JP2010514747A - 放射線および安定化組成物の添加によるタンパク質の滅菌 - Google Patents

放射線および安定化組成物の添加によるタンパク質の滅菌 Download PDF

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Abstract

タンパク質を滅菌する方法であって、タンパク質と、以下の特徴:(i)一重項酸素との反応速度が1×10Lmol−1−1より大きい;(ii)還元剤であり、さらに同時に、組成物のpHから3単位以下のpKaを有するプロトン解離基を含む、を両方有する保護化合物または保護化合物の組合せとを含む少なくとも実質的に乾燥した組成物を電離放射線に暴露する工程を含む、方法。特徴(i)を有する化合物は、ヒスチジン、チアミン、およびトリプトファンから選択され、特徴(ii)を有する化合物は、メチオニン、リンゴ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、およびタイロンから選択される。放射線はガンマ放射線または電子ビームであり、その好ましい線量は15〜40kGyである。

Description

本発明は、タンパク質、とりわけ固体状態にあるタンパク質、例えば、乾燥または凍結乾燥により水溶液から水が部分的にまたは完全に除去されている、非液体状態にあるタンパク質の安定化に関するものである。より具体的には、本発明は、電離放射線の存在下、とりわけ周囲温度またはそれよりわずかに高い温度でのタンパク質の安定性に関するものである。
多くのタンパク質は、不安定であり、特定の条件下における分解およびその結果生じる活性の喪失を受けやすい。タンパク質が無菌状態にある必要がある場合、特定の困難性が生じる。
1つの効果的な滅菌技術は、電離放射線、例えばガンマ放射線または電子ビーム放射線への暴露を伴う。電離放射線への暴露による滅菌は特に積極的なプロセスであり、典型的には25から40kGyの線量を必要とする。これらの条件はタンパク質、とりわけ液体状態のタンパク質に損傷を与えるものであり、液体状態のタンパク質の損傷は、水の放射線分解によりフリーラジカル(主にヒドロキシルラジカルおよび水和電子)が生成し、それが次にタンパク質表面の脆弱な基を攻撃することによる。
ガンマ放射線はいくつかのタイプの高エネルギー電離放射線の1つである。それは、放射性原子(例えばコバルト60)の核により放射される高エネルギーの光子で構成される。電離放射線の化学的および生物学的効果は、2つの基本的なタイプの相互作用に基づく。直接的な作用では、放射エネルギーは標的分子内に直接付与される。間接的な作用では、エネルギーの最初の吸収は外部媒体によるものであり、それにより拡散性の中間体が生じ、次にそれが標的を攻撃する。
水に溶解した化学種への損傷を生じさせるものは主に間接的な作用である。このことは、放射線分解のプロセスにより、放射線がまず溶媒(すなわち水)と相互作用して様々な反応種を生じさせることを意味する。次に、これらの反応種は、溶液中に存在する他の溶質(例えばタンパク質)と反応する。したがって、溶解している種をガンマ線の影響から保護するためには、水の放射線分解により生じる反応種の悪影響を軽減する必要がある。
非水性の乾燥状態における電離放射線の正確な機能はほとんど明らかではない。直接的な作用はある程度重要である可能性があるが、間接的な作用は、乾燥状態の化学種に対する電離放射線により生じる損傷の大きな原因であると考えられる。このことは、放射線がまず周囲空気の分子と相互作用し、それにより、気体状態であるかまたは残留水の中に溶解している様々な反応種を生じさせることを意味する。これらの反応種はその後、照射されたサンプル(例えばタンパク質)内に存在する化学種と反応する。
空気の主な構成要素のうち、放射線分解し、他の化学種と速やかに反応するイオン、励起した原子および分子、ならびにフリーラジカルを生じさせる傾向があるものは、とりわけ酸素である。酸素分子の放射線分解は、大気におけるこれらの反応の重要性のため、絶えず関心の対象となっている。以下の4つの一次反応が同定されている。
→O +e
→O+O・+e
→2O・
一次反応により生じた種はさらに以下のように反応する(Mは、酸素のもう1つの分子または過剰なエネルギーを除去するための固体表面)。
+e→2O・
+e→O・
+e→O
+O・+M→O+M
上記に示したように、電離放射線による酸素の照射により複雑な一連の反応が引き起こされ、それにより以下の主要な生成物が生じる。
、すなわち、寿命の短い、励起状態の酸素;典型的には一重項酸素()。
・スーパーオキシドアニオンラジカル(O
・酸素原子(O・)
・酸素分子カチオン(O )および酸素原子カチオン(O
・オゾン(O
通常、タンパク質サンプルから水を除去することにより、電離放射線の存在下におけるタンパク質の安定性が向上する。これは、特許文献1において、ガンマ線照射後にタンパク質活性および構造の回復を向上させる手段として提案されている。水をエタノールまたはアセトンのような代わりの溶媒に置き換えることにより、電離放射線に付した場合のタンパク質の安定性が向上し得ることも提示されている。多くの実施例により、ガンマ線照射の際のタンパク質の安定性に対する水の除去の効果が実証されている。
多くの治療用タンパク質が、乾燥または凍結乾燥により乾燥形態にされる。これらの生成物は、電離放射線により都合良く滅菌することができる。典型的には、電離放射線による滅菌の後にタンパク質の機能的活性および構造的完全性の両方が95%超回復することが必要とされよう。電離放射線への暴露の後の回復が低かった製剤は、治療用途について考慮される可能性は極めて低い。ほとんどのケースにおいて、水分含量が低いだけでは、ガンマ放射線による滅菌の後のタンパク質の機能的活性および構造的完全性の所望の回復は保証されず、したがって、タンパク質の十分な安定性を確実にするためには他の方法を用いなくてはならない。
タンパク質の活性および構造の回復を最大にするために考慮され得る別の方法は、照射されている間のサンプルの温度を低下させる方法である。これは、特許文献1において提案されている。ほとんどの実施例において、タンパク質サンプルは4℃以下でガンマ線により照射された。しかし、これは大規模では実施不可能である。ガンマ線照射または電子ビーム照射による大規模な工業的滅菌は、周囲温度で通常行われる。実際、当業者には、冷却を行わなかった場合、ガンマ放射線または電子ビーム放射線への暴露の際のサンプルの温度が周囲よりも高くなることが知られている。これらの理由から、特許文献1に示されているほとんどの実施例は調査目的のものにすぎない。
ガンマ線照射または電子ビーム照射の後にタンパク質の構造的および機能的特徴を95%超保持するために考えられ得るさらに別の方法は、タンパク質製剤内への賦形剤の添加である。単独で、または温度の低下のような他の方法と典型的には組み合わせてタンパク質の回復を向上させ得る、多くの賦形剤が、特許文献1において示唆されている。ガンマ線照射後の乾燥状態のタンパク質の回復の向上におけるわずかな数の賦形剤の効果が、いくつかの実施例において実証されており、ある程度の一般化が行われている。賦形剤は概して、「抗酸化剤」および「フリーラジカルスカベンジャー」という用語で定義されており、これらの用語は多数の化合物を包含する。これらの用語のより詳細な定義または特定は開示されていない。
「フリーラジカルスカベンジャー」という用語は、典型的には、あらゆる1つのフリーラジカルと非常に速やかに反応し得る化合物を言う。フリーラジカルと言える1つ以上の不対電子を有する不安定な化学種が多く存在する。ほとんどの化合物はフリーラジカルと反応することが知られている。最も速い速度で反応する化合物は、したがってフリーラジカルの封鎖において最も効果的なものであり、「フリーラジカルスカベンジャー」と呼ばれる。しかし、異なるフリーラジカルとの所与の化合物の反応速度は著しく変化する。したがって、所与の化合物は、1つのフリーラジカルの効果的なスカベンジャーであると言うことができるが、別のフリーラジカルの捕捉においては全く効果的ではない可能性がある。例えば、リンゴ酸塩のアニオンはスーパーオキシドの非常に効果的なスカベンジャーであることが知られている。しかし、水和電子と呼ばれる別のフリーラジカルとのリンゴ酸塩のアニオンの反応速度は、多くの他の化合物の反応速度よりも3桁超低い。同様に、クエン酸塩は、スーパーオキシドの効果的なスカベンジャーであるが一重項酸素および水和電子およびヒドロキシルラジカルの効果的なスカベンジャーではないことが知られている。アデノシンは、水和電子およびヒドロキシルラジカルの両方の非常に効果的なスカベンジャーであるが、一重項酸素の非常に効果的なスカベンジャーではない。酵素スーパーオキシドジスムターゼは、スーパーオキシドの捕捉においてのみ効果的であるが、他のフリーラジカルの活性に対しては効果を有さない。これらは、フリーラジカルを捕捉する効果が特定のフリーラジカル種に対して非常に選択的である化合物の、ほんのわずかな例にすぎない。
したがって、「フリーラジカルスカベンジャー」という用語はこれまでに記載した化合物の特性をある程度示すが、個別のフリーラジカルとの化合物の実際の反応性を明らかにするためにはさらなる定義が必要である。
抗酸化剤という用語の定義は数多く存在する。最も広い意味では、抗酸化剤は、酸化しやすい基質よりも低い濃度で存在する場合に基質の酸化を顕著に遅らせるかまたは減少させる物質である。しかし、典型的には、この用語は、生理学的に重要な物質のみ、すなわち、ヒトもしくは動物の代謝において役割を担う物質またはヒトもしくは動物の食事の中に見られる物質に関するものである。それらはまた、典型的には、様々なフリーラジカルにより生じる反作用的な酸化効果に関するものであり、したがって、抗酸化剤の定義は「フリーラジカルスカベンジャー」の定義と同一のものとして表されることが時々ある。しかし、これは常に当てはまることではなく、いくつかのフリーラジカルは、酸化を通してはそれらの反応性を発揮しない。例えば、フリーラジカル水和電子は、あらゆる酸化的損傷を全くもたらし得ない非常に強い還元剤である。
特許文献1における実施例は、ガンマ線照射を通して乾燥状態の(典型的には凍結乾燥された)モデルタンパク質の安定性の向上を示す、化合物の様々な組合せについてのものである。典型的には、これらは、アスコルビン酸塩、グリシルグリシン、尿酸塩、およびトロロックスの組合せである。加えて、リポ酸、グルタチオン、システイン、およびエピカテキンまたはルチンなどのいくつかのフラボノイドもまた、ある程度の保護効果を有することが示されている。これらの実験のほとんどは、照射後のタンパク質の活性または構造的完全性の回復を最大にするために4℃以下で実施されたものである。いくつかのケースにおいて、賦形剤の組合せ(主にアスコルビン酸塩およびグリシルグリシン)を低温で用いると、照射後のタンパク質活性の95%超が回復した。とは言え、これは、モノクローナル抗体などのタンパク質が賦形剤の不存在下においてガンマ線照射の後に良好な回復(典型的には60〜70%)を本質的に示す唯一のケースであった。本発明者らの実験的な経験において、保護されていないタンパク質のこのような良好な安定性は非常に稀である。特許文献1におけるいずれの実施例も、周囲温度で電離放射線に暴露した後、乾燥状態のタンパク質活性の95%を超える回復を示していない。さらに、特許文献1の実施例において用いられた賦形剤のいくつかは、それらの価格(例えばエピカテキン)またはそれらの安全性(例えば尿酸塩、ルチン)のため、治療用製剤における使用については考慮されないであろう。
米国特許出願公開第2003/0012687号
滅菌後の回復の効率は、治療用タンパク質にとりわけ重要である。既知の方法および材料では、工業規格の線量レベル(25〜40kGy)で電離放射線を適用した後に95%を超える活性または構造的完全性の回復を得るための信頼性のある手段は得られない。このような回復の効率はわずかに報告されているのみであり、回復が十分であるケースにおいては、関連するタンパク質は常に、特定のモノクローナル抗体のような、電離放射線に対する高い内因性の耐性を有するものである。さらに、いずれの治療用途にも、95%未満の回復は容認されないであろう。したがって、全線量の電離照射への暴露の後にタンパク質の95%を超える回復を確実に得ることができる技術が必要とされている。
適切な安定剤の選択もまた非常に重要である。上述したように、先行技術は、非常に広範なクラスまたはタイプの化合物(例えば「フリーラジカルスカベンジャー」または「抗酸化剤」)を潜在的な安定剤として同定している。これらの一般的なクラスに当てはまる膨大な数の化合物により、適切な保護剤(賦形剤)の選択の作業が困難になっている。とりわけ、利用可能な特定の実施例では適切な性能が得られないため、当業者および化学のこのような側面について博識な者は、何千もの化合物をスクリーニングする必要性に直面するであろう。これらの化合物の大部分は効果的ではないことが判明する。当業者が簡潔にかつ確実に、乾燥タンパク質製剤のガンマ線照射を通して95%超の回復を提供する、これらの稀な医学的に許容可能なタンパク質安定剤を同定することを可能にする明らかな教示は存在していない。したがって、効果的な賦形剤を効率的かつ正確に同定および製剤することを可能にするために、所望の保護を得るためにどのような化学的特徴が必要であるかということについての新たな理解および明らかな教示が必要である。
驚くべきことに、抗酸化剤および/またはフリーラジカルスカベンジャーの一般的に許容される定義に当てはまる多くの化合物が、単独でまたは組合せで、電離放射線による照射の際のモデルタンパク質の安定性の不十分な向上の原因となることが見出されている。抗酸化剤と他の「フリーラジカルスカベンジャー」との多くの組合せが、ガンマ線滅菌の際の乾燥タンパク質の安定性を良好に向上させ得るが、タンパク質の治療用製剤にとって十分であろう工業規格の滅菌サービスによる周囲温度での電離放射線による滅菌の際にタンパク質の保護を付与することができるものは、非常に特異的な賦形剤の組合せのみであることが分かっている。
1つの態様において、本発明は、乾燥状態のタンパク質を滅菌する方法であって、タンパク質を、以下の特徴:
(i)一重項酸素との反応速度が良好である(すなわち、周囲温度で速度定数k>1×10Lmol−1−1);および
(ii)乾燥状態において効果的なスーパーオキシドアニオンのスカベンジャー、すなわち、還元剤、好ましくは弱い還元剤(+0.1V以上のEを有する)であり、同時に、プロトンをスーパーオキシドラジカルと速やかに交換することができる、
を両方有する保護化合物または保護化合物の組合せと接触させる工程;ならびに
タンパク質および保護化合物を電離放射線に暴露する工程
を含む方法を提供するものである。
所望により、組成物は追加の還元剤、好ましくは弱い還元剤(+0.1V以上のEを有する)を含む。
保護は、完全なもの、すなわち、電離放射線への暴露で活性が全く失われないように活性を100%保持するものであり得るか、または、電離放射線への暴露である程度の(しかし全てではない)活性が失われるように、活性を100%未満保持する部分的なものであり得る。活性の保持は、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、または90%であり、最も好ましくは少なくとも95%である。
電離放射線は典型的にはガンマ放射線、電子ビーム放射線、またはX線放射線の形態である。
本発明はまた、乾燥状態のタンパク質と、以下の特徴:
(i)一重項酸素との反応速度が良好である(すなわち、周囲温度で速度定数k>1×10Lmol−1−1
(ii)乾燥状態において効果的なスーパーオキシドアニオンのスカベンジャー、すなわち、還元剤、好ましくは弱い還元剤(+0.1V以上のEを有する)であり、同時に、プロトンをスーパーオキシドラジカルと速やかに交換することができる、
を有する保護化合物または保護化合物の組合せとを含む組成物も提供する。
所望により、組成物は追加の還元剤、好ましくは弱い還元剤(+0.1V以上のEを有する)を含む。組成物は、電離放射線への暴露により望ましく滅菌されている。本発明は、電離放射線への暴露後に微生物学的に無菌の状態にあるタンパク質も対象とする。
本発明の全ての態様において、タンパク質および保護化合物を含む組成物のpHは所望の値、例えば、滅菌の際および滅菌の後のタンパク質の最良の熱安定性を確実にする値に調節することができる。典型的には、タンパク質は4から9のpHで製剤される。ほとんどの治療用タンパク質または診断目的で用いられるタンパク質は、pH5から8で製剤され、典型的にはpH5から7、最も典型的にはおよそ6のpHで製剤される。
少なくとも1つのジスルフィド架橋を含む20個未満のアミノ酸を含む小ペプチドは、最適な安定性を確実にするためには、4から6、典型的にはおよそ5のpHでの製剤が必要である可能性が高い。これは、ジスルフィド結合の安定性が4から5のpHで最良であるためである。したがって、さらなる態様において、本発明は、乾燥状態の20個未満のアミノ酸を有するペプチドと、以下の特徴:
(i)一重項酸素との反応速度が良好である(すなわち、周囲温度で速度定数k>1×10Lmol−1−1);および
(ii)乾燥状態において効果的なスーパーオキシドアニオンのスカベンジャー、すなわち、還元剤、好ましくは弱い還元剤(+0.1V以上のEを有する)であり、同時に、プロトンをスーパーオキシドラジカルと速やかに交換することができる、
を有する保護化合物または保護化合物の組合せとを含み、
pHがおよそ5である、組成物も提供する。
所望により、組成物は追加の還元剤、好ましくは弱い還元剤(+0.1V以上のEを有する)を含む。組成物は、電離放射線への暴露により望ましく滅菌されている。
本発明は、水の非存在下でのタンパク質に対する電離放射線の効果を分析し、その後、固体状態のタンパク質を電離放射線の有害な影響から保護して治療用途に許容可能であろう機能的活性および構造的完全性を回復させ得る化合物の、またはより典型的には化合物の組合せの選択を可能にするモデルを開発することに起因した。
治療用タンパク質の無菌固体製剤の商業的生産は本発明の主要な応用の1つであるため、GRASとして列挙されている、および好ましくはFDAにより認可された治療用生成物における不活性成分として列挙されている、安価な賦形剤が重視される。周囲温度での工業規格のガンマ放射線(25〜40kGy)をモデル電離放射線として用いることができる。
電離放射線の間接的な作用により生じる乾燥製剤におけるタンパク質の分解には、気体状態であるかまたは残留水の中に溶解している反応性酸素種が介在する。反応性酸素種および他のフリーラジカルとの反応による生物系の分解は周知であり、組織の損傷の多くの形態、疾病、および老化プロセスと関連している。このような相互作用は、ほとんどの生物系にとって典型的な環境である水溶液において一般に考慮される。したがって、科学文献は、フリーラジカルが介在する、水溶液における様々な生物系および生化学系の分解に関する情報が豊富である。乾燥組成物における反応性酸素種の反応についてのこのような情報は少ない。とは言え、反応性酸素種は、気体状態で生成されることが知られており、したがって、固気界面での化学種との反応は速やかに生じると予期することが可能である。さらに、非常に乾燥したサンプルであっても、溶解状態の反応種の効果を促進する残留水の痕跡を予期することができる。
本発明の組成物は、典型的には10重量%以下、好ましくは5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下の水を含む。
反応性酸素種は、反応性が非常に大きいため、たとえ酸素のない雰囲気においてサンプルが照射されても(例えば、サンプルが窒素下に置かれていても)、乾燥タンパク質サンプルにおける間接的な放射損傷の原因であると考えられている。このことは、窒素雰囲気下においてある程度の酸素がその疎水性によりタンパク質表面に吸着したままとなるということにより説明することができる。強い疎水性相互作用は、酸素分子とタンパク質の疎水性部分との間で可能である。したがって、タンパク質が窒素下に置かれている場合、電離放射線により滅菌される時のタンパク質の安定性は著しく向上し得るが、反応性酸素種に対するある程度の保護が依然として必要である。
反応性酸素種により生じる損傷からの保護は、反応種と反応してそれにより反応種を「捕捉」する、犠牲的分子を介して得ることができる。したがって、電離放射線に付したタンパク質の乾燥組成物を保護するためには、気体酸素の放射線分解の1つ以上の生成物と速やかに反応する1つ以上の化合物を加えることが必要である。電離放射線による滅菌の後にタンパク質の活性および構造的完全性を非常に高度に回復させるためには、酸素の放射線分解により生じる主な反応性化学種の全てを効果的に捕捉し得る化合物を加えることが必須である。
所与の反応性酸素種の「スカベンジャー」として作用する化合物の能力は、その種と反応するその迅速性に依存する。これは、反応性化学種と捕捉種との間の反応の速度定数を用いて定量的に表すことができる。用いた実験方法の詳細を含む、幅広い化合物と一重項酸素の反応についての速度定数は、ノートルダム放射線研究所(Notre Dame Radiation Laboratory)(ノートルダム大学、IN、USA)の放射線化学データセンター(Radiation Chemistry Data Center)(RCDC)により維持されているウェブサイトから得ることができる。これは、放射線、化学的および光化学的方法により生じる一時的な中間体の反応を特徴付けするデータの収集、評価、および配布に尽力している情報資源であり、http://www.rcdc.nd.edu/compilations/SingOx/TOC.HTMのリンクを介して辿り着くことができる。実験方法の詳細を含む速度定数は、以下の刊行物でも見ることができる:Wilkinson F., Helman W.P., Ross A.B.: Rate Constants for the Decay and Reactions of the Lowest Electronically Excited Single State of Molecular Oxygen in Solution. An Expanded and Revised Compilation. J. Phys. Chem. Ref. Data 24: 663-1021 (1995)。この参考文献および本明細書において特定される他の参考文献の内容は、参照することにより組み込まれる。
選択された化学種が特定の溶媒に溶解している場合のこれらの速度定数の値が測定されるが、その値は乾燥状態におけるそれらの反応性を反映していると仮定することができる。これは非常に関連性があるが、それは、溶媒(典型的には遊離水または結合水)の痕跡をタンパク質のほとんど全ての乾燥サンプルにおいて予期することができるためである。反応速度の閾値10Lmol−1−1が、一重項酸素の効果的なスカベンジャーを選択するために選ばれた(報告された判断に基づいて)。
一重項酸素のスカベンジャーとは別に、化学反応を行うことなく一重項酸素の反応性を消失させ得る化合物が少数存在する。これらの化合物は、一重項酸素消去剤として知られている。一重項酸素クエンチャーの典型的な例は、1,4−ジアザビシクロオクタン、α−トコフェロール、およびβ−カロテンである(Halliwell, 1999)。
定量的な速度論的データが利用できない場合、所与のフリーラジカルのスカベンジャーを選択するために定性的アプローチを適用することができる。これは、このような定性的な記載が科学文献において見られれば、化学種が所与のフリーラジカルの効果的なスカベンジャーであると考えられることを意味している。このような定性的な記載は、一重項酸素、スーパーオキシド、およびオゾンのスカベンジャーについて容易に見い出すことができる。
以下の論理的根拠を、乾燥しているかまたはほぼ乾燥している組成物において効果的なスーパーオキシドアニオンのスカベンジャーを同定するために用いた。スーパーオキシドは、酸化性フリーラジカルおよび還元性フリーラジカルの両方として作用することができる。例えば、スーパーオキシドは、シトクロムcにおけるヘムFe(III)を還元することができ、また、スーパーオキシドは、アスコルビン酸イオンを酸化させることができる。スーパーオキシドの酸化力は、プロトン化された形態(HO・)で増大する。しかし、水系におけるスーパーオキシドのpKaが低いため、プロトン化が起こることは考えにくく、水溶液におけるスーパーオキシドの反応性は他のフリーラジカルの反応性よりも著しく低い。したがって、スーパーオキシドは、水溶液におけるタンパク質の放射線損傷の主な原因ではないと考えられる(Halliwell and Gutteridge, 1999)。しかし、水の活性が低い系において(例えば、有機溶媒または乾燥したもしくはほぼ乾燥した系において)、スーパーオキシドがプロトンを受け取る能力は著しく増大し、したがってその酸化能力は劇的に増大する。このような系において、スーパーオキシドは、プロトンを供与し得る化合物に対してのみ酸化剤として作用することが知られている(Halliwell and Gutteridge, 1999)。タンパク質は複数のプロトン供与部位および複数の酸化可能部位を含むため、乾燥した(またはほぼ乾燥した)系における放射能損傷に対するスーパーオキシドの寄与は著しく増大する。したがって、上述したように、乾燥状態においてスーパーオキシドの影響からタンパク質を保護するために、乾燥状態においてスーパーオキシドラジカルを捕捉することができる適切な化合物を加える必要がある。このような化合物は、以下の2つの基準:
・それらは化学的に酸化され得る(すなわち、それらは強い還元剤または弱い還元剤である)
・それらは、プロトンをスーパーオキシドラジカルと速やかに交換することが可能である(すなわち、それらは、製剤のpHから3pH単位まで、好ましくは製剤のpHから2pH単位まで、および最も好ましくは製剤のpHから1pH単位までのpKaでプロトンの交換が可能である官能基を含む)
の両方を満たすものである。
このような化合物の例としては、1つ以上のヒドロキシル基を含むカルボン酸(例えば、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、チロシン、チアミンなど)(およびその塩)、チオール基を含むカルボン酸(例えば、システイン、チオサリチル酸、チオグリコール酸など)、ならびに、ヒスチジン、メチオニンなどのような、プロトンの解離および化学酸化が同時に可能である他の化合物がある。
気体状態の酸素の放射線分解で生じた残存している酸素ラジカル種(O 、O、およびO・)との化学種の反応の速度は、化学的出典においては広く入手可能ではない。同様に、これらのラジカル種のスカベンジャーの定性的な記載を見い出すことも困難である。したがって、これらのフリーラジカルの効果的な「スカベンジャー」を明確に同定することは、本発明の目的のためには実質的に不可能であり、したがって、O 、O、およびO・のスカベンジャーの効果は本モデルにおいては二次的に重要なものである。しかし、全てのこれらのラジカルは電子を欠いている(したがって電子により安定化し得る)ため、アスコルビン酸、チアミン、またはヨウ化物アニオンなどの、低い酸化還元電位を有する化合物(すなわち、電子を供与しやすい還元性化合物)は、これらの種のスカベンジャーとして作用すると仮定することができる。しかし、低い酸化還元電位を有する添加剤の選択は、問題にしているタンパク質の性質を考慮しなくてはならない。多くの場合、アスコルビン酸またはシステインのような非常に低い酸化還元電位を有する強い還元剤は避けることが重要であり、それは、このような化合物により、タンパク質の天然構造を維持するために必要であるジスルフィド結合が破壊され得るからである。例えば、この特定の理由から、ヒト成長ホルモンは、アスコルビン酸には不適合である。したがって、通常は、弱い還元剤(ヨウ化物またはチアミンなど)が、強い還元剤(アスコルビン酸塩など)よりも好ましい。
一般的な経験則として、本発明の状況において弱い酸化剤と強い酸化剤とを区別するために、チオール/ジスルフィド対の標準酸化還元電位(E)は通常−0.2Vから−0.3Vであるという推論が示唆される。タンパク質におけるジスルフィド架橋の還元を防ぐことが重要であるケースでは、加えた還元剤が−0.2Vよりはるかに大きい標準酸化還元電位を有していることを確実にすることが重要である。逆に、チオール/ジスルフィド対のEと同程度であるかまたはそれよりも低いEを有する還元剤を加えると、通常、ジスルフィド架橋の還元が生じる。したがって、弱い酸化剤と強い酸化剤を区別するための任意の評価基準が次のように設定された:「強い」還元剤はE<0.1Vである還元剤であり、「弱い」還元剤はE>0.1Vである還元剤である。
反応性酸素種のスカベンジャーの例を表1に示す。この表は、限られた数の、選択された反応性酸素種の潜在的なスカベンジャーのみを列挙しており、本発明は、決してこれらの化合物の使用に限定されるものではない。
Figure 2010514747
以下のタイプの化合物:
− 一重項酸素スカベンジャー
− スーパーオキシドスカベンジャー(乾燥状態において効果的なもの、すなわち、プロトンの解離および化学酸化が同時に可能である化合物)
− オゾンスカベンジャー
− 弱い還元剤
のそれぞれが、ガンマ線照射を通して乾燥状態のモデルタンパク質をある程度保護し得ることが実験的に示された。
しかし、上記のタイプの化合物のいずれも、治療用製剤のための必要条件を満たすモデルタンパク質の安定性を単独で付与することはできない。このような安定性は、化合物が組み合わされて、それにより、組成物が、一重項酸素の少なくとも1つのスカベンジャーと弱いまたは強い還元剤である少なくとも1つの化合物とを含み、かつ同時に、プロトンをスーパーオキシドラジカルと速やかに交換することが可能である(すなわち、化合物が、製剤のpHから3pH単位まで、好ましくは製剤のpHから2pH単位まで、および最も好ましくは製剤のpHから1pH単位までのpKaでプロトンの交換が可能である官能基を含む)場合においてのみ得ることができた。本発明の状況において、このような化合物は「乾燥状態において効果的なスーパーオキシドスカベンジャー」と呼ばれる。
オゾンスカベンジャーは単独で電離放射線を通してタンパク質の安定性をある程度向上させることができたが、それらの重要性は組合せ製剤においては限られることが分かった。このことは、オゾンが酸素の放射線分解の副生成物であるということにより説明することができる。したがって、オゾンスカベンジャーの重要性は、一次生成物が他の添加剤によって効果的に除去される限りにおいて限定されている。それにもかかわらず、オゾンスカベンジャーは組合せ製剤において依然として任意の賦形剤として使用され得る。
同様に、プロトンを周囲の分子と交換することが不可能な還元剤(好ましくはE>0.1Vである弱い還元剤)を所望により製剤に添加し、電離放射線を通して製剤の安定性をさらに向上させることができる。
したがって、電離放射線による滅菌を通して乾燥タンパク質のある程度の安定性を得るためには、製剤は以下:
・1つ以上の一重項酸素スカベンジャー(すなわち、一重項酸素との1×10Lmol−1−1より大きい反応速度を有する化合物)
・乾燥状態において効果的な1つ以上のスーパーオキシドスカベンジャー
・1つ以上のオゾンスカベンジャー
・酸化還元電位が低い1つ以上の追加の化合物(好ましくはE>0.1Vである弱い還元剤)
の1つを含むべきである。
電離放射線による滅菌を通して乾燥タンパク質の十分な安定性を得るためには、製剤は以下の1つを含むべきである。
・1つ以上の一重項酸素スカベンジャーおよび乾燥状態において効果的な1つ以上のスーパーオキシドスカベンジャーの組合せ。所望により、製剤はオゾンスカベンジャーを含み得る。
・1つ以上の一重項酸素スカベンジャーおよび酸化還元電位が低い1つ以上の化合物(好ましくはE>0.1Vである弱い還元剤)の組合せ。所望により、製剤はオゾンスカベンジャーを含み得る。
・乾燥状態において効果的な1つ以上のスーパーオキシドスカベンジャーおよび酸化還元電位が低い1つ以上の化合物(好ましくはE>0.1Vである弱い還元剤)の組合せ。所望により、製剤はオゾンスカベンジャーを含み得る。
無菌の治療用製剤のための厳密な安定性の必要条件を満たす、電離放射線による滅菌を通しての乾燥タンパク質の最良の安定性を得るためには、製剤は以下の1つを含むべきである。
・1つ以上の一重項酸素スカベンジャー、乾燥状態において効果的な1つ以上のスーパーオキシドスカベンジャー、および酸化還元電位が低い1つ以上の化合物(好ましくはE>0.1Vである弱い還元剤)の組合せ。所望により、製剤はオゾンスカベンジャーを含み得る。
要求される特徴、すなわち、一重項酸素、スーパーオキシド(乾燥状態において効果的な)、およびオゾンの捕捉能力、ならびに低い酸化還元電位は、全て、単一の保護化合物内に存在し得るが、それらは、保護化合物の組合せを共に形成する2つ以上の異なる化合物内に別々に存在する可能性がさらに高い。また、保護化合物の組合せのいくつかの構成要素が同一の必要条件を満たすことも可能である。
保護は、完全なもの、すなわち、電離放射線への暴露で活性が全く失われないように活性を100%保持するものであり得るか、または、電離放射線への暴露である程度の(しかし全てではない)活性が失われるように、活性を100%未満保持する部分的なものであり得る。活性の保持は、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、または90%であり、最も好ましくは少なくとも95%である。
電離放射線は典型的にはガンマ放射線、電子ビーム放射線、またはX線放射線の形態である。
保護化合物は、所望により、タンパク質製剤において望まれ得るかまたは必要とされ得る他の成分(例えば、抗菌剤、補因子、充填物質)と組み合わせて用いることができる。
保護化合物を含む製剤のpHは所望の値、例えば、滅菌の際および滅菌の後のタンパク質の最良の熱安定性を確実にする値に調節することができる。典型的には、タンパク質は4から9のpHで製剤される。ほとんどの治療用タンパク質または診断目的で用いられるタンパク質は、pH5から8で製剤され、典型的にはpH5から7、およそ6のpHで製剤されることが多い。
少なくとも1つのジスルフィド架橋を含む20個未満のアミノ酸を含む小ペプチドは、最適な安定性を確実にするためには、4から6、典型的にはおよそ5のpHでの製剤が必要である可能性が高い。これは、ジスルフィド結合の安定性が4から5のpHで最良であるためである。
「タンパク質」という用語は、本明細書において、単一のポリペプチドからなる分子または分子複合体、2つ以上のポリペプチドを含む分子または分子複合体、および、1つ以上のポリペプチドを、補欠分子族、補因子などのような1つ以上の非ポリペプチド部分と共に含む分子または分子複合体を包含するように用いられる。「ポリペプチド」という用語は、グリコシル化されたポリペプチド、糖タンパク質などのような共有結合した非アミノ酸部分を含むポリペプチドを包含することを意図している。とりわけ、本発明は、目的の1つ以上の生物学的活性を有する分子に関するものであり、その1つ以上の活性は、分子または分子複合体の少なくとも重要な部分における特定のまたは天然の三次元構造の保持に非常に依存している。概して、本発明は、あらゆる分子量のポリペプチドに適用可能であると考えられる。タンパク質の例はWO2007/003936に示されており、その内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
概して、とりわけ医学的用途のためのタンパク質と共に、できるだけ低濃度であるがそれでも効果的な保護を得る、化合物を使用することが望ましい。保護化合物/タンパク質の重量比は典型的には1〜1000の範囲であり、好ましくは5〜200、最も好ましくは10〜100の範囲である。
一重項酸素スカベンジャー、乾燥状態において効果的なスーパーオキシドのスカベンジャー、および所望により追加の弱い還元剤を含み、したがって電離放射線による滅菌の際に治療用途または診断用途のためのタンパク質の最良の安定性を付与する、最も好ましいタンパク質製剤を表2に列挙する。この表は、限られた数の、賦形剤の好ましい混合物のみを列挙するものであり、本発明はこれらの製剤の使用に限定されるものではない。これらの製剤における賦形剤およびタンパク質の間の重量比は典型的には1〜1000の範囲であり、好ましくは5〜200、最も好ましくは10〜100の範囲である。製剤におけるあらゆる2つの賦形剤の間の重量比は典型的には1〜10の範囲であり、好ましくは1〜5の範囲である。製剤のpHはあらゆる所要の値、典型的には4から9に調節することができる。ほとんどの治療用タンパク質では、所要のpH範囲は典型的には5から7であり、およそ6であることが多い。しかし、ジスルフィド架橋を有する小ペプチド(20個未満のアミノ酸)では最適なpHはより低い可能性があり、典型的には4から6であり、およそ5であることが多い。
Figure 2010514747
以下の実施例は本発明を例示するものである。実施例は、乾燥製剤のガンマ線滅菌後の測定可能なタンパク質活性または測定可能な構造的完全性の回復に対する様々な潜在的保護化合物(単一または組合せの)の保護効果に対する実用的研究の結果をまとめたものである。
化学物質および他の材料
水(伝導度<10μScm−1;分析試薬グレード、Fisher、またはSanyo Fistreem MultiPureのいずれか)
カタラーゼ(ウシ肝臓由来のもの、Sigma C9322、2380U/固形物mg)
クエン酸(Fisher、Code C/6200/53)
脱イオン水(伝導度<10μScm−1;分析試薬グレード、Fisher、またはSanyo Fistreem MultiPureのいずれか)
オルトリン酸水素二ナトリウム(Fisher、Code S/4520/53)
DMSO−ジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich Code154938−500)
グルコース(Fisher、Code G050061)
グルコースオキシダーゼ(Biocatalysts G575P〜150U/固形物mg)
ヒト成長ホルモン標準品は、国立生物学的製剤研究所(National Institute of Biological Standards and Control)から供給されたものであった。実験のためのさらなるサンプルは、地域の一般診療所(GP surgery)の処方箋で得たものであった。
塩酸(Fisher、Code J/4310/17)
過酸化水素(Sigma H1009)
ラクトペルオキシダーゼ(牛乳由来のもの、DMV International:ABTS法で1050単位mg−1、pH5.0)
ヨウ化カリウム(Fisher、Code 5880/53)
オルトリン酸二水素ナトリウム(Fisher、Code S/3760/60)
デンプン(Acros Organics、Code 177132500)
TMB−テトラメチルベンジジン(Sigma T−2885)
トリス塩基
n−プロピルアルコール
全般的な実験計画
各実施例において、タンパク質の水溶液を、選択した添加物と共にエッペンドルフチューブまたはガラスバイアルの中に調製した。30℃の窒素気流下で乾燥し、その後乾燥剤の存在下において大気圧でインキュベートすることにより、製剤から水を除去した。エッペンドルフチューブまたはガラスバイアルを封止し、無菌の医薬品に典型的な線量範囲でガンマ線照射するための工業的滅菌サービスに送った。ガンマ線照射したサンプルが戻ったらすぐに再構築し、タンパク質の活性または構造的完全性について分析した。結果を、対照(すなわち照射していない)サンプルを用いて得られた結果と比較した。
ガンマ線照射
乾燥サンプル(エッペンドルフチューブにおよそ20μg)を、コバルト60ガンマ源を周囲温度で用いて、Isotron PLC(Swindon、Wilts、UK)により提供されている工業規格の商業的滅菌サービスによりガンマ線照射した。放射線量は25〜40kGyの範囲であった。
グルコースオキシダーゼ活性のアッセイ
原溶液(すなわち乾燥前の溶液)は、350μgmL−1のグルコースオキシダーゼ、および典型的には全体で100mMの保護化合物(すなわち、単一の化合物の場合は100mM、2つの化合物の場合は50mM+50mM、3つの化合物の場合は33.3mM+33.3mM+33.3mMなど)を含むものであった。溶液を乾燥し、ガンマ線照射した。ガンマ線照射の後、ガンマ線照射前およびガンマ線照射後の両方のサンプルをグルコースオキシダーゼ活性についてアッセイした。これは以下の手順に従って行った。
グルコースオキシダーゼが350μgmL−1となるように、水をサンプルに加えた。50μLの溶液を50mLの脱イオン化水に加えた。次に、以下の溶液を加えた。
・10mLの試薬混合物(0.1M、pH6のリン酸ナトリウムを5部、および2%w/wのデンプンを4部、および1mg/mLのラクトペルオキシダーゼ酵素を1部);
・100mMのヨウ化カリウムを5mL、ならびに
・20%w/wのグルコース溶液を5mL。
これらを素早く混合した。時間=0はグルコースの添加からカウントした。5分後、5Mの塩酸水溶液を1ml加えて反応を停止させた。次にUnicam UV可視分光光度計(タイプ:ヘリオスガンマ)を用いて、吸光度を630nmで読み取った。色の強さが、正確な読み取りを可能にするには強すぎる場合、サンプルを所定の容量の脱イオン化水で希釈し、色をスケールに戻した。結果は、ガンマ線照射前のサンプルで測定した吸光度を基準にしたパーセンテージの回復で表した。
カタラーゼ活性のアッセイ
原溶液(すなわち乾燥前の溶液)は、100μgmL−1のカタラーゼ、および典型的には全体で100mMの保護化合物(すなわち、単一の化合物の場合は100mM、2つの化合物の場合は50mM+50mM、3つの化合物の場合は33.3mM+33.3mM+33.3mMなど)を含むものであった。溶液を乾燥し、ガンマ線照射した。ガンマ線照射の後、ガンマ線照射前およびガンマ線照射後の両方のサンプルをグルコースオキシダーゼ活性についてアッセイした。これは以下の手順に従って行った。
カタラーゼが100μgmL−1となるように、水をサンプルに加えた。100μLの溶液を、125mLのポリプロピレンポット内の18mLのPBSおよび2mLの過酸化水素(水中で30mM)の混合物に加え、混合した。得られた混合物を、正確に30分間、室温でインキュベートした。一方、以下の試薬:
・2.73mLのクエン酸/リン酸バッファー(0.1M、pH5.0)
・100μLのテトラメチルベンジジン(TMB)(3mg/mL、ジメシルスルホキシド(DMSO)内に溶解している)
・100μLのラクトペルオキシダーゼ
をプラスチックのキュベット内に混合し、分光光度の測定を行った。
30分のインキュベーション時間の後、70μLのカタラーゼ含有混合物をキュベットに加え、およそ30秒間、吸光度を読み取った。結果は、新鮮なサンプル(すなわち、上昇している温度でのインキュベーションの前)において測定した吸光度を基準にしたパーセンテージの回復で表した。
ヒト成長ホルモンのHPLCアッセイ
移動相は、71部(容量で)のTRIS溶液(塩酸でpH7.5に調節した水中で0.05M)および29部(容量で)のn−プロピルアルコールを混合することにより調製した。移動相は使用する前に濾過した。液体クロマトグラフ(Agilent 1100シリーズ)は、214nmの検出器、および45℃に維持された、5μmの粒度と30nmの気孔とを有するブチルシリルシリカゲルが充填された4.6×250mmのカラム(Phenomenex 00G−4167−E0)を備えているものであった。流量は0.5mL分−1に維持した。15μLのヒト成長ホルモンの水性サンプル(典型的には1〜2.5mgmL−1)を注入した。結果は、ガンマ線照射していないサンプルで測定したピーク領域に対する、ガンマ線照射したサンプルに対応するピーク領域の%で表した。
サンドスタチンのHPLCアッセイ
移動相Aは、リン酸でpH2.3に調節した0.1Mのトリエチルアミンであった。移動相Bはアセトニトリルであった。移動相は使用する前に濾過した。時間0:90%A+10%B;時間35分:60%A+40%Bの線形勾配を用いた。液体クロマトグラフ(Agilent 1100シリーズ)は、214nmの検出器、ガードカラム、および周囲温度に維持された、5μmの粒度と30nmの気孔とを有する4.6×150mmのC18カラムを備えているものであった。流量は1.0mL分−1に維持した。注入する容量は50μL(典型的には200μgmL−1のサンドスタチン)であった。結果は、主要なピーク領域(すなわち、同一の組成物の照射していないサンプルで測定したピーク領域に対する、ガンマ線照射したサンプルで測定した無傷のサンドスタチンに対応するピーク領域)の%で表した。サンドスタチンの標準溶液のクロマトグラムは12個のサンプル毎の後に記録し、主要なピークの位置の変動が生じていないことを確認した。対照の測定により、クロマトグラムの解釈におけるあらゆる曖昧性を排除した。
ガンマ線照射後のモデルタンパク質の活性の回復に対する選択された抗酸化剤の効果
米国特許出願公開第2003/0012687号に示唆されている抗酸化剤の選択の効果を、グルコースオキシダーゼの機能的活性の回復およびヒト成長ホルモンの構造的完全性の回復の両方について試験した。試験した抗酸化剤のいくつかは、一重項酸素(アスコルビン酸塩)またはスーパーオキシド(アスコルビン酸塩、尿酸塩、メチオニン)の効果的なスカベンジャーであることが知られている。
試験した化合物のいくつか(とりわけ、アスコルビン酸塩、システイン、およびN−アセチルシステイン)の強い還元力は、ジスルフィド架橋を破壊するため、ヒト成長ホルモンとの不適合性を引き起こした。したがって、これらの抗酸化剤が治療用タンパク質製剤において賦形剤として用いられる可能性は非常に限られている。
弱い還元力を有する抗酸化剤はモデルタンパク質と適合することが分かった。典型的には、これらの抗酸化剤の存在により、周囲温度での電離放射線による滅菌の際のモデルタンパク質の安定性が向上した(表3および表4参照)。グルコースオキシダーゼのケースでは、典型的には回復が30〜60%向上し、アスコルビン酸塩、尿酸塩、およびトロロックスの組合せでは72.9%の最良の回復が得られた。ヒト成長ホルモンのケースでは、最良の安定性は、唯一の賦形剤としてメチオニンを用いて得られた(69.7%の回復)。しかし、重要なことに、乾燥状態のタンパク質のある程度の安定化が、先行技術に開示されている賦形剤を用いて得られる一方で、このような安定性は、滅菌の際の、乾燥製剤における治療用タンパク質の安定性についての基準を満たすには十分なものではない(すなわち、90%超の回復、しかし理想的には95%超の回復)。このような回復の達成が本発明において取り組まれている。
Figure 2010514747
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ガンマ線照射後のモデルタンパク質の活性の回復に対する一重項酸素スカベンジャーの選択の効果
グルコースオキシダーゼ(表5)、カタラーゼ(表6)、ヒト成長ホルモン(表7)、およびサンドスタチン(表8)の乾燥製剤における選択された一重項酸素スカベンジャーの存在により、ガンマ線照射後の活性の回復(グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ)または構造の回復(ヒト成長ホルモン、サンドスタチン)が向上した。一重項酸素スカベンジャーの不存在下におけるガンマ線照射後のタンパク質の回復は、タンパク質に依存して著しく変化した。一重項酸素スカベンジャーの安定化効果の程度はまた、タンパク質および特定の賦形剤の両方にも依存して変化した。しかし、重要なことに、いずれのケースにおいても、安定化効果は、電離放射線による治療用製剤の滅菌の際のタンパク質の安定性についての必要条件を満たすには十分なものではなかった。アスコルビン酸塩はグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼに適合することが分かり、したがって、賦形剤として試験することができた。逆に、ヒト成長ホルモン製剤およびサンドスタチン製剤の両方においてアスコルビン酸塩を組み込むと、ジスルフィド結合が還元し、その後、HPLCにより検出されるように分解が生じた。
Figure 2010514747
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ガンマ線照射後のモデルタンパク質における活性の回復に対するスーパーオキシドスカベンジャーの選択の効果
ガンマ放射線による滅菌の際の選択されたタンパク質の安定性に対する、スーパーオキシドスカベンジャーの効果を調査した。1つの例外を除いて、試験したスーパーオキシドスカベンジャーは乾燥状態において効果的であり、すなわち、それらのスーパーオキシドスカベンジャーは、プロトンをスーパーオキシドアニオンと交換することが可能であった。その1つの例外はマンニトールであった。グルコースオキシダーゼ(表9)、カタラーゼ(表10)、ヒト成長ホルモン(表11)、およびサンドスタチン(表12)の乾燥製剤におけるスーパーオキシドスカベンジャーの存在により、ガンマ線照射後の活性の回復(グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ)または構造の回復(ヒト成長ホルモン、サンドスタチン)が向上した。効果の程度は、タンパク質および賦形剤の両方に依存して変化した。ほとんどのケースにおいて、マンニトールの効果は、乾燥状態において効果的なスーパーオキシドスカベンジャーの効果よりも著しく小さかった。マンニトールの効果が、乾燥状態において効果的なスカベンジャーの効果と匹敵するものであったのは、カタラーゼのケースにおいてのみであった。これは、非常に不安定なカタラーゼの熱安定性がマンニトールによって向上したことによる可能性が非常に高い。しかし、重要なことに、いずれのケースにおいても、全てのスーパーオキシドスカベンジャーの安定化効果は、電離放射線による治療用製剤の滅菌の際のタンパク質の安定性についての必要条件を満たすには十分なものではなかった。
Figure 2010514747
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ガンマ線照射後のモデルタンパク質の活性の回復に対するオゾンスカベンジャーの選択の効果
ガンマ線照射後のモデルタンパク質の活性の回復に対する、2つのオゾンスカベンジャーの効果を試験した。両方のスカベンジャーがグルコースオキシダーゼの回復を向上させた(表13)。オイカリプトール(Eucaliptol)はカタラーゼを阻害することが分かり、したがって、ガンマ線照射を通した回復に対するその効果は試験することができなかった。とは言え、試験した他のオゾンスカベンジャーであるペントキシフィリンは、カタラーゼの回復を著しく向上させた(表14)。同様に、電離放射線に対する暴露での、ヒト成長ホルモンの構造的完全性のある程度の向上が、ペントキシフィリンの存在下において見られた(表15)。しかし、重要なことに、いずれのケースにおいても、安定化効果は、電離放射線による治療用製剤の滅菌の際のタンパク質の安定性についての必要条件を満たすには十分なものではなかった。
Figure 2010514747
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ガンマ線照射後のモデルタンパク質の活性の回復に対する、一重項酸素スカベンジャー、スーパーオキシドスカベンジャー、および他の還元種の、選択された組合せの効果
概して、一重項酸素スカベンジャー、スーパーオキシドスカベンジャー、および還元剤の様々な組合せの存在により、単一の化合物の効果(実施例2、3、および4)と比較して、乾燥製剤におけるグルコースオキシダーゼ(表16)、カタラーゼ(表17)、ヒト成長ホルモン(表18)、およびサンドスタチン(表19)の良好な保護が得られた。しかし、タンパク質の最良の安定性を得るためには、乾燥状態において効果的な少なくとも1つの一重項酸素スカベンジャーおよび少なくとも1つのスーパーオキシドスカベンジャーを含むことが必須であった。追加の還元剤(好ましくは弱い還元剤)の存在により、安定性はいくつかのケースにおいてさらに向上した。このような製剤のみが、治療用途または診断用途について考慮されるガンマ放射線による滅菌の際のタンパク質の十分な安定性をもたらした。
Figure 2010514747
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Claims (23)

  1. タンパク質を滅菌する方法であって、タンパク質と、以下の特徴:
    (i)一重項酸素との反応速度が1×10Lmol−1−1より大きい;および
    (ii)還元剤であり、さらに同時に、組成物のpHから3単位以下のpKaを有するプロトン解離基を含む、
    を両方有する保護化合物または保護化合物の組合せとを含む少なくとも実質的に乾燥した組成物を電離放射線に暴露する工程を含む、方法。
  2. 該還元剤が、E>+0.1Vである弱い還元剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 該組成物が、プロトン解離が不可能な追加の還元剤をさらに含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 該追加の還元剤が、E>+0.1Vである弱い還元剤である、請求項3に記載の方法。
  5. 該組成物がオゾンスカベンジャーをさらに含む、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
  6. 該保護化合物:タンパク質の重量比が1〜100:1の範囲にある、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
  7. 該組成物のpHが4から9である、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
  8. 特徴(i)を有する化合物が、ヒスチジン、チアミン、およびトリプトファンから選択される、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
  9. 特徴(ii)を有する化合物が、メチオニン、リンゴ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、およびタイロンから選択される、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
  10. 該組成物が、抗菌剤、補因子、界面活性物質、および充填物質から選択される1つ以上の添加物をさらに含む、請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
  11. 周囲温度で実施される、請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
  12. 該電離放射線が、15〜40kGyの線量のガンマ放射線である、請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
  13. 該電離放射線が、15〜40kGyの線量の電子ビーム放射線である、請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
  14. 該タンパク質が照射を受けて少なくとも80%の活性を保持している、請求項1から13のいずれか1つに記載の方法。
  15. 該タンパク質が照射を受けて少なくとも95%の活性を保持している、請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
  16. 該組成物が生理学的に許容可能なものである、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
  17. 該組成物の水分含量が5重量%以下である、請求項1から16のいずれか1つに記載の方法。
  18. 該組成物が、特徴(i)および(ii)をそれぞれ有する保護化合物の組合せを含む、請求項1から17のいずれか1つに記載の方法。
  19. 請求項1から10のいずれか1つに記載のタンパク質と保護化合物または組合せとを含む、実質的に乾燥した組成物。
  20. 治療用途のために無菌である、請求項19に記載の組成物。
  21. 診断用途のために無菌である、請求項19に記載の組成物。
  22. 水分含量が5重量%以下である、請求項19から21のいずれか1つに記載の組成物。
  23. 特徴(i)および(ii)をそれぞれ有する保護化合物の組合せを含む、請求項19から22のいずれか1つに記載の組成物。
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