JP2010266027A - 車速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】指示速度L1,L2,L3に対応する基準の変速操作位置H1,H2,H3を設定する基準車速設定手段103で、複数の指示速度のうち、最高速側の指示速度L3よりも低速側の指示速度L1,L2に相当する変速操作位置H1,H2は、車体を走行させての走行速度の検出結果から、選択された指示速度L1,L2に対応する基準の変速操作位置H1,H2として設定し、その他の指示速度L3に相当する変速操作位置H3を、所定の変化率に基づいた演算によって算出するように構成した。
【選択図】図8
Description
このように、上限車速を所定の値に設定して作業を行なえるようにしてあることにより、作業条件に適した車速を簡単に得られる点で有用なものである。この変速操作具としての上限車速設定ボリュームによって指示される無段変速装置からの出力車速は、工場出荷の段階で所定の値に決められている。つまり、変速操作具での指示速度と無段変速装置からの出力車速とを正確に対応させるには、工場出荷の段階で精度良く設定しなければならず、従来では、種種の指示速度に応じて、実際に種々の速度での走行テストを行いながら、変速操作具の操作量と無段変速装置の斜板角との関係を設定していた。
つまり、変速操作具の操作量と無段変速装置の斜板角との関係を走行テストを行いながら精度良く設定するには、設定したい指示速度近くの走行速度域で、指示速度に達するまでの間、ごく少しずつ走行速度を変化させながら、かつ、その少しずつ速度を変化させる各段階で、数秒間程度は車速が安定するのを待って正しい指示速度に達したかどうかを確かめながら、この作業を繰り返して、各指示速度での無段変速装置の斜板角を検出するようにしている。
このため、所定数の指示速度を設定し終わるまでには、かなりの長い時間にわたって長い距離を走行しなければならず、そのための平坦で長い直線のテストコースが必要であり、かつ、そのテスト走行を行うための人員と、テスト及び設定を行うための時間とを要するものであり、これらが製造コストの低減化の妨げになっていた。
また、一旦、工場から出荷された後に、ディーラーなどで変速操作具のポテンショメータや車速検出用のポテンショメータを交換したりすると、再度設定をやり直す必要があり、これを設備や人員の整っていない条件のもとでは行うことができず、製造工場へ送り返すなどの手数を要することもあった。
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、エンジンの動力が伝達される無段変速装置を備え、その無段変速装置からの出力速度を、前記無段変速装置に対する複数の指示速度と合致させるように調節する車速制御装置において、
走行伝動系における駆動速度を検出する車速センサと、前記無段変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出センサとを備えるとともに、前記車速センサの検出値と前記変速位置検出センサの検出値とから、前記複数の指示速度に対応する基準の複数の変速操作位置を設定する基準車速設定手段を備え、
この基準車速設定手段では、前記複数の指示速度のうち、最高速側の指示速度よりも低速側の指示速度に相当する変速操作位置に設定して車体を走行させ、その変速操作位置における走行速度の検出結果から、選択された指示速度に対応する変速操作位置を、前記選択された指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定し、
その他の指示速度に相当する変速操作位置を、所定の変化率に基づいた演算によって算出するように構成してあることを特徴とする。
すなわち解決手段1にかかる本発明の車速制御装置では、従来のように、設定したい指示速度に達するまでの間、指示速度近くの走行速度域から、ごく少しずつ走行速度を変化させ、かつ、その速度変化の各段階で車速が安定するのを待って、正しい指示速度に達したかどうかを確かめてから、その指示速度に対応する基準の変速操作位置を設定し、その後に残りの指示速度に対応する基準の変速操作位置を、同様の手順で次々と繰り返して設定する、というような多大な手数と時間を要するものではなく、次のようにして設定している。
つまり、複数の指示速度の全てについて個々に車体を走行させながら基準の変速操作位置を設定するのではなく、複数の指示速度のうち、最高速側の指示速度よりも低速側の指示速度を選択して、この指示速度に対して、車体を走行させながら基準の変速操作位置を設定し、その他の指示速度に相当する変速操作位置は、所定の変化率に基づいた演算によって算出している。
また、実際に車体を走行させながら基準の変速操作位置を設定する指示速度は、最高速側の指示速度よりも低速側の指示速度であるため、比較的低速で走行しながら行われる傾向がある作業速度付近の基準の変速操作位置を比較的精度良く定め易いという利点がある。
さらに、作業装置としては低速でしか作業せず、高速で駆動すると騒音や振動などの支障を来すような作業装置を備えている場合に、実際に車体を高速で走行させることなく高速での指示速度に対応する基準の変速操作位置を設定することができるので、この点でも有用である。
しかも、実際に車体を走行させながら基準の変速操作位置を設定した指示速度以外の、他の指示速度に相当する変速操作位置を演算によって算出するので、例えば最高速側の指示速度や最低速側の指示速度に相当する変速操作位置を無段変速装置を操作するアクチュエータを備える場合、このアクチュエータの動作限界位置での機械的な接当によって設定する必要がない。その結果、前述のアクチュエータとして無段変速装置を操作するサーボシリンダを備えた場合、このサーボシリンダのストローク端側のシリンダ内面を鋳抜きのままで構成することも可能であり、加工工数を低減してのコストダウンを図り得る利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の第2の解決手段は、エンジンの動力が伝達される無段変速装置を備え、その無段変速装置からの出力速度を、前記無段変速装置に対する複数の指示速度と合致させるように調節する車速制御装置において、
走行伝動系における駆動速度を検出する車速センサと、前記無段変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出センサとを備えるとともに、前記車速センサの検出値と前記変速位置検出センサの検出値とから、前記複数の指示速度に対応する基準の複数の変速操作位置を設定する基準車速設定手段を備え、
この基準車速設定手段では、前記複数の指示速度のうち、最高速側の指示速度よりも低速側の指示速度に相当する変速操作位置に設定して車体を走行させ、その変速操作位置における走行速度の検出結果から、選択された指示速度に対応する変速操作位置を、前記選択された指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定し、
前記指示速度のうちの最高速、又は最低速に相当する変速操作位置を、無段変速装置の変速操作範囲における機械的な操作限界位置に設定してあることを特徴とする。
上記のように、解決手段2にかかる本発明の車速制御装置では、従来のように、設定したい指示速度に達するまでの間、指示速度近くの走行速度域から、ごく少しずつ走行速度を変化させ、かつ、その速度変化の各段階で車速が安定するのを待って、正しい指示速度に達したかどうかを確かめてから、その指示速度に対応する基準の変速操作位置を設定し、その後に残りの指示速度に対応する基準の変速操作位置を、同様の手順で次々と繰り返して設定する、というような多大な手数と時間を要するものではなく、次のようにして設定している。
つまり、複数の指示速度の全てについて個々に車体を走行させながら基準の変速操作位置を設定するのではなく、複数の指示速度のうち、最高速、又は最低速に相当する変速操作位置を、無段変速装置の変速操作範囲における機械的な操作限界位置に設定したものである。
また、実際に車体を走行させながら基準の変速操作位置を設定する指示速度は、最高速、又は最低速に相当する指示速度ではなく、その中間速の指示速度であるため、最高速や最低速ではなく中間速で走行しながら行われる傾向がある作業速度付近の基準の変速操作位置を比較的精度良く定め易いという利点がある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る刈取収穫機の全体を示す側面図である。この図に示すように、本発明の実施形態に係る刈取収穫機は、左右一対のクローラ式の走行装置1,1によって自走するように構成され、かつ運転座席3aを有した運転部3が装備された走行機体を備えている。この走行機体の機体フレームの前部に連結された刈取部2を備え、走行機体の機体フレームの後部側には、走行機体横方向に並べて脱穀装置4と穀粒タンク5とが設けられている。
つまり、刈取部2は、機体フレームに軸芯P1まわりに上下揺動自在に支持された刈取部フレーム20、この刈取部フレーム20に支持された分草具21、引起し装置22、バリカン形の刈取装置23、及び供給装置24を備えている。この刈取部2は、刈取部フレーム20が油圧式の昇降シリンダ27によって上下に揺動操作可能に構成してあり、分草具21が地面の近くに下降した作業高さ位置と、分草具21が地面から高く上昇した非作業高さ位置とに、昇降操作自在に構成してある。
図2は、伝動装置の説明図である。この図に示すように、伝動装置は、前記ミッションケース8を備える他、このミッションケース8の上端部に連設された静油圧式無段変速装置からなる無段変速装置7を備えている。伝動装置は、エンジン6の出力軸6aの駆動力を、ベルトテンションクラッチで成る主クラッチ9を介して前記無段変速装置7の入力軸7aに伝達し、この無段変速装置7の出力軸7bの駆動力を、ミッションケース8の内部に位置するミッション(図示せず)を介して左右の走行装置1,1のクローラ駆動軸1aに伝達する。
刈取り変速装置15は、シフトギヤ13cが摺動操作されて低速伝動ギヤ13aに噛み合うことによって低速位置に切り換わり、シフトギヤ13cが摺動操作されて高速伝動ギヤ13bに噛み合うことによって高速位置に切り換わるように、高低2段に変速自在に構成してある。
そして、故障等による機体の牽引時、あるいは、その他の必要に応じて、シフト部材18を伝動ギヤ19から離間させることにより、右及び左の走行装置1と無段変速装置7とをシフト部材18の位置で遮断することができる。この状態では、無段変速装置7の駆動力が走行系には伝達されないので、無段変速装置7の抵抗を受けることなく機体を牽引することができる。また、機体を走行停止したままで刈取部2の駆動を行うことができる。
図2,3に示すように、無段変速装置7は、入力軸7aをポンプ軸として備えた可変容量形の油圧ポンプ7Pを備え、出力軸7bをモータ軸として備えた油圧モータ7Mを備えて構成してある。油圧モータ7Mは、油圧ポンプ7Pによって供給される圧油によって駆動される。この油圧モータ7Mは、可変容量形の油圧モータに構成してある。
つまり、無段変速装置7は、変速レバー43が中立位置Nに操作されたことをポテンショメータ43aで検出することにより、中立状態に切り換わり、油圧ポンプ7Pを停止させて左右の走行装置1,1に対する伝動を絶つ。無段変速装置7は、変速レバー43が中立位置Nから走行機体前方側に揺動した前進域Fに操作されることにより、前進駆動状態に切り換わり、エンジン6からの駆動力を前進駆動力に変換して左右の走行装置1,1に伝達する。無段変速装置7は、変速レバー43が中立位置Nから走行機体後方側に揺動した後進域Rに操作されることにより、後進駆動状態に切り換わり、エンジン6からの駆動力を後進駆動力に変換して左右の走行装置1,1に伝達する。
そして、前記シリンダ筒56は、その筒内面56aがピストン55を摺動案内するように仕上げ加工され、ピストン55のストローク端側位置する筒底面56b、及び、前記蓋部材56Bの内面56cは鋳抜きの面で構成されている。
図4は、無段変速装置7の油圧回路図である。この図に示すように、油圧ポンプ7Pと油圧モータ7Mとは、一対の油路7cで接続されている。無段変速装置7の入力軸7aにチャージポンプ44及び油圧ポンプ60が接続されて、入力軸7aによりチャージポンプ44及び油圧ポンプ60が駆動される。チャージポンプ44から延出されたチャージ油路45が油路7cに接続され、チャージ油路45にフィルタ49が備えられている。オイルタンク46とチャージポンプ44とに亘って油路47が接続されており、油路47にフィルタ48が備えられている。油圧ポンプ60の作動油が昇降シリンダ27の制御弁に供給される。オイルタンク46はミッションケース8とは別に設けられている。
図3は、無段変速装置7、刈取り変速装置15の変速操作、刈取りクラッチ14の入り切り操作、及び刈取部2の昇降操作を行うための各種機構と、それらの作動を制御する制御装置100とを示す制御系のブロック図である。
本発明の車速制御装置は、この制御装置100に装備された上記走行系制御手段102、走行系の速度設定を行う基準車速設定手段103によって構成されている。
刈取部制御手段101は、運転部3に設けられた前記昇降レバー29の操作に伴って、上げ操作用のセンサスイッチ67及び下げ操作用のセンサスイッチ68からの検出信号を受け、昇降シリンダ27を伸縮操作するための切換弁27aに操作信号を出力するように構成されている。また、この刈取部制御手段101は、刈取クラッチレバー26の入り操作用のセンサスイッチ65及び切り操作用のセンサスイッチ66の検出信号に基づいて、刈取りクラッチ14を入り切り操作する電動式の操作モータ36を入り方向または切り方向に駆動するように構成されている。
走行系制御手段102は、走行機体を移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態に設定するための制御を行うものであり、図5は、移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態の各状態と、油圧モータ7Mや刈取りクラッチ14、及び刈取り変速装置15との駆動関係を示す図表である。
この図表に示すように、移動走行状態は、無段変速装置7の油圧モータ7Mを高速用の変速操作位置H3に切り換え操作し、刈取りクラッチ14を切り状態に切り換え操作し、刈取り変速装置15を低速位置に切り換え操作した状態を設定している。
低速刈取状態は、無段変速装置7の油圧モータ7Mを低速用の変速操作位置H1に切り換え操作し、刈取りクラッチ14を入り状態に切り換え操作し、刈取り変速装置15を高速位置に切り換え操作した状態を設定している。
同様に、走行変速スイッチ34が押し操作されたときに、モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの標準駆動状態を検出すると、走行系制御手段102は、その標準駆動状態に対して変更指令が出されたと判断して、油圧モータ7Mを低速駆動状態に切換操作する。
同様に、走行変速スイッチ34が押し操作されたときに、モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの低速駆動状態を検出すると、走行系制御手段102は、刈取りクラッチ14の入り切り状態を判別するセンサスイッチ65,66からの情報に基づいて、刈取りクラッチ14が切り状態であれば、油圧モータ7Mを高速駆動状態に切換操作する。前記刈取りクラッチ14が入り状態であれば、油圧モータ7Mの低速駆動状態を維持したままで上位ルーチンに戻る。
[1] 走行変速スイッチ34及び刈取変速スイッチ35のうち、走行変速スイッチ34が押し操作されると、まず、モータ斜板角検出センサ38検出情報を基に、移動走行状態と標準刈取状態と低速刈取状態のいずれが設定されているかを、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置で判断する。
つまり、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置が高速用の変速操作位置H3であると移動走行状態であると判断し、そうでない場合に、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置が標準速用の変速操作位置H2であれば標準刈取状態であると判断し、さらにそうでない場合に、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置が低速用の変速操作位置H1であれば低速刈取状態であると判断する(ステップ#1〜#4)。
[2] モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの高速駆動状態を検出した高速用の変速操作位置H3であると、走行系制御手段102は、その高速駆動状態に対して変更指令が出されたと判断して、油圧モータ7Mを標準駆動状態に、つまり標準速用の変速操作位置H2に切換操作する(ステップ#2及び#5)。
[3] モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの標準駆動状態を検出した標準速用の変速操作位置H2であると、走行系制御手段102は、その標準駆動状態に対して変更指令が出されたと判断して、油圧モータ7Mを低速駆動状態に、つまり低速用の変速操作位置H1に切換操作する(ステップ#3及び#6)。
[4] モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの低速駆動状態を検出した低速用の変速操作位置H1であると、走行系制御手段102は、その低速駆動状態に対して変更指令が出されたと判断するが、油圧モータ7Mの駆動状態を切換操作する前に、刈取クラッチセンサ62により、刈取クラッチ14の入り切り状態を判別して、刈取クラッチ14が切り状態であれば、油圧モータ7Mを高速駆動状態に、つまり高速用の変速操作位置H3に切換操作する。そして、刈取クラッチ14が入り状態であれば、油圧モータ7Mの駆動状態の切換操作を行わずに制御を終了する(ステップ#4、#7、及び#8)。
この場合には、走行変速スイッチ34を押し操作しても、油圧モータ7Mの駆動状態が変更されないことになるが、この状態は、別途、何らかの報知手段により操縦者に報知して、刈取クラッチ14を切り操作することを促すようにするのが望ましい。
[6] 刈取り変速装置15が高速位置であると、次に油圧モータ7Mが低速用の変速操作位置H1に操作された低速駆動状態であるか否かをモータ斜板角検出センサ38によって検出し、低速用の変速操作位置H1でなければ、刈取り変速装置15を低速位置に切換操作する。逆に、低速用の変速操作位置H1であれば、刈取り変速装置15を高速位置のままに維持する(ステップ#11、#12、及び#13)。
[7] 刈取り変速装置15が低速位置であると、次に油圧モータ7Mが低速用の変速操作位置H1に操作された低速駆動状態であるか否かをモータ斜板角検出センサ38によって検出し、低速用の変速操作位置H1であれば、刈取り変速装置15を高速位置に切換操作する。逆に油圧モータ7Mが低速用の変速操作位置H1でなければ、刈取り変速装置15を低速位置のままに維持する(ステップ#11、#14、及び#15)。
基準車速設定手段103は、変速操作具としての走行変速スイッチ34での指示速度と無段変速装置7からの出力車速とが正確に対応するように、変速操作具での操作位置と無段変速装置7のモータ斜板角度との対応関係を設定する際に用いられるものであり、次のように構成されている。
そして、前記実測したデータに基づく車速・斜板対応曲線L0が、製造される刈取収穫機の全てに対して、変速操作具での指示速度と無段変速装置7からの出力車速とが正確に対応するように関係付けられていれば調節操作を行う必要はないが、現実には、個々の刈取収穫機ごとに多少の誤差が生じるので、これを基準車速設定手段103によって調節するようにしたものである。
そして、前記高速用の変速操作位置H3は、先に設定された低速用の変速操作位置H1と標準速用の変速操作位置H2との変速操作位置に基づいて演算により算出されるように構成してある。
また、この基準車速設定手段103による油圧モータ7Mの斜板角の操作を行う際に、基準車速設定用に設けたモータ斜板位置設定スイッチ31を押し操作することにより、走行系速制手段102による制御弁58の電磁操作部に対する指令に優先して基準車速設定手段103による指令が作用するように切り替えられる。つまり、モータ斜板位置設定スイッチ31を押し操作すると、基準車速設定手段103が基準車速設定モードに切り替えられ、走行速制手段102による制御弁58の電磁操作部に対する指令に優先して、基準車速設定手段103で設定される各変速操作位置H1,H2,H3への操作指令に基づいて制御弁58が操作され、油圧モータ7Mの斜板角が変更操作される。
すなわち、低速用の指示速度L1と対応する基準の変速操作位置を得る際に、低速用の指示速度L1は把握されているので、現在の車速センサ30による検出車速と対比して、その低速用の指示速度L1に近づけるように油圧モータ7Mの斜板角度を変更操作する。
すなわち、標準の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置を得る際に、標準の指示速度L2は把握されているので、現在の車速センサ30による検出車速と対比して、その標準の指示速度L2に近づけるように油圧モータ7Mの斜板角度を変更操作する。この時点における変更操作時の車速の変化は、前記低速用の変速操作位置H1の設定時における予め設定した範囲内で少しづつ斜板角度を変化させる操作に比べて、変化度合いが大きくなるようにしている。
<式ー1>
(標準速用の変速操作位置H2−低速用の変速操作位置H1)×基準係数+標準速用の変速操作位置H2=高速用の変速操作位置H3
[2] 低速用の指示速度L1に対応する低速用の変速操作位置H1の設定操作は、次のステップ#22〜#26に示すようにして行われる。
すなわち、低速用の指示速度L1と対応する基準の変速操作位置を得る際に、低速用の指示速度L1はイニシャルセットで読み込まれているので、その低速用の指示速度L1と現在の車速センサ30による検出車速と対比して、その低速用の指示速度L1に近づけるように油圧モータ7Mの斜板角度を変更操作する(ステップ#22,#23)。
[3] 次に、車速センサ30による検出車速が前記低速用の指示速度L1に対して、予め設定した範囲内にまで近づくと、車速センサ30により現在の車速を検出しながら、少しずつ斜板角度を変化させる。このときの前記油圧モータ7Mの斜板角度の操作速度は、前記予め設定した範囲に到達するまでの斜板操作速度よりも遅くしてあって、車速センサ30により検出される現在の車速が少しずつ指示速度L1に近づくように制御している(ステップ#23,#24)。
[4] 前記車速センサ30により検出される現在の車速が、低速用の指示速度L1に達したとみなされる程度の近似範囲内に至ると、予め設定した所定時間だけ、検出される車速の平均値を算出するための平均化処理を行う。この平均化した車速に基づいて前記車速・斜板対応曲線L0との交点に位置する低速指示ポイントP1を割り出し、その低速指示ポイントP1に相当する低速用の変速操作位置H1をモータ斜板検出センサ38によって検出する。この低速用の変速操作位置H1を、低速用の指示速度L1に対応する基準の変速操作位置として設定する(ステップ#25,#26)。
すなわち、標準速用の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置を得る際に、標準速用の指示速度L2はイニシャルセットで読み込まれているので、その標準速用の指示速度L2と現在の車速センサ30による検出車速と対比して、その標準速用の指示速度L2に近づけるように油圧モータ7Mの斜板角度を変更操作する(ステップ#27,#28)。
[6] 次に、車速センサ30による検出車速が前記標準速用の指示速度L2に対して、予め設定した範囲内にまで近づくと、車速センサ30により現在の車速を検出しながら、少しずつ斜板角度を変化させる。このときの前記油圧モータ7Mの斜板角度の操作速度は、前記予め設定した範囲に到達するまでの斜板操作速度よりも遅くしてあって、車速センサ30により検出される現在の車速が少しずつ標準速用の指示速度L2に近づくように制御している(ステップ#28,#29)。
[7] 前記車速センサ30により検出される現在の車速が、標準速用の指示速度L2に達したとみなされる程度の近似範囲内に至ると、予め設定した所定時間だけ、検出される車速の平均値を算出するための平均化処理を行う。この平均化した車速に基づいて前記車速・斜板対応曲線L0との交点に位置する標準速指示ポイントP2を割り出し、その標準速指示ポイントP2に相当する標準速用の変速操作位置H2をモータ斜板検出センサ38によって検出する。この標準速用の変速操作位置H2を、標準速用の指示速度L2に対応する基準の変速操作位置として設定する(ステップ#30,#31)。
すなわち、車速・斜板対応曲線L0に沿う変化傾向を数値化したデータとして、予め不揮発性メモリーに備えられたものである基準係数を読み込み、先に検出された低速用の変速操作位置H1と標準速用の変速操作位置H2とに基づき、予めプログラムされている演算式によって高速用の変速操作位置H3を算出し、これを高速用の指示速度L3に対応する基準の変速操作位置として設定する(ステップ#33,#34)。以上によって基準車速設定制御を終了する。
指示速度L1,L2,L3に対応する基準の変速操作位置H1,H2,H3を設定する基準車速設定手段103は、上記した実施形態の如く、前記指示速度L1,L2,L3のうちの最高速側の指示速度L3よりも低速側の指示速度L1,L2に対応する基準の変速操作位置を実測して設定し、最高速側の指示速度L3は演算によって算出するように構成したものに限らず、例えば、次のように構成してもよい。
すなわち、標準の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置を得る際に、車速・斜板対応曲線L0上の標準速用の指示速度L2と、車速センサ30の検出値を読み込んで比較し、油圧モータ7Mのモータ斜板角を、車速センサ30の検出値が標準速用の指示速度L2に近づく側に操作する。
この平均値に基づいて設定した斜板角度位置を、標準の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置に相当する標準速用の変速操作位置H2として設定する。
[2] 低速用の指示速度L1に対応する低速用の変速操作位置H1の設定操作は、次のステップ#42〜#44に示すようにして行われる。
まず、油圧モータ7Mのモータ斜板角を低速側に操作する。そして、油圧モータ7Mのモータ斜板角が低速側の操作限界位置に達すると、その位置を低速用の指示速度L1に対する低速用の変速操作位置H1として設定する(ステップ#42〜#44)。
[3] 次に、高速用の指示速度L3に対応する高速用の変速操作位置H3の設定操作は、次のステップ#45〜#47に示すようにして行われる。
まず、油圧モータ7Mのモータ斜板角を高速側に操作する。そして、油圧モータ7Mのモータ斜板角が高速側の操作限界位置に達すると、その位置を高速用の指示速度L3に対する高速用の変速操作位置H3として設定する(ステップ#45〜#47)。
すなわち、マップデータから算出された車速・斜板対応曲線L0上の標準速用の指示速度L2と、車速センサ30の検出値を読み込み、油圧モータ7Mのモータ斜板角を標準速用の指示速度L2側に操作する(ステップ#48、及び#49)。
[5] 車速センサ30で検出される現在の車速が前記標準速用の指示速度L2に対して、予め設定した範囲内にまで近づくと、油圧モータ7Mの斜板角度の操作速度を、前記の予め設定した範囲に到達するまでの斜板操作速度よりも遅くして、少しずつ微調節しながら斜板角度を変化させ、車速センサ30により検出される現在の車速が指示速度L2により近づくように制御する(ステップ#50、及び#51)。
[7] そして、車速センサ30により検出される現在の車速が指示速度L2に達した、もしくはほぼ達したとみなされる範囲内に至ると、予め設定した所定時間だけ、検出される車速の平均値を算出する。この平均値における斜板角度位置を、標準の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置に相当する標準変速位置H2として設定する(ステップ#52、及び#53)。
基準車速設定手段103の実施形態として、前記「実施形態」及び「別実施形態の1」では、低速用の指示速度L1、及び標準速用の指示速度L2に対応する基準の変速操作位置を実測してから高速用の指示速度L3に対応する基準の変速操作位置を演算したもの、あるいは、低速用の指示速度L1、及び高速用の指示速度L3に対応する基準の変速操作位置を無段変速装置の操作限界に設定して、標準速用の指示速度L2に対応する基準の変速操作位置を実測して設定するようにしたものを例示したが、これに限られるものではない。
つまり、実測によって設定する基準の変速操作位置は、低速用の指示速度L1、及び標準速用の指示速度L2の複数位置ではなく、低速用の指示速度L1、もしくは標準速用の指示速度L2の何れか一方のみとし、他方を演算によって算出する、あるいは低速用の指示速度L1に対応する基準の変速操作位置を無段変速装置の操作限界に設定するようにしてもよい。
基準車速設定手段103の実施形態として、実測によって設定する基準の変速操作位置を、指示速度のうちの最高速、又は最低速に相当する変速操作位置以外の変速操作位置とし、指示速度のうちの最高速、又は最低速に相当する変速操作位置のうちの何れか一方を演算によって算出し、他方を無段変速装置7の変速操作範囲における機械的な操作限界位置に設定するようにしてもよい。
指示速度のうちの最高速、又は最低速に相当する変速操作位置を、無段変速装置の変速操作範囲における機械的な操作限界位置に設定するにあたり、その機械的な操作限界位置に相当する油圧モータ7Mの最大斜板角度から、一定値を減じた斜板角度に基準の変速操作位置を設定して、斜板が機械的な限界位置に接当しないように構成してもよい。
車速センサ30で検出する車速に代えて、走行装置1への伝動系から分岐伝動される刈取部2の駆動速度を検出するようにして、刈取部2の駆動速度を車速とみなして基準車速設定手段103による基準車速の設定制御を行うようにしてもよい。
上記した実施形態の如く移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態を現出するのに、無段変速装置7の油圧モータ7Mの変速操作によって走行変速装置1を変速する構成に替え、無段変速装置7の油圧ポンプ7Pの変速操作によって走行変速装置1を変速する構成を採用して実施してもよい。
上記した実施形態の如く移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態を現出するのに、油圧ポンプ7Pや油圧モータ7M等の油圧操作式の無段変速装置7を用いずに、無段変速用のベルト式無段変速装置等を用いて変速操作する構造のものであってもよい。
2 刈取部
7 無段変速装置
30 車速センサ
34 走行変速スイッチ
35 刈取変速スイッチ
38 モータ斜板角検出センサ(変速位置検出センサ)
43 変速レバー
100 制御装置
101 刈取部制御手段
102 走行系制御手段
103 基準車速設定手段
L1 低速用の指示速度
L2 標準速用の指示速度
L3 高速用の指示速度
H1 低速用の変速操作位置
H2 標準速用の変速操作位置
H3 高速用の変速操作位置
Claims (2)
- エンジンの動力が伝達される無段変速装置を備え、その無段変速装置からの出力速度を、前記無段変速装置に対する複数の指示速度と合致させるように調節する車速制御装置であって、
走行伝動系における駆動速度を検出する車速センサと、前記無段変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出センサとを備えるとともに、前記車速センサの検出値と前記変速位置検出センサの検出値とから、前記複数の指示速度に対応する基準の複数の変速操作位置を設定する基準車速設定手段を備え、
この基準車速設定手段では、前記複数の指示速度のうち、最高速側の指示速度よりも低速側の指示速度に相当する変速操作位置に設定して車体を走行させ、その変速操作位置における走行速度の検出結果から、選択された指示速度に対応する変速操作位置を、前記選択された指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定し、
その他の指示速度に相当する変速操作位置を、所定の変化率に基づいた演算によって算出するように構成してあることを特徴とする車速制御装置。 - エンジンの動力が伝達される無段変速装置を備え、その無段変速装置からの出力速度を、前記無段変速装置に対する複数の指示速度と合致させるように調節する車速制御装置であって、
走行伝動系における駆動速度を検出する車速センサと、前記無段変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出センサとを備えるとともに、前記車速センサの検出値と前記変速位置検出センサの検出値とから、前記複数の指示速度に対応する基準の複数の変速操作位置を設定する基準車速設定手段を備え、
この基準車速設定手段では、前記複数の指示速度のうち、最高速側の指示速度よりも低速側の指示速度に相当する変速操作位置に設定して車体を走行させ、その変速操作位置における走行速度の検出結果から、選択された指示速度に対応する変速操作位置を、前記選択された指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定し、
前記指示速度のうちの最高速、又は最低速に相当する変速操作位置を、無段変速装置の変速操作範囲における機械的な操作限界位置に設定してあることを特徴とする車速制御装置。
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