JP2010272271A - 有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子の有機層の欠陥に起因して、輝度低下や輝度むらが発生する。
【解決手段】有機EL素子の一対の電極の少なくとも一方に、温度の上昇により抵抗値が増加する材料を含む層を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関し、特に有機層の欠陥等に起因する電流集中を緩和する技術に関する。
有機EL素子は、薄型化や軽量化に有利で、低電圧駆動、高輝度及び自発光等の特性を有することから、現在、盛んに研究開発が行われおり、一部では量産も開始されつつある。
有機EL素子には、陽極及び陰極からなる一対の電極と、これら電極間に形成される有機層とが備えられている。有機層には、これら電極間に電圧を印加することで発光する発光層が備えられ、発光層の他にも、必要に応じて電荷注入層や電荷輸送層などが備えられている。
有機層の膜厚は非常に薄く、100nmから200nm程度である。そのため、有機層の成膜時には、微小な埃等の異物が僅かに混入しても欠陥を生じる場合がある。図5に、その状態を模式的に示す。同図中、101は陽極、102は陰極、103は有機層、104は異物、105はこの異物の混入によって有機層103に形成された欠陥である。
このように有機層に欠陥が生じると、膜厚の薄い部分が形成されてそこに電流が集中するため、同図に濃淡で示すように、その部分を中心に周りの温度が上昇する。
有機層は、温度の影響を受け易く、高温環境下で動作させると輝度劣化が早く進むことが知られている。有機EL素子の温度が上昇すると、通常、電極から有機層へ電荷が注入され易くなるため、高電流が流れ易くなって輝度劣化がさらに早く進むのである。特に電流が集中すると、その部分だけでなく周囲にも影響が広がるため、欠陥が大きい場合には、画素全体が発光しなくなるおそれもある。
このように、有機層の欠陥は、有機ELパネルの歩留まりの低下や寿命の短期化などの問題を引き起こす。
そこで、このような問題を改善するために、電極に抵抗値の高い層を挿入し、有機層に膜厚の薄い部分が生じても、電流の集中が起こり難くすることが提案されている(特許文献1)。
また、有機層の各層、例えば、電荷注入層や電荷輸送層などを、温度上昇に伴って高抵抗化するように形成し、有機層の一部にリーク防止層としての機能を付与することが提案されている(特許文献2)。
特開2005−209647 特開2004−95388
しかし、欠損が発生する部分は僅かであるのに対し、特許文献1のように、欠損に起因よる膜厚の薄い部分を考慮して、有機層の全部に高い抵抗値の層を設けることは過度な条件設定になり易いため、好ましくない。
それに対し、特許文献2では、欠損の発生する部分にのみ作用させることができるため、有利ではある。しかし、有機層の一部の層にリーク防止層としての機能を持たせているため、被覆不良を生じてリーク防止層を兼ねる層自体に欠陥が形成されると、その機能を適正に発揮させることができない。そのため、リーク防止層を兼ねる層の成膜方法を工夫して改善を図っているが、それだけ製造過程が複雑化し、生産性に支障をきたす。リーク防止層としての機能を持たせることで、有機層本来の機能を損なうおそれもある。
そこで、本発明は、有機層に欠陥が生じた場合でもその電流集中を効果的に緩和することができ、輝度劣化を防止して長期の信頼性が確保できる有機EL素子の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも一方が透光性を有する一対の電極間に、発光層を含む有機層が形成された有機EL素子において、前記一対の電極の少なくとも一方に、温度の上昇によって抵抗値が増加する温度可変抵抗材料を含む層が形成されていることを特徴とする。
係る構成によれば、欠陥により膜厚が薄くなった有機層の部分に電流が集中しても、電極には、温度可変抵抗材料を含む層が形成されているので、その部分に接している電極の抵抗値が発熱によって大きくなり、電流の集中が緩和される。従って、過度な条件を設定することなしに、欠陥に起因して有機層が高温に曝されるのを効率よく防ぐことができる。膜厚が薄くて成膜し難い有機層ではなく、電極自体に温度可変抵抗材料を含む層が形成されているので、比較的自由に膜厚や材料を選択して形成することができ、安定してその性能を発揮させることができる。有機層の構成も自由に設定できる。
具体的には、前記温度可変抵抗材料は、BaTiO、(Ba1−ySr)TiO、(Ba1−yPb)TiO、Pb(FeNb)O、(ZnNi)TiO、CdBiOから選ばれた1の材料または複数の材料の混合物であるのが好ましい。
これらは正温度係数サーミスタに使用される材料であるため、入手が容易で生産性に優れるうえ、材料コストの抑制にも有利だからである。
なお、ここで示す小文字のxやyは0より大きい実数を表している。例えば、BaTiO(チタン酸バリウム)の場合、xの理論値は「3」であるが、組成分析を行った場合、層の膜厚等によって実測値がばらつくことを考慮したものである(実験式)。
より具体的には、前記温度可変抵抗材料を含む層は、スパッタ法または電子ビーム蒸着法で形成するのが好ましい。
温度可変抵抗材料の場合、その融点は他の材料と比べて高くなり易いが、スパッタ法等であれば、そのような融点の高い材料であっても支障なく成膜できるからである。
特に、温度可変抵抗材料は、Y、La、Ce、Th、Sb、Ta、Wから選ばれた1の元素または複数の元素を含んでいるのが好ましい。
これら元素を微量含ませることで、抵抗値の調整が可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、有機層中に欠陥が存在していても、電流の集中を効果的に緩和できるので、有機EL素子の輝度劣化を抑制することができる。従って、有機ELパネルの歩留まりが向上し、長期の信頼性も確保できるようになる。
本発明の有機EL素子を表した断面の模式図である。 有機層の断面の模式図である。 実施例1を説明するための模式図である。 実施例2を説明するための模式図である。 有機層の欠陥の問題を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
図1に、本発明の有機EL素子を表した断面の模式図を示す。この有機EL素子は、基板1の上に下部電極2と、有機層5と、上部電極9とがこの順に積層されている。
基板1には、公知の基板が使用できる。例えば、ガラス、プラスチック等の透光性を有するものや、金属板に絶縁膜を形成したものや半導体ウエハーのような透光性を有しないものも使用できる。光を基板1の側から取り出す、いわゆるボトムエミッション構造の場合には、透光性を有する基板を使用すればよい。光を基板1の反対側から取り出す、いわゆるトップエミッション構造の場合には、透光性、非透光性いずれの基板でも使用できる。
下部電極2には、公知の電極材料が使用できる。例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の酸化物のほか、各種の金属や合金、これらの積層膜が使用可能である。下部電極2を陽極とする場合には、ITO、Ni等の仕事関数が大きい材料を使用するのが好ましい。一方、下部電極2を陰極とする場合には、Ca,Ba等の仕事関数が小さい材料を使用するのが好ましい。
なお、仕事関数の小さい金属を使用する場合には、これら金属は比較的不安定であるため、安定な金属であるAl等とで合金にしたり、低仕事関数金属のハロゲン化物やその酸化物等とAl等とで積層膜にして使用するのが好ましい。また、ボトムエミッション構造の場合には、透光性を有するITOやIZO等を使用するのが好ましく、トップエミッション構造の場合には、反射性を有するAl等の金属、または、これら反射性を有する金属とIZO等との積層膜などを使用するのが好ましい。
これら膜は公知の製造法、例えば、抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法、スパッタ法により形成することができる。
有機層5には、発光材料を含む発光層が形成されている。必要に応じて更に正孔注入層や正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層等を挿入することができる。
例えば図2に模式的に示すように、有機層5は、基板1側から順に、正孔注入層51、正孔輸送層52、電子ブロッキング層53、発光層54、正孔ブロッキング層55、電子輸送層56、電子注入層57を積層して形成することができる。また、その成膜法も公知の蒸着法等のドライプロセス、インクジェット法や印刷法のウエットプロセスが使用できる。
発光層54の発光材料には、公知の発光材料を用いることができる。低分子発光材料としては、例えば、4,4'−ビス(2,2'−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデェン化合物、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール等のオキサジアゾール化合物、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾ−ル誘導体、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料、アゾメチン亜鉛錯体、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq3)等の蛍光性有機金属化合物、また(アセチルアセトナート)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(Ir(tppr)2(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(PtOEP)等の燐光材料が挙げられる。なお、これらの材料を発光中心として母体材料中にドープしても構わない。
高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)DO−PPP、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2'−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)、ポリスピロ等、高分子発光材料の前駆体(例えば、PPV前駆体、PNV前駆体、PPP前駆体等)が挙げられる。
正孔注入層51の材料には、公知の正孔注入層材料を用いることができる。例えば、無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N'−ビス−(3‐メチルフェニル)−N,N'−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N'−ジ(ナフタレン‐1‐イル)−N,N'−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン(PANI)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDT/PSS)、ポリ[トリフェニルアミン誘導体](Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)等の高分子材料前駆体などを用いることができる。
正孔輸送層52は、正孔注入層51から効率良く正孔を受け取って発光層54へ効率良く受け渡すために設けられる。正孔輸送層52は正孔注入層51と同じ材料で形成することができる。但し、その正孔輸送層52の材料のHOMOレベルは、正孔注入層51の材料のHOMOレベルと、発光層54の材料のHOMOレベルとの間であるのが好ましい。そうすれば、正孔をより効率よく発光層に注入・輸送でき、素子の電圧を低減、または、発光効率を高めることができる。
また、発光層54での発光効率を高めるため、正孔輸送層52の材料のLUMOレベルを発光層54の材料のLUMOレベルより低くして、発光層54からの電子の漏れを抑制するのが好ましい。また、発光層54中に励起子を閉じ込める目的で、正孔輸送層52の材料のバンドギャップを発光層54の材料のバンドギャップより大きくするのが好ましい。
正孔輸送層52や正孔注入層51は、真空蒸着法等のドライプロセスによって形成できる。正孔輸送層52等は、2種以上の正孔輸送層52の材料を含有していてもよく、2層以上の積層構造であっても構わない。また、正孔輸送層52等は、添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含有していてもよい。
正孔輸送層52等は、正孔輸送層52の材料を溶媒に溶かした正孔輸送層形成用塗液を用いて、IJ法や印刷法のウエットプロセスにより形成することができる。その溶剤は、正孔輸送層52の材料を溶解、または分散できるものであればく、例えば、純水、メタノール、エタノール、THF、クロロホルム、キシレン、トリメチルベンゼン等を用いることができる。
電子輸送層56は、電子注入層57から効率良く電子を受け取って発光層54へ効率良く受け渡すために設けられる。電子輸送層56は、例えば、オキサジアゾール誘導体などの低分子材料やポリスチレン誘導体(PSS)などの高分子材料で形成することができる。
電子注入層57は、電子輸送層56と同じ材料で形成することができる。但し、電子輸送層56の材料のLUMOレベルは、電子注入層57の材料のLUMOレベルと、発光層54の材料のLUMOレベルとの間であるのが好ましい。そうすれば、電子をより効率よく発光層54に注入・輸送でき、素子の電圧を低減、または、発光効率を高めることができる。
また、発光層54での発光効率を高めるため、電子輸送層56の材料のHOMOレベルを発光層54の材料のHOMOレベルより高くして、発光層54からの正孔の漏れを抑制するのが好ましい。また、発光層54中に励起子を閉じ込める目的で、電子輸送層56の材料のバンドギャップを発光層54の材料のバンドギャップより大きくするのが好ましい。
電子輸送層56や電子注入層57は、正孔輸送層52等と同様に、ドライプロセス、ウエットプロセス法で形成することができ、2種以上の電子輸送層56の材料を含有していてもよく、2層以上の積層構造でも構わない。
電子ブロッキング層53は、正孔注入層51や正孔輸送層52と同じ材料を用いて形成することができる。電子ブロッキング層材料のLUMOレベルの絶対値は、発光層54の材料のLUMOレベルの絶対値より小さい方が好ましい。電子をより効率よく、発光層54に閉じ込めることができるからである。またこの条件を満たせば正孔輸送層52で電子ブロッキング層53を兼ねることも可能である。
正孔ブロッキング層55は、電子輸送層56と同じ材料を用いて形成することができる。正孔ブロッキング層55の材料のHOMOレベルは、発光層54の材料のHOMOレベルより高くするのが好ましい。正孔をより効率よく、発光層54に閉じ込めることができるからである。またこの条件を満たせば電子輸送層56で正孔ブロッキング層55を兼ねることも可能である。
上部電極9は、下部電極2と同様の材料、製法で形成することができる。本実施形態では、この上部電極9の下側に、温度が上昇すると抵抗値が増加する材料(温度可変抵抗材料)を含む可変抵抗層7が形成されている。
このような特性を有する温度可変抵抗材料としては、正温度係数サーミスタに使用されているBaTiO、(Ba1−ySr)TiO、(Ba1−yPb)TiO、Pb(FeNb)O、(ZnNi)TiO、CdBiO等が好適に使用できる(小文字のx、yは0より大きい実数)。
これら温度可変抵抗材料は比較的融点が高いため、その成膜はスパッタ法や電子ビーム蒸着法により形成するのが好ましい。
スパッタリング用ターゲットまたは電子ビーム蒸着用ペレットは、温度可変抵抗材料を構成する金属元素の酸化物や炭酸化物、例えばBaCO、TiOを必要量だけ秤量し、湿式混合により混合した後、脱水乾燥、仮焼、粉砕、成形を行い焼結して作製することができる。
室温下での抵抗値を調整するために、0.1〜1.0mol%程度のイットリウム(Y)やランタン(La)、セリウム(Ce)、トリウム(Th)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、タングステン(W)等を温度可変抵抗材料に微量添加することができる。
可変抵抗層7の膜厚は、形成された膜の抵抗値、素子を発光させるために必要な電流量から適宜設定すればよい。比較的自由に設定することができるので、その性能を安定して発揮させることができる。
本実施形態では、可変抵抗層7が有機層5と直接接しているが、有機層5と接する電極の部分は、陽極の場合には、正孔を効率よく注入させるうえで仕事関数が高いのが好ましく、陰極の場合には、電子を効率よく注入させるうえで仕事関数が低いのが好ましい。
従って、可変抵抗層7を陽極の一部とする場合には、可変抵抗層7と有機層5との間に、仕事関数の大きい材料、例えば、金(Au)や白金(Pt)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)と錫(Sn)の酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)と亜鉛(Zn)の酸化物(IZO)等からなる高仕事関数材料層を形成するのが好ましい。
陰極の一部とする場合には、可変抵抗層7と有機層5との間に、仕事関数の小さい材料、例えば、リチウム(Li)やカルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金などからなる低仕事関数材料層を形成するのが好ましい。また、電極全体としての抵抗値を下げるため、Al等の抵抗値の低い材料をさらに積層してあってもよい。
また、本実施形態では、上部電極9にのみ可変抵抗層7を形成したが、下部電極2にのみ形成することもできるし、上部電極9及び下部電極2の双方に形成しても構わない。
有機EL素子をこのように構成することにより、有機層5に存在する欠陥に起因して電流集中が生じた場合、上部電極9の欠陥付近の部分では、電流集中による発熱で可変抵抗層7の抵抗値が増加する。その結果、電流集中を効率よく緩和することができ、有機層7が過度な高温に曝されるのを効果的に防ぐことができるので、有機ELパネルの歩留まり向上や長寿命化が実現できる。
(実施例1)
図3に、本発明に係る有機EL素子の実施例1を示す。本実施例の有機EL素子は、下部電極2Aに可変抵抗層7が形成されていて、基板1の反対側から発光を取り出すトップエミッション構造となっている。
下部電極2Aは、アルミニウム(Al)層11と、可変抵抗層7と、高仕事関数材料層12とを積層して形成されている。すなわち、基板1の直ぐ上には、アルミニウム層11を抵抗加熱蒸着法で約100nmの厚さで形成した。このアルミニウム層11の上に、チタン酸バリウム(BaTiO)にランタン(La)を0.5mol%添加し、約50nmの膜厚の可変抵抗層7を形成した。そして、この可変抵抗層7の上に、材料にITOを用いて、スパッタ法により約20nmの膜厚の高仕事関数材料層12を形成した。なお、可変抵抗層7をスパッタ法により形成する場合には、酸素抜けを防ぐため、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスをスパッタガスとして用いるのが好ましい。
本実施例の有機層5Aは、図示しないが、正孔注入輸送層と、発光層とで構成されている。すなわち、材料にα―NPDを用いて、抵抗加熱蒸着法により約70nmの膜厚の正孔注入輸送層を形成した。正孔注入層の上に、材料にAlq3を用いて、抵抗加熱蒸着法により約70nmの膜厚の発光層を形成した。
上部電極9Aは、透光性陰極とするために透光性の低仕事関数材料層13と高仕事関数材料層14とで構成した。すなわち、有機層5Aの上に、材料にフッ化リチウム(LiF)を用いて膜厚が約5nmの低仕事関数材料層13を形成し、この低仕事関数材料層13の上に、材料にITOを用いて膜厚が約200nmの高仕事関数材料層14を形成した。低仕事関数材料層13は抵抗加熱蒸着法により、高仕事関数材料層14はスパッタ法により形成した。
最後に、掘り込みガラス(図示せず)で素子全体を封止することにより、有機EL素子を完成させた。
完成した有機EL素子について、下部電極2Aを正極とし、上部電極9Aを陰極として8Vの電圧を印加すると、上部電極9Aを通して有機層5Aで発光する緑色発光を観察することができた。また、室温条件下で100時間連続発光させる強制試験を行った結果、電流集中による輝度劣化は認められなかった。
(実施例2)
図4に、本発明に係る有機EL素子の実施例2を示す。本実施例の有機EL素子は、上部電極9B及び下部電極2Bの両電極に可変抵抗層7が形成されていて、基板1側から発光を取り出すボトムエミッション構造となっている。なお、有機層5Aは、実施例1と同様の構成としたため、その説明は省略する。
下部電極2Bは、透光性の陽極とするために、2つの透光性の高仕事関数材料層21,21の間に可変抵抗層7を挟むように形成した。すなわち、基板1の上に、材料にITOを用いて約200nmの膜厚の第1の高仕事関数材料層21を形成した。この第1の高仕事関数材料層21の上に、実施例1と同様にして約50nmの膜厚の可変抵抗層7を形成した。そして、この可変抵抗層7の上に、材料にITOを用いて約10nmの膜厚の第2の高仕事関数材料層21を形成した。第1及び第2の高仕事関数材料層21,21、可変抵抗層7は、いずれもスパッタ法で形成した。
上部電極9Bは、陰極とするために、膜厚が約5nmの低仕事関数材料層22と、下部電極2Bの可変抵抗層7と同じ構成、膜厚の可変抵抗層7と、膜厚が100nmのアルミニウム層23と、を積層して形成した。低仕事関数材料層22及びアルミニウム層23は抵抗加熱蒸着法により、可変抵抗層7はスパッタ法により形成した。
最後に、掘り込みガラス(図示せず)で素子全体を封止することにより、有機EL素子を完成させた。
完成した有機EL素子について、実施例1と同様に、発光を観察した後、強制試験を行った結果、電流集中による輝度劣化は認められなかった。
本発明の有機EL素子は、携帯情報機器のディスプレイやフルカラーハイビジョンテレビなどに好適に利用できる。
1 基板
2 下部電極
5 有機層
7 可変抵抗層(温度可変抵抗材料を含む層)
9 上部電極

Claims (4)

  1. 少なくとも一方が透光性を有する一対の電極間に、発光層を含む有機層が形成された有機EL素子において、
    前記一対の電極の少なくとも一方に、温度の上昇によって抵抗値が増加する温度可変抵抗材料を含む層が形成されていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 請求項1に記載の有機EL素子であって、
    前記温度可変抵抗材料が、BaTiO、(Ba1−ySr)TiO、(Ba1−yPb)TiO、Pb(FeNb)O、(ZnNi)TiO、CdBiOから選ばれた1の材料または複数の材料の混合物であることを特徴とする有機EL素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の有機EL素子であって、
    前記温度可変抵抗材料を含む層が、スパッタ法または電子ビーム蒸着法で形成されていることを特徴とする有機EL素子。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の有機EL素子であって、
    前記温度可変抵抗材料が、Y、La、Ce、Th、Sb、Ta、Wから選ばれた1の元素または複数の元素を含むことを特徴とする有機EL素子。
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