JP2010276519A - 荷電粒子測定装置およびその測定方法 - Google Patents

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Hiroshi Kitaguchi
博司 北口
Takahiro Tadokoro
孝広 田所
Katsunobu Ueno
克宜 上野
Akihisa Kaihara
明久 海原
Yoshinobu Sakakibara
吉伸 榊原
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Abstract

【課題】測定時間が短く、且つ、バックグラウンドの変動に起因した誤差が生じないα線の測定が可能な荷電粒子測定装置を提供する。
【解決手段】荷電粒子測定装置は、試料から放出されるα線とバックグラウンドの双方を測定するための試料測定用α線検出器と、バックグラウンドを測定するためのバックグラウンド測定用α線検出器と、試料から放出されるα線がバックグラウンド測定用α線検出器に入射されることを阻止するように構成されたα線遮蔽板と、前記試料測定用α線検出器と前記バックグラウンド測定用α線検出器から同時刻にて測定した測定値を入力してα線の正味測定値を演算するα線測定装置と、を有する。
【選択図】図1A

Description

本発明はα線等の荷電粒子を測定する装置及び方法に関し、特に、測定放射能の正味測定値を求めるための荷電粒子測定装置及び方法に関する。
荷電粒子の一つであるα線の測定方法として従来、種々の方法が知られている。例えば、非特許文献1にその1例が詳述されている。特許文献1には、本発明者らが発明した荷電粒子測定装置が開示されている。α線を測定する検出器にはZnS(Ag)シンチレーション検出器、2πガスフォロー計数装置、半導体検出器等がある。いずれの検出器を用いたα線の測定においても、試料の測定値にバックグラウンドが不可避的に含まれる。そこで、試料の測定値からバックグラウンドを差し引いて、試料の正味測定値を求めるのが、正規の分析手順である。
文科省、放射能測定シリーズ31:環境試料中全アルファ放射能迅速分析法(平成16年)
特開2003−050279号公報
α線の測定では、試料の測定とバックグラウンドの測定の両者が必須となる。通常、試料とバックグラウンドの測定時間は同程度に設定する。つまり、正味の測定値を得るまでには、試料の測定時間の約2倍の時間が必要となる。試料の放射能強度が強く、測定時間が1時間程度であれば、それほど問題にはならない。しかし、一般の環境試料放射能はバックグラウンドと同等か、あるいはそれ以下の放射能強度のものが多い。この条件下では測定時間が2週間から1ヶ月以上となることが多い。例えば、試料の測定時間が2週間の場合は、分析結果を得るまでに要する総時間が4週間(約1ヵ月間)、試料の測定時間が1ヶ月の場合は2ヶ月の長時間を要する。これでは結果を得るまでのターンアラウンドが悪く、分析作業時間に係わる作業コストが大きくなる。
バックグラウンド放射線の主要因は宇宙線である。宇宙線は日、月、季節により、一定の周期で変動する。このため、試料の測定とバックグラウンドの測定を異なる時間に実行すると、バックグラウンドの変動に起因した誤差が生じる。
本発明の目的は、測定時間が短く、且つ、バックグラウンドの変動に起因した誤差が生じないα線の測定が可能な荷電粒子測定装置を提供することにある。
本発明の荷電粒子測定装置は、真空排気されることができる測定容器と、前記試料から放出されるα線とバックグラウンドの双方を測定するための試料測定用α線検出器と、バックグラウンドを測定するためのバックグラウンド測定用α線検出器と、前記試料から放出されるα線が前記バックグラウンド測定用α線検出器に入射されることを阻止するように構成されたα線遮蔽板と、前記試料測定用α線検出器と前記バックグラウンド測定用α線検出器から同時刻にて測定した測定値を入力してα線の正味測定値を演算するα線測定装置と、を有する。
本発明によると、測定時間が短く、且つ、バックグラウンドの変動に起因した誤差が生じないα線の測定が可能な荷電粒子測定装置を提供することができる。
本発明の荷電粒子測定装置の第1の例の断面構成を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第1の例のα線検出器の構成を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第1の例のα線測定装置の構成を示す図である。 測定容器に降り注ぐ宇宙線の概念を示す図である。 宇宙線量の日変動の一例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例の断面構成を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線検出器の構成の例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線検出器の構成の他の例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線遮蔽板の構成の例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線遮蔽板の構成の他の例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線遮蔽板の構成の更に他の例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線遮蔽板の構成の更に他の例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線測定装置の構成を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第3の例のα線検出器の構成の例を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第3の例のα線測定装置の構成を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第4の例の断面構成を示す図である。 本発明の荷電粒子測定装置の第4の例のα線検出器の構成を示す図である。
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
図1Aは、本発明の荷電粒子測定装置の第1の例の垂直断面構成を示す図である。図1Bは図1Aの線A−Aに沿って切断した本発明の荷電粒子測定装置の平面構成を示す図である。本例の荷電粒子測定装置は、測定容器1、測定容器1内に支持された試料2の上側に配置された2つのα線検出器3A、3B、試料2とα線検出器3A、3Bの間に配置されたカバー状のα線遮蔽板4、及び、2つのα線検出器3A、3Bの間に直立するように配置された衝立状のα線遮蔽板5を、有する。本例の荷電粒子測定装置は、更に、測定容器1内を真空排気する真空ポンプ8と、α線検出器3A、3Bに接続されたα線測定装置9を有する。α線測定装置9は、測定回路、演算表示装置等を有し、詳細は図2を参照して説明する。
本例のα線検出器3A、3Bは、2つの検出器からなる分割型である。第1のα線検出器3Aは試料測定用のα線検出器、第2のα線検出器3Bはバックグラウンド測定用のα線検出器である。バックグラウンドは宇宙線である。2つのα線検出器3A、3Bは、α線を、独立的に測定する。本例のα線測定装置は、半導体検出器であってよい。α線検出器3A、3Bの各々の測定面積は、1辺が1-2cmの正方形から1辺が5-6cmの正方形を想定しているが、本発明はこの寸法を限定するものではない。
カバー状のα線遮蔽板4は、2つのα線検出器3A、3Bのうち、バックグラウンド測定用のα線検出器3Bを覆うように、配置されている。即ち、α線遮蔽板4は、第2のα線検出器3Bと試料2の間に配置されている。一方、衝立状のα線遮蔽板5は、2つのα線検出器3A、3Bの間に、直立するように配置されている。バックグラウンド測定用のα線検出器3Bは、2つのα線遮蔽板4、5によって覆われている。試料2からのα線がバックグラウンド測定用のα線検出器3Bに入射されることはない。
試料2は、2つのα線検出器3A、3Bの下方に配置されてよいが、試料測定用のα線検出器3Aの下方のみに配置してもよい。即ち、バックグラウンド測定用のα線検出器3Bの下方の試料2を除去してもよい。
α線遮蔽板4、5はα線を遮蔽する金属板によって形成される。例えば、アルミニウム板の場合、0.1mm程度の厚さでα線を遮蔽できる。従って、α線遮蔽板4、5を厚さが少なくとも0.1mmのアルミ板によって形成してよい。
測定容器1の前面は、開閉可能なドア(図示なし)が設けられている。このドアを経由して、測定容器1内へ試料2を配置し、また、測定容器1より試料2を取り出すことができる。ドアを閉じると、測定容器1内は、密閉される。測定容器1内は真空ポンプ8によって真空排気される。2つのα線検出器3A、3Bの各々からの検出信号はα線測定装置9に送られる。
試料測定用のα線検出器3Aは、その下方に配置された試料2から放出されるα線とバックグラウンドの合計の線量を検出する。上述のように、試料2から放出されるα線は、バックグラウンド測定用のα線検出器3Bに入射されることはない。従って、バックグラウンド測定用のα線検出器3Bは、バックグラウンドのみを検出する。
α線測定装置9によって、α線の正味測定値を所定の手順で求める。2つのα線検出器3A、3Bの測定値をそれぞれS、SBとする。Sは、試料2から放出されるα線とバックグラウンドの合計の検出量である。SBは、バックグラウンドの検出量である。従って、1個のα線検出器によって検出されるα線の正味測定値はA=S-SBとして求めることができる。
従来の測定方法では、バックグラウンド測定と試料測定を順に実行するため、2倍の測定時間が必要となる問題があった。また、試料とバックグラウンドの測定時刻が異なるため、試料の測定値に、バックグラウンドの変動に起因した誤差が直接含まれる問題があった。
しかしながら、本発明の荷電粒子測定装置によると、バックグラウンド測定と試料測定を同時に行うため、従来装置の測定時間に比べ、約1/2の測定時間で試料の正味測定値を求めることができる。更に、本例では、試料測定と同一条件でバックグラウンド測定を行うことが可能である。従って、バックグラウンドの変動に起因した誤差を排除することができる。
図2を参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第1の例のα線測定装置9を説明する。本例のα線測定装置は、バイアス電源10、前置増幅器11A、11B、線形増幅器12A、12B、マルチプレクサー13、波高分析器14、バッファーメモリ15、及び、演算表示装置16を有する。2つのα線検出器3A、3Bには、バイアス電源10から所定のバイアス電圧が印加される。2つのα線検出器3A、3Bからのα線検出信号のパルスは、それぞれ、前置増幅器11によって増幅され、更に、線形増幅器12によって増幅されて、マルチプレクサー13に送られる。マルチプレクサー13は、入力した検出信号が、2つのα線検出器3A、3Bのうち、どの検出器の検出信号であるかを識別し、波高分析器14に送る。波高分析器14は、波高分析を行う。波高分析の結果は、バッファーメモリ15に保存される。バッファーメモリ15には、α線検出器3A、3Bからの検出信号毎に、波高分析の結果が保存される。演算表示装置16は、上述のように、2つのα線検出器3A、3Bの測定値から、試料の正味測定値Aを求める。演算表示装置16は、更に、α線検出器3A、3B毎に、α線測定値を独立に分析することができる。また、演算表示装置16は、α線測定の開始・停止、真空ポンプ8の起動停止のシーケンス処理や、測定データや測定容器内1の状態監視データの入出力処理等も行う。
次に、図3を参照して、バックグラウンドについて説明する。図3には、試料容器1内に配置された試料2とα線検出器3の概略が示されている。点線矢印は、測定容器1に降り注ぐ宇宙線の概念を示す。宇宙線のエネルギーは数GeV以上であり、その殆どは、測定容器1およびその内部構成部品を貫通する。宇宙線の散乱成分(低エネルギー成分)の一部がα線検出器3に捕獲されたときにバックグラウンド信号となる。α線検出器3によって宇宙線を捕獲する確率は非常に小さい。しかしながら、長時間の微量放射能の測定では、バックグラウンドを正確に評価しなければ、測定誤差が大きくなる。
図4を参照して、バックグラウンドの変動について説明する。図4は、宇宙線量の日変動の一例を示すグラフである。このグラフの横軸は時間、縦軸は宇宙線量(目盛りは任意)を表す。宇宙線の主な源は太陽である。太陽活動に依存して宇宙線量が変動することが知られている。図示の例では、宇宙線量は、1日に、最大値+8から最小値−8まで2倍に変化する。従って、宇宙線を源とするバックグラウンドは変動する。特に、数週間から数ヶ月に渡る長時間測定において、試料の測定とバックグラウンドの測定を異なる時刻に実施すると、バックグラウンドの日変動、月変動、季節変動が誤差要因として伝播することになる。
バックグラウンドの変動をNbとすると、バックグラウンドの変動に起因した誤差は1/√(Nb)と評価できる。本例では、Nb=2である。従って、バックグラウンドの変動に起因した誤差は、1/√(Nb)=1/√2=0.707となる。即ち、誤差は、±70%以上となる。
しかしながら、本発明では、試料とバックグラウンドの測定を同一時刻、即ち、同一条件で実施する。従って、バックグラウンドの変動に起因した誤差は、生じない。即ち、バックグラウンド値を補償した荷電粒子測定装置が実現できる。
以上説明したように、本例によると、試料とバックグラウンドを同時刻にて測定する、即ち、同一条件にて測定する。そのため、バックグラウンドの変動に起因した誤差が生じない。更に、試料とバックグラウンドを同時に測定するから、両者を異なる時刻に測定する場合と比較して、測定作業時間を約1/2にすることができる。本例の荷電粒子測定装置によると、α線分析の精度が大幅に向上するとともに、測定作業時間と分析作業コストを約1/2に低減できる。即ち、バックグラウンド補償型の迅速荷電粒子測定装置を実現することができる。
図5は本発明の荷電粒子測定装置の第2の例の測定容器1内の断面構成を示す。本例の荷電粒子測定装置は、測定容器1、測定容器1内に支持された試料2の上側に配置された4つのα線検出器3A〜3D、試料2とα線検出器3A〜3Dの間に配置されたカバー状のα線遮蔽板4、及び、4つのα線検出器3A〜3Dの間を仕切り且つ周囲を囲むように配置された格子状のα線遮蔽板6を有する。
図6A及び図6Bを参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線検出器を説明する。図6Aの例では、測定容器1内に4つのα線検出器3A〜3Dが設けられている。第1、第2、及び、第3のα線検出器3A、3B、3Cは試料測定用のα線検出器、第4のα線検出器3Dはバックグラウンド測定用のα線検出器である。バックグラウンド測定用のα線検出器3Dは、カバー状のα線遮蔽板4によって覆われている。
図6Bの例では、測定容器1内に4つのα線検出器3A〜3Dが設けられている。第1及び第2のα線検出器3A、3Bは試料測定用のα線検出器、第3及び第4のα線検出器3C、3Dはバックグラウンド測定用のα線検出器である。バックグラウンド測定用のα線検出器3C、3Dは、カバー状のα線遮蔽板4によって覆われている。
図7A及び図7Bを参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線遮蔽板を説明する。図7Aの例では、試料トレー7に4つの試料2A、2B、2C、2Dが配置されている。図示の例では試料は円形であるが、試料の形状は特に限定されない。試料の上に、格子状のα線遮蔽板6が配置されている。格子状のα線遮蔽板6は、周囲の枠状のα線遮蔽板6Aと、仕切り状のα線遮蔽板6Bによって形成されている。格子状のα線遮蔽板6の上に、カバー状のα線遮蔽板4が配置されている。カバー状のα線遮蔽板4は、図6Aを参照して説明したように、バックグラウンド測定用のα線検出器3Dを覆うように配置される。
格子状のα線遮蔽板6は、各α線検出器が、直下の試料からのα線のみを検出し、周囲の試料からのα線を検出しないように機能する。カバー状のα線遮蔽板4は、それによって覆われたα線検出器が、直下の試料からのα線を検出しないように機能する。
カバー状のα線遮蔽板4と格子状のα線遮蔽板6の両者を用いることによって、試料2Dから放出されるα線がバックグラウンド測定用検出器3Dに入射するのを阻止し、且つ、試料2A、2B、2Cから放出されるα線がバックグラウンド測定用検出器3Dに入射するのを阻止する。
試料測定用のα線検出器3A、3B、3Cの測定値をそれぞれS1、S2、S3とし、バックグラウンド測定用のα線検出器3Dの測定値をSBとする。S1、S2、S3は、それぞれ、各試料2A、2B、2Cから放出されるα線とバックグラウンドの合計の検出量である。SBは、1個のα線検出器によって検出されるバックグラウンドの検出量である。従って、1個のα線検出器によって検出されるα線の正味測定値はA=Sn-SBとして求めることができる。Snは、S1、S2、S3のうちの任意の1つである。尚、Snとして、3つの測定値S1、S2、S3の平均値を用いてもよい。
図7Bの例では、試料トレー7に1つの試料2が配置されている。試料2は、試料トレー7の全面を拡がるように配置されている。試料2の寸法は、図7Aに示した試料の4倍の大きさを有する。試料2の上に、格子状のα線遮蔽板6が配置されている。格子状のα線遮蔽板6の上に、カバー状のα線遮蔽板4が配置されている。カバー状のα線遮蔽板4は、図6Bを参照して説明したように、バックグラウンド測定用のα線検出器3C、3Dを覆うように配置される。カバー状のα線遮蔽板4は、試料2の半分を覆うように配置されている。
格子状のα線遮蔽板6は、各α線検出器が、直下の試料部分からのα線のみを検出し、周囲の試料部分からのα線を検出しないように機能する。カバー状のα線遮蔽板4は、それによって覆われたα線検出器が、直下の試料部分からのα線を検出しないように機能する。
試料測定用のα線検出器3A、3Bの測定値をそれぞれS1、S2とし、バックグラウンド測定用のα線検出器3C、3Dの測定値をSB1、SB2とする。S1、S2は、それぞれ試料2から放出されるα線とバックグラウンドの合計の検出量である。SB1、SB2は、それぞれ1個のα線検出器によって検出されるバックグラウンドの検出量である。従って、1個のα線検出器によって検出されるα線の正味測定値はA=Sn-SBmとして求めることができる。Snは、S1、S2のうちの任意の1つである。SBmは、SB1、SB2のうちの任意の1つである。尚、Snとして、2つの測定値S1、S2の平均値を用いてもよい。SBmとして、2つのバックグラウンドSB1、SB2の平均値を用いてもよい。尚、試料2の全体から放出されるα線の正味測定値は、上述の値を4倍すればよい。
図7C及び図7Dを参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線遮蔽板を説明する。図7Cの例では、試料トレー7に3つの試料2A、2B、2Cが配置されている。試料の上に、格子状のα線遮蔽板6が配置されている。格子状のα線遮蔽板6の上に、カバー状のα線遮蔽板4が配置されている。カバー状のα線遮蔽板4は、図6Aを参照して説明したように、バックグラウンド測定用のα線検出器3Dを覆うように配置される。
格子状のα線遮蔽板6は、各α線検出器が、直下の試料からのα線のみを検出し、周囲の試料からのα線を検出しないように機能する。格子状のα線遮蔽板6を用いることによって、試料2A、2B、2Cから放出されるα線がバックグラウンド測定用検出器3Dに入射するのを阻止する。カバー状のα線遮蔽板4は、それによって覆われたα線検出器が、直下の試料からのα線を検出しないように機能する。本例では、バックグラウンド測定用のα線検出器3Dの直下に試料が配置されていない。従って、カバー状のα線遮蔽板4は除去してもよい。
試料測定用のα線検出器3A、3B、3Cの測定値をそれぞれS1、S2、S3とし、バックグラウンド測定用のα線検出器3Dの測定値をSBとする。S1、S2、S3は、それぞれ各試料2A、2B、2Cから放出されるα線とバックグラウンドの合計の検出量である。SBは、1個のα線検出器によって検出されるバックグラウンドの検出量である。従って、1個のα線検出器によって検出されるα線の正味測定値はA=Sn-SBとして求めることができる。Snは、S1、S2、S3のうちの任意の1つである。尚、Snとして、3つの測定値S1、S2、S3の平均値を用いてもよい。
図7Dの例では、試料トレー7に1つの試料2が配置されている。試料2は、試料トレー7の半分を拡がるように配置されている。試料2の寸法は、図7Cに示した試料の2倍の大きさを有する。試料2の上に、格子状のα線遮蔽板6が配置されている。格子状のα線遮蔽板6の上に、カバー状のα線遮蔽板4が配置されている。カバー状のα線遮蔽板4は、図6Bを参照して説明したように、バックグラウンド測定用のα線検出器3C、3Dを覆うように配置される。カバー状のα線遮蔽板4は、試料2の半分を覆うように配置されている。
格子状のα線遮蔽板6は、各α線検出器が、直下の試料部分からのα線のみを検出し、周囲の試料部分からのα線を検出しないように機能する。格子状のα線遮蔽板6を用いることによって、試料2から放出されるα線がバックグラウンド測定用検出器3C、3Dに入射するのを阻止する。カバー状のα線遮蔽板4は、それによって覆われたα線検出器が、直下の試料部分からのα線を検出しないように機能する。本例では、バックグラウンド測定用のα線検出器3C、3Dの直下に試料部分が配置されていない。従って、カバー状のα線遮蔽板4は除去してもよい。
試料測定用のα線検出器3A、3Bの測定値をそれぞれS1、S2とし、バックグラウンド測定用のα線検出器3C、3Dの測定値をSB1、SB2とする。S1、S2は、それぞれ試料2から放出されるα線とバックグラウンドの合計の検出量である。SB1、SB2は、それぞれ1個のα線検出器によって検出されるバックグラウンドの検出量である。従って、1個のα線検出器によって検出されるα線の正味測定値はA=Sn-SBmとして求めることができる。Snは、S1、S2のうちの任意の1つである。SBmは、SB1、SB2のうちの任意の1つである。尚、Snとして、2つの測定値S1、S2の平均値を用いてもよい。SBmとして、2つのバックグラウンドSB1、SB2の平均値を用いてもよい。尚、試料2の全体から放出されるα線の正味測定値は、上述の値を2倍すればよい。
試料の測定値とバックグラウンドの測定値の大きさが同等の場合、両者の測定時間を同一とすることによって、測定誤差σが最小となることが知られている。本例では、両者の測定時間が同一であるから、試料とバックグラウンドの放射能レベルが同等のとき、最も精度の良い測定条件を実現できることになる。
図8を参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第2の例のα線測定装置を説明する。本例のα線測定装置は、バイアス電源10、前置増幅器11A〜11D、線形増幅器12A〜12D、マルチプレクサー13、波高分析器14、バッファーメモリ15、及び、演算表示装置16を有する。4つのα線検出器3A〜3Dには、バイアス電源10から所定のバイアス電圧が印加される。4つのα線検出器3A〜3Dからのα線検出信号のパルスは、それぞれ、前置増幅器11〜11Dによって増幅され、更に、線形増幅器12A〜12Dによって増幅されて、マルチプレクサー13に送られる。マルチプレクサー13は、入力した検出信号が、4つのα線検出器3A〜3Dのうち、どの検出器の検出信号であるかを識別し、波高分析器14に送る。波高分析器14は、波高分析を行う。波高分析の結果は、バッファーメモリ15に保存される。バッファーメモリ15には、α線検出器3A〜3Dからの検出信号毎に、波高分析の結果が保存される。演算表示装置16は、4つのα線検出器3A〜3Dの測定値から、上述のように試料の正味測定値(A)を求めることができる。
図9を参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第3の例のα線検出器を説明する。本例では、測定容器1内に9個のα線検出器が設けられている。第1〜第6のα線検出器3A〜3Fは試料測定用のα線検出器、第7〜第9のα線検出器3G〜3Iはバックグラウンド測定用のα線検出器である。バックグラウンド測定用のα線検出器3G〜3Iは、α線遮蔽板4によって覆われている。本例でも、格子状のα線遮蔽板6が用いられる。
試料測定用のα線検出器3A〜3Fの下方には、試料が配置され、バックグラウンド測定用のα線検出器3G〜3Iの下方には、試料が配置されていないものとする。図7Cに示したように、α線検出器毎に1個の試料を配置してもよいが、図7Dに示したように、試料トレーに拡がる1個の試料を配置してもよい。
試料測定用のα線検出器3A〜3Fの測定値をそれぞれS1〜S6とし、バックグラウンド測定用のα線検出器3G〜3Iの測定値をSB1〜SB3とする。1個のα線検出器によって検出されるα線の正味測定値はA=Sn-SBmとして求めることができる。Snは、S1〜S6のうちの任意の1つである。SBmは、SB1〜SB3のうちの任意の1つである。尚、Snとして、6つの測定値S1〜S6の平均値を用いてもよい。SBmとして、3つのバックグラウンドSB1〜SB3の平均値を用いてもよい。尚、図7Dに示したように、試料トレーに拡がる1個の試料の場合には、試料の全体から放出されるα線の正味測定値は、上述の値を6倍すればよい。
以上の議論より、一般に、試料測定用のα線検出器の個数とバックグラウンド測定用のα線検出器の個数が与えられると、α線の正味測定値が得られることが判る。試料測定用のα線検出器の個数をn、バックグラウンド測定用のα線検出器の個数をmとする。試料測定用のα線検出器の下方には、試料が配置され、バックグラウンド測定用のα線検出器の下方には、試料が配置されていないものとする。図7Cに示したように、α線検出器毎に1個の試料を配置する場合、1個の試料から放出されるα線の正味測定値をAnとする。Anは以下の式によって求められる。
An=Sn−SBm=(1/n)・ΣSn−(1/m)・ΣSBm
但し、Snは、試料測定用のα線検出器の任意の1つの測定値、(1/n)・ΣSnは、n個の試料測定用のα線検出器の測定値の平均値である。SBmは、バックグラウンド測定用のα線検出器の任意の1つの測定値、(1/m)・ΣSBmは、m個のバックグラウンド測定用のα線検出器の測定値の平均値である。また、n=1又はn>1、m=1又はm>1である。
図7Dに示したように、試料トレーに拡がる1個の試料の場合には、試料の全体から放出されるα線の正味測定値をAとする。Aは以下の式によって求められる。
A=ΣSn−(n/m)・ΣSBm
ΣSnは、n個の試料測定用のα線検出器の測定値の和、(n/m)・ΣSBmは、m個のバックグラウンド測定用のα線検出器の測定値の平均値をn倍した値を表す。但し、n>1、m>1である。
本例によると、試料の個数又は試料の寸法に応じて、必要な個数のα線検出器を設置することができる。従って、試料の個数又は試料の寸法が変化しても、迅速に計測が可能となる。
図10を参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第3の例のα線測定装置を説明する。本例のα線測定装置は、バイアス電源10、前置増幅器11A〜11I、線形増幅器12A〜12I、マルチプレクサー13、波高分析器14、バッファーメモリ15、及び、演算表示装置16を有する。9つのα線検出器3A〜3Iには、バイアス電源10から所定のバイアス電圧が印加される。9つのα線検出器3A〜3Iからのα線検出信号のパルスは、それぞれ、前置増幅器11A〜11Iによって増幅され、更に、線形増幅器12A〜12Iによって増幅されて、マルチプレクサー13に送られる。マルチプレクサー13は、入力した検出信号が、9つのα線検出器3A〜3Iのうち、どの検出器の検出信号であるかを識別し、波高分析器14に送る。波高分析器14は、波高分析を行う。波高分析の結果は、バッファーメモリ15に保存される。バッファーメモリ15には、α線検出器からの検出信号毎に、波高分析の結果が保存される。
演算表示装置16は、9個のα線検出器の測定値から、上述のように試料の正味測定値(An、A)を求めることができる。
図11A及び図11Bを参照して、本発明の荷電粒子測定装置の第4の例のα線検出器を説明する。図11Aは、本発明の荷電粒子測定装置の第4の例の垂直断面構成を示す図である。図11Bは図11Aの線A−Aに沿って切断した本発明の荷電粒子測定装置の平面断面構成を示す図である。本例では、カバー状のα線遮蔽板4の代わりに、可動型のα線遮蔽シャッター20が用いられている。本例では、α線遮蔽シャッター20をシャッター駆動機構21によって任意の位置に移動させることができる。シャッター駆動機構21の代わりに手動によりα線遮蔽シャッター20を移動させることができるように構成してもよい。
図示の例では、α線検出器3は、3列×3行に配置されている。しかしながら、α線検出器3は、任意の行と列によって配置されてよい。任意の数の列のα線検出器3を試料測定用とし、残余の列のα線検出器3をバックグラウンド測定用とすることができる。α線遮蔽シャッター20は、試料測定用のα線検出器3を露出させ、バックグラウンド測定用のα線検出器3を覆うように配置される。
以上で説明した本発明の荷電粒子測定装置の例では、α線検出器として、半導体検出器を用いる。しかしながら、本発明の荷電粒子測定装置では、ZnS(Ag)シンチレーション検出器、2πガスフォロー計数装置等の他のα線検出器を用いてもよい。
また、以上の説明では、荷電粒子測定装置によって測定する荷電粒子線としてα線を例に挙げたが、α線以外の荷電粒子の測定にも本発明は適用可能である。
上述の例では、試料とバックグラウンドの放射能強度に応じて最適な測定精度を維持する特徴を前提に述べているが、測定の目的によっては精度を犠牲にしても迅速な結果を得る場合もあり、使用方法は任意に設定できることは言うまでもない。
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
1…測定容器、2、2A、2B、2D…試料、3、3A、3B、3C、3D…α線検出器、4、5、6…α線遮蔽板、7…試料トレー、8…真空ポンプ、9…α線測定装置、10…バイアス電源、11…前置増幅器、12…線形増幅器、13…マルチプレクサー、14…波高分析器、15…バッファーメモリ、16…演算表示装置、20…α線遮蔽シャッター、21…シャッター駆動機構。

Claims (20)

  1. 真空排気されることができる測定容器と、前記測定容器内に配置された試料から放出されるα線とバックグラウンドの双方を測定するための試料測定用α線検出器と、バックグラウンドを測定するためのバックグラウンド測定用α線検出器と、前記試料から放出されるα線が前記バックグラウンド測定用α線検出器に入射されることを阻止するように構成されたα線遮蔽板と、前記試料測定用α線検出器と前記バックグラウンド測定用α線検出器から同時刻にて測定した測定値を入力してα線の正味測定値を演算するα線測定装置と、を有し、
    前記α線測定装置は、前記試料測定用α線検出器によって検出されたα線とバックグラウンドの双方の測定値から、前記バックグラウンド測定用α線検出器によって検出されたバックグラウンドの測定値を減算することにより、前記試料から放出されるα線の正味の測定値を算出することを特徴とする荷電粒子測定装置。
  2. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、前記α線遮蔽板は格子状のα線遮蔽板を有し、前記格子状のα線遮蔽板は、前記α線検出器が、各々、対面する位置の試料からのα線のみを検出し周囲の試料からのα線を検出しないように、前記α線検出器を個別に仕切るように構成されていることを特徴とする荷電粒子測定装置。
  3. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、前記α線遮蔽板はカバー状のα線遮蔽板を有し、前記カバー状のα線遮蔽板は、前記バックグラウンド測定用α線検出器が、各々、対面する位置の試料からのα線を検出しないように、前記バックグラウンド測定用α線検出器を覆うように構成されていることを特徴とする荷電粒子測定装置。
  4. 請求項3記載の荷電粒子測定装置において、前記カバー状のα線遮蔽板は可動型のシャッターによって構成されていることを特徴とする荷電粒子測定装置。
  5. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、
    前記試料測定用α線検出器の個数をn(n=1又はn>1)とし、前記バックグラウンド測定用α線検出器の個数をm(m=1又はm>1)とし、前記試料測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置され、前記バックグラウンド測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置されていない場合であって、前記試料測定用α線検出器毎に1個の試料が配置されているとき、
    前記α線測定装置は、前記1個の試料から放出されるα線の正味測定値Anを次の式によって求めることを特徴とする荷電粒子測定装置。
    An=Sn−SBm=(1/n)・ΣSn−(1/m)・ΣSBm
    但し、Snは、前記試料測定用α線検出器の任意の1つの測定値、(1/n)・ΣSnは、n個の前記試料測定用α線検出器の測定値の平均値、SBmは、前記バックグラウンド測定用α線検出器の任意の1つの測定値、(1/m)・ΣSBmは、m個の前記バックグラウンド測定用α線検出器の測定値の平均値である。
  6. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、
    前記試料測定用α線検出器の個数をn(n>1)とし、前記バックグラウンド測定用α線検出器の個数をm(m>1)とし、前記試料測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置され、前記バックグラウンド測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置されていない場合であって、前記試料測定用α線検出器に対面する位置の全体に延びるように1個の試料が配置されているとき、
    前記α線測定装置は、前記試料の全体から放出されるα線の正味測定値をAを次の式によって求めることを特徴とする荷電粒子測定装置。
    A=ΣSn−(n/m)・ΣSBm
    但し、ΣSnは、n個の前記試料測定用α線検出器の測定値の和、(n/m)・ΣSBmは、m個の前記バックグラウンド測定用α線検出器の測定値の平均値をn倍した値である。
  7. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、前記α線検出器は半導体検出器であることを特徴とする荷電粒子測定装置。
  8. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、前記α線検出器はα線以外の荷電粒子を測定することを特徴とした荷電粒子測定装置。
  9. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、前記α線測定装置は、前記α線検出器に所定のバイアス電圧が印加するためのバイアス電源と、前記α線検出器からのα線検出信号を増幅する増幅器と、該増幅器によって増幅されたα線検出信号を入力し、前記α線測定装置毎の出力を識別するマルチプレクサーと、該マルチプレクサーから送られた前記α線測定装置毎の出力より波高分析を行う波高分析器と、波高分析の結果を保持するバッファーメモリと、を有することを特徴とする荷電粒子測定装置。
  10. 請求項1記載の荷電粒子測定装置において、前記増幅器は、前記α線検出器からのα線検出信号を増幅する前置増幅器と、該前置増幅器によって増幅されたα線検出信号を更に増幅する線形増幅器とを有することを特徴とする荷電粒子測定装置。
  11. 真空排気されることができる測定容器内に試料を配置することと、
    前記試料に対向するように試料測定用α線検出器とバックグラウンド測定用α線検出器とを配置することと、
    前記試料から放出されるα線が前記バックグラウンド測定用α線検出器に入射されることを阻止するように前記試料と前記α線検出器の間にα線遮蔽板を配置することと、
    前記試料測定用α線検出器によって、前記試料から放出されるα線とバックグラウンドの双方を測定することと、
    前記バックグラウンド測定用α線検出器によって、バックグラウンドを測定することと、
    前記試料測定用α線検出器によって検出されたα線とバックグラウンドの双方の測定値と前記バックグラウンド測定用α線検出器によって検出されたバックグラウンドの測定値から、前記試料から放出されるα線の正味の測定値を算出することと、
    を有する荷電粒子測定方法。
  12. 請求項11記載の荷電粒子測定方法において、前記α線遮蔽板は格子状のα線遮蔽板を有し、前記格子状のα線遮蔽板は、前記α線検出器が、各々、対面する位置の試料からのα線のみを検出し周囲の試料からのα線を検出しないように、前記α線検出器を個別に仕切るように構成されていることを特徴とする荷電粒子測定方法。
  13. 請求項11記載の荷電粒子測定方法において、前記α線遮蔽板はカバー状のα線遮蔽板を有し、前記カバー状のα線遮蔽板は、前記バックグラウンド測定用α線検出器が、各々、対面する位置の試料からのα線を検出しないように、前記バックグラウンド測定用α線検出器を覆うように構成されていることを特徴とする荷電粒子測定方法。
  14. 請求項11記載の荷電粒子測定方法において、前記カバー状のα線遮蔽板は可動型のシャッターによって構成されていることを特徴とする荷電粒子測定方法。
  15. 請求項11記載の荷電粒子測定方法において、
    前記試料測定用α線検出器の個数をn(n=1又はn>1)とし、前記バックグラウンド測定用α線検出器の個数をm(m=1又はm>1)とし、前記試料測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置され、前記バックグラウンド測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置されていない場合であって、前記試料測定用α線検出器毎に1個の試料が配置されているとき、
    前記1個の試料から放出されるα線の正味測定値Anを次の式によって求めることを特徴とする荷電粒子測定方法。
    An=Sn−SBm=(1/n)・ΣSn−(1/m)・ΣSBm
    但し、Snは、前記試料測定用α線検出器の任意の1つの測定値、(1/n)・ΣSnは、n個の前記試料測定用α線検出器の測定値の平均値、SBmは、前記バックグラウンド測定用α線検出器の任意の1つの測定値、(1/m)・ΣSBmは、m個の前記バックグラウンド測定用α線検出器の測定値の平均値である。
  16. 請求項11記載の荷電粒子測定方法において、
    前記試料測定用α線検出器の個数をn(n>1)とし、前記バックグラウンド測定用α線検出器の個数をm(m>1)とし、前記試料測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置され、前記バックグラウンド測定用α線検出器に対面する位置には試料が配置されていない場合であって、前記試料測定用α線検出器に対面する位置の全体に延びるように1個の試料が配置されるとき、
    前記試料の全体から放出されるα線の正味測定値をAを次の式によって求めることを特徴とする荷電粒子測定方法。
    A=ΣSn−(n/m)・ΣSBm
    但し、ΣSnは、n個の前記試料測定用α線検出器の測定値の和、(n/m)・ΣSBmは、m個の前記バックグラウンド測定用α線検出器の測定値の平均値をn倍した値である。
  17. 真空排気されることができる測定容器と、前記測定容器内に配置された試料から放出される荷電粒子とバックグラウンドの双方を測定するための試料測定用荷電粒子検出器と、バックグラウンドを測定するためのバックグラウンド測定用荷電粒子検出器と、前記試料から放出される荷電粒子が前記バックグラウンド測定用荷電粒子検出器に入射されることを阻止するように構成された荷電粒子遮蔽板と、前記試料測定用荷電粒子検出器と前記バックグラウンド測定用荷電粒子検出器から同時刻にて測定した測定値を入力して荷電粒子の正味測定値を演算する荷電粒子測定装置と、を有し、
    前記荷電粒子測定装置は、前記試料測定用荷電粒子検出器によって検出された荷電粒子とバックグラウンドの双方の測定値と前記バックグラウンド測定用荷電粒子検出器によって検出されたバックグラウンドの測定値から、前記試料から放出される荷電粒子の正味の測定値を算出することを特徴とする荷電粒子測定装置。
  18. 請求項17載の荷電粒子測定装置において、前記荷電粒子はα線であることを特徴とする荷電粒子測定装置。
  19. 請求項17載の荷電粒子測定装置において、前記荷電粒子遮蔽板は格子状の遮蔽板を有し、前記格子状の荷電粒子遮蔽板は、前記荷電粒子検出器が、各々、対面する位置の試料からの荷電粒子のみを検出し周囲の試料からの荷電粒子を検出しないように、前記荷電粒子検出器を個別に仕切るように構成されていることを特徴とする荷電粒子測定装置。
  20. 請求項17載の荷電粒子測定装置において、前記荷電粒子遮蔽板はカバー状の荷電粒子遮蔽板を有し、前記カバー状の荷電粒子遮蔽板は、前記バックグラウンド測定用荷電粒子検出器が、各々、対面する位置の試料からの荷電粒子を検出しないように、前記バックグラウンド測定用荷電粒子検出器を覆うように構成されていることを特徴とする荷電粒子測定装置。
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