JP2010287328A - 間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法 - Google Patents

間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】確実な改質とアノード酸化劣化防止が可能な間接内部改質型SOFCの停止方法を提供する。
【解決手段】アノード温度が酸化劣化点を以上の間、A)改質触媒層温度Tを測定しTを用いてFkCALCを算出しFkCALCとFkEの値を比較し、B)AでFkCALC<FkEならB1〜B4を順次行ない、B1)改質触媒層を昇温し、B2)改質触媒層温度Tを測定しTを用いてFkCALCを算出しFkCALCとFkEの値を比較し、B3)B2でFkCALC<FkEなら工程B1に戻り、B4)B2でFkCALC≧FkEなら改質器への供給燃料流量をFk0からFkEにし工程Dに移り、C)AでFkCALC≧FkEなら改質器への供給燃料流量をFk0からFkEにしDに移り、D)アノード温度が酸化劣化点を下回るのを待つ、間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法。FkE等は明細書に定義される。
【選択図】図4

Description

本発明は、改質器を燃料電池近傍に有する間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法に関する。
固体酸化物電解質形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell。以下場合によりSOFCという。)システムには、通常、灯油や都市ガスなどの炭化水素系燃料を改質して水素含有ガスとして改質ガスを発生させるための改質器と、改質ガスと空気を電気化学的に発電反応させるためのSOFCが含まれる。
SOFCは通常、550〜1000℃の高温で作動させる。
改質には水蒸気改質(SR)、部分酸化改質(POX)、自己熱改質(ATR)など種々の反応が利用されるが、改質触媒を用いるためには、触媒活性が発現する温度に加熱する必要がある。
水蒸気改質は非常に大きな吸熱反応であり、また、反応温度が550〜750℃と比較的高く、高温の熱源を必要とする。そのため、SOFCの近傍に改質器(内部改質器)を設置し、SOFCからの輻射熱やSOFCのアノードオフガス(アノードから排出されるガス)の燃焼熱を熱源として改質器を加熱する間接内部改質型SOFCが知られている(特許文献1)。
また、発電停止の際に、燃料電池に水、および水素または炭化水素系燃料の流量を減少させながら供給することにより、燃料極層側を還元状態に保持しつつ、スタック温度を低下させる燃料電池の運転停止方法が特許文献2に開示される。
特開2004−319420号公報 特開2006−294508号公報
特許文献2記載の方法を利用すれば、燃料電池の停止時にアノードを還元雰囲気に保持することができ、アノードの酸化劣化を防止することができると考えられる。
しかし、特許文献2記載の方法では、炭化水素系燃料を改質して得られる水素含有ガスを用いてSOFCアノードを還元状態に保持する場合に、確実な改質が担保されていない。つまり、未改質の炭化水素系燃料が改質器から排出され、アノードに流入するおそれがある。
特に、灯油のような高次炭化水素を用いる場合、改質器から高次炭化水素がリークしてSOFCに流入すると、炭素析出によってSOFCの性能が劣化することがある。
本発明の目的は、炭化水素系燃料を確実に改質しつつ、改質ガスによってアノードの酸化劣化を防止することができる間接内部改質型SOFCの停止方法を提供することである。
本発明により、炭化水素系燃料を改質して改質ガスを製造する、改質触媒層を有する改質器と、
該改質ガスを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池と、
該固体酸化物燃料電池から排出されるアノードオフガスを燃焼させる燃焼領域と、
該改質器、固体酸化物形燃料電池および燃焼領域を収容する筐体と、を有する間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法であって、
次の条件iからiv、
i)該固体酸化物燃料電池のアノード温度が定常であり、
ii)該アノード温度が酸化劣化点未満であり、
iii)改質器において、炭化水素系燃料が改質され、アノードに供給するのに適した組成の改質ガスが生成しており、
iv)前記改質ガスの生成量が、該固体酸化物燃料電池のアノード温度が酸化劣化点以上の温度にある場合においてアノードの酸化劣化を防止するために必要最小限な流量FrMin以上である、
が全て満たされる状態において改質器に供給される炭化水素系燃料の流量をFkEと表し、
停止方法開始時点で改質器に供給していた炭化水素系燃料の流量をFk0と表し、
測定された改質触媒層の温度において、停止方法開始後に行う種類の改質法により改質可能な炭化水素系燃料の流量の計算値をFkCALCと表し、
アノード温度が酸化劣化点を下回ったら改質器への炭化水素系燃料の供給を停止して該停止方法を終了し、
アノード温度が酸化劣化点を下回っていない間に以下の工程、
A)改質触媒層温度Tを測定し、この測定温度Tを用いてFkCALCを算出し、このFkCALCとFkEの値を比較する工程、
B)工程AにおいてFkCALC<FkEの場合に、次の工程B1〜B4を順次行なう工程、
B1)改質触媒層を昇温する工程、
B2)改質触媒層温度Tを測定し、この測定温度Tを用いてFkCALCを算出し、このFkCALCとFkEの値を比較する工程、
B3)工程B2においてFkCALC<FkEの場合に、工程B1に戻る工程、
B4)工程B2においてFkCALC≧FkEの場合に、改質器に供給する炭化水素系燃料の流量をFk0からFkEにし、工程Dに移る工程、
C)工程AにおいてFkCALC≧FkEの場合に、改質器に供給する炭化水素系燃料の流量をFk0からFkEにし、工程Dに移る工程、
および
D)アノード温度が、酸化劣化点を下回るのを待つ工程
を有する間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法が提供される。
前記炭化水素系燃料が、炭素数が2以上の炭化水素系燃料を含むことができる。
この場合、前記改質ガス中の、炭素数2以上の化合物の濃度が、質量基準で50ppb以下であることが好ましい。
本発明により、炭化水素系燃料を確実に改質しつつ、改質ガスによってアノードの酸化劣化を防止することができる間接内部改質型SOFCの停止方法が提供される。
本発明を適用することのできる間接内部改質型SOFCの概要を示す模式図である。 本発明の方法を説明するための概念的グラフであり、(a)は経過時間と改質ガス流量の関係、(b)は経過時間と温度の関係、(c)は経過時間と炭化水素系燃料流量の関係を示す。 本発明の方法を説明するための概念的グラフであり、(a)は経過時間と改質ガス流量の関係、(b)は経過時間と温度の関係、(c)は経過時間と炭化水素系燃料流量の関係を示す。 本発明の方法を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を用いて本発明の形態について説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
なお、本明細書において、「スチーム/カーボン比」は、改質触媒層に供給されるガス中の炭素原子モル数に対する水分子モル数の比をいう。「酸素/カーボン比」は、改質触媒層に供給されるガス中の炭素原子モル数に対する酸素分子モル数の比をいう。
〔間接内部改質型SOFC〕
図1に、本発明を実施することのできる間接内部改質型SOFCの一形態を模式的に示す。
間接内部改質型SOFCは、炭化水素系燃料を改質して改質ガス(水素含有ガス)を製造する改質器3を有する。改質器は、改質触媒層4を有する。
間接内部改質型SOFCは、上記改質ガスを用いて発電を行うSOFC6を有し、また、SOFC(特にはそのアノード)から排出されるアノードオフガスを燃焼させる燃焼領域5を有する。
間接内部改質型SOFCは、改質器、固体酸化物形燃料電池および燃焼領域を収容する筐体8を有する。
間接内部改質型SOFCは、筐体(モジュール容器)8およびその内部に含まれる設備をいう。
図1に示した形態の間接内部改質型SOFCでは、アノードオフガスに着火するための着火手段であるイグナイター7が設けられており、また、改質器は電気ヒータ9を備える。
各供給ガスは必要に応じて適宜予熱されたうえで改質器もしくはSOFCに供給される。
間接内部改質型SOFCには、電気ヒータ2を備える水気化器1が接続され、その接続配管の途中に炭化水素系燃料を改質器に供給するための配管が接続される。水気化器1は電気ヒータ2による加熱によって水蒸気を発生する。水蒸気は水気化器においてもしくはその下流において適宜スーパーヒートしたうえで改質触媒層に供給することができる。
また空気も改質触媒層に供給されるが、ここでは、空気を水気化器で予熱したうえで改質触媒層に供給できるようになっている。水気化器からは、水蒸気を得ることができ、また空気と水蒸気との混合ガスを得ることができる。
水蒸気または空気と水蒸気との混合ガスは、炭化水素系燃料と混合されて改質器3、特にはその改質触媒層4に供給される。炭化水素系燃料として灯油等の液体燃料を用いる場合は、炭化水素系燃料を適宜気化したうえで改質触媒層に供給することができる。
改質器から得られる改質ガスがSOFC6、特にはそのアノードに供給される。図示しないが、空気が適宜予熱されてSOFCのカソードに供給される。
アノードオフガス(アノードから排出されるガス)中の可燃分がSOFC出口において、カソードオフガス(カソードから排出されるガス)中の酸素によって燃焼される。このために、イグナイター7を用いて着火することができる。アノード、カソードともその出口がモジュール容器8内に開口している。燃焼ガスは、モジュール容器から適宜排出される。
改質器とSOFCが一つのモジュール容器に収容されモジュール化される。改質器はSOFCから受熱可能な位置に配される。例えば改質器をSOFCからの熱輻射を受ける位置に配置すれば、発電時にSOFCからの熱輻射によって改質器が加熱される。
間接内部改質型SOFCにおいて、改質器は、SOFCから改質器の外表面へと直接輻射伝熱可能な位置に配することが好ましい。従って改質器とSOFCとの間には実質的に遮蔽物は配置しないこと、つまり改質器とSOFCとの間は空隙にすることが好ましい。また、改質器とSOFCとの距離は極力短くすることが好ましい。
燃焼領域5において発生するアノードオフガスの燃焼熱によって、改質器3が加熱される。また、SOFCが改質器より高温である場合には、SOFCからの輻射熱によっても改質器が加熱される。
さらに、改質による発熱によって改質器が加熱される場合もある。改質が部分酸化改質である場合、あるいは自己熱改質(オートサーマルリフォーミング)の場合であって水蒸気改質反応による吸熱より部分酸化改質反応による発熱の方が大きい場合、改質に伴って発熱する。
〔改質停止可能状態〕
本明細書において、次の条件i〜ivの全てが満たされている状態を改質停止可能状態と呼ぶ。
i)SOFCのアノード温度が定常である。
ii)前記アノード温度が酸化劣化点未満である。
iii)改質器において、炭化水素系燃料が改質され、アノードに供給するのに適した組成の改質ガスが生成している。
iv)この改質ガスの生成量が、SOFCのアノード温度が酸化劣化点以上の温度にある場合においてアノードの酸化劣化を防止するために必要最小限な流量FrMin以上である。
<条件iおよびii>
アノード温度は、アノード電極の温度を意味するが、アノード電極の温度を物理的に直接測定することが困難な場合には、アノード近傍のセパレータなどのスタック構成部材の温度とすることができる。アノード温度の測定位置は、安全制御の観点から相対的に温度が高くなる箇所、より好ましくは最も温度が高くなる箇所を採用することが好ましい。温度が高くなる位置は、予備実験やシミュレーションにより知ることができる。
酸化劣化点は、アノードが酸化劣化する温度で、例えば、アノード材料の電気伝導度を還元性、または、酸化性ガス雰囲気下で温度を変えて直流4端子法で測定し、酸化性ガス雰囲気下での電気伝導度が還元性ガス雰囲気下での値より低くなる最低温度を酸化劣化点とすることができる。
<条件iii>
条件iiiは、改質器において炭化水素系燃料が改質されており、アノードに供給するのに適した組成の改質ガスが得られている状態であることを意味している。例えば、炭化水素系燃料が炭素数2以上の炭化水素系燃料を含む場合、改質ガスが還元性であるとともに、改質ガス中のC2+成分(炭素数2以上の化合物)が炭素析出による流路閉塞やアノード劣化に対して問題にならない濃度以下である状態であることを意味している。このときのC2+成分の濃度は、改質ガス中の質量分率として50ppb以下が好ましい。
<条件iv>
アノードの酸化劣化を防止するために必要最小限の改質ガス流量FrMinは、カソードオフガスのアノード出口からアノード内部への拡散によりアノード電極が酸化劣化しない流量のうち最も小さい流量である。この改質ガス流量は、アノード温度を酸化劣化点以上に保持した状態で、改質ガス流量を変えて実験やシミュレーションを行い、予め知っておくことができる。
アノード酸化劣化は、例えば、実験でアノード電極の電気伝導度を測定し、酸化劣化していないアノード電極との比較により判断することができる。あるいは、移流拡散項を含む方程式を用いたシミュレーションによりアノードのガス組成分圧を計算し、アノード電極の酸化反応における平衡分圧との比較により判断することができる。例えば、アノード電極材料がNiの場合、次式で表されるアノード電極酸化反応における酸素の平衡分圧は800℃において1.2×10-14atm(1.2×10-9Pa)であり、この値よりアノードの酸素分圧の計算値が小さければ、アノード電極が酸化劣化しないと判断することができる。アノード温度が800℃以外の場合でも、平衡計算によりアノード電極が酸化劣化しない酸素分圧の最大値を知ることができ、その値よりアノードの酸素分圧の計算値が小さければ、アノード電極が酸化劣化しないと判断することができる。
Figure 2010287328
アノードの酸化劣化を防止するためにSOFCに供給する改質ガス流量(改質器で生成する改質ガスの量)は、改質ガスがSOFCを通過してアノードから排出された段階で燃焼可能であるような流量であるのが好ましい。燃焼可能な改質ガス流量のうち最も小さい流量が上記必要最小限の改質ガス流量より大きい場合、燃焼可能な改質ガス流量のうち最も小さい流量を、条件ivでいう「必要最小限の流量以上」の改質ガス流量とすることができる。燃焼可否は、例えば、燃焼ガス排出ライン中のガスを実験でサンプリングし組成分析を行う、あるいはシミュレーションで計算することで判断できる。
<FkE>
改質停止可能状態において改質器(特には改質触媒層)に供給される炭化水素系燃料の流量をFkEと表す。
FkEは、予め、実験もしくはシミュレーションによって求めることができる。改質器に供給する水蒸気改質または自己熱改質用の水(スチームを含む)流量、自己熱改質または部分酸化改質用の空気流量、カソード空気流量、バーナーに供給する燃料および空気流量、熱交換器に供給する水や空気などの流体の流量などの、間接内部改質型SOFCに供給する流体の流量;ならびに改質器、水や液体燃料の蒸発器、SOFC、流体の供給配管などを加熱するための電気ヒータ出力、熱電変換モジュールなどから取り出される電気入力等の間接内部改質型SOFCへの電気入出力を変化させて、すなわち間接内部改質型SOFCの操作条件を変化させて、実験もしくはシミュレーションを行い、定常的に条件i〜ivを満たすFkEを探索することによって、FkEを知ることができる。FkEは条件i〜ivを満たす限り任意の値でよいが、熱効率の観点から最も小さいFkEを用いるのが好ましい。そのFkEを含む間接内部改質型SOFCの操作条件を改質停止可能状態の操作条件として予め定める。
〔Fk0〕
停止方法開始時点で改質器に供給していた炭化水素系燃料の流量をFk0と表す。
〔FkCALC〕
測定された改質触媒層温度において停止方法開始後に行う種類の改質法によって改質可能な炭化水素系燃料の流量(以下場合により、この流量を「改質可能流量」と称す。)の計算値をFkCALCと表す。つまり、FkCALCは、改質触媒層の温度を測定し、改質触媒層がその温度である場合に、改質触媒層で改質可能な炭化水素系燃料の流量を計算することによって求めることができる。このとき、改質触媒層では停止方法開始後に行なう種類の改質法を行なうものとする(以下場合により、改質法の種類を、改質タイプとよぶ。)。改質タイプは、例えば水蒸気改質、自己熱改質、部分酸化改質である。
具体的には、停止方法の開始前に或る種類の改質を行なっていた場合に、それと同じ種類の改質を停止方法の開始後に行なうことができる。この場合は、改質器でその種類の改質を行なう場合の、改質可能な炭化水素系燃料の流量(計算値)をFkCALCとする。例えば停止方法の開始前に水蒸気改質を行なっていた場合に、停止方法の開始後にも引き続き水蒸気改質を行なうことができ、改質器で水蒸気改質を行なう場合に、改質触媒層測定温度において改質可能な炭化水素系燃料の流量をFkCALCとする。
あるいは、停止方法の開始前に或る種類の改質(第一の種類の改質)を行なっていた場合に、それと異なる種類の改質(第二の種類の改質)を停止方法の開始後に行なうことができる。この場合は、改質器で第二の種類の改質を行なう場合の、改質可能な炭化水素系燃料の流量をFkCALCとする。例えば停止方法の開始前に自己熱改質を行なっていた場合に、停止方法の開始後に水蒸気改質に切り替えることができる。このとき、水蒸気改質を行なう場合に、改質触媒層測定温度において改質可能な炭化水素系燃料の流量(計算値)をFkCALCとする。
〔改質触媒層温度の測定〕
本発明では、FkCALCの算出に、改質触媒層温度の測定値を用いる。このために、改質触媒層温度を測定する。例えば、改質触媒層温度を監視する(継続して測定する)ことができる。
停止方法開始より前から改質触媒層の温度監視を行なっている場合は、そのまま継続して温度監視を行なえばよい。
アノード温度が酸化劣化点を下回ってしまえば、還元性ガスは不要となるので、改質器への炭化水素系燃料の供給を停止し、停止方法を終了することができる。したがって、改質触媒層の温度監視はアノード温度が酸化劣化点を下回るまで継続して行なえばよい。
改質触媒層温度の測定のために、熱電対等の適宜の温度センサーを用いることができる。
〔停止方法の開始前後で改質法を変更する場合〕
なお、停止方法の開始前後で改質法を変更する場合、前述のFkE、FrMinは改質法変更後の改質を行う場合の停止可能状態について決定される。
〔停止方法に含まれる工程〕
本発明においては、アノード温度が酸化劣化点を下回っていない間に以下の工程A〜Dを行なう。アノード温度が酸化劣化点を下回ったら、工程A〜Dの実施状況にかかわらず、改質器への炭化水素系燃料の供給を停止し、停止方法を終了することができる。改質器への炭化水素系燃料の供給停止にあわせて、改質器に供給する水蒸気改質または自己熱改質用の水(スチームを含む)、自己熱改質または部分酸化改質用の空気、カソード空気、バーナーに供給する燃料および空気、熱交換器に供給する水や空気などの流体などの、間接内部改質型SOFCに供給する流体の供給、改質器および水や液体燃料の蒸発器、セルスタック、流体の供給配管などを加熱するための電気ヒータ出力、熱電変換モジュールなどから取り出される電気入力などの、間接内部改質型SOFCへの電気の入出力を停止することができる。
図4は本発明の停止方法における工程A〜Dを示すフローチャートである。このフローチャートに示した手順とは別に、アノード温度を監視し、アノード温度がアノードの酸化劣化点を下回った場合には、工程A〜Dに係わらず、改質器への炭化水素系燃料の供給を停止する。
なお、停止方法は工程A〜Dを有するが、工程A〜Dの全てを実際に行なう必要はなく、場合によって工程A〜Dの一部を行なえばよい。
〔工程A〕
本発明に係る停止方法において、まず改質触媒層温度Tを測定する。そして、この温度Tに基づいて改質可能流量FkCALCを算出する。さらに、前述の改質停止可能状態における炭化水素系燃料の改質器への供給流量FkEと、このFkCALCとの大小関係を調べる。
〔工程B〕
工程Aにおいて、FkCALC<FkEの場合、次の工程B1〜B4を順次行なう。なお、「FkCALC<FkE」は、流量がFkEである炭化水素系燃料を、改質器において(改質タイプを変更する場合は変更後の改質タイプによって)改質できないことを意味しているとみなす。
・工程B1
まず工程B1を行なう。すなわち、改質触媒層を昇温する工程を行なう。
例えば改質器に付設したヒータやバーナなどの適宜の熱源を用い、改質触媒層を昇温する。
・工程B2
そして、工程B2を行なう。すなわち、改質触媒層温度Tを測定し、このTを用いてFkCALCを算出し、このFkCALCとFkEの値を比較する工程を行なう。
・工程B3
工程B2においてFkCALC<FkEの場合には、工程B1に戻る工程を行なう。つまり、FkCALC<FkEとなる間は、工程B1〜B3を繰り返して行なう。この間に改質触媒層の温度は上昇してゆく。
なお、工程B2およびB3を行なうにあたり、工程B1の昇温をいったん停止してもよいが、工程B2およびB3を行なう間、工程B1を継続してもよい。
・工程B4
工程B2においてFkCALC≧FkEの場合には、改質器に供給する炭化水素系燃料の流量(Fkと表す)をFk0からFkEにし、工程Dに移る工程を行なう。「FkCALC≧FkE」は、流量がFkEである炭化水素系燃料を改質触媒層において(改質タイプを変更する場合は変更後の改質タイプによって)改質可能であることを意味するとみなす。
このとき、停止方法開始前後で改質タイプを変更する場合は、燃料流量をFk0からFkEにするとともに改質タイプを変更する。この方法により、炭化水素系燃料を確実に改質しつつ、改質ガスによってアノードの酸化劣化を防止することができる。
〔工程C〕
工程Aにおいて、FkCALC≧FkEの場合、改質器に供給する炭化水素系燃料の流量をFk0からFkEにし、工程Dに移る。
このとき、停止方法開始前後で改質タイプを変更する場合は、燃料流量をFk0からFkEにするとともに改質タイプを変更する。この方法により、炭化水素系燃料を確実に改質しつつ、改質ガスによってアノードの酸化劣化を防止することができる。
〔工程D〕
工程Dでは、アノード温度が、酸化劣化点を下回るのを待つ。この間、炭化水素系燃料の流量はFkEに維持し、改質器に供給する水蒸気改質もしくは自己熱改質用の水(スチームを含む)流量、自己熱改質または部分酸化改質用の空気流量、カソード空気流量、バーナーに供給する燃料および空気流量、熱交換器に供給する水や空気などの流体の流量などの、間接内部改質型SOFCに供給する流体の流量、改質器および水や液体燃料の蒸発器、セルスタック、流体の供給配管などを加熱するための電気ヒータ出力、熱電変換モジュールなどから取り出される電気入力などの、間接内部改質型SOFCへの電気の入出力を、予め定めた改質停止可能状態における操作条件に維持する。すなわち、予め定めた改質停止可能状態における間接内部改質型SOFCの操作条件に維持する。アノード温度は時間とともに低下していくので、いずれアノード温度が酸化劣化点を下回る。熱電対等の温度センサーを用いて、アノード温度を適宜監視する(継続して測定する)ことができる。
アノード温度の監視は、停止方法を開始してすぐに開始することが好ましい。停止方法開始前からこれらの温度監視を行っていれば、停止方法を行う際にも、そのまま温度監視を続ければよい。
アノード温度が酸化劣化点を下回ったら改質器への炭化水素系燃料の供給を停止して該停止方法を終了することができる。
〔ケース1〕
図2を用いて、工程Aで算出したFkCALCが、改質停止可能状態において改質器に供給される炭化水素系燃料の流量FkE以上である場合、すなわちFkCALC≧FkEの場合について説明する。つまり、工程Cを行なう場合について説明する。
図2(a)〜(c)において、横軸は本発明の停止方法を開始した時点からの経過時間である。同図(a)において縦軸は改質器から得られる改質ガスの流量であり、(b)において縦軸は温度であり、(c)において縦軸は、炭化水素燃料の流量である(以降の図においても同様である)。
改質触媒層温度の監視およびアノード温度の監視は、停止方法開始時点より前から継続して行なっている(以降のケースでも同様)。
停止方法を開始して直ぐに、工程Aを行なう。つまり、改質触媒層温度Tを測定し、このTを用いて改質可能流量FkCALCを算出し、このFkCALCとFkEの値を比較する。
このとき、FkCALC≧FkEであるので(図2(c))、工程Bは行なわず、工程Cを行ない、FkをFk0からFkEにする。
そして、工程Dに移り、アノード温度が酸化劣化点を下回るまで待つ。
アノード温度が酸化劣化点未満となれば、改質器への炭化水素系燃料の供給を停止して、停止方法を終了することができる。
このように運転することで、改質を確実に行ないつつ、最低限必要な流量以上の改質ガスをアノードに供給することができる。
〔ケース2〕
図3を用いて、工程Aで算出したFkCALCが、改質停止可能状態において改質器に供給される炭化水素系燃料の流量FkEより小さい場合、すなわちFkCALC<FkEの場合について説明する。つまり、工程Bを行なう場合について説明する。
停止方法開始後、直ぐに工程Aを行い、改質触媒層温度Tの測定、このTに基づくFkCALCの算出、およびこのFkCALCとFkEとの比較を行なう。FkCALC<FkEなので(図3(c))、工程Cは行なわず、工程Bを行なう。
この場合は、図3に示すように、流量FkEの炭化水素系燃料を改質できるよう、FkCALC≧FkEとなるまで改質器に付設したバーナやヒータなどの適宜の熱源で改質触媒層を昇温する。つまり、T(工程B2で測定した改質触媒層温度)を用いて算出したFkCALCがFkEより小さい間、工程B1〜B3を繰り返す。
工程B2においてFkCALC≧FkEとなったら、改質器に供給する炭化水素系燃料の流量Fkを、Fk0からFkEにする(工程B4)。停止方法開始前後に改質法を変更する場合は、燃料流量をFk0からFkEにするとともに改質法を変更する。そして、工程Dに移る(工程B4)。
工程D以降はケース1と同様である。
本発明においては、制御が簡易であり、プログラムによる制御を行うときのプログラムも簡易である。
〔「改質可能」について〕
なお、本明細書において、改質触媒層においてある流量の炭化水素系燃料が改質可能であるとは、その流量の炭化水素系燃料を改質触媒層に供給した場合に、改質触媒層から排出されるガスの組成が、SOFCのアノードに供給するに適した組成になることをいう。
例えば、改質触媒層において改質可能であるとは、供給した炭化水素系燃料がC1化合物(炭素数1の化合物)まで分解されうることとすることができる。すなわち、改質触媒層出口ガスにおけるC2+成分(炭素数が2以上の成分)が炭素析出による流路閉塞やアノード劣化に対して問題にならない濃度以下である組成になるまで改質触媒層において改質が進みうる場合を意味する。このときのC2+成分の濃度は、改質ガス中の質量分率として50ppb以下が好ましい。そしてこのとき、改質触媒層出口ガスが還元性になっていればよい。改質触媒層出口ガス中に、メタンが含まれることは許容される。炭化水素系燃料の改質においては、通常、平衡論上メタンが残留する。改質触媒層出口ガス中に、メタン、COあるいはCO2の形で炭素が含まれていても、必要に応じてスチームを添加することで炭素析出を防止することができる。炭化水素系燃料としてメタンを用いる場合は、改質触媒層出口ガスが還元性になるように、改質が進めばよい。
改質触媒層出口ガスの還元性については、このガスがアノードに供給されても、アノードの酸化劣化を抑えられる程度であればよい。このために、例えば、改質触媒層出口ガスに含まれる酸化性のO2、H2O、CO2などの分圧をアノード電極の酸化反応における平衡分圧より低くすることができる。例えば、アノード電極材料がNiで、アノード温度が800℃のとき、改質触媒層出口ガスに含まれるO2分圧を1.2×10-14atm(1.2×10-9Pa)未満、H2に対するH2Oの分圧比を1.7×102未満、COに対するCO2の分圧比を1.8×102未満とすることができる。
〔FkCALCの算出〕
以下、測定された改質触媒層の温度に基づいて、改質触媒層において改質可能な炭化水素系燃料の流量を算出する方法に関して説明する。
改質可能の意味は上に説明されるとおりであり、改質触媒層において改質可能な炭化水素系燃料の流量(改質可能流量)は、その流量の炭化水素系燃料を改質触媒層に供給した場合に、改質触媒層から排出されるガスの組成が、SOFCのアノードに供給するに適した組成になる流量をいう。
例えば、改質触媒層における改質可能流量は、供給した炭化水素系燃料がC1化合物(炭素数1の化合物)まで分解されうる流量の最大値以下の任意の流量とすることができる。改質可能流量は、この最大値とすることができ、あるいは、この最大値を安全率(1を超える値。例えば1.4。)で除した値とすることができる。
改質可能流量は、改質触媒層の温度に依存する。そのため、改質触媒層における改質可能流量の算出は、測定された改質触媒層の温度に基づいて行う。
改質触媒層における改質可能流量FkCALCは、改質触媒層の温度Tの関数(温度の関数であることを明示する場合にはFkCALC(T)と表す)として、予め実験により求めることができる。また、実験により求めた関数に安全率を乗じたり、安全側に温度を補正したりしたうえで、改質可能流量とすることもできる。なお、FkCALC(T)の単位は例えばmol/sである。
改質可能流量FkCALC(T)は、温度Tのみの関数とすることができる。しかしその限りではなく、改質可能流量FkCALCは、温度Tに加えて、触媒層体積やガス成分の濃度、時間などのT以外に変数を持つ関数であってもよい。その場合、改質可能流量FkCALC(T)を計算する際には、T以外の変数を適宜求め、T以外の変数と、測定されたTとから改質可能流量FkCALC(T)を計算することができる。
〔改質触媒層温度の測定個所〕
以下、改質触媒層温度の測定個所について詳述する。この測定個所は、工程A〜Cにおいて改質触媒層の温度を測定する際、に採用できる。
<温度測定点が1点である場合>
・温度測定個所
改質触媒層の温度測定点が一点である場合、温度の測定個所としては、安全側制御の観点から、好ましくは改質触媒層の中で相対的に温度が低くなる箇所、より好ましくは改質触媒層の中で最も温度が低くなる個所を採用することが好ましい。改質触媒層における反応熱が吸熱である場合、温度測定個所として、触媒層中心付近を選ぶことができる。改質触媒層における反応熱が発熱であり、放熱によって中心部より端部の方が低温になる場合、温度測定個所として、触媒層端部を選ぶことができる。温度が低くなる位置は、予備実験やシミュレーションにより知ることができる。
<温度測定点が複数点である場合>
温度の測定点は一点である必要はない。より正確な制御の観点から、温度測定点が2点以上であることが好ましい。例えば、改質触媒層の入口温度と出口温度を測定し、これらを平均した温度を前述の改質触媒層温度Tとすることができる。
あるいは例えば、改質触媒層をN分割した領域Zi(Nは2以上の整数、iは1以上N以下の整数)を考え、各分割領域Ziの温度Tiを知り、各温度Tiから各分割領域における改質可能流量FkCALCi(Ti)を計算し、それらを積算した値を改質触媒層における改質可能流量FkCALCとして計算することができる。
N個の分割領域Ziを考える場合、全ての分割領域の改質可能流量を積算してもよく、あるいはN個の分割領域のうちの一部の分割領域のみ積算した値を改質触媒層における改質可能流量FkCALCとして採用してもよい。炭化水素系燃料供給量に応じて、積算対象とする触媒層領域を適宜変えることもできる。また、全ての分割領域の温度を温度条件としてもよく、あるいはN個の分割領域のうちの一部の分割領域の温度を温度条件としてもよい。炭化水素系燃料供給量に応じて、温度条件とする触媒層領域を適宜変えることもできる。
分割領域Ziの温度としては、実際に測定した温度をそのまま用いることもできるが、分割領域の入口温度と出口温度との平均値など、適宜計算した値を代表値として用いることもできる。
また、全ての分割領域Ziについて、温度を測定する必要はない。また触媒層分割数Nと温度測定点数は無関係に設定することができる。
N個の分割領域のうちの一部について温度を測定し、残りの分割領域については、測定した温度から適宜補完することによって温度を知ることもできる。
例えば、温度センサーを設置していない分割領域の温度として、その分割領域に最も近い分割領域の温度を用いることができる。最も近い分割領域が二つある場合には、二つのうちのいずれかの分割領域の温度を用いることもできるし、二つの分割領域の温度の平均値を用いることもできる。
分割領域とは無関係に改質触媒層の複数点(ガス流通方向に相異なる位置にある)の温度を測定し、測定した複数点の温度から、各分割領域の温度を知ることもできる。例えば、改質触媒層の入口および出口の温度を測定し(さらに中間部の任意の個所の温度を測定してもよい)、これら測定温度から最小二乗法等の近似法によって改質触媒層の温度を補間し、その補間曲線から分割領域の温度を知ることができる。
(温度の測定個所の例)
全ての分割領域の温度を知るために、次のような個所の温度を計測することができる。
・各分割領域の入口および出口。
・各分割領域内部(入口および出口より内側)(1点もしくは複数点)。
・各分割領域の入口、出口および内部(一つの分割領域について1点もしくは複数点)。
一部の分割領域の温度を知るために、次のような個所の温度を計測することができる。
・一部の分割領域の入口および出口。
・一部の分割領域内部(入口および出口より内側)(1点もしくは複数点)。
・一部の分割領域の入口、出口および内部(一つの分割領域について1点もしくは複数点)。
〔その他〕
炭化水素系燃料の流量FkをFkEにする際に、必要に応じ、これにあわせて改質器に供給する水蒸気改質または自己熱改質用の水(スチームを含む)流量、自己熱改質または部分酸化改質用の空気流量、カソード空気流量、バーナーに供給する燃料および空気流量、熱交換器に供給する水や空気などの流体の流量などの、間接内部改質型SOFCに供給する流体の流量、改質器および水や液体燃料の蒸発器、セルスタック、流体の供給配管などを加熱するための電気ヒータ出力、熱電変換モジュールなどから取り出される電気入力などの、間接内部改質型SOFCへの電気の入出力を、予め定めた改質停止可能状態における操作条件にする。すなわち、炭化水素系燃料の流量FkをFkEにする際に、間接内部改質型SOFCの操作条件を、予め定めた改質停止可能状態における操作条件に設定することができる。
水蒸気改質反応を行う場合、つまり水蒸気改質もしくはオートサーマルリフォーミングを行う場合には、改質触媒層にスチームを供給する。部分酸化改質反応を行う場合、つまり部分酸化改質もしくはオートサーマルリフォーミングを行う場合には、改質触媒層に酸素含有ガスを供給する。酸素含有ガスとしては、酸素を含有するガスを適宜用いることができるが、入手容易性から空気が好ましい。
本発明は、炭化水素系燃料の炭素数が2以上の場合に特に有効である。このような燃料の場合、特に、確実な改質が求められるからである。
本発明の方法を行なうために、コンピュータ等の演算手段を含めて適宜の計装制御機器を使用することができる。
〔炭化水素系燃料〕
炭化水素系燃料としては、改質ガスの原料としてSOFCの分野で公知の、分子中に炭素と水素を含む(酸素など他の元素を含んでもよい)化合物もしくはその混合物から適宜選んで用いることができ、炭化水素類、アルコール類など分子中に炭素と水素を有する化合物を用いることができる。例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油等の炭化水素燃料、また、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルエーテル等のエーテル等である。
なかでも灯油やLPGは、入手容易であり好ましい。また独立して貯蔵可能であるため、都市ガスのラインが普及していない地域において有用である。さらに、灯油やLPGを利用したSOFC発電装置は、非常用電源として有用である。特には、取り扱いも容易である点で、灯油が好ましい。
〔改質器〕
改質器は、炭化水素系燃料から水素を含む改質ガスを製造する。
改質器においては、水蒸気改質、部分酸化改質、および、水蒸気改質反応に部分酸化反応が伴うオートサーマルリフォーミングのいずれを行うこともできる。
改質器には、水蒸気改質能を有する水蒸気改質触媒、部分酸化改質能を有する部分酸化改質触媒、部分酸化改質能と水蒸気改質能とを併せ持つ自己熱改質触媒を適宜用いることができる。
改質器の構造は、改質器として公知の構造を適宜採用できる。例えば、密閉可能な容器内に改質触媒を収容する領域を有し、改質に必要な流体の導入口と改質ガスの排出口を有する構造とすることができる。
改質器の材質は、改質器として公知の材質から、使用環境における耐性を考慮して適宜選んで採用できる。
改質器の形状は、直方体状や円管状など適宜の形状とすることができる。
炭化水素系燃料(必要に応じて予め気化される)および水蒸気、さらに必要に応じて空気等の酸素含有ガスをそれぞれ単独で、もしくは適宜混合した上で改質器(改質触媒層)に供給することができる。また、改質ガスはSOFCのアノードに供給される。
〔SOFC〕
改質器から得られる改質ガスが、SOFCのアノードに供給される。一方、SOFCのカソードには空気などの酸素含有ガスが供給される。発電時には、発電に伴いSOFCが発熱し、その熱がSOFCから改質器へと、輻射伝熱などにより伝わる。こうしてSOFC排熱が改質器を加熱するために利用される。ガスの取り合い等は適宜配管等を用いて行う。
SOFCとしては、公知のSOFCを適宜選んで採用できる。SOFCでは、一般的に、酸素イオン導電性セラミックスもしくはプロトンイオン導電性セラミックスが電解質として利用される。
SOFCは単セルであってもよいが、実用上は複数の単セルを配列させたスタック(円筒型の場合はバンドルと呼ばれることもあるが、本明細書でいうスタックはバンドルも含む)が好ましく用いられる。この場合、スタックは1つでも複数でもよい。
SOFCの形状も、立方体状スタックに限らず、適宜の形状を採用できる。
例えば400℃程度でアノードの酸化劣化が起きることがある。
〔筐体〕
筐体(モジュール容器)としては、SOFC、改質器および燃焼領域を収容可能な適宜の容器を用いることができる。その材料としては、例えばステンレス鋼など、使用する環境に耐性を有する適宜の材料を用いることができる。容器には、ガスの取り合い等のために、適宜接続口が設けられる。
モジュール容器の内部と外界(大気)とが連通しないように、モジュール容器が気密性を持つことが好ましい。
〔燃焼領域〕
燃焼領域は、SOFCのアノードから排出されるアノードオフガスを燃焼可能な領域である。例えば、アノード出口を筐体内に開放し、アノード出口近傍の空間を燃焼領域とすることができる。酸素含有ガスとして例えばカソードオフガスを用いてこの燃焼を行なうことができる。このために、カソード出口を筐体内に開放することができる。
燃焼用燃料もしくはアノードオフガスを燃焼させるために、イグナイターなどの着火手段を適宜用いることができる。
〔改質触媒〕
改質器で用いる水蒸気改質触媒、部分酸化改質触媒、自己熱改質触媒のいずれも、それぞれ公知の触媒を用いることができる。水蒸気改質触媒の例としてはルテニウム系およびニッケル系触媒、部分酸化改質触媒の例としては白金系触媒、自己熱改質触媒の例としてはロジウム系触媒を挙げることができる。水蒸気改質を行う場合には、水蒸気改質機能を持つ自己熱改質触媒を用いることもできる。
部分酸化改質反応が進行可能な温度は例えば200℃以上、水蒸気改質反応もしくは自己熱改質反応が進行可能な温度は例えば400℃以上である。
〔改質器の運転条件〕
以下、水蒸気改質、自己熱改質、部分酸化改質のそれぞれにつき、改質器における停止運転時の条件について説明する。
水蒸気改質では、灯油等の改質原料にスチームが添加される。水蒸気改質の反応温度は例えば400℃〜1000℃、好ましくは500℃〜850℃、さらに好ましくは550℃〜800℃の範囲で行うことができる。反応系に導入するスチームの量は、炭化水素系燃料に含まれる炭素原子モル数に対する水分子モル数の比(スチーム/カーボン比)として定義され、この値は好ましくは1〜10、より好ましくは1.5〜7、さらに好ましくは2〜5とされる。炭化水素系燃料が液体の場合、この時の空間速度(LHSV)は炭化水素系燃料の液体状態での流速をA(L/h)、触媒層体積をB(L)とした場合A/Bで表すことができ、この値は好ましくは0.05〜20h-1、より好ましくは0.1〜10h-1、さらに好ましくは0.2〜5h-1の範囲で設定される。
自己熱改質ではスチームの他に酸素含有ガスが改質原料に添加される。酸素含有ガスとしては純酸素でも良いが入手容易性から空気が好ましい。平衡計算を行い、オーバーオールの反応熱が発熱となるように酸素含有ガスを添加することができる。酸素含有ガスの添加量は、炭化水素系燃料に含まれる炭素原子モル数に対する酸素分子モル数の比(酸素/カーボン比)として好ましくは0.005〜1、より好ましくは0.01〜0.75、さらに好ましくは0.02〜0.6とされる。自己熱改質反応の反応温度は例えば400℃〜1000℃、好ましくは450℃〜850℃、さらに好ましくは500℃〜800℃の範囲で設定される。炭化水素系燃料が液体の場合、この時の空間速度(LHSV)は、好ましくは0.05〜20h-1、より好ましくは0.1〜10h-1、さらに好ましくは0.2〜5h-1の範囲で選ばれる。反応系に導入するスチームの量は、スチーム/カーボン比として好ましくは1〜10、より好ましくは1.5〜7、さらに好ましくは2〜5とされる。
部分酸化改質では酸素含有ガスが改質原料に添加される。酸素含有ガスとしては純酸素でも良いが入手容易性から空気が好ましい。反応を進めるための温度を確保するため、熱のロス等において適宜添加量は決定される。その量は、炭化水素系燃料に含まれる炭素原子モル数に対する酸素分子モル数の比(酸素/カーボン比)として好ましくは0.1〜3、より好ましくは0.2〜0.7とされる。部分酸化反応の反応温度は、例えば450℃〜1000℃、好ましくは500℃〜850℃、さらに好ましくは550℃〜800℃の範囲で設定することができる。炭化水素系燃料が液体の場合、この時の空間速度(LHSV)は、好ましくは0.1〜30h-1の範囲で選ばれる。反応系においてすすの発生を抑制するためにスチームを導入することができ、その量は、スチーム/カーボン比として好ましくは0.1〜5、より好ましくは0.1〜3、さらに好ましくは1〜2とされる。
〔他の機器〕
間接内部改質型SOFCの公知の構成要素は、必要に応じて適宜設けることができる。具体例を挙げれば、液体を気化させる気化器、各種流体を加圧するためのポンプ、圧縮機、ブロワなどの昇圧手段、流体の流量を調節するため、あるいは流体の流れを遮断/切り替えるためのバルブ等の流量調節手段や流路遮断/切り替え手段、熱交換・熱回収を行うための熱交換器、気体を凝縮する凝縮器、スチームなどで各種機器を外熱する加熱/保温手段、炭化水素系燃料(改質原料)や燃焼用燃料の貯蔵手段、計装用の空気や電気系統、制御用の信号系統、制御装置、出力用や動力用の電気系統、燃料中の硫黄分濃度を低減する脱硫器などである。
本発明は、例えば定置用もしくは移動体用の発電装置やコージェネレーションシステムに利用される間接内部改質型SOFCに適用できる。
1 水気化器
2 水気化器に付設された電気ヒータ
3 改質器
4 改質触媒層
5 燃焼領域
6 SOFC
7 イグナイター
8 筐体(モジュール容器)
9 改質器に付設された電気ヒータ

Claims (3)

  1. 炭化水素系燃料を改質して改質ガスを製造する、改質触媒層を有する改質器と、
    該改質ガスを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池と、
    該固体酸化物燃料電池から排出されるアノードオフガスを燃焼させる燃焼領域と、
    該改質器、固体酸化物形燃料電池および燃焼領域を収容する筐体と、を有する間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法であって、
    次の条件iからiv、
    i)該固体酸化物燃料電池のアノード温度が定常であり、
    ii)該アノード温度が酸化劣化点未満であり、
    iii)改質器において、炭化水素系燃料が改質され、アノードに供給するのに適した組成の改質ガスが生成しており、
    iv)前記改質ガスの生成量が、該固体酸化物燃料電池のアノード温度が酸化劣化点以上の温度にある場合においてアノードの酸化劣化を防止するために必要最小限な流量FrMin以上である、
    が全て満たされる状態において改質器に供給される炭化水素系燃料の流量をFkEと表し、
    停止方法開始時点で改質器に供給していた炭化水素系燃料の流量をFk0と表し、
    測定された改質触媒層の温度において、停止方法開始後に行う種類の改質法により改質可能な炭化水素系燃料の流量の計算値をFkCALCと表し、
    アノード温度が酸化劣化点を下回ったら改質器への炭化水素系燃料の供給を停止して該停止方法を終了し、
    アノード温度が酸化劣化点を下回っていない間に以下の工程、
    A)改質触媒層温度Tを測定し、この測定温度Tを用いてFkCALCを算出し、このFkCALCとFkEの値を比較する工程、
    B)工程AにおいてFkCALC<FkEの場合に、次の工程B1〜B4を順次行なう工程、
    B1)改質触媒層を昇温する工程、
    B2)改質触媒層温度Tを測定し、この測定温度Tを用いてFkCALCを算出し、このFkCALCとFkEの値を比較する工程、
    B3)工程B2においてFkCALC<FkEの場合に、工程B1に戻る工程、
    B4)工程B2においてFkCALC≧FkEの場合に、改質器に供給する炭化水素系燃料の流量をFk0からFkEにし、工程Dに移る工程、
    C)工程AにおいてFkCALC≧FkEの場合に、改質器に供給する炭化水素系燃料の流量をFk0からFkEにし、工程Dに移る工程、
    および
    D)アノード温度が、酸化劣化点を下回るのを待つ工程
    を有する間接内部改質型固体酸化物形燃料電池の停止方法。
  2. 前記炭化水素系燃料が、炭素数が2以上の炭化水素系燃料を含む請求項1記載の方法。
  3. 前記改質ガス中の、炭素数2以上の化合物の濃度が、質量基準で50ppb以下である請求項2記載の方法。
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