JP2010275141A - 立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 - Google Patents
立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010275141A JP2010275141A JP2009128409A JP2009128409A JP2010275141A JP 2010275141 A JP2010275141 A JP 2010275141A JP 2009128409 A JP2009128409 A JP 2009128409A JP 2009128409 A JP2009128409 A JP 2009128409A JP 2010275141 A JP2010275141 A JP 2010275141A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nitride semiconductor
- cubic
- seed crystal
- crystal substrate
- substrate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
【解決手段】立方晶の種結晶基板1の表面に、窒化物半導体2が成長しにくい材料で覆い且つ周期的に又はランダムに種結晶基板1の表面が露出した開口部4を有するマスク3を形成し、マスク3の開口部4から窒化物半導体2を成長し、種結晶基板1と局所的に接触した連続膜とした窒化物半導体2を形成する。
【選択図】図2
Description
従来、デバイス応用が報告されている窒化物半導体は、そのほとんど全てが六方晶(ウルツ鉱構造)のC面を表面とするウェハを用いたものである。これらデバイスは、例えばC面を表面に持つサファイアや4H−SiCなどの六方晶系の基板上に、低温GaNバッファ、低温AlNバッファや高温AlNバッファを介して窒化物半導体を成長することで実現されている。この構造により、現在までに青紫レーザーダイオード(LD)、青色LD、青色発光ダイオード(LED)、緑色LEDが実用化されている。
これは、緑色発光するInGaN活性層は、青色の場合のInGaN活性層(典型的には、In組成=0.15)よりも多量にInを含むInGaN層(典型的には、In組成
=0.25)とする必要があるため、緑色発光素子のInGaN活性層の成長温度は、青色発光素子のInGaN活性層よりも低くする必要があって結晶品質が悪くなること、そして通常用いられる下地層のGaNとInGaN活性層との格子不整合が大きくなるため更に結晶品質が悪くなることが原因である。
のと考えられる。
この考えに基づけば、InGaN活性層のIn組成を低く保ったまま、緑色発光を実現しない限り、緑色発光素子の特性向上は不可能であるといわざるを得ないが、このことは、従来の六方晶の窒化物半導体を用いたままでは無理であり、別のより緑色発光に適した材料系を採用する必要があるといえる。
立方晶のGaNのバンドギャップ・エネルギーは3.22eVであり、六方晶のGaN
のバンドギャップ・エネルギー(3.42eV)よりも0.2eV低い。このバンドギャップ・エネルギー差のために、六方晶と立方晶の窒化物半導体で、同じIn組成を持つInGaN活性層を持つLEDあるいはLDを製作した場合には、立方晶の方が六方晶よりも、より長波長での発光が可能となる。例えば、緑色LEDの典型的な発光波長である525nmを得るためには、六方晶のInGaNの場合にはIn組成を0.25程度にする必
要があったのが、立方晶のInGaNを用いた場合にはIn組成は0.2以下で良くなる
。このため、緑色の発光素子の作製に立方晶を用いた場合には、六方晶の場合よりも、高温成長でかつ格子不整合の少ない高品質なInGaN層を活性層として用いることが可能となり、緑色LEDやLDの特性に大幅な改善が見込まれる。
また、種結晶基板の表面の結晶成長の起点となる隣接する領域から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止ないし抑制するボイドを形成することで、立方晶型窒化物半導体ウェハ表面のほぼ全面において立方晶型の窒化物半導体の割合を99%以上にできることを見出した。
更に、上記の立方晶型窒化物半導体の成長中あるいは成長後に、種結晶基板を除去し、立方晶型窒化物半導体自立基板を得ることに成功した。
従来、C面((001)面)あるいはそれに近い面を表面に持つ立方晶型の種結晶上に窒化物半導体を成長した場合、得られる立方晶型の窒化物半導体層には六方晶型の結晶が混入し、立方晶型の窒化物半導体層の表面に、面積比率で10%程度以上の割合でランダムに六方晶結晶が分布したものとなる。
六方晶型の結晶の発生過程を詳細に調べたところ、図1に示すように、立方晶型の種結晶基板1上に六方晶型結晶5が発生するのは、立方晶型の窒化物半導体層2中の歪が大きい場合に限られることが明らかとなった。例えば、種結晶基板1上への窒化物半導体層2の成長初期には、種結晶基板1と窒化物半導体層2との間の格子不整合が大きいため、多くの六方晶型結晶5が導入される。また、成長が進み、窒化物半導体層2が厚くなると(典型的には10μm以上で)、窒化物半導体層2中の歪が大きくなるため、更に六方晶型の結晶5が増殖し始める。発生した六方晶型結晶5が立方晶型の窒化物半導体層2中を伝播する方向に関しては、種結晶基板1の表面が立方晶の(001)面あるいはそれに近い面の場合には、ある起点Pで発生した六方晶型の結晶5が、(001)面と約55度の角
度を成す(111)A面あるいは(111)B面に沿って伸びていくこと(図1参照)も明らかとなった。
(1)種結晶基板表面での窒化物半導体の結晶成長が生じる起点となる領域を制限・限定し、種結晶基板と局所的に接触した窒化物半導体の連続膜を形成する。このような窒化物半導体層は、種結晶基板と局所的にしか接触しないため、その層中のほとんどの部分が種結晶基板からの歪みを受けないように成長することが可能となる。また、種結晶基板と窒化物半導体層が局所的に接触する部分では、歪みの影響で六方晶型結晶が発生するが、その発生位置が限定されているため、表面での六方晶型結晶の出現位置も限定され、結果として六方晶型結晶の割合が低い表面(立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の表面)をある程度の面積(少なくとも100μm四方以上の広さ)の区域を確保することができる(図2参照)。この六方晶型結晶の割合が低い区域の表面に、実用的な発光素子などを形成できる。
マスク3の開口部4の間隔と窒化物半導体層2の膜厚を適切に選ぶと、例えば図2(d)に示したように、最終的に得られるウェハ表面に六方晶結晶5の割合が低い区域・領域Sを確保できる。具体的には、開口部4の間隔をLとし、成長する窒化物半導体層2の厚さをtとした場合、六方晶型結晶5の伝播方向が表面と55度の角度を成すことから、隣り合った開口部4中心からそれぞれ成長した六方晶型結晶5が窒化物半導体層2の表面で会合する理想的な場合、すなわち、t=(L/2)×tan55°≒0.714Lの場合
に、表面での六方晶型結晶5の間隔が最大(L)となり、六方晶の割合が低い領域Sの幅が最大となる。実際の場合には、t<0.8Lの成長膜厚では窒化物半導体層2の表面を
平坦にすることは困難なため、上記の理想的な状態を実現するのは難しい。また、六方晶型結晶5が存在する領域も単なる線ではなくある程度幅を持っており、現実に得られる六方晶型結晶5が少ない区域Sの幅は、計算値よりも狭くなる。実際に実現可能な最良の状態としては、t=0.8L程度の場合で、この場合には窒化物半導体層の表面を平坦とで
き、六方晶の混入率が1%未満の領域が最大(およそ0.9L×0.9L程度)となる。
率を3以下として結晶成長することで実現可能である。
(実施例1)
実施例1では、上記図2に示す実施形態と同様な製造方法により、立方晶型窒化物半導体ウェハを作製した。
種結晶基板1として、(001)面を表面に持つ立方晶(閃亜鉛鉱型)の3インチ径のGaAs基板を準備した。このGaAs基板をアセトン、エタノール、超純水による洗浄の後、プラズマCVD装置に導入し、GaAs基板の裏面に厚さ約30nmのSiO2膜を形成した。このSiO2膜のマスクは、GaAs基板上にGaN層成長中において、GaAs基板裏面からのGaAsの蒸発防止のためのものである。次いで、GaAs基板を上記と同様に洗浄し、再びプラズマCVD装置に導入し、今度はGaAs基板の表面に、マスク3として厚さ約30nmのSiO2膜を形成した。その後、ホトリソグラフィーおよびフッ酸によるエッチングにより、GaAs基板の表面側のSiO2膜に、図5に示すように周期的に2次元的に配置させて正方形状の開口部4を形成した。本実施例では、開口部4のサイズdは10μm角であり、隣り合う開口部4の間隔Lは200μmとし、開口部4が[110]方向および[−110]方向に沿って並ぶように形成した。
次に、上記のGaAs基板を、ハイドライド気相成長(HVPE)装置に導入し、GaAs基板上に窒化物半導体層2としてGaN層を成長した。V族原料としてはNH3を、III族原料としては、HVPE装置内で800℃程度の温度で加熱した金属GaにHCl
ガスを導入することで発生するGaClガスを供給した。また、NH3ガス、HClガスと共に、窒素および水素の混合ガスをキャリアガスとして供給した。
GaN層の成長手順は以下の通りである。まず、窒素5slm(standard liter/min)、水素1slmを供給しながら、基板温度を600℃まで上昇し、GaAs基板表面の酸化膜を除去する。次に、基板温度を600℃に保ちつつ、NH3を800sccm(standard cc/min)、GaClを40sccm供給し、GaN層を30nm成長した。その後
、GaClの供給を止め、基板温度を1100℃まで上昇した後に、再びGaClを250sccm供給しGaN層を合計で200μm成長した。成長終了後にGaClの供給を止め、基板温度を室温付近まで下げた後に、NH3の供給を停止した。
この実施例1では、結晶成長は図2に示すように進行しており、平坦な表面のGaN層が得られていた。また六方晶型結晶は、隣り合う開口部4の中間の位置の表面に[110]方向および[−110]方向に沿った線状の領域として出現していた。また、これらの六方晶型結晶が集中した領域の間、すなわちマスク開口部4の上方に位置する領域には、正方形状の六方晶型結晶の少ない領域が存在していた。この六方晶の混入率が1%未満の領域の広さは100μm四方であり、その領域における六方晶混入率は0.7%であった
。すなわち、立方晶型の窒化物半導体の割合が99.3%であった。窒化物半導体の表面
における立方晶、六方晶の結晶型の測定は、X線回折測定によって行った。具体的には、立方晶GaNの(111)回折と六方晶GaNの(0001)回折の積分強度比を、立方
晶、六方晶の割合として求めた。
実施例1と同様の実験を、窒化物半導体層2としてGaN層の厚さを変えて行った。GaN層の成長膜厚tが160μm未満では平坦な表面が得られなかった。成長膜厚tが160μmの場合、六方晶の混入率が1%未満の区域・領域Sが最も広くなり、そのサイズは180μm四方であった。成長膜厚tを160μmよりも大きくしていくと、次第に六方晶の混入率が1%未満の区域Sが狭くなり、成長膜厚tが200μmの場合で100μm四方であった(実施例1の場合)。更に成長膜厚tを増やすと、六方晶の混入率が1%未満の区域Sは更に狭く100μm四方よりも小さくなり、現実的な発光素子を形成するのは困難な大きさとなった。六方晶混入率の観点から言うと、成長膜厚tが160μmの場合には0.2%であったのが、成長厚tを増やすと、六方晶の混入が少ない表面領域が
狭くなるとともに、六方晶の混入率は次第に増加していった。
実施例2と同様の実験を、実施例3では、マスク開口部4の間隔を変えて行った。その結果、ある特定のマスク開口部4の間隔Lの場合に、成長するGaN層の厚さをtとした場合、t/L=0.8の場合に、平坦な表面を持ち、且つ、六方晶の混入率が1%未満の
領域が最大(およそ0.9L×0.9L程度)となることが明らかとなった。また、GaN層の成長厚を0.8Lよりも大きくしていくと、実施例2と同様に次第に六方晶の混入率
が1%未満の領域が狭くなっていき、例えば、L=200、300、400、500μmの場合には、それぞれt=200、330、500、620μm以上では、混入率が1%未満の領域が100μm四方よりも小さくなり、現実的な発光素子を形成するのは困難な大きさとなった。
実施例1〜3と同様の実験を、図6に示す凹凸を有する表面のGaAs基板に対してGaN層の成長を行ったところ、ほぼ同様の結果が得られた。なお、GaAs基板の表面への凹凸の形成は、ホトリソグラフィー及びエッチングを用いて行った。具体的には、GaAs基板表面にフォトレジストパターンを形成し、その後レジストをマスクとして、H2SO4:H2O2:H2O=5:1:1、あるいはNH4OH:H2O2=1:1等のエッチング液でGaAsをエッチングする。
図5、図6に示すように、マスク開口部や凹凸を形成する際に、ホトリソグラフィーによる規則的なマスクパターンではなく、TiOからなる微粒子を種結晶基板の表面に吹き付けて形成したランダムな分布の開口を有するマスクを用いると、ランダムな配置のマスク開口部や凸部を有する種結晶基板が形成される。吹き付ける微粒子の密度によって開口部あるいは凸部の平均間隔を制御し、これを用いて実施例1〜4と同様の実験を行った。その結果、実施例1〜4とほぼ同様の結果を得た。
実施例6では、実施例1と同様の実験を、1100℃でGaNを成長する際のNH3流量を200sccm、GaCl流量を250sccmとして行った。この場合、成長は図3に示す様に進行し、マスク開口部の間隔をL、成長するGaN層の厚さをtとした場合、t>Lの場合に平坦な表面が得られ、窒化物半導体層と種結晶基板の界面に図3に示したようなボイドが形成された。この場合には、ボイドにより六方晶型結晶の表面側への伝播が阻害されるため、実施例1〜5で見られたような、六方晶型結晶が密集する領域は表面で見られなかった。すなわち、立方晶型の窒化物半導体ウェハの表面全体において六方晶型結晶の混入率は1%未満であった。
実施例6と同様の実験を、様々なマスク開口部の間隔L(100〜10000μm)、GaN層の厚さt(100〜10000μm)に対して行ったところ、実施例6と同様の結果を得た。この場合には、GaN層の表面での六方晶混入率は0.9%(L=100μ
m、t=110μm)から0.001%(L>300μm、t>800μm)の間であっ
た。すなわち、立方晶型の窒化物半導体の割合が99.1%から99.999%のものを製造することができた。
実施例7と同様の実験を、図6に示す凹凸加工を施したGaAs基板を用いて行った。この場合には、成長は図4に示すように進行したが、最終的に得られる立方晶型窒化物半導体ウェハは実施例7と同様であった。
実施例7,8と同様の実験を、実施例5と同様にTiOの微粒子をマスクとして形成したランダムに配置された開口部あるいは凸部を持つGaAs基板に対して行った。この場合も、実施例7、8と同様の結果が得られた。
実施例1〜9と同様の実験を、表面が(001)面より、[110]方向、[−110]方向、[100]方向、あるいはこれら方向の中間の方向に、0〜40度傾いたGaAs基板を用いて行った。その結果、角度が20度以下の場合には、GaN層の表面がGaAs基板と同じ傾きを持つ以外は、実施例1〜9とほぼ同様の結果が得られた。しかし、角度が20度よりも大きい場合には、GaN層の表面における六方晶型結晶の割合が従来と同程度(〜10%)にまで増加した。
実施例1〜10と同様の実験を、何種類かの異なる配置・構造のHVPE装置で行った。具体的には、原料ガスGaCl、NH3が水平方向に流れる横型の成長炉を備えたHVPE装置と、原料ガスGaCl、NH3が鉛直下方に流れる縦型の成長炉を備えたHVPE装置を用いた。横型の成長炉としては、円盤状のサセプタ上に取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が垂直になるように支持するタイプと、円盤状のサセプタ上に取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が平行になるように配置するタイプとの2種類のもので行った。縦型の成長炉としては、角錐体状のサセプタの各側面に取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が斜めになるように配置するタイプ(バレル型)と、円盤状のサセプタに取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が垂直になるように配置するタイプ(パンケーキ型)との2種類のもので行った。
その結果、成長条件に若干の相違はあったものの、温度および窒素、水素、原料ガスGaCl、NH3の流量を適宜調整することで、実施例1〜10と同様の結果を得た。
実施例1〜11で得た立方晶型GaNウェハのうち、GaN層の厚さが700μm以上のものに関しては、成長中にGaN層とGaAs基板が分離していた。GaNの成長中には、ウェハ外周部よりGaN層とGaAs基板の界面に水素ガスが侵入しエッチングが進行している。GaNの成長時間が長い場合には、エッチングにより、GaN層とGaAs基板が分離されてしまうのである。GaN層の厚さが薄い場合には、成長中にはGaN層とGaAs基板は分離されない。しかしながら、この場合においても、成長後に硫酸を用
いてGaAs基板を除去することで、GaN自立基板が得られた。これらGaN自立基板の六方晶型結晶の混入率が1%未満の領域での転位密度は、最も薄いGaN自立基板で5×107/cm2、最も厚いGaN自立基板で2×104/cm2であった。
実施例1〜11で得た立方晶型GaNウェハの表面は、成長時に発生する微少なファセット面を含み、各ウェハの立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の領域であっても、50μm四方の領域で測定した表面荒さのRMS値は5nm程度であった。
上記立方晶型GaNウェハの表面平坦性を向上するために、上記GaNウェハの表面を研磨した。研磨は、上記GaNウェハの裏面側を研磨台にワックスにより接着し、ウェハの表面側をダイヤモンドスラリーを塗布した平坦面に押し付け、ウェハ・平坦面の双方を回転することにより実施した。
上記研磨の結果、立方晶型のGaNの割合が99%以上の領域においては、50μm四方の領域で測定した表面粗さのRMS値が1nm以下となった。従来法で製作した10%程度の六方晶を含むGaNウェハを、同じ工程で研磨した場合、50μm四方の領域で測定した表面粗さのRMS値は3nm程度であった。従来法では、50μm四方で測定した領域に不可避的に10%以上の六方晶を含み、立方晶と六方晶の間には研磨速度差による段差が生じるため、RMS値が大きくなる。一方、本発明の実施例のGaNウェハの場合には、立方晶と六方晶の研磨速度差による段差が生じ難いので、研磨後のウェハ表面の平坦性が格段に向上する。
上記の表面が研磨されたGaNウェハのうち、実施例12と同様にGaAs基板を分離したものの一部は、表面研磨に先立ち裏面の研磨も実施し、3インチ径の両面が鏡面の立方晶GaN自立基板を得た。また他の一部については、裏面研磨の後に、NH4OHによるエッチングにより裏面を粗面化することで、表面が鏡面で裏面が粗面の3インチ径の立方晶GaN自立基板を得た。
実施例1〜13と同様の実験を、GaN以外の窒化物半導体として、AlN、AlGaN、InN、InGaNに対して実施した。細かな成長条件は、それぞれの材料に対して調整が必要であったが、得られた結果は、実施例1〜12とほぼ同等であった。
本発明は、上記実施例のように、HVPE装置を用いた場合にのみ限定されるものでは無く、同様の手法は、窒化物半導体層を有機金属気相成長法あるいは分子線エピタキシー法などの他の気相成長法で成長する場合にも有効である。
本発明は、気相成長法を用いた場合にのみ限定されるものでは無く、高圧合成法、Naフラックス法、昇華法や安熱合成法といった閉鎖系での結晶成長法により、窒化物半導体層を成長する場合にも有効である。
上記実施例では、マスク材料としてSiO2を用いたが、マスク材料としては結晶成長の環境で窒化物半導体の付着率が低くかつ、結晶成長の環境に耐えるものであれば、何であろうと構わない。SiO2以外には、例えばSiN、Ti、Ni、Wなどが挙げられる。
上記実施例では、基板としてGaAsを用いたが、これ以外の立方晶型の結晶基板を用いても良い。立方晶型の結晶基板としては、例えばSi、3C−SiC、GaP、InP、InAs、AlAs、AlPなどが挙げられる。
上記の実施例に示した手法で製作した立方晶型窒化物半導体ウェハを種結晶基板として、再度、上記の実施例の手法を繰り返しても良い。この場合には、種結晶基板と窒化物半導体層の間の歪が無視できるため、より一層、六方晶型結晶混入率を抑制できる(六方晶型結晶の混入率を0.1%以下にすることが可能である)。
本発明により実現される立方晶型窒化物半導体ウェハ上に、InGaN活性層を形成することで、高効率な緑色発光素子が実現される。例えば、上記実施例の立方晶型窒化物半導体ウェハ上に形成した純緑色(波長525nm)LEDは、20mA通電時の電圧が2.4V、発光出力が10mWであった。従来のC面の六方晶窒化物半導体ウェハを用いた
場合には、20mA通電時の電圧が3.3V、発光出力が5mWであったので、本発明に
より大幅な低電圧化、高効率化が達成された。
更に、上記実施例の立方晶型窒化物半導体自立基板を用いることで、純緑色LDの室温連続発振にも成功している。
また、上記実施例で得られた、六方晶型結晶の密集領域と、六方晶型結晶の混入が少ない領域を合わせ待つ立方晶型窒化物半導体ウェハ上に発光素子を形成することで、1枚の基板上に2種類の波長(例えば、青と緑、青紫と青など)で発光する発光素子を同時に形成することが可能となる。
2 窒化物半導体層
3 マスク
4 開口部
5 六方晶型結晶
6 ボイド
Claims (10)
- 結晶成長の起点となる領域を局所的に制限した表面を有する立方晶の種結晶基板上に窒化物半導体を成長し、前記種結晶基板と局所的に接触した窒化物半導体の連続膜と成すことで得られる、少なくとも100μm四方以上の広さで立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上である区域を表面に有することを特徴とする立方晶型窒化物半導体ウェハ。
- 前記種結晶基板の表面の隣接する前記領域から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
- 前記立方晶型の窒化物半導体の表面が、立方晶の(001)面であることを特徴とする請求項1または2に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
- 前記立方晶型の窒化物半導体の表面が、立方晶の(001)面から20度以内の角度で傾いた面であることを特徴とする請求項1または2に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
- 立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の表面の前記区域において、50μm四方の範囲で測定した表面粗さのRMS値が1nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
- 立方晶の種結晶基板の表面に、窒化物半導体が成長しにくい材料で覆い且つ周期的に又はランダムに前記種結晶基板の表面が露出した開口部を有するマスクを形成し、
前記マスクの前記開口部から窒化物半導体を成長し、前記種結晶基板と局所的に接触した連続膜とした窒化物半導体を形成することを特徴とする立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。 - 前記開口部から成長する窒化物半導体の結晶の断面が結晶成長方向に向かって拡大するような条件で成長させて、隣接する前記開口部から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドを形成するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。
- 立方晶の種結晶基板の表面に、周期的に又はランダムに凹凸を形成し、
前記種結晶基板表面の前記凹凸の隣接する凸部から成長した窒化物半導体を融合させて連続膜とした窒化物半導体を形成することを特徴とする立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。 - 隣接する前記凸部から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドを形成するようにしたことを特徴とする請求項8に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法により、前記連続膜の窒化物半導体を形成した後であって、前記窒化物半導体の成長中あるいは成長終了後に、前記種結晶基板を除去して立方晶型窒化物半導体自立基板を製造する立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009128409A JP5206985B2 (ja) | 2009-05-28 | 2009-05-28 | 立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009128409A JP5206985B2 (ja) | 2009-05-28 | 2009-05-28 | 立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010275141A true JP2010275141A (ja) | 2010-12-09 |
JP5206985B2 JP5206985B2 (ja) | 2013-06-12 |
Family
ID=43422465
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009128409A Expired - Fee Related JP5206985B2 (ja) | 2009-05-28 | 2009-05-28 | 立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5206985B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014118346A (ja) * | 2012-12-14 | 2014-06-30 | Seoul Viosys Co Ltd | 基板分離成長のための空洞を有するエピタキシャル層ウエハ及びそれを用いて製造された半導体素子 |
WO2014168436A1 (ko) * | 2013-04-10 | 2014-10-16 | 주식회사 소프트에피 | 3족 질화물 반도체 적층체 |
KR101504731B1 (ko) | 2012-11-30 | 2015-03-23 | 주식회사 소프트에피 | 3족 질화물 반도체 적층체 |
CN108470674A (zh) * | 2018-01-16 | 2018-08-31 | 长春理工大学 | 一种利用应力调控实现纯相GaAs纳米线的制备方法 |
CN114361946A (zh) * | 2020-10-13 | 2022-04-15 | 精工爱普生株式会社 | 发光装置及投影仪 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004193371A (ja) * | 2002-12-11 | 2004-07-08 | Nec Corp | Iii族窒化物自立基板およびそれを用いた半導体素子ならびにそれらの製造方法 |
JP2010092917A (ja) * | 2008-10-03 | 2010-04-22 | Seiko Epson Corp | 半導体装置の製造方法、半導体装置 |
-
2009
- 2009-05-28 JP JP2009128409A patent/JP5206985B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004193371A (ja) * | 2002-12-11 | 2004-07-08 | Nec Corp | Iii族窒化物自立基板およびそれを用いた半導体素子ならびにそれらの製造方法 |
JP2010092917A (ja) * | 2008-10-03 | 2010-04-22 | Seiko Epson Corp | 半導体装置の製造方法、半導体装置 |
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
JPN6013002858; Masaki Nagahara et al.: 'Selective Growth of Cubic GaN in Small Areas on Patterned GaAs(100) Substrates by Metalorganic Vapor' Japanese Journal of Applied Physics Vol.33, 199401, pp.694-697 * |
JPN6013002862; Jun Wu et al.: 'Selective Growth of Cubic GaN on Patterned GaAs(100) Substrates by Metalorganic Vapor Phase Epitaxy' physica status solidi 176, 19991116, 557-560 * |
JPN6013002863; Yi Fu et al.: 'Epitaxial lateral overgrowth of cubic GaN by metalorganic chemical vapor deposition' Journal of Crystal Growth 225, 2001, 45-49 * |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101504731B1 (ko) | 2012-11-30 | 2015-03-23 | 주식회사 소프트에피 | 3족 질화물 반도체 적층체 |
JP2014118346A (ja) * | 2012-12-14 | 2014-06-30 | Seoul Viosys Co Ltd | 基板分離成長のための空洞を有するエピタキシャル層ウエハ及びそれを用いて製造された半導体素子 |
WO2014168436A1 (ko) * | 2013-04-10 | 2014-10-16 | 주식회사 소프트에피 | 3족 질화물 반도체 적층체 |
CN108470674A (zh) * | 2018-01-16 | 2018-08-31 | 长春理工大学 | 一种利用应力调控实现纯相GaAs纳米线的制备方法 |
CN114361946A (zh) * | 2020-10-13 | 2022-04-15 | 精工爱普生株式会社 | 发光装置及投影仪 |
CN114361946B (zh) * | 2020-10-13 | 2024-02-20 | 精工爱普生株式会社 | 发光装置及投影仪 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5206985B2 (ja) | 2013-06-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5815144B2 (ja) | 窒化物半導体発光ダイオード素子 | |
US8963165B2 (en) | Nitride semiconductor structure, nitride semiconductor light emitting element, nitride semiconductor transistor element, method of manufacturing nitride semiconductor structure, and method of manufacturing nitride semiconductor element | |
JP3987660B2 (ja) | 窒化物半導体構造とその製法および発光素子 | |
JP4475358B1 (ja) | GaN系半導体光素子、GaN系半導体光素子を作製する方法、及びエピタキシャルウエハ | |
US20100059759A1 (en) | Nitride semiconductor light emitting device and method for forming the same | |
JP6121806B2 (ja) | 窒化物半導体ウェーハ、窒化物半導体素子及び窒化物半導体ウェーハの製造方法 | |
JP2007019318A (ja) | 半導体発光素子、半導体発光素子用基板の製造方法及び半導体発光素子の製造方法 | |
JP5509680B2 (ja) | Iii族窒化物結晶及びその製造方法 | |
TW201638378A (zh) | Iii族氮化物積層體及具有該積層體之發光元件 | |
JP6910341B2 (ja) | 縦型紫外発光ダイオード | |
JP2005314121A (ja) | 単結晶サファイア基板とその製造方法及び半導体発光素子 | |
JP5206985B2 (ja) | 立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 | |
US20140054605A1 (en) | Composite Substrates, Light Emitting Devices and a Method of Producing Composite Substrates | |
JP6704387B2 (ja) | 窒化物半導体成長用基板及びその製造方法、並びに半導体デバイス及びその製造方法 | |
JP2004327655A (ja) | 窒化物半導体レーザ素子、その製造方法および半導体光学装置 | |
TWI520325B (zh) | Manufacture of nitride semiconductor structures | |
JP5644996B2 (ja) | 窒化物光半導体素子 | |
JP5392885B2 (ja) | ZnO系半導体素子 | |
JP4016062B2 (ja) | 窒化物半導体構造とその製造方法および発光素子 | |
JP5015480B2 (ja) | 半導体単結晶基板の製造方法 | |
JP5206854B2 (ja) | GaN系半導体レーザ、GaN系半導体レーザを作製する方法 | |
JP2004165550A (ja) | 窒化物半導体素子 | |
JP5080820B2 (ja) | 窒化物半導体構造とその製造方法および発光素子 | |
JP2006347832A (ja) | GaN系化合物半導体層の形成方法、及び、GaN系半導体発光素子の製造方法 | |
JP2009253047A (ja) | Iii族窒化物発光素子及びエピタキシャルウエハ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110826 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120824 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120918 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121116 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130123 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130205 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |