JP2010501447A - 移動および回転可能な乗客シート - Google Patents

Abstract

乗客シートはシートボトムと、シートボトムに可動に連結されたシートバックとを含む。乗客シートは水平方向で前後左右に移動でき、所望する水平方向になるように垂直軸周囲で回転できる。乗客シートは垂直座姿勢と傾斜横臥姿勢との間で可動である。乗客シート構造は１列に配列された複数の乗客シートで成る。隣接する乗客シート同士はプライバシー保護仕切りで分離されている。プライバシー保護仕切りに取り付けられたトレーテーブルは選択的に上昇および下降でき、水平軸周囲で回転できる。各乗客シートはシートボトムに可動に連結され、垂直座姿勢用と傾斜横臥姿勢用の下降位置と上昇位置との間で可動であるレッグレストを含むことができる。
【選択図】図１

Description

本発明は乗客シートに関する。特に、本発明は限定空間内で、垂直座姿勢と傾斜横臥姿勢との間で平行移動と回転との双方が可能な乗客シートに関する。また、本願は米国仮特許願６０/８２９２１６（２００６年１０月１２日出願）の優先権を主張する。

普通、長距離飛行をする航空機は出発地から目的地まで１２時間から１８時間またはそれ以上の長時間をかけてノンストップで飛行する。現在、ファーストクラスキャビン（客室）は様々な形態の“スリーパシート”を提供する。これは可動式のシートバックが傾斜し、乗客に横臥姿勢またはほぼ横臥姿勢をとらせるものである。シートによっては、スリーパシートは実質的に水平面を提供する。またシートによっては、スリーパシートのシートバックは完全リクライニング位置にてシートの他の部分よりも少々高く保たれる。一般的にはスリーパシートはプライバシー保護仕切りによって隣接シートから分離される。

このようなスリーパシートは乗客に快適性を提供するが、不都合な点も併せ持つ。航空機の運用コストは航空機胴体の物理的な大きさと、それに伴う空力学抵抗とに直接的に関連するため、航空機の客室を可能な限り小さく設計することが望ましい。現存のスリーパシートは客室内で大きなスペースを占有し、所定数の所定形態であるスリーパシートの収容に必要な航空機サイズを増大させている。さらにプライバシー保護仕切りは、スリーパシートが睡眠のために利用されていないときには不快な“監禁”感覚を乗客に与えることが多い。

従って航空機客室内でシートが占領する空間を最小にし、快適な垂直座姿勢と傾斜横臥姿勢との両方を提供する乗客シートの需要が存在する。

これらの不都合と、その結果としての需要は本発明により適切に対処される。本発明は限定空間内で、垂直座姿勢と傾斜横臥姿勢との間で平行移動と回転との双方が可能な乗客シートを提供する。

一つの態様によれば、本発明は、乗客シートの前縁部を形成するシートボトム（底部）と、シートボトムに可動に連結されているシートバック（背部）とを含む乗客シートを提供する。この乗客シートは水平方向にて前後左右に移動でき、所望する水平方向に乗客シートの前縁部を向けるように略垂直軸の周囲で回転できる。さらにこの乗客シートは垂直座姿勢と傾斜横臥姿勢との間で動かすことが可能である。好適には傾斜横臥姿勢は完全リクライニング位置である“フラット平面”横臥姿勢である。

別な態様では本発明は航空機客室の縦軸に略平行であり、少なくとも１列に配列された複数の乗客シートで成る乗客シート構造を提供する。それぞれの乗客シートはシートボトムと、シートボトムに可動に連結されたシートバックとを含む。さらに各乗客シートは垂直座姿勢と傾斜横臥姿勢との間で移動と回転との双方が可能である。好適にはそれぞれの乗客シートは略水平方向にて前後左右に移動でき、乗客シートが所望水平方向に向くことができるように略垂直軸の周囲で回転可能である。

さらに別な態様では、同列で隣接する乗客シート同士はプライバシー保護仕切りによって分離されている。各プライバシー保護仕切りはその近端側が高くなっており、横臥姿勢の乗客を遮蔽しており、遠端側では低くなっており、垂直座姿勢の乗客がプライバシー保護仕切り越しに周囲を見渡せるようになっている。

さらに別な態様では、トレーテーブルが各乗客シートの前方部に形成されているプライバシー保護仕切りに取り付けられている。トレーテーブルはプライバシー保護仕切りに選択的に上昇および下降させることができるように提供されており、垂直座姿勢あるいは横臥姿勢の乗客が利用できるようになっている。トレーテーブルは垂直座姿勢の乗客用に上面を上方向に露出し、横臥姿勢の乗客用に下面を上方向に露出できるように水平軸の周囲で回転可能にプライバシー保護仕切りに取り付けられている。好適にはトレーテーブルの上面は実質的に平坦で硬質であり、下面はクッション入りで立体形状を有している。

さらに別な態様では各乗客シートはシートボトムに可動に連結されたレッグレストをさらに含む。このレッグレストは垂直座姿勢の乗客が使用する下方位置と、傾斜横臥姿勢の乗客が使用する上方位置との間で可動である。

本発明に従って構成された複数の乗客シートの斜視図である。 航空機客室に配置された状態の図１で示す複数の乗客シートを含んだ乗客シート配列の平面図である。 完全傾斜横臥姿勢である本発明の別実施例による乗客シートの斜視図である。 垂直座姿勢である図３Ａで示す乗客シートの斜視図である。

本発明は添付の図面を解説した以下の詳細な説明によりさらに深く理解されよう。

図１と図２は、例えば商用航空機の旅客機客室１１である乗物客室内に配置された状態の本発明による複数の乗客シート１０を図示する。各乗客シート１０は適切な方法でシートボトム１４に可動に連結されたシートバック１２を含む。シートバックの上部はオプションで別体または一体化したヘッドレスト（図示せず）を含む。さらに典型的には乗客シート１０はオプションでアームレスト（図示せず）を含む。乗客シート１０はシートフレーム（図示せず）により支持されている。乗客シート１０は専門技術者には良く知られた方法でレールおよびレール金具によって旅客機客室１１の床に取り付けられている。ここで解説する例示的な実施例では乗客シート１０は旅客機客室１１の縦軸Ｌ（図２）に略平行であり、間隔を開けて設置されている複数の列に配置されている。しかし乗客シート１０は、バス、列車、船舶、等々のいかなる乗物内においても、またいかなる所望方向にでも配列することができる。

プライバシー保護仕切り１６は隣接する乗客シート１０との間に配置されており、個々の乗客シートを利用する乗客に一般的には平行四辺形である専用使用空間を提供するように適切な方法で設置されている。プライバシー保護仕切り１６は、垂直座姿勢の乗客は仕切り越し、および仕切り周囲を見ることができるるが、他の姿勢の乗客を前後方向で遮蔽するように設計されている。図１で図示するようにプライバシー保護仕切り１６は最大のプライバシー保護を提供するように旅客機客室１１の胴体壁１８側の第１端で最も高くなっており、可視性を増加させ、遠部（内側）１９側では乗客に不快な“監禁”感覚を与えないように最も低くなっている。プライバシー保護仕切り１６の上方部分２０は乗客によって選択的に上昇または下降できるよう、あるいは収納または引き出しできるように設計できる。

トレーテーブル２２は各乗客シート１０の前方でそれぞれのプライバシー保護仕切り１６に取り付けられている。以下で詳細に解説するようにトレーテーブル２２は選択的に上昇または下降できるようになっている。さらに、例えば図１のＡで示されている軸の周囲で回転し、平坦で硬質である上面２２Ａまたは好適にはクッション付きの所望形状で提供されている下面２２Ｂを上方に露出させるように設計することができる。例えばトレーテーブル２２は水平シャフト（図示せず）に回転式に搭載することができる。水平シャフトはプライバシー保護仕切り１６に設けた垂直レールまたは垂直溝（図示せず）に取り付けることができる。

各乗客シート１０には乗客シートを様々な姿勢、例えば少なくとも垂直座姿勢および傾斜横臥姿勢となるように操作する可動部品、制御装置及び/又は作動装置が提供されている。一つの好適実施例では、横臥姿勢は完全リクライニング横臥姿勢で、通常は“フラット平面”と呼称されるものであり、乗客シート１０はベッドとして機能する。乗客シート１０はオプションにていくつかの中間シート形態となることもできる。

特に、各乗客シート１０はその中立位置から相当範囲にて水平方向で前後左右に移動することができる。さらに各乗客シート１０は３６０°程も略垂直軸の周囲で回転（旋回）することができ、乗客シートの前縁部は図２でＦ、Ｆ１、Ｆ２等の矢印方向で示される所望の水平方向に向くことができる。乗客シート１０の移動は手動で実行することもできるが、知られた作動装置を利用しても自動で実行することも可能である。いずれにしろ、これら水平移動性能と、略垂直軸周囲の回転性能の組み合わせによって従来の乗客シートが成し得なかった複数の乗客シート姿勢が提供される。

例示として図１の最後部乗客シート１０Ａは離陸時、着陸時、食事時、作業時およびビデオ鑑賞時の垂直座姿勢で図示されている。シートボトム１４は略水平であり、シート１０の質量中心Ｃ（図２）が相対的に内側の位置となるよう移動されている。言い換えると乗客シート１０は旅客機客室１１の通路２４の方向にプライバシー保護仕切り１６によって境界が設けられている領域を越えて延びている。同時にシートバック１２は実質的に垂直であり、あるいは部分的に傾斜した状態に残る。

通路２４の方向に移動した後、乗客シート１０は約３６０°回転することができるため乗客は様々な方向に向くことができ、隣接する縦列または横列に座る乗客の方向に向くこともできる。図２のＦ２の矢印で示すように乗客シート１０は２体の隣接プラインバシー保護仕切り１６に挟まれた空間方向に向くように略垂直軸の周囲で回転することもできる。この後者の形態は隣接するプライバシー保護仕切り１６で提供される平行四辺形の乗客専用空間内に乗客“個人客室”を提供する。

図１で示す乗客シート１０Ｂは傾斜横臥姿勢であり、完全リクライニング“フラット平面”姿勢である。乗客シート１０Ｂは通路２４の方向に向いており、隣接するプライバシー保護仕切り１６と略平行であり、図２のＦ２で示す矢印方向に向いている。乗客シート１０Ｂの質量中心Ｃは旅客機客室１１の胴体壁１８の方向に移動している。乗客は完全リクライニングすることができ、乗客の頭部は身体よりも少々上方に位置するか、同一の高さに位置する。好適にはトレーテーブル２２は軸Ａの周囲で回転されてクッション付きの下面２２Ｂが上方に向けられ、その後に下降されて下面がシートバック１２およびシートボトム１４の水平面と整合され、全体として横臥表面が形成される。

図３Ａと図３Ｂは乗客シート１０と実質的に類似した本発明の別実施例による乗客シート１００を図示する。乗客シート１００は隣接するプライバシー保護仕切り１１６間に位置し、シートバック１１２とシートボトム１１４とを含む。乗客シート１００はさらにシートボトム１１４に可動に連結され、図３Ａで示す上昇位置と図３Ｂで示す下降位置との間で可動であるレッグレスト１１５を含む。乗客シート１００は可動であり、乗客シート１０に関して前述したように様々な姿勢（例えば着座姿勢、横臥姿勢）に移動および回転できる。しかし乗客シート１００は自身の一体式レッグレスト１１５を有しているので、従来式の固定式または折畳み式のトレーテーブル１２２を乗客前方のプライバシー保護仕切り１１６に設置することができる。

以上、最小空間内にて垂直座姿勢から傾斜横臥姿勢との間で移動および回転が可能な乗客シートを解説した。本発明の例示的実施例および好適実施例が説明されているが、専門家であれば理解するように本発明の精神と範囲から逸脱せずにそれらに変更を加えることは可能である。従って本発明を実施する前述の解説と最良形態は本発明を限定するためではなく、本発明の解説のみを目的として提供されている。

Claims (10)

1. 乗客シート構造であって、旅客機客室（１１）の縦軸（Ｌ）に対して略平行に配列されている少なくとも１列に配置された複数の乗客シート（１０）を含んで成り、各該乗客シート（１０）はシートボトム（１２）と、該シートボトム（１２）に可動に連結されているシートバック（１４）とを含んでおり、各前記乗客シート（１０）は、垂直座姿勢と傾斜横臥姿勢との間で移動と回転との双方が可能であることを特徴とする乗客シート構造。
2. 各乗客シート（１０）は略水平方向（Ｆ、Ｆ１、Ｆ２）で前後左右に移動可能であり、略垂直軸の周囲で回転可能であることを特徴とする請求項１記載の乗客シート構造。
3. 隣接するそれぞれの乗客シートペア間に設置されたプライバシー保護仕切り（１６）をさらに含んでいることを特徴とする請求項１記載の乗客シート構造。
4. 各プライバシー保護仕切り（１６）はその略縦方向（Ｌ）の１端部で相対的に高く設計されて傾斜横臥姿勢である乗客を遮蔽しており、他端部では相対的に低く設計されて垂直座姿勢である乗客には該プライバシー保護仕切り（１６）を越えて周囲を見回せるようにしていることを特徴とする請求項３記載の乗客シート構造。
5. 各乗客シート（１０）の前方でプライバシー保護仕切り（１６）に取り付けられたトレーテーブル（２２）をさらに含んでいることを特徴とする請求項３記載の乗客シート構造。
6. トレーテーブル（２２）は、垂直座姿勢で使用する上昇位置と、傾斜横臥姿勢の横臥面の一部として下降位置とに選択的に位置設定されるようにプライバシー保護仕切り（１６）に取り付けられていることを特徴とする請求項５記載の乗客シート構造。
7. トレーテーブル（１６）は、垂直座姿勢での使用では上面（２２Ａ）を上方に露出し、傾斜横臥姿勢での使用には下面（２２Ｂ）を上方に露出するようにプライバシー保護仕切り（１６）に取り付けられていることを特徴とする請求項６記載の乗客シート構造。
8. 上面（２２Ａ）は実質的に平坦な硬質であり、下面（２２Ｂ）はクッション付きの立体形状であることを特徴とする請求項７記載の乗客シート構造。
9. シートボトム（１１４）に可動に連結されており、垂直座姿勢用の下降位置と傾斜横臥姿勢用の上昇位置との間で可動であるレッグレスト（１１５）をさらに含んでいることを特徴とする請求項１記載の乗客シート構造。
10. 傾斜横臥姿勢は完全リクライニング“フラット平面”横臥姿勢（１１２、１１４、１１５）であることを特徴とする請求項１記載の乗客シート構造。

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