JP2010287586A - 基板用フレームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】例え大きな基板を保持する際にも、ステンレス製の場合と略同様の厚さで十分な強度を確保でき、しかも、軽量化を図ることのできる基板用フレームの製造方法を提供する。
【解決手段】中空のフレーム1内に、半導体ウェーハWを粘着テープ10を介し収容して着脱自在に保持する基板用フレームの製造方法で、中空のステンレス薄板20を一対用意して各ステンレス薄板20を10〜500μmの厚さとし、一対のステンレス薄板20の間に熱可塑性の発泡樹脂層21を介在接着することにより積層体3を構成し、この積層体3の発泡樹脂層21をステンレス薄板20の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層21を中空に形成してフレーム1を得る。薄いステンレスと発泡性の樹脂とを多層構造に積層するので、ステンレス製の基板用フレームと略同等の厚さで必要十分な強度を確保しつつ、基板用フレームの軽量化を図ることができる。
【選択図】図2
【解決手段】中空のフレーム1内に、半導体ウェーハWを粘着テープ10を介し収容して着脱自在に保持する基板用フレームの製造方法で、中空のステンレス薄板20を一対用意して各ステンレス薄板20を10〜500μmの厚さとし、一対のステンレス薄板20の間に熱可塑性の発泡樹脂層21を介在接着することにより積層体3を構成し、この積層体3の発泡樹脂層21をステンレス薄板20の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層21を中空に形成してフレーム1を得る。薄いステンレスと発泡性の樹脂とを多層構造に積層するので、ステンレス製の基板用フレームと略同等の厚さで必要十分な強度を確保しつつ、基板用フレームの軽量化を図ることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、半導体ウェーハに代表される基板を個片のチップに分割するダイシング時等に使用される基板用フレームの製造方法に関するものである。
従来の基板用フレームは、図示しないが、ステンレスやステンレスを熱処理して剛性を高めた所定の材料を使用して中空板形のフレームに形成され、このフレームに防錆の観点から無電解ニッケルメッキが均一に施されており、フレームの中空に、各種大きさの半導体ウェーハを粘着テープを介し収容して着脱自在に保持する(特許文献1、2、3参照)。
ところで、基板用フレームは、半導体ウェーハの大口径化(例えば、φ300mmタイプ)に伴い、次第に大型化して重量が著しく増大し、搬送装置等の重厚長大化を招いている。例えば、ステンレス製の基板用フレームは、半導体ウェーハが6インチの場合には60g、半導体ウェーハが8インチの場合には120g、半導体ウェーハがφ300mmの場合には300gもの重量となる。
係る重量増大による搬送装置等の重厚長大化を防止する観点から、樹脂を使用して中空板形のフレームを成形する方法が提案されている。この方法によれば、強度を確保する観点からフレームが厚くなるものの、重量が軽減するので、半導体ウェーハが6インチの場合には30g、半導体ウェーハが8インチの場合には60g、半導体ウェーハがφ300mmの場合には120gの重量に抑制することができる。
しかしながら、半導体ウェーハの大口径化は近年さらに進み、生産性向上の観点からφ450mmタイプの半導体ウェーハが出現しているので、このタイプの半導体ウェーハを基板用フレームに保持してダイシングすることが要求されて来ている。この場合、基板用フレームは、ステンレス製の場合には略450g、樹脂製の場合にも250g前後の重量になり、半導体ウェーハの重量と合わせると、搬送装置等に多大の負担を加えることが予測される。また、係る重量増加に伴い、搬送や出荷時のエネルギー効率の低下も予測される。
本発明は上記に鑑みなされたもので、例え大きな基板を保持する際にも、ステンレス製の場合と略同様の厚さで十分な強度を確保することができ、しかも、軽量化を図ることのできる基板用フレームの製造方法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、中空のフレーム内に、基板を粘着テープを介し収容して着脱自在に保持する基板用フレームの製造方法であって、
中空のステンレス薄板を一対用意して各ステンレス薄板を10〜500μmの厚さとし、一対のステンレス薄板の間に熱可塑性の発泡樹脂層を介在接着することにより積層体を構成し、この積層体の発泡樹脂層をステンレス薄板の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層を中空に形成してフレームを得ることを特徴としている。
中空のステンレス薄板を一対用意して各ステンレス薄板を10〜500μmの厚さとし、一対のステンレス薄板の間に熱可塑性の発泡樹脂層を介在接着することにより積層体を構成し、この積層体の発泡樹脂層をステンレス薄板の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層を中空に形成してフレームを得ることを特徴としている。
なお、積層体を傾斜させた状態で回転させながらその発泡樹脂層をステンレス薄板の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層を中空に形成するとともに、この発泡樹脂層の内周面を、一のステンレス薄板から他の一のステンレス薄板に向かうにしたがい中空が狭まるよう傾斜させることができる。
また、発泡樹脂層を、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、あるいはポリプロピレンに発泡剤を添加して成形することができる。
また、発泡樹脂層を、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、あるいはポリプロピレンに発泡剤を添加して成形することができる。
ここで、特許請求の範囲における中空のフレームは、平面視でリング形や枠形等に形成することができる。基板には、少なくとも大きいφ300mmや450mmの半導体ウェーハ、液晶ガラス、ガラス基板等が含まれる。積層体やその発泡樹脂層を部分的に除去する方法としては、少なくともウォータージェット加工法、刃物による機械加工法、レーザ加工法等があげられる。
本発明によれば、例え大きな基板を保持する際にも、ステンレス製の場合と略同様の厚さで十分な強度を確保することができ、しかも、基板用フレームの軽量化を図ることができるという効果がある。
また、積層体を傾斜させた状態で回転させつつ発泡樹脂層をステンレス薄板の内周縁に沿って切除すれば、発泡樹脂層の内周面を容易に傾けることが可能になる。さらに、発泡樹脂層の内周面、即ち、フレームの内周面を傾斜させるので、例えば洗浄水を粘着テープ側ではなく、粘着テープとは反対側のフレームの表面側から外部にガイドすることができ、洗浄水の供給に伴う粘着テープのフレームからの剥離を有効に抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における基板用フレームは、図1ないし図3に示すように、丸いリング形のフレーム1内に、半導体ウェーハWを粘着テープ10を介し収容して保持する基板用のフレームで、フレーム1を、表裏一対のステンレス薄板20の間に熱可塑性の薄い発泡樹脂層21を介在接着することで多層の積層構造に構成するようにしている。
フレーム1は、図1や図2に示すように、総厚が1〜3mm、好ましくは1.2〜1.5mmの3層構造で中空の板形に形成され、内周面2が表面から裏面に向かうにしたがい徐々に傾斜するよう90°以上の所定の角度θでテーパ形成されており、半導体ウェーハWよりも拡径の中空が上下方向に狭まるようになっている。
半導体ウェーハWは、図2に示すように、例えばφ450mmの大口径で薄く丸いシリコンウェーハからなり、表面に回路パターンが形成されており、フレーム1の丸い中空に隙間を介し遊嵌して収容されるとともに、フレーム1の中空を覆う粘着テープ10の表面に着脱自在に粘着保持される。このような半導体ウェーハWは、ダイシング時に冷却洗浄水(図2の矢印参照)の噴射供給を受けつつ、ダイシングブレード30により個片のチップに分割される。
粘着テープ10は、図1や図2に示すように、例えば粘着剤がチップに付着するのを規制するエチレン酢酸ビニル(EVA)等からなるポリオレフィン系フィルムと、このポリオレフィン系フィルムの表面に塗布されて半導体ウェーハWを粘着するアクリル系の粘着剤とを備えた薄い平面円板形に形成され、フレーム1の平坦な裏面に着脱自在に粘着されてその中空を閉塞する。フレーム1の裏面は、そのままでも良いが、略スパイク状の凸凹に粗して粘着テープ10との接着強度を向上させることもできる。
各ステンレス薄板20は、焼鈍(焼きなまし)の施されないステンレス製の薄いリング形の板からなり、10〜500μm、好ましくは50〜500μmの厚さとされる。ステンレス薄板20に焼鈍が施されないのは、焼鈍を施すと、ステンレス薄板20の硬度が低下して伸びやすくなり、曲げ強度が低下して撓みやすくなり、半導体ウェーハWの保持や搬送に支障を来たすからである。
ステンレス薄板20の厚さが10〜500μmの範囲内なのは、厚さが10μm未満の場合には、曲げ応力が作用したときにクラック等が生じやすく、強度的に不十分になるからである。逆に、500μmを超える場合には、フレーム1の総厚が1mm以上になり、軽量化を図ることができなくなるからである。
熱可塑性の発泡樹脂層21は、例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等により、最終的にはリング形の板に形成され、軽量化の観点から発泡性が付与される。発泡性を付与する方法としては、例えばガスや発泡剤を熱可塑性の樹脂に添加して樹脂を発泡成形する方法があげられる。発泡性を有する発泡樹脂層21、例えばポリエチレン製の発泡体を使用すれば、基板用フレームの大幅な軽量化を図ることができる。
上記において、ダイシングフレームと呼ばれる基板用フレームを製造する場合には、一対のステンレス薄板20を用意し、この一対のステンレス薄板20の間に予め成形しておいた熱可塑性の発泡樹脂層21を介在接着することにより積層体3を構成し、その後、積層体3の中央部を所定の方法で除去して半導体ウェーハWを収容可能な大きさの中空を形成すれば、必要十分な曲げ強度を有する基板用フレームを製造することができる。
具体的な基板用フレームの製造方法としては、先ず、リング形のステンレス薄板20を一対用意し、この一対のステンレス薄板20の間に、薄板形を呈した熱可塑性の発泡樹脂層21を介在して接着することにより積層体3を構成する。積層体3を構成したら、ステンレス薄板20の中空を覆う発泡樹脂層21をステンレス薄板20の内周縁に沿って切除し、発泡樹脂層21を中空リング形に形成するとともに、この発泡樹脂層21の内周面を、表面側のステンレス薄板20から裏面側のステンレス薄板20に向かうにしたがい傾斜させれば、基板用フレームを製造することができる。
この際、図3に示すように、積層体3を上下方向にやや傾斜させた起立状態で図3の点線で示す回転軸RLを中心に回転させつつ、発泡樹脂層21をステンレス薄板20の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層21を中空リング形に形成すれば、発泡樹脂層21の内周面を容易にテーパ形に傾斜させ、丸いリング形のフレーム1を得ることができる。
発泡樹脂層21の切除方法としては、特に限定されるものではなく、ウォータージェット加工法、刃物による機械加工法、レーザ加工法等のいずれかを選択すれば良い。但し、切除時の発泡樹脂層21に温度上昇で悪影響が生じるのを防止する観点から、傾いたステンレス薄板20の内周縁に加圧された細い水流(図3の矢印参照)を上方から下方に垂直に噴射するウォータージェット加工法が最適である。
このようにして製造された基板用フレームは、その裏面に半導体ウェーハWを粘着した粘着テープ10が粘着されてその余剰部がフレーム1の外周縁に沿ってカットされ、その後、フレーム1の側方から半導体ウェーハWの表面側に冷却洗浄水が勢い良く噴射供給され、高速で回転するダイシングブレード30により半導体ウェーハWが個片のチップに分割される。冷却洗浄水は、ダイシングブレード30を冷却するとともに、ダイシングに伴う研削粉を除去する。
この際、発泡樹脂層21の内周面を含むフレーム1の内周面2が角度θでテーパ形成されているので、冷却洗浄水を粘着テープ10側ではなく、フレーム1の表面側から外部にガイドすることができ、冷却洗浄水の噴射に伴う粘着テープ10のフレーム1からの剥離を有効に抑制防止することができる。また、基板用フレームの表面がステンレス薄板20なので、ダイシングブレード30による損傷を有効に防止して基板用フレームの長寿命化を図ることができる。
上記構成によれば、薄いステンレスと発泡性の樹脂とを多層構造に積層するので、ステンレス製の基板用フレームと略同等の厚さで必要十分な強度を確保しつつ、大幅な軽量化を図ることができる。具体的には、ステンレス製の基板用フレームの半分以下の重量にすることができる。したがって、搬送装置等に加わる負担を軽減することができ、しかも、搬送や出荷時のエネルギー効率の低下防止も期待できる。
なお、上記実施形態では表裏一対のステンレス薄板20の間に熱可塑性の発泡樹脂層21を単に介在させて接着したが、ステンレス薄板20と発泡樹脂層21との対向面に、相互に噛み合う凹凸等の表面改質処理をそれぞれ施し、ステンレス薄板20と発泡樹脂層21との接着強度や耐性を向上させても良い。
次に、本発明に係る基板用フレームの実施例を比較例と共に説明する。
φ450mmの半導体ウェーハを粘着保持する実施例用と比較例用の基板用フレームをそれぞれ形成し、各基板用フレームをその両側部で水平に支持し、この基板用フレームの中心部に200gの荷重を加えた場合の撓み量を測定して表1にまとめた。
φ450mmの半導体ウェーハを粘着保持する実施例用と比較例用の基板用フレームをそれぞれ形成し、各基板用フレームをその両側部で水平に支持し、この基板用フレームの中心部に200gの荷重を加えた場合の撓み量を測定して表1にまとめた。
基板用フレームとして、表裏一対のステンレス薄板の間にポリエチレン製の薄い発泡樹脂層を介在接着した重量110gの多層構造タイプを使用した。この基板用フレームは、各ステンレス薄板の厚さが0.05mm、発泡樹脂層の厚さが1.1mmで、1.2mmの総厚とした。
基板用フレームとして、表裏一対のステンレス薄板の間にポリエチレン製の薄い発泡樹脂層を介在接着した重量320gの多層構造タイプを使用した。この基板用フレームは、各ステンレス薄板の厚さが0.5mm、発泡樹脂層の厚さが0.5mmで、1.5mmの総厚とした。
基板用フレームとして、多層の積層構造ではないステンレス製で重量450gのタイプを使用した。この基板用フレームは、1.5mmの総厚とした。
基板用フレームとして、多層の積層構造ではない未発泡のポリカーボネート製で重量230gのタイプを使用した。この基板用フレームは、3.0mmの総厚である。
基板用フレームとして、一対のステンレス薄板の間に未発泡のポリカーボネート製の樹脂層を介在接着した重量105gのタイプを使用した。この基板用フレームは、各ステンレス薄板の厚さが0.04mm、樹脂層の厚さが1.1mmで、1.18mmの総厚である。
基板用フレームとして、一対のステンレス薄板の間に未発泡のポリカーボネート製の樹脂層を介在接着した重量430gのタイプを使用した。この基板用フレームは、各ステンレス薄板の厚さが0.7mm、樹脂層の厚さが0.1mmで、1.5mmの総厚である。
実施例1、2の基板用フレームの場合には、表1に示すように、重量の増大と撓み量の抑制を図ることができ、これを通じ、実用上の強度と軽量性とを十分に確保することができた。
これに対し、比較例1の基板用フレームの場合には、表1に示すように、重いので、搬送装置等の重厚長大化を招き、しかも、作業者が搬送する際の安全性にも支障が生じた。また、比較例2の基板用フレームの場合には、強度と軽量性とを確保することができるものの、実施例の基板用フレームの約2倍の厚さとなってしまった。
比較例3の基板用フレームの場合には、撓み量が増大するので、装置のインターフェイスに問題が生じた。さらに、比較例4の基板用フレームの場合、強度や厚さが良好ではあるが、重いので、搬送装置等の重厚長大化を生じ、作業者が搬送する際の安全性が低下した。
1 フレーム
2 内周面
3 積層体
10 粘着テープ
20 ステンレス薄板
21 発泡樹脂層
W 半導体ウェーハ(基板)
2 内周面
3 積層体
10 粘着テープ
20 ステンレス薄板
21 発泡樹脂層
W 半導体ウェーハ(基板)
Claims (2)
- 中空のフレーム内に、基板を粘着テープを介し収容して着脱自在に保持する基板用フレームの製造方法であって、
中空のステンレス薄板を一対用意して各ステンレス薄板を10〜500μmの厚さとし、一対のステンレス薄板の間に熱可塑性の発泡樹脂層を介在接着することにより積層体を構成し、この積層体の発泡樹脂層をステンレス薄板の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層を中空に形成してフレームを得ることを特徴とする基板用フレームの製造方法。 - 積層体を傾斜させた状態で回転させながらその発泡樹脂層をステンレス薄板の内周縁に沿って切除することにより、発泡樹脂層を中空に形成するとともに、この発泡樹脂層の内周面を、一のステンレス薄板から他の一のステンレス薄板に向かうにしたがい中空が狭まるよう傾斜させる請求項1記載の基板用フレームの製造方法。
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2009
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