示差的評点は下記式:
    に従って計算され、
    式中、一般的評点は下記式:
    に従って計算され、
    式中TmAは隣接標的特異的配列の対における5’候補配列または修飾された5’候補配列の融点であり、そしてTmBは隣接標的特異的配列の前記対における3’候補配列または修飾された3’候補配列の融点であり;
    ここで:
    MCB評点は下記式:
    1−(MCB/15)
    に従って計算された最大近接ブロック評点であり;
    式中、MCBは下記:
    (i)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の同一性の最大近接ブロック;
    および、
    (ii)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の同一性の最大近接ブロック;
    のうちの大きいものであり;
    ここで:
    PID評点は下記式:
    1−(PID/85%)
    に従って計算されたパーセント同一性評点であり;
    式中PIDは下記:
    (i)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第1の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の最大のパーセント配列同一性;および、
    (ii)下記:
    (A)隣接標的特異的配列の前記対における第2の標的特異的ヌクレオチド配列;および、
    (B)標的mRNAの相補体以外の、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外の、データベース中の配列;
    の間の最大のパーセント配列同一性;
    のうちの大きいものであり;
    そして式中、PIDcoは第2の所定のカットオフであり;
    そしてここで、WFa、WFb、およびWFcは各々独立して加重ファクターであり、その各々は実数である、請求項10記載の方法。
  12. 複数のプローブ対のそれぞれにおける使用のために隣接標的特異的配列の複数の対を識別するための方法であって、ここで各プローブ対は異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、各標的mRNAに対して、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法に従って隣接標的特異的配列の対を識別することを含む、方法。
  13. 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列を識別するための方法であって、下記工程:
    (a)標的mRNA配列の逆相補体である第1の所定の長さの候補ヌクレオチド配列の第1のプールを生成する工程;
    (b)前記第1のプールから以下の基準:(i)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい逆方向リピートを含有する;(ii)連続ヌクレオチドの所定の長さより大きい正方向リピートを含有する;(iii)所定範囲外のGC含有量を有する:(iv)所定の長さより大きいC残基の近接するストレッチを含有する;および(v)第1の所定の融点範囲外にある融点を有する;の少なくとも2つに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を欠失させることにより、候補ヌクレオチド配列の第2のプールを生成する工程;
    (c)前記第2のプールから所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイズ潜在能力を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させることにより、候補n配列の第3のプールを生成する工程;
    (d)前記第3のプールから第2の所定の温度範囲外の融点を有する候補ヌクレオチド配列の1つ以上を欠失させる工程であって、ここで第2の所定の融点範囲は第1の所定の融点範囲内にある工程;
    (e)修飾された候補ヌクレオチド配列に関する融点を測定する工程であって、ここで修飾された候補ヌクレオチド配列は、工程(d)において欠失された候補ヌクレオチド配列の修飾された型であり、その理由はそれが第2の所定の範囲より高値の融点を有するためであり、ここで修飾された候補ヌクレオチド配列は前記候補ヌクレオチド配列の5’末端または3’末端からヌクレオチド少なくとも1つをトリミングすることにより修飾されている工程;
    (f)修飾された候補ヌクレオチド配列が第2の所定の融点範囲内の融点を有する事例において、第3のプールに修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第4のプールを生成する工程;
    (g)修飾された候補ヌクレオチド配列の長さが第2の所定の長さより大きい場合、工程(e)を1回以上反復する工程であって、ここで修飾された候補ヌクレオチド配列は修飾された候補ヌクレオチド配列の長さが第2の所定の長さと(i)等しくなるか、または(ii)それより低値となるか、の何れか早期の状態となるまで、各回、工程(e)よりも多い数のヌクレオチドによりトリミングされている工程;
    (h)第3のプールに第2の所定の融点範囲内の融点を有する工程(g)の各々の修飾された候補ヌクレオチド配列を追加することにより候補ヌクレオチド配列の第5のプールを生成する工程;および、
    (i)任意に、工程(d)において欠失された異なる候補ヌクレオチド配列1つ以上につき工程(e)〜(h)を反復することにより、候補ヌクレオチド配列の第6のプールを生成する工程、
    を含み、
    これにより、第4、第5および第6のプールは、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおける使用のための標的特異的ヌクレオチド配列よりなるものである、方法。
  14. 第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の1つまたは複数を、ユーザーインタフェースデバイス、コンピュータ読み取り可能な格納媒体、またはローカルもしくはリモートコンピュータシステムに出力する、または表示する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
  15. 工程(c)において、前記候補標的特異的配列が(i)第1の所定のカットオフ以上である、第1の配列(以降「第1の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列パーセント同一性、ここで前記第1の非標的配列は標的mRNAの相補体以外、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第1の非標的配列は細胞mRNA配列またはそれに由来するcDNA配列を含むデータベース中に存在するもの;および(ii)第2の所定のカットオフ以上である、第2の配列(以降「第2の非標的配列」と称する)またはその相補体との配列同一性の近接するブロック、ここで前記第2の非標的配列は標的mRNAの相補体以外であり、そして任意に、標的mRNAと同じ遺伝子に相当するオルタナティブスプライシングされたmRNA1つ以上の相補体以外であり、そしてここで前記第2の非標的配列はデータベース中に存在する;を有する場合に、候補標的特異的配列が前記所定の閾値より高値の非特異的配列に対する交差ハイブリダイゼーション潜在能力を有することが予測される、請求項13および14の何れか1項に記載の方法。
  16. 第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の複数が、前記候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される請求項13および14の何れか1項に記載の方法。
  17. 第4、5および/または6のプールの候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の複数が、前記候補ヌクレオチド配列および/または修飾された候補ヌクレオチド配列の交差ハイブリダイゼーション潜在能力および融点の加重評点に基づいて、順位付けされた順序において出力または表示される請求項15記載の方法。
  18. 複数のプローブのそれぞれにおける使用のための標的特異的配列複数を識別するための方法であって、ここで各プローブは異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、各標的mRNAに対して、請求項1〜17の何れか1項に記載の方法に従って標的特異的配列を識別することを含む、方法。
  19. 第4、5および/または6のプールが候補ヌクレオチド配列を含有しない場合に、更に工程(b)〜(i)を反復する工程を含み、ここで工程(b)はより緩やかな基準の下に実施される請求項1〜18の何れか1項に記載の方法。
  20. 反復の各工程(g)において、修飾された5’候補配列または修飾された3’候補配列が1ヌクレオチドだけトリミングされる、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
  21. 反復の各工程(g)において、修飾された候補ヌクレオチド配列が1ヌクレオチドだけトリミングされる、請求項13〜18の何れか1項に記載の方法。
  22. 工程(b)が、前記以下の基準の少なくとも3つに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を前記第1のプールから欠失させる工程を含む、請求項1〜6および13〜18の何れか1項に記載の方法。
  23. 工程(b)が、前記以下の基準の4つに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を前記第1のプールから欠失させる工程を含む、請求項22記載の方法。
  24. 工程(b)が、前記以下の基準の5つ全てに合致する候補ヌクレオチド配列1つ以上を前記第1のプールから欠失させる工程を含む、請求項22記載の方法。
  25. 第1の所定の長さが、70〜120ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  26. 第2の所定の長さが、30〜45ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 第1の所定の長さが、35〜60ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項13〜18の何れか1項に記載の方法。
  28. 第2の所定の長さが、30〜45ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 工程(b)(i)の逆方向リピートの所定の長さが、5〜7連続ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項1〜6および13〜18の何れか1項に記載の方法。
  30. 工程(b)(ii)の正方向リピートの所定の長さが、7〜9連続ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項1〜6および13〜18の何れか1項に記載の方法。
  31. 工程(b)(iii)のGC含有量の所定の範囲が、下限で35〜45%から上限で65〜80%である、請求項1〜6および13〜18の何れか1項に記載の方法。
  32. 工程(b)(iii)のGC含有量の所定の範囲が、40〜70%である、請求項31記載の方法。
  33. 工程(b)(iv)の所定の長さが3である、請求項1〜6および13〜18の何れか1項に記載の方法。
  34. 第1の所定の融点範囲の最高および最低温度が20℃〜25℃異なる、請求項1〜6および13〜18の何れか1項に記載の方法。
  35. 第1の所定の融点範囲が、60℃〜90℃である、請求項34記載の方法。
  36. 第1の所定の融点範囲が、65℃〜85℃である、請求項34記載の方法。
  37. 第1の所定のカットオフが、70%〜95%配列同一性の範囲から選択される、請求項4、6、15、および17の何れか1項に記載の方法。
  38. 第1の所定のカットオフが、80%〜90%配列同一性の範囲から選択される、請求項37記載の方法。
  39. 第2の所定のカットオフが、10〜18近接ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項4、6、15、17、37および38の何れか1項に記載の方法。
  40. 第2の所定のカットオフが、14〜16近接ヌクレオチドの範囲から選択される、請求項39記載の方法。
  41. 第2の所定の融点範囲の最高および最低温度が、4℃〜8℃異なる、請求項1〜6および13〜18の何れか1項に記載の方法。
  42. 第2の所定の融点範囲が、78℃〜83℃である、請求項41記載の方法。
  43. 第1の非標的配列および第2の非標的配列が同じである、請求項4、7および15の何れか1項に記載の方法。
  44. 第4、5および/または6のプールから、プローブの他の成分中、またはプローブのための調製工程中に存在する配列に対する交差ハイブリダイゼーション潜在能力を有する候補ヌクレオチド配列を除去する工程を更に含む、請求項1〜43の何れか1項に記載の方法。
  45. 標的mRNAが、オルタナティブスプライシングされたmRNAである、請求項1〜43の何れか1項に記載の方法。
  46. 候補ヌクレオチド配列1つ以上が、1つのスプライス型にユニークであるか、または標的mRNAの1つより多いスプライス型に共通であるかどうかを測定する工程を更に含む、請求項45に記載の方法。
  47. 候補ヌクレオチド配列の第1のプールが、1つのスプライス型にユニークな候補ヌクレオチド配列のみを含有する、請求項45に記載の方法。
  48. 候補標的特異的配列の第1のプールが、多数のスプライス型に共通の候補ヌクレオチド配列のみを含有する、請求項45に記載の方法。
  49. コンピュータによって実施される、請求項1〜48の何れか1項に記載の方法。
  50. プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリであって、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法をプロセッサに実施させる複数の機械命令を格納しているメモリを含む、標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブ対における使用のための隣接標的特異的配列の対を識別するためのコンピュータシステム。
  51. 複数のプローブ対のそれぞれにおける使用のための隣接標的特異的配列の複数の対を識別するためのコンピュータシステムであって、ここで各プローブ対は異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリであって、請求項12に記載の方法をプロセッサに実施させる複数の機械命令を格納しているメモリを含む、コンピュータシステム。
  52. 標的mRNAにハイブリダイズ可能なプローブにおける使用のための標的特異的配列を識別するためのコンピュータシステムであって、プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリであって、請求項13〜17の何れか1項に記載の方法をプロセッサに実施させる機械命令複数を格納しているメモリを含む上記コンピュータシステム。
  53. プローブのそれぞれ複数における使用のための標的特異的配列を識別するためのコンピュータシステムであって、ここで各プローブは異なる標的mRNAにハイブリダイズ可能であり、プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリであって、請求項18に記載の方法をプロセッサに実施させる複数の機械命令を格納しているメモリを含む、コンピュータシステム。
  54. プロセッサおよびプロセッサに連結されたメモリであって、請求項1〜49の何れか1項に記載の方法をプロセッサに実施させる複数の機械命令を格納しているメモリを含む、コンピュータシステム。
  55. コンピュータシステムと組み合わせて使用するコンピュータプログラムプロダクトであって、該コンピュータプログラムプロダクトはコンピュータ読み取り可能な格納媒体およびそれに組み込まれたコンピュータプログラム機序を含み、該コンピュータプログラム機序は請求項1〜49の何れか1項に記載の方法を実施するための命令を含む、コンピュータプログラムプロダクト。
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