JP2010287904A - 光半導体装置 - Google Patents

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Kimio Shigihara
君男 鴫原
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Abstract

【課題】周囲温度や注入電流の変化に対して発振波長変化の少ない光半導体装置を構成する。
【解決手段】この発明に係る光半導体装置は第1の端面に高反射率膜が配設された共振器を有し、利得が極大値となる第1の波長を有する半導体レーザと、この半導体レーザの共振器の第2の端面上に配設され、反射率が極小値となる第2の波長が第1の波長より長くかつ反射率が4%以下である低反射率膜とを備え、第1の波長近傍における波長変化に対するミラー損失の変化率が0.13cm−1/nm以上としたもので、周囲温度及び注入電流が変化した場合における半導体レーザ装置の発振波長の変化を小さくすることができる。
【選択図】図60

Description

この発明は光情報処理用の光源、光通信の信号源、ファイバアンプの励起光源として用いられる半導体レーザ装置、半導体光増幅器(SOA、 semiconductor optical amplifier)、スーパールミネッセントダイオード(SLD、superluminescent diode)、光変調器などの光半導体装置に係り、特にこれらに用いられる光半導体素子の端面にコーティング膜を具備した光半導体装置に関するものである。
以下の説明では光半導体装置のうち、半導体レーザ装置について説明する。
図53は従来の半導体レーザの波長の出力依存性を示す模式図である。
図53の出力依存性をしめす半導体レーザは、その前端面はSiO2膜、後端面はSiO2膜/アモルファスシリコン(以下、a−Siと表記する)多層膜がそれぞれコーティングされ、前端面の反射率は6%、後端面の反射率は94%となっている(例えば非特許文献1参照)。
図53に示されるように、光出力1mWから30mWまで変化するに従い発振波長は780nm〜786nmまで6nm長くなる。この波長の変化は、単位出力当たりの波長変化に換算すると0.21nm/mWとなり、スロープ効率が1mW/mAとすると、0.21nm/mAとなる。
この波長変化は、注入電流増加による活性層の温度上昇が引き起こすものであり、温度に換算した場合、AlGaAs系半導体レーザでは約0.2〜0.3nm/℃、InGaAsP系半導体レーザで約0.4〜0.7nm/℃と言われている(例えば、非特許文献2参照)。
また図53から分かるように、光出力を変化させても、発振波長は780nm近傍の値を示し、光出力つまり注入電流を変えても、約0.21nm/mA程度で連続的に変化するのみであった。
さらに、半導体レーザの前端面には、波長λにたいして厚さがλ/4のSiO2膜を設けたのみなので、端面の反射率は6%程度で、1%以下の低反射率ではない。
また、端面に設ける無反射コーティング膜を2層以上の誘電体薄膜で構成し、第1層はパッシベーション機能を果たす膜で、第2層以上はλ/4の無反射コーティング膜で構成する例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の半導体レーザの無反射膜の構成を示す記載がある。(例えば特許文献2、非特許文献3参照)
特開平3−293791号公報 特許第3014208号公報
T. Ohtoshi et. Al., "High-power visible GaAlAs lasers with self-aligned strip buried heterostructure", J. Appl. Phys., Vol. 56, No. 9, pp.2491-2496, 1984 米津宏雄著、"光通信素子工学"、工学図書、2版、p.244−255 IEE Electronics Lett. Vol. 31, No. 31, pp. 1574-1575
このような構成の従来の半導体レーザでは、低反射率の端面コーティング膜は高々反射率が6%程度になる。
あるいはコーティング膜のトータル膜厚が所望の波長λ0の1/4以下である場合には、1%以下の低反射率のとなる波長λ0近傍の波長領域幅が100nmを越えるようにすることが出来るが、トータル膜厚が薄いために放熱が悪く端面劣化の原因になる場合があった。
また所望の波長λ0で無反射になるコーティング膜を形成し、放熱をよくするために所望の波長λ0の1/4以上の厚さにすると、波長に対する反射率依存性が急峻になるなどの問題があった。
図54は従来の半導体レーザの無反射膜の構成を示す模式図である(例えば特許文献2、非特許文献3)。
図54において、200は従来の半導体レーザで、202は実効屈折率がnpの半導体レーザ素子、204は屈折率がn01、膜厚がd01の第1層膜で半導体レーザ202の端面に形成されている。206は屈折率がn02、膜厚がd02の第2層膜で、第1層膜204の表面に形成されている。208は屈折率がn03、膜厚がd03の第3層膜で、第2層膜206の表面に形成されている。n0は第3層膜208の表面が接している外界の屈折率である。
図55は、従来の無反射膜における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図55において、曲線a、及び曲線bは、半導体レーザ素子202の実効屈折率がnc=3.2で、波長λ0=1.3μm近傍における無反射膜の反射率の波長依存性を示している。
曲線aは第1層膜204及び第3層膜208がAl2O3により構成されその屈折率がn01=n03=1.6、第2層膜206がアモルファスシリコン(a−Si)で形成されその屈折率が=3.2となり、それぞれの膜厚がd01=d03=90.23nm、d02=8.25nmとした場合の反射率である。
曲線bは第1層膜204及び第3層膜208がAl2O3により構成されその屈折率がn01=n03=1.6、第2層膜206がアモルファスシリコン(a−Si)で形成されその屈折率がn02=3.2となり、それぞれの膜厚がd01=d03=90.23nm、d02=199.43nmとした場合の反射率である。
半導体レーザ202の実効屈折率がnc=3.2とすると、nf=(nc×n0)1/2=1.78885である。波長λ0=1.3μmとした場合、λ0/4は約325nmとなる。
曲線aの場合の3層膜のトータル膜厚(n01・d01+n02・d02+n03・d03)が314.5nmとなり、λ0/4とほぼ等しくなる。曲線aの場合、反射率が1%以下の低反射率の範囲が265nmと広くなるが、厚さが必ずしも十分厚くとれないので放熱が悪く半導体レーザ素子202の端面劣化の原因になる場合がある。
また曲線bでは、熱伝導をよくするためにトータル膜厚が約927nmと厚くすることができるが、反射率が1%以下の低反射率の範囲が55nmと極端に狭くなる。
また、従来から、理想的単層膜の置き換えとして2層膜または3層膜による無反射膜を構成し、膜厚を厚くする方法はあった。
例えば特許第3014208号の3層膜による無反射コーティング膜があり、この3層膜による無反射コーティング膜は、各コーティング膜の屈折率をそれぞれn01、n02、n03、各コーティング膜の膜厚をそれぞれ、d01、d02、d03、としたときに、トータル膜厚(n01・d01+n02・d02+n03・d03)を所望の波長λ0の1/4の整数倍に構成すれば、特性行列が理想的単層膜と等しくなるというものである。
また2層膜において、1層目の膜厚n01・d01、1層目の膜厚n02・d02をそれぞれ所望の波長λ0の1/4とし、これを2層重ねると言う方法もある。
しかし、(n01・d01+n02・d02+n03・d03)を所望の波長λ0の1/4の整数倍に構成することや、1層目の膜厚n01・d01、1層目の膜厚n02・d02をそれぞれ所望の波長λ0の1/4にすることに、材料的選択の自由度が少なく、設計が困難になる場合があった。
この発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、第1の目的は、光半導体素子を伝播する光の波長に対して設計の自由度の高い低反射率の被覆膜を備えた光半導体装置を構成することであり、第2の目的はトータル膜厚が所望の波長λ0の1/4を越えた被覆膜を備えた波長の安定性の高い光半導体装置を構成することであり、第3の目的は温度に対する波長変化の少ない光半導体装置を構成することである。また第4の目的はトータル膜厚が所望の波長λ0の1/4を越え、光半導体素子の端面における熱劣化の少ない被覆膜を備えた光半導体装置を構成することである。
この発明に係る光半導体装置は、光を入射または出射する端面を有し、等価屈折率ncを有する光半導体素子と、この光半導体素子の端面上に配設され、屈折率がn1で係数a0を正の実数としたときに、膜厚がa0×d1である第1の被覆膜とこの第1の被覆膜上に配設された屈折率がn2で膜厚がa0×d2の第2の被覆膜とを有する被覆膜層と、を備え、被覆膜層の表面上の自由空間の屈折率をn0としたときに、光半導体素子を伝播する光の波長λ0に対して、この波長λ0、屈折率n1、n2、膜厚a0×d1、a0×d2により規定される振幅反射率の実部及び虚部がゼロとなるとともにn1,n2のいずれか一方のみがncとn0との積の平方根より小さいもので、この構成により、波長λ0に対して理想的単層膜の置き換えとは異なる低反射被覆膜層とすることができる。
(また、この発明に係る光半導体装置は、半導体レーザを有し、この半導体レーザの端面に低反射被覆膜を有し、この低反射被覆膜の反射率が所定の波長λ0に対応して極小値を有し、この低反射被覆膜の屈折率と膜厚との積の和が半導体レーザの所定のレーザ光の波長λ0の1/4を越え、かつ半導体レーザの所定のレーザ光の波長λ0近傍における波長領域であって低反射被覆膜の反射率が1%以下となる波長領域幅を55nm以上としたもので、放熱性がよく、周囲温度や注入電流を変えても発振波長変化の少ない半導体レーザを備えた光半導体装置を構成することができる。)
(また、この発明に係る光半導体装置は、半導体レーザを有し、この半導体レーザの共振器端面の一方の反射率が所定の波長λ0に対応して極小値を有し、波長が長くなるにつれて反射率が低くなる領域において、半導体レーザの総損失と半導体レーザの利得とを等しくしたもので、周囲温度や注入電流を変えても発振波長変化の少ない半導体レーザを構成することができる。)
この発明に係る光半導体装置は以上に説明したような構成を備えているので、以下のような効果を有する。
この発明に係る光半導体装置においては、光を入射または出射する端面を有し、等価屈折率ncを有する光半導体素子と、この光半導体素子の端面上に配設され、屈折率がn1で係数a0を正の実数としたときに、膜厚がa0×d1である第1の被覆膜とこの第1の被覆膜上に配設された屈折率がn2で膜厚がa0×d2の第2の被覆膜とを有する被覆膜層と、を備え、被覆膜層の表面上の自由空間の屈折率をn0としたときに、光半導体素子を伝播する光の波長λ0に対して、この波長λ0、屈折率n1、n2、膜厚a0×d1、a0×d2により規定される振幅反射率の実部及び虚部がゼロとなるとともにn1,n2のいずれか一方のみがncとn0との積の平方根より小さいもので、この構成により、波長λ0に対して理想的単層膜の置き換えとは異なる低反射被覆膜層を配設することができる。このため低反射被覆膜層の材料選定の自由度を高めることができる。延いては所望の低反射被覆膜層を備えた光半導体装置を簡単に構成することができる。
(また、この発明に係る光半導体装置は、半導体レーザを有し、この半導体レーザの端面に低反射被覆膜を有し、この低反射被覆膜の反射率が所定の波長λ0に対応して極小値を有し、この低反射被覆膜の屈折率と膜厚との積の和が半導体レーザの所定のレーザ光の波長λ0の1/4を越え、かつ半導体レーザの所定のレーザ光の波長λ0近傍における波長領域であって低反射被覆膜の反射率が1%以下となる波長領域幅を55nm以上としたもので、放熱性がよく、周囲温度や注入電流を変えても発振波長変化の少ない半導体レーザを備えた光半導体装置を構成することができる。延いては発振波長の安定した半導体レーザを備えた光半導体装置を簡単に構成することができる。)
(また、この発明に係る光半導体装置は、半導体レーザを有し、この半導体レーザの共振器端面の一方の反射率が所定の波長λ0に対応して極小値を有し、波長が長くなるにつれて反射率が低くなる領域において、半導体レーザの総損失と半導体レーザの利得とを等しくしたもので、周囲温度や注入電流を変えても発振波長変化の少ない半導体レーザを構成することができる。延いては発振波長の安定した半導体レーザを簡単に構成することができる。)
この発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザの模式図である。 この発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザの模式図である この発明に係る一実施例の反射率の計算結果を示すグラフである。 この発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。 この発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。 この発明の一実施例の反射率の計算結果を示すグラフである。 この発明の一実施例の反射率の計算結果を示すグラフである。 この発明に係る半導体レーザ装置の低反射コーティング膜の反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明に係る半導体レーザ装置のトータル損失の波長依存性を示すグラフである。 この発明に係る半導体レーザ装置のトータル損失と利得の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザの断面図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザの低反射コーティング膜の反射率を示すグラフである。 この実施の形態に係る半導体レーザ装置の発振波長の注入電流依存性の実験結果を示すグラフである。 この発明の一実施例の反射率を示すグラフである。 共振器長の相違による半導体レーザのトータル損失を比較したグラフである。 この発明の一実施例の半導体レーザにおける発振波長の実験結果を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置のトータル損失と利得との関係を示すグラフである。 この発明の一実施例における発振波長の電流依存性の実験結果を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザの発振波長の電流依存性の実験結果を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置における発信波長の動作電流依存性を示す実験結果のグラフである。 半導体レーザの反射率に波長依存性がない場合の損失と利得の関係を示す模式図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザの損失と利得の関係を示す模式図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式断面図である。 従来のファイバグレーティングを有する半導体レーザ装置の利得と損失とを示すグラフである。 従来のファイバグレーティングを有する半導体レーザ装置の利得と損失とを示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係るファイバグレーティングを有する半導体レーザ装置の利得と損失とを示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例のファイバグレーティングを伴う半導体レーザ装置の損失と利得を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 従来の半導体レーザの波長の出力依存性を示す模式図である。 従来の半導体レーザの無反射膜の構成を示す模式図である。 従来の無反射膜における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザの一例の利得分布を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の損失と利得との関係を示す模式図である。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の反射率の波長依存性とミラー損失の波長依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置における発振波長の温度及び注入電流に対する依存性を示すグラフである。 従来の半導体レーザ装置における発振波長の温度及び注入電流に対する依存性を示すグラフである。 この発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置における光出力−電流特性の温度依存性を示すグラフである。 従来の半導体レーザ装置における光出力−電流特性の温度依存性を示すグラフである。 この発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置において反射率を指標とした場合の波長変化抑制効果を示すグラフである。 この発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置において波長変化に対するミラー損失変化を指標とした場合の波長変化抑制効果を示すグラフである。
以下の実施の形態においては、光半導体装置として、例えば光半導体素子として半導体レーザ素子を用いた半導体レーザ装置を例に挙げて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザの模式図である。
図1において、10はこの実施の形態に係る半導体レーザで、12は等価屈折率ncを有する光半導体素子としての半導体レーザ素子、14はこの半導体レーザ素子12の表面に配設された被覆膜層としての低反射コーティング膜で、一方の界面は半導体レーザ素子12の、例えば前端面に密着して、他方の境界は空気層、窒素層あるいは真空層などの屈折率n0が、n0=1である自由空間に接している。
16は低反射コーティング膜14を構成する第1の被覆膜としての第1層コーティング膜で、屈折率がn1の材料により配設され膜厚がd1である。膜厚は一般化して記載するとa0×d1であるが、この実施の形態ではa0=1としている。18は低反射コーティング膜14を構成する第2の被覆膜としての第2層コーティング膜で、この実施の形態では一方の境界は第1層コーティング膜16に密着して配設され、他方の境界は自由空間に接している。第2層コーティング膜18は屈折率がn2の材料により配設され、膜厚がd2である。膜厚は一般化して記載するとa0×d2であるが、この実施の形態ではa0=1である。
つぎに低反射コーティング膜14について説明する。
今、半導体レーザから出射される光のうち所望の波長をλとし、第1層コーティング膜16及び第2層コーティング膜18における位相変化をそれぞれφ1、φ2とすると、φ1、φ2は次式のようになる。
φ1=(2π・n1・d1)/λ (1)
φ2=(2π・n2・d2)/λ (2)
このとき振幅反射率rは次式で表される。
r=(A−iB)/(C−iD) (3)
ここで、
A=(nc−1)cosφ1cosφ2
+{(n1/n2)−(n2・nc)/n1}sinφ1sinφ2 (4)
B=((nc/n2)−n2)cosφ1 sinφ2
+((nc/n1)−n1)sinφ1 cosφ2 (5)
C=(nc+1)cosφ1cosφ2
−{(n1/n2)+(n2・nc)/n1}sinφ1sinφ2 (6)
D=((nc/n2)+n2)cosφ1 sinφ2
+((nc/n1)+n1)sinφ1 cosφ2 (7)
である。またiは虚数単位である。
そして、電力反射率Rは|r|で表される。
このとき次の(7)式及び(8)式を満たす場合に電力反射率Rはゼロとなる。
すなわち、
nc−1+{(n1/n2)−(n2nc)/n1}tanφ1tanφ2=0 (8)
((nc/n1)−n1)tanφ1+((nc/n2)−n2)tanφ2=0 (9)
である。
さらに、n1とn2のいずれか一方が(nc×n0)1/2より小さく、他方が(nc×n0)1/2より大きいことである。いまはn0=1であるので、n1とn2の値の間に(nc)1/2があるということになる。
実施例1
半導体レーザの等価屈折率nc=3.37、第1層コーティング膜16をTa2O5で形成するとその屈折率はn1=2.057、第2層コーティング膜18をAl2O3で形成するとその屈折率はn2=1.62となり、想定するレーザ光の波長λ0=980nmとすると、第1層コーティング膜16の膜厚d1が、d1=71.34nmで、第2層コーティング膜18の膜厚d2が、d2=86.20nmの時に無反射となる。当然のことながらこれら膜厚の組み合わせに限らず、φ1及びφ2が2πの整数倍の時も無反射となる。これは以下の実施の形態の場合においても同様である。
そして、無反射膜の構成は、トータル膜厚(n1d1+n2d2)がλ0/4の整数倍ではなく、特性行列が理想的単層膜とは一致しない。このためコーティング膜のn1、n2を選定した後に、d1、d2で調整できるために、コーティング膜の材料選定が容易になり、低反射膜の設計の自由度が大きくなるという利点がある。延いては所望の低反射被覆膜層を備えた光半導体装置を簡単に構成することができる。
なお、トータル膜厚とは、被覆膜を構成する各層の膜厚にその層の屈折率を乗じた値の総和である。
実施の形態2.
図2は、この発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。
図2において、図1と同じ符号は同一のものか相当のものである。以下の各図においても、同じ符号は同一のものか相当のものである。
この実施の形態に係る一つの半導体レーザ装置は、屈折率n1の材料で膜厚をa0×d1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をa0×d2としたコーティング膜の上に、屈折率n1の材料で膜厚をa1×d1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をa1×d2としたコーティング膜とを一対としたコーティング膜対を、さらに重ねて2段構成として、低反射コーティング膜14としたものである。
図2において、20は半導体レーザ装置、22aは屈折率n1の材料で膜厚をa0×d1とした第1層コーティング膜、22bは屈折率n2の材料で膜厚をa0×d2とした第2層コーティング膜である。これら第1層コーティング膜22aと第2層コーティング膜22bとで基底コーティング膜対22を形成している。
24は基底コーティング膜対22の上に配設された第1コーティング膜対で、24aは第3の被覆膜としての第3層コーティング膜で、屈折率n1の材料で膜厚をa1×d1としたものである。24bは第4の被覆膜としての第4層コーティング膜で屈折率n2の材料で膜厚をa1×d2としたものである。
低反射コーティング膜14は基底コーティング膜対22とこの上に配設された第1コーティング膜対24とで構成されている。
ここでa0、およびa1はパラメータで正の実数である。
無反射条件の導出は実施の形態1の場合と同様で、実施の形態2の低反射コーティング膜14が配設された端面の振幅反射率rの実部と虚部とがゼロになるように膜厚d1、d2を定める。
すなわち、(10)式の振幅反射率rの実部と虚部とがゼロになるように膜厚d1、d2を定める。
r={(m11+m12)nc−(m21+m22)}/
{(m11+m12)nc+(m21+m22)} (10)
但し、
Figure 2010287904
である。
また、実施の形態1と同様に、n1とn2のいずれか一方が、(nc×n0)1/2より小さく、他方が(nc×n0)1/2より大きいとする。いまはn0=1であるので、n1とn2の値の間に(nc)1/2が存在するように設定する。
実施例2
半導体レーザの等価屈折率nc=3.37、第1層コーティング膜22a及び第3層コーティング膜24aをAl2O3で形成するとその屈折率はn1=1.62、第2層コーティング膜22b及び第4層コーティング膜24bをTa2O5で形成するとその屈折率はn2=2.057となり、想定するレーザ光の波長λ0=980nmとし、a0=1.2、a1=0.8とすると、d1=319.91nm、d2=33.40nmの時に無反射になる。
図3はこの発明に係る一実施例である実施例2の反射率の計算結果を示すグラフである。
このときレーザ光の波長λ0=980nm近傍の反射率が1%以下になる波長領域幅は、図3に示されるように36nmとなる。
次に半導体レーザ端面に配設された基底コーティング膜対の上にさらに2段のコーティング膜対を重ね、3段重ね構成の低反射コーティング膜としたものについて説明する。
図4は、この発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。
この半導体レーザ装置においては、屈折率n1の材料で膜厚をa0×d1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をa0×d2としたコーティング膜からなる基底コーティング膜対の上に、屈折率n1の材料で膜厚をa1×d1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をa1×d2としたコーティング膜とを一対とした第1コーティング膜対を形成し、この第1コーティング膜対の上に屈折率n1の材料で膜厚をa2×d1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をa2×d2としたコーティング膜とを一対とした第2コーティング膜対をさらに重ねて形成し、コーティング膜対を3段とし低反射コーティング膜14としたものである。
図4において、30は半導体レーザ装置、32は第1コーティング膜対24の上に形成された第2コーティング膜対で、32aは第3の被覆膜としての第5層コーティング膜で屈折率n1の材料で膜厚をa2×d1としたものである。32bは第4の被覆膜としての第6層コーティング膜で屈折率n2の材料で膜厚をa2×d2としたものである。
第2コーティング膜対32は第5層コーティング膜32aと第6層コーティング膜32bで構成される。この第6層コーティング膜32bの一方の界面は第5層コーティング膜32aに密着し、もう一方の界面は屈折率n0、この実施の形態では、n0=1の自由空間に接している。a2はパラメータで正の実数である。
無反射条件の導出は実施の形態1の場合と同様で、低反射コーティング膜14が配設された端面の振幅反射率rの実部と虚部とがゼロになるように膜厚d1、d2を定める。
また、n1とn2のいずれか一方が、(nc×n0)1/2より小さく、他方が(nc×n0)1/2より大きいく設定する。いまはn0=1であるので、n1とn2の値の間に(nc)1/2が存在するように設定する。
実施例3
半導体レーザの等価屈折率nc=3.37、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a及び第5層コーティング膜32aをAl2O3で形成するとその屈折率はn1=1.62、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bをTa2O5で形成するとその屈折率はn2=2.057となり、想定するレーザ光の波長λ0=980nmとし、a0=1.2、a1=1.0、a2=0.8とすると、d1=251.65nm、d2=303.73nmの時に無反射になる。
このときレーザ光の波長λ0=980nm近傍の反射率が1%以下になる波長領域幅は、20nmとなり、4層のコーティング膜で形成された低反射コーティング膜14の場合よりも反射率が1%以下になる波長領域幅が狭くなっている。
さらにこの3段重ねの低反射コーティング膜14を使用したもう一つの実施例について説明する。
実施例4
半導体レーザの等価屈折率nc=3.37、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a及び第5層コーティング膜32aをAl2O3で形成するとその屈折率はn1=1.62、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bをTa2O5で形成するとその屈折率はn2=2.057となり、想定するレーザ光の波長λ0=980nmとし、a0=1.2、a1=1.0、a2=0.8とすると、d1=64.86nm、d2=61.60nmの時に無反射になる。
このときレーザ光の波長λ0=980nm近傍の反射率が1%以下になる波長領域幅は、61nmとなり広いものとなる。
この実施例4は先の実施例3と同じ計算条件であるが実施例3と異なる位相変化の値φ1、φ2を選定したものである。
なお、この実施例4の第1層コーティング膜22aから第6層コーティング膜32bまでのトータル膜厚つまり各層コーティング膜の屈折率と膜厚との積の総和は695.35nmとなり、λ0/4である245nmより大きくなっている。
次に屈折率n1の材料で膜厚をd1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をd2としたコーティング膜とを一対とし、パラメータa0、a1、及びa2により厚さを変えた3段重ねの低反射コーティング膜にさらに、屈折率n1の材料で膜厚をb1d1(パラメータb1は正の実数)とした第5の被覆膜としての表面層コーティング膜を加えた低反射コーティング膜14を備えた半導体レーザ装置の実施例5について説明する。
この構成により、さらに被覆膜層が配設された端面における反射率の波長依存性の設定の自由度を高めることができる。延いてはより広範な所望の反射率の波長依存性を有する低反射被覆膜層を備えた光半導体装置を簡単に構成することができる。
実施例5
図5はこの発明の一つの実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。
図5において、36は半導体レーザ装置、38は屈折率n1の材料で膜厚をb1d1とした表面層コーティング膜である。
半導体レーザの等価屈折率nc=3.37、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a及び表面層コーティング膜38をAl2O3で形成するとその屈折率はn1=1.62、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bをTa2O5で形成するとその屈折率はn2=2.057となり、想定するレーザ光の波長λ0=980nmとし、a0=1.0、a1=0.5、a2=1.5及びb1=3.5とすると、d1=32.07nm、d2=70.75nmの時に無反射になる。
図6はこの発明の一実施例である実施例5の反射率の計算結果を示すグラフである。
このときレーザ光の波長λ0=980nm近傍の反射率が1%以下になる波長領域幅は、図6に示される如く83nmとなり非常に広い波長領域幅になっている。
このとき第1層コーティング膜22aから表面層コーティング膜38までのトータル膜厚、つまりa0n1d1+a0n2d2+a1n1d1+a1n2d2+a2n1d1+a2n2d2+b1n1d1は774.36nmであり、λ0/4よりも大きくなっている。
実施例6
図4に示した、3段重ねの低反射コーティング膜14を使用したもう一つの実施例について説明する。
半導体レーザの等価屈折率nc=3.37、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、及び第5層コーティング膜32aをa−Siで形成するとその屈折率はn1=2.60、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bをAl2O3で形成するとその屈折率はn2=1.65、想定するレーザ光の波長λ0=980nmとし、a0=1.0、a1=2.0、及びa2=4.0とすると、d1=29.50nm、d2=37.89nmの時に無反射になる。
図7はこの発明の一実施例である実施例6の反射率の計算結果を示すグラフである。
このときレーザ光の波長λ0=980nm近傍の反射率が1%以下になる波長領域幅は、図7に示される如く、224.0nmとなり非常に広い波長領域幅になっている。
なお、ここでa−Siの屈折率を2.60としたが、これはa−Siが酸素導入等の製膜条件によって3.0以下の屈折率を持つように容易に実現できることを考慮したものである。
また同様に、この実施例の計算において、Al2O3の屈折率を1.65として計算している。
以上述べたように、この実施の形態においては、屈折率n1の材料で膜厚をd1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をd2としたコーティング膜とを一対とし、パラメータa0、a1、及びa2により厚さを変えた、2段重ね及び3段重ねのコーティング膜対からなる低反射コーティング膜14、さらに3段重ねのコーティング膜対にさらに屈折率n1の材料で膜厚をd1としたコーティング膜を加えた低反射コーティング膜14について説明したが、これは2段、3段にとどまらずさらに段数を増加させた多段の低反射コーティング膜としても構成することができる。
そして、実施の形態1と同様に、無反射膜の構成は、トータル膜厚(a0n1d1+a0n2d2+a1n1d1+a1n2d2+・・・+akn1d1+akn2d2+・・・・)及び(a0n1d1+a0n2d2+a1n1d1+a1n2d2+・・・+akn1d1+akn2d2+b1n1d1)がλ0/4の整数倍ではなく、特性行列が理想的単層膜とは一致しない。このためコーティング膜のn1、n2を選定した後に、d1、d2で調整できるために、コーティング膜の材料選定が容易になり、低反射膜の設計の自由度が大きくなるという利点がある。
さらに、この実施の形態においては、パラメータak(k=1,2,3,・・)、例えばa0、a1、a2、b1等の値を様々に選択することにより、想定するレーザ光の所望の波長λ0近傍の反射率が1%以下になる波長領域幅など、反射率の波長依存性を比較的自由度高く選択することができ、様々なレーザの出力特性を設定することができて、多様な半導体レーザ装置を容易に構成することができる。延いては所望の反射率の波長依存性を有する低反射被覆膜層を備えた光半導体装置を簡単に構成することができる。
実施の形態3.
図8はこの発明に係る半導体レーザ装置の低反射コーティング膜の反射率の波長依存性を示すグラフである。
図8において、この半導体レーザ装置は所望の波長λ0において無反射または反射率が極小となるようにし、その他の波長においては反射率がより高くなるようになっており、半導体レーザ装置この様な反射率の波長依存性を持つように無反射膜または低反射膜を構成することは、実施の形態1や実施の形態2に記載した低反射コーティング膜を構成することにより容易に実現することができる。
半導体レーザのトータル損失(あるいは総損失)αtは、内部損失αin、共振器長L、レーザ光の出射の前端面反射率Rf、及び後端面反射率Rrにより式(12)の様に表すことができる。すなわち
αt=αin+(1/(2L))ln(1/(RfRr)) (12)
図9はこの発明に係る半導体レーザ装置のトータル損失αtの波長依存性を示すグラフである。
前端面反射率Rfが、所望の波長λ0において反射率が極小となる場合には、図9に示すように、この波長λ0において損失が極大となる波長依存性を有することになる。
図10はこの発明に係る半導体レーザ装置のトータル損失αtと利得gの波長依存性を示すグラフである。
図10において、実線は利得g1、g2、g3を示す曲線、破線はトータル損失αtを示す曲線である。曲線g1は注入電流が小さいときまたは低温の時、曲線g3は注入電流が大きいときまたは高温の時で、曲線g2は曲線g1と曲線g3の中間的な条件の時である。
曲線g1の場合にはλ1において、利得とトータル損失が等しくなり、曲線g3の場合にはλ4において利得とトータル損失が等しくなっていて、それぞれの波長においてレーザ発振を行う。
曲線g2の場合は、波長λ0を挟んで、λ2とλ3の2箇所において利得とトータル損失が等しくなっていて、λ2とλ3でレーザ発振が可能となる。
すなわち、まず注入電流が小さいかまたは低温であるために発熱による温度上昇が小さいときは、曲線g1の場合に示したように少ない利得で済み、波長λ0の短波長側でのみ損失と利得が等しくなり、半導体レーザは発振することとなる。
曲線g1の場合よりも温度状態が高いかまたは注入電流が増加して温度上昇が増したときは、曲線g2に示すように多くの利得を必要とするため、波長λ0を挟んで短波長側と長波長側の2箇所で利得と損失とが等しくなる。従って、この場合には半導体レーザはλ2とλ3の2波長で発振する。
さらに、温度が高いか注入電流が増えて温度上昇が大きくなったときには曲線g3に示すように波長λ0の長波長側でのみ利得と損失とが等しくなり、半導体レーザは波長λ4で発振する。
この様に、所望の波長λ0において反射率が極小となるようにし、かつ波長λ0を挟んで短波長側と長波長側の2箇所で利得と損失とが等しくなるように無反射膜を構成し半導体レーザ端面に配設することにより、2波長で発振する半導体レーザ装置を構成することができる。
実施例7
図11はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザの断面図である。
図11において、40は半導体レーザ、42はこの半導体レーザ40のn型GaAs基板(以下“n型”を“n−”、“p型”を“p−”と表記する)、44はn−GaAs基板42上に配設されたn−AlGaAsクラッド層、46はn−AlGaAsクラッド層上に配設されたアンドープのn側AlGaAsガイド層、48はn側AlGaAsガイド層46の上に配設されたアンドープのn側GaAsガイド層、50はn側GaAsガイド層48上に配設された量子井戸構造の活性層で、活性層50はアンドープInGaAs量子井戸層50aとアンドープGaAsバリア層50bを有している。
52は活性層50の上に配設されたアンドープのp側GaAsガイド層、54はp側GaAsガイド層52の上に配設されたアンドープのp側AlGaAsガイド層、56はp側AlGaAsガイド層54の上に配設されたp−AlGaAsクラッド層、58はp−AlGaAsクラッド層56の上に配設されたp−GaAsキャップ層で、p側AlGaAsガイド層54とp−GaAsキャップ層58とによりリッジ型の光導波路を形成し、この光導波路の両端面で共振器を構成している。この実施例の共振器長は1500μmで、発振波長は980nmである。
60はSi3N4絶縁膜で、p−GaAsキャップ層58に電流経路となる開口部60aが形成されている。62はSi3N4絶縁膜60上に配設されたp側電極でSi3N4絶縁膜60の開口部60aを介してp−GaAsキャップ層58と接触している。64はn−GaAs基板42の裏面側に配設されたn側電極、66は金線、68は光導波路を含むリッジ領域、70はリッジ領域68の両側に設けられた低屈折率領域、72はリッジ領域68に対して低屈折率領域70の両外側に設けられた高屈折率領域である。
リッジ領域68の外側に低屈折率領域70を設けているのでレーザ光はリッジ領域68に効率的に閉じ込めることができる。また電流の閉じ込めは、Si3N4絶縁膜60に開口部60aを設けることで可能となる。低屈折率領域70の外側に高屈折率領域72を設け、高屈折率領域72の上に金線66をワイヤボンドする構成としている。
そして光導波路の前端面に低反射コーティング膜(図示せず)を設けている。
低反射コーティング膜の構成は、実施の形態1の低反射コーティング膜14と同じ構成で、半導体レーザの等価屈折率ncをnc=3.37、第1層コーティング膜16を屈折率n1がn1=1.62のAl2O3により240nmの膜厚に形成し、第2層コーティング膜18を屈折率n2がn2=2.057のTa2O5により183nmの膜厚に形成した。後端面反射率Rrは98%である。
なおこの半導体レーザ40はファイバアンプ励起用980nm半導体レーザであるが、これの限るものではない。
図12は、この発明の一実施の形態に係る半導体レーザの低反射コーティング膜の反射率を示すグラフである。
λ0=980nm近傍の1%以下の低反射率領域幅は約52nmである。
図13はこの実施の形態に係る半導体レーザ装置の発振波長の注入電流依存性の実験結果を示すグラフである。
図13において、注入電流を増加してゆくと約100mA近傍で波長が15nmだけ急激に長波長領域に遷移している。つまり一つの半導体レーザで15nm離れた2波長の光を出射することができる。さらに詳細に実験した結果、1%以下の低反射率領域幅が約55nmより狭くなると2波長発振が可能であることが明らかになった。
実施例8
この実施例は、半導体レーザの構成は実施例7と同じにし、低反射コーティング膜の構成を実施の形態2に記載した、6層構成の低反射コーティング膜とした場合である。
第1層、第3層、及び第5層のコーティング膜に屈折率n1がn1=1.62のAl2O3を使用し、第2層、第4層、及び第6層のコーティング膜に屈折率n2がn2=2.057のTa2O5を使用し、その膜厚を、
第1層/第2層/第3層/第4層/第5層/第6層=24.2nm/196.3nm/30.2nm/245.4nm/36.2nm/294.5nmとしたものである。
図14はこの発明の一実施例である実施例8の反射率を示すグラフである。
図14に示すように、1%以下の低反射率領域幅が28nmと狭くなるので、レーザ光の波長変化が15nm以上の変化が可能となる。
実施例9
この実施例は、実施例7の半導体レーザの共振器長が1500μmであったのに対して、この実施例9では共振器長を900μmとしたものである。
前端面の低反射コーティング膜の構成は、実施の形態1の低反射コーティング膜14と同じ構成で、半導体レーザの等価屈折率ncをnc=3.37、第1層コーティング膜16を屈折率n1がn1=1.62のAl2O3により240nmの膜厚に形成し、第2層コーティング膜18を屈折率n2が2.057のTa2O5により183nmの膜厚に形成した。また後端面反射率Rrは98%である。
先に示した式(12)の右辺第2項はミラー損失と言われるものであり、共振器長に反比例する。従って共振器長を1500μmから900μmにすると、ミラー損失は増大する。
図15は共振器長の相違による半導体レ―ザのトータル損失を比較したグラフである。
図16はこの発明の一実施例である実施例9の半導体レーザにおける発振波長の実験結果を示すグラフである。
実施例9は実施例7と端面の低反射率コーティング膜と同じ構成であるが、共振器長を1500μmから900μmもので、図16に示される発振波長の注入電力依存性の実験結果は、半導体レーザの発振波長の変化は41nmとなり、共振器長の長さを短くすることで、発振波長の変化を大きくなっていることが分かる。一つの半導体レーザが41nm離れた光を出射でき、2波長レーザとして有効である。延いては共振器長LがL≦1500μmである一つの半導体レーザで二波長の光を発振できる半導体レーザを簡単に構成することができる。
共振器長さをさらに短くすれば、さらに波長の離れた光を出射できることは言うまでもない。また同様に、共振器長が短い場合は、1%以下の低反射波長領域幅が55nmを越えても波長変化を起こさせることは可能である。
以上のように、この実施の形態では、所定の波長λ0において反射率が極小で、かつ波長λ0を挟んで短波長側と長波長側の2箇所で利得と損失とが等しくなる低反射膜を構成し、半導体レーザの出射前端面にこの低反射膜を配設することにより、一つに半導体レーザにおいて2波長で発振する半導体レーザ装置を構成することができる。延いては一つの半導体レーザで二波長の光を発振できる半導体レーザを簡単に構成することができる。
実施の形態4.
通信用として使用される半導体レーザは波長変化の少ない安定した特性が必要となる。一般に、端面におけるコーティング膜のトータル膜厚が所定の波長の1/4以下であれば、1%以下の低反射率となる波長領域幅が100nmを越えるので、波長変化を少なくすることは可能であるが、トータル膜厚が薄いために放熱が悪く、端面劣化の原因となる場合がある。
図17はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置のトータル損失と利得との関係を示すグラフである。
この半導体レーザ装置は、実施の形態1または2で述べた低反射コーティング膜を半導体レーザの出射端面側に配設した構成を有し、所定の波長λ0において、反射率を極小にするとともに、図17のように所定の波長λ0の短波長側でトータル損失と利得とが等しくなり、式(12)で示したトータル損失と利得g(λ)が長波長側の波長λにおいて式(13)を満たせば波長変化を抑制することが可能となる。
αin+(1/(2L))ln(1/(RfRr)) >g(λ) (13)
また逆に、所定の波長λ0の長波長側でトータル損失と利得とが等しくなった場合は、波長λ0の短波長側の波長λにおいて、式(13)を満たせば、同様に波長変化を抑制することが可能となる。
そして詳細に検討した結果、所定の波長λ0の近傍において、1%以下の低反射率となる波長領域幅が55nm以上あれば式(13)が満足され、10nm以上の波長変化が生じない半導体レーザを構成することができることが明らかになった。
実施例10
式(13)左辺第2項のミラー損失は共振器長に反比例するので共振器長が長くなるとミラー損失は小さくなる。この実施例10の半導体レーザは実施例7に示された図11と同じ構成の半導体レーザで、半導体レーザの等価屈折率ncはnc=3.37である。ただ共振器長を1800μmとするとともに、出射前端面の低反射コーティング膜を実施の形態1で説明した2層構造の低反射コーティング膜としたものである。
低反射コーティング膜の構造は、第1層コーティング膜として屈折率n1がn1=1.62のAl2O3を膜厚240nmに形成し、第2層コーティング膜として屈折率n2がn2=2.057のTa2O5を膜厚183nmに形成したもので、発振波長の近傍の1%以下の低反射率を示す波長領域幅が約52nmであった。
図18はこの発明の一実施例である実施例10における発振波長の電流依存性の実験結果を示すグラフである。
図18において、注入電流を変化させても、また周囲温度を変化させても10nm程度の波長変化は認められない。
この実施例は共振器長が1800μmの場合であるが、実施の形態に係る発明はこれに限るものではない。また共振器長が長くなると発振波長の近傍の1%以下の低反射率を示す波長領域幅がより狭くなっても波長変化は抑制される。
以上のようにこの実施の形態に係る半導体レーザにおいては、波長λ0の短波長側、長波長側のいずれか一方において半導体レーザの総損失と半導体レーザの利得とを等しくし、他方の短波長側または長波長側において半導体レーザの総損失を半導体レーザの利得よりも大きくすることにより、周囲温度や注入電流を変えても発振波長変化の少ない半導体レーザを構成することができる。
さらに半導体レーザの端面に低反射コーティング膜を形成し、所定の波長λ0に極小値を有する反射率の波長依存性を確保するとともに、1%以下の低反射率となる波長領域幅を55nm以上にすることにより、温度変化や注入電力量の変化に対して波長変動が少なく安定した半導体レーザ装置を構成することができる。
延いては発振波長の安定した半導体レーザを簡単に構成することができる。
実施の形態5.
この実施の形態5も実施の形態4と同様に、通信用として使用される半導体レーザにおいて波長変化の少ない安定した特性を有する半導体レーザの構成に係るものである。
この実施の形態5は、実施の形態4で明らかになった、所定の波長λ0の近傍において、1%以下の低反射率となる波長領域幅が55nm以上確保するための構成を、実施の形態1または2で述べた低反射コーティング膜を半導体レーザの出射端面側に配設するものではなく、半導体レーザの光導波路の軸を共振器端面に対して少し傾ける構成を有する半導体レーザである。
この半導体レーザは実施例7の図11に示された構成で、半導体レーザのリッジ型光導波路の軸が共振器端面に対して1.5°偏倚していることと出射前端面にAl2O3の膜厚が454nmのコーティング膜が形成されていることの2点で異なっている。
図19はこの実施の形態に係る半導体レーザにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。図19には比較のために、半導体レーザの光導波路の軸に対して共振器端面を傾けない場合の反射率の波長依存性も記載している。
図19において、曲線aは半導体レーザの光導波路の軸を共振器端面に対して1.5°偏倚させた場合の反射率、曲線bは光導波路の軸に対して共振器端面を傾けない場合の反射率である。ともに出射前端面にはAl2O3のコーティング膜を膜厚454nmで形成している。
図19から分かるように、半導体レーザの光導波路の軸を共振器端面に対して1.5°偏倚させることにより、1%以下の低反射率となる波長領域幅が160nmに拡大していることが分かる。
図20はこの実施の形態に係る半導体レーザの発振波長の電流依存性の実験結果を示すグラフである。
図20において、周囲温度をパラメータとして検討した結果、注入電流を変化させても、また周囲温度を変化させても10nmを越える波長変化は認められない。
以上のようにこの実施の形態に係る半導体レーザにおいては、半導体レーザの光導波路の軸を共振器端面に対して少し偏倚させることにより、1%以下の低反射率となる波長領域幅を55nm以上にすることにより、温度変化や注入電力量の変化に対して波長変動が少なく安定した半導体レーザ装置を構成することができる。
実施の形態6.
この実施の形態に係る半導体レーザ装置は、半導体レーザの活性層から決まる発振波長よりも無反射となる波長を長波長側にした構成を有する。
すなわち波長λ0よりも半導体レーザの発振波長を短くしたもので、周囲温度や注入電流を変えても発振波長の変化の少ない半導体レーザを構成することができる。延いては使用条件によらず発振波長の安定した半導体レーザ装置を構成することができる。
例えば、実施の形態1に記載した2層のコーティング膜からなる低反射コーティング膜14を、共振器長が900μmの半導体レーザの出射端面に形成した構成において、電子ビーム蒸着により第1層コーティング膜16として半導体レーザ端面にAl2O3のコーティング膜を240nmの膜厚で形成し、第2層コーティング膜18として、Ta2O5のコーティング膜を183nmの膜厚で形成し、λ0が965nmにおいて、反射率が極小となるようにした。
図21はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置における発信波長の動作電流依存性を示す実験結果のグラフである。
図21において、半導体レーザの発振波長を周囲温度をパラメータとして調べた結果、ほとんど発振波長が変化しないことが分かる。
また発振波長は955nmの近傍にあるので、発振波長は反射率が極小値を示すλ0より短波長側に存在している。
次にこの実施の形態の半導体レーザに発振波長の変化が少ないことについて説明する。
図22は半導体レーザの反射率に波長依存性がない場合の損失と利得の関係を示す模式図である。
図22において、破線a10はトータル損失を、実線b10、b20は利得を示す。またSl0は低温における総利得、Sh0は高温における総利得であり、それぞれ注入電流に比例する値である。
一般には高温ほど注入電流が利得に変換される割合が低下するため、高温ほど多くの注入電流が必要となる。図22に示されるように、この半導体レーザにおいては、低温状態では波長λl0で、また高温状態においては波長λh0で発振するので、温度に対する波長変化は(λh0−λl0)/(Sh0−Sl0)に比例する。通常はAlGaAs系半導体レーザでは約0.2〜0.3nm/℃、InGaAs系半導体レーザでは約0.4〜0.7nm/℃と言った大きな値になる。
図23はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザの損失と利得の関係を示す模式図である。
図23において、破線a1はトータル損失を、実線b1、b2は利得を示す。またSlは低温における総利得、Shは高温における総利得であり、それぞれ注入電流に比例する値である。
一方この実施の形態に係る半導体レーザにおいては、図23に示されるように、低温状態では波長λlで、また高温状態では波長λhで発振するので、温度に対する波長変化は(λh−λl)/(Sh−Sl)に比例する。ところが破線aで示されるようにトータル損失が波長とともに増加する領域にあるので、Sh>>Slとなる。
このためトータル損失に波長依存性がある場合の温度に対する波長変化は、式(14)に示されるようにトータル損失に波長依存性がない場合に比べて小さくなる。すなわち
(λh−λl)/(Sh−Sl)<(λh0−λl0)/(Sh0−Sl0) (14)
となる。
以上の説明では、波長依存性がない場合について説明したが、損失が波長依存性を有する程度によっても、波長変化の程度が変わる。つまり、波長に対する損失増加が大きいほど波長の温度変化及び波長の注入電流による変化を抑制することができる。
実施の形態7.
図24はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式断面図である。
図24において、80は半導体レーザ装置、82は半導体レーザ、84は半導体レーザ82の出射端面に対向しレーザ光の光軸に合わせて配設されたレンズ、86はレンズ84を介して半導体レーザ82の出射端面に対向しレーザ光の光軸に合わせて配設された光ファイバである。
88は半導体レーザ82の後端面に配設されたコーティング膜で、その反射率はRrである。90は半導体レーザ82の前端面に配設された低反射コーティング膜で、その反射率はRfである。92は半導体レーザ82の光導波路領域、94は光ファイバ86に設けられたファイバグレーティングで、その反射率はRfgである。
この半導体レーザ82では、低反射コーティング膜として実施の形態1及び2に記載した低反射コーティング膜を使用する。低反射コーティング膜90は所定の波長λ0において極小値を有する反射率をもち、1%以下の低反射率となる波長領域幅を55nm以上にしたものである。
この半導体レーザ装置80は、半導体レーザ82の発振波長を安定化させるために光ファイバ86内にファイバグレーティング94を設けて、特定の波長の光を反射させて、かつ半導体レーザ82の前端面を低反射または無反射に、また半導体レーザ82の後端面を高反射率にすることで、ファイバグレーティング94と半導体レーザ82の後端面との間で共振器を構成している。またレンズ84は半導体レーザ82からの光を効率よく光ファイバ86内に入射させるためのものである。
次に動作について説明する。
図25及び図26は従来のファイバグレーティングを有する半導体レーザ装置の利得と損失とを示すグラフである。
図25において、ファイバグレーティングは特定の波長λfgに対して反射率はRfgであるが、その他の波長に対しては反射率はほぼゼロである。このため波長λfgで損失が小さくなり通常はこの波長で半導体レーザは発振する。
しかしながら、例えば周囲温度が低いときは、利得分布が短波長に変位するため、図26に示されるように、ファイバグレーティングによって決まる損失より半導体レーザ前端面のコーティング膜によって決まる損失の方が小さくなる場合がある。このときには、波長λfgではなく波長λLDで発振する。
このとき波長λfgの光強度に対する波長λLDの光強度の比であるサイドモード抑圧比が小さくなってしまう場合やファイバグレーティングによって決まる波長以外で半導体レーザが発振してしまうと言うことが起きる。
この実施の形態では半導体レーザの出射前端面に低反射コーティング膜をもうけるとともにこの低反射コーティング膜の1%以下の低反射率となる波長領域幅を55nm以上にしたもので、半導体レーザの前端面のコーティング膜の反射率の波長依存性で決まる発振を抑制することができ、サイドモード抑圧比が小さくなることを防ぐことができる。延いてはファイバーグレーティングによって規定される発振波長で安定して発振する半導体レーザ装置を簡単に構成することができる。
図27はこの発明の一実施の形態に係るファイバグレーティングを有する半導体レーザ装置の利得と損失とを示すグラフである。
図27において、この半導体レーザ82の前端面の低反射コーティング膜90を1%以下の低反射率となる波長領域幅を、例えば100nm以上有するものとしたので、周囲温度または注入電流を変えたときでも、半導体レーザ82の前端面の低反射コーティング膜90で決まる波長で発振することはなく、ファイバグレーティングで決まる波長で発振させることができる。延いては発振波長の安定した半導体レーザ装置を構成することができる。
実施の形態8.
この実施の形態の半導体レーザ装置は、実施の形態7と同様にファイバグレーティングを有する半導体レーザ装置で、基本構成は実施の形態7と同じである。ただ、半導体レーザ82の前端面に配設された低反射コーティング膜90の構成が異なり、反射率が極小になる所定の波長λ0がファイバグレーティングの波長λfgより短い場合には、低反射コーティング膜90の反射率が波長λ0の長波長側で短波長側より緩やかに上昇し、反射率が極小になる所定の波長λ0がファイバグレーティングの波長λfgより長い場合には、低反射コーティング膜90の反射率が波長λ0の短波長側で長波長側より緩やかに下降するように設定したものである。
この構成により、サイドモード抑圧比が大きくとることができ、ファイバグレーティングの波長λfgにより定まる発振波長で、半導体レーザ装置を安定に発振させることができる。延いてはファイバーグレーティングによって規定される発振波長で安定して発振する半導体レーザ装置を簡単に構成することができる。
実施例11
この実施例11は、等価屈折率ncがnc=3.37の半導体レーザの前端面に、実施の形態2に記載した4層膜の低コーティング膜90を形成したものである。
低コーティング膜90の構成は、第1層として屈折率n1=1.62のAl2O3膜を膜厚25.23nm形成し、第2層として屈折率n2=2.057のTa2O5膜を膜厚24.69nm形成し、第3層として屈折率n1=1.62のAl2O3膜を膜厚37.84nm形成し、第4層として屈折率n2=2.057のTa2O5膜を膜厚37.04nm形成したものである。
図28はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の反射率の波長依存性を示すグラフである。
図28において、波長λ0=980nmで反射率はゼロとなり、短波長側及び長波長側にずれるにつれて反射率は増加する。ただし反射率の増加は波長λ0=980nmを中心として対象ではなく、長波長側の波長の変化に伴う反射率の変化の方が短波長側の波長の変化に伴う反射率の変化に比べて緩やかに変化している。
図29はこの発明の一実施例である実施例11のファイバグレーティングを伴う半導体レーザ装置の損失と利得を示すグラフである。
図29において、破線はトータル損失αt、実線は利得gである。またλ0は反射率が極小になる波長で、λfgはファイバグレーティングの波長である。
図29に示されるように、トータル損失の変化は波長λ0の長波長側で緩やかになる。従って、ファイバグレーティングの波長λfgを低反射または無反射となる波長λ0より長波長側に設定すると半導体レーザの利得が短波長では損失と等しくなりにくくサイドモード抑圧比が大きくとれることになる。
実施の形態9.
この実施の形態9は、既に述べた実施の形態2の実施例5をさらに拡張したものである。
この実施の形態9は、実施の形態2の実施例5と同様に、屈折率n1の材料で膜厚をa0×d1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をa0×d2としたコーティング膜からなる基底コーティング膜対の上に、屈折率がn1で係数ak(k=1,2,・・,m)を正の実数としたときに膜厚がak×d1である第3の被覆膜とこの第3の被覆膜上に配設された屈折率がn2で膜厚がak×d2の第4の被覆膜とを有する被覆膜対を、k=1,2,・・,mと変化させてさらにm対重ねて形成し、最上層の被覆膜対の第4の被覆膜表面に、屈折率n1の材料で膜厚をb1×d1とした第5の被覆膜を形成するものである。
そしてこの実施の形態9では、7層膜の実施例を増やすとともに、9層膜にさらに拡張した実施例を提示した。
図30はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。
図30において、100は半導体レーザ装置、102は第2コーティング膜対32の上に形成された第3コーティング膜対で、102aは第3の被覆膜としての第7層コーティング膜で、屈折率n1の材料で膜厚をa3d1としたものである。102bは第4の被覆膜としての第8層コーティング膜で、屈折率n2の材料で膜厚をa3d2としたものである。a3はパラメータで正の実数である。
38は屈折率n1の材料で膜厚をb1d1(パラメータb1は正の実数)とした第5の被覆膜としての表面層コーティング膜である。
第3コーティング膜対102は第7層コーティング膜102aと第8層コーティング膜102bで構成される。表面層コーティング膜38の一方の界面は第8層コーティング膜102bに密着し、もう一方の界面は、この実施の形態では、屈折率n0がn0=1の自由空間に接している。
無反射条件の導出は実施の形態2の場合と同様で、低反射コーティング膜14が配設された端面の振幅反射率rの実部と虚部とがゼロになるように膜厚d1、d2を定める。
また、n1とn2のいずれか一方が、(nc×n0)1/2より小さく、他方が(nc×n0)1/2より大きく設定する。いまはn0=1であるので、n1とn2の値の間に(nc)1/2が存在するように設定する。
特にこの実施の形態では、(nc×n0)1/2より小さい屈折率を有した材料で構成されるコーティング膜を半導体レーザ素子12の端面に密着させて低反射コーティング膜14を構成している。
この様に構成することにより、低反射膜の設計の自由度が高くなることは既に述べた実施の形態と同様である。
さらに反射率が1%以下になる低反射領域が非常に広い被覆膜を容易に構成できるので、複数波長の光を伝播させる光半導体装置の被覆膜として使用しやすくなる。
また、反射率が1%以下になる低反射領域が非常に広く、かつ被覆膜のトータル膜厚を伝播する光の波長の1/4に相当する膜厚(以下、λ0/4膜厚という)より容易に厚くすることができるので、光半導体素子の端面における熱伝導性がよく熱劣化の少ない光半導体装置を構成することができる。延いては、広い波長領域の光の伝播が可能で熱安定性の優れた光半導体装置を構成することができる。
また、実施の形態7において記載した、ファイバグレーティングを設けた半導体レーザ装置に用いられる半導体レーザの出射端面に、この実施の形態で述べる反射率が1%以下になる低反射領域が非常に広い被覆膜を使用すると、広い波長範囲に亘ってファイバグレーティングの損失を半導体レーザ端面反射率で求まる損失よりも小さくできるので、半導体レーザの利得と端面反射率から決まる半導体レーザ自身の発振を抑制でき、延いてはサイドモード抑圧比が小さくなるのを防ぐことができ、レーザ特性の良い半導体レーザ装置を構成することができる。
実施例12
この実施例12は図5に示された構成と同じ構成になる。
図5において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a及び表面層コーティング膜38を屈折率がn1=1.62のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=2.057の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
第1層コーティング膜22aの膜厚D1をa0×d1、第2層コーティング膜22bの膜厚D2をa0×d2、第3層コーティング膜24aの膜厚D3をa1×d1、第4層コーティング膜24bの膜厚D4をa1×d2、第5層コーティング膜32aの膜厚D5をa2×d1、第6層コーティング膜32bの膜厚D6をa2×d2、表面層コーティング膜38の膜厚Dsをb1×d1としたとき、a0=0.8、a1=2.0、a2=2.0及びb1=2.0とし、アルミナ及び酸化タンタルそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.695388、φ2=1.05768であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき各層の膜厚は、D1=53.56nm、D2=64.16nm、D3=133.90nm、D4=160.40nm、D5=133.90nm、D6=160.40nm、及びDs=133.90nmとなり(以下、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=53.56/64.16/133.90/160.40/133.90/160.40/133.90nmのように略記する)、トータル膜厚(n1×D1+n2×D2+n1×D3+n2×D4+n1×D5+n2×D6+n1×Ds)は1529.38nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約6.2倍と非常に厚くなっている。
図31はこの発明の一実施例12に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図31から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は150nmと広くなっている。
実施例13
実施例12の半導体レーザを先に述べたようなファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。つまり半導体レーザの光の波長λ0と反射率が1%である波長領域幅の中心波長とを合致させることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには低反射コーティング膜14の構成は実施例12と同じにして、a0=0.8、a1=2.0、a2=2.0及びb1=2.0とし、アルミナ及び酸化タンタルそれぞれの位相変化φ1、φ2を、φ1=0.695388、φ2=1.05768とし、波長λ=944nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、実施例12とa0、a1、a2、及びb1の値、および位相変化φ1、φ2の値が同じである場合、無反射となる波長が変化するに対応して、d1、d2の値が変化し、従って、各層の膜厚D1、D2、D3、D4、D5、D6、Dsの値が変化する。
すなわち、各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=51.59/61.80/128.98/154.51/128.98/154.51/128.98nmとなる。これは以下に述べる他の実施例においても同様である。
図32はこの発明の一実施例13に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図32において、反射率が1%以下の波長領域幅は144nmである。
実施例14
この実施例14は図30に示された構成と同じ構成になる。
図30において、半導体レーザの等価屈折率nc=3.37とし、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a、第7層コーティング膜102a、及び表面層コーティング膜38を、屈折率がn1=1.62のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b、第6層コーティング膜32b、及び第8層コーティング膜102bを屈折率がn2=2.057の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
第1層コーティング膜22aの膜厚D1をa0×d1、第2層コーティング膜22bの膜厚D2をa0×d2、第3層コーティング膜24aの膜厚D3をa1×d1、第4層コーティング膜24bの膜厚D4をa1×d2、第5層コーティング膜32aの膜厚D5をa2×d1、第6層コーティング膜32bの膜厚D6をa2×d2、第7層コーティング膜38の膜厚D7をa3×d1、第8層コーティング膜102bの膜厚D8をa3×d2、そして表面層コーティング膜38の膜厚Dsをb1×d1としたとき、a0=0.8、a1=2.15、a2=1.8、a3=2.08及びb1=2.0とし、アルミナ及び酸化タンタルそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.471712、φ2=1.3307であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのときの各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/D7/D8/Ds=36.33/80.72/97.64/216.94/81.75/181.62/94.47/209.87/90.83nmである。
そしてトータル膜厚(n1×D1+n2×D2+n1×D3+n2×D4+n1×D5+n2×D6+n1×D7+n2×D8+n1×Ds)は2067.23nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約8.4倍と非常に厚くなっている。
図33はこの発明の一実施例14に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図33から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は127nmと広くなっている。
実施例15
実施例14の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例14と同じにして、a0=0.8、a1=2.15、a2=1.8、a3=2.08及びb1=2.0とし、アルミナ及び酸化タンタルそれぞれの位相変化φ1、φ2を、φ1=0.471712、φ2=1.3307とし、波長λ=945nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/D7/D8/Ds=35.04/77.84/94.16/209.19/78.83/175.13/91.09/202.38/87.59nmである。
図34はこの発明の一実施例15に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図34において、反射率が1%以下の波長領域幅は122nmである。
実施例16
この実施例16は図5に示された構成と同じ構成になる。実施例12との相違は、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=2.954のシリコン(Si)で形成する点で、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a及び表面層コーティング膜38を屈折率がn1=1.62のアルミナ(Al2O3)で形成する点は実施例12と同じである。
この実施例16では、a0=0.66、a1=2.5、a2=2.0及びb1=2.0とし、アルミナ及びシリコンそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.561105、φ2=1.33856であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=35.65/46.65/135.06/176.69/108.05/141.35/108.05nmとなる。
また、トータル膜厚は1703.92nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約7.0倍と非常に厚くなっている。
図35はこの発明の一実施例16に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図35から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は127nmと広くなっている。
実施例17
実施例16の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例16と同じにして、a0=0.66、a1=2.5、a2=2.0及びb1=2.0とし、アルミナ及びシリコンそれぞれの位相変化φ1、φ2を、φ1=0.561105、φ2=1.33856とし、波長λ=993nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=36.13/47.27/136.85/179.03/109.48/143.23/109.48nmである。
図36はこの発明の一実施例17に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図34において、反射率が1%以下の波長領域幅は129nmである。
実施例18
この実施例18は図5に示された構成と同じ構成になる。実施例12との相違は、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a及び表面層コーティング膜38を屈折率がn1=1.45の石英(SiO2)で形成する点で、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを屈折率がn2=2.057の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する点は実施例12と同じである。
この実施例18では、a0=0.74、a1=2.0、a2=2.0及びb1=2.0とし、石英及び酸化タンタルそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.516451、φ2=1.33632であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=41.11/74.98/111.11/202.65/111.11/202.65/111.11nmとなる。
また、トータル膜厚は1530.87nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約6.2倍と非常に厚くなっている。
図37はこの発明の一実施例18に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図37から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は137nmと広くなっている。
実施例19
実施例18の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例18と同じにして、a0=0.74、a1=2.0、a2=2.0及びb1=2.0とし、石英及び酸化タンタルそれぞれの位相変化φ1、φ2を、φ1=0.516451、φ2=1.33632とし、波長λ=978nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=41.03/74.83/110.88/202.34/110.88/202.34/110.88nmである。
図38はこの発明の一実施例19に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図38において、反射率が1%以下の波長領域幅は137nmである。
実施例20
この実施例20は図5に示された構成と同じ構成になる。実施例12との相違は、第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a及び表面層コーティング膜38を屈折率がn1=1.45の石英(SiO2)で形成すること、及び第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを屈折率がn2=2.954のシリコン(Si)で形成することである。
この実施例20では、a0=0.55、a1=2.3、a2=2.0及びb1=2.0とし、石英及びシリコンそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.570164、φ2=1.4274であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=33.73/41.45/141.06/173.34/122.66/150.73/122.66nmとなる。
また、トータル膜厚は1688.92nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約6.9倍と非常に厚くなっている。
図39はこの発明の一実施例20に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図39から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は112nmと広くなっている。
実施例21
実施例20の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例20と同じにして、a0=0.55、a1=2.3、a2=2.0及びb1=2.0とし、石英及びシリコンそれぞれの位相変化φ1、φ2を、φ1=0.570164、φ2=1.4274とし、波長λ=992nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D1/D2/D3/D4/D5/D6/Ds=34.15/41.96/142.79/175.47/124.16/152.58/124.16nmである。
図40はこの発明の一実施例21に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図40において、反射率が1%以下の波長領域幅は114nmである。
実施の形態10.
この実施の形態10は、半導体レーザ素子12の端面に、屈折率n2の材料で膜厚をc1×d1(c1は正の実数)とした第6の被覆膜としての予備層コーティング膜を先に形成し、この予備層コーティング膜の上に、屈折率n1の材料で膜厚をa0×d1としたコーティング膜と屈折率n2の材料で膜厚をa0×d2としたコーティング膜からなる基底コーティング膜対を形成し、この基底コーティング膜対の上に、屈折率がn1で係数ak(k=1,2,・・,m)を正の実数としたときに膜厚がak×d1である第3の被覆膜とこの第3の被覆膜上に配設された屈折率がn2で膜厚がak×d2の第4の被覆膜とを有する被覆膜対を、k=1,2,・・,mと変化させてさらにm対重ねて形成するものである。
図41はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。
図41において、110は半導体レーザで、半導体レーザ素子12の端面上に7層のコーティング膜が形成されている。
112は予備層コーティング膜で、予備層コーティング膜112は半導体レーザ素子12の端面に密着して形成され、予備層コーティング膜112の界面上には屈折率n1の材料で膜厚をa0×d1とした第1層コーティング膜22aが密着して形成されている。
第1層コーティング膜22a上には、屈折率n2の材料で膜厚をa0×d2とした第2層コーティング膜22bが形成され基底コーティング膜対22を形成している。この基底コーティング膜対22上には、屈折率n1の材料で膜厚をa1×d1とした第3層コーティング膜24aと屈折率n2の材料で膜厚をa1×d2とした第4層コーティング膜24bとを一対とした第1コーティング膜対24、及び屈折率n1の材料で膜厚をa2×d1とした第5層コーティング膜32aと屈折率n2の材料で膜厚をa2×d2とした第6層コーティング膜32bとを一対とした第2コーティング膜対32をさらに重ねて形成し、コーティング膜対を3段とし、予備コーティング膜112と合わせて7層のコーティング膜からなる低反射コーティング膜14が形成されている。
第6層コーティング膜32bの一方の界面は第5層コーティング膜32aに密着し、もう一方の界面は、この実施の形態では、屈折率n0がn0=1の自由空間に接している。
図42はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の模式図である。
図42において、120は半導体レーザ装置である。
半導体レーザ装置120は、半導体レーザ素子12の端面に密着して形成された予備層コーティング膜112上に基底コーティング膜対22、第1コーティング膜対24、第2コーティング膜対32が形成され、さらにこの第2コーティング膜対32の上に第3コーティング膜対102が形成され、予備コーティング膜112と合わせて9層のコーティング膜からなる低反射コーティング膜14が形成されている。
第3コーティング膜対102の第8層コーティング膜102bは一方の界面が第7層コーティング膜102aに密着し、もう一方の界面は、この実施の形態では、屈折率n0がn0=1の自由空間に接している。
図41で示された低反射コーティング膜14も、図42で示された低反射コーティング膜14もともに、無反射条件の導出は実施の形態2の場合と同様で、低反射コーティング膜14が配設された端面の振幅反射率rの実部と虚部とがゼロになるように膜厚d1、d2を定める。
また、n1とn2のいずれか一方が、(nc×n0)1/2より小さく、他方が(nc×n0)1/2より大きく設定する。いまはn0=1であるので、n1とn2の値の間に(nc)1/2が存在するように設定する。
特にこの実施の形態では、(nc×n0)1/2より小さい屈折率を有した材料で構成されるコーティング膜を半導体レーザ素子12の端面に密着させて低反射コーティング膜14を構成している。
この様に構成することにより、この実施の形態10においても、実施の形態9と同様の効果を奏する。
さらに、例えば(nc×n0)1/2より小さい屈折率を有した材料で構成されるコーティング膜を半導体レーザ素子12の端面に密着させて低反射コーティング膜14を構成する場合には、半導体レーザ素子12の端面に最も近接しているコーティング膜(実施の形態9では第1層コーティング膜22a、実施の形態10では予備層コーティング膜112)の膜厚が強く反射率分布に影響する。
このために、実施の形態9の効果に加えて、実施の形態9の様に第1層コーティング膜22aと第2層コーティング膜22bとを対で設定する必要がある場合に比べて、この実施の形態10では、半導体レーザ素子12の端面に最も近接しているコーティング膜を比較的自由度高く設定できるので、反射率が1%以下となる部分の形状をより自由に設定することができるという効果がある。例えば反射率が1%以下となる部分のバスタブ形状をより端正な形状にすることが出来る。
したがって、被覆膜層が配設された端面における反射率の波長依存性の設定の自由度をさらに高めることができる。延いてはより広範な所望の反射率の波長依存性を有する低反射被覆膜層を備えた光半導体装置を簡単に構成することができる。
さらに、光半導体素子の端面に最も近接する被覆膜の屈折率が、この被覆膜の上層に隣接する被覆膜の屈折率よりも小さくしたもので、この構成により、被覆膜の膜厚を厚く構成しかつ低反射領域を広くすることができる。延いては熱伝導特性がよく光半導体素子の端面における熱劣化の少ない光半導体装置を構成することができる。
さらに光半導体素子の端面に最も近接して配設された被覆膜をアルミナにより、またこのアルミナの被覆膜に隣接して配設された被覆膜を酸化タンタルによりそれぞれ構成したもので、簡単な材料構成で被覆膜の膜厚を厚く構成しかつ低反射領域を広くすることができる。延いては光半導体素子の端面における熱劣化の少ない光半導体装置を安価に提供することができる。
実施例22
この実施例22は図41に示された7層膜の構成である。
図41において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=1.62のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、及び第5層コーティング膜32aを屈折率がn1=2.057の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
予備層コーティング膜112の膜厚D0をc1×d2、第1層コーティング膜22aの膜厚D1をa0×d1、第2層コーティング膜22bの膜厚D2をa0×d2、第3層コーティング膜24aの膜厚D3をa1×d1、第4層コーティング膜24bの膜厚D4をa1×d2、第5層コーティング膜32aの膜厚D5をa2×d1、第6層コーティング膜32bの膜厚D6をa2×d2としたとき、c1=0.38、a0=2.0、a1=2.0、及びa2=2.0とし、酸化タンタル及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.52568、φ2=0.963283であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=35.24/79.72/185.49/79.72/185.49/79.72/185.49nmとなり、トータル膜厚(n2×D0+n1×D1+n2×D2+n1×D3+n2×D4+n1×D5+n2×D6)は1450.50nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約5.9倍と非常に厚くなっている。
図43はこの発明の一実施例22に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図43から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は150nmと広くなっている。
実施例23
実施例22の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例22と同じにして、c1=0.38、a0=2.0、a1=2.0、及びa2=2.0とし、酸化タンタル及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.52568、φ2=0.963283とし、波長λ=956nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=34.38/77.77/180.95/77.77/180.95/77.77/180.95nmである。
図44はこの発明の一実施例23に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図44において、反射率が1%以下の波長領域幅は146nmである。
実施例24
この実施例24は図42に示された9層膜の構成である。
図42において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b、第6層コーティング膜32b、及び第8層コーティング膜102bを、屈折率がn2=1.62のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a、及び第7層コーティング膜102aを屈折率がn1=2.057の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
予備層コーティング膜112の膜厚D0をc1×d2、第1層コーティング膜22aの膜厚D1をa0×d1、第2層コーティング膜22bの膜厚D2をa0×d2、第3層コーティング膜24aの膜厚D3をa1×d1、第4層コーティング膜24bの膜厚D4をa1×d2、第5層コーティング膜32aの膜厚D5をa2×d1、第6層コーティング膜32bの膜厚D6をa2×d2、第7層コーティング膜102aの膜厚D7をa3×d1、第8層コーティング膜102bの膜厚D8をa3×d2としたとき、c1=0.58、a0=2.0、a1=2.0、a2=2.0及びa3=2.0とし、酸化タンタル及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.382042、φ2=1.05165であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6/D7/D8=58.73/57.94/202.50/57.94/202.50/57.94/202.50/57.94/202.50nmとなり、トータル膜厚(n2×D0+n1×D1+n2×D2+n1×D3+n2×D4+n1×D5+n2×D6+n1×D7+n2×D8)は1884.06nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約7.7倍と非常に厚くなっている。
図45はこの発明の一実施例24に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図45から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は100nmと広くなっている。
実施例25
実施例24の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例24と同じにして、c1=0.58、a0=2.0、a1=2.0、a2=2.0及びa3=2.0とし、酸化タンタル及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.382042、φ2=1.05165であるとき、波長λ=978nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6/D7/D8=58.61/57.82/202.09/57.82/202.09/57.82/202.09/57.82/202.09nmである。
図46はこの発明の一実施例25に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図46において、反射率が1%以下の波長領域幅は100nmである。
実施例26
この実施例26は図41に示された7層膜の構成である。
図41において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=1.62のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、及び第5層コーティング膜32aを屈折率がn1=2.954のシリコン(Si)で形成する。
この実施例26では、c1=0.75、a0=1.98、a1=2.0、及びa2=2.0とし、シリコン及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.182114、φ2=1.08902であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=78.64/19.04/207.60/19.23/209.70/19.23/209.70nmとなり、トータル膜厚は1312.99nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約5.4倍と非常に厚くなっている。
図47はこの発明の一実施例26に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図47から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は140nmと広くなっている。
実施例27
実施例26の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例26と同じにして、c1=0.75、a0=1.98、a1=2.0、及びa2=2.0とし、シリコン及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.182114、φ2=1.08902であるとき、波長λ=1002nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=80.40/19.47/212.26/19.66/214.41/19.66/214.41nmである。
図48はこの発明の一実施例27に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図48において、反射率が1%以下の波長領域幅は143nmである。
実施例28
この実施例28は図41に示された7層膜の構成である。
図41において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=1.45の石英(SiO2)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、及び第5層コーティング膜32aを屈折率がn1=2.057の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
この実施例28では、c1=0.2、a0=2.7、a1=2.0、及びa2=2.0とし、酸化タンタル及び石英それぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.302025、φ2=1.0705であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=23.03/61.83/310.91/45.80/230.30/45.80/230.30nmとなり、トータル膜厚は1437.69nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約5.9倍と非常に厚くなっている。
図49はこの発明の一実施例28に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図49から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は134nmと広くなっている。
実施例29
実施例28の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例28と同じにして、c1=0.2、a0=2.7、a1=2.0、及びa2=2.0とし、酸化タンタル及び石英それぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.302025、φ2=1.0705であるとき、波長λ=966nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=22.70/60.95/306.46/45.15/227.01/45.15/227.01nmである。
図50はこの発明の一実施例29に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図50において、反射率が1%以下の波長領域幅は133nmである。
実施例30
この実施例30は図41に示された7層膜の構成である。
図41において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=1.45の石英(SiO2)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、及び第5層コーティング膜32aを屈折率がn1=2.954のシリコン(Si)で形成する。
この実施例30では、c1=0.5、a0=2.5、a1=2.0、及びa2=2.0とし、シリコン及び石英それぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.131051、φ2=1.16158であるとき、波長λ0=980nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=62.47/17.30/312.37/13.84/249.90/13.84/249.90nmとなり、トータル膜厚は1401.10nmである。これはλ0/4膜厚245nmの約5.7倍と非常に厚くなっている。
図51はこの発明の一実施例30に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図51から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域幅は134nmと広くなっている。
実施例31
実施例30の半導体レーザをファイバグレーティングと組み合わせる場合には、半導体レーザの光の波長λ0をバスタブ形状をした反射率分布の中心にすることが望ましい。
この場合、λ0=980nmを反射率が1%である波長領域幅の中心波長とするためには、低反射コーティング膜14の構成は実施例30と同じにして、c1=0.5、a0=2.5、a1=2.0、及びa2=2.0とし、シリコン及び石英それぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.131051、φ2=1.16158であるとき、波長λ=969nmで無反射とすればよい。
なおこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=61.77/17.10/308.86/13.68/247.09/13.68/247.09nmである。
図52はこの発明の一実施例31に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図52において、反射率が1%以下の波長領域幅は132nmである。
実施の形態11.
この実施の形態11は、実施の形態6をさらに発展させたものである。
この実施の形態11に係る半導体レーザ装置は、半導体レーザの活性層から決まる発振波長よりも無反射となる波長を長波長側にした構成を有する。すなわち半導体レーザの共振器の出射端面に被覆膜を設けて反射率が所定の波長λ0に対応して極小値を有するようにし、半導体レーザの利得が最大になる波長を被覆膜層の反射率が極小となる波長よりも短波長側に設定することにより、波長が長くなるにつれて端面の反射率が低くなる領域において、半導体レーザの総損失と半導体レーザの利得とが等しくしたものである。
そしてこの半導体レーザ装置の被覆膜の構成を、実施の形態10において提示した構成にしている。すなわちこの実施の形態11の半導体レーザ装置の構成は、図41に示した7層構成の低反射コーティング膜14を有する半導体レーザ装置110あるいは図42に示した9層構成の低反射コーティング膜14を有する半導体レーザ装置120の構成をしている。
実施例32
この実施例32は図41に示された7層膜の構成である。
図41において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=1.63のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、及び第5層コーティング膜32aを屈折率がn1=2.00の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
予備層コーティング膜112の膜厚D0をc1×d2、第1層コーティング膜22aの膜厚D1をa0×d1、第2層コーティング膜22bの膜厚D2をa0×d2、第3層コーティング膜24aの膜厚D3をa1×d1、第4層コーティング膜24bの膜厚D4をa1×d2、第5層コーティング膜32aの膜厚D5をa2×d1、第6層コーティング膜32bの膜厚D6をa2×d2としたとき、c1=0.30、a0=1.75、a1=2.00、及びa2=2.00とし、酸化タンタル及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.788239、φ2=0.826943であるとき、波長λ0=1000nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=24.22/109.77/141.30/125.45/161.49/125.45/161.49nmとなり、トータル膜厚(n2×D0+n1×D1+n2×D2+n1×D3+n2×D4+n1×D5+n2×D6)は1517.60nmである。これはλ0/4膜厚250nmの約6.1倍と非常に厚くなっている。
図56はこの発明の一実施例32に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図56から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域は954nmから1114nmに亘っており、反射率が1%以下の波長領域の中心波長は1034nmである。したがって無反射となる波長1000nmは反射率が1%以下の波長領域の中心波長の短波長側に存在する。
このように無反射となる波長が、反射率が1%以下の波長領域の中心波長よりも短波長側に存在する場合には、長波長側に存在する場合よりも、低反射コーティング膜14を構成する材料の屈折率や膜厚などが設計値から多少ばらついたとしても、低反射コーティング膜14の反射率の設計値からの偏差への影響が少なくなる。このために低反射コーティング膜14の材料選定、装着など実際的な製造が行いやすくなる。これは以下に述べる実施例33及び実施例34においても同様である。
実施例33
この実施例33も図41に示された7層膜の構成である。
図41において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b及び第6層コーティング膜32bを、屈折率がn2=1.63のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、及び第5層コーティング膜32aを屈折率がn1=2.00の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
予備層コーティング膜112の膜厚D0をc1×d2、第1層コーティング膜22aの膜厚D1をa0×d1、第2層コーティング膜22bの膜厚D2をa0×d2、第3層コーティング膜24aの膜厚D3をa1×d1、第4層コーティング膜24bの膜厚D4をa1×d2、第5層コーティング膜32aの膜厚D5をa2×d1、第6層コーティング膜32bの膜厚D6をa2×d2としたとき、c1=0.20、a0=1.80、a1=2.10、及びa2=2.00とし、酸化タンタル及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.800845、φ2=0.785781であるとき、波長λ0=1000nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6=15.34/114.71/138.10/133.83/161.12/127.46/153.45nmとなり、トータル膜厚(n2×D0+n1×D1+n2×D2+n1×D3+n2×D4+n1×D5+n2×D6)は1514.85nmである。これはλ0/4膜厚250nmの約6.1倍と非常に厚くなっている。
図57はこの発明の一実施例33に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図57から分かるように、反射率の波長依存性はU字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域は944nmから1098nmに亘っており、反射率が1%以下の波長領域の中心波長は1021nmである。したがって無反射となる波長1000nmは反射率が1%以下の波長領域の中心波長の短波長側に存在する。
実施例34
この実施例34は図42に示された9層膜の構成である。
図42において、半導体レーザ素子12の等価屈折率nc=3.37とし、予備層コーティング膜112、第2層コーティング膜22b、第4層コーティング膜24b、第6層コーティング膜32b、及び第8層コーティング膜102bを、屈折率がn2=1.63のアルミナ(Al2O3)で形成する。
第1層コーティング膜22a、第3層コーティング膜24a、第5層コーティング膜32a、及び第7層コーティング膜102aを屈折率がn1=2.00の酸化タンタル(Ta2O5)で形成する。
予備層コーティング膜112の膜厚D0をc1×d2、第1層コーティング膜22aの膜厚D1をa0×d1、第2層コーティング膜22bの膜厚D2をa0×d2、第3層コーティング膜24aの膜厚D3をa1×d1、第4層コーティング膜24bの膜厚D4をa1×d2、第5層コーティング膜32aの膜厚D5をa2×d1、第6層コーティング膜32bの膜厚D6をa2×d2、第7層コーティング膜102aの膜厚D7をa3×d1、第8層コーティング膜102bの膜厚D8をa3×d2としたとき、c1=0.58、a0=1.95、a1=2.00、a2=2.00及びa3=2.00とし、酸化タンタル及びアルミナそれぞれの位相変化φ1、φ2が、φ1=0.40465、φ2=1.12054であるとき、波長λ0=1000nmで無反射とすることができる。
またこのとき、各層の膜厚は、D0/D1/D2/D3/D4/D5/D6/D7/D8=63.46/62.79/213.35/64.40/218.82/64.40/218.82/64.40/218.82nmとなり、トータル膜厚(n2×D0+n1×D1+n2×D2+n1×D3+n2×D4+n1×D5+n2×D6+n1×D7+n2×D8)は2033.22nmである。これはλ0/4膜厚250nmの約8.1倍と非常に厚くなっている。
図58はこの発明の一実施例34に係る半導体レーザの端面における反射率の波長依存性を示すグラフである。
図58から分かるように、反射率の波長依存性はW字状をしたバスタブ形状に近く反射率が1%以下の波長領域は979nmから1121nmに亘っており、反射率が1%以下の波長領域の中心波長は1050nmである。したがって無反射となる波長1000nmは反射率が1%以下の波長領域の中心波長の短波長側に存在する。
実施例32,33及び34は実施の形態10に示した低反射コーティング膜14を有する半導体レーザ装置の構成であるが、半導体レーザ装置の低反射コーティング膜の構成が必ずしも実施の形態10の低反射コーティング膜の構成でなくても良く、実施の形態1、2、および9において述べた低反射コーティング膜を使用しても良いし、また1層の低反射コーティング膜を使用しても良い。
図59はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザの一例の利得分布を示すグラフである。
この図59に示されている半導体レーザ12の利得が最大になる波長、つまり利得ピーク波長は約972nmである。
なお、この利得分布を示すグラフは端面の低反射コーティング膜14を設ける前のものであり、後に述べる従来の半導体レーザ装置においても同様の利得分布を示していると考えることができる。
この半導体レーザ12の利得ピーク波長を、低反射コーティング膜14が形成された出射端面における反射率が無反射となる波長1000nmより、常に短波長側になるように設定する。これにより波長が長くなるにつれて半導体レーザ装置の損失が増大する波長領域において、半導体レーザ12の利得と半導体レーザ装置の損失とを等しくすることが出来る。その結果、周囲温度及び注入電流が変化した場合における半導体レーザ装置の発振波長の変化を小さくすることができる。
図60はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の損失と利得との関係を示す模式図である。
図60において、実線a1はこの発明に係る半導体レーザ装置のトータル損失を、実線b1、b2はこの発明に係る半導体レーザ装置の利得を示す。またSlは低温における総利得、Shは高温における総利得であり、それぞれ注入電流に比例する値である。
なお、比較のために従来の980nm帯の半導体レーザ装置について、トータル損失を破線a10により、利得を破線b10、b20により示す。またSl0は従来の半導体レーザ装置についての低温における総利得、Sh0は従来の半導体レーザ装置についての高温における総利得であり、それぞれ注入電流に比例する値である。
従来の半導体レーザ装置においては、トータル損失である破線a10は波長の変化にほとんど依存しない。低温時に利得とトータル損失が等しくなるのはA点であるため波長λl0で発振する。高温時にはバンドギャップの収縮により長波長から利得が発生し、このため利得と損失が等しくなるのはB点となり、波長λh0で発振する。したがって発振波長差はλh0−λl0である。
一方、この実施の形態に係る半導体レーザ装置においては、ミラー損失に波長依存性があり、しかも実線a1で示されるように波長が長くなるつれてトータル損失が増加する。このためにC点で示されるように低温時では小さな利得で損失と等しくなり、波長λlで発振する。高温時は逆に大きな利得を必要とし、D点で示されるλhで発振することになる。したがって発振波長差はλh−λlである。
ここで図60から明らかなように、λh−λl<λh0−λl0である。
従来の半導体レーザ装置における高温時と低温時の利得の差はSh0−Sl0であり、この実施の形態に係る半導体レーザ装置における高温時と低温時の利得の差はSh−Slである。そしてSh−Sl>Sh0−Sl0である。
したがって、温度変化または注入電流変化に対する波長変化を、従来の半導体レーザ装置とこの実施の形態に係る半導体レーザ装置とにおいて比較すると、
(λh−λl)/(Sh−Sl)<<(λh0−λl0)/(Sh0−Sl0)
となり、この実施の形態に係る半導体レーザ装置の温度変化及び注入電流変化に対する波長変化は従来の半導体レーザ装置のそれに比べて極端に小さくすることができる。
図61はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置の反射率の波長依存性とミラー損失の波長依存性を示すグラフである。
図61において比較のために従来の半導体レーザ装置の反射率の波長依存性とミラー損失の波長依存性を示している。
図61におけるA群の曲線はミラー損失の値で、実線a1はこの実施の形態に係る半導体レーザ装置のミラー損失の波長依存性を、また破線a2は従来の半導体レーザ装置のミラー損失の波長依存性を示している。
またB群の曲線は反射率の値で、実線b1はこの実施の形態に係る半導体レーザ装置の反射率の波長依存性を、また破線b2は従来の半導体レーザ装置の反射率の波長依存性を示している。
図61に示されるように、従来の半導体レーザ装置のミラー損失の値および反射率の値は、それほど波長に依存しないものになっている。
一方、この実施の形態に係る半導体レーザ装置においては、波長が長くなるにつれて、反射率の値は小さくなり、逆にミラー損失の値は大きくなっている。
図61に示されたこの実施の形態に係る半導体レーザ装置の、波長変化に対するミラー損失の変化Δα/Δλは約0.18cm−1/nmである。
図62はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置における発振波長の温度及び注入電流に対する依存性を示すグラフである。
温度は5℃から85℃まで10段階変化させ、注入電流は100mAから600mAまで変化させ、50mA間隔で測定している。
図62においては、温度が5℃、注入電流が100mAの場合から温度が85℃、600mAの場合までの間の発振波長の変化ΔλLは11.2nmである。
図63は従来の半導体レーザ装置における発振波長の温度及び注入電流に対する依存性を示すグラフである。この実施の形態に係る半導体レーザ装置の発振波長の、温度及び注入電流に対する依存性と比較のために示している。
測定方法はこの実施の形態に係る半導体レーザ装置の場合と同じである。
図63においては、温度が5℃、注入電流が100mAの場合から温度が85℃、600mAの場合までの間の発振波長の変化ΔλLは33.5nmである。
図62と図63との比較からこの実施の形態に係る半導体レーザ装置では従来の半導体レーザ装置に比べて温度及び注入電流に対する発振波長の変化はおおよそ1/3程度となっている。
図64はこの発明の一実施の形態に係る半導体レーザ装置における光出力−電流特性(以下、P−I特性、という。)の温度依存性を示すグラフである。
P−I特性の測定は温度25℃から85℃まで10段階で変化させて連続動作(CW)で行われた。
図65は従来の半導体レーザ装置におけるP−I特性の温度依存性を示すグラフである。
従来の従来の半導体レーザ装置におけるP−I特性の測定も、この実施の形態に係る半導体レーザ装置の場合と同様に実施されている。
この実施の形態の半導体レーザ装置におけるP−I特性と半導体レーザ装置におけるP−I特性を比較すると、この実施の形態の半導体レーザ装置においては従来の半導体レーザ装置よりもP−I特性の曲線群が粗に分散しているおり、しきい値電流の変化が大きい。
図64及び図65のP−I特性ならびに、図62及び図63の発振波長の温度及び注入電流に対する依存性から勘案すると、この実施の形態の半導体レーザ装置においては、バンドフィルタリング効果によりしきい値電流変化が大きくなる代わりに発振波長変化が抑制されていることになる。
図66はこの発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置において反射率を指標とした場合の波長変化抑制効果を示すグラフである。
この実施の形態に係る半導体レーザ装置において、種々の利得ピーク波長を有する半導体レーザと低反射コーティング膜とを有する半導体レーザ装置に対して各々発振波長変化が抑制されているが、図66においては従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下になる出射端面の反射率を一つの指標として発振波長変化の効果を判定している。
図66において、○印のものが従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下なったもので、□印のものは従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下にならなかったものである。したがって半導体レーザ装置の出射端面の反射率がおおよそ4%以下になると、従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下になっている。図66の破線が反射率4%の境界線で、矢印が望ましい領域を示している。
図67はこの発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置において波長変化に対するミラー損失変化を指標とした場合の波長変化抑制効果を示すグラフである。
図67においては、利得ピーク波長近傍における波長変化に対するミラー損失変化Δα/Δλを一つの指標として、従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下になる場合のΔα/Δλにより発振波長変化の効果を判定している。
図67の○印のものが従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下なったもので、□印のものは従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下にならなかったものである。したがって半導体レーザ装置の波長変化に対するミラー損失変化Δα/Δλが0.13cm−1/nm以上になると、従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下になっている。
以上述べたように、この実施の形態においては、半導体レーザの共振器の出射端面に被覆膜を設けて反射率が所定の波長λ0に対応して極小値を有するようにし、半導体レーザの利得が最大になる波長が被覆膜層の反射率が極小となる波長よりも短波長側に設定することにより、波長が長くなるにつれて反射率が低くなる領域において、半導体レーザの総損失と半導体レーザの利得とを等しくすることにより、周囲温度及び注入電流が変化した場合における半導体レーザ装置の発振波長の変化を小さくすることができる。
さらに、出射端面の反射率をおおよそ4%以下にし、かつ利得波長近傍の波長変化に対するミラー損失変化Δα/Δλを0.13cm−1/nm以上にすることにより従来の半導体レーザ装置に比べて発振波長変化が1/2以下になり、顕著な発振波長変化の抑制効果を有する半導体レーザ装置を構成することができる。
以上述べた実施の形態においては、9層の低反射コーティング膜まで記載したが、さらに多層の膜構成でも良い。
またパラメータak、b1、c1はここに記載したものに限定するものではない。
また各実施の形態の光半導体装置の伝播する光を、980nm近傍の光を例として、記述しているが、この波長に限らず、他の波長の可視光、赤外線、遠赤外線にも実施することができる。
また、ここでは例として半導体レーザ装置を例として説明したが、他の光半導体装置、例えば半導体光増幅器(SOA)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、光変調器などに適用できることはいうまでもない。
以上のように、この発明は、光情報処理用の光源、光通信の信号源、ファイバアンプの励起光源として用いられる半導体レーザ装置、半導体光増幅器、スーパールミネッセントダイオード、光変調器などの光半導体装置に係り、特にこれらに用いられる光半導体素子の端面にコーティング膜を具備した光半導体装置に適している。
12 半導体レーザ素子、 16、22a 第1層コーティング膜、 18、22b 第2層コーティング膜、 14 低反射コーティング膜、 24a 第3層コーティング膜、 32a 第5層コーティング膜、 102a 第7層コーティング膜、 24b 第4層コーティング膜、 32b 第6層コーティング膜、 102b 第8層コーティング膜、 24 第1コーティング膜対、 32 第2コーティング膜対、 102 第3コーティング膜対、 38 表面層コーティング膜、 94 ファイバグレーティング、 112 予備層コーティング膜。

Claims (1)

  1. 第1の端面に高反射率膜が配設された共振器を有し、利得が極大値となる第1の波長を有する半導体レーザと、
    この半導体レーザの上記共振器の第1の端面と対向する第2の端面上に配設され、反射率が極小値となる第2の波長が上記第1の波長より長くかつ反射率が4%以下である低反射率膜とを備え、
    上記第1の波長近傍における波長変化に対するミラー損失の変化率が0.13cm−1/nm以上であることを特徴とする光半導体装置。
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