JP2010268818A - 血管内の血栓回収器 - Google Patents

Abstract

【課題】 引き戻し時にコイルが引き伸ばされる欠点を解消する。
【解決手段】 弾性細線からなる血栓回収コイルと、上記血栓回収コイルを支持するための、屈撓性を有するコアホース及び該コアホース内に摺動自在に挿入された屈撓性を有するコアワイヤとからなり、
上記コアホースの前端部に、上記回収コイルの後端部を連結し、
上記コアホースの前端から一部引き出されたコアワイヤを上記回収コイルの軸心を通って前方へ突出し、上記コアワイヤの突出前端部に、上記回収コイルの前端部を連結し、
上記回収コイルは、長手方向に引張ると細く伸長し、引張りを解除すると元のコイルに弾性復元するものである、
血管内の血栓回収器。
【選択図】 図１

Description

本発明は、脳血管、心臓血管等の血管内に付着した血栓を回収除去するための血栓回収器に関する。

従来、この種の血栓回収器として、弾性金属細線によりコイル状の血栓回収コイルを形成し、該血栓回収コイルを直線状に弾性変形させてマイクロカテーテル内に挿通し、このマイクロカテーテルを血管内に挿入し、そのマイクロカテーテル先端を、血栓付着位置から若干前方まで押し出し、そこで回収コイルをマイクロカテーテル先端から押し出して、元のコイル形に弾性復元させ、この回収コイルにより血栓をからめ捕り、ついで親カテーテル内に収納するものが知られている。

しかし、上記のような従来器では、血栓をからめ捕ったコイルを親カテーテル内に引き戻す際、血栓内圧又は血管内壁摩擦によりコイルが引き伸ばされてピッチを拡げ、それにより折角からめ捕った血栓をコイルから脱落させてしまう欠点があった。

本発明は、引き戻し時にコイルが引き伸ばされる欠点を解消することを課題とする。

上記課題解決の手段として、本発明は、
弾性細線からなる血栓回収コイルと、上記血栓回収コイルを支持するための、屈撓性を有するコアホース及び該コアホース内に摺動自在に挿入された屈撓性を有するコアワイヤとからなり、
上記コアホースの前端部に、上記回収コイルの後端部を連結し、
上記コアホースの前端から一部引き出されたコアワイヤを上記回収コイルの軸心を通って前方へ突出し、上記コアワイヤの突出前端部に、上記回収コイルの前端部を連結し、
上記回収コイルは、長手方向に引張ると細く伸長し、引張りを解除すると元のコイルに弾性復元するものである、
血管内の血栓回収器を提案する。

本発明の血栓回収器によれば、回収コイル内に血栓をからめ捕った後該回収コイルを引き戻す際、コアホースとコアワイヤを相対的に摺動不能に保持して行けば、回収コイルが引き伸ばされてコイルピッチが拡大することを阻止することができ、又、場合によっては、コアワイヤをコアホース内に相対的に若干引きこめば、回収コイルが縮小してコイルピッチを狭さくし、血栓を確保し易くすることもできるのである。

本発明における上記血栓回収コイルの「弾性細線」には、ニッケル−チタン合金等の超弾性合金、ステンレス鋼等の弾性金属、その他種々の弾性材が使用され、その太さは用途に応じ適宜選定されるが、一般的には、直径０.０２５〜０．１ｍｍである。なお、Ｘ線透視を容易にするため金、白金−イリジウム合金、タングステン等も使用される。

上記血栓回収コイルの「コイルの形状」は、円筒形、前端狭さくの円錐形、前端狭さくのカップ形、その他種々の形状のものが使用される。

又、コイルを構成する「弾性細線の本数」は、１本又は複数本のものがあり、そのうち複数本の場合は、同径の左巻きコイルと右巻きコイルとが互にコイル細線を繰返し交差させるもの、同径で同方向巻きコイルの複数本を複数重らせんコイルとしたもの、又径の異る複数本のコイルで複数層コイルとしたもの、その他種々のものがある。

以下、図面を参照して本発明の実施例について詳述する。図１の例における血栓回収コイル（１）は、ニッケル−チタン合金の超弾性合金細線（０．０３ｍｍ径）からなり、本例では、互に同径の左巻き円筒形コイル（２）と右巻き円筒形コイル（３）とを、それらの軸線を一直線上に位置させて重ね合わせ、両コイル（２）、（３）のコイル細線を繰返し交差させてある。本例では、１巻きごとに２回づつ交差させてある。

上記回収コイル（１）を支持する手段として、ステンレス鋼製の長いコアホース（４）（０．３ｍｍ外径）内に、同じくステンレス鋼製の長いコアワイヤ（５）（０．１ｍｍ径）を摺動自在に挿通してあり、そのコアホース（４）の前端部（６）外周面に、上記左巻き及び右巻きコイル（２）、（３）の後端部を溶接によりそれぞれ連結し、又上記コアワイヤ（５）は、その一部をコアホース（４）の前端から引き出し、該引き出し部分を上記回収コイル（１）の軸心に通して回収コイル（１）前端から前方へ突出し、突出前端部（７）に、上記左巻き及び右巻きコイル（２）、（３）の前端部を溶接によりそれぞれ連結して血栓回収器（Ａ）を構成する。

上記の構成において、コアホース（４）を静止状態に把持してコアワイヤ（５）を後方へ引くと、回収コイル（１）は縮小してコイルのピッチを短縮し、又コアワイヤ（５）の前端を把持してコアホース（４）を後方へ引くと、回収コイル（１）は伸長することとなる。

ここで、コアワイヤ（５）の前端を把持してコアホース（４）をさらに後方へ引くと、図１（ロ）のように、回収コイル（１）は、コイル（２）、（３）が直線状に弾性変形して細い細線束となり、コアホース（４）を前方へ押すと、回収コイル（１）は元のコイル状に弾性復元する。

上例の血栓回収器（Ａ）を使用した血管内の血栓回収について説明する。まず、血栓回収器（Ａ）におけるコアワイヤ（５）の前端を把持した状態でコアホース（４）を後方へ引張って回収コイル（１）を細い細線束に伸長し、その状態の血栓回収器（Ａ）をマイクロカテーテル（Ｍ）内に装入し、このマイクロカテーテル（Ｍ）を親カテーテル（Ｐ）内に挿入する。

上記親カテーテル（Ｐ）を血管（Ｂ）内に挿通可能の位置まで挿入し、ついで親カテーテル（Ｐ）を残してマイクロカテーテル（Ｍ）を、図２（イ）のように血管（Ｂ）の内壁に付着する血栓（Ｃ）の近くまで押し出す。

まず、マイクロカテーテル（Ｍ）を、同図（ロ）のように血栓（Ｃ）を通過して、その若干前方まで押し出し、そこでコアホース（４）及びコアワイヤ（５）を前方へ押して伸長状態にある回収コイル（１）をマイクロカテーテル（Ｍ）前端から押し出し、ついで、コアワイヤ（５）を後方へ引き戻し、それにより回収コイル（１）を弾性復元力により元の円筒形コイルに復元させる。

ついで、マイクロカテーテル（Ｍ）、コアホース（４）及びコアワイヤ（５）を同時的に後方へ引き戻し、それにより円筒形に開いた回収コイル（１）を血栓（Ｃ）がわへ引き戻して血栓（Ｃ）を回収コイル（１）内にからめ捕って後退する。

血栓（Ｃ）は、一般的に粘稠性のある柔軟固形物であるから、回収コイル（１）内にからめ捕った血栓は、コイル細線にひっかかって搬送されることとなる。この場合、左巻きコイル（２）と右巻きコイル（３）が繰返し交差しているから、上記血栓を保持し易い。

血栓を保持した回収コイル（１）は親カテーテル（Ｐ）内に引き込まれ、そこで吸引作用を受けて回収コイル（１）から血栓を吸引排出される。

上記血栓をからめ捕った回収コイル（１）を後退させる際、必要により、上記コアワイヤ（５）を、コアホース（４）に対し相対的に若干後退させて回収コイル（１）を若干縮小させ、それによりコイルのピッチを短縮して血栓を確実に保持させる。

図３に示す他の実施例（Ａａ）は、回収コイル（１ａ）を前端狭さくのカップ形とし、そのコイルは、左巻きカップ形コイル（２ａ）と、それにより若干小径で、右巻きカップ形コイル（３ａ）とで、２層コイルとし、他の構造は図１、２と実質的に同一の例である。

本例によれば、流動性のある血栓であっても、回収コイル（１ａ）の前端狭さく部により脱落することなく保持することができる。又径の異るカップ形コイル（２ａ）、（３ａ）とで２層コイルとしたから、２層のコイル（２ａ）、（３ａ）がからみ合うことなく、均整な形を保ってマイクロカテーテルから出し入れできる。

（イ）本発明による血栓回収器の一部省略拡大側面図である。 （ロ）長手方向に引張った状態の同上側面図である。 （イ）血栓回収器を血管内に案内した状態の略線断面図である。 （ロ）血栓回収コイルを血管内に押し出した状態の同上断面図である。 （ハ）回収コイルで血栓をからめ捕った状態の同上断面図である。 （ニ）回収コイルを親カテーテル側へ後退させた状態の同上断面図である。 他の実施例の一部省略拡大側面図である。

符号の説明

１、１ａ 血栓回収コイル
４、４ａ コアホース
５、５ａ コアワイヤ
６、６ａ コアホース前端部
７、７ａ コアワイヤ前端部
Ａ、Ａａ 血栓回収器

Claims (1)

1. 弾性細線からなる血栓回収コイルと、上記血栓回収コイルを支持するための、屈撓性を有するコアホース及び該コアホース内に摺動自在に挿入された屈撓性を有するコアワイヤとからなり、
   上記コアホースの前端部に、上記回収コイルの後端部を連結し、
   上記コアホースの前端から一部引き出されたコアワイヤを上記回収コイルの軸心を通って前方へ突出し、上記コアワイヤの突出前端部に、上記回収コイルの前端部を連結し、
   上記回収コイルは、長手方向に引張ると細く伸長し、引張りを解除すると元のコイルに弾性復元するものである、
   血管内の血栓回収器。

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