JP2010277243A - 安全運転支援システム及び車載器 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両運行状態に応じた安全運転支援情報を適切かつ確実に配信することができる安全運転支援システム及びこれに用いる車載器を提供する。
【解決手段】車載器300が、路側DSRC通信装置200から配信された配信情報のうち、自車両が光ビーコン通信エリアを通過した路側光ビーコン装置100から受信した通知データ及び自車両の運転状況に応じて配信情報を選択して運転者に提示する。
【選択図】図1

Description

この発明は、交差点内を含んで交差点付近及び交差点に進入する車両に対して安全運転支援の情報提供サービスを行う安全運転支援システムに係り、特に光ビーコンやETC(Electronic Toll Collection System;登録商標、以下記載を省略する)等に利用されている路車間通信システムを用いた安全運転支援システム及びこれに用いる車載器に関するものである。
道路側から車両に情報を提供する路車協調による通信システムとしては、道路交通情報通信システム(VICS;Vehicle Information and Communication System;登録商標、以下記載を省略する)がある。近年においては、交通渋滞情報、事故情報の提供だけでなく、交差点やカーブ等の事故が起きやすい場所の路側に設置されたセンサやカメラで検知した車両や歩行者等の詳細情報を、道路渋滞情報や交差点情報(信号情報等)と共に、安全に関する情報として車両へ提供し、運転者に注意を促すサービスの提案や実証実験が行われている。例えば、特許文献1には、DSRC(Dedicated Short Range Communication;狭域通信)を用いて基地局から受信した情報に基づき、右折衝突防止支援サービスを実現する車両用情報提供装置が開示されている。
現在の路車間狭域無線通信システムでは、路側に設置された路側狭域無線通信装置(基地局又は固定局とも言う)の通信エリア内に存在する車両に搭載された車載狭域無線通信装置(移動局とも言う)に対して、路側狭域無線通信装置から同一内容の通信を行う(同報通信)ことができる他、特定のIDコードを持った車載狭域無線通信装置に対して選択的に通信(個別通信)を行うことができる。この個別通信の機能を利用して、路車間狭域無線通信システムは、ETCの通信装置として実用化されている。
また、交差点内に存在する全ての車両に対して同じ案内をすることが、常に有用な情報提供になるとは限らないため、上述の個別通信の機能を利用して、例えば、交差点内及び交差点付近に存在する車両であって異なる方向から進入した複数の車両に対し、それぞれ異なる交通案内(配信情報の提供)を行うシステム(走行支援用情報提供システムとも言う)が提案されている。このシステムでは、車両が交差点に進入してきた方向や、交差点から出て行こうとする方向によって、車両毎に案内(配信情報又は車両内での再生情報)の内容を変化させる必要がある。
そこで、非特許文献1に開示されているシステムでは、交差点に情報配信アンテナを設置し、交差点から離れた進入路の途中(他の進入路との位置の差が電波で識別できるだけ十分に離れた位置)に路側狭域無線通信装置の基点アンテナを設置して、基点アンテナの通信エリア内を通過した車両に搭載された車載狭域無線通信装置のIDを読み取って記憶する。この車両が交差点内に達したとき、記憶しておいたIDで特定される車載狭域無線通信装置に対して、特定の配信情報を送信する。このようにすることで、複数の進入路から交差点に進入した車両に対して、それぞれ予め用意した複数種類の配信情報を選別して与えることが可能となる。
また、狭域無線通信装置のみで車両の位置を特定する方式も提案されている。例えば、特許文献2には、5.8GHz帯のDSRCを使った路側狭域無線通信装置と、車両に搭載された車載狭域無線通信装置との間で双方向通信を行う際、車載狭域無線通信装置からの電波の受信強度を監視し、車両の位置を推定する路車間通信方式が開示されている。
特許文献3に記載される車載狭域無線通信装置は、方位計等のセンサで車両進行方位を検出し、さらにウィンカ、ブレーキ、アクセルの操作状態を検出して、車両の進行方向を含む車両運行状態データを検出、生成する。一方、路側狭域無線通信装置からは、少なくとも1つ以上の車両運行状態データを送信する。車載狭域無線通信装置では、受信した車両運行状態データが自車のものと一致したとき、自車のIDを路側狭域無線通信装置に送信する。これにより、特定車両との個別通信チャネルが確立し、特定車両の運行状態に対して適切な配信情報が伝達できる。
特許文献4では、交差点手前(100m〜200m)の道路上に設置した超狭域無線通信装置(第1の送信装置)と、交差点内あるいは交差点付近に設置したUHF/VHF帯の無線LAN装置を有する第2の送信装置とを、路側の構成装置として備え、第1の送信装置から、道路区間情報(進入道路の識別用の道路区間IDと、第1の送信装置の設置相当位置から交差点までの距離データである道路区間長Xとからなる)が送信され、第2の送信装置からは、交通情報(道路の識別用の道路区間ID、情報種別の識別用の道路種別ID及びデータ部からなる)が送信される。これら2つの情報を受信する構成要素として車載器があり、これら2つの情報を受信、記憶して、第1の送信装置から道路区間情報を受信したときからの走行距離を計測する。
車載器は、自身を搭載する車両が交差点に進入しつつあるとき、第2の送信装置から受信した交通情報から道路区間IDを抽出して、このIDが交差点手前で第1の送信装置から受信した道路区間情報の道路区間IDと一致し、かつ、このとき計測中の走行距離が道路区間長Xより短いときに交通情報を有効とし、この交通情報の道路区間IDに対応した情報種別IDのデータ部に基づいて、この情報種別IDに対応する処理(車両の減速処理や運転者への警告処理等)を実行する。
また、走行距離が道路区間長Xよりも長くなると(交差点内に入ってしまった後)、車載器は、交通情報を無効として破棄し、それ以降の処理を実行しない。
このようにすることで、交差点内に進入する道路が異なる各車両に応じて、異なる交通情報を提供でき、交差点までの進入道路上において時々刻々と変化する情報をリアルタイムに取得できる。
特開2005−11252号公報 特開2003−289582号公報 特許第4002259号公報 特開2008−130038号公報
"ポスターセッション報告 4.路車間通信システムの開発"、(online)、平成15年7月8日、第7回 AHS研究報告会、(平成21年5月7日検索)、インターネット<URL;http://www.ahsra.or.jp/jpn/c04j/7th/08pos/12pos4.htm>
従来の安全運転支援システムでは、車両運行状態(交差点への進入方向や、交差点での進行方向の変更等)が異なる車両毎に、各車両運行状態に応じた配信情報を提供しようとすると、路側に多数のアンテナ等の通信装置を設置しなければならず、システムの規模が増大し、コスト的にも不利になるという課題があった。
また、従来では、道路の構造上、電波の反射等によって通信状態が不安定となり、誤動作して不要な配信情報を与えたり、あるいは、必要な配信情報を与えられない場合があるという課題もある。
例えば、非特許文献1では、情報配信アンテナの他に、進入路毎に基点アンテナを設置する必要があり、不可避的にシステム規模が増大する。また、アンテナからの電波が、周辺の建物や車両で反射し、想定した通信エリアより遠くで受信される恐れもある。この場合、進入路が誤検出される可能性があり、配信情報を与えたい車両に対して、確実に情報配信できるとは限らない。
これに対して、車両に搭載したナビゲーションシステムで利用されているGPSによる位置情報と路側狭域無線通信装置の位置情報とから、対象車両の走行状態を判断する方法も提案されている。しかしながら、GPSの精度では、交差点内の車両の位置を、例えば右左折レーンへの移動まで含めて高精度で識別することは難しく、地下や、トンネル、高架下の交差点等のGPSの電波が届かない場所では利用できないという問題もある。
また、特許文献1や特許文献2に記載のシステムにおいても、トラックやバス等の電波を遮断したり、反射する車両が付近に存在すると、対象車両の位置の特定が不正確になったり、位置の特定自体が困難になり、実用的ではない。
特許文献3では、規模の大きい交差点において個別通信する車両数が増えたとき、個別通信チャネルの確立に所定の時間が必要となるため、リアルタイムな情報を取得できない懸念がある。また、大型車両の陰に隠れてしまった対象車両と、路側狭域無線通信装置のアンテナとの間の個別通信では、その通信の信頼性が損なわれるという問題点もある。
一方、車両の進行方位を検出するデバイスとして地磁気センサがあるが、外乱磁界によって地磁気に大きな乱れが出ている道路上では、その検出データは信頼できない。
さらに、加速度検出方式の方位検出センサでは、二輪車の場合、車体のローリング、ピッチング、ヨーイングが四輪車に比べてかなり大きいため、センサの応答性と精度とのバランスを考慮した取り付け構造が必要となり、センサ取り付けにおけるコスト的な不利は否めない。車載ナビゲーション装置での方位検出においても同様にコストと搭載性に問題がある。
さらに、立体構造になった交差道路上で、1つの路側狭域無線通信装置のアンテナから安全運転支援情報を提供する場合、車載の方位検出センサを利用する装置が、進行方向の異なる車両であっても路側狭域無線通信装置と通信が可能であるため、実際には進行方向の異なる車両が同一の交差道路上に存在しないにもかかわらず、誤った相手との間で通信が行われる可能性が非常に高いという課題がある。
また、交差点や遠くまで見通しの利かない曲線路や分岐路付近において安全運転支援に寄与する情報は、リアルタイムなだけでなく、さらに空間として同一の扱いでもなく、自車両の走行位置に応じて提供されることが必要である。
しかしながら、特許文献4に記載のシステムでは、進入道路を1つの区間(空間として同一のもの)として扱い、この同一空間内で時々刻々と変化するリアルタイム情報のみが提供されるため、このような見通しの利かない道路を走行中の自車両に応じた情報の提供が困難であるという課題があった。
具体的に説明すると、自車と衝突又は接触の可能性がある危険箇所との近さ、例えば交差点までの距離がまだ十分離れているか、交差点の直前か、交差点内に入ってしまった状態かによって異なってくる。また、車線が複数ある道路が交差する大きな交差点では、車線別に異なる情報提供が必須となる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、車両運行状態に応じた安全運転支援情報を適切かつ確実に配信することができる安全運転支援システム及びこれに用いる車載器を得ることを目的とする。
この発明に係る安全運転支援システムは、道路に設置され、道路を走行する車両が取り得る運転状況にそれぞれ対応した安全運転に関する配信情報を有し、車両が走行する道路毎のID情報を付与した配信情報を、自身の通信エリア内の車両に配信する第1の無線通信装置と、第1の無線通信装置の設置位置から車両進行方向手前に所定の道程で離間した道路上に設置され、自身が設置された道路のID情報、及び、第1の無線通信装置の有効通信エリアを道路上の道程距離で規定する有効通信距離データを含む通知データを、自身の通信エリアを通過する車両に送信する第2の無線通信装置と、第1の無線通信装置から配信情報を受信する第1の無線通信部と、第2の無線通信装置から通知データを受信する第2の無線通信部と、自身を搭載した車両の運転状況を検出する運転状況検出部と、第2の無線通信部が通知データを受信した地点から自車両が走行した道程を道程距離データとして算出する道程算出部と、道程算出部が算出した道程距離データを、通知データに含まれる有効通信距離データと比較して、第1の無線通信部が前記第1の無線通信装置から受信した配信情報が有効であるか否かを判定する有効通信判定部と、有効通信判定部が有効と判定した配信情報のうちから、ID情報が通知データに含まれるID情報と一致し、運転状況検出部で検出された運転状況に対応する配信情報を選択する情報選択部と、情報選択部で選択された配信情報を自車両の運転者に提示する提示処理部とを有する車載器とを備えるものである。
この発明によれば、車載器が、路側の第1の無線通信装置から配信された配信情報のうちから、自車両が通信エリアを通過した路側の第2の無線通信装置から受信した通知データ及び自車両の運転状況に応じて配信情報を選択して運転者に提示するので、車載器側で配信情報を選択することから、車両の状況に応じた情報を送信する無線通信装置を複数設ける必要がなく、システム規模を軽減できる。さらに、走行する道路や運転状況が異なる複数の車両に対して、各車両の車載器が自車両に適した配信情報を選択し、的確なタイミングで提示することができるという効果がある。
例えば、第1の無線通信装置から、その通信エリア内の道路上を走行中の車両の進行方向、その進行方向に対応する信号の状態、車速、ブレーキやウインカー操作状態、走行車線、交差点手前での接近状況、交差点に進入後、交差点を離脱後等に対応して予め用意した複数種類の配信情報(安全運転支援情報)が配信され、その配信情報の中から、それを受信した車載器が自車両の運行状況に最も適切に対応する配信情報を再生して運転者に提示する。これにより、交差点等の1つの通信エリアに複数台の異なる進行方向の車両がある場合であっても、異なる方向の各車両に対し適切で異なる内容の配信情報を確実に伝えることができる。
また、安全運転に関する配信情報の必要な道路が第1の無線通信装置の有効通信エリアに含まれるので、第1の無線通信装置を複数台設ける必要がなく、設置コストを低減することができ、この有効通信エリアで一斉同報配信される配信情報を車載器が受ければよいので、進行方向の異なる車両、右折、左折車両等への無線電波の飛び過ぎや反射による影響が低減され、大型車によるシャドーイングによる誤った情報伝達も軽減できる。
この発明の実施の形態1による安全運転支援システムの構成を示すブロック図である。 図1中の安全運転支援システムの設置例を示す図である。 実施の形態1による安全運転支援システムの車載器の動作を示すフローチャートである。 通知データのデータフォーマット例を示す図である。 配信情報のデータフォーマット例を示す図である。 付加情報に基づく配信情報の選別処理の一例を説明するための図である。 この発明の実施の形態2による配信情報のデータフォーマット例を示す図である。 実施の形態2における付加情報に基づく配信情報の選別処理の一例を説明するための図である。 この発明の実施の形態3による安全運転支援システムの設置例を示す図である。 実施の形態3による配信情報のデータフォーマット例を示す図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による安全運転支援システムの構成を示すブロック図である。また、図2は、図1中の安全運転支援システムの設置例を示す図であり、片側2車線の道路及びこの道路が交差する交差点に設置された場合を示している。図1に示すように、実施の形態1による安全運転支援システムは、路側あるいは路上の固定局側の構成として、路側光ビーコン装置100,110及び路側DSRC通信装置200を備え、車載の移動局側の構成として車載器300を備える。
路側光ビーコン装置(第2の無線通信装置)100は、片側2車線の道路に対応して、図2に示すように道路の各車線のほぼ真上に設置される、第1車線(左側車線)用光ビーコン通信装置101及び第2車線(右側車線)用光ビーコン通信装置102と、光ビーコン制御装置103を備える。
第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102は、光ビーコンヘッダ及びこれを用いた通信処理を実行する通信部から構成され、自身の光ビーコン通信エリア105を通過した車両に対して通知データを光通信で送信する。
光ビーコン制御装置103は、ネットワーク210に接続して、情報のやり取りを行う構成部であり、路側光ビーコン装置100が搭載する不図示の路側記憶部から、光ビーコン通信装置101,102のそれぞれに対応する通知データ(後述する通過ID情報を含む)を読み出して、光ビーコン通信装置101,102に与える。なお、光ビーコン制御装置103は、路上に設置された光ビーコン通信装置101,102に個別に内蔵して、それぞれネットワーク210に接続してもよい。
図2において、第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102は、交差点に進入する方向に車両が走行する道路の左側車線と右側車線とにそれぞれ対応して設置される。一方、交差点から離れていく(退出)方向に車両が走行する道路では、第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102に相当する光ビーコン通信装置に対して、交差点進入側の道路と交差点退出側の道路の違いを示す便宜上、符号107,106を各々に付している。
なお、光ビーコン通信装置101,102は、路上DSRC通信装置201のDSRC電波アンテナが設置された位置から所定の道程(道なりの距離)だけ離間した位置であって、DSRC電波アンテナに向かって走行する車両の進行方向手前の道路上に少なくとも設置される。
路側光ビーコン装置100は、既に実用化されて路上又は路側に設置されている光ビーコン装置と基本的に同様な構成及び機能を有するが、この路側光ビーコン装置101から送信されるデータは、既設の光ビーコン装置とは異なる。図4を用いて後述するように、光ビーコン通信装置101,102の光ビーコン通信エリア105を車両が通過したこと(光ビーコン通信装置101,102のそれぞれが設置された道路に付与されたID)を示す通過ID情報や、路側DSRC通信装置200の有効通信エリアに相当する有効通信距離データを含む通知データと、車両の車線位置を示す車線情報とが、通過車両に送信される。
路側光ビーコン装置110は、路側光ビーコン装置100と同様の機能及び構成を有する光ビーコン装置である。図2に示すように、1つの交差点に対して東西南北の4方向から道路が接続している場合、路側光ビーコン装置110は、これら複数の道路のうち、路側光ビーコン装置100が設置した道路と異なる道路に設置される。図2の例では、交差点に対して西側から接続する道路に路側光ビーコン装置100を設け、路側光ビーコン装置110は、交差点に東側から接続する道路に設けている。
第1車線(左側車線)用光ビーコン通信装置111及び第2車線(右側車線)用光ビーコン通信装置112は、第1車線用光ビーコン通信装置101及び第2車線用光ビーコン通信装置102と同様の機能及び構成を有し、光ビーコン制御装置113は、光ビーコン制御装置103と同様の機能及び構成を有する。なお、図2では記載を省略するが、上記と同様の路側光ビーコン装置が、交差点に接続する道路の数に応じて設置される。
路側DSRC通信装置(第1の無線通信装置)200は、路上DSRC通信装置201、DSRC通信制御装置202及び情報提供サーバ203を備える。ここで、情報提供サーバ203は、ネットワーク210を介してデータを配信する構成部であり、I/F部203a、制御部203b及び路側記憶部203cを備える。なお、情報提供サーバ203は、ネットワーク210を介して情報配信することから、路側DSRC通信装置200の外部に別個に設けた装置として構成してもよい。
I/F部203aは、制御部203bにより路側記憶部203cから読み出されたデータ(配信情報)を、ネットワーク210上に送出する機能を有する。路側記憶部203cは、路上DSRC通信装置201のDSRC電波アンテナに向かい道路上を走行する車両が取り得る、予め定めた複数種類の運転状況のそれぞれに対応した配信情報を格納する記憶部である。配信情報は、通過ID情報に対応付けて路側記憶部203cに格納される。制御部203bは、路側記憶部203cから読み出したデータ(配信情報)に対し、通過ID情報を付加情報として含めて、I/F部203aへ送出する。
DSRC通信制御装置202は、ネットワーク210に接続し、情報のやり取りを行うとともに、情報提供サーバ203から受信した配信情報(付加情報として通過ID情報を含む)を路上DSRC通信装置201に与える。路上DSRC通信装置201は、路上DSRC電波アンテナを介して、DSRC通信制御装置202から入力した配信情報を配信する装置である。通過ID情報を含む配信情報は、DSRC通信制御装置202及び路上DSRC通信装置201を経由して、路上DSRC電波アンテナから配信される。
ここで、路上DSRC通信装置201の路上DSRC電波アンテナは、図2に示すように、交差点のほぼ中央の路上数mのところに設置され、路面に向かって四方八方に電波が発射される。その通信エリアは、図2の例では円状の領域として表現されており、路上DSRC電波アンテナからの距離に応じて、遠距離DSRC電波通信エリア211、中距離DSRC電波通信エリア212及び近距離DSRC電波通信エリア213に区切られる。
車載器300は、実施の形態1の安全運転支援システムによる安全運転支援の情報提供サービスを受ける車載器であり、光送受信素子301、光通信部302、車載DSRCアンテナ303、DSRC通信部304、車輪回転パルス検出器305、運転状況検出部306、車載情報提供判断部307及び情報表示再生装置308を備える。なお、図1の例では、車載器300の各構成要素を一体化した構成を示したが、構成要素が別筐体に分離されていても構わない。
光通信部302は、光送受信素子301を介して、路上に設置された光ビーコン通信装置101,102と光波による無線通信を行う構成部である。光送受信素子301及び光通信部302によって、路側光ビーコン装置100,110から送信される情報を受信することにより、自身を搭載した車両が走行する車線位置を示す車線情報や通過ID情報を取得することができる。これら光送受信素子301及び光通信部302が、第2の無線通信部に相当する。
DSRC通信部304は、車載DSRCアンテナ303を介して、路上DSRC通信装置201と電波による無線通信を行う構成部である。車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304によって、路側DSRC通信装置200から配信される情報を受信することにより、インフラ側から提供される安全運転支援に関する情報を取得することができる。これら車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304が、第1の無線通信部に相当する。
車輪回転パルス検出器305は、車両の車輪の回転速度に比例した周波数のパルス(以下、車輪速パルスと呼ぶ)を検出する。この車輪回転パルス検出器305は、スピードメータ表示用に使用されている検出器と基本的に同じ構成であり、それを流用してもよい。なお、通常は、車輪1回転あたり4パルスである。このパルス数をカウントすることで、車両速度(車速)や車両の移動距離を算出することができる。
運転状況検出部306は、運転者による方向指示器(ターンシグナル)の操作や、ブレーキ・アクセルペダルの踏み込んだ際の操作信号を入力することにより、方向指示器の操作やブレーキ・アクセルペダルの踏み込みに応じてオン信号又はオフ信号を出力する構成部である。
車載情報提供判断部307は、光通信部302、DSRC通信部304、車輪回転パルス検出器305及び運転状況検出部306からの出力信号を入力して、これら入力情報に基づいて、路側DSRC通信装置200から受信した配信情報のうち、情報表示再生装置(提示処理部)308に表示して運転者に提供すべき情報を選別し、その提供タイミングを制御する構成部である。この車載情報提供判断部307が、道程算出部、有効通信判定部及び情報選択部に相当する。
また、車載情報提供判断部307は、CPU(中央演算処理装置)、記憶手段、時間計測手段、及びインタフェース手段を備えた情報処理装置(コンピュータ)において、この発明の趣旨に従う処理プログラムをCPUが実行することにより、この情報処理装置上でソフトウェアとハードウェアが協働した具体的な手段として実現することができる。
なお、この情報処理装置自体の構成及びその基本的な機能については、当業者が当該技術分野の技術常識に基づいて容易に認識できるものであり、この発明の本質に直接関わるものでないので詳細な記載を省略する。
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1による安全運転支援システムの車載器の動作を示すフローチャートである。この図3に沿って、図2に示す道路上に安全運転支援システムを展開した場合における車載器300の動作を詳細に説明する。なお、図2において、車載器300は、車両400に搭載されており、この車両400が、走行することにより、時間経過に伴って、車両位置401→車両位置402→車両位置403→車両位置404に移動する。
また、路側光ビーコン装置100の下、つまり第1車線用光ビーコン通信装置101の光ビーコン通信エリア105に車両400が差し掛かった位置が車両位置401である。以降では、この車両位置401を基点(X0)とし、ここからそれぞれ道程L1,L2,L3だけ車両400が走行した位置をそれぞれ車両位置402,403,404とする。
車両400が交差点に向かって第1車線(左側車線)を走行している間、車載器300の光通信部302は、光波による通知データの受信待ち状態にある。つまり、光波による通知データの受信有無によって路側光ビーコン装置100又は路側光ビーコン装置110の下を通過したか否かが判断される(ステップST1)。ここで、光波による通知データの受信がなければ、路側光ビーコン装置100,110の下を通過していないため(ステップST1;NO)、その間は、実施の形態1による安全運転支援システムの情報提供サービスを受けられない(ステップST9)。
車両400が車両位置401に達して、第1車線用光ビーコン通信装置101の光ビーコン通信エリア105に入ると(ステップST1;YES)、車載器300の光通信部302は、光波による無線通信によって、車線情報と同時に、通過ID情報及び有効通信距離データLavailを含む通知データを、第1車線用光ビーコン通信装置101から受信する(ステップST2)。ここで、車線情報とは、車両400が走行する車線位置、つまり車両400が第1車線を走行中であることを示す情報である。この発明の光ビーコン通信装置101,110においても同様に送信される。
車線情報と同時に車両側へ送信される通知データは、この発明に特有なデータである。通知データに含まれる通過ID情報は、路側光ビーコン装置100が設置された道路毎に付与された識別IDである。
有効通信距離データLavailは、路側DSRC通信装置200の有効通信エリアを走行する道路上の道程距離で規定する情報であり、有効通信開始距離データLavail−1及び有効通信終止距離データLavail−2から構成される。
有効通信開始距離データLavail−1は、基点X0を通過した車両400が道なりに走行し、路側DSRC通信装置200と有効な通信が開始されるまでの距離、すなわち基点X0から路側DSRC通信装置200の通信エリアまでの道程(道なりの距離)を示すデータである。
また、有効通信終止距離データLavail−2は、基点X0を通過した車両400が道なりに走行して、路側DSRC通信装置200と有効な通信が終止されるまでの距離、すなわち基点X0から路側DSRC通信装置200の通信エリア外になるまでの道程(道なりの距離)を示すデータである。
このように有効通信開始距離データLavail−1は、路側DSRC通信装置200と車載器300とが理論的には通信可能であるにも関わらず、路上DSRCアンテナから遠距離にあるために、実際の通信速度が、本来得られるはずの通信速度より低下する通信エリアを予め除外して、配信情報のリアルタイム性の確保が可能な通信エリアを決定しておく趣旨で設定される。
ここで、通知データのデータフォーマット例を図4に示す。図4において、通過ID情報511は、4bits長のデータで表される。図2に示す交差点は、東西南北の4つの方向から道路が接続しているので、これら接続道路を、さらに車両の進行方向及び交差点への入退出で8本の接続道路に分類し、車両が交差点に向かって東向きに走行する接続道路から始めて右回りに0番から1番、2番と大きくなる道路番号を付与する。
つまり、車両が交差点に向かって東向きに走行する接続道路(車両400が走行している道路)は0番、車両が交差点を抜けて北向きに走行する接続道路は1番、車両が交差点に向かって南向きに走行する接続道路は2番、車両が交差点を抜けて東向きに走行する接続道路は3番、車両が交差点に向かって西向きに走行する接続道路(車両410が走行している道路)は4番、車両が交差点を抜けて南向きに走行する接続道路(車両520が走行している道路)は5番、車両が交差点に向かって北向きに走行する接続道路(車両420が走行している道路)は6番、車両が交差点を抜けて西向きに走行する接続道路は7番となる。
図4に示す通過ID情報511は、図2に示した8本の接続道路を想定しており、その4bits長のビットデータのうち、3bits分のデータに接続道路の道路番号が2進数データで設定され、残りの1bit分のデータには、車両の進行方向が最も近い交差点へ入る(進入)方向であるか、出る(退出)方向であるかを示す“0”か“1”のビットデータが設定される。図2において、車両400は、交差点に向かう東向きの道路番号が0番の接続道路を走行中であるので、通過ID情報511は、図4中に太枠で示す「東向き・入」の“0000”の4bitsデータとなる。
なお、通過ID情報511の4bitsのデータ列において、前3bitsの全てが“1”のビットデータとなる“111*”が設定された場合は、接続道路ではないことを示す。
また、有効通信開始距離データ521及び有効通信終止距離データ522は、それぞれ8bits長のデータで表される。図4に示す例では、有効通信開始距離データ521がLavail−1=40mであり、Lavail−1の値(=40)が2進数で設定される。また、有効通信終止距離データ522は、Lavail−2=80mであり、Lavail−2の値(=80)が2進数で設定される。なお、距離分解能は1mとしている。データ521,522のビット長については、距離精度と最長距離とに応じて適切な長さにすればよい。
このような通知データは、車載器300で受信されると、車載情報提供判断部307の記憶部307aに保持される。なお、通知データに含まれる通過ID情報511は、別の道路上に設置された路側光ビーコン装置110,120においても同様に、その下を走行した車両の車載器300に対して、これら路側光ビーコン装置が設置された道路毎に異なる値が通知される。
車載器300の車載情報提供判断部307は、上述の通知データを取得すると同時に、車輪回転パルス検出器305の出力信号を受けて、道程距離データLの算出を開始する(ステップST3)。ここでは、L=0から、車輪回転パルス検出器305の出力信号に基づいて算出される走行距離を積算して、道程距離データLとする。図2において、この道程距離データLがL1になったときの車両400の走行位置が車両位置402となる。
車両位置402は、交差点のほぼ中央の路上に設置された路側DSRC通信装置200の路上DSRC電波アンテナから遠い位置であり、かなり電波強度が小さく通信が不安定な遠距離DSRC電波通信エリア211に車両400が入り始めた位置である。
このとき、車載器300の車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304は、路側DSRC通信装置200との間で不安定ではあるが、何らかの通信を行い、配信情報を受信し、車載情報提供判断部307に対して配信情報のデータを送出している。
車載情報提供判断部307は、路側光ビーコン装置100から取得した通知データ中の有効通信開始距離データLavail_1と、この通知データ取得後の走行で時々刻々とその時点で算出した道程距離データLとを比較し、路側DSRC通信装置200の路上DSRC電波アンテナによるDSRC通信エリア内に、自身を搭載する車両400が入ったか否かを判定する(ステップST4)。
ここで、車両400がDSRC通信エリア内に入っていない、すなわち道程距離データLが有効通信開始距離データLavail_1に満たないとき(L<Lavail_1)(ステップST4;NO)、車載情報提供判断部307は、路側DSRC通信装置200から配信される配信情報が無効であると判断し、車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304によって路側DSRC通信装置200から受信した配信情報を破棄する。この後、車両400の走行に伴い時々刻々と算出される道程距離データLを用いて、上述した比較処理を繰り返す。
一方、車両400がDSRC通信エリア内に入っている、すなわち道程距離データLが有効通信開始距離データLavail_1を超えたとき(L≧Lavail_1)(ステップST4;YES)、車載情報提供判断部307は、路側DSRC通信装置200から配信される配信情報が有効であると判断して、車載DSRCアンテナ303及びDSRC通信部304によって路側DSRC通信装置200から受信した配信情報を取り込み(ステップST5)、記憶部307aに一時的に格納する。
図2に示す車両位置403の場合は、L2≧Lavail_1であるので、車両400が、路側DSRC通信装置200の中距離DSRC電波通信エリア212に入ってきている。この領域では、車載情報提供判断部307が路側DSRC通信装置200からの配信情報を有効とみなし、車両400の運転者に提供すべき安全運転支援情報の候補とする。
次に、ステップST6において、車載情報提供判断部307は、車両位置403付近で受信され、記憶部307aに格納した複数種類の配信情報のうち、既取得の通知データの通過ID情報と同一の通過ID情報が付与された配信情報を、車両400の運転者に提供すべき情報として選択して抽出する。また、車載情報提供判断部307は、選択されなかったそれ以外の配信情報を記憶部307aから破棄する。
続いて、車載情報提供判断部307は、運転状況検出部306の出力検出信号に基づく車両400の運転状況から、記憶部307aに残された配信情報のうち、この運転状況に対応する配信情報を選択して読み出し、情報表示再生装置308に送出する。
情報表示再生装置308は、ステップST6で車載情報提供判断部307により選択・抽出された配信情報を再生/表示する(ステップST7)。これにより、車両400の現在位置及びその運転状況に応じた配信情報が運転者に提供される。
図2に示す車両位置403の場合、車載情報提供判断部307が、運転状況検出部306の出力検出信号から車両400の右方向のターンシグナルがオンになっている運転状況であると判断し、記憶部307aに残された配信情報のうち、右折に関する情報を運転者に提供すべき情報として選択する。
また、図2に示す車両位置404の場合は、車載情報提供判断部307が、道程距離データLから車両400が交差点の直前位置にあることを検出しており、このときの運転状況検出部306の出力信号に基づいて特定された運転状況(アクセル操作等)に応じて、記憶部307aに残された配信情報のうち、安全警報に関する情報も選択する。これにより、運転者に対して安全警報に関する情報が追加提供される。
提供情報の具体的な例としては、最も一般的なものとして、進行方向(信号機220)の信号灯火の状態がある。信号機220として、通常の進め(緑)、止まれ(赤)、注意(黄)に加えて右折矢印信号があれば、その灯火状態も信号情報として提供できる。
一旦停止標識や車線表示、速度規制標識など、動的には変化しない標識情報を含めてもよい。見落としやすいところや、見にくいところに設置せざるを得ない標識情報の提供には好適な例となる。
この他、「右方向は国道100号線に接続する」等の道路案内情報がある。これらは、一般道路の交差点付近のよく見られる路側のポール上に設置された静的な標識情報であるが、さらにここでは動的な情報も提供できる特徴がある。
例えば、「右折時対向車に注意」や、「横断歩道上の歩行者、自転車に注意」等の安全注意情報、一時的な道路通行規制や通行区分の変更情報等がある。これらの配信情報が、どのような形で、通過ID情報や運転状況、交差点までの接近状態(道程距離データLに応じた位置)に対応付けされて配信されるかについては後述する。
図5は、配信情報のデータフォーマット例を示す図である。また、図6は、付加情報に基づく配信情報の選別処理の一例を説明するための図であり、時点例1は、図2中の車両位置402において受信した配信情報の選別処理を示しており、時点例2は、図2中の車両位置403において受信した配信情報の選別処理を示している。先ず、図5に示す配信情報は、通過ID情報501及び対応車線情報502を付加情報として含んでおり、データ列505に配信情報のデータ内容が設定される。配信情報のデータ内容としては、安全警告のテキストデータなどが挙げられる。
通過ID情報501は、路側光ビーコン装置100,110,120で通知される、図4で示した通過ID情報511に対応するものであり、この通過ID情報511と同じデータフォーマットで配信されることが望ましい。
つまり、通過ID情報501も、4bits長のデータで表される。また、図2に示す交差点に接続する道路を、車両の進行方向及び交差点への入退出で8本の接続道路に分類して、車両が交差点に向かって東向きに走行する接続道路から始めて右回りに0番から1番、2番と大きくなる道路番号(道路の識別ID)が付与される。
また、通過ID情報501においても、図2に示した8本の接続道路を想定しており、その4bits長のビットデータのうち、3bits分のデータに接続道路の道路番号が2進数データで設定され、残りの1bit分のデータには、車両の進行方向が最も近い交差点へ入る(進入)方向であるか、出る(退出)方向であるかを示す“0”か“1”のビットデータが設定される。
なお、通過ID情報501の4bitsのデータ列が、前3bitsの全てが“1”のビットデータとなる“111*”である場合は、接続道路ではないことを示す。
また、図2に示した8本の接続道路を想定した場合を説明したが、他の方向から交差点に接続する道路があれば、これに道路番号を付して上述のように取り扱う。例えば、図2に示す交差点に北西方向から道路が接続している場合、この道路には、図5に示すように「北西向き・出」及び「南東向き・入」の道路番号が付与される。
対応車線情報502は、8種類の車線を想定した8bits分のフラグデータである。図5に示すように、第1車線(最左側)、第2車線、第3車線、第4車線、直進車線、左折車線、右折車線、路面電車車線の順番で各種車線をそれぞれ示すビットデータを、対応車線情報502の各ビットに割り当てている。
特定の1種類の車線にのみ配信する場合もあるが、複数車線、2種類(例えば、右折と直進の兼用車線等もある)の車線上を走行する車両への配信情報になることも考慮して、8bits分のフラグデータ列としてコード化している。
例えば、第1ビットと第6ビットが“1”にセットされていれば、第1車線で左折車線を走行中と想定される車両に対して提供すべき配信情報が、このデータフォーマット中のデータ列505の中に設定される。
図6に示す時点例1は、車両位置402で受信した配信情報を選別するための付加情報の例を示している。時点例1の(1)に示すデータは、車両位置401において、路側光ビーコン装置100から受信した通過ID情報の道路番号(0番)“0000”(車両400が交差点に向かって東向きに走行する道路)である。また、時点例1の(2)に示すデータは、車両位置401において、路側光ビーコン装置100から受信した有効通信開始距離データLavail_1(=40m)である。
この時点例1で、車載情報提供判断部307は、時点例1の(1)に示すデータと同じデータを付加情報(通過ID情報501)として有する配信情報を、運転者に提供すべき情報候補として選択する。同時に、車載情報提供判断部307では、この時点までに算出した道程距離データLと、時点例1の(2)に示す有効通信開始距離データLavail_1とを大小比較する。時点例1の(3)に示すように、車両位置402では、道程距離データL(=L1)が“00011110”(=30m)で、L<Lavail_1であるために、この時点での配信情報は無効とされる。従って、以降の処理(再生/表示)は実行されない。
この後、車両400が車両位置403まで走行して、右ターンシグナルのオン操作が行われたときの各データを時点例2に例示する。時点例2の(1)及び(2)に示すデータは、車両400がそのまま進行しただけであり、時点例1の(1)及び(2)に示すデータと同様である。
車載情報提供判断部307は、時点例2の(1)に示すデータと同じデータを付加情報(通過ID情報501)として有する配信情報を、運転者に提供すべき情報候補として選択する。同時に、車載情報提供判断部307では、この時点までに算出した道程距離データLと、時点例2の(2)に示す有効通信開始距離データLavail_1とを大小比較する。車両400が車両位置403まで進むと、時点例2の(3)に示すように道程距離データL(=L2)が“00101010”(=約42m)であり、L>Lavail_1(=40m)になる。これにより、車載情報提供判断部307は、車両位置403で受信された配信情報を有効とみなし、これら配信情報を運転者に提供すべき情報候補として選択し、記憶部307aに格納する。
次に、車載情報提供判断部307は、記憶部307aに記憶した情報候補のうちから、時点例2の(4)に示す対応車線情報が規定する種類の車線と一致するものを選別する。ここで、時点例2の(4)に示す対応車線情報は、車載情報提供判断部307によって以下のように処理されて出力される。
先ず、車両400が、第1車線用光ビーコン通信装置101の下(通信エリア)を通過したとき、第1車線を走行中という信号が路側光ビーコン装置100から送信され、車載器300内の光送受信素子301及び光通信部302を介して、その情報が車載情報提供判断部307の記憶部307aに記憶されている。
車両400が走行を続け、車両位置401から車両位置403に至る数秒前に右ターンシグナルのオン信号が、運転状況検出部306を介して車載情報提供判断部307に入力される。
これらの情報入力と並行して、車載情報提供判断部307には、常時、車輪回転パルス検出器305からの車輪速パルス信号が入力され、道程距離データLの演算、及び定期的(例えば、100ms毎)な各時点における車両400の速度が演算される。これら情報から対応車線情報として時点例2の(4)に示すデータが得られる。
対応車線情報の特定処理について説明すると、車両400が、車両位置401から第1車線上を走行し暫くしてから右ターンシグナルがオンの状態で車両位置403まで進行した場合を例に挙げる。この場合は、第2車線上か第1車線上のどちらかを車両400が走行中であり、右ターンシグナルがオンの状態(右折)が維持され、かつ、交差点の手前であることがわかっている。つまり、車両400が、車両位置403が位置する第2車線と右折車線とを走行しているといえるので、付加情報としての対応車線情報は、図5に示す第2車線及び右折車線に割り当てられた各ビットに“1”が設定された時点例2の(4)(“01000010”)に示すデータとして特定される。
この結果、時点例2の(1)に示す通過ID情報で選別された情報候補のうちから、さらに第2車線又は右折車線にある車両に対して提供すべき配信情報が選別される。このようにして選別された情報が、例えば、時点例2の(5)に示すテキストデータである。勿論、この発明は、このようなテキスト情報に限定されるものではない。
車載器300の情報表示再生装置308において、上述のようなテキストデータを音声に変換して再生する機能やナビゲーションシステムのディスプレイに画像(簡易図形/図柄、静止画など)表示の機能があれば、それに対応した配信情報にすることで、より適切な方法で情報提供ができる。例えば、各配信情報に対して予め決められた図柄情報等を個別のコードに紐付けして準備されていれば、それぞれのコードが配信情報として、図5に示すフォーマットのデータ列505に記載しておくことで実現できる。
時点例2の(5)に示すように、選ばれた配信情報は、(例a)と(例b)のように複数になることもしばしばある。この時点(車両位置403)では、これらのうちの1つに限定できる条件がそろわないため、これら2つの配信情報が、車載情報提供判断部307から情報表示再生装置308に送出され、運転者に伝達される。
車両400がさらに進んで車両位置404まで走行する期間においても右ターンシグナルがオンの状態であれば、運転状況が右折であると限定的に判断され、その時点からは、配信情報としては(例a)のみが選択され、運転者に情報提供されることになる。
図3の説明に戻ると、車載情報提供判断部307は、有効通信開始距離データLavail_1と道程距離データLとの比較で配信情報を有効とした後、路側光ビーコン装置101から取得した通知データ中の有効通信終止距離データLavail_2と、通知データ取得後に算出した道程距離データLとを比較して、路側DSRC通信装置200の路上DSRC電波アンテナによるDSRC通信エリア外に車両400が出たか否かを判定する(ステップST8)。
ここで、車両400がDSRC通信エリア外に出ていないとき(L≦Lavail_2)(ステップST8;NO)、車載情報提供判断部307は、ステップST5の処理に戻って、その時点での車両位置及び車両400の運転状況に応じた配信情報を取り込み、上述のようにしてステップST6からステップST8までの処理を繰り返す。
一方、車両400がDSRC通信エリア外に出たとき(L>Lavail_2)(ステップST8;YES)、車載情報提供判断部307は、配信情報の提供処理を終了して、その時点以降に受信された配信情報を全て無効として廃棄する。図2の例では、車両400が車両位置404を通過して右折を完了し車両位置520を通過した時点に該当する。
以上のように、この実施の形態1によれば、車載器300が、路側DSRC通信装置200から配信された配信情報のうち、自車両が光ビーコン通信エリアを通過した路側光ビーコン装置100から受信した通知データ及び自車両の運転状況に応じて配信情報を選択して運転者に提示するので、車載器300側で配信情報を選択することから、車両の状況に応じた情報を送信する無線通信装置を複数設ける必要がなく、システム規模を軽減できる。さらに、走行する道路や運転状況が異なる複数の車両に対して、各車両の車載器300が自車両に適した配信情報を選択し、的確なタイミングで提示することができる。
例えば、路側DSRC通信装置200の路上DSRC通信装置201を交差点のほぼ中央の路上に設置し、この交差点及びこれに接続する道路の交差点周辺を有効なDSRC通信エリアに含めることで、DSRC通信エリア内の車両に搭載された車載器300が、路側DSRC通信装置200から一斉同報で配信される配信情報を受信して、自車両の位置や運転状況に応じて適切な配信情報のみを選択して運転者に伝達することができる。
また、安全運転に関する配信情報の必要な道路が、路側DSRC通信装置200の有効なDSRC通信エリア内に含まれる。これにより、路側DSRC通信装置200を複数台設ける必要がなく、設置コストを低減することができる。さらに、車載器300は、DSRC通信エリアで一斉同報配信された配信情報を受信すればよいので、進行方向の異なる車両、右折、左折車両等への無線電波の飛び過ぎや反射、大型車によるシャドーイングによる誤った情報伝達を低減できる。
さらに、この実施の形態1によれば、路側DSRC通信装置200が、複数種類の車線を走行する車両が取り得る運転状況にそれぞれ対応した配信情報を配信し、車載情報提供判断部307が、配信情報のうちから、運転状況検出部306で検出された運転状況から特定した走行車線に対応する配信情報を選択するので、自車両が走行する車線の種類に応じた安全運転に関する配信情報を運転者に提示することができ、よりきめ細やかな情報の提供が可能である。
なお、上記実施の形態1では、DSRC電波通信エリア211,212,213を円状で区切った場合を示したが、実際の交差点では、使用する路上DSRC電波アンテナの指向性や送信強度に応じて、DSRC電波通信エリアの大きさや形状が、適宜決定される。大きな交差点では、複数台の大型車両等により電波のシャドーイングやマルチパスの発生が懸念されるので、この発明に用いる路側DSRC通信装置200は、その影響の小さい周波数を選択する。例えば、ITSでの利用が2011年以降認可予定されているUHF帯が、ETC等で利用されている5.8GHz帯より望ましい。また、マルチパスの影響が小さい通信方式が望ましい。例えば、無線LAN(Local Area Network)等で使われているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が挙げられる。
実施の形態2.
この実施の形態2は、上記実施の形態1とシステム構成及び動作の基本的な内容は同様であるが、上記実施の形態1と比較して、よりきめの細かい情報提供を可能にするものである。すなわち、安全運転支援システムの構成及び構成要素としての路側の機器、車載器の構成は、図1及び図2と同様であるが、交差点までどれくらい近づいているかに応じて異なる配信情報を提供する。
図2において、車載器300は、自身を搭載する車両400が第1車線(左側車線)を走行し、第1車線用光ビーコン通信装置101の光ビーコン通信エリア105に入ると、光波による通信により、車両400が第1車線を走行中であることを示す車線情報と同時に、路側光ビーコン装置100の下の道路を通過したことを示す通過ID情報と、配信情報の無効/有効性を決めるための有効通信距離データLavailとを受信し、車載情報提供判断部307の記憶部307aに記憶する。ここまでは、上記実施の形態1と同様である。
この実施の形態2では、これらに加え、中距離エリアデータ値Lmid、近距離エリアデータ値Lclose、交差点領域内開始距離データ値Lin−cros及び交差点領域外距離データ値Lout−crosを、通知データとして車載器300に通知する。車載器300の車載情報提供判断部307は、この通知データを記憶部307aに保持する。
中距離エリアデータ値Lmid及び近距離エリアデータ値Lcloseは、上記実施の形態1で説明した中距離DSRC電波通信エリア212及び近距離DSRC電波通信エリア213に類似するものとして図2中に図示できる。しかしながら、実施の形態2では、路上DSRC電波アンテナからの通信距離という考え方ではなく、車両が、進入していく交差点へどれぐらい近づいているかという視点で、道路上の道程距離で走行領域(距離区分情報)を分けている。
中距離エリアデータ値Lmid、近距離エリアデータ値Lclose、交差点領域内開始距離データ値Lin−cros及び交差点領域外距離データ値Lout−crosを、付加情報として配信情報に含めることにより、それぞれの走行領域に応じて安全運転支援に寄与する情報を提供することができる。
図7は、この発明の実施の形態2による配信情報のデータフォーマット例を示す図である。また、図8は、実施の形態2による付加情報に基づく配信情報の選別処理の一例を説明するための図であり、時点例3は、図2中の車両位置401において受信した配信情報の選択処理を示しており、時点例4は、図2中の車両位置404において受信した配信情報の選択処理を示している。図7に示すように、実施の形態2による配信情報のデータ列には、その上位ビットから4bits分のビットデータである通過ID情報501、及び8bits分のコードデータである対応車線情報502がある。これら情報は、上記実施の形態1と同様である。
実施の形態2で新たに追加された付加情報が、対応道程距離エリア503である。図7に示す例では、この対応道程距離エリア503に4種類のエリアが定義され、遠距離エリア、中距離エリア、交差点領域内、交差点領域外の順でコード化されたデータが設定される。最後に、配信情報(提供する情報コンテンツ)として、上記実施の形態1と同様にデータ列505がある。また、対応道程距離エリア503は、交差点までの距離に応じて異なる内容の配信情報が配信されている場合に、遠距離エリア、中距離エリア、近距離エリア、交差点領域内の4つの区間に分けて適切な配信情報を選択し、この選択が車載器300側で、すばやくできるように付加された情報である。
図8に示す時点例3の(2)〜(6)のデータ値により、遠距離エリアは、第1車線用光ビーコン通信装置101下の車両位置401から積算した道程距離データLが、Lavail_1(=40m)<L<Lmid(=50m)である。また、中距離エリアでは、Lmid(=50m)<L<Lclose(=60m)であり、近距離エリアは、Lclose(=60m)<L<Lin−cros(=65m)である。
これらを交差点の手前で車載器300へ通知するとともに、具体的な距離エリアに対応して提供すべき配信情報がデータ列505に設定され、路上DSRC電波アンテナを介して路側DSRC通信装置200から送信される。
図7の例では、遠距離エリアへの配信情報であれば、対応道程距離エリア503には、“1000”が設定され、中距離エリアへの配信情報ならば、対応道程距離エリア503に“0100”が設定され、交差点領域内(近距離エリア)への配信情報であるならば、対応道程距離エリア503に“0000”が設定され、交差点領域外への配信情報では、対応道程距離エリア503に“0010”が設定される。
図8において、時点例3の(3)に示す中距離エリアデータLmidでは、Lmid=50mが通知されている。つまり、車両位置401(基点X0)から、有効通信開始距離データLavail_1(=40m)の位置を過ぎて、Lmid(=50m)までの10mの距離区間を中距離エリアと定義している。
また、時点例3の(4)に示す近距離エリアデータLcloseでは、Lclose=60mが通知されている。つまり、車両位置401(基点X0)から、Lmid(=50m)の位置を過ぎてLclose(=60m)までの距離区間を、近距離エリアと定義している。
図2において車両位置401から交差点領域内に至るまでの道程距離データLの値が、時点例3の(5)に示す交差点領域内開始距離データ値Lin−crosである。
また、車両位置401から交差点領域外(車両が交差点を離脱する)に至るまでの道程距離データLの値が、時点例3の(6)に示す交差点領域外距離データ値Lout−crosである。
なお、図2では、交差点に接続する道路が直線道路であるため、幾何学的な距離と道程距離は、ほとんど同じであるが、道路が曲線状であれば、上述のデータ値は、全て道なりの距離(道程)になる。
次に動作について説明する。
以降では、上記実施の形態1と重複する内容は説明を省略し、この実施の形態2で新たに追加された内容を主に説明する。
先ず、図2に示す車両位置404において、車載情報提供判断部307が、対応道程距離エリア503として、時点例4の(9)に示す値を出力する。
時点例4では、車両400が車両位置403の手前で右折ターンシグナルをオンとし、この車両位置403を経て右折ターンシグナルがオン状態のまま、交差点領域に入る直前位置である車両位置404まで進行している。この交差点領域直前の近距離エリアであることは、時点例4の(7)に示す道程距離データLから判断できる。
このとき、車載情報提供判断部307は、時点例4の(9)に示す対応道程距離エリアのコードが“0000”となっているデータ列505の配信情報を、運転者へ提供すべき情報候補として選択する。さらに、車載情報提供判断部307は、これら情報候補のうちから、右折という運転状況に対応する情報を選択する。この選択結果として、時点例4の(10)に示す(例a)、(例b)、(例c)がある。
これらの例は、交差点の道路構造や設置されている信号機の機能が異なる場合であっても、各交差点に適した配信情報を提供できることを意味する。
(例c)は、図2に示す交差点のほぼ中心で右折するために停止中の大型トラックの陰に隠れて、車両400の運転者から見えにくい対向直進車両410の接近を検出した場合における交差点での配信情報である。なお、対向直進車両410は、図2において不図示の路上の画像監視カメラ等によって検出する。
時点例4は近距離エリアでの配信情報であるが、この時点で、例えば、図示していない別の車両(車載器300を搭載した車両)が、車両400と同様の経路を通過して、車両位置402と車両位置403との中間ぐらいの位置にいるとすれば、この車両は、遠距離エリアに位置している。このため、この車両に搭載された車載器300の車載情報提供判断部307は、データ列505の対応道程距離エリア503に“1000”が設定された配信情報を選択する。
このとき選択される配信情報は(例a)のようなものである。これは、上記車両の位置では、交差点から十分離れていることから、対応道程距離エリア503に“1000”が設定された配信情報には、交差点内の安全警報を示す(例b)や(例c)が除外される。
以上のように、この実施の形態2によれば、路側DSRC通信装置200が、道路上の道程距離で規定される距離区分(遠距離エリア、中距離エリア、交差点領域内、交差点領域外)毎の車両の運転状況にそれぞれ対応する配信情報を一斉同報で配信し、路側光ビーコン装置100が、距離区分を規定する距離区分情報(Lmid、Lclose、Lin−cros、Lout−cros)を通知データに含めて送信し、車載情報提供判断部307が、配信情報のうちから、通知データに含まれる距離区分情報で特定した距離区分に対応する配信情報を選択する。このように構成することにより、これら配信情報を受信した各車両の車載器300が、自車両の位置及び運転状況に応じて適切な配信情報をほぼリアルタイムに選別し、これを運転者に提供することができる。
なお、上記実施の形態1では、交差点に進入してくる複数の車両についての区別は車線位置だけであるが、この実施の形態2では、これに加えて交差点までの接近具合に応じて区別して異なる配信情報を提供できる。
また、車両400は、交差点での右折を経て交差点領域外に出ていった後も、しばらくは路側DSRC通信装置200と通信できる領域を走行するので、車載器300が、一斉同報された配信情報を受けとることになる。この場合においても、車載情報提供判断部307が算出した道程距離データLは、交差点領域外距離データ値Lout−crosより大きいことから、対応道程距離エリア503のコード“0001”が付加された配信情報(遠距離エリア)のみが選択される。このようにして、交差点離脱後であっても、必要な配信情報のみが運転者に伝達される。
このときの配信情報としては、例えば、通常は交差点の手前でしか伝達されない道路案内情報(右に行けば国道100号線に至るというような道先案内)に対して、交差点通過後にも意味のある道路案内情報(交差点通過後の道路案内)やその方向での渋滞情報等がある。
なお、上記実施の形態1,2では四輪車両を例に説明したが、車載器300を構成する全ての構成要素が2輪車両でも搭載可能であるので、説明は省略する。
実施の形態3.
この実施の形態3は、上記実施の形態1,2とシステム構成及び動作の基本的な内容は同様であるが、路上DSRC電波アンテナの設置位置が、交差点の中心付近ではない点で異なる。図9は、この発明の実施の形態3による安全運転支援システムの設置例を示す図であり、交差点に接続する3本の道路のうち、西側から接続する道路の交差点手前に路側DSRC通信装置200の路上DSRC電波アンテナを設置した場合を示している。
実際の道路構造では危険箇所が近接して存在する場合があり、図2で示したような大規模な交差点よりは、むしろ交差点に進入する道路上で見通し距離が小さく、前方での交通状況が直前までわからないことによって事故が発生することが多い。例えば、図9に示す西側から交差点に接続する道路は、車両がカーブを曲がると直ぐに交差点に突き当たり、交差点の見通しが悪い。
このような場合であっても、この発明では、1台のアンテナを、交差点中心から見通しの悪い道路上にずらして設置することで対応できる。すなわち、見通しが悪い方の道路上を走行する車両に対し、危険箇所(衝突可能性の高い場所)との離間距離に応じて、よりきめの細かい情報提供が可能である。
図9の例では、片側1車線であるため、路側光ビーコン装置140は、第1車線用光ビーコン通信装置を備え、第1車線用光ビーコン通信装置は、西側から交差点に接続する道路の対向車線にそれぞれ設置される。この第1車線用光ビーコン通信装置は、光ビーコンヘッダ及びこれを用いた通信処理を実行する通信部から構成され、交差点に進入する方向の道路上に設置されたものでは光ビーコン通信エリア141を通過した車両に通知データを送信し、交差点から離れていく(退出)方向の道路上に設置されたものでは光ビーコン通信エリア142を通過した車両に通知データを送信する。
また、路側光ビーコン装置150,160は、路側光ビーコン装置140と同様の構成及び機能を有する。路側光ビーコン装置150(路側光ビーコン装置160)の第1車線用光ビーコン通信装置は、北側(東側)から交差点に接続する道路の対向車線にそれぞれ設置され、交差点に進入する方向の道路上に設置されたものでは光ビーコン通信エリア151(161)を通過した車両に通知データを送信し、交差点から離れていく(退出)方向の道路上に設置されたものでは光ビーコン通信エリア152(162)を通過した車両に通知データを送信する。なお、路側光ビーコン装置140,150,160は、上記実施の形態1,2で示した路側光ビーコン装置100,110,120と同様の構成を有し、後述する機能を有する。
次に動作について説明する。
実施の形態3による安全運転支援システムを構成する路側の機器及び車載器の構成は、図1及び図2と同様である。図9において、車両450に車載器300が搭載されているものとして動作を説明する。なお、上記実施の形態1及び上記実施の形態2と重複する内容は適宜省略する。
図9では、車載器300を搭載した車両450が、走行することによって、時間経過に伴い、車両位置451→車両位置452→車両位置453→車両位置454→車両位置455と移動する。また、路側光ビーコン装置140(図2の路側光ビーコン装置100に相当する)の下、つまり、第1車線の光ビーコン通信エリア141に車両450が差し掛かった位置が車両位置451である。以降では、車両位置451を基点(X0)として、ここからそれぞれ道程L1,L2,L3,L4だけ車両450が走行した位置をそれぞれ車両位置452,453,454,455とする。
車両450が光ビーコン通信エリア141に入ると、路側光ビーコン装置140は、光波による通信により、第1車線を走行中であることを示す車線情報と同時に、路側光ビーコン装置140の下の道路を通過したことを示す識別IDである通過ID情報と、有効通信距離データLavailと、上記実施の形態2で説明した遠距離エリア、中距離エリア、近距離エリア、交差点領域内及び交差点領域外に関する配信情報を区別するためのデータ(Lmid、Lclose、Lin−cros、Lout−cros)とを、通知データとして車載器300に通知する。車載器300の車載情報提供判断部307は、記憶部307aに上記通知データを保持する。
車両位置451から車両位置452手前に至るまでは、路上DSRC電波アンテナからの通信距離が長く、道路が曲がっている。このため、路側DSRC通信装置200との通信が不安定になることが予想される。この時点で、L<Lavail1_1の条件が成立するので、車載情報提供判断部307は、車両位置451から車両位置452手前に至るまでに路側DSRC通信装置200から受信した配信情報を廃棄する。この時点での有効通信距離データLavailは、実際の道路上における電波実験等により、予め測定して決定しておくことが望ましい。
車両位置452ではL1>Lavail_1となり、図9では、車両450が、中距離DSRC電波通信エリア212の円状領域に入ってきている。この領域では、車載情報提供判断部307が、路側DSRC通信装置200からの配信情報を有効なものとみなし、車両450の運転者に提供すべき情報候補として記憶部307aに一時的に確保する。
次に、車載情報提供判断部307は、車両位置452付近で受信された複数種類の配信情報のうち、車両450が路側光ビーコン装置140下を走行した際に取得した通過ID情報と同じ通過ID情報が付与された配信情報を、車両450の運転者に提供すべき情報として選択して記憶部307aに記憶し、それ以外は破棄する。
この後、車載情報提供判断部307が、上記実施の形態2と同様に、車両位置452から車両位置453までの区間では中距離エリアに対応する配信情報を選択し、車両位置453から車両位置455までの区間では近距離エリアに対応する配信情報を選択し、車両位置455以降については交差点領域内に対応する配信情報を選択する。
実施の形態3で上記実施の形態2と異なる内容は、上述のように区別された場所で配信情報を受けることに加え、車両450の速度に応じても区別できる配信情報を路側DSRC通信装置200が配信することにある。すなわち、車両450のように、交差点までの見通しが効かない道路上を走行してくる車両に対しては、上記実施の形態2と同様に交差点までの接近具合に応じて区別される配信情報を配信すると同時に、車両速度に応じても配信情報を区別できる付加情報を追加する。
例えば、図10に示すように対応車速範囲504を付加情報としたデータフォーマットで配信情報を構成すればよい。具体的には、速度20km/h以下(低速域)、20km/h〜40km/h(中速域)、40km/h〜60km/h(高速域)、60km/h以上(危険速度域)の4つの速度範囲に応じた内容の配信情報となる。
車両位置452から車両位置453までの区間(中距離エリア)で、かつ速度が中速域であれば、注意喚起のレベルの配信情報として、例えば「前方に交差点があります注意してください。」等のテキストデータをデータ列505に設定する。また、高速域であれば、制動操作を促す動作喚起レベルの配信情報として、「速度を下げてください。」等のテキストデータをデータ列505に設定する。さらに、危険速度域であれば、ブレーキ操作を促すような動作警告的な内容の配信情報として、例えば「危険です。直ちにブレーキをかけてください。」等のテキストデータをデータ列505に設定する。
これらの配信情報を受けて、車載器300では、上記実施の形態2と同様にして、そのときの車両速度に従ってさらに配信情報を選別して再生を行う。車両の速度は、車載情報提供判断部307が、車輪回転パルス検出器305から取得したパルスの周期を計測して求める。
また、図9において、車両460が、路側光ビーコン装置160の光ビーコン通信エリア161に差し掛かった位置が車両位置461である。以降では、車両位置461を基点(X0)とし、この後、車両460が走行した位置を車両位置462とする。車両460に車載器300が搭載されていれば、上述と同様の安全運転支援サービスを受けることができる。
なお、情報表示再生装置308で再生される内容(文言や絵柄)は、誤解を招いたり、認識に時間を要することがないように予め関係機関(警察関係者、道路管理者、有識者、教育関係者等)の合意を得て、一般の人に受け入れやすい内容にするとともに交通ルールとして教育されることが肝要である。上記観点からも、この実施の形態3による安全運転支援システムにおける配信情報は、その情報を受けるべき複数の車両の各々の位置(危険箇所からの縦方向の距離と横方向に相当する走行車線による区別)と、そのときの速度に対応したものにする必要がある。
以上のように、この実施の形態3によれば、路側DSRC通信装置200が、車両が取り得る車速にそれぞれ対応した配信情報を配信し、車載情報提供判断部307が、配信情報のうちから、自車両450の車速に対応する配信情報を選択する。このように構成することにより、車両450の速度に応じても区別できる配信情報を路側DSRC通信装置200が配信することから、例えば、交差点までの見通しが効かない道路上を走行してくる車両に対しては、上記実施の形態2と同様に交差点までの接近具合に応じて区別される配信情報を配信すると同時に、車両速度に応じても配信情報を区別できる。
また、安全運転に関する配信情報の必要な道路が、路側DSRC通信装置200の有効なDSRC通信エリア内に含まれるように、路上DSRC電波アンテナを交差点中心から見通しの悪い道路上に少しずらして設置することにより、見通しが悪い方の道路上を走行する車両に対して、危険箇所(衝突可能性の高い場所)との離間距離に応じて、よりきめの細かい情報提供が可能である。
100,110,120,140,150,160 路側光ビーコン装置(第2の無線通信装置)、101,107,111 第1車線用光ビーコン通信装置、102,106,112 第2車線用光ビーコン通信装置、103,113 光ビーコン制御装置、105,141,142,151,152,161,162 光ビーコン通信エリア、200 路側DSRC通信装置(第1の無線通信装置)、201 路上DSRC通信装置、202 DSRC通信制御装置、203 情報提供サーバ、203a I/F部、203b 制御部、203c 路側記憶部、210 ネットワーク、220 信号機、300 車載器、301 光送受信素子(第2の無線通信部)、302 光通信部(第2の無線通信部)、303 車載DSRCアンテナ(第1の無線通信部)、304 DSRC通信部(第1の無線通信部)、305 車輪回転パルス検出器、306 運転状況検出部、307 車載情報提供判断部(道程算出部、有効通信判定部、情報選択部)、307a 記憶部、308 情報表示再生装置(提示処理部)、400,410,420,450,460,520 車両、401〜404,451〜455,461,462 車両位置、501,511 通過ID情報、502 対応車線情報、503 対応道程距離エリア、504 対応車速範囲、505 データ列、521 有効通信開始距離データ、522 有効通信終止距離データ。

Claims (6)

  1. 道路に設置され、道路を走行する車両が取り得る運転状況にそれぞれ対応した安全運転に関する配信情報を有し、車両が走行する道路毎のID情報を付与した前記配信情報を、自身の通信エリア内の車両に配信する第1の無線通信装置と、
    前記第1の無線通信装置の設置位置から車両進行方向手前に所定の道程で離間した道路上に設置され、自身が設置された道路の前記ID情報、及び、前記第1の無線通信装置の有効通信エリアを道路上の道程距離で規定する有効通信距離データを含む通知データを、自身の通信エリアを通過する車両に送信する第2の無線通信装置と、
    前記第1の無線通信装置から前記配信情報を受信する第1の無線通信部と、前記第2の無線通信装置から前記通知データを受信する第2の無線通信部と、自身を搭載した車両の運転状況を検出する運転状況検出部と、前記第2の無線通信部が通知データを受信した地点から自車両が走行した道程を道程距離データとして算出する道程算出部と、前記道程算出部が算出した道程距離データを、前記通知データに含まれる有効通信距離データと比較して、前記第1の無線通信部が前記第1の無線通信装置から受信した配信情報が有効であるか否かを判定する有効通信判定部と、前記有効通信判定部が有効と判定した配信情報のうちから、前記ID情報が前記通知データに含まれるID情報と一致し、前記運転状況検出部で検出された運転状況に対応する配信情報を選択する情報選択部と、前記情報選択部で選択された配信情報を前記自車両の運転者に提示する提示処理部とを有する車載器とを備えた安全運転支援システム。
  2. 第1の無線通信装置は、複数種類の車線を走行する車両が取り得る運転状況にそれぞれ対応した配信情報を配信し、
    情報選択部は、有効通信判定部が有効と判定した配信情報のうちから、運転状況検出部で検出された運転状況から特定した走行車線に対応する配信情報を選択することを特徴とする請求項1記載の安全運転支援システム。
  3. 第1の無線通信装置は、道路上の道程距離で規定される距離区分毎の車両の運転状況にそれぞれ対応する配信情報を配信し、
    第2の無線通信装置は、前記距離区分を規定する距離区分情報を通知データに含めて送信し、
    情報選択部は、有効通信判定部が有効と判定した配信情報のうちから、前記通知データに含まれる距離区分情報で特定した距離区分に対応する配信情報を選択することを特徴とする請求項1または請求項2記載の安全運転支援システム。
  4. 第1の無線通信装置は、車両が取り得る車速にそれぞれ対応した配信情報を配信し、
    情報選択部は、有効通信判定部が有効と判定した配信情報のうちから、自車両の車速に対応する配信情報を選択することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の安全運転支援システム。
  5. 第1の無線通信装置は、交差点あるいは、交差点に近い道路上に設置され、当該交差点及びこれに接続する道路の前記交差点周辺を有効通信エリアに含むことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の安全運転支援システム。
  6. 道路を走行する車両が取り得る運転状況にそれぞれ対応した安全運転に関する配信情報を有する、道路に設置された第1の無線通信装置から、車両が走行する道路毎のID情報が付与された前記配信情報を受信する第1の無線通信部と、
    前記第1の無線通信装置の設置位置から車両進行方向手前に所定の道程で離間した道路上に設置された第2の無線通信装置から、当該第2の無線通信装置が設置された道路の前記ID情報、及び、前記第1の無線通信装置の有効通信エリアを道路上の道程距離で規定する有効通信距離データを含む通知データを受信する第2の無線通信部と、
    自身を搭載した車両の運転状況を検出する運転状況検出部と、
    前記第2の無線通信部が通知データを受信した地点から自車両が走行した道程を、道程距離データとして算出する道程算出部と、
    前記道程算出部が算出した道程距離データを、前記通知データに含まれる有効通信距離データと比較して、前記第1の無線通信部が前記第1の無線通信装置から受信した配信情報が有効であるか否かを判定する有効通信判定部と、
    前記有効通信判定部が有効と判定した配信情報のうちから、前記ID情報が前記通知データに含まれるID情報と一致し、前記運転状況検出部で検出された運転状況に対応する配信情報を選択する情報選択部と、
    前記情報選択部で選択された配信情報を前記自車両の運転者に提示する提示処理部とを備えた車載器。
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