JP2010509317A - 純粋な形態のラパマイシンならびにこの回収方法および精製方法 - Google Patents

純粋な形態のラパマイシンならびにこの回収方法および精製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、1.2%未満の合計不純物含量を有するラパマイシンの純粋な形態;ラパマイシンを回収し、精製するための方法であって、(a)ラパマイシンを含む発酵ブロス、抽出物または溶液を水不混和性溶媒で処理し、濃縮する段階;(b)水混和性溶媒を加えて、存在する不純物の分離を行う段階;(c)随意に、段階(b)からの生成物を含む溶媒を不活性固体に結合させ、固体を塩基および酸で洗浄し、続いて溶出させる段階;(d)段階(c)からの溶出液または段階(b)からの生成物を含む溶媒に、シリカゲルクロマトグラフィーを施す段階;(e)段階(d)から得られた生成物を結晶化する段階;(f)段階(e)からの生成物の溶液に、疎水性相互作用または逆相クロマトグラフィーを施す段階;ならびに(g)再結晶させて、ラパマイシンを実質的に純粋な形態で得る段階を含む、前記方法に関する。

Description

発明の分野:
本発明は、ラパマイシンの実質的に純粋な形態を開示する。本発明はまた、段階の組み合わせにおいてラパマイシンを含む発酵ブロス、抽出物または溶液からラパマイシンを回収し、精製するための方法に関する。
背景および従来技術:
1975年に、Vezina et al.は、ラパマイシンおよびシロリムスとしても知られている(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,26R,27R,34aS)−9,10,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a−ヘキサデカヒドロ−9,27−ジヒドロキシ−3−[(1R)−2−[(1S,3R,4R)−4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル]−10,21−ジメトキシ−6,8,12,14,20,26−ヘキサメチル−23,27−エポキシ−3H−ピリド[2,1−c][1,4]オキサアザシクロヘントリアコンチン(hentriacontine)−1,5,11,28,29(4H,6H,31H)−ペントンを、Streptomyces hygroscopicus培養物から収穫された抗真菌性抗生物質として確認した。この培養物は、イースター島土壌試料から単離された。(J. Antibiot. 28, 721-726 (1975);および米国特許第3,929,992号、1975年12月30日にSehgal, et. al.に交付された。)Martel, R. et al. (1977)は、この化合物が免疫応答を妨げる能力を記載した(Can. J. Physiol. Pharmacol., 55, 48-51)。一層最近では、Calne, R. Y. et al. (1989)は、ラパマイシンが異所性心臓同種移植を施与されたラットにおいて免疫抑制性であることを記載した(Lancet、第2巻、227頁)。これらの化合物の多くの他の誘導体および構造的類似体は、免疫抑制剤特性を有する。
US 5,508,398には、中性の非ポリペプチドマクロライドを、前記中性マクロライドを含む発酵ブロス抽出物または母液の濃縮物中に存在する酸性、塩基性および無極性中性不純物から分離する方法が開示されており、これは、任意の順序の抽出段階(a)および随意に、段階(b)および(c)の一方または両方を含み、ここで(a)は水性塩基での抽出を含み、(b)は水性酸での抽出を含み、(c)は非芳香族炭化水素溶媒での処理を含む。
US 5,616,595には、発酵ブロスから水不溶性化合物(FK506、FK520およびラパマイシンを含む)を回収する方法が開示されており、これは、関連する化合物を、すべて単一の閉ざされた再循環系により濃縮し、可溶化し、ダイアフィルタリング(diafiltering)して、さらに下流の精製のための化合物を回収する、連続的な段階を含む。
マクロライド化合物を回収するための従来技術の方法は煩雑であるか、または精製のための特別な装備を必要とし、純粋な生成物は得られない。
本発明者(Wyeth)の錠剤は、Rapamuneの名称の下で市販されている。Rapamune錠剤を、本明細書中に記載される方法に従ってHPLCによって分析し、数種の不純物を含むことが見出された。ラパマイシンは、3種の異性体形態;異性体A、異性体Bおよび異性体Cで存在することが知られている。これらの異性体を除いて、Rapamuneは、1.2%の全不純物、RRT 1.34にて0.39%の不純物、RRT 0.92にて0.15%の不純物およびRRT 0.69にて0.24%の不純物を含んでいた。
本発明は、より純粋な形態のラパマイシンおよびこれを得るための方法を提供する。本発明は、HPLCによって得られる1.2%未満の合計不純物含量を有するラパマイシンを開示する。本発明はまた、RRT 1.34にて0.15%未満の不純物含量を有するラパマイシンに関する。本発明は、RRT 0.92にて0.15%未満の不純物含量を有するラパマイシンに関する。本発明は、RRT 0.69にて0.15%未満の不純物含量を有するラパマイシンに関する。
本発明はまた、ラパマイシンを回収および精製するための方法に関する。
発明の目的:
本発明の主な目的は、1.2%未満の合計不純物含量を有するラパマイシンの純粋な形態を得ることにある。
本発明の尚他の目的は、RRT 1.34、0.92および0.69分にて0.15%未満の不純物を有するラパマイシンの純粋な形態を得ることにある。
本発明の尚他の目的は、ラパマイシンの純粋な形態を高速液体クロマトグラフィーにより得ることにある。
本発明のさらに他の目的は、ラパマイシンを発酵ブロスから回収し、精製するための方法を開発することにある。
発明の記載:
本発明は、1.2%未満の合計不純物含量を有するラパマイシンの純粋な形態;ラパマイシンを回収し、精製するための方法であって、(a)ラパマイシンを含む発酵ブロス、抽出物または溶液を水不混和性溶媒で処理し、濃縮する段階;(b)水混和性溶媒を加えて、存在する不純物の分離を行う段階;(c)随意に、段階(b)からの生成物を含む溶媒を不活性固体に結合させ、固体を塩基および酸で洗浄し、続いて溶出させる段階;(d)段階(c)からの溶出液または段階(b)からの生成物を含む溶媒に、シリカゲルクロマトグラフィーを施す段階;(e)段階(d)から得られた生成物を結晶化する段階;(f)段階(e)からの生成物の溶液に、疎水性相互作用または逆相クロマトグラフィーを施す段階;ならびに(g)再結晶させて、ラパマイシンを実質的に純粋な形態で得る段階を含む、前記方法に関する。
添付図面の簡単な説明:
図1は、RapamuneのHPLCクロマトグラムである。 図2は、精製したラパマイシンのHPLCクロマトグラムである。
発明の詳細な説明:
本発明は、1.2%未満の合計不純物含量を有するラパマイシンの純粋な形態に関する。
本発明の尚他の態様において、ラパマイシンは、RRT 1.34、0.92および0.69分にて0.15%未満の不純物を有する。
本発明の尚他の態様において、ラパマイシンは、98.8%〜100%の範囲内の純度を有する。
本発明の尚他の態様において、ラパマイシンは、好ましくは98.8%の純度を有する。
本発明の尚他の態様において、ラパマイシンは、発酵ブロスにより産生される。
本発明の尚他の態様において、ラパマイシンは、高速液体クロマトグラフィーにより得られる。
本発明の尚他の態様において、ラパマイシンは、結晶形態にある。
本発明はまた、ラパマイシンを回収し、精製するための方法であって:
(a)ラパマイシンを含む発酵ブロス、抽出物または溶液を水不混和性溶媒で処理し、濃縮する段階;
(b)水混和性溶媒を加えて、存在する不純物の分離を行う段階;
(c)随意に、段階(b)からの生成物を含む溶媒を不活性固体に結合させ、固体を塩基および酸で洗浄し、続いて溶出させる段階;
(d)段階(c)からの溶出液または段階(b)からの生成物を含む溶媒に、シリカゲルクロマトグラフィーを施す段階;
(e)段階(d)から得られた生成物を結晶化する段階;
(f)段階(e)からの生成物の溶液に、疎水性相互作用または逆相クロマトグラフィーを施す段階;ならびに
(g)再結晶させて、ラパマイシンを実質的に純粋な形態で得る段階
を含む、前記方法に関する。
本発明の尚他の態様において、水不混和性溶媒は、炭化水素類、複素環式化合物、エーテル類およびエステル類を含む群から選択される。
本発明の尚他の態様において、水不混和性溶媒は、ベンゼン、トルエン、ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸イソブチルおよび酢酸ブチルを含む群から選択される。
本発明の尚他の態様において、水不混和性溶媒は酢酸エチルである。
本発明の尚他の態様において、水混和性溶媒は、水、アルコール類、ケトン類および誘電性非プロトン性溶媒を含む群から選択される。
本発明の尚他の態様において、水混和性溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンおよびアセトニトリルを含む群から選択される。
本発明の尚他の態様において、不活性固体は、珪藻土、砂、活性炭、シリカゲルおよびポリマー樹脂を含む群から選択される。
本発明の尚他の態様において、不活性固体は珪藻土である。
本発明の尚他の態様において、不活性固体は活性炭である。
本発明の尚他の態様において、用いる塩基は、有機塩基または無機塩基のいずれかである。
本発明の尚他の態様において、用いる塩基は無機塩基である。
本発明の尚他の態様において、塩基は重炭酸ナトリウムである。
本発明の尚他の態様において、用いる酸は、有機酸または無機酸のいずれかである。
本発明の尚他の態様において、用いる酸は無機酸である。
本発明の尚他の態様において、酸は塩酸である。
本発明の尚他の態様において、溶出を、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、石油エーテル、メタノールおよびジエチルエーテルまたはこれらの混合物を含む群から選択された有機溶媒を用いて行う。
本発明の尚他の態様において、溶出を、アセトンを用いて行う。
本発明の尚他の態様において、結晶化を、エーテル類を用いて行う。
本発明の尚他の態様において、結晶化を、ジエチルエーテルを用いて行う。
本発明の尚他の態様において、疎水性相互作用クロマトグラフィーを、ポリスチレン、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)、ポリ(アクリレート)およびポリ(メタクリレート)を含む群から選択されるポリマー樹脂を用いて行う。
本発明の尚他の態様において、逆相クロマトグラフィーを、C4、C8およびC18結合シリカを含む群から選択された樹脂を用いて行う。
本発明の尚他の態様において、疎水性相互作用または逆相クロマトグラフィーにおける溶出を、メタノール、アセトン、アセトニトリル、水、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびテトラヒドロフランまたはこれらの混合物を含む群から選択された溶媒を用いて行う。
本発明の尚他の態様において、再結晶を、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘキサンおよびヘプタンを含む群から選択された有機溶媒を用いて行う。
本発明の尚他の態様において、精製された生成物は、ラパマイシンの異性体形態のいずれか1種、即ち異性体A、異性体Bまたは異性体Cである。
本発明の尚他の態様において、精製された生成物は、ラパマイシンの異性体Bである。
本発明は、HPLCにより1.2%未満の合計不純物含量を有するラパマイシンに関する。本発明はまた、RRT 1.34にて0.15%未満の不純物含量を有するラパマイシンに関する。Rapamuneおよび本発明からのラパマイシンのLC−MS分析により、RRT 1.34における不純物が[M+Na]に相当する951のm/zにてピークを付与することが示される。この不純物は、ラパマイシンの質量より14Da大きい質量を有する。本プロセスを用いて産生されるラパマイシン中に存在するRRT 0.69またはRRT 0.92における不純物は、各々0.15%未満である。ここでのすべてのRRTは、ラパマイシンの異性体Bに関してのものである。
本発明において精製されるRapamuneおよびラパマイシンを分析するために本発明において用いるHPLC方法は、以下の通りである:
カラム:Agilent Eclipse XDB-C8、3.5μm、直径−4.6mm、長さ−150mm流量:1.5ml/分
検出波長:287nm
注入容積:20μl
希釈剤:アセトニトリル
温度:45℃
ラパマイシンの異性体Bのおよその滞留時間:26分
移動相:緩衝液A−アセトニトリル;緩衝液B−水中2mMのKHPO。勾配は、表1に示す通りである。
Figure 2010509317
本発明はまた、ラパマイシンを回収し、精製するための方法であって:
(a)ラパマイシンを含む発酵ブロス、抽出物または溶液を水不混和性溶媒で処理し、濃縮すること;
(b)水混和性溶媒を加えて、存在する不純物の分離を行うこと;
(c)随意に、段階(b)からの生成物を含む溶媒を不活性固体に結合させ、固体を塩基および酸で洗浄し、続いて溶出させること;
(d)段階(c)からの溶出液または段階(b)からの生成物を含む溶媒に、シリカゲルクロマトグラフィーを施すこと;
(e)段階(d)から得られた生成物を結晶化すること;
(f)段階(e)からの生成物の溶液に、疎水性相互作用または逆相クロマトグラフィーを施すこと;ならびに
(g)再結晶させて、ラパマイシンを実質的に純粋な形態で得ること
を含む、前記方法に関する。
本発明のラパマイシンは、発酵によって産生される。発酵によって得られるブロスを、水不混和性溶媒によって直接抽出することができる。水不混和性溶媒を、酢酸エチル、トルエン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ブタノール、ベンゼン、クロロホルムおよびジクロロメタンから選択することができる。ブロスから得られる固体、半固体または液体形態のすべての天然材料を、水不混和性溶媒で処理して、ラパマイシンの水不混和性溶媒への可溶化をもたらすことができる。ラパマイシンを含む水不混和性溶媒を、濃縮することができる。濃縮を、既知の方法によって行うことができる。濃縮を、溶媒の蒸発によって行うことができる。溶媒の蒸発を、減圧を伴わずに、または減圧を伴って、加熱によって行うことができる。
濃縮物を、溶媒で処理して、ラパマイシンと共に存在する不純物の分離を行うことができる。不純物は、固体もしくは溶媒と不混和性の液体またはその両方の形態で存在し得る。不純物を、濾過、相分離またはこれらの両方によって分離することができる。溶媒は、水混和性溶媒であり得る。好ましくは、溶媒を、アセトン、メタノールまたはアセトニトリルから選択することができる。随意に、濃縮物は、不活性固体に結合し、これを塩基および/または酸で洗浄する。次に、ラパマイシンを、有機溶媒で溶出する。塩基および酸を、無機または有機塩基および酸から選択することができる。好ましくは、塩基は水性重炭酸ナトリウムであり得、酸は水性塩酸であり得る。有機溶媒を、ラパマイシンおよびこれらの混合物を溶解することができる溶媒から選択することができる。次に、溶出液を濃縮することができる。
濃縮物に、シリカゲルクロマトグラフィーを施すことができる。溶出を、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、メタノールおよびジエチルエーテルからの溶媒の1種またはこれらの混合物を用いて行うことができる。クロマトグラフィーからの画分を含む生成物を、混合し、濃縮することができる。濃縮物を溶媒で処理して、生成物を単離することができる。生成物を濾過し、乾燥することができる。随意に、この溶媒処理を繰り返してもよい。
生成物に、疎水性相互作用クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィーを施すことができる。疎水性相互作用クロマトグラフィーを、ポリマー樹脂を用いて行ってもよい。このポリマー樹脂を、ポリスチレン、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)、ポリ(アクリレート)およびポリ(メタクリレート)から選択することができる。逆相クロマトグラフィー用の樹脂を、C4、C8またはC18結合シリカから選択することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィー用の溶出溶媒を、メタノール、アセトン、アセトニトリル、水、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびテトラヒドロフランまたはこれらの混合物から選択することができる。所望の純度で生成物を含む画分を、混合し、濃縮し、水不混和性溶媒で抽出することができる。抽出物を濃縮することができる。
疎水性相互作用クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィーの後に得られた濃縮物または生成物を、有機溶媒から再結晶することができる。この溶媒を、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、クロロホルムおよびジクロロメタンから選択することができる。
本発明を、以下の例の補助によりさらに詳述する。しかし、これらの例は、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
例1:ラパマイシンの回収
ラパマイシンを含む発酵ブロス(11kg)を、11lの酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル抽出物を濃縮して、206gの油状残留物を得た。残留物を、600mlのアセトニトリルで3回抽出した。アセトニトリル抽出物を濃縮して、90gの油状残留物を得た。残留物を、1lの酢酸エチルと混合した。500gの珪藻土を、この溶液に加えた。溶液を完全に濃縮した。濃縮物を、水に溶解した0.01Mの重炭酸ナトリウム溶液1l中でスラリーとした。混合物を濾過した。濾過した固体を、9lの0.01Mの重炭酸ナトリウム溶液でさらに洗浄した。塩基での洗浄に、10lの0.1Nの水性塩酸溶液を続けた。次に、固体を水で洗浄した。生成物を、酢酸エチルを用いて溶出した。溶出液を濃縮して、56gの残留物を得た。
残留物を、シリカゲルを詰めたカラムに適用した。カラムを、ヘキサン中の15%アセトンおよびヘキサン中の25%アセトンで洗浄した。生成物を、ヘキサン中の40%アセトンで溶出した。画分を含む生成物を濃縮して、23gの残留物を得た。残留物を、ジエチルエーテルと混合し、混合物を、4℃にて撹拌した。混合物を濾過して、ラパマイシンの結晶を単離した。結晶を乾燥して、6gの白色粉末を〜95%の純度で得た。
例2:ラパマイシンの回収
ラパマイシンを含む発酵ブロス(2500kg)を、酢酸エチル(1:0.5、1:0.25、1:0.25の比率での3回の抽出)で抽出した。酢酸エチル抽出物を、約1000kgまで濃縮した。部分的に濃縮された酢酸エチル層を、水で洗浄した。酢酸エチル層を濃縮して、50kgの油状残留物を得た。残留物を、150kgのアセトニトリルで3回抽出した。アセトニトリル抽出物を濃縮して、11kgの油状残留物を得た。残留物を、200kgの酢酸エチルと混合した。0.765kgの活性炭を、この溶液に加えた。溶液を撹拌し、濾過した。濾液を完全に濃縮して、残留物を得た。
残留物を、シリカゲルを詰めたカラムに適用した。カラムを、ヘキサン中の15%アセトンおよびヘキサン中の25%アセトンで洗浄した。生成物を、ヘキサン中の40%アセトンで溶出した。画分を含む生成物を濃縮して、油状残留物を得た。残留物を、200kgの酢酸エチルと混合した。0.765kgの活性炭を、この溶液に加えた。溶液を撹拌し、濾過し、濃縮した。濃縮物を、ジエチルエーテルと混合し、混合物を、4℃にて撹拌した。混合物を濾過して、ラパマイシンの結晶を単離させた。結晶を乾燥して、1.1kgの白色粉末を〜90%の純度で得た。
例3:ラパマイシンの精製
例1において得られた粉末3gを、90mlのアセトニトリルに溶解した。溶液を濃縮し、結晶化のために4℃にて保持した。結晶を濾過し、乾燥した。2.5gの白色結晶が得られた。これらの結晶中の全不純物は0.5%であり、RRT 1.34における不純物は0.25%であった。
例4:ラパマイシンの精製
例2において得られた粉末7gを、150mg/mlの濃度でアセトニトリルに溶解した。C8結合シリカを詰めたカラムに溶液をロードした。カラム直径は100mmであり、長さは250mmであった。生成物を、60:40の比率のアセトニトリルおよび水の移動相で溶出した。純粋な生成物を含む画分をプールし、濃縮した。濃縮物を、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を濃縮した。濃縮物に、200mlのアセトニトリルを加えた。溶液を濃縮し、結晶化のために4℃にて保持した。結晶を濾過し、乾燥した。1.8gの白色粉末が得られた。この粉末中の全不純物は、0.15%であった。RRT 1.34および0.92における不純物は、それぞれ0.07%および0.03%であった。RRT 0.69における不純物は、検出されなかった。
RapamuneについてのHPLCクロマトグラムおよび、上記のように得られたラパマイシンのHPLCクロマトグラムを、それぞれ図1および図2に示す。図1におけるクロマトグラムの詳細を、表2に示し、図2のクロマトグラムの詳細を、表3に示す。図1と図2との比較および対応する表により、本発明から得られるラパマイシンが実質的に純粋であることが示される。
Figure 2010509317
Figure 2010509317
例5:ラパマイシンの精製
例2において得られた粉末7gを、175mlのアセトンに溶解した。これに、175mlの水を加えた。溶液を、HP20SS樹脂を詰めたカラムに通じた。カラム直径は20mmであり、長さは1mであった。カラムを、水中の50%アセトンおよび水中の60%アセトンで洗浄した。溶出を、水中の70%アセトンを用いて行った。純粋な生成物を含む画分をプールし、濃縮した。濃縮物を、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を濃縮した。濃縮物に、200mlのアセトニトリルを加えた。溶液を濃縮し、結晶化のために4℃にて保持した。結晶を濾過し、乾燥した。1.6gの白色粉末が得られた。この粉末中の全不純物は、0.45%であり、RRT 1.34、0.92および0.68における不純物は、それぞれ0.03%、0.14%および0.13%であった。

Claims (32)

  1. 1.2%未満の合計不純物含量を有する、ラパマイシンの純粋な形態。
  2. ラパマイシンが、RRT 1.34、0.92および0.69分にて0.15%未満の不純物を有する、請求項1に記載のラパマイシン。
  3. ラパマイシンが、98.8%〜100%の範囲内の純度を有する、請求項1に記載のラパマイシン。
  4. ラパマイシンが、好ましくは98.8%の純度を有する、請求項1に記載のラパマイシン。
  5. ラパマイシンが、発酵ブロスにより産生される、請求項1に記載のラパマイシン。
  6. ラパマイシンが、高速液体クロマトグラフィーにより得られる、請求項1に記載のラパマイシン。
  7. ラパマイシンが結晶形態にある、請求項1に記載のラパマイシン。
  8. ラパマイシンを回収し、精製するための方法であって:
    (a)ラパマイシンを含む発酵ブロス、抽出物または溶液を水不混和性溶媒で処理し、濃縮すること;
    (b)水混和性溶媒を加えて、存在する不純物の分離を行うこと;
    (c)随意に、段階(b)からの生成物を含む溶媒を不活性固体に結合させ、固体を塩基および酸で洗浄し、続いて溶出させること;
    (d)段階(c)からの溶出液または段階(b)からの生成物を含む溶媒に、シリカゲルクロマトグラフィーを施すこと;
    (e)段階(d)から得られた生成物を結晶化すること;
    (f)段階(e)からの生成物の溶液に、疎水性相互作用または逆相クロマトグラフィーを施すこと;ならびに
    (g)再結晶させて、ラパマイシンを実質的に純粋な形態で得ること
    を含む、前記方法。
  9. 水不混和性溶媒が、炭化水素類、複素環式化合物、エーテル類およびエステル類を含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 水不混和性溶媒が、ベンゼン、トルエン、ブタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸イソブチルおよび酢酸ブチルを含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
  11. 水不混和性溶媒が酢酸エチルである、請求項8に記載の方法。
  12. 水混和性溶媒が、水、アルコール類、ケトン類および誘電性非プロトン性溶媒を含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
  13. 水混和性溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンおよびアセトニトリルを含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
  14. 不活性固体が、珪藻土、砂、活性炭、シリカゲルおよびポリマー樹脂を含む群から選択される、請求項8に記載の方法。
  15. 不活性固体が珪藻土である、請求項8に記載の方法。
  16. 不活性固体が活性炭である、請求項8に記載の方法。
  17. 用いる塩基が有機塩基または無機塩基のいずれかである、請求項8に記載の方法。
  18. 用いる塩基が無機塩基である、請求項8に記載の方法。
  19. 塩基が重炭酸ナトリウムである、請求項8に記載の方法。
  20. 用いる酸が有機酸または無機酸のいずれかである、請求項8に記載の方法。
  21. 用いる酸が無機酸である、請求項8に記載の方法。
  22. 酸が塩酸である、請求項8に記載の方法。
  23. 溶出を、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、石油エーテル、メタノールおよびジエチルエーテルまたはこれらの混合物を含む群から選択される有機溶媒を用いて行う、請求項8に記載の方法。
  24. 溶出を、アセトンを用いて行う、請求項8に記載の方法。
  25. 結晶化を、エーテル類を用いて行う、請求項8に記載の方法。
  26. 結晶化を、ジエチルエーテルを用いて行う、請求項8に記載の方法。
  27. 疎水性相互作用クロマトグラフィーを、ポリスチレン、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)、ポリ(アクリレート)およびポリ(メタクリレート)を含む群から選択されるポリマー樹脂を用いて行う、請求項8に記載の方法。
  28. 逆相クロマトグラフィーを、C4、C8およびC18結合シリカを含む群から選択される樹脂を用いて行う、請求項8に記載の方法。
  29. 疎水性相互作用または逆相クロマトグラフィーにおける溶出を、メタノール、アセトン、アセトニトリル、水、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびテトラヒドロフランまたはこれらの混合物を含む群から選択される溶媒を用いて行う、請求項8に記載の方法。
  30. 再結晶を、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘキサンおよびヘプタンを含む群から選択される有機溶媒を用いて行う、請求項8に記載の方法。
  31. 精製された生成物が、ラパマイシンの異性体形態のいずれか1種、即ち異性体A、異性体Bまたは異性体Cである、請求項8に記載の方法。
  32. 精製された生成物が、ラパマイシンの異性体Bである、請求項8に記載の方法。
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