JP2010268135A - フィルタ回路及び通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】寄生容量に起因する周波数特性の変化を確実に抑えること。
【解決手段】入力端に入力された電圧信号を電流信号に変換する電圧電流変換部106と、複数のキャパシタから構成され、電圧電流変換部106から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第1のキャパシタ集合体102と、複数のキャパシタから構成され、第1のキャパシタ集合体102から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第2のキャパシタ集合体104と、第1のキャパシタ集合体102において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第2のキャパシタ集合体104のキャパシタとを個々に接続する複数の接続ノード110,112,114,116と、を備える。
【選択図】図9

Description

本発明は、フィルタ回路及び通信装置に関する。
近時では、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスの微細化に伴い、RF(Radio Frequency)回路の電源電圧は低下する傾向にある。CMOSプロセスが微細化している状況下において、従来の回路手法でRF回路を実装しようとすると、電圧余裕が不足して信号振幅のダイナミックレンジが狭くなる問題がある。一方、CMOSプロセスの微細化によりトランジスタの遮断周波数は上昇するので、高速なスイッチング動作を時間に正確に行う動作に適しているという利点がある。また、リソグラフィーが高精度化するため、キャパシタの容量比が正確になる利点もある。
CMOSプロセスの微細化で生じる問題点を回避して、上述のような利点を享受するために、RF回路に離散時間信号処理の概念を取り入れた新しい技術が、デジタルRF技術である。そして、デジタルRF技術分野の主要な回路として、チャージドメインフィルタ(Charge Domain Filter)がある。チャージドメインフィルタは、トランスコンダクタンスアンプ(Transconductance Amplifier)とスイッチとキャパシタから構成されるフィルタ回路である。チャージドメインフィルタは、クロックに同期して電荷の蓄積と放出を行うことでアナログ信号のサンプリングを行い、離散時間信号処理によるフィルタリングやデシメーションなどを行う回路である。
特開2008−18220号公報 特開2009−27389号公報
R. Bagheri, "An 800MHz to 5GHz Software-DefinedRadio Receiver in 90nm CMOS," ISSCC Deg. Tech. Papers, pp. 1932−1941, Feb. 2006. 平田, 高橋, 加藤, 菊井, 武部:"新しい高周波,低電力FIR SC回路(並列巡回形回路)",信学論(A), Vol.75-A, No. 1, pp. 27-38, 1992年1月 K. Muhammad and R. B. Staszewski, "Direct RF sampling mixer with recursive filtering in charge domain," in Proceedings of the International Symposium on Circuits andSystems (ISCAS '04), vol. 1, pp. I-577-I-580, Vancouver, BC, Canada, May 2004,sec. ASP-L29.5.
しかしながら、例えば2タップのFIRフィルタを縦続接続した回路では、接続ノードの両側に複数のスイッチが配置される。このスイッチは、MOSFETなどの素子で構成されるため、素子の寄生容量が接続ノードに発生してしまう。このため、寄生容量に起因して、フィルタ回路の周波数特性が変化してしまうという問題が発生する。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、寄生容量に起因する周波数特性の変化を抑えることが可能な、新規かつ改良されたフィルタ回路及び通信装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、入力端に入力された電圧信号を電流信号に変換する電圧電流変換部と、複数のキャパシタから構成され、前記電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第1のキャパシタ集合体と、複数のキャパシタから構成され、前記第1のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第2のキャパシタ集合体と、前記第1のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第2のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の接続ノードと、を備える、フィルタ回路が提供される。
また、前記複数の接続ノードには、寄生容量をリセットするためのリセットスイッチが設けられたものであってもよい。
また、前記第2のキャパシタ集合体に属する各キャパシタのリセット期間において、当該キャパシタが接続された前記接続ノードの寄生容量がリセットされるものであってもよい。
また、前記第2のキャパシタ集合体に属する特定のキャパシタが前記接続ノードに常時接続され、前記特定のキャパシタのリセット期間において、当該特定のキャパシタが接続された前記接続ノードの寄生容量がリセットされるものであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力端に入力された正相の電圧信号を電流信号に変換する第1の電圧電流変換部と、複数のキャパシタから構成され、前記第1の電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第1のキャパシタ集合体と、複数のキャパシタから構成され、前記第1のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第2のキャパシタ集合体と、前記第1のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第2のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の第1の接続ノードと、入力端に入力された逆相の電圧信号を電流信号に変換する第2の電圧電流変換部と、複数のキャパシタから構成され、前記第2の電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第3のキャパシタ集合体と、複数のキャパシタから構成され、前記第3のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第4のキャパシタ集合体と、前記第3のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第4のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の第2の接続ノードと、複数の前記第1の接続ノードのそれぞれと複数の前記第2の接続ノードのそれぞれを接続する複数の第3の接続ノードと、を備える、フィルタ回路が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、入力端に入力された電圧信号を電流信号に変換する電圧電流変換部と、複数のキャパシタから構成され、前記電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第1のキャパシタ集合体と、複数のキャパシタから構成され、前記第1のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第2のキャパシタ集合体と、前記第1のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第2のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の接続ノードと、を備えるフィルタ回路を備える、通信装置が提供される。
本発明によれば、寄生容量に起因する周波数特性の変化を確実に抑えることが可能となる。
チャージドメインFIRフィルタの一例として、2タップのFIRフィルタを縦続接続した回路を示す模式図である。 各クロック波形Φ1〜Φ4がハイレベルとなるタイミングを示すタイミングチャートである。 各サンプリングキャパシタのタイミングフェーズと状態の関係を示す模式図である。 MOSFETに発生する容量を示す模式図である。 寄生容量CPの有無に応じて周波数特性の変化が生じる様子を示す特性図である。 図1のチャージドメインFIRフィルタのブロック構成を示す模式図である。 図6のブロック構成を変形した構成を示す模式図である。 図7において、1段目と2段目の接続ノードを並列化して分離した構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態にかかるチャージドメインFIRフィルタ200を示す模式図である。 第1の実施形態にかかるチャージドメインFIRフィルタの周波数特性を示す特性図である。 図1に示すチャージドメインFIRフィルタと第1の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタの群遅延時間を示す特性図である。 第2の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタの構成を示す模式図である。 第3の実施形態におけるクロック信号を示す特性図である。 第3の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタの構成を示す模式図である。 第4の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタの構成を示す模式図である。 第5の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ600の構成を示す模式図である。 サンプリング時間Ts=1[ns]として動作させた場合の周波数特性を示す特性図である。 第5の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタの群遅延時間を示す特性図である。 各実施形態のチャージドメインFIRフィルタを備えた通信装置の構成を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態(Nパスフィルタ化した例)
(1)前提となる技術
(2)本発明の第1の実施形態に係るフィルタ回路の構成とその動作
2.第2の実施形態(リセットスイッチの追加により寄生容量のリセットを行う例)
3.第3の実施形態(タイミング信号の追加により寄生容量のリセットを行う例)
4.第4の実施形態(リセットスイッチとタイミング信号の追加なしで寄生容量のリセットを行う例)
5.第5の実施形態(寄生容量を利用して周波数特性を広帯域化する例)
6.第6の実施形態(各実施形態に係るフィルタ回路を備える通信装置の例)
<1.第1の実施形態>
(1)前提となる技術
本実施形態に係るチャージドメインフィルタの前提となる技術として、チャージドメインFIRフィルタについて説明する。図1は、チャージドメインFIRフィルタの一例として、2タップのFIRフィルタ102,104を縦続接続した回路を示す模式図である。以下、図1に示す2タップのFIRフィルタ100の構成及び動作について説明する。
図1に示すINは入力端子、OUTは出力端子である。Gm106は、入力端子INに印加された電圧信号を電流信号に変換して出力するトランスコンダクタンスアンプである。Gm106の出力端には、1段目の2タップFIRフィルタ102の8個のサンプリングキャパシタC1a,C1b,C2a,C2b,C3a,C3b,C4a,C4bが並列に接続されており、これらのキャパシタによりキャパシタ集合体が構成されている。サンプリングキャパシタC1a,C1b,C2a,C2b,C3a,C3b,C4a,C4bのそれぞれは、全て同じ容量Cである。
各々のサンプリングキャパシタC1a,C1b,C2a,C2b,C3a,C3b,C4a,C4bには、リセット(Reset)スイッチS1aR,S1bR,S2aR,S2bR,S3aR,S3bR,S4aR,S4bRが接続されている。また、各サンプリングキャパシタC1a,C1b,C2a,C2b,C3a,C3b,C4a,C4bには、チャージ(Charge)スイッチS1aC,S1bC,S2aC,S2bC,S3aC,S3bC,S4aC,S4bCが接続されている。また、各サンプリングキャパシタC1a,C1b,C2a,C2b,C3a,C3b,C4a,C4bには、シェア(Share)スイッチS1aS,S1bS,S2aS,S2bS,S3aS,S3bS,S4aS,S4bSが接続されている。このように、各サンプリングキャパシタC1a,C1b,C2a,C2b,C3a,C3b,C4a,C4bのそれぞれには、リセットスイッチ、チャージスイッチ、シェアスイッチの3種類のスイッチが接続されている。
2段目の2タップFIRフィルタ104のサンプリングキャパシタC11a,C11b,C12a,C12b,C13a,C13b,C14a,C14bのそれぞれも、全て同じ容量Cである。各々のサンプリングキャパシタC11a,C11b,C12a,C12b,C13a,C13b,C14a,C14bには、リセットスイッチS11aR,S11bR,S12aR,S12bR,S13aR,S13bR,S14aR,S14bRが接続されている。また、各サンプリングキャパシタC11a,C11b,C12a,C12b,C13a,C13b,C14a,C14bには、チャージスイッチS11aC,S11bC,S12aC,S12bC,S13aC,S13bC,S14aC,S14bCが接続されている。また、各サンプリングキャパシタC11a,C11b,C12a,C12b,C13a,C13b,C14a,C14bには、シェアスイッチS11aS,S11bS,S12aS,S12bS,S13aS,S13bS,S14aS,S14bSが接続されている。このように、各サンプリングキャパシタC11a,C11b,C12a,C12b,C13a,C13b,C14a,C14bのそれぞれには、リセットスイッチ、チャージスイッチ、シェアスイッチの3種類のスイッチが接続されている。
図1に示すリセットスイッチ、チャージスイッチ、シェアスイッチのそれぞれは、図1において各スイッチに記されたΦ1〜Φ4のクロック波形によってそれぞれ駆動され、クロック波形Φ1〜Φ4がハイレベルとなるタイミングフェーズでオン(ON)になる。例えば、シェアスイッチS1aS及びシェアスイッチS1bSは、クロック波形Φ1がハイレベルとなるタイミングフェーズでオン(ON)になる。また、チャージスイッチS1bCは、クロック波形Φ3がハイレベルとなるタイミングフェーズでオンになり、チャージスイッチS1aCは、クロック波形Φ4がハイレベルとなるタイミングフェーズでオンになる。
図2は、各クロック波形Φ1〜Φ4がハイレベルとなるタイミングを示すタイミングチャートである。図2に示すように、各クロック波形Φ1〜Φ4は、区間Tsで順次にオンとなるように駆動される。
各スイッチは、図1においてその近傍に記入されたΦ1〜Φ4に対応する図2に示すクロック波形Φ1〜Φ4がHiレベルとなるタイミングフェーズでオンになる。各サンプリングキャパシタは、各サンプリングキャパシタに接続された3種類のスイッチのうち、いずれか1つのスイッチがオンとなるタイミングフェーズでリセット状態、チャージ状態、シェア状態のいずれかとなる。すなわち、各サンプリングキャパシタは、各サンプリングキャパシタに接続されたリセットスイッチがオンとなるタイミングフェーズでリセット状態となる。また、各サンプリングキャパシタは、各サンプリングキャパシタに接続されたチャージスイッチがオンとなるタイミングフェーズでチャージ状態となり、各サンプリングキャパシタに接続されたシェアスイッチがオンとなるタイミングフェーズでシェア状態となる。更に、各サンプリングキャパシタは、各サンプリングキャパシタに接続された全てのスイッチがオフになるタイミングフェーズでは、ホールド(Hold)状態になる。
図1において、1段目のFIRフィルタ102と2段目のFIRフィルタ104の間の接続ノードに接続された容量CPは、この接続ノードに発生する寄生容量を示している。従って、容量CPは、実際の素子のキャパシタとして存在するものではない。
図3は、各サンプリングキャパシタのタイミングフェーズと状態の関係を示す模式図であって縦軸は各サンプリングキャパシタを、横軸はタイミングフェーズを示している。ここでは、1段目のFIRフィルタ102におけるC2bとC2aのサンプリングキャパシタ対を例に挙げて回路の動作を説明する。まず、サンプリングキャパシタC2bの状態について図3を参照すると、Φ3でリセットスイッチS2bRがオンとなり、サンプリングキャパシタC2bはリセット状態となる。これにより、サンプリングキャパシタC2bに蓄積されていた過去の電荷が放電される。次に、Φ4においてチャージスイッチS2bC,S1aCがオンになると、サンプリングキャパシタC2bは、サンプリングキャパシタC1aとともにチャージ状態となる。この状態では、図3に示す全てのサンプリングキャパシタのうち、サンプリングキャパシタC1aとサンプリングキャパシタC2bのみがチャージ状態となる。従って、Gm106から供給された電流の半分がサンプリングキャパシタC2bに流れ込み、残りの半分がサンプリングキャパシタC1aに流れ込む。これにより、サンプリングキャパシタC2b,C1aに電荷が蓄えられる。次に、Φ1では、サンプリングキャパシタC2bに接続されたスイッチS2bR,S2bC,S2bSの全てがオフ(OFF)となり、サンプリングキャパシタC2bはホールド状態となる。これにより、サンプリングキャパシタC2bに蓄積された電荷が保持される。次に、Φ2では、シェアスイッチS2aS,S2bSがオンとなり、サンプリングキャパシタC2bは、サンプリングキャパシタC2aとともにシェア状態となる。これにより、2個のサンプリングキャパシタC2b,C2aが結合され、2個のサンプリングキャパシタC2b,C2aに蓄えられた電荷が加算される。そして、加算された電荷は、2段目のFIRフィルタ104へ送られる。2段目のFIRフィルタ104では、Φ2において、チャージスイッチS13aC,S14bCがオンとなっている。このため、1段目のサンプリングキャパシタC2a,C2bに蓄えられた電荷は、2段目のサンプリングキャパシタC13a,C14bに各1/4ずつ分配される。
同様に、サンプリングキャパシタC2aは、Φ4でリセットスイッチS2aRがオンとなり、リセット状態となる。これにより、サンプリングキャパシタC2aに蓄積されていた過去の電荷が放電される。次に、Φ1においてチャージスイッチS2aC,S3bCがオンになると、サンプリングキャパシタC2aは、サンプリングキャパシタC3bとともにチャージ状態となり、Gm106から供給された電流の半分がサンプリングキャパシタC2aに流れ込む。これにより、サンプリングキャパシタC2aに電荷が蓄えられる。次に、Φ2では、シェアスイッチS2aS,S2bSがオンとなり、サンプリングキャパシタC2aは、サンプリングキャパシタC2bとともにシェア状態となる。これにより、2個のサンプリングキャパシタC2a,C2bが結合され、2個のサンプリングキャパシタC2a,C2bに蓄えられた電荷が加算される。そして、上述のように1段目のサンプリングキャパシタC2a,C2bに蓄えられた電荷は、2段目のサンプリングキャパシタC13a,C14bに各1/4ずつ分配される。次に、Φ3では、サンプリングキャパシタC2aに接続されたスイッチS2aR,S2aC,S2aSの全てがオフ(OFF)となり、サンプリングキャパシタC2aはホールド状態となる。これにより、サンプリングキャパシタC2aに蓄積された電荷が保持される。
図1に示すFIRフィルタ100の回路は、並列巡回形回路と呼ばれる構成である。他のサンプリングキャパシタ対(サンプリングキャパシタC1aとC1b、サンプリングキャパシタC3aとC3b、サンプリングキャパシタC4aとC4b)についても同様の状態遷移がタイミングフェーズをシフトして実行される。そして、FIRフィルタ100の出力端子(OUT)には、C11〜C14の何れかのサンプリングキャパシタ対が接続されて、電荷の出力が絶え間なく連続して行われることになる。
図3に示すように、Φ2のタイミングフェーズにおけるキャパシタC2a,C2bのシェア状態では、1段目のキャパシタC2aに蓄えられた1クロック前の電荷と、1段目のキャパシタC2bに蓄えられた2クロック前の電荷は、Gm106の電流が2つのキャパシタC2a,C2bに半分ずつ流れ込んで電荷として蓄えられていたものであるから、キャパシタC2a,C2bに蓄積されていた電荷はそれぞれ入力電荷の1/2である。更に、シェア状態では、2段目の2つのサンプリングキャパシタC13a,C14bとの間で電荷が分配されて、入力電荷の1/4が2段目の2つのサンプリングキャパシタC13a,C14bのそれぞれに伝わる。従って、nクロック目における1段目の出力電荷Qout1(n)は数式1で表すことができる。
Figure 2010268135
(数式1)
数式1において、Qin1(n−1)は1クロック前に1段目のサンプリングキャパシタに蓄えられた電荷であり、Qin1(n−2)は2クロック前に1段目のサンプリングキャパシタに蓄えられた電荷である。数式1をz変換すると、QoutとQinの関係が数式2として得られる。
Figure 2010268135
(数式2)
2段目でも同様に、シェア状態では、2段目の2つのサンプリングキャパシタに蓄えられた1クロック前の電荷と2クロック前の電荷は、1段目の出力電荷が2つのキャパシタに半分ずつ伝わる。従って、それぞれ1段目の出力電荷の1/2となる。従って、2段目の出力電荷は数式3のようになる。
Figure 2010268135
(数式3)
式3をz変換すると、2段目の出力Qout2と1段目の出力Qout1との関係が数式4として得られる。
Figure 2010268135
(数式4)
また、数式2と数式4から、2段目の出力Qout2と1段目の入力Qin1の関係は数式5で求められる。
Figure 2010268135
(数式5)
以上のように、図1の回路では、2タップのFIRフィルタを縦続接続した結果として、3タップのFIRフィルタが構成されることが判る。非特許文献2の3.1節には、並列巡回形回路は次数の増大と共にその2乗に比例して所要キャパシタの数が増えるので、高次フィルタは低次の回路の縦続接続で実現するのが適当であることが示されている。
しかしながら、上述したように、1段目の2タップFIRフィルタと2段目の2タップFIRフィルタの接続ノードには寄生容量CPが存在する。この寄生容量は、スイッチに使用されるMOSFETの容量に起因する。図4は、MOSFETに発生する容量を示す模式図である。図4に示すように、MOSFETには、ドレインとゲートとの間及びドレインとGNDとの間に生じる容量(Cgd+Cjd)、ソースとゲートとの間及びソースとGNDとの間に生じる容量(Csd+Cjs)が発生する。
図1に示す回路において、1段目のFIRフィルタ102と2段目のFIRフィルタ104の間のノード108に着目する。このノード108には、S1aS,S1bS,S2aS,S2bS,S3aS,S3bS,S4aS,S4bS,S11aC,S11bC,S12aC,S12bC,S13aC,S13bC,S14aC,S14bCの16個のスイッチが接続されている。従って、図1の回路中、ノード108の寄生容量が最も大きくなる。
上述した非特許文献3のFig. 4. IIR operation with cyclic charge readout.に示されるように、この寄生容量CPが原因となって、数式6のような伝達関数のIIRフィルタを形成することが知られている。
Figure 2010268135
(数式6)
数式6において、αは以下の数式7で表される。
Figure 2010268135
(数式7)
例えば、図1の回路において、各スイッチの片側あたりの寄生容量を20[fF]とすると、スイッチ16個では、Cp=320[fF]となり、この値が数式7のCに相当する。
そして、1個のサンプリングキャパシタの容量を250[fF]とすると、1タイミングフェーズあたり4個がノード108に接続されるので、4個のサンプリングキャパシタの容量の合計は1000[fF]となる。更に、各キャパシタにはリセット、チャージ、シェアの3種のスイッチが付属するので、合計で12個のスイッチの寄生容量が発生する。各スイッチの片側あたりの寄生容量を20[fF]とすると、スイッチ12個では240[fF]の寄生容量が発生する。従って、1タイミングフェーズあたりにノード108に接続される容量を合計すると、1000[fF]+240[fF]=1240[fF]となり、この値が数式7のCに相当する。そして、C=320[fF]、C=1240[fF]を数式7に代入すると、α=0.205となる。
このため、図1の回路をサンプリング時間Ts=1[ns]として動作させた場合、寄生容量CPの有無に応じて、図5に示すような周波数特性の変化が生じてしまう。図5において、実線で示す特性は、α=0の場合を示している。また、破線で示す特性は、αが上記の0.205の場合を示している。図5に示すように、寄生容量CPが生じることによって、周波数特性が狭くなることが判る。
以上の結果は、2タップのFIRフィルタ102、104を縦続接続したことによって生じるものである。以上のように、わずか2タップのFIRフィルタを2つ縦続接続しただけで上記のような周波数特性の変化が生じることからわかるように、高次のFIRフィルタではさらに多くのスイッチが使用されるので、大きな周波数特性変化が生じることは明らかである。
(2)本発明の第1の実施形態に係るフィルタ回路の構成とその動作
以上の点に鑑みて、本発明の一実施形態に係るフィルタ回路は、周波数特性の変化を生じないチャージドメインFIRフィルタを提供することを目的としている。
まず、図6に図1のチャージドメインFIRフィルタのブロック図を示し、ブロック図を用いて問題解決の手順を明らかにする。図6の左半分が1段目の2タップのFIRフィルタ、中央が寄生容量で生じるIIRフィルタ、右半分が2段目の2タップのFIRフィルタである。図中の↓4はデシメーション4(4サンプル信号につき3サンプル信号を間引く処理)、↑4はインターポレーション4(デシメーションで間引いたサンプルに信号“0”を入れる処理)をそれぞれ示している。また、Z−1は1サンプル時間のディレイ、Z−4は4サンプル時間ディレイをそれぞれ示している。
図6の1段目にあるデシメーション4とインターポレーション4の位置は2タップFIRの加算器の後ろ側に移動しても等価であるので、図6のブロック図は図7のように変形できる。さらに図7の破線で囲んだ部分を見ると、1段目と2段目の接続ノード108は並列化することで4箇所に分離可能なことが判り、図8のようなブロック図が考えられる。
図8で破線で囲んだ部分は、並列化されたままで1段目と2段目のFIRフィルタを接続するノードであり、寄生容量も4箇所に分離されて寄生IIRフィルタも4個になっている。このように複数経路に分離されるフィルタ回路は、Nパスフィルタと呼ばれる回路であり、Nパスフィルタでは元のフィルタの1/Nの帯域幅の狭帯域フィルタが得られる(本実施形態ではN=4)。寄生IIRフィルタの周波数特性が1/Nの帯域に変化して、これがFIRフィルタの周波数特性に与える影響が緩和されるならば上述した寄生容量の問題の対策になる。さらにNパスフィルタ化したことで寄生容量の電荷を放電するタイミングが得られるので根本的な問題解決も行えることになる。
以上の観点により、図9は、本発明の第1の実施形態にかかるチャージドメインFIRフィルタ200を示す模式図である。図9に示すFIRフィルタ200は、図1のFIRフィルタ100を4パスに分離したものであり、FIRフィルタ102,104の接続を図8に基づいて変更したものである。各接続ノード110,112,114,116にはスイッチが4個だけ接続されるので寄生容量は80[fF]であり、図8におけるIIRフィルタの係数はβ=0.06になる。サンプリング時間Ts=1[ns]として動作させた場合の周波数特性は図10に4−Pathで示す特性となり、図1の回路の特性(図10中に1−Pathで示す)と比べて周波数特性の変化を大幅に軽減することが可能である。
以上説明したように第1の実施形態によれば、2タップのFIRフィルタ102,104を縦続接続したチャージドメインFIRフィルタにおいて、1段目と2段目の接続ノード108を並列化することで分離した。これにより、寄生容量に起因する周波数特性の変化を軽減することが可能となる。
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述したように第1の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ200では、1段目と2段目の接続ノード108を並列化して複数に分離したことにより、寄生容量に起因する周波数特性の変化を軽減することが可能できた。一方、図11は、図1に示すチャージドメインFIRフィルタ100と第1の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ200の群遅延時間を示す特性図である。図11に示すように、群遅延時間で比較すると図11に示すように、4−pathのチャージドメインFIRフィルタ200では、細かいうねりが生じていることがわかる。
本発明の第2の実施形態は、位相特性が重要な場合にNパスフィルタ化した寄生容量のリセットを行うものである。図12は、第2の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ300の構成を示す模式図である。図12に示すように、第2の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ300では、図10の回路に対して、寄生容量のリセットを行うためリセットスイッチSP1R,SP2R,SP3R,SP4Rを追加している。
各リセットスイッチSP1R,SP2R,SP3R,SP4RをONにするタイミングフェーズは、この例では1段目のサンプリングキャパシタがシェア状態となる1クロック前とされている。すなわち、SP1Rはφ4がハイになるタイミングでオンとなり、SP2Rはφ1がハイになるタイミングでオンとなり、SP3Rはφ2がハイになるタイミングでオンとなり、SP4Rはφ3がハイになるタイミングでオンとなる。但し、各リセットスイッチSP1R,SP2R,SP3R,SP4RをONにするタイミングフェーズは、これに限定されるものではない。Nパスのフィルタであれば、1段目のサンプリングキャパシタがシェア状態となる1クロック前からN−1クロック前までの何れかのタイミングフェーズで各リセットスイッチSP1R,SP2R,SP3R,SP4RをONにすることが可能である。
そして、寄生容量CP1〜CP4をリセットすることにより、寄生容量によるIIRフィルタが消滅するので、図10および図11に示す「CPなし」の特性を得ることができる。従って、寄生容量による周波数特性の変化を抑えるとともに、位相特性の低下も抑えることが可能となる。
以上説明したように第2の実施形態によれば、1段目と2段目の接続ノード108を分離してNパスとした構成において、各接続ノード110,112,114,116にリセットスイッチ設け、Nパスフィルタ化した寄生容量を消滅させるようにした。これにより、寄生容量による周波数特性の変化を抑えるとともに、位相特性の低下も抑えることが可能となる。
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、第2の実施形態で説明したリセットスイッチを追加する代わりに、既存のスイッチのON時間を延長して寄生容量をリセットするものである。
図13は、第3の実施形態におけるクロック信号を示す特性図である。第3の実施形態では、φ1〜φ4のクロック信号に加えて、クロック信号Φ4,1、Φ1,2、Φ2,3、Φ3,4が新設されている。図13に示すように、Φ4,1は、φ1、φ4がハイになるタイミングでハイになる信号であり、Φ1,2は、φ1、φ2がハイになるタイミングでハイになる信号である。また、Φ2,3は、φ2、φ3がハイになるタイミングでハイになる信号であり、Φ3,4は、φ3、φ4がハイになるタイミングでハイになる信号である。クロック信号Φ4,1、Φ1,2、Φ2,3、Φ3,4は、既存のスイッチのON時間を延長して寄生容量の放電するために用いられる。
図14は、第3の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ400の構成を示す模式図である。図14に示す構成では、図10の構成に対して、2段目のFIRフィルタ104のチャージスイッチS12aC,S13bC,S13aC,S14bC,S14aC,S11bC,S11aC,S12bCが新設されたクロック信号Φ4,1、Φ1,2、Φ2,3、Φ3,4によって動作する。すなわち、チャージスイッチS12aC,S13bC,S13aC,S14bC,S14aC,S11bC,S11aC,S12bCは、図3で説明したチャージとリセットの両方のタイミングフェーズでONになる。このため、2段目のFIRフィルタ104のリセットのタイミングフェーズで寄生容量CP1〜CP4を同時にリセットすることができる。ON時間を延長するスイッチは、1パスあたり少なくとも1つ以上であればよい。
第3の実施形態によれば、2段目のFIRフィルタ104のチャージスイッチS12aC,S13bC,S13aC,S14bC,S14aC,S11bC,S11aC,S12bCは、チャージとリセットの両方のタイミングフェーズでONになるように動作する。従って、新たにスイッチを設けることなく、チャージスイッチの動作により寄生容量CP1〜CP4をリセットすることが可能となる。
<4.第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。上述したように第2及び第3の実施形態では、リセットスイッチを設けたり、または新たなクロック信号を追加することによって寄生容量をリセットするようにした。第4の実施形態は、寄生容量のリセットスイッチや新たなクロック信号の追加が消費電力増加などの要因で許容できない場合に適用可能なものである。
図15は、第4の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ500の構成を示す模式図である。図15に示すように、2段目のチャージスイッチS12aC,S13aC,S14aC,S11aCは常にオン状態とされている。従って、寄生容量CP1〜CP4は2段目のサンプリングキャパシタaC12a,C13a,C14a,C11aと並列に接続された状態となる。このように、2段目のチャージスイッチS12aC,S13aC,S14aC,S11aCを常にオン状態とすることで、寄生容量CP1〜CP4を2段目のサンプリングキャパシタaC12a,C13a,C14a,C11aの一部として用いることができる。従って、リセットスイッチS12aR,S13aR,S14aR,S11aRがオンになると、サンプリングキャパシタと一緒に寄生容量CP1〜CP4の電荷も放電する。スイッチを駆動する数が減少するので低電力の効果も期待できる。常時ONにするスイッチは各接続ノードあたり1つに限られる。
以上説明したように第4の実施形態によれば、2段目のチャージスイッチS12aC,S13aC,S14aC,S11aCを常にオン状態としたため、寄生容量CP1〜CP4を2段目のサンプリングキャパシタaC12a,C13a,C14a,C11aのリセットタイミングでリセットすることが可能となる。これにより、スイッチを減らして構成を簡素にできるとともに、駆動するスイッチ数が減少するので消費電力を低減することが可能となる。
<5.第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、寄生容量を積極的に利用して周波数特性を広帯域化するものである。
図16は、第5の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ600の構成を示す模式図である。第5の実施形態に係るFIRフィルタ600は差動構成とされており、2タップのFIRフィルタ102,104を縦続接続したFIRフィルタと2タップのFIRフィルタ102X,104Xを縦続接続したFIRフィルタとから構成される。入力端子INと入力端子INXには互いに逆相の差動信号が入力される。
図16に示すチャージドメインFIRフィルタ600では、回路全体を差動構成にしているため、2つの回路の同じノードにおける信号電圧は符合を反転した正相と逆相の関係になる。例えば、図16において、ノード110と110Xにおける信号電圧は正相と逆相の関係になり、ノード112と112Xにおける信号電圧は正相と逆相の関係になる。また、ノード114と114Xにおける信号電圧は正相と逆相の関係になり、ノード116と116Xにおける信号電圧は正相と逆相の関係になる。
図16に示すように、正相のパス1(ノード110)と逆相のパス3(ノード114X)を接続し、正相のパス2(ノード112)と逆相のパス4(ノード116X)を接続している。また、正相のパス3(ノード114)と逆相のパス1(ノード110X)を接続し、正相のパス4(ノード116)と逆相のパス2(ノード112X)を接続する。
このように、第5の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ600では、寄生容量が生じるノードにおいて、タイミングフェーズがN/2ずれたノード同士が接続される。これにより、ノード110,112,114,116のそれぞれでは、タイミングフェーズがN/2だけ前の信号が逆相で加算されることになる。このように正相のパス1〜パスN/2と逆相のパスN/2+1〜パスNの間を接続すると、寄生容量を利用して以下の数式8のような伝達関数のN/2次のIIRバンドパスフィルタを形成できる。数式8では、IIRバンドパスフィルタにおいてN/2のタイミングフェーズだけずれた逆相の信号が加算されるため、右辺の分母では、1にα・Z(−N/2)が加算されている。
Figure 2010268135
(数式8)
図16の場合、各スイッチ片側あたりの寄生容量を20[fF]とすると、正相と逆相の合計からスイッチ8個分ではCp=160[fF]、これが式7のCHに相当する。また、サンプリングキャパシタの容量を1個250[fF]とすると、1タイミングフェーズあたり4個がこのノードに接続されるので1000[fF]となる。更に各キャパシタにはリセット、チャージ、シェアの3種のスイッチが付属するので合計で12個のスイッチの寄生容量240[fF]も付加され、1000+240=1240[fF]が数式7のCRに相当する。これらを数式7に代入すると、α=0.114と求められる。
図17は、サンプリング時間Ts=1[ns]として動作させた場合の周波数特性を示す特性図であって、第5の実施形態に係るチャージドメインFIRフィルタ600の周波数特性は図17中の「CPあり」の特性となる。図17に示すように、第5の実施形態にかかるチャージドメインFIRフィルタ600では、「CPなし」の特性に比べて周波数特性は広帯域化される。従って、正相と逆相の寄生容量を積極的に利用して周波数特性を広帯域化することが可能となる。
なお、図18に示すように、群遅延時間で比較すると、第5の実施形態に係るFIRフィルタ600(「CPあり」)の場合は、「CPなし」の場合に比べて若干のうねりが生じる。しかし、このうねりについても、図11で示した「4−Path」の場合よりも低減することができる。
<6.第6の実施形態>
第6の実施形態は、上述した各実施形態のチャージドメインFIRフィルタを備えた通信装置700に関する。図19は、通信装置700の構成を示す模式図である。
図19に示すように、第6の実施形態にかかる通信装置700は、データ生成部710と、信号処理回路720と、周波数変換器730と、ローカル信号発生器740と、電力増幅器750と、帯域制限用フィルタ760と、アンテナ770と、を含んで構成される。
通信装置700から送信すべきデータはデータ生成部710で生成され、信号処理回路720に入力される。信号処理回路720では、D/A変換、符号化及び変調などの処理が施されることにより、ベースバンドまたはIF(Intermediate Frequency;中間周波数)帯の送信信号が生成される。信号処理回路720からの送信信号は周波数変換器(ミキサ)740に入力され、ローカル信号発生器730からのローカル信号と乗算される。送信信号がローカル信号と乗算されることによって、送信信号はRF(Radio Frequency;高周波)帯の信号に周波数変換、すなわちアップコンバートされる。
周波数変換器740でアップコンバートされて得られるRF信号は、電力増幅器750によって増幅された後、帯域制限用フィルタ760に入力される。そしてRF信号は、帯域制限用フィルタ760で帯域制限を受けて不要な周波数成分が除去された後、アンテナ770に供給される。ここで、帯域制限用フィルタ760に、これまでに説明した各実施形態にかかる種々のチャージドメインFIRフィルタを用いることができる。
以上説明したように第6の実施形態によれば、通信装置700の帯域制限用フィルタ760として、第1〜第5の実施形態に係るFIRフィルタを用いることにより、アンテナ770に供給される信号に波形の乱れが生じてしまうことを確実に抑止できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
102,104 2タップのFIRフィルタ
106 トランスコンダクタンスアンプ
110,112,114,116 ノード
200,300,400,500,600 チャージドメインFIRフィルタ
700 通信装置

Claims (6)

  1. 入力端に入力された電圧信号を電流信号に変換する電圧電流変換部と、
    複数のキャパシタから構成され、前記電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第1のキャパシタ集合体と、
    複数のキャパシタから構成され、前記第1のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第2のキャパシタ集合体と、
    前記第1のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第2のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の接続ノードと、
    を備える、フィルタ回路。
  2. 前記複数の接続ノードには、寄生容量をリセットするためのリセットスイッチが設けられた、請求項1に記載のフィルタ回路。
  3. 前記第2のキャパシタ集合体に属する各キャパシタのリセット期間において、当該キャパシタが接続された前記接続ノードの寄生容量がリセットされる、請求項1に記載のフィルタ回路。
  4. 前記第2のキャパシタ集合体に属する特定のキャパシタが前記接続ノードに常時接続され、前記特定のキャパシタのリセット期間において、当該特定のキャパシタが接続された前記接続ノードの寄生容量がリセットされる、請求項1に記載のフィルタ回路。
  5. 入力端に入力された正相の電圧信号を電流信号に変換する第1の電圧電流変換部と、
    複数のキャパシタから構成され、前記第1の電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第1のキャパシタ集合体と、
    複数のキャパシタから構成され、前記第1のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第2のキャパシタ集合体と、
    前記第1のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第2のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の第1の接続ノードと、
    入力端に入力された逆相の電圧信号を電流信号に変換する第2の電圧電流変換部と、
    複数のキャパシタから構成され、前記第2の電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第3のキャパシタ集合体と、
    複数のキャパシタから構成され、前記第3のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第4のキャパシタ集合体と、
    前記第3のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第4のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の第2の接続ノードと、
    複数の前記第1の接続ノードのそれぞれと複数の前記第2の接続ノードのそれぞれを接続する複数の第3の接続ノードと、
    を備える、フィルタ回路。
  6. 入力端に入力された電圧信号を電流信号に変換する電圧電流変換部と、
    複数のキャパシタから構成され、前記電圧電流変換部から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第1のキャパシタ集合体と、
    複数のキャパシタから構成され、前記第1のキャパシタ集合体から出力された電流信号が周期毎に各キャパシタへ順次に入力され、電流信号が入力された1群のキャパシタの電荷を加算して出力する第2のキャパシタ集合体と、
    前記第1のキャパシタ集合体において電荷を出力する任意のキャパシタと、当該電荷の出力による電流信号が入力される第2のキャパシタ集合体のキャパシタとを個々に接続する複数の接続ノードと、
    を備える、フィルタ回路、を備える、通信装置。
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