JP2010275141A - 立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 - Google Patents

立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実用的な発光効率を有する緑色発光デバイスを実現可能な立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法を提供する。
【解決手段】立方晶の種結晶基板1の表面に、窒化物半導体2が成長しにくい材料で覆い且つ周期的に又はランダムに種結晶基板1の表面が露出した開口部4を有するマスク3を形成し、マスク3の開口部4から窒化物半導体2を成長し、種結晶基板1と局所的に接触した連続膜とした窒化物半導体2を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、青色、緑色、紫外発光ダイオード、レーザーダイオードなどの発光デバイス、あるいは電子デバイスなどの結晶成長用の基板として用いられ、特に緑色発光デバイスの作製に好適な立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法に関する。
GaNに代表される窒化物半導体は、青、緑および紫外発光デバイス材料として注目されている。
従来、デバイス応用が報告されている窒化物半導体は、そのほとんど全てが六方晶(ウルツ鉱構造)のC面を表面とするウェハを用いたものである。これらデバイスは、例えばC面を表面に持つサファイアや4H−SiCなどの六方晶系の基板上に、低温GaNバッファ、低温AlNバッファや高温AlNバッファを介して窒化物半導体を成長することで実現されている。この構造により、現在までに青紫レーザーダイオード(LD)、青色LD、青色発光ダイオード(LED)、緑色LEDが実用化されている。
現状の窒化物半導体技術の課題としては、窒化物半導体による緑色LEDの効率が低く、同じく窒化物半導体による青色LEDやInGaAsP系の赤色LEDの半分の効率しか得られない点が挙げられる。またLDに関しても同様な状況にあり、窒化物半導体による青色LDおよびInGaAsP系の材料による赤色LDが既に実現されているが、窒化物半導体を用いた純緑色(波長〜520nm)LDにおいては室温レーザー発振がいまだ達成されていない。
これは、緑色発光するInGaN活性層は、青色の場合のInGaN活性層(典型的には、In組成=0.15)よりも多量にInを含むInGaN層(典型的には、In組成
=0.25)とする必要があるため、緑色発光素子のInGaN活性層の成長温度は、青色発光素子のInGaN活性層よりも低くする必要があって結晶品質が悪くなること、そして通常用いられる下地層のGaNとInGaN活性層との格子不整合が大きくなるため更に結晶品質が悪くなることが原因である。
窒化物半導体の発光波長を長波長化するために、近年、六方晶ではあるが従来のC面では無くM面を表面に持つ窒化物半導体を用いるという試みが、数多くの研究機関でなされている(例えば、非特許文献1参照)。C面は極性を持つため、C面を表面に持つGaN上にInGaN活性層を成長すると、歪みに伴うピエゾ電界により、電子と正孔が分離され発光効率が低下すると言われている。一方、極性を持たないM面を表面とするGaN上にInGaN活性層を成長した場合には、ピエゾ電界は現れない。C面で現れるピエゾ電界は、InGaN活性層と下地の間の歪が大きいほど大きくなるので、紫色や青色発光素子よりもInGaN活性層のIn組成が大きく歪が大きい緑色発光素子において、発光効率が顕著に低下すると想定される。上記の各研究機関で盛んに行われているM面上の窒化物半導体発光素子の研究は、このピエゾ電界の存在が、従来の緑色発光素子の発光効率低下の主要因と考えたためである。
しかしながら、これまでのM面上の発光素子の報告を見る限り、LEDの効率や、LDの発振波長・閾値電流などの諸特性は、ほぼC面上に製作したものと同等程度のものしか実現されていない。このことは、ピエゾ電界では無く、むしろIn組成の大きいInGaN活性層を用いることに伴う、低い成長温度及び大きな格子不整合による結晶性の劣化が、窒化物半導体発光素子の緑色領域での特性を支配しているということを示唆しているも
のと考えられる。
この考えに基づけば、InGaN活性層のIn組成を低く保ったまま、緑色発光を実現しない限り、緑色発光素子の特性向上は不可能であるといわざるを得ないが、このことは、従来の六方晶の窒化物半導体を用いたままでは無理であり、別のより緑色発光に適した材料系を採用する必要があるといえる。
そのような材料系の有望な候補として、立方晶の窒化物半導体が挙げられる。窒化物半導体は六方晶(ウルツ鉱構造)が最も安定な構造ではあるが、準安定状態として立方晶(閃亜鉛鉱構造)の窒化物半導体も存在している。立方晶の窒化物半導体は、実験的にも不完全な結晶ではあるものの、既に様々な方法で成長されている(例えば、非特許文献2〜4参照)。
立方晶のGaNのバンドギャップ・エネルギーは3.22eVであり、六方晶のGaN
のバンドギャップ・エネルギー(3.42eV)よりも0.2eV低い。このバンドギャップ・エネルギー差のために、六方晶と立方晶の窒化物半導体で、同じIn組成を持つInGaN活性層を持つLEDあるいはLDを製作した場合には、立方晶の方が六方晶よりも、より長波長での発光が可能となる。例えば、緑色LEDの典型的な発光波長である525nmを得るためには、六方晶のInGaNの場合にはIn組成を0.25程度にする必
要があったのが、立方晶のInGaNを用いた場合にはIn組成は0.2以下で良くなる
。このため、緑色の発光素子の作製に立方晶を用いた場合には、六方晶の場合よりも、高温成長でかつ格子不整合の少ない高品質なInGaN層を活性層として用いることが可能となり、緑色LEDやLDの特性に大幅な改善が見込まれる。
Kuniyoshi Okamoto et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol.46(2007), pp.L820-L822. Mutsumi Sugiyama et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol.43(2004), pp.106-110. Harutoshi Tsuchiya et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol.36(1997), pp.L1-L3. S.V.Novikov et al., Journal of Crystal Growth, Vol.310(2008), pp.3964-3967.
しかしながら、これまでに、立方晶型の窒化物半導体を用いて実用的な発光デバイスが実現されたという報告はまだない。実用デバイスへの応用に際して、最も障害となっているのは、立方晶の窒化物半導体への六方晶型結晶の混入である。これまでGaAsや3C−SiCなどの立方晶系の基板上に立方晶GaN薄膜の成長が報告されているが、いずれの場合も10%以上の割合で六方晶のGaNが表面にランダムに分布したものしか得られていないのが現状である(非特許文献2〜4参照)。立方晶と六方晶が混在している表面の上に発光素子構造を成長すると、立方晶の部分と六方晶の部分に成長したInGaN活性層が、それぞれ異なった波長で発光する。このため、例えば緑色LEDを製作しようとしても、青緑がかった発光しか得られないことになる。また、緑色LDを製作しようとした場合にも、発光の単色性が悪いと高い利得が得られないため、閾値電流が極めて高くなり室温でのレーザー発振は不可能である。
本発明は、実用的な発光効率を有する緑色発光デバイスを実現可能な立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、結晶成長の起点となる領域を局所的に制限した表面を有する立方晶の種結晶基板上に窒化物半導体を成長し、前記種結晶基板と局所的に接触した窒化物半導体の連続膜と成すことで得られる、少なくとも100μm四方以上の広さで立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上である区域を表面に有することを特徴とする立方晶型窒化物半導体ウェハである。
本発明の第2の態様は、第1の態様の立方晶型窒化物半導体ウェハにおいて、前記種結晶基板の表面の隣接する前記領域から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドが形成されている。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の立方晶型窒化物半導体ウェハにおいて、前記立方晶型の窒化物半導体の表面が、立方晶の(001)面である。
本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様の立方晶型窒化物半導体ウェハにおいて、前記立方晶型の窒化物半導体の表面が、立方晶の(001)面から20度以内の角度で傾いた面である。
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれかの立方晶型窒化物半導体ウェハにおいて、立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の表面の前記区域において、50μm四方の範囲で測定した表面粗さのRMS値が1nm以下である。
本発明の第6の態様は、立方晶の種結晶基板の表面に、窒化物半導体が成長しにくい材料で覆い且つ周期的に又はランダムに前記種結晶基板の表面が露出した開口部を有するマスクを形成し、前記マスクの前記開口部から窒化物半導体を成長し、前記種結晶基板と局所的に接触した連続膜とした窒化物半導体を形成する立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法である。
本発明の第7の態様は、第6の態様の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法において、前記開口部から成長する窒化物半導体の結晶の断面が結晶成長方向に向かって拡大するような条件で成長させて、隣接する前記開口部から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドを形成するようにした。
本発明の第8の態様は、立方晶の種結晶基板の表面に、周期的に又はランダムに凹凸を形成し、前記種結晶基板表面の前記凹凸の隣接する凸部から成長した窒化物半導体を融合させて連続膜とした窒化物半導体を形成する立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法である。
本発明の第9の態様は、第8の態様の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法において、隣接する前記凸部から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドを形成するようにした。
本発明の第10の態様は、第6〜第9の態様のいずれかの立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法により、前記連続膜の窒化物半導体を形成した後であって、前記窒化物半導体の成長中あるいは成長終了後に、前記種結晶基板を除去して立方晶型窒化物半導体自立基板を製造する立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法である。
本発明によれば、実用的な発光効率を有する緑色発光デバイスを実現可能な立方晶型窒化物半導体ウェハ、立方晶型窒化物半導体自立基板が得られる。
立方晶型窒化物半導体中に混入する六方晶型結晶の伝播を説明する模式図である。 本発明の一実施形態及び一実施例に係る立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法の工程を模式的に示す工程図である。 本発明の他の実施形態及び実施例に係る立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法の工程を模式的に示す工程図である。 本発明の他の実施形態及び実施例に係る立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法の工程を模式的に示す工程図である。 本発明の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造に用いられる、表面に2次元的に周期的に並んだ開口部を有するマスクが形成された種結晶基板の斜視図である。 本発明の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造に用いられる、表面に2次元的に周期的に並んだ凹凸を持つ種結晶基板の斜視図である。
以下に、本発明に係る立方晶型窒化物半導体ウェハ及びその製造方法、並びに立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法の一実施形態を説明する。
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、種結晶となる立方晶型の結晶基板の表面に、開口部を有するマスク(窒化物半導体が成長しにくい材料)を形成し、あるいは凹凸形状を形成し、またはそれら両方を形成して、結晶成長の起点となる領域を制限した表面を有する種結晶基板上に窒化物半導体を成長し、窒化物半導体を種結晶基板と局所的に接触した連続膜と成すことで、少なくとも100μm四方以上の広さで立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上である区域を表面に持つ立方晶型窒化物半導体ウェハが得られることを見出した。
また、種結晶基板の表面の結晶成長の起点となる隣接する領域から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止ないし抑制するボイドを形成することで、立方晶型窒化物半導体ウェハ表面のほぼ全面において立方晶型の窒化物半導体の割合を99%以上にできることを見出した。
更に、上記の立方晶型窒化物半導体の成長中あるいは成長後に、種結晶基板を除去し、立方晶型窒化物半導体自立基板を得ることに成功した。
以下に、より具体的に本発明の内容を説明する。
従来、C面((001)面)あるいはそれに近い面を表面に持つ立方晶型の種結晶上に窒化物半導体を成長した場合、得られる立方晶型の窒化物半導体層には六方晶型の結晶が混入し、立方晶型の窒化物半導体層の表面に、面積比率で10%程度以上の割合でランダムに六方晶結晶が分布したものとなる。
六方晶型の結晶の発生過程を詳細に調べたところ、図1に示すように、立方晶型の種結晶基板1上に六方晶型結晶5が発生するのは、立方晶型の窒化物半導体層2中の歪が大きい場合に限られることが明らかとなった。例えば、種結晶基板1上への窒化物半導体層2の成長初期には、種結晶基板1と窒化物半導体層2との間の格子不整合が大きいため、多くの六方晶型結晶5が導入される。また、成長が進み、窒化物半導体層2が厚くなると(典型的には10μm以上で)、窒化物半導体層2中の歪が大きくなるため、更に六方晶型の結晶5が増殖し始める。発生した六方晶型結晶5が立方晶型の窒化物半導体層2中を伝播する方向に関しては、種結晶基板1の表面が立方晶の(001)面あるいはそれに近い面の場合には、ある起点Pで発生した六方晶型の結晶5が、(001)面と約55度の角
度を成す(111)A面あるいは(111)B面に沿って伸びていくこと(図1参照)も明らかとなった。
これらの六方晶型結晶に関する知見に基づき、本発明者は、六方晶型結晶の混入が少ない立方晶型窒化物半導体の表面を得る以下の2つの方法を考案した。
(1)種結晶基板表面での窒化物半導体の結晶成長が生じる起点となる領域を制限・限定し、種結晶基板と局所的に接触した窒化物半導体の連続膜を形成する。このような窒化物半導体層は、種結晶基板と局所的にしか接触しないため、その層中のほとんどの部分が種結晶基板からの歪みを受けないように成長することが可能となる。また、種結晶基板と窒化物半導体層が局所的に接触する部分では、歪みの影響で六方晶型結晶が発生するが、その発生位置が限定されているため、表面での六方晶型結晶の出現位置も限定され、結果として六方晶型結晶の割合が低い表面(立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の表面)をある程度の面積(少なくとも100μm四方以上の広さ)の区域を確保することができる(図2参照)。この六方晶型結晶の割合が低い区域の表面に、実用的な発光素子などを形成できる。
(2)上記(1)と同様に、種結晶基板の表面での窒化物半導体の結晶成長が生じる起点となる領域を制限・限定することで、種結晶基板と局所的に接触した窒化物半導体の連続膜を形成し、窒化物半導体層中の歪みを局所的なものにする。更に、六方晶型結晶の伝播経路上に結晶成長を停止または抑制する機構となるボイド(空隙)を形成することで、窒化物半導体層の表面への六方晶結晶の伝播を防止または低減し、結果として表面全面での六方晶型結晶の割合を低減する(図3参照)。
図2、図3に示す実施形態においては、結晶成長の起点を限定するために、種結晶基板1の表面を開口部4のあるマスク3で覆っている(図2(a)、図3(a))。マスク3の材料としては、その上に窒化物半導体が成長・付着しにくい、SiO、SiN、Ti、Ni、Wなどが適している。このマスク3で覆われた種結晶基板1上に窒化物半導体を成長すると、マスク3上へは結晶成長しにくいため、窒化物半導体はマスク3の開口部4にのみ成長する(図2(b)、図3(b))。種結晶基板1はGaAs等の立方晶型の基板であり、その表面は立方晶の(001)面あるいはそれに近い面であるので、開口部4には立方晶の窒化物半導体2が成長する。開口部4に露出した種結晶基板1の表面から成長した立方晶の窒化物半導体2はマスク3上方へも横方向に成長し(図2(c)、図3(c))、隣接する開口部4から成長した立方晶の窒化物半導体2は融合して連続した連続膜(窒化物半導体層)2となる(図2(c)、(d)、図3(d))。なお、図2(c)、(d)および図3(c)、(d)において、点線は立方晶型窒化物半導体2の成長途中での断面形状を示す。
マスク3の開口部4に成長する立方晶窒化物半導体2の結晶中には、上述したように、六方晶型の窒化物半導体結晶5が混入し、それが種結晶基板1表面の(001)面と約55度の角度をなして表面側に伝播していく。マスク3の開口部4から遠い部分に成長した窒化物半導体層2は、種結晶基板1と接触せずほぼ無歪みであるため、この領域では六方晶型の結晶5の発生が抑制される。
マスク3の開口部4の間隔と窒化物半導体層2の膜厚を適切に選ぶと、例えば図2(d)に示したように、最終的に得られるウェハ表面に六方晶結晶5の割合が低い区域・領域Sを確保できる。具体的には、開口部4の間隔をLとし、成長する窒化物半導体層2の厚さをtとした場合、六方晶型結晶5の伝播方向が表面と55度の角度を成すことから、隣り合った開口部4中心からそれぞれ成長した六方晶型結晶5が窒化物半導体層2の表面で会合する理想的な場合、すなわち、t=(L/2)×tan55°≒0.714Lの場合
に、表面での六方晶型結晶5の間隔が最大(L)となり、六方晶の割合が低い領域Sの幅が最大となる。実際の場合には、t<0.8Lの成長膜厚では窒化物半導体層2の表面を
平坦にすることは困難なため、上記の理想的な状態を実現するのは難しい。また、六方晶型結晶5が存在する領域も単なる線ではなくある程度幅を持っており、現実に得られる六方晶型結晶5が少ない区域Sの幅は、計算値よりも狭くなる。実際に実現可能な最良の状態としては、t=0.8L程度の場合で、この場合には窒化物半導体層の表面を平坦とで
き、六方晶の混入率が1%未満の領域が最大(およそ0.9L×0.9L程度)となる。
また、結晶成長条件を適切に選択すると、マスク3の開口部4に成長する窒化物半導体2の島状の断面形状を、図3(b)、(c)のように、上にいくほど断面の幅が広くなるようにでき、このような島が融合した後には、図3(d)のように種結晶基板1と窒化物半導体層2の間にボイド(穴)6が形成される。このボイド6は、図3(d)に示したように、六方晶結晶5の伝播方向に位置するため、島が融合してボイド6が形成されるとボイド6内に結晶成長原料が供給されなくなり、六方晶型の結晶5の伝播も停止し、最終的に得られるウェハ表面は全面的に六方晶型結晶5の混入が少なくなる。このようなボイド6の形成は、900℃以上の高温度で、且つ窒化物半導体2をV族原料/III族原料の比
率を3以下として結晶成長することで実現可能である。
結晶成長の起点となる領域の制限は、図4に示す実施形態のように、種結晶基板1の表面に凹凸を形成することでも可能である。図4(a)に示すように、表面に凹凸を形成した種結晶基板1の表面に窒化物半導体2を適切な成長条件で成長すると、凸部1a上面部と溝状の凹部1bの底部とに分かれて結晶が成長する。この場合にも、上記の図3の場合と同様に、窒化物半導体2の断面形状の幅が成長方向に向かって広くなるような成長条件を選択すると、凸部1a上の窒化物半導体2の結晶が融合して連続した表面を成した段階で、図4(d)のように、凹部1bに成長した窒化物半導体結晶2と、凸部1a上の窒化物半導体結晶2とがボイド6によって分断された状態にすることができる。この場合、種結晶の凸部1aの上面を結晶成長の起点となる領域と見なすことができ、上記図3の場合と同様に表面の全体にわたって六方晶結晶5の割合が少ない立方晶型窒化物半導体ウェハが得られる。図4において、凸部1aに成長した窒化物半導体結晶2への、凹部1bの影響をより抑制するためには、凹部1bの底部にSiOなどのマスクを施すのが効果的である。
図2〜図4では、種結晶基板1をある方向からみた断面を模式的に示したので、開口部4あるいは凸部1aは、ストライプ状ないし直線状に種結晶基板1表面に1次元的に並んでいるように見える。しかしながら、図1に示したように六方晶型の結晶5は[110]および[−110]の直交した2つの方向に伝播していくので、ストライプ状ないし直線状の開口部4や凸部1aでは、マスク3上方や凹部1b上方のストライプ状の領域の表面に六方晶型結晶5が出現するのを抑制できない。[110]および[−110]の直交する2つの方向への六方晶型結晶5の伝播を抑制、あるいは、立方晶の窒化物半導体層2表面の出現位置を適切に制御するためには、図5や図6に模式的に示したように、種結晶基板1の表面に2次元的に配列した開口部4や凸部1aを形成する必要がある。
上記実施形態では、立方晶型の窒化物半導体2の表面を立方晶の(001)面あるいはそれに近い面としたのは、立方晶型窒化物半導体ウェハ上へ更に素子構造を結晶成長する際に好ましいからである。また、上記の立方晶型の窒化物半導体2の表面は、厳密に(001)面である必要は無く、(001)面から20度以内の角度で傾いた面であっても良い。具体的には、(001)面より、たとえば[110]方向、[−110]方向、[100]方向などに20度以内の角度で傾いた面を有する立方晶型の種結晶基板1を用いることにより、種結晶基板1と同じ傾きを持った表面を有する立方晶型の窒化物半導体2が得られる。ただし、(001)面からの傾き角度が20度よりも大きくなると、立方晶型の窒化物半導体2の表面での六方晶型の結晶5の割合が増加するので、好ましくない。
上記実施形態の種結晶基板1上に立方晶型窒化物半導体2を成長した立方晶型窒化物半導体ウェハより、窒化物半導体2の成長中あるいは成長終了後に種結晶基板1を除去することで、立方晶型窒化物半導体自立基板が得られる。
更に、上記の立方晶型窒化物半導体ウェハ、立方晶型窒化物半導体自立基板は表面を研磨して使用しても良く、研磨を適切に行った場合、立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の区域の表面においては、立方晶と六方晶の研磨速度差による段差が生じ難いので、50μm四方の範囲で測定した表面荒さのRMS(二乗平均粗さ)値が1nm以下となり、従来法による10%程度の六方晶を含む立方晶型窒化物半導体ウェハを研磨した場合(RMS値〜3nm)よりも格段に表面の平坦性を向上できる。上記の立方晶型窒化物半導体ウェハ、立方晶型窒化物半導体自立基板の裏面は、研磨された鏡面仕上げでもよく、あるいは粗面であってもよい。
次に、本発明の実施例をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、上記図2に示す実施形態と同様な製造方法により、立方晶型窒化物半導体ウェハを作製した。
種結晶基板1として、(001)面を表面に持つ立方晶(閃亜鉛鉱型)の3インチ径のGaAs基板を準備した。このGaAs基板をアセトン、エタノール、超純水による洗浄の後、プラズマCVD装置に導入し、GaAs基板の裏面に厚さ約30nmのSiO膜を形成した。このSiO膜のマスクは、GaAs基板上にGaN層成長中において、GaAs基板裏面からのGaAsの蒸発防止のためのものである。次いで、GaAs基板を上記と同様に洗浄し、再びプラズマCVD装置に導入し、今度はGaAs基板の表面に、マスク3として厚さ約30nmのSiO膜を形成した。その後、ホトリソグラフィーおよびフッ酸によるエッチングにより、GaAs基板の表面側のSiO膜に、図5に示すように周期的に2次元的に配置させて正方形状の開口部4を形成した。本実施例では、開口部4のサイズdは10μm角であり、隣り合う開口部4の間隔Lは200μmとし、開口部4が[110]方向および[−110]方向に沿って並ぶように形成した。
次に、上記のGaAs基板を、ハイドライド気相成長(HVPE)装置に導入し、GaAs基板上に窒化物半導体層2としてGaN層を成長した。V族原料としてはNHを、III族原料としては、HVPE装置内で800℃程度の温度で加熱した金属GaにHCl
ガスを導入することで発生するGaClガスを供給した。また、NHガス、HClガスと共に、窒素および水素の混合ガスをキャリアガスとして供給した。
GaN層の成長手順は以下の通りである。まず、窒素5slm(standard liter/min)、水素1slmを供給しながら、基板温度を600℃まで上昇し、GaAs基板表面の酸化膜を除去する。次に、基板温度を600℃に保ちつつ、NHを800sccm(standard cc/min)、GaClを40sccm供給し、GaN層を30nm成長した。その後
、GaClの供給を止め、基板温度を1100℃まで上昇した後に、再びGaClを250sccm供給しGaN層を合計で200μm成長した。成長終了後にGaClの供給を止め、基板温度を室温付近まで下げた後に、NHの供給を停止した。
この実施例1では、結晶成長は図2に示すように進行しており、平坦な表面のGaN層が得られていた。また六方晶型結晶は、隣り合う開口部4の中間の位置の表面に[110]方向および[−110]方向に沿った線状の領域として出現していた。また、これらの六方晶型結晶が集中した領域の間、すなわちマスク開口部4の上方に位置する領域には、正方形状の六方晶型結晶の少ない領域が存在していた。この六方晶の混入率が1%未満の領域の広さは100μm四方であり、その領域における六方晶混入率は0.7%であった
。すなわち、立方晶型の窒化物半導体の割合が99.3%であった。窒化物半導体の表面
における立方晶、六方晶の結晶型の測定は、X線回折測定によって行った。具体的には、立方晶GaNの(111)回折と六方晶GaNの(0001)回折の積分強度比を、立方
晶、六方晶の割合として求めた。
(実施例2)
実施例1と同様の実験を、窒化物半導体層2としてGaN層の厚さを変えて行った。GaN層の成長膜厚tが160μm未満では平坦な表面が得られなかった。成長膜厚tが160μmの場合、六方晶の混入率が1%未満の区域・領域Sが最も広くなり、そのサイズは180μm四方であった。成長膜厚tを160μmよりも大きくしていくと、次第に六方晶の混入率が1%未満の区域Sが狭くなり、成長膜厚tが200μmの場合で100μm四方であった(実施例1の場合)。更に成長膜厚tを増やすと、六方晶の混入率が1%未満の区域Sは更に狭く100μm四方よりも小さくなり、現実的な発光素子を形成するのは困難な大きさとなった。六方晶混入率の観点から言うと、成長膜厚tが160μmの場合には0.2%であったのが、成長厚tを増やすと、六方晶の混入が少ない表面領域が
狭くなるとともに、六方晶の混入率は次第に増加していった。
(実施例3)
実施例2と同様の実験を、実施例3では、マスク開口部4の間隔を変えて行った。その結果、ある特定のマスク開口部4の間隔Lの場合に、成長するGaN層の厚さをtとした場合、t/L=0.8の場合に、平坦な表面を持ち、且つ、六方晶の混入率が1%未満の
領域が最大(およそ0.9L×0.9L程度)となることが明らかとなった。また、GaN層の成長厚を0.8Lよりも大きくしていくと、実施例2と同様に次第に六方晶の混入率
が1%未満の領域が狭くなっていき、例えば、L=200、300、400、500μmの場合には、それぞれt=200、330、500、620μm以上では、混入率が1%未満の領域が100μm四方よりも小さくなり、現実的な発光素子を形成するのは困難な大きさとなった。
(実施例4)
実施例1〜3と同様の実験を、図6に示す凹凸を有する表面のGaAs基板に対してGaN層の成長を行ったところ、ほぼ同様の結果が得られた。なお、GaAs基板の表面への凹凸の形成は、ホトリソグラフィー及びエッチングを用いて行った。具体的には、GaAs基板表面にフォトレジストパターンを形成し、その後レジストをマスクとして、HSO:H:HO=5:1:1、あるいはNHOH:H=1:1等のエッチング液でGaAsをエッチングする。
(実施例5)
図5、図6に示すように、マスク開口部や凹凸を形成する際に、ホトリソグラフィーによる規則的なマスクパターンではなく、TiOからなる微粒子を種結晶基板の表面に吹き付けて形成したランダムな分布の開口を有するマスクを用いると、ランダムな配置のマスク開口部や凸部を有する種結晶基板が形成される。吹き付ける微粒子の密度によって開口部あるいは凸部の平均間隔を制御し、これを用いて実施例1〜4と同様の実験を行った。その結果、実施例1〜4とほぼ同様の結果を得た。
(実施例6)
実施例6では、実施例1と同様の実験を、1100℃でGaNを成長する際のNH流量を200sccm、GaCl流量を250sccmとして行った。この場合、成長は図3に示す様に進行し、マスク開口部の間隔をL、成長するGaN層の厚さをtとした場合、t>Lの場合に平坦な表面が得られ、窒化物半導体層と種結晶基板の界面に図3に示したようなボイドが形成された。この場合には、ボイドにより六方晶型結晶の表面側への伝播が阻害されるため、実施例1〜5で見られたような、六方晶型結晶が密集する領域は表面で見られなかった。すなわち、立方晶型の窒化物半導体ウェハの表面全体において六方晶型結晶の混入率は1%未満であった。
(実施例7)
実施例6と同様の実験を、様々なマスク開口部の間隔L(100〜10000μm)、GaN層の厚さt(100〜10000μm)に対して行ったところ、実施例6と同様の結果を得た。この場合には、GaN層の表面での六方晶混入率は0.9%(L=100μ
m、t=110μm)から0.001%(L>300μm、t>800μm)の間であっ
た。すなわち、立方晶型の窒化物半導体の割合が99.1%から99.999%のものを製造することができた。
(実施例8)
実施例7と同様の実験を、図6に示す凹凸加工を施したGaAs基板を用いて行った。この場合には、成長は図4に示すように進行したが、最終的に得られる立方晶型窒化物半導体ウェハは実施例7と同様であった。
(実施例9)
実施例7,8と同様の実験を、実施例5と同様にTiOの微粒子をマスクとして形成したランダムに配置された開口部あるいは凸部を持つGaAs基板に対して行った。この場合も、実施例7、8と同様の結果が得られた。
(実施例10)
実施例1〜9と同様の実験を、表面が(001)面より、[110]方向、[−110]方向、[100]方向、あるいはこれら方向の中間の方向に、0〜40度傾いたGaAs基板を用いて行った。その結果、角度が20度以下の場合には、GaN層の表面がGaAs基板と同じ傾きを持つ以外は、実施例1〜9とほぼ同様の結果が得られた。しかし、角度が20度よりも大きい場合には、GaN層の表面における六方晶型結晶の割合が従来と同程度(〜10%)にまで増加した。
(実施例11)
実施例1〜10と同様の実験を、何種類かの異なる配置・構造のHVPE装置で行った。具体的には、原料ガスGaCl、NHが水平方向に流れる横型の成長炉を備えたHVPE装置と、原料ガスGaCl、NHが鉛直下方に流れる縦型の成長炉を備えたHVPE装置を用いた。横型の成長炉としては、円盤状のサセプタ上に取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が垂直になるように支持するタイプと、円盤状のサセプタ上に取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が平行になるように配置するタイプとの2種類のもので行った。縦型の成長炉としては、角錐体状のサセプタの各側面に取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が斜めになるように配置するタイプ(バレル型)と、円盤状のサセプタに取り付けたGaAs基板を、原料ガスが流れる方向に対してGaAs基板の成長面が垂直になるように配置するタイプ(パンケーキ型)との2種類のもので行った。
その結果、成長条件に若干の相違はあったものの、温度および窒素、水素、原料ガスGaCl、NHの流量を適宜調整することで、実施例1〜10と同様の結果を得た。
(実施例12)
実施例1〜11で得た立方晶型GaNウェハのうち、GaN層の厚さが700μm以上のものに関しては、成長中にGaN層とGaAs基板が分離していた。GaNの成長中には、ウェハ外周部よりGaN層とGaAs基板の界面に水素ガスが侵入しエッチングが進行している。GaNの成長時間が長い場合には、エッチングにより、GaN層とGaAs基板が分離されてしまうのである。GaN層の厚さが薄い場合には、成長中にはGaN層とGaAs基板は分離されない。しかしながら、この場合においても、成長後に硫酸を用
いてGaAs基板を除去することで、GaN自立基板が得られた。これらGaN自立基板の六方晶型結晶の混入率が1%未満の領域での転位密度は、最も薄いGaN自立基板で5×10/cm、最も厚いGaN自立基板で2×10/cmであった。
(実施例13)
実施例1〜11で得た立方晶型GaNウェハの表面は、成長時に発生する微少なファセット面を含み、各ウェハの立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の領域であっても、50μm四方の領域で測定した表面荒さのRMS値は5nm程度であった。
上記立方晶型GaNウェハの表面平坦性を向上するために、上記GaNウェハの表面を研磨した。研磨は、上記GaNウェハの裏面側を研磨台にワックスにより接着し、ウェハの表面側をダイヤモンドスラリーを塗布した平坦面に押し付け、ウェハ・平坦面の双方を回転することにより実施した。
上記研磨の結果、立方晶型のGaNの割合が99%以上の領域においては、50μm四方の領域で測定した表面粗さのRMS値が1nm以下となった。従来法で製作した10%程度の六方晶を含むGaNウェハを、同じ工程で研磨した場合、50μm四方の領域で測定した表面粗さのRMS値は3nm程度であった。従来法では、50μm四方で測定した領域に不可避的に10%以上の六方晶を含み、立方晶と六方晶の間には研磨速度差による段差が生じるため、RMS値が大きくなる。一方、本発明の実施例のGaNウェハの場合には、立方晶と六方晶の研磨速度差による段差が生じ難いので、研磨後のウェハ表面の平坦性が格段に向上する。
上記の表面が研磨されたGaNウェハのうち、実施例12と同様にGaAs基板を分離したものの一部は、表面研磨に先立ち裏面の研磨も実施し、3インチ径の両面が鏡面の立方晶GaN自立基板を得た。また他の一部については、裏面研磨の後に、NHOHによるエッチングにより裏面を粗面化することで、表面が鏡面で裏面が粗面の3インチ径の立方晶GaN自立基板を得た。
(実施例14)
実施例1〜13と同様の実験を、GaN以外の窒化物半導体として、AlN、AlGaN、InN、InGaNに対して実施した。細かな成長条件は、それぞれの材料に対して調整が必要であったが、得られた結果は、実施例1〜12とほぼ同等であった。
(その他の実施例)
本発明は、上記実施例のように、HVPE装置を用いた場合にのみ限定されるものでは無く、同様の手法は、窒化物半導体層を有機金属気相成長法あるいは分子線エピタキシー法などの他の気相成長法で成長する場合にも有効である。
本発明は、気相成長法を用いた場合にのみ限定されるものでは無く、高圧合成法、Naフラックス法、昇華法や安熱合成法といった閉鎖系での結晶成長法により、窒化物半導体層を成長する場合にも有効である。
上記実施例では、マスク材料としてSiOを用いたが、マスク材料としては結晶成長の環境で窒化物半導体の付着率が低くかつ、結晶成長の環境に耐えるものであれば、何であろうと構わない。SiO以外には、例えばSiN、Ti、Ni、Wなどが挙げられる。
上記実施例では、基板としてGaAsを用いたが、これ以外の立方晶型の結晶基板を用いても良い。立方晶型の結晶基板としては、例えばSi、3C−SiC、GaP、InP、InAs、AlAs、AlPなどが挙げられる。
上記の実施例に示した手法で製作した立方晶型窒化物半導体ウェハを種結晶基板として、再度、上記の実施例の手法を繰り返しても良い。この場合には、種結晶基板と窒化物半導体層の間の歪が無視できるため、より一層、六方晶型結晶混入率を抑制できる(六方晶型結晶の混入率を0.1%以下にすることが可能である)。
(応用例)
本発明により実現される立方晶型窒化物半導体ウェハ上に、InGaN活性層を形成することで、高効率な緑色発光素子が実現される。例えば、上記実施例の立方晶型窒化物半導体ウェハ上に形成した純緑色(波長525nm)LEDは、20mA通電時の電圧が2.4V、発光出力が10mWであった。従来のC面の六方晶窒化物半導体ウェハを用いた
場合には、20mA通電時の電圧が3.3V、発光出力が5mWであったので、本発明に
より大幅な低電圧化、高効率化が達成された。
更に、上記実施例の立方晶型窒化物半導体自立基板を用いることで、純緑色LDの室温連続発振にも成功している。
また、上記実施例で得られた、六方晶型結晶の密集領域と、六方晶型結晶の混入が少ない領域を合わせ待つ立方晶型窒化物半導体ウェハ上に発光素子を形成することで、1枚の基板上に2種類の波長(例えば、青と緑、青紫と青など)で発光する発光素子を同時に形成することが可能となる。
1 種結晶基板
2 窒化物半導体層
3 マスク
4 開口部
5 六方晶型結晶
6 ボイド

Claims (10)

  1. 結晶成長の起点となる領域を局所的に制限した表面を有する立方晶の種結晶基板上に窒化物半導体を成長し、前記種結晶基板と局所的に接触した窒化物半導体の連続膜と成すことで得られる、少なくとも100μm四方以上の広さで立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上である区域を表面に有することを特徴とする立方晶型窒化物半導体ウェハ。
  2. 前記種結晶基板の表面の隣接する前記領域から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
  3. 前記立方晶型の窒化物半導体の表面が、立方晶の(001)面であることを特徴とする請求項1または2に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
  4. 前記立方晶型の窒化物半導体の表面が、立方晶の(001)面から20度以内の角度で傾いた面であることを特徴とする請求項1または2に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
  5. 立方晶型の窒化物半導体の割合が99%以上の表面の前記区域において、50μm四方の範囲で測定した表面粗さのRMS値が1nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立方晶型窒化物半導体ウェハ。
  6. 立方晶の種結晶基板の表面に、窒化物半導体が成長しにくい材料で覆い且つ周期的に又はランダムに前記種結晶基板の表面が露出した開口部を有するマスクを形成し、
    前記マスクの前記開口部から窒化物半導体を成長し、前記種結晶基板と局所的に接触した連続膜とした窒化物半導体を形成することを特徴とする立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。
  7. 前記開口部から成長する窒化物半導体の結晶の断面が結晶成長方向に向かって拡大するような条件で成長させて、隣接する前記開口部から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドを形成するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。
  8. 立方晶の種結晶基板の表面に、周期的に又はランダムに凹凸を形成し、
    前記種結晶基板表面の前記凹凸の隣接する凸部から成長した窒化物半導体を融合させて連続膜とした窒化物半導体を形成することを特徴とする立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。
  9. 隣接する前記凸部から成長した窒化物半導体の結晶が融合した部分の前記種結晶基板側に、六方晶型の窒化物半導体の成長の伝播を停止させるボイドを形成するようにしたことを特徴とする請求項8に記載の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の立方晶型窒化物半導体ウェハの製造方法により、前記連続膜の窒化物半導体を形成した後であって、前記窒化物半導体の成長中あるいは成長終了後に、前記種結晶基板を除去して立方晶型窒化物半導体自立基板を製造する立方晶型窒化物半導体自立基板の製造方法。
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