JP2010276189A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型化を抑制しつつ、制限通路における共振周波数の変化幅を大きくして広範囲の周波数域の振動を減衰させることを目的とする。
【解決手段】振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第一取付部材2及び他方に連結される第二取付部材3と、第一、第二取付部材2、3を弾性的に連結する弾性体4と、第一取付部材2内の液室6を主液室7と副液室8とに区画する仕切り部材5と、を備えていると共に、仕切り部材5に、主液室7と副液室8とを連通すると共に液室6内の液体が流通することで液柱共振が生じる制限通路15が形成された液体封入型の防振装置1であって、仕切り部材5には、制限通路15を画成する移動壁面67aと、移動壁面67aに対向すると共に制限通路15を画成する対向壁面55aと、が備えられ、移動壁面67aおよび対向壁面55aのうちの少なくとも一方が、移動壁面67aの移動方向に対して傾斜されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車のエンジン等の振動発生部を車体等の振動受部にマウントする際に用いられる液体封入型の防振装置に関する。
この種の防振装置として、従来、振動発生部および振動受部のうちの何れか一方に連結された筒状の第一取付部材と、振動発生部および振動受部のうちの何れか他方に連結される第二取付部材と、第一取付部材と第二取付部材とを弾性的に連結するとともに第一取付部材の一方の開口端を閉塞する弾性体と、第一取付部材の他方の開口端を閉塞するダイヤフラムと、第一取付部材の内側に形成された液室を主液室と副液室とに区画する仕切り部材と、を備えた構成が一般に知られている。
上記した主液室は、隔壁の一部が弾性体で形成されて弾性体の変形により内容積が変化する液室であり、上記した副液室は、隔壁の一部がダイヤフラムで形成された液室である。また、上記した仕切り部材には、主液室と副液室とを連通する制限通路が形成されている。この制限通路は、特定の周波数の振動が入力された際に上記した液室内の液体が流通することで液柱共振が生じるようにチューニングされた液体流路であり、特定の共振周波数を持っている。
上記した従来の防振装置では、特定の周波数の振動が入力されたとき、制限通路における液柱共振作用により、防振装置のバネ定数が低くなり、入力振動を減衰させることができる。
ところが、上記した構成の防振装置では、入力振動の周波数が制限通路の共振周波数以外である場合、防振装置のバネ定数が高くなる。特に、入力振動が制限通路の共振周波数よりも高周波側の振動である場合、制限通路が目詰りを起し、防振装置のバネ定数が高くなる。
そこで、従来、例えば下記特許文献1に示されているように、制限通路の共振周波数を可変させることが可能な防振装置が提案されている。この防振装置は、仕切り部材に、筒状のシリンダ部とシリンダ部内に配置されたピストン部とピストンを軸方向に移動させるアクチュエータとが備えられている。上記したシリンダ部の内周面には、シリンダ部の軸線回りに延在する螺旋溝が形成されており、この螺旋溝とピストン部の外周面とで制限通路が画成されている。この防振装置では、アクチュエータによってピストン部を軸方向に変位させることで制限通路の流路長が変化するので、制限通路の共振周波数を可変させることができる。これにより、広範囲の周波数域の入力振動に対して、制限通路において液柱共振を生じさせ、振動を減衰させることができる。
特開昭62−127539号公報
しかしながら、上記した従来の防振装置では、ピストン部を変位させると制限通路の流路長だけが変化するため、ピストン部のストロークに対する制限通路の共振周波数の変化幅が小さいという問題が存在する。したがって、ピストン部を最大限に変位させても制限通路の共振周波数の変化が小さく、振動の減衰効果が十分に得られない場合がある。また、制限通路の共振周波数を大きく変化させるため、ピストン部を大きく変位させることが可能な構成にしなければならず、防振装置が大型化する場合がある。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、大型化を抑制しつつ、制限通路における共振周波数の変化幅を大きくして広範囲の周波数域の振動を減衰させることができる防振装置を提供することを目的としている。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第一取付部材、および他方に連結される第二取付部材と、前記第一取付部材及び前記第二取付部材を弾性的に連結する弾性体と、前記第一取付部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、を備えていると共に、該仕切り部材に、前記主液室と前記副液室とを連通すると共に前記液室内の液体が流通することで液柱共振が生じる制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、前記仕切り部材には、前記制限通路を画成する移動壁面と、該移動壁面に対向すると共に前記制限通路を画成する対向壁面と、が備えられ、前記移動壁面および前記対向壁面のうちの少なくとも一方が、前記移動壁面の移動方向に対して傾斜されていることを特徴としている。
このような特徴により、振動発生部から防振装置に振動が入力されると、その振動入力に伴い弾性体が弾性変形する。このとき、入力振動の周波数が制限通路の共振周波数と一致している場合、液室内の液体が制限通路内を流通し、その制限通路内における液柱共振により、防振装置のバネ定数が低下し、入力振動が減衰される。
一方、入力振動の周波数が制限通路の共振周波数と異なる場合、移動壁面が対向壁面に対して相対的に移動する。これら移動壁面および対向壁面のうちの少なくとも一方は、移動壁面の移動方向に対して傾斜されているので、移動壁面が移動することにより、移動壁面と対向壁面とで画成された制限通路の流路長および流路断面積がそれぞれ変化し、制限通路の共振周波数が変化する。すなわち、移動壁面が対向壁面から離間する方向に相対的に移動すると、制限通路の流路長が短くなると共に流路断面積が大きくなり、制限通路の共振周波数が高くなる。一方、移動壁面が対向壁面に近接する方向に相対的に移動すると、制限通路の流路長が長くなると共に流路断面積が小さくなり、制限通路の共振周波数が低くなる。これにより、制限通路の共振周波数が入力振動の周波数と一致し、入力振動が減衰される。
また、本発明に係る防振装置は、前記仕切り部材には、前記第一取付部材の内側に固定され、筒状のシリンダ部及び該シリンダ部の主液室側の端部に被設された蓋部を有すると共に前記対向壁面が形成された固定部材と、前記シリンダ部の内側に配置されて前記蓋部に対向配置されたピストン部を有すると共に前記移動壁面が形成された可動部材と、が備えられ、前記蓋部には、前記シリンダ部の内側及び前記主液室を連通する連通孔と、前記連通孔を開閉する逆止弁と、が設けられていることが好ましい。
これにより、弾性体の弾性変形に伴い主液室の液圧が変動し、その主液室の液圧変動に伴い逆止弁が開放される。すなわち、例えば逆止弁が正圧弁の場合、主液室の液圧が上昇してシリンダ部の内圧よりも高くなると逆止弁が開放される。一方、逆止弁が負圧弁の場合、主液室の液圧が下降してシリンダ部の内圧よりも低くなると逆止弁が開放される。これにより、シリンダ部の内側と主液室とが連通孔を介して連通され、主液室の液圧変動に応じてシリンダ部の内側の液圧が変動する。つまり、シリンダ部の内側の液圧は、変動する主液室の液圧の絶対値の最大値、すなわち、正圧弁の場合は主液室における最正圧値、負圧弁の場合は主液室における最負圧値と均等になる。その結果、シリンダ部の内側の液圧により、ピストン部がシリンダ部の内周面に沿って摺動しながら可動部材が固定部材に対して移動し、可動部材の移動壁面と固定部材の対向壁面との相対的な位置関係が変化し、移動壁面と対向壁面とで形成される制限通路の流路長及び流路断面積が変化して制限通路の共振周波数が変化する。この様な液柱共振を用いた防振装置では、一般にその振動伝達率が最小になる周波数よりも液圧変動が最大になる周波数の方が高い。そのため、周波数が上昇する過程で振動伝達率が最小になった後、再び上昇に転ずる液圧でちょうどピストン部が動き出す様にスプリングの反力を調整することで、制限通路内に液体が流通してその制限通路内における液柱共振によって防振装置のバネ定数が低下し、入力振動が減衰される。
また、本発明に係る防振装置は、前記制限通路が、異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか一方の入力振動に対して液柱共振が生じる第一制限通路となっており、前記副液室が、異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか一方の入力振動に対して液柱共振が生じる前記第一制限通路を介して前記主液室に連通された第一副液室と、前記液室内の液体が流通することで異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか他方の入力振動に対して液柱共振が生じる第二制限通路を介して前記主液室に連通された第二副液室と、を備えていることを特徴としている。
これにより、異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか一方の振動が入力された際には、液室内の液体が第一制限通路内を流通し、この第一制限通路内における液柱共振によって振動が減衰される。一方、異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか他方の振動が入力された際には、液室内の液体が第二制限通路内を流通し、この第二制限通路内における液柱共振によって振動が減衰される。
本発明に係る防振装置によれば、移動壁面が対向壁面に対して相対的に移動することで制限通路の流路長および流路断面積がそれぞれ変化するので、移動壁面のストローク幅に対する制限通路の共振周波数の変化幅を大きくすることができる。これにより、移動壁面のストローク幅を大きくすることなく、制限通路の共振周波数を大きく変化させることができ、大型化を抑制しつつ広範囲の周波数域の振動を減衰させることができる。
本発明の実施の形態を説明するための防振装置の断面図である。 本発明の実施の形態を説明するためのオリフィス部材(第一取付部材の構成部材)の斜視図である。 本発明の実施の形態を説明するためのシリンダ部の斜視図である。 本発明の実施の形態を説明するための可動部材の斜視図である。 本発明の実施の形態を説明するための底部の断面図である。 本発明の実施の形態を説明するための仕切り部材の断面図である。 本発明の実施の形態を説明するための仕切り部材の断面図である。 本発明の実施の形態を説明するための制限通路(第一制限通路)の断面図である。
以下、本発明に係る防振装置の実施の形態について、図面に基いて説明する。
なお、図1に示す符号Oは防振装置1の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに垂直な方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。
さらに、図1における下側が、防振装置1を設置した際に静荷重(初期荷重)が入力されるバウンド側であり、図1における上側が、前記静荷重の入力方向の反対側のリバウンド側であり、以下の説明においてバウンド側を「下」とし、リバウンド側を「上」とする。
まず、本実施の形態における防振装置1の構成について説明する。
図1に示すように、防振装置1は、自動車における振動発生部であるエンジンを、振動受部である車体へ支持するエンジンマウントである。防振装置1は、図示せぬ車体に連結される筒状の第一取付部材2と、第一取付部材2の上方に配設されていると共に図示せぬエンジンに連結される第二取付部材3と、第一、第二取付部材2,3の間を弾性的に連結する弾性体4と、第一取付部材2内に配設された仕切り部材5と、を備えており、上記した第一取付部材2の内側には液室6が形成されている。
上記した液室6は、弾性体4及び後述するダイヤフラム10によって密閉封止されていると共に、エチレングリコールや水等の液体が封入されている。この液室6は、第一取付部材2の内側に配設された仕切り部材5によって、上側の主液室7と下側の副液室8,9とに区画されている。主液室7は、弾性体4を隔壁の一部として形成された液室であり、弾性体13の変形により内容積が変化する。副液室8,9は、後述するオリフィス部材21の内側に形成されていると共に仕切り部材5を隔壁の一部として区画された第一副液室8と、第一副液室8の下方に形成されていると共に後述するダイヤフラム10を隔壁の一部とする第二副液室9と、を備えている。第一副液室8は、後述するピストン部62の昇降によって内容積が変化し、第二副液室9は、ダイヤフラム10の変形により内容積が変化する。なお、上記した第一副液室8は、図示せぬリーク手段によって主液室7又は第二副液室9に連通されており、第一副液室8の液圧が主液室7や第二副液室9よりも高くなったときに第一副液室8の液圧が徐々に抜ける構成となっている。上記したリーク手段としては、例えば後述するシリンダ部52や蓋部53、ピストン部62等に形成された微細孔であってもよく、或いは、ピストン部62とシリンダ部52との摺接部分の隙間や、シリンダ部52と蓋部53との嵌合部分の隙間などであってもよい。
第一取付部材2は、軸線Oを中心にして軸方向に延設された外筒20と、外筒20の内側に配設された筒状のオリフィス部材21と、を備えている。外筒20は、上側外筒部22と下側外筒部23とに分割可能な筒部である。
上側外筒部22は、外筒20の上部を構成する筒部であり、弾性体4が接合されている。上側外筒部22の概略構成としては、円筒形状の周壁部24と、周壁部24の上端に設けられた上フランジ部25と、周壁部24の下端に設けられた下フランジ部26と、を備えている。上フランジ部25は、周壁部24の上端から径方向外側に向けて突出された板部であり、周壁部24の全周に亘って形成されている。下フランジ部26は、周壁部24の下端から径方向外側に向けて突出された板部であり、周壁部24の全周に亘って形成されている。上フランジ部25と下フランジ部26とは、上下に対向配置されており、これら上フランジ部25と下フランジ部26との間には、周壁部24の外周面から突出した縦リブ22aが配設されている。この縦リブ22aの上下端は、上フランジ部25及び下フランジ部26にそれぞれ連結されており、縦リブ22aは、周方向に間隔をあけて複数配設されている。
下側外筒部23は、外筒20の下部を構成する筒部であり、上側外筒部22の下方に軸線Oを共通軸にして直列に連設されている。下側外筒部23の概略構成としては、円筒形状の周壁部27と、周壁部27の上端に設けられたフランジ部28と、周壁部27の下端に設けられたブラケット部29と、を備えている。下側外筒部23の周壁部27は、上側外筒部22の周壁部24と同様の円筒形状の筒部であり、下側外筒部23の周壁部27の内径は、上側外筒部22の周壁部24の内径と同径となっている。フランジ部28は、周壁部27の上端から径方向外側に向けて突出された板部であり、周壁部27の全周に亘って形成されている。このフランジ部28は、上記した上側外筒部22の下フランジ部26に重ね合わされてボルト接合されており、これにより、上側外筒部22と下側外筒部23とが連結されている。また、フランジ部28の内周部の上面には、階段状に窪んだ段差部28aがフランジ部28の内縁に沿って全周に亘って延設されている。ブラケット部29は、断面視略L字形状の板部であり、周壁部27の外周面に突設されていると共にフランジ部28の下面に垂設されている。このブラケット部29には、径方向外側に向かって突出された脚部29aが設けられており、この脚部29aが図示せぬ車体に連結される。
上記した外筒20の下端には、外筒20の下側の開口部を閉塞するダイヤフラム10が備えられている。ダイヤフラム10は、下側外筒部23の下端部に接合された椀状のゴム膜であり、その外縁部が下側外筒部23の下端部に加硫接着されている。なお、ダイヤフラム10の外縁部には、下側外筒部23の周壁部24の内周面を被覆するゴム膜11が一体形成されている。このゴム膜11は、上記した段差部28aの表面にまで延設されている。なお、ダイヤフラム10は、ゴム以外にも合成樹脂等からなる弾性体を用いることも可能である。
オリフィス部材21は、軸線Oを共通軸にして外筒20と同軸上に配設された円環状部材であり、弾性体4とダイヤフラム10との間に配設されている。図2に示すように、オリフィス部材21の外周面には、周方向に延在する周溝21aが形成されており、図1に示すように、この周溝21aの外周側の開放部分が下側外筒部23の周壁部27(ゴム膜11)によって閉塞されることにより、主液室7と第二副液室9とを連通する低周波オリフィス12(第二制限通路)が形成されている。
詳しく説明すると、図2に示すように、オリフィス部材21は、軸方向に延在する円筒形状の筒部21bと、筒部21bの上端から径方向外側に突出した上記低周波オリフィス12の上壁部21cと、筒部21bの外周面から径方向外側に突出していると共に上壁部21cの下方に間隔をあけて配設された上記低周波オリフィス12の下壁部21dと、上壁部21cの上面に立設されていると共に周方向に間隔をあけて複数配設された支持壁部21eと、を備えている。上壁部21cは、下壁部21dよりも大径であり、全周に亘って径方向外側に突出されている。図1に示すように、この上壁部21cの外周部は、下側外筒部23の段差部28a上に載置されており、この段差部28aと上側外筒部22の下フランジ部26との間に挟持されている。これにより、オリフィス部材21が外筒20の内側に支持されている。
上記した低周波オリフィス12は、上記した筒部21bと上壁部21cと下壁部21dと下側外筒部23の周壁部27(ゴム膜11)とによって形成された液体の流路であり、外筒20の周方向に沿って延在されている。この低周波オリフィス12は、防振装置1に例えばシェイク振動等の低周波域(例えば8Hz〜15Hz)の振動が入力された際に当該低周波オリフィス12を流通する液体に液柱共振(共振現象)を生じさせて上記振動を減衰させるための液路であり、車両における低周波域の振動に対して液柱共振が生じるようにチューニングされている。また、図2に示すように、低周波オリフィス12の流路長方向の両端の壁面12a,12bは、流路長方向(周方向)にそれぞれ傾斜されている。具体的に説明すると、流路長方向の一端側の壁面12aは、流路長方向の一端側から他端側に向かって下向きに傾斜されており、流路長方向の他端側の壁面12bは、流路長方向の一端側から他端側に向かって下向きに傾斜されている。
また、オリフィス部材21には、低周波オリフィス12の流路長方向の一端部と図1に示す主液室7とを連通する主液室側開口部13が形成されていると共に、低周波オリフィス12の流路長方向の他端部と第二副液室9とを連通する副液室側開口部14が形成されている。主液室側開口部13は、オリフィス部材21の上壁部21c及び筒部21bに形成されており、オリフィス部材21の上部の内縁を上壁部21cの径方向中間部から下壁部21dの上面にかけて上壁部21c及び筒部21bをそれぞれ切り欠いた形状を成している。副液室側開口部14は、オリフィス部材21の下壁部21dに形成されており、低周波オリフィス12の流路長方向の他端側の下壁部21dの端部を切除した形状を成している。
図1に示すように、第二取付部材3は、図示せぬエンジンブラケットを介してエンジンに連結される取付部材であり、第一取付部材2の軸方向上側に配設されていると共に軸線Oを中心にして配設されている。第二取付部材3の概略構成としては、下方に向かうに従い漸次縮径された略円錐台形状のアンカー部30と、アンカー部30の上面に立設された板状の接合部31と、を備えている。
弾性体4は、外筒20の上側の開口部を閉塞するゴム体であり、外周面が上方に向かって漸次縮径された山形状を成しているとともに下面が窪んだ形状に形成されている。この弾性体4の下部は、上側外筒部22の周壁部24の上部内周面及び上フランジ部25の内周部上面にそれぞれ加硫接着されている。一方、弾性体4の上部は、第二取付部材3のアンカー部30の外周面及び下面にそれぞれ加硫接着されている。また、弾性体4の下端部には、上側外筒部22の周壁部24の内周面を被覆するゴム膜40が一体形成されており、このゴム膜40は、上側外筒部22の下フランジ部26の下面にまで延設されている。なお、弾性体4としては、ゴム以外にも合成樹脂等からなる弾性体を用いることも可能である。
仕切り部材5は、第一取付部材2に固定された固定部材50と、固定部材50に対して移動可能に設けられた可動部材51と、を備えていると共に、後述する高周波オリフィス15が形成されている。
固定部材50は、有頂筒状のシリンダ部52と、シリンダ部52の主液室7側(上側)の端部に被設された蓋部53と、を備えている。
図1、図3に示すように、シリンダ部52は、軸線Oに対して垂直に配設された天壁部54と、天壁部54の外周部下面に垂下された筒状の周壁部55と、天壁部54の外周部上面に立設された立上り壁部56と、天壁部54の外縁から径方向外側に向けて突出された支持部57と、天壁部54の中央部下面に垂下された筒状の軸受け部58と、を備えている。
天壁部54は、平面視円形の板部であり、中央に軸受け部58に連通される軸通し孔54aが形成されていると共に、該軸通し孔54aの周囲に複数の連通孔54bが周方向に間隔をあけて形成されている。
立上り壁部56は、蓋部53が被着される円筒形状の壁部である。軸受け部58は、後述する軸部材17が挿通されて軸部材17の上部を支持する円筒形状の筒部である。立上り壁部56及び軸受け部58は、それぞれ軸線Oを中心軸にして延設された円筒形状の筒部であり、平面視において立上り壁部56の内側に上記した複数の連通孔54bがそれぞれ配設されている。
周壁部55は、軸線Oを共通軸にして軸受け部58と同軸上に配設された筒部である。周壁部55の内周面は、軸方向全体に亘って同径の直筒形状を成している。一方、周壁部55の外周面(対向壁面55a)は、下方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状を成しており、軸方向に対して傾斜されている。
支持部57は、上記したオリフィス部材21の支持壁部21eの上面に載置されてビス等で固定される板部であり、天壁部54の外縁に略凸状に突出されていると共に周方向に間隔をあけて複数配設されている。
図1に示すように、蓋部53は、上記した立上り壁部56に被着される蓋体であり、主液室7に面して配置されている。この蓋部53の概略構成としては、軸線Oに対して垂直に配設された天壁部59と、その天壁部59の外縁から垂下された周壁部60と、を備えている。
天壁部59は、立上り壁部56の外径よりも大径の平面視円形の板部であり、立上り壁部56の上方に配置されている。この天壁部59には、後述する逆止弁61の凸部61aが挿通される挿通孔59a、及び、シリンダ部52内(立上り壁部56内)と主液室7とを連通する複数の連通孔59bが形成されている。挿通孔59aは、天壁部59の中央部分に配設されており、複数の連通孔59bは、周方向に間隔をあけて挿通孔59aの周囲に配設されている。
周壁部60は、立上り壁部56の外周に嵌合される筒部であり、周壁部60と立上り壁部56とは圧入嵌合されている。
また、上記した天壁部59の下面と立上り壁部56の上端面との間には、Oリング状のシールゴム18が介在されている。
また、上記した蓋部53には、シリンダ部52内と主液室7との液圧差によって上記した連通孔59bを開閉する逆止弁61が設けられている。この逆止弁61は、主液室7の内圧がシリンダ部52の内圧よりも高くなったときに連通孔59bを開放して主液室7からシリンダ部52内への液体の流通を許容し、主液室7の内圧がシリンダ部52の内圧よりも低くなったときに連通孔59bを閉塞してシリンダ部52内から主液室7への液体の流通を規制する正圧弁である。
詳しく説明すると、逆止弁61は、弾性変形可能なゴム等の弾性体からなる平面視円形の板部材である。逆止弁61は、軸線Oに対して垂直に配設されていると共に、蓋部53の天壁部59とシリンダ部52の天壁部54との間(立上り壁部56の内側)に配設されており、蓋部53の天壁部59にシリンダ部52側(下側)から密接されて連通孔59bを閉塞している。この逆止弁61は、上面が軸線Oに対して垂直に形成されて蓋部53の天壁部59の下面に密接されていると共に下面が軸線Oに対して傾斜したテーパー面となっており、逆止弁61の厚さが径方向外側に向かうに従い漸次薄くなっている。また、逆止弁61の中央部上面には、蓋部53の挿通孔59aに挿通される円柱形状の凸部61aが突設されており、逆止弁61の中央部下面には、円形の凹部61bが形成されている。
可動部材51は、シリンダ部52の内側に軸方向に摺動可能に嵌合されたピストン部62と、オリフィス部材21(筒部21b)の内側に配置された筒状の周壁部63と、を備えている。
上記した可動部材51は、軸線O上に配設された軸部材17に沿って軸方向に移動可能に設けられている。軸部材17は、後述する挿通筒部66の内側に挿通された棒状の部材であり、軸部材17の上端部は固定部材50の軸受け部58の内側に挿通されて逆止弁61の凹部61bの内側に嵌合されており、軸部材17の下端部は、後述する底筒部材70の軸受け部75の内側に挿入されている。
ピストン部62は、シリンダ部52の内側を液密状態で閉塞する板部であり、蓋部53に対向配置されている。図1、図4に示すように、ピストン部62の概略構成としては、軸線Oに対して垂直に配設された円環板状の円盤部64と、円盤部64の外縁から立設された立上り部65と、円盤部64の内縁から垂下されて軸部材17が挿通される挿通筒部66と、を備えている。立上り部65は、円盤部64の外縁に沿って延設された円筒形状の壁部であり、立上り部65の外周面は、シリンダ部52の内周面に摺接されている。挿通筒部66は、軸線Oを中心にして軸方向に延在する円筒形状の筒部である。
周壁部63は、軸線Oを共通軸にして挿通筒部66やオリフィス部材21と同軸上に配設された筒部であり、平面視において周壁部63の内側にピストン部62が配設されている。周壁部63は、上側のテーパー筒部67と、テーパー筒部67の下端に連結された直筒状の直筒部68と、を備えている。
テーパー筒部67の内周面(移動壁面67a)は、上方に向かうに従い漸次拡径されたテーパー形状を成しており、軸方向に対して傾斜されている。また、テーパー筒部67の内周面の下端は、直筒部68の内周面よりも径方向内側に膨出されており、テーパー筒部67の内周面と直筒部68の内周面との間には段差が形成されている。一方、テーパー筒部67の外径と直筒部68の外径は同径であり、テーパー筒部67及び直筒部68(周壁部63)の外周面は、軸方向に延在する直筒状に形成されている。また、これらテーパー筒部67及び直筒部68(周壁部63)の外径はオリフィス部材21の内径よりも小さく、周壁部63の外周面とオリフィス部材21の内周面との間には隙間があけられている。
上記したピストン部62と周壁部63とは複数の連結部69を介して連結されている。連結部69は、周壁部63のテーパー筒部67の下端部内周面から立設されてピストン部62の円盤部64の外周部下面に連結された壁部である。この連結部69は、周方向に間隔をあけて複数配設されており、これら複数の連結部69によってピストン部62が支持されている。
また、図1に示すように、上記したテーパー筒部67の内周面(移動壁面67a)と上記した固定部材50の周壁部55の対向壁面55aとは、互いに間隔をあけて対向していると共に平行に配設されており、これら対向壁面55a及び移動壁面67aによって高周波オリフィス15が画成されている。この高周波オリフィス15は、防振装置1に例えばこもり音やアイドル振動等の高周波域(例えば20〜200Hz程度)の振動が入力された際に当該高周波オリフィス15を流通する液体に液柱共振を生じさせて上記振動を減衰させるための液路であり、上記した高周波域の振動のうち、最も低い周波数の振動(例えば20Hz)に対して液柱共振が生じるようにチューニングされている。
詳しく説明すると、高周波オリフィス15は、オリフィス部材21の内側に形成された第一副液室8と仕切り部材5の上方に形成された主液室7とを連通する液体流路である。なお、対向壁面55a及び移動壁面67aのうちの対向していない範囲の空間は高周波オリフィス15として機能せず、対向壁面55a及び移動壁面67aのうちの互いに対向する部分の間の空間が高周波オリフィス15となる。詳しく説明すると、図8に示すように、対向壁面55aと移動壁面67aとの間の空間のうち、対向壁面55aの下側の鋭角端部55b(一端)から移動壁面67aに向かって延在する垂線L1と、移動壁面67aの上側の鋭角端部67b(一端)から対向壁面55aに向かって延在する垂線L2と、の間の部分が高周波オリフィス15となり、前記した2本の垂線L1,L2との間の距離Lが高周波オリフィス15の流路長となる。また、対向壁面55aの上側の鋭角端部55c(他端)は移動壁面67aと対向していない。つまり、対向壁面55aの上側の鋭角端部55c(他端)から上記垂線L1と平行に延びる垂線L3は、移動壁面67aに交差せず、移動壁面67aから外れた位置に延在している。また、移動壁面67aの下側の鋭角端部67c(他端)から上記垂線L2と平行に延びる垂線L4は、対向壁面55aに交差せず、対向壁面55aから外れた位置に延在している。
また、図1、図5に示すように、上記したオリフィス部材21の下端部には、オリフィス部材21の下端を閉塞する底部16が設けられており、この底部16によって第一副液室8と第二副液室9とが分離されている。この底部16は、上記した可動部材51の周壁部63の直筒部68の内側に軸方向に摺動可能に嵌合された略有底筒状の底筒部材70と、底筒部70を下方から押さえて保持する押さえ部材71と、底筒部材70と押さえ部材71との間に介在されたメンブラン72と、を備えている。
底筒部材70は、軸線Oに対して垂直に配設された平面視円形の底板部73と、底板部の外縁に立設された円筒形状の周壁部74と、底板部73の上面の中央部分に立設された円筒形状の軸受け部75と、底板部73の外周に沿って周設されたフランジ部76と、を備えている。底板部73には、軸受け部75の回りに周方向に間隔をあけて配設された複数の開口73aが形成されている。周壁部74は、外径が直筒部68の内径と略同径の円筒形状の筒部であり、直筒部68の内側に摺動可能に嵌合されている。軸受け部75は、軸線Oを中心にして軸方向に延設された筒部である。フランジ部76は、底板部73の径方向外側に配設された円環状の板部であり、全周に亘ってオリフィス部材21の下端部と押さえ部材71の底板部77との間に挟持されている。
押さえ部材71は、オリフィス部材21の下端部に被着される蓋状の部材であり、軸線Oに対して垂直に配設された底板部77と、底板部77の外縁から立設された周壁部78と、を備えている。底板部77には、軸線O回りに周方向に間隔をあけて配設された複数の開口77aが形成されている。周壁部78は、オリフィス部材21の下端部の外周に圧入嵌合されている。
メンブラン72は、例えばゴム等の弾性体からなる平面視円形の円盤状部材であり、軸線Oに対して垂直に配設されている。このメンブラン72の外周部は、底筒部材70の底板部73と押さえ部材71の底板部77との間に挟持されている。
また、防振装置1には、上記した可動部材51を上方に向けて付勢する図示せぬコイルスプリング(付勢部材)が備えられている。このコイルスプリングは、可動部材51の軸受け部58及び底筒部材70の軸受け部75の外周に周設されていると共に、ピストン部62の円盤部64と底筒部材70の底板部73との間に介装されている。
次に、上記した構成からなる防振装置1の作用について説明する。
上述した構成からなる防振装置1は、第二取付部材3が図示せぬエンジン側ブラケットを介して図示せぬエンジンに連結されるとともに、第一取付部材2が図示せぬ車体に連結されることにより、エンジンと車体との間に介装される。
そして、上記したエンジンが稼動すると、その高周波域振動がエンジン側ブラケットを介して防振装置1の第二取付部材3に伝達され、弾性体4が弾性変形する。
このとき、入力振動が高周波域振動のうちで最も低い周波数(例えば20Hz)の振動である場合、入力振動の周波数と高周波オリフィス15の共振周波数とが一致するので、図6に示すように、可動部材51は移動せず、液室6内の液体が高周波オリフィス15内を通って主液室7と第一副液室8との間を往来し、その高周波オリフィス15内において液柱共振が生じる。これにより、高周波オリフィス15内における液柱共振によって防振装置1のバネ定数が低下し、入力振動が減衰され、車体側に伝達される振動が低減される。
一方、入力振動が高周波域振動の中でも高い周波数の振動である場合、入力振動の周波数が高周波オリフィス15の共振周波数よりも高くなるので、弾性体4の弾性変形に伴い主液室7の液圧が変動し、その主液室7の液圧変動に伴い逆止弁61が開放される。具体的に説明すると、高周波域振動によって第二取付部材3が第一取付部材2に対して相対的に下方に移動(バウンド)すると、弾性体4が弾性変形して主液室7が減容されて主液室7の液圧が上昇する。その結果、主液室7の液圧がシリンダ部52内の液圧(ピストン部62と蓋部53との間の液圧)よりも高くなると、逆止弁61が下向きに弾性的に撓み変形し、蓋部53に形成された連通孔59bが開放され、シリンダ部52の内側と主液室7とが連通孔59bを介して連通される。これにより、シリンダ部52内の液圧が主液室7の液圧に応じて上昇する。
そして、シリンダ部52内の液圧と主液室7の液圧とが均等になったところで、逆止弁61が弾性作用によって元の形状に戻り、この逆止弁61によって連通孔59bが閉塞される。
その後、上記したバウンドの反動で第二取付部材3が第一取付部材2に対して相対的に上方に移動(リバウンド)すると、弾性体4が弾性変形して主液室7が増容されて主液室7の液圧が低下する。このとき逆止弁61は閉塞位置で維持されるので、連通孔59bが閉塞されたままとなり、主液室7の液圧が低下してもシリンダ部52内の液圧は低下しない。したがって、シリンダ部52内の液圧は、変動する主液室7における最正圧値と均等になる。
そして、シリンダ部52内の液圧が上昇することにより、図7に示すように、ピストン部62がシリンダ部52の内周面に沿って摺動しながら可動部材51が下方に移動し、可動部材51の移動壁面67aが固定部材50の対向壁面55aから離間し、対向壁面55aと移動壁面67aとで形成される高周波オリフィス15の断面形状が拡大されると共に及び流路長が短縮される。その結果、高周波オリフィス15における共振周波数が上昇する。この様な液柱共振を用いた防振装置1では、一般にその振動伝達率が最小になる周波数よりも液圧変動が最大になる周波数の方が高いため、周波数が上昇する過程で振動伝達率が最小になった後、再び上昇に転ずる液圧でちょうどピストン部62が動き出す様にスプリングの反力を調整することで、高周波オリフィス15内を通って主液室7と第一副液室8との間で液体が往来し、液体が流通する高周波オリフィス15内において液柱共振が生じる。よって、防振装置1のバネ定数が低下し、入力振動が減衰され、車体側に伝達される振動が低減される。なお、固定部材50のシリンダ部52の立上り壁部56の上端面と固定部材50の蓋部53の天壁部59の下面との間にシールゴム18が介在されていることにより、液圧変化に対してより正確に可動部材51を移動させることができる。
一方、車両の走行時においては、比較的に周波数が低い振動、つまり、上記した高周波域振動よりも大振幅で小さい周波数(例えば8Hz〜15Hz)の低周波域振動が入力される。このとき、低周波域振動による第二取付部材3の上下方向への繰り返し移動(バウンド側への移動とリバウンド方向への移動を交互に繰り返す運動)に伴い主液室7の液圧が変動し、主液室7と第二副液室9との間に内圧差が生じる。この場合、液室6内の液体は、低周波オリフィス12を通って主液室7と第二副液室9との間で往来する。このとき、低周波オリフィス12は、その流路長及び断面積が低周波域振動に対して液柱共振が生じるようにチューニングされているので、低周波オリフィス12を流通する液体に液柱共振が生じて低周波域振動が減衰され、車体側に伝達される振動が低減される。
上記した構成からなる防振装置1によれば、シリンダ部52の内側の液圧によって可動部材51が下方に移動したときに、高周波オリフィス15の流路長が短くなると共に流路断面積が大きくなるので、高周波オリフィス15の共振周波数が効率的に上昇される。すなわち、流路長および流路断面積のいずれか一方が変化する場合に比べて、可動部材51(移動壁面67a)の移動ストロークに対する高周波オリフィス15の共振周波数の変化幅が大きくなる。これにより、移動壁面67aのストローク幅を大きくすることなく、高周波オリフィス15の共振周波数を大きく変化させることができ、大型化を抑制しつつ広範囲の周波数域の振動を減衰させることができる。
また、上記した防振装置1によれば、主液室7の液圧変動に伴い逆止弁61が開放されて可動部材51(移動壁面67a)が変位することで、高周波オリフィス15の流路長および流路断面積がそれぞれ変化して高周波オリフィス15の共振周波数が変化するので、アクチュエータや制御手段を用いることなく、入力された高周波域振動の周波数に応じて高周波オリフィス15における共振周波数を可変させることができる。したがって、広範囲の周波数域の高周波域振動を減衰させることができると共に、省スペース化及びコストダウンを図ることができる。
また、上記した防振装置1では、主液室7と第一副液室8とを連通する高周波オリフィス15の他に、主液室7と第二副液室9とを連通する低周波オリフィス12が設けられており、高周波域振動が入力された際には、高周波オリフィス15において液柱共振が生じて入力振動が減衰され、低周波域振動が入力された際には、低周波オリフィス12において液柱共振が生じて入力振動が減衰されるので、高周波域振動及び低周波域振動の両方に対して防振性能を発揮することができる。
以上、本発明に係る防振装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、対向壁面55a及び移動壁面67aが移動壁面67aの移動方向に対してそれぞれ傾斜されているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、対向壁面及び移動壁面のうちの何れか一方が移動壁面67aの移動方向に対して傾斜され、他方が前記移動方向に対して垂直或いは平行に形成されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、対向壁面55a及び移動壁面67aで形成された制限通路が、高周波域振動に対応した高周波オリフィス15であり、オリフィス部材21の周溝21aによって形成された制限通路が、低周波域振動に対応した低周波オリフィス12となっているが、本発明は、上記した高周波オリフィス15や低周波オリフィス12の共振周波数の設定は適宜変更可能であり、また、対向壁面及び移動壁面で形成された制限通路が低周波域振動に対応するようにチューニングされ、その他に形成される制限通路が高周波域振動に対応するようにチューニングされていてもよい。
また、上記した実施の形態では、主液室7の液圧上昇に伴い正圧弁の逆止弁61が開くことで可動部材51が下方に移動し、高周波オリフィス15における共振周波数が上昇する構成となっているが、本発明は、蓋部53の天壁部59の上面に逆止弁を取り付けて、当該逆止弁を主液室7の液圧低下に伴い開く負圧弁とし、主液室7の液圧低下に伴い逆止弁が開くことで可動部材51が上方に移動し、高周波オリフィス15における共振周波数が低下する構成にすることも可能である。
また、上記した実施の形態では、シリンダ部52の内側と主液室7との液圧差によって逆止弁61が連通孔59bを開閉する構成となっているが、本発明における逆止弁は、入力振動に応じて開閉されるものであればよく、例えば振動の応力が伝達されて開閉される逆止弁を用いることも可能である。
さらに、本発明は、主液室7の液圧によって可動部材51(移動壁面67a)を変位させる構成でなくてもよく、例えばアクチュエータ(駆動機構)を用いて移動壁面を変位させる構成にすることも可能である。この場合、可動部材(移動壁面)を移動させる駆動機構や駆動機構を制御する制御手段が必要であるが、上記した逆止弁61を省略することが可能である。
また、上記した実施の形態では、オリフィス部材21に低周波オリフィス12(第二制限通路)が形成されているが、本発明は、オリフィス部材21以外に第二制限通路が形成されていてもよい。例えば、外筒20の一部に溝加工して第二制限通路を形成してもよく、或いは、ダイヤフラムを保持するダイヤフラムリングのカシメ部分の一部に溝加工して第二制限通路を形成してもよい。
さらに、本発明は、第二制限通路(低周波オリフィス12)を省略することも可能である。例えば、オリフィス部材21、押さえ部材71及びメンブラン72をそれぞれ省略し、外筒20に底筒部材70を嵌合させ、その底筒部材70の外周部にダイヤフラム10を接合させる構成などが考えられる。
また、上記した実施の形態では、第一副液室8と第二副液室9とが底部16によって分離されているが、本発明は、メンブラン72や押さえ部材71を省略して第一副液室8と第二副液室9とを連通させることも可能である。
また、上記した実施の形態では、支持荷重が作用することで主液室7に正圧が作用する圧縮式の防振装置1について説明したが、主液室7が鉛直方向下側に位置しかつ副液室8,9が鉛直方向上側に位置するように取り付けられ、支持荷重が作用することで主液室7に負圧が作用する吊り下げ式の防振装置にも適用可能である。
また、上記した実施の形態では、第一取付部材2が車体(振動受部)に連結され、第二取付部材3がエンジン(振動発生部)に連結されているが、本発明は、第一取付部材2がエンジン(振動発生部)に連結され、第二取付部材3が車体(振動受部)に連結されてもよい。
また、本発明に係る防振装置は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外に防振装置に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントにも適用することも可能である。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1 防振装置
2 第一取付部材
3 第二取付部材
4 弾性体
5 仕切り部材
6 液室
7 主液室
8 第一副液室(副液室、第一副液室)
9 第二副液室(第二副液室)
12 低周波オリフィス(第二制限通路)
15 高周波オリフィス(制限通路、第一制限通路)
50 固定部材
51 可動部材
52 シリンダ部
53 蓋部
55a 対向壁面
62 ピストン部
67a 移動壁面

Claims (3)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第一取付部材、および他方に連結される第二取付部材と、
    前記第一取付部材及び前記第二取付部材を弾性的に連結する弾性体と、
    前記第一取付部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、を備えていると共に、
    該仕切り部材に、前記主液室と前記副液室とを連通すると共に前記液室内の液体が流通することで液柱共振が生じる制限通路が形成された液体封入型の防振装置であって、
    前記仕切り部材には、前記制限通路を画成する移動壁面と、該移動壁面に対向すると共に前記制限通路を画成する対向壁面と、が備えられ、
    前記移動壁面および前記対向壁面のうちの少なくとも一方が、前記移動壁面の移動方向に対して傾斜されていることを特徴とする防振装置。
  2. 請求項1に記載の防振装置において、
    前記仕切り部材には、前記第一取付部材の内側に固定され、筒状のシリンダ部及び該シリンダ部の主液室側の端部に被設された蓋部を有すると共に前記対向壁面が形成された固定部材と、前記シリンダ部の内側に配置されて前記蓋部に対向配置されたピストン部を有すると共に前記移動壁面が形成された可動部材と、が備えられ、
    前記蓋部には、前記シリンダ部の内側及び前記主液室を連通する連通孔と、前記連通孔を開閉する逆止弁と、が設けられていることを特徴とする防振装置。
  3. 請求項1または2に記載の防振装置において、
    前記制限通路が、異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか一方の入力振動に対して液柱共振が生じる第一制限通路となっており、
    前記副液室が、異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか一方の入力振動に対して液柱共振が生じる前記第一制限通路を介して前記主液室に連通された第一副液室と、前記液室内の液体が流通することで異なる周波数域の入力振動のうちのいずれか他方の入力振動に対して液柱共振が生じる第二制限通路を介して前記主液室に連通された第二副液室と、を備えていることを特徴とする防振装置。
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