JP2010266005A - 電動式ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナ、アウタ両パッド2a、3aをロータの両側面に押し付ける為、キャリパ5a内に組み付けた推力発生機構8aを、推力の伝達方向に関して互いに直列に設けられた第一、第二両増力機構19、20により構成する。このうち、電動モータ9a側である前段側の第一増力機構19はボール・ランプ式のもので、後段側の第二増力機構20aは梃子式である。この第二増力機構20aの増力比に相当する分、前記第一増力機構19に加わるスラスト荷重を低減できて、上記課題を解決できる。
【選択図】図1
Description
このうちのロータは、車輪と共に回転する。
又、前記サポートは、前記ロータに隣接する状態で、車体に支持される。
又、前記両パッドは、このロータを軸方向両側から挟む状態で、軸方向の変位を可能に、前記サポートに支持されている。
又、前記キャリパは、アウタ側端部に前記アウタパッドのアウタ側面に対向するキャリパ爪を、インナ側部分の内部にシリンダ空間を、前記インナパッドに対向する側を開口させた状態で設けている。そして、このシリンダ空間内に、このインナパッドを前記ロータのインナ側面に向け押圧する為の、推力発生機構を設けている。更に、前記キャリパは、前記サポートに対し軸方向の変位を可能に支持されている。
更に、前記推力発生機構は、電動モータの回転駆動力を軸方向の推力に変換して前記インナパッドに伝達するものである。
このうち、前記シリンダ空間の奥部側に設けられた第一増力機構は、ボール・ランプ式のものである。
このうちのアジャスタケースは、内周面に雌ねじ部を設けたものとし、前記シリンダ空間の奥部に内嵌固定する。
又、前記アジャスタプラグは、外周面に雄ねじ部を形成したもので、この雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させる事により前記アジャスタケースの内径側に、回転に伴ってこのアジャスタケースの軸方向に変位する様に設置する。
又、前記ピストン部材は、前記シリンダ空間の開口側部分に、軸方向の変位を可能に内嵌する。
更に、前記第一、第二両増力機構は、前記アジャスタプラグと前記ピストン部材との間に、推力の伝達方向に関して互いに直列に設ける。
このうちの駆動側ロータの、前記ピストン部材に対向する駆動側面に、軸方向に関する深さが円周方向に関して互いに同方向に漸次変化する、複数の駆動側ランプ溝を形成する。この様な駆動側ロータは、インナ側に向くスラスト荷重を支承可能にして、前記アジャスタプラグの内側に、このアジャスタプラグに対する回転を可能に設置する。そして、前記電動モータにより回転駆動自在とする。
又、前記被駆動側ステータの、前記駆動側面に対し軸方向に対向する被駆動側面に、軸方向に関する深さが円周方向に関して、前記駆動側ランプ溝と逆方向に漸次変化する、複数の被駆動側ランプ溝を形成する。この様な被駆動側ステータは、前記アジャスタプラグに対し軸方向の変位を可能に、且つ、このアジャスタプラグに対する相対回転を不能に設ける。
更に、前記各ボールは、前記各駆動側ランプ溝と前記各被駆動側ランプ溝との間に、これら各ランプ溝に沿った転動可能に挟持する。
このうちの梃子式の第二増力機構は、スリーブと、複数個の分配レバーとを備える。
このうちのスリーブは、前記アジャスタプラグのアウタ側端部に、このアジャスタプラグと同期した回転及びこのアジャスタプラグに対する軸方向の変位を可能に設ける。
又、前記各分配レバーは、前記スリーブ及び前記被駆動側ステータのアウタ側面と前記ピストン部材のインナ側面との間に設ける。
そして、これら各分配レバーのインナ側面の内径側部分を前記被駆動側ステータのアウタ側面に、同じくインナ側面の外径側部分を前記スリーブのアウタ側面に、同じくアウタ側面の径方向中間部を前記ピストン部材のインナ側面に、それぞれ揺動変位を可能にして突き当てる。
このうちのスリーブは、前記梃子式の第二増力機構の場合と同様に、前記アジャスタプラグのアウタ側端部に、このアジャスタプラグと同期した回転及びこのアジャスタプラグに対する軸方向の変位を可能に設ける。
又、前記リアクションディスクは、ゴム、ビニルの如きエラストマー等の弾性材製、又は、この様な弾性材製の袋内に液体を密封したもので、前記スリーブ及び前記被駆動側ステータのアウタ端面と、前記ピストン部材の奥端面との間に挟持する。
そして、前記被駆動側ステータのアウタ側面を、前記リアクションディスクのインナ側面中央部に突き当てる。
更に、梃子式、リアクションディスク式、何れの第二増力機構を使用する場合も、前記駆動側ロータと前記アジャスタプラグとの間に、この駆動側ロータと前記被駆動側ステータとの軸方向距離を縮めるべく前記各ボールを転動させる方向にこの駆動側ロータを回転させる、ばねを設ける。
或いは、請求項5に記載した発明の様に、前記シリンダ空間の奥部に回転自在に支持されて前記電動モータにより減速機構を介して回転駆動される駆動筒の内周面と、前記駆動側ロータのインナ側部分に設けた被駆動軸とを、トルク伝達及び軸方向の相対変位を可能に組み合わせる。
即ち、本発明の構造によれば、電動モータの回転駆動力を、ボール・ランプ式の第一増力機構と、梃子式或いはリアクションディスク式の第二増力機構との2段階で、増力しつつ直線運動に変換する。この為、小型の電動モータを使用した場合でも、インナパッドをロータのインナ側面に押し付ける力(総推力)を、十分に大きくできる。又、推力発生機構全体としての増力比(出力/入力)は、前記第一、第二両増力機構のそれぞれの増力比の積になる。従って、これら第一、第二両増力機構のそれぞれの増力比に就いては、特に大きな値にしなくても、前記推力発生機構全体としての増力比を十分に確保できる。この為、前記第一、第二両増力機構を特に大型化する必要がなく、これら両増力機構を、内径が限られた、キャリパのシリンダ空間内に設置できる。
更に、前段側(前記電動モータからの入力側)に設ける、前記ボール・ランプ式の第一増力機構が発生する推力、言い換えれば、この第一増力機構に加わるスラスト荷重は、前記総推力よりも、前記第二増力機構の増力比分だけ小さく(「総推力/第二増力機構の増力比」に)なる。この為、前記第一増力機構を構成する駆動側、被駆動側各ランプ溝の断面形状やボールの直径を特に大きくしなくても、これら各ランプ溝の転がり疲れ寿命の確保及び損傷の発生防止を図れる。
更に、請求項4に記載した発明によれば、前記駆動側ロータの回転抵抗を低く抑えて効率の向上を図れ、請求項5に記載した発明によれば、アジャスタプラグの軸方向変位に拘らず、電動モータによる前記駆動側ロータの回転駆動を安定して行える。
図1〜5は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、推力発生機構8a以外の部分、即ち、車体(懸架装置を構成するナックル)に対し支持したサポート4にインナ、アウタ両パッド2a、3a及びキャリパ5aを、軸方向の変位を可能に支持する部分の構造等は、従来から広く知られている油圧式のディスクブレーキと同様であるから、詳しい図示並びに説明は省略し、以下、本例の特徴である、前記推力発生機構8a部分の構造及び作用を中心に説明する。
制動時には、前記電動モータ9aにより前記駆動筒22を介して前記駆動側ロータ14aを回転駆動する。制動開始直後の初期段階では、前記インナ、アウタ両パッド2a、3aと前記ロータ1の両側面との間には隙間が存在し、これら両パッド2a、3aをこのロータ1に向けて移動させる為に要する力は小さくて済む。この為、前記初期段階では、前記駆動側ロータ14aの回転に伴って前記アジャスタプラグ27も、更には、前記スリーブ34及び前記被駆動側ステータ16aも、前記捩りコイルばね39の弾力に基づいて、前記駆動側ロータ14aと同期して回転する。そして、前記雄ねじ部28と前記雌ねじ部26との係合に基づいて、前記アジャスタプラグ27が、前記ロータ1に向けてアウタ側に変位し、前記両パッド2a、3aと前記ロータ1の両側面との間の隙間を解消する。この際、前記各分配レバー40、40のインナ側面の径方向2箇所位置と、被駆動側ステータ16a及び前記スリーブ34の先端面との当接部が摺接するが、これら各当接部の面圧は小さい為、特に問題とはならない。又、前記駆動筒22及び前記駆動側ロータ14aの回転は、前記転がり軸受25及び前記スラスト転がり軸受33の存在に基づき、軽い力で安定して行える。
図6は、請求項1、3〜5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、第二増力機構20aとして、リアクションディスク式のものを採用している。この為に前記第二増力機構20aは、上述した第1例の場合と同様のスリーブ34に加えて、リアクションディスク44を設けている。ピストン部材12aの奥端部に設けるプラグ部材41aは、インナ側面全体が平坦な円板状としている。前記リアクションディスク44は、ゴム、ビニルの如きエラストマー等の弾性材製、或いは、この様な弾性材製の中空袋内に液体を封入したもので、前記スリーブ34及び被駆動側ステータ16aのアウタ側面と、前記プラグ部材41aのインナ側面との間に挟持している。そして、この被駆動側ステータ16aのアウタ側面を、前記リアクションディスク44のインナ側面中央部に突き当てている。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
2、2a インナパッド
3、3a アウタパッド
4 サポート
5、5a キャリパ
6、6a キャリパ爪
7、7a シリンダ空間
8、8a 推力発生機構
9、9a 電動モータ
10 出力軸
11、11a 減速機
12、12a、12b ピストン部材
13 送りねじ係合部
14、14a 駆動側ロータ
15、15a 駆動側ランプ溝
16、16a 被駆動側ステータ
17、17a 被駆動側ランプ溝
18、18a ボール
19 第一増力機構
20、20a 第二増力機構
21 減速大歯車
22 駆動筒
23 連結ピン
24 アジャスタケース
25 転がり軸受
26 雌ねじ部
27 アジャスタプラグ
28 雄ねじ部
29 被駆動軸
30 トルク伝達ピン
31 トルク伝達溝
32 内向鍔部
33 スラスト転がり軸受
34 スリーブ
35 係合凹部
36 係合凸部
37 係合凹溝
38 係合突片
39 捩りコイルばね
40 分配レバー
41、41a プラグ部材
42 凹部
43 圧縮コイルばね
44 リアクションディスク
45a、45b ピストン素子
Claims (5)
- 車輪と共に回転するロータと、このロータに隣接する状態で車体に支持されるサポートと、このロータを軸方向両側から挟む状態で、軸方向の変位を可能にこのサポートに支持された、アウタ、インナ両パッドと、アウタ側端部にこのアウタパッドのアウタ側面に対向するキャリパ爪を、インナ側部分の内部に前記インナパッドに対向する側を開口させた状態で設けられたシリンダ空間内に、このインナパッドを前記ロータのインナ側面に向け押圧する為の推力発生機構を、それぞれ設け、前記サポートに対し軸方向の変位を可能に支持されたキャリパとを備え、前記推力発生機構は、電動モータの回転駆動力を軸方向の推力に変換して前記インナパッドに伝達するものである電動式ディスクブレーキに於いて、
前記推力発生機構は、前記シリンダ空間の奥部とこのシリンダ空間の開口側部分に軸方向の変位を可能に内嵌されたピストン部材との間に、推力の伝達方向に関して互いに直列に設けられた第一、第二両増力機構を備えたものであり、
このうち、前記シリンダ空間の奥部側に設けられた第一増力機構は、ボール・ランプ式のものである事を特徴とする電動式ディスクブレーキ。 - 前記推力発生機構は、前記シリンダ空間の奥部に内嵌固定された、内周面に雌ねじ部を設けたアジャスタケースと、このアジャスタケースの内径側に、外周面に形成した雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させる事により、回転に伴って前記アジャスタケースの軸方向に変位可能としたアジャスタプラグと、前記シリンダ空間の開口側部分に軸方向の変位を可能に内嵌されたピストン部材と、これらアジャスタプラグとピストン部材との間に設けられた第一、第二両増力機構とを備えたものであり、
このうち、前記アジャスタプラグ側に設けられた、ボール・ランプ式の第一増力機構は、前記ピストン部材に対向する駆動側面に、軸方向に関する深さが円周方向に関して互いに同方向に漸次変化する複数の駆動側ランプ溝を形成すると共に、インナ側に向くスラスト荷重を支承可能にして前記アジャスタプラグの内側に設置され、前記電動モータにより回転駆動される駆動側ロータと、前記駆動側面に対し軸方向に対向する被駆動側面に、軸方向に関する深さが円周方向に関して、前記駆動側ランプ溝と逆方向に漸次変化する複数の被駆動側ランプ溝を形成し、前記アジャスタプラグに対し軸方向の変位を可能に、且つ、このアジャスタプラグに対する相対回転を不能に設けられた被駆動側ステータと、前記各駆動側ランプ溝と前記各被駆動側ランプ溝との間に転動可能に挟持された複数個のボールとを備えたものであり、
前記ピストン部材側に設けられた第二増力機構は、梃子式のものであって、前記アジャスタプラグのアウタ側端部に、このアジャスタプラグと同期した回転及びこのアジャスタプラグに対する軸方向の変位を可能に設けられたスリーブと、このスリーブ及び前記被駆動側ステータのアウタ側面と前記ピストン部材のインナ側面との間に設けられた複数個の分配レバーとを備え、これら各分配レバーのインナ側面の内径側部分を前記被駆動側ステータのアウタ側面に、同じくインナ側面の外径側部分を前記スリーブのアウタ側面に、同じくアウタ側面の径方向中間部を前記ピストン部材のインナ側面に、それぞれ揺動変位を可能にして突き当てており、
前記駆動側ロータと前記アジャスタプラグとの間に、この駆動側ロータと前記被駆動側ステータとの軸方向距離を縮めるべく前記各ボールを転動させる方向にこの駆動側ロータを回転させるばねを設けている、請求項1に記載した電動式ディスクブレーキ。 - 前記推力発生機構は、前記シリンダ空間の奥部に内嵌固定された、内周面に雌ねじ部を設けたアジャスタケースと、このアジャスタケースの内径側に、外周面に形成した雄ねじ部と前記雌ねじ部とを螺合させる事により、回転に伴って前記アジャスタケースの軸方向に変位可能としたアジャスタプラグと、前記シリンダ空間の開口側部分に軸方向の変位を可能に内嵌されたピストン部材と、これらアジャスタプラグとピストン部材との間に設けられた第一、第二両増力機構とを備えたものであり、
このうち、前記アジャスタプラグ側に設けられた、ボール・ランプ式の第一増力機構は、前記ピストン部材に対向する駆動側面に、軸方向に関する深さが円周方向に関して互いに同方向に漸次変化する複数の駆動側ランプ溝を形成すると共に、インナ側に向くスラスト荷重を支承可能にして前記アジャスタプラグの内側に設置され、前記電動モータにより回転駆動される駆動側ロータと、前記駆動側面に対し軸方向に対向する被駆動側面に、軸方向に関する深さが円周方向に関して、前記駆動側ランプ溝と逆方向に漸次変化する複数の被駆動側ランプ溝を形成し、前記アジャスタプラグに対し軸方向の変位を可能に、且つ、このアジャスタプラグに対する相対回転を不能に設けられた被駆動側ステータと、前記各駆動側ランプ溝と前記各被駆動側ランプ溝との間に転動可能に挟持された複数個のボールとを備えたものであり、
前記ピストン部材側に設けられた第二増力機構は、リアクションディスク式のものであって、前記アジャスタプラグのアウタ側端部に、このアジャスタプラグと同期した回転及びこのアジャスタプラグに対する軸方向の変位を可能に設けられたスリーブと、このスリーブ及び前記被駆動側ステータのアウタ端面と前記ピストン部材の奥端面との間に挟持した、弾性材製又は弾性材製の袋内に液体を封入して成るリアクションディスクとを備え、前記被駆動側ステータのアウタ側面をこのリアクションディスクのインナ側面中央部に突き当てており、
前記駆動側ロータと前記アジャスタプラグとの間に、この駆動側ロータと前記被駆動側ステータとの軸方向距離を縮めるべく前記各ボールを転動させる方向にこの駆動側ロータを回転させるばねを設けている、請求項1に記載した電動式ディスクブレーキ。 - 前記アジャスタプラグのインナ側端部に形成された内向鍔部のアウタ側面と、前記駆動側ロータのインナ側面との間に、スラスト転がり軸受を設けている、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
- 前記シリンダ空間の奥部に回転自在に支持されて前記電動モータにより減速機構を介して回転駆動される駆動筒の内周面と、前記駆動側ロータのインナ側部分に設けた被駆動軸とを、トルク伝達及び軸方向の相対変位を可能に組み合わせている、請求項2〜4のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
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