JP2010506080A - 流体機械用ロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は車室(2、3、39)とロータ(5)を有する蒸気タービンに関する。
【解決手段】本発明に基づく蒸気タービンは、外部冷却媒体(21)が蒸気タービンの車室(2、3、39)を通してロータ(5)の空洞(22)に導入され、その外部冷却媒体(21)がロータ(5)の熱的に大きく負荷される部位を冷却し、続いて主流(作動媒体)と混合されるように形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、車室とロータを有し、その車室が外部冷却媒体を導入するための供給路を有し、ロータが少なくとも部分的に中空に形成されている蒸気タービンに関する。
蒸気タービンの効率を高めるためにより高温高圧の蒸気が利用される。そのような蒸気状態の蒸気の利用は蒸気タービンに厳しい要件を課する。
本件出願における蒸気タービンとは、蒸気の形態の作動媒体で貫流されるタービンあるいは部分タービンを意味する。これと異なり、ガスタービンは作動媒体としてガスおよび/又は空気で貫流され、蒸気タービンにおける蒸気とは全く異なった温度・圧力条件を基礎としている。蒸気タービンの場合、ガスタービンと異なり、例えば部分タービンを貫流する極めて高温の作動媒体は同時に極めて高い圧力を有する。ガスタービンの場合のような開放冷却系は外部供給無しには実現できない。蒸気タービンは、通常、車室の内部に回転可能に配置され多数の翼が取り付けられたロータを有している。そのロータは、車室で形成された流れ空間を高温高圧蒸気が貫流する際、蒸気により翼を介して回転させられる。ロータに取り付けられた翼は動翼とも呼ばれる。また通常、車室に多数の静翼(案内羽根)が取り付けられ、これらの静翼は動翼間の隙間の中に延びている。静翼は、通常、蒸気タービン車室の内周面に沿って保持されている。その静翼は、通常、蒸気タービン車室の内側における内周面に沿って配置された多数の静翼から成る静翼輪の一部分である。各静翼はその翼形部(羽根部)が半径方向内側に延びている。軸方向広がりに沿った一箇所における静翼輪は静翼列とも呼ばれる。通常、多数の静翼列が連続して配置されている。
効率を向上する際に冷却が大きな問題となる。蒸気タービン車室を冷却する従来公知の冷却方式において、能動式冷却と受動式冷却に分けられる。能動式冷却の場合、蒸気タービン車室に別個に供給される冷却媒体、即ち、作動媒体に対して追加的に供給される冷却媒体によって冷却が行われる。これに対して、受動式冷却は作動媒体の適切な案内あるいは利用だけで行われる。蒸気タービン車室の公知の冷却は受動式冷却に限られている。例えば蒸気タービンの内部車室を既に膨張して冷えた蒸気で洗流することが知られている。しかしこの方式は、内部車室壁にわたる温度差が大き過ぎる場合に内部車室が熱応力で大きく変形してしまうので、その温度差が制限されねばならないという欠点がある。内部車室に冷却蒸気が流される場合に確かに放熱が行われるが、その放熱は入熱箇所からかなり離れた箇所で行われる。入熱箇所の直ぐ近くにおける放熱は、従来では十分に実施されなかった。異なった受動式冷却は、いわゆる斜流段における作動媒体の適切な膨張形成によって達成される。もっともこの場合、車室について極めて限定された冷却作用しか得られない。
蒸気タービン車室の内部に回転可能に支持された蒸気タービンロータは、運転中に熱的に大きく負荷される。蒸気タービンロータの開発および製造は高い経費がかかり且つ時間もかかる。蒸気タービンロータは蒸気タービンにおける最も大きく負荷される最も高価な構成要素である。これは高温蒸気タービンにおいてますます当てはまる。
蒸気タービンロータはこれが冷熱源を自由に使えないという特性を有する。従って、蒸気タービンロータに配置された動翼の冷却が困難である。
蒸気タービンロータにおいてピストン部位および(蒸気)入口室部位が特に熱的に大きく負荷される。そのピストン部位とはスラストつりあいピストンの部位を意味する。スラストつりあいピストンは蒸気タービンにおいて、作動媒体によってロータに一方向に向けて引き起こされる力に対抗して逆方向に反力が発生されるように作用する。
特許文献1に蒸気タービンロータの冷却方式が記載されている。そこではコンパクト部分タービンないし高圧・中圧部分タービンのロータに、冷却媒体が貫流できる連通路が設けられている。その場合、異なった2つの膨張区域間に制御可能なバイパスが形成されないという欠点がある。また、不安定運転の問題が起こり得る。
また、高温に適用される蒸気タービンを形成することが望まれる。
欧州特許第0991850号明細書
本発明の課題は、高い蒸気温度で運転できる蒸気タービンを提供することにある。
この課題は、車室とロータを有し、その車室が外部冷却媒体を導入するための供給路を有し、ロータが少なくとも部分的に中空に形成されている蒸気タービンであって、ロータの空洞に冷却媒体を導入するための供給路が設けられている蒸気タービンによって解決される。
従って本発明によって、外部冷却媒体を蒸気タービンのロータに導入することを提案し、その冷却媒体はロータの適切な箇所に導かれる。その適切な箇所として空洞が利用される。その空洞が熱的に大きく負荷される箇所に設けられていることが目的に適っている。
外部冷却媒体が蒸気タービンに導入され、スラストつりあいピストンのような熱的に大きく負荷される部分を直接冷却する従来公知の方法が、本発明に応じて、冷却媒体が車室の貫流後にロータの空洞に導かれることによって改善される。そのために冷却蒸気は、この冷却蒸気が空洞に導入できるようにするために、(蒸気)入口圧力より高い圧力を有していなければならない。
本発明に基づく冷却原理の利点は冷却媒体の温度が調整できることにある。通常、蒸気タービンは種々の負荷で利用される。即ち、蒸気タービンは例えば全負荷運転あるいは部分負荷運転で運転される。異なった負荷運転における冷却要件は異なり、従って、蒸気タービンの部分負荷運転時における冷却についての要求は全負荷運転時におけるより小さい。
従って、全負荷運転時においては、より多量の冷却媒体ないし冷却媒体のより低い温度が必要とされ、これは本発明に基づいて、冷却媒体の温度が容易に調節できるので簡単にできる。
有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
即ち、本発明は、冷却媒体がロータ冷却路を介して空洞から流出されるようにロータが形成されていることによって有利に実施される。冷却媒体はまず外部配管を介して車室を通してロータの空洞に導かれ、続いて適切な箇所でロータから再び主流(作動媒体)に合流する。その場合、冷却媒体はロータの空洞内を流れ、ロータを内側から冷却する。その下流における一箇所あるいは数箇所で冷却媒体はロータから流出する。
この処置によって、冷却媒体はいわば2つの目的を果たし、即ち、一方では、冷却媒体はロータを適切な箇所で冷却し、他方では、冷却媒体が主流(作動媒体)に再び導入され、静翼および動翼で仕事をすることによって、効率向上に貢献する。
有利な実施態様において、この供給路が蒸気入口室の部位に配置されている。蒸気入口室の部位が非常に大きく熱的に負荷され、大きな冷却作用を必要とするので、その適切な箇所は供給路となる。
他の有利な実施態様において、この供給路はスラストつりあいピストンのそばに配置されている。これによって、冷却媒体はそれがロータの空洞に供給される前にスラストつりあいピストンを冷却することができる。そのスラストつりあいピストンは特に全負荷運転中に熱的に大きく負荷される。
有利な実施態様において、ロータは、その中を冷却媒体が貫流するように形成された動翼を有している。これによって、ロータのほかに動翼も冷却されるという利点が得られる。その場合、好適には、ガスタービン技術で公知の動翼膜冷却が利用される。このようにして、翼脚あるいはロータの熱的に大きく負荷される他の部位も有効に冷却できる。
有利な実施態様において、ロータはタイロッドによって固く締付け固定された複数のタービン円板で構成されている。
また、タービン円板がトルク伝達用のかみ合い歯を有していることも有利である。これによって、ロータを異なった材料で形成することができる。例えば、熱的に大きな負荷を受けるタービン円板より低い熱的負荷を受けるタービン円板を、安価であるが熱的負荷に耐える材料で形成することが考えられる。
他の有利な実施態様において、かみ合い歯は隣り合うタービン円板間を冷却媒体が流れるように形成されている。そのために、かみ合い歯はその歯が貫流開口を有するように形成されている。例えばいわゆるハース歯(鋸状歯)に流路が設けられる。この流路を通して冷却媒体が流れる。この実施態様は、冷却媒体が半径方向路を通して貫流するために補助的な孔が設けられる必要がないという利点を有する。そのようなロータにおける追加的な孔は追加的切欠き効果によって応力集中を生じさせる。冷却媒体がかみ合い歯を通して導かれる場合、そのような応力集中は生じない。
以下図を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。なお同一符号が付された構成要素は同一機能を有する。
従来における蒸気タービンの縦断面図。 蒸気タービンのロータおよび車室の一部の縦断面図。 ロータの縦断面図。 かみ合い歯の断面図。 かみ合い歯の異なった実施例の断面図。
図1に従来における高圧部分タービン1が縦断面図で示されている。蒸気タービンの形態としての高圧部分タービン1は、外部車室2とその中に配置された内部車室3とを有している。内部車室3内にロータ5が回転軸線6を中心として回転可能に支持されている。ロータ5はその外周面における溝に配置された多数の動翼7を有している。内部車室3はその内周面における溝に配置された多数の静翼8を有している。静翼8および動翼7は、流れ方向13に流路9が形成されるように配置されている。高圧部分タービン1は(蒸気)入口室10を有し、運転中にこの入口室10を通して生蒸気(主蒸気)が高圧部分タービン1に流入する。その生蒸気は圧力300バール以上、温度620℃以上の蒸気パラメータを有する。流れ方向13に膨張する生蒸気は、静翼8と静翼7を互い違いに通過して流れ、膨張し、冷える。この場合、蒸気はその内部エネルギをロータ5の回転エネルギに転換して失う。ロータ5の回転は最終的に給電するための発電機(図示せず)を駆動する。高圧部分タービン1は勿論、発電機以外の他の設備構成要素、例えば圧縮機や船舶スクリューなども駆動できる。その蒸気は流路9を貫流し、高圧部分タービン1から排気室33を通って流出する。この場合、蒸気はロータ5に流れ方向13にスラスト11を与える。その結果、ロータ5は流れ方向13に変位させられる。しかしロータ5の実際の変位はつりあいピストン4によって防止される。これは、つりあいピストン前室12に蒸気が相応した圧力で流入されることにより行われ、その蒸気は、つりあいピストン前室12内に形成される圧力により、流れ方向13と逆向きの力を生じさせる。その力は理想的にはスラスト11と丁度同じ大きさにされる。つりあいピストン前室12に流入される蒸気は、通常、極めて高い蒸気パラメータを有する抽気生蒸気である。従って、入口室10およびロータ5のつりあいピストン4は熱的に大きく負荷される。
図2に蒸気タービン1の一部が示されている。この蒸気タービンは車室39を有している。図2では理解を容易にするために車室39の一部しか示されていない。その車室39は内部車室3でも外部車室2でもよい。
図2における蒸気タービンは本発明に基づいて、車室39が外部冷却媒体21を導入するための供給路20を有するように形成されている。ロータ5は少なくとも部分的に中空に形成されている。従ってこのロータ5は空洞22を有している。ロータ5は外部冷却媒体21を導入するための供給路23を有している。冷却媒体21は供給路20と供給路23を介して空洞22に導かれる。冷却媒体21の最初の冷却作用は既に車室39において供給路20の部位で得られる。目的に適って、供給路20は入口室10の近くに配置されている。入口室10はそこから生蒸気が流入するので特に熱的に大きく負荷される。冷却媒体21は供給路20から供給路23に導かれ、空洞22の中に流入する。その冷却媒体21は相応した圧力を有する必要がある。
供給路23は半径方向の孔によって形成される。例えば傾斜して延びる供給路のような異なった形態も考えられる。
理解を容易にするために、図2には静翼8も動翼7も示されていない。ロータ5は冷却媒体21がロータ冷却路24を介して空洞22から流出するように形成されている。
供給路23をつりあいピストン4のそばに配置することができる。これはつりあいピストン4が特に熱的に大きく負荷されるので有利な形態である。
ロータ冷却路24から流出する冷却媒体21は、入口室10からやって来る通常は蒸気である作動媒体と混合される。冷却媒体21は特に供給路23からは空洞22の内側面25でロータ5を冷却する。
蒸気タービン1はその中を冷却媒体21が貫流するように形成された動翼7を有するように形成できる。これによって動翼7は冷却される。その動翼7は数個の貫流開口を有する。動翼7はいわゆる膜冷却によって冷却される。なお膜冷却はガスタービン技術では公知である。
好適には、ロータ5は、動翼脚、つりあいピストン4あるいは熱的に大きく負荷される他の危険部位が冷却されるように形成されている。
図2に示されたロータ5は2個の部分ロータ27、28を溶接継手26で溶接して構成されている。これは、熱的に大きく負荷される第1部分ロータ27が、熱的に異なって負荷される第2ロータ部分28とは異なった材料で形成されるという利点を有する。ロータ5を単一材料で、即ち、溶接継手26無しに形成することも勿論できる。
図3に、3個のタービン円板29、30、31で構成されたロータが示されている。ロータ5は異なった形態において2個のタービン円板だけで構成することもできる。3個のタービン円板29、30、31はタイロッド32によって固く締付け固定されている。そのために、タイロッド32は端部に雄ねじ34を有している。そのタイロッド32の回転によって、タイロッド32が軸方向に動き、これによって、3個のタービン円板29、30、31が圧着結合される。3個のタービン円板29、30、31がそれらの接触箇所35、36にトルク伝達用のかみ合い歯を有していると目的に適っている。このかみ合い歯はハース(Hirth)歯(鋸状歯)、矩形歯あるいは台形歯として形成することができる。
図4にかみ合い歯37、38の第1実施例が示されている。そのかみ合い歯37、38は三角形歯37として形成されている。そのかみ合い歯37は供給路23が生ずるように形成されている。その供給路23を通して冷却媒体21が流れる。
図5にかみ合い歯37、38の異なった実施例が示されている。図5に示されたかみ合い歯38は台形歯として形成されている。その台形歯38は、冷却媒体21が流れる供給路23が生ずるように形成されている。
2 外部車室
3 内部車室
5 ロータ
7 動翼
8 静翼
20 供給路
21 冷却媒体
23 供給路
24 ロータ冷却路
29 タービン円板
30 タービン円板
31 タービン円板
37 かみ合い歯
38 かみ合い歯

Claims (15)

  1. 車室(2、3、39)とロータ(5)を有し、その車室(2、3、39)が外部冷却媒体(21)を導入するための供給路(20)を有し、ロータ(5)が少なくとも部分的に中空に形成されている蒸気タービンであって、
    ロータ(5)がこのロータ(5)の空洞(22)に外部冷却媒体(21)を導入するための供給路(23)を有していることを特徴とする蒸気タービン。
  2. ロータ(5)が、冷却媒体(21)がロータ冷却路(24)を介して空洞(22)から流出されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン。
  3. 供給路(23)が入口室(10)の部位に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気タービン。
  4. 供給路(23)がつりあいピストン(4)のそばに配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の蒸気タービン。
  5. 運転中にロータ(5)から流出する冷却媒体(21)が作動媒体と混合されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の蒸気タービン。
  6. ロータ(5)が、その中を冷却媒体(21)が貫流するように形成された動翼(7)を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の蒸気タービン。
  7. 動翼(7)が膜冷却によって冷却されることを特徴とする請求項6に記載の蒸気タービン。
  8. ロータ(5)が、動翼脚、スラストつりあいピストン(4)あるいはロータ(5)の熱的に大きく負荷される他の部位が冷却されるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の蒸気タービン。
  9. ロータ(5)が、冷却媒体(21)を半径方向に流出する流出開口を有していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の蒸気タービン。
  10. ロータ(5)が溶接構造の中空軸として形成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の蒸気タービン。
  11. ロータ(5)がタイロッド(32)によって固く締付け固定された3個のタービン円板(29、30、31)で構成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の蒸気タービン。
  12. タービン円板(29、30、31)がトルク伝達用のかみ合い歯(37、38)を有していることを特徴とする請求項11に記載の蒸気タービン。
  13. かみ合い歯(37、38)がハース歯、矩形歯あるいは台形歯として形成されていることを特徴とする請求項12に記載の蒸気タービン。
  14. かみ合い歯(37、38)が、隣り合うタービン円板間を冷却媒体(21)が流れるように形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の蒸気タービン。
  15. かみ合い歯(37、38)が貫流開口を有していることを特徴とする請求項14に記載の蒸気タービン。
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