JP2010288407A - 架空配電線用絶縁カバー - Google Patents

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Abstract

【課題】作業工程の煩雑さを解消し、熟練作業を要することなく施工でき、電線接続部の高品位の防水性能を安定して確保し、さらに再使用(リペア・リユース)が可能な架空配電線用絶縁カバーを提供する。
【解決手段】ヒンジ結合された一対の半筒状カバー部材11,12は、架空配電線100,102の電線接続部101,103の周囲を覆う保護部収容壁21,31と、保護部収容壁21,31の側縁24,25,34,35に延設されて架空配電線の出入口となる電線挿通壁22,23,32,33とを一体に形成することでそれぞれ作られており、保護部収壁部の側縁及び電線挿通壁の全周に密着して気密保持する低硬度ゴム層41,51を有し、低硬度ゴム層41,51が、一対の半筒状カバー部材11,12の片面または両面に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、架空配電線用絶縁カバーに関し、特に架空配電線の電線接続部や分岐部等の電線接続部を挟着保持することで、該電線接続部を絶縁保護する配電線路のジャンパー部分に使用する接続用スリーブの架空配電線用絶縁カバーに関する。
従来の架空配電線の電線接続部や分岐部等の電線接続部は、充電部分を隠蔽するためにカバーを施工したものに、固定と防水性を確保するためにカバー両端に粘着性ポリエチレンテープを巻いているのが一般的であった。
上述した電線接続部に対するテープ巻き作業としては、図4(A)に示す直接活線工法と、図4(B)に示す間接活線工法(ホットスティック)とがある。
また、架空配電線用絶縁カバーに関する特許文献1では、挿通した架空配電線の外周に対して、密着して気密保持する絶縁性粘着材層を設けている。
さらに、防水用ゴム組成物及びそれを用いた電線接続用絶縁性防水材に関する特許文献2では、電線接続部の両端にテープを巻回し、さらにその上を両端に跨がって緊縮力のある粘着シートやテープ、または機械的強度の大きいプラスチックカバーで被覆することを提案している。
特開2001−298839号公報 特開平4−126789号公報
ところが、上述した電線接続部に対するテープ巻き作業を行う場合に、図4(A)に示すように作業者が電柱に登っての作業、若しくは高所作業車のバケットに搭乗した高所において、直接手作業でテープ巻きする直接活線工法では、電気用ゴム手袋などの絶縁保護具を装着して作業するものの、作業者は熟練を要し、感電の危険があり夏場の作業においては疲労が大きかった。
また、図4(B)に示すように作業者が直接手を触れることなく絶縁棒を用いる間接活線工法の場合でも、縁回し部分は作業スペースが狭く、テープ巻きが困難である。そのため、十分にテープを巻くことができず、充電部が露出したり、充電部に水が浸入することがあった。また、作業者の熟練度により作業に時間がかかることもあった。
また、特許文献1の技術では、挿通した架空配電線の外周に対して、密着して気密保持する絶縁性粘着材層を設けているものの、粘着材層はゲル状であるために、一度カバーを閉じたものを再度開いて使用することが難しかった。
特許文献2の技術では、テープ巻回し、さらにその上からテープあるいはカバーするという2重の工程が必要であり、作業に手間がかかる。
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することにあり、作業工程の煩雑さを解消し、熟練作業を要することなく施工でき、電線接続部の高品位の防水性能を安定して確保し、さらに再使用(リペア・リユース)が可能な架空配電線用絶縁カバーを提供することである。
上記課題を解消するために、本発明の架空配電線用絶縁カバーは、ヒンジ結合された一対の半筒状カバー部材が、架空配電線の電線接続部の周囲を覆う保護部収容壁と、前記保護部収容壁の側縁に延設されて前記架空配電線の出入口となる電線挿通壁とを一体に形成することで作られており、前記保護部収壁部の前記側縁及び前記電線挿通壁の全周に密着して気密保持する超低硬度ゴム層を有し、前記超低硬度ゴム層が、前記一対の半筒状カバー部材の片面または両面に形成されていることを特徴とする。上記構成により、作業工程の煩雑さを解消し、熟練作業を要することなく施工でき、電線接続部の高品位の防水性能を安定して確保し、さらに再使用(リペア・リユース)が可能である。
本発明の架空配電線用絶縁カバーでは、前記超低硬度ゴム層は、JISK6300で規定するムーニー粘度ML1+4 (121℃)が100以上である高分子量のエチレン−プロピレンゴム100重量部,パラフィン系オイル300〜600重量部,および有機過酸化物1〜15重量部を必須成分とする防水用ゴム組成物であることを特徴とする。上記構成により、優れた弾性力で電線接続部に密着して良好な防水性を確保できる。
本発明の架空配電線用絶縁カバーでは、前記防水用ゴム組成物には、高吸水性ポリマーが配合されていることを特徴とする。上記構成により、仮に電線接続部に外部から例えば雨や湿気によって水分の浸入があった場合でも、防水用ゴム組成物の高吸水性ポリマーがこの浸入水を吸収するので、電線接続部の防水効果が一層向上する。
本発明の架空配電線用絶縁カバーでは、前記防水用ゴム組成物を成形加硫してなることを特徴とする。上記構成により、防水用ゴム組成物は加硫体であるため粘着性が大きくないので、特に架空配電線用絶縁カバーの解体性も良好で再使用が可能である。
本発明によれば、作業工程の煩雑さを解消し、熟練作業を要することなく施工でき、電線接続部の高品位の防水性能を安定して確保し、さらに再使用(リペア・リユース)が可能な架空配電線用絶縁カバーを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る架空配電線用絶縁カバーを展開した状態の全体図。 架空配電線用絶縁カバーの嵌合部の断面図(両面ゴム)。 架空配電線用絶縁カバーの嵌合部の断面図(片面ゴム)。 従来の電線接続部の接続作業例の図。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の架空配電線用絶縁カバーの好ましい実施形態を示しており、架空配電線用絶縁カバーを展開した状態の全体を示している。
図1に示す架空配電線用絶縁カバー10は、一対の半筒状カバー部材を有しており、2本の架空配電線100の電線接続部101と1本の架空配電線102の電線接続部103を覆って電気絶縁して保持するための再使用可能なカバーである。電線接続部101の導体部104と電線接続部103の導体部105は、コネクタ106により電気的にかつ機械的に接続されている。
架空配電線用絶縁カバー10は、第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12を有している。この第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12は、ヒンジ13により中心軸CLを中心としてR方向に開閉可能に結合されている。第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12は、中心軸CLを中心としてほぼ上下対称形状に形成されている。
第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12とヒンジ13は、電気絶縁性を有する材料により形成されている。架空配電線用絶縁カバー10の外殻である第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12とヒンジ13は、例えばプラスチックの射出成形などによりつくることができ、材質としては電気絶縁性を有する材質、主にポリエチレンまたはポリプロピレンが用いられるが、これに限定するものではない。
図1に示すように、第1半筒状カバー部材11は、保護部収容壁21と、電線挿通壁22,23とを一体に形成することで作られている。保護部収容壁21は、2本の架空配電線100の電線接続部101と1本の架空配電線102の電線接続部103とコネクタ106の周囲を覆うための部分である。電線挿通壁22は、保護部収容壁21の側縁24に延設されて2本の架空配電線100の出入口となる部分である。電線挿通壁23は、保護部収容壁21の側縁25に延設されて1本の架空配電線102の出入口となる部分である。保護部収容壁21内には、電線接続部101と電線接続部103とコネクタ106を収容する収容空間部26が形成されている。
同様にして、図1に示すように、第2半筒状カバー部材12は、保護部収容壁31と、電線挿通壁32,33とを一体に形成することで作られている。保護部収容壁31は、2本の架空配電線100の電線接続部101と1本の架空配電線102の電線接続部103とコネクタ106の周囲を覆うための部分である。電線挿通壁32は、保護部収容壁31の側縁34に延設されて2本の架空配電線100の出入口となる部分である。
電線挿通壁33は、保護部収容壁31の側縁35に延設されて1本の架空配電線102の出入口となる部分である。保護部収容壁31内には、電線接続部101と電線接続部103とコネクタ106を収容する収容空間部36が形成されている。第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12がヒンジ部13により閉じた状態では、電線接続部101と電線接続部103とコネクタ106が収容空間部26,36内に収容されるようになっている。
図1に示すように、第1半筒状カバー部材11は、一方の超低硬度ゴム層41を有している。同様にして、第2半筒状カバー部材12は、他方の超低硬度ゴム層51を有している。
一方の低硬度ゴム層41は、保護部収壁部21の側縁24,25及び電線挿通壁22,23の全周に密着して気密保持するための気密保持材である。他方の超低硬度ゴム層51は、保護部収壁部31の側縁34,35及び電線挿通壁32,33の全周に密着して気密保持するための気密保持材である。このように、図1に示す架空配電線用絶縁カバー10では、第1半筒状カバー部材11が一方の超低硬度ゴム層41を有し、かつ第2半筒状カバー部材12が他方の超低硬度ゴム層51を有している。
図1に示す超低硬度ゴム層41は、ゴム部分42,43,44,45を有し、超低硬度ゴム層51は、ゴム部分52,53,54,55を有している。ゴム部分42,43,44,45は、中心軸CLを中心としてゴム部分52,53,54,55に対してそれぞれ対応した位置にある。
ゴム部分42,43,44,45は、収容空間部26を囲むように形成されている。ゴム部分42は、中心軸CLと平行なX方向に沿ってほぼ形成され、ゴム部分43,44は、X方向と直交するY方向に沿って形成され、ゴム部分45は、X方向に沿って形成されている。ゴム部分43は、2本の架空配電線100の絶縁被覆の周囲に密着され、ゴム部分44は、1本の架空配電線102の絶縁被覆の周囲に密着されるようになっている。
これに対して、ゴム部分52,53,54,55は、収容空間部36を囲むように形成されている。ゴム部分52は、中心軸CLと平行なX方向に沿ってほぼ形成され、ゴム部分53,54は、X方向と直交するY方向に沿って形成され、ゴム部分55は、X方向に沿って形成されている。第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12を、ヒンジ13を介して閉じて互いに密着することで、ゴム部分43,53は、2本の架空配電線100の絶縁被覆の周囲に密着され、ゴム部分44,54は、1本の架空配電線102の絶縁被覆の周囲に密着されるようになっている。
これらの超低硬度ゴム層41,51の位置は、絶縁カバー11,12の保護部収壁部21,31の端から例えばS=約5mm程度内側の位置から全周囲に渡って10mm〜15mm幅(幅S1)のパッキン状に配置した形になっている。また、保護部収壁部21,31の全幅S2としては15mm〜20mmとなっている。
このようにする理由は、絶縁カバー11,12が最低限10mm以上の幅S1を有していなければ、現場作業において安定して有効に全周を水密シールできないことによる。
超低硬度ゴム層41,51は、予め成形(加硫)したものを、第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12に対してそれぞれ貼り合わせたり、加硫前の超低硬度ゴムを第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12に対してそれぞれ流し込み、超低硬度ゴム層41,51と第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12とを一体成形することもできる。このように貼り合わせる場合、超低硬度ゴム層41,51は、第1半筒状カバー部材11の溝と第2半筒状カバー部材12の溝へ挿入したり、接着剤を用いて固定することができる。
図2には、図1に示す第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12との嵌合部の一部を示している。第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12が重なり合って閉じると、第1半筒状カバー部材11側に固定された超低硬度ゴム層41、第2半筒状カバー部材12側に固定された超低硬度ゴム層51が互いに密着される。これにより、2本の架空配電線100の電線接続部101と1本の架空配電線102の電線接続部103とコネクタ106は、第1半筒状カバー部材11の収容空間部26と第2半筒状カバー部材12の収容空間部36内に収容された状態で覆われて密封される。図2の例では、超低硬度ゴム層41の断面形状は長方形であり、超低硬度ゴム層51の断面形状は台形であるが、超低硬度ゴム層41,51の断面形状は特に限定されない。
ここでいう超低硬度ゴム層41,51の超低硬度とは、デュロメーターで硬度10以下であるものであり、硬度が小さすぎてデュロメーターで測定不能なものも含む。
図1と図2の例では、第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12には超低硬度ゴム層41,51がそれぞれ配置されているが、図3(A)の例では、第1半筒状カバー部材11には超低硬度ゴム層は配置されておらず凹部11Tが形成されており、第2半筒状カバー部材12側だけに超低硬度ゴム層51が配置されている。図3(B)の例では、第1半筒状カバー部材11には超低硬度ゴム層は配置されておらず凹部11Sが形成されており、第2半筒状カバー部材12側だけに超低硬度ゴム層51が配置されている。
図3(A)では、超低硬度ゴム層51の断面形状は六角形であり、図3(B)では、超低硬度ゴム層51の断面形状は半円形と矩形を複合した形状である。しかし、超低硬度ゴム層51の断面形状は任意に選択できる。凹部11T、11Sの形状も任意に選択できる。また、逆に第2半筒状カバー部材12側に凹部を形成して、第1半筒状カバー部材11側に超低硬度ゴム層を配置しても良い。
このように、超低硬度ゴム層は図2に示すように第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12の両面に配置することが好ましいが、図3(A)と図3(B)のように第1半筒状カバー部材11と第2半筒状カバー部材12の片面だけに形成することができる。超低硬度ゴム層は基底面より1〜2mm突き出ており、かつ接触面が平面である。ただし、上述した本発明の実施形態は、一例でありこれに限定するものではない。
次に、超低硬度ゴム層41,51についてさらに説明する。
本発明の実施形態では、超低硬度ゴム層41,51は、JISK6300で規定するムーニー粘度ML1+4(121℃)が100以上である高分子量のエチレン−プロピレンゴム100重量部,パラフィン系オイル300〜600重量部,および有機過酸化物1〜15重量部を必須成分とする防水性ゴム組成物である。この防水性ゴム組成物(防水用ゴム組成物ともいう)には高吸水性ポリマーが配合されている。そして、防水性ゴム組成物は、成形加硫して成る。この防水性ゴム組成物は、特許第2610060号公報に開示されている。
(1)防水性ゴム組成物を構成する第1の必須成分は、電気絶縁性のエチレン−ブロピレンゴムであり、これがベースポリマーになっている。このエチレン−プロピレンゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)と、このEPMに更に第3成分としてジシクロペンタジエン,エチリデンノルボルネン,1,4−ヘキサンジエンのような非共役ジエンを加えて不飽和結合を導入したエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)とをあげることができる。
る。
このエチレン−プロピレンゴムとしては高分子量のものが用いられる。具体的には、ムーニー粘度ML1+4(121℃)で100以上のものが用いられる。このムーニー粘度ML1+4(121℃)が100より低いものは、低分子量であるため軟らかすぎて形状保持能が小さいので、シート状に成形加硫加工するときに、例えば成形機のロールなどに粘着して成形が困難になったりすることがあるからである。
このエチレン−プロピレンゴムは、通常、その加工性を高めるために、パラフィン系,ナフテン系,アロマティック系などのゴム配合油の所定量を配合した油展品として市販されているが、本発明で用いるエチレン−プロピレンゴム油展品の場合には、配合されているゴム配合油が後述する第2の必須成分であるパラフィン系オイルであり、しかも100重量部油展品(エチレン−プロピレンゴム100重量部に対しパラフィン系オイル100重量部で油展したもの)でそのムーニー粘度ML1+4(100℃)が35以上、40部油展品(エチレン−プロピレンゴム100重量部に対しパラフィン系オイル40重量部で油展したもの)でそのムーニー粘度ML1+4(121℃)が50以上のものである。
なお、ムーニー粘度の温度換算に関しては次のような関係が知られている。
今、ムーニー粘度ML1+4(100℃)をA、ムーニー粘度ML1+4(121℃)をBとすると、A,Bの間には、
A=1.4×B(A>B)
の関係が成立する。
本発明のムーニー粘度の温度換算も、上記した式に基づいて行われる。
したがって、例えば、上記したムーニー粘度ML1+4(100℃)が35の油展品のムーニー粘度ML1+4(121℃)は35/1.4=25になる。
(2)ゴム組成物における第2の必須成分は、パラフィン系オイルである。
パラフィン系オイルは、具体的には、流動パラフィン,パラフィン系プロセスオイルまたはこれらの混合オイルである。このパラフィン系オイルは、前記したエチレン−プロピレンゴムとの相溶性が良好で、後述する防水用ゴム組成物の成形加工時にその防水用ゴム組成物がロールなどに粘着することを防止し、そして得られた防水材を適度に軟質にしてその防水性を確保するために必要な成分である。
これに反し、ナフテン系やアロマティック系のゴム配合油を用いると、防水用ゴム組成物がロールなどに粘着してしまってその成形加工性が悪くなるばかりではなく、上記配合油はエチレン−プロピレンゴムとの相溶性が劣るので時間が経過すると、製造した防水材の表面にブリードしてきてしまう。
パラフィン系オイルのうち、例えば、パラフィン系プロセスオイルを使用する場合、その粘度比重定数(VGC)が0.849以下、好ましくは0.819以下のものを使用することが好ましい。VGCが大きくなると、そのパラフィン系プロセスオイルは、前記したナフテン系やアロマティク系の性状に近づき、上記したような不都合な問題が生じはじめるからである。
このパラフィン系オイルの配合量は、前記した第1の必須成分のエチレン−プロピレンゴム100重量部に対し、300〜600重量部に設定される。この配合量が300重量部より少ない場合は、後述する有機過酸化物の配合量とも関係するが、得られた防水材が硬くなりすぎて弾力性を失い、これを電線接続部に巻回しても接続部に密着せず、その結果、防水性が確保されないという問題が生ずる。また、配合量が600重量部より多い場合は、ゴム組成物が軟らかくなりすぎて、テープ状やシート状に成形加工することが困難になる。好ましい配合量は、エチレン−プロピレンゴム100重量部に対し350〜500重量部である。
(3)ゴム組成物の第3の必須成分は有機過酸化物である。
有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド,ベンゾイルパーオキサイド,1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシンなどをあげることができる。
また、加硫助剤としては、イオウ化合物、多官能モノマー、オキシム化合物をあげることができる。このうち、イオウ化合物の代表例としては、イオウ、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA);多官能モノマーの代表例としては、ジメタクリル酸エチレングリコール,トリアリルイソシアヌレート,ジビニルベンゼン,ジアリルフタレート,メタフェニレンビスマレイミド,トレイレンビスマレイミド;オキシム化合物の代表例としては、p−キノンジオキシム,P,P′−ベンゾイルキノンジオキシムがある。
添加量は、第1の必須成分のエチレン−プロピレンゴム100重量部に対し、イオウの場合は0.1〜1.0重量部、他は1.0〜6.0重量部が通常量である。有機過酸化物は、それが有する活性酸素の作用でエチレン−プロピレンゴムに遊離基を発生させ、この遊離基によってゴム分子間を相互に架橋して、イオウによる加硫の場合と同等の効果を実現するために配合される。
しかしながら、エチレン−プロピレンゴムを過酸化物で架橋した場合、得られた加硫体は、イオウによる加硫体の場合よりもその圧縮永久歪みが一般に小さくなる。すなわち、エチレン−プロピレンゴムの過酸化物加硫体は、柔軟で弾性の保持能力が優れているという性状を備えている。
そのため、この加硫体の成形体である防止材で電線接続部を緊締すると、この弾性によって防水材は電線接続部と密着して圧着され、結果として良好な防水性が確保される。しかも、この加硫体は粘着性が小さいので、その緊締の解除、すなわち、解体もスムースに行うことができる。
この有機過酸化物の配合量は、エチレン−プロピレンゴム100重量部に対し1〜15重量部に設定される。配合量が1重量部より少ない場合は、ゴム分子間の架橋度合が小さく、得られた過酸化物加硫体の粘着性が大きくなって成形加工性の低下を招き、また15重量部より多い場合は、架橋度合が大きくなりすぎて、過酸化物加硫体が弾性を失いはじめ、防水性が消失するからである。好ましい配合量は、エチレン−プロピレンゴム100重量部に対し3〜10重量部である。
防水用ゴム組成物は以上の成分を必須とするが、更に、高吸水性ポリマーを配合すると、その防水材で電線接続部を接続したとき、その電線接続部に外部から例えば雨や湿気によって水分の浸入があった場合でも、この高吸水性ポリマーが浸入水を吸収するので、電線接続部の防水効果が一層向上して有効である。
このような高吸水性ポリマーとしては、デンプン系,セルロース系,蛋白系のような天然高分子系統のものや、ポリビニルアルコール系,アクリル系,ポリエーテル系などの合成高分子系統のものを用いることができるが、これらのうち、実用上は、合成高分子系統のもの、とりわけ、ポリビニルアルコール系やアクリル系のものが好適である。
なお、この高吸水性ポリマーと合わせて、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーのような界面活性剤を配合すると吸水性が一層向上して効果的である。また、他の配合剤として、クロロプレンゴム,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,塩素化ポリエチレン,クロロスルホン化ポリエチレンのような耐油性ゴムを配合して防水材である低硬度ゴム層の耐油性を向上させることもできる。ただし、この場合、得られる超低硬度ゴム層の硬さ、弾性の保持能力が低下しないように、これらの配合量は適正に管理されることが必要である。
また、成形加工性を良好にするために、ムーニー粘度が低いエチレン−プロピレンゴムを適量配合してもよい。更に、亜鉛華、クレー,タルクのような無機充填材、キノリン系,p−フェニレンジアミン系,亜リン酸エステル系のような老化防止材なども、防水材の性状を劣化させない範囲で配合することもできる。
本発明の実施形態における低硬度ゴムは、まず上記した各成分を混練して得られる防水用ゴム組成物を、例えば射出成形により金型に充填した後、140〜170℃で5〜16分程度加熱することで、エチレン−プロピレンゴムの分子間を架橋することにより柔軟な過酸化物加硫体として製造することができる。
上記した各成分を混練して得られる防水用ゴム組成物を、例えばロール成形機でシート状に成形したのち、140〜170℃の温度で10〜25分間程度加熱して、分子間を架橋することにより柔軟な過酸化物加硫体として製造することができる。このように作成したシートからカバーの側縁及び前記電線挿通壁の全周に合わせて裁断し、カバーに接着剤で貼り合わせるかあるいはカバーの側縁及び前記電線挿通壁の全周にあらかじめ作製した溝にはめることで、低硬度ゴム層とすることができる。
防水用ゴム組成物は柔軟かつ弾力性があるため、緊締力によって接続部に圧着されてそこに密着し、その部分の防水性を確保する。しかも、防水用ゴム組成物は架橋された材料であるため、電線接続部に密着していても融着はしていないので、後日の解体時にもその接続部の解体は容易である。そして、解体後の防水用ゴム組成物(低硬度ゴム層)は再び使用することができる。
過酸化物加硫体は例えばロール成形するときに、変形しない網目状の芯材、例えば目の粗い織物、寒冷紗などと一体に複合することもできる。
このような芯材が複合されている防水材は、低硬度ゴム層のサイズばらつきを小さくすることができる。また、解体時にも防水用ゴム組成物を変形させることなく巻きほぐすことができる。
また、金型に予め成形したポリプロピレン製のカバーをセットし、加硫前の超低硬度ゴムを射出成形することで、カバーの外殻と低硬度ゴム層を一体成形することができる。この場合、射出成形後金型温度を140〜160℃で5〜10分間保持することが必要である。
(本発明の実施例)
実施例1〜6,比較例1〜5 第1表に示した成分を表示の割合(重量部)で混練したのち、ロール成形してシート状にし、そのシートを温度160℃で20分間熱処理して過酸化物加硫体とした。これらの硬さをJISK6301A型に準拠して測定し、また圧縮永久歪みをJISK6301に準拠(70℃,22時間)して測定した。以上の結果をロール成形の状態と一緒に第1表に示した。
Figure 2010288407
作成したシートからカバーの側縁及び前記電線挿通壁の全周に合わせて裁断してカバーを作成した。
ついで、直径20mm,長さ300mmのケーブルを互いに突き合わせて導体接続を行ない、その導体接続部をカバーで覆った。
ケーブル接続処理後の防水性を、JISC0920で規定する保護等級3にて試験し、その後、接続部を解体した。防水性良好○,防水性不可を×としてそれぞれ評価し、その結果を第1表に示した。
また、接続部の解体後、得られたテープで再びケーブルを接続処理し、そのときの防水性を調べ、その結果も第1表に併記した。
以上の説明で明らかなように、本発明の実施形態における架空配電線用絶縁カバーの超低硬度ゴム層は、JISK6300で規定するムーニー粘度ML1+4 (121℃)が100以上である高分子量のエチレン−プロピレンゴム100重量部,パラフィン系オイル300〜600重量部,および有機過酸化物1〜15重量部を必須成分とする防水用ゴム組成物であり、防水用ゴム組成物はカバーの側縁及び前記電線挿通壁の全周に合わせて配置した超低硬度ゴム層であるので、その優れた弾性力で接続部に密着して良好な防水性を確保することができる。また、防水用ゴム組成物は、成形加硫体であるために、粘着性が大きくないので解体性も良好で再使用が可能である。
本発明の架空配電線用絶縁カバーでは、従来行われていた架空配電線用絶縁カバーの両端におけるテープ巻き作業が不要となり、工程短縮が図れ、作業者の危険回避と負担の軽減が可能である。超低硬度ゴム層を保護部収容壁の側縁に形成することで、架空配電線用絶縁カバーを一度閉じたものを再度開いて、再使用(リペア・リユース)することが可能となった。
本発明の架空配電線用絶縁カバーは、架空配線の間接活線工法に適している。架空電線の雪害対策に設けられている電線ヒレも削り取ることが不要となる(ただし、テープ巻きの場合では電線ヒレを削り取ることが必要である。)。間接活線工法により、架空配電線用絶縁カバーを電線接続部に対して取り付けることが最も好ましいが、直接活線工法でも比較的容易に接続が可能であり、取り付け方法を限定するものではない。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
例えば、図1の例では、架空配電線用絶縁カバー10は、2本の架空配電線100の電線接続部101と1本の架空配電線102の電線接続部103を覆って電気絶縁して保持しているが、1本の架空配電線100の電線接続部101と1本の架空配電線102の電線接続部103を覆って電気絶縁して保持しても良い。また、架空配電線用絶縁カバー10は、2本以上あるいは3本以上の架空配電線100の電線接続部101と、2本以上あるいは3本以上の架空配電線102の電線接続部103とを覆って、電気絶縁して保持してすることができる。
10 架空配電線用絶縁カバー
11 第1半筒状カバー部材
12 第2半筒状カバー部材
13 ヒンジ
21 保護部収容壁
22,23 電線挿通壁
24,25 側縁
26,36 収容空間部
31 保護部収容壁
32,33 電線挿通壁
34,35 側縁
41,51 超低硬度ゴム層
100 架空配電線
101 電線接続部
102 架空配電線
103 電線接続部

Claims (4)

  1. ヒンジ結合された一対の半筒状カバー部材が、
    架空配電線の電線接続部の周囲を覆う保護部収容壁と、
    前記保護部収容壁の側縁に延設されて前記架空配電線の出入口となる電線挿通壁とを一体に形成することで作られており、
    前記保護部収壁部の前記側縁及び前記電線挿通壁の全周に密着して気密保持する超低硬度ゴム層を有し、
    前記超低硬度ゴム層が、前記一対の半筒状カバー部材の片面または両面に形成されていることを特徴とする架空配電線用絶縁カバー。
  2. 前記低硬度ゴム層は、JISK6300で規定するムーニー粘度ML1+4 (121℃)が100以上である高分子量のエチレン−プロピレンゴム100重量部,パラフィン系オイル300〜600重量部,および有機過酸化物1〜15重量部を必須成分とする防水用ゴム組成物であることを特徴とする請求項1に記載の架空配電線用絶縁カバー。
  3. 前記防水用ゴム組成物には、高吸水性ポリマーが配合されていることを特徴とする請求項2に記載の架空配電線用絶縁カバー。
  4. 前記防水用ゴム組成物を成形加硫してなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の架空配電線用絶縁カバー。
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