JP2010267609A - 高分子電解質組成物及びその製造方法、並びに当該高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜及びその製造方法 - Google Patents

高分子電解質組成物及びその製造方法、並びに当該高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン伝導性の高い高分子電解質膜を製造できる高分子電解質組成物を提供する。
【解決手段】イオン交換基を有するブロック及びイオン交換基を実質的に有さないブロックを有するブロック共重合体型高分子電解質と、複数種の溶媒からなる混合溶媒と、を含有し、上記混合溶媒が、上記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒であり、上記混合溶媒に含まれる溶媒のうち少なくとも1種は、水酸基を2個のみ有する化合物Aである、高分子電解質組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子電解質組成物及びその製造方法、並びに当該高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜及びその製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池(以下、場合により「燃料電池」という。)は、燃料ガス(例えば、水素が挙げられる。)と酸素との化学的反応により発電させる発電装置であり、次世代エネルギーの一つとして電気機器産業や自動車産業等の分野において大きく期待されている。燃料電池は、2つの触媒層と、これら2つの触媒層に挟まれた隔膜(高分子電解質膜)と、を基本単位として構成されている。以下、典型的な燃料電池として、水素を燃料ガスとして用いる燃料電池の発電メカニズムを簡単に説明する。当該燃料電池においては、一方の触媒層で水素がイオン化されて水素イオンが生成し、生成した水素イオンが隔膜を通じて、他方の触媒層に伝導(イオン伝導)し、ここで酸素と反応して水を形成する。このとき、2つの触媒層を外部回路に接続していると、電流が流れ外部回路に電力が供給される。なお、隔膜のイオン伝導は、隔膜中にある親水性チャンネルを通じて水の移動と共にイオンが移動することで発現するとされている。
燃料電池の隔膜に使用する高分子電解質としては、従来のフッ素系高分子電解質に代わって、安価で、耐熱性に優れた炭化水素系高分子電解質が、注目されてきている。
この炭化水素系高分子電解質の中でも、イオン交換基を有するブロック(以下、場合により「親水性ブロック」という。)と、イオン交換基を実質的に有さないブロック(以下、場合により「疎水性ブロック」という。)と、を有するブロック共重合体型高分子電解質が、互いに化学的性質の異なるブロック間の反発から生じる相分離構造を形成し、該相分離構造を制御することにより、親水性チャンネルを効率よく高分子電解質膜中に形成させることが可能であるため、種々検討されている。
かかる検討において、溶液キャスト法を用いてブロック共重合体型高分子電解質から高分子電解質膜を製造する過程で、溶液キャスト法に使用するキャスト溶媒(ブロック共重合体型高分子電解質を含む高分子電解質溶液の溶媒)を種々変更することで、相分離構造を制御しようとする試みがある。
例えば、特許文献1には、親水性ブロック及び疎水性ブロックが共に主鎖骨格が芳香環で共有結合されているブロック共重合体高分子電解質と、該親水性ブロックと相互作用しない溶媒と、を含む高分子電解質溶液を用いた溶液キャスト法により、親水性ブロックが連続相を形成している高分子電解質膜を製造することが可能であり、この高分子電解質膜が、低湿度下、低温下でも良好なプロトン伝導度を発現することが開示されている。
特開2005−194517号公報
しかしながら、上記従来の高分子電解質膜においては、イオン伝導性の更なる向上が望まれていた。
そこで、本発明は、イオン伝導性の高い高分子電解質膜を製造できる高分子電解質組成物及びその製造方法、並びに当該高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、また、上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体及び当該膜−電極接合体を備える、固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、イオン交換基を有するブロック及びイオン交換基を実質的に有さないブロックを有するブロック共重合体型高分子電解質と、複数種の溶媒からなる混合溶媒と、を含有し、上記混合溶媒が、上記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒であり、上記混合溶媒に含まれる溶媒のうち少なくとも1種は、水酸基を2個のみ有する化合物Aである、高分子電解質組成物を提供する。
このような高分子電解質組成物によれば、イオン伝導性の高い高分子電解質膜を製造できる。本発明者らは、上記高分子電解質組成物が、このような効果を奏する理由を以下のように推測する。上記高分子電解質組成物に用いられる混合溶媒は、水酸基を2個のみ有する化合物Aを含有することを特徴とする。これにより、得られる高分子電解質膜において、(ミクロ)相分離構造が生成する過程で、高分子電解質膜の総体積に対する、親水性ブロックを含む相の体積分率が高く維持されることから、良好な相分離構造が生成されやすいためと推定される。また、化合物Aにおいては水酸基が1個の場合では効果が不十分であり、3個の場合は上記効果が得られやすくなるものの、副生成物が生じやすくなる。
また、上記混合溶媒は、化合物Aの他に、上記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒である溶媒Bを含有することが好ましい。
上記混合溶媒が、溶媒Bを含有すると、高分子電解質組成物を長期間保存したとしても、ブロック共重合体型高分子電解質の析出が生じにくくなることから、保存安定性に優れるという利点がある。溶媒Bは上記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒であれば、極性溶媒でも非極性溶媒でもよいが、ブロック共重合体型高分子電解質自身もイオン交換基を有するものであるので、極性溶媒が好ましい。
溶媒Bは、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点166℃)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、テトラヒドロフラン(沸点65℃)が挙げられる。このような溶媒は上記ブロック共重合体型高分子電解質に対する溶解性が高いことから好ましい。中でもN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
溶媒BがN−メチル−2−ピロリドンであると、保管上の安定性や、熱安定性等が向上する。
化合物Aは、エチレングリコール又はジエチレングリコールであることが好ましい。
化合物Aが、エチレングリコール又はジエチレングリコールであると、良好なミクロ相分離構造を形成しやすく、また副反応も抑制される。中でも、添加した際の溶液の安定性(長期保存安定性)や、得られる電解質膜の吸水線膨張制御のしやすさの観点からエチレングリコールがより好ましい。
化合物Aと溶媒Bとの含有重量比は、化合物A/溶媒Bで表して、0.5/99.5〜40.0/60.0の範囲であることが好ましい。
化合物Aと溶媒Bとの含有重量比が、上述の範囲であると、得られる高分子電解質膜のイオン伝導度がより向上し、高分子電解質組成物の溶液安定性が高く維持される。なお、溶液安定性とは、上述したようなブロック共重合体型高分子電解質の析出が生じない程度の保存安定性に加え、高分子電解質組成物が長期間保存したとしても粘度増加等の性状変化も生じにくいという安定性も含まれる概念である。
上記混合溶媒の総重量に対する、化合物Aと溶媒Bとの合計重量の割合は、50重量%以上であることが好ましい。
上記割合が、このような範囲であると、高分子電解質膜のイオン伝導性がより一層向上する。
上記ブロック共重合体型高分子電解質は、イオン交換基を有するブロックとして下記式(1a)で表されるブロックを有し、イオン交換基を実質的に有さないブロックとして、下記式(1b)、(2b)、又は(3b)で表されるブロックを有することが好ましい。
Figure 2010267609
式(1a)中、mは5以上の整数を表し、Arは2価の芳香族基を表す。ここで2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。式(1a)中のArは、主鎖を構成する芳香環に直接又は主鎖を構成する芳香環に結合した側鎖に、結合しているイオン交換基を、Ar1個あたり平均0.5個以上有する。
Figure 2010267609
式(1b)、(2b)及び(3b)(以下、場合により「式(1b)〜(3b)」という。)中、nは5以上の整数を表し、Ar11〜Ar18は互いに独立に2価の芳香族基を表す。ここでこれらの2価の芳香族基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Z、Z’は、それぞれ独立にカルボニル基又はスルホニル基を表し、X、X’、X’’は、それぞれ独立にO又はSを表す。Yは直接結合又は下記式(1c)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、p’が2である場合、2つあるAr16及びYは同一でも異なっていてもよい。q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。q’が2以上の場合、複数のAr17は同一でも異なっていてもよい。r’が2以上の場合、複数のAr18は同一でも異なっていてもよい。
Figure 2010267609
式(1c)中、R及びRは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、RとRが連結して、それらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
ブロック共重合体型高分子電解質が、このようなブロックを有すると、溶媒への溶解性が優れ、溶液安定性が向上し、且つ燃料電池として使用した際の耐久性が向上する。
上記ブロック共重合体型高分子電解質は、イオン交換基を有するブロックとして、式(1a)で表されるブロックを有し、且つ、このブロックのArが、主鎖を構成している芳香環にイオン交換基が直接結合している2価の芳香族基であることが好ましい。
ブロック共重合体型高分子電解質が、このような構造であると、化合物Aへの溶解性が優れ、プロトン伝導度等の特性が向上する。これは、得られる高分子電解質において、(ミクロ)相分離構造が生成する過程で、高分子電解質膜の総体積に対する、親水性ブロックを含む相の体積分率が高く維持されることから、良好な相分離構造が生成されやすいためと推定される。
ブロック共重合体型高分子電解質は、ハロゲン原子を実質的に有さないことが好ましい。
ブロック共重合体型高分子電解質が、ハロゲン原子を実質的に有さないことにより、燃料電池として用いた場合のハロゲン化水素の発生が防止され、他の部材の腐食を低減できる。
本発明はさらに、上述の高分子電解質組成物を用いて形成される、高分子電解質膜を提供する。
上記高分子電解質膜は、イオン交換基を有するブロックの密度がイオン交換基を実質的に有さないブロックの密度より高い相と、イオン交換基を実質的に有さないブロックの密度がイオン交換基を有するブロックの密度より高い相と、を含むミクロ相分離した構造を有することが好ましい。
このような高分子電解質膜は、耐水性に優れ、吸水した際の寸法安定性に優れる。
本発明は、そして、上述の高分子電解質組成物を支持基材上に塗布して塗膜を製造し、化合物Aが塗膜中に残存するようにして該塗膜を乾燥させる乾燥工程と、該乾燥工程の後の塗膜に残存している化合物Aを、洗浄溶媒によって洗浄除去する洗浄工程と、を有する、高分子電解質膜の製造方法を提供する。
このような製造方法によれば、イオン伝導性や、燃料電池として使用した際の発電特性がより一層優れた高分子電解質膜を製造することができる。
また、本発明は、上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体及び当該膜−電極接合体を備える固体高分子形燃料電池を提供する。
このような膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池は、上述の高分子電解質膜を備えることにより、イオン伝導性や、燃料電池として使用した際の発電特性に優れる。
本発明によれば、イオン伝導性の高い高分子電解質膜を製造できる高分子電解質組成物及びその製造方法、並びに当該高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体及び当該膜−電極接合体を備える固体高分子形燃料電池を提供することができる。
本発明の好適な実施形態に係る固体高分子形燃料電池100の一部破断斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
<高分子電解質組成物>
本実施形態に係る高分子電解質組成物は、イオン交換基を有するブロック及びイオン交換基を実質的に有さないブロックを有するブロック共重合体型高分子電解質と、複数種の溶媒からなる混合溶媒と、を含有し、上記混合溶媒が、上記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒であり、上記混合溶媒に含まれる溶媒のうち少なくとも1種は、水酸基を2個のみ有する化合物Aである。このような高分子電解質組成物によれば、イオン伝導性の高い高分子電解質膜を製造できる。以下、各成分について詳細に説明する。
(ブロック共重合体型高分子電解質)
上述のとおり、ブロック共重合体型高分子電解質は、イオン交換基を有するブロック(親水性ブロック)及びイオン交換基を実質的に有さないブロック(疎水性ブロック)を有する高分子電解質である。
ここで、「イオン交換基を有するブロック」とは、当該ブロックを構成する構造単位1個に対して平均0.5個以上のイオン交換基を有するブロックを意味する。発電性能の観点からは、イオン交換基を有するブロックは、構造単位1個に対して平均1.0個以上のイオン交換基を有することが好ましい。
一方、「イオン交換基を実質的に有しないブロック」とは、当該ブロックを構成する構造単位1個に対して平均0.1個未満のイオン交換基を有するブロックを意味する。耐水性や吸水寸法安定性の観点からは、イオン交換基を実質的に有しないブロックは、イオン交換基が構造単位1個に対して平均0.05個以下であるブロックであることが好ましく、イオン交換基を全く有さないブロックであることがより好ましい。
なお、本明細書において「ブロック共重合体」とは、親水性ブロックと疎水性ブロックとが主鎖構造を形成しているような共重合様式のものに加え、一方のブロックが主鎖構造を形成し、他方のブロックが側鎖構造を形成しているような、グラフト重合の共重合様式の共重合体も含む概念である。
イオン交換基としては、カチオン交換基、アニオン交換基の何れでもよいが、スルホン酸基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(−OP(O)(OH))、ホスホン酸基(−P(O)(OH))、スルホニルイミド基(−SO−NH−SO−)等のカチオン交換基(酸性基)が好ましい。上記親水性ブロックが、これらから選ばれるカチオン交換基を有することが好ましく、中でも、酸解離定数pKaが2以下のカチオン交換基(強酸性基)を有することがより好ましく、スルホン酸基を有することが更に好ましい。上記カチオン交換基は、部分的に又は全てが金属イオン等でイオン交換されて塩を形成していてもよいが、実質的に全てが遊離酸の状態であることが好ましい。実質的に全てのカチオン交換基が遊離酸の状態である親水性ブロックを有するブロック共重合体型高分子電解質によれば、高分子電解質組成物の製造がより容易になる。また、燃料電池用隔膜等として使用する観点からも、実質的に全てのカチオン交換基が遊離酸の状態であることが好ましい。
ブロック共重合体型高分子電解質のイオン交換容量(以下、場合により「IEC」と略記する。)は、0.5meq/g〜4.0meq/gの範囲であると好ましく、1.0meq/g〜3.0meq/gの範囲であるとより好ましい。ブロック共重合体型高分子電解質のIECがこの範囲であると、得られる高分子電解質膜のイオン伝導性がより一層向上する。
ブロック共重合体型高分子電解質としては、親水性ブロックと疎水性ブロックとに、それぞれ含まれる構造単位の数(構造単位の繰り返し数)が、親水性ブロック/疎水性ブロックの比で表して、10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。両ブロック含まれる構造単位の数の比が、このような範囲であると、高分子電解質膜を得たとき、相分離構造を形成しやすく、吸水時の寸法安定性とイオン伝導性とを両立できる相分離構造の高分子電解質膜を得ることができる。
また、高分子電解質膜を得たとき、この膜がより良好な耐熱性を発現できる点で、上記ブロック共重合体型高分子電解質は、芳香族系高分子電解質であることが好ましい。ここで芳香族系高分子電解質とは、ブロック共重合体型高分子電解質を構成する親水性ブロックと疎水性ブロックとがともに、芳香族基が直接結合して連結しているようなブロックであるか、芳香族基が適当な原子又は2価の原子団を介して結合して連結しているようなブロックであるか、その組み合わせであるものである。また、ブロック共重合体型高分子電解質の共重合様式がグラフト重合である場合、該芳香族系高分子電解質とは、その高分子電解質の主鎖構造及び側鎖構造を構成する2つのブロックがともに、芳香族基が直接結合して連結しているようなブロックであるか、芳香族基が適当な原子又は原子団を介して結合し、連結しているようなブロックであるか、その組み合わせであるものである。
特に、ブロック共重合体型高分子電解質が芳香族系高分子電解質である場合、親水性ブロックにおいて、このブロックを1つの高分子鎖としてみたとき、その主鎖を形成している芳香環に直接結合したイオン交換基を有するものであると好ましい。
上記ブロック共重合体型高分子電解質は、元素重量含有比で、ハロゲン原子が15重量%以下である炭化水素系高分子が好ましい。ブロック共重合体型高分子電解質は、実質的にハロゲン原子を含有しないものであることがより好ましい。このようなブロック共重合体型高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりするおそれがないという利点がある。なお、ここでいう「実質的にハロゲン原子を含有しない」とは、元素重量含有比で、ハロゲン原子が1重量%以下のものをいう。
ブロック共重合体型高分子電解質としては、例えば、親水性ブロックとして、下記式(1a)で表されるブロックを有し、疎水性ブロックとして、下記式(1b)、(2b)又は(3b)で表されるブロックを有するブロック共重合体型高分子電解質が挙げられる。
Figure 2010267609
Figure 2010267609
式(1a)におけるArは、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環式芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮合環式芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等の複素環式芳香族基が挙げられる。好ましくは2価の単環式芳香族基である。
また、Arは、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。なお、式(1a)中のArは、主鎖を構成する芳香環に直接又は主鎖を構成する芳香環に結合した側鎖に、結合しているイオン交換基を、Ar1個あたり平均0.5個以上有する。
該アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、デシル基等が例示される。これらのアルキル基は、直鎖でも、分岐していても、環状であってもよい。また、該アルキル基に、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が1〜10のアルキル基であってもよい。
該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基等が例示される。これらのアルコキシ基は、直鎖でも、分岐していても、環状であってもよい。また、該アルコキシ基に、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が1〜10のアルコキシ基も含む概念である。
該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が例示される。また、これらのアリール基に、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が6〜18のアリール基であってもよい。
該アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基等が例示される。また、これらのアリールオキシ基に、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が6〜18のアリールオキシ基であってもよい。
該アシル基としては、アセチル基、ブチリル基、デシルカルボキシル基、ベンゾイル基等が例示される。また、該アシル基に、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が2〜20のアシル基であってもよい。
式(1a)で表されるブロックにおけるArは、当該ブロックに[0.5×m]個以上のイオン交換基を有するものであり、式(1a)で表されるブロックにある全ての構造単位のArがイオン交換基を有することが好ましい。そして、Arには、当該ブロックの主鎖を構成する芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有していることがより好ましい。イオン交換基としては、上述のようにカチオン交換基が好ましく、スルホン酸基がより好ましい。
式(1b)〜(3b)におけるAr11〜Ar18は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等のヘテロ芳香族基等が挙げられる。中でも、2価の単環性芳香族基が好ましい。
また、これらの2価の芳香族基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基としては、例えば、上述のものを用いることができる。
式(1b)〜(3b)において、Z、Z’は、それぞれ独立にカルボニル基又はスルホニル基を表し、X、X’、X’’は、それぞれ独立にO又はSを表す。Yは直接結合又は下記式(1c)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、p’が2である場合、2つあるAr16及びYは同一でも異なっていてもよい。q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。q’が2以上の場合、複数のAr17は同一でも異なっていてもよい。r’が2以上の場合、複数のAr18は同一でも異なっていてもよい。
Figure 2010267609
式(1c)中、R及びRは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、RとRが連結して、それらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基としては、例えば、上述のものを用いることができる。
本実施形態のブロック共重合体型高分子電解質は上述のように、親水性ブロックと疎水性ブロックとが、直接結合しているか、適当な原子又は2価の原子団を介して結合し、主鎖を形成しているようなブロック共重合体、あるいは一方のブロックが主鎖を形成し、他方のブロックが側鎖を形成しているようなグラフト共重合体も含む概念である。但し、製造上の容易さを勘案すると、前者のブロック共重合体が好ましい。
ここで、式(1a)で表されるブロックの構造単位の繰り返し数m、式(1b)〜(3b)の何れかで表されるブロックの構造単位の繰り返し数n、はともに5以上の整数を表す。n及びmは、5〜1000の範囲であることが好ましく、10〜500の範囲であることがより好ましい。n及びmがこの範囲であるブロック共重合体型高分子電解質は、イオン伝導性と機械強度とのバランスに優れ、各々のブロックの製造自体も容易である。また、n及びmの比は、m/nで表して、10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。
上記ブロック共重合体型高分子電解質の中では、式(1a)で表される親水性ブロックと、一般式(1b)で表される疎水性ブロックと、からなるブロック共重合体型高分子電解質、又は一般式(1a)で表される親水性ブロックと一般式(2b)で表される疎水性ブロックとからなるブロック共重合体型高分子電解質が好ましい。
また、ブロック共重合体型高分子電解質としては、例えば、下記式(1)〜(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010267609
Figure 2010267609
Figure 2010267609
なお、上記式(1)〜(13)は、括弧内の構造単位からなるブロックを有し、その共重合様式がブロック共重合であり、Gは2つのブロックを連結する結合、原子又は2価の原子団を表す。具体的に、Gを例示すると、直接結合、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、2価の芳香族基又はこれらの組み合わせによる2価の基が挙げられる。また、式(1)〜(13)のn及びmは上記と同義である。
上記式(1)〜(13)で表されるブロック共重合体型高分子電解質の中では、式(3)、(5)、(9)〜(13)で表されるブロック共重合体型高分子電解質が好ましく、(3)、(5)、(9)、(10)、(11)、(12)で表されるブロック共重合体型高分子電解質がより好ましい。
ブロック共重合体型高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で、5000〜1000000であることが好ましく、15000〜400000であることがより好ましい。分子量がこの範囲であるブロック共重合体型高分子電解質組成物を用いると、溶液キャスト法に使用するような溶液組成物(高分子電解質溶液)を得たとき、実用的な粘度の溶液組成物を得ることができる。
このようなブロック共重合体型高分子電解質は、例えば国際公開番号WO2007/043274に開示されたようなブロック共重合体の製造方法により製造できる。
(混合溶媒)
本実施形態に係る混合溶媒は、上述のように、上記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒であり、水酸基を2個のみ有する化合物Aを含有する。
なお、本明細書において、ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒とは、該ブロック共重合体型高分子電解質を25℃において0.1重量%以上の濃度で溶解し得る溶媒をいう。
水酸基を2個のみ有する化合物Aとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール及び1,5−ペンタンジオールが挙げられる。溶解性、溶媒除去の容易性、ハンドリング性の観点からは、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。なお、化合物Aとしては、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記混合溶媒は、化合物Aの他に、上記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒である溶媒Bを含有することが好ましい。
上記混合溶媒が、溶媒Bを含有すると、高分子電解質組成物においてブロック共重合体型高分子電解質が析出しにくい、すなわち、高分子電解質組成物の保存安定性が向上する。
溶媒Bは該ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒であれば、極性溶媒でも非極性溶媒でもよいが、ブロック共重合体型高分子電解質自身もイオン交換基を有するものであるので、極性溶媒が好ましい。
溶媒Bとしては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点166℃)、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、テトラヒドロフラン(沸点65℃)が挙げられる。中でも、溶解性、溶液安定性の観点からはN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。なお、溶媒Bとしては、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の高分子電解質組成物においては、化合物Aと溶媒Bとの含有重量比が、化合物A/溶媒Bで表して、0.5/99.5〜40.0/60.0であることが好ましく、1/99.0〜30.0/70.0であることがより好ましい。化合物A/溶媒Bが0.5/99.5以上であると、得られる高分子電解質膜のイオン伝導度がより向上し、40.0/60.0以下であると、高分子電解質組成物の溶液安定性が高く維持される。
なお、上記高分子電解質組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、化合物Aと溶媒B以外の如何なる溶媒も含むことができ、例えば水を含んでもよい。該他の溶媒としては、溶媒Bよりも沸点が低い溶媒であることが好ましい。
混合溶媒の総重量に対する、化合物Aと溶媒Bとの合計重量の割合は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましく、80重量%であることが一層好ましい。また、混合溶媒は、実質的に化合物Aと溶媒Bからなることが特に好ましい。混合溶媒の総重量に対する、化合物Aと溶媒Bとの合計重量の割合がこの範囲であると、高分子電解質膜のイオン伝導性をより一層高めることができる。なお、「実質的に化合物Aと溶媒Bからなる」とは、企図せず含有される不純物を排除するものではない。
また、高分子電解質組成物において、ブロック共重合体型高分子電解質と混合溶媒との重量比は、[ブロック共重合体型高分子電解質の総重量]/[ブロック共重合体型高分子電解質の総重量+混合溶媒の総重量]で求められるブロック共重合体型高分子電解質の重量濃度が、1〜30重量%であることが好ましく、3〜25重量%であることがより好ましい。ブロック共重合体型高分子電解質の重量濃度がこのような範囲であると、後述する溶液キャスト法に係る操作性に優れる。
また、高分子電解質組成物は、当分野で周知の添加剤を更に含んでいてもよい。該添加剤としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等や、保水剤として添加される、無機又は有機の微粒子が挙げられる。このような添加剤を使用する際には、得られる高分子電解質膜の特性が著しく低下しない範囲で、その種類及び使用量を選択することが好ましい。
さらに、高分子電解質組成物は、本発明の効果を有する限りにおいて、ブロック共重合体型高分子電解質以外の、他の高分子電解質を含んでいてもよい。
<高分子電解質組成物の製造方法>
次に、本発明の高分子電解質組成物の好適な製造方法について説明する。
高分子電解質組成物は、例えば、混合溶媒として用いられる化合物とブロック共重合体型高分子電解質とを混合することにより製造できるが、化合物Aを含有する混合溶媒を調製する調製工程と、該調製工程で得られた混合溶媒にブロック共重合体型高分子電解質を溶解させる溶解工程と、を有する製造方法により製造することが好ましい。このような製造方法によれば、高分子電解質組成物を製造する際、粘度増加等が発生しにくいことから、ブロック共重合体型高分子電解質を短時間で混合溶媒に溶解させることができる。高分子電解質組成物はまた、混合溶媒として用いられる化合物のうちの化合物A以外の化合物と、ブロック共重合体型高分子電解質とを混合した後に、化合物Aを混合することによっても製造することができる。
以下、混合溶媒として、化合物A及び溶媒Bのみからなる混合溶媒を用いた場合の高分子電解質組成物の製造方法を例として詳細に説明する。
高分子電解質組成物は、ブロック共重合体型高分子電解質と化合物Aと溶媒Bとを混合することで製造できるが、より容易に高分子電解質組成物を製造できる点では、下記の(a)、(b)、(c)又は(d)の製造方法によって製造されることが好ましい。
(a)化合物Aと溶媒Bとを混合して混合溶媒を調製し、この混合溶媒とブロック共重合体型高分子電解質とを混合する方法;
(b)一方で化合物Aと溶媒Bとを混合して混合溶媒を調製し、もう一方で溶媒Bとブロック共重合体型高分子電解質とを混合してなる溶液又は膨潤ゲルを調製した後、この溶液又は膨潤ゲルと、混合溶媒とを混合する方法;
(c)溶媒Bとブロック共重合体型高分子電解質とを混合して溶液を調製した後、この溶液と化合物Aとを混合する方法;
(d)化合物Aとブロック共重合体型高分子電解質とを混合して膨潤ゲルを調製した後、この膨潤ゲルと溶媒Bとを混合する方法
これらの中でも、(a)又は(b)のように、予め化合物Aと溶媒Bとを、混合させておけば、高分子電解質組成物を製造する際、粘度増加等が起こりにくいため溶解に要する時間が大幅に短縮されるので好ましい。特に製造時間を短縮できる点で(a)の製造方法、すなわち、化合物Aと溶媒Bと混合して混合溶媒を調製する調製工程と、該調製工程で得られた混合溶媒にブロック共重合体型高分子電解質を溶解させる溶解工程と、を有する製造方法が好ましい。なお、溶媒B以外の溶媒を用いる場合には、上記調製工程において、混合溶媒として用いる溶媒を混合して混合溶媒を調製すればよい。
上述のようにして製造された高分子電解質組成物は、例えば、高分子電解質膜の形成に用いることができる。
<高分子電解質膜の製造方法>
高分子電解質膜は、例えば、高分子電解質組成物をキャストする溶液キャスト法や、高分子電解質組成物を多孔質基材に含浸させ複合化させる含浸法などによって形成することができる。以下、各方法及びこれらの方法によって得られる高分子電解質膜について説明する。
(溶液キャスト法)
まず、本発明の高分子電解質組成物から溶液キャスト法を用いて、燃料電池用隔膜(高分子電解質膜)を製造する方法について説明する。
溶液キャスト法とは、本発明の高分子電解質組成物を、ガラス基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の支持基材上に流延塗布(キャスト製膜)して塗膜を形成せしめ、該塗膜から溶媒等の揮発成分を除去することにより支持基材上に高分子電解質膜を製膜する方法である。そして、高分子電解質膜が形成された支持基材を、高分子電解質膜から剥離等によって除去することで、高分子電解質膜を得ることができる。
本発明の効果をより高める観点からは、高分子電解質膜は、高分子電解質組成物を支持基材上に塗布して塗膜を製造し、化合物Aが塗膜中に残存するようにして該塗膜を乾燥させる乾燥工程と、該乾燥工程の後の塗膜から、残存している化合物Aを、洗浄溶媒によって洗浄除去する洗浄工程と、を有する製造方法により製造されることが好ましい。
ここで、乾燥工程後に残存している化合物Aの重量が、塗膜中にあるブロック共重合体型高分子電解質の重量に対して1重量%以上であると好ましく、5重量%以上であるとより好ましい。乾燥工程後に残存している化合物Aの重量が、ブロック共重合体型高分子電解質の重量に対してこの範囲であるとき、乾燥工程後に得られる塗膜で良好な相分離構造が発現するので、極めて高度のイオン伝導度を有する高分子電解質膜が得られると推定される。
また、該乾燥工程の後に残存している化合物Aの重量が、塗膜中にあるブロック共重合体型高分子電解質の重量に対して150%以下であると好ましく、100%以下であるとより好ましい。乾燥工程後に残存している化合物Aの重量が、ブロック共重合体型高分子電解質の重量に対してこの範囲であるとき、乾燥工程後に得られる塗膜を支持基材から剥離しても、高分子電解質膜が破断したりしない程度の十分な強度を示すという利点がある。
なお、乾燥工程を経て得られた塗膜に化合物Aを残存させるために、温度等の乾燥条件を調整することが好ましい。
このようにして得られる高分子電解質膜の厚みは、特に制限はないが、燃料電池用隔膜として実用的である点で5〜300μmが好ましく、7〜100μmであればより好ましい。膜厚が5μm以上であると、実用的な強度の高分子電解質膜が得られるため好ましく、300μm以下であると、膜抵抗自体が小さくなる高分子電解質膜が得られやすいので好ましい。膜厚は、高分子電解質組成物におけるブロック共重合体型高分子電解質の重量濃度及び支持基材上の塗膜の塗布厚により制御できる。
本実施形態の高分子電解質組成物から得られる高分子電解質膜は、親水性ブロックの密度が疎水性ブロックの密度より高い相(以下、「親水性ブロック相」と呼ぶことがある。)と、疎水性ブロックの密度が親水性ブロックの密度より高い相(以下、「疎水性ブロック相」と呼ぶことがある。)とを含む、相分離構造を有することが好ましい。該相分離構造はミクロ相分離構造であることがより好ましい。
ミクロ相分離構造とは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)で見た場合に、親水性ブロック相(ミクロドメイン)と、疎水性ブロック相(ミクロドメイン)とが混在し、各ミクロドメイン構造のドメイン幅すなわち恒等周期が数nm〜数100nmであるような構造をいう。好ましくは5nm〜100nmのミクロドメイン構造を有するものが好ましい。
(含浸法)
次に、含浸法により高分子電解質膜を形成する方法について説明する。
高分子電解質膜は、例えば、高分子電解質組成物を多孔質基材に含浸させ複合化することにより、複合膜として形成することができる。このような方法によれば、膜の強度や柔軟性、耐久性を更に向上することができる。
多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリル等が挙げられ、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を考慮すると、脂肪族系高分子、芳香族系高分子、または含フッ素高分子が好ましい。
この場合、多孔質基材の膜厚は、1〜100μmが好ましく、3〜30μmがより好ましく、5〜20μmが更に好ましい。また、多孔質基材の孔径は、0.01〜100μmが好ましく、0.02〜10μmがより好ましい。さらに、多孔質基材の空隙率は、20〜98%が好ましく、40〜95%がより好ましい。
多孔質基材の膜厚が1μm以上であると、複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより優れ、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくなる。また、該膜厚が100μm以下であると、電気抵抗がより低くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池のイオン伝導膜として、より優れたものとなる。該孔径が0.01μm以上であると、本発明の共重合体の充填がより容易となり、100μm以下であると、共重合体への補強効果がより大きくなる。空隙率が20%以上であると、イオン伝導性の抵抗がより小さくなり、98%以下であると、多孔質基材自体の強度がより大きくなり補強効果がより向上するので好ましい。
また、かかる複合膜の場合は、TEMによる分析手段によって、この複合膜の高分子電解質膜が形成されている部分を観察したとき、この部分でミクロ相分離構造が形成されていることが好ましい。
上述のようにして形成した高分子電解質膜は、例えば、固体高分子形燃料電池用の高分子電解質膜として用いることができる。
<固体高分子形燃料電池>
上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体及び当該膜−電極接合体を備える固体高分子形燃料電池について説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態に係る固体高分子形燃料電池(燃料電池単セル)100の一部破断斜視図である。図1に示す固体高分子形燃料電池100は、膜−電極接合体(MEA)10、一対のガスケット4及び一対のセパレータ5を備える。膜−電極接合体10は、高分子電解質膜1、高分子電解質膜1の両面においてその面の一部に形成された触媒層2、及び触媒層2の面のうち高分子電解質膜1とは反対の面に形成された一対のガス拡散層3を備える。そして、膜−電極接合体10は、一対のセパレータ5で挟持されており、ガスケット4は、高分子電解質膜1とセパレータ5の間に配されている。なお、膜−電極接合体10において、ガス拡散層3は必ずしも必要ではない。
膜−電極接合体10は、例えば、本実施形態の高分子電解質組成物を用いて形成された高分子電解質膜の両面に、触媒及び導電性物質を含む触媒層を接合することにより製造することができる。
ここで触媒としては、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金又は白金系合金の微粒子を触媒として用いることが好ましい。なお、この白金又は白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状又は繊維状のカーボンに担持されて用いられることもある。
触媒層2は、例えば、上記触媒を、高分子電解質としてのパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂のアルコール溶液と共に混合してペースト化した触媒インクを調製し、ガス拡散層及び/又は高分子電解質膜に塗布・乾燥することにより形成できる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.:Electrochemical Science and Technology,1988,135(9),2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
なお、膜−電極接合体10の製造において、ガス拡散層3となる基材上に触媒層2を形成した後、高分子電解質膜1の両面にガス拡散層3及び触媒層2を接合させることにより、高分子電解質膜1の両面にガス拡散層3と触媒層2とをともに備えた膜−電極接合体10を製造することができる。当該膜−電極接合体10は、触媒インクを高分子電解質膜1に塗布して高分子電解質膜1上に触媒層2を形成させた後、触媒層2上に更にガス拡散層3を形成させる方法により製造してもよい。
ここで、触媒層2の製造用に使用される触媒インクとして、本実施形態の高分子電解質組成物に上記カーボン担持触媒を混合してなる触媒組成物を用いることもできる。
ガス拡散層には公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
そして、固体高分子形燃料電池100は、例えば、上述のようにして得られた膜−電極接合体10をセパレータ5で挟持し、高分子電解質膜1とセパレータ5の間をガスケット4でシールすることにより製造できる。
固体高分子形燃料電池100は、燃料として水素ガス又は改質水素ガスを使用する形式はもとより、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
WO2008/066188号パンフレットに記載の方法に従い、下記構造式で示される繰り返し単位を有するブロック共重合体型高分子電解質(BCP−1)を合成した。該高分子電解質(BCP−1)のイオン交換容量は2.70meq/gであった。なお、n、mはそれぞれのブロックを構成する繰り返し構造のブロック共重合体中の重合度を示す。
Figure 2010267609
(実験例1)
合成例1で得られたBCP−1を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)及びエチレングリコール(EG)を混合した混合溶媒に、ガラス容器中で溶解させ、高分子電解質溶液(α)を調製した。この際、BCP−1/NMP/EGの比率は、重量比で、8.5/73.2/18.3とした。
調製した高分子電解質溶液(α)を23℃に温調後、減圧して脱泡した。そして、脱泡した高分子電解質溶液(α)を、支持基材としてのPETフィルム上にアプリケーターにより連続的に流延塗布した後、連続的に乾燥炉(設定温度80℃、該乾燥炉の温度誤差は設定温度に対して−2℃以内であり、乾燥炉全体の温度分布(加熱ゾーン)は78〜80℃である)へと搬送し、有機溶媒を除去して、高分子電解質膜中間体(層厚18μm)を形成させた。得られた高分子電解質膜中間体を、2N硫酸に2時間浸漬した後、水洗した。そして、水洗した高分子電解質膜中間体を、風乾した後、PETフィルムより剥離して高分子電解質膜1を得た。得られた高分子電解質膜1の膜厚精度は±0.5μmであった。なお、本明細書において、膜厚精度とは、接触式膜厚計にて、フィルムの流れ方向に対して垂直方向の端部から1cm間隔で8点測定した値の平均値に対し、最大値と最小値の範囲から求めた値をいう。
(実施例2)
合成例1で得られたBCP−1を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)及びジエチレングリコール(DEG)を混合した混合溶媒に、ガラス容器中で溶解させ、高分子電解質溶液(β)を調製した。この際、BCP−1/NMP/DEGの比率は、重量比で、8.5/85.1/6.4とした。
調製した高分子電解質溶液(β)を23℃に温調後、減圧して脱泡した。そして、脱泡した高分子電解質溶液(β)を、支持基材としてのPETフィルム上にアプリケーターにより連続的に流延塗布した後、連続的に乾燥炉(設定温度100℃、該乾燥炉の温度誤差は設定温度に対して−2℃以内であり、乾燥炉全体の温度分布(加熱ゾーン)は98〜100℃である)へと搬送し、有機溶媒を除去して、高分子電解質膜中間体(層厚18μm)を形成させた。得られた高分子電解質膜中間体を、2N硫酸に2時間浸漬した後、水洗した。そして、水洗した高分子電解質膜中間体を、風乾した後、PETフィルムより剥離して高分子電解質膜2を得た。得られた高分子電解質膜2の膜厚精度は±0.5μmであった。
(比較例1)
合成例1で得られたBCP−1を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)及びメタノール(MeOH)を混合した混合溶媒に、ガラス容器中で溶解させ、高分子電解質溶液(γ)を調製した。この際、BCP−1/NMP/MeOHの比率は、重量比で、8.5/64.1/27.4とした。
調製した高分子電解質溶液(γ)を23℃に温調後、減圧して脱泡した。そして、脱泡した高分子電解質溶液(γ)を、支持基材としてのPETフィルム上にアプリケーターにより連続的に流延塗布した後、連続的に乾燥炉(設定温度80℃、該乾燥炉の温度誤差は設定温度に対して−2℃以内であり、乾燥炉全体の温度分布(加熱ゾーン)は78〜80℃である)へと搬送し、有機溶媒を除去して、高分子電解質膜中間体(層厚18μm)を形成させた。得られた高分子電解質膜中間体を、2N硫酸に2時間浸漬した後、水洗した。そして、水洗した高分子電解質膜中間体を、風乾した後、PETフィルムより剥離して高分子電解質膜3を得た。得られた高分子電解質膜3の膜厚精度は±0.5μmであった。
(比較例2)
合成例1で得られたBCP−1を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)及びグリセリン(Gly)を混合した混合溶媒に、ガラス容器中で溶解させ、高分子電解質溶液(δ)を調製した。この際、BCP−1/NMP/Glyの比率は、重量比で、8.5/84.2/7.3とした。
調製した高分子電解質溶液(δ)を23℃に温調後、減圧して脱泡した。そして、脱泡した高分子電解質溶液(δ)を、支持基材としてのPETフィルム上にアプリケーターにより連続的に流延塗布した後、連続的に乾燥炉(設定温度130℃、該乾燥炉の温度誤差は設定温度に対して−2℃以内であり、乾燥炉全体の温度分布(加熱ゾーン)は128〜130℃である)へと搬送し、有機溶媒を除去して、高分子電解質膜中間体(層厚18μm)を形成させた。得られた高分子電解質膜中間体を、2N硫酸に2時間浸漬した後、水洗した。そして、水洗した高分子電解質膜中間体を、風乾した後、PETフィルムより剥離して高分子電解質膜4を得た。得られた高分子電解質膜4の膜厚精度は±2.0μmであった。
(高分子電解質膜の評価)
上述のようにして得られた高分子電解質膜1〜4を用いて燃料電池を作製し、得られた燃料電池を評価した。具体的には、0.3Vでの電流密度(A/cm)を比較した。該評価では高い電流密度が得られるほど、燃料電池用電解質膜としては高特性であることを意味する。評価結果を、混合溶媒の種類、化合物Aの水酸基数並びに膜厚精度とともに表1に示す。
Figure 2010267609
以上より、実施例1,2の高分子電解質膜は、比較例1,2の高分子電解質膜と比較し電流密度が高いこと、すなわちイオン導電性に優れることを確認した。

Claims (15)

  1. イオン交換基を有するブロック及びイオン交換基を実質的に有さないブロックを有するブロック共重合体型高分子電解質と、
    複数種の溶媒からなる混合溶媒と、
    を含有し、
    前記混合溶媒が、前記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒であり、
    前記混合溶媒に含まれる溶媒のうち少なくとも1種は、水酸基を2個のみ有する化合物Aである、高分子電解質組成物。
  2. 前記混合溶媒が、前記化合物Aの他に、前記ブロック共重合体型高分子電解質の良溶媒である溶媒Bを含有する、請求項1に記載の高分子電解質組成物。
  3. 前記溶媒Bが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフランからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の高分子電解質組成物。
  4. 前記溶媒Bが、N−メチル−2−ピロリドンである、請求項2又は3に記載の高分子電解質組成物。
  5. 前記化合物Aが、エチレングリコール又はジエチレングリコールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物。
  6. 前記化合物Aと前記溶媒Bとの含有重量比が、化合物A/溶媒Bで表して、0.5/99.5〜40.0/60.0の範囲である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物。
  7. 前記混合溶媒の総重量に対する、前記化合物Aと前記溶媒Bとの合計重量の割合が50重量%以上である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物。
  8. 前記ブロック共重合体型高分子電解質が、
    前記イオン交換基を有するブロックとして下記式(1a)で表されるブロックを有し、
    前記イオン交換基を実質的に有さないブロックとして、下記式(1b)、(2b)、又は(3b)で表されるブロックを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物。
    Figure 2010267609

    [式(1a)中、mは5以上の整数を表し、Arは2価の芳香族基を表す。ここで2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。式(1a)中のArは、主鎖を構成する芳香環に直接又は主鎖を構成する芳香環に結合した側鎖に結合しているイオン交換基を、Ar1個あたり平均0.5個以上有する。]
    Figure 2010267609

    [式(1b)〜(3b)中、nは5以上の整数を表し、Ar11〜Ar18は互いに独立に2価の芳香族基を表す。ここでこれらの2価の芳香族基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Z、Z’は、それぞれ独立にカルボニル基又はスルホニル基を表し、X、X’、X’’は、それぞれ独立にO又はSを表す。Yは直接結合又は下記式(1c)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、p’が2である場合、2つあるAr16及びYは同一でも異なっていてもよい。q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。q’が2以上の場合、複数のAr17は同一でも異なっていてもよい。r’が2以上の場合、複数のAr18は同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 2010267609

    [式(1c)中、R及びRは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、RとRが連結して、それらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
  9. 前記ブロック共重合体型高分子電解質が、イオン交換基を有するブロックとして、前記式(1a)で表されるブロックを有し、
    且つ、このブロックのArが、主鎖を構成している芳香環にイオン交換基が直接結合している2価の芳香族基である、請求項8に記載の高分子電解質組成物。
  10. 前記ブロック共重合体型高分子電解質が、ハロゲン原子を実質的に有さない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物を用いて形成される、高分子電解質膜。
  12. 前記イオン交換基を有するブロックの密度が前記イオン交換基を実質的に有さないブロックの密度より高い相と、
    前記イオン交換基を実質的に有さないブロックの密度が前記イオン交換基を有するブロックの密度より高い相と、
    を含むミクロ相分離した構造を有する、請求項11記載の高分子電解質膜。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物を支持基材上に塗布して塗膜を製造し、前記化合物Aが塗膜中に残存するようにして該塗膜を乾燥させる乾燥工程と、
    該乾燥工程の後の塗膜に残存している化合物Aを、洗浄溶媒によって洗浄除去する洗浄工程と、
    を有する、高分子電解質膜の製造方法。
  14. 請求項11又は12に記載の高分子電解質膜を備える、膜−電極接合体。
  15. 請求項14記載の膜−電極接合体を備える、固体高分子形燃料電池。
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