JP2010272493A - 電極形成用ペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】貴金属を金属酸化物に置換しても、高温条件下で十分な特性を有するセンサー電極を提供することの可能な電極形成用ペーストを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、貴金属粉末と金属酸化物粉末とを、樹脂と溶剤とからなる樹脂溶解物に分散させてなる電極形成用ペーストにおいて、
前記金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で40%以下含有することを特徴とする電極形成用ペーストに関する。係るペーストにより、課題を解決し得る。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、貴金属粉末と金属酸化物粉末とを、樹脂と溶剤とからなる樹脂溶解物に分散させてなる電極形成用ペーストにおいて、
前記金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で40%以下含有することを特徴とする電極形成用ペーストに関する。係るペーストにより、課題を解決し得る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、センサー電極の電極形成用ペーストに関する。詳しくは、車載用の酸素センサーやNOxセンサー等、高温条件下で使用されるセンサー電極の電極形成用ペーストに関する。
ガスセンサー等の電極は、電極材料としての貴金属粉末を含むペースト(以下、電極形成用ペーストとする)をスクリーン印刷等の方法で塗布して焼成されたものが適用される。
上記の電極形成用ペーストは、溶剤に適宜に樹脂を添加した樹脂溶解物に貴金属粉末を混練したものであり、樹脂溶解物10〜55重量%に対して貴金属粉末45〜90重量%含有する組成のものが知られている(例えば特許文献1)。
ここで、電極形成用ペーストと、グリーンシート等のペーストの塗布対象物は、焼成工程により収縮してしまうところ、塗布対象物と導電性ペーストとの間で収縮率に差があることにより、基板の反りや変形が生じることがある。このような反りや変形の問題を解消するため、電極形成用ペーストには、アルミナや酸化チタン等の金属酸化物が貴金属粉末に対して0.02重量%〜1重量%程度添加される場合がある(例えば特許文献1)。
ところで、電極材料としての貴金属粉末には、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム等を用いるが、これら貴金属を多量に含むと電極形成用ペーストのコストアップになってしまうため、好ましくない。
そこで、電極形成用ペースト中の貴金属粉末を、より安価な金属酸化物に置換する傾向にあるが、金属酸化物の添加量が増えると共にセンサー電極の抵抗値が大幅に上昇してしまう。この抵抗値の上昇は、1000℃前後の高温条件下において顕著であるため、特にエンジン周りで使用される車載用のセンサー等では、金属酸化物への置換は、著しい性能低下につながることとなる。
本発明は、上記のような従来の問題点に着目してなされたものであり、貴金属を金属酸化物に置換しても、高温条件下で十分な特性を有するセンサー電極を提供することの可能な電極形成用ペーストを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題について種々検討を行った。その結果、金属酸化物の含有量を貴金属粉末に対して所定量とすれば、貴金属粉末と金属酸化物粉末の分散性が良好になり、且つ、焼成時に貴金属と金属酸化物との濡れ性が良好となることがわかった。そして、これら分散性と濡れ性が良好となることに伴い、センサー電極の抵抗値の上昇が緩和されることもわかった。更に、金属酸化物がニッケルやタンタル、ニオブの酸化物であれば、これら以外の金属酸化物に比べて、分散性及び貴金属との濡れ性がより良好な電極形成用ペーストとすることが可能であり、結果として高温条件下においてもセンサー電極抵抗値の上昇を著しく緩和出来ることを見出し、本発明を想到するに至った。
すなわち本発明は、貴金属粉末と金属酸化物粉末とを、樹脂と溶剤とからなる樹脂溶解物に分散させてなる電極形成用ペーストにおいて、前記金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で40%以下含有することを特徴とする電極形成用ペーストである。
以下、本発明に係る電極形成用ペーストについて詳細に説明する。まず、本発明は、車載用のセンサー等、高温条件下で使用されるセンサー電極の電極形成用ペースト(以下、ペーストとする場合がある)である。このペーストは、樹脂と溶剤とからなる樹脂溶解物に貴金属粉末と金属酸化物粉末とを分散させてなる。
次に、貴金属粉末としては、白金やパラジウムの粉末が適用可能である。高温条件下で使用されるセンサー電極の場合には、白金粉末、又は白金とパラジウムとの合金粉末又は混合粉末を用いることが好ましい。ここで、合金粉末とは、体積比率で白金粉末35%〜100%と残部パラジウム粉末を混合して合金化した粉末であり、混合粉末とは、体積比率で白金粉末35%〜100%と残部パラジウム粉末を混合した粉末である。
上記構成に加え、本発明に係る電極形成用ペーストは金属酸化物として酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で40%以下含有することを特徴とする。これらの金属酸化物を適量含有する電極形成用ペーストであれば、分散性及び貴金属との濡れ性がより良好となるからである。
ここで、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブはそれぞれ単独でペーストに含有しても良く、これら金属酸化物が混合して含有しても良い。また、これら以外の他の金属酸化物と混合して含有してもよい。
本発明にかかる電極形成用ペーストとしては、前記金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で40%以下含有することが好ましく、17〜40%の範囲内で含有することがより好ましい。
金属酸化物として酸化タンタルを添加する場合は、前記金属酸化物として、酸化タンタル、酸化タンタルと酸化ニッケル、酸化タンタルと酸化ニオブ、酸化タンタルと酸化ニオブと酸化ニッケルの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で17〜40%含有することが好ましく、27〜40%の範囲内で含有することがより好ましい。
そして、本発明に係る電極形成用ペーストは、貴金属粉末と金属酸化物粉末の合計混合量が、ペースト全体に対して体積比率で22〜35%であることが好ましい。22%より少ないと、電極としたときに一定の膜の厚みが得られず、また35%より多いと、有機溶剤が少なくペースト化しないからである。
その他、ペーストに適用可能な樹脂としては、天然樹脂、アミノ系樹脂、アルキド樹脂等が一般的である。特には、エチルセルロースのようなものが好適である。
また、ペーストに適用可能な溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、ケロシン、パラフィン、トルエン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン、メチルエチルケトン、N‐メチルピロリドン、N‐ジメチルホルムアミド、N‐メチルアセトアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、ブチルカルビトール、テレピン油、α―テルピネオール、タービネオール等が一般的である。特には、α―テルピネオールのようなものが好適である。
尚、本発明において、貴金属粉末と金属酸化物粉末の平均粒子径(D50)は共に0.1〜1.0μmであることが好ましい。かかる粒子径のものを用いれば、分散性や濡れ性の良好なペーストとなるからである。
以上説明したように、本発明の電極形成用ペーストによれば、高温条件下で十分な特性を有するセンサー電極を安価に提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。第一実施形態では、1種類の金属酸化物粉末と白金粉末とを分散させた電極形成用ペーストを用いて電極を作製した。第二実施形態では、2種以上の金属酸化物粉末と、白金粉末、白金とパラジウムとの合金粉末、白金とパラジウムの混合粉末のいずれかとを分散させた電極形成用ペーストを用いて電極を作製した。そして、これらの電極の抵抗を評価することで、本発明の効果を明確にした。
第一実施形態
電極形成用ペーストの作製:表1に示す貴金属粉末と金属酸化物粉末とを、体積比率でエチルセルロース10%をターピネオールに溶かした樹脂溶解物に投入し、3本ロールミルで分散させペースト化した。尚、表1において、金属酸化物粉末の含有量とは、貴金属粉末に対する体積比率である。また、合計混合量とは、貴金属粉末と金属酸化物粉末の合計混合量であり、ペースト全体に対する体積比率として示している。
電極形成用ペーストの作製:表1に示す貴金属粉末と金属酸化物粉末とを、体積比率でエチルセルロース10%をターピネオールに溶かした樹脂溶解物に投入し、3本ロールミルで分散させペースト化した。尚、表1において、金属酸化物粉末の含有量とは、貴金属粉末に対する体積比率である。また、合計混合量とは、貴金属粉末と金属酸化物粉末の合計混合量であり、ペースト全体に対する体積比率として示している。
電極の作製:96%アルミナ基板上にスクリーン印刷にて塗布形成した。その後120℃で10分乾燥し、1050℃で1時間熱処理した。
電極の抵抗低減効果の評価:抵抗値を4端子法にて測定し、金属酸化物粉末としてアルミナを添加した従来例と対比することにより、抵抗低減効果を評価した。尚、電極パターンサイズは40□とした。
抵抗低減効果の評価方法は、金属酸化物粉末の含有量を同量添加した場合に、アルミナを添加した従来例と比べて抵抗値が何%減少したか算出する方法を採用した。例えば、金属酸化物粉末の含有量が20%の場合、金属酸化物粉末がアルミナ(従来例3)の抵抗値は75mΩ/□/10μmであり、金属酸化物粉末が酸化タンタル(実施例7)の抵抗値は55mΩ/□/10μmである(図1)。この場合、実施例7の抵抗値は従来例3の73%に減少しており(55÷75×100)、抵抗値が27%減少したこととなる(100%−73%)。また、金属酸化物粉末の含有量が30%の場合は、金属酸化物粉末がアルミナ(従来例5)の抵抗値は175mΩ/□/10μmであり、金属酸化物粉末が酸化タンタル(実施例9)の抵抗値は95mΩ/□/10μmである(図1)。この場合、実施例9の抵抗値は従来例5の54%に減少しており(95÷175×100)、抵抗値が46%減少したこととなる(100%−54%)。結果を表2に示す。上記のような評価方法により、抵抗値が40%以上減少したものを◎、20%以上40%未満の範囲内で減少したものを○、10%以上20%未満の範囲内で減少したものを△として明記した。尚、電極パターンサイズは40□とした。
表2から、金属酸化物粉末の含有量が少ないと、十分な抵抗低減効果が認められなかった。金属酸化物粉末が45%含有する場合は、アルミナを45%含有した従来例7の抵抗値が測定上無限大となってしまい、抵抗削減効果の測定をすることが出来なかった。
図1は、電極形成用ペーストへの各金属酸化物の添加量と電極の抵抗値との関係をグラフ化したものである。この図から明らかなように、電極形成用ペーストに酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブのいずれかを含有させれば、アルミナを添加した場合よりも抵抗値を低減させることができる。
また、図2は、電極形成用ペーストへの各金属酸化物の添加率と抵抗比率との関係をグラフ化したものである。この図において、抵抗比率が0.8の場合、抵抗値がアルミナを同量添加した場合に比べて20%減少したこととなり、抵抗比率が0.6の場合、抵抗値がアルミナを同量添加した場合に比べて同様に40%現状したこととなる。例えば酸化タンタルにおいて、抵抗比率が0.8を示すのは、酸化タンタルを貴金属粉末に対して体積比率で17%添加した場合である。この図2の結果と表2の結果から、酸化タンタルを添加する場合は、貴金属粉末に対して体積比率で17〜40%程度添加すれば、良好な抵抗低減効果が得られることがわかる。
以上の結果から、金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、白金粉末に対して適量含有する電極形成用ペーストを用いれば、センサーとして好適な電極を作製することができることは明らかである。
第二実施形態
第一実施形態と同様に電極形成用ペースト及び電極を作成し、抵抗低減効果の評価を行った。使用した貴金属粉末と金属酸化物粉末を表3〜6に、抵抗低減効果の評価結果を表7〜10に示す。ここで、表中の貴金属粉末の種類において、「Pt、Pd」とあるのは、体積比率で白金粉末60%とパラジウム粉末40%を混合した粉末であり、「Pt、Pd合金」とあるのは、体積比率で白金粉末60%とパラジウム粉末40%を混合して合金化した合金粉末である。
第一実施形態と同様に電極形成用ペースト及び電極を作成し、抵抗低減効果の評価を行った。使用した貴金属粉末と金属酸化物粉末を表3〜6に、抵抗低減効果の評価結果を表7〜10に示す。ここで、表中の貴金属粉末の種類において、「Pt、Pd」とあるのは、体積比率で白金粉末60%とパラジウム粉末40%を混合した粉末であり、「Pt、Pd合金」とあるのは、体積比率で白金粉末60%とパラジウム粉末40%を混合して合金化した合金粉末である。
表7〜10の結果から、第一実施形態の場合と同様に、第2実施形態の場合も、金属酸化物粉末の含有量が少ないと、十分な抵抗低減効果が認められなかった。金属酸化物粉末が45%含有する場合は、アルミナを45%含有した従来例7の抵抗値が測定上無限大となってしまい、抵抗削減効果の測定をすることが出来なかった。
以上の結果から、金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブの少なくとも2種以上を、白金粉末、白金とパラジウムとの合金粉末、白金とパラジウムの混合粉末のいずれかに対して適量含有する電極形成用ペーストを用いれば、センサーとして好適な電極を作製することができることは明らかである。
本発明によれば、高温条件下で十分な特性を有する酸素センサーやNOxセンサー等のセンサー電極を提供することの可能な電極形成用ペーストを安価に提供することができる。
Claims (7)
- 貴金属粉末と金属酸化物粉末とを、樹脂と溶剤とからなる樹脂溶解物に分散させてなる電極形成用ペーストにおいて、
前記金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化タンタル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で40%以下含有することを特徴とする電極形成用ペースト。 - 前記金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で40%以下含有する請求項1記載の電極形成用ペースト。
- 前記金属酸化物として、酸化ニッケル、酸化ニオブの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で17〜40%含有する請求項1または請求項2に記載の電極形成用ペースト。
- 前記金属酸化物として、酸化タンタル、酸化タンタルと酸化ニッケル、酸化タンタルと酸化ニオブ、酸化タンタルと酸化ニオブと酸化ニッケルの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で17〜40%含有する請求項1記載の電極形成用ペースト。
- 前記金属酸化物として、酸化タンタル、酸化タンタルと酸化ニッケル、酸化タンタルと酸化ニオブ、酸化タンタルと酸化ニオブと酸化ニッケルの少なくともいずれかを、前記貴金属粉末に対して体積比率で27〜40%含有する請求項1または請求項4に記載の電極形成用ペースト。
- 貴金属粉末と金属酸化物粉末の合計混合量は、ペースト全体に対して体積比率で22%〜35%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極形成用ペースト。
- 貴金属粉末は、白金粉末又は白金とパラジウムとの合金粉末又は混合粉末である請求項1〜6のいずれか1項に記載のペースト。
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JP2009125891A JP2010272493A (ja) | 2009-05-25 | 2009-05-25 | 電極形成用ペースト |
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Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH02116108A (ja) * | 1988-10-26 | 1990-04-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | セラミック積層コンデンサ素子とその製造方法 |
-
2009
- 2009-05-25 JP JP2009125891A patent/JP2010272493A/ja active Pending
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