JP2010286072A - ボールねじおよびこれを備えた無段変速機のプーリ幅調整装置 - Google Patents

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平和 吉田
Yasushi Tateishi
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Abstract

【課題】所望のねじ溝寸法・形状と表面粗さを確保すると共に、加工時間が短く低コストなボールねじおよびこれを備えた無段変速機のプーリ幅調整装置を提供する。
【解決手段】ねじ軸2の軸方向で隣り合うねじ溝2a、2bの間に存在するランド部2cに、複数のねじ溝2a、2bを個別に閉ループとするボール循環溝13、14が設けられた軸循環タイプのボールねじにおいて、ねじ軸2のねじ溝2a、2bのリード角θが1°以下に設定され、ボール循環溝13、14が、ねじ溝2a、2bの下流のボール4を内径側へ沈み込ませ、ナット3のランド部を乗り越えさせて上流側へ戻すように直線状に蛇行して形成されると共に、ねじ軸2のねじ溝2a、2bとボール循環溝13、14が切削加工によって所定の仕上げ形状に形成され、高周波焼入れにより所定の表面硬さに設定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等のアクチュエータに用いられ、多数のボールが転動する螺旋状のねじ溝が形成されたボールねじ、詳しくは、大径で薄肉中空構造のねじ軸を備えたボールねじおよびこれを備えた無段変速機のプーリ幅調整装置に関するものである。
ボールねじは、外周に螺旋状のねじ溝が形成されたボールねじ軸と、円筒面内に螺旋状のねじ溝が形成されたボールねじナットと、対向する両ねじ溝で構成されたボール転動路内に転動自在に収容された多数のボールとからなり、ボールねじ軸あるいはボールねじナットの回転を軸方向の並進運動に変換する機械要素である。
従来、ボールねじでは、ねじ軸とナットとの伸縮動作に関係なく、それらの各ねじ溝内に収容される多数のボールの抜け出しを防止するために、ねじ軸のねじ溝とナットのねじ溝とで構成されるボール転動路の両端を連通連結させて閉ループとし、ボールをこの閉ループ内で無限循環させている。
このようなボールねじには、一般的に、ボールの循環機構が異なる、例えば、リターンチューブやエンドプレート等、種々の形式のものがあり、その一つに駒式と呼ばれるものがある。この駒式ボールねじは、ねじ溝の連結路を有し、転動路を周回経路とする循環用の駒部材がナットに装着されているもので、構成が比較的簡素で、かつコンパクトに構成できる利点がある。
然しながら、この駒式のボールねじでは、ナットとは別部材でなる駒部材を用いる必要があると共に、駒部材を装着するための駒窓をナットに穿設するする必要があるために、コストが嵩む結果になっている。また、駒部材に形成された連結溝とナットのねじ溝との繋ぎ部を高精度に位置合わせするために、各部品の加工精度を高めなければならないと共に、極めて面倒で手間の掛かる位置決め作業が必要になり、さらにコストが嵩む他、位置ズレによる品質低下を招く要因となっている。このような問題を解決したボールねじとして、ボールをねじ軸の内径側に沈み込ませて下流側から上流側へ戻すボール循環溝で接続された軸循環タイプのボールねじが知られている。
このボールねじ51は、例えば、無段変速機の送り装置に使用され、図8に示すように、ナット52と、このナット52に内挿されたねじ軸53と、複数のボール54と、これらのボール54を周方向等配に配置させると共に、ねじ軸53に対して軸方向にほぼ不動に位置決めされた状態で、かつ相対回転可能な状態で取り付けられた保持器リング(図示せず)とを備え、ナット52とねじ軸53との対向面間でボール54を循環させるようにしている。
ナット52には、一端から他端まで連続する1本のねじ溝52aが形成されている。一方、ねじ軸53には、軸方向途中領域に連続していない略2巻きのねじ溝53a、53bが形成されている。これらナット52のねじ溝52aとねじ軸53のねじ溝53a、53bとは、互いに同じリード角に設定されている。
ここで、ねじ軸53の軸方向で隣り合う2巻きのねじ溝53a、53bの間に存在するねじ山(ランド部)55には、2巻きのねじ溝53a、53bを個別に閉ループとするボール循環溝56、57が設けられている。このボール循環溝56、57は、2巻きのねじ溝53a、53bの上流側と下流側とを個別に連通連結するものであり、ねじ溝53a、53bの下流のボール54を内径側へ沈み込ませてナット52のねじ山(ランド部)58を乗り越えさせて上流側へ戻すように蛇行した形状に形成されている。
ここでは、ナット52を軸方向に往復移動させることにより、ナット52とねじ軸53とが軸方向で重合する範囲が大小変化するが、ねじ軸53において、ボール循環溝56、57により個別に閉ループとされたねじ軸53の2巻きのねじ溝53a、53b内でそれぞれボール54が保持器リングでガイドされながら転動循環することにより、ナット52が所定の螺旋運動が円滑にガイドされると共に、ナット52が所定の移動ストローク範囲を往復移動する過程において、ボール54が抜け出す現象を確実に防止することができる。これにより、駒式のボールねじに伴う連結溝とねじ溝との位置合わせが不要となるため、低コスト化が可能となると共に、位置ズレ等による品質低下を回避できる(例えば、特許文献1参照。)。
こうしたボールねじ51では、ねじ溝53a、53bをねじ軸53に複数本設ける場合、ねじ溝53a、53bをそれぞれ研削加工するのは手間であった。そのため、図9に示すように、砥石59、60が取り付けられた回転軸61をねじ溝53a、53bのリード角θ分だけ軸方向Dに対して傾斜させて、砥石59、60をそれぞれねじ溝53a、53bに当てて研削加工することにより、複数本のねじ溝53a、53bを同時に研削加工することが可能となり、ねじ溝53a、53bを一つずつ研削加工する場合に比べて製造工程が簡素になり、ねじ軸53の製造コストを低減するができる(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−74665号公報 特開2004−249373号公報
然しながら、こうした従来のボールねじ51では、2巻きのねじ溝53a、53bを個別に閉ループとするボール循環溝56、57が設けられているが、これらの略S字形をなす蛇行形状のボール循環溝56、57をエンドミルでNC加工する場合、このエンドミルの軌跡を予め計算して指令を与える必要があり、加工時間が嵩んで加工コストの低減を図るには限界があった。
また、こうした従来の加工方法によると、研削工程は加工の度に砥石59、60を成形して形状を管理する必要があると共に、研削加工にはねじ研削盤および砥石59、60を成形するためのドレス等の付帯設備が必要となるため、製造コストが高騰する要因となっていた。
本発明は、こうした従来の問題に鑑みてなされたもので、所望のねじ溝寸法・形状と表面粗さを確保すると共に、加工時間が短く低コストなボールねじおよびこれを備えた無段変速機のプーリ幅調整装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内周に螺旋状のねじ溝が形成された円筒状のナットと、このナットに内挿され、外周に前記ねじ溝のリード角と同一のリード角からなる複数のねじ溝が形成されたねじ軸と、前記両ねじ溝間に転動自在に収容された多数のボールとを備え、前記ねじ軸の軸方向で隣り合うねじ溝の間に存在するランド部に、当該複数のねじ溝を個別に閉ループとするボール循環溝が設けられた軸循環タイプのボールねじにおいて、前記ボール循環溝が、前記ねじ溝の下流のボールを内径側へ沈み込ませ、前記ナットのランド部を乗り越えさせて上流側へ戻すように直線状に蛇行して形成されている。
このように、軸循環タイプのボールねじにおいて、ボール循環溝が、ねじ溝の下流のボールを内径側へ沈み込ませ、ナットのランド部を乗り越えさせて上流側へ戻すように直線状に蛇行して形成されているので、ボール循環溝をエンドミル等でNC加工によって形成する場合、NC制御プログラムが容易に作成できると共に、実際の加工においても加工サイクルタイムを大幅に短縮することができ、さらに、加工後の検査工程においても容易に測定が可能となり、工程管理においても有利となって低コストなボールねじを提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記ねじ溝のリード角が1°以下に設定されていれば、ねじ溝とボール循環溝との角度が略180°に近付き、ボールの循環がスムーズに行われる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記ねじ軸のねじ溝とボール循環溝が切削加工によって所定の仕上げ形状に形成され、高周波焼入れにより所定の表面硬さに設定されると共に、熱処理後の研削加工が廃止され、熱処理後の表面のままとされていれば、所望のねじ溝形状と表面粗さを確保できると共に、加工時間が短く低コストなボールねじを提供することができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記ねじ軸のねじ溝とボール循環溝の表面硬さが55〜62HRCの範囲に設定されていれば、所望の転動疲労寿命が確保できると共に、ボール通過による摩耗を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記熱処理の後に、少なくとも前記ねじ溝にショットピーニングによる仕上げ加工が施されていれば、ねじ溝に付着したスケールや表層の粒界酸化層を除去することができ、ボールねじの耐久性を向上させることができる。
また、請求項6に記載の発明のように、前記ねじ軸のねじ溝が、エンドミルによるポイント切削によって形成されていれば、所定のねじ溝を精度良く仕上げることができる。
また、請求項7に記載の発明のように、前記ねじ溝が前記エンドミルの軌跡を複数重ねることにより形成されていても良い。
好ましくは、請求項8に記載の発明のように、前記ねじ軸のねじ溝とボール循環溝が同一幅のエンドミルによって連続して形成されていれば、繋ぎ部が滑らかに形成でき、ボールの循環性能が向上すると共に、エンドミルが一種類で済み、工具の段取り替えが不要となって加工効率が向上し、低コスト化を図ることができる。
また、請求項9に記載の発明は、無端ベルトの一部を掛け渡したプーリの幅を前記ボールねじによって変えることにより駆動軸と従動軸との間の変速比を変える無段変速機のプーリ幅調整装置において、前記ねじ軸が、大径部と、この大径部から軸方向に延び、外周に前記ねじ溝が形成された小径部とを有し、一端部に固定プーリを有する回転軸に可動プーリがスライド自在に支持され、この可動プーリと前記大径部との間に転がり軸受が装着されて前記可動プーリに対して前記ねじ軸が回転自在に支承されると共に、前記大径部の外周に、モータで回転駆動される歯車にスライド自在に噛合する歯車を固定するための連結フランジが一体に形成され、前記回転軸とナットとの間に転がり軸受が装着され、前記回転軸に対して前記ナットが軸方向移動不可に、かつ相対回転自在に支承されている。
このように、無段変速機のプーリ幅調整装置において、ねじ軸が円筒状をなし、大径部と、この大径部から軸方向に延び、外周にねじ溝が形成された小径部とを有し、一端部に固定プーリを有する回転軸に可動プーリがスライド自在に支持され、この可動プーリと大径部との間に転がり軸受が装着されて可動プーリに対してねじ軸が回転自在に支承されると共に、大径部の外周に、モータで回転駆動される歯車にスライド自在に噛合する歯車を固定するための連結フランジが一体に形成され、回転軸とナットとの間に転がり軸受が装着され、回転軸に対してナットが軸方向移動不可に、かつ相対回転自在に支承されているので、ボール循環のための駒部材等の外付け部品を使用することなく、低コストで軽量・コンパクトな無段変速機のプーリ幅調整装置を提供することができる。
好ましくは、請求項10に記載の発明のように、前記ねじ軸が中空の円筒状に形成されていれば、軽量化が図れるだけでなく、スムーズにスライドすることができ、応答性を高めることができる。
本発明に係るボールねじは、内周に螺旋状のねじ溝が形成された円筒状のナットと、このナットに内挿され、外周に前記ねじ溝のリード角と同一のリード角からなる複数のねじ溝が形成されたねじ軸と、前記両ねじ溝間に転動自在に収容された多数のボールとを備え、前記ねじ軸の軸方向で隣り合うねじ溝の間に存在するランド部に、当該複数のねじ溝を個別に閉ループとするボール循環溝が設けられた軸循環タイプのボールねじにおいて、前記ボール循環溝が、前記ねじ溝の下流のボールを内径側へ沈み込ませ、前記ナットのランド部を乗り越えさせて上流側へ戻すように直線状に蛇行して形成されているので、ボール循環溝をエンドミル等でNC加工によって形成する場合、NC制御プログラムが容易に作成できると共に、実際の加工においても加工サイクルタイムを大幅に短縮することができ、さらに、加工後の検査工程においても容易に測定が可能となり、工程管理においても有利となって低コストなボールねじを提供することができる。
本発明に係るボールねじを使用した無段変速機のプーリ幅調整装置を示す全体断面図である。 (a)は、図1のボールねじのねじ軸単体を示す縦断面図、(b)は、(a)のボール循環路を示す横断面図である。 (a)は、図2(a)の要部拡大図、(b)は、(a)の側面図である。 ねじ軸におけるねじ溝の加工状態を示す説明図である。 (a)は、ねじ軸におけるサーキュラアーク形状からなるねじ溝の拡大断面図、(b)は、同上ねじ溝の加工工程を示す拡大断面図である。 (a)は、ねじ軸におけるゴシックアーク形状からなるねじ溝の拡大断面図、(b)〜(d)は、同上ねじ溝の加工工程を示す拡大断面図である。 (a)は、図3のA−A線に沿った横断面図、(b)は、同上B−B線に沿った横断面図である。 従来のボールねじのボール循環経路を模式的に示す側面図である。 同上、ねじ溝の研削加工の初期設定状態を示す側面図である。
内周に螺旋状のねじ溝が形成された円筒状のナットと、このナットに内挿され、外周に前記ねじ溝のリード角と同一のリード角からなる複数のねじ溝が形成されたねじ軸と、前記両ねじ溝間に転動自在に収容された多数のボールとを備え、前記ねじ軸の軸方向で隣り合うねじ溝の間に存在するランド部に、当該複数のねじ溝を個別に閉ループとするボール循環溝が設けられた軸循環タイプのボールねじにおいて、前記ねじ軸のねじ溝のリード角が1°以下に設定され、前記ボール循環溝が、前記ねじ溝の下流のボールを内径側へ沈み込ませ、前記ナットのランド部を乗り越えさせて上流側へ戻すように直線状に蛇行して形成されると共に、前記ねじ軸のねじ溝とボール循環溝が切削加工によって所定の仕上げ形状に形成され、高周波焼入れにより所定の表面硬さに設定されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るボールねじを使用した無段変速機のプーリ幅調整装置を示す全体断面図、図2(a)は、図1のボールねじのねじ軸単体を示す縦断面図、(b)は、(a)のボール循環路を示す横断面図、図3(a)は、図2(a)の要部拡大図、(b)は、(a)の側面図、図4は、ねじ軸におけるねじ溝の加工状態を示す説明図、図5(a)は、ねじ軸におけるサーキュラアーク形状からなるねじ溝の拡大断面図、(b)は、同上ねじ溝の加工工程を示す拡大断面図、図6(a)は、ねじ軸におけるゴシックアーク形状からなるねじ溝の拡大断面図、(b)〜(d)は、同上ねじ溝の加工工程を示す拡大断面図、図7(a)は、図3のA−A線に沿った横断面図、(b)は、同上B−B線に沿った横断面図である。
図1に示すボールねじ1は、無段変速機のプーリ幅調整装置に用いられ、外周に螺旋状のねじ溝2a、2bが形成された固定側のねじ軸2と、このねじ軸2に外嵌され、内周に螺旋状のねじ溝3aが形成された回転側のナット3と、ねじ軸2とナット3間に収容された多数のボール4と、これらのボール4がばらつかないように保持する保持器リング(図示せず)とを備え、軸循環タイプのボールねじ1を構成している。保持器リングは、ねじ軸2に対して軸方向にほぼ不動に位置決めされた状態で、かつ相対回転可能な状態で取り付けられている。
ねじ軸2は中空の円筒状をなし、大径部5と、この大径部5から軸方向に延び、外周にねじ溝2a、2bが形成された小径部6とを有している。そして、一端部に固定プーリ7を有する回転軸8に可動プーリ9がスライド自在に支持されると共に、この可動プーリ9と大径部5との間に転がり軸受10が装着され、可動プーリ9に対してねじ軸2が回転自在に支承されている。また、大径部5の外周には連結フランジ11が一体に形成され、図示しないモータで回転駆動される歯車にスライド自在に噛合する歯車が固定されている。また、回転軸8とナット3との間には転がり軸受12が装着され、回転軸8に対してナット3が軸方向移動不可に、かつ相対回転自在に支承されている。
モータで歯車を回転駆動することにより、転がり軸受10で回転自在に支承されたねじ軸2は可動プーリ9の周りで回転しながら、軸方向に固定されたナット3に対して軸方向に移動し、可動プーリ9を固定プーリ7側へスライドさせる。この時、固定プーリ7と可動プーリ9との間隙が変化して変速が行われる。このようなボールねじにより、ボール循環のための駒部材等の外付け部品を使用することなく、低コストで軽量・コンパクトな無段変速機のプーリ幅調整装置を提供することができる。また、ねじ軸2が中空の円筒状に形成されているので、軽量化が図れるだけでなく、スムーズにスライドすることができ、応答性を高めることができる。
ナット3はSCM415やSCM420等の肌焼き鋼からなり、浸炭焼入れによってその表面に55〜62HRCの範囲に硬化処理が施されている。一方、ねじ軸2はS55C等の中炭素鋼からなり、図2(a)に示すように、外周に軸方向途中領域に連続していない複数(ここでは2巻き)のねじ溝2a、2bが形成されている。図示しないナット3のねじ溝3aとねじ軸2のねじ溝2a、2bとは、互いに同じリード角θに設定されている。なお、これらのねじ溝3a、2a、2bは、断面がボール4の半径よりも僅かに大きい曲率半径からなる2つの円弧を組み合わせたゴシックアーク形状に形成されている。無論、ねじ溝3a、2a、2bは、このゴシックアーク形状以外にも、ボール4の半径よりも僅かに大きい単一の曲率半径からなるサーキュラアーク形状であっても良い。
ここで、本実施形態では、ねじ軸2の複数のねじ溝2a、2bが閉ループとされ、複数のねじ溝2a、2b内にそれぞれ収容されるボール4が独立して無限循環するように構成されている。すなわち、ねじ軸2の軸方向で隣り合うねじ溝2a、2bの間に存在するランド部2cに、複数のねじ溝2a、2bを個別に閉ループとするボール循環溝13、14が設けられている。
このボール循環溝13、14は、ねじ溝2a、2bの上流側と下流側とを個別に連通連結するものであり、図2(b)および図3(b)に示すように、ねじ溝2a、2bの下流のボール4を内径側へ沈み込ませ、ナット3のランド部を乗り越えさせて上流側へ戻すように、ボール循環溝13、14の深さは、ボール4がボール循環溝13、14内でナット3におけるねじ溝3aのランド部を乗り越えることができる深さとされている。そして、これらボール循環溝13、14は直線状に蛇行して形成されている。
本実施形態では、図2(a)に示すリード角θは1°以下に設定されている。このように、ねじ軸2の外径が大きく、また、ねじ溝2a、2bのリード角θが小さく設定されていれば、ねじ溝2a、2bとボール循環溝13、14との角度が略180°に近付き、ボール循環溝13、14は、従来のように必ずしもS字状に蛇行して形成しなくても直線状でもボール4の循環はスムーズに行われる。
図4は、ねじ軸2におけるねじ溝2a、2bの加工状態を示している。生材の棒状ワークW(2)が旋盤の主軸チャック15で把持され、所定の方向に同期回転された状態でエンドミル16によって旋削加工される。このエンドミル16は、径方向に進退自在に、かつ軸方向に移動自在に支持され、NC制御により位置が決められている。ねじ溝2a、2bの旋削加工は、所謂ポイント切削で行われる。すなわち、ねじ溝2a(2b)が、図5(a)に示すようなサーキュラアーク形状の場合、エンドミル16のノーズ半径R4が、ねじ溝2aの溝曲率半径R3と同一のエンドミル16を用い、(b)に示すように、このエンドミル16を半径方向に送り込むことにより所定形状のねじ溝2aの成形が行われる。
一方、ねじ溝2a(2b)が、図6(b)に示すようなゴシックアーク形状の場合、エンドミル16のノーズ半径R2が、ねじ溝2aの溝曲率半径R1よりも小さなエンドミル16を用い、(b)〜(d)に示すように、このエンドミル16をねじ溝3aの有効長さ分だけ複数回移動させ、エンドミル16の軌跡を複数重ねることにより所定形状のねじ溝3aの成形が行われる。ここで、エンドミル16のノーズ半径R2をねじ溝2aの溝曲率半径R1に近付けて寸法設定することにより、エンドミル16を軸方向に移動させることなくねじ溝2aの概略形状が得られ、加工時間を短縮することができる。
また、ボール循環溝13(14)の旋削加工は、ねじ溝2a(2b)同様、ポイント切削で行われる。すなわち、ねじ溝2a(2b)がサーキュラアーク形状であっても、また、ゴシックアーク形状であっても、図7(a)に示すように、ボール4の外径よりも僅かに大きい幅Ewのエンドミル16を用いてねじ溝2a(2b)が成形されると、(b)に示すように、同じエンドミル16を用いてこのねじ溝2a(2b)と連続して半径方向にさらに送り込むことによりボール循環溝13(14)が成形される。
本実施形態では、ボール循環溝13、14が直線状に形成され、さらにねじ溝2a(2b)とボール循環溝13(14)が連続加工されているので、NC制御プログラムが容易に作成できると共に、実際の加工においても加工サイクルタイムを大幅に短縮することができ、さらに、加工後の検査工程においても容易に測定が可能となり、工程管理においても有利となって低コストなボールねじ1を提供することができる。また、繋ぎ部が滑らかに形成でき、ボール4の循環性能が向上すると共に、エンドミル16が一種類で済み、工具の段取り替えが不要となって加工効率が向上し、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態では、ポイント切削によって複数のねじ溝2a、2bおよびボール循環溝13、14の成形加工を完了させた後、熱処理によってその表面に55〜62HRCの範囲の硬化層が形成されている。熱処理は、浸炭焼入れでも高周波誘導加熱による焼入れでも良いが、表層に粒界酸化層が抑制でき、また、局部加熱ができて硬化層深さの設定が比較的容易にできる高周波焼入れが好適である。
さらに、熱処理後、研削加工は行わず、熱処理によりねじ溝2a、2b等に付着したスケールや表層の粒界酸化層を除去するためにショットピーニングによる仕上げ加工(図示せず)が行われている。このショットピーニングは、スチールビーズの粒径を20〜100μm、噴射時間は約90秒、噴射圧は1〜3kg/cm2、噴射ノズルとワークの表面までの距離は略140mmとした。これにより、ボールねじ1の一層の低コスト化を達成することができると共に、耐久性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係るボールねじは、自動車の無段変速機等のアクチュエータに用いられるボールねじに適用できる。
1 ボールねじ
2 ねじ軸
2a、2b、3a ねじ溝
2c ランド部
3 ナット
4 ボール
5 大径部
6 小径部
7 固定プーリ
8 回転軸
9 可動プーリ
10、12 転がり軸受
11 連結フランジ
13、14 ボール循環溝
15 主軸チャック
16 エンドミル
51 ボールねじ
52 ナット
52a、53a、53b ねじ溝
53 ねじ軸
54 ボール
55、58 ねじ山
56、57 ボール循環溝
59、60 砥石
61 回転軸
Ew エンドミルの幅
R1、R3 ねじ溝の曲率半径
R2、R4 エンドミルのノーズ半径
θ リード角

Claims (10)

  1. 内周に螺旋状のねじ溝が形成された円筒状のナットと、
    このナットに内挿され、外周に前記ねじ溝のリード角と同一のリード角からなる複数のねじ溝が形成されたねじ軸と、
    前記両ねじ溝間に転動自在に収容された多数のボールとを備え、
    前記ねじ軸の軸方向で隣り合うねじ溝の間に存在するランド部に、当該複数のねじ溝を個別に閉ループとするボール循環溝が設けられた軸循環タイプのボールねじにおいて、
    前記ボール循環溝が、前記ねじ溝の下流のボールを内径側へ沈み込ませ、前記ナットのランド部を乗り越えさせて上流側へ戻すように直線状に蛇行して形成されていることを特徴とするボールねじ。
  2. 前記ねじ溝のリード角が1°以下に設定されている請求項1に記載のボールねじ。
  3. 前記ねじ軸のねじ溝とボール循環溝が切削加工によって所定の仕上げ形状に形成され、高周波焼入れにより所定の表面硬さに設定されると共に、熱処理後の研削加工が廃止され、熱処理後の表面のままとされている請求項1または2に記載のボールねじ。
  4. 前記ねじ軸のねじ溝とボール循環溝の表面硬さが55〜62HRCの範囲に設定されている請求項3に記載のボールねじ。
  5. 前記熱処理の後に、少なくとも前記ねじ溝にショットピーニングによる仕上げ加工が施されている請求項3または4に記載のボールねじ。
  6. 前記ねじ軸のねじ溝が、エンドミルによるポイント切削によって形成されている請求項1乃至5いずれかに記載のボールねじ。
  7. 前記ねじ溝が前記エンドミルの軌跡を複数重ねることにより形成されている請求項6に記載のボールねじ。
  8. 前記ねじ軸のねじ溝とボール循環溝が同一幅のエンドミルによって連続して形成されている請求項3乃至7に記載のボールねじ。
  9. 無端ベルトの一部を掛け渡したプーリの幅を前記ボールねじによって変えることにより駆動軸と従動軸との間の変速比を変える無段変速機のプーリ幅調整装置において、
    前記ねじ軸が、大径部と、この大径部から軸方向に延び、外周に前記ねじ溝が形成された小径部とを有し、一端部に固定プーリを有する回転軸に可動プーリがスライド自在に支持され、この可動プーリと前記大径部との間に転がり軸受が装着されて前記可動プーリに対して前記ねじ軸が回転自在に支承されると共に、
    前記大径部の外周に、モータで回転駆動される歯車にスライド自在に噛合する歯車を固定するための連結フランジが一体に形成され、前記回転軸とナットとの間に転がり軸受が装着され、前記回転軸に対して前記ナットが軸方向移動不可に、かつ相対回転自在に支承されていることを特徴とする無段変速機のプーリ幅調整装置。
  10. 前記ねじ軸が中空の円筒状に形成されている請求項9に記載の無段変速機のプーリ幅調整装置。
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