JP2009508925A - ヒドロキシルラジカル失活剤の添加および電離放射線による滅菌による、タンパク質溶液の安定化方法 - Google Patents

ヒドロキシルラジカル失活剤の添加および電離放射線による滅菌による、タンパク質溶液の安定化方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、タンパク質を特性:(i)5×10Lmol−1−1以上のヒドロキシルラジカルとの反応速度;および、(ii)非極性領域を有する保護用化合物または保護用化合物の組み合わせと一緒に含有する水性組成物を、電離放射線に曝露することを含む、水性環境下でタンパク質を滅菌する方法を提供する。

Description

本発明は、タンパク質の安定性、特に電離放射線による滅菌を受けた水性環境下でのタンパク質の安定性に関する。
多数のタンパク質(例えば、酵素)は不安定であり、そしてある条件下で分解、その結果として活性の低下を受け易い。このことは特に、水性環境下でのタンパク質に当てはまる。
ある困難は、該タンパク質が無菌条件下で必要とされる場合に生じる。1つの有効な滅菌化技術は、電離放射線、例えばガンマ放射線、電子ビーム放射線、またはX−線放射線への曝露を含む。電離放射線への曝露による滅菌法は、特に攻撃的なプロセスであり、典型的には組成物を高用量の電離放射線(一般には、25〜40kGyの領域)に受けさせることを必要とする。これらの条件は、希釈された作業強度(典型的には、1μg/mL〜10mg/mL)でのタンパク質、特に酵素に対して、および固定化された条件下でない(例えば、固体担体に不可逆的に結合することによる)酵素、を損傷する。
WO2004/108917は、乳酸イオンの供給源、亜鉛イオンの供給源、および/またはアンモニウムイオンの供給源(例えば、L−乳酸亜鉛の形態)との接触による、滅菌用の電離放射線に曝露時の酵素の保護(特に、水和条件下)を開示する。
JP06−284886は、保存安定性(おそらく、熱に曝露時)を改善するための、酵素と特定の安定化用物質との様々な組み合わせを開示する。開示された組み合わせは、トリプトファンによって安定化されたビリルビンオキシダーゼ、リンゴ酸塩によって安定化された乳酸脱水素酵素、およびコハク酸塩によって安定化された乳酸脱水素酵素を含む。電離放射線への曝露時のタンパク質の安定性についての言及は全くない。
US5981163およびまたチン(Chin)らによる, Blood 86(11): 4331-4336 (1995)は、フリーラジカル−媒介性と一重項酸素−媒介性の保護用化合物の組合せを用いる、体外の生物学的組成物(例えば、血清)の滅菌法を開示する。典型的には、ウイルスを失活させるためには、UV放射線が好ましい。US5981163の実施例22は、安定化剤としてのルチンおよびガンマ放射線を使用し;ルチンは変異原性である。
EP1415669は、バニリンの存在下でのタンパク質の滅菌法を開示しており、これは、US5981163中に開示されたシステムよりも優れていることが分かっている。ここでも、UV放射線について力説されている。
US2003/0012687は、混入物(例えば、ウイルス)を除去するために、生物学的な物質を滅菌する方法を開示する。開示されている安定化用物質はトロロックス(trolox)、アスコルビン酸塩、および尿酸塩を含むが、しかし、これらは通常低濃度で(おそらく、それらの低い水溶性のため)使用され、および/または、それらは食糧および医薬品における使用に不適当である。
(発明の概要)
本発明は、電離放射線の効果の分析、および水性環境下のタンパク質を電離放射線の影響から保護することができる化合物または化合物の組み合わせの選択を可能とするこの分析に基づくモデルの開発をベースとする。電離放射線の例としてガンマ放射線を用いる該モデルを下に記載する。
本発明によれば、タンパク質、並びに少なくとも5mMの濃度の特性:
(i)5×10Lmol−1−1以上のヒドロキシルラジカルとの反応速度;および、
(ii)非極性領域、
を有する保護用化合物の水溶液を電離放射線に曝露することを含む、水性環境下でタンパク質を滅菌する方法を提供する。本明細書の目的のために、用語「保護用化合物」とは、必要とされる特性を有する化合物の組み合わせを含む。
所望する結果を達成するために、該保護用化合物の濃度は、少なくとも5mMであるべきである。このことは、該保護用化合物にある程度の水溶性を課す。実際に、該組成物は、ゲル形態で供されることもあり得るが、真の水溶液であることが好ましい。
(詳細な記載)
ガンマ線照射は、いくつかの種類の高エネルギー電離放射線の1つである。それは、放射性原子の核によって放射される高エネルギー光子(例えば、コバルト60)を含む。電離放射線の化学的および生物学的な効果は、2つの基本的な種類の相互作用から発生する。直接的な作用としては、該放射線エネルギーは、標的分子中に直接に蓄積される。間接的な作用としては、エネルギーの内部吸収は外部の媒体によるものであり、それにより、拡散性中間体の産生を生じ、これは次いで標的を攻撃する。それは主に、水中に溶解された化学種に対して損傷を引き起こす間接的な作用である。このことは、該放射線は最初に溶媒(すなわち、水)と相互作用して、様々なフリーラジカルを生じることを意味する。該フリーラジカルはその後に、該溶解された種(例えば、タンパク質)と反応する。従って、該溶解された種をガンマ線の影響から保護するためには、フリーラジカルの有害な影響を緩和することが必要である。
ガンマ放射線による水の照射により、主な3種類のフリーラジカル、すなわち、水和電子(e aq)、ヒドロキシルラジカル、および水素ラジカルの生成を生じる。該水素ラジカルの重要性は、以下の理由で水和電子およびヒドロキシルラジカルの重要性と比較してかなり小さい。第1には、溶解された種に及ぼす該水素ラジカルの影響は、ヒドロキシルラジカルの影響と質的に同じであるが、それほど強くない。第2には、照射された水中での水素ラジカルの生成の収率は、ヒドロキシルラジカルまたは水和電子の収率よりもかなり小さい。従って、電離放射線を受けた溶液中の溶解された種と反応する主な2個のラジカルは水和電子(これは、標準還元電位E'=−2.9Vを有する最も強い公知の還元種である)およびヒドロキシルラジカル(これは、非常に強い酸化性ラジカルである)であると結論付けることができる。
タンパク質は、20個の異なるアミノ酸の配列からなる高分子である。タンパク質中の該アミノ酸単位の各々は、理論的には水和電子またはヒドロキシルラジカルと反応することができる。
関心ある2個のフリーラジカル、すなわち水和電子およびヒドロキシルラジカルとのアミノ酸の反応についての周囲温度(25℃)での速度定数を図1Aに示す。速度定数の値は、ノートルダム放射線研究所の放射化学データセンター(RCDC)(放射線化学的な方法および光化学的な方法によって産生される一過性中間体の反応を確認するためのデータの収集、評価および普及に供する情報供給源)によって維持されているウェブサイトから入手した。これは、以下の通りである:
http://www.rcdc.nd.edu/compilations/Hydroxyl/OH.htm、および
http://www.rcdc.nd.edu/compilations/Eaq/Eaq.htm
該要件を満たす化合物のリストおよび標準物質(これによって、他のものは当該分野における当業者によって判断することができる)は、Buxton G. V., Greenstock C. L, Helman W. P.およびRoss A. B.による J. Phys. Chem. Ref. Data 17: 513-886 (1988)中で知ることができる。
これらの速度定数値は遊離アミノ酸についてのものであるが、それにもかかわらず、それらはタンパク質中に取り込まれるときに、該アミノ酸の反応性に影響を及ぼす。これらのデータの検討は、ガンマ線照射した水溶液中で生成する2個の主要なフリーラジカルのうち、該ヒドロキシルラジカルは該水和電子よりもタンパク質のアミノ酸残基とかなり反応するようであり、よって、これはほとんどの該タンパク質への損傷の原因である、ことを示す。
従って、ヒドロキシルラジカルの攻撃の影響からの保護は、非常に重要である。該水和電子からの保護もまた重要であると考えられるが、しかし、その重要性は該ヒドロキシルラジカルの場合と比較して副次的である。
図1Aはまた、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子とのそれらの反応速度の観点で、個々のアミノ酸の間にかなりの差違が存在することを示す。10Lmol−1−1の反応速度の閾値は、2個のフリーラジカルとの反応速度が「低い」アミノ酸(すなわち、それほど該フリーラジカルによって攻撃されるようでないアミノ酸)を排除するために任意に選択した。該排除後に残るアミノ酸の反応速度を図1Bに示す。
該セットの更なる簡素化は、ほとんどのタンパク質の場合に実行することができる。従って、例えば、タンパク質中のシステインの相対的な存在量は非常に低い。その上、システイン残基は典型的に、該タンパク質サブユニット内部深くのジ−スルフィド架橋に関与する。例えば、該グルコースオキシダーゼサブユニットの各々にはわずか3個のシステインが存在するだけである(15リシン、20ヒスチジン、および28チロシンを参照)。従って、システインはまた、該フリーラジカルによって標的とされるであろうアミノ酸のリストから除外され得る(図1C)。
従って、水性媒体中で電離放射線によって産生されるヒドロキシルラジカルおよび水和電子によって最も標的とされるであろう該タンパク質アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、ヒスチジン、チロシン、およびリシンを挙げられる(図1Cを参照)。これらのアミノ酸の全てはヒドロキシルラジカルとの高い反応速度を示すが、ヒスチジンおよびトリプトファンはまた水和電子と高い反応速度を有する。
フリーラジカル種との反応による生物学的なシステムの崩壊はよく知られており、そしてこれは、多数の形態の組織損傷、疾患、および加齢のプロセスと関連する。フリーラジカル損傷からの保護は、該フリーラジカルと反応しその結果、該フリーラジカルを「捕捉する」、犠牲的な分子を用いて有効とすることができる。多数のフリーラジカルが酸素の反応性形態であるので、有効なスカベンジャー化合物は抗酸化剤と呼称されることが多い。典型的な抗酸化剤は、ビタミンC(アスコルビン酸)およびリコペンを含む。
タンパク質を保護する際に有効であるラジカルスカベンジャーについて、該スカベンジャー分子は、フリーラジカルの攻撃を最も受け易いアミノ酸に物理的に近いか、および/またはそれと結合するべきである。このことは、保護的な効果を有するためには、化合物は上記の8個の「脆弱性」アミノ酸、すなわち、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、ヒスチジン、チロシン、およびリシンの側鎖に誘引される(例えば、疎水的相互作用、静電的相互作用などによって)べきである、ことを意味する。ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンの側鎖は非電荷であり、そして非常に非極性である。従って、それらは、同様な非極性分子との疎水的相互作用に関与することができる。
残りの3個のアミノ酸のうち、ヒスチジンおよびリシンは、ほとんど中性または酸性のpHでそれらの側鎖上に正電荷を有する。リシンの場合には、該第2級アミノ基は、中性および酸性のpH(pH=8.9)で完全にプロトン化され、そしてヒスチジンの場合には、そのイミダゾール環は中性のpHで部分的にプロトン化され、そして酸性のpH(<5)で完全にプロトン化される(pK=6.0)。従って、これらの側鎖は、負に荷電した分子との静電的相互作用に関与し得る。全ての3アミノ酸はそれらの正電荷(ヒスチジンおよびリシン)またはヒドロキシル基(チロシン)のいずれかにより親水性であるが、それらの分子構造のかなりの部分は疎水的相互作用(すなわち、チロシンのベンゼン環、リシンの4個のメチレン基のアルキル鎖、およびヒスチジンのイミダゾール環を介して)に関与することができる。
該ヒドロキシルラジカルおよび水和電子によって最もおそらく標的とされるであろうアミノ酸は負に荷電した分子との静電的相互作用(ヒスチジン、リシン、およびチロシンの場合)および/または疎水的相互作用に関与することができる、と結論付けることができる。
この分析に基づいて、水性環境下でのタンパク質を電離放射線に曝露時の活性の低下から保護するために機能するであろう化学的な化合物または化学的な化合物の組み合わせを選択することが可能である。
本明細書中において、特に断らなければ、反応の速度についての値または速度値について全ての言及は、25℃でのものである。
本発明によって与えられる保護は完全なもの(すなわち、活性の100%保持)とすることができ、その結果、活性は全く電離放射線に曝露時に失われないか、あるいは部分的(活性の100%未満の保持)であり得て、その結果、ある程度(全てではないが)の活性が電離放射線に曝露時に失われる。ほとんど実際の場合には、部分的な保護のみが達成されるが、しかし、このことはなお、保護用化合物の使用がなくとも有用な利点を供し、全ての活性は通常、滅菌を達成するのに十分な電離放射線に曝露時に失われるであろう。活性の保持は、少なくとも5%が好ましく、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%がより好ましい。
該組成物は電離放射線への曝露によって滅菌される。本発明は、電離放射線への曝露後の、微生物学的に滅菌の条件下でのタンパク質を包含する。
該電離放射線は典型的には、ガンマ放射線、電子ビーム放射線、またはX−線放射線の形態である。ガンマ放射線が好ましい。
WO2004/108917中に開示されている組成物は、本発明の一般的な利用可能性を認めるものではないが、本明細書中に開示する組成物の特性を有し得る。必要であり得る限り、本発明は、該タンパク質が酵素であって、そして該保護用化合物が、乳酸イオンの供給源、および亜鉛イオンの供給源、および/またはアンモニウムイオンの供給源、保護用化合物としてのグアニンおよびヒスチジンを含む場合;おそらくまた、該タンパク質がビリルビンオキシダーゼであって、該保護用化合物がトリプトファンである場合、酵素が乳酸脱水素酵素であって、該保護用化合物がリンゴ酸塩である場合、および、酵素が乳酸脱水素酵素であって、該保護用化合物がコハク酸塩である場合、を除く。
該保護用化合物の必要とされる特性、すなわち、5×10Lmol−1−1以上のヒドロキシルラジカルとの反応速度、および非極性領域は共に、1個の保護用化合物中に存在し得て、あるいは2個の異なる化合物(反応速度の要件を満たす1化合物、および非極性領域を有する他の化合物)(これらは合わせて、保護用化合物の組み合わせを形成する)中に別々に存在し得る。保護用化合物の組み合わせの個々の要素が両方の要件を満たすこともまた可能である。
該保護用化合物または保護用化合物の組み合わせは5×10Lmol−1−1以上(10Lmol−1−1以上が好ましい)のヒドロキシルラジカルとの比較的に高い反応速度を有するという要件を満たすという理由で、該化合物は、該タンパク質と反応し、そして分解および活性の低下を生じるヒドロキシルラジカルに優先して、電離放射線への曝露時に該タンパク質と会合する水から発生するヒドロキシルラジカルと反応するようである。更に、該保護用化合物または該保護用化合物の組み合わせは非極性(疎水性)領域を有するという要件を満たすという理由で、上で説明する通り該脆弱性タンパク質の側鎖、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、ヒスチジン、チロシン、およびリシンに誘引され、そしてそれとの所望する疎水性相互作用に関与することができるであろう。これらの2つの効果は、該保護用化合物が該タンパク質を電離放射線へ の曝露時の分解および活性の低下から保護するために機能することを意味する。正電荷の存在はある場合に、該脆弱性タンパク質の側鎖との所望する疎水性相互作用に関与する該非極性領域の能力を制限することによって該保護的な効果を損なうことがあり得るので、該保護用化合物または保護用化合物の組み合わせは、該非極性領域上に直接的に正電荷を有しない非極性領域を有するという要件を満たすことが好ましい。化合物が1個以上の極性領域を含む場合には、正電荷を有しない少なくとも1個の非極性領域が存在するという条件で、これらの1つ(または、それ以上)はそれらの上に直接的に正電荷を有することが可能である。例えば、チアミンは、2個の離れた非極性環を含み、そのうちの1つは正電荷を有し、そしてその他方は電荷がなく、そして保護用化合物として十分に機能する。
該保護用化合物の1個以上の化合物または該保護用化合物の組み合わせはまた、ヒスチジンおよびリシン(これは、中性および酸性のpHで正に荷電する)への更なる誘引のために、中性のpHで負電荷を有するという要件を満たすことが好ましい。
該保護用化合物の1個以上の化合物または該保護用化合物の組み合わせはまた、更なる保護的な効果のために、10Lmol−1−1以上の(5×10Lmol−1−1以上が好ましく、10Lmol−1−1以上がより好ましい)水和電子との比較的に高い反応速度を有するという要件を満たすことが好ましい。
該非極性領域は典型的に、疎水性アミノ酸(例えば、トリプトファン、リシン、またはヒスチジン)の側鎖との非共有性疎水性結合を形成することができる、脂肪族鎖、ヘテロ環または芳香環の構造である。特に、該非極性領域は、少なくとも2個の炭素原子(少なくとも3個の炭素原子が好ましく、3個以上の炭素原子が最も好ましい)を含有する、脂肪族鎖(すなわち、炭素原子および水素原子の組み合わせから成る鎖)を含み得る。該鎖は、単結合、二重結合、および三重結合を含み得る。炭素は、匹敵する電気陰性度の原子、典型的には硫黄または窒素によって該鎖中で置換され得る。該鎖は直鎖または分枝であり得る。
該非極性領域はまた、適当な数の水素原子を伴う少なくとも4個の炭素原子の環を含み得る。該環は、単結合および/または二重結合を含み得る。炭素は、匹敵する電気陰性度の原子、典型的には硫黄または窒素によって、該環内で置換され得る。
該非極性領域はまた、芳香族、例えば少なくとも1個のベンゼン核を含有する構造を含み得る。
好ましくは、1個以上の該保護用化合物または化合物は、1個または限られた数の極性基(例えば、ヒドロキシル)が結合する、非極性領域を有する。このことは、水中での該化合物の溶解性を改善する。
これらの基準を用いて同定された適当な単独の保護用化合物または保護用化合物の組み合わせの例を以下に示す。
単独の化合物は、ガンマ線照射時に水性系中で産生される主要なフリーラジカル(特に、ヒドロキシルラジカル)との速い反応が可能でなければいけない。該化合物は、両方のヒドロキシルラジカル(5×10Lmol−1−1以上であり、10Lmol−1−1以上が好ましい)との高い反応速度を有し、そしてこのものはまた、水和電子(5×10Lmol−1−1以上であり、10Lmol−1−1以上がより好ましい)との高い反応速度を有することが好ましい。
加えて、該化合物は、非極性(疎水性)領域(例えば、脂肪族鎖、ヘテロ環、または芳香環)を有しなければいけない。該化合物はまた、中性pHで負電荷を有することが好ましい。該化合物は、完全な非極性(すなわち、非電荷で且つ極性基(例えば、ヒドロキシルまたはアミノ)の不在)であり得る。該化合物の例は1,10−フェナントロリンである。該タンパク質を保護する際に有効であるが、該化合物の欠点はそれらの低い水溶性である。低い溶解性は、医薬製剤中での有効成分として化合物の利用可能性をかなり制限する。従って、いくつかの低い溶解性の化合物を本発明の実施例において使用するが、これは、医薬的な利用法または医学用デバイスにおける保護用物質としてのこれら化合物の利用可能性を実証するためよりもむしろ、純粋に基本的な原理のいくつかを実証するためのものである。
従って、該化合物は、1個または制限された数の極性基(例えば、ヒドロキシル)が結合した非極性領域を有することが好ましい。このことは、該化合物の溶解性を改善する。それら化合物の例はメトキシフェノールである。
該化合物は負電荷が結合する非極性領域を有することが最も好ましい。該化合物の例は、トリプトファンおよびニコチン酸である。
負電荷が中性/生理学的なpHで該分子中に存在する場合には、該正電荷の存在は必ずしも有害ではない(特に、該非極性領域と直接的に接触して位置しない場合(例えば、トリプトファンまたはアデニン))。
該化合物がまた正電荷を有しない別の非極性領域を含まない場合(例えば、チアミン)には、該分子(例えば、ヘテロ環上)の非極性部分に直接的に隣接する正電荷は、ヒスチジンまたはグアニンと同様に有害であるようである。
保護用化合物の組み合わせはガンマ線照射時に水性系において産生される主要なフリーラジカル(特に、ヒドロキシルラジカル)との速い反応が可能でなければいけない。従って、該化合物の少なくとも1つはヒドロキシルラジカルとの高い反応速度(5×10Lmol−1−1以上であり、10Lmol−1−1以上が好ましい)を有しなければいけない。該化合物の少なくとも1つは、ヒドロキシルラジカルとの高い反応速度(5×10Lmol−1−1以上であり、10Lmol−1−1以上が好ましい)を有し、そして該化合物の少なくとも1つは、水和電子との高い反応速度(10Lmol−1−1以上であり、5×10Lmol−1−1以上が好ましく、10Lmol−1−1以上がより好ましい)を有することが好ましい。
加えて、該化合物の少なくとも1つは非極性(疎水性)領域(例えば、脂肪族鎖、ヘテロ環、または芳香環)を有するべきである。該化合物の少なくとも1つは中性pHで負電荷を有することが好ましい。
両方または全ての化合物は完全な非極性(すなわち、非電荷で且つ極性基(例えば、ヒドロキシルまたはアミノ)の不在)であり得る。該タンパク質を保護する際に有効であるが、該化合物の欠点はそれらの低い水溶性である。
従って、少なくとも1個の化合物は非極性領域を有し、そして少なくとも1個の化合物は極性基(例えば、ヒドロキシル基)を有することが好ましい。該組み合わせの例はメトキシフェノールおよびマンニトールである。
少なくとも1個の化合物は非極性領域を有し、そして少なくとも1個の化合物は負電荷を有することが最も好ましい。該組み合わせの例はメトキシフェノールおよびヨウ化物である。
負電荷の直接的な競合作用は有害であるようであり、例えばヨウ化物および硝酸塩との組み合わせを避けるべきである。
しかしながら、少なくとも1個の分子が大きく、従って、アニオンの直接的な競合作用が立体効果により避けることができる場合には、1個以上の化合物上の負電荷が許容され得る。該組み合わせの例は硝酸塩およびトリプトファンである。
負電荷が存在する場合には(特に、該非極性領域と直接的に接触して位置しない場合)、正電荷はかならずしも有害ではない。
該化合物の1個の非極性部分(例えば、該ヘテロ環)上に直接的に位置する正電荷は、ヒスチジンおよびグアニンの組み合わせと同様に、有害であるようである。
ガンマ線照射からタンパク質を保護するための基準に適合する化合物の例を以下に例示する。しかしながら、これは単に化合物の限られた選択であり、本発明はこれらによって全て限定されるものではない。適当な化合物または化合物の組み合わせを同定するのに使用することができるいくつかの一般的な傾向もまた説明する。
以下に例示する化合物の多数が生理学的に許容し得る(例えば、チロシン、トリプトファン、サリチル酸塩、葉酸、安息香酸塩、メトキシフェノール、フェニルアラニン、シトシン、チサミン(thisamine)、乳酸塩、リンゴ酸塩など)。本発明の焦点は薬理学的な産物および医学用デバイスにおける使用にあるが、該表はまた、これらの使用法のために許容され得ないであろう化合物(例えば、尿酸、フェノール、キシレン、またはピリジン)をも例示する。これらの化合物は、使用方法における保護用化合物(例えば、工業用酵素、診断用酵素など)の選択を示すために含めた。
(注意:www.rcdc.nd.eduインターネットソース中に例示されていない化合物の反応速度は、「不明」と呼称する)。
A.芳香族化合物
広範囲の芳香族有機化合物(すなわち、少なくとも1個のベンゼン核を含有する化合物)は、ヒドロキシルラジカルとの良好な反応速度(>1×10)を有する。これらの多数はまた、水和電子との良好な反応速度(>1×10)を有する。ベンゼン核の存在により、全ての芳香族化合物は実質的な非極性領域を有し、これによりそれらはガンマ線照射からのタンパク質の保護のための良好な候補となる。該芳香族化合物が負電荷(それらの溶解性を増大し、そして標的アミノ酸とのそれらの相互作用を改善する)または親水性基(それらの溶解性を増大する)を含む場合には、有益である。適当な芳香族化合物の例を表1に示す。
Figure 2009508925
B.ヘテロ環化合物
広範囲のヘテロ環化合物(すなわち、環中の1個以上の炭素原子が窒素、酸素、または硫黄によって置換される)は、ヒドロキシルラジカルとの良好な反応速度(>1×10)を有する。これらのいくつかはまた、水和物電子との良好な反応速度(>1×10)を有する。炭素/ヘテロ原子の環の存在により、該ヘテロ環化合物は、実質的な非極性領域を有し、これにより、それらはガンマ線照射からのタンパク質の保護のための良好な候補となる。該ヘテロ環化合物が負電荷(それらの溶解性を増大し、そしてそれらの標的アミノ酸との相互作用を改善する)または親水性基(それらの溶解性を増大する)を含む場合には、有益である。適当なヘテロ環化合物の例を表2に示す。
Figure 2009508925
C.1個以上のヒドロキシル基を含有する化合物
ヒドロキシル基(1個以上が好ましい)を含有するほとんどの化合物は、ヒドロキシルラジカルとの良好な反応速度(>1×10)を有する傾向がある。それに対して、ヒドロキシル基の存在は、水和電子との良好な反応速度を全く保証せず、よって最善の結果を得るために、該ヒドロキシル化合物は水和電子と反応性である化合物との混合物で使用すべきである。タンパク質のガンマ線照射からの有効な保護のための要件を満たす実質的な非極性領域を有する該ヒドロキシル化合物の例を表3に示す。
Figure 2009508925
D.有機酸
いくつかの有機酸は、ヒドロキシルラジカルとの良好な反応速度(>1×10)を有する。それらのいくつかはまた、水和電子との良好な反応速度を有する。タンパク質のガンマ放射線からの有効な保護のための要件を満たす実質的な非極性領域を有する有機酸の例を、表4に示す。各酸は、解離型形態(すなわち、アニオン)およびプロトン化型形態の混合物として存在する。該酸のpKaおよび該環境のpHはどちらの形態が優先するかを決定する。同じ例(例えば、乳酸塩/乳酸)においては、両方の形態が、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方について該タンパク質の保護を供するのに必要とされる。
Figure 2009508925
E.易酸化性のイオン
様々な易酸化性の無機イオンが、ヒドロキシルラジカルとの良好な反応速度(>1×10)を有する。これらは典型的に、水和電子との反応の良好な反応速度を有しない。該無機イオンの多数は疎水性領域がなく、よってそれらは、疎水性相互作用を供し得る他の化合物と組み合わせて使用することが必要とされる。該イオンのいくつかの例を表5に示す。
Figure 2009508925
F.他の適当な化合物
構造的な要件に適合しそして水和電子および/またはヒドロキシルラジカルとの良好な反応速度を有する化合物の他の例を表6に示す。
Figure 2009508925
G.水和電子との良好な反応速度を有する化合物
非極性領域を含むかまたは負に荷電するかのいずれかである水和電子との良好な反応速度を有する化合物は、タンパク質をガンマ放射線から保護することができない。しかしながら、それらは、ヒドロキシルラジカルと有効に反応する他の化合物と組み合わせると一層有用であり得る。該化合物の例を表7に示す。
Figure 2009508925
いずれかのあるタンパク質については、適当な保護用化合物の選択は、例えば溶解性、毒性、プロセスの考察、所望しない物理学的なまたは化学的なタンパク質相互作用などを含む基準の考察を含む。
該保護用化合物は場合により、酵素を安定化させることが知られる他の成分(これは、本明細書中、以下、簡潔さおよび平易さのために「安定化剤」と呼称する)と組み合わせて使用し得る。
本明細書中での使用のための適当な公知の安定化剤としては、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、およびラクチトール);タンパク質(例えば、ゼラチン);および、中性水溶性高分子(例えば、ポリビニルピロリドンおよびポリビニル日アルコール(例えば、約30,000〜約100,000の範囲の分子量を有する)を含む。
糖アルコールは典型的に、0.5重量%〜4重量%の範囲の濃度で安定化剤として使用することができる。
タンパク質を安定化剤として使用する場合には、それらは、少なくとも0.5重量%(少なくとも1重量%が好ましく、少なくとも4重量%がより好ましい)の濃度で供し得る。
中性の水溶性高分子は、典型的に0.5重量%〜3.5重量%の範囲の濃度で、安定化剤としての良好な効果を有して使用することができる。
本発明は、広範囲のタンパク質に適用し得て、酵素の保護が特に実用的には重要である。
本明細書中に使用する用語「タンパク質」は、1個のポリペプチド、2個以上のポリペプチドを含有する分子または分子複合体、および1個以上のポリプチドを1個以上の非ポリペプチド分子(例えば、接合団基(prosthetic group)、補助因子など)と一緒に含有する分子または分子複合体を包含する。用語「ポリペプチド」とは、共有結合した非アミノ酸分子(例えば、グリコシル化ポリペプチド、リポタンパク質など)を含有するポリペプチドを包含することを意図する。特に、本発明は、関心ある1個以上の生物学的な活性(ここで、活性は、該分子または分子複合体の少なくとも重要な部分における特定のまたは本来の3次元構造の保持に非常に依存する)を有する分子に関する。通常、本発明は、少なくとも2000の分子量を有する(すなわち、少なくとも約15アミノ酸を含有する)ポリペプチド(これは、タンパク質の機能にとっておそらく重要である、少なくとも2次または3次の構造の塩基性モチーフを形成し得る)に利用可能であると考えられる。
通常、特に医学的な用途におけるタンパク質については、なお有効な保護を得ることができるが、できるだけ低濃度で該化合物を使用することが所望される。該保護用化合物は典型的に各々、5mM〜1Mの範囲内(5mM〜200mMが好ましく、5mM〜100mMが最も好ましい)の濃度で使用する。使用される各保護用化合物の溶解性は、25℃で少なくとも10mMであることが好ましい。
本発明において使用される全ての物質は生理学的に許容され得るべきである。この目的のために、それらは、食品添加物または物質の安全食品認定(GRAS)についての米国の食品医薬品局(FDA)によって設定された要件を満たすべきである。それらは、承認された薬品についての不活性成分の薬物評価および研究のためのFDAセンター(the FDA Center for Drug Evaluation and Research for Inactive ingredients for approved drug products)の要件を満足すべきであることが好ましい。上記の要件を満たす化合物のリストは、FDA(例えば、http://www.acceddata.fda.gov/scripts/cder/iig/index/cfmまたはhttp://vm.cfscan.fda.gov/〜dms/eafus.html)から容易に入手することができる。本発明の実施例において使用されるほとんどの物質は上記の要件を満たすが、いくつかの物質はまた下線の原理を実証するために使用した。該物質は治療学的な用途に適当であることが好ましい。
本発明は更に、以下の実施例において例示の様式で記載する。
化学品および他の物質
水(伝導率<10μScm−1;分析用試薬グレードのFisherまたはSanyo Fistreem MultiPureのいずれか);
グルコースオキシダーゼ−生体触媒−G638P(〜70U/mgの固体);
ラクトペルオキシダーゼ(牛乳由来、DMV International:pH 5.0でのABTS方法による1,050ユニットmg−1);
グルコース−Fisher−分析用グレード、コードG050061。
保護用剤として試験した全ての化合物は分析用グレードであった。
総実験計画
各実施例において、タンパク質の水溶液を選んだ添加物と一緒にエッペンドルフチューブ中で調製した。該エッペンドルフチューブを運搬し、そして工業的な滅菌施設によって滅菌医学製品に典型的な用量範囲でガンマ線照射した。ガンマ線照射溶液をインセンス(Insense)に戻し、そしてタンパク質活性について分析した。
ガンマ放射線
試料(2mL エッペンドルフチューブ中に約1.5mL)を、アイソトロンPLC(Swindon, Wilts, 英国)製の工業的に標準の商業的な滅菌施設によって、コバルト60ガンマ源を使用してガンマ線照射した。該放射線量は25〜40kGyの範囲とした。
グルコースオキシダーゼ活性のアッセイ
該溶液は、グルコースオキシダーゼの100μgmL−1を含んだ。ガンマ線照射の前および後の両方の溶液をグルコースオキシダーゼ活性についてアッセイした。これは、以下の方法に従って行なった。
該溶液の50μLを脱イオン水の50mLに加えた。次いで、以下の溶液を加えた:
反応剤混合物(5部の0.1M リン酸ナトリウム pH 6+4部の2重量%のデンプン+1部の1mg/mLのラクトペルオキシダーゼ酵素)の10mL;
100mM ヨウ化カリウムの5mL;
20重量% グルコース溶液の5mL。
これらをすばやく混合した。時間=0は、グルコースの添加からカウントした。5分後に、5M 塩酸(1mL)を該反応を停止するために加えた。次いで、吸光度をユニカム(Unicam)UV可視分光光度計(タイプ:ヘリオス(Helios)ガンマ)を用いて630nmで読み取った。着色強度が正確な読み取りをするのに大き過ぎる場合には、該試料は規定の容量の脱イオン水を用いて希釈して該着色をスケール上に戻した。該結果を、前ガンマ線照射試料中に測定される吸光度を基準として、回復パーセントとして表した。
カタラーゼ活性のアッセイ
該溶液は、100μgmL−1のカタラーゼを含んだ。該溶液(新しいもの、および高温でインキュベート後のものの両方)をカタラーゼ活性についてアッセイした。これは、以下の方法に従って行なった。
過酸化水素(水中、30mM)(2mL)を、125mLのポリプロピレンポット中のPBS(18mL)に加えた。該カタラーゼ試料(100μL)を加え、そして混合した。得られた混合物を室温で正確に30分間インキュベートした。その間に、以下の試薬を分光光度測定のためのプラスチック製キュベット中で混合した。
クエン酸塩/リン酸塩緩衝液(0.1M、pH 5.0)の2.73mL、
テトラメチルベンジジン(TMB)(3mg/mL、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解)の100μL、
ラクトペルオキシダーゼの100μL。
30分間のインキュベート期間の後に、カタラーゼ含有混合物(70μL)を該キュベットに加え、そして吸光度を約30秒で読み取った。該結果を、新しい試料中で測定される吸光度(すなわち、高温度でのインキュベート前)を基準にして回復パーセントで表した。
モノクローナル抗体エライザ法
Nunc Maxisorp F96(Fisher、コード番号DIS-971-030J)マルチウェルプレートを0.1M 炭酸ナトリウム pH 8.4(Fisher、コード番号S/4240/53)溶液中の2.5μg/mL hGG(Sigma、コード番号C5297)のウェル当たり100μLを用いて感作した。該プレートを4℃で18時間インキュベートした。感作後に、該hCG溶液を除去し、そして該プレートをトリス−緩衝化生理食塩水ツィーン(TBST)(20mM トリス(Fisher、コード番号BPE152-1)+137mM NaCl(Fisher、コード番号S/3160/63)+0.05容量%のツィーン20(Fisher、コード番号BPE337-100)、pH 7.6))を用いて5回洗浄した。ブロックを、0.1M 炭酸ナトリウム pH 8.4中の0.5mg/mL ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma、コード番号A7030)を用いて37℃で1時間行ない、続いてTBSTを用いて5回洗浄した。洗浄後に、該被験(一次)抗体を、TBST中の5μg/mLで、ウェル当たり100μLで加えた。該プレートを37℃で2時間インキュベートし、次いでこのものをTBSTを用いて5回洗浄した。この後に、抗−マウス西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)接合体(シグマ社製、コード番号A8924)のウェル当たり100μLを、TBST中に1/2500希釈で加えた(二次抗体)。次いで、このものを37℃で1時間インキュベートし、その後にTBSTを用いて5回洗浄した。展開は、予め調製した2,2'−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)(シグマ社製、コード番号A3219)(ウェル当たり100μL)を用いて行なった。発色は、ダイナテック(Dynatech)MR5000プレートリーダーを用いて405nmで追跡した。2個のコントロールウェルは、該アッセイから取り除かれた該一次または二次抗体のいずれかを共に含んだ。このものは、いずれかの非特異的な結合について調べ、そしてバックグラウンドの試薬干渉を決定するためのものである。
パパインアッセイ
新しいものおよび高温でインキュベート後のものの両方のパパイン溶液をパパイン活性についてアッセイした。これは、以下の方法に従って行った。
該パパイン試料(100μL)をシステイン(25mM リン酸塩緩衝液、pH 6.9中で調製された24mg/mL)(100μL)と一緒に混合した。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(250mM リン酸塩緩衝液中で調製した2.5mM、pH 6.0)(160μL)を加え、そして得られた混合物を60℃で10分間インキュベートした。N α−ベンゾイル−DL−アルギニン−β−ナフチルアミド塩酸塩(BANA)(20%DMSO/80%水中で調製した5mg/mL)(160μL)を加え、そして60℃で更に10分間インキュベートした。該反応を、HCl/メタノール混合物(5M HCl(1mL)およびメタノール(9mL)を混合することによって調製する)(280μL)を加えることによって停止させた。4−(ジメチルアミノ)桂皮アルデヒド(DMAC)(400μL)を加え、そして最終混合物を室温で25分間放置した。次いで、該混合物の吸光度を540nmで測定した。着色強度が正確な読み取りをするのに十分に大き過ぎる場合には、該試料を一定の容量の80容量%のメタノール(これは、4容量部のメタノールおよび1容量部の脱イオン水を混合することによって調製した)を用いて希釈して、該着色をスケール上に戻した。該結果は、新しい試料(すなわち、高温でインキュベートする前)において測定された吸光度を基準として回復%として表現した。
以下の15個の実施例は、水溶液のガンマ線滅菌後の測定可能なタンパク質活性の回復に及ぼす様々な潜在的な保護用化合物(単独または組み合わせで)の保護効果への実用的な研究の結果をまとめる。ほとんどの実施例(実施例1〜11)は、一次モデル酵素(すなわち、グルコースオキシダーゼ)を用いて得た。それにもかかわらず、いくつかの実施例はまた、他のモデル酵素またはモノクローナル抗体を用いて提供された。該実施例の全てにおいて、具体的な濃度での具体的な保護用化合物を被験中のタンパク質の水溶液と混合し、該溶液をガンマ放射線を用いて照射し、そして該タンパク質の活性を具体的に示すとおりに試験した。該結果において、反応速度、kはLmol−1−1として表現する。
実験例1:ヒドロキシルラジカルとのそれらの不十分な反応速度のために、ガンマ線照射の影響からグルコースオキシダーゼ水溶液を防止しなかった単独化合物
記載の条件下で、約5×10Lmol−1−1以上のヒドロキシルラジカルとの反応速度は、該タンパク質の保護効果の必須の必要条件である。表8は、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子とのそれらの不十分な反応速度のため、ガンマ線照射の影響からグルコースオキシダーゼを防止しなかった単独化合物の選抜を示す。硝酸塩の該ヒドロキシルラジカル速度定数は例示しなかったが、これは低いものと考える。硝酸塩の該水和電子の速度定数は十分に高いが、しかし、これは低いヒドロキシルラジカル反応速度を補償しなかった。
Figure 2009508925
実施例2:酵素保護を与えなかった、ヒドロキシルラジカルとの高い反応速度を有する単独化合物
ヒドロキシルラジカルとの十分な反応速度(>5×10Lmol−1−1として任意に選ばれる)は、該保護効果の必須の必要条件である。この条件は、表9に示す2個の化合物の場合に満たされる(実際に、ヨウ化物はヒドロキシルラジカルスカベンジャーと呼ばれることが多い)。それにもかかわらず、これらの化合物は、以下の理由のために、グルコースオキシダーゼのいずれの保護を与えなかった。第1は、水和電子とのそれらの反応速度は非常に低いことであり、第2には(より重要なことに)、ヒスチジン、リシン、およびチロシンとの有効な相互作用を可能とするであろう、それら2個の分子中に非極性領域が存在することである。
Figure 2009508925
実施例3:グルコースオキシダーゼを保護するその有効性が非極性環上の正電荷によって損なわれた、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方との高い反応速度を有する化合物
表10に例示する化合物は、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方との非常に高い反応速度を有する。それら分子はまた、疎水性相互作用に関与することができる広範な非極性領域を有する。このことは、それらを、ガンマ線照射の影響からの該酵素水溶液についての良好な保護剤とする。それにもかかわらず、該酵素を保護するそれらの能力は、それら分子のヘテロ環上の直接的な正電荷(中性および酸性のpHで)の存在によって損なわれる。グアニンおよびヒスチジンの場合には、該正電荷は保護的な効果を全く生じなかった。ウラシルの場合には、ある程度の保護効果が観察された。それにもかかわらず、ウラシルの保護効果はシトシン(これは、そのヘテロ環上の正電荷を欠く非常に似た化合物)の効果よりも小さかった(表12を参照)。表10に提示される化合物の2個はいずれの保護を与えなかったが、1つはある程度の保護を与えたという事実は、正電荷の存在を該保護効果に対する有害なものであると主張する法則は厳密な法則というよりもむしろ単に一般的な傾向の指標として見られるものであり得ることを意味する。該最終的な影響は更に様々な立体効果によって影響を受け得て、従ってこれは、分子に依存するものであろう。
Figure 2009508925
実施例4:グルコースオキシダーゼのある程度の保護を与えた、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方との高い反応速度を有する完全な非極性化合物
表11は、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方との良好な反応速度を有する非極性化合物の例を示す。ヒスチジン、リシン、およびチロシンとのそれらの相互作用は、それらの疎水的性質および正電荷の不在により可能である。これらの化合物は、ガンマ線照射の影響からのグルコースオキシダーゼへの保護を与え、その結果、元の活性の12.3%はプリンの存在下で、49.2%は1,10−フェナントロリンの存在下で、および8.1%はメトキシフェノールの存在下で回復し得た。
Figure 2009508925
実施例5:グルコースオキシダーゼのある程度の保護を与えた、隣接極性基、並びにヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方との良好な(または、未知の)反応速度を有する、主に非極性領域から成る化合物
表12は、分子が主に1または2個の極性基が結合した非極性分子を含む、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方との良好な反応速度を有する化合物の保護効果を示す。これらの化合物の全ては、グルコースオキシダーゼのある程度の保護を与えた。注意:フェノキシエタノールについての速度定数は入手できなかったが、しかし、それらは(他のフェノキシ化合物についての速度定数に照らして)かなり高いと考える。
Figure 2009508925
実施例6:グルコースオキシダーゼの保護を与えた、負電荷を有し、ヒドロキシルラジカルおよび(場合により)水和電子との高い反応速度を有する、主に非極性領域(典型的には、極性基が結合する)から成る、単独化合物
表13に例示する化合物は、ヒドロキシルラジカルとの満足すべき反応速度を有する(ビオチンの水和電子との反応速度はpH 9でのみ知られるが、この研究の実験はpH 7で行なったので、よって、示す図面は不確定に関連する)。該化合物のいくつかは(特に、トリプトファンおよびチアミン)はまた、水和電子との非常に高い反応速度を有する。これらの化合物の全ては、それらの分子における広範囲な非極性領域および負電荷の存在のために、ヒスチジン、リシン、およびチロシンとの有効な相互作用を受けると考えられる。これらの化合物の全てはガンマ線照射の影響からのグルコースオキシダーゼへの保護を与えた。
Figure 2009508925
実施例7:グルコースオキシダーゼの保護を与えた、ヒドロキシルラジカルまたは水和電子のいずれかとの高い反応速度を有する複合体アニオン
表14に例示した化合物は、相対的に非極性のCN基を含有する複合体アニオンである。該フェロシアン化物アニオン(ヘキサシアノフェレート(II)、Fe(CN) 4−)はヒドロキシルラジカルとの非常に高い反応速度を有するが、フェリシアン化物アニオン(ヘキサシアノフェレート(III)、FeIII(CN) 3−)は水和電子との高い反応速度を有する。他の反応速度(すなわち、水和電子とのフェロシアン化物、およびヒドロキシルラジカルとのフェリシアン化物の反応速度)は入手できなかった。ヒスチジン、リシン、およびチロシンとの相互作用は、該分子の負電荷および非極性部分(CN基)により良好であると考えられる。両方の化合物が、ガンマ線照射からのグルコースオキシダーゼへの保護を与えた。このことはヒドロキシルラジカルとの高い反応速度のためにフェロシアン化物の場合には驚くべきことではないが、当該解釈は、ヒドロキシルラジカルとのその反応速度は知られていないので、フェリシアン化物の場合にはより難しい。それにもかかわらず、例えこの反応速度が低かったとしても、該結果はなおもっともらしい説明を有するであろう。フェリシアン化物の水和電子との反応(ガンマ線照射の間)により、フェロシアン化物を発生する。このことは、該照射されたフェリシアン化物試料中に少なくとも微量のフェロシアン化物が常に存在し、これにより、該ヒドロキシルラジカルからの保護を保証するであろうことを意味する。
Figure 2009508925
実施例8:ほとんどまたは全く保護を与えなかった、2個のアニオンの組み合わせ
表15は、グルコースオキシダーゼの保護に及ぼす2個のアニオンの組み合わせの効果を示す。ヨウ化物と亜硝酸塩との組み合わせは、これら2個の化合物がヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方と高い反応速度を有するという事実にかかわらず、グルコースオキシダーゼのいかなる保護をも与えなかった。このことは、非極性構造の不在、およびヒスチジンおよびリシンの正に荷電した結合部位についてのアニオンの直接的な競合によると考えられる。同様に、アニオン競合作用の有害な影響は、ヨウ化物およびフェリシアン化物の組み合わせにおいて観察された。グルコースオキシダーゼのある程度の保護は達成されたが、それは、フェリシアン化物単独によって達成される保護よりも良くなかった(表14参照)。実際に、ヨウ化物の同時の存在は、グルコースオキシダーゼの回復を悪化させた。
Figure 2009508925
実施例9:過剰な保護を与えた、2個の化合物の組み合わせ
表16は、ガンマ線照射後のグルコースオキシダーゼの回復に及ぼす様々な化合物の対の影響を示す。表16に示す全ての化合物は、単独化合物として先の実施例中に例示されている。それらのいくつか、すなわち硝酸塩およびヨウ化物(表8および9を参照)はそれら自身では完全に酵素を保護しなかったが、他の物はある程度の保護を与えた(表10〜14を参照)。しかしながら、該酵素のかなりの保護が該化合物を注意深く組み合わせて対とすることによって達成することができた(表16を参照)。該化合物は、以下のように組み合わせた:
それらの少なくとも1つはヒドロキシルラジカルとの高い反応速度を有し、そしてそれらの少なくとも1つは水和電子との高い反応速度を有した;
該化合物の少なくとも1つは実質的な非極性領域を含んだ;
該化合物の少なくとも1つは負電荷を有した(ほとんどの場合において、両方の化合物は負に荷電していたが、電荷の直接的な競合作用は該分子の少なくとも1つにおける実質的に非極性の部分の存在のために最小であった)。注意:該組み合わせの1つ(メトキシフェノールおよびマンニトール)は、該実験の条件下でいずれの負電荷をも含まなかった。
該化合物を組み合わせて対にすることにより、個々の化合物の場合に達成された回復と比較してグルコースオキシダーゼの回復の改善を得た。ある場合には、単独化合物の有効性よりもわずかな改善が存在するだけであるが(トリプトファン/硝酸塩、およびメトキシフェノール/マンニトールの場合)、ほとんどの場合には、改善は非常に有意であった(例えば、メチオニン/フェリシアン化物、ウラシル/フェリシアン化物)。
Figure 2009508925
実施例10:ほとんどかまたは全く保護を与えなかった、低いラジカル反応速度を有する化合物の組み合わせ
表17は、グルコースオキシダーゼ回復に及ぼす、様々な化合物の対の効果を示す。該組み合わせは、該化合物がガンマ線照射した水溶液中で発生する両方のフリーラジカルとの高い反応速度を有しないように選んだ。その結果、いくつかの対はフリーラジカルのいずれかとの高い反応速度を有しなかったが(例えば、プロリン/グリシン、アラニン/グリシン)、他の対はその重大なフリーラジカルの1つだけ(ヒドロキシルラジカルまたは水和電子)との高い反応速度を有した。該対のほとんどは、グルコースオキシダーゼへのいずれの保護をも全く与えなかった。1つの対(プロリン/ヨウ化物)は、非常に僅かな保護効果(<4%)を与えた。プロリン/マンニトールおよびプロリン/ヨウ化物の場合には、該プロリン側鎖上の正電荷の存在は更に、低い保護効果に寄与する。同様に、アラニン/ヨウ化物およびアラニン/マンニトールの場合には、実質的な非極性領域の不在は、低い保護効果全体への別の寄与因子であり得る。
Figure 2009508925
実施例11:それらの好ましくない分子構造により該酵素を保護しない、満足なラジカル反応速度を有する化合物の組み合わせ
表18は、ヒドロキシルラジカルおよび水和電子の両方との高い反応速度を有する、化合物の対を例示する。それにもかかわらず、ガンマ線照射の影響からグルコースオキシダーゼを保護するそれらの能力は、それらの分子構造によって損なわれる。従って、硝酸塩/マンニトールの場合には、保護の欠落はその非極性領域の不在に起因したが、一方で、グアニンを含有する該組み合わせは該グアニン環上の正電荷のために失敗したと考えられる。比較のため表15を参照。
Figure 2009508925
実施例12:単独化合物を使用する、カタラーゼの保護
表19は、ガンマ線照射の間の酵素カタラーゼの活性に及ぼす選択した単独化合物の保護効果を示す。該保護用化合物(すなわち、リン酸塩緩衝液、50mM、pH 6中に直接的に溶解したタンパク質)の不在の場合では、試料照射の後には、酵素活性は全く回復しなかった。該緩衝溶液中のプリン、トリプトファン、または乳酸塩の存在により、ある程度のカタラーゼ活性の保存を得た。該活性の回復は、プリンの場合にはかなり低く(コントロール試料中の活性からは明らかに識別可能であるが)、そしてトリプトファンおよび乳酸塩の場合にはより多大である。注意:2組の速度定数を乳酸塩について表19に示すが、その理由は乳酸塩は使用するpHで部分的にプロトン化され、そして乳酸および乳酸塩アニオンの混合物として存在するからである。
Figure 2009508925
表13:単独化合物を使用する、抗−hCGモノクローナル抗体の保護
保護効果は、ガンマ線照射を受けた2個の異なるモノクローナル抗体の活性回復について選択した個々の化合物を研究した。該モノクローナル抗体の両方が抗−hCG(すなわち、ヒト絨毛性ゴナドトロピンと認識する)であった。第1抗体はhCGのα−鎖上のエピトープを認識するように発現するが、該第2抗体はhCGのβ−鎖上のエピトープを認識するように発現した。該第1抗体の活性回復に及ぼす選択した化合物の保護効果を表20に示す。該第2抗体の活性回復に及ぼす選択した化合物の保護効果を表21に示す。
該選択した化合物の取り込みにより、水溶液中の該2個の抗体のかなりの保護を与えた。該保護用化合物の不在下(すなわち、水中に直接に溶解する場合)では、活性は試料照射後には全く回復しなかったが、プリン、乳酸塩、ニコチン酸塩、またはトリプトファンのいずれかの存在により、ある程度の活性の保存を得た。
Figure 2009508925
Figure 2009508925
実施例14:単独化合物を使用する、西洋ワサビペルオキシダーゼの保護
保護効果は、ガンマ線照射を受けた水性西洋ワサビペルオキダーゼの活性回復について選択した個々の化合物を研究した。該選択した化合物の取り込みにより、水溶液中での該酵素のかなりの保護を与えた(表22)。該保護用化合物の不在下(すなわち、水中に直接に溶解する場合)では、ほとんど全く活性は試料照射後には回復しなかったが、プリン、乳酸塩、またはトリプトファンのいずれかの存在により、ある程度の活性の保存を得た。
Figure 2009508925
実施例15:単独化合物を使用する、パパインの保護
保護効果は、ガンマ線照射を受けたパパイン水溶液の活性回復について選択した個々の化合物を研究した。該選択した化合物の取り込みにより、水溶液中での該酵素のかなりの保護を与えた(表23)。該保護用化合物の不在下(すなわち、水中に直接に溶解する場合)では、ほとんど全く活性は試料照射後には回復しなかったが、乳酸塩、トリプトファン、ニコチン酸アニオン、またはフェニルアラニンと硝酸塩との組み合わせのいずれかの存在により、ある程度の活性の保存を得た。
Figure 2009508925
図1は、ヒドロキシルラジカル(左)および水和電子(右)に関するアミノ酸の速度定数の3個のプロットを示す図面である。より具体的には、図1Aは、ヒドロキシルラジカル(ボールドバーによって示す)または水和電子(フェイントバーによって示す)のいずれかとの20個のL−アミノ酸の反応速度定数k(Lmol−1−1単位)のグラフを示す図面である。 図1Bは、全てk<10Lmol−1−1の排除後のヒドロキシルラジカル(ボールドバーによって示す)または水和電子(フェイントバーによって示す)のいずれかとの20個のL−アミノ酸の反応速度定数k(Lmol−1−1単位)のグラフを示す図面である。 図1Cは、全てk<10Lmol−1−1およびシステインの排除後のヒドロキシルラジカル(ボールドバーによって示す)または水和電子(フェイントバーによって示す)のいずれかとの20個のL−アミノ酸の反応速度定数k(Lmol−1−1単位)のグラフを示す図面である。

Claims (24)

  1. タンパク質、並びに少なくとも5mMの濃度の特性:
    (i)5×10Lmol−1−1以上のヒドロキシルラジカルとの反応速度;および、
    (ii)非極性領域、
    を有する保護用化合物を含有する生理学的に許容し得る水性組成物を電離放射線に曝露することを含む、水性環境下でタンパク質を滅菌する方法。
  2. ヒドロキシルラジカルとの反応速度が10Lmol−1−1以上である、請求項1記載の方法。
  3. 保護用化合物は中性pHで負に荷電する、請求項1または2記載の方法。
  4. 保護用化合物が10Lmol−1−1以上の水和電子との反応速度の更なる特性を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 水和電子との反応速度が5×10Lmol−1−1以上である、請求項4記載の方法。
  6. 水和電子との反応速度が10Lmol−1−1以上である、請求項4記載の方法。
  7. 非極性領域がその上に直接に正電荷を有しない、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
  8. 非極性領域が、トリプトファン、リシン、またはヒスチジンを含む疎水性アミノ酸の側鎖との非共有疎水性結合を形成することができる脂肪族鎖、ヘテロ環、または芳香環の構造である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
  9. 非極性領域がそれと結合する極性基を有する、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
  10. 保護用化合物の濃度は5mM〜1Mである、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. 保護用化合物の濃度は5〜200mMである、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
  12. 保護用化合物の濃度は5〜100mMである、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
  13. 保護用化合物の濃度は10mM〜1Mである、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
  14. 周囲温度で行なう、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
  15. タンパク質は照射後に少なくとも80%活性を保持する、請求項1〜14のいずれか1つに記載の方法。
  16. タンパク質および保護用化合物は溶液状態である、請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
  17. タンパク質は組み換えタンパク質である、請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
  18. 組成物は1個のタンパク質を含む、請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
  19. タンパク質、および少なくとも5mMの濃度の請求項1〜9のいずれか1つに記載の保護用化合物の水溶液を含有し、但し、該溶液は酵素、乳酸イオンの供給源、亜鉛イオンの供給源、および/またはアンモニウムイオンの供給源ではない、
    治療学的な使用のための滅菌性の生理学的に許容し得る組成物。
  20. 保護用化合物の濃度は5mM〜1Mである、請求項19記載の組成物。
  21. 保護用化合物の濃度は5〜200mMである、請求項19記載の組成物。
  22. 保護用化合物の濃度は5〜100mMである、請求項19記載の組成物。
  23. タンパク質は組み換えタンパク質である、請求項19〜22のいずれか1つに記載の組成物。
  24. 1個のタンパク質を含む、請求項19〜23のいずれか1つに記載の組成物。
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