JP2010274885A - 弾性履帯 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】幅方向の内方を起点としその全部または幅方向の端側の部分が周方向の一方の側に傾斜して伸びるラグ4Bを備えた弾性履帯1Bであって、ラグは、周方向の一方の側を向く側面を周方向の他方の側に傾斜させて、及び周方向の他方の側を向く側面を周方向の一方の側に傾斜させて突出しており、一方の側を向く側面は、幅方向の端を含む端側の部分20Bが、周方向及び幅方向で規定される仮想平面に対する傾斜の程度が他の部分に比べて緩やかであってかつ仮想平面に交差して幅方向に伸びる交線を形成する平面であり、他方の側を向く側面は、幅方向の端を含む端側に他の部分に比べて傾斜の程度が緩やかな前方側面15を有する。
【選択図】 図2
Description
また、履帯式走行車両が走行する時のラグ間の泥の詰まりを防止(排土性)するために、ラグは、その幅方向端部側が、弾性履帯の循環方向に対して後方となるように傾斜されて設けられる場合が多い(特許文献1)。このような、幅方向端部側が循環方向に対して後方となるように傾斜されてラグが設けられた弾性履帯は、芯金の端面がラグに重ならない場合がある(特許文献2)。
このような、弾性履帯の幅方向端部の折れ曲がりは、弾性履帯の幅方向端部が突出物に乗り上げることによっても生じる。
本発明に係る弾性履帯は、前記周方向に間隔を有して埋め込まれた複数の芯金を有し、前記芯金の前記幅方向の端部が、前記一方の側を向く側面における前記幅方向の端を含む端側の部分、または前記前方側面のいずれかと周方向において重なるように形成される。
弾性履帯1は、履帯本体2に複数の芯金3,3,3,3が埋め込まれ、履帯本体2の外周側表面から複数のラグ4,…,4を外方に突出させて形成されている。なお、弾性履帯1における外周側とは、弾性履帯1が履帯式走行車両に装着されたときに外周となる側であり、地面に接地する側(接地側)でもある。
履帯本体2は、肉厚帯状の弾性体の両端が接合されて無端帯状に形成されたものである。
ラグ4は、履帯本体2と同じ弾性体で形成され履帯本体2に連続する。ラグ4は、幅方向における係合孔12のいずれか一方の側の近傍を起点として、しばらく幅方向に伸びた後に周方向の一方の側に傾斜しながら幅方向の端にまで続いている。ラグ4における、幅方向に伸びる部分を「中央部13」といい、周方向の一方の側に傾斜しながら幅方向の端まで続く部分を「傾斜部14」という。弾性履帯1における傾斜部14の幅方向に対する傾斜は、略45度である。
弾性履帯1は、履帯式走行車両が通常の走行をするとき(多くの場合前進である)に、その循環方向Cdが傾斜部14の傾斜方向とは反対側になるように履帯式走行車両に装着される。したがって、図1に示される弾性履帯1が走行路面側から見た図とすると、履帯式走行車両の進行方向は、弾性履帯1の循環方向Cdに対して反対の下方向である。
傾斜部14は、循環方向Cd側の側面における幅方向の端近傍から端まで(以下側面のこの部分を「前方側面15」という)が、中央部13から続く側面16に比べて傾斜が緩やかになっている。前方側面15の傾斜角度θ1は、側面16側で最も大きく、幅方向の端に向かうに伴い、徐々に小さくなる。
傾斜角度は、ラグ4の側面の、周方向と幅方向とで規定される二次元空間(平面)に対する傾斜の程度をいう。ここでいう「傾斜角度θ1」および「傾斜角度θ2」は、前方側面15または側面16と接地面17とが交わって生成される交線に直交する断面(A−A矢視断面、B−B矢視断面)における、前方側面15または側面16と前記した二次元空間(平面)とがなす角度として定義される。
また、ラグ4における接地面17は、周方向の幅Lが履帯本体2における幅方向の中央側から端側に徐々に小さくなっている。
前方側面15は、弾性履帯1を外周側から見たとき(図1)、その履帯本体2に連続する付根(つけね)が形成する直線(「交線18」という)の幅方向に対する傾きをθbとし、接地面17との交線19の幅方向に対する傾きをθaとすると、θb<θaとなるように形成される。
また、後に説明するように、前方側面15は、常にいずれかの芯金3の翼部11と周方向において重なる。
弾性履帯1における各ラグ4,…,4は、いずれも起点となる係合孔12よりも傾斜方向(循環方向Cdの反対方向)側に並ぶ2つの芯金3,3のそれぞれの翼部11,11と、周方向において重なっている。
弾性履帯1は、上で説明したように、ラグ4の幅方向端の近傍における循環方向Cd側に、傾斜角度θ1が45度以下の前方側面15が設けられている。弾性履帯1は、この前方側面15によって、装着された履帯式走行車両が前進(弾性履帯1が循環方向Cdに循環)するときに、縁石等の突出物にラグ4の端が引っかかってラグ4が折れ曲がることが回避できる。弾性履帯1は、ラグ4が折れ曲がる機会を減少させることにより、弾性体の疲労を軽減させ、弾性体の亀裂等の損傷およびこれに起因する破断を防止することができる。
また、弾性履帯1は、ラグ4の幅方向端近傍の前方側面15および後方側面20の傾斜が緩やかで、これらが接地面17となす角度が大きい。そのため、弾性履帯1は、前方側面等の傾斜が急な従来の弾性履帯に比べて交線19近傍の断面積が大きい。弾性履帯1は、弾性履帯1が突出物に乗り上げる等によってラグ4の幅方向端部が内周側に折れ曲がったときに、ラグ4の交線19近傍に生ずる引張応力が従来の弾性履帯に比べて小さくなり、ラグ4の端部に亀裂が生じにくい。
図3は他の弾性履帯1Bを外周側から見た図、図4は図3におけるラグ4BのC−C矢視断面図である。
弾性履帯1Bは、履帯本体2、芯金3,3,3,3およびラグ4B,…,4B等により構成される。弾性履帯1Bにおける履帯本体2および芯金3,3,3,3は、上に説明した弾性履帯1におけるものと同じであり、その説明を省略する。
ラグ4Bは、弾性履帯1のラグ4が有する循環方向Cd側の側面16および前方側面15とそれぞれ同じ構成の、側面16および前方側面15を有する。ラグ4Bにおける弾性履帯1のラグ4と略同様の構成を有する部分については、図3および図4において弾性履帯1におけるものと同じ符合を付し、その説明を省略する。
ラグ4は、中央部13と傾斜部14Bとからなる。中央部13は、上述したラグ4における中央部13と同じである。
後方側面20Bは、履帯本体2に連続する付根(交線21)が幅方向に伸び、略平面を維持したまま接地面17に向けて拡がっている。つまり、後方側面20Bは、周方向と幅方向とで規定される二次元空間(平面)に対して所定の角度(傾斜角度θ3)で傾斜して(図4参照)幅方向に拡がる略平面である。ラグ4Bにおける後方側面20Bの傾斜角度θ3は、どの部分においても45度以下となるように設計される。
そのため、弾性履帯1Bは、弾性履帯1と同様に、履帯式走行車両が前進および後進するときの、幅方向の端近傍のラグ4Bの折れ曲がりの疲労を減少させることができ、履帯本体2における幅方向端部の破損が防止される。
上述の実施形態において、弾性履帯1,1Bのラグ4,4Bを、中央部13を有さずにその全部が、係合孔12の横近傍の起点から幅方向の端に向けて周方向に傾斜する傾斜部で形成されていてもよい。
3 芯金
4,4B ラグ
15 前方側面
19 (前方側面と接地面との)交線
20,20B 一方の側を向く側面の幅方向の端を含む端側の部分(後方側面)
θ1 (前方側面の)傾斜角度
θ2 (一方の側を向く側面の幅方向の端を含む端側の部分の)傾斜角度
Claims (5)
- 幅方向の内方を起点としその全部または幅方向の端側の部分が周方向の一方の側に傾斜して伸びるラグを備えた弾性履帯であって、
前記ラグは、
前記周方向の一方の側を向く側面を前記周方向の他方の側に傾斜させて、および前記周方向の他方の側を向く側面を前記周方向の一方の側に傾斜させて突出しかつ突出端面である接地面おける前記周方向の幅が前記幅方向の中央側から端側に徐々に小さくなっており、
前記一方の側を向く側面は、
前記幅方向の端を含む端側の部分が、前記周方向および前記幅方向で規定される仮想平面に対する傾斜の程度が他の部分に比べて緩やかであってかつ前記仮想平面に交差して前記幅方向に伸びる交線を形成する平面であり、
前記他方の側を向く側面は、
前記幅方向の端を含む端側に他の部分に比べて傾斜の程度が緩やかな前方側面を有する
ことを特徴とする弾性履帯。 - 幅方向の内方を起点としその全部または幅方向の端側の部分が周方向の一方の側に傾斜して伸びるラグを備えた弾性履帯であって、
前記ラグは、
前記周方向の一方の側を向く側面を前記周方向の他方の側に傾斜させて、および前記周方向の他方の側を向く側面を前記周方向の一方の側に傾斜させて突出しかつ突出端面である接地面おける前記周方向の幅が前記幅方向の中央側から端側に徐々に小さくなっており、
前記一方の側を向く側面は、
前記幅方向の端を含む端側の部分が、前記周方向および前記幅方向で規定される仮想平面に対する傾斜の程度が他の部分に比べて緩やかであってかつ突出する付根において前記仮想平面に交差して前記幅方向に伸びる交線を形成し突出端に向かうに伴い前記幅方向外方を向くように徐々に捩れており、
前記他方の側を向く側面は、
前記幅方向の端を含む端側に他の部分に比べて傾斜の程度が緩やかな前方側面を有する
ことを特徴とする弾性履帯。 - 前記前方側面は、
前記ラグの接地面との交線が前記ラグを外周側から見たときに前記幅方向に対して角度θaをなす直線であり、
突出する付根が前記ラグを外周側から見たときに前記幅方向に対して角度θb傾斜する直線であり、
前記角度θbが前記角度θaよりも小さくなるように形成された
請求項1または請求項2に記載の弾性履帯。 - 前記周方向に間隔を有して埋め込まれた複数の芯金を有し、
前記芯金の前記幅方向の端部が、前記一方の側を向く側面における前記幅方向の端を含む端側の部分、または前記前方側面のいずれかと周方向において重なるように形成された
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の弾性履帯。 - 前記仮想平面に対する、
前記一方の側を向く側面における前記幅方向の端を含む端側の部分の傾斜角度、および前記前方側面の傾斜角度がいずれも45度以下である
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の弾性履帯。
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