JP2010504822A - 生分解性眼用インプラント及び眼の病気を治療する方法 - Google Patents

生分解性眼用インプラント及び眼の病気を治療する方法 Download PDF

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Abstract

生分解性眼用インプラントが記載される。眼用インプラントは、眼の内部に放出して眼の病気又は適応症を治療することができる生物活性剤を含む。インプラントは、長期間にわたり生物活性剤の投与するために使用できる。幾つかの態様では、インプラントは、天然生分解性多糖類のマトリクスから形成される。

Description

本発明は、生分解性物質及び生分解性薬剤を含む眼用インプラントに関する。生物活性薬剤は、眼の病気を治療するための治療効果を提供することができる。
関連出願に対する相互参照
本出願は、2006年9月29日に出願され、「OCULAR IMPLANTS INCLUDING NATURAL BIODEGRADABLE POLYSACCHARIDES AND METHODS FOR TREATING OCULAR CONDITIONS」という題名の米国仮特許出願第60/848563号の利益を主張する。本開示を本明細書に援用する。
近年、患者の体内に薬剤を部位特異的にデリバリーすることについて多くの関心が払われてきている。さまざまな薬剤が、多種多様な体の病気及び疾患の治療用に開発されてきたが、多くの場合、かかる薬剤は、有害な副作用のリスクを伴わずに効果的に全身投与することはできなかった。部位特異的薬剤デリバリーは、薬剤を局所的に、つまり治療を必要とする体の領域にデリバリーすることに着目する。生物活性薬剤の局所的な放出の1の利点は、全身投与された場合に治療を必要とする部位における治療濃度を達成するために時折必要とされる薬剤の毒性濃度を避けることである。
部位特異的薬剤デリバリーは、治療部位への薬物を放出する器具又は装置を注射及び/又は移植することにより達成することができる。薬物の注射は、複数回の投与を必要とすること、合併症(例えば感染症)のリスクが増加すること、及び患者の不快感による制限を有することがある。薬剤を治療部位へとデリバリーする器具又は装置の移植は、近年多くの関心を得てきた。
さらに、部位特異的薬剤デリバリーは、移植された装置又は器具からの1又は複数の薬物の制御放出を可能にする技術により高めることができた。制御放出は、薬物が装置又は器具から放出される期間、及び/又は薬物が放出される速度に関しうる。
生物活性薬剤を患者の体内に放出させる医療装置又は医療器具の使用について幾つかの課題に直面している。例えば、治療は、長期間(例えば数週間、数ヶ月、又はさらに数年)にわたる生物活性剤の放出を必要とすることがあり、そしてこのような長期間にわたる生物活性剤の所望される放出速度を維持することが困難でありうるということである。さらに、装置又は器具の表面は、体内への長期間の保持を可能にするために、好ましくは生体適合性であり、かつ非炎症性であり、そして耐久性でなければならない。
一般的にいえば、生物活性剤は、表面改変により医療装置又は医療器具の表面に付随していることもあるし、重合物質の中に埋め込まれ、そして当該重合物質から放出されることもある(マトリクスタイプ)し、又は担体により囲まれ、そして担体から放出されることもある(リザーバータイプ)。このような適用において重合物質は、生物学的に不活性な障壁として最適に機能すべきであり、そして体内におけるさらなる不所望な組織応答(強力な炎症応答)を誘導すべきでない。しかしながら、医療装置と関連して用いられる多くの重合体は、体内に配置された場合に理想的な性質を提供することはない。
合成生分解性重合体、例えばポリグリコリドタイプの分子、が移植可能な医療装置の構築に、そして生物活性薬剤のデリバリーに用いられてきている。これらの装置に関する従来技術はたくさんある一方で、体内で一般的に見出せない物質、又は体内でかなり低いレベルでしか見出せない物質へと分解する合成物質を使用することについて、いくらかの懸念が存在する。これらのタイプの生分解性物質は、in vivoにおけるその存在又は濃度のため体内での不所望な副作用を引き起こす物質へと分解する潜在性を有する。これらの不所望な副作用は、免疫応答、体内での分解生成物の毒性蓄積、又は体内の細胞若しくは組織におけるほかの有害な効果の抑制又は誘発を含む。
天然物質につきものである多様性のため、いくつかの生分解性物質が一貫した純度で得ることができないという別の問題がある。これは、少なくとも動物起源に由来する生分解性物質について関係がある。生分解性物質の製造における一貫性のなさは、問題のある移植不可能な装置をもたらすことがある。
動物起源からの調製物は、抗原性因子などの他の不所望な汚染を提供しうるという懸念が存在する。これらの抗原性因子は、移植された器具の付近に局在化免疫応答を促進し、そしてその機能を妨げる。これらの因子は、感染並びに局所炎症を引き起こしうる。
さらに、体の限られたアクセス領域内に生分解性物質をデリバリーすることは、更なる課題を示しうる。体の限られたアクセス領域は、肉体的アクセス可能性並びに治療的アクセス可能性の点で特徴付けることができる。例えば、眼の周囲の比較的小さいサイズでかつ敏感な組織は、物理的アクセス可能性が困難であることに寄与しうる。さらに、全身投与された薬物の眼の吸収は、血液眼障壁、つまり眼の色素上皮細胞と血管内皮細胞との間のタイトジャンクション、によって制限される。これらは、治療薬で眼を治療することを難しくする。高用量の生物活性薬剤の全身投与により、比較的少ない量が血液眼障壁を通過することができるが、全身毒性のリスクにさらすことになる。生物活性剤(例えば薬物)の静脈内投与は、高い濃度で眼の後部に薬剤をデリバリーする有効な手段である。しかしながら、これらの繰り返し注射は、感染、出血、及び網膜剥離などの合併症のリスクを負う。患者は、しばしばこの方法を持続することがかなり困難であることを理解する。
本発明の記載は代表的な実施態様として目の治療に関するので、眼の断面図を示す図1を参照して、眼の基本的な生体構造を以下に詳細に記載する。眼の外側からはじめて、眼の構造は、瞳孔40を取り囲む虹彩38を含む。虹彩38は、眼に入る光の量を調節するために、瞳孔の大きさを調節する環状の筋肉である。瞳孔40及び虹彩38の両方を透明な外表面である角膜30が取り囲む。角膜に続いて、強膜28(眼の白目)が眼球の支持壁の一部を形成する。扁平部(pars plana)は、虹彩38が強膜28と接する球状の点の約4mm後ろ側の眼の領域である。扁平部は、虹彩を取り囲み、そして一定の幅ではないが、一般的に虹彩の周囲を2〜3mmの幅で変化する。扁平部の最も広い幅は、側頭側に横たわっており、そして約3mmの幅である。
結膜32は、強膜28を覆う透明な粘性の膜である。眼の内側にレンズ20が存在し、レンズは虹彩38の後側に位置する透明体である。レンズ20は、毛様体21の前方に結合した索(ligament)によりつるされている。光線は、透明な角膜30及びレンズ20を通して、網膜24上に焦点を結ぶ。人網膜における画像焦点についての中心点は、中心窩である(図示せず)。視神経42は、レンズの反対側に位置する。
眼は3種の異なる層:強膜28と角膜により形成される外側層、2つの部分、前眼(虹彩38及び毛様体21)と後眼(脈絡膜26)に分けられる中間層、そして網膜24により形成される内部層、つまり目のセンサー部分が存在する。強膜28は、密集した繊維状の組織から構成され、繊維状の組織は、コラーゲンファイバーから構成される。強膜の厚さは、視神経の付近の後部では約1mmであり、そして前部では約0.3mmである。扁平部では、眼の組織は、強膜のみから構成され、この領域には脈絡膜又は網膜組織層が存在しない。そのため、血管のない扁平部は、眼の内側に物質を移植及び/又は注射するために選択される。
レンズ20は、眼を前部(レンズの前)と後部(レンズの後ろ)に分ける。より具体的に、眼は、2つの液体房:前部房34(角膜30と虹彩38の間)と硝子体房22(レンズと網膜との間)から構成される。前部房34は、房水で満たされており、一方硝子体房22は、さらに粘性の高い液体、硝子体液で満たされている。
硝子体房22は、眼の最も大きい房であり、およそ4.5mlの液体からなる。硝子体房は、かなり希釈された塩、タンパク質及びヒアルロン酸溶液(硝子体液は、およそ98%の水から構成される)中に、薄いコラーゲン線維のランダムネットワークから構成される透明ゲルで満たされている。
1の態様では、本発明は、体内の治療部位に生物活性剤をデリバリーするのに特に有用である生分解性インプラントを提供する。特に、生分解性インプラントは、眼の内部に配置され、そして生物活性剤を放出するように構成される。移植されると、生物活性剤はインプラントから放出され、そして治療部位に治療効果を提供する。特に、生分解性インプラントは、眼の一部に配置され、そして本明細書で眼用インプラントと呼ばれる。
本発明に関連する実証研究によると、ポリペプチド薬剤を有する小さな生分解性眼用インプラントが製造され、そして哺乳動物の眼内に侵襲性を最小とする様式で配置される。薬物動態分析により、これらのインプラントが、眼の病気を治療するのに適した量で硝子体液にポリペプチドを放出することができるということを明らかにした。特に、分析により、当該インプラントが眼の中にインプラントを設置した後に、長期間(つまり、インプラント後、約1ヶ月以上の期間)に渡りポリペプチドを放出したということが明らかにされた。
実証研究からの外移植分析により、生物活性薬剤の活性が、治療期間にわたるインプラントにおいて維持されたということが明らかにされた。この結果の点で、インプラントは、これらの長期間にわたり生物活性剤の維持及び放出のための適したマトリクスを提供するのみならず、治療期間にわたり生物活性剤の活性の喪失を妨げる。
実証研究により、ポリペプチドの生物活性を損なわせることなく、インプラントからのポリペプチドのデリバリー速度及びデリバリー期間を調節するために、インプラント製剤を変更することができるということが示された。このインプラントシステムの「可変性」は、長期間にわたる生物活性剤の投与を必要とする眼の病気の治療に利点を提供し、そして、さまざまな生物活性剤及び生物活性剤放出プロファイルを有するインプラントの調合に対応する。
1の態様では、本発明は、眼の内部に生物活性剤をデリバリーするための生分解性インプラントを提供し、ここで当該インプラントは、生分解性ポリマー及び生物活性剤を含むマトリクスを含み、そして移植後約30日後に、治療有効量の生物活性剤を放出することができる。別の態様では、眼用インプラントは、およそ3ヶ月以上経った後に、生物活性剤の少なくとも1部を眼にデリバリーするように構成される。
眼用インプラントは、眼内の標的位置にインプラントをデリバリー及び/又は固定するのに望ましいある寸法を有しうる。多くの場合、本発明の眼用インプラントは、侵襲性を最小にする様式で眼にデリバリーすることができる。いくつかの態様では、インプラントは、挿入方法が、挿入プロセスの間又は後に行われる追加の方法、例えば強膜の縫合、を必要としないような大きさにされる。その結果、インプラントは、縫合を伴わない方法を用いて目の中に配置できるように構成される。いくつかの態様では、25ゲージ又はそれより小さいサイズを有する針の中にはいちするために構成される。
いくつかの態様では、インプラントは、細長い形状を有する。細長い形状は、ロッド、シリンダー、又はフィラメントの形状でありうる。1の具体的な実施態様では、眼用インプラントは、約5mm以下の長さを含む。別の具体的な実施態様では、眼用インプラントは、約0.35mm以下の直径を含む。例えば、眼用インプラントは、シリンダー状又はロッド様の形状を有し、そしてインプラントの直径は、約0.35mm以下の直径、そして約5mm以下の長さを含む。これらの寸法は、眼の一部にインプラントを挿入することにつき利点を提供することができる。
別の具体的実施態様では、眼用インプラントは、約6mg以下の重量を有する。別の具体的な実施態様では、眼用インプラントは、約2.5mg以下の重量を有する。
眼用インプラントは、定型構造を有することがあり、そして成形、押し出し、切り出し、鋳造を含む任意の適切なプロセスにより形成することができる。
幾つかの態様では、生分解性インプラントは、天然多糖類及び生分解性薬剤のマトリクスを含む。これらのタイプの眼用インプラントを調製する際に、天然生分解性多糖類から突出しているカップリング基(つまり、1以上のカップリング基が、多糖類に化学的に結合されている)を介して、複数の天然生分解性多糖類が互いに架橋される。幾つかの態様では、天然生分解性多糖類上のカップリング基は、重合可能な基である。遊離ラジカル重合反応では、重合可能な基は、組成物中で一緒に天然生分解性多糖類を架橋することができ、それにより天然生分解性多糖類マトリクスを形成する。目の適応症を治療するために有用な生分解性薬剤は、マトリクス内に含められる。マトリクスは、眼の一部に配置するための大きさ及び形状を有するインプラントの形態でありうる。
天然生分解性多糖類の形成済み眼用インプラントは、眼の一部において酵素的に分解されうる。これらのタイプの眼用インプラントは、非酵素的な加水分解に対し安定であるという利点を提供する。これは、酵素媒介性の分解の条件下で生物活性剤がインプラントから放出されうるので、これは、生物活性剤のデリバリーにとって特に利点となる。本発明の眼用インプラントから放出される生物活性剤の動態は、合成生分解性物質、例えばポリ(ラクチド)から調製されるシステム内に保持される薬物の放出において利点を提供することができる。
天然生分解性多糖類は、天然起源、例えば植物又は動物から得られる多糖及び/又は多糖誘導体を含む。代表的な天然生分解性の多糖類は、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸、及びキトサンを含む。好ましい多糖類は、小さいか又は枝分かれを有しない低分子量ポリマー、例えばデンプン調製品から派生されるか、及び/又はデンプン調製品に見られる物質、例えばアミロース、マルトデキストリン、及びポリアルジトールなどを含む。
アミロース、マルトデキストリン、及びポリアルジトールポリマーの有用性のため、幾つかの態様では、500,000Da以下、250,000Da以下、100,000Da以下、又は50,000Da以下の平均分子量を有する天然生分解性多糖類が使用される。幾つかの態様では、天然生分解性多糖類は、500Da以下の平均分子量を有する。幾つかの態様では、天然生分解性多糖類は、約1000Da〜約10,000Daの範囲の平均分子量を有する。特定の分子量の天然生分解性多糖類は、商業的に得ることができるか、又は天然生分解性多糖類調製品、例えばデンプンの加水分解及び/又は酵素分解により調製することができる。用いる天然生分解性多糖類の特定サイズ範囲の決定は、眼用インプラントの所望の物理的特長などの因子、インプラントの所望の分解速度、及びインプラント中に存在する生物活性剤のタイプに左右されることがある。
本発明の方法及び組成物に従って使用される天然生分解性多糖類は、低コストで容易に利用できるか、及び/又は確立された技術を容易に用いて調製することができる。これは、眼用インプラントを製造する費用のかからない方法を可能にする。
マルトデキストリン又はアミロースなどの天然生分解性多糖類の使用は、眼用インプラントの形成のために使用される場合に多くの利点を提供する。天然生分解性多糖類を含有する眼用インプラントが分解すると、例えばグルコースなどの天然単糖類又は二糖類の放出をもたらす可能性があり、これらは硝子体液などの体液の一般的な成分である。さらに、体液において見られる一般的な成分に分解する天然生分解性多糖類の使用は、非天然化合物、又は体内でかなり低い濃度でしか見つからない化合物へと分解する合成生分解性多糖類の使用よりも許容されるとみなすことができる。
本発明の幾つかの態様では、この有利な特徴は、アミロース及びマルトデキストリンなどの非動物由来であり、そして個人に対する免疫原性又は毒性リスクが少ないか又はまったくない生成物に分解する天然生分解性多糖類の使用において反映される。本発明は、眼のさまざまな治療に使用することができる器具のための、改善された費用効率の高い、天然生分解性多糖組成物を提供する。
本発明の別の利点は、天然生分解性多糖に基づく眼用インプラントが、他の生分解性ポリマー、例えばポリ(ラクチド)などよりも加水分解に対して抵抗性であるということである。本発明の天然生分解性多糖類から調製されたマトリクスの分解は、主に酵素に媒介されるものであり、天然生分解性多糖含有組成物が周囲条件下で調製される場合に、天然生分解性多糖の加水分解が少ししか生じないか又は生じることはない。これは、天然生分解性多糖に基づく眼用インプラントが、眼の部分にインプラントを配置する前に安定である(例えば、分解に対して抵抗性である)ことを可能にする。例えば、天然の生分解性多糖の眼用インプラントは、当該インプラントが非酵素媒介性の加水分解のため、時期尚早に分解するというリスクを伴うことなく、非生物性の水媒体中で操作することができる。生分解性ポリマー、例えばポリ(ラクチド)又はポリ(ラクチド-コ-グリコリド)などの生分解性ポリマーに基づくシステムは、比較的中性のpH範囲(例えば、pH6.5〜7.5)で加水分解を受け、その結果この利点を提供することはない。本発明のポリマーシステムの性質は、眼用インプラントの貯蔵性を改善する。
幾つかの態様では、本発明は、(i)天然生物分解性多糖類のマトリクス及び(ii)当該マトリクス内に生物活性剤を含む、生物活性剤を放出する生物分解性の眼用インプラントを提供する。インプラントは、眼の一部に存在するように構成され、そして眼の病気又は適応症を治療するために有用な量の生物活性剤を含む。インプラントは、生物活性剤を含む天然生分解性多糖類のマトリクスを有するインプラントが調製され、ここで当該マトリクスは、眼の液体及び/又は組織の存在下でゆっくり分解する。
眼の条件又は適応症の治療のために適した生物活性剤を有する眼用インプラントを製造することができる。代表的な生物活性剤は、抗増殖剤、抗炎症剤、抗血管新生剤、ホルモン剤、抗生物質、神経栄養因子、又はそれらの組み合わせを含む。
幾つかの態様では、インプラントは、大きい親水性の生物活性剤、例えばポリペプチド、核酸、多糖、又はそれらの組み合わせを含む。ウイルス粒子及び細胞を眼用インプラント内に含めることができる。インプラントは、これらの巨大な生物活性剤をデリバリーするのに明らかな利点を提供する。比較すると、非分解性薬物デリバリーマトリクスの使用は、当該マトリクスから拡散するには大きすぎる場合には、これらの大きな生物活性剤のデリバリーを許容することはないであろう。しかしながら、天然生分解性多糖類のマトリクスを含む眼用インプラントは、当該マトリクスが分解する際に生物活性剤の放出を可能にする。本発明の幾つかの態様では、眼用インプラントは、約10000Da以上の分子量を有する生物活性剤を含む。
幾つかの態様では、眼用インプラントは、高分子量化合物であり、そして血管新生の阻害剤である生物活性剤を含む。例えば、阻害剤は、アンギオスタチン、トロンボスポジン、抗VEGF抗体、及び抗VEGFフラグメントから選ぶことができる。幾つかの態様では、眼用インプラントは、分子量の高い化合物及びホルモン薬である生物活性剤を含む。例えば、生物活性剤は、毛様体神経栄養因子又は色素内皮由来成長因子でありうる。
眼用インプラントは、低分子量化合物を含むこともできる。幾つかの態様では、これらの化合物は、特定の形態のインプラントのマトリクス内に保持される。例えば、生物活性剤は、天然生分解性多糖のマトリクス中に固定される微粒子の形態中に存在することができる。幾つかの態様では、生物活性剤は、抗増殖剤、例えば、13-シスーレチノイン酸、レチノイン酸誘導体、5-フルオロウラシル、タキソール、シロリムス(ラパマイシン)、ラパマイシンのアナログ、タクロリムス、ABT-578、エベロリムス、パクリタキセル、タキサン、又はビノレルビンである。幾つかの態様では、生物活性剤は、抗炎症剤、例えばヒドロコルチソン、酢酸ヒドロコルチソン、デキサメサゾン21リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、又はトリアムシノロンアセトニドである。幾つかの態様では、生物活性剤は、血管新生の阻害剤、例えば酢酸アネコルタブ又はレセプター型チロシンキナーゼアンタゴニストである。
生物活性剤は、疎水性部分で改変される天然生分解性多糖を用いて調製される眼用インプラント内に含めることができる。疎水性部分は、疎水性を有する生分解性マトリクスを提供するために使用することができる。疎水性部分は、多糖鎖から突出することができる。代表的な疎水性部分は、脂肪酸及びその誘導体並びにC2-C18アルキル鎖を含む。
本発明の幾つかの態様では、生物活性剤は、多糖類に結合することができ、そして多糖類から切断可能である。例えば、生物活性剤は、エステル結合を介して多糖類に共有結合されうる。眼の一部にインプラントされた場合に、結合は加水分解され、治療効果を提供する生物活性剤の放出をもたらす。治療上有用な生物活性剤は、酪酸、バルプロ酸、レチノイン酸などを含む。
本発明は、1の生物活性剤、又は2以上の生物活性剤を、眼の状態又は適応症の治療のために対象にデリバリーする方法を提供する。
1の態様では、本発明は、生物活性剤を眼の内部に投与する方法であって、当該方法が、(a)生分解性ポリマーと生物活性剤を含むマトリクスを含む生分解性インプラントを提供し、ここで当該インプラントが、眼の内部の位置に配置することができるような形にされ、(b)当該インプラントを眼の内部に移植し、そして(c)当該インプラントを眼の内部に維持し、ここで当該インプラントが、インプラントのステップから30日の期間の後に眼の内部に治療有効量の生物活性剤を放出するステップを含む、方法を提供する。
幾つかの態様では、インプラントステップは、無縫合手術を用いて目の内部にインプラントを移植することを含む。
別の態様では、本発明は、(a)天然生分解性多糖類及び(b)マトリクス内の生物活性剤を含む眼用インプラントを眼の一部に供給するステップを含む方法を提供する。当該方法は、適応症にかかる眼の状態を治療するために十分な期間のあいだ眼の一部にインプラントを維持するステップを含む。
眼の内部において、眼用インプラントは、マトリクスの分解及び生物活性剤の放出を促進するカルボハイドラーゼにさらされる。例えば、アミロース及び/又はマルトデキストリンポリマーを含む眼用インプラントはα-アミラーゼに晒されて、インプラントの分解を促進し、そして生物活性剤の放出を促進することができる。維持ステップの間に、眼用インプラントは一般的にその表面が侵食され、そして生物活性剤を放出する。生物活性剤の放出は、インプラントが完全に分解されるまでに生じる。
望ましいことに、眼用インプラントは、長期間にわたり生物活性剤を放出して、眼の病気又は適応症を治療する。例えば、眼用インプラントは、およそ三ヶ月以上の期間眼の中に維持されて、眼の治療を提供することができる。このことは、当該眼用インプラントの一部が眼の中に残り、そして3ヶ月の期間の後に生物活性剤を放出することができるということを意味している。眼用インプラントの寿命は、3ヶ月よりも長い場合もあり、3ヶ月〜18ヶ月の範囲、3ヶ月〜12ヶ月の範囲、又は3〜6ヶ月の範囲であってもよい。
眼の病気又は適応症は、網膜剥離、網膜剥離;血管閉塞;網膜色素変性症;増殖性硝子体網膜症;糖尿病性網膜症;炎症例えばぶどう膜炎、脈絡膜炎、及び網膜炎;変性疾患(例えば、加齢黄斑変性、AMDとも呼ばれる);血管病;及び多様な腫瘍に関連する病気、例えば新生物に付随する病気から選ばれる1以上のものでありうる。
さらなる実施態様では、生分解性医療器具は、手術後に使用することができ、例えば眼の外科手術から生じうる潜在的な合併症を軽減又は低下させるための治療として使用することができる。1のそのような実施態様では、医療器具は、白内障外科手術の後に患者に与えられて、術後の炎症を管理(例えば軽減又は回避)することを助ける。
いくつかの態様では、提供ステップは、インプラントを網膜組織と接触させて配置することを含む。例えば、当該方法は、インプラントを網膜下位置に提供することを含むことができる。別の態様では、提供ステップは、インプラントを硝子体内に配置することを含む。
いくつかの態様では、眼の病気又は適応症の治療方法は、眼用インプラントをインプラントデリバリー装置を介して目の中の標的位置に眼用インプラントをデリバリーすることを含む。いくつかの所望の慣例様式では、眼用インプラントは、インプラントデリバリー装置の遠位末端で取り外しできるように取り付けられている。提供ステップは、(i)デリバリー装置及び装置の一部と取り外しできるように取り付けられた眼用インプラントを含むシステムを提供し、(ii)眼用インプラントおよび装置の一部を眼の中に挿入し、そして(iii)装置を作動させて眼の中の標的位置に眼用インプラントを放出させるサブステップを含むことができる。
本発明のいくつかの態様では、インプラントは、約0.5mm以下の外径を有する遠位末端を有するインプラントデリバリー装置を用いて眼の一部にデリバリーされる。これは、これは体の切開サイズを最小化し、それにより縫合又は他の閉じる装置を使用することを減らすか又は避けることが望ましい場合に特に利点がありうる。
別の態様では、本発明は、眼の内部に生分解性インプラントを配置するためのキットであって、生分解性ポリマーと生物活性剤を含むマトリクスを含む生分解性インプラントであって、当該インプラントが移植から30日の経過後に眼の内部に治療有効量の生物活性剤を放出することができるインプラント、並びに当該インプラントを眼の標的部位に提供するための挿入装置を含むキットを提供する。
図1は、眼の断面図の図解である。 図2は、期間にわたりアミラーゼで処理されたマルトデキストリン-アクリレートフィラメントからの累積のBSA放出のグラフである。 図3は、期間にわたりアミラーゼで処理されたマルトデキストリン-アクリレートフィラメントからの計IgGFabフラグメント(活性型及び合計)の累積吸光度のグラフである。 図4は、期間にわたりアミラーゼで処理されたマルトデキストリン-アクリレートフィラメントからの活性型及び合計のIgG放出の累積吸光度と、フィラメントの分解割合のグラフである。 図5は、in vitro及びin vivo期間の経過後の生分解性インプラントの質量の減少を示すグラフである。 図6は、in vitro及びin vivo期間の経過後の生分解性インプラントの質量の減少を示すグラフである。 図7は、in vivo期間の経過後の移植された生分解性インプラントから放出される活性F(Ab)フラグメントの量を示すグラフである。 図8は、in vivo期間の経過後の硝子体内で生分解性インプラントから放出される活性F(Ab)フラグメントの量を示すグラフである。 図9は、in vitroにおいて期間の経過後に生分解性インプラントから放出されたF(Ab)フラグメント(合成及び活性型)の量を示すグラフである。 図10は、in vivo期間の経過後に、移植された生分解性インプラントから放出された活性型F(Ab)フラグメントの量を示すグラフである。 図11は、in vivo期間の経過後に残存している生分解性インプラントの質量のグラフである。
本明細書に記載される本発明の実施態様は、包括的であることを意図せず、また以下の詳細な記載に開示される実施形態に本発明を制限することを意図しない。むしろ、実施態様は、他の当業者が本発明の原理及び実施を認識しそして理解できるように選択されそして記載されている。
本明細書において言及されるすべての公報及び特許は、本明細書に援用されている。本明細書に開示される公報及び特許は、単に開示の目的で提供されるものである。ここに記載されたすべてのものが、本発明者が公報及び/又は特許のすべてを含めて、任意の公報及び/又は特許に先行する資格がないということを認めるものとして解釈すべきではない。
いくつかの態様では、ポリマー組成物は、眼に関する器具、例えば眼用インプラントを形成するために利用されうる。眼用インプラントは、眼の内部に配置するように構成することができる。これらの態様に従った適切な眼用インプラントは、眼の任意の所望領域に生物活性剤を提供することができる。いくつかの態様では、眼用インプラントは、眼の後部(レンズの後ろ側)に生物活性剤をデリバリーするために使用される。本明細書に記載される生物分解性多糖組成物は、眼用インプラントなどの眼科に関する器具の形成のために使用することができる。
いくつかの態様では、眼用インプラントは、眼の中の網膜下領域に配置するように構成することができる。いくつかの態様では、眼用インプラントは、眼に関する器具とあわせて使用される。眼に関する器具は、米国特許公開第2005/0143363号(「Method for Subretinal Administration of Therapeutics including Steroids; Method for Localizing Pharmacodynamic Action at the Choroid and the Retina; and Related Methods for Treatment and/or Prevention of Retinal Diseases」 de Juanら);米国特許出願第11/175,850号(「Methods and Devices for the Treatment of Ocular Conditions」 de Juanら);及び関連出願において記載されている。
いくつかの態様では、本発明は、生物分解性多糖から形成され、そして眼の状態を治療するのに有用な生物活性剤、例えば高分子量生分解性薬剤を含む生物分解性インプラントを提供する。
本明細書に言及される様に、「天然生物分解性多糖」は、酵素的に分解することができるが、一般的に非酵素的に加水分解に対し安定である非合成多糖をさす。天然生分解性多糖は、天然起源、例えば植物又は動物から得られる多糖及び多糖誘導体を含む。天然生分解性多糖類は、天然生分解性多糖から処理又は改変された任意の多糖を含む(例えば、マルトデキストリンは、デンプンから加工された天然の生分解性多糖である)。代表的な天然生分解性多糖類は、ヒアルロン酸、デンプン、デキストラン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリサルフェート、及びキトサンを含む。好ましい多糖類は、少ししか又はまったく分岐鎖を有さない低分子量ポリマー、例えばデンプン調製品、例えばアミロース及びマルトデキストリンにおいて見られるものであるか及び/又はそれらに由来するものである。その結果、天然生分解性多糖は、実質的に非分岐又は非分岐ポリ(グルコピラノース)ポリマーであることもある。
アミロース及びマルトデキストリンポリマーの特定の有用性のため、500000Da以下、25000Da以下、10000Da以下、又は50000Da以下の平均分子量を有する天然生物分解性多糖類が好ましい。500Da以上の平均分子量を有する天然生分解性多糖類も好ましい。天然生分解性多糖類の特に好ましいサイズ範囲は、約1000Da〜約10000Daの範囲である。特定の分子量を有する天然生分解性多糖類は、市販されているか、又は調製することができる。使用する天然生分解性多糖類の特定サイズ範囲の決定は、インプラントを形成するために使用される組成物の物理的特性(例えば、粘度)、インプラントの所望の分解速度、インプラントを形成するために使用される組成物中のほかの成分、例えば生物活性剤などの存在に左右される。
本明細書に使用される場合、「アミロース」又は「アミロースポリマー」は、α-1,4結合により連結されたグルコピラノースユニットの繰り返しを有する直線状のポリマーを指す。いくつかのアミロースポリマーは、かなり少ない量のα1,6結合を介した分岐を有する(結合の約0.5%未満)が、直線状(未分岐)アミロースポリマーが示す物理的性質と同じ物理的性質を示すことができる。一般的に植物起源に由来するアミロースポリマーは、約1×106Da以下の分子量を有する。比較として、アミロペクチンは、α-1,4結合によりつながれて直線状の部分を形成し、そして直線部分がα-1,6結合を介してともに結合される繰り返しグルコピラノースユニットを有する分岐状ポリマーである。分岐点の結合は、一般的に全結合の1%超であり、そして典型的には全結合の4%〜5%である。一般的に植物起源に由来するアミロペクチンは、1×107Da以上の分子量を有する。
アミロースは、さまざまな起源から得ることができるか、又はさまざまな起源のなかに存在している。一般的に、アミロースは、植物起源などの非動物起源から得られる。幾つかの態様では、アミロースの精製調製品は、カップリング基を有するアミロースポリマーの調製用の開始物質として使用される。別の態様では、開始物質として、アミロースは、他の多糖類を含む混合物中で使用することができる。
例えば、幾つかの態様では、高いアミロース含量を有するデンプン調製品、精製アミロース、合成調製されたアミロース、又は濃縮アミロース調製品は、カップリング基を有するアミロースの調製において使用することができる。デンプン起源では、アミロースは、一般的に分岐状の多糖であるアミロペクチンと一緒に存在している。本発明によると、アミロースを含む組成物であって、ここでアミロペクチンが組成物中に存在する場合であってもアミロースが、組成物中でアミロペクチンより多い量で存在する組成物を使用することが好ましい。例えば、幾つかの態様では、高アミロース含量を有するデンプン調製品、精製アミロース、合成調製されたアミロース、又は濃縮アミロース調製品は、カップリング基を有するアミロースポリマーの調製品において使用することができる。幾つかの実施態様では、組成物は、アミロースを含む多糖類の混合物であって、多糖類の混合物中のアミロース含量が、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、又は85重量%以上である混合物を含む。別の実施態様では、組成物は、アミロース及びアミロペクチンを含む多糖類の混合物であって、多糖類の混合物中のアミロペクチンが30%以下、又は15%以下である混合物を含む。
幾つかの場合、本発明においてもち状デンプン(waxy starch)などの非老化デンプンを使用することが望ましいこともある。デンプンに存在するアミロペクチンの量は、α1,6結合を分解して、アミロペクチンをアミロースヘと脱分岐することをもたらすアミロペクチナーゼでデンプンを処理することにより低減することができる。
幾つかの場合、合成反応を行って、突出カップリング基を有するアミロースポリマー(例えば、エチレン不飽和基を有するアミロース)を調製することができ、このステップは、アミロースの量を濃縮し、又はアミロースを精製するための合成の前、間、及び/又は後に行うことができる。
特定サイズのアミロース、又は特定サイズの組み合わせを使用することができる。幾つかの実施態様では、500,000Da以下、250,000Da以下、100,000Da以下、50,000Da以下、好ましくは500Da超、又は好ましくは約1000Da〜約10,000Daの範囲の分子量を有するアミロースが使用される。特定の分子量を有するアミロースは、商業的に得ることができるか、又は調製することができる。例えば、70、110、320、及び1000kDaの平均分子量を有する合成アミロースは、Nakano Vinegar Co., Ltd. (Aichi, Japan)から得ることができる。特定のサイズ範囲のアミロースを用いるという決定は、インプラントを形成するために使用される組成物の物理的特性(例えば、粘度)、インプラントの所望の崩壊速度、インプラントを形成するために使用される組成物中のほかの組成物の存在(例えば、生物活性剤など)などの因子に左右されうる。
一般的に、望まれる程度の加水分解が達成され、そして2回目の加熱処理によりαアミラーゼを不活性化するまで、85℃〜90℃の温度で熱安定性であるα-アミラーゼを用いてデンプンスラリーを加水分解することによって、マルトデキストリンが生成される。マルトデキストリンはろ過により精製することができ、そうしてスプレー乾燥して最終生成物を得ることができる。マルトデキストリンは、一般的に、所望されるデキストロース当量(DE)値により特徴付けることができ、当該値は、DE=MWデキストロース/数平均MWデンプン加水分解産物×100(DE= MW detrose/number-averaged MW starch hydrolysate × 100)として定義される加水分解度に関する。
デキストロース(グルコース)に完全に加水分解されたデンプン調製品は、100のDEを有する一方で、デンプンは約0のDEを有する。0より多いが、100未満のDEは、デンプン加水分解産物の平均分子量を示し、そしてマルトデキストリンは、20未満のDEを有すると考えられる。さまざまな分子量、例えば約500〜5000Daの範囲のマルトデキストリンが市販されている(例えば、CarboMer, San Diego, CA)。
幾つかの態様では、眼用インプラントは、天然生分解性非環減多糖を含むことができる。眼用インプラントは、ポリペプチドなどの生物活性剤と一緒に複数の天然生分解性非還元型多糖類を有するマトリクスを含むことができる。非還元型多糖は、不活性マトリクスを提供することができ、それにより感受性生物活性剤、例えばタンパク質及び酵素の安定性を改善することができる。非還元多糖は、トレハロース(α-D-グルコピラノシルαーD-グルコピラノシド)及びスクロース(β-D-フルクトフラノシル α-D-グルコピラノシド)などの非還元二糖のポリマーを指す。代表的な非還元型多糖は、GPC(Muscatine,Iowa)から利用できるポリアルジトールを含む。別の態様では、多糖は、グルコピラノシルポリマー、例えば繰り返し(1→3)O-β-D-グルコピラノシルユニットを含むポリマーなどである。生分解性非還元型多糖類は、長期間、例えばおよそ3ヶ月以上にわたり生物活性剤を放出する眼用インプラントを形成するのに有用でありうる。
多糖調製品の分子量の調節は、膜分離法を用いて行うことができる。マルトデキストリンなどの多糖類の膜分離は、さまざまな孔サイズを有する限外ろ過膜を用いて行うことができる。一例として、約1K〜約30Kの範囲の分子量カットオフ膜を有する1又は複数のカセットを用いることは、膜分離プロセスにおいて用いることができ、30KDa未満の範囲、約5KDa〜約30KDaの範囲、約10KDa〜約30KDaの範囲、又は約1KDa〜約10KDaの範囲の平均分子量を有する多糖調製品を提供する。
幾つかの態様では、眼用インプラントは、突出カップリング基以外の化学的改変を含む天然生分解性多糖類を含むことができる。この態様を例示するために、エステル化された水酸基を有する改変アミロースを調製することができ、そして本発明のインプラント及び方法に関して組成物中で調製することができ、そして使用することができる。水酸基を有する他の天然生分解性多糖類は、同じ様式で改変されてもよい。これらのタイプの改変は、所望の適用に特に適しているインプラント組成物に役立つ天然生分解性多糖の性質を変化させるか又は改善することができる。多くの化学的に改変されたアミロースポリマー、例えば化学的に改変されたデンプンは、少なくとも許容される食品添加物であるとみなされている。
本明細書に使用される場合に、「改変された天然生分解性多糖類」は、カップリング基又は開始基により提供される多糖とは異なる天然生分解性多糖に対する化学的改変を指す。カップリング基(及び/又は開始基)を有する改変型のアミロースポリマーは、本発明の眼用インプラントを形成するために使用することができる。
この態様を例示するために、改変型アミロースが記載される。アミロースの水酸基を化学的に改変することにより、アミロースの物理的性質を変化させることができる。アミロースの水酸基は、溶液中のアミロースポリマー間の過度の水素結合を可能にし、そしてデンプン溶液などのアミロース含有組成物を加熱し、そして次に冷却する際に観察される粘性溶液をもたらすことができる(老化)。アミロースの水酸基は、分子間の水素結合を低減させるか又は排除するために改変することができ、それにより溶液中のアミロースの物理的性質を変化させることができる。
その結果、幾つかの実施態様では、アミロースなどの天然生分解性多糖類は、水酸基に対する1以上の改変であって、カップリング基により提供される改変とは異なっている改変を含むことができる。改変は、無水酢酸(及びアジピン酸)、無水コハク酸、1-オクテニルコハク酸無水物、塩化ホスホリル、トリメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びナトリウム一リン酸を用いたエステル化;プロピレン酸化物を用いたエーテル化、塩酸及び硫酸を用いた酸改変;及び過酸化水素、過酢酸、過マンガン酸カリウム、及び次亜塩素酸ナトリウムを用いた漂白又は酸化を含む。
改変されたアミロースポリマーの例として、カルボキシメチル・アミロース、カルボキシエチル・アミロース、エチルアミロース、メチルアミロース、ヒドロキシエチルアミロース、ヒドロキシプロピルアミロース、アセチルアミロース、アミノアルキルアミロース、アリルアミロース、及び酸化型アミロースが挙げられる。他の改変型アミロースポリマーは、コハク酸アミロース及びオキテニルコハク酸アミロースを含む。
本発明の別の態様では、天然生分解性多糖は、疎水性性質を有する生分解性マトリクスを提供するために疎水性部分で改変されている。代表的な疎水性部分は、以前に列挙されたもの、脂肪酸及びその誘導体、及びC2-C18アルキル鎖を含む。アミロース又はマルトデキストリンなどの多糖は、疎水性部分、たとえば脂肪酸無水物を有する化合物で改変することができる。多糖の水酸基は、ラクトンの開環をもたらして、突出開鎖ヒドロキシエステルを提供することができる。
幾つかの態様では、天然生分解物から突出している疎水性部分は、生物活性剤の性質を有する。疎水性部分天然生分解性ポリマーから加水分解することができ、そしてマトリクスから放出されて、治療効果を提供することができる。治療として有用な疎水性部分の一例は酪酸であり、これは腫瘍細胞分化及びアポトーシスを誘導することが示されており、そして癌及び他の血液疾患を治療するために有用であると考えられている。他の代表的な疎水性部分は、バルプロ酸及びレチノイン酸を含む。レチノイン酸は、抗増殖効果を有すると知られており、そして増殖性硝子体網膜症(PVR)の治療に有用であると考えられている。治療効果を提供する疎水性部分は、天然の化合物(例えば酪酸、バルプロ酸、及びレチノイン酸)でありうる。その結果、カップリングされた治療薬を有するマトリクスが分解すると、天然分解産物を提供することができる。
さらなる態様では、天然生分解性多糖類は、コルチコステロイドで改変することができる。これらの態様では、トリアムシノロンなどの天然生分解性多糖は、コルチコステロイドで改変することができる。これらの態様では、コルチコステロイド、例えばトリメシノロンは、天然生分解性ポリマーに結合させることができる。トリアムシノロンの天然生分解性ポリマーにカップリングする1の方法は、Cayanis, E.ら、Generation of an Auto-anti-idiotypic Antibody that Binds to Glucocorticoid Receptor, The Journal of Biol. Chem., 261 (11): 5094-5103 (1983)に記載される方法を改良することにより行われる。トリアムシノロン ヘキサン酸は、トリアムシノロンをケトヘキサン酸と反応させ、得られたトリアムシノロン ヘキサン酸の酸塩化物を形成し、そして次に天然生分解性ポリマー、例えばマルトデキストリン又はポリアルジトールと反応させて、天然生分解性ポリマーに対するエステル結合を介して連結された突出トリアムシノロン基をもたらすことにより調製される。
場合により、天然生分解性ポリマーが、突出疎水性部分及び/又はコルチコステロイドを含む場合、リパーゼなどの酵素が、疎水性部分と多糖との間の結合(エステル結合)の分解を促進するために、インプラントと併せて使用することができる。
本発明によると、カップリング基を含む天然生分解性多糖は、眼用インプラントを形成するために使用される。他の多糖類は、組成物中で使用することができる。例えば、2以上の天然生分解性多糖類は、眼用インプラントを形成するために使用される。例として、アミロースと1以上の他の天然生分解性多糖(類)、及びマルトデキストリンと1以上の天然生分解性多糖(類)を含み、一の態様では、組成物は、アミロースとマルトデキストリンの混合物を、場合により他の天然生分解性多糖と一緒に含む。
1の好ましい実施態様では、アミロース又はマルトデキストリンは、主要な多糖である。幾つかの実施態様では、組成物は、アミロース又はマルトデキストリンを含む多糖類の混合物を含み、そして多糖類の混合物中のアミロース又はマルトデキストリン含量は、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上である。
精製又は濃縮アミロース調製品は、市販されているか、又はクロマトグラフィーなどの標準的な生化学的技術を用いて調製することができる。いくつかの態様では、高アミロースのコーンスターチを使用することができる。
本明細書に使用される場合、「カップリング基」は、(1)同一又は類似する化学基と反応して、一緒に天然生分解性多糖類と連結できる結合を形成する反応種を形成できる化学基;又は(2)一緒に天然生分解性多糖類を連結できる結合を形成するように、特異的に反応することができる2の異なる化学基の対を含むことができる。カップリング基は、任意の適切な生分解性多糖、例えば本明細書に例示されるアミロースとマルトデキストリンポリマーに取り付けることができる。
企図される反応対として、以下の表1反応基Aおよび対応する反応基Bが挙げられる。インプラント組成物の製造には、基Aから反応基を選び、そして天然生分解性多糖類の第一セットに連結することができ、そして対応する反応基Bを選択し、そして天然生分解性多糖類の第二セットに連結することができる。反応基は、それぞれ第一及び第二カップリング基を表すことができる。少なくとも1、そして好ましくは2、又は2より多くの反応基は個々の天然生分解性多糖ポリマーにカップリングされる。天然生分解性多糖類の第一及び第二セットを組み合わせることができ、そして例えば必要に応じて熱化学的に反応させて、天然生分解性多糖類のカップリング及び天然生分解性多糖マトリクスの形成を促進する。
Figure 2010504822
アミンはヒドラジド(R-NH-NH2)を含む。
例えば、適切なカップリング対は、求電子基を有する天然生分解性多糖であり、そして求核基を有する天然生分解性多糖であろう。適切な求電子対の例は、それぞれN-ヒドロキシスクシンイミド-アミン対である。別の適切な対は、オキシラン-アミン対であろう。
幾つかの態様では、本発明の天然生分解性多糖類は、1の天然生分解性多糖につき少なくとも1、そしてより一般的には1より多くのカップリング基を含み、複数の天然生分解性多糖類が、直線状及び/又は分岐状の様式で連結されることを可能にする。幾つかの好ましい実施態様では、天然生分解性多糖は、2以上の突出カップリング基を含む。
幾つかの好ましい態様では、天然生分解性多糖上のカップリング基は、重合可能基である。遊離ラジカル重合反応では、重合可能基は、組成物中で一緒に天然生分解性多糖類にカップリングすることができ、それにより天然生分解性多糖マトリクスを形成することができる。
好ましい重合可能な基は、エチレン不飽和基である。適切なエチレン不飽和基として、ビニル基、アクリルレート基、メタクリルレート基、エタクリレート基、2-フェニルアクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基、及びスチレン基があげられる。異なるエチレン不飽和基の組み合わせが、アミロース又はマルトデキストリンなどの天然生分解性多糖上に存在してもよい。
突出カップリング基を有する天然生分解性多糖を調製する際に、任意の適切な合成方法を使用する事ができる。適切な合成スキームは、一般的に例えば天然生分解性多糖、例えばアミロース又はマルトデキストリンなどの水酸基を反応させることに関する。天然生分解性多糖骨格から突出する所望数のカップリング基を生成するように改変することができる。例えば水酸基は、化合物を含有するカップリング基と反応させることができるか、又はカップリング基を含有する化合物と反応させるように変更することができる。アクリレート基の数及び/又は密度は、本発明を用いて、例えば単糖基の含量に対する反応部分の相対濃度を制御することにより、制御することができる。
幾つかの慣用様式では、生分解性多糖類は、1mgの天然生分解性多糖あたりの約0.7μmolのカップリング基の突出カップリング基の量を有する。好ましい態様では、天然生分解性多糖あたりのカップリング基の量は、約0.3μmol/mg、又は約0.4μmol/mg、約0.7μmol/mgの範囲である。例えば、アミロース又はマルトデキストリンは、アクリレート基含有化合物と反応させて、約0.3μmol/mg又は約0.4μmol/mg〜約0.7μmol/mgの範囲のロードレベルでアクリレート基を有するアミロース又はマルトデキストリンを生成する。
本明細書に使用される場合、「開始剤」は、カップリング基から反応種の形成を促進することができる1の化合物又は1より多くの化合物をさす。例えば、開始剤は、カップリング基を有する天然生分解性多糖の遊離ラジカル反応を促進することができる。1の実施態様では、開始剤は、照射により活性化される光反応基(光開始基)である。幾つかの実施態様では、開始基は、骨格とポリマーの骨格から突出している1以上の開始基を含む「開始基ポリマー」でありうる。
幾つかの態様では、開始基は、光感受性であり、かつ遊離ラジカル重合反応を介した多糖類のカップリングを促進するように活性化することができる化合物である。これらのタイプの開始基は、本明細書で「光開始基」と呼ばれる。幾つかの態様では、組成物中に存在する場合に、生物活性剤についてまったく効果を有さないか、又は最小の効果しか有しない光の波長により活性化される光開始剤を使用する事が好ましい。光開始剤は、多糖類から独立する組成物中に存在するか、又は多糖類から突出していることもある。
幾つかの実施態様では、光開始は、分子内又は分子間の水素引き抜き反応を促進する基を用いて生じる。この開始システムは、さらなるエネルギー転位アクセプター分子を用いずに、そして非特異的水素引抜を用いることなく使用する事ができるが、より一般的にはアミノアルキルラジカル及びケチルラジカルの両方の形成をもたらすエネルギー転位アクセプター、通常三級アミン、を用いて行われる。水素抽出反応性及び重合開始システムにおける有用性を示す分子の例は、ベンゾフェノン、チオキサントン、及びカンファーキノンのアナログを含む。
幾つかの好ましい実施態様では、光開始基は、1以上の荷電された基を含む。荷電された基の存在は、水システムで光開始基の可溶性を増加させることができ(アリールケトンなどの光反応基を含むことができる)、その結果改良された組成物を提供する。適切な荷電された基は、例えば有機酸の塩、例えばスルホネート、ホスホネート、カルボキシレートなど、そしてオニウム基、例えば四級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、プロトン化アミンなどを含む。この実施態様では、適切な光開始剤は、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、アンスロン、アンスロン様複素環、及びその誘導体;及び1以上の荷電された基、例えば本明細書に記載されるものから選ばれる1以上のアリールケトン光基を含むことができる。これらのタイプの水溶性光開始剤の例は、米国特許6,077,698に記載された。
幾つかの態様では、光開始剤は、長波長紫外線(UV)及び可視光波長により活性化される化合物である。例えば、開始剤は、光還元性色素又は光酸化色素を含む。光還元性色素は、四級アミンなどの化合物と合わせて使用することもできる。四級アミンは、色素のラジカルアニオンと四級アミンのラジカルカチオンを生成する誘導性トリプレットを妨害する。光感受性を示し、そして及び開始剤として有用な分子として、アクリジンオレンジ、カンファーキノン、エチルエオジン、エオジンY、エリスロシン、フルオレセイン、メチレングリーン、メチレンブルー、フォルキシム、リボフラビン、ローズベンガル、チオニン、及びキサンチン色素を含む。これらのタイプの光開始剤の使用は、光感受性生物活性剤がインプラント内に含まれる場合に特に利点がありうる。
末端反応性開始剤は、突出カップリング基を有する天然生分解性ポリマーの重合を促進するために使用する事ができる。熱反応性の開始物質の例として、4,4'アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、及びベンゾイル過酸化物のアナログが挙げられる。レドックス開始剤は、突出カップリング基を有する天然生分解性ポリマーの重合を促進するために使用する事ができる。一般的に、有機及び無機酸化剤と有機及び無機還元剤の組み合わせは、重合用のラジカルを生成するために使用される。レドックス開始剤についての記載は、「Principles of Polymerization」第二版、Odian G., John Wiley and sons,201-204頁、(1981)に見出すことができる。
眼用インプラントは、生分解性多糖の重合を駆動するために、酸化/還元剤の対、つまり「レドックス対」を含む開始剤を含む。この場合、生分解性多糖の重合は、1以上の還元剤を伴う1以上の酸化剤を組み合わせたときに行われる。他の化合物は、生分解性多糖類の重合を促進するために組成物中に含めることができる。
組成物中の生分解性多糖類の重合を促進して眼用インプラントを形成するために、1以上の生分解性多糖類の存在下において酸化剤を還元剤に加える。例えば、生分解性多糖類及び還元剤を含む組成物を、酸化剤を含む組成物に加えるか、又は生分解性多糖と酸化剤を含む組成物を、還元剤を含有する組成物に加える。眼用インプラントを調製する1の所望される方法は、生分解性多糖と酸化剤を含む組成物を、生分解性多糖と還元剤を含む組成物と混合する方法である。この方法を説明するために、「第一組成物」と「第二組成物」という用語が使用される。
酸化剤は、無機酸化剤又は酵素を含む有機酸化剤、から選ぶことができ、還元剤は、無機還元剤又は酵素を含む有機還元剤から選ぶことができる。代表的な酸化剤は、過酸化物、例えば過酸化水素、金属酸化物及びオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼを含む。代表的な還元剤は、Li、Na、Mg、Fe、Zn、Alなどの陽性元素の塩及び誘導体、並びにレダクターゼを含む。1の実施様式では、還元剤を酸化剤と混合する場合に、還元剤は約2.5mM以上の濃度で存在した。混合する前に、還元剤は、例えば5mM以上の濃度で組成物中に存在することができる。
他の試薬が組成物中に存在して、生分解性多糖の重合を促進することができる。他の重合促進化合物、例えば金属又はアンモニウムの過硫酸塩を組成物中に含めることができる。
場合により、本発明の組成物及び方法は、重合の効率を改善することができる重合促進剤を含むことができる。有用な促進剤の例として、N-ビニル化合物、特にN-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムが挙げられる。このような促進剤は、例えば組成物の体積に基づき重量で約0.01%〜約5%、そして好ましくは約0.05%〜約0.5%の濃度で使用する事ができる。
幾つかの態様では、カップリング基を含む天然生分解性多糖が、眼用インプラントを形成するために使用される。他の多糖類が眼用インプラント中に存在することもできる。例えば、眼用インプラントは、2の異なる天然生分解性多糖類、2超の異なる天然生分解性多糖類を含むことができる。例えば、幾つかの場合、天然生分解性多糖(例えば、アミロース又はマルトデキストリン)は、別の生分解性ポリマー(第二ポリマー)、又は1超の他の生分解性ポリマーと共に眼用インプラント中に存在することができる。追加ポリマー(単数又は複数)は、マトリクスの性質を変化させるために使用する事ができるか、又はマトリクスの体積を変化させるバルクポリマーとして役立つように使用する事ができる。例えば、他の生分解性多糖類は、アミロースポリマーと組み合わせて使用する事ができる。これらは、ヒアルロン酸、デキストラン、デンプン、アミロース(例えば、非誘導化)、アミロペクチン、セルソース、キサンタン、プルラン、キトサン、ペクチン、イヌリン、アルギネート、及びヘパリンを含む。
本発明は、眼用インプラントを製造する方法を提供する。眼用インプラントは、生物活性剤放出インプラント又はデポーとして機能することができる。幾つかの態様では、本発明の眼用インプラントは、所望の適用に許容される期間のうちに生分解する。
組成物中の天然生分解性多糖の濃度は、架橋された天然生分解性多糖の所望の密度を有する眼用インプラントを提供するために選ぶことができる。幾つかの実施態様では、組成物中の天然生分解性多糖の濃度は、組成物中に含められる生物活性剤のタイプ又は性質に左右されうる。
例えば、インプラントを形成する際に、構造的により硬いインプラントを提供するためには天然生分解性多糖の濃度はより高い場合もある。また、長期間の分解速度を有する眼用インプラントを調製することが望まれる場合、比較的高濃度の多糖を有する組成物が調製される。
幾つかの実施態様では、カップリング基を有する天然生分解性多糖は、眼用のインプラントを形成するために使用される組成物中に少なくとも約4.8%の固形分(50mg多糖+1ml溶液)の濃度で存在する。
より具体的な態様では、眼用インプラントは、約50%以上、約52.5%以上、約54.5%以上、約56.5%以上、約58.3%以上、又は約60%以上の固形分の多糖濃度を有する組成物を用いて調製される。
幾つかの態様では、眼用インプラントは、約50KDa以下の分子量を含む天然生分解性多糖から調製されるマトリクスを含む。幾つかの態様では、眼用インプラントは、約0.4mmol/mg(多糖)以上の量で多糖から突出しているカップリング基を有する天然生分解性多糖から調製されたマトリクスを含む。幾つかの態様では、インプラントは、約48.7%以上の固形分(950mg多糖+1ml溶液)の多糖濃度を有する組成物を用いて調製される。
眼用インプラントの性質を変化又は改善することができる他のポリマー又は非ポリマー化合物は、組成物中に含めることができる。これらの任意の化合物は、眼用インプラントの可塑性、柔軟性、湿潤性、又は粘着性、(又はその組み合わせ)を変化することができる。
代表的な任意成分として、1の可塑剤又は可塑剤の組み合わせの混合物が挙げられる。適切な可塑剤として、グリセロール、ジエチルグリコール、ソルビトール、ソルビトールエステル類、マルチトール、スクロース、フルクトース、転化糖、コーンシロップ、及びその混合物が挙げられる。可塑剤の量及びタイプは、既知の標準及び技術を用いて容易に決定できる。
本発明の眼用インプラントは、2以上の「パーツ」を有する器具を組み立てることにより製造することができる。ここで、当該パーツのうちの少なくとも1は、生分解性マトリクスを有する。眼用インプラントの全て又は一部が生分解しうる。望ましくは、多くの適用では、眼用インプラントは完全に分解される。
「生物活性剤」という用語は、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質、多糖、合成無機又は有機分子、ウイルス粒子、細胞、又はその組み合わせであって、in vivoで動物、例えば非限定的に鳥類及び哺乳動物、例えばヒトに投与された場合に生物学的効果を引き起こすものを指す。
このようなものに限定されることはないが、本発明の眼用インプラントは、高親水性分子、例えばポリペプチド(タンパク質及びペプチドを含む)、核酸(DNA及びRNAを含む)、多糖類(ヘパリンを含む)、並びにウイルス粒子などの粒子、及び細胞などをデリバリーするために特に有用である。1の態様では、生物活性剤は、約10000以上の分子量を有する。
本発明の生分解性インプラント(天然生分解性マトリクス及び/又は生分解性微粒子の両方)に取り込まれうる生物活性剤のクラスとして、非限定的に、ACE阻害剤、アクチン阻害剤、鎮痛薬、麻酔薬、降圧薬、抗重合酵素、抗分泌性薬剤、抗-エイズ物質、抗生物質、抗癌性物質、抗コリン薬、抗凝固薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、制吐薬、抗真菌薬、抗緑内障溶質、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗炎症薬(例えば、NSAID)、抗代謝産物、抗有糸分裂薬、抗酸化薬、抗-寄生虫及び/又は抗-パーキンソン物質、抗増殖薬(血管新生抑制剤を含む)、抗原生動物溶質、抗精神病物質、解熱薬、消毒薬、鎮痙薬、抗ウイルス薬、カルシウムチャネル遮断薬、細胞応答モジュレーター、キレート剤、化学療法剤、ドパミン受容体アゴニスト、細胞外マトリクス成分、血栓溶解薬、フリーラジカルスカベンジャー、成長ホルモンアンタゴニスト、睡眠薬、免疫抑制薬、免疫毒素、表面糖タンパク質受容体の阻害剤、微小管重合阻害薬、縮瞳薬、筋収縮薬、筋弛緩剤、神経毒、神経伝達物質、オピオイド、光線力学的治療薬剤、プロスタグランジン、再構築阻害剤、スタチン類、ステロイド、血小板溶解薬、精神安定薬、血管拡張薬、及び血管攣縮阻害剤が挙げられる。
抗生物質は当該技術分野により認識されており、そして微生物の増殖を抑制するか又は微生物を殺傷する物質である。抗生物質の例として、ペニシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、バンコマイシン、バシトラシン、カナマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、セファロスポリン系、ゲルダナマイシン、及びそのアナログが挙げられる。セファロスポリン系の例としてセファロチン、セファピリン、セファゾリン、セファレキシン、セフラジン、セファドロキシル、セファマンドール、セフォキシチン、セファクロル、セフロキシム、セフォニシド、セフォラニド、セフォタキシム、モキサラクタム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、及びセフォペラゾンが挙げられる。
消毒薬は、一般的に非特異的な様式で、例えば微生物の活性を抑制するか又は微生物を破壊することにより、微生物の増殖若しくは作用を予防又は停止する物質として認識されている。消毒薬の例として、スルファジアジン銀、クロルヘキシジン、グルタルアルデヒド、過酢酸、次亜塩素酸ナトリウム、フェノール、フェノール性化合物、ヨードフォール化合物、四級アンモニウム化合物、及び塩素化合物が挙げられる。
抗ウイルス薬は、ウイルスを破壊又はウイルスの複製を抑制することができる物質である。抗ウイルス薬の例として、α-メチル-P-アダマンタンメチルアミン、ヒドロキシ-エトキシメチルグアニン、アダマンタンアミン、5-ヨード-2'デオキシウリジン、トリフルオロチミジン、インターフェロン、及びアデニンアラビノシドが挙げられる。
酵素阻害薬は、酵素反応を抑制する物質である。酵素阻害剤の例として、塩化エドロホニウム、N-メチルフィソスチグミン、臭化ネオスチグミン、硫酸フィゾスチグミン、タクリンHCl、タクリン、1-ヒドロキシマレエート、ヨードツベルシジン、p-ブロモテトラミソール、10-(α-ジエチルアミノプロピオニル)-フェノチアジン・塩酸、カルミダゾリウム・クロリド、ヘミコリニウム-3、3,5-ジニトロカテコール、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤I、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤II、3-フェニルプロパルギルアミン、N-モノメチル-L-アルギニン・アセテート、カルビドパ、3-ヒドロキシベンジルヒドラジンHCl、ヒドララジンHCl、クロルジリンHCl、デプレニルHCl、L(-),デプレニルHCl、D(+),ヒドロキシルアミンHCl、リン酸イプロニアジド、6-MeO-テトラヒドロ-9H-ピリド-インドール、ニアラミド、パージリンHCl、キナクリンHCl、セミカルバジドHCl、トラニルシプロミンHCl、N,N-ジエチルアミノエチル-2,2-ジフェニルバレレート・ヒドロクロリド、3-イソブチル-1-メチルキサンチン、パパベリンHCl、インドメタシン、2-シクロオクチル-2-ヒドロキシエチルアミン・ヒドロクロリド、2,3-ジクロロ-α-メチルベンジルアミン(DCMB)、8,9-ジクロロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-2-ベンザゼピン・ヒドロクロリド、p-アミノグルテチミド、p-アミノグルテチミド酒石酸,R(+)、p-アミノグルテチミド酒石酸,S(-)、3-ヨードチロシン、α-メチルチロシン、L(-)α-メチルチロシン、DL(-)、セタゾラミド、ジクロフェンアミド、6-ヒドロキシ-2-ベンゾチアゾールスルホンアミド、及びアロプリノールが挙げられる。
解熱薬は、発熱を回復又は軽減させることができる物質である。抗炎症薬は、炎症に対抗するか又は抑制することができる物質である。かかる薬剤の例として、アスピリン(サリチル酸)、インドメタシン、ナトリウムインドメタシン三水和物、サリチルアミド、ナプロキセン、コルヒチン、フェノプロフェン、スリンダク、ジフルニサル、ジクロフェナク、インドプロフェン及びナトリウムサリチルアミドが挙げられる。局所麻酔薬は、局在化領域において麻酔効果を有する物質である。かかる麻酔薬の例として、プロカイン、リドカイン、テトラカイン及びジブカインが挙げられる。
細胞応答調節剤は、血小板由来増殖因子(pDGF)などの走化性因子である。他の走化性因子として、好中球活性化タンパク質、単球走化性タンパク質、マクロファージ炎症性タンパク質、SIS(誘導性分泌小;small incducible secreted)タンパク質、血小板因子、血小板塩基性タンパク質、メラノーマ増殖刺激活性、上皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子(α)、線維芽細胞増殖因子、血小板由来血管内皮細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、神経成長因子、及び骨成長/軟骨-誘導因子(α及びβ)が挙げられる。他の細胞応答調節剤は、インターロイキン、インターロイキン阻害剤又はインターロイキン受容体であり、例えばインターロイキン1〜インターロイキン10を含み;インターフェロン類、例えばインターフェロンα、β及びγ;造血性因子、例えばエリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子及び顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子;腫瘍壊死因子、例えば腫瘍壊死因子α及びβ;トランスフォーミング増殖因子(β)、例えばトランスフォーミング増殖因子β-1、β-2、β-3、インヒビン、アクチビン、及びこれらのタンパク質のいずれかをコードするデオキシリボ核酸が挙げられる。
スタチン類の例として、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロウスバスタチン(rousvastatin)、及びスーパースタチン(superstatin)が挙げられる。
造影剤は、in vivoで所望の部位、例えば腫瘍を造影できる薬剤であり、インプラントに含めることもできる。造影剤の例としては、in vivoで検出可能であるラベルを有する物質、例えば蛍光標識に結合された抗体を含む。抗体という語句は、全抗体又はそのフラグメントを含む。
代表的なリガンド又は受容体としては抗体、抗原、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、ヘパリン、IV型コラーゲン、プロテインA、及びタンパク質Gを含む。
代表的な抗生物質としては、抗菌ペプチド類が挙げられる。
生物活性剤は、抗再狭窄効果、例えば抗増殖性、抗血小板、及び/又は抗血栓性効果を提供することができる。幾つかの実施態様では、生物活性剤は、抗炎症薬、免疫抑制薬、細胞接着因子、受容体、リガンド、増殖因子、抗生物質、酵素、核酸などを含むことができる。抗増殖効果を有する化合物、例えばアクチノマイシンD、アンギオペプチン、c-
mycアンチセンス、パクリタキセル、タキサンなどを含む。
抗血栓性の効果を有する生物活性剤の代表的な例として、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヒルジン、リジン、プロスタグランジン類、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト(vapiprost)、プロスタサイクリンおよびプロスタサイクリンアナログ、D-ph-pr-arg-クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体抗体、コプロテインIIb/IIIa血小板膜受容体抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン阻害剤(例えばBiogenから商業的に入手可能)、コンドロイチン硫酸、修飾デキストラン、アルブミン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(組織プラスミノーゲン活性化因子)、ウロキナーゼ、一酸化窒素阻害剤などが挙げられる。
生物活性剤は、GPIIb-IIIa血小板受容体複合体の阻害剤であってもよい。GPIIb/IIIa阻害剤は、アブシキシマブ(ReoPro(登録商標))として知られているモノクローナル抗体FabフラグメントC7E3、及びエプチフィバチド(Integrilin(登録商標))又はチロフィバム(Agrastat(登録商標))などの合成ペプチド又はペプチドミメティクスを含みうる。
生物活性剤は、免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、CD-34抗体、エベロリムス、ミコフェノール酸、シロリムス、タクロリムスなどであってもよい。
他の代表的な治療抗体として、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、ヒト化抗-HER2モノクローナル抗体(moAb);アレムツズマブ(Campath(登録商標))、ヒト化抗CD52moAb;ゲムツズマブ(Mylotarg(登録商標))、ヒト化抗-CD33moAb;リツキシマブ((Rituxan(登録商標))、キメラ抗-CD20moAb;イブリツモマブ(Zevalin(登録商標))、β放出放射性アイソトープに結合されたマウスmoAb;トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、マウス抗-CD20moAb;エデコロマブ(Panorex(登録商標))、マウス抗冗費細胞接着分子moAb;セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、キメラ抗EGFRmoAb;ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ヒト化抗VEGFmoAb、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、抗血管内非増殖因子mAbフラグメント、サツモマブ(satumomab)(OncoScint(登録商標))、抗パンカルシノーマ(pancarcinoma)抗原(Tag-72)mAb、パーツズマブ(Omnitarg(登録商標))抗-HER2 mAb、及びダクリズマブ(Zenapax(登録商標))、抗IL-2受容体mAbが挙げられる。
そのうえ、生物活性薬は、表面接着分子又は細胞間接着分子でありうる。代表的な細胞接着分子又は接着タンパク質(例えば、細胞外マトリクス分子)は、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、ビトロネクチン、テネイシン、フィブリノーゲン、トロンボスポンジン、オステオポンチン、フォン ウイルブラント因子、骨シアロタンパク質(及びその活性ドメイン)、又は親水性ポリマー、例えばヒアルロン酸、キトサン若しくはメチルセルロース、及び他のタンパク質、炭水化物、及び脂肪酸を含む。代表的な細胞間接着分子は、N-カドヘリン及びP-カドヘリン及びその活性ドメインを含む。
代表的な増殖因子は、線維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、血管内皮増殖因子、骨形態形成タンパク質及び他の骨成長因子、及び神経増殖因子が挙げられる。
生物活性剤として、モノ-2-(カルボキシメチル)ヘキサデカンアミドポリ(エチレングリコール)200モノ-4-ベンゾイルベンジルエーテル、モノ-3-カルボキシヘプタデカンアミドポリ(エチレングリコール)200モノ-4-ベンゾイルベンジルエーテル、モノ-2-(カルボキシメチル)ヘキサデカンアミドテトラ(エチレングリコール)モノ-4-ベンゾイルベンジルエーテル、モノ-3-カルボキシヘプタデカンアミドテトラ(エチレングリコール)モノ-4-ベンゾイルベンジルエーテル、N-[2-(4-ベンゾイルベンジルオキシ)エチル]-2-(カルボキシメチル)ヘキサデカンアミド、N-[2-(4-ベンゾイルベンジルオキシ)エチル]-3-カルボキシヘプタデカンアミド、N-[12-(ベンゾイルベンジルオキシ)ドデシル]-2-(カルボキシメチル)ヘキサデカンアミド、N-[12-(ベンゾイルベンジルオキシ)ドデシル]-3-カルボキシ-ヘプタデカンアミド、N-[3-(4-ベンゾイルベンズアミド)プロピル]-2-(カルボキシメチル)ヘキサデカンアミド、N-[3-(4-ベンゾイルベンズアミド)プロピル]-3-カルボキシヘプタデカンアミド、N-(3-ベンゾイルフェニル)-2-(カルボキシメチル)ヘキサデカンアミド、N-(3-ベンゾイルフェニル)-3-カルボキシヘプタデカンアミド、N-(4-ベンゾイルフェニル)-2-(カルボキシメチル)ヘキサデカンアミド、ポリ(エチレングリコール)200モノ-15-カルボキシペンタデシル モノ-4-ベンゾイルベンジルエーテル、及びモノ-15-カルボキシペンタデカンアミドポリ(エチレングリコール)200モノ-4-ベンゾイルベンジルエーテルが挙げられる。
意図される生物活性剤(単数及び/又は複数)の更なる例として、ラパマイシンのアナログ(ラパログ類)、Abbottから販売されるABT-578、デキサメサゾン、ベタメタゾン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ポシド(poside)、テニポシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、メクロレタミン、シクロホスファミド及びそのアナログ、メルファラン、クロラムブシル、エチレンイミン類及びメチルメラミン類、アルキルスルホネート類-ブスルファン、ニトロソ尿素、カルムスチン(BCNU)及びアナログ、ストレプトゾシン、トラゼン類-ダカルバジニン、メトトレキサート、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、2-クロロデオキシアデノシン、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、エストロゲンン、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ、ブレベルジン(breveldin)、コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6U-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、アセトアミノフェン、エトダラク(etodalac)、トルメチン、ケトロラック、イブプロフェン及びアナログ誘導体、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、ナブメトン、オウラノフィン(auranofin)、オーロチオグルコース、金ナトリウムチオマレエート、アザチオプリン、ミコフェノレート・モフェチル;アンジオテンシン受容体遮断薬;一酸化窒素ドナー;及びmTOR阻害剤が挙げられる。
ウイルス粒子及びウイルスは、遺伝子治療に使用されるものなどの治療上有用でありうるウイルスを含み、そして免疫応答及び免疫の発生を促進することができる弱毒化ウイルス粒子及びウイルスも含む。有用なウイルス粒子は、天然及び合成のタイプの両方を含む。ウイルス粒子は、非限定的にアデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、及びレトロウイルスを含む。
遺伝子機能を変化させるために使用することができる他の生物活性剤としては、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、及び融合可能なDNAフラグメント、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスDNA及びRNA、改変DNA及びRNA、iRNA、リボザイム、siRNA、及びshRNAが挙げられる。
他の生物活性剤としては、血小板、幹細胞、Tリンパ球、Bリンパ球、好酸球、脂肪細胞、アストロサイト、好塩基球、肝細胞、ニューロン、心筋細胞、軟骨細胞、上皮細胞、樹状突起、内分泌細胞、血管内皮細胞、好酸球、赤血球、線維芽細胞、濾胞細胞、神経節細胞、肝細胞、血管内皮細胞、ライディッヒ細胞、実質細胞、リンパ球、リゾチーム-分泌細胞、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メラニン形成細胞、単球、筋様細胞、頚部神経細胞、好中球、オリゴデンドロサイト、卵母細胞、骨芽細胞、骨軟骨クラスト(osteochondroclast)、破骨細胞、骨細胞、形質細胞、精母細胞、網状赤血球、シュワン細胞、セルトリ細胞、骨格筋細胞、及び平滑筋細胞を含む。生物活性薬剤には、遺伝的に改変された、組み換え、ハイブリッド、変異細胞、及び他の変化を加えた細胞を含めることができる。
無機塩、BSA(ウシ血清アルブミン)、及び不活性有機化合物などの添加剤は、当業者に知られるように生物活性剤の放出プロファイルを変更するために使用することができる。
混合物中に溶解又は懸濁された生物活性剤(単数又は複数)の濃度は、最終組成の重量に基づいて、重量で約0.01〜90%の範囲でありうる。
特定の生物活性剤、又は生物活性剤の組み合わせは、以下の因子:眼用インプラントの適用領域、治療される医学的状態、見積もりの治療期間、インプラント部位の特徴、使用される生物活性剤の数及びタイプなどのうちの1以上に依存して選択することができる。
生物活性剤の全体目録は、The Merck Index,第13版、Merck & Co. (2001)においてみることができる。生物活性剤は、Sigma Aldrich Fine Chemicals, Milwaukee, WIから市販されている。
生物活性剤は、微粒子形態で眼用インプラントのマトリクス中に存在することができる。生物活性剤の粒子は、生物活性剤の粉末組成物に由来することもある。幾つかの場合、生物活性剤の粉末は、沈殿及び/又は結晶化、及びスプレー乾燥を含むプロセスから形成されることもある。微粒子などの小さい粒子は、微粉化、製粉、粉砕、挫滅及びせん断により形成されることもある。
本発明の幾つかの態様では、天然生分解性多糖に基づく眼用インプラントから生物活性剤をデリバリーするために使用される。生物活性剤の微粒子は、生分解性多糖により形成されるマトリクス中に固定することができる任意の三次元構造を含むことができる。
「微粒子」という語句は、3次元構造がかなり小さいが、特定のサイズ範囲に限られておらず、又は特定の形を有する構造に限られていないということを反映することを意図する。本発明に従うと、微粒子は一般的に、5nm〜100μmの直径範囲のサイズを有する。幾つかの実施態様では、微粒子は、直径で100nm〜20μmの範囲、そしてより好ましくは400nm〜20μmの範囲のサイズを有する。
幾つかの態様では、眼用インプラントは、生分解性多糖類のマトリクス中に存在する2又は2より多くの異なる生物活性剤を有することができる。生物活性剤は、例えば、疎水性薬剤と親水性薬剤は、極性又は非極性溶媒のいずれかと不適合となるので、特定の環境において相互に不適合性であることもある。異なる生物活性剤は、プロトン性/非プロトン性溶媒、又はイオン性/非イオン性溶媒に基づき不適合性を示すこともある。例えば、本発明は、疎水性薬剤を含む1セットの微粒子を製造し、そして親水性薬剤を含む他のセットの微粒子を製造し、マトリクスを形成するために使用される重合性物質に2つの異なるセットの微粒子を混合し;そして次に眼用インプラントを形成することを可能にする。疎水性及び親水性薬物の両方が、同時に眼用インプラントから放出されることもあるし、又は天然生分解性多糖マトリクスが改変されて、1の生物活性剤が、もう一方の生物活性剤とは異なる速度又は時間で放出されることもある。
本発明のインプラントは、一般的に眼の機能との干渉、及び眼に対する不快感及び損傷を最小限にするように設計される。幾つかの実施態様では、インプラントは、ロッド様の形状であるか、又はフィラメント様の形状である。幾つかの実施態様では、インプラントは、勾配の付いた、先細りの、又はとがった遠位末端を有してもよい。或いは、インプラントは、平滑末端又は丸まった末端を有してもよい。
幾つかの実施態様では、インプラントは、約1000μm以下の全直径、他の実施態様では、約900μm以下、他の実施態様では約800μm以下、他の実施態様では約700μm以下、他の実施態様では約600μm以下、他の実施態様では約500μm以下、他の実施態様では約400μm以下、他の実施態様では約300μm以下、他の実施態様では約200μm以下、他の実施態様では約100μm以下、他の実施態様では約50μm以下の全直径を有する。幾つかの実施態様では、インプラントの全直径は、約200μm〜約500μmの範囲である。
幾つかの実施態様では、本発明のインプラントは、5mm以下の長さ、他の実施態様では約4.5mm以下、他の実施態様では約4mm以下、他の実施態様では約3.5mm以下、他の実施態様では約3.0mm以下、他の実施態様では約2.9mm以下、他の実施態様では約2.8mm以下、他の実施態様では約2.7mm以下、他の実施態様では約2.6mm以下、他の実施態様では約2.5mm以下、他の実施態様では約2.4mm以下、他の実施態様では約2.3mm以下、他の実施態様では約2.2mm以下、他の実施態様では約2.1mm以下、他の実施態様では約2mm以下である長さを有する。幾つかの実施態様では、インプラントの長さは約2.25mm〜約2.75mmの範囲である。
本発明の幾つかの態様では、天然生分解性ポリマーは、眼用インプラントの本体部材を形成するように使用される。ここで当該本体部材は、約6mg以下の乾燥重量を有する。幾つかの態様では、本体部材は2.5mg以下の乾燥重量を有する。幾つかの態様では、本体部材は約2.3mg以下の乾燥重量を有する。幾つかの態様では、本体部材は約2.0mg以下の乾燥重量を有する。幾つかの態様では、本体部材は約1.8mg以下の乾燥重量を有する。幾つかの態様では、本体部材は約1.5mg以下の乾燥重量を有する。
眼様インプラントは、規定の構造を有することもあるし、そして鋳造、押し出し、切り出し、成型などを含む任意の適切な方法により形成することができる。
鋳造プロセスは、本発明の眼用インプラントを形成するプロセスを例示する。アクリル化マルトデキストリン、高分子量生物活性剤(例えば、ポリペプチド)、及び光活性可能な重合開始剤を含む組成物が調製される。組成物は、UV光が型材を透過することを可能にするプラスチック製の型に配置され、そして次に密封される。型は、眼用インプラントの所望されるサイズ及び形状の内径を有するプラスチック製チューブでありうる。次に型をUV光で処理して、重合及びマトリクスの形成を開始させ、それによりインプラントを形成させる。次に型を開封し、そしてインプラントを取り出す。
本発明の幾つかの態様では、天然生分解性多糖組成物は、光学的に透明なマトリクスを有する眼用インプラントを形成するために使用することができる。例えば、マルトデキストリン及びポリアルジトールは、レドックス又は光開始のいずれかを用いて光学的に透明なマトリクスを形成することができる。光学的に透明である形成マトリクスの能力に影響できる因子は、マトリクスを形成するために用いられるマクロマーの水溶性、及び/又は開始試薬の透明度を含む。本発明にしたがって形成された光学的に透明なマトリクスが、大きな利益を提供することができるということが容易に認められよう。なぜなら、このようなマトリクスは、(例えば、インプラント物質からの干渉のため盲点を作ることにより)患者の視覚に有害な影響を与えないインプラントを形成できるからである。次に、これは、眼の内部に位置する眼用インプラントの大きさ及び/又は位置の点でより柔軟性を可能にすることができる。
インプラントは、対象内に移植する前に加水分解、又は脱液化することができる。一般的には、組成物は、マトリクスの形成後にマトリクス内に留まるある量の水又は極性液体を含む。マトリクスは、風乾するか、又は吸引乾燥して、マトリクス中に存在するいくらか又はほとんど全ての液体を取り除くことができる。脱液化の際に、マトリクスは、いくらか縮むこともある。
実質的に又は完全に脱水された形態のインプラントは、インプラントの重量パーセントとして伝えられた場合に、一定量の成分を有することができる。幾つかの態様では、インプラントの合計重量に対する生分解性ポリマーの割合は、約80重量%以上、約85重量%以上、約87.5重量%以上、約90重量%以上、約92.5重量%以上、又は約95重量%以上である。
部分的又は完全に脱水されたインプラントでは、そして幾つかの態様では、インプラントの合計重量に対する生物活性剤(又は生物活性剤の組み合わせ)の割合は、最大で約15重量%、最大で約12.5重量%、例えば約0.1重量%〜約15重量%、約2.5重量%〜約12.5重量%、又は約5重量%〜約11重量%の範囲である。
眼用インプラントは、眼に挿入する前に滅菌することができる。幾つかの態様では、眼用インプラントは、滅菌水溶液と接触することができる。
インプラントは、部分的に又は完全に脱水された形態で、インプラント方法を実行する人に提供されうる。インプラントが眼の中、例えば硝子体の中に挿入された後に、部分的又は完全な再水和生じうる。再水和は、インプラントのいくらかの膨潤を引き起こすこともあり、そしてサイズの増加が観察されることもある。
本発明に従い、生分解性眼用インプラントは、任意の適切な方法を用いて眼の一部に移植することができる。一般的に、インプラントは、挿入装置を用いることにより、眼の内部の標的部位へのインプラントを提供する。「インプラント部位」という語句は、本発明に従った治療期間の間に眼用インプラントが位置する患者の体内における位置を指す。
眼用インプラントは、眼組織のインプラント部位に配置することができる。適切な眼用インプラントは、機能を実行することができ、及び/又は眼の任意の所望領域に生物活性剤を提供することができる。幾つかの態様では、眼用インプラントは、生物活性剤を前眼部(レンズの前側)及び/又は後眼部(レンズの後ろ側)にデリバリーするために利用することができる。適切な眼用インプラントは、所望される場合、眼の近くの組織に生物活性剤を提供するために使用することもできる。
眼の内部に配置するように構成された眼用インプラントは、眼の任意の所望領域内に配置することができる。幾つかの態様では、眼用器具は、眼内部位、例えば硝子体又は網膜下腔などに配置するように構成することができる。
言及されたように、硝子体眼房(vitreous chamber)は、眼の最大の眼房であり、そして硝子体液(vitreous humor or vitreous)を含む。一般的には、硝子体液は、レンズ、後部レンズ小体、及び毛様体により内部において接しており、そして網膜カップ(retinal cup)に後方で接している。硝子体は、透明で粘弾性のゲルであって、その98%が水であり、そして水の粘度の約2〜4倍の粘性を有するゲルである。硝子体液の主な成分は、ヒアルロン酸(HA)分子及びII型コラーゲン線維であり、当該コラーゲン線維はHA分子をトラップする。粘性は、一般的に硝子体内のHA濃度に左右される。硝子体は、従来、2つの部分:より密に配置されたコラーゲン原線維により特徴づけられる皮質領域(cortical zone)と液体中心硝子体(liquid central vitreous)からなるとみなされている。
その結果、幾つかの態様では、本発明は、体内の部位において眼用インプラントを配置する方法を提供し、当該部位は、粘弾性ゲルなどのゲル様物質を含む。
本発明の多くの態様では、眼用インプラントを硝子体液中に配置する。幾つかの態様では、眼用インプラントは、強膜組織を通してデリバリーすることができる(経強膜注射)。一般的に、静脈内デリバリーは、約0.5インチ〜約0.62インチの長さを有する25〜30ゲージの針(又はそれより小さい針)を用いる挿入装置を使用することにより達成できよう。
この方法論は、外来臨床設備において実施できる技術をもたらす。本実施態様によると、挿入装置又は器具(例えば、カニューレ又はシリンジ)が提供され、その一部は、当該装置が眼の内部に挿入された場合に装置を受容するために強膜に形成された開口部が十分小さく、その結果胸膜の開口部を密封又は閉じるために縫合を必要としないように構成され、そして配置される。言い換えると、開口部は傷又は開口部が自己密封し、それにより目から硝子体液が漏出することを妨げるために十分小さい。
さらに、挿入ステップは、操作可能な末端が硝子体内に位置するように、挿入装置又は器具の一部を経結膜的に挿入することを含む。この点では経結膜は、当該装置の操作可能な末端が、結膜及び強膜の両方を介して硝子体内に挿入されるということを意味するように理解される。より具体的に、挿入可能な部分の挿入は、強膜及び結膜に開口部を形成することになり、これは強膜の開口部を密封するか又は閉じるために縫合を必要としないようにするために十分小さいものである。眼の後部についての慣用的な外科技術において、結膜は、強膜を露出させるために通常は切開される一方で、本実施態様の方法論では、結膜は切開又は戻されることを必要とされない。
結果として、装置が眼から取り除かれる場合、外科医は、水性液体の漏出を妨げるために縫合で強膜における開口部を密封するか又は閉じる必要はない。なぜなら、強膜の開口部又は傷は自己密封されるからである。さらに経結膜的アプローチでは、外科医は、切開された結膜を再付着させる必要がない。これらの特徴は、さらに、外科的手法を単純化することができ、並びに外科的方法で必要とされる縫合を(排除することがない場合も)低減することができる。
本発明の方法が、結膜の切開を必要としないということが理解されよう。しかしながら、かかる追加ステップが特定の治療において所望される場合、かかる結膜の切開を行うことができる。
硝子体茎切除術を行わずに挿入方法を行うことができ、そして自己密封性の強膜切開をもたらし、縫合の必要性を排除し、そして感染リスクを最小化する。幾つかの態様では、小さい強膜の切除は、漏出することがなく、それによりインプラント部位からの硝子体の漏出リスクを低減する。利点としては、本方法は、診療所の処理として行うことができるということである。
幾つかの態様では、眼用インプラントは、眼の網膜下領域に配置される。挿入装置は、インプラントをデリバリーするために眼の網膜下スペースに到達するために経結膜及び経網膜的に進めることができる。装置の先端が、網膜下領域に到達した際に、限局又は局在化された網膜剥離(例えば、ブレッブ剥離)を、当業者に知られている多くの装置及び/又は技術のいずれかを用いて形成することができ、それにより網膜下領域を規定又は形成する。次に、インプラントは、網膜剥離により形成される網膜下領域に配置することができる。限局又は局所的ドーム状の網膜下剥離が、当該剥離自体が一般的に患者の視覚につい感知できるか又は知覚できる長期間の効果を有することはない様式で作成される。
幾つかの場合、所望のインプラント部位において眼用インプラントを配置するために保持部材(grasping member)(例えば鉗子)を使用することができる。次に、眼用インプラントは、治療期間の間にインプラント部位に存在することができる。
幾つかの態様では、本発明は、インプラントの分解を引き起こす酵素に眼用インプラントを晒すことにより、眼用インプラントから生物活性剤をデリバリーする方法を提供する。この方法の実施の際に、眼用インプラントは対象に提供される。次に眼用インプラントは、眼用インプラントの分解を促進できるカルボヒドラーゼに晒される。
眼用インプラントと接触するカルボヒドラーゼは、天然生分解性多糖を特異的に分解することができ、生物活性剤の放出を引き起こす。天然生分解性多糖インプラントを特異的に分解するカルボヒドラーゼの例として、α-アミラーゼ、例えば唾液及び膵液α-アミラーゼ;ジサッカライダーゼ、例えばマルターゼ、ラクターゼ、及びスクラーゼ;トリサッカリダーゼ及びグルコアミラーゼ(アミログルコシダーゼ)が挙げられる。
アミラーゼの血清濃度は、約50〜100U/Lの範囲に見積もられ、そして硝子体濃度もその範囲に収まる(Varela, R.A., and Bossart, G.D. (2005) J Am Vet Med Assoc 226: 88-92)。
幾つかの態様では、カルボヒドラーゼは、局所濃度を増加させるために、血清又は移植された装置の周辺組織に対象に投与することができ、その結果カルボヒドラーゼは、インプラントの分解を促進してもよい。カルボヒドラーゼを導入するための代表的な経路は、局所注射静脈内経路などを含む。或いは、インプラントの付近においてカルボヒドラーゼの濃度を間接的に増加させることにより、例えば食事プロセスにより、又はカルボヒドラーゼの全身レベルを増加させる化合物を摂取又は投与することにより分解を促進することもできる。幾つかの場合、カルボヒドラーゼは、例えば注射により眼の一部にデリバリーすることができる。
別の場合、カルボヒドラーゼは、眼用インプラントの一部に提供することができる。例えば、カルボヒドラーゼは、眼用インプラントの一部から溶出されてもよい。この態様では、カルボヒドラーゼが放出されるにつれ、カルボヒドラーゼは眼用インプラントに対し局所的に作用して、その分解を引き起こし、そして生物活性剤の放出を促進する。或いは、カルボヒドラーゼは、眼用インプラントの1以上の部分において粒子中に存在することができる。カルボヒドラーゼが粒子から放出されるにつれ、カルボヒドラーゼは分解を引き起こし、そして生物活性剤の放出を促進する。
本発明は、さらに、以下の非限定的な例を参照してさらに記載されよう。本発明の範囲から逸脱することなく記載された実施態様に多くの変化がなされうるということが当業者に明らかであろう。こうして、本発明の範囲は、本出願に記載された実施態様に限られるべきではないが、特許請求の範囲の文言により記載された実施態様並びにこれらの実施態様の均等物によってのみ制限されるべきである。他に記載がない限り、全てのパーセントは重量%である。
実施例1
アクリル化アミロースの合成
重合可能なビニル基を有するアミロースを、250mlのアンバーバイアル中で撹拌しながら0.75gのアミロース(A0512;Aldrich)を100mlのメチルスルホキシド(JT Baker)と混合することにより調製した。1時間後、2mlのトリエチルアミン(TEA;Aldrich)を加え、そして混合物を室温で5分間撹拌した。続いて、2mlのグリシジル アクリレート(Polysciences)を加え、そしてアミロースとグリシジルアクリレートを、室温で一晩撹拌することにより反応させた。連続流水透析を用いて3日間DI水に対してアミロースグリシジルアクリレート反応産物を含む混合物を透析した。得られたアクリル化アミロース(0.50g;収率71.4%)を次に凍結乾燥し、そして遮光して室温で乾燥させて貯蔵した。
実施例2
MTA-PAAmの合成
光反応基を有するメタクリルアミドを、アクリルアミドと共重合することにより重合開始剤を調製した。
まずメタクリルアミドーオキソチオキサンテンモノマー(N-[3-(7-メチル-9-オキソチオキサンテン-3-カルボキシアミド)プロピル]メタクリルアミド(MTA-APMA))を調製した。米国特許第5,858,653号の実施例2に記載されるように調製されるN-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド・ヒドロクロリド(APMA)、4.53g(25.4mmol)を、乾燥チューブを備えた50mlの丸底フラスコに入れた100mlの無水クロロホルムに懸濁した。7-メチル-9-オキソチオキサンテン-3-カルボン酸(MTA)を、米国特許第4,506,083号の実施例Dに記載されるように調製した。MTA-クロリド(MTA-Cl)を、米国特許第6,007,833号の実施例1に記載されるように作成した。スラリーを氷浴中で冷却した後に、MTA-Cl(7.69g;26.6mmol)を固体として加えて、APMA-クロロホルム懸濁物になるまで撹拌した。7.42mL(53.2mmol)のTEAを入れた20mlのクロロホルム溶液を次に1.5時間かけて加え、続いて室温にゆっくり暖めた。混合物を乾燥チューブの下で、室温で16時間撹拌させた。この時間の後に、反応液を0.1N HClで洗浄し、そして少量のフェノチアジンを阻害剤として加えた後に吸引下で溶媒を取り除いた。得られた生成物を、テトラヒドロフラン(THF)/トルエン(3/1)から再結晶し、そして風乾した後に8.87g(収率88.7%)の生成物を与えた。MTA-APMAの構造を、NMR分析により確認した。
次にMTA-APMAを、室温で2-メルカプトエタノール(鎖転移剤)、N,N,N',N'-テトラメチル-エチレンジアミン(共触媒)、及び2,2'-アゾビス(2-メチル-プロピオニトリル)(遊離ラジカル開始物質)の存在下で、DMSO中のアクリルアミドと共重合させた。20分間溶液に窒素を通して密封し、そして55℃で20時間インキュベートした。連続流水透析を用いて溶液を3日間DI水に対して透析した。残りのMTA-PAAmを凍結乾燥し、乾燥させ、そして遮光し室温で貯蔵した。
実施例3
4-ブロモメチルベンゾフェノン(BMBP)の調製
4-メチルベンゾフェノン(750g;3.82mol)を、オーバーヘッドスターラーを備えた5LのMortonフラスコに加え、そして2850mlのベンゼン中に溶解した。次に溶液を加熱して還流し、610g(3.82mol)の臭素を含む330mlのベンゼンを滴下して加えた。滴下速度は、およそ1.5ml/分であり、そしてフラスコを90ワット(90ジュール/秒)のハロゲンスポットライトで照射して反応を開始させた。タイマーをランプと用いて、10%の負荷サイクル(5秒のオン、40秒のオフ)を与えて、続いて1時間の20%負荷サイクル(10秒のオン、40秒のオフ)を与えた。添加終了時に、生成物をガスクロマトグラフィーにより分析し、そして71%の所望の4-ブロモメチルベンゾフェノン、8%のジブロモ生成物、及び20%の未反応4-メチルベンゾフェノンを含むことがわかった。冷却後、反応混合物を10gの亜硫酸ナトリウムを入れた100mlの水で洗浄し、続いて200mlの水で3回洗浄した。生成物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして1:3のトルエン:ヘキサンから2回再結晶した。吸引下で乾燥した後に、112℃〜114℃の融点を有する635gの4-ブロモメチルベンゾフェノンを単離した(収率60%)。核磁気共鳴(NMR)分析(1H NMR(CDCl3))は、所望の生成物と一致した:芳香族プロトン7.20〜7.80(m,9H)及びメチレンプロトン(4.48(s,2H))。全ての化学シフト値は、テトラメチルシラン内部基準からの低磁場側へのシフト(ppm)である。
実施例4
エチレンビス(4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウム)ジブロミドの調製
N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(6g;51.7mmol)を撹拌して225mlのクロロホルムに溶解した。実施例3に記載されるようにBMBP(29.15g;106.0mmol)を固体として加え、そして反応混合物を室温で72時間撹拌した。この時間の後、得られた固体をろ過により単離し、そして白色固体を冷クロロホルムで濯いだ。得られた溶媒を吸引下で取り除き、そして34.4gの固体を単離した(収率99.7%、融点218℃〜220℃)。NMR分光光度計での分析は、所望の生成物と一致した:1H NMR(DMSO-d6)芳香族プロトン7.20-7.80(m,18H)、ベンジル型メチレン4.80(br.s,4H)、アミンメチレン4.15(br.s,4H)、及びメチル3.15(br.s,12H)。
実施例5
1-(6-オキソ-6-ヒドロキシヘキシル)マレイミド(Mal-EACA)
マレイミド機能酸(maleimide functional acid)を以下の手順で調製し、そして実施例6で用いた。EACA(6-アミノカプロン酸)(100g;0.762mol)を、オーバーヘッドスターラー及び乾燥チューブを備えた三つ首3Lフラスコに入れた300mlの酢酸に溶解した。マレイン酸無水物(78.5g;0.801mol)を200mlの酢酸に溶解し、そしてEACA溶液に加えた。温浴で加熱しながら混合物を1時間撹拌し、白色固体の形成をもたらす。室温で一晩冷却したのちに、固体をろ過により回収し、そして1回のすすぎあたり50mlのヘキサンで2回濯いだ。乾燥した後に、(z)-4-オキソ-5-アザ-ウンデカ-2-エン二酸(化合物1)の収率は、158〜165g(90〜95%)であり、融点は160〜165℃であった。NMR分光光度計での分析は、所望の生成物と一致した:1H NMR(DMSOd6、400MHz)δ6.41、6.24(d,2H,J=12.6Hz;ビニルプロトン)、3.6-3.2(b,1H;アミドプロトン)、3.20-3.14(m,2H:窒素に隣接するメチレン)、2.20(t,2H,J=7.3;カルボニルに隣接するメチレン)、1.53-1.44(m,4H;中心メチレンに隣接するメチレン)、及び1.32-1.26(m,2H;中心メチレン)。
(z)-4-オキソ-5-アザ-ウンデカ-2-エン二酸(160g;0.698mol)、塩化亜鉛、280g(2.05mol)、及びフェノチアジン0.15gを、オーバーヘッドスターラー、コンデンサー、サーモカップル、追加漏斗、不活性ガス注入口、及び加熱マントルを備えた2リットルの丸底フラスコに加えた。クロロホルム(CHCl3)320mlを2Lの反応フラスコに加え、そして混合物の撹拌を開始した。トリエチルアミン(480ml;348g、3.44モル(TEA))を1時間かけて加えた。クロロトリメチルシラン(600ml;510g、4.69mol)を次に2時間かけて加えた。反応液を還流状態にし、そして一晩(〜16時間)還流した。反応液を冷却し、そしてCHCl3(500mL)、水(1.0L)、氷(300g)、及び12N塩酸(240mL)の混合物を含む20Lの容器に15分かけて加えた。15分の撹拌後に、pHが5未満であることを確かめるために、水相を試験した。有機相を分離し、そして水相を1回あたりCHCl3(700ml)で3回抽出した。有機相を混合し、そしてロータリーエバポレーターで蒸発させた。次に残渣を20Lの容器に入れた。重炭酸ナトリウム(192g)の水溶液(2.4L)を残渣に加えた。塩が溶解するまで重炭酸ナトリウムを撹拌した。重炭酸溶液を5分かけて塩酸溶液(26リットル、1.1N)で処理してpHを2未満にした。次に、2回のCHCl3抽出(1.2Lと0.8L)で酸性混合物を抽出した。合わせた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させた。残渣をトルエン及びヘキサンから再結晶した。結晶生成物を次にろ過により単離し、そして乾燥させ、85.6gの白色N-(6-オキソ-6-ヒドロキシヘキシル)マレイミド(Mal-EACA;化合物2)を生成した。NMR分光計での分析は、所望の生成物と一致した。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ6.72(s、2H;マレイミドプロトン)、3.52(t、2H、J=7.2Hz;マレイミドの次のメチレン)、2.35(t、2H、J=7.4;カルボニルの次のメチレン)、1.69-1.57(m、4H;メチレンに隣接するメチレン)、及び1.39-1.30(m、2H;中心メチレン)。生成物は、89.9℃にDSC(示差走査熱量計)の融点ピークを有する。
Figure 2010504822
N-(5-イソシアナトペンチル)マレイミド(Mal-C5-NCO)
実施例5から得たMal-EACA(5.0g;23.5mmol)及びCHCl3(25mL)を100mlの丸底フラスコにいれ、そして氷浴中で冷却しながら磁性棒を用いて撹拌した。塩化オキサリル(10.3ml;〜15g;118mmol)を加え、そして一晩撹拌しながら反応液を室温にした。揮発性物質をロータリーエバポレーターで取り除き、そして残渣を、一回あたり10mlのCHCl3と3回共沸した。中間体Mal-Eac-Cl[N-(6-オキソ-6-クロロヘキシル)マレイミド](化合物3)をアセトン(10ml)に溶解し、そしてアジ化ナトリウム(2.23g;34.3mmol)の冷撹拌水溶液(氷浴)に加えた。混合物を、氷浴を用いて1時間撹拌した。有機相を氷浴内にとっておき、そして水相を、10mlのCHCl3で3回抽出した。アシルアジドの全ての操作を、氷浴温度で行った。アジド反応の混合された有機溶液を、1時間無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。N-(6-オキソ-6-アジドヘキシル)マレイミド(化合物4)溶液を、さらに一晩分子シーブを用いてゆっくりゆすることによりさらに乾燥させた。冷アジド溶液をろ過し、そして還流CHCl35mlを10分かけて加えた。アジド溶液を2時間還流した。得られたMal-C5-NCO(化合物5)溶液の重量は、55.5gであり、これは湿気から守られた。イソシアナト溶液(136mg)のサンプルを蒸発させ、そしてDBB(1,4-ジブロモベンゼン)(7.54mg)及びクロロホルム-d(0.9ml)で処理した:1H NMR(CDCl3、400MHz)δ6.72(s,2H)、3.55(t、2H、J=7.2Hz)、3.32(t、2H、J=6.6Hz)、1.70-1.59(m、4H)、1.44-1.35(m、2H).NMRスペクトルは、所望の生成物と一致した。7.38でのDBB内部標準δ(積分値は2.0であり、生成物1分子あたり4H)を用いて、溶液中のMal-C5-NCOのモル数を見積もった。溶液中の生成物の計算値は23.2mmolであり、理論値の98%の収率であった。NCO試薬(濃度は0.42mmol/g)を用いて実施例12のマクロマーを調製した。
Figure 2010504822
Figure 2010504822
実施例7
3-(アクリロイルオキシ)プロパン酸(2-カルボキシエチルアクリレート;CEA)
アクリル酸(100g;1.39mol)及びフェノチアジン(0.1g)を500mlの丸底フラスコに入れた。反応液を92℃で14時間撹拌した。過剰量のアクリル酸を25℃で、機械式吸引ポンプを用いてロータリーエバポレーターで取り除いた。得られた残渣の量は、51.3gであった。CEA(化合物6)を、精製することなく実施例7で用いた。
Figure 2010504822
実施例8
3-クロロ-3-オキソプロピルアクリレート(CEA-Cl)の調製
実施例7から得たCEA(51g;約0.35mol)及びジメチルホルムアミド(DMF;0.2ml;0.26mmol)をCH2Cl3(100ml)に溶解した。CEA溶液をゆっくり(二時間かけて)、氷浴で200mmの圧力で500ml丸底フラスコにいれた塩化オキサリル(53ml;0.61mol)、DMF(0.2ml;2.6mmol)、アンスラキノン(0.5g;2.4mmol)、フェノチアジン(0.1g、0.5mmol)、及びCH2Cl3(75ml)の撹拌溶液に加えた。ドライアイスコンデンサーを用いてCH2Cl3を反応フラスコ内に保持した。添加を終了した後に、反応液を室温で一晩撹拌した。反応溶液の重量は369gであった。CEA-Cl(化合物7)の反応溶液(124mg)のサンプルを、1,4-ジブロモベンゼン(DBB、6.85mg)で処理し、蒸発させ、そしてCDCl3に溶解した:1H NMR(CDCl3、400MHz)δ7.38(s,4H;DBB内部標準)、6.45(d,1H,J=17.4Hz)、6.13(dd、1H、J=17.4、10.4Hz)、5.90(d,1H,J=10.4Hz)、4.47(t,2H,J=5.9Hz)、3.28(t,2H,J=5.9).スペクトルは、所望の生成物と一致した。積分によると、1.0molのCEA-Clについて0.394molのdBBであり、これは61%の計算収率を与えた。上に記載された方法と似た方法で、市販のCEA(426g;Aldrich)を塩化オキサリル(532ml)と反応させた。残ったCEA-Cl(490g)を、油浴を用いて、140℃、18mmHgの圧力で蒸留した。蒸留温度は98℃に達し、そして150gの蒸留物質を回収した。蒸留物質を18mmHg、最大油浴温度120℃で再蒸留した。蒸留物質についての温度範囲は30℃〜70℃であり、これにより11gの物質を得た。蒸留物質は、3-クロロ-3-オキソプロピル3-クロロプロパノエートであろう。第二蒸留液の残渣(125g;理論値の26%)を実施例9で用いた。
Figure 2010504822
実施例9
3-アジド-3-オキソプロピルアクリレート(CEA-N3)の調製
実施例7から得たCEA-Cl(109.2g;0.671mol)をアセトン(135ml)に溶解した。アジ化ナトリウム(57.2g;0.806mol)を水(135ml)に溶解し、そして冷却した。次に氷浴において1.5時間激しく撹拌して、冷却されたアジ化ナトリウムにCEA-Cl溶液を加えた。反応混合液を2回、各抽出あたり150mlのCHCl3で抽出した。CHCl3溶液を直径40mm×127mmのシリカゲルカラムに通した。3-アジド-3-オキソプロピル アクリレート(化合物8)溶液を、4℃で一晩、乾燥分子シーブと一緒にゆっくり撹拌した。乾燥溶液を精製せずに実施例10で用いた。
Figure 2010504822
実施例10
2-イソシアナトエチルアクリレート(EA-NCO)の調製
(実施例9から得た)乾燥アジド溶液を、還流CHCl3(75ml)にゆっくり加えた。添加を完了後、還流を2時間続けた。EA-NCO(化合物9)溶液(594.3g)を湿気から守った。EA-NCO溶液(283.4mg)のサンプルをDBB(8.6mg)と混合し、そして蒸発させた。残渣をCDCl3に溶解した:1H NMR(CDCl3、400MHz)δ7.38(s、4H;DBB内部基準)、6.50(d、1H、J=17.3Hz)、6.19(dd、1H、J=17.3、10.5Hz)、5.93(d、1H、J=10.5Hz)、4.32(t、2H、J=5.3Hz)、3.59(t、2H、J=5.3)。スペクトルは、所望のEA-NCOに一致した。積分により、1.0molのEA-NCOについて0.165molのDBBであり、これは110mgEA-NCO/g溶液の計算濃度を与えた。EA-NCO溶液を用いて、マクロマーを実施例11で調製した。
Figure 2010504822
実施例11
マルトデキストリンーアクリレートマクロマーの調製(MD-アクリレート)
マルトデキストリン(MD;Aldrich;9.64g;3.21mmol;DE(デキストロース当量):4.0〜7.0)をジメチルスルホキシド(DMSO)60mlに溶解した。マルトデキストリンのサイズは、2000Da〜4000Daの範囲であると計算された。実施例10からのEA-NCO(24.73g;19.3MMOL)を蒸発させ、そして乾燥DMSO(7.5ml)に溶解した。2のDMSO溶液を混合し、そして一晩55℃に熱した。DMSO溶液を透析チューブに入れ(1000MWCO、45mmの平面幅×50cm長)、そして水に対して3日間透析した。マクロマー溶液をろ過し、そして凍結乾燥して、7.91gの白色固体を得た。マクロマー(49mg)及びDBB(4.84mg)を0.8mlのDMSO-d6に溶解した:1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ7.38(s、4H;内部標準、積分値2.7815)、6.50、6.19、及び5.93(二重線、3H;ビニルプロトン、積分値3.0696)。マクロマーの計算されたアクリレート充填量は、0.616μmol/mgポリマーであった。
実施例12
マルトデキストリン-マレイミドマクロマー(MD-Mal)の調製
実施例11に類似する方法を用いて、MD-Malマクロマーを製造する。実施例6から得たMal-C5-NCOの溶液(0.412g;1.98mmol)を蒸発させ、そして乾燥DMSO(2ml)に溶解した。MD(0.991g;0.33mmol)をDMSO(5ml)に溶解した。DMSO溶液をあわせ、そして55℃で16時間撹拌した。透析及び凍結乾燥により、0.566gの生成物を与えた。マクロマーのサンプル(44mg)、及びDBB(2.74mg)を0.8mlDMSO-d6に溶解した:1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ7.38(s,4H;内部標準、積分値:2.3832)、6.9(s,2H、マレイミドプロトン積分値:1.000)。マクロマーの計算アクリレート充填量は、0.222μmol/mgポリマーであった。マクロマーは、マトリクスを製造するその能力について試験された(実施例15を参照のこと)。
実施例13
MTA-PAAmを用いたマルトデキストリン-アクリレート生分解性マトリクスの形成
実施例11で調製された250mgのMD-アクリレートを、8mlアンバーバイアルに入れた。当該MDアクリレートに対して、3mgのMTA-PAAm(凍結乾燥)、2μLの2-NVP,及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)を加え、20%の固体含量で、MD-アクリレートを有する組成物を提供する。次に試薬をシェーカーで37℃で1時間混合した。50μlの量の混合物をガラススライドに配置し、そして400〜500nmフィルターを備えるEFOS100SS照射システムで40秒間照射した。照射後、ポリマーは、弾性を有する半固体ゲルを形成することが見られた。
実施例14
カンファーキノンを用いたMD-アクリレート製分解性マトリクスの形成
実施例11で調製された250mgのMD-アクリレートを、8mlのアンバーバイアルに入れた。当該MD-アクリレートに14mgのカンファーキノン-10-スルホン酸水和物(Toronto Research Chemicals, Inc.)、3μLの2-NVP、及び1mlの蒸留水を加えた。次に試薬を37℃で1時間シェーカーで混合した。50μlの量の混合物を、スライドガラス上に配置し、SmartliteIQ(商標)LED硬化光で40秒間照射した。照射後、ポリマーは弾性を有する半固体ゲルを形成することが見られた。
実施例15
MTA-PAAmを用いたMD-Mal生分解性マトリクスの形成
実施例12で調製された250mgのMD-Malを、8mlアンバーバイアルに入れた。当該MD-Malに対し、3mgのMTA-PAAm(凍結乾燥)、2μLの2-NVP、及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)を加えた。次に、試薬を1時間シェーカーで37℃で混合した。50μlの量の混合物をスライドガラスに配置し、そして400〜500nmフィルターを備えるEFOS100SS照射システムで40秒間照射した。照射後、ポリマーは、弾性を有する半固体ゲルを形成することが見られた。
実施例16
生物活性剤の取り込み/MDアクリレートマトリクスからの放出
実施例11で調製されたように500mgのMD-アクリレートを、8mlアンバーバイアル中に配置した。MD-アクリレートに、3mgのMTA-PAAm(凍結乾燥)、2μLの2-NVP、及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)を加えた。次に試薬を1時間シェーカーで37℃で混合した。この混合物に、5mgの70kDのFITC-デキストラン又は5mgの10kDのFITC-デキストラン(Sigma)のいずれかを加え、そして30秒間ボルテックスした。200μLの量の混合物を、テフロンウェルプレートに配置し(8mm直径、4mmの深さ)、そして、400〜500nmフィルターを備えたEFOS 100SS照射システムで40秒間照射した。形成されたマトリクスは緩く、そして実施例15において形成されたMD-アクリレートマトリクスほど架橋されてはいない。照射後、マトリクスを12ウェルプレート(Falcon)に移し、そして0.6mlPBSを含むウェルに配置した。一日ごとに6日間、150μlのPBSを各ウェルから取り出し、そして96ウェルに入れた。残りの850μLをサンプルから取り出し、そして1mlの新たなPBSで置換した。96ウェルプレートを、490吸光度で、分光光度計(Shimadzu)上のFITCデキストランについて分析した。検出可能な10kD又は70kDのFITC-デキストランのうちの少なくとも70%が、2日後にマトリクスから放出されたということが結果により示された。目視観察により、6日後においてもマトリクス内に定量できない量の10kD又は70kDのFITCデキストランが残るということが示された。
実施例17
ポリアルジトールーアクリレート合成
ポリアルジトール(PA;GPC;9.64g;〜3.21mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)60mlに溶解した。ポリアルジトールの大きさは、2000Da〜4000Daの範囲であることが計算された。実施例10(24.73g;19.3mmol)からのEA-NCO溶液を蒸発させ、そして乾燥DMSO(7.5ml)に溶解した。2のDMSO溶液を混合し、そして一晩55℃に熱した。DMSO溶液を透析チューブ(1000MWCO、45mm平面幅×50cm長)にいれ、そして3日間水に対して透析した。ポリアルジトールマクロマー溶液をろ過し、そして凍結乾燥して7.91gの白色固体を与えた。マクロマー(49mg)及びDBB(4.84mg)のサンプルを0.8mlDMSO-d6に溶解した:1H NMR(DMSO-d6、400MHz)δ7.38(s,4H;内部標準の積分値:2.7815)、6.40、6.19、及び5.93(二重線、3H;ビニルプロトンの積分値:3.0696)。マクロマーの計算されたアクリレート充填量は、0.616μmol/mgポリマーであった。
実施例18
マルトデキストリン-アクリレートフィラメント
実施例11に調製された1100mgのMD-アクリレートを、8mlアンバーバイアルに入れた。MD-アクリレートに、1mgの光開始剤4,5-ビス(4-ベンゾイルフェニルーメチレンオキシ)ベンゼン-1,3-ジスルホン酸(5mg)(DBDS)及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えた。次に、試薬を37℃で1時間シェーカー上で混合した。10μlの量の混合物を、23ゲージの針を用いて、22mm長の不透明シリコーンチューブ(P/N 10-447-01;Helix Medical, Carpinteria, CA)に注入した。光源から15cm離して、Dymax Lightweld PC2照射システム(Dymax Corp.;光強度6.5mW/cm2)中に当該チューブを配置し、270秒間照射しそして取り出した。照射後、チューブの後ろからはじめてチューブ上で棒を回転させることにより、シリコーンチューブからフィラメントを取り出した。フィラメントは硬く、これによりMD-アクリレートが完全に重合したことが示唆される。過剰量の液体は観察されなかった。フィラメントを鉗子で操作した。マルトデキストリンフィラメントも、16.7%固体含量の濃度を有するMD-アクリレートから作成され(200mg+1ml)、これらは物理的に硬く、そして52.4%固体含量のMDアクリレートを有する組成物と同じであった(1100mg+1ml)。
実施例19
ポリアルジトール-アクリレート・フィラメント
実施例17で調製された1500mgのポリアルジトール-アクリレートを、8mlアンバーバイアルに配置した。ポリアルジトールアクリレートに、1mgのDBDS(凍結乾燥)、15mg牛血清アルブミン、及び200μlの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えた。次に試薬をシェーカー上で1時間37℃で1時間混合した。23ゲージの針を用いて10μlの量の混合物を、22mm長の不透明シリコーンチューブ(P/N10-447-01;Helix Medical、Carpinteria,CA)に注入した当該チューブを、光源から15cm離して、Dymax Lightweld PC2照射システム(Dymax Corp.;光強度6.5mW/cm2)中に当該チューブを配置し、270秒間照射し、そして取り出した。照射後、チューブの後ろからはじめてチューブ上で棒を回転させることにより、シリコーンチューブからフィラメントを取り出した。フィラメントは硬く、これによりMD-アクリレートが完全に重合したことが示唆される。過剰量の液体は観察されなかった。フィラメントを鉗子で操作した。
実施例20
マルトデキストリン-アクリレートフィラメントのアミロース分解
実施例18に記載される16.7%固体含量(200mg+1ml)組成物及び52.4%固体含量(1100mg+1ml)組成物を用いて、マルトデキストリン-アクリレート・フィラメントを合成し、そしてアミラーゼ溶液中で分解について試験した。これらのフィラメントを、1mlの1×PBS(対照)、α-アミロースを0.121μg/mlで含む1×PBS(Sigma;カタログ番号A6814)、又はα-アミラーゼを24μg/mlで含む1×PBSを含む微小遠心管に配置した。次に、当該チューブをインキュベーター内に37℃で配置した。
0.121μg/mlのα-アミラーゼのPBS溶液中で2日後、16.7%固体含量組成物フィラメントから形成されたフィラメントは、完全に分解し、そしてフィラメントの形跡は観察されなかった。PBS(対照)中の16.7%固体含量組成から形成されたフィラメントは分解の形跡を示さなかった。
0.121μg/mlのα-アミラーゼを含有する1×PBS中で33日後に、52.4%固体含量組成物から形成されるフィラメントは、(フィラメントの少しカールした外観により示されるように)いくらかその最初の堅さを失うが、それでも完全に無傷な状態であった。24μgのアミラーゼを含むPBS中で52.4%の固体含量組成物から形成されたフィラメントは、48時間後に完全に分解した。PBS中の52.4%固体含量組成物から形成されるフィラメントは、分解の形跡を示さなかった。
実施例21
生物活性剤を有するマルトデキストリンアクリレートフィラメント、及び放出
実施例11に調製された1100mgの量のMD-アクリレートを8mlのアンバーバイアルに配置した。MD-アクリレートに、1mgのDBDS(凍結乾燥)、15mgの牛血清アルブミン(生物活性剤を表す)及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)を加えた。次に試薬をシェーカー上で1時間37℃で混合した。10μlの量の混合物を、23ゲージの針を用いて22mm長の不透明シリコーンチューブ(P/N10-447-01;Helix Medical,Carpinteria,CA)に注入した。光源から15cm離して、Dymax Lightweld PC2照射システム(Dymax Corp.;光強度6.5mW/cm2)中に当該チューブを配置し、270秒間照射しそして取り出した。照射後、チューブの後ろからはじめてチューブ上で棒を回転させることにより、シリコーンチューブからフィラメントを取り出した。フィラメントは硬く、これによりMD-アクリレートが完全に重合したことが示唆される。過剰量の液体は観察されなかった。
1mlの1×PBSをいれた1.7mlの微小遠心管内にフィラメントを配置した。1日ごとに6日間、150μlのPBSを各ウェルから取り出し、そして次の分析用に96ウェルに入れた。残りの850μLをサンプルから取り出し、そして1mlの1×PBSをチューブに加えた。6日後、α-アミラーゼを0.121μg/mlで含む1×PBSを入れた1.7mlの微小遠心管中にフィラメントを配置した。一日おきに35日間、150μlのPBSを各ウェルから取り出し、そして次の分析のため96ウェルプレートに入れた。残りの850μlをサンプルから取り出し、そして当該チューブに1mlのαーアミラーゼを0.121μg/mlで含む新たな1×PBSを加えた。96ウェルプレートを、Quanitpro Assay Kit(Sigma)を用いてBSAに対して分析した。最初の6日間、BSAの初期放出が起こり、続いてかなりゆっくりした放出が起こる。PBS+アミラーゼを添加した後に、BSA放出の速度は、有意に増加し、そして35日にわたり比較的一定であった。結果を表2及び図2に示す。
Figure 2010504822
実施例22
生物活性剤を含むポリアルジトールアクリレートフィラメント、及び放出
実施例17において調製された1500mgの量のポリアルジトールアクリレートを、8mlのアンバーバイアルに配置した。PAアクリレートに対して、1mgのDBDS(凍結乾燥)、15mgの牛血清アルブミン、及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)を加えた。次に試薬を37℃で1時間シェーカー上で混合した。23ゲージの針を用いて、10μlの量の混合物を22mm長の不透明シリコーンチューブ(P/N1-447-01;Helix Medical, Carpinteria, CA)に注入した。光源から15cm離して、Dymax Lightweld PC2照射システム(Dymax Corp.;光強度6.5mW/cm2)中に当該チューブを配置し、270秒間照射しそして取り出した。照射後、チューブの後ろからはじめてチューブ上で棒を回転させることにより、シリコーンチューブからフィラメントを取り出した。フィラメントは硬く、これによりMD-アクリレートが完全に重合したことが示唆される。過剰量の液体は観察されなかった。フィラメントを鉗子で操作した。
α-アミラーゼを0.121μg/mlで含む1mlのPBSを用いて、フィラメントを1.7ml遠心に配置した。一日ごとに15日間、150μlのPBSを各ウェルから取り出し、そして次なる分析のために96ウェルプレートに入れた。残りの850μLをサンプルから取り出し、そしてチューブに0.121μg/mlのαーアミラーゼを含む新たなPBSを加えた。96ウェルプレートを、Quanitpro Assay Kit(Sigma)を用いてBSAについて分析した。
実施例23
生物活性剤を伴うマルトデキストリン-アクリレートフィラメント、及びその放出
抗-ホースラディッシュペルオキシダーゼ抗体(P7899;Sigma)をBSAの代わりに用いて、実施例21に記載される52.4%固体含量(1100mg+1ml)組成物を用いて、マルトデキストリンフィラメントを合成した。フィラメントは、800μgの抗ホースラディッシュペルオキシダーゼ抗体を含んだ。フィラメントを、αーアミラーゼ0.121μg/mlで含む1mlの1×PBSをいれた1.7ml遠心チューブに配置した。一日ごとに5日間、100μlのPBSを各ウェルから取り出し、そして96ウェルに入れ、そして37℃で60分間インキュベートした。残りの850μLをサンプルから取り出し、そしてα-アミラーゼを0.121μg/mlで含む新たな1×PBSで置換した。1時間後、1mlのPBS/Tween(Sigma)で3回洗浄した。150μlStabilCoat(登録商標)Immunoassay Stabilizer(Surmodics, Eden Prairie、MN)を、ウェルに加え、そして室温で30分間インキュベートした。30分後、96ウェルプレートを、PBS/Tweenで3回洗浄した。0.5mg/mlホースラディッシュ ペルオキシダーゼ(Sigma)を含む1×PBS(100μl)の溶液をウェルに加え、そして60分間インキュベートした。60分後、96ウェルプレートを、PBS/Tweenで6回洗浄した。次に発色検定を行った。15分後、96ウェルプレートを、560nmの吸光度で、分光光度計(Tecan)でHRPコンジュゲートについて分析した。検出可能な抗体を各時点で発見した。
実施例24
硝子体液中にけるMD-アクリレートフィラメントの分解
豚の目の前眼部(角膜、眼房水、レンズ)の円周切除を行い、そして硝子体を眼球から20mlのアンバーバイアル搾り出した。4つの眼のから合計で約10mlを回収した。実施例17において形成されたマルトデキストリンフィラメントを、2mlの硝子態様液に配置し、そして37℃で回転プレート上に配置した。16.7%固体含量(200mg+1ml)組成物から形成されるフィラメントは、24時間後に完全に溶解した。52.4%固体含量(1100mg+1ml)から形成されたフィラメントは、硝子体内で30日後に完全に分解した。
実施例25
REDOX化学を用いたマルトデキストリン-アクリレート生分解性マトリクスの形成
2つの溶液を調製した。溶液#1を以下のように調製した:実施例11に調製されるように240mgのMDアクリレートを、8mlバイアルに配置した。MD-アクリレートに対して、15mgのグルコン酸鉄水和物(Sigma)、30mgのアスコルビン酸(Sigma)、67μLのAMPS(Lubrizol)及び1000μLの脱イオン水を加えた。溶液#2を以下のように調製した:実施例11で調製された250mgのMDアクリレートを、2番目の8mlバイアルに入れた。このMD-アクリレートに、30μlAMPS、80μlの水素化ペルオキシド(Sigma)及び890μlの0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)を加えた。
50μlの溶液#1をスライドグラスに加えた。50μlの溶液#2を溶液#1に加え少しボルテックスした。2秒の混合後、混合物は重合し、そして弾性を有する半硬質ゲルを形成した。
実施例26
MD-アクリレートマトリクスに取り込まれた生物活性剤
2つの溶液を調製した。溶液#1を以下のように調製した:250mgのMD-アクリレート(実施例13で調製される)を8mlバイアルに入れた。MD-アクリレートに対して15mgの酢酸鉄(II)(Sigma)、30mgアスコルビン酸(Sigma)、67μlAMPS(Lubrizol)、75mg牛血清アルブミン(BSA;生物活性剤を表す)及び1000μlの脱イオン水を加えた。溶液#1を以下のように調製した:250mgのMDアクリレートを第二バイアル(8ml)に配置した。このMD-アクリレートに対して、30μlのAMPS、80μlの過酸化水素(Sigma)、75mgのBSA及び890μlの酢酸緩衝液(pH5.5)を加えた。
50μlの溶液#1を、スライドガラスに加えた。50μlの溶液#2を溶液#1に加えて、すこしボルテックスにかけた。2秒の混合後、マトリクスは重合し、そして弾性を有する半硬質ゲルを形成した。
実施例27
REDOXにより形成されたMD-アクリレートマトリクスの酵素分解
実施例25に記載される濃度で試薬を用いてマルトデキストリンフィラメントを調製した。これらのフィラメントを、1mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、又は0.121μg/mlでα-アミラーゼを含む1×PBSのいずれかを含む微小遠心管に配置した。次に管を37℃のインキュベーター内に配置した。
α-アミラーゼを0.121μg/mlで含む1×PBS中で4日後に、20%の固体組成物(250mg+1ml)から形成されたフィラメントは、完全に分解し、マトリクスの痕跡を残さなかった。PBS中のマトリクスは、分解の形跡を示さなかった。
実施例28
FABフラグメントの取り込み、及びMD-アクリレートフィラメントからの放出
実施例11に調製される600mgのMD-アクリレートを、8mlのアンバーバイアルに配置した。MD-アクリレートに、5mgのDBDS(凍結乾燥)、10mgウサギ抗ヤギフラグメント抗体(カタログ番号300-007-003;Jackson Immunological Research, West Grove, PA)及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えた。次に試薬を37℃でシェーカー上にて1時間混合した。10μlの量の混合物をピペットで、22mmの長さの不透明シリコーンチューブ内に入れた(P/N 10-447-01; Helix Medical, Carpinteria, CA)。光源から15cm離して、Dymax Lightweld PC2照射システム(Dymax Corp.;光強度6.5mW/cm2)中に当該チューブを配置し、270秒間照射しそして取り出した。照射後、チューブの後ろからはじめてチューブ上で棒を回転させることにより、シリコーンチューブからフィラメントを取り出した。フィラメントは硬く、そして完全に架橋されており、過剰量の液体を伴わなかった。0.121μg/ml(溶出溶液)のα-アミラーゼを含む0.5mlの1×PBSを用いて1.7ml微小遠心管に配置した。所定の間隔で17日間、200μlの溶出溶液を各管から取り出し、そして100μlを96ウェルプレートに配置した。残りの300μlをサンプルから取り出し、そして0.121μg/mlでα-アミラーゼを含む新たな1×PBSで置換した。酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、合計FAB分子放出及び活性型FABについて96ウェルプレートを分析した。簡潔に記載すると、100μlの溶出溶液を37℃で1時間インキュベートし、そして次に3回2mlPBS/Tween20(Sigma)で洗浄した。100μLStabilCoat(登録商標)で1時間室温にてウェルをブロッキングし、そして2mlのPBS/Tween20で3回洗浄した。分子活性について、100μlの0.1μg/ml(PBS/Tween)HRP標識ヤギIgG(Jackson Immunological; カタログ番号005-030-003)、又は0.08μg/ml(PBS/Tween)HRP-標識ヤギ抗ラビットIgG(Jackson Immunological; カタログ番号111-305-003)を1時間37℃でインキュベートした。ウェルを2mlのPBS/Tween20で6回洗浄した。100μlのTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(KPL、カタログ番号#50-76-00;Gaithersburg,MD)を各ウェルに加えた。15分後、96ウェルプレートをHRPコンジュゲートについて、650nm吸光度で分光光度計にて分析した。検出可能な抗体を各時点で見られた。結果を表3及び図3に示す。
Figure 2010504822
実施例29
ウサギ抗体の取り込み、及びMDアクリレートフィラメントからの放出
実施例11で調製された600mgのMD-アクリレートを、8mlアンバーバイアルに配置した。MD-アクリレートに対して、5mgのDBDS(凍結乾燥)、16mgのウサギ抗体抗HRP(Sigma;カタログ番号P78999及び1mlの1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えた。次に試薬を37℃でシェーカー上で1時間混合した。10μlの量の混合物を22mm長の不透明シリコーンチューブ(P/N10-447-01;Helix Medical,Caprpinteria,CA)にピペットで入れた。光源から15cm離してDymax Lightweld PC-2照射システム(Dymax Corp.;光強度6.5mW/cm2)にチューブを配置し、270秒間照射し、そして取り出した。照射後、チューブの後ろからはじめてチューブ上で棒を回転させることにより、シリコーンチューブからフィラメントを取り出した。フィラメントは硬く、そして完全に架橋されており、過剰量の液体を伴わなかった。
0.121μg/ml(溶出溶液)でα-アミラーゼを含む0.5mlの1×PBSを入れた1.7ml微小遠心管にフィラメントを配置した。所定の間隔で25日間、200μlの溶出溶液を各管から取り出し、そして100μlを96ウェルプレートに配置した。残りの300μlをサンプルから取り出し、そして0.121μg/mlのα-アミラーゼを含む0.5mlの新たな1×PBSで置換した。酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、96ウェルプレートを、合計のウサギ抗体分子及び活性型抗体分子の放出について分析した。簡潔に記載すると、100μlの溶出溶液をウェルに加え、そして37℃で一時間インキュベートし、そして次に2mlPBS/Tween20(Sigma)で3回洗浄した。活性型分子について100μlの0.1μg/ml(PBS/Tween)HRP(Sigma;カタログ番号P8375)、又は0.08μg/ml(PBS/Tween)HRP標識ヤギ抗ウサギIgG(Jackson Immunological;カタログ#111-305-003)を37℃で1時間インキュベートした。ウェルを2mlのPBS/Tween20で6回洗浄した。100μlのTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(KPL、カタログ番号50-76-00;Gaithersburg,MD)を各ウェルに加えた。15分後、96ウェルプレートをHRPコンジュゲートについて、650nmの吸光度で分光光度計にて(Tecan)分析した。検出可能な抗体が各時点で見られた。結果を表4及び図4に示す。
Figure 2010504822
実施例30
アセチル化マルトデキストリン(ブチル化-MD)の製造
突出ブチリル基を有するマルトデキストリンを、さまざまなモル比で酪酸無水物とカップリングさせることにより調製した。
ブチル化-MD(1ブチル/4グルコースユニット、1:4 B/GU)を提供するために、以下の方法を行った。マルトデキストリン(MD;Aldrich;11.0g;3.67mmol;DE(デキストロース当量):4.0〜7.0)をジメチルスルホキシド(DMSO)600ml中で攪拌して溶解した。マルトデキストリンのサイズを、2000Da〜4000Daの範囲で計算した。反応溶解が完了したら、1-メチルイミダゾール(Aldrich;2.0g、1.9ml)及び酪酸無水物(Aldrich;5.0g、5.2ml)を加えて攪拌した。反応混合物を室温で4時間攪拌した。この時間の後に、反応混合物を、水で反応を止め、そし1000MWCO透析チューブを用いてDI水に対して透析した。ブチル化デンプンを凍結乾燥を介して単離して9.315g(85%の収率)を与えた。NMRにより、1:3B/GUのブチル化が確認された(1.99mmolブチル/gサンプル)。
ブチル化-MD(1:8 B/GU)を提供するために、上に記載される量の酪酸無水物に代えて2.5g(2.6ml)酪酸無水物を用いた。79%(8.741g)の収率を得た。NMRにより、1:5B/GU(1.31mmolブチル/gサンプル)のブチル化を確認した。
ブチル化MD(1:2B/GU)を提供するために、10.0g(10.4ml)酪産無水物を上に記載される酪産無水物の量で置換した。96%の収率(10.536g)を得た。NMRにより、1:2B/GUのブチル化を確認した(3.42mmolブチル/gサンプル)。
実施例31
アクリル化アセチル化マルトデキストリンの調製(ブチル化MD-アクリレート)
さまざまな分子比で、酪産無水物をカップリングすることにより調製された突出ブチリル及びアクリレート基を有するアクリル化マルトデキストリンの調製。
ブチリル化MDアクリレート(1ブチル/4-グルコースユニット、1:4B/GU)を提供するために、以下の方法を行った。MD-アクリレート(実施例11;1.1g;0.367mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)60ml中に溶解し、攪拌した。反応溶解を完了した後に、1-メチルイミダゾール(0.20g、0.19ml)及び酪酸無水物(0.50g、0.52ml)を、攪拌して加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。この時間の後に、反応混合物を、4時間室温で攪拌した。この点で、反応混合物を、水で反応を停止し、そして1000MWCO透析チューブを用いてDI水に対して透析した。凍結乾燥を介してブチル化デンプンアクリレートを単離して、821gを得た(75%収率、単離の間に物質が失われる)。NMRにより、1:3のB/GUのブチル化が確認された(2.38mmolブチル/gサンプル)。
実施例32
アクリル化アクリル化マルトデキストリン(ブチリル化MD-アクリレート)の調製
様々な分子比で酪産無水物をカップリングすることにより、突出ブチリル及びアクリレート基を有するマルトデキストリンを調製した。
ブチル化-MD-アクリレートを提供するために、以下の方法が行われた。ブチル化-MD(実施例31;1.0g;0.333mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)60ml中に溶解して、攪拌した。反応溶解が完了したら、実施例10から得たEA-NCO(353mg;2.50mmol)の溶液を蒸発させ、そして乾燥DMSO1.0mlに溶解した。2つのDMSO溶液を混合し、そして55℃で一晩加熱した。DMSO溶液を透析チューブ(1000MWCO)に配置し、3日間水に対して透析した。マクロマー溶液をろ過し、そして凍結乾燥して白色固体を得た。
実施例33
生分解性眼用インプラントの調製、Fabフラグメントの取り込み、放出、及びMDアクリレートフィラメントからの検出
実施例11で調製した1500mg(式I)のMD-アクリレートを、8mlのアンバーバイアルに配置した。MD-アクリレートに対して、5mgの光開始物質を加えた4,5-ビス(4-ベンゾリフェニルーメチレンオキシ)ベンゼン-1,3-ジスルホン酸(DBDS)、65mgのウサギ抗ヤギIgG、F(ab)(F(ab);Lampire Biological Laboratories; Pipersville, PA) 及び1mlの改変PBS(0.01Mリン酸、0.015M NaCl)。次に試薬を、室温で4時間シェーカー上で混合した。1mlのシリンジを用いて18mmの長さのUV-透過性シリコーンチューブ(0.64mmID;P/N 60-011-03;Helix Medical, Carpinteria, CA)に20μlの量の混合物を注入した。バインダークリップを用いて両末端でチューブを閉じ、そして光源から15cm離して、Dymax Lightweld PC-2照射システム(Dymax Corp.;光強度1.5mW/cm2)に配置し、75秒間照射し、そして取り出した。照射後、チューブを0.65cmの長さに切り出した。0.018”のステンレス鋼ロッドを用いて、1.5mlエッペンドルフ(VWR)にフィラメントをチューブから押し出した。フィラメントは硬く、これによりMD-アクリレートの完全な重合が示唆される。過剰量の液体は観察されなかった。フィラメントを鉗子で操作した。4℃で一晩置いてフィラメントを完全に乾燥させ、微量天秤(UMX2, Mettler Toledo, Columbus, OH)で秤量し、使用するまで4℃で貯蔵した。
F(ab)を含むマルトデキストリンフィラメントを、52.4%(1100mg+1ml)の固体含量の濃度を有するMD-アクリレート溶液(製剤2)から作成した。これらは、物理的に硬く、そして60%(1500mg+1ml)の固体含量を有する溶液から作成されたものと同等である。
F(ab)を含まないマルトデキストリンフィラメントは、52.4%(1100mg+1ml;対照1)又は60%(1500mg+1ml;対照2)MD-アクリレート溶液から作成された。
In vitro(Fab)溶出を評価するために、α-アミラーゼ(カタログ#A6380;Sigma)0.121μg/ml及び牛血清アルブミン(BSA;カタログ番号A7906Sigma)(溶出溶液)を含む0.5mlの1×PBSを入れた0.6mlμ遠心チューブ(VWR)に配置した。133日(製剤1)又は79日(製剤2)の所定の間隔で、200μlの溶出溶液を各管から取り、既知の体積の1×PBSで希釈し、そして酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて合計F(ab)分子放出又は活性型F(ab)分子のいずれかを分析した。時間間隔に沿った溶出の結果を図9に示す。
簡潔に記載すると、96ウェルプレートのウェルを、活性型F(ab)についてヤギIgG(Sigma, St. Louis, MO; カタログ番号#15256)溶液で最初に皮膜するか、又は合計F(Ab)検出のためロバ抗ウサギIgG(Rockland Immunochemicals, Gilbertsville, PA; カタログ番号611-703-127)溶液で最初に皮膜した。これらの溶液を室温で90分間インキュベートし、そして次に300μlPBS/Tween20(Sigma)で3回洗浄した。ウェルを200μlStabilCoat(SurModics, Eden Prairie,MN)で1時間室温でブロッキングし、そして300μl PBS/Tween20(Sigma)で3回洗浄した。ウェルを、200μlStabilCoat(Surmodics, Eden Prairie,MN)で1時間室温でブロッキングし、そして次に300μlPBS/Tween20で3回洗浄した。100μl量の(MDフィラメントからのF(ab)の溶出由来の)溶出溶液を適切なウェルに加え、そして1時間室温でインキュベートし、そして次にPBS/Tween20で3回洗浄した。ロバ抗ウサギIgGHRP(Rockland Immunochemicls,Gilbertsville,PA;カタログ番号611-703-127の100μLのサンプルを、各ウェルに加え、そして1時間室温でインキュベートした。ウェルを300μlのPBS/Tween20で4回洗浄した。ロバ抗ウサギIgGHRPの100μLサンプル(Rockland Immunochemicals,Gilbertsville,PA;カタログ#611-703-127)を各ウェルに加え、そして室温で1時間インキュベートした。ウェルを300μlのPBS/Tween20で4回洗浄した。100μlのTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(KPL、カタログ番号50-76-00;Gaithersburg,MD)を各ウェルに加えた。動力学的アッセイでは、TMB基質は、ペルオキシダーゼと反応した際に青色の呈色をもたらす。15分後、650nmの吸光度において分光光度計(Molecular Devices)で96ウェルプレートをHRPコンジュゲートについて分析した。終点分析では、酸性の停止溶液を添加すると、発色が止まり、そしてTMB基質が黄色になる。或いは、15分後に、100μlの1N HCl溶液がウェルに加えられて反応を停止させる。次に吸光度を450nmで計測した。
In vitroフィラメントの質量喪失の評価するために、α-アミラーゼ(カタログ#A6380;Sigma)0.121μg/ml及び牛血清アルブミン(BSA;Sigma;カタログ番号A7906)を含む0.5mlの1×PBS(溶出溶液)を入れた0.6mlμ遠心チューブ(VWR)に配置した。両方の製剤について84日間にわたる所定の時間点で、溶出溶液の全てを各ウェルから取り出し、フィラメントを500μlの脱イオン水で洗浄し、そして水を取り除いた。フィラメントを完全に乾燥させ、次に微量天秤(UMX2, Mettler Toledo, Columbus, OH)で秤量した。残存している質量の割合を、各時点でのフィラメントの重量を同一のフィラメントの最初の重さ(α-アミラーゼに未暴露)で割ることにより計算した(n=5/時間点)。時間間隔にわたる質量の喪失の結果を図5(製剤1)に示し、そして図6(製剤2)に示した。
実施例34
生分解性眼用インプラントの移植
Dutch-beltedウサギを生分解性眼用インプラントの移植のための動物モデルとして使用した。本研究は、硝子体内委嘱の後に最大で12週間の異なるマルトデキストリンに基づく眼用インプラントの薬物動態及び安全性についての情報を提供した。
試験インプラントを、1500mg/mlマルトデキストリンで剤形した(試験器具(製剤1)、実施例33と同様に調製)及びラビット抗ヤギIgG Fab(F(ab))、又は1000mg/mlマルトデキストリン(試験器具2(製剤2)、実施例33と同様に調製)及びF(ab)。F(ab)フラグメントを含有しないロッドを、対応する対照器具(対照1及び対照2、実施例33と同様に調製)として用いた。
試験器具1及び試験器具2を、26匹の雌ウサギの左目及び右目に硝子体内にそれぞれ移植した。対照1及び対照2を、それぞれ4匹の雌ウサギの右目及び左目に硝子体内移植した。眼科試験(細隙灯及び間接検眼法)及び眼内圧力計測(IOP)を3日目、8日目、29日目、56/57/58日目、及び84/85日目に行った。対照の器具をインプラントされた4匹のウサギ全て、及び試験器具をインプラントされた2匹のウサギを29日目又は84/85日目に安楽死させた。試験器具をインプラントされた他の24匹のウサギを、8日目、29日目、57日目又は84日目に安楽死させた。インプラントされた器具、硝子体液、及び強膜/網膜/脈絡膜複合体をその眼から回収し、そして薬物動態分析に用いた。
試験中に死んだウサギはいなかった。(ロッド中に抗体を伴う場合伴わない場合のウサギに関する試験において)生分解性ロッドを移植後、ウサギの目を以下の生理的応答について評価した:結膜分泌物、結膜鬱血、結膜膨潤、房水フレア、瞳孔反応、硝子体不透明度、硝子体出血、網膜剥離、及び網膜瘢痕形成。29日目及び84/85日目の両方の病理分析により、これらの生理的応答が極めて限定的であったということが明らかにされた。
インプラントからデリバリーされた生物活性剤の治療効果は、ウサギにおける網膜血管漏出のVEGF誘導性モデルにおいても計測することができる。
動物試験の詳細は以下の通りである:
動物
30匹の雌Dutch Beltedウサギを、Covance(Denver,PA)から購入した。動物は12〜13ヶ月齢であり、そして投与の際に1.88〜2.80kgであった。推奨プロトコル用いて動物飼育を行った。試験に用いる前に、各動物について肉体試験を行った。各動物は、あらかじめの眼科試験(細隙灯及び間接検眼法)を受け、専門委員会により認められた動物眼科医により行われた。投与前に30匹の動物を秤量し、そして8つの治療群にランダムに割り当てた。インプラントの少なくとも2時間前に動物を絶食させた。
硝子体内移植の日(1日目)、及び硝子体内移植の二日後(2日目及び3日目)に、1日一回ネモシン/ポリミキシン/バシトラシン(NPB)眼科軟膏を各動物の両目に配置した。動物を筋肉内又は静脈内注射のいずれかを介して、ケタミン(100mg/ml)を35mg/kg、及びキシラジン(100mg/ml)を7mg/kgで注射して麻酔した。各動物の両目を、以下のように移植のために準備した:手術のおよそ20分前、2滴の1%トロピカミドを各眼に点眼した。手術の10分前に、2滴の塩酸フェニレフリン2.5%を各眼に点眼した。眼科ベタジン溶液で湿らせた。5分後、ベタジンを滅菌生理食塩水で眼から洗い流した。最終的に、塩酸プロパラカイン0.5%(1〜2滴)を各眼にデリバリーした。ワイヤー開瞼器を備えた手術顕微鏡下に眼を配置し、そしてステリドレープ(Steridrape)を用いて覆った。鎮痛のために、移植前にブプレノルフィンを0.02mg/kgで動物の皮下に投与した。
インプラント
硝子体内インプラント術では、1つの眼の上側側頭四分円において小さい角膜周囲切開を行った。20ゲージのMVRブレードを用いて、上側側頭四分円のふちの1〜2mm後ろに強膜切開を行った。試験器具または対照器具を、胸膜切開を介して、手術用小型鉗子を用いて硝子体基部の近くに挿入した。器具が完全にインプラントされると、強膜切開部及び結膜開港部をVicryl7-0吸収可能な縫合糸で閉じた。動物を再配置し、そして反対側の目に同様に適切な器具を移植した。インプラント術後にNPB眼科用軟膏を眼に与えた。
他のインプラント法では、眼用インプラントは、眼にデリバリーするための20〜25ゲージの中空針内に配置される。針の穿刺は、経結膜の強膜切開を作成する。インプラントの近くの針内にプランジャーを配置し、そして針内から硝子体内へとインプラントを追い出す。次に針を眼から抜く。25ゲージの針(又はそれ以下)を用いる場合、傷は自己密封し、縫合を必要としない。
眼科観察
3日目、8日目、29日目、56/57日目、及び84/85日目に残りの各動物の両目に、眼科観察を行った。網膜及び硝子体を十分に観察するために散瞳薬をもちいて眼を拡張させた。眼内圧(IOP)を、3日目、8日目、29日目、57/58日目、及び84/85日目に残りの動物の各々の両目について測定した。IOPを、Medtronic Solan Model 30の従来の空気眼圧計(Pneumatonometer)を用いて評価した。
組織調製及び分析
標準プロトコルに従い市販の安楽死溶液を静脈注射して動物を安楽死させた。安全分析用に指定された眼を以下のように調製した:両方の眼球を抜き出し、そして約24時間Davidson溶液内には位置した。24時間後、眼を70%アルコールに移した。眼をDavidson溶液に入れた時間と取り出した時間を記録した。眼球を次に病理組織評価にかけた。薬物動態解析について指定された眼を、以下のように調製した:両方の眼球を取り出し、そして液体窒素中で約-70℃で凍結させた。次の組織を全ての眼から回収し、そしてその重量を記録した:毛様体又は網膜細胞とコンタミしないように注意して硝子体液を回収した。強膜、網膜、及び脈絡膜を単一複合体として回収した。各眼について、死体解剖/組織回収が完了した時間を記録した。全ての組織サンプルを約-70℃で貯蔵した。各眼から硝子体液を回収している間に、眼から試験器具を取り外し、そして乾燥したラベルを付したエッペンドルフチューブに配置した。取り外された試験器具を、4℃又は遮光して-70℃のいずれかで分析まで貯蔵した。
移植片分析
7日目、28日目、56日目、及び84日目の時点で、装置((製剤1、53μgのF(ab);製剤2、73μgのF(ab);n=6/製剤/時点)を取り出し、そして(実施例33に記載されるように)ELISAを用いて残存している活性F(ab)及び合計F(ab)をアッセイし、データを図7に示す。これらの時点での硝子体サンプルは、単純にELISAを介して、活性F(ab)についてアッセイし、データを図8に表した。
取り外されたフィラメントの質量喪失を評価するために、取り外されたフィラメントを完全に乾燥させ、余分に接着している組織をかみそりを用いて除き、そして次に微量天秤(UMX2, Mettler Toledo, Columbus, OH)で計量した。残存重量の割合を、各時点におけるフィラメント重量を、初期のフィラメント重量で割ることにより計算し、データを図5(製剤1)及び図6(製剤2)に示した。
実施例35
分画されたマルトデキストリン(分画MD)の分子量の調製
ある分子量範囲を有するマルトデキストリンを、異なる孔サイズを有する限外ろ過膜を用いてマルトデキストリンを膜分離することにより調製した。
分画MDを提供するために、以下の手順を行った。マルトデキストリン(MD;Grain Processing Corp, Muscatine, IA; 1kg; DE(デキストロース当量):9〜12)を、撹拌して9000mlの脱イオン水に溶解した。マルトデキストリンを、1のカセットホルダーを用いて膜分離することができるか、又は同時に使用されるデュアル膜分離システムを介して膜分離することができる。10リットルのMD溶液を、10の一定の体積に維持し(保持液)、そして30Kカセットに対して膜分離した。全体で100リットルの浸透液を回収した。回収された100リットルの浸透液を1Kカセットに対して保持液体積を10lに濃縮した。分画MD(1〜30K)を、凍結乾燥を介して単離して、546.3g(55%収率)を得た。GPC-MALLSにより、MWAvE7900を確認した。開始物質はMWAVE11300であった。
分画MD(<30K)の提供:30gを上記のように画分した;3Lの浸透液を回収し、そして凍結乾燥した。79%の収率(23.6g)を得た。GPC-MALLSにより、MWAVE6,876が確認された。開始物質はMWAVE15400であった。
分画MD(1〜10K)の提供:10K膜を用いて上に記載されるように100gを分画した。10Lの浸透液を1Kカセットに対して、1Lの保持液体積に濃縮した。64%の収率(63.9g)を得た。GPC-MALLによりMWAVE7300が確認された。開始物質はMWAVE15400であった。
分画MD(5〜30K)の提供:100gを上記のように分画した。10Lの浸透液を5Kカセットに対して、1Lの保持液体積に濃縮した。49%の収率(48.6g)が得られた。GPC-MALLによりMWAVE17860が確認された。開始物質はMWAVE11300であった。
分画MD(10〜30K)の提供:300gを上記のように分画した。30Lの浸透液を1Kカセットに対して、1Lの保持液体積になるまで濃縮した。20%の収率(60.5g)が得られた。GPC-MALLによりMWAVE25000が確認された。開始物質はMWAVE11300であった。
実施例36
マルトデキストリン-メタクリレート マクロマーの調製(MD-メタクリレート)
マルトデキストリン-メタクリレートを、以下のように調製した:1〜30Kマルトデキストリン又は5〜30Kマルトデキストリン(実施例35に記載されるように調製)を、撹拌しながらジメチルスルホキシド(DMSO)1000mlに溶解した。反応溶解が完了すると、1-メチルイミダゾール(Aldrich;2.0g、1.9ml)、次にメタクリル酸無水物(Aldrich、38.5g)を撹拌して加えた。反応混合物を1時間室温で撹拌させた。この時間の後、反応混合物を水で反応を止め、そしてDI水に対して、1000MWCO透析チューブを用いて透析した。MD-メタクリレートを、凍結乾燥を介して単離して、63.283g(63%収率)を単離した。マクロマーの計算されたメタクリレート充填量は、130K MD-メタクリレートについて0.56μmol/mg(ポリマー)であり、そして5〜30K MD-メタクリレートについて0.54μmol/mg(ポリマー)であった。
実施例37
生分解性眼用インプラントの調製、FABフラグメント取り込み、放出、及びMDメタクリレートフィラメントからの検出
実施例36で調製した1300mgの1〜30K(製剤1)又は5〜30K(製剤2)のMD-メタクリレートを、8mlのアンバーバイアルに配置した。MD-メタクリレートに対して、5mgの光開始物質4,5-ビス(4-ベンゾイルフェニルーメチレンオキシ)ベンゼン-1,3-ジスルホン酸(DBDS)、90mgのウサギ抗ヤギIgG、F(ab)(F(ab);Lampire Biological Laboratories; Pipersville, PA)及び1mlの改変PBS(0.01Mリン酸、0.015M NaCl)を加えた。次に試薬を室温でシェーカー上で4時間混合した。約20μlの混合物を、1mlシリンジを用いて、18mm長の不透明シリコーンチューブ(0.64mmID;P/N 60-011-03;Helix Medical, Carpinteria, CA)に注入した。バインダークリップを用いて両末端でチューブに蓋をし、そして光源から15cm離してDymax Lightweld PC-2照射システム(Dymax Corp;光強度1.5mW/cm2)に配置し、60秒間照射し、180度ひっくり返し、さらに60秒照射して取り出した。照射後、チューブを0.65cmの長さに切った。0.018"ステンレス鋼ロッドを用いて、1.5mlエッペンドルフ(VWR)にフィラメントをチューブから押し出した。過剰量の液体は観察されなかった。フィラメントを鉗子で操作した。フィラメントを4℃で一晩乾燥させ、微量天秤(UMX2, Mettler Toledo, Columbus, OH)で計測し、そして使用するまで4℃で貯蔵した。
実施例38
生分解性眼用インプラントの移植
実施例34に記載されるのと似た別の動物試験では、Dutch-beltedウサギを、実施例37に従って調製された生分解性眼用インプラントの移植用の動物モデルとして用いた。
3、7、14、28、及び84日の時間点で、当該器具(製剤1及び2、約75μgのF(ab)/器具;n=5/製剤/時間点)を取り出し、そして残存する活性型及び合計のF(ab)を、ELISA(実施例33に掲載される)を用いて評価し、データを図10に示した。
取り外したフィラメントの質量喪失分の評価のため、取り外したフィラメントを完全に乾燥させ、全体として余剰の接着組織を剃刀を用いて取り除き、そして微量天秤(UMX2, Mettler Toledo, Columbus, OH)で計量した。残存している質量割合(%)を、各時点でのフィラメント重量を初期フィラメント重量で割ることにより計算した。

Claims (25)

  1. 生物活性剤を眼の内部にデリバリーするための生分解性インプラントであって、当該インプラントが、生分解性ポリマー及び生物活性剤を含むマトリクスを含み、当該マトリクスが移植から30日の期間の経過後、治療有効量の生物活性剤を眼の内部に放出することができる、前記生分解性インプラント。
  2. 無縫合手術を用いて眼の内部の位置に配置できるように構成された、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  3. 前記生分解性ポリマーが、天然生分解性多糖を含む、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  4. 前記マトリクスが、突出重合基を介して架橋された生分解性ポリマーから形成される、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  5. 前記生分解性ポリマーが、α-1,4結合により連結される繰り返しグルコピラノースユニットを有する直線状ポリマーを含む、請求項3に記載の生分解性インプラント。
  6. 前記生分解性ポリマーが、50000Da以下の平均分子量を有する、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  7. 前記生分解性ポリマーが、1000Da〜約10000Daの範囲の平均分子量を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記生物活性剤は親水性化合物である、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  9. 前記生物活性剤がポリペプチドである、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  10. 前記生物活性剤が抗体又は抗体フラグメントである、請求項9に記載の生分解性インプラント。
  11. 前記生物活性剤が、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ、エデコロマブ、セツキシマブ、及びベバシズマブ、ラニビズマブ、サツモマブ、パーツズマブ、及びダクリズマブからなる群から選ばれる、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  12. 前記生物活性剤は、抗増殖剤、抗炎症剤、抗血管新生剤、ホルモン剤、抗生物質、及び神経栄養因子からなる群から選ばれる、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  13. 前記生物分解性ポリマーが、87.5重量%又はそれ以上でインプラント中に存在する、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  14. 前記生物分解性ポリマーが、90重量%又はそれ以上でインプラント中に存在する、請求項13に記載の生分解性インプラント。
  15. 前記生物活性剤が、最大で12.5重量%の量でインプラント中に存在する、請求項1に記載の生分解性インプラント。
  16. 前記生物活性剤が、インプラント中に5重量%〜11重量%の範囲で存在する、請求項15に記載の生分解性インプラント。
  17. 前記方法が以下のステップ:
    生分解性ポリマーと生物活性剤を含むマトリクスを含む生分解性インプラントであって、当該インプラントが、無縫合外科手術を用いて眼の内部の位置に配置することができるような形にされる、生分解性インプラントを提供し;
    当該インプラントを眼の内部に移植し、そして
    当該インプラントを眼の内部に維持し、ここで当該インプラントが、移植ステップから30日の期間の経過後、眼の内部に治療有効量の生物活性剤を放出する
    を含む、眼の内部に生物活性剤を投与する方法。
  18. 前記移植ステップが、前記生物活性剤インプラントを眼の内部に無縫合手術で移植することを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記維持ステップにおいて、前記インプラントが、移植のステップから60日の期間の経過後に、眼の内部に治療有効量の生物活性剤を放出する、請求項17に記載の方法。
  20. 前記維持ステップにおいて、前記インプラントが、移植のステップから120日の期間の経過後に、眼の内部に治療有効量の生物活性剤を放出する、請求項17に記載の方法。
  21. 網膜剥離、血管閉塞、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、脈絡膜炎、網膜炎、加齢黄斑変性、血管病、腫瘍増殖、及び新生物からなる群から選ばれる眼の病気又は適応症を治療するために行われる、請求項17に記載の方法。
  22. 生物活性剤を眼の内部に投与する方法であって、当該方法が以下のステップ:
    天然生分解性多糖類及び生物活性剤から構成されるマトリクスを含む生分解性インプラントを提供し、そして
    当該インプラントを眼の内部に移植し、ここで当該インプラントが治療有効量の生物活性剤を眼の内部に放出するステップ
    を含む、前記方法。
  23. 天然生分解性多糖類から構成されるマトリクス、及び当該マトリクス内に生物活性剤を含む生物活性剤放出性の生分解性眼用インプラント。
  24. 生分解性インプラントを眼の内部に配置するためのキットであって、当該キットが以下の:
    生分解性ポリマー及び生物活性剤を含むマトリクスであって、当該マトリクスが移植から30日の期間の経過後、治療有効量の生物活性剤を眼の内部に放出することができるマトリクスを含む生分解性インプラント、及び
    眼の内部の標的部位に当該インプラントを提供する挿入装置
    を含む、前記キット。
  25. 前記挿入装置が、25ゲージ又はそれ以下のサイズを有する針であって、その中にインプラントを配置できる針を含む、請求項24に記載のキット。
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