以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
図1は、本発明の一実施形態である燃料電池車両(以下、適宜に「車両」とだけいう)10の構成を概略的に示す図である。図1において、ラジエタ58が設置されている側(図中の左側)が車両10の前方、その反対側(図中の右側)が車両10の後方として示される。また、図2は、ラジエタ58を取り除いて車両10の前方から見たエンジンコンパートメント11内の様子を示す図である。さらに、図3は、燃料電池車両10は、走行用動力源としてのモータを駆動するための電力を発電する燃料電池12を備える。燃料電池12は、車両10の車室下方に位置する車体床下部に搭載されている。
ただし、燃料電池12の搭載位置は、床下部に限定されず、他の位置、例えば車体の後部または前部であってもよい。また、燃料電池12は、気密状態に保持された燃料電池ケース(図示せず)内に収容されて車両10に搭載されてもよい。
燃料電池12は、燃料ガスである水素と酸化剤ガスである酸素(空気)の供給を受けて発電する装置であり。燃料電池12は、多数の燃料電池セルを電気的に直列接続した状態で積層してなるセルスタックとして構成される。燃料電池セルは、固体高分子電解質膜と、アノード側(燃料極側)電極と、カソード側(空気極側)電極と、セパレータとから構成されている。アノード側電極及びカソード側電極は、高分子電解質膜を両側から挟持してサンドイッチ構造をなす拡散電極である。ガス不透過の導電性部材から構成されるセパレータは、このサンドイッチ構造をさらに両側から挟持しつつ、アノード側電極及びカソード側電極との間にそれぞれ複数の溝状凹部からなる水素及び空気の流路を形成している。
燃料電池セルのアノード側電極は、白金系の金属触媒を担持するカーボン粉末を主成分とし、固体高分子電解質膜に接する触媒層と、触媒層の表面に形成され、通気性と電子導電性とを併せ持つガス拡散層とを有する。同様に、カソード側電極は、触媒層とガス拡散層とを有する。例えば、触媒層は、白金、又は白金と他の金属からなる合金を担持したカーボン粉を適当な有機溶媒に分散させ、電解質溶液を適量添加してペースト化し、高分子電解質膜上にスクリーン印刷して形成されている。また、ガス拡散層は、例えば、炭素繊維から成る糸で織成したカーボンクロス、カーボンペーパ、又はカーボンフェルトにより形成されている。高分子電解質膜は、固体高分子材料、例えば、フッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を発揮する。
このように構成される各燃料電池セルにおいて、アノード側電極に水素が供給されてH2 → 2H++2e-で表される酸化反応が生じ、カソード側電極に空気が供給されて(1/2)O2+2H++2e- → H2Oで表される還元反応が生じ、燃料電池セル全体としてはH2+(1/2)O2 → H2Oで表される電気化学反応が生じることになる。そして、各燃料電池セルのアノード側電極で水素から放出された電子が集電されて、燃料電池12から発電電力として出力される。
燃料電池12には、空気供給通路14が接続されている。空気供給通路14には、燃料電池12への空気供給方向に関して上流側から順に、エアクリーナ16、エアコンプレッサ18および圧力センサ20が設けられている。エアコンプレッサ18の作動によってエアクリーナ16を介して車外の大気から空気が取り込まれ、エアクリーナ16を通過する際に空気中に含まれる粉塵等の異物がフィルタによって除去される。エアクリーナ16を通過した空気は、吸気管22を介してエアコンプレッサ18に導入されて圧縮され、吐出ポートから吐出されて燃料電池12へと供給される。燃料電池12に供給される空気の圧力は、圧力センサ20によって検出され、図示しないコントローラによって監視されている。
なお、空気供給通路14の途上に加湿器を設け、燃料電池12から排出される空気中に含まれる生成水の一部を回収して、その回収された水を用いて燃料電池12に供給される空気を加湿する構成としてもよい。
図1を参照すると、燃料電池12には、水素供給系24が接続されている。水素供給系24は、例えば高圧水素タンクなどからなる水素供給源26と、水素供給源26から燃料電池12の燃料極に供給される水素ガスが流れる水素供給通路28と、燃料電池12から排出される水素オフガスが流れる水素排出通路30と、水素排出通路30に排出された水素オフガスを循環ポンプ32の作動により水素供給通路28へと循環供給するための循環通路34とを含む。
水素供給源26から燃料電池12に接続する水素供給通路28には、水素ガス供給方向の上流側から順に、水素供給源26からの水素ガスの流出を遮断する遮断弁36と、水素供給源26から噴出する水素ガスを適度に減圧すると共に水素供給量を制御するインジェクタ38、および、燃料電池12に供給される水素ガスの圧力を検出する圧力センサ40が設けられている。また、水素排出通路30は、遮断弁42を介して希釈器44に接続されている。なお、水素排出通路30と循環通路34との間に気液分離器を設け、この気液分離器により水素オフガス中に含まれる生成水を分離してから水素オフガスを循環通路34へ送り込むようにしてもよい。
また、燃料電池12には、空気排気通路46が接続されている。空気排気通路46は、燃料電池12の各セルにおいて発電に供された後に燃料電池12から排出される空気が流れる通路である。空気排気通路46には、空気排気方向に関して上流側から順に、空気調圧弁48、希釈器44およびマフラ50が設けられている。
希釈器44は、遮断弁42が開弁されることにより水素排出通路30から導入される水素オフガスを燃料電池12から排出された空気と混合して希釈する機能を有する。空気調圧弁48は、内部に含まれる弁体の開度をコントローラからの指令に応じて調整することにより、空気排気通路46を流れる空気の流量や圧力、すなわち燃料電池12に供給される空気の流量や圧力を制御するためのものである。マフラ50は、サイレンサまたは消音器とも呼ばれ、上流側から排気される空気と共に騒音が車外に放散されるのを抑制する機能を有する公知構成のものである。
コントローラは、例えばCPU、RAM、ROM等を含むマイクロコンピュータとして構成されることができ、上記遮断弁36,42の開閉制御、インジェクタ38や空気調圧弁48の開閉および開度調節制御、エアコンプレッサ18および循環ポンプ32の作動制御等を実行することにより、燃料電池12による発電動作を制御することができる。
燃料電池車両10のエンジンコンパートメント11内には、走行用動力源としてのモータ(以下、「走行用モータ」という)と、モータ回転数を減速する減速機を一体に含むトランスアクスルTA(駆動ユニット)が搭載されている。走行用モータには、三相同期型交流モータが好適に用いられる。トランスアクスルTAは、車体の一部としてエンジンコンパートメント11を画定する壁部に制振機能を有するマウント部材(図示せず)を介して取り付けられて支持されている。また、トランスアクスルTAの両側面からは、走行用モータにより出力された駆動力を前輪52に伝達するためのドライブシャフト56が延出している。
また、エンジンコンパートメント11内には、電力制御装置PCUが設置されている。電力制御装置PCUは、燃料電池12および走行用モータにそれぞれ電気的に接続されている。電力制御装置は、例えば、燃料電池12から直流電圧として供給される発電電力を昇圧する機能を有する昇圧コンバータや、この昇圧コンバータから出力される直流電圧を三相交流電圧に変換する機能を有するインバータ等を含む。この電力制御装置PCUのインバータから出力される交流電圧が走行用モータの駆動電圧として用いられる。また、ユーザのアクセル操作等に応じて生成されるコントローラからの指令に基づいて上記コンバータおよびインバータが作動制御されることにより、走行用モータのトルクや回転数が制御されるようになっている。
エンジンコンパートメント11の最前部には、ラジエタ58が設置されている。ラジエタ58は、燃料電池12、エアコンプレッサ18から吐出される圧縮空気、および、電力制御装置PCU等を冷却するために図示しない循環系統を介して循環する冷却水を、外気との温度差を利用して放熱させることにより降温させる公知構成のものである。ただし、燃料電池車両10では、通常のガソリンエンジン車に比べて冷却水温度がそれほど上昇しないため、外気との温度差が小さく放熱効率が比較的良くないことから、ラジエタ58が大型化する傾向にある。
続いて、エンジンコンパートメント11に搭載されるエアコンプレッサ18の支持および取付の構造について説明する。エンジンコンパートメント11の車幅方向両側には、サイド部材60がそれぞれ設けられている。サイド部材60は、例えば角形の鋼管等で構成されることができ、車体の一部として固定されている。
車幅方向両側のサイド部材60上には、例えば金属製の矩形平板からなるクロス部材62が掛け渡されて設けられており、このクロス部材62によってエアコンプレッサ18が支持されている。より詳細には、エアコンプレッサ18は、クロス部材62の下面に吊り下げられた状態で取り付けられている。なお、図1においては、クロス部材62の外形輪郭を一点鎖線で示して、その下に配置されるエアコンプレッサ18を透視状態で見やすく描いてある。
クロス部材62の両端部は、クロス部材62に対してボルト等の適当な締結部材によって固定される。また、図3に示すように、サイド部材60において、クロス部材62が固定される部分となるエンジンコンパートメント11に対応する前端部分60aは、車両前方に向けて上り傾斜状態で設けられる連結部分60bを介して、車両後方側の部分60cに連結されており、これによりサイド部材60の前端部分60aが通常のサイド部材の位置、すなわち車体の最下部に近い位置に比べて少し高い位置で水平方向に沿って設けられている。これは、上記のように平板状のクロス部材62の下面にエアコンプレッサ18を吊り下げて支持するために、クロス部材62の下方にエアコンプレッサ搭載スペースを確保できるようにするためである。
クロス部材62の上面62aには、車幅方向に延在するリブ部材64が溶接等の適当な方法によって固定されている。リブ部材64は、平板状のクロス部材62の強度を補強する役割を果たすもので、前後方向に適当な間隔を置いて複数本設けられるのが好ましい。本実施形態では、クロス部材62の前後に2本設けてあるが、3本以上設けてもよいし、あるいは、前後方向の中央位置に1本だけ設けてもよい。また、リブ部材64は、必ずしも直線状に延伸する形状でなくてもよく、クロス部材62の矩形以外の形状やクロス部材62の補強必要部位に応じて曲がって延伸するよう適宜に変更可能である。エアクリーナ16は、リブ部材64上に載置されて固定されているが、クロス部材62の上面62a上に直に載置されて固定されてもよい。
なお、本実施形態では、クロス部材62の補強部材であるリブ部材64をクロス部材62の上面62aに固定したが、その下面62bに固定されてもよい。また、リブ部材64は、エアコンプレッサ18やエアクリーナ16等を支持するための強度がクロス部材62だけで確保される場合には、省略されてもよい。
図3およびその部分拡大図である図4に示すように、リブ部材64は、クロス部材62の上面62aに溶接等により固定されたナット66を収容できる内部空間を形成するような断面形状、例えばシルクハット状の横断面を有する形状に形成されている。また、リブ部材64は、補強部材としての適当な強度を持たせるために金属材料で形成されるのが好ましく、例えば金属板をプレス成形することにより作製されることができる。
図3を再び参照すると、エアコンプレッサ18は、内包する圧縮部材68が回転駆動されることにより、後方端面に形成された吸気ポート70から吸い込んだ空気を圧縮して外周面に形成された吐出ポート72から吐出する圧縮部74(図中「ACP」と表記)と、回転軸76が上記圧縮部材68に連結されたモータ80(図中「M」と表記)とを一体に備えている。そして、エアコンプレッサ18は、モータ80の回転軸76が車両前後方向に沿うとともにモータ80が前方側で圧縮部74が後方側に位置するように配置される。
このようにエアコンプレッサ18を配置することで、圧縮部74の端面に形成された吸気ポート70にエアクリーナ16から延伸する吸気管22を接続する場合に、クロス部材62の後方において最短の吸気管22で接続可能となる。また、圧縮部74を前方側に配置して前端面に吸気ポートを形成した場合には、吸気管22がラジエタ58に干渉することとなって取り付けできない可能性があるが、圧縮部74の後方配置によればこのような不都合も生じない。
また、エアクリーナ16とエアコンプレッサ18とを接続する吸気管22は、ドライブシャフト56の上方であって車両前後方向に関して重なる位置に設けられるのが好ましい。このように位置関係で吸気管22を設けることで、吸気管22を含めたエアコンプレッサ18の配置を車両前後方向に関してコンパクト化することができる。
さらに、エアコンプレッサ18の圧縮部74の端面に設けられる吸気ポート70は、略円形をなす圧縮部端面の上側寄りに形成されるのが好ましい。このように吸気ポート70を形成することで、ドライブシャフト56が近接して配置されている場合でも、上記のようにドライブシャフト56に対して上下方向に重なるような位置関係で吸気管22を設けることが容易になり、上記コンパクト化に寄与することができる。
次に、図4〜6も併せて参照して、クロス部材62へのエアコンプレッサ18の取付構造について詳細に説明する。図4は、エアコンプレッサ18が取付部材82によってクロス部材62の下面62bに取り付けられている状態を示す部分拡大図であり、図5は図4中の矢印B方向から見た側面図であり、図6はエアコンプレッサ18の取付部材82との連結部に設けられるマウント部材84の斜視図である。
エアコンプレッサ18は、クロス部材62に対して4箇所で支持されて取り付けられている。各取付箇所は、一対の取付部材82と、エアコンプレッサ18側に固定されるマウント部材84とによって構成される。取付部材82は、その上端に水平方向に沿って折れ曲がった取付部83を有し、この取付部83に形成された貫通孔およびクロス部材62に形成した貫通孔をそれぞれ通して挿入したボルト85をクロス部材62の上面62aに固定されたナット66に締め付けることによって、クロス部材62の下面62bに取り付けられる。
ここで、クロス部材62に対して取付部材82を取り付ける位置(すなわちナット66の固定位置)は、リブ部材64の車両前後方向の幅の略中央に対応する位置とするのが好ましい。この位置で取付部材82がクロス部材62に取り付けられることで、リブ部材64による補強効果を最も得られる位置で例えば数十kg程度とかなり重いエアコンプレッサ18を吊り下げ支持することができるので、その分、クロス部材62の板厚を薄くして軽量化することが可能になる。
略円柱状をなすエアコンプレッサ18の外周面には、上記各取付箇所に対応してマウント部材84がアーム部86を介して固定されている。マウント部材84は、図6に示すように、同心状に配置された2重の金属管84a,84bの間にゴム等の弾性材84cを充填して構成されており、この弾性材84cによって制振機能を果たすものである。
各取付箇所において、一対の取付部材82の下端部の間に上記マウント部材84を挿入した状態で、各取付部材82の下端部に形成された貫通孔およびマウント部材84の中心管84aを貫通して挿入したボルト87の端部にナット88を抜け止め程度に螺合して固定する。これにより、エアコンプレッサ18が取付部材82およびマウント部材84を介してクロス部材62に対して取り付けられる。
このように、エアコンプレッサ18がマウント部材84を介してクロス部材62に取り付けられることで、マウント部材84に含まれる弾性材84cの振動吸収作用によってエアコンプレッサ18の振動がクロス部材62に伝達されるのが抑制され、いわゆるNV性能(騒音振動性能)が向上する。また、各取付箇所が一対の取付部材82によって構成されることで、エアコンプレッサ18の作動時に生じるねじれ力に対しても強い安定した取付状態を提供できる。
上述したように本実施形態の燃料電池車両10によれば、エンジンコンパートメント11の車幅方向両側に在って車体に固定されるサイド部材60間に平板状のクロス部材62を掛け渡して設け、このクロス部材62によってエアコンプレッサ18を支持する構成としたことで、井桁を用いることなくエアコンプレッサ18をエンジンコンパートメント11内に搭載することができる。
また、金属平板からなるクロス部材62は、高強度の枠体である井桁に比べて、加工が容易で製造コストも安価であり、かつ、軽量化が図れる。そして、このように軽量化が可能なクロス部材62にエアコンプレッサ18を予め取り付けた状態で車両組立ラインにおいて車体に組み付けることが可能になり、車両の組立効率が向上する。
さらに、エアコンプレッサ18がクロス部材62に吊り下げて取り付けられることで、エンジンコンパートメント11内において比較的低い位置にエアコンプレッサ18を搭載することができる。これにより、車両10の重心が低くなり、車両10の走行安定性が向上する。
ところで、上記のようにクロス部材62にエアコンプレッサ18を吊り下げて支持する場合、図7に示すように、クロス部材62の下面62bとエアコンプレッサ18との間の距離dを小さく設定して、エアコンプレッサ18をクロス部材62にできるだけ接近させて配置するのが好ましい。この場合、取付部材82の長さを短くする、エアコンプレッサ18のアーム部86の長さを短くするか又はマウント部材84をエアコンプレッサ18の外周面上に直に固定する等の方法が有効である。このようにエアコンプレッサ18をクロス部材62に近接配置することで、エアコンプレッサ18を同じ高さ位置に搭載する場合にクロス部材62の高さ位置を低く設定することができ、その分だけクロス部材62の上方に大きなスペースを確保することができる。これにより、クロス部材62上に設置されるエアクリーナ16を大容量化することが可能になる。
また、図7に示すように、クロス部材62にエアコンプレッサ18を近接配置するときに、エアコンプレッサ18のモータ80の外周面に突設されて給電ライン89が接続される端子台90を側方に向けることで、端子台90がクロス部材62に干渉することがない。
あるいは、図8に示すように、リブ部材64間に位置するクロス部材62の部分に開口部91を形成しておき、上記端子台90を上方に向けて開口部91に入れ込むようにしても、端子台90がクロス部材62に対するエアコンプレッサ18の近接配置の障害となるのを解消できる。さらに、このように端子台90を上方に向けることで、雨天走行時や水溜り走行時に車体下方から進入した水によって端子台90が被水するのを効果的に抑制できる。このことは、端子台90を下方に向けた場合に比べると、端子台90を図7に示すように側方に向けた場合でも同様のことが言える。
なお、上記においては、平板状のクロス部材62の高さ位置を上げるために、エンジンコンパートメント11に対応するサイド部材60の前端部分60aを後方部分60cよりも高く設定するとして説明したが(図3参照)、本発明の燃料電池車両はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、クロス部材62の両端部の取付部分63をクランク状に下方へ折り曲げた形状としてクロス部材62の高さ位置をサイド部材60よりも高く設定してもよい。このようにすれば、サイド部材を直線状に形成したままでクロス部材62の下方にエアコンプレッサ18の搭載スペースを確保することができる。
逆に、図10に示すように、クロス部材62の両端部の取付部分63をクランク状に上方へ折り曲げた形状としてクロス部材62の高さ位置をサイド部材60よりも低く設定してもよい。このようにすれば、サイド部材60の高さ位置を図3に示す位置から変えることなくクロス部材62を高さ位置を低く設定することができ、図7,8を参照して説明したようなクロス部材62の上方スペースの拡大が実現できる。
また、上記実施形態では、エアコンプレッサ18をクロス部材62の下面62bに吊り下げて支持するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、エアコンプレッサ18がクロス部材62の上面62a上に載置されて取り付けおよび支持されてもよい。
次に、図11を参照して、2軸式エアコンプレッサ18aを搭載した燃料電池車両について説明するが、ここでは上述した実施形態と同じ構成については同じ参照符号を付して重複する説明を行わないこととし、異なる点についてだけ説明する。
図11は、2軸式エアコンプレッサ18aを水平方向に対して傾けてクロス部材62に吊り下げ搭載した状態を示す図2と同様の図である。この2軸式エアコンプレッサ18aは、相互の関係を保ちつつそれぞれ回転する2つの圧縮部材を有して各圧縮部材に対応する2つの回転軸76a,76bを備える圧縮部74aを含み、具体例としてはルーツ式のエアコンプレッサが挙げられる。上記エアコンプレッサ18aの端面形状は長円形または楕円形をなし、その端面の長手方向が水平方向に沿うように搭載しようと、隣接するトランスアクスルTAとサイド部材60との間に寸法的に配置できないときに、水平方向に対して傾いた状態で搭載されることがある。その場合、エアコンプレッサ18aのトランスアクスルTA側の部分がより下方に位置するように傾けられて搭載するのが好ましい。
このように傾けて搭載することで、図11中に一点鎖線で示すようにドライブシャフト56の上下方向の移動量が前輪52側よりも比較的小さいトランスアクスルTA側でドライブシャフト56に近づけてエアコンプレッサ18aを搭載することができ、その結果、エアコンプレッサ搭載スペースについて上下方向のコンパクト化を図れる。
なお、このように2軸式エアコンプレッサを傾けて搭載する場合、隣接するトランスアクスルTAに取付部材を介して取り付けられて支持されてもよい。この場合、クロス部材62にも吊り下げ支持されていれば、より安定した取付状態を確保できる。