JP2010280429A - 扉取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 収納箱の開口端に扉体を簡単且つ正確に取付けることができると共に、その枢着部に隙間を生じさせないようにして塵埃等の侵入を防ぐことができ、また、所望の開度でもって扉体を停止させることができる扉取付構造を提供する。
【解決手段】 収納箱Aの開口端における天板の下面に、収納箱Aの開口横幅に等しい長さを有する軸受部材1の板状ベース部1aを固定し、この板状ベース部1aの前端部下面に全長に亘って設けている断面C字状の軸受部の軸受孔1cに軸部材2における丸棒形状のヒンジ軸部2aを回動自在に嵌合させると共に、このヒンジ軸部2aに全長に亘って下方に向かって突設している幕板片2bの下端部に扉体3の上端部を連結してなり、枢軸受孔1cとヒンジ軸部2aとによる枢着部に隙間を生じさせることなく扉体3を開閉可能にし、且つ、軸受孔1cとヒンジ軸部2aとの摩擦力によって所望の開度で停止させるように構成している。
【選択図】 図3
【解決手段】 収納箱Aの開口端における天板の下面に、収納箱Aの開口横幅に等しい長さを有する軸受部材1の板状ベース部1aを固定し、この板状ベース部1aの前端部下面に全長に亘って設けている断面C字状の軸受部の軸受孔1cに軸部材2における丸棒形状のヒンジ軸部2aを回動自在に嵌合させると共に、このヒンジ軸部2aに全長に亘って下方に向かって突設している幕板片2bの下端部に扉体3の上端部を連結してなり、枢軸受孔1cとヒンジ軸部2aとによる枢着部に隙間を生じさせることなく扉体3を開閉可能にし、且つ、軸受孔1cとヒンジ軸部2aとの摩擦力によって所望の開度で停止させるように構成している。
【選択図】 図3
Description
本発明は、物品を収納するキャビネットや収納ケースなどの収納箱の開口部に扉体を開閉自在に配設する扉取付構造に関するものである。
収納箱の開口部に扉体を開閉自在に配設するための扉取付構造としては、例えば、特許文献1に記載されているように、収納箱の開口部における天板の内面に断面L字状の取付部材の水平片の上面を接着剤等によって固着し、この取付部材の垂直片の両側下端部に穿設している複数個の連結孔と、扉体(蓋体)の上端両側部に穿設している複数個の連結孔間を環部材によって連結して、この環部材を介して扉体を開閉自在に吊支した構造のものが開発されている。
また、特許文献2には、容器の上端開口部における後面の幅方向の中央部に、上向きに開口した断面U字状の水平溝を有する軸受部材を一体に設ける一方、蓋体の後端面における幅方向の中央部に両側軸受片によって両端部を支持されているヒンジ軸を設け、このヒンジ軸を上記軸受部材の水平溝に嵌合させることにより、ヒンジ軸を支点として蓋体を容器の開口端に開閉自在に配設した蓋体の取付構造が記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の収納箱における蓋体取付構造によれば、収納箱の天板の先端部内面(下面)に取付部材を固定し、この取付部材に扉体を環部材を介して吊り下げた構造としているので、収納箱の開口部内に扉体をコンパクトに体裁よく収めることができる利点を有しているが、扉体を開閉自在に枢着した枢着部の構造として、天板の先端部内面に固定した取付部材に対して上記のように環部材を介して扉体を回動自在に吊支した構造としているため、取付部材と扉体の上端面との間に収納箱内に連通した隙間が発生して塵埃や小さな虫等が収納箱内に入り込む虞れがある。
また、人手によって扉体を開放しても、手放すと扉体が自重によって閉止位置に戻るので、開放時には常時扉体を手で支持しておく必要が生じて使用勝手が悪くなり、その上、閉止しておいても、風圧等によって扉体が容易に揺動して閉止状態を維持しておくことができず、内部に物品を安定した状態で収納しておくことができなくなる虞れがある等の問題点があった。
一方、上記特許文献2によれば、容器の開口端に設けている断面U字状の水平溝を有する軸受部材の該水平溝に、蓋体に設けているヒンジ軸を回動自在に嵌合させているので、人手によって蓋体を開放したのち手放しても、ヒンジ軸と軸受部材との摺接摩擦力によって蓋体を所望の開度でもって保持が可能となるように構成しておくことができるが、ヒンジ軸は蓋体の後端面における幅方向の中央部に一定間隔を存して後方に突設している両側軸受片にその両端部を支持させてあり、このヒンジ軸を、容器の開口端における後面の幅方向の中央部に後方に向かって突設している軸受部材の水平溝に回動自在に嵌合させているので、軸受部材の水平溝を中心としてヒンジ軸を回動させながら蓋体を開放させると、後方に向かって軸受部材を突設している容器の後部上端面に対して、この上端面と対向する蓋体の後部下端面が上方に離れてこれらの対向端面間に隙間が発生することになり、容器の上記上端面に付着している塵埃等が容器内に入る虞れがある。
さらに、軸受部材やヒンジ軸は、それぞれ容器と蓋体との後面から後方に向かって突出しているので、容器全体の外観を損するばかりでなく、指先等がその突出端に当接して擦り傷等を受ける虞れがある。また、蓋体取付部材である上記軸受部材やヒンジ軸、及び、このヒンジ軸の両端を支持する軸受片を別々に作製しておき、この蓋体取付部材を、扉を設けていない既存の収納箱に取付けて扉付き収納箱に構成しようとしても、収納箱に対して蓋体が円滑に開閉するように、軸受部材やヒンジ軸等を収納箱の開口端や扉体の上端等の所定部分に正確に取付けることが極めて困難であり、また、収納箱の開口端と扉体の上端との間に隙間が生じる取付構造となって、上記同様に塵埃等の侵入を防止することができないといった問題点がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、少ない部品点数でもって構成して既存の収納箱であっても、その開口部に簡単且つ正確に取付けることができ、また、扉体を所望の開口度でもって保持し得ると共に開放時においても閉止時においても、扉体の枢着部に隙間を生じさせることなく円滑な開閉操作が行える扉取付構造を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明の扉取付構造は、請求項1に記載したように、収納箱の開口部における開口端内面に取付ける軸受部材と、この軸受部材に回動自在に支持される軸部材と、この軸部材に取付ける扉体とからなる扉取付構造であって、上記軸受部材は、収納箱の開口幅に等しい長さを有する板状ベース部の先端部に全長に亘って中心部に軸受孔を有する断面C字状の軸受部を設けてなり、上記軸部材は、軸受部材の上記断面C字状の軸受孔に全長に亘って回動自在に嵌合させるヒンジ軸部の外周面に上記軸受孔の開口端から外部と突出させる一定幅の幕板片を全長に亘って突設してなり、この幕板片に扉体を取付けて該扉体により収納箱の開口部を上記軸受部のC字状軸受孔の開口幅の範囲内で開閉可能に構成している。
このように構成した扉取付構造において、請求項2に係る発明は、軸受部材におけるC字状の軸受孔と軸部材のヒンジ軸部の外周面とを摺接させてあり、その摺接摩擦力によって扉体を所望の開度に開口させるように構成していることを特徴とする。
また、上記請求項1に又は請求項2に記載の扉取付構造において、請求項3に係る発明は、軸部材のヒンジ軸部の外周面に周方向に所定間隔毎に突条を突設している一方、軸受部材の軸受孔の孔壁に上記突条を係脱可能に係止させる係止溝を設けていることを特徴とし、請求項4に係る発明は、軸部材のヒンジ軸部の外周面と軸受部材の軸受孔の内周面とのいずれか一方に、滑り止め層を層着していることを特徴とする。
さらに、請求項5に係る発明は、上記請求項1に記載の扉取付構造において、軸部材の幕板片の下端部と扉体の上端部とのいずれか一方に全長に亘って凹溝部を設け、他方にこの凹溝部に係合可能な係止突条部を形成していることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る発明によれば、扉取付構造を、収納箱の開口部における開口端内面に取付ける軸受部材と、この軸受部材に回動自在に支持される軸部材と、この軸部材に取付ける扉体とから構成しているので、部品点数が少なくて取扱性、施工性に優れているのは勿論、上記軸受部材は、収納箱の開口幅に等しい長さを有する板状ベース部の先端部に全長に亘って中心部に軸受孔を有する断面C字状の軸受部を設けてなり、上記軸部材は、軸受部材の上記断面C字状の軸受孔に全長に亘って回動自在に嵌合させるヒンジ軸部の外周面に上記軸受孔の開口端から外部と突出させる一定幅の幕板片を全長に亘って突設してなり、この幕板片に扉体を取付けて該扉体により収納箱の開口部を上記軸受部のC字状軸受孔の開口幅の範囲内で開閉可能に構成しているので、軸受部材の板状ベース部の長さを収納箱の開口幅に等しい長さに形成しているから、板状ベース部を収納容器の開口端の内面に添設するだけで、収納箱の開口幅方向の位置合わせ等をすることなくビスや粘着テープ等によって簡単且つ正確に取付けることができる。
その上、この軸受部材の板状ベースの先端部に一体に設けている断面C軸受状の軸受部の軸受孔に軸受部材のヒンジ軸部を嵌合させると共にこのヒンジ軸部に突設している幕板片に扉体の上端部を取付けることによって、収納箱の開口端に扉体を何等の熟練を要することなく簡単に組み込むことができ、しかも、収納箱の開口端に対する取付場所が収納箱の天板であっても、側板又は底板であっても任意に選択することができて扉体の開閉方向を自由に設定することができると共に、いずれの扉取付構造においても、軸受部材や軸部材、扉体を外部に突出させることなく収納箱の開口端内に配設することができて、意匠的にも優れた外観を呈することができ、扉を設けていない収納箱と組み合わせた場合でも統一感のある収納箱の集合体を構成することができる。また、扉体が不要となった場合には、軸受部材の板状ベースを収納箱の開口端の内面から取り外すことによって簡単に扉体を取り外すことができると共に、該収納箱の開口端に対する再度の取付けも簡単に行うことができる。
さらに、軸受部材の板状ベース部を収納箱の開口端の内面に全幅に亘って取付けていると共に、この軸受部材の断面C字状の軸受孔に全長に亘って軸受部のヒンジ軸部を嵌合させ、このヒンジ軸部に突設している幕板片に扉体の上端部を取付けるように構成しているので、軸受部材の軸受孔とヒンジ軸部とが収納箱の開口端の全幅に亘って嵌合しているから隙間のない扉体の枢着部を形成することができると共に、ヒンジ軸部に突設している幕板片を断面C字状の軸受孔の開口部から外部に突出させているから、この幕板片によって軸受部材と蓋体との間の収納箱の開口端部を全面的に隠蔽させることができ、従って、上記隙間のない扉体の枢着部と共に外部から収納箱内に塵埃等が侵入するのを確実に防止することができる。
また、扉体を開閉操作すると、軸受孔に嵌合しているヒンジ軸部を介して幕板片が扉体と一体に開閉方向に回動するが、この幕板片は、上記のように断面C字状の軸受孔の開口部から外部に突出しているので、この軸受孔の開口部を形成している両端面に該幕板片を当接させて扉体の開口角度範囲を正確に設定することができると共に、一方の端面に当接した時に扉体が完全に閉止するように構成することができて、精度のよい開閉機能を備えた扉取付構造を提供することができ、その上、軸受孔にヒンジ軸部を嵌合させているので、扉体を上記開口範囲内において、所望の開度でもって開口した状態を保持することができる。さらに、既存の収納箱であっても、この収納箱の開口幅に応じた寸法の軸受部材や軸部材、扉体を切断等によって作製すれば、上記同様にして簡単且つ正確に該収納箱の開口部に扉体を施工し得る。
また、請求項2に係る発明によれば、軸受部材におけるC字状の軸受孔と軸部材のヒンジ軸部の外周面とを互いに摺接させているので、扉体を所望の開度にまで開口させたのち手放しても、上記摺接摩擦力によってその開度でもって開口した状態を保持させておくことができる。さらに、請求項3に記載したように、軸部材のヒンジ軸部の外周面に周方向に所定間隔毎に突条を突設する一方、軸受部材の軸受孔の孔壁に上記突条を係脱可能に係止させる係止溝を設けたことによって、扉体を開閉操作した際に、ヒンジ軸部の外周面に突設している突条が軸受孔の孔壁に設けている係止溝に係合すると、開閉操作に対して抵抗力が発生するので、その位置で手放すことにより所定の開度でもって確実に停止させることができるものであり、ヒンジ軸部に突設している突条が軸受孔の孔壁に設けてい係止溝に係合するまでは、扉体の軽快な開閉操作を可能にすることができる。
請求項4に係る発明によれば、軸部材のヒンジ軸部の外周面と軸受部材の軸受孔の内周面とのいずれか一方に、滑り止め層を層着しているので、軸受部材の軸受孔に対してヒンジ軸部を滑り止め層を介して静かに回動させながら扉体の円滑な開閉操作を可能にし得ると共に、滑り止め層の摩擦力によって扉体を所望の開度で開口させた状態に保持させることができる。
また、請求項5に係る発明によれば、軸部材の幕板片の下端部と扉体の上端部とのいずれか一方に全長に亘って凹溝部を設け、他方にこの凹溝部に係合可能な係止突条部を形成しているので、軸部材に突設している幕板片に対する扉体の取付けが簡単かつ確実に行えると共に体裁のよい取付構造を提供することができ、また、図柄模様等の化粧の異なる扉体との交換も容易に行うことができて、周囲との環境に調和した扉体を備えた収納箱を構成することができる。
本発明の実施の形態を図面について説明すると、収納箱Aは、上下に所定間隔を存して互いに平行に配設している同大、同形の矩形状の天板A1と底板A2との両側端面間を両側板A3、A3によって一体に連結していると共に後端面を背面板A4によって閉止し、且つ、前端を全面的に開口させた正面矩形状の開口部に形成してなり、この開口部における開口端に軸受部材1と、この軸受部材1に回動自在に支持させる軸部材2と、この軸部材2に取付ける扉体3とからなる扉取付構造を配設して該開口端を扉体3により開閉自在に構成している。
上記軸受部材1は一定幅と一定厚みを有し、且つ、収納箱Aの横幅方向の開口幅に等しい長さを有する平面横長長方形状の板状ベース部1aと、この板状ベース部1aの前端部(先端部)下面に全長に亘って一体に設けている軸受部1bとからなる。この軸受部1bは、板状ベース部1aの前端部1b1 と、この前端部1b1 の後端下面から板状ベース部1aの全長に亘って下方に向かって突設している円弧状に湾曲した周壁片1b2 とからなり、この周壁片1b2の前面から板状ベース部1aの前端部1b1 の下面に亘って一定径の円形壁面を形成してこの円形壁面によって軸受部1b内に前方に向かって斜め下方に開口した断面C字状の軸受孔1cを形成している。この軸受孔1cの開口部1c' における上下端面1d、1eは、板状ベース部1aの前端部1b1 における前端下面と、円弧状周壁片1b2 における前方に向かって屈曲している下端部の前端面とによってそれぞれ形成されている。そして、後述するように、上側の開口端面1dによって扉体3をそれ以上開くのを規制し、下側の開口端面1eによって扉体3を閉止位置で停止させるように構成している。
この軸受部材1に回動自在に支持される軸部材2は、軸受部材1の上記軸受孔1cと同一長であって、この軸受孔1cに全長に亘って回動自在に嵌合する断面円形の丸棒状のヒンジ軸部2aと、このヒンジ軸部2aの外周面の一部分に該ヒンジ軸部2aの全長に亘って下方に突設している一定の上下幅を有する横長長方形状の幕板片2bとからなり、この幕板片2bに上記収納箱Aの開口端を開閉する扉体3の上端部を着脱自在に連結させるように構成している。
扉体3と軸部材2の幕板片2bとの連結構造の一例としては、図に示すように扉体3の上端面に全長に亘って蟻溝4を形成する一方、幕板片2bの下端部にこの蟻溝4に嵌合する断面台形状の突部5を形成している。また、幕板片2bに扉体3の上端部を連結させた軸部材2のヒンジ軸部2aを軸受部材1の軸受孔1cに嵌合させた状態においては、ヒンジ軸部2aの外周面は軸受孔1cの孔壁面に摺接してあり、その摺接摩擦力によって扉体3を所望の開度でもって保持させるように構成しておいてもよいが、図においては、ヒンジ軸部2aの外周面に周方向に所定間隔毎に高さが1mm以下の小さな突条6を複数条、全長に亘って突設している一方、軸受部材1の軸受孔1cの孔壁には、周方向に上記突条6と同一間隔毎にこの突条6を係脱可能に係止させる係止溝7を全長に亘って設けている。
なお、軸受部材1と軸部材2は硬質合成樹脂又は金属、或いは、木質材から形成されてあり、扉体3は硬質合成樹脂板や木質板、無機質板、金属板等を基材とし、この基材の表面に適宜な図柄模様等の化粧を施すことによって形成されている。
このように、軸受部材1と軸部材2と扉体3とからなる扉取付構造を収納箱Aの開口端に設けるには、収納箱Aの前端開口部における天板A1の前端部下面に軸受部材1の板状ベース部1aの上面を当接させた状態にしてこの板状ベース部1aの前端面を天板A1の前端面に垂直方向に面一状となるように位置付け、粘着テープ又は接着剤、或いは、ビス等によって板状ベース部1aを天板A1に取付け、この板状ベース部1aの前端部下面に設けられて収納箱Aの開口上端部内から前方に向かって斜め下方に開口1c' している断面C字状の軸受部1bの軸受孔1cに軸部材2のヒンジ軸部2aを嵌合させて、該ヒンジ軸部2aに一体に設けている幕板片2bを軸受孔1cの開口部1c' から外部に突出させ、この幕板片2bの下端突部5に扉体3の上端蟻溝4を嵌合、係止させることによって設けられている。
なお、軸受部材1の軸受孔1cに軸部材2のヒンジ軸部2aを嵌合させるに際して、ヒンジ軸部2aを全長に亘って軸受孔1cの開口部1c' に対向させた状態でこの軸受孔1cに押し込み、その押込力で軸受孔1cの開口部1c' を弾性的に拡開変形させることにより嵌合可能な場合には、上述したように、まず、軸受部材1のみを収納箱Aの天板A1の前端下面に取付けおき、しかるのち、この軸受部材1の軸受孔1cに軸部材2のヒンジ軸部2aを嵌合させることができるが、軸受孔1cの開口部1c' を弾性的に拡開変形させながらヒンジ軸部2aを軸受孔1cに嵌合させることができない場合には、予め、軸受部材1の軸受孔1cの長さ方向の一端側に軸部材2のヒンジ軸部2aの他端部を同一軸線上となるように対向させ、ヒンジ軸部2aを軸受孔1cの一端部側から内部に差し込むことによってスライド嵌合させ、このように、軸受部材1と軸部材2とを組み合わせた状態にして該軸受部材1の板状ベース部1aを上記同様にして天板A1の前端部下面に取付ければよい。
扉体3は、軸部材2を軸受部材1に連結する前に、軸部材2の幕板片2bの下端突部5にその上端蟻溝4を嵌合させることによって取付けおいてもよいが、収納箱Aの天板A1の前端部内面に取付けられた軸受部材1の軸受孔1cにそのヒンジ軸部2aを嵌合させている軸部材2を回動させてその幕板片2bを前方に向かって傾動させると、この幕板片2bの下端突部5は収納箱Aの開口端から前方に突出した状態となって扉体3の連結が可能となるので、軸部材2のヒンジ軸部2aを軸受部材1の軸受孔1cに嵌合させたのち、この軸部材2に扉体3を取付けてもよい。なお、扉体3の前面下端部には図2に示すように、摘み片8を取付けているが、この摘み片8に代えて、指先を引っかける孔を設けておいてもよい。
このように収納箱Aの前端開口部内に扉体3を開閉自在に設けると、軸受部材1は収納箱Aの天板A1の前端部下面に、この収納箱Aの開口部の全幅に亘って隙間なく設けられていると共に、この軸受部材1の軸受孔1cに棒状のヒンジ軸部2aを収納箱Aの幅方向に全長に亘って隙間なく嵌合させてあり、さらに、扉体3の上端部を一体に連結させている軸部材2の幕板片2bによって、軸受孔1cとヒンジ軸部2aとからなる枢着部と扉体3の上端面との間の空間部分が閉止された構造となって、隙間のない扉体3の枢着部を形成している。また、扉体3によって収納箱Aを開口部を閉止している状態においては、軸部材2の幕板片2bが扉体3と共に軸受部材1の軸受部1bから下方に向かって垂直状に配設されていて、幕板片2bの後面上端部が軸受孔1cの下側開口端面1eに当接、受止されてあり、それ以上後方に移動するのを阻止されて閉止状態を保持していると共に、ヒンジ軸部2aの外周面に突設している各突条6は、軸受孔1cの孔壁面に設けている各係止溝7に係止している。
この状態から扉体3の前面下端部に取付ている摘み片8を摘んで、扉体3を前方に向かって開いていくと、幕板片2bを介してヒンジ軸部2aが回動してその回動開始時にヒンジ軸部2aの外周面に突設している突条6が軸受孔1cに設けている係止溝7から外れたのち、ヒンジ軸部2aの回動に伴って軸受孔1cの孔壁面上を摺動しながら扉体3を開放させる。そして所望の開度に達したのち手放せば、突条6と軸受孔1cの孔壁面との摺接摩擦力によって扉体3をその開度でもって停止、保持しておくことができるものであり、さらに、扉体3を開いていく途上において突条6が軸受孔1cの孔壁面に設けている係止溝7に嵌入、係止すると、扉体3を開こうとする力に対して上記摺接摩擦力よりも大きな抵抗力が発生して扉体3が所定の開度まで開いたことを確認でき、この状態にして手放せば、その開度を確実に保持することができる
また、扉体3を水平状態となるまで大きく開放させると、扉体3と一体的に作動する幕板片2bも水平状態となると共に上向きになった前面を軸受孔1cの上側の開口端面1dに当接、受止させ、この開口端面1dがストッパの役目を行ってそれ以上の開きを阻止する。
なお、上記実施例においては、軸部材2の幕板片2bに対する扉体3の連結構造として、扉体3の上端面に蟻溝4を設けておき、この蟻溝4を軸部材2の幕板片2bの下端部に形成している突部5に係脱自在に嵌合させてあり、このように構成することによって、化粧の異なった扉体との交換を可能にしているが、このように交換可能に構成することなく、例えば、図6に示すように、軸部材2の幕板片2bの片面に扉体3の片面上端部を接着剤或いはビス等によって固着した構造としておいてもよい。この場合、幕板片2bをL字状に形成して扉体3の厚みに等しい前後方向の高さを有する段部2b1 を設け、この段部2b1 に扉体3の上端部を添設して該扉体3の上端面を段部2b1 の下端面に当接、受止させれば、扉体3を幕板片2bに対して正確な位置に簡単且つ確実に取付けることができる。
また、上記実施例においては、軸受部材1の軸受孔1cと軸部材2のヒンジ軸部2aとは、該ヒンジ軸部2aの外周面を軸受孔1cの孔壁面に直接、摺接させるか、或いは、ヒンジ軸部2aに突設している突条6を軸受孔1cの孔壁面に摺接させた枢着部の構造としているが、このように枢着部の構造以外に、例えば、図7に示すように、軸受部材1の軸受部1bにおける軸受孔1cの孔壁面と軸部材2のヒンジ軸部2aの外周面との少なくともいずれか一方に一定厚みを有する薄い滑り止め層9を層着した枢着部の構造としておいてもよく、この滑り止め層9の摩擦力によって上述したように、扉体3を所望の開度でもって開いた状態を保持させておくことができる。
このような滑り止め層9としては、ゴム層や軟質合成樹脂層によって形成したり、滑り止め機能を有するテープやシートを貼着したり、或いは、滑り止め塗料を塗布することによって設けることができる。なお、軸受部材1の軸受孔1cと軸部材2のヒンジ軸部2aとに同種又は異種の滑り止め層9を層着しておいてもよい。その他の構造については、上記実施例と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
また、以上のいずれの実施例においても、扉取付構造を収納箱Aの開口端における天板A1の下面に設けて、扉体3をその上端部の軸受部材1の軸受部1bを支点として上下方向に開閉自在に構成しているが、扉取付構造における軸受部材1の板状ベース部1aを収納箱Aの開口端における一方の側板A3の内面に取付け、この軸受部材1の軸受孔1cに回動自在に嵌合させた軸部材2のヒンジ軸部2aから突設している幕板片2bを収納箱Aの開口端の一側から内側方に突出させてこの幕板片2bに扉体3の側端部を連結することにより、該扉体3を左右方向に開閉自在に構成しておいてもよい。この場合、軸受部材1や軸部材2の長さは収納箱Aの開口端における縦幅に等しい長さに形成されている。さらに、扉取付構造を収納箱Aの開口端における底板A2の上面(内面)に設けて、扉体3をその下端部の軸受部材1の軸受部1bを支点として上下方向に開閉自在に構成しておいてもよい。
次に、収納箱Aと、この収納箱Aの開口端部に設ける上記扉取付構造との具体的な実施例を示す。収納箱Aは一定厚みを有する木質板からなり、その横方向の開口幅、即ち、両側板A3、A3間の内寸法幅が370mm 、高さが290mm 、奥向きが300mm に形成されている。
一方、扉取付構造における軸受部材1は、幅が20mm、最大厚さが7.5mm 、長さが370mmのABS樹脂製のベース部材1aに、直径が略5mmの断面C字状の軸受孔1cを有する軸受部1bを設けてあり、この軸受孔1cの孔壁面に深さが0.3mm の係止溝7を周方向に一定間隔毎に5条、形成している。また、軸部材2はアルミ製であって、直径5mm、長さが370mm のヒンジ軸部2aに縦幅が4mmの幕板片2bを一体に設けてなり、この幕板片2bの下端部に断面台形条の突部5を形成している。扉体3は、厚さが3mm、縦幅が279mm 、横幅が370mm のアクリル樹脂板からなり、上端面に蟻溝4を形成している。
上記収納箱Aの開口端における天板A1の下面に軸受部材1の板状ベース部1aを両面テープで取付け、さらに、この軸受部材1の軸受孔1cに軸部材2のヒンジ軸部2aを嵌合すると共に軸部材2の幕板片2bの下端突部5に扉体3の上端蟻溝4を嵌合させることによって軸部材2の幕板片2bに扉体3を連結した。このように構成したので、扉体3の取付部分には隙間は生じず、塵埃等が入り難い構造となっている。扉体3は上下方向に開閉可能であると共に必要に応じてその開閉途上で所望の開度でもって停止させることができた。
1 軸受部材
1a 板状ベース部
1b 軸受部
1c 軸受孔
2 軸部材
2a ヒンジ軸部
2b 幕板片
3 扉体
4 蟻溝
5 突部
6 突条
7 係止溝
A 収納箱
A1 天板
1a 板状ベース部
1b 軸受部
1c 軸受孔
2 軸部材
2a ヒンジ軸部
2b 幕板片
3 扉体
4 蟻溝
5 突部
6 突条
7 係止溝
A 収納箱
A1 天板
Claims (5)
- 収納箱の開口部における開口端内面に取付ける軸受部材と、この軸受部材に回動自在に支持される軸部材と、この軸部材に取付ける扉体とからなる扉取付構造であって、上記軸受部材は、収納箱の開口幅に等しい長さを有する板状ベース部の先端部に全長に亘って中心部に軸受孔を有する断面C字状の軸受部を設けてなり、上記軸部材は、軸受部材の上記断面C字状の軸受孔に全長に亘って回動自在に嵌合させるヒンジ軸部の外周面に上記軸受孔の開口端から外部と突出させる一定幅の幕板片を全長に亘って突設してなり、この幕板片に扉体を取付けて該扉体により収納箱の開口部を上記軸受部のC字状軸受孔の開口幅の範囲内で開閉可能に構成することを特徴とする扉取付構造。
- 軸受部材におけるC字状の軸受孔と軸部材のヒンジ軸部の外周面とを摺接させてあり、その摺接摩擦力によって扉体を所望の開度に開口させるように構成していることを特徴とする請求項1に記載の扉取付構造。
- 軸部材のヒンジ軸部の外周面に周方向に所定間隔毎に突条を突設している一方、軸受部材の軸受孔の孔壁に上記突条を係脱可能に係止させる係止溝を設けていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の扉取付構造。
- 軸部材のヒンジ軸部の外周面と軸受部材の軸受孔の内周面とのいずれか一方に、滑り止め層を層着していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の扉取付構造。
- 軸部材の幕板片の下端部と扉体の上端部とのいずれか一方に全長に亘って凹溝部を設け、他方にこの凹溝部に係合可能な係止突条部を形成していることを特徴とする請求項1に記載の扉取付構造。
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