JP2010514615A - 陸上車両、例えばレーシングカー又はモーターサイクルのための最適化タイヤコンフィグレーションを選択する方法 - Google Patents

陸上車両、例えばレーシングカー又はモーターサイクルのための最適化タイヤコンフィグレーションを選択する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1組の考えられるコンフィグレーションから、単一のコース方向(SU)に差し向けられていて、カーブを含む既定のルートを辿るサーキット上で走行するようになった車両に適合する最適化タイヤコンフィグレーションを選択する方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、この方法は、第1のタイヤコンフィグレーションを備えた車両の物理的モデルを作製するステップと、モデル化された車両によりルートコースをシミュレートするステップと、かかる車両の速度を最適化するステップと、車両の要したコース時間をメモリに記憶させてルートを少なくとも一回カバーするステップと、このコース時間を少なくとも1つの基準時間と比較して比較結果を生じさせるステップと、オプションとして、比較結果の関数として第1のコンフィグレーションを最適化コンフィグレーションとして選択するステップとを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一般に、自動車用タイヤを適合させる技術に関する。
特に、本発明は、1組の考えられるコンフィグレーションから、単一のコース方向に差し向けられていて、カーブを含む既定のルートを辿るサーキット上で走行するようになった車両に適合する最適化タイヤコンフィグレーションを選択する方法に関する。
従来試験及び実験結果に基づいて行われているこの選択は、現在、時間及び金額の面で相当な投資となっている。
それにもかかわらず、たとえこれら投資を行うことが可能であっても、この選択方法には、試験のために用いられるタイヤを製造した後でしかこの選択方法を利用することができないという欠点がある。
本発明の目的は、特に、この制約のない選択方法を提案することにある。
この目的のため、本発明の方法は、請求項1の前提部の記載にも従っており、本発明の方法は、本質的に少なくとも、次のステップ、即ち、
‐第1のタイヤコンフィグレーションを備えた車両の物理的モデルを作製するステップ、
‐ルートのディジタル画像を車両速度制限値と関連した箇所で互いに繋がる連続したセグメントに分割するステップ、
‐各ルートセグメントのコースを、第1に実際のコース方向に連続して取られる共にセグメントの開始箇所を含む第1のセグメント部分に属するルートの部分について最大加速度の状態で、そして、互いから連続して上流側で取られると共にセグメントの終了箇所を含む第2のセグメント部分に属するルート部分について最大減速度でモデル化車両により反復してシミュレートし、セグメントの第1の部分に関するモデル化車両の速度がセグメントを第2の部分に関するモデル化車両の速度を超えないセグメントの箇所のところで第1のセグメント部分と第2のセグメント部分を繋ぐステップ、
‐車両の要したコース時間をメモリに記憶させてルートを少なくとも1回カバーするステップ、
‐コース時間を少なくとも1つの基準時間と比較して比較結果を生じさせるステップ、及び
‐オプションとして、比較結果の関数で第1のコンフィグレーションを最適化コンフィグレーションとして選択するステップから成る。
本発明の好ましい実施形態では、車両モデルは、車両に取り付けられたタイヤの熱機械的モデルを含む。
この方法は、特に、
(a)ルート上の車両により採用される速度を制限する傾向がある1組の物理的パラメータを調査するステップを有し、物理的パラメータの組は、一定のパラメータ及び動的パラメータを含み、パラメータは、考えられる互いに異なるタイヤ、車両シャーシ及び(又は)運転条件に関連付けられると共にルートの連続箇所のディジタル化座標から成るルートのディジタル画像を含み、
(b)各タイヤの物理的挙動を説明すると共に物理的パラメータの組の第1のサブセットを含むタイヤモデルを作製するステップを有し、
(c)タイヤモデルと物理的パラメータの組の第2のサブセットの両方を含む車両モデルを作製し、少なくともタイヤ応力の関数として車両の物理的挙動を説明するステップを有し、応力は、スリップ及びドリフトを含み、
(d)ルートのディジタル画像をコース方向の隣り合う連続したセグメントに分割するステップを有し、各セグメントは、電気セグメントの開始箇所及び終了箇所をコース方向においてこの順番で連続して含む1組の少なくとも3つのルート箇所を有し、終了箇所は、到来するカーブに配置され、
(e)車両速度制限値をそれぞれ各セグメントの開始箇所及び終了箇所に関連付けるステップを有し、
(f)アクティブなコンフィグレーションとして第1のタイヤコンフィグレーションを選択するステップを有し、
(g)アクティブなセグメントとして第1のルートセグメントを選択するステップを有し、
(h)タイヤ応力を最適化して車両に加えられる加速度をアクティブなセグメントの開始箇所と関連した制限速度から最大化することにより、車両モデルを用いて、アクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた車両によりアクティブなルートセグメントの少なくとも第1の部分のコースをその開始箇所からシミュレートするステップを有し、
(i)車両速度をアクティブなセグメントの第1の部分の種々の箇所及び互いに箇所相互間のコース時間と共にメモリに記憶させるステップを有し、
(j)アクティブなセグメントのアクティブな区分として、アクティブなセグメントの一対の箇所の第1の箇所と第2の箇所との間に(これらの箇所は、コース方向にこの順序で連続している)定められたルート部分を選択するステップを有し、対の第2の箇所は、アクティブなセグメントの終了箇所から成り、
(k)標的速度として、アクティブな区分の第2の箇所と関連した制限速度を選択するステップを有し、
(l)アクティブな区分の第1の箇所のところのタイヤ応力及び車両により採用される速度を最適化して標的速度でアクティブな区分の第2の箇所に到達する一方で、アクティブな区分に関するコース時間を最小限に抑えることにより、車両モデルを用いて、アクティブなセグメントのアクティブな区分のコースをアクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた車両によりシミュレートするステップを有し、
(m)車両によるアクティブな区分のコース時間をメモリに記憶させ、制限速度として、アクティブな区分の第1の箇所のところの車両速度をメモリに記憶させ、アクティブなセグメントの第2の部分の要素として、カバーしたアクティブな区分をメモリに記憶させるステップを有し、
(n)アクティブなセグメントの第1の部分のコース中、車両により同一の箇所で採用された、アクティブな区分の第1の箇所のところの車両制限速度がステップ(i)においてメモリに記憶された速度を超えているかどうかを確認するステップを有し、
(o)もし超えていなければ、アクティブなセグメントの新たなアクティブな区分として、コース方向に関して時系列的に先のアクティブな区分から見て上流側に位置すると共にアクティブなセグメントの一対の箇所の第1の箇所と第2の箇所との間に(これらの箇所は、コース方向においてこの順序で連続して位置しており、対の第2の箇所は、時系列的に先のアクティブな区分の第1の箇所から成る)定められたルート部分を選択し、ステップ(k)〜(n)を繰り返すステップを有し、
(p)もし超えていれば、アクティブな区分の全コース時間として、アクティブな区分の第2の部分に関する全コース時間と第2の部分とオーバーラップしていないセグメントの第1の部分のフラクションに関してメモリに記憶されたコース時間の合計をメモリに記憶させるステップを有し、
(q)新たなアクティブなセグメントして、コース方向において先にアクティブであったセグメントに続くルートセグメントを選択するステップを有し、
(r)ルートが少なくとも1回カバーされると共に車両による累積的且つ安定化されたコース時間が得られるまでステップ(h)〜(q)を繰り返すステップを有するのが良い。
本発明の方法を別のタイヤコンフィグレーションに適用することにより基準時間が得られることを想定することが可能であり、この場合、この方法は、
(s)新たなアクティブなコンフィグレーションとして、第2のタイヤコンフィグレーションを選択するステップを更に有し、
(t)ステップ(g)〜(r)を繰り返すステップを更に有し、
(u)第1及び第2のタイヤコンフィグレーションでそれぞれ得られた累積的且つ安定化されたコース時間を互いに比較するステップを更に有し、
(v)最適化コンフィグレーションとして、結果的にルートの最も短い累積的且つ安定化されたコース時間が得られるようになるタイヤコンフィグレーションを選択するステップを更に有し、各タイヤコンフィグレーションで得られたコース時間は、かくして、他のタイヤコンフィグレーションで得られたコース時間に関する基準時間として役立つ。
タイヤモデルが熱機械的モデルである場合に想定できることとして、ステップ(j)に先行して、アクティブな熱的条件として、既定の熱的条件を選択することから成るステップ(w0)が行われ、ステップ(l)は、アクティブな熱的条件をタイヤに適用することにより実施され、ステップ(m)は、各アクティブなセクションに関するタイヤ応力をメモリに記憶させることから成る基本的動作を更に含み、ステップ(p)の直前に、反復ループが行われ、反復ループは、
(w1)ステップ(n)において実行された確認が首尾よく行われた場合、タイヤに各アクティブな区分につきアクティブな区分に関してステップ(m)においてメモリに記憶された応力を適用し、アクティブなセグメントの第2の部分についてタイヤの新たな熱的使用条件を推定することにより、コース方向におけるアクティブな区分の後に位置していてアクティブなセグメントの第2の部分のアクティブな区分のコースをアクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた車両によってシミュレートするステップと、
(w2)新たな熱的条件とアクティブな熱的条件との差が収束限界の範囲内に位置しているかどうかを確認するステップと、
(w3)もしそうでない場合、アクティブな熱的条件として、新たな熱的条件をメモリに記憶させ、ステップ(j)〜(w2)を繰り返すステップとから成る。
ステップ(d)は、各セグメントを終了箇所をカーブの最大曲率に設定することにより実行されるのか良く、本発明の方法は、ルートの各新たなコースについて実行され、各セグメントの終了箇所をタイヤスリップの少ないゾーンの方向に上流側に動かすことから成る別の動作を有するのが良い。
本発明の方法を最適化するには、ステップ(b)において作製されたタイヤモデルは、路面上を駆けているときの車両に取り付けられた各タイヤの物理的挙動を説明し、タイヤトレッドは、少なくとも1つの密着接触ゾーン及び少なくとも1つの滑り接触ゾーンを含む路面との接触領域を有し、ステップ(b)は、少なくともモデル化動作を含み、各シミュレーションステップ(h,l,w1)は、ディジタル値割り当て動作及び解答動作を含み、モデル化動作は、少なくとも、既知であると共に(或いは)特定の実験によって発見された物理的法則を適用することにより、また第1のモデルとして、タイヤのゴムの密着係数及び剪断弾性率を含む特有の物理的パラメータの関数として且つタイヤの駆動及び使用に関する物理的条件に関連した動的パラメータの関数として、タイヤにより路面と車両との間に伝達される縦力、横力、及び自動調心トルクのモデルを構築するステップを含み、自動調心トルクは、縦力及び横力の強度並びに接触領域におけるこれら力の分布状態に関連しており、割り当て動作は、少なくとも、ディジタル値を動的パラメータ及び特有の物理的パラメータに割り当てるステップを含み、解答動作は、少なくとも、少なくとも第1のモデル並びに動的パラメータ及び特有の物理的パラメータに割り当てられたディジタル値を用いて縦力、横力及び自動調心トルクの値を推定するステップを含み、モデル化動作は、第2のモデルとして、路面とトルクの接触及びスリップに起因する接触領域の入口から出口まで路面とのトレッドの接触温度の変化を表す局所発熱モデルの構築及び第3のモデルとして、全域発熱及び熱流モデルの構築を更に含み、第3のモデルは、周辺温度及び内部温度の既知の値又は推定値、トレッドの熱伝導率、及び熱力学的コンポーネントに関する現象、例えばタイヤの受ける内部変形、タイヤとその環境との間の熱伝達、及び路面上におけるトレッドのスリップの関数として、車輪の少なくとも一回転の期間にわたりトレッドの周辺温度及びタイヤの内部温度の変化を表し、少なくとも、密着係数及び剪断弾性率は、周辺温度及び内部温度の変数又は関数として第1のモデルに含まれ、第3のモデルに関する解答動作により得られた周辺温度の値は、密着係数の温度依存性を考慮に入れるために、第2のモデルに関する解答動作によって用いられ、第3のモデルに関する解答動作により得られた内部温度の値は、タイヤのゴムの剪断弾性率の温度依存性を考慮に入れるために、第1のモデルに関する解答動作によって用いられるのが良い。
有利には、第1のモデルは、接触領域におけるトレッドの基本剪断力及びスリップ力の平衡条件と関連した方程式を含み、方法は、一連の計算サイクルから成る少なくとも1つの反復計算段階を含み、各計算サイクルは、第2のモデルに関する少なくとも1つの解答動作を含むことが想定される。
本発明の方法を実施するには、好ましい実施形態では、第1のモデルは、接触領域が移行箇所によって互いに分離された単一の密着接触ゾーン及び単一の滑り接触ゾーンを含むと見なすことによって構築され、第1のモデルは、少なくとも動的パラメータ、特有パラメータ及び移行箇所の横座標の関数として表された方程式系の形態をしており、各反復段階は、対応の基本的時間間隔中に起こる現象に対して専用であり、各反復段階は、逐次近似法により且つ少なくとも移行箇所の横座標の既知の値又は推定値、横力、及び自動調心トルクに基づいて、動的パラメータ及び特有パラメータに割り当てられたディジタル値について第1のモデルの方程式系を解く移行箇所の横座標、横力、及び自動調心トルクの新たな値を求めるために実施されるのが良い。
この場合、各反復段階の各新計算サイクルは、少なくとも、
‐基本的力の平衡方程式及び横力及び自動調心トルクの既知の値又は推定値に基づいて移行箇所の横座標の新たな一時的値を計算するステップ、
‐移行箇所の横座標の新たな一時的値及び横力及び自動調心トルクを、動的パラメータ、特有パラメータ及び移行箇所の横座標に関連づける方程式に基づいて、考えられる将来の計算サイクルについて使用できる横力及び自動調心トルクに対する新たな値を計算するステップ、
‐少なくとも移行箇所の横座標の新たな一時的値とこの横座標から推定される値の差が、精度に関する所定の限度を下回ったときに、反復段階を条件つきで中断するステップ、及び
‐反復段階を中断した場合、縦力、横力、及び自動調心トルクに、段階に関する値として、最後の計算サイクルで得られた縦力、横力、及び自動調心トルクの新たな値を割り当てるステップを含む動作を有する。
さらに、本発明の方法に関与する車両の各シミュレーションステップ(h,l,w1)は、有利には、各反復段階の終了後に行われる実行動作を含み、実行動作は、反復段階の実行時間中にパラメータに生じた変化を考慮に入れるために動的パラメータを更新するステップ及び新たな反復段階を開始させるステップとから成る。
さらに、第3のモデルに関する解答動作は、好ましくは、各。復段階の外部で実施される。
各繰り返し段階に先立って、接触領域寸法を含む偶発的な量を動的パラメータ及び特定のパラメータに由来する値の関数として計算する予備段階を実施するのが良く、かかる偶発的量は、予備段階中に由来する値を備えた状態で繰り返し段階中に処理される。
車両を全体的にモデル化するため、第1のモデル、第2のモデル、及び第3のモデルの各々は、各タイヤについて処理されると共に動的シャーシモデルと関連し、シャーシモデルは、第1のモデル、第2のモデル、及び第3のモデルに、各タイヤに関し、動的パラメータのうちの少なくとも幾つかの値を与え、シャーシモデルは、各タイヤについて、第1のモデル、第2のモデル、及び第3のモデルを用いて得られた縦力、横力及び自動調心トルクの値を処理することを想定することができる。
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して例示的且つ非限定的な目的で行われる以下の説明から明らかになろう。
へレス(Jerez)自動車レース用サーキットから成る考えられるルートの一例の略図である。 本発明の方法の全体的な動作上の構成を示す流れ図である。 図1に示されたサーキットの一部分の拡大概略図である。 自動車によってカバーされ、横座標上に取られた距離、車両により採用されると共に縦座標上に取られた速度の関数として第1に、アクティブなセグメントの第1の部分について、第2にかかるセグメントの第2の部分について表す略図である。 本発明の方法で利用可能なタイヤモデルが適用されるタイヤを備えた車輪の概略立面図である。 路面との図5のタイヤの接触領域の概略拡大平面図であり、タイヤが速度ベクトル(X軸)に関してドリフト状況にある状態を示す図である。 図5のタイヤの概略正面図であり、タイヤがキャンバ状況にある状態を示す図である。 2つの互いに異なる応力状況で示されたタイヤの概略部分半径方向断面図である。 2つの互いに異なる応力状況で示されたタイヤの概略立面図である。 捩じりを受けたタイヤの概略平面図である。 本発明の方法の実施形態に関与する種々の量の概要を示す略図である。 種々の応力を受けたタイヤの概略平面図である。 種々の応力を受けたタイヤの接触領域の拡大平面図であり、特徴的な点及びルートの跡が見える図である。 接触圧力が所与の場合に密着係数を接触温度及びタイヤのスリップ速度に関連づける法則を示す三次元図である。 周波数及び変形の面で応力レベルが所与の場合にタイヤトレッドのゴム配合物の剪断弾性率を温度に関連づける法則を示す図である。 タイヤの全域熱モデルを考慮に入れた熱的現象の概要を示す略図である。 本発明の方法に使用できる好ましいタイヤモデルの作動的構造を示す流れ図である。 本発明の方法に使用できる別の好ましいタイヤモデルの動作上の構造を示す流れ図である。 本発明の方法に使用できる別の好ましいタイヤモデルの動作上の構造を示す流れ図である。 図19は、二輪車の作動を連続作動状態で示す略図である。
上述したように、本発明は、1組の考えられるコンフィグレーションから、車両に適合する最適化タイヤコンフィグレーションを選択する方法に関する。
本発明は、特に、図1に示されているようなサーキット上で既定のルートに沿って走行するようになったレース用車両のタイヤ適合に利用され、このルートは、単一のコース方向SUに差し向けられると共にカーブを含む。
この方法では、タイヤコンフィグレーションを備えた車両の物理的モデルの作製が必要であり、かかる作製には、これらタイヤのモデル化を行うこと及びこれらタイヤを備えた車両のシミュレーションを可能にすることを含む。
タイヤ及び車両モデルがいったん利用可能になると、本発明の方法は、モデル化車両によりルートコースシミュレーションを実施し、車両速度が最適化される。
次に、ルートを少なくとも1回カバーするために車両の要するコース時間をメモリに記憶させ、基準時間と比較する。
このように、この比較の結果の関数として、基準に対してシミュレーションで用いられたタイヤコンフィグレーションを評価し、したがって、かかるコンフィグレーションを基準に対して最適化されたものとして又はそうでないものとして分類することが可能である。
この基準は、シミュレートされた車両に適合したタイヤコンフィグレーションから成り、2つの互いに異なるタイヤコンフィグレーションが互いにとって基準となることができるようになる。本発明の好ましい実施形態では、タイヤに用いられるモデルは、熱機械的モデルであり、かくして、シミュレーションは、高度のリアリズムを達成する可能性がある。
本発明の方法の一実施形態の詳細な例が、最も包括的な場合において以下に与えられており、この場合、基準は、シミュレーションが行われるタイヤコンフィグレーションから成り、タイヤモデルは、熱機械的モデルである。
かかる方法は、代表的には、以下のステップ(図2)を有する。
(a)ステップ(a)は、ルート上において車両により採用される場合のある速度に関する特に減速の面における影響を有する1組の物理的パラメータを調査することから成る。この1組のパラメータは、種々の考えられるタイヤ、車両シャーシ及び(又は)運転条件と関連したパラメータを含み、又、一定パラメータ及び動的パラメータを含む。特に、運転条件と関連した一定パラメータのサブセットは、ルートの連続した箇所、例えば図3で理解できる箇所P11又はP23のディジタル化座標から成るルートのディジタル画像を含む。
(b)ステップ(b)は、関連物理的パラメータの関数として、特に、温度の関数として各タイヤの物理的挙動を説明するタイヤモデルを作製することから成る。ステップ(b)の考えらえる内容は、「タイヤモデル化及びシミュレーション(Tire modeling and simulation)」という表題が付いた項目に詳細に記載されている。
(c)ステップ(c)は、タイヤを備えた車両モデルを作製することから成る。ステップ(c)の考えられる内容は、「車両モデル化及びシミュレーション(Vehicle modeling and simulation)」という表題の付いた項目で詳細に説明される。
(d)ステップ(d)は、ルートのディジタル画像を隣り合うセグメント、例えばTR1,TR2等(図1及び図3)に分割することから成り、これらセグメントは、車両ルートコース方向SUに連続している。各セグメントは、互いに等間隔を置いて、例えば、5メートルの間隔を置いた複数のルート箇所を有する。各セグメントは、コース方向SUに差し向けられていると仮定され、各セグメントは、開始箇所(始点)、例えばTR1についてはP11、TR2についてはP21で始まり、終了箇所(終点)、例えばTR1についてはP17、TR2についてはP25で終わり、2つの隣り合うセグメントの終了箇所と開始箇所、例えばセグメントTR1,TR2のP17,P21は、合体している。各セグメントは、1つ以下のカーブ出口及び別のカーブの1つ以下の入口を有するよう選択される。かくして、各セグメントの終了箇所は、到来するカーブに配置され、例えば、規定値により、カーブの最大曲率箇所又はカーブの中間のところに選択される。
(e)ステップ(e)は、各セグメントの開始箇所及び終了箇所にそれぞれ車両速度制限値、例えばVL11,VL12を関連させることから成る。セグメントTR1の終了箇所P17のところの制限速度VL12及び次のセグメントTR2の開始箇所P21のところの制限速度VL12は、これら箇所(点)が合体しているので同一の値に設定されることは明らかである。制限値は、例えば、レースにおいて実際に測定された速度に基づいて選択され又は推定される。
(f)ステップ(f)は、アクティブなコンフィグレーションとして、試験されるべき第1のタイヤコンフィグレーションを選択することから成る。
(g)ステップ(g)は、アクティブなセグメントとして、シミュレーションを開始すべき第1のルートセグメント、例えばセグメントTR1(図1及び図3)を選択することから成る。
(h)ステップ(h)は、ステップ(c)において作製された車両モデルを用いて、アクティブなセグメントTR1又はこのアクティブなセグメントの少なくとも第1の部分P1_TA(図4)のコースをその開始箇所P11からアクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた車両によってシミュレートすることから成る。事実、このシミュレーションは、タイヤ応力を最適化して車両が上述のアクティブなセグメント、この場合セグメントTR1の開始箇所P11と関連した制限速度V11から最大加速度状態にあるようにすることにより実施される。この最適化は、非線形関係を伴うので、適当なツール、例えばSQP法、即ち、逐次2次計画アルゴリズムによって実施されなければならず、かかるツールは、例えば、“Matlab 7”という商標名で市販されているソフトウェアツールにおいて利用できる。ステップ(h)において実施されるシミュレーションは、アクティブなセグメント、この場合TR1の全長に沿って実施されるのが良いが、これは必要であるというわけではなく、それにより、このシミュレーションが「アクティブなセグメントの少なくとも第1の部分P1_TA上で」実施されているということを指示するのが正当化される。確かに、ステップ(h)において実施されるシミュレーションは、車両の運動を全加速度でシミュレートするよう工夫されている。しかしながら、最後のセグメントが除かれる場合があるが、各セグメントがカーブで終わるので、車両は、各セグメントの終わり前にその最大加速状態を放棄することが余儀なくされる。
(i)ステップ(i)は、ステップ(h)が進行するにつれて実行され、かかるステップ(i)は、アクティブなセグメント、この場合TR1の第1の部分P1_TAの種々の箇所、例えばP11,P12,P13等のところにおいて車両の採用する速度及びこれら互いに異なる箇所相互間の車両コース時間をメモリに記憶させることから成る。このステップにおいて得られた結果は、図4の線図に示されている結果と同等であり、図4は、セグメントの種々の箇所を通過する車両速度を表しており、コース時間は、距離と速度の比によって定められる。
(w0)ステップ(w0)は、アクティブな熱的条件として、既定の熱的条件を選択することから成る。このステップは、アクティブなセグメントの終わりのところの車両制動条件を連続近似法により計算するための繰り返しループを準備するために用いられ、かかるステップは、規定値により、アクティブなセグメントの互いに異なる箇所のところの実際の車両について先に測定され又は推定されたタイヤ温度を用いて実施されるのが良い。
(j)ステップ(j)は、アクティブなセグメントのアクティブな区分として、アクティブなセグメントの最後から2番目の箇所と終了箇所との間に定められるルート部分、即ち、アクティブなセグメントがTR1である場合(図3)の箇所P16,P17相互間の区分を選択することから成る。
(k)ステップ(k)は、標的速度として、アクティブな区分の第2の箇所と関連した制限速度、即ち、アクティブな区分がP16,P17相互間に延びる区分である場合に箇所P17のところにおける速度VL12を選択することから成る。
(l)ステップ(l)は、車両モデルによって、アクティブなセグメント(この場合、TR1)のアクティブな区分(この場合、P16〜P17)のコースをアクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた車両によってシミュレートすることから成る。このシミュレーションは、アクティブな熱的条件をタイヤに適用し、アクティブな区分の第1の箇所P16のところのタイヤ応力及び車両速度V16を最適化して標的速度VL12でアクティブな区分の第2の箇所P12に達する一方で、かかるアクティブな区分に関するコース時間を最小限に抑えることにより、実施される。したがって、ステップ(h)に関し、ステップ(l)は、改良型の最適化ツールを必要とし、かかるツールは、それにもかかわらず、当業者には周知であり、市販されている。他方、ステップ(h)とは異なり、ステップ(l)は、車両の運動を減速段階で説明するようになっている。
(m)ステップ(m)は、電子メモリへのデータ格納を実施し、特に、車両によるアクティブな区分(この場合、P16〜P17)のコース時間を記憶させ、制限速度として、アクティブな区分の第1の箇所P16のところにおける車両速度V16をメモリに記憶させ、アクティブなセグメント(この場合、TR1)の第2の部分P2_TAの要素として、丁度カバーしたアクティブな区分P16〜P17をメモリに記憶させ、かかるアクティブな区分に関するタイヤ応力をメモリに記憶させることから成る。本明細書においてアクティブなセグメントの「第2の部分P2_TA」という場合、この記載は、車両が減速の際にシミュレートされている第2の部分をタイヤが加速状態でシミュレートされた第1の部分P1_TAを区別したいということによって許容される。さらに、図4に矢印で象徴的に示されているように、第1の部分P1_TAは、アクティブなセグメントの開始箇所から進むことによりシミュレートされ、これに対し、第2の部分P2_TAは、アクティブなセグメントの終了箇所から逆に進むことによりシミュレートされる。
(n)ステップ(n)は、アクティブなセグメントの第1の部分のコース中、車両により同一の箇所で採用された、アクティブな区分の第1の箇所のところの車両制限速度がステップ(i)においてメモリに記憶された速度を超えているかどうかを確認するステップから成る。より直感的に言えば、このステップは、その箇所までカバーされた第2の部分P2_TAが第1の部分P1_TAを結合するのに十分であるかそうでないかを試験することから成り、特性は、ステップ(i)においてメモリに記憶されている。
(o)ステップ(o)は、ステップ(n)の試験に対応して否定的な場合にのみ実行され、かかるステップ(o)は、先ず最初に、アクティブなセグメントの新たなアクティブな区分として、アクティブなセグメントの2つの連続して位置する箇所相互間で定められると共に時系列的に先のアクティブな区分、即ち、この場合、P15〜P16まで延びる区分から見てすぐ上流側に位置するルート部分を選択し、そして同じことを新たなアクティブな区分P15〜P16に適応することによりステップ(k)〜ステップ(n)を繰り返すことから成る。
(w1)ステップ(w1)は、ステップ(n)の試験に応答して肯定的な場合にのみ実行され、かかるステップ(w1)は、ステップ(n)において実行された確認が首尾よく行われた場合、タイヤに各アクティブな区分につきアクティブな区分に関してステップ(m)においてメモリに記憶された応力を適用し、アクティブなセグメントの第2の部分についてタイヤの新たな熱的使用条件を推定することにより、コース方向におけるアクティブな区分の後に位置していてアクティブなセグメントの第2の部分のアクティブな区分のコースをアクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた車両によってシミュレートするステップから成る。したがって、より直感的に言えば、ステップ(w1)は、先にメモリに記憶されているタイヤ応力を再現して特定のシナリオについて、ステップ(w0)において規定値により選択され、先に最初のアクティブな熱的条件としてステップ(l)において用いられた熱的条件よりも適当な熱的動作条件を推定することにより、実際の方向SUにおいて車両が減速しているアクティブなセグメントの部分P2_TAをカバーするステップから成る。
(w2)ステップ(w2)は、ステップ(w1)で得られた新たな熱的条件とアクティブな熱的条件との差が収束限界の範囲に収まっているかどうかを確認するステップから成る。換言すると、ステップ(w2)は、得られた新たな熱的条件が許容可能であるかどうか又はこれら新たな熱的条件を更に微調整する必要があるかどうかを試験する。
(w3)ステップ(w3)は、新たな熱的条件が依然として許容可能でない場合にのみ実行され、かかるステップ(w3)は、アクティブな熱的条件として、ステップ(w1)で得られた新たな熱的条件をメモリに記憶させ、ステップ(j)〜(w2)を繰り返すステップから成る。
(p)ステップ(p)は、新たな熱的条件が十分に収束し、したがって許容可能である場合にのみ実行され、かかるステップ(p)は、アクティブなセグメント(この場合、依然としてTR1)の全コース時間として、アクティブなセグメントの第2の部分P2_TAに関する全コース時間と第2の部分とオーバーラップしていないセグメントの第1の部分P1_TAのフラクションに関して、即ち、即ち、図4のP2_TAとP1_TAの合体箇所の左側に位置するP1_TAのフラクションに関してメモリに記憶されたコース時間の合計をメモリに記憶させるステップから成る。
(q)ステップ(q)は、新たなアクティブなセグメントして、コース方向SUにおいて先にアクティブであったセグメントTR1に続くルートセグメント、この場合TR2を選択するステップから成る。
(r)ステップ(r)は、ルートが少なくとも1回カバーされると共に車両による累積的且つ安定化されたコース時間が得られるまでステップ(h)〜(q)を繰り返すステップから成る。
(s)ステップ(s)は、新たなアクティブなコンフィグレーションとして、第2のタイヤコンフィグレーションを選択するステップから成る。
(t)ステップ(t)は、ステップ(g)〜(r)を繰り返すステップから成る。
(u)ステップ(u)は、第1及び第2のタイヤコンフィグレーションでそれぞれ得られた累積的な且つ安定化されたコース時間を互いに比較するステップから成る。
(v)ステップ(v)は、最適化コンフィグレーションとして、結果的に最も短い累積的な且つ安定化されたコース時間が得られるようになるタイヤコンフィグレーションを選択するステップから成り、各タイヤコンフィグレーションで得られたコース時間は、かくして、他のタイヤコンフィグレーションで得られたコース時間の基準時間として役立つ。
上述したように、各セグメントの終了箇所の位置を従来通り、ステップ(d)において選択可能であり、かかる終了箇所は、例えば前もって、そのセグメントの最終のカーブの最大曲率に合わせて設定されている。
それにもかかわらず、この従来の位置は、最適であることは稀であり、運転手は、最大曲率箇所の前では車両をカーブで再加速しがちである。
車両シミュレーションを最適化するため、本発明の方法は、各新たなルートコースについて実行され、各セグメントの終了箇所をタイヤスリップの少ないゾーンに向かって上流側に動かすことから成る別の操作を有するのが良い。
タイヤモデル化シミュレーション
この項目は、本発明の方法のステップ(b)及び各ステップの考えられる実施形態の説明に関し、かかる実施形態では、路面上の運転状況において車両に適合した各タイヤの物理的挙動をシミュレートする。
タイヤが路面上を駆けている状況では、タイヤトレッドは、少なくとも1つの密着接触ゾーン及び少なくとも1つの滑り接触ゾーンを含む路面との接触領域を有する。
ステップ(b)の目的は、多くの影響量の関数として、路面と車両との間で各タイヤにより伝達される種々の力の値を提供することができるツールを作製することにある。
本明細書のこの項目は、以下に記載上の常套手段を用いており、かかる記載上の常套手段は、タイヤモデル化に特有であり、これらのうちの幾つかは、当業者に知られている既存のタイヤモデルにおいて既に通常用いられている。
〔表1〕
δ ドリフト角
δ′ ブレーカーストリップに関するドリフト角
α1 プライステア角
γ 傾斜角(キャンバ)
τ 縦スリップ比
Fx 縦力
Fy 横力
Fz 車輪荷重
V 路面上箇所速度
X 軸線に沿うクラウン箇所速度
Mz 自動調心トルク
Ny 力Fyと関連した自動調心トルクの成分
Nx 接触領域の幅方向における力Fxの分布状態と関連した自動調心トルクの成分
L タイヤの横剛性
LL タイヤの縦剛性
T タイヤの捩じり剛性
Z ブレーカーストリップ縁部のところの曲げ柔軟性
μ タイヤのゴムと路面との間の動的密着係数:μ(p,Vg,Ts)
μ0 静的密着係数
Lx 接触面積の固有長さ
Ly 接触面積の幅
ent トレッドのグルービング率
AssX トレッドの縦柔軟性係数
AssY トレッドの横柔軟性係数
* タイヤトレッドおゴム配合物の剪断弾性率
KM トレッドの厚さ
a 接触面積の長さの半分
b 接触領域におけるスリップの開始の横座標
Ti タイヤ表面とブレーカーストリップとの間のゴムの内部温度プロフィール
Ts トレッドの平均表面温度
Tc ゴムと路面との間のインタフェースのところの接触温度
Vg タイヤと路面との間のスリップ速度
N,YN タイヤクラウン箇所の座標(タイヤベースのところに位置していて、接触領域に垂直な内部トレッドゾーン)
k,Yk 路面とのインタフェース上のトレッド箇所の座標
図5〜図7は、用いられる基準点を特定している。
この基準点は、以下によって定められる。
O:接触領域の中心のところの基準系の原点
OX:速度ベクトルに平行な軸線
LY:OXに垂直であり、キャンバとは無関係に路面の平面に平行な軸線
この基準系では、符号に関する慣習上、τ>0の場合、縦力がOX軸線の方向に生じ、δ>0の場合、横力がOY軸線の方向に生じ、γ>0の場合、いわゆる負の自動調心トルクMzが生じ、それにより負の横スラストが生じる(即ち、OYとは逆の方向に)ことが必要である。
路面と車両との間でタイヤによって伝達される力は、縦力Fx、横力Fy及び自動調心トルクMzを含み、この自動調心トルクは、縦力及び横力の強度並びに接触領域におけるこれらの分布状態と関連している。
影響量としては、代表的には、第1に、動的パラメータ、即ち、少なくとも時間の関数として変化し、タイヤの転動及び使用に関する物理的要件と関連した変数及び第2に、問題のタイヤに特有のパラメータであり、規定された基準条件下で一定の値を有する物理的パラメータが挙げられる。
動的パラメータとしては、ドリフト角、スリップ比、キャンバ角、荷重、速度、インフレーション圧力、空気温度、路面温度、初期タイヤ温度及び時間が挙げられる。
特有パラメータとしては、接触面積の寸法(長さ、幅、形状係数)、接触領域に沿う圧力プロフィールp(x)、トレッドの縦剛性Kx及び横剛性Ky、タイヤ構造体の剛性、即ち、横剛性RL、縦剛性RLL、半径方向剛性Rrr、捩じり剛性kT、ブレーカーストリップの剛性1/S2、ゴム/路面対の密着の法則μ、タイヤのリブ相互間の長さ方向伝達パラメータが挙げられ、これら特有のパラメータは、例として以下に与えられる数式によって表すことができる特定の実験によって確立された方程式により動的パラメータに関連づけられる。
横剛性は、次式のように、横力の作用下において車輪平面に対する接触領域(図8を参照されたい)のオフセットdyに相当している。
Figure 2010514615
上式においてRLO[N/m]は、構造的部分を表し、RLP[N/m/バール]は、空気圧部分を表し、pは、バールで表された圧力である。
縦剛性は、縦力Fxの存在下において長手方向車輪軸線に沿う接触領域(図9を参照されたい)のオフセットdxに相当している。
Figure 2010514615
上式において、RLL0[N/m]は、構造的部分を表し、RLLp[N/m/バール]は、空気圧部分を表し、pは、バールで表された圧力である。
自動調心トルクMzの発生により、リム表面に対してZ軸回りに次式で表されるケーシングの角度Δδを有する捩じりが生じる(図10を参照されたい)。
Figure 2010514615
カバーの捩じり剛性は、構造的成分kT0[N・m/rad]及び例えば荷重につれて捩じり剛性の変化を表す成分kTZ[m/rad]を含み、次式が成り立つ。
Figure 2010514615
接触領域の実際のドリフト角δ′は、次のように車輪軸線上のドリフト角の関数として表される。
Figure 2010514615
クラウンの変形は、例えば次のように表される接触領域の中心のところの曲率で二次法則によってモデル化できる。
Figure 2010514615
上式において、S2は、縁のところの曲げ柔軟性を表すパラメータである。
半径方向剛性は、荷重Fzをリムに対するクラウンの撓みに関連づける。これは、圧力に依存しており、2つの項、即ち、圧力がゼロの状態におけるタイヤの半径方向剛性に相当する構造的項RH0[N/m]及びタイヤ項RRP[N/m/バール]に分けられる。
Figure 2010514615
接触面積の長さは、次式によって定義される。
Figure 2010514615
そして、この公式により、荷重及びインフレーション圧力の影響を考慮に入れることができる。
接触領域の幅は、次式によって定められる。
Figure 2010514615
上式において、Lycは、タイヤの中心のところのリブの幅であり、Lyeは、以下の公式によって計算されるショルダ部のところのリブの幅である。
Figure 2010514615
接触領域の実際の表面は、グルービング及び形状係数によって重みづけされた幅と長さの積として定義される。
Figure 2010514615
形状係数Cshapeは、荷重の関数としての接触領域の形状の変化を考慮に入れている。
タイヤ構造体の圧縮中、クラウンは、検討対象の構造体の固有の量である傾きα1を呈する。
接触領域の入口と出口との間の圧力プロフィールは、次のように定められる。
Figure 2010514615
この圧力分布は、次のようなものである。
Figure 2010514615
荷重が小さい場合、このプロフィールは、放物線状(n=1)である。荷重が大きい場合、圧力プロフィールは、ほぼ一様である。
好ましくは、nは、接触領域の長さLxに比例して変化する実数である。荷重が小さい場合にnが小さすぎるようになる(又は、負になる)のを阻止するため、次のようにnには1未満に制限される。
Figure 2010514615
本発明で用いられるタイヤモデルは、好ましくは、局所熱的モデル(第2のモデル)及び全域又は全体的熱的モデル(第3モデル)に結合された少なくとも1つの機械的モデル(第1モデル)を使用する。
これらモデルの各々は、予備タイヤモデル化段階中に構築され、方程式系の形態を取る。
これらモデルは、複数通りの仕方で、特に、当業者に知られている物理学的法則を用いることにより又は特定の実験によって確立された多少近似している法則を用いることにより構築でき、それにより、これらモデルを表現する方程式は、多数の形態を取ることができるようになっている。
したがって、これらモデルは、本質的に、これらの入力量、これらの出力量及びこれらのモデルの各々が、定量化できる物理的性質に基づいて観察可能な物理的現象を説明する方程式系の形態を取るという事実によって特徴づけられる。
機械的タイヤモデルの出力量は、縦力Fx、横力Fy及び自動調心トルクMzである。
局所熱的モデルの出力量は、接触領域に沿うトレッドの温度である。
また、タイヤの全域熱的モデルの出力量は、トレッドの平均周辺又は表面温度Ts及びこのトレッドのその厚さ方向における内部温度Tiのプロフィール(分布)である。
これらモデルの全ての入力量及び出力量が、図11に示されている。
好ましい機械的タイヤモデルは、第1に、接触領域が2つのゾーン(図12)、即ち、力が変位が生じる状態でトレッドの剪断によって制御される密着接触ゾーン及び力がゴムと路面との間の摩擦係数によって制御される滑り接触ゾーンを有すると見なすと共に第2に、密着接触ゾーンと滑り接触ゾーンとの間の移行をマーク付けする横座標“b”の単一の点又は箇所Nが存在すると見なすことによってこの機械的モデルが構築されるという特徴を有している。
方程式は、この原理に従って表現され、かくして、迅速に解くことができる数式を得ることができる。
有利な機械的モデルの一例が、以下に提供される。
この例では、接触領域の動作のモデル化は、接触領域に入る際の第1の剪断段階及び第2のスリップ(滑り)段階を含む「ブリッスル(bristle )」型方式に基づいている。これら2つの段階は、別々であり、特有であり、互いに関連づけられ、又、スリップ段階では剪断力を吸収する寄生の又は望ましくない機構が存在しないと見なされる。
以下の構成例の全ては、ドリフト角がほどほどの(約20°以下)のままであり、したがって近似値tan(δ)≒δが有効であり、体系的に実施されるという仮定に基づいている。
Kx及びKyは、好ましくは以下の方程式に従ってゴムの弾性率及びパターン特徴に関連づけることができるタイヤトレッドの剛性を表している。
Figure 2010514615
上式において、hscreは、パターン厚さであり、hscは、下に位置する層の厚さであり、したがって、eKM=hscre+hscである。
図13は、接触領域の機能図である。線分NKは、トレッドの要素を定める(「ブリッスル」)。Nは、クラウンのところに位置する箇所(点)であり、Kは、路面の高さ位置にあるトレッドの箇所(点)である。横座標点bは、密着接触と滑り接触との間の移行を表している。
接触領域に入る際(図13参照)、タイヤトレッドのゴム要素は、剪断作用を受けない(XN=XK)。
事実、ゴムの剪断は、複数の原因、即ち、角度δだけの車輪のドリフト、角度γのキャンバ及びクラウンの箇所Nの速度と路面上箇所の走行速度の差を有する。
トレッドの厚さ方向における変形が一様であるとの仮定に基づいて、このトレッドの要素の剪断力により生じる基本的な力を次のように表すことができる。
Figure 2010514615
上式において、dSは、トレッドの要素NKの基本的表面積である。
クラウン箇所のルートの方程式は、以下の数式を用いて近似される。
Figure 2010514615
上式において、表現δ′は、クラウンのドリフト角であり、これは、次の方程式を満足するタイヤ構造の捩じりに起因してドリフト角とは異なっている。
Figure 2010514615
数式YK(a)=YN(a)が接触領域に入る際に満足されると仮定すると、次式(方程式1)が成り立つ。
Figure 2010514615
Vが路面上箇所の速度であり、WXがクラウンの軸線に沿うクラウン箇所の速度であり且つ
Figure 2010514615
であるとすれば、数式XK−XNは、次式(方程式2)となる。
Figure 2010514615
定義により、τは、縦スリップ比に相当している。
スリップ速度の成分は、次式によって与えられる。
Figure 2010514615
接触領域の滑り部分では、基本的な力は、ゴムと路面との間の摩擦によって生じ、力の方向は、剪断ベクトルと同一直線状に向き、このことは、次のことを意味している。
Figure 2010514615
Figure 2010514615
に着目することにより、次式が得られる。
Figure 2010514615
摩擦ゾーンにおける基本的な力は、次のように表される。
Figure 2010514615
路面上におけるタイヤのスリップが起こると見なされる点Nの横座標bは、基本剪断力と密着力との釣合いに対応しており、この釣合いは、次の方程式3によって表される。
Figure 2010514615
上式において、μ0は、横座標点bのところで表される静的密着係数である。
原理的に、接触領域には密着ゾーンと滑りゾーンとの間に複数の移行箇所(点)が存在する場合があるが、本発明の好ましい実施形態で用いられる機械的タイヤモデルは、有利には、かかる移行箇所が1つしか存在しないという仮定に基づいている。換言すると、スリップが接触領域でいったん起こると、このスリップは、この接触領域の出口又は終わりまで続くと見なされる。
移行箇所が1つしか存在しないという仮定に基づく力のバランスを表す方程式は、以下に与えられる。
それにもかかわらず、複数個の移行点が接触領域に存在する場合に対応した一般的な形態を提供することが可能である。
さらに、接触領域においてトレッドを離散又は分離状態にし、後で説明される図18a及び図18bに示す実施形態は、原理的には接触領域の移行点の数については仮定を行わない。
問題のタイヤを備えた車輪の中心に加えられる力は、次式のように接触領域の表面のところで生じる基本的力を積分することにより得られる。
Figure 2010514615
積分の結果として、それぞれ以下の方程式4,5が得られる。
Figure 2010514615
自動調心トルクMzが、2つの寄与要因、即ち、スラスト中心が接触領域の中心に対してオフセットした力FYと関連したトルクNY及び接触領域の幅方向における力FXの分布と関連したトルクNXを有する。一般に、トルクNXは、高エンジントルクの特定の場合を除き、リターントルクである。
上述したのと同じ前後関係の仮定では、トルクNYを次の方程式6により直接計算することができる。
Figure 2010514615
トルクNXは、接触領域の幅方向における力FXの非一様な分布によって生じ、この非一様な分布状態は、接触領域が撓み又はキャンバの影響を受けて台形になると増幅される傾向がある。単一のタイヤリブに関するモデル化方式では、接触領域の幅方向における力FXの分布は、直接接近できるわけではない。かくして、トルクNXは、その場限りの関数によってモデル化され、かかる関数の数学的公式化が、トルクNY及びキャンバに基づいて表示目的で以下に提供されている(方程式7)。
Figure 2010514615
局所熱的モデル及び全域熱的モデルの一例が、以下に提供される。
局所熱的モデルは、本質的に、接触領域におけるトレッドと路面の接触及び接触領域の一部におけるトレッドの相対的スリップと関連した熱的現象を考慮に入れている。
全域熱的モデルは、発熱現象及び少なくとも1回の車輪回転にわたるタイヤの熱交換の全てを考慮に入れている。
タイヤの全体的力の公式化は、トレッドの剪断力と摩擦力への分解に基づいている。摩擦力は、ゴムと路面との間の密着係数μに依存し、この密着係数は、圧力、スリップ速度及び接触温度に依存している。
接触領域における接触温度は、次のようにモデル化される(局所熱的モデル)。
ゴムが接触領域に入ると、接触温度は、ゴムと路面との間の熱伝導及び摩擦の関数として変化する。接触領域の温度を当業者に知られている種々の仕方で、例えば有限差分離散レンダリング(finite different discrete rendering )法によって計算できる。
以下に説明するプロセスは、計算時間を最適化する一方で、結果的に、非常に十分な精度が得られる。
2種類の半無限材料が均一の温度を有していると仮定すると(ゴムについてはTs、路面についてはTsol)、表面温度は、2つの物質が完全な接触状態に突然置かれた場合、次のように表される。
Figure 2010514615
上式において、eg及びesolは、それぞれ、ゴムの温度滲出率及び路面の温度滲出率である。
ゴムと路面との間にスリップがある場合、摩擦流束ψFは、表面温度の増加を生じさせ、かかる増加は、摩擦流束が一定の場合、次式によって表される。
Figure 2010514615
上式において、αは、ゴムに侵入する流れの比率を決定する分配又は共用係数である。完全な接触の場合、この係数は、次式によって表される。
Figure 2010514615
ゴム‐路面密着法則に関し、図14は、パラメータVg及びTcに関する依存性を示しており、当業者には自明な複数の数学的公式により、温度、速度及び圧力に関する漸進的な変化を特定の実験に基づいて再現することができる。
例えば、次の公式を用いることができる。
Figure 2010514615
上式において、μ1、μ2、T0、a、a1、a2、e1、e2、e3、V0は、モデルの定数である。
図14に示されているように、密着係数μは、温度及びスリップ速度につれて複雑な漸進的な変化を呈し、低い温度では、この密着係数は、温度につれて増大し、高い温度では、その逆のことが言える。したがって、密着係数μは、温度につれて最大値を通過する。この最大値は、スリップ速度の値に応じて異なる。スリップ速度が高ければ高いほど、高い温度で得られるこの密着係数の最大値はそれだけ一層大きくなる。
全域熱的モデルは、車輪の1回転ごとの平均値でゴムの厚さ方向及びトレッドの幅方向における温度プロフィールを計算する。このモデルにより、トレッドの内部の温度Tiを求めることができ、この温度は、接触領域に入った際のトレッドの剛性G*(Ti)並びに表面(又は周辺)温度Tsを定め、かかる表面温度は、接触領域における熱的計算に用いられる(局所熱的モデル)。
剛性を温度に関連づける法則の一例が、図15に示されている。事実、この法則は、用いられる各材料に固有であり、タイヤのゴムを構成する配合物の処方で決まる。一般に、配合物の温度が高くなると、その剛性は低くなる。
全域熱的モデルは、以下の仕組み、即ち、
‐ゴム中の伝導、
‐ゴムと路面との間の摩擦による発熱、
‐ゴム中の損失と関連した発熱、及び
‐路面との熱伝導及び空気対流による冷却を考慮に入れる。
図16は、これら仕組みの全てを概略的にまとめている。
温度がトレッドの幅方向に且つ車輪の1回転を通じて一定であると仮定すると、次のように、車輪と関連した極座標系で熱の一次元方程式を得ることができる。
Figure 2010514615
上式において、Tは、トレッドの厚さ方向における温度分布[°K]であり、
λは、ゴムの熱伝導率[W/m/°K]であり、
ρは、密度[kg/m3]であり、
pは、ゴムの比熱容量[J/kg/°K]であり、
Figure 2010514615
は、単位[W/m3]で表されたゴム中の損失に起因した発熱効果であり、
xは、半径方向(即ち、トレッドの厚さ方向)を表す。
滲出性:
Figure 2010514615
拡散率:
Figure 2010514615
しかしながら、境界条件は、タイヤの外面を考慮に入れるか、トレッドとタイヤブレーカーストリップとの間のインタフェースを考慮に入れるかに応じて異なる。
第1の場合、タイヤ表面の境界条件は、車輪の1回転にわたって変化し、即ち、接触領域の外部では、周囲空気の対流による表面流束が存在し、接触領域の内部では、路面との伝導ゴムと路面との間の摩擦に関連した表面流束が存在する。ゴム/(路面+空気)インタフェースのところでは、タイヤの表面のところに生じる境界流束条件を次のように公式によって表すことができる。
Figure 2010514615
上式において、ψは、後で説明する表面流束である。
熱放射交換は、無視できる。
しかしながら、トレッドとタイヤブレーカーストリップとの間のインタフェースのところでは、流束がゼロであるという仮定を行うことができる(断熱条件)。
ゴム中の損失に起因する発熱効果に関する項
Figure 2010514615
[W/m3]の計算を次のように行うことができる。
ゴムが接触領域に入ると、ゴムは、圧縮及び剪断により変形を生じ、かかる変形は、熱の源である。車輪の1回転中にゴム中で消散される内部パワーは、接触領域Wfに入ったときに供給されるエネルギーと車輪回転回数の積として損失関数Pによって次のように計算される。
Figure 2010514615
ゴムが接触領域で受ける弾性変形エネルギー密度は、縦力及び横力並びにタイヤの荷重の関数として記載され、次のように最終的な公式を得ることができる。
Figure 2010514615
上式において、P(Wf,T)は、損失関数であり、これは、温度及び加えられた力の大きさにおけるゴムのステップ点を考慮に入れると共に特定の実験により特徴付け可能である。
温度Tは、配合物の特性温度に対応しており、とりわけ、損失のレベル及び弾性率を決定する。損失及び弾性率の法則が例えば10Hzの周波数で測定されると仮定すると、温度Tは、事実、法則WLFの意味で等価温度であり、したがって、次のように、互いに異なる加えられた力の周波数について損失及び弾性率の推定値が得られる。
Figure 2010514615
上式において、Tiは、全体的熱計算の結果として得られる配合物の内部温度であり、f=V/(2πR0)は、回転周期数である。
当業者であればこの説明を読むと容易に理解されるように、同一の関数は、ゴムの剪断弾性率を内部温度Tiに関連づけるために用いられる。その目的は、車輪回転の回数が増大した場合に配合物の剛性化機構を考慮に入れるためである。
路面との伝導流束を計算するため、トレッド及び路面を時間間隔tadcの間、接触状態に置かれる2つの半無限壁に同化させる完全な接触を仮定すると、伝導流束は次のように表される。
Figure 2010514615
上式において、Tsは、ゴムの表面温度である。
空気対流流束の計算は、空気との熱交換がタイヤの周りの空気の流れの性状に対する依存性が高いということにより困難になる。一般に、対流交換のモデル化は、半経験的な公式化に基づいている。タイヤの特定の場合、以下の公式を用いることができる。
Figure 2010514615
上式において、Cairは、強制対流の効果を考慮に入れた定数である。
摩擦流束の計算は、路面上におけるゴムのスリップにより生じる摩擦が熱生産源であることを考慮に入れなければならない。厳密に言えば、エネルギーの消散は、1ミリメートル未満の厚さにわたりゴムの塊の中で生じる。乾燥状態の接触の場合、エネルギーは、極めて表面のところで消散され、これは、摩擦流束によってモデル化されると推定できる。接触領域のスリップゾーンにおける平均摩擦流束は、次のように表される。
Figure 2010514615
上式において、αは、ゴムと路面との間の流束の分配又は共用係数であり、値α=1は、摩擦流束全体がゴムの方に向けられていることを意味し、値α=0は、摩擦流束全体が路面の方に向けられていることを意味し、
μは、ゴムと路面との間の摩擦により引き起こされる力の成分であり、Vgは、スリップ速度であり、ppaは、接触領域における密着点の割合である。
トレッドの表面のところの平均熱流束は、種々の流束が次の関数によって示されているように車輪の回転の際に効果的な固有周期により重みづけされた種々の流束の平均として次のように定義される。
Figure 2010514615
上式において、tadcは、接触領域中のトレッド要素の通過時間の長さに相当し、tHadcは、接触領域の外部に位置するトレッド要素の通過の時間の長さであり、(1−ppa)tadcは、トレッドの要素が接触領域中でスリップする期間である。
図17は、全体として、本発明の方法に使用できる好ましいタイヤモデルによる方法の動作的実施形態を示している。
動作的実施形態から見て上流側に、このタイヤモデルの実施形態は、予備モデル化段階を有し、この予備モデル化段階中、機械的モデル又は第1モデル、局所熱的モデル又は第2モデル及び全域熱車輪回転モデル又は第3モデルが構築される。
各モデルは、既知であると共に(或いは)特定の実験により確立される物理的法則を適用することによって構築され、各モデルについて上記において示した方程式系の形態を取っている。
上述したことを思い起こすと、機械的モデルは、路面と車両との間でタイヤにより伝達される縦力及び横力、これら力の強度及び接触領域中におけるこれらの分布状態と関連した自動調心トルク、及び密着接触ゾーンと滑り接触ゾーンとの間の移行点N(本発明の好ましい実施形態では、一義的であると見なされる)のところにおけるタイヤの基本剪断力及びスリップ力の釣合いの表現を提供し、かかる表現は、タイヤの物理的転動及び使用条件と関連した動的パラメータ、タイヤの特有の物理的パラメータ及び移行点の横座標bに基づいて与えられる。
局所熱的モデルは、接触領域の入口又は開始から出口又は終了までの路面とのトレッドの接触温度の変化の表現を提供し、かかる変化は、特に、トレッド周辺温度、路面温度及び路面上におけるトレッドのスリップで左右される。
全域熱的モデルは、特に、あらかじめ既知の又は周辺温度及び内部温度から推定される値、トレッドの熱伝導率、熱力学的成分、例えばタイヤの受ける内部変形を含む現象、タイヤとその周囲環境との間の熱的交換及び路面に対するトレッドのスリップの関数として、トレッドの厚さ方向における温度プロフィール並びにトレッド周辺温度及びタイヤ内部温度の車輪1回転の周期にわたる変化を提供する。
さらに、機械的モデルは、周辺温度及び内部温度にそれぞれ基づく変数の形態をした密着係数及び剪断弾性率を考慮に入れる。
タイヤモデル化段階の結果に基づくタイヤモデル処理段階は、ディジタル値割り当て動作及び解答動作を含む。
割り当て動作では、本質的に、数値を動的パラメータ及び特有パラメータに割り当て、解答動作では、本質的に特に数学的モデル並びに動的パラメータ及び特有物理学的パラメータに割り当てられた値を用いて、縦力Fxの値、横力Fyの値及び自動調心トルクMzの値を推定する。
全域熱的モデルに関して解答動作により得られた周辺温度Tsの値は、密着係数の温度依存性を考慮に入れるために局所熱的モデルに関する解答動作によって用いられる。
他方、これ又全域熱的モデルに関して解答動作により得られた内部温度Tiの値は、タイヤのゴムの剪断弾性率の温度依存性を考慮に入れるために機械的モデルに関する解答動作によって用いられる。
機械的モデルは、好ましくは、接触領域におけるトレッドの基本的剪断力及びスリップ力の釣合い条件と関連した方程式を含み、かかる方程式に基づいて、機械的モデルと局所熱的モデルとの間の結合を実施する。
実際には、本発明の方法は、一連の計算サイクルから成る反復計算段階を有し、各計算サイクルは、機械的モデルに関する少なくとも1つの解答動作及び局所熱的モデルに関する解答動作を含む。
モデル化段階に続き、本発明の好ましい実施形態に関して図17に示されている本方法の作用段階は、先ず最初に、時間測定に用いられるカウンタ指数nの初期化から成るステップ1を含む。
動作2では、初期Tso及びTio値は、例えばタイヤが当初、周囲空気と熱的平衡状態にあると仮定して、トレッド周辺温度及びタイヤ内部温度に割り当てられる。
動作3は、少なくとも以下に説明するように次の計算を実行するのに必要な時間間隔に相当する時間間隔だけタイマーによりカウントされた時間をインクリメントする。
次に、あらかじめ測定され又は記憶された値を動的パラメータ(動作4)及び特有パラメータ(動作5)に割り当てる。
動作6は、以下に説明する反復ループの内部で実行された連続計算サイクルの数をカウントするために用いられるカウンタ指数kを設定することから成る。
動作7は、特に同一の反復ループの種々の計算サイクルについて値が一定であると考えることができる不確定な量の計算を可能にするようになった予備段階から成り、これらの計算の反復実行を同一反復ループの各計算サイクルでは回避することができる。
特に、予備段階7は、接触領域の寸法Lx,Ly、その表面積SADC、接触領域に沿う圧力プロフィールp(x)、同様にトレッドの剛性Kx,Kyを先の時点n−1での内部温度Ti、即ち、Tin−1の関数として計算するために用いられる。
推定値Fyo、Mzo及びboも又、横力Fy、自動調心トルクMz及び密着接触ゾーンと滑り接触ゾーンとの間の移行点Nの横座標bに割り当てられる。
入力パラメータが時間の関数として僅かに変化する場合、推定値Fyo,Mz,boを先の時点で計算された値にしても良い。
そうでなければ、初期スリップ横座標boは、接触領域の長さ方向における圧力プロフィールが放物線状であると仮定し、捩じり剛性及びクラウン剛性を無視することによって求められる。
この場合、スリップ方程式(方程式3)は、次のように解析的な解を有する。
Figure 2010514615
0が与えられると、力Fyo及びトルクMzoは、方程式5〜7を用いて計算される。
加うるに、移行点について得られた初期位置がトレッドの横剪断に関する束縛条件、即ち(YK−YN)δ′>0を満足していることを確認することが必要である。もしそうでなければ、想定される解は、物理的意味を提供しない。この場合、YK−YN=0であることが必要な場合があり、自動調心トルクの初期値Mzoは、ゼロに設定される。
動作8は、カウンタ指数kをインクリメントし、反復段階の最初の又は新たな計算段階(ステップ9,10)を開始させることができる。
この反復段階により、逐次近似法によると共に移行点横座標b、横力Fy及び自動調心トルクMzの既知の値又は推定値を用いて、動的パラメータ及び特有パラメータに割り当てられた値について上記において与えられた方程式1〜7を解く新たな値をこれら量b,Fy,Mzについて求めることが可能である。
これら方程式は、密着接触ゾーンと滑り接触ゾーンとの間の移行点の横座標bを示すことにより公式化され、接触領域の力は、2つの成分、即ち、ゴム、クラウン及びタイヤのカーカスの剛性に依存する剪断力及び摩擦の法則に依存する摩擦力に分けられる。
横座標bは、方程式1〜3及び先の反復で推定された値Fy,Mzによって計算される。これは、解が限定される(−a≦b≦a)スカラー方程式である。横座標bの計算は、例えば、二分法(分割法)とセカント法を組み合わせることによって行われる。
セカント法により提案される変位が下側且つ外側制限を超えている場合、本発明の方法は、分割法に切り替わる。
横座標bに関する複数の解が原理的に可能であるので、選択される解は、条件(YK−YN)δ>0を満足する解である。路面に対するトレッドのゴムの摩擦と関連した積分
Figure 2010514615
は、例えば、ガウス求積法公式を用いることにより計算される。
方程式4、方程式5及び方程式6+7により構成される系の残部を計算するため且つ収束を計算するためには、n個の未知の量のn個の方程式の非線形系を次のように、即ち、F(x)=0により解くことが必要である。
複数の反復プロセスが可能であるが、最適なプロセスは、当業者に知られている複合型ニュートン‐ラフソン/ブロイデン(Newton-Raphson/Broyden)プロセスであるように思われる。
次数kの各計算サイクルでは、ステップ9は、特に、基本的な力に関する釣合い方程式1〜3並びに横力及び自動調心トルクに既知の値又は推定値FYK-1及びMZK-1を用いて移行点横座標の新しい一時的な値bkを計算するステップを含む。
機械的モデルが局所熱的モデルによって質的に向上し、特に、路面に対するタイヤのゴムの摩擦係数の値に対する接触温度の漸進的変化の影響を考慮に入れた好ましい実施形態では、ステップ9は、滑り接触ゾーンの各点に関し、移行点横座標の新たに計算された一時的な値bk、先の時点で知られている周辺温度Tsn-1及び路面の温度Tsolに基づく接触温度Tc及び摩擦係数の計算を更に含み、タイヤの周辺温度Tsn-1は、接触表面の開始時の接触温度を計算するために用いられる。
最後に、ステップ9は、移行点の横座標の新たな一時的値bk、先の時点で知られている内部温度Tin−1についてのトレッドの剛性Kx,Kyの値、摩擦係数μの値及び方程式1〜7を用いて、横力及び自動調心トルクに関するそれぞれの新たな値Fyk及びMzkを計算することから成るステップを含み、かかる新たな値Fyk,Mzkは、将来実施される可能性のある計算サイクルに使用できる。
ステップ10は、反復段階の収束を試験することから成る。
例えば、先の計算サイクルで得られた新たな値bk,Fyk,Mzk及び一時的値bk-1,Fyk-1及びMzk-1相互のそれぞれの差がそれぞれの限度、例えばεを下回っている場合、反復段階を中断する。もしそうでなければ、ステップ8の上流側にループバックすることによりこの反復段階を続行する。
反復段階を中断した場合、熱力学的成分を含む現象、例えばタイヤの受ける内部変形の全ての影響を受けた状態での先の反復段階の終了からの周辺温度及び内部温度の変化、タイヤとその環境(空気、路面)との間の熱交換及び路面上でのトレッドのスリップを考慮に入れることにより、周辺温度及び内部温度の新たなアップデートされた値Tsn及びTinを計算するために車輪回転に関する全域熱的モデルを用いる(ステップ11)。
温度Tsは、タイヤの幅方向と円周方向の両方向においてトレッドの平均表面温度であり、温度Ti,Tsの計算は、トレッドの厚さ方向における一方向モデル化に基づいていることが注目される。
ゴムの厚さ方向におけるメッシュを用いる伝統的な有限差分法及びルンゲ・クッタによる2次的時間解答法により全域熱的モデルの方程式を解く。
反復段階の終わりに実施される動作12は、時点nに関し、縦力Fxn、横力Fy動作自動調心トルクMzn、タイヤの内部温度Tin及びトレッドの周辺温度Tsnの値を生じさせることから成る。
本方法は、次に、タイマインクリメンテーション動作3のすぐ上流側で且つ動的パラメータをアップデートする動作4の前にループバックされ、かかる動作4により、ちょうど完了した反復段階の実行中にこれらのパラメータによってなされた変化を考慮に入れることができる。
タイヤの内部温度の新たな値Tinは、特有のパラメータを更新する動作5について又は予備段階7の実施中に用いられる。その目的は、剛性Kx,Kyの値に影響を与えるタイヤのゴムを構成する配合物の剛性G*の新たな値を推定することにある。
さらに、トレッドの周辺温度の新たな値Tsnは、トレッドの開始接触温度Tcを計算するためにステップ9で用いられることになる。
したがって、力決定プロセスと温度決定プロセスとの間の結合は、2つのレベル、即ちトレッドの平均温度Tiが配合物の剛性G*に影響を及ぼし、したがって、トレッドの剛性Kx,Kyに影響を及ぼすということの考慮及び接触領域におけるトレッドの周辺温度Tsがゴムと路面との間の密着係数に影響を及ぼすということの考慮を含むことは理解されるべきである。
上述のタイヤシミュレーション方法は、シャーシ及び路面上を転動する複数本のタイヤを備えた車両の動的挙動のリアルタイムシミュレーションに特に利用できる。
この場合、この方法は、例えば、以下の特性を有する携帯型コンピュータ、即ち、Windows XP(登録商標)、Pentium(登録商標)43.6GHz、2GBのメモリを搭載したPCで実行されるのが良く、ドリフト転動条件において且つスリップの存在している状態で単一のタイヤをシミュレートする方法の性能は、毎秒9000回の完全な計算であり、この場合、各計算は、縦力、横力、自動調心トルク、動的パラメータ及び特有パラメータに基づく所与の時点でのタイヤの表面温度及び内部温度の測定に対応している。
車両用途では、機械的モデル、局所熱的モデル及び全域熱的モデルの各々又はこれらのうちの少なくとも最初のもの、即ち機械的モデルは、各タイヤについて用いられ、動的シャーシモデルと関連しており、その一例が以下に与えられている。
タイヤモデルの各々は、シャーシモデルから動的パラメータ又はこれらのうちの少なくとも幾つかの値を受け取るために、又、シャーシモデルが各タイヤについて、タイヤモデルの具体化によって得られた縦力、横力及び自動調心トルクの値を用いることができるようにするために、このシャーシモデルと協働する。
図18a及び図18bは、所定の時間間隔nに関し、本発明の別の実施形態のステップ段階を示しており、かかる実施形態は、計算に関して先の実施形態の場合よりも経済性が低いが、良好なシミュレーション信頼性をもたらす。
この実施形態では、接触領域は、例えばその長さのN個の連続したゾーンについて打ち切られ、接触領域(ADC)におけるトレッドの基本的剪断力及びスリップ力の釣合いが、各表面要素について吟味される。
具体的に説明すると、各反復段階の各サイクルは、接触領域とは異なるN個の基本的表面に関する基本的剪断力及びスリップ力の釣合いの条件を分析するN回の連続したステップを含み、反復段階の各サイクルは、このサイクル中に考慮される基本的表面の全てが接触領域を覆うと中断される。
この実施形態の動作2′及び4′〜8′は、それぞれ、図17の好ましい実施形態の動作2及び4〜8と同一である。
動作13では、互いに異なる基本的に表面に関する基本的力の釣合い条件を分析するステップをカウントするために用いられるカウンタ指数iを初期化する。
動作14では、接触領域の第1の基本的表面の上流側に及ぼされる横力δFx(i)及び縦量δFy(i)の値をゼロに設定すると共に接触温度Tcの初期値を設定するようになった予備段階を含む。
動作15では、カウンタ指数iをインクリメントし、接触領域の第1の又は新たな基本的表面の基本的力の分析を開始することができるようにし、他方、動作16,17ではこれらの力を計算する。
試験18は、トレッドの基本的剪断力が密着力よりも大きいかどうかを判定するようになっている。
もし大きくなければ、動作19は、路面上のトレッドのスリップと関連した発熱をゼロに設定する。
他方、スリップの場合、動作20は、スリップ条件を正確に判定し、局所熱的モデルに従ってこれにスリップと関連した熱流束を計算する。
スリップが起こっているにせよそうでないにせよいずれにせよ、試験21は、問題の基本的表面が離散的にされた接触領域においてトレッドのN個の基本的表面のうちの最後のものであるかないかを判定するために行われる。
もしそうでなければ、次の表面を動作15に戻った後に分析する。
これとは異なる場合、動作22は、種々の基本的について得られた基本的力及び基本的トルクを合計することにより縦力及び横力及び自動調心トルクを計算するために行われる。
図17の試験10にほぼ同じ試験10′は、反復段階を続行するために動作8′に戻るか、或いは、問題の計算サイクルについての力及び自動調心トルクの値を提供すると共に図18bに直接示されているように全域熱的モデルに関する割り当て及び解答動作を実施する。
車両モデル化及びシミュレーション
この項目は、本発明の方法のステップ(c)及び各ステップの考えられる実施形態の説明に関しており、かかる実施形態では、タイヤモデル付きのシャーシモデルを用いて車両の物理的挙動のシミュレーションが行われ、タイヤモデルは、例えば、上述の項目において説明したモデルから成る。
本明細書のこの項目は、以下に記載するように別の記載上の常套手段を用いる。
Tr 空力抵抗
g% スリップ比
αv ステアリングホイール角度
P タイヤインフレーション圧力(四成分ベクトル)
ψ ヨー角(垂直車両軸線回りの回転)
Figure 2010514615
ヨーレート(垂直車両軸線回りの回転)
t 時間
x 車両位置(二成分ベクトル)
v 車両速度(上述した)
a 車両加速度(上述した)
R ルートの曲率半径
m 車両重量[Kg]
CDG 重心の高さ[m]
CDR 転動中心の高さ[m]
E 車両ホイールベース[m]、ここで、E=e1+e2
e1 重心とフロントアクスルとの間の距離[m]
e2 重心とリヤアクスルとの間の距離[m]
Gauge ゲージ[m] 原理的には、ゲージは、リヤとフロントでは同一ではない。これらの区別は次のように行われるべきである。
GaugeFR:l1[m]
GaugeR:l2[m]
さらに、各車輪について量について述べることが必要な場合、以下の表記を用い、即ち、
添字1は、左前輪を意味し(例えばFx1)、
添字2は、右前輪を意味し(例えばFx2)、
添字3は、左後輪を意味し(例えばFx3)、
添字4は、右後輪を意味する(例えばFx4)。
事実、本明細書において説明している車両のシミュレーションは、車両シャーシモデル及びタイヤモデルに加えて運転手モデルを暗黙的に含む。
しかしながら、運転手は、必要とするルートを辿ることが仮定されており、したがって、運転手モデルにより車両に適用される制御は、タイヤに及ぼされる応力、即ちスリップ及びドリフトに限定される。
例えばフォーミュラ・ワン(Formula 1)車両のようなレース用車両は、四輪シャーシ及びタイヤモデルによってシミュレートされ、モーターサイクルは、二輪モデルによりシミュレートされる。
しかしながら、四輪モデルは、代表的には、二輪モデルの延長によって得られ、四輪モデルには、カーブにおける横荷重移動を説明する関数(したがって、アクスル1つ当たりではなく、車輪1本当たりに1つの荷重が存在する)及び各車輪に関するキャンバ(傾斜)を説明する関数が追加される。
車両モデルデータの大部分は、実際の車両について行われた測定に基づいて直接的又は間接的に得ることができる。
当業者には周知である二輪車両の定常作動の概要につき図19を参照して以下に簡単に説明する。
時刻tでは、二輪車両は、速度Vで曲率半径Rの円形ルートを辿る。
遠心加速力を車両の重心に加える。カーブに入ると、車両は、フロントアクスル及びリヤアクスルにより生じる力でこの加速度を補償する必要があろう。これら力は、フロントタイヤ及びリヤタイヤのドリフトによって生じることになる。
重心G及び車輪の中心の速度ベクトルは、中心O及び半径Rの円形ルートに対して接線方向の矢印によって表されている。
重心Gとフロントアクスル(A)との間の距離は、l1で表され、重心Gとリヤアクスル(B)との間の距離は、l2で表され、フロントドリフトは、δ1で表され、リヤドリフトは、δ2で表され、Gで表された速度ベクトルと車両の向きとの間の車体ドリフト角度は、δGで表され、フロントアクスルの旋回角度は、βで表される。
これら条件下において、車体ドリフト角は次のようにして計算される。
Figure 2010514615
そして、フロントアクスルの旋回角は、次式によって与えられる。
Figure 2010514615
四輪モデルでは、各車輪についてのキャンバは、次の公式に従って横加速度αTのアフィン関数によってモデル化できる(純粋に発見的手法で)。
Figure 2010514615
上式においてパラメータkγ1,kγ2は、実際の車両に対する測定に基づいて得られ、横加速度の符号は、カーブの凹の右側の場所又は左側の場所により決まる。
車両に加えられる空力的な荷重(この場合、選択された表記からの偏差によりFzで表される)が速度につれて変化するので、この速度に依存する4次多項式の形態でこれを次のように考慮に入れ、即ち、
Figure 2010514615
この多項式は、実験による読みを近似することにより定められる。
次に、全荷重を、次のように、空力天秤Bに従ってフロントアクスル及びリヤアクスルに分布させる。
Figure 2010514615
空力天秤は、速度のアフィン関数であるとみなされ、したがって、次の形態を有する。
Figure 2010514615
空力天秤の値を150Km/時及び250Km/時で見ることが慣例である。
Fziが車両の互いに車輪について測定された車輪1本当たりの荷重であり、mが質量(オプションとして、燃料消費量について補正される)である場合、全空力荷重は、次式によって与えられる。
Figure 2010514615
また、車両の特に高い速度で重要な抵抗、即ち、前進運動を阻止する縦空力的力を計算に入れることが必要である。この力は、事実、車両の縦平衡方程式における力Fxiの合計から除算される
抵抗は、2次多項式、例えば次式
Figure 2010514615
によってモデル化される。
車両エンジンは、最大有効動力、即ち、V10エンジンでは850馬力、V8エンジンでは650馬力及び例えば単一のエンジン速度により簡単にモデル化できる。
したがって、リヤアクスルにより出力される動力は、馬力で表された最大動力によって制限され、即ち、次の通りである。
Figure 2010514615
定常状態では、車両は、加速度を力及びモーメントに関連づける動力学の方程式によって支配され、これら方程式は、次の方程式に関連しており、即ち、
縦平衡方程式:
Figure 2010514615
横平衡方程式:
Figure 2010514615
次の公式を用いて近似できるヨー平衡方程式:
Figure 2010514615
各車輪に関する垂直荷重は、4つの寄与要因、即ち、
‐アクスル1つ及び車輪1本当たりに分布した車両の重量に関する静荷重、
‐上述したように計算された空力荷重、
‐縦荷重移動、及び
‐横荷重移動
の合計である。
アクスル1つ当たりの荷重は、質量分布(例えば、フロントについてはrFR=48%、リヤについてはrR=52%)を用いて計算できる。これにより次式が与えられる場合がある。
Figure 2010514615
車輪1本当たりの荷重は、アクスル1本当たりの荷重の半分である。
空力荷重を上述したように計算することができる。車輪1本当たりの空力荷重は、アクスルに加わる荷重の半分であると推定される。
車両の縦加速度に比例した縦荷重移動は、次式によって与えられる。
Figure 2010514615
この荷重は、フロントアクスルから除算され、リヤアクスルに加算され、即ち、制動の際、aL<0であり、したがって、荷重の一部は、フロントアクスルに移される。
上述したように、この寄与要因を2で除算して車輪1本当たりの値を得る必要がある。
車両の横加速度に比例した横荷重移動は、次式によって与えられる。
Figure 2010514615
ゲージは、フロントとリヤとでは互いに異なるので、横荷重移動は、当然のことながら、同じではない。さらに、転動分布は、フロントアクスルとリヤアクスルとでは同一ではない。
転動分布は、速度に依存する転動バランスを用いて計算され、したがって、次の通りである。
Figure 2010514615
転動分布法則の係数は、実際の車両に対する測定を用いて得ることができる。
横荷重移動量は、先のシナリオとは異なり2で除算されることなく、左車輪については加算され、右車輪については減算されなければならない。
他の方程式も又、シミュレーションの現実性を向上させるために観察されるべき制約の形態で車両モデルに追加される場合がある。
全体的に利用され、即ち、シャーシとタイヤとから成る車両のシミュレーションは、シャーシモデルの入力パラメータにタイヤによりシャーシに伝達される機械的応力を導入する(これら機械的応力は、全てのタイヤに適用されるタイヤモデルを基礎として行われる計算によって分かっているので)と共に各タイヤに適用されるタイヤモデルの入力パラメータにシャーシにより各タイヤに伝達される機械的応力を導入する(これら機械的応力は、シャーシモデルを基礎として行われる計算によって分かっているので)ことによって、それ自体公知の仕方で行われる。
SU 単一のコース方向
TR1〜TR10 ディジタル画像セグメント

Claims (14)

  1. 1組の考えられるコンフィグレーションから、単一のコース方向に差し向けられていて、カーブを含む既定のルートを辿るサーキット上で走行するようになった車両に適合する最適化タイヤコンフィグレーションを選択する方法であって、前記方法は、少なくとも、
    ‐第1のタイヤコンフィグレーションを備えた前記車両の物理的モデルを作製するステップを有し、
    ‐前記ルートのディジタル画像を車両速度制限値と関連した箇所で互いに繋がる連続したセグメントに分割するステップを有し、
    ‐各ルートセグメントのコースを、第1に実際のコース方向に連続して取られる共に前記セグメントの開始箇所を含む第1のセグメント部分に属するルートの部分について最大加速度の状態で、そして、互いから連続して上流側で取られると共に前記セグメントの終了箇所を含む第2のセグメント部分に属するルート部分について最大減速度で前記モデル化車両により反復してシミュレートし、前記セグメントの前記第1の部分に関する前記モデル化車両の速度が前記セグメントを前記第2の部分に関する前記モデル化車両の速度を超えないセグメントの箇所のところで前記第1のセグメント部分と前記第2のセグメント部分を繋ぐステップを有し、
    ‐前記車両の要したコース時間をメモリに記憶させて前記ルートを少なくとも1回カバーするステップを有し、
    ‐前記コース時間を少なくとも1つの基準時間と比較して比較結果を生じさせるステップを有し、
    ‐オプションとして、前記比較結果の関数で前記第1のコンフィグレーションを前記最適化コンフィグレーションとして選択するステップを有する、方法。
  2. 前記車両モデルは、前記車両に取り付けられた前記タイヤの熱機械的モデルを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記方法は、
    (a)前記ルート上の前記車両により採用される速度を制限する傾向がある1組の物理的パラメータを調査するステップを有し、前記物理的パラメータの組は、一定のパラメータ及び動的パラメータを含み、前記パラメータは、考えられる互いに異なるタイヤ、車両シャーシ及び(又は)運転条件に関連付けられると共に前記ルートの連続箇所のディジタル化座標から成る前記ルートのディジタル画像を含み、
    (b)各タイヤの物理的挙動を説明すると共に前記物理的パラメータの組の第1のサブセットを含むタイヤモデルを作製するステップを有し、
    (c)前記タイヤモデルと前記物理的パラメータの組の第2のサブセットの両方を含む車両モデルを作製し、少なくともタイヤ応力の関数として前記車両の物理的挙動を説明するステップを有し、前記応力は、スリップ及びドリフトを含み、
    (d)前記ルートの前記ディジタル画像を前記コース方向の隣り合う連続したセグメントに分割するステップを有し、各セグメントは、電気セグメントの開始箇所及び終了箇所を前記コース方向においてこの順番で連続して含む1組の少なくとも3つのルート箇所を有し、前記終了箇所は、到来するカーブに配置され、
    (e)車両速度制限値をそれぞれ各セグメントの前記開始箇所及び終了箇所に関連付けるステップを有し、
    (f)アクティブなコンフィグレーションとして第1のタイヤコンフィグレーションを選択するステップを有し、
    (g)アクティブなセグメントとして第1のルートセグメントを選択するステップを有し、
    (h)前記タイヤ応力を最適化して前記車両に加えられる加速度を前記アクティブなセグメントの前記開始箇所と関連した前記制限速度から最大化することにより、前記車両モデルを用いて、前記アクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた前記車両により前記アクティブなルートセグメントの少なくとも第1の部分のコースをその前記開始箇所からシミュレートするステップを有し、
    (i)前記車両速度を前記アクティブなセグメントの前記第1の部分の種々の箇所及び前記互いに箇所相互間のコース時間と共にメモリに記憶させるステップを有し、
    (j)前記アクティブなセグメントのアクティブな区分として、前記アクティブなセグメントの一対の箇所の第1の箇所と第2の箇所との間に(これらの箇所は、前記コース方向にこの順序で連続している)定められたルート部分を選択するステップを有し、前記対の前記第2の箇所は、前記アクティブなセグメントの前記終了箇所から成り、
    (k)標的速度として、前記アクティブな区分の前記第2の箇所と関連した前記制限速度を選択するステップを有し、
    (l)前記アクティブな区分の前記第1の箇所のところの前記タイヤ応力及び前記車両により採用される速度を最適化して前記標的速度で前記アクティブな区分の前記第2の箇所に到達する一方で、前記アクティブな区分に関する前記コース時間を最小限に抑えることにより、前記車両モデルを用いて、前記アクティブなセグメントの前記アクティブな区分のコースを前記アクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた前記車両によりシミュレートするステップを有し、
    (m)前記車両による前記アクティブな区分のコース時間をメモリに記憶させ、制限速度として、前記アクティブな区分の前記第1の箇所のところの車両速度をメモリに記憶させ、前記アクティブなセグメントの第2の部分の要素として、カバーした前記アクティブな区分をメモリに記憶させるステップを有し、
    (n)前記アクティブなセグメントの前記第1の部分のコース中、前記車両により同一の箇所で採用された、前記アクティブな区分の前記第1の箇所のところの車両制限速度がステップ(i)においてメモリに記憶された速度を超えているかどうかを確認するステップを有し、
    (o)もし超えていなければ、前記アクティブなセグメントの新たなアクティブな区分として、前記コース方向に関して時系列的に先のアクティブな区分から見て上流側に位置すると共に前記アクティブなセグメントの一対の箇所の第1の箇所と第2の箇所との間に(これらの箇所は、前記コース方向においてこの順序で連続して位置しており、前記対の前記第2の箇所は、前記時系列的に先のアクティブな区分の前記第1の箇所から成る)定められたルート部分を選択し、ステップ(k)〜(n)を繰り返すステップを有し、
    (p)もし超えていれば、前記アクティブなセグメントの全コース時間として、前記アクティブなセグメントの前記第2の部分に関する全コース時間と前記第2の部分とオーバーラップしていない前記セグメントの前記第1の部分のフラクションに関してメモリに記憶されたコース時間の合計をメモリに記憶させるステップを有し、
    (q)前記新たなアクティブなセグメントして、前記コース方向において先にアクティブであったセグメントに続くルートセグメントを選択するステップを有し、
    (r)前記ルートが少なくとも1回カバーされると共に前記車両による累積的な且つ安定化されたコース時間が得られるまでステップ(h)〜(q)を繰り返すステップを有する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記方法は、
    (s)前記新たなアクティブなコンフィグレーションとして、第2のタイヤコンフィグレーションを選択するステップを更に有し、
    (t)前記ステップ(g)〜(r)を繰り返すステップを更に有し、
    (u)前記第1及び前記第2のタイヤコンフィグレーションでそれぞれ得られた前記累積的な且つ安定化されたコース時間を互いに比較するステップを更に有し、
    (v)前記最適化コンフィグレーションとして、結果的に前記ルートの最も短い累積的な且つ安定化されたコース時間が得られるようになる前記タイヤコンフィグレーションを選択するステップを更に有し、各タイヤコンフィグレーションで得られた前記コース時間は、かくして、他のタイヤコンフィグレーションで得られたコース時間に関する基準時間として役立つ、請求項3記載の方法。
  5. 前記タイヤモデルは、熱機械的モデルであり、前記ステップ(j)に先行して、アクティブな熱的条件として、既定の熱的条件を選択することから成るステップ(w0)が行われ、前記ステップ(l)は、前記アクティブな熱的条件を前記タイヤに適用することにより実施され、前記ステップ(m)は、各アクティブなセクションに関するタイヤ応力をメモリに記憶させることから成る基本的動作を更に含み、前記ステップ(p)の直前に、反復ループが行われ、前記反復ループは、
    (w1)前記ステップ(n)において実行された確認結果が肯定的な場合、前記タイヤに各アクティブな区分につき前記アクティブな区分に関して前記ステップ(m)においてメモリに記憶された応力を適用し、前記アクティブなセグメントの前記第2の部分について前記タイヤの新たな熱的使用条件を推定することにより、前記コース方向におけるアクティブな区分の後に位置していて前記アクティブなセグメントの前記第2の部分のアクティブな区分のコースを前記アクティブなタイヤコンフィグレーションを備えた前記車両によってシミュレートするステップと、
    (w2)前記新たな熱的条件と前記アクティブな熱的条件の差が収束限界の範囲内に収まっているかどうかを確認するステップと、
    (w3)もし収まっていない場合、アクティブな熱的条件として、前記新たな熱的条件をメモリに記憶させ、ステップ(j)〜(w2)を繰り返すステップとから成る、請求項3又は4記載の方法。
  6. 前記ステップ(d)は、各セグメントを前記終了箇所をカーブの最大曲率に設定することにより実行される、請求項3と組み合わされる請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記方法は、前記ルートの各新たなコースについて実行され、各セグメントの前記終了箇所をタイヤスリップの少ないゾーンの方向に上流側に動かすことから成る別の動作を有する、請求項3と組み合わされる請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記ステップ(b)において作製された前記タイヤモデルは、路面上を駆けているときの前記車両に取り付けられた各タイヤの物理的挙動を説明し、前記タイヤトレッドは、少なくとも1つの密着接触ゾーン及び少なくとも1つの滑り接触ゾーンを含む前記路面との接触領域を有し、前記ステップ(b)は、少なくともモデル化動作を含み、各シミュレーションステップ(h,l,w1)は、ディジタル値割り当て動作及び解答動作を含み、前記モデル化動作は、少なくとも、既知であると共に(或いは)特定の実験によって発見された物理的法則を適用することにより、また第1のモデルとして、前記タイヤのゴムの密着係数及び剪断弾性率を含む特有の物理的パラメータの関数として且つ前記タイヤの駆動及び使用に関する物理的条件に関連した動的パラメータの関数として、前記タイヤにより前記路面と前記車両との間に伝達される縦力(Fx)、横力(Fy)、及び自動調心トルク(Mz)のモデルを構築するステップを含み、前記自動調心トルクは、前記縦力及び前記横力の強度並びに前記接触領域におけるこれら力の分布状態に関連しており、前記割り当て動作は、少なくとも、ディジタル値を前記動的パラメータ(4)及び前記特有の物理的パラメータ(5)に割り当てるステップを含み、前記解答動作は、少なくとも、少なくとも前記第1のモデル並びに前記動的パラメータ及び前記特有の物理的パラメータに割り当てられた前記ディジタル値を用いて前記縦力(Fx)、前記横力(Fy)、及び前記自動調心トルク(Mz)の値を推定するステップを含み、前記モデル化動作は、第2のモデルとして、前記路面と前記トルクの接触及びスリップに起因する前記接触領域の入口から出口まで前記路面との前記トレッドの接触温度の変化を表す局所発熱モデルの構築及び第3のモデルとして、全域発熱及び熱流モデルの構築を更に含み、前記第3のモデルは、周辺温度及び内部温度の既知の値又は推定値、前記トレッドの熱伝導率、及び熱力学的コンポーネントに関する現象、例えば前記タイヤの受ける内部変形、前記タイヤとその環境との間の熱伝達、及び前記路面上における前記トレッドのスリップの関数として、車輪の少なくとも一回転の期間にわたり前記トレッドの周辺温度及び前記タイヤの内部温度の変化を表し、少なくとも、前記密着係数及び前記剪断弾性率は、前記周辺温度及び前記内部温度の変数又は関数として前記第1のモデルに含まれ、前記第3のモデルに関する解答動作により得られた前記周辺温度(Ts)の値は、前記密着係数の温度依存性を考慮に入れるために、前記第2のモデルに関する解答動作によって用いられ、前記第3のモデルに関する解答動作により得られた前記内部温度(Ti)の値は、前記タイヤの前記ゴムの前記剪断弾性率の温度依存性を考慮に入れるために、前記第1のモデルに関する解答動作によって用いられる、請求項3と組み合わされる請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
  9. 前記第1のモデルは、前記接触領域における前記トレッドの基本剪断力及びスリップ力の平衡条件と関連した方程式を含み、前記方法は、一連の計算サイクルから成る少なくとも1つの反復計算段階を含み、各計算サイクルは、前記第2のモデルに関する少なくとも1つの解答動作を含む、請求項8記載の方法。
  10. 前記第1のモデルは、前記接触領域が移行箇所によって互いに分離された単一の密着接触ゾーン及び単一の滑り接触ゾーンを含むと見なすことによって構築され、前記第1のモデルは、少なくとも動的パラメータ、特有パラメータ及び前記移行箇所の横座標(b)の関数として表された方程式系の形態をしており、各反復段階は、対応の基本的時間間隔中に起こる現象に対して専用であり、各反復段階は、逐次近似法により且つ少なくとも前記移行箇所の横座標(bo)の既知の値又は推定値、前記横力(Fyo)、及び前記自動調心トルク(Mzo)に基づいて、前記動的パラメータ及び前記特有パラメータに割り当てられた前記ディジタル値について前記第1のモデルの前記方程式系を解く前記移行箇所の前記横座標(b)、前記横力(Fy)、及び前記自動調心トルク(Mz)の新たな値を求めるために実施される、請求項9記載の方法。
  11. 各反復段階の各新計算サイクルは、少なくとも、
    ‐前記基本的力の平衡方程式及び前記横力及び前記自動調心トルクの既知の値又は推定値に基づいて前記移行箇所の前記横座標の新たな一時的値を計算するステップ、
    ‐前記移行箇所の前記横座標の前記新たな一時的値及び前記横力及び前記自動調心トルクを、前記動的パラメータ、前記特有パラメータ及び移行箇所の前記横座標に関連づける方程式に基づいて、考えられる将来の計算サイクルについて使用できる前記横力及び前記自動調心トルクに対する新たな値を計算するステップ、
    ‐少なくとも前記移行箇所の前記横座標の前記新たな一時的値とこの横座標から推定される値の差が、精度に関する所定の限度を下回ったときに、前記反復段階を条件つきで中断するステップ(10)、及び
    ‐前記反復段階を中断した場合、前記縦力、前記横力、及び前記自動調心トルクに、前記段階に関する値として、最後の計算サイクルで得られた前記縦力、前記横力、及び前記自動調心トルクの前記新たな値を割り当てるステップ(12)を含む動作(9)を有する、請求項10記載の方法。
  12. 前記方法は、各反復段階の終了後に行われる実行動作を更に有し、前記実行動作は、前記反復段階の実行時間中に前記パラメータに生じた変化を考慮に入れるために前記動的パラメータを更新するステップ(4)及び新たな反復段階(8〜10)を開始させるステップとから成る、請求項10又は11記載の方法。
  13. 前記第3のモデルに関する前記解答動作は、各反復段階の外部で実施される、請求項8乃至12の何れか1項に記載の方法。
  14. 前記第1のモデル、前記第2のモデル、及び前記第3のモデルの各々は、各タイヤについて処理されると共に動的シャーシモデルと関連し、前記シャーシモデルは、前記第1のモデル、前記第2のモデル、及び前記第3のモデルに、各タイヤに関し、前記動的パラメータのうちの少なくとも幾つかの値を与え、前記シャーシモデルは、各タイヤについて、前記第1のモデル、前記第2のモデル、及び前記第3のモデルを用いて得られた縦力、横力及び自動調心トルクの値を処理する、請求項8乃至13の何れか1項に記載の方法。
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