定義
本明細書で使用するとき、用語「吸収性物品」は、液体を吸収及び/又は収容する装置を指し、より具体的には、着用者の身体に当てて又は近接して配置されて、身体から排泄される様々な排出物を吸収及び収容する装置を指す。吸収性物品としては、おむつ、プルオンおむつ若しくはパンツ型衣類、トレーニングパンツ、失禁用ブリーフ、失禁用下着、吸収性挿入物、おむつホルダー及びライナー、女性用衛生衣類等のような品物が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「長手方向」は、物品の腰部縁部から反対側の腰部縁部までに対して垂直に、並びに物品の最大直線寸法にほぼ平行に通る方向を指す。長手方向の45度以内の方向は、「長手方向」であると見なされる。
本明細書で使用するとき、用語「横方向」は、物品の側部縁部から反対側の側部縁部まで、並びに長手方向に対してほぼ直角に通る方向を指す。横方向の45度以内の方向は「横方向」であると見なされる。
本明細書で使用するとき、用語「使い捨て」は、洗濯する、ないしは別の方法で吸収性物品として復元若しくは再利用することを一般に意図しない(すなわち、1回使用したら廃棄される、好ましくはリサイクルされる、堆肥化される、又は環境に適合する方法で処理されることを意図している)吸収性物品を説明するために用いる。
本明細書で使用するとき、用語「弾性」、「エラストマー」、及び「エラストマーの」は、破断又は破裂することなく一般に少なくとも50%のひずみまで伸びが可能であり、変形力が除去された後で実質的にその最初の寸法まで回復可能である材料を指す。
本明細書で使用するとき、用語「身体に面する」は、物品を着用しているときに、着用者の身体と接触する、又は着用者の身体に非常に近接する(すなわち、衣類に面する表面よりも身体に近い)表面を説明するために用いる。
本明細書で使用するとき、用語「衣類に面する」は、着用している任意の衣類と接触する、又はその衣類に非常に近接する表面を説明するために用いる。
本明細書で使用するとき、用語「配置されている」は、ある要素(1つ又は複数)が特定の場所若しくは位置に、他の要素と共に単一構造体として又は別の要素に接合している別個の要素として形成されている(接合され位置する)ことを意味する際に用いる。
本明細書で使用するとき、用語「接合された」は、1つの要素を他の要素に直接固着することによりその要素を他の要素に直接固定した形体と、1つの要素を中間部材に固着し、次にその中間部材を他の要素に固着することによりその要素を他の要素に間接的に固定した形体とを包含する。
本明細書で使用するとき、用語「パンツ型」は、腰部開口部及び1対の脚部開口部を有するように設計された物品を指す。パンツは、着用者の脚を脚部開口に挿入して、パンツを着用者の胴体下部周りの適所まで滑らせることによって、着用者の定位置に置かれてもよい。この構成は、従来の下着の場合のように恒久的であってもよく又は取り外しのために開けることができるシームを備えたトレーニングパンツの場合のように一時的であってもよい。それに加えて、吸収性物品は、パンツ様の形体と、開いている又はパンツ様ではない1つ以上の形体と、の両方を有することができるように、再締結可能な機構を搭載して作製することができる。
本明細書で使用するとき、用語「再締結可能な」は、物品の連続的な使用を損なうであろう締結具の性能の実質的な悪化又は物品の周囲構成要素の損傷を伴うことなく、2つ以上の要素又は要素の部分を分離及び再付着させることができるような方法で、2つ以上の要素又は要素の部分を合わせて付着させることを指す。再締結可能な構成要素は、無限の寿命を有する必要はないが、再締結可能な方法で付着させた構成要素は、物品の一般的な使用寿命にわたって、分離と再付着を続けて何回か行うことが十分できると理解される。実際の締結の強度は、絶対的には締結から再締結まで著しく低下する場合があるが、結果として生じる再締結強度が、締結機構の使用目的に見合うほど十分である場合には、このような低下は、締結具の性能の「実質的な悪化」ではないことも理解される。
本明細書で使用するとき、用語「再締結作業」は、嵌合させた締結機構の分離及び再嵌合を指す。
本明細書で使用するとき、「ロック状態」は、再締結を妨げる、ある種の壊滅的な破損なしには、嵌合させた締結機構が解除されない状態を指す。
本明細書で使用するとき、「恒久的な結合」は、物品の通常の使用中に2つ以上の要素又は要素の部分を分離することを意図していない形で、2つ以上の要素又は要素の部分を合わせて付着させることを指す。このような恒久的な結合部分を分離すると、物品の付着及び/又は物品の部分の劣化につながる。恒久的な結合部が破断すると、目的用途に対する物品の性能が弱まる。
本明細書で使用するとき、「接着締結機構」又は単に「接着機構」は、従来の接着剤、選択的接着剤、又は接着用貼着剤を利用する締結機構を指す。
本明細書で使用するとき、用語「機械的締結具」は、作用するために、締結具の部分の物理的拘束、磁場、又は嵌合に依存する締結機構又は機構を指す。機械的締結具の例は、フック・ループ式、フック・フック式、ボタン、スナップ、タブ・スロット式、ジッパー、マグネット、及びさねはぎの締結具である。
本明細書で使用するとき、用語「典型的な接着剤」及び「旧来の接着剤」は、置き換え可能であり、一般に別の材料(例えば、材料は特別に選択されない)に塗布すると接着性を示す接着体を指す。従来の接着剤材料は、他の材料に無差別的に接続し、様々な材料に粘着する場合がある。従来の接着剤は粘着性である。一般に、使い捨て吸収性物品で用いられる典型的な接着剤材料は、特定の温度(ホットメルト接着剤等の場合)又は圧力下(感圧接着剤の場合)のいずれかで、接着性を示す。
本明細書で使用するとき、用語「配向された」は、製造中にひずませて、分子鎖を実質的に揃えたポリマー材料を指す。「2軸配向された」は、製造中に2方向にひずませた材料を指し、一般的には、この2つの方向は、相互に直交している。
本明細書で使用するとき、用語「貼着剤」は、その材料自体又は材料自体の類似体に塗布すると、表面相互作用(1つの表面の別の表面への連結という観点の作用)を示す材料を指す(すなわち、同じ又は実質的に同じ材料が、接着体及び被着体の両方である)。A−Aタイプの貼着材料は、主にそれ自体を締結させる又はそれ自体への連結を形成することになる。一般に、このような貼着剤は室温又は中程度の圧力(例えば、指でつまんだときの圧力)下では、(皮膚等に対して)実質的に非粘着性である。
本明細書で使用するとき、用語「選択的接着剤」は、特別に選択した被着体に塗布すると、表面相互作用(1つの表面の別の表面への連結という観点の作用)を示す接着体を指す。A−A’タイプの選択的接着機構は、接着体Aが被着体A’に付着する表面相互作用を示し、この際、A’は、Aと化学的に類似の材料である。A−Bタイプの選択的接着機構は、接着体Aが、異なる材料である被着体Bに付着する表面相互作用特性を示す。ただし、A’は貼着剤であってもよい。例えば、A−A’タイプの選択的接着剤では、AはAにも付着してよく、A’はA’にも付着してよい。別の例では、A−Bタイプの選択的接着機構のうち、材料Aは、それ自体又は材料Bに付着してよいが、材料Bは、それ自体には付着しない選択的接着機構が存在することができる。選択的接着剤の接着体及び被着体は、非粘着性にできる。
本明細書で使用するとき、用語「非粘着性」は、下記のプローブタック試験によって測定した場合に、皮膚に対して低い表面接着性を示す接着体又は被着体を指す。低い表面接着性は、プローブタック試験によれば、1cm2あたり50グラム重(gf)未満の測定値として定量化される。特定の実施形態では、低い表面接着性は、40gf/cm2未満、あるいは30gf/cm2未満、あるいは20gf/cm2未満、あるいは10gf/cm2未満、あるいは5gf/cm2未満であってよい。逆に、「粘着性」は、「非粘着性」とは相容れず、プローブタック試験によって測定した場合に、50gf/cm2を超える皮膚への表面接着性を示す接着体又は被着体を指す。
本明細書で使用するとき、用語「滞留時間」は、締結機構が嵌合したままである時間を指す。一般に、滞留時間は、嵌合させた締結機構の何らかの試験を行う前まで、締結機構が嵌合したままである時間である。
本明細書で使用するとき、用語「経時変化」は、締結機構(すなわち、典型的には、事前に嵌合させた締結機構)を、ある期間にわたって嵌合したままにするプロセスを指す。「経時変化」は、(i)事前に嵌合させた締結機構を製造後、約15日間嵌合させるとき、又は(ii)締結機構を最初に嵌合させてから加速経時変化プロセスに付すときに生じる場合がある。同様に、用語「経時変化させた」は、経時変化プロセスに付した締結機構(すなわち、典型的には、事前に嵌合させた締結機構)を指す。
本明細書で使用するとき、「加速経時変化プロセス」は、嵌合させた締結機構を60℃の温度及び0.8N/cm2の均一分布圧力で少なくとも6時間さらすことを指す。加速経時変化プロセスは、7日以上まで延長してよいが、特に別段の指定がない限りは、加速経時変化は3日間行う。別段の定めのない限り、T−剥離試験、動的剪断試験、及び剪断懸垂時間試験によって得られる値は、加速経時変化プロセスを経たサンプルに関するものである。加速経時変化プロセスは、製造後、数週間(例えば、製品を保管、輸送等する間)、嵌合させた締結機構を経時変化させる作用を模するものと考えられる。
本明細書で使用するとき、用語「延伸性」は、外部の引張力を受けるときに少なくとも一方向に伸長するか、又は増大する材料を指す。
本明細書で使用するとき、用語「伸縮性」又は「弾性」は、延伸性があり、外部の引張力を取り除くと実質的に元の寸法に戻る材料を指す。用語「伸縮性」及び「弾性」は、本明細書で各用語を使用する場合、用語「延伸性」を含むことが理解されるであろう。
本明細書で使用するとき、用語「事前に嵌合させた」は、非粘着性接着締結機構の複数の要素を合わせて嵌合する、付着させる、又はその他の方法で粘着させるように製造する締結機構を指す。
本明細書で使用するとき、用語「非粘着性接着機構」(又は「NT接着機構」)は、以下で更に詳しく説明されている非粘着性パターンが施された接着機構及び非粘着性3次元接着機構の両方を指す。いずれのNT接着機構も、選択的接着剤又は貼着剤を利用する。ある特定の物品が、非粘着性接着機構を有するものとして記載されている場合、非粘着性パターンが施された接着機構又は非粘着性3次元接着機構のいずれかを(又は、この双方を組み合わせた状態で)物品に組み込んでよい。
非粘着性パターンが施された接着機構
図1A〜1Jは、本開示によるNT接着機構、すなわち、非粘着性パターンが施された(NTP)接着機構の1つの態様を示している。NTP接着機構を用いることの利点は、この接着機構の平均剥離力が、消費者の許容できる範囲内(すなわち、約0.8N/cm〜約3.1N/cm)であることから、消費者が従来所望する剥離力よりも高い(すなわち、3.1N/cmを超える)剥離力を有する接着機構の使用が可能になる点である。上記のとおり、接着締結機構は、接着機構の剥離力を実質的に低下させる可能性のある汚染物質の影響を受けやすい。しかし、NTP接着機構は、より高い剥離力を有する局部的な部位を利用するため、このような平均剥離力の低下を緩和できる。
図1Aは、本開示によるNTP接着機構20の実施形態を示している。図1Bは、図1Aを切断線2−2で切断した横断面図を示している。NTP接着機構20は一般に、嵌合部材22及び受容部材24を含む。嵌合部材22は、その上に配置された非粘着性(NT)接着体30を備える嵌合表面26を有する。受容部材24は、その上に配置された非粘着性(NT)被着体32を備える受容表面28を有する。嵌合状態においては、嵌合部材22の嵌合表面26は、受容部材24の受容表面28と平面的に向かい合わせの関係にある。嵌合部材22は受容部材24と嵌合可能であり、NT接着体30とNT被着体32が相互に接触して境界面33を画定して、それによって嵌合表面26と受容表面28との間で接着性を示すように、双方の部材が配置される。NT接着体30及びNT被着体32は、嵌合部材22と受容部材24を接合させるように相互作用する。図示されている嵌合状態では、NT接着体30とNT被着体32は境界面33で完全に重なり合う。しかし、このような形体は必須ではなく、一般にはNT接着体30とNT被着体32との間の境界面33は、嵌合表面26、受容表面28、NT接着体30、及び/又はNT被着体32と境界線を共にしなくてもよい。
NTP接着機構20は一般に、図1Aに示されているようにXY平面と同一平面上にある。NTP接着機構20は、XY平面と垂直なZ方向(図1Bに示されているような方向)のいくらかのキャリパー又は厚みを有してもよい。下記の説明から分かるように、NTP接着機構20は、一般にXY平面内のいずれかのベクトルに沿って方向付けられる剪断力を受ける場合がある。下記の説明から更に分かるように、嵌合部材22と受容部材24を剥離動作によって外すときに、NTP接着機構20は、一般にZ軸に沿って方向付けられる剪断力を受ける場合がある。
接着機構のパターン化は、図1A及び1Bの平面図及び横断面図では見ることができないが、図1C〜1Gに図示されている。図1C〜1Gのそれぞれは、様々な代表的なパターンの嵌合部材22及び受容部材24の接着側の頂面図を示している。図1C〜1Gで見ることのできる側面は、NTP接着機構20が嵌合した形体であるときに、向かい合わせの関係で境界面33で交わる側面である。
図1Cは、対向し合う部材のうちの1つのみがパターンが施された接着層を有するNTP接着機構20の実施形態を示している。嵌合部材22は一般に、嵌合表面26を有する。嵌合表面26は、その上に配置された複数のNT接着体30(例えば、第1のNT接着体30A及び第2の接着体30B等)を有する。図1Cに示されているように、第1のNT接着体30A及び第2のNT接着体30Bは、相互に対して、実質的に直線状で、実質的に平行な形で配列されている。ただし、以下に示されているように、このような配列は必須ではない。図1Cの受容部材24は受容表面25を有し、その上に単一のNT被着体32が配置されている。
また嵌合部材22は、実質的にNT接着体のない非接着性嵌合区画34を少なくとも1つ含む。図1Cでは、NT接着体30(例えば第1のNT接着体30A及び第2のNT接着体30B)は、非接着性嵌合区画34によって、相互から完全に分離されるように配列されている。ただし、以下に示されているように、完全分離状態は必須ではなく、NT接着体30は一般に、非接着性嵌合区画34によって、相互から部分的に分離されていさえすればよい。
図1Dは、NTP接着機構20の別の実施形態を示しており、この機構では、各種のNT接着体30(例えば、第1のNT接着体30A及び第2のNT接着体30B)は、非接着性嵌合区画34によって、相互から部分的に分離されているに過ぎない。図1Cに示されている実施形態と同様に、受容部材24は受容表面28を有し、その上に1つのNT被着体32が配置されている。図示されているこの実施形態では、第1のNT接着体30A及び第2のNT接着体30Bは、相互に対して、実質的に直線状で、実質的に平行な形で配列されている。ただし、NT接着体30は実際には、連続的な非接着体に相当し、その配列は接着体湾曲部31によって可能になっている。
図1Eは、NTP接着機構20の1つの実施形態を示しており、この機構では、各種のNT接着体30(例えば、第1のNT接着体30A及び第2のNT接着体30B)は、実質的に直線状ではない。図1Cのものと同様に、NT接着体30は、非接着性嵌合区画34によって、相互から完全に分離されている。図1Eに示されている形体は、図1H〜1Jを参照しながら以下で論じるように、正味T−剥離力を所望の範囲に保ちながら、ピーク剥離抵抗を低下させる利点をもたらすことができる。図1C及び1Dに示されている実施形態と同様に、受容部材24は受容表面28を有し、その上に1つのNT被着体32が配置されている。
図1Fは、NTP接着機構20の1つの実施形態を示しており、この機構では、各種のNT接着体30(例えば、第1のNT接着体30A及び第2のNT接着体30B)は、正六方格子に配列された別個の円形形状であり、非接着性嵌合区画34によって相互から完全に分離されている。その他の形状(例えば別個の方形等)及びパターン(例えば方形格子)が可能である。図1Fに示されている形体は、対向し合う部材の1つのみを接着体/被着体によってパターン化されてなり、より等方性の高い、力対距離の剥離挙動をNTP接着機構20にもたらす利点を有することができる。図示されているこの実施形態では、受容部材24は受容表面28を有し、その上に1つのNT被着体32が配置されている。
代替的な実施形態(図示せず)では、図1Fの受容部材24は、嵌合部材22上のパターンと相補的なパターンで成形及び配列されている複数のNT被着体(例えば第1及び第2のNT被着体)を有してよい。この代替的な実施形態では、NTP接着機構20を嵌合すると、一般に対応する嵌合表面/受容表面対の間のみが重なり合う。例えば嵌合すると、第1のNT接着体30Aは第1のNT被着体(図示せず)のみと接触し、第2のNT接着体30Bは第2のNT被着体(図示せず)のみと接触する。
図1Gは、NTP接着機構20の対向し合う部材の双方がパターンが施された表面を有する実施形態を示している。図1Cと同様に、嵌合部材22の嵌合表面26は、その上に配置された複数のNT接着体30(例えば第1のNT接着体30A及び第2のNT接着体30B)を有する。図1Cとは異なり、受容部材24は、その上に配置された複数のNT被着体32(例えば第1の被着体32A及び第2の被着体32B)を備える受容表面28を有する。図1Gに示されているように、隣接し合うNT接着体30(例えば30A及び30B)は、実質的に直線状であり、実質的に相互に平行であり、隣接し合うNT被着体32(例えば32A及び32B)も、実質的に直線状であると共に実質的に相互に平行である。更に、NT接着体30は、嵌合させると、実質的にNT被着体32と直交する。しかし、図1Gに示されている2つのパターンが施された機構では、このような配列は必須ではない。その結果、NT接着体30及びNT被着体32は、相互に対していずれの配向であってもよい。
図1Gに示されている実施形体では、嵌合部材22は、実質的にNT接着体のない非接着性嵌合区画34を少なくとも1つ含み、受容部材24は、実質的にNT被着体のない非接着性受容区画36を少なくとも1つ含む。図示されているように、隣接し合うNT接着体30は非接着性嵌合区画34によって、隣接し合うNT被着体32は非接着性受容区画36によって、それぞれ、対応する部材上で完全に分離されている。しかし、一般には、NTP接着機構の利点を実現させるには、部分的な分離(例えば図1Dに示されているような分離)で十分である。
図1H〜1Jは、NTP接着機構の予想される力対距離の剥離挙動の一部分を定性的に示している。この曲線は、剥離距離の関数として、対向し合う嵌合表面と受容表面を外すのに必要な剥離力を表しており、剥離距離ゼロは剥離直前の完全嵌合状態を表している。曲線における高いピーク値は接着機構の不用意な離脱を妨げる障壁を表している。同様に、ピークと谷が連続する曲線は、望ましくない「ポンと開く」機構の影響を受けにくい接着機構を表しており、この機構によって接着機構が最初に部分的に離脱すると、完全な(おそらく意図しない)離脱へとすぐに拡大する。力対距離曲線の下の総面積は、接着機構を離脱させるための総エネルギーを表し、これは接着機構の剥離しにくさに関する消費者の認識と相関関係にある。一般に消費者は、高いピーク値(不用意に開くこと及びポンと開くことを防ぐ)を有する力対距離曲線及び消費者にとって使いやすい平均T−剥離力(例えば、NTP接着機構に組み込んだときで約4.7N/cm未満)を実現させるほど十分に低い積分値を好む。
図1H〜1Jのそれぞれでは、実線曲線Aは、嵌合部材がNT接着体で、受容部材がNT被着体で均一にコーティングされているパターン無し接着機構の力対距離の剥離挙動を表している。いくつかの接着体/被着体対では、高い最大力は、不用意に開いたりポンと開いたりするのを防ぐのに十分である場合があるが、実質的に一定の力対距離の挙動は結果的に、望ましくない過度なT−剥離力(すなわち、NTP接着機構に組み込んだときで約4.7N/cm超)をもたらす可能性がある。図1H〜1Jの破線曲線は、本発明で開示される様々なNT接着機構の力対距離曲線を表しており、更には、NT接着機構が、所望の障壁特性を保ちながら、T−剥離力を所望の範囲まで弱める潜在力を示している。
図1Hは、図1Cに示されているNTP接着機構の力対距離の剥離挙動を質的に示している。曲線BはY方向に剥離したときの挙動、曲線CはX方向に剥離したときの挙動を表している。嵌合部材22上の総嵌合表面積(すなわち、NT接着体30を含む部分)が縮小するため、これらの曲線は、曲線Aに比べて減衰している。剥離境界面における接着体と被着体との間の相対的接触面積がX方向では均一であるため、曲線Bは実質的に一定の最大値を有する。剥離境界面における接着体と被着体との間の相対的接触面積がY方向では、境界面にわたってほぼ完全に接触する領域から接着体のない領域に交互に現れるため、曲線Cは山−谷形状を有する。Y方向においては、不用意な離脱(例えばおむつを着用している幼児による離脱)に耐えるように、更には、X方向においては、(例えばおむつを外す介護人のために)低い剥離障壁力を有する好ましい剥離方向をもたらすように、NTP接着機構を配向させて物品(例えばおむつの耳)の中に組み込むときに、この配列は望ましい可能性がある。
図1Iは、図1Eに示されているNTP接着機構の力対距離の剥離挙動を質的に示している。曲線BはX方向に剥離したときの挙動、曲線DはY方向に剥離したときの挙動を表す。これらの曲線は上記の理由で、曲線Aに比べて減衰している。曲線Bは、図1Hのものと実質的に同じ挙動を示す。曲線Dは図1Hの曲線Cに似ているが、剥離境界面にわたる接着体と被着体との間の相対的接触面積が、接触領域内で局部最大値を徐々に通るため、比較的幅広の低い振幅ピークを有する。これは、図1Hの相対的接触面積の階段関数プロファイルとは対照的である。図1Cに示されている実施形体に対して、図1Eに示されている形体は、ピーク障壁力及び平均T−剥離力の双方を減衰させる方法をもたらすので望ましい可能性がある。
図1Jは、図1Gに示されているNTP接着機構の力対距離の剥離挙動を質的に示している。曲線Eは、X又はY方向のいずれかに剥離させたときの挙動を表している。この曲線は上記の理由で、曲線Aに比べて減衰している。X方向及びY方向の双方において剥離境界面にわたって接着体/被着体の接触領域が交互に現れるのに基づき、曲線Eは、X方向及びY方向の双方において、見慣れた山−谷形状を有する。いずれかの方向から剥離中に、接着体と被着体との間が剥離境界面にわたって完全に接触することがないため、曲線Eは、(図1Hの)曲線Cに比べても減衰している。この形体は、力対距離の剥離曲線の相対的等方性を向上させるため、剥離方向にかかわらず有益なピーク障壁力を提供できるので望ましい可能性がある。図示されていないが、図1Fに示されているNTP接着機構は、力対距離の剥離挙動の同様の等方性の向上を有すると見込まれる。例えば、X方向、Y方向、又は、Y方向から±30°変位した方向に剥離させると、剥離境界面は、接着体と被着体との間が少なくとも部分的に接触する領域と、接着体と被着体との間が接触しない領域を規則的な形で交互に発生させる。
上記内容から、様々な実施形態が、NTP接着機構を様々な物理的用途及び接着体/被着体対に適応させるための汎用的な手段を提供し、それによって、所望のピーク障壁力及び平均T−剥離力を有する接着機構を提供することは明らかである。
非粘着性3次元接着機構
図2A〜図2Fは、本開示による非粘着性接着締結機構の別の態様、すなわち、非粘着性3次元(NT3)接着機構を示している。
図2Aは、本開示によるNT3接着機構120の実施形態を示している。NT3接着機構120は一般に、嵌合部材122及び受容部材124を含む。嵌合部材122は嵌合表面126を有し、その上に複数の嵌合突起部138が配置されている。複数の嵌合突起部138は、嵌合突起部138及び嵌合表面126によって境界が定められる隙間領域内の複数の嵌合凹部142を画定する。図示されているこの実施形態では、NT接着体130は、嵌合突起部138及び嵌合表面126の双方の露出部分の上に配置されている。しかし一般にNT接着体130は、嵌合突起部138及び嵌合表面126のうちの1つの上に配置されてさえいればよい。これに加えて、NT接着体130を1つの構成要素の上に配置するとき、NT接着体130は、その構成要素の一部分のみの上に配置してよい。例えばNT接着体130を嵌合突起部138の上に配置するとき、NT接着体130は外側嵌合表面138’の上のみ又は側面嵌合表面138”の上のみにコーティングしてよい。受容部材124はその上に配置されたNT被着体132を備える受容表面128を有する。
嵌合状態において、嵌合部材122の嵌合表面126及び外側嵌合表面138’が、受容部材124の受容表面128と平面的に向かい合わせの関係になるように、嵌合部材122は受容部材124と嵌合可能である。嵌合部材122及び受容部材124の双方が比較的剛性の変形不能な物体である場合、外側嵌合表面138’の上に配置されたNT接着体130のみがNT被着体132と接触し、それによってNT3接着機構が嵌合状態にあるとき、NT接着体130とNT被着体132との間で接着性を示す。
1つの好ましい実施形態では、嵌合部材122及び受容部材124の少なくとも1つが変形可能である。図2Bは、受容部材124が変形可能であり、嵌合部材122が変形不能である実施形態を示している。このケースでは、嵌合させると、受容表面128の一部が、嵌合凹部142に入り込んで、それによって、NT被着体132と、いずれかのコーティングされた表面(すなわち、嵌合表面126、外側嵌合表面138’、及び/又は側面嵌合表面138”)の上のNT接着体130との間で接着性を示すように、受容部材124が変形する。代替的な実施形態(図示せず)では、受容部材124は変形不能であり、嵌合部材122は変形可能であり、嵌合させると、嵌合表面126の一部が変形して嵌合凹部142になって、NT被着体132と接触することができ、それによって、接着性を示すようになっている。更に別の代替的な実施形態(図示せず)では、受容部材124及び嵌合部材122は双方とも変形可能であり、それぞれの一部が嵌合凹部142内で接触できるようになっている。
図2Cは、NT3接着機構の対向し合う部材の双方が3次元輪郭を有する別の実施形態を示している。嵌合部材122は上記と同じである。受容部材124は嵌合部材122と似ており、その上に配置された複数の受容突起部140を有する受容表面128を有し、受容突起部140は、複数の受容凹部144を画定する。同様に、受容表面128及び受容突起部140の少なくとも1つの上に配置されたNT被着体132があり、各構成要素の全部又は一部をNT被着体130でコーティングしてよい。
図2Cに示されている実施形態では、嵌合部材122及び受容部材124は、NT3接着機構の剥離離脱を可能にするのに必要な程度まで変形可能であってよいが、図2Bで示した程度まで変形可能である必要はない。この実施形態では、嵌合突起部138及び受容突起部140は、相補的な3次元形状を作り出して、NT3接着機構を嵌合させると、嵌合突起部138が受容凹部144と噛み合い、受容突起部140が嵌合凹部142と噛み合うようになっている。
図2A〜2Cは、概ね方形の横断面を有する嵌合突起部及び受容突起部を示しているが、NT3接着機構は、この特定の幾何学的輪郭に限られない。図2Dは、嵌合突起部及び受容突起部の他の考え得る横断面形状を示しており、この形状として、台形突起部138A、三角突起部138B、半円筒形又は半球形突起部138C、及び波形突起部138Dが挙げられている。その他の好適な横断面形状(図示せず)としては、キノコ形突起部、及び任意の多角形の突起部が挙げられる。一般に嵌合部材122及び受容部材124の上に、相補的に噛み合う対向構造体を作り出すいずれかの突起形状が適している。相補的に噛み合う対向構造体は同じ形にできるが、異なる形でもよい。例えば、三角凹部を形成する台形突起部を嵌合部材122の上で用いることができ、台形凹部を形成する三角突起部を嵌合部材124の上で用いることができる。これらの代替的な横断面形状は、嵌合部材122及び受容部材124のいずれか1つ又は双方が3次元輪郭を有する実施形態にふさわしい。
図2E及び2Fは、NT3接着機構の斜視図を提供し、3次元輪郭が1方向のみで変化する実施形態(図2E)、及び、3次元輪郭が2方向で変化する実施形態(図2F)を示している。図2Eでは、嵌合突起部138は、嵌合部材122の長さに沿って延びている長い方形ブロックとして示されている。図2Fでは、嵌合突起部138は、嵌合部材122の長さ及び幅に沿って市松模様で交互に現れる正方形ブロックとして示されている。これに加えて、これらの2つの実施形態は、図2Dに示されていると共に上で論じた受容部材124及び様々な他の幾何学的断面形状にふさわしい。
NT3接着機構は、本明細書に記載されているNT接着体/被着体機構の接着強度を実質的に低下させる可能性がある汚染物質の影響を受けにくいという点で、従来の実質的に平面的な接着機構を上回る利点を有する。典型的な汚染物質源としては、ヒトの手/指(例えば、タンパク質、油、界面活性剤、水、スキンケア製品、ポリジメチルシロキサン等の源)、その他の従来型接着剤(例えば、ホットメルト接着剤及び感圧接着剤)、並びに周囲環境(例えば、汚れ、ほこり、その他の浮遊微粒子等)が挙げられる。NT3接着機構の3次元輪郭は、接着面上の様々な隙間及び凹部に汚染物質を簡単には誘導できないため、その接着面が汚染表面と接触するときに、接着面を保護する。
例えば、ヒトの指で(締結又は締結解除作業中等に、)図2Cに示されている嵌合部材122の一部をつかむと、その指はNT接着体130と接触する場合がある。このケースでは、外側嵌合表面138’の上に位置するNT接着体130の部分は、その接着特性を喪失する場合がある。しかし側面嵌合表面138”及び嵌合表面126の上に位置するNT接着体130は、その接着特性を持ち続ける。指はこれらの表面に直接的には接触しないため、堆積した汚染物質が嵌合凹部142に入り込むのを防ぐことができるからである。NT3接着機構をその耐用期間にわたって数回の再締結作業に用いることを意図するとき、この作用は有意であり得る。
接着機構の物理的特性
非粘着性(NT)接着機構は、経時変化後もロック状態にならないのが望ましい。嵌合部材を受容部材から分離しようとすると、NT接着体とNT被着体が分離する前に、分離力によってNT接着機構が破損してしまうほど強固に、NT接着体及びNT被着体が相互に付着し合うと、ロック状態が生じる。NT接着機構の破損は、NT接着体とNT被着体との境界面を介して嵌合部材を受容部材に再締結するのを阻害するいずれかの事象を伴う。例えばNT接着体とNT被着体が分離する前に、NT接着体が嵌合部材から薄い層として裂けると、破損が生じる場合がある。更なる例としては、NT接着体とNT被着体が分離する前に、嵌合部材又は受容部材が裂けると(すなわち、分離力が当該部材の引張強度を上回ると)、破損が生じる場合がある。更には、NT接着機構のロック状態が生じない場合でも、NT接着体とNT被着体を分離するのに必要な力は過度でないのが望ましい。締結機構は典型的には手で操作することになるため、所要分離力は、手によって合理的に加えられる力を目標とするのが望ましい。
NT接着機構の経時変化は、ロック状態及びNT接着機構を分離させるのに必要な力の双方を増幅させる場合がある。経時変化は、長い時間及び高温、並びに/又は圧力を伴う場合があり、これらのいずれもロック状態を促す傾向がある。NT接着機構は、分離が生じるまで、数日間、数週間、又は数カ月間嵌合したままである場合がある。例えば、NT接着機構は、製造中に嵌合される場合がある。それよりも後のある時点、例えば輸送及び保管後に、NT接着機構を分離しなければならない場合がある。理想上は、ロック状態を経ないことになる。嵌合部材を受容部材から剥離することによって、嵌合部材を分離するには合理的な力が必要になる場合があり、この際、剥離は、概ねZ方向の力を加えて嵌合部材と受容部材を分離することによって達成される。一般に、NT接着機構は、約4.7N/cm(12.0N/インチ)未満の力、例えば約3.9N/cm(10.0N/インチ)未満、又は、この代わりに約3.1N/cm(8.0N/インチ)未満の力の付加によって、概ねZ方向に分離可能でなければならない。4.7N/cmを超えると、消費者によっては、機構の締結を解除しにくいと感じる場合がある。特定の実施形態では分離は、約0.4N/cm(1.0N/インチ)〜約3.9N/cm(10N/インチ)の力で生じなければならない。特定の実施形態では、分離は、約0.8N/cm(2.0N/インチ)〜約3.1N/cm(8.0N/インチ)の力で生じなければならない。特定の実施形態では、分離は、約2.0N/cm(5.0N/インチ)の力で生じなければならない。上記の分離力はいずれも、以下の試験方法の項に記載されているT−剥離試験に従って測定する。下限値は必ずしも必要ではないが、例えば少なくとも約0.4N/cm(1.0N/インチ)、又は、この代わりに少なくとも約0.8N/cm(2.0N/インチ)の分離力下限値を有するのが望ましい場合がある。さもなければ、NT接着機構では、不時の自然発生による分離が起こる場合がある(すなわち、NT接着機構は、輸送、保管、使用、又は取り扱い中に受ける何らかの力によって、意図に反して分離する場合がある)。
NT接着機構の剥離力に関する上記の望ましい値は、NT接着体/NT被着体の組み合わせを平らな試験表面に均一に貼り付け、T−剥離試験に従って分析したときの対応剥離力に基づきNT接着体/NT被着体の組み合わせを選択することによって実現される。NTP接着機構内の相対的な接着面接触面積の減少は、得られる剥離力を低下させるため、約8.7N/cm(21.8N/インチ)未満、例えば約7.0N/cm(17.5N/インチ)未満の剥離力を有するNT接着体/NT被着体の組み合わせが好ましい。NT3接着機構内の相対的な接着面接触面積は一般に減少しないため(すなわち、3次元表面は、NT接着体及びNT被着体で均一にコーティングされているため)、約4.7N/cm(12.0N/インチ)未満の典型的な値、例えば約3.9N/cm(10.0N/インチ)未満が好ましい。NT3機構の噛み合い構造が追加の機械的な接着力を提供するとき(例えば、嵌合突起部及び受容突起部がキノコ形状であるとき)、NT3接着機構自体の正味T−剥離値が、約4.7N/cm(12.0N/インチ)よりも低くなるように、より低いT−剥離値を有するNT接着体/NT被着体の組み合わせを選択するのが好ましい。平らな試験表面に均一に貼り付けたときに好適な剥離力を有するNT接着体/NT被着体対は、以下の実施例の項(表1)に記載されている。
加速経時変化プロセスに付すことのできる好適な実施形態では、NT接着機構は、所定の期間にわたるT−剥離力の上昇が最小限であってよい。具体的には、NT接着機構は、3日間の経時変化(60℃及び0.8N/cm2の圧力下の経時変化)後のT−剥離力の20%以下のT−剥離力を、1週間の経時変化(60℃及び0.8N/cm2の圧力下の経時変化)の後に示してよい。別の実施形態では、経時変化させたNT接着機構は、3日間の経時変化(60℃及び0.8N/cm2の圧力下の経時変化)後のT−剥離力の15%以下、この代わりに10%以下、又は、この代わりに5%以下のT−剥離力を1週間の経時変化(60℃及び0.8N/cm2の圧力下の経時変化)後に示してよい。特定の実施形態では、60℃及び0.8N/cm2の圧力下で1週間経時変化させた後のT−剥離力は、60℃及び0.8N/cm2の圧力下で3日間経時変化させた後の剥離力と実質的に同じである(すなわち1週間の経時変化後のT−剥離と3日間の経時変化後のT−剥離力とのT−剥離力差は、1週間の値又は3日の値のいずれかの実験誤差の範囲内である)。
本発明の別の態様では、NT接着機構は、再締結時に、ある程度の接着強度を示してよい。具体的には、使い捨て吸収性物品で用いるには、締結機構は、3回の再締結作業後も接着一体性を保持する(すなわち、締結機構は3回嵌合及び分離される)のが好ましい。
NT接着機構は、好適な剪断強度を示すのが望ましい。剪断負荷は一般にX軸沿いに加わる。ピーク剪断負荷(すなわち動的剪断力)又は経時的な持続負荷(すなわち静的剪断力)という2つの剪断値を考察してよい。静的な持続負荷に対する一体性に関して言えば、NT接着機構は、約50分以上の剪断懸垂時間を示してよい。あるいは、NT接着機構は約120分以上又は約240分以上の剪断懸垂時間を示してよい。明らかなことに、NT接着機構は恒久的な剪断懸垂時間を示すのが最も望ましい。これらの値は、NT接着体/NT被着体の組み合わせを平らな試験表面に均一に貼り付け、剪断懸垂時間試験に従って分析したときの対応剪断懸垂時間(すなわち、約50分以上、好ましくは約120分以上、最も好ましくは約240分以上)に基づきNT接着体/NT被着体の組み合わせを選択することによって得られる。剪断懸垂時間は、以下の試験方法の項に記載されている剪断懸垂時間試験に従って測定する。
動的負荷に対する一体性に関して言えば、NT接着機構は、少なくとも約3.1N/cm2(20N/インチ2)の動的剪断力を示してよい。特定の実施形態では、NT接着機構は、少なくとも約4.7N/cm2(30N/インチ2)の動的剪断力を示してよい。別の好適な実施形態では、NT接着機構は、少なくとも約6.2N/cm2(40N/インチ2)、又は少なくとも約9.3N/cm2(60N/インチ2)の動的剪断力を示してよい。これらの値は、NT接着体/NT被着体の組み合わせを平らな試験表面に均一に貼り付け、動的剪断力試験に従って分析したときの対応剪断懸垂時間(すなわち、少なくとも約3.1N/cm2、好ましくは少なくとも約4.7N/cm2、最も好ましくは少なくとも約6.2N/cm2、例えば少なくとも約9.3N/cm2)に基づきNT接着体/NT被着体の組み合わせを選択することによって得られる。動的剪断力は、以下の試験方法の項に記載されている動的剪断力試験に従って測定する。
本発明の別の態様では、再締結形体である、経時変化させたNT接着機構は、ロック状態を示したり、その後NT接着機構を分離させるのに過度な力を必要としたりしてはならない。特定の実施形態では、3回の再締結作業後の、経時変化させたNT接着機構(すなわち、経時変化後に3回の分離及び嵌合を経た機構)は、ロック状態を示したり、その後NT接着機構を分離させるのに過度な力を必要としたりしてはならない。NT接着機構のロック状態並びに再締結させた形体である経時変化したNT接着機構を分離させるのに必要な力の基礎となる原理は、最初に経時変化させてから事前に嵌合させた状態のNT接着機構に関するロック状態及び分離力について上で説明した原理と実質的に同じである。一般に、再締結状態のNT接着機構は、約4.7N/cm(12N/インチ)未満の力、例えば約3.9N/cm(10.0N/インチ)未満、又は、この代わりに約3.1N/cm(8.0N/インチ)未満の力の付加によって、分離可能でなければならない。任意に、分離力値は、少なくとも約0.4N/cm(1.0N/インチ)、又は、この代わりに少なくとも約0.8N/cm(2.0N/インチ)でなければならない。特定の実施形態では、分離は、約0.4N/cm(1.0N/インチ)〜約3.9N/インチ)〜約3.9N/cm(10N/インチ)の力で生じなければならない。ある特定の望ましい実施形態では、分離は、約0.8N/cm(2.0N/インチ)〜約3.1N/cm(8.0N/インチ)の力で生じなければならない。上記の分離力は、3回の再締結作業後に、以下の試験方法の項に記載されているT−剥離試験に従って測定する。更には、再締結させたNT接着機構は、上記の剪断懸垂時間及び動的剪断力値を示してよい。
再締結させたNT接着機構の剥離力のこれらの望ましい値は、再締結させていないNT接着機構に関して上に記載したのと同じ基準に基づきNT接着体/NT被着体の組み合わせを選択することによって実現される。
NT接着機構又は再締結させたNT接着機構は、T−剥離力、剪断懸垂時間、及び/又は動的剪断力などの上記特徴の任意の組み合わせを示してよい。
接着機構の製造
一般に、嵌合部材及び受容部材は、合わせて接合できるか又は非粘着性接着機構を介して接合させるのが望ましい任意の2つのアイテムであってよい。嵌合部材及び/又は受容部材は、任意の数の好適な基材又は材料から構築してよい。嵌合部材及び受容部材は、シート材料であってよく、この場合、最大平面上の寸法は、このシートのキャリパー又は厚みを何桁も上回る場合が多い。このようなシート材料は、ポリマーフィルム、金属フィルム、不織布材料、織布材料、紙、厚紙、板紙、及びこれらの組み合わせ(例えば合成物及び積層体)であってよい。しかし、嵌合部材及び/又は受容部材は、従来の接着剤又は機械的締結機構で広く用いられている任意の材料から構築してもよい。特定の実施形態では、嵌合部材及び/又は受容部材は、商業的に実施可能な速度で加工及び取り扱いのできる十分な引張強度を有する材料から構築してもよい。特定の実施形態では、嵌合部材をNT接着体と同じ材料から構築してよい。特定の実施形態では、受容部材をNT被着体と同じ材料から構築してよい。特定の実施形態では、NT接着機構を事前に嵌合させてよい。
様々な材料が、本発明においてNT接着体として及び/又はNT被着体として用いるのに適している。一般に、NT接着体及びNT被着体は、同じ又は異なる材料にできる。1つを超えるNT接着体を有する実施形態では、ある所定の位置で嵌合表面の上に配置されたNT接着体は、別の位置にあるNT接着体と同じ又は異なる材料にできる。同様に、2つ以上のNT被着体を有する実施形態では、ある所定の位置で受容表面の上に配置されたNT被着体は、別の位置にあるNT被背着体と同じ又は異なる材料にできる。
好適な材料としては、スチレンブロックコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイソプレン、天然及び合成ゴム、オレフィン性ホモポリマー、ラテックス、並びに、アクリロニトリルコポリマーが挙げられる。上記列挙物の配向変異体も、好適な貼着性材料としての機能を果たすことができる。表面エネルギーにより変性された上記列挙物の変異体も、NT接着体及び/又はNT被着体としての機能を果たすことができる。特定の実施形態では、好適な材料として、スチレン共役ジエンコポリマー(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)トリブロックコポリマー及びポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)トリブロックコポリマー等)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)及び表面エネルギーにより変性された変異体、配向ポリアミド及び表面エネルギーにより変性された変異体、並びに、ポリオレフィン(ポリプロピレン及びポリエチレン等)及び表面エネルギーにより変性された変異体が挙げられる。表面エネルギーによる変性は、化学処理又は高エネルギー処理によって生じる場合がある。好適な表面高エネルギー変性技術としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線処理、イオンビーム処理、電子ビーム処理、及びパルスレーザー等の特定のレーザー処理が挙げられるが、これらに限定されない。好適な化学的な表面エネルギー変性技術としては、疎水性表面処理及び親水性表面処理の利用が挙げられるが、これらに限定されない。NT接着体及び/又はNT被着体に適したその他の材料としては、弾性であると共に、米国特許第6,156,424号に記載されているような貼着特性をもたらす材料のウェブが挙げられる。特定の実施形態では、好適なNT接着体及びNT被着体の組み合わせとしては、SBS又はSISブロックコポリマー/PET、SBS又はSISブロックコポリマー/配向ポリアミド、SBS又はSISブロックコポリマー/表面変性配向ポリアミド、SBS又はSISブロックコポリマー/ポリオレフィン、SBS又はSISブロックコポリマー/配向ポリオレフィン、SBS又はSISブロックコポリマー/表面変性ポリオレフィン、及び、SBS又はSISブロックコポリマー/SBS又はSISブロックコポリマーが挙げられる。
NT接着体は、当該技術分野において既知の任意の結合手段によって、嵌合部材の嵌合表面に固着してよく、この手段としては、圧力結合、熱結合、接着剤結合、又は超音波結合が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、NT接着体を嵌合部材の上に押し出してよく、あるいは嵌合部材をNT接着体の上に押し出してもよい。NT接着体は、溶融又は流体状態で、凝固するとその材料が嵌合表面の中に物理的にロックされるようになっていてよい。別の好適な実施形態では、ホットメルト接着剤を用いて、NT接着体を嵌合部材に固着してよい。NT被着体は、NT接着体に関して上で示したような任意の結合手段によって、受容部材の受容表面に固着してよい。
開示する接着機構のパターン及び3次元輪郭は、様々な従来技術によって形成させることができる。噴霧(例えば、ビーズ形状、らせん形状)及び印刷(例えば、グラビア、フレキソ、凹版)のような技術を用いて、NTP接着機構内で使用するとき、任意のいずれかの2次元パターンを有する嵌合/受容表面にNT接着体/被着体を貼り付けることができる。同様に、溶媒コーティング及びキャスト技術を用いて、NTP接着機構内のパターンを形成させることができる。押印、鍛造、及び形成技術は、NT3接着機構内の3次元表面を作製するのに適している。これらのケースでは、全体構造(例えば、嵌合部材122、嵌合突起部138、及びNT接着体130)を単一のNT接着体から形成させ、それによって、NT接着体を下の3次元基材に別々に貼り付ける必要性を排除することができる。同様に、受容部材124、受容突起部140及びNT被着体132を単一のNT被着体から形成させることができる。スロットコーティング及び押し出しコーティングのような技術を用いて、構造が1方向のみで変化するNTP及びNT3接着機構(例えば、図1Cに示されているNTP接着機構用嵌合部材22、及び図2Eに示されているNT3接着機構用嵌合部材122)を形成させることができる。例えば、いずれかの方法を用いて、薄いNT接着体/被着体層を非粘着性基材の上に貼り付けて、NTP接着機構の実質的に2次元パターンが施された表面を作製することができる。また、いずれかの方法を用いて、基材の横断面にわたって不均一な厚さのNT接着体/被着体層を貼り付けて、それによって、NT3接着機構の3次元表面を形成させることもできる。
用途−2つの構成要素からなるテープ
上記の特徴のいずれかを有するNT接着機構は、消費者商品の構成要素であってよい。例えば、従来の両面テープ(例えば、双方の平面上に旧来の接着剤を有する基材)は、居住及び商業環境において様々な目的で用いられる場合が多い。両面テープは例えば、カーペットを床に貼ったり、ポリマーフィルムを窓の開口部に貼ったり、又は写真を壁に貼ったりする目的で用いてよい。両面テープでは、テープの一方の表面を第1の物質(例えばカーペット)に貼り、テープのもう一方の表面を第2の物質(例えば床)に貼ることができ、それによって、第1及び第2の物質が接合される。しかし、第1及び第2の物質を分離及び再締結させる場合には、両面テープは適切な接着性をもたらさない。
図3は、NT接着機構を含むロールストックとして示されていると共に、従来の両面テープの代用品として利用できる、2つの構成要素からなるテープ310の斜視図である。2つの構成要素からなるテープ310は、第1のテープ312及び第2のテープ314を含む。第1のテープ312は嵌合部材322を含み、第2のテープ314は受容部材324を含む。嵌合部材322及び受容部材324は、NTP接着機構及びNT3接着機構の同様の名称の構成要素と似ている。嵌合部材322及び受容部材324は、上記のNTP及びNT3接着機構と一致する構造、例えば、NT接着体330を有するパターンが施された、3次元、又は均一嵌合表面326、並びにNT被着体を有する相補的受容表面328を更に含んでよい。2つの構成要素からなるテープ310は、シート、リボン、又は任意の2次元形状(円、正方形、ハート等)のような様々な形状で提供してよい。輸送、取り扱い、及び/又は販売に合わせて、2つの構成要素からなるテープ310の別々の断片をパッケージ化してよい。輸送、取り扱い、及び/又は販売に合わせて、2つの構成要素からなるテープ310の連続的な一片を折り畳んだり、丸めたり、ひだ状にしたりする等してよい。様々な家庭又は商業的状況において2つの構成要素からなるテープ310を用いてよい。例えば、更なる消費者向け食品の製造、又は、本明細書に記載されている物品及び外装のパッケージ化の際に、2つの構成要素からなるテープ310を用いてよい。
代替的な実施形態(図示せず)では、NT接着機構を用いる、2つの構成要素からなるテープ310は、追加的な従来型接着剤要素を含む。この実施形態では、嵌合部材322及び受容部材324の外面(すなわち、NT接着機構内で嵌合しない表面)は、従来型接着剤でコーティングされており、この接着剤は、使用時まで剥離紙で保護されている。この従来型接着剤は好ましくは、NT接着機構の接着強度を上回る接着強度を有する。理想上は、2つの構成要素からなるテープ310は、従来型接着剤とその付着表面(例えばカーペット)との間の境界面ではなく、NT接着機構の境界面で分離しなければならない。好適な従来型接着剤としては、従来の接着剤、選択的接着剤、及び/又は貼着剤が挙げられる。従来の接着剤は、一般に広範囲の表面に対して接着性を示すため、従来の接着剤によって、2つの構成要素からなるテープ310を更に多様的に利用できるようになる可能性がある。この剥離紙は、特定の従来型接着剤に基づき選択してよい。1つの好適な従来型接着剤−剥離紙の組み合わせとしては、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)から両面テープコード6589として入手可能な接着剤が挙げられる。
用途−吸収性物品
事前に嵌合させて経時変化させた非粘着性接着締結機構は、吸収性物品及び使い捨て吸収性物品のような他の消費者商品の構成要素であってよい。図4A〜Dにパンツ型おむつが示されているが、この非粘着性接着締結具は、テープ式おむつ、成人用失禁製品、女性用衛生製品等のような他の吸収性物品で用いられてもよい。図4Aのパンツ型おむつ420は、吸収性アセンブリ422、サイドパネル460、461、及びNT接着機構440を含んでよい。NT接着機構440は、上記のNTP及びNT3接着機構と一致する構造を更に含んでよい。おむつ420は、前側腰領域436、前側腰領域436と対向する後側腰領域438、及び、前側腰領域436と後側腰領域438との間に位置する股領域437を有してよい。おむつ420の周辺部は、おむつ420の長手方向中心線と概ね平行に位置する長手方向縁部450、並びにおむつ420の横方向中心線と概ね平行に位置すると共に長手方向縁部450の間に延びる前側腰部縁部452及び後側腰部縁部454によって画定される。
おむつ420の吸収性アセンブリ422は、液体透過性トップシート424、バックシート426、及びトップシート24の少なくとも一部とバックシート426の少なくとも一部との間に配置してよい吸収性コア428を含んでよい。吸収性アセンブリ422は、複合的なおむつ構造を形成させる目的で追加されるその他の機構と共に、おむつの主要構造を構成してよい。吸収性アセンブリ422及びおむつ420の概ね全ての要素は、物品の着用時に、一般に着用者の身体と接触するか又は着用者の身体に非常に近接する、身体に面する表面を有してよい。吸収性アセンブリ422は、身体に面する表面と対向し、一般に、着用されている任意の衣類と接触するか又は非常に近接する、衣類に面する表面を有してよい。トップシート424、バックシート426、及び吸収性コア428は、当該技術分野において周知の様々な形体で組み立ててよい。代表的な吸収性アセンブリ構造は、米国特許第5,899,895号、及び同第6,120,487号に記載されている。
バックシート426は、一般に、吸収性コア428の衣類に面する表面に隣接して配置され、吸収性コアの中に収容された排泄物及び/又は排出物が、ベッドシーツ及び衣服等のおむつ420に接触し得る衣類又は他の物品を汚すのを防ぐ、おむつ420の部分である。好ましい実施形態では、バックシート426は、実質的に液体不透過性であってよく、通気性フィルム等、当該技術分野において既知のいずれかの好適な薄いプラスチックフィルムを含んでもよい。好適なバックシートフィルムとしては、米国インディアナ州テレホート(Terre Haute)のトレデガーインダストリーズ社(Tredegar Industries Inc)によって製造され、X15306、X10962、及びX10964の商品名で販売されているものが挙げられる。
バックシート426は、当該技術分野において既知のいずれかの取り付け手段によって、トップシート424、吸収性コア428、又はおむつ420若しくは吸収性アセンブリ422の他のいずれかの要素に接合してよい。例えば、取り付け手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターンが施された層、又は接着剤の分離した線、らせん、若しくは点の配列を挙げてよい。好適な接着剤としては、米国ミネソタ州セントポール(St. Paul)のH.B.フラー社(H.B. Fuller Company)によって製造され、HL−1620及びHL−1358−XZPとして市販されているものが挙げられる。あるいは、取り付け手段としては、熱結合、圧力結合、超音波結合、動的機械結合、若しくは他の任意の好適な取り付け手段又は当該技術分野において既知の取り付け手段の組み合わせを挙げてもよい。
トップシート424は、好ましくは、吸収性コア428の身体に面する表面に隣接して配置されており、当該技術分野において既知の任意の取り付け手段によって、吸収性コア428及び/又はバックシート426に接合してよい。トップシート424は、好ましくは、しなやかで、柔らかい感触で、着用者の皮膚を刺激しない。好ましくは、トップシート424の少なくとも一部は、液体透過性であり、液体がその厚さを容易に通過できるようにする。好適なトップシートは、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、あるいは、木材繊維若しくは木綿繊維等の天然繊維、又はポリエステル繊維若しくはポリプロピレン繊維等の合成繊維、又は天然繊維及び合成繊維の組み合わせの織布若しくは不織布材料等、当該技術分野において既知の広範囲にわたる材料から製造されてもよい。トップシート24が繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド、カード、湿式載置、メルトブロー、水流交絡、又は当該技術分野において既知の別の方法で処理してよい。1つの好適なトップシート材料は、供給元コード番号P−8としてファイバーウェブ・ノース・アメリカ(Fiberweb North America, Inc.)(米国サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville))から入手可能な、熱結合されたカードウェブである。
吸収性コア428は、一般に圧縮可能で、順応性があり、着用者の皮膚を刺激せず、尿及び他の排泄物のような液体を吸収し保持することができる任意の吸収性材料を含んでよい。吸収性コア428は、多種多様な寸法及び形状(例えば、方形、砂時計形、「T」字形、非対称等)で製造してよい。吸収性コア428は、一般にエアフェルトと称される粉砕木材パルプ、セルロース詰め物、メルトブローポリマー、化学的に剛化、変性、若しくは架橋されたセルロース繊維、ティッシュ、吸収性発泡体(高内相エマルションの重合によって作製されたものを含む)、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル化材料、若しくは他の任意の既知の吸収性材料、又は材料の組み合わせのように、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品で広く用いられている多種多様な液体吸収性材料のいずれかを含んでよい。好適な吸収性コア構造は、米国特許第4,610,678号、及び同第5,260,345号に記載されている。
おむつ420は、様々な他の構造体を含んでよい。おむつ420は、少なくとも1つのレッグカフを含んでよい。レッグカフは、ガスケットカフ、閉じ込めフラップ、「直立」弾性フラップ、バリアカフ、レッグバンド、サイドフラップ、及び/又は弾性カフとして、当該技術分野において様々に知られている。図4A〜Dに示されているように、このおむつは、1対のガスケットカフ470及び1対のバリアレッグカフ472を含む。レッグカフ470、472は、当該技術分野において既知の任意の好適な形体で構築してよく、米国特許第4,695,278号、及び同第4,795,454号に記載されているものが挙げられる。
おむつ420は、腰部機構474も含んでよい。腰部機構474は、おむつ420の前側腰部縁部452及び/又は後側腰部縁部454に沿って配置してよく、一般に、腰部機構474は、前側腰部縁部452及び/又は後側腰部縁部454の一部を形成することになる。腰部機構474は、おむつの腰部開口部462において円周方向の張力をもたらすために、少なくとも横方向に弾性的延伸性があってよい。腰部機構474は、当該技術分野において既知のいくつかの異なる形体のいずれかで構築してよい。代表的な腰部機構の構造は、米国特許第4,515,595号及び同第5,221,274号に記載されているものを含む。おむつ420は、前側腰領域436内に配置されたサイドパネル460、後側腰領域438内に配置されたサイドパネル461も含んでよい。
おむつ420は、吸収性アセンブリの長手方向縁部から概ね横断方向外向きに、並びに前側腰領域436に又はその近くに配置された1対の前側サイドパネル460を有してよい。同様に、おむつ420は、吸収性アセンブリの長手方向縁部から概ね横断方向外向きに、並びに、後側腰領域438に又はその近くに配置された1対の後側サイドパネル460を有してよい。サイドパネル460、461をNT接着機構440によって接合したとき、腰領域436は、サイドパネル460と合わさって連続的な腰部開口部462を、腰領域438は、サイドパネル461と合わさって脚部開口部464を形成することができる。
サイドパネル460、461は、当該技術分野において既知の任意の好適な形体で構築してよい。サイドパネル460、461は弾性的延伸性があってよい。サイドパネル460、461は、当該技術分野において既知の様々な技術のいずれかによって、延伸性又は弾性にしてもよい。例えば、弾性サイドパネル460、461は、弾性ストランド又はフィルム等の弾性部材を、不織布材料等の被覆材料の向かい合う層の間に配置することによって作製することができる。好適な弾性サイドパネルは、米国特許第5,669,897号に記載されている。サイドパネル460、461は、吸収性アセンブリ422と一体であってもよいし(すなわち、吸収性アセンブリ422の層の1つ以上の連続的延長部であってもよい)、又は吸収性アセンブリ422に別々に取り付けてもよい。あるいはサイドパネル460、461は、一部が分離性であり(すなわち、吸収性部分に別々に取り付けられているか、又は、間隙によって吸収性部分から分離しているかのいずれかであり)、一部が連続的である複数の構成要素又は層で作製してもよい。このタイプの構成の一例は、サイドパネル460、461及び吸収性アセンブリ422を含むおむつ420の区域全体を完全に覆う外側不織布カバーを備えたおむつである。
おむつ420は、NT接着機構440も含んでよい。NT接着機構440は好ましくは、着用中に前側腰領域436及び後側腰領域438を連続的な包囲形体に保つ。図4A〜Bに示されているように、NT接着機構440は、サイドパネル460、461の末端縁に近接させて配置してよく、この位置において、サイドパネル460、461は、重なり合うか、交わるか、又は境を接する。NT接着機構440は、前側サイドパネル460の上に配置されたNT接着体430を含んでよい。NT接着体430は、図4Bでは、前側サイドパネル460の身体に面する表面の上に配置されているものとして示されている。NT接着機構440は、後側サイドパネル461の上に配置されたNT被着体431を含んでよい。NT被着体431は、図4Bでは、後側サイドパネル461の衣類に面する表面の上に配置されているものとして示されている。当然理解されるように、NT接着体430及びNT被着体431は、前側サイドパネル460の身体に面する表面及び/若しくは衣類に面する表面、並びに/又は、後側サイドパネル461の身体に面する表面及び/若しくは衣類に面する表面のいずれかの組み合わせの上に配置してよい。おむつ460の製造中に、NT接着体430とNT被着体431を接合して、腰部開口部462及び脚部開口部464が形成される閉じたパンツ型おむつを形成させるようにしてよい。図4Bは、NT接着機構440が部分的に分離された状態である図4Aのおむつ420を示している。
本発明の1つの態様では、NT接着機構440は、輸送、保管、及び着用中に、おむつ420を閉じた形体に保つのに十分な接着強度を示してよい。NT接着機構440は、再締結性を示してよい。特定の実施形態では、NT接着機構440を少なくとも3回分離及び再取り付けしてよい。おむつ420の再締結は、装着、着用、及び取り外し中によく行われる。例えば、NT接着機構440は、装着の柔軟性を提供する。介護人はおむつ420を閉じたパンツ型形状で(経時変化させた接着機構440は、無傷で分離されていない状態で)装着させることができ、この場合、着用者はおむつ420に足を通す。あるいは、介護人は、まず経時変化したNT接着機構440を分離し、おむつ420を幼児(例えば、幼児はあおむけに横たわっている場合が多い)に装着させ、NT接着機構440を再締結することによって、おむつ420を開いた形状で装着させることができる。NT接着機構440は、おむつ420を着用者の脚に沿って引き上げる前に締結でき、あるいは、着用者がいつでも使用できる状態でおむつ420を配置した後に締結できる。いくつかのケースでは、おむつ420の装着後(すなわち、着用者が脚部開口部に足を通し、おむつ420を引き上げ、着用者の臀部を覆った後)、NT接着機構440を分離及び再取り付けして、よりカスタマイズされたフィット性をもたらすことができる。着用中に、おむつ420の汚れを点検できるように、NT接着機構440を分離させてもよい。おむつ420が汚れていなかった場合、NT接着機構440を再取り付けして、おむつ420を着用させ続けてよい。
NT接着機構440の構成要素は、当該技術分野において周知の様々な方法で、サイドパネル460、461の上にそれぞれ配置してよい。NT接着機構440は、例えば接着剤結合、圧力結合、又は熱結合のような結合方法によって、おむつ420に接合される別個の要素(例えば、その上に配置されたいずれかの追加の構造体を備える嵌合部材及び受容部材)として事前に形成してよい。NT接着機構440は、おむつ420の製造プロセス中に、おむつ420の上に形成させてよい。例えば、ホットメルト塗布、押し出し、印刷、又はその他の類似の方法によって、NT接着体430及び/又はNT被着体431をおむつ420の上に堆積させてよい。特定の実施形態では、NT接着体430及び/又はNT被着体431を溶融形状で、従来のスロット塗布機によって貼り付けてよい。NT接着体430及びNT被着体431は、同じ又は異なる方法によって、おむつ420の上に配置してよい。
図4A〜Bは、サイドパネル460、461に沿って、前側腰領域436と後側腰領域438との間のほぼ中点に配置されたNT接着機構440を示している。しかし、別の実施形態では、おむつ420を閉じた状態で提供するように(すなわち、製造中に連続的な腰部開口部及び脚部開口部が形成されるように)、NT接着機構440をおむつ420のいずれかの位置に置いてよい。図4Cは、おむつ420の1つの実施形態を示しており、この実施形態では、単一のサイドパネル460が前側腰領域436と後側腰領域438との間に延びていると共に、前側腰領域436を後側腰領域438に相互連結させてよい。サイドパネル460は、吸収性アセンブリ422の後側腰領域438の長手方向縁部450に接合されると共に、長手方向縁部450から横方向に延びていてよい。NT接着体430は、サイドパネル460の身体に面する表面(図4Cに示されている)又は衣類に面する表面の上に配置してよい。NT被着体431は、吸収性アセンブリ422の衣類に面する表面(図4Cに示されている)、又は身体に面する表面の上に配置してよい。NT接着体430及びNT被着体431は一般に、サイドパネル460が吸収性アセンブリ422と重なり合うと共に吸収性アセンブリ422に付着するように配置してよい。当然理解されるように、NT接着体430を吸収性アセンブリの上に、NT被着体431をサイドパネル460の上に配置してもよい。別の実施形態では、NT接着機構440がおむつ420の後側腰領域438内に置かれるように、サイドパネル460を、前側腰領域436から延びるように設計してよい。
別の実施形態では、おむつ420は、NT接着機構440及び恒久的結合部445を含む。図4Dに示されているように、おむつ420は、吸収性アセンブリ422の対向し合う長手方向縁部450から概ね横断方向外向きに、並びに前側腰領域436に又はその近くに配置された1対の前側サイドパネル460を有してよい。おむつ420は、吸収性アセンブリ422の対向し合う長手方向縁部450から概ね横断方向外向きに、並びに後側腰領域438に又はその近くに配置された1対の後側サイドパネル461を有してよい。おむつ420は、前側サイドパネル460及び後側腰部パネル461にそれぞれ接合されたか、又は、前側サイドパネル460と後側腰部パネル461との間に配置された1対の中間サイドパネル463を有してよい。中間サイドパネル463は、弾性、非弾性、又は延伸性であってよい。前側サイドパネル460及び中間サイドパネル463は、NT接着機構440によって接合させてよい。NT接着体430は、前側サイドパネル460の衣類に面する表面の上に配置されているものとして示されており、NT被着体431は、中間サイドパネル463の身体に面する表面の上に配置されているものとして示されている。当然理解されるように、上記の代わりに、NT接着体430を中間サイドパネル463の上に、NT被着体431を前側サイドパネル460の上に配置してもよい。更に、NT接着体430及びNT被着体431は、サイドパネル460、463の身体に面する表面及び/又は衣類に面する表面の上に配置してもよい。
中間サイドパネル463は、恒久的結合部445によって、後側サイドパネル461に恒久的に結合させてよい。恒久的結合部445は、圧力結合、熱結合、接着剤結合、又は超音波結合等の様々な従来型結合技術によって作製してよい。恒久的結合部445は、複数の圧力結合部447を含むものとして示されている。図4Dのおむつ420の製造中に、NT接着体430及びNT被着体431を接合してよい。NT接着機構440を有する前側サイドパネル460、恒久的結合部445を有する中間サイドパネル463、及びNT接着機構440を有する後側サイドパネル461の使用は、単一パネル又はダブルパネルのサイドパネルよりも容易に、高速製造ラインに組み入れることができると考えられる。当然理解されるように、NT接着機構440は、前側サイドパネル460を中間サイドパネル463に、及び/又は後側サイドパネル461を中間サイドパネル463に接合させてよい。更には、NT接着機構440は、後側サイドパネル461を中間サイドパネル463に接合させてよく、前側サイドパネル460及び中間サイドパネル463は、恒久的結合部445によって接合させてよい。
その他の好適な実施形態では、おむつ420は、NT接着機構440に加えて、第2の締結機構を更に含んでよい。第2の締結機構は、追加のNT接着機構、機械的締結機構、又は従来の接着締結機構であってよい。好適な第2の締結機構としては、テープタブ、フック・ループ式締結構成要素、フック・フック式締結構成要素、噛み合い締結具(タブ&スロット、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は両性型締締結構成要素等)、並びに任意の他の既知の締結手段が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な表面締結機構は、米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、同第5,221,274号、及び同第6,432,098号に開示されている。第2の締結機構は、接着テープ、フック付きテープ、又は雄型締結部材(例えばタブ、ボタン等)のような第1の部材、並びに接着テープを受容するためのランディング区画、ループ付き表面、フック付き表面、又は雌型締結部材(例えば、スロット、ブタンホール)のような第2の部材を含んでよい。
図5A〜Bは、連続的なウエストバンド580及びNT接着機構540の使用によって再締結可能な形でウエストバンド580に取り付けられた吸収性アセンブリ522を有する本発明のおむつ520の別の実施形態を示している。NT接着機構540は、上記のNTP及びNT3接着機構と一致する構造を更に含んでよい。図5Aは、NT接着機構540が部分的に分離された状態であるおむつ520の斜視図である。図5Bは、NT接着機構540が完全に分離された状態であるおむつ520の前側の平面図である。別段の注記がない限り、おむつ520の要素は、図4A〜Dのおむつ420を参照と共に説明したような類似の要素と同様の構造又は組成を有してよい。おむつ520は、前側腰領域536、前側腰領域536に対向する後側腰領域538、及び前側腰領域536と後側腰領域538との間に位置する股領域537を有する。おむつ520の周辺部は、おむつ520の外縁部によって画定され、その外縁部では、側部縁部550が、おむつ520の長手方向中心線と概ね平行に位置し、前側腰部縁部552及び後側腰部縁部554は、おむつ520の横方向中心線と概ね平行に位置し、側部縁部550の間に延びている。
おむつ520の吸収性アセンブリ522は、液体透過性トップシート524、液体不透過性バックシート526、及び吸収性コア528を含んでよく、吸収性コア528は、トップシート524の少なくとも一部とバックシート526の少なくとも一部との間に配置してよい。トップシート524、バックシート526、及び吸収性コア528は、図4A〜Dに関して記載したような形体を含め、当該技術分野において既知の様々な形体で組み立ててよい。おむつ520は、ガスケットカフ570及びバリアカフ572を有してよい。
ウエストバンド580は、おむつを着用している間、着用者の腰部を取り囲む。ウエストバンド580は、腰部開口部562を形成する。ウエストバンドは、広範な寸法範囲の着用者に適応し、おむつ520の着用中に加わる動態作用に対する弾性抵抗をもたらす目的で、伸縮するように構築してよい。1つの実施形態では、ウエストバンド580は、弾性積層体であってよい。弾性積層体の構造は当該技術分野において周知である。
1つの実施形態では、ウエストバンド580は、外層592及び内層594を有してよい。ウエストバンド580に弾性をもたらすために、弾性部材596は、外層592と内層594との間に置いてよい。ウエストバンド580は、様々な好適な材料を含んでよい。ウエストバンド580に適した材料としては、プラスチックフィルム、孔あきプラスチックフィルム、天然材料(例えば木材繊維若しくは木綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル、ポリエチレン、若しくはポリプロピレンの繊維)又は天然繊維及び/若しくは合成繊維の組み合わせの織布若しくは不織布ウェブ、あるいは、コーティングされた織布ウェブ若しくは不織布ウェブ等、広範な基材が挙げられる。ウエストバンド580は、伸縮性不織布を含んでよい。1つの好適な実施形態では、ウエストバンド580は、疎水性の非伸縮性不織布材料を含む内層594、疎水性の非伸縮性不織布材料を含む外層592、及びこれらの間にある弾性部材596を有する。別の実施形態では、内層594及び/又は外層592を形成する材料に十分な弾性がある場合(例えば、層は弾性スクリムである場合)、ウエストバンド580は、弾性部材596なしに、内層594及び/又は外層592を含んでよい。
弾性部材596は、少なくとも横断方向に延びているストランド又はパネルのような1つ以上の弾性要素を含んでよい。弾性部材596は、ウエストバンドの横断方向幅に沿って連続的又は断続的に配置してよい。弾性部材596は、ウエストバンド580の長手方向長さに沿って均一又は不均一に配置してよい。弾性部材596は、ウエストバンド580の幅にわたって連続的に広がるストランドの形状であってよく、ウエストバンド580の長手方向長さに沿って実質的に均一に隔置してよい。吸収性アセンブリ522と重なり合うウエストバンド580の部分に弾性部材596を提供しないことが望ましい場合があり、このようなケースでは、弾性部材596は、吸収性アセンブリ522と重ならないウエストバンド580の部分に横断方向に広がってよい。
図5A〜Bに示されているように、ウエストバンドは、前側ウエストバンド領域582及び後側ウエストバンド領域584という2つの部分を含んでよい。吸収性アセンブリ522は、横方向の後側腰部縁部523を有してよい。後側腰部縁部523は、後側ウエストバンド領域584と重なり合ってよく、後側ウエストバンド領域584に接合してよい。この実施形態では、吸収性アセンブリ522が、おむつの通常の耐用期間中に、後側ウエストバンド領域584に固着したままになるように、後側ウエストバンド領域584と吸収性アセンブリ522は、恒久的に接合されている。
NT接着機構540は、上記のように、吸収性アセンブリを前側ウエストバンドに接合させるように提供してよい。NT接着機構540は、前側ウエストバンド領域582の衣類に面する表面の上に配置されたNT接着体530を含んでよい。締結機構540は、吸収性アセンブリ522の着用者に面する表面の上に配置されたNT被着体531を含んでよい。NT接着体530及びNT被着体531は、ウエストバンド580及び吸収性アセンブリ522の上の1つ以上の位置に配置してよい。理想上は、材料530、531を嵌合させると、ウエストバンド580及び吸収性アセンブリ522は、1対の脚部開口部564を形成する。当然理解されるように、上記の代わりに、NT接着体530を吸収性アセンブリ522の上に、NT被着体531を前側ウエストバンド領域582の上に配置してもよい。更に、NT接着体530及びNT被着体531は、吸収性アセンブリ422又はウエストバンド480の身体に面する表面及び/又は衣類に面する表面の上に配置してもよい。
用途−商業物品
図6A及び6Bに示されているような本発明の別の実施形態では、袋又は外装622及び1つ以上の消費者商品若しくは市販商品を含む商業物品620内に、上記のようなNT接着機構を含めてよい。NT接着機構640(上で論じたNTP及びNT3接着機構と一致する構造を更に含んでよい)は、製造中に袋又は外装622を封止するように提供してよい。理想上は、NT接着機構640は、消費者又はその他のエンドユーザーが開封するまで、袋又は外装622を閉じた形体に保ってよい。1つの好適な実施形態では、商業物品620は、NT接着機構640によって封止されている外装622を含み、おむつ650(上記のようなおむつであってもなくてもよい)のような複数の消費者商品を収容している。外装622は当該技術分野において周知であり、配送及び取り扱いを簡素化するために複数のおむつ650を相互に束ねられるようにする利点を提供する。一般に、外装622は、複数のおむつ650を包み込んで、汚染を防ぐことになるが、1つ以上のおむつ650を露出させる場合には、部分的な外装622を採用してもよい。図6A及び6Bに示されている実施形態では、複数のおむつ650を一緒に束ねて、米国特許第5,934,470号に開示されているように、熱可塑性フィルムの外装622で覆ってよい。その他の外装622も想定されるのは明らかである。例えば、外装622は様々な材料を含んでよく、この材料としては、熱可塑性フィルム、不織布、織布、ホイル、布地、紙、厚紙、ゴムひも、撚りひも、革ひも、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。その他の好適なパッケージ及びパッケージ化の方法は、米国特許第5,050,742号及び同第5,054,619号に開示されている。更に、商業物品620は、複数の外装を含んでよい。例えば、複数のおむつ620を熱可塑性フィルムの外装でパッケージ化してから、フィルムで覆われた複数のおむつを、厚紙の箱又は第2の熱可塑性フィルムの外装でパッケージしてよい。
外装622は、3次元の空間を形成するいくつかの面を含んでよく、この空間を複数のおむつで満たしてよい。閉鎖フラップ624は、外装622から延びて、外装622の1つ以上の面又は面の部分を覆ってよい。閉鎖フラップ624は、複数のおむつ650を露出させることのできる外装622内の開口部628のいくらかを剥離可能な形で覆う(すなわち、開口部628を覆うと共に、開口部628を露示させるように操作できる)外装の延長部であってよい。閉鎖フラップ624は、外装に剥離可能な形で又は固定して取り付けられた別個の要素であってよい。閉鎖フラップ624は、複数のおむつ650の面の1つを覆う形であってよい。フラップ624は、外装622の外面の上に配置されたNT接着体630と、フラップ624の内面(例えばおむつに近接する表面)の上に配置されたNT被着体631(NT被着体631及びNT接着体630の配置は逆でも可能である)とを有するNT接着機構640を含む。図6Aは、嵌合状態のNT接着機構640を示しており、図6Bは、部分的に分離した状態のNT接着機構640を示している。製造中に、フラップ624を配置して、NT接着体630とNT被着体631を嵌合させてよい。NT接着機構640は、フラップ624を閉じた位置に保ち、それによって、複数のおむつ650を外装622の中に固定しなければならない。理想上は、消費者がNT接着機構640を分離することによって外装622を開封するまで、外装622は、この閉じた位置を保つことになる。NT接着機構640は再締結可能であってよく、それによって、ユーザーは、フラップ624を開封して、ある量のおむつを取り出してから、NT接着機構640を再締結して、残りのおむつ650を包むことができる。
図6及び6Bに示されている実施形態では、フラップ624は、外装622の開口部628を覆う外装622の延長部であってよい。フラップ624は、外装622に恒久的に固着させてよい。フラップ624は、フラップ624が開口部628を覆っているときにフラップ624と外装622が重なり合う区域内に締結機構640を配置することによって、剥離可能な形で外装622に固定してよい。図6A〜Bは、この重複区域を、フラップ624の内面の対向し合う縁部の上、並びに開口部628の対向し合う側部を画定する外装622の2つの帯沿いにあるものとして示している。
図7A及び7Bに示されているような商業物品720の別の実施形態では、複数の拭き取り用品750を外装722内にパッケージ化してよい。外装722は、ポリマーフィルム、金属ホイル等のような水分不透過性材料から作製してよい。更に、外装722は、一般的に入手可能であるタブのような硬質プラスチック構造体であってよい。拭き取り用品、ティッシュ等を外装722の中に収容してよい。外装722内にパッケージ化された拭き取り用品750は、恒久的な剛性容器に補充する目的で広く用いられている。特定の実施形態では、外装722は、1つ以上の拭き取り用品750を手に取り、取り出せるようにする再閉鎖可能な分与機構を含んでよい。フラップ724は、外装722の面から延びていてよく、並びに外装722の開口部728を覆ってよい。NT接着機構740(上で論じたNTP及びNT3接着機構と一致する構造を更に含んでよい)を用いて、1つのフラップ724又はフラップ724の縁部を剥離可能な形で外装722に付着させてよい。NT接着体730は、フラップ724の内面の上に配置してよく、NT被着体731は、外装722の外面の上に配置してよく、あるいは、この逆の配置でもよい。製造中に、NT接着体730とNT被着体731を嵌合させ、それによって、フラップ724を外装722に固定すると共に、開口部728を覆う。いくつかの実施形態では、比較的水分不透過性の封止部が形成されるように、NT接着機構740は、部分的又は完全に開口部728を取り囲んでよい。使用中、NT接着体730をNT被着体731から分離することによって、フラップ724を外装722から剥離してよい。拭き取り用品750は、開口部728を通じて手に取って、取り出してよい。続いて、NT接着機構740を再締結し、それによって、フラップ724を再閉鎖し、外装722内の残りの拭き取り用品750を保護してよい。
試験方法
以下に記載されている各試験方法では、手、皮膚、又はその他の汚染表面と接触させないように、接着体及び被着体を慎重に取り扱わなければならない。未加工紙の清潔なシートを用いて、サンプルの調製中に接着体及び被着体の表面を保護してもよい。
T−剥離試験
この方法を用いて、接着体と被着体との間に形成される結合部のT−剥離強度を測定する。接着体及び被着体は、平らな試験表面に均一に貼り付けてよく、あるいは、本明細書に開示されているNT接着機構の中に組み込んでもよい。この試験は、事前に嵌合させた機構についても、加速経時変化プロセスの後、及び/又は機構を所定の回数、再締結させた後に実施してよい。T−剥離試験用サンプルの調製法は、材料が別個のウェブとして入手可能であるか、又は製品内に組み込まれているかによって変わることになる。
図8A及び8Bは、材料が別個のウェブであるときに、以下に記載されている指示に従って形成させた結合サンプル810を示している。図8Bは、図8Aの切断線b−bで切断した横断面図である。
近位縁840を有する受容サンプル812では、打抜型を用いて被着体814の寸法を変更し、幅約3.5cm(1.4インチ)、長さ約20cm(7.9インチ)の寸法を有する方形受容サンプルを作製する。被着体814がエラストマーである場合には、両面テープを用いて、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム又は紙の同様の寸法の断片で受容サンプルを裏打ちする。
嵌合サンプル822では、接着体824の幅2.54cm(1インチ)×長さ10.2cm(4インチ)の断片を、両面テープ826(オハイオ州ペーンズビル(Painesville)のエイブリィデニソン社(Avery Dennison Corp.)から入手可能なFT239、又はミネソタ州セントポール(St. Paul)の3Mから入手可能な9589等)の同様の寸法の断片に向かい合わせの関係で結合させる。接着体824と両面テープ826を接合させて、実質的に境界線を共にするようにする。接着体824にはしわがないようにしなければならない。より大きな寸法の材料で接着体/両面テープ積層体を作製してから、2.54cm×10.80cmに寸法を変更できることは当然理解される。0.05mm(2ミル)のポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルム828の約2.54cm×15cm(1インチ×5.9インチ)の断片の上に、両面テープ826の他方の側面を結合する。PET828を結合させて、接着体/両面テープ積層体の3つの縁と境界線を共にするようにして、PETの近位縁842が接着体/両面テープ積層体に未結合のままにする。PETフィルム828を裏材として用いて、試験中の接着体824の伸縮を防ぐ。
図8A〜8Cでは接着体824は、平らな嵌合サンプル822に貼り付けられた均一な層に相当してよい。これに加えて、接着体824は、本明細書に記載されているNT接着機構の嵌合構成要素の全てに相当してよい。例えば、NTP接着機構では、接着体824は、嵌合部材、嵌合表面、嵌合表面の上に1つのパターンで配列されたNT接着体等を含む。NT3接着機構では、接着体824は、嵌合部材、嵌合表面、嵌合突起部、嵌合表面及び突起部の上に配置されたNT接着体等を含む。同様に、被着体814は、平らな受容サンプル812に貼り付けられた均一な層に相当してよく、あるいは、本明細書に記載されているNTP接着機構又はNT3接着機構のうちのいずれかの嵌合構成要素の全てに相当してよい。
NT接着機構を試験するときには、嵌合サンプル822及び/又は受容部材812のパターンが施された又は3次元表面は一般に、剥離方向に対して任意の方向でそろえることができる。例えば、本明細書に記載のT−剥離試験装置内に取り付けると、試験中の剥離方向が、図1Cに示されているX方向になるように、図1Cに示されている嵌合部材22から方形サンプルを切断できる。同様に、T−剥離試験中の剥離方向が、図1Cに示されているY方向(又はXY平面内の他のいずれかの任意方向)になるように、図1Cに示されている嵌合部材22から方形サンプルを切断できる。同様に、XY平面内のいずれかの方向のT−剥離力を測定するために、パターンが施された受容部材又は3次元嵌合/受容表面をサンプル化できる。
T−剥離試験値を所定の方向で読み取るとき、T−剥離試験値が、試験サンプルのXY平面内の少なくとも1つの方向の読み取り値と適合すれば、試験基準が満たされる。例えば、図1Cに示されているNTパターンが施された接着機構が好ましくは、4.7N/cm未満の第1の剥離方向のT−剥離試験値を有する場合、図1Cに示されているXY平面内の少なくとも1つの方向に嵌合部材22と受容部材24を剥離させたときに、T−剥離試験値が4.7N/cm未満であれば、この試験基準が満たされる。複数の方向のT−剥離試験値を読み取るとき、個々の方向の間に所定の関係が存在する場合に限り、個々の方向を限定する。
試験を開始するために、嵌合サンプル822を受容部材812に結合させる。結合作業は、調理台のような平らで清潔な剛体面上で行う。しわのないように、嵌合サンプル822を受容サンプル812に貼り付ける。被着体814は接着体824を完全に覆う。接着体824を被着体814上の中央に置き、接着体824の長手方向縁部が、被着体814の長手方向縁部と実質的に平行になるようにする。受容サンプル812の近位縁840をPET828の近位縁742とそろえる。受容サンプル812の近位縁840及びPET828の近位縁842を試験計器のグリップ850及び852(図8Cに示されている)内に容易に配置できるように、受容サンプル812及び嵌合サンプル822はそれぞれ、これらサンプルの結合部分を少なくとも25ミリメートル超えて延びていなければならない。結合サンプル810を経時変化させる場合には、剥離紙830(供給元コードHV100−473/473としてイリノイ州ジェニーバ(Geneva)のフォックスリバーアソシエイツ社(Fox River Associates, LLC.,)から入手可能な、両面がシリコーンでコーティングされている紙等)の小片を、被着体814(近位縁840に隣接している)と接着体824(近位縁842に隣接している)との間に配置する。剥離紙830は、被着体814と接着体824との間に数ミリメートルを超えて挿入してはならない(すなわち、総結合長の10%以下)。2kg(4.5ポンド)のHR−100 ASTM 80のショア硬度ゴム面ローラーによって、結合サンプル810を丸める。2回のフルストローク(すなわち前後ストローク)を、約10mm/秒の速度で、サンプルに対して行う。結合面積は、幅約2.54cm(1インチ)、長さ10.2cm(4インチ)(すなわち、嵌合サンプルと同じ面積)でなければならない。試験に先立ち、結合サンプル810に対して、60℃の温度及び0.8N/cm2の圧力で所定の長さの時間、加速経時変化プロセスを施して、経時変化させたT−剥離力をもたらす。好ましい加速経時変化プロセス時間は3日である。しかし、結合サンプルによっては、より長い時間(7日間等)、又はよりも短い時間(6時間等)の経時変化後に、追加的に試験を行ってよい。
T−剥離法では、その他の寸法の結合サンプルを用いてよいことは、当業者であれば分かるはずである。受容及び嵌合部材の寸法は、上に列挙したものと異なってよいが、結合幅(すなわち、サンプルを引張試験機内に取り付けてから、グリップ幅と実質的に平行に測定される結合面積の幅である結合幅)1インチごとに記録したT−剥離力の結果を標準化するには、効果的な結合面積を用いなければならない。
市販製品の中に既に組み込まれている材料は、通常の保管及び輸送の結果として、自然に経時変化していると考えられる。このため、これらの材料には、実環境の経時変化を模する加速経時変化を施さない。T−剥離試験を行うために、可能な場合には、材料を製品から切断して、被着体及び接着体を分離させる。しかし、被着体及び/又は接着体が他の材料に向かい合わせの形体で接合されている場合には、被着体と他の材料又は接着体と他の材料との間の向かい合わせの形体を保たなければならない。材料の一体性を保持させるように、材料を製品から取り外さなければならない(例えば、被着体及び接着体を恒久的に変形させたり又は相互から剥離させたりしてはならない)。T−剥離試験のためにサンプルを取り付ける前に、受容及び嵌合表面を約1〜5mm離して、剥離を開始さなければならない。被着体を含むサンプル部分は受容サンプル812であり、接着体を含むサンプル部分は嵌合サンプル822である。受容サンプル812の近位縁840及び嵌合サンプル822の近位縁842を試験計器のグリップ850及び852内に容易に配置できるように、受容サンプル812及び嵌合サンプル822はそれぞれ、これらサンプルの結合部分を少なくとも25ミリメートル超えて延びていなければならない。必要な場合には、両面テープを使って、追加の長さの50.8μm(2ミル)のPETフィルムを近位縁840及び842に取り付けてよい。T−剥離試験は、以下の方法の部分に記載されているように、結合材料の上で行わなければならない。更に、接着体又は被着体がエラストマーである場合には、試験基材の伸縮を防ぐために、同じ寸法のシートの50.8μm(2ミル)のPETフィルムで接着体又は被着体を裏打ちしなければならない。
製品が事前に嵌合されてない場合には、材料を製品から切断し、サンプルの調製は、フィルム形状のサンプルについて上で示した方法と同様であろう。このようなサンプルは、嵌合後に経時変化させる必要がある。材料の幅が2.54cm(1インチ)未満である場合には、正味圧力が0.8N/cm2になるように、重量(経時変化中の重量)を選択しなければならない。剥離力試験で算出される平均負荷は、以下に記載されているように、締結具の幅によって標準化しなければならない。
上記結合サンプルのいずれか(例えば、加速経時変化後の別個のフィルム形状内の材料又は製品内の材料)を再締結してよい。引張試験機を用いると共に、以下に示されているようなT−剥離試験の試験条件(例えば、12インチ/分のクロスヘッド速度)に従って、結合サンプル810を剥離させる。しわにならないようにしながら、接着体824及び被着体814が元々取り付けられていた形体と実質的に同様の形体で、接着体824及び被着体814を再締結する。2kg(4.5ポンド)のHR−100 ASTM 80のショア硬度ゴム面ローラーによって、再締結したサンプルを丸める。2回のフルストローク(すなわち前後ストローク)を、約10mm/秒の速度で、サンプルに対して行う(すなわち、丸める作業は、約40秒かかるはずである)。1分の滞留時間後に、T−剥離試験を行う。これは、第1の再締結T−剥離力である。必要に応じて、この手順を繰り返して、順次的な再締結T−剥離力(すなわち、第2の再締結T−剥離力、第3の再締結T−剥離力等)を得てもよい。
T−剥離試験方法は、22℃±2℃、及びRH50%±10%の空調室内で行う。この試験に適した計器としては、マサチューセッツ州カントン(Canton)のインストロンエンジニアリング社(Instron Engineering Corp.)から市販されている引張試験機(例えばインストロン(Instron)5564)又はミネソタ州エデンプレイリー(Eden Prairie)のMTSシステムズ社(MTS Systems Corp.)から市販されている引張試験機(例えばアライアンス(Alliance)RT/1若しくはシンテック(Sintech)1/S)が挙げられる。下記の手順は、インストロン(Instron)5564を用いるときの測定を示している。機器は、試験パラメータを制御し、データ取得及び計算を行い、グラフ及びデータ報告を提供する、インストロン(Instron)(登録商標)マーリン(Merlin)(商標)材料試験ソフトウェアを搭載したコンピュータに接続される。計器は、50Hzのデータ収集速度に設定する。得られたグラフのいずれも、計器の平均値(整数)設定を用いてプロットする。測定する力が、ロードセルの容量、又は使用する負荷範囲の10%〜90%になるように、ロードセルを選択する(例えば、典型的には10N〜100Nのロードセル)。計器を製造者の指示に従って少なくとも1%、理想上は0.1%未満の精度に較正する。
計器は、固定グリップ850及び可動グリップ852という2つのグリップを有する。使用するグリップ850、852は、サンプルよりも幅が広く、典型的には、幅5.08cm(2インチ)のグリップを使用する。グリップ850、852は、空気圧式グリップであり、全体的な保持力を試験応力の方向に垂直な平面に沿って集中させるように設計されている。保持力の線の間の距離(すなわち、標点距離)は、2.54cm(1インチ)に設定する。装備品及びグリップの質量を補正するために、計器上の負荷読み取り値がゼロにされる。図8Cの部分横断面図に示されているように、結合サンプル810をグリップ850、852の中に搭載する。受容サンプル812の近位縁840が可動グリップ852内に位置し、嵌合サンプル822の近位縁842が固定グリップ850内に位置するように、結合サンプル810を搭載する。グリップ間における受容サンプル812又は嵌合サンプル822のたるみの量が最小限になるように、結合サンプルを搭載する。ロードセルをゼロにする。
305mm/分(12インチ/分)のクロスヘッド速度を利用して、受容サンプル812を嵌合サンプル824から分離させる。剥離角度は剥離力に影響を及ぼす可能性があることは、当事者であれば分かるはずである。剥離中は、剥離角度を180度前後に保たなければならない。平均負荷は、約25mm(1インチ)〜約88mm(3.5インチ)の変位間の平均負荷として算出する。サンプルの調製の部分に示されている寸法と一致しないサンプルでは、サンプル長の約25%〜約87.5%のクロスヘッド伸張度から得られた負荷から平均負荷を算出する。例えば、サンプルが長さ15cmである場合、約3.75cm〜約13.1cmのクロスヘッド伸張で平均負荷を算出する。標準化負荷(N/cm)=平均負荷(N)÷初期結合幅(cm)の式によって、平均負荷を単位幅に標準化する。
動的剪断試験方法
この方法を用いて、接着体と被着体との間に形成される結合部の剪断強度を測定する。接着体及び被着体は、平らな試験表面に均一に貼り付けてよく、あるいは、本明細書に開示されているNT接着機構の中に組み込んでもよい。この試験は、事前に嵌合させた機構についても、加速経時変化プロセスの後、及び/又は機構を所定の回数、再締結させ後に実施してよい。動的剪断試験方法は、T−剥離試験の部分で開示したものと同じ環境条件及び同じ計器で実行する。動的剪断試験用のサンプルの調製は、材料が別個のウェブとして入手可能であるか又は製品内に組み込まれているかによって変わることになる。
図9A〜Bは、材料が別個のウェブであるときに、以下に記載されている指示に従って形成される結合サンプル910を示している。図9Bは、図9Aの切断線b−bで切断した横断面図である。
末端縁944を有する受容サンプル912では、打抜型を用いて被着体914の寸法を変更し、幅約3.5cm(1.4インチ)長さ約20cm(7.9インチ)の寸法を有する方形受容サンプルを作製する。被着体914が接着体924と同じである場合には、両面テープを用いて、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム又は紙の同様の寸法の断片で受容サンプルを裏打ちする。
嵌合サンプル922では、接着体924の約2.54cm×2.54cm(1インチ×1インチ)の断片を、両面テープ926(オハイオ州ペーンズビル(Painesville)のエイブリィデニソン社(Avery Dennison Corp.)から入手可能なFT239、又はミネソタ州セントポール(St. Paul)の3Mから入手可能な9589等)の同様の寸法の断片に向かい合わせの関係で結合させる。接着体924と両面テープ926を接合させて、実質的に境界線を共にするようにする。接着体924にはしわがないようにしなければならない。より大きな寸法の材料で接着体924/両面テープ926積層体を作製してから、約2.54cm×2.54cmに寸法を変更できることは当然理解される。両面テープ926の一方の側面を、5.08cm×12.9cm(2インチ×6インチ)のステンレス鋼プレート928に結合させて、接着体924/両面テープ926積層体の他方の側面が、プレート928の幅5.08cm(2インチ)の縁部から約1.27cm(0.5インチ)になるようにする。プレート928は、接着体924/両面テープ926積層体と隣接する縁部と対向する末端縁946を有する。接着体924/両面テープ926は、プレート928の幅沿いの中央に置かなければならない。
T−剥離試験に関して上に記載されているように、嵌合サンプル922及び受容サンプル912は、貼り付けられた接着体/被着体の均一な層を有する平坦な表面に相当してよい。これに加えて、嵌合サンプル922及び受容サンプル912は、本明細書に記載のNT接着機構に相当してよい。同様に、NTP接着機構及びNT3接着機構は、性能特性の面で方向依存性を示す可能性があるため、試験サンプルのXY平面内の少なくとも1方向で剪断したとき、試験サンプルが読み取り値と適合すれば、読み取ったいずれの動的剪断試験値も満たされる。
被着体914が接着体924と完全に重なり合うように、受容サンプル912を嵌合サンプル922の上に結合する。しわのないように、受容サンプル912を貼り付ける。受容サンプル912の縁部及び嵌合サンプル924の縁部は、実質的に相互に平行である。受容サンプル912がプレート928を超えて延びるように、受容サンプル912を嵌合サンプル922に結合する。受容サンプル912の末端縁944とプレート928末端縁946が相互に対向するように、結合サンプル910を設計する。2kg(4.5ポンド)のHR−100 ASTM 80のショア硬度ゴム面ローラーによって、結合サンプル910を丸める。2回のフルストローク(すなわち前後ストローク)を、約10mm/秒の速度で、サンプルに対して行う。結合面積は、約2.54cm×2.54cm(1インチ×1インチ)でなければならない。試験に先立ち、結合サンプル910に対して、60℃の温度及び0.8N/cm2の圧力で所定の長さの時間、加速経時変化プロセスを施して動的剪断力をもたらす。好ましい加速経時変化プロセス時間は3日である。しかし、結合サンプルによっては、より長い時間(7日間等)、又はより短い時間(6時間等)の経時変化後に、追加的に試験を行ってよい。
動的剪断力試験方法では、その他の寸法の結合サンプルを用いてよいことは、当事者であれば分かるはずである。受容及び嵌合部材の寸法は、上に列挙したものと異なってよいが、結合面積の1平方インチごとに記録した動的剪断力の結果を標準化するには、効果的な結合面積を用いなければならない。
市販製品の中に既に組み込まれている材料は、通常の保管及び輸送の結果として、自然に経時変化していると考えられる。このため、これらの材料には、実環境経時変化を模する加速経時変化を施さない。動的剪断力試験を行うために、可能な場合には、材料を製品から切断して、被着体及び接着体を分離する。しかし、被着体及び/又は接着体が他の材料に向かい合わせの形体で接合されている場合には、被着体と他の材料又は接着体と他の材料との間の向かい合わせの形体を保たなければならない。材料の一体性を保持させるように、材料を製品から取り外さなければならない(例えば、被着体及び接着体を恒久的に変形させたり、又は、剥離させてはならない)。接着体を5.08cm×12.9cm(2インチ×6インチ)のステンレス鋼プレートに取り付けて、嵌合サンプルを形成させる。被着体の末端縁を試験計器のグリップ952に容易に挿入できるように、被着体(接着体と既に嵌合している)は、接着体と被着体との結合部分から少なくとも25ミリメートル延びている末端縁を有さなければならない。被着体の末端縁が少なくとも25mm延びていない場合には、両面テープを用いて、追加の長さの50.8μm(2ミル)のPETフィルムを被着体の末端縁に取り付けてよい。動的剪断力試験は、以下の方法の部分に記載されているように、結合材料の上で実行しなければならない。
製品が事前に嵌合されてない場合には、材料を製品から切断し、サンプルの調製は、フィルム形状のサンプルについて上で示した方法と同様であろう。
上記結合サンプルのいずれか(例えば、加速経時変化後の別個のフィルム形状内の材料又は製品内の材料)を再締結してよい。再締結サンプルは、以下のように調製する。受容サンプル912を嵌合サンプル922から剥がすことによって、結合サンプル910を手で剥離する。しわにならないようにしながら、接着体924と被着体914が元々取り付けられていた形体と実質的に同様の形体で、接着体924と被着体914を再締結する。受容サンプル912の末端縁944がプレート928の末端縁946から遠隔するように、結合サンプル910を設計する。
2kg(4.5ポンド)のHR−100 ASTM 80のショア硬度ゴム面ローラーによって、再締結サンプルを丸める。2回のフルストローク(すなわち前後ストローク)を、約10mm/秒の速度で、サンプルに対して行う。再締結サンプルを1分間の滞留時間、放置させる。剥離及び再締結を繰り返して、第2の再締結、第3の再締結等を生じさせてよい。再締結サンプルに対して試験を行って、動的剪断力をもたらしてよい。
動的剪断力試験方法は、22℃±2℃及びRH50%±10%の空調室内で行う。引張試験機は、T−剥離試験で用いたものと同じである。測定する力が、ロードセルの容量、又は使用する負荷範囲の10%〜90%になるように、ロードセルを選択する(例えば、典型的には100N〜250Nのロードセル)。計器を製造者の指示に従って少なくとも1%、理想的には0.1%未満の精度に較正する。引張試験機は、固定グリップ950及び可動グリップ952という2つのグリップを有する。図9Cは、引張試験機の2つのグリップ950、952内に搭載された結合サンプル910の横断面図である。これらのグリップは、被着体914又は接着体924よりも幅が広い(例えば、典型的には幅約2.54cm〜5.08cm(1インチ〜2インチ))。グリップ950、952は、空気圧式グリップであり、全体的な保持力を試験応力の方向に垂直な平面に沿って集中させるように設計されている。金属プレート928の末端縁946を固定グリップ950の中に搭載する。受容サンプル912の末端縁944を可動グリップ952の中に搭載する。たるみの量が最小限になると共に、測定される負荷が0.5N未満になるように、結合サンプルをグリップ950、952の中に搭載しなければならない。可動グリップ952の線と結合部位の近接縁部の線との間の距離は約3.3cm(1.3インチ)である。機器の負荷表示はゼロである。
受容サンプル912と嵌合サンプル924が完全に外れるか又は結合サンプル910の1つが機能しなくなる(例えば、嵌合サンプルが裂けるか、受容サンプルが裂けるか又はサンプルが嵌合サンプルと受容サンプルとの間の境界面以外の境界面で剥離する)まで、305mm/分(12インチ/分)のクロスヘッド速度を用いて、受容サンプル912を嵌合サンプル924から分離する。少なくとも0.8N/cm2(5N/インチ2)の最大負荷に達する前に、結合サンプルが、被着体と接着体との間の境界面以外のいずれかの位置で機能しなくなった場合には、そのデータを破棄し、サンプルが裂けないように裏材を使うか、及び/又はより強力な両面テープを使って、別のサンプルで実験を行わなければならない。
最大負荷を記録し、標準化負荷(N/cm2)=測定負荷(N)÷結合面積(cm2)の式によって、単位面積あたりで標準化して、動的剪断力をもたらす。
剪断懸垂時間試験方法
剪断懸垂時間試験方法を用いて、接着体と被着体との間に形成される結合部に対して恒温環境で負荷を加えたときの結合部の剪断抵抗(時間の長さとして測定される)を測定する。接着体及び被着体は、平らな試験表面に均一に貼り付けてよく、又は本明細書に開示されているNT接着機構の中に組み込んでもよい。この試験は、事前に嵌合させた機構についても、加速経時変化プロセスの後、及び/又は機構を所定の回数、再締結させた後に実施してよい。この試験は、FINAT試験方法No.8、欧州粘着テープ業界協会(the European Association for the Self Adhesive Tape Industry)(AFERA)試験方法No.4012、及びASTM−D試験方法No.6463による。剪断懸垂時間試験用のサンプルの調製は、材料が別個のウェブとして入手であるか又は製品内に組み込まれているかによって変わることになる。
図10A及び10Bは、材料が別個のウェブであるときに、以下に記載されている指示に従って形成される結合サンプル1010を示している。図10Bは、図10Aの切断線b−bで切断した横断面図である。
近位縁1040及び末端縁1044を有する受容サンプル1012では、打抜型を用いて被着体1014の寸法を変更し、約3.5cm×7.5cm(1.4インチ×3.0インチ)の寸法を有する方形受容サンプルを作製する。ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム又は紙の同様の寸法の裏張りシート1015で被着体1014を裏打ちする。被着体1014と接着体1024との境界面の妨げとならないように、裏張りシート1015を配置及び寸法設定しなければならない。
嵌合サンプル1022では、接着体1024の約1.27cm×2.54cm(0.5インチ×1インチ)の断片を、両面テープ1026(オハイオ州ペーンズビル(Painesville)のエイブリィデニソン社(Avery Dennison Corp.)から入手可能なFT239又はミネソタ州セントポール(St. Paul)の3Mから入手可能な9589等)の同様の寸法の断片に向かい合わせの関係で結合させる。接着体1024にはしわがないようにしなければならない。より大きな寸法の材料で接着体1024/両面テープ1026積層体を作製してから、1.27cm×2.54cm(0.5インチ×1インチ)に寸法を変更できることは当然理解される。近位縁1042及び末端縁1046を有する試験パネル1028に、両面テープ1026のもう一方の側面を結合する。試験パネル1028の近位縁1042に隣接させて両面テープ1026を結合する。試験パネル1028は、理想上は、スチール(ASTM A666の規格)から作製し、あるいは、少なくとも約3mm〜4mmの厚みを有する波形厚紙から試験パネル1028を作製してもよい。被着体1014を接着体1024に結合する。続いて、2kg(4.5ポンド)のHR−100 ASTM 80のショア硬度ゴム面ローラーによって、結合サンプル1010を丸める。2回のフルストローク(すなわち前後ストローク)を、約5mm/秒の速度で、サンプル1010に対して行う。結合面積は、約1.27cm×2.54cm(0.5インチ×1インチ)でなければならない。試験に先立ち、結合サンプル1010に対して、好ましくは、60℃の温度及び0.8N/cm2の圧力で少なくとも3日間の加速経時変化プロセスを施すが、これよりも長い期間又は短い期間も可能である。
T−剥離試験に関して上に記載されているように、嵌合サンプル1022及び受容サンプル1012は、貼り付けられた接着体/被着体の均一な層を有する平坦な表面に相当してよい。これに加えて、嵌合サンプル1022及び受容サンプル1012は、本明細書に記載のNT接着機構に相当してよい。同様に、NTP接着機構及びNT3接着機構は、性能特性の面で方向依存性を示す可能性があるため、試験サンプルのXY平面内の少なくとも1方向で剪断したとき、試験サンプルが読み取り値と適合すれば、読み取ったいずれの剪断懸垂時間試験値も満たされる。
剪断懸垂時間試験方法では、その他の寸法の結合サンプルを用いてよいことは、当事者であれば分かるはずである。受容及び嵌合部材の寸法は、列挙したものと異なっていてよい。しかし、結合面積が、約1.27cm×2.54cm(0.5インチ×1インチ)を超える場合には、サンプルの寸法を変更して、1.27cm×2.54cm(0.5インチ×1インチ)の結合面積を生じさせなければならない。
市販製品の中に既に組み込まれている材料は、通常の保管及び輸送の結果として、自然に経時変化していると考えられる。このため、これらの材料には、実環境経時変化を模する加速経時変化を施さない。動的剪断力試験を行うために、可能な場合には、材料を製品から切断して、被着体及び接着体を分離する。しかし、被着体及び/又は接着体が他の材料に向かい合わせの形体で接合されている場合には、被着体と他の材料又は接着体と他の材料との間の向かい合わせの形体を保たなければならない。材料の一体性を保持させるように、材料を製品から取り外さなければならない(例えば、被着体及び接着体を恒久的に変形させ、相互から剥離させたりしてはならない)。接着体を両面テープを介して試験パネル1082に取り付け、嵌合サンプルを形成させる。被着体の末端縁を容易に折り畳んでループ1062を形成できるように、被着体(接着体と既に嵌合している)は、接着体と被着体との結合部分から少なくとも50ミリメートル延びている末端縁を有さなければならない。末端縁が少なくとも50mm延びていない場合には、両面テープを用いて、追加の長さの50.8μm(2ミル)のPETフィルムを末端縁1044に取り付けてよい。剪断懸垂時間試験は、以下の方法の部分に記載されているように、結合材料の上で実行しなければならない。
製品が事前に嵌合されてない場合には、材料を製品から切断し、サンプルの調製は、フィルム形状のサンプルについて上で示した方法と同様であろう。
上記結合サンプルのいずれか(例えば、加速経時変化後の分離性フィルム形状内の材料又は製品内の材料)を再締結してよい。再締結サンプルは、以下のように調製する。受容サンプル1010を嵌合サンプル1012から剥がすことによって、結合サンプル1010を手で剥離する。しわにならないようにしながら、接着体1024及び被着体1014が元々取り付けられていた形体と実質的に同様の形体で、接着体1024及び被着体1014を再締結する。2kg(4.5ポンド)のHR−100 ASTM 80のショア硬度ゴム面ローラーによって、結合サンプルを丸める。2回のフルストローク(すなわち前後ストローク)を、約5mm/秒の速度で、サンプルに対して行う。再締結サンプルを1分間の滞留時間、放置させる。剥離及び再締結を繰り返して、第2の再締結、第3の再締結等を生じさせてよい。再締結サンプルに対して試験を行って、剪断懸垂時間をもたらしてよい。
結合サンプル1010を周囲室内条件(例えば22℃±2℃及びRH50%±10%)で調製する。試験の開示直前に、結合サンプル1010を温度室の中に持って行く。結合サンプル110の温度室中への導入時点と試験開始時点との間の時間は、5分未満にしなければならない。約38℃±2℃(100°F±4°F)に保たれた温度室又はオーブン内で試験を行う。この試験に適した計器は、オハイオ州フェアフィールド(Fairfield)のケムインスツルメンツ社(ChemInstruments Inc)から入手可能なRT10若しくはRT30、又は試験プレートを0°若しくは2°の垂直範囲内に保持できるラック若しくは治具を有するいずれかの装置である。四捨五入して分単位で読み取ることのできる自動タイマーによって時間を測定する。
図10Cは、試験装置内にある結合サンプル1010の横断面図である。サンプル1012を受容する被着体の末端縁1044を2つに折り畳んで、ステープル1060で固定し、ループ1062を形成させる。受容サンプル1012が下向きに垂るように、嵌合サンプル1022の末端縁1046をラック1068の中に配置する。1kgの分銅1064を受容サンプル1012の自由端に取り付けると共に、分銅1064を被着体1014内に形成されたループ1062に通して吊るすか又は嵌合させてもよい。分銅1064が受容サンプル1012からだらりと垂れ下がったら、タイマーを始動させる。被着体1014及び接着体1024を剥離させる(すなわち、受容部材1012が分離して、嵌合部材1022から落ちる)のに要する時間を記録する。サンプルが所定の期間を超えても結合したままである場合には、試験を手で停止することができる。
嵌合サンプルと受容サンプルとの間の境界面の分離以外の何らかの理由で、結合サンプルが落ちた(例えば、嵌合サンプルが裂けた、受容サンプルが裂けた、又はサンプルが嵌合サンプルと受容サンプルとの間の境界面以外の境界面で剥離した)場合には、そのデータを破棄し、サンプルが裂けないように裏材を使う及び/又は嵌合サンプルと受容サンプルとの間の境界面以外の境界面で分離しないように、より強力な両面テープを使って、別のサンプルで実験を行わなければならない。
プローブタック試験方法
この方法を用いて、制御された速度及び圧力で基準表面と接触させて配置したときの所定の接着体及び被着体の粘着度を測定する。この試験は、感圧接着剤に関するASTM D試験方法No.2979−01による。図11は、好適なサンプル及び計器形体を示している。
上で記したインストロン5564の場合には、以下のようにサンプルを調製する。サンプル材料1110を両面テープ(オハイオ州ペーンズビル(Painesville)のエイブリィデニソン社(Avery Dennison Corp.)から入手可能なFT239等)の断片1111に結合する。サンプル材料1110及び両面テープ1111の寸法を2.54cm×2.54cm(1インチ×1インチ)に変更する。両面テープ1111の反対側をプローブアンビル1124のアンビル面1126に結合する。サンプル材料1110/両面テープ1111をナイフで切断して、アンビル面1126(下に記載されているように、直径約1.1cm)に適合させる。サンプル材料1110/両面テープ1111は、試験するサンプル材料1110の表面を汚したり、又は、この表面に接触したりすることなく、切断しなければならない。サンプル材料1110の表面積は、アンビル面1126とほぼ同じである。サンプル材料1110が別の材料と嵌合している場合には、試験の前に、サンプル材料1110をその別の材料から分離させなければならない。接着体及び被着体を試験する。
プローブタック試験は、22℃±2℃及びRH50%±10%の空調室内で行う。この試験に適した計器としては、マサチューセッツ州カントン(Canton)のインストロンエンジニアリング社(Instron Engineering Corp.)から市販されている引張試験機(例えばインストロン(Instron)5564)、又は、同等の引張試験機が挙げられる。
試験パラメータを制御し、データの収集及び計算を行い、グラフ及びデータ記録を提供するコンピュータに、計器を接続する。ロードセル1120に連結しているプローブ本体1122にプローブアンビル1124を取り付ける。プローブアンビル1124は円筒形であり、実質的に円形のアンビル面1126を有する。アンビル面1126は、約1.1cmの直径、及び0.95cm2の表面積を有する。測定される力がロードセル1120の容量の10%〜90%になるように、ロードセル1120を選択する。アンビル面1126と平行な優勢(predominate)表面を有する固定平面プレート1128をインストロンの底の固定側に搭載する。試験中にごくわずかな変形又は圧縮を示す材料(例えば鋼板)からプレート1128を作製する。基準表面1112をプレート1128に接合する。この試験方法の目的上、基準表面1112は、IMS社(IMS, Inc.)(コネチカット州オレンジ(Orange))からビトロ−スキン(VITRO-SKIN)N−19として入手可能な擬似皮膚である。試験前に、擬似皮膚を供給元の指示に従って調節する。擬似皮膚をプレート1128に結合して、試験中、擬似皮膚を実質的に平面形体に保つ。
測定前に、プローブの質量を補正するために、計器上の負荷読み取り値をゼロにする。95gfの圧縮負荷(すなわち、直径1.1cmのプローブにおいては9.79kPaに相当する)が実現されるまで、アンビル面1126をサンプル材料1110と共に、1mm/分の速度で基準表面1112と接触させる。95gfを保ちながら1秒遅延させた後、プローブを10mm/分の速度で基準面から引き出す。続いて、最大負荷をグラム重で記録する。最大負荷をアンビルの単位面積ごとに標準化して、標準化負荷(すなわち、グラム重/cm2でのプローブ粘着度の値)=最大負荷測定値(gf)÷アンビル面の表面積(cm2)の式によって、プローブ粘着度の値をもたらす。
表面が、プローブタック試験によって50グラム重(gf)未満の測定値を有する場合には、その表面は低い表面接着性を示す(すなわち、非粘着性である)。特定の実施形態では、低い表面接着性は、40gf/cm2未満、あるいは30gf/cm2未満、あるいは20gf/cm2未満、あるいは10gf/cm2未満、あるいは5gf/cm2未満であってよい。クラトン(Kraton)(登録商標)D1102及びクラトン(Kraton)(登録商標)D1111(テキサス州ヒューストン(Houston)のクラトンポリマーズ(Kraton Polymers)から入手可能)は、約2gfのプローブ粘着力を示す。ベクター(Vector)(登録商標)4211(テキサス州ヒューストン(Houston)のデクスコポリマーズ(Dexco Polymers)から入手可能)は、約2gf/cm2のプローブ粘着力を示す。比較するものとして、クラトン(Kraton)(登録商標)D1107(テキサス州ヒューストン(Houston)のクラトンポリマーズ(Kraton Polymers)から入手可能)は、約168gf/cm2のプローブ粘着力を示す。
模擬汚染サンプルの調製
上記の試験方法によって分析するサンプルは、試験結果の再現性を向上させるために、一般に、汚染のない接着体及び非接着体表面を有さなければならない。しかし、非粘着性接着機構は、実際の使用中、ヒト及び/又は環境による汚染の影響を受けやすい。このため、日常的な汚染が特定のNT接着体/NT被着体対に及ぼす可能性が高い影響が存在する場合、その影響を測定するために、制御された方法で、非粘着性接着機構の低下する接着効果の特徴を明らかにするのが有益であり得る。この模擬汚染サンプルの調製手順を上記の試験方法のいずれかと一緒に用いて、上記の低下する接着効果を定量化することができる。
まず、合成皮膚基材の2.54cm×20.32cmのサンプルを剥離紙(イリノイ州ジェニーバ(Geneva)のフォックスリバーアソシエイツ社(Fox River Associates, LLC.)からHV100−473/473の供給元コードとして市販されている両面シリコーン被覆紙等)のシートに取り付けることによって、模擬汚染表面を調製する。例えばヒトの皮膚と同様のタンパク質及び脂質を含む好適な合成皮膚基材は、ビトロ−スキン(VITRO-SKIN)N−19(コネチカット州オレンジ(Orange)のIMS社(IMS, Inc.)から入手可能)という名称で入手可能である。汚染調査では、ビトロ−スキン(VITRO-SKIN)は、そのまま(非水和)の状態で使用する。
パンパースラベンダーワイプス(PAMPERS Lavender Wipes)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のプロクターアンドギャンブルカンパニー(The Procter and Gamble Company)から入手可能)という名称で入手可能であるおしり拭きをまず(横断方向の縦向きに)4つに折り畳んでから、その元々の長さから25.4cmの長さに(横断方向に)伸張させる。汚染試験の目的で用いるおしり拭きは、約8.5g〜約9.5gの純量を有する。おしり拭きは、例えば乳幼児をおしり拭きで拭くときに介護人の指に移動する可能性のある汚染物質源(水、ローション等)を提供する。続いて、介護人の指に移動した汚染物質は、後に乳幼児に装着させるおむつを封止するために用いられる接着体及び被着体表面に移動し得る。
続いて、折り畳んで伸張させたおしり拭きを、合成皮膚の皮膚を模した表面の上に置き、第2の剥離紙片を用いて、おりし拭きを覆う。剥離紙を用いるのは、汚染物質が合成皮膚以外のいずれかの表面に移動するのを防ぐためである。HR−100 ASTMローラー(2kg)を使用して、おしり拭き及び合成皮膚を一緒に、合わせて40秒間、2回のフルストローク(すなわち、1回の通過あたり10秒間で、2回前方に、2回後方に)押圧する。続いて、おしり拭き及び剥離紙の被覆層を合成皮膚から外す。
擬似汚染表面(すなわち合成皮膚)によって汚されることになるいずれかの接着体/被着体表面を、合わせて5秒間、0.8N/cm2の圧力下で、合成皮膚の汚染側と接触させて(面するように)配置する。別段の定めのない限り、接着体表面及び被着体表面のいずれも、擬似汚染サンプルの調製手順内で、合成皮膚で処理する。この方法で調製した汚染サンプルを上記試験方法のいずれかと一緒に用いて、上記の低下する接着効果を定量化することができる。
様々な材料を試験して、2つの対向し合う平らな表面を異なる接着体/被着体の組み合わせで均一にコーティングしたときのT−剥離力の結果を測定した。T−剥離試験方法に従って、この組み合わせのサンプルを試験して、この組み合わせについて得られた剥離力(N/cm)を表1にまとめた。試験前に、サンプルを60℃の温度及び0.8N/cm2の圧力下で経時変化させた。サンプルは、表1に示されているように、6時間、3日間、及び/又は1週間の持続期間、経時変化させた。記録されている剥離力は、少なくとも3つのサンプルから得た平均値である。表1における空白部分は、特定の接着体/被着体の組み合わせを試験しなかったことを示している。
以下の実施例の材料は、下記の頭字語によって参照しやすくする。
D1102:クラトン(Kraton)(登録商標)D1102は、テキサス州ヒューストン(Houston)のクラトンポリマーズ(Kraton Polymers)から入手可能である。D1102は、スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックエラストマー(16%ジブロック及び28%スチレン)である。D1102を押し出して、厚さ約51μm〜127μm(2ミル〜5ミル)のフィルムを形成させる。
D1111:クラトン(Kraton)(登録商標)D1111は、テキサス州ヒューストン(Houston)のクラトンポリマーズ(Kraton Polymers)から入手可能である。D1111は、スチレン/イソプレン/スチレントリブロックエラストマー(15%ジブロック及び22%スチレン)である。D1111を押し出して、厚さ約51μm〜127μm(2ミル〜5ミル)のフィルムを形成させる。
4211:ベクター(Vector)(登録商標)4211は、テキサス州ヒューストン(Houston)のデクスコポリマーズ社(Dexco Polymers LP)から入手可能である。4211は、スチレン/イソプレン/スチレントリブロックエラストマー(0%ジブロック及び20%スチレン)である。4211を押し出して、厚さ約51μm〜127μm(2ミル〜5ミル)のフィルムを形成させる。
8508:ベクター(Vector)(登録商標)8505は、テキサス州ヒューストン(Houston)のデクスコポリマーズ社(Dexco Polymers LP)から入手可能である。8505は、スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックエラストマー(0%ジブロック及び29%スチレン)である。8508を押し出して、厚さ約51μm〜127μm(2ミル〜5ミル)のフィルムを形成させる。
PET:PETは、ドイツ、ウィースバーデン(Wiesbaden)のミツビシポリエステルフィルム社(Mitsubishi Polyester Film GmbH)からホスタンファン(Hostanphan)(登録商標)RNK−Cの商品名で入手可能であるコロナ処理した2軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)である。PETは、厚さ12ミクロンのフィルムとして供給されている。
oPA54:oPA54は、54mN/mの供給元公称表面エネルギーを有する2軸配向ポリアミドフィルムである。この2軸配向ポリアミドフィルムは、厚さ15ミクロンであり、イタリアのCFPフレキシブルパッケージング社(CFP Flexible Packaging S.p.A.)からエンブレム(Emblem)(商標)1500の商品名で入手可能である。
oPA40:oPA40は、40mN/mの供給元公称表面エネルギーを有する2軸配向ポリアミドフィルムである。この2軸配向ポリアミドフィルムは、oPA54のエンブレム(Emblem)(商標)フィルムの未処理側である。oPA40は厚さ15ミクロンのフィルムとして供給されている。
PE50:PE50は、ノルデニアインターナショナル社(Nordenia International AG)によって供給元コードKC 2672.770として製造されているポリエチレンフィルムのコロナ処理側である。PE50は、95ミクロンの厚み及び50mN/mの給元公称表面エネルギーを有する。PE50は、0.93g/cm3の密度を有する。
PE33:PE33は、ノルデニアインターナショナル社(Nordenia International AG)によって製造されているポリエチレンフィルムPE50の未処理側である。PE33は、33mN/mの給元公称表面エネルギーを有する。
PP44:PP44は、44mN/mの給元公称表面エネルギーを有し、ドイツ、フォルヒハイム(Forchheim)のハータマキ社(Huhtamaki GmbH)から供給元コード14461として市販されているポリプロピレンフィルムのコロナ処理側である。PP44は、70ミクロンの厚み、及び0.9g/cm3の密度を有する。
PP33:PP33は、ドイツ、フォルヒハイム(Forchheim)のハータマキ社(Huhtamaki GmbH)によって製造されているポリプロピレンフィルムPP44の未処理側である。PP33は、33mN/mの表面エネルギーを有する。
oPP42:oPP42は、アクリルで2重コーティングされており、ルクセンブルグ(Luxembourg)のエクソンモービル社(ExxonMobil Inc.)によってMW 647 OPPalyte(商標)の商品名で製造されている2軸配向ポリプロピレンフィルムである。oPP42は、42mN/mの給元公称表面エネルギー、及び40ミクロンの厚みを有する。
(実施例1〜4)
実施例1では、D1102のNT接着体及びPETのNT被着体(いずれも平らな試験表面に均一に貼り付けた)を含む試験サンプルを調製及び分析した。D1102の被着体はペレット形状で供給されており、これを押し出して厚さ約76μm(3ミル)のフィルムにした。D1102の接着体は、16%のジブロック及び28%のスチレンを有するスチレン/ブタジエン/スチレントリブロックエラストマーである。D1102の接着体の重量平均分子量は、71kDAであることが分かった(テトラヒドロフラン中で標準ポリスチレンを用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定)。D1102の接着体は、6g/10分の供給元公称メルトフローレートを有する(ISO方法1133によって200℃/5kgの条件で測定した場合)。
実施例2の試験サンプルは、PETの代わりにoPA54のNT被着体を使う以外は実施例1と同じ方法で調製した。
実施例3の試験サンプルは、PETの代わりにoPA40のNT被着体を使う以外は実施例1と同じ方法で調製した。
実施例4では、4211のNT接着体及びoPA40のNT被着体(いずれも平らな試験表面に均一に貼り付けた)を含む試験サンプルを調製及び分析した。4211の被着体はペレット形状で供給されており、これを押し出して、厚さ約76μm(3ミル)のフィルムにした。4211の接着体の重量平均分子量は、86kDAであることが分かった(テトラヒドロフラン中で標準ポリスチレンを用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定)。4211の被着体は、12g/10分の供給元公称メルトフローレートを有する(ASTM方法D1238にて200℃/5kgの試験条件で測定した場合)。
試験結果
表2は、6時間、3日間、又は1週間のいずれかの間、及び60℃の温度、0.8N/cm
2の圧力で経時変化させた実施例1〜4に対するT−剥離試験の結果を提供する。T−剥離力は、少なくとも3つのサンプルから得た平均値である。表2から見てとれるように、T−剥離力は、時間と共に横ばい状態になる。1週間の経時変化後のT−剥離力は、3日間の経時変化後に測定したT−剥離力をそれほど上回っていない。データによって、3日間の経時変化から1週間の経時変化までのT−剥離力の上昇が約20%未満であることが示されている。
表3は、1週間、60℃の温度、0.8N/cm
2の圧力下で経時変化させ、1回以上(再締結後、1分の滞留時間によって1、2、又は3回)の再締結作業を施した実施例1〜4に対するT−剥離試験の結果を提供する。見てとれるように、T−剥離力は、再締結作業を経てもそれほど低下しない。3回の再締結作業後のサンプルのT−剥離力の、1回の再締結作業後の同じサンプルのT−剥離力からの低下幅は、約0.4N/cm以下である。
表4は、1週間又は3日間、60℃の温度、0.8N/cm
2の圧力下で経時変化させた実施例1〜4に対する動的剪断試験の結果を提供する。表4は、再締結前の実施例1〜4及び3回の再締結作業後の実施例1〜4の双方の動的剪断力も提供する。
表5は、3日間、60℃の温度、0.8N/cm
2の圧力下で経時変化させた実施例1〜4で、再締結前の実施例1〜4、及び3回の再締結作業後の実施例1〜4の双方に対する剪断懸垂時間試験の結果を提供する。「合格」という評価は、そのサンプルが少なくとも240分間取り付けられたままであったことを示す。
(実施例5〜6)
実施例5及び6では、4211のNT接着体及びoPA40のNT被着体(いずれも平らな試験表面にフィルムとして均一に貼り付けた)を含む試験サンプルを調製及び分析した。両方の実施例に対して、T−剥離試験(3日間、60℃、0.8N/cm2の圧力下での経時変化後)に従って試験を行い、接着体/被着体機構の1回目の嵌合後(すなわち、1回目の再締結の前)、及び、1回目の再締結作業後における必要な剥離力を測定した。実施例5では、T−剥離試験の前に、擬似汚染手順を用いなかった。実施例6では、擬似汚染手順を用いて、1回目の嵌合後に接着体表面及び被着体表面の双方を汚染させたが、1回目の再締結作業の前には用いなかった。
表6は、擬似汚染手順の比較結果を提供する。T−剥離力は、4つのサンプルから得た平均値を表している。実施例6から明らかなように、ヒトの指は、接着体/被着体対を汚染させて、接着体/被着体対の接着効果を著しく低下させる可能性がある。所定の接着体/被着体対が特に汚染の影響を受けやすいときには、非平面的な3次元表面によって潜在的汚染物質と接着面の少なくとも一部分との接触を構造的に抑制できるNT3接着機構を使用するのが望ましいであろう。
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において、本明細書に参照として組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものであると解釈すべきではない。
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるこのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。