JP2010278262A - 発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェハ面内の輝度ムラを低減することができ、しかも順方向電圧の上昇を抑制することが可能なLED用エピタキシャルウェハの製造方法を提供すること。
【解決手段】加熱されたn型基板1上に、必要とするIII族原料ガス、V族原料ガス、キ
ャリアガス、ドーパント原料ガスを供給して、n型基板1上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層3,活性層4,p型クラッド層5を有する発光部7と、p型GaP電流分散層6とを成長させるLED用エピタキシャルウェハの製造方法であって、p型クラッド層5の成長後、成長温度を、p型クラッド層5の成長温度より昇温しつつ、供給ガス中のGa原料ガスの供給量を次第に増加させながら下部p型GaP電流分散層6aを成長する。
【選択図】図1
【解決手段】加熱されたn型基板1上に、必要とするIII族原料ガス、V族原料ガス、キ
ャリアガス、ドーパント原料ガスを供給して、n型基板1上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層3,活性層4,p型クラッド層5を有する発光部7と、p型GaP電流分散層6とを成長させるLED用エピタキシャルウェハの製造方法であって、p型クラッド層5の成長後、成長温度を、p型クラッド層5の成長温度より昇温しつつ、供給ガス中のGa原料ガスの供給量を次第に増加させながら下部p型GaP電流分散層6aを成長する。
【選択図】図1
Description
本発明は、発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法に関し、更に詳しくは、AlGaInP系材料からなるp型クラッド層上にp型GaP電流分散層を有する発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法に関する。
発光ダイオード用エピタキシャルウェハの作製には、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法が多く用いられている(例えば、特許文献1参
照)。
照)。
図3は、従来の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)用エピタキシャルウェハを示す断面図である。
図3に示された従来の発光ダイオード用エピタキシャルウェハ30は、n型GaAs基板31上に、n型GaAsバッファ層32、n型AlGaInPクラッド層33、AlGaInP活性層34、p型AlGaInPクラッド層35、p型GaP電流分散層36を、順に積層した構造を有する。GaP電流分散層36の表面(主表面)36cは、外部へ光を取り出すための光取出面となる。
図3に示された従来の発光ダイオード用エピタキシャルウェハ30は、n型GaAs基板31上に、n型GaAsバッファ層32、n型AlGaInPクラッド層33、AlGaInP活性層34、p型AlGaInPクラッド層35、p型GaP電流分散層36を、順に積層した構造を有する。GaP電流分散層36の表面(主表面)36cは、外部へ光を取り出すための光取出面となる。
MOVPE法による上記LED用エピタキシャルウェハ30の製造方法を説明する。
先ず、ヒータにより650℃に加熱された成長炉内の基板31上に、キャリアガス、例えば水素と共に、必要とするIII族原料、例えばTMG(トリメチルガリウム),TMA
(トリメチルアルミニウム),TMI(トリメチルインジウム)と、V族原料、例えばPH3(ホスフィン)と、ドーパント原料ガスとを供給する。基板31上には、それら原料ガスの熱分解反応により、n型GaAsバッファ層32、n型AlGaInPクラッド層33、AlGaInP活性層34、p型AlGaInPクラッド層35がエピタキシャル成長する。
続いて、基板31を、例えば710℃まで昇温する。基板31が710℃になった時点でその温度を保ったまま、III族原料ガス,V族ガス,ドーパント原料ガスを供給して、
p型GaP電流分散層36を成長させる。GaP電流分散層36の成長温度を、p型AlGaInPクラッド層35の成長温度より高く設定するのは、GaP電流分散層36の成長初期の欠陥を抑制するためである(例えば、特許文献2参照)。
このように作製されたLED用エピタキシャルウェハ30の基板31の裏面側にn側電極を形成し、GaP電流分散層36上にp側電極等を形成し、ダイシングにより個々の素子ごとに分離等することで、LEDのチップ(ベアチップ)が作製される。このプロセスの中で、光の取出効率を高めるために、GaP電流分散層36の表面(主表面)36cを粗面化する粗面化処理が採られている。
先ず、ヒータにより650℃に加熱された成長炉内の基板31上に、キャリアガス、例えば水素と共に、必要とするIII族原料、例えばTMG(トリメチルガリウム),TMA
(トリメチルアルミニウム),TMI(トリメチルインジウム)と、V族原料、例えばPH3(ホスフィン)と、ドーパント原料ガスとを供給する。基板31上には、それら原料ガスの熱分解反応により、n型GaAsバッファ層32、n型AlGaInPクラッド層33、AlGaInP活性層34、p型AlGaInPクラッド層35がエピタキシャル成長する。
続いて、基板31を、例えば710℃まで昇温する。基板31が710℃になった時点でその温度を保ったまま、III族原料ガス,V族ガス,ドーパント原料ガスを供給して、
p型GaP電流分散層36を成長させる。GaP電流分散層36の成長温度を、p型AlGaInPクラッド層35の成長温度より高く設定するのは、GaP電流分散層36の成長初期の欠陥を抑制するためである(例えば、特許文献2参照)。
このように作製されたLED用エピタキシャルウェハ30の基板31の裏面側にn側電極を形成し、GaP電流分散層36上にp側電極等を形成し、ダイシングにより個々の素子ごとに分離等することで、LEDのチップ(ベアチップ)が作製される。このプロセスの中で、光の取出効率を高めるために、GaP電流分散層36の表面(主表面)36cを粗面化する粗面化処理が採られている。
しかしながら、上述した従来のLED用エピタキシャルウェハの製造方法では、p型AlGaInPクラッド層35を形成した後、GaP電流分散層36を成長させるまでの昇温過程で、p型AlGaInPクラッド層35の表面に荒れ(結晶欠陥など)が生じてい
た。
た。
p型AlGaInPクラッド層35の表面に荒れが生じると、p型AlGaInPクラッド層35の表面状態を引き継いで成長したp型GaP電流分散層36の表面にも、荒れが生じることになる(このことは、エピタキシャルウェハの表面の曇り度合い(ヘイズレベル)が、面内で不均一な分布を持つことにもなる)。このように表面36cが荒れたp型GaP電流分散層36に粗面化処理を施すと、ウェハ面内で粗面の凹凸にムラができ、ウェハ面内で輝度分布のムラが生じる原因となっていた。
また、上記昇温過程では、エピタキシャルウェハの周辺部(外周部など)のp型AlGaInPクラッド層35に、処理炉内に残留していたn型ドーパントが混入し、エピタキシャルウェハの周辺部の順方向電圧(Vf)が高くなってしまうという問題があった。
本発明の目的は、ウェハ面内の輝度分布のムラを低減することができ、しかも順方向電圧の上昇を抑制することが可能な発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様は、加熱されたn型基板上に、必要とするIII族原料ガス、V族原
料ガス、キャリアガス、及びドーパント原料ガスを供給して、前記n型基板上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層,活性層,p型クラッド層を有する発光部と、p型GaP電流分散層と、を成長させる発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法であって、前記p型クラッド層の成長後に、成長温度を、前記p型クラッド層の成長温度より昇温しつつ、Ga原料ガス及びP原料ガスを含む供給ガス中の前記Ga原料ガスの供給量を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層を成長することを特徴とする発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法である。
料ガス、キャリアガス、及びドーパント原料ガスを供給して、前記n型基板上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層,活性層,p型クラッド層を有する発光部と、p型GaP電流分散層と、を成長させる発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法であって、前記p型クラッド層の成長後に、成長温度を、前記p型クラッド層の成長温度より昇温しつつ、Ga原料ガス及びP原料ガスを含む供給ガス中の前記Ga原料ガスの供給量を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層を成長することを特徴とする発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記下部p型GaP電流分散層の成長後に、該下部p型GaP電流分散層の成長の終期における成長温度及びGa原料ガスの供給量を保ちながら、前記下部p型GaP電流分散層上に上部p型GaP電流分散層を成長することを特徴とする発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法である。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記Ga原料ガスの供給量を次第に増加させながら成長させた、厚さが150nm以上である前記下部p型GaP電流分散層の初期の成長速度を、0.4nm/sec以上0.7nm/sec以下とし、前記下部p型GaP電流分散層の終期の成長速度を3.0nm/sec以下として、成長速度を次第に増加させながら前記下部p型GaP電流分散層を成長することを特徴とする発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法である。
本発明の第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記p型GaP電流分散層の表面は、発光ダイオード用エピタキシャルウェハ面内において、ヘイズレベルが3500ppm以上7200ppm以下であることを特徴とする発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法である。
本発明によれば、ウェハ面内の輝度分布のムラを低減することができ、しかも順方向電圧の上昇を抑制することが可能な発光ダイオード用エピタキシャルウェハが得られる。
以下、本発明の一実施形態に係るLED用エピタキシャルウェハの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るLED用エピタキシャルウェハ10の断面構造を示す図である。本実施形態に係るLED用エピタキシャルウェハ10は、MOVPE法により作製される。
本実施形態に係るLED用エピタキシャルウェハ10は、図1に示すように、n型基板1(n型導電性基板)上に、少なくとも、AlGaInP系材料((AlxGa1−x)yIn1−yP(0≦x≦1,0<y≦1))からなるn型クラッド層3,活性層4,p型クラッド層5を有する発光部7と、p型GaP電流分散層6と、が積層形成されている。発光部7は、n型クラッド層3とp型クラッド層5との間に活性層4を備えるダブルヘテロ構造である。本実施形態のLED用エピタキシャルウェハ10では、n型基板1とn型クラッド層3との間に、n型GaAsバッファ層2が形成されている。なお、n型GaAsバッファ層2を設けずに、n型AlGaInPクラッド層3を直接n型基板(n型導電性基板)1上に形成してもよい。
p型GaP電流分散層6は、図1に示すように、下部p型GaP電流分散層6aと、上部p型GaP電流分散層6bと、を有する。
下部p型GaP電流分散層6aは、p型クラッド層5の成長後に、成長温度を、p型クラッド層5の成長温度より昇温しつつ、Ga原料ガス及びP原料ガスを含む供給ガス中のGa原料ガスの供給量を次第に増加させながら、即ち成長速度を次第に増加させて成長させた層である。
上部p型GaP電流分散層6bは、下部p型GaP電流分散層6aの成長後に、該下部p型GaP電流分散層6aの成長の終期における成長温度及びGa原料ガスの供給量を保ち(即ち成長速度を一定に保ち)ながら、下部p型GaP電流分散層6a上に成長させた層である。
下部p型GaP電流分散層6aは、p型クラッド層5の成長後に、成長温度を、p型クラッド層5の成長温度より昇温しつつ、Ga原料ガス及びP原料ガスを含む供給ガス中のGa原料ガスの供給量を次第に増加させながら、即ち成長速度を次第に増加させて成長させた層である。
上部p型GaP電流分散層6bは、下部p型GaP電流分散層6aの成長後に、該下部p型GaP電流分散層6aの成長の終期における成長温度及びGa原料ガスの供給量を保ち(即ち成長速度を一定に保ち)ながら、下部p型GaP電流分散層6a上に成長させた層である。
以下、本実施形態に係るLED用エピタキシャルウェハ10の製造方法を説明する。
先ず、MOVPE装置の成長炉内にn型基板(n型導電性基板)1を設置する。n型導電性基板1としては、例えばn型GaAs基板が用いられる。
(発光部7の形成)
ヒータにより所定の温度(本実施形態では約650℃)に加熱されたn型基板1上に、必要となる、III族原料ガス、V族原料ガス、キャリアガス(水素ガス)、及びドーパン
ト原料ガスを供給して、n型基板1上に、n型GaAsバッファ層2と、n型AlGaInPクラッド層3と、AlGaInP活性層4と、p型AlGaInPクラッド層5とを順次エピタキシャル成長させる。
p型ドーパントとしては、Zn、Mg、Cなどを挙げることができる。また、n型ドーパントとしては、Se、Si、Teなどを挙げることができる。
ヒータにより所定の温度(本実施形態では約650℃)に加熱されたn型基板1上に、必要となる、III族原料ガス、V族原料ガス、キャリアガス(水素ガス)、及びドーパン
ト原料ガスを供給して、n型基板1上に、n型GaAsバッファ層2と、n型AlGaInPクラッド層3と、AlGaInP活性層4と、p型AlGaInPクラッド層5とを順次エピタキシャル成長させる。
p型ドーパントとしては、Zn、Mg、Cなどを挙げることができる。また、n型ドーパントとしては、Se、Si、Teなどを挙げることができる。
(p型GaP電流分散層6の形成)
続いて、p型AlGaInPクラッド層5上にp型GaP電流分散層6をエピタキシャ
ル成長させる。p型GaP電流分散層6には、例えばMgがp型不純物としてドープされる。
以下、p型GaP電流分散層6の下部p型GaP電流分散層6a及び上部p型GaP電流分散層6bを形成する工程を説明する。
続いて、p型AlGaInPクラッド層5上にp型GaP電流分散層6をエピタキシャ
ル成長させる。p型GaP電流分散層6には、例えばMgがp型不純物としてドープされる。
以下、p型GaP電流分散層6の下部p型GaP電流分散層6a及び上部p型GaP電流分散層6bを形成する工程を説明する。
(下部p型GaP電流分散層6aの形成)
p型AlGaInPクラッド層5の成長終了後に、p型AlGaInPクラッド層5の成長温度(本実施形態では650℃)より高温(本実施形態では710℃)に基板温度を昇温する。本実施形態では、従来のように昇温工程の後にGaP層を成長させるのではなく、所定温度(本実施形態では710℃)に昇温するまでの昇温過程において、Ga原料ガス(例えばTMG)及びP原料ガス(例えばPH3)を含む供給ガス中のGa原料ガスの供給量を次第に増加させ、即ち成長速度を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層6aを成長する。この下部n型GaP電流分散層6aの成長時には、供給ガス中のP原料ガスの供給量は略一定とし、Ga原料ガスの供給量を次第に増加(例えば一定の割合で供給量を増加)させる。
本実施形態では、従来のように昇温工程を待つことなく、p型AlGaInPクラッド層5の成長終了後の昇温過程において、Ga原料ガスの供給量を次第に増加させ、即ち成長速度を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層6aを成長している。このため、p型AlGaInPクラッド層5の表面の荒れを抑制することができる。
p型AlGaInPクラッド層5の成長終了後に、p型AlGaInPクラッド層5の成長温度(本実施形態では650℃)より高温(本実施形態では710℃)に基板温度を昇温する。本実施形態では、従来のように昇温工程の後にGaP層を成長させるのではなく、所定温度(本実施形態では710℃)に昇温するまでの昇温過程において、Ga原料ガス(例えばTMG)及びP原料ガス(例えばPH3)を含む供給ガス中のGa原料ガスの供給量を次第に増加させ、即ち成長速度を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層6aを成長する。この下部n型GaP電流分散層6aの成長時には、供給ガス中のP原料ガスの供給量は略一定とし、Ga原料ガスの供給量を次第に増加(例えば一定の割合で供給量を増加)させる。
本実施形態では、従来のように昇温工程を待つことなく、p型AlGaInPクラッド層5の成長終了後の昇温過程において、Ga原料ガスの供給量を次第に増加させ、即ち成長速度を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層6aを成長している。このため、p型AlGaInPクラッド層5の表面の荒れを抑制することができる。
下部p型GaP電流分散層6aの成長を、低温(例えば、650℃に近い温度)で、且つ高速(例えば、0.7nm/secを超える速度)で行うと、AlGaInP系のp型クラッド層とp型GaP電流分散層との間にある大きな格子不整合により、GaP電流分散層に多数の格子欠陥が発生する。
これを回避するために、本実施形態では、p型クラッド層5の成長後に、成長温度を、p型クラッド層5の成長温度乃至これに近い温度から次第に上昇させつつ、Ga原料ガスの供給量を次第に増加させることによって成長速度を低速(例えば、0.7nm/sec以下)から次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層6aを成長させている。これにより、表面状態の良好な下部p型GaP電流分散層6aを形成でき、LED用エピタキシャルウェハの白濁や表面の凹凸を低減することができる。
これを回避するために、本実施形態では、p型クラッド層5の成長後に、成長温度を、p型クラッド層5の成長温度乃至これに近い温度から次第に上昇させつつ、Ga原料ガスの供給量を次第に増加させることによって成長速度を低速(例えば、0.7nm/sec以下)から次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層6aを成長させている。これにより、表面状態の良好な下部p型GaP電流分散層6aを形成でき、LED用エピタキシャルウェハの白濁や表面の凹凸を低減することができる。
下部p型GaP電流分散層6aの成長は、下部p型GaP電流分散層6aの初期の成長速度を、0.4nm/sec以上0.7nm/sec以下とし、下部p型GaP電流分散層6aの終期の成長速度を3.0nm/sec以下として、成長速度を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層6aを成長することが好ましい。
上記条件で下部p型GaP電流分散層6aを成長させるのは、次の理由からである。
上記条件で下部p型GaP電流分散層6aを成長させるのは、次の理由からである。
下部n型GaP電流分散層6aの成長初期の成長速度が0.7nm/secよりも大きくなってくると、GaP層とAlGaInP層との格子不整合の緩和がなされず、LED用エピタキシャルウェハに白濁の発生,表面に不均一な凹凸の発生などの不具合が生じてしまうが、成長初期の成長速度が0.7nm/sec以下であると、p型AlGaInPクラッド層5と下部p型GaP電流分散層6aとの格子不整合が緩和され、上記不具合の発生を抑制することができる。つまり、下部n型GaP電流分散層6aの表面状態は良好となる。
一方、下部n型GaP電流分散層6aの成長初期の成長速度が0.4nm/secより小さいと、昇温初期の段階で成長する下部GaP電流分散層6aの膜厚が薄いため、成長炉内に残留したn型ドーパントがp型AlGaInPクラッド層5に混入し、順方向電圧Vfが上昇してしまうので、下部n型GaP電流分散層6aの成長初期の成長速度は0.4nm/sec以上とするのがよい。
また、下部n型GaP電流分散層6aの成長終期の成長速度が3.0nm/secより大きいと、GaP層の横方向への成長が阻害されて、多くの結晶欠陥が発生し、この下部n型GaP電流分散層6a上に形成される上部p型GaP電流分散層6bの表面状態が悪化して白濁してしまう。したがって、下部p型GaP電流分散層6aの終期の成長速度を3.0nm/sec以下とするのがよい。
更に、下部n型GaP電流分散層6aの成長終期の成長速度は、1.7nm/sec以上、好ましくは2.1nm/sec以上、より好ましくは2.5nm/sec以上とする。
また、下部p型GaP電流分散層6aの厚さは、150nm以上であることが好ましい。本実施形態では、基板の温度を650℃から710℃に昇温させているが、この昇温に要する時間は、約120秒であり、好ましい成長速度の単位時間当りの増加割合は、0.015nm/sec程度である。このため、下部p型GaP電流分散層6aの厚さが150nmより薄い場合には、所望の終期の成長温度まで昇温する前に、終期の成長速度に達してしまう場合があるからである。
(上部p型GaP電流分散層6bの形成)
続いて、下部p型GaP電流分散層6aの成長後に、下部p型GaP電流分散層6aの成長終期における成長温度及びGa原料ガスの供給量を保ちながら、即ち成長温度及び成長速度を保ちながら、下部p型GaP電流分散層6a上に上部p型GaP電流分散層6bを成長する。上部GaP電流分散層6bは、電流を分散性を持たせるために、ある程度、厚く形成する。本実施形態に係る上部p型GaP電流分散層6bの膜厚は、約3000nmである。
この上部p型GaP電流分散層6bは、良好な表面状態の下部p型GaP電流分散層6a上に、下部p型GaP電流分散層6aの成長終期における成長温度及び成長速度を保って成長させているので、結晶性が良く表面状態は良好となる。
続いて、下部p型GaP電流分散層6aの成長後に、下部p型GaP電流分散層6aの成長終期における成長温度及びGa原料ガスの供給量を保ちながら、即ち成長温度及び成長速度を保ちながら、下部p型GaP電流分散層6a上に上部p型GaP電流分散層6bを成長する。上部GaP電流分散層6bは、電流を分散性を持たせるために、ある程度、厚く形成する。本実施形態に係る上部p型GaP電流分散層6bの膜厚は、約3000nmである。
この上部p型GaP電流分散層6bは、良好な表面状態の下部p型GaP電流分散層6a上に、下部p型GaP電流分散層6aの成長終期における成長温度及び成長速度を保って成長させているので、結晶性が良く表面状態は良好となる。
(粗面化処理及びチップ化処理)
続いて、GaP電流分散層6の表面6cに粗面化処理を施すことにより、光の取出効率を向上させる。粗面化処理としては、例えば湿式エッチングなどを挙げることができる。p型GaP電流分散層6の表面6cが荒れていないので、粗面化処理後のウェハ面内の粗面ムラがなく、ウェハ面内におけるLEDチップの輝度分布ムラを抑制することができる。
続いて、n型基板1の裏面側とGaP電流分散層6上にそれぞれn側電極、p側電極を形成し、チップ作製プロセス等により、LED(ベアチップ)を作製する。
続いて、GaP電流分散層6の表面6cに粗面化処理を施すことにより、光の取出効率を向上させる。粗面化処理としては、例えば湿式エッチングなどを挙げることができる。p型GaP電流分散層6の表面6cが荒れていないので、粗面化処理後のウェハ面内の粗面ムラがなく、ウェハ面内におけるLEDチップの輝度分布ムラを抑制することができる。
続いて、n型基板1の裏面側とGaP電流分散層6上にそれぞれn側電極、p側電極を形成し、チップ作製プロセス等により、LED(ベアチップ)を作製する。
(実施例)
次に、本発明に係る一実施例を説明する。
本実施例に係るLED用エピタキシャルウェハ10は、図1に示されたLED用エピタキシャルウェハ10と同様な構成である。本実施例では、MOVPE法によりLED用エピタキシャルウェハを製造した。
次に、本発明に係る一実施例を説明する。
本実施例に係るLED用エピタキシャルウェハ10は、図1に示されたLED用エピタキシャルウェハ10と同様な構成である。本実施例では、MOVPE法によりLED用エピタキシャルウェハを製造した。
先ず、Siドープのn型GaAs基板(n型基板)1を、ヒータによって650°に加熱しながら、キャリアガスとして水素を用いて、III族原料のTMG(トリメチルガリウ
ム),TMA(トリメチルアルミニウム),TMI(トリメチルインジウム)、V族原料のPH3(ホスフィン)、ドーパント原料のH2Se(セレン化水素)、Cp2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を、必要に応じて供給して、Siドープのn型G
aAs基板1上に、Seドープのn型GaAsバッファ層2、Seドープのn型AlGaInPクラッド層3、アンドープのAlGaInP活性層4、Mgドープのp型AlGaInPクラッド層5を順に形成した。
ム),TMA(トリメチルアルミニウム),TMI(トリメチルインジウム)、V族原料のPH3(ホスフィン)、ドーパント原料のH2Se(セレン化水素)、Cp2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を、必要に応じて供給して、Siドープのn型G
aAs基板1上に、Seドープのn型GaAsバッファ層2、Seドープのn型AlGaInPクラッド層3、アンドープのAlGaInP活性層4、Mgドープのp型AlGaInPクラッド層5を順に形成した。
続いて、Mgドープのp型AlGaInPクラッド層5の成長後、表1に示すように、基板温度を650℃から710℃に昇温した。この昇温過程で、Ga原料ガス(TMG)の供給量を次第に増加させて、下部p型GaP電流分散層6aを成長させる。詳細には下部p型GaP電流分散層6aの初期の成長速度を0.5nm/sec,成長終期の成長速度を2.1nm/secとして、成長速度を次第に増加させて(例えば、成長速度の単位時間当りの増加量を略一定量に設定)、下部n型GaP電流分散層6aを成長させた。この際、P原料ガス(PH3)の供給量は略一定とした。
昇温完了後、基板温度710℃とGa原料ガスの供給量とを略一定に保ち、即ち成長速度を2.1nm/secに保ちながら、上部p型GaP電流分散層6を下部p型GaP電流分散層6a上に形成した。
昇温完了後、基板温度710℃とGa原料ガスの供給量とを略一定に保ち、即ち成長速度を2.1nm/secに保ちながら、上部p型GaP電流分散層6を下部p型GaP電流分散層6a上に形成した。
上記実施例に係るLED用エピタキシャルウェハの製造方法により作製された各エピタキシャル層のキャリア濃度,膜厚等は以下の通りである。
SeドープのGaAsバッファ層2は、膜厚200nm,キャリア濃度1×1018cm−3であり、Seドープのn型AlGaInPクラッド層3は、膜厚400nm,キャリア濃度1×1018cm−3であり、アンドープAlGaInP活性層4は膜厚500nmであり、Mgドープのp型AlGaInPクラッド層5は、膜厚500nm,キャリア濃度5×1017cm−3であり、Mgドープの下部p型GaP電流分散層6aは、膜厚150nm,キャリア濃度1×1018以上2×1018cm−3以下であり、Mgドープの上部p型GaP電流分散層6bは、膜厚3000nm,キャリア濃度2×1018以上4×1018cm−3以下である。
SeドープのGaAsバッファ層2は、膜厚200nm,キャリア濃度1×1018cm−3であり、Seドープのn型AlGaInPクラッド層3は、膜厚400nm,キャリア濃度1×1018cm−3であり、アンドープAlGaInP活性層4は膜厚500nmであり、Mgドープのp型AlGaInPクラッド層5は、膜厚500nm,キャリア濃度5×1017cm−3であり、Mgドープの下部p型GaP電流分散層6aは、膜厚150nm,キャリア濃度1×1018以上2×1018cm−3以下であり、Mgドープの上部p型GaP電流分散層6bは、膜厚3000nm,キャリア濃度2×1018以上4×1018cm−3以下である。
このようにして作製されたエピタキシャルウェハ10の表面状態は、ウェハ面内で略均一に平坦であった。サーフスキャン測定器によりヘイズレベルを測定すると、ヘイズレベルが3500ppm以上7200ppm以下であった。つまり、このウェハの表面状態は良好であった。
また、下部p型GaP電流分散層6aの厚さを150nm以上、例えば550nmに形成した場合でも、ウェハの表面状態が同様に良好であった。
上部p型GaP電流分散層6bの厚さは、好ましくは2000nm以上とするのがよい。例えば、n型GaAs基板1上にエピタキシャル層を膜厚10μm形成したが、このときのエピタキシャルウェハの表面、すなわち上部p型GaP電流分散層6bの表面状態は良好であった。
また、下部p型GaP電流分散層6aの厚さを150nm以上、例えば550nmに形成した場合でも、ウェハの表面状態が同様に良好であった。
上部p型GaP電流分散層6bの厚さは、好ましくは2000nm以上とするのがよい。例えば、n型GaAs基板1上にエピタキシャル層を膜厚10μm形成したが、このときのエピタキシャルウェハの表面、すなわち上部p型GaP電流分散層6bの表面状態は良好であった。
続いて、上述したエピタキシャルウェハ10の上部p型GaP電流分散層6の表面に粗面化処理を行い、n型基板1の裏面にn側電極を形成し、p型GaP電流分散層6上にp側電極を形成し、チップ作製プロセス等により、LEDチップを作製した。
作製された複数のLEDチップそれぞれに20mAの電流を流して発光させて、それぞれの輝度を測定した。輝度の最小値/最大値(輝度の最小値と最大値の比)は、0.93(93%)であった。このLEDチップの順方向電圧Vfは、1.88Vであった。
作製された複数のLEDチップそれぞれに20mAの電流を流して発光させて、それぞれの輝度を測定した。輝度の最小値/最大値(輝度の最小値と最大値の比)は、0.93(93%)であった。このLEDチップの順方向電圧Vfは、1.88Vであった。
なお、本実施例で用いたSiドープのn型GaAs基板1(エピタキシャルウェハ10)の径は3インチであるが、係る径を3インチ以上、例えば4インチ〜6インチとした場合であっても同様の効果が得られる。
(比較例1〜比較例3)
図2は、比較例1から比較例3に係るLED用エピタキシャルウェハ20の断面構造を
示す図である。図2に示すように、比較例に係るLED用エピタキシャルウェハでは、p型AlGaInPクラッド層5上に、下部p型GaP電流分散層26a及び上部p型GaP電流分散層26bからなるp型GaP電流分散層26が形成されており、それ以外の構成は上記実施例と同様である。
図2は、比較例1から比較例3に係るLED用エピタキシャルウェハ20の断面構造を
示す図である。図2に示すように、比較例に係るLED用エピタキシャルウェハでは、p型AlGaInPクラッド層5上に、下部p型GaP電流分散層26a及び上部p型GaP電流分散層26bからなるp型GaP電流分散層26が形成されており、それ以外の構成は上記実施例と同様である。
下部p型GaP電流分散層26aを形成する際に、表1に示すように、比較例1では成長初期の成長速度を0.3nm/secに設定し、比較例2では成長初期の成長速度を1.0nm/secに設定した。これ以外は、実施例と同じ条件で比較例1、比較例2に係るLED用エピタキシャルウェハ20を作製した。
比較例3では、表1に示すように、下部n型GaP電流分散層26aの成長初期の成長速度を実施例と同じ0.5nm/secとし,成長終期の成長速度を3.5nm/secとして成長速度を傾斜的に増加させつつ、下部p型GaP電流分散層26aを成長させた。昇温完了後、上部p型GaP電流分散層26bの成長速度を3.5nm/secとした。これ以外は、実施例と同じ条件で、比較例3に係るLED用エピタキシャルウェハ20を作製した。
比較例1に係るLED用エピタキシャルウェハ20の表面26cは、ウェハ面内で略均一に平坦であった。ヘイズレベルは7200ppmであった。このエピタキシャルウェハの表面状態は、良好であった。
このエピタキシャルウェハ20から作製された複数のLEDチップにおいて、輝度の最小値/最大値は0.95(95%)であった。このLEDチップの順方向電圧Vfは、1.95Vであった。つまり、比較例1では実施例(Vf=1.88V)と比べて順方向電圧Vfが高い値を示した。
このエピタキシャルウェハ20から作製された複数のLEDチップにおいて、輝度の最小値/最大値は0.95(95%)であった。このLEDチップの順方向電圧Vfは、1.95Vであった。つまり、比較例1では実施例(Vf=1.88V)と比べて順方向電圧Vfが高い値を示した。
比較例2に係るLED用エピタキシャルウェハ20の表面は、面内全体で白濁していた。顕微鏡で観察すると、ウェハ表面は凹凸状となっていた。つまり、このエピタキシャルウェハ20には、多くの結晶欠陥が生じていた。
このエピタキシャルウェハ20から作製された複数のLEDチップにおいて、輝度の最小値/最大値は0.80(80%)であった。また、LEDチップの順方向電圧(Vf)は、1.9Vであった。
このエピタキシャルウェハ20から作製された複数のLEDチップにおいて、輝度の最小値/最大値は0.80(80%)であった。また、LEDチップの順方向電圧(Vf)は、1.9Vであった。
比較例3に係るLED用エピタキシャルウェハ20の表面は、面内全体で白濁していた。顕微鏡で観察すると、ウェハ表面は凹凸状となっていた。つまり、このエピタキシャルウェハ20には、多くの結晶欠陥が生じていた。このエピタキシャルウェハ20にはあまりに多くの結晶欠陥が生じているため、チップ作製プロセスを行える状態ではなかった。
1 n型基板(n型GaAs導電性基板)
2 n型GaAsバッファ層
3 n型AlGaInPクラッド層
4 アンドープAlGaInP活性層(発光層)
5 p型AlGaInPクラッド層
6 p型GaP電流分散層
6a 下部p型GaP電流分散層
6b 上部p型GaP電流分散層
7 発光部
10 発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウェハ
2 n型GaAsバッファ層
3 n型AlGaInPクラッド層
4 アンドープAlGaInP活性層(発光層)
5 p型AlGaInPクラッド層
6 p型GaP電流分散層
6a 下部p型GaP電流分散層
6b 上部p型GaP電流分散層
7 発光部
10 発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウェハ
Claims (4)
- 加熱されたn型基板上に、必要とするIII族原料ガス、V族原料ガス、キャリアガス、
及びドーパント原料ガスを供給して、前記n型基板上に、少なくともAlGaInP系材料からなるn型クラッド層,活性層,p型クラッド層を有する発光部と、p型GaP電流分散層と、を成長させる発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法であって、
前記p型クラッド層の成長後に、成長温度を、前記p型クラッド層の成長温度より昇温しつつ、Ga原料ガス及びP原料ガスを含む供給ガス中の前記Ga原料ガスの供給量を次第に増加させながら、下部p型GaP電流分散層を成長することを特徴とする
発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法。 - 前記下部p型GaP電流分散層の成長後に、該下部p型GaP電流分散層の成長の終期における成長温度及びGa原料ガスの供給量を保ちながら、前記下部p型GaP電流分散層上に上部p型GaP電流分散層を成長することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法。
- 前記Ga原料ガスの供給量を次第に増加させながら成長させた、厚さが150nm以上である前記下部p型GaP電流分散層の初期の成長速度を、0.4nm/sec以上0.7nm/sec以下とし、前記下部p型GaP電流分散層の終期の成長速度を3.0nm/sec以下として、成長速度を次第に増加させながら前記下部p型GaP電流分散層を成長することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法。
- 前記p型GaP電流分散層の表面は、発光ダイオード用エピタキシャルウェハ面内において、ヘイズレベルが3500ppm以上7200ppm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発光ダイオード用エピタキシャルウェハの製造方法。
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KR101442809B1 (ko) * | 2012-11-20 | 2014-09-23 | 한국광기술원 | 질화물계 반도체 발광소자 및 그의 제조 방법 |
CN113451448A (zh) * | 2020-03-30 | 2021-09-28 | 重庆康佳光电技术研究院有限公司 | LED外延结构、其p型GaP层粗化方法及LED芯片 |
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2009
- 2009-05-28 JP JP2009129658A patent/JP2010278262A/ja active Pending
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