JP2010264593A - 金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃 - Google Patents

Abstract

【課題】刃の寿命と切目の直線性とを改善する。
【解決手段】金属切削帯鋸刃は、切削方向と、３枚から７枚の歯の間の繰返し歯パターンを画定する複数の切刃を有する。各歯は、前記刃の後縁部に対してある幅および高さを有する横方向に延びる上部表面、および上部表面に対して鋭角で互いに対して上部表面の両側に横方向下向きに延びる側部表面を画定する。前記鋸刃の切削方向に対して前記第１の歯の後方に配置された歯が、徐々に低くなる高さおよび徐々に小さくなる側部表面の鋭角を画定し、これらの歯の上部表面の幅は、各第１の歯の上部表面の幅より大きい。
【選択図】図８

Description

本出願は、速達便番号第ＥＶ３９８０５８３２３ＵＳ号および文書番号第９７３０９．００１０８号の下で、「Ｍｕｌｔｉ−Ｃｈｉｐ Ｆａｃｅｔ Ｃｕｔｔｉｎｇ Ｓａｗ Ｂｌａｄｅ ａｎｄ Ｒｅｌａｔｅｄ Ｍｅｔｈｏｄ」という名称の２００３年９月１６日に提出された米国特許仮出願第６０／５０３，３３８号に対する、および同様の名称の２００４年６月２１日に提出された米国実用新案出願に対する優先権を請求する。その開示を本開示の一部として明示的に本願に引用して援用する。

本発明は、鋸刃、より具体的には、平坦な上部表面と、刃のおよび／またはそれぞれの歯の中心平面に対して斜めの角度で配向された側部表面とによって形成された切削表面を有する切歯の繰返しパターンを備える帯鋸刃などの鋸刃に関する。

クルマンに対する米国特許第５，４７７，７６３号は、繰り返し起こる同期で設けられた複数のアンセット歯（ｕｎｓｅｔ ｔｅｅｔｈ）を有する帯鋸刃を示しており、繰り返し起こる同期は、第１および第２の歯の群を備え、第２の群の歯は、第１の群の歯の間に散在されている。第１の群の歯は、高さが徐々に減少し、歯から歯へ幅が増加する。他方、第２の群の歯は互いに同一であり、第２の群の各歯の幅は、第１の群のいずれの歯の幅より大きい。ハンドシュー他に対する米国特許第６，２７６，２４９号は、歯から歯へ高さが増加する一方、それと同時に幅が減少する、繰り返し起こる同期で設けられた複数のアンセット歯を有する帯鋸刃を示している。

これらおよび類似の先行技術の帯鋸刃に付随する欠点の１つは、切削表面が、歯の比較的幅広の平坦な上部表面によって画定されることである。結果として、特に直径または幅が約３８１ｍｍ（１５インチ）または５０８ｍｍ（２０インチ）より大きい鋼製の棒などの比較的大きな直径の加工品を切削するときに、刃が、切削中、横方向にふらつく傾向がある。したがって、その刃により、切り口が曲がることがあり、あるいは他の形で望まれるような直線状の切り口、または一貫した直線状の切り口が得られないことがある。これらおよび類似の先行技術の帯鋸刃に付随する別の欠点は、より幅広の、すなわち外側の刃が、内側の、すなわちより幅狭の刃より大きな切削荷重を受けることである。また、より高い供給速度では、より幅広の、すなわち外側の刃が、徐々に大きな切削荷重を受ける傾向がある。結果として、刃の荷重が、相対的に不均衡になることがあり、これにより、早すぎる故障、または、別の形で望まれるより短い使用寿命に至ることがある。

窒化アルミニウムチタニウム（ＡｌＴｉＮ）被覆は、帯鋸刃に付着されるようには考えられていなかった。ＡｌＴｉＮ被覆は、通常、たとえば下にある鋼製の表面または基板に物理蒸着によって付着される。切削工具に付着される場合、これらの被覆は、工具が所望の性能を達成するために比較的高速および高温で走らされることを必要とする。また、これらの被覆は、工具が、被覆を酸化させ、そうでない場合その性能の利点を得るために、比較的高速および高温で、ドライで（すなわち、いかなる潤滑剤もなしで）走らされる、ならし運転を必要とする。その一方で、帯鋸歯は、従来、ＡｌＴｉＮ被覆のために必要とされるより、ずっとゆっくりとした速度および供給速度で走らされてきた。また、従来通りの知識は、磨耗寿命および／または刃の寿命を改善するために、比較的ゆっくりとした帯速度および／または供給速度で帯鋸刃を走らせる傾向がある。結果として、従来型の帯鋸刃は通常、より高い生産速度（たとえばより速い帯速度および／または供給速度）と、磨耗寿命または刃の寿命との間の兼ね合いを必要とする。すなわち、磨耗寿命または刃の寿命が長いほど、生産速度が低い、および逆も同様である。

米国特許第５，４７７，７６３号明細書 米国特許第６，２７６，２４９号明細書

したがって、先行技術の上述の欠点および／または不利な点の１つ以上を克服することが本発明の目的である。

本発明の一態様は、切削方向と、（１）第１の幅Ｗ１および第１の高さＨ１を有する第１の横方向に延びる上部表面、および第１の上部表面に対して第１の鋭角Ａ１で互いに対して第１の上部表面の両側に横方向下向きに延びる第１の側部表面を画定する第１の歯と、（２）前記鋸刃の切削方向に対して前記第１の歯の後方に配置され、第２の幅Ｗ２および第２の高さＨ２を画定する第２の横方向に延びる上部表面と、前記第２の上部表面に対して第２の鋭角Ａ２で互いに対して前記第２の上部表面の両側に横方向下向きに延びる第２の側部表面とを備える第２の歯と、（３）前記鋸刃の切削方向に対して前記第１および第２の歯の後方に配置され、第３の幅Ｗ３および第３の高さＷ３を画定する第３の横方向に延びる上部表面と、前記第３の上部表面に対して第３の鋭角Ａ３で互いに対して前記第３の上部表面の両側に横方向下向きに延びる第３の側部表面を備える第３の歯とを備える繰返し歯パターンとを画定する、複数の切歯を備える鋸刃を対象とする。前記第１の高さＨ１が、それぞれ、前記第２および第３の高さＨ２およびＨ３より大きく、前記第１の幅Ｗ１が、それぞれ、前記第２および第３の幅Ｗ２およびＷ３より小さく、前記第１の鋭角Ａ１が、それぞれ、第２および第３の鋭角Ａ２およびＡ３より大きい。

本発明の一実施形態では、前記第１の高さＨ１が、前記第２の高さＨ２より大きく、前記第２の高さＨ２が、前記第３の高さＨ３より大きい。また、本発明の一実施形態では、前記第１の角度Ａ１が、前記第２の角度Ａ２より大きく、前記第２の角度Ａ２が、前記第３の角度Ａ３より大きい。また、本発明の一実施形態では、前記第２および第３の幅Ｗ２およびＷ３がそれぞれ、互いにほぼ等しい。

本発明の別の態様は、（ｉ）切削方向、供給方向、および少なくとも３つの歯を備える繰返し歯パターンを画定する複数の切削歯を備える鋸刃を提供し、前記パターンの各歯が、ある幅およびある高さを有する横方向に延びる上部表面と、上部表面に対して鋭角で互いに対して上部表面の両側に横方向下向きに延びる側部表面とを画定し、前記パターン内で、第１の歯の第１の上部表面の高さが、前記鋸刃の切削方向に対して前記パターンのそれに続く歯の上部表面の高さより大きく、前記第１の上部表面の幅が、それに続く上部表面の幅より小さく、前記第１の歯の側部表面の鋭角の角度が、それに続く歯の側部表面の鋭角の角度より大きいステップと、
（ｉｉ）前記鋸刃を、前記加工品と係合して前記切削方向よび前記供給方向に実質上同時に移動させるステップと、
（ｉｉｉ）前記第１の歯の前記第１の上部表面および前記第１の側部表面の隣接する部分によって画定される第１の切削表面によって前記加工品から少なくとも１つの第１のチップを切削するステップと、
（ｉｖ）前記第１の歯の前記第１の切削表面に対して横方向外向きに延びる第２の歯の側部表面の部分によって画定される２つの第２の切削表面によって前記加工品から少なくとも２つの第２のチップを切削するステップと、
（ｖ）次に、前記第２の歯の前記第２の切削表面に対して横方向外向きに延びる第３の歯の側部表面の部分によって画定される２つの第３の切削表面によって前記加工品から少なくとも２つの第３のチップを切削するステップと、
（ｖｉ）前記鋸刃上の歯の各反復するパターンによってステップ（ｉｉｉ）〜（ｖ）を繰り返すステップとを含む加工品を切削するための方法を対象とする。

本発明の一実施形態では、前記加工品が金属製の加工品であり、前記鋸刃が帯鋸刃である。また、本発明の一実施形態では、前記方法は、少なくとも前記歯の切削表面上に窒化アルミニウムチタニウム（ＡｌＴｉＮ）被覆を設けるステップと、最初に（ｉ）所定の時間、および／または（ｉｉ）ＡｌＴｉＮ被覆された表面が所定の温度に到達するまでの少なくとも１つの間、いかなる潤滑剤もなしで前記帯鋸刃を走らせ、次に、それを潤滑するために、切削中に前記鋸刃の少なくとも切削表面に流体を付着させるステップとをさらに含む。

本発明の鋸刃の一般に好ましい実施形態の１つの利点は、改善された刃の寿命および切目の直線性がもたらされることである。また、本発明の一般に好ましい帯鋸刃の実施形態は、先行技術の帯鋸刃と比較してかなり高速の帯速度および／または供給速度で切削する可能性を提供し、および／または、先行技術の帯鋸刃と比較して高い帯速度および／または供給速度で、著しく改善された磨耗および／または刃寿命を可能にする。

本発明を実施する帯鋸刃の部分側面図である。 図１の帯鋸刃の第１の歯の側面図である。 図２の第１の歯の正面図である。 図１の帯鋸刃の第２の歯の側面図である。 図４の第２の歯の正面図である。 図１の帯鋸刃の第３の歯の側面図である。 図６の第３の歯の正面図である。 各歯の材料除去の近似的な断面領域、および互いに対して平衡された歯の切削荷重を示した図１から７の第１、第２および第３の歯のいくらかの概略正面図である。

本発明のその他の目的および利点は、この一般的に好ましい実施形態および添付の図面の以下の詳細な説明を見れば、より容易に明らかになるであろう。

図１では、本発明を実施する帯鋸刃が、符号１０によって一般的に示されている。帯鋸刃１０は、矢印「ａ」によって示されている切削方向、および矢印「ｂ」によって示されている供給方向を画定する。帯鋸刃１０は、複数の反復または繰返しの歯パターンを備える。図示された実施形態では、各パターンは、符号１２、１４および１６によって示された３つの連続する歯の反復する群によって画定されている。各歯は、隣接する歯のチップの間で測定されることができる、または必要に応じて、隣接する歯の間の多数の他の対応する点のいずれかの間で測定されることができる、それぞれのピッチすなわち歯間隔を画定する。本発明の一般に好ましい実施形態では、繰返し歯パターンは、約３枚から約７枚の間の歯を含む。しかし、当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、繰返し歯パターンは、鋸刃のタイプおよび／または刃の用途に応じて異なる数の歯を含んでもよい。本発明の図示された実施形態では、鋸刃は、金属切削帯鋸刃であり、刃は、カーバイトチップを付けられ、繰返しの歯パターンの各歯は、アンセットであり、繰返し歯パターンの第１、第２および第３の歯は、それらの間に追加のまたは中間の歯なしで、鋸刃上に連続的に配置されている。しかし、当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、これらの特徴は例示に過ぎず、要求に応じてまたは他の形で必要に応じて特定の用途の要件を満たすように変更されてもよい。

図２から７で典型的に示すように、帯鋸刃１０の各歯は、幅（「Ｗ」）および高さ（「Ｈ」）を有する横方向に伸びる上部表面１８と、各上部表面１８に対して鋭角（「Ａ」）で（すなわち各歯のおよび／または刃の中心平面「ＣＰ」に対して斜めの角度で）、互いに対して上部表面の両側に横方向および下方向に延びる第１の側部表面２０と、各第１の側部表面２０の外端部から下向きに延びている第２の側部表面２２とによって画定されたチップを備える。図示された実施形態では、第２の側部表面２２は、各歯の中心平面ＣＰに対して鋭角（「Ｂ」）で（すなわち各上部表面１８に対して斜めの角度で）横方向内向きに配向される。

本発明の一般に好ましい実施形態では、第１の高さＨ１は第２の高さＨ２より大きく、第２の高さＨ２は第３の高さＨ３より大きい。通常、高さＨは、帯鋸歯１０の後縁部２２に対して測定される（図１）。しかし、当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、高さＨは、現在知られているまたは使用されている、または後に知られるようになる、またはこの目的のために使用される様々な基準点のいずれかに対して測定されることができる。図示された実施形態では、Ｈ１は約６７．１３ｍｍ（２．６４３インチ）であり、Ｈ２は約６７．０３ｍｍ（２．６３９インチ）であり、およびＨ３は約６６．９３ｍｍ（２．６３５インチ）である。しかし、当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、これらの寸法は例示に過ぎず、要求に応じて、またはそうでない場合、特定の用途の要件を満す必要に応じて変更されることができる。本発明の一般に好ましい実施形態によると、３つの上部表面１８のいずれかと、他の２つの上部表面１８（または異なる数の歯を有する繰返し歯パターンでの他の上部表面）のいずれかの間の高さの差は、約０ｍｍから約１．１４３ｍｍ（０．０４５インチ）以内である。また、各繰返し歯パターン内の歯の高さＨは、好ましくは、鋸刃の切削方向「ａ」と反対の方向に互いに対して徐々に減少する。

図２から７に示すように、第１の鋭角Ａ１は、第２の鋭角Ａ２より大きく、第２の鋭角Ａ２は、第３の鋭角Ａ３より大きい。本発明の一般に好ましい実施形態では、各角度は、好ましくは、約５°から約５０°の範囲内にある。より好ましくは、第１の鋭角Ａ１は、約４０°から約５０°の範囲内であり、第２の鋭角Ａ２は、約２０°から約３０°の範囲内であり、第３の鋭角Ａ３は、約５°から約１５°の範囲内にある。図示された実施形態では、第１の鋭角Ａ１は約４５°であり、第２の鋭角Ａ２は約２４°であり、第３の鋭角Ａ３は約１０°である。当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、これらの角度は例示に過ぎず、要求に応じてまたは他の形で必要に応じて特定の用途の要件を満たすように変更されてもよい。しかし、各繰返し歯パターン内の歯の数にかかわらず、歯の第１の側部表面２０の鋭角は、好ましくは、鋸刃の切削方向「ａ」と反対の方向に互いに対して徐々に減少する、すなわちたとえば中心平面ＣＰに対して測定された斜めの角度は、好ましくは、鋸刃の切削方向「ａ」と反対の方向に互いに対して徐々に増加する。

図示された実施形態では、各第２の側部表面２２の各鋭角「Ｂ」は、好ましくは、約３°から約１０°の範囲内にある。図示された実施形態では、各鋭角Ｂは約５°である。当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、これらの角度は例示に過ぎず、要求に応じてまたは他の形で必要に応じて特定の用途の要件を満たすように変更されてもよい。

図３、５および７に示すように、歯の上部表面１８の幅「Ｗ」は好ましくは、鋸刃の切削方向「ａ」と反対の方向の繰返し歯パターンの第１の歯１２に続く歯に対してより大きい。所定の歯パターンが（ｎ）枚の歯によって画定され、鋸刃が所定のひき目を画定する本発明の一般に好ましい実施形態では、第１の上部表面１８の第１の幅Ｗ１は、所定のひき目の約（１／（ｎ＋１））より小さく、パターン内の他の歯の上部表面１８の幅Ｗ２〜Ｗｎはそれぞれ、所定のひき目の約（１／（ｎ＋１））とほぼ等しい、またはそれより大きい。すなわち、繰返しパターンが３枚の歯を備える図示された実施形態では、上部表面１８の第１の幅Ｗ１は、所定のひき目の約１／４より小さく、第２および第３の上部表面１８の第２および第３の幅Ｗ２およびＷ３は、それぞれ所定のひき目の約１／３より大きい。すなわち、第１の歯１２の幅Ｗ１は、第２の歯１４の幅Ｗ２および第３の歯１６の幅Ｗ３の両方より小さい。図示された実施形態では、第２および第３の歯１４および１６の幅Ｗ２およびＷ３はそれぞれ、互いにほぼ等しい。また、図示された実施形態では、第１の歯１２の幅Ｗ１は約０．５３３ｍｍ（０．０２１インチ）であり、第２の歯１４の幅Ｗ２は約０．７３７ｍｍ（０．０２９インチ）であり、第３の歯１６の幅Ｗ３は約０．７３７ｍｍ（０．０２９インチ）である。当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、これらの寸法は例示に過ぎず、要求に応じてまたは他の形で必要に応じて特定の用途の要件を満たすように変更されてもよい。

本発明の図示された実施形態の１つの利点は、鋸刃が、中心平面ＣＰに実質上向かって横方向内向きに配向された切削力を生み出し、さらに加工品を通るほぼ直線状の切目を形成するための手段を備えることである。本発明の図示された実施形態では、この手段は、歯の第１、第２および第３の上部表面１８に対して鋭角Ａ１〜Ａ３で配向される第１、第２および第３の側部表面２０の形態をとる。この特徴は、特に比較的大きな直径のまたは幅広の加工品を切削するとき、加工品を通るほぼ直線状の切目を維持することに関して、かなり有利である。ある先行技術の金属切削帯鋸歯では、特に比較的大きな直径のまたは幅広の加工品（たとえば、直径５０８ｍｍ（２０インチ）以上である加工品）を切削するとき、歯が、加工品の切削中横方向にふらつく傾向があり、さらに、他の形で望まれるより直線状でない切目を提供するかもしれない。

本発明の図示された実施形態の別の利点は、鋸刃が、繰返し歯パターンの歯上の切削荷重を互いに対して平衡させるための手段を備えることである。本発明の図示された実施形態では、この手段は、互いに対して徐々に低くなる高さＨで配置されている第１、第２および第３の上部表面１８、各上部表面１８に対して徐々に小さくなる鋭角Ａで方向付けられている第１、第２および第３の側部表面２０の形態をとる。

図８に典型的に示すように、第１の歯１２が、各歯によって加工品から取り除かれる材料の第１の断面積２４を画定し、第２の歯１４が、各歯によって加工品から取り除かれる材料の第２の断面積２６を画定し、第３の歯１６が、各歯によって加工品から取り除かれる材料の第３の断面積２８を画定する。おわかりのように、各歯は、それぞれのチップまたは複数のチップを切削し、このようにして歯の形態がマルチチップデザインを提供する。各チップの体積は、図示された各断面積（２４、２６または２８）に鋸刃の切削方向のチップの長さ「ａ」をかけたものにほぼ等しい。以下の表１に示すように、図示された実施形態では、各歯によって取り除かれる材料の断面積、したがって各繰返し歯パターン内の歯への切削荷重が、互いに対して実質上平衡されている。

（表１）
歯＃ 材料除去断面積
１２ 断面積２４＝０．０２９０ｍｍ²（４．５×１０^-5ｉｎ²）
１４ 断面積２６＝０．０２９７ｍｍ²（４．６×１０^-5ｉｎ²）
１６ 断面積２８＝０．０３７４ｍｍ²（５．８×１０^-5ｉｎ²）

この平衡された歯荷重の顕著な利点は、先行技術の金属切削帯鋸刃と比較して改善された磨耗寿命を提供することである。別の利点は、ファセットすなわち第１の側部表面２０が、特に、第２および第３の歯（または繰返し歯パターン内の第１の歯に続くその他の番号の歯）と共に切削の実質上の一部分を行うことである。上記で示したように、このことは、中央平面ＣＰに向かう横方向内向きに方向付けられた切削力を生じさせ、このことがさらに、先行技術の帯鋸刃と比較して比較的直線状の切削を提供するように、刃に直線状に切削させ続ける。

本発明の図示された実施形態では、刃は好ましくは、窒化アルミニウムチタニウム（ＡｌＴｉＮ）被覆を用いて物理蒸着によって被覆される。このタイプの被覆の利点の１つは、本発明の帯鋸刃の実施形態が、先行技術の帯鋸刃より高速および高温で動かされることを可能にし、このようにして、そうでない場合に達成されるより顕著に速い生産速度（より高速の帯速度および供給速度の両方）を可能にすることである。ＡｌＴｉＮ被覆では、刃が、被覆に適当な状態にするために十分な所定の温度に到達することを可能にするために、刃が、所定の時間の間、ドライで（すなわち、いかなる潤滑剤もなしで）最初に動かされる。本発明の一実施形態では、帯鋸刃は、約８００℃に到達するまで、約１２０秒間ドライで動かされる。次に、刃が、加工品の切削の間、水、オイルまたはその他の潤滑剤および／または冷却材をその上に噴霧されることなどによって通常の方式で潤滑される。本発明の他の実施形態では、ドライ運転時間は、約１分から約３分の範囲内であり、所定の温度は、約７５０℃から約８５０℃の範囲内にある。また、本発明の一実施形態では、本発明のＡｌＴｉＮ被覆された帯鋸刃は、直径約４９５ｍｍ（１９．５インチ）であり、約１９２，６７７ｍｍ²（２９８．６５平方インチ）の断面積を画定された鋼製の棒（標準鋼からタイプ１０７３）を切削するために使用された。帯速度は、約５７．９ｍ/分（１９０ＳＦＭ）であり、供給速度は約８５．１ｍｍ/分（３．３５ＩＰＭ）または約６３．５ｍｍ/分（２．５ＩＰＭ）であり、分当たりの材料切削の平方インチは、毎分約２１４０６ｍｍ²（３３．１８平方インチ）であり、切削時間は、供給速度に応じて約６分または約８分のいずれかであり、各切削の総平方インチは、上記に示したように、約１９２，６７７ｍｍ²（２９８．６５総平方インチ）であった。試験された本発明のＡｌＴｉＮ被覆された帯鋸刃は、平均で１刃当たり約３６切削、すなわち１刃当たり約６，８７２，１４７ｍｍ²（１０，６５１．８５総平方インチ）の加工品切削を達成した。同じタイプの加工品上で同じ帯速度および供給速度で動作する先行技術の形状を有する帯鋸刃は、かなり低い磨耗寿命を達成した。たとえば、ある先行技術の形状の帯鋸刃は、平均で１刃当たり約１３切削、すなわち１刃当たり約２，５０４，８０１ｍｍ²（３８８２．４５総平方インチ）の材料切削を達成し、別の先行技術の形状の帯鋸刃は、平均で１刃当たり約１６切削、すなわち１刃当たり約３，０８２，８３２ｍｍ²（４７７８．４総平方インチ）の材料切削を達成した。刃は、加工品を切削するのに長すぎる時間（たとえば２０分以上）がかかるとき、または直線状の切目を供給できない（たとえば曲がった切目を提供する）ときに破損したとみなされた。このようにして、本発明の被覆された帯鋸刃は、先行技術の帯鋸刃と比較して、かなり改善された性能（帯速度および供給速度に関して）、およびかなり改善された磨耗寿命を提供した。当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、これらの時間、温度、供給速度および帯速度は例示に過ぎず、要求に応じてまたは他の形で必要に応じて鋸刃の特定の被覆または用途の要件を満たすように変更されてもよい。

図２、４および６に示すように、各歯は、チップ１８の一方の側面上に形成されたすくい面３０と、すくい面に対してチップの反対側に形成され、刃の後縁部２２に対して１次鋭角逃げ角「Ｃ１」を画定している主クリアランス表面３２をさらに備える（図６）。第２のクリアランス表面３４が、チップ１８に対して主クリアランス表面３２の反対側に形成され、第２のクリアランス表面３４は、１次鋭角逃げ角より小さい、刃の後縁部２２に対する２次鋭角逃げ角「Ｃ２」を画定している（図４）。必要に応じて、第３のクリアランス表面が、第１のクリアランス表面３２に対して第２のクリアランス表面３４の反対側に形成され、１次および２次鋭角逃げ角のそれぞれより大きい、刃の後縁部２２に対する３次鋭角逃げ角を画定してもよい。

１次鋭角逃げ角Ｃ１は、刃の後縁部２２によって画定される平面に対して、約１°から約４０°の範囲内であり、２次鋭角逃げ角Ｃ２は、刃の後縁部２２によって画定される平面に対して、約１°から約４０°の範囲内にある。図示された実施形態では、１次鋭角逃げ角Ｃ１は、約１２°であり、２次鋭角逃げ角Ｃ２は、約２０°である。図６に典型的に示されているように、各すくい面３０は、鉛直平面（すなわち、後縁部２２に対する法線または同じ高さの２つのアンセット歯のチップの間に延びる平面）に対して鋭角の角度「Ｄ」で配向される。すくい角Ｄは好ましくは、約−５°から約２０°の範囲内にある。図示された実施形態では、すくい角Ｄは約６°である。しかし、当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、これらの角度は、特定の鋸刃または用途の要件に従って要求に応じて調節されてもよい。また、本発明の帯鋸刃の後縁部２２は、段差付であってもよい、またはそうでない場合、たとえば、本発明の出願人に譲渡され、本開示の一部として特に引用して援用される米国特許第４，４２３，６５３号で教示されているように、不規則な形状の表面セクションを画定してもよい。このような例では、後縁部に関してここで画定された角度が、このように修正された後縁部の水平なまたは平面状の部分に関して画定されてもよい、または、たとえば、アンセット歯のチップの間に延びる平面に関して画定されてもよい。

延長された（たとえば、約５歯より大きい）繰返しパターンを含む本発明のいくつかの実施形態では、各パターン内の類似のセット方向の各歯に対して累積されたピッチに対するピッチの比は、本発明の譲渡人に譲渡され、本開示の一部として特に引用して援用される“Ｂａｎｄ Ｓａｗ Ｂｌａｄｅ Ｈａｖｉｎｇ Ｒｅｄｕｃｅｄ Ｎｏｉｓｅ Ａｎｄ Ｕｎｉｆｏｒｍ Ｔｏｏｔｈ Ｌｏａｄｉｎｇ Ｃｈａｒａｃｔｅｒｉｓｔｉｃｓ”という名称の米国特許第６，２７６，２４８号の教示によると、鋸刃の歯上のチップ荷重をさらに平衡するように、鋸刃の切削方向「ａ」と反対の方向に、ある歯から次の歯へ増加してもよい。

当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、様々な寸法、ピッチ、蓄積されたピッチなどの寸法が、本発明の教示および範囲内の鋸刃の特定の設計基準または望まれる特性に応じて、適用されてもよい。たとえば、各歯の刃溝領域は、本開示の一部として特に引用して援用される、本発明の出願人に譲渡された米国特許第６，００３，４２２号で開示されているように、歯と、同様のセット方向の次の歯の間の蓄積されたピッチ距離に直接比例してもよい。同様に、本発明の譲渡人に譲渡され、本開示の一部として特に引用して援用される、米国特許第６，１６７，７９２号に開示された、１つ以上の歯形態またはその他の幾何形状を含む、様々な歯の形態のいずれが採用されてもよい。

また、必要に応じて、各歯は、各繰返しパターン内の複数の他の歯と異なるピッチを画定してもよい。この特徴の利点の１つは、切削動作中、各歯の加工品への出入りが、加工品へ同時に出入りする他のすべての歯、または次々に出入りする他の歯とは異なる加力周波数を発生させ、このようにして、切削動作中の騒音および振動を低減させ、刃の動作を容易にすることである。各歯の加力周波数（「ｆ」）は、以下の式ｆ＝ＢＳ／５Ｐにしたがって帯速度（「ＢＳ」）およびピッチ（「Ｐ」）を基にして決定されてもよい。ここで、ｆは同期／秒単位であり、ＢＳはフィート／分単位であり、Ｐはインチ単位である。すなわち、ピッチパターン内の複数の他の歯とは異なるピッチを各歯に備えることによって、各歯が、加工品の切削の際、異なる加力周波数を発生させることになる。したがって、切削動作中に加工品に出入りする各歯が、加工品に同時に出入りする、および／または加工品に次々に出入りする他のすべての歯とは異なる加力周波数を通常発生させることになる。

当業者には本発明の教示に基づいて理解されるように、上記の特許請求の範囲で画定したような本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の上記に記載したおよびその他の実施形態に、様々な変更および修正が行われることができる。たとえば、歯は、カーバイトチップを付けられるが、歯は、バイメタルなどの構造を含む、現在既知である、または後に既知になる様々な構造のいずれかを画定してもよい。同様に、各繰返しパターン内の歯はアンセットであるが、歯の１つ以上が固定されてもよい。また、繰返しパターンは、所望のいかなる数の歯（たとえば、少なくとも２つの歯および２つの歯を超えるいずれかの実用可能な数の歯）を備えてもよく、鋸刃は、１つ以上の繰返しパターンを備えてもよい、または追加の歯が繰返しパターンの歯の間に配置されてもよい。また、上記で例示した鋸刃は、鋸刃の切削方向と反対の方向に徐々に低くなる歯の高さを画定しているが、歯の高さが、非進行パターンで配置されてもよい。さらに、本発明の鋸刃は、窒化チタニウム被覆（ＴｉＮ）などの現在既知であるまたは後に既知になる様々な被覆のいずれかで被覆されてもよい、または鋸刃が全く被覆を備えなくてもよい。したがって、一般的に好ましい実施形態のこの詳細な説明は、限定的な意味ではなく、例示的に考えられるべきである。

１０ 帯鋸刃、１２ 第１の歯，１４ 第２の歯，１６ 第３の歯、１８ 上部表面、２０ 第１の側部表面、２２ 第２の側部表面、２２ 後縁部、２４ 第１の断面積、２６ 第２の断面積、２８ 第３の断面積、３２ 主クリアランス表面、３４ 第２のクリアランス表面。

Claims (16)

1. 金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃であって、
   前記帯鋸刃の切削方向と、該帯鋸刃の切削方向に対して横断方向である帯鋸刃の供給方向と、連続する歯の群の繰り返しパターンと、を定める複数の切歯を備え、
   連続する歯の各群は、
   前記帯鋸刃の切削方向に対向し、金属加工品から少なくとも1つの第１チップを切削する第１の横方向に延びる切削面を定める先頭歯を含み、第１の横方向に延びる切削面は帯鋸刃の中心平面に対して実質的に垂直に配向し、かつ第1の高さを決定し、前記先頭歯は、１次クリアランス鋭角を画定する第１クリアランス表面と、該１次クリアランス鋭角より大きい２次クリアランス鋭角を画定する第２クリアランス表面とを定め、
   さらに、前記先頭歯に続く複数の後続歯を含み、各後続歯は、１次クリアランス鋭角を画定する第１クリアランス表面と、該１次クリアランス角より大きい２次クリアランス角を画定する第２クリアランス表面とを定め、
   前記複数の後続歯は、
   前記帯鋸刃の切削方向に対向する第２の横方向に延びる切削面であって、前記第１の横方向に延びる切削面の一方の側に位置し、前記第１の横方向に延びる切削面に対して第２の鋭角で配向し、前記金属切削加工品から少なくとも１つの第２チップを切削する、第２の横方向に延びる切削面と、
   前記帯鋸刃の切削方向に対向する第３の横方向に延びる切削面であって、前記第１の横方向に延びる切削面の一方の側であって、前記第２の横方向に延びる切削面に対する側とは反対の、前記第１の横方向に延びる切削面の一方の側に位置し、前記第１の横方向に延びる切削面に対して第３の鋭角で配向し、前記第１の高さとは異なる第３の高さを画定し、前記金属切削加工品から少なくとも１つの第３チップを切削する、第３の横方向に延びる切削面と、
   前記第１、第２、及び第３の切削面のそれぞれを覆う窒化アルミニウムチタニウム被覆と、
   を備える、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
2. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、前記複数の後続歯は、さらに、
   前記帯鋸刃の切削方向に対向する第４の横方向に延びる切削面であって、前記第２の横方向に延びる切削面の一方の側であって、前記第１の横方向に延びる切削面に対する側とは反対の、前記第２の横方向に延びる切削面の一方の側に位置し、前記第１の横方向に延びる切削面に対して第４の鋭角で配向し、前記第１の高さとは異なる第４の高さを画定し、前記金属切削加工品から少なくとも１つの第４チップを切削する、第４の横方向に延びる切削面と、
   前記帯鋸刃の切削方向に対向する第５の横方向に延びる切削面であって、前記第３の横方向に延びる切削面の一方の側であって、前記第１の横方向に延びる切削面に対する側とは反対の、前記第３の横方向に延びる切削面の一方の側に位置し、前記第１の横方向に延びる切削面に対して第５の鋭角で配向し、前記第１の高さとは異なる第５の高さを画定し、前記金属切削加工品から少なくとも１つの第５チップを切削する、第５の横方向に延びる切削面と、
   を定め、
   前記窒化アルミニウムチタニウム被覆が、前記第１、第２、第３、第４及び第５の切削面のそれぞれを覆っている、
   金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
3. 請求項２に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
   前記第１の高さは、前記第２、第３、第４及び第５の高さのそれぞれより大きい、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
4. 請求項２に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
   前記第２の高さと前記第３の高さとはほぼ等しく、前記第４の高さと前記第５の高さとはほぼ等しい、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
5. 請求項４に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
   前記第２の高さと前記第３の高さは、前記第１の高さより低く、前記第４の高さと前記第５の高さは前記第２の高さと前記第３の高さより低い、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
6. 請求項２に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
   前記第２の鋭角と前記第３の鋭角とはほぼ等しく、前記第４の鋭角と前記第５の鋭角とはほぼ等しい、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
7. 請求項６に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
   前記第２の鋭角と前記第３の鋭角は、前記第４の鋭角と前記第５の鋭角より大きい、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
8. 請求項６に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
   前記第２の鋭角と前記第３の鋭角は約５°から約５０°の範囲内にあり、前記第４の鋭角と前記第５の鋭角は約５°から約１５°の範囲内にある、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
9. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
   前記歯は、カーバイドチップをつけられているか、バイメタル構造かのいずれかである、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
10. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
    前記第２の横方向に延びる切削面と前記第３の横方向に延びる切削面は第１の後続歯によって画定され、前記第４の横方向に延びる切削面と前記第５の横方向に延びる切削面は第１の後続歯に続く第２の後続歯によって画定される、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
11. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
    前記第１の歯、第２の歯、第３の歯は、それぞれの間にさらなる歯が設けられることなく前記帯鋸刃に位置する、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
12. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
    各切削面の高さは、前記帯鋸刃の後縁部に対して測定される、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
13. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
    前記窒化アルミニウムチタニウム被覆は、物理的蒸着による被覆である、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
14. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
    前記連続する歯の群は重なり合わない、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
15. 請求項１に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
    前記１次クリアランス角と前記２次クリアランス角はそれぞれ、約１°から約４０°の範囲内にある、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。
16. 請求項１５に記載の金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃において、
    各歯が、前記各２次クリアランス角より大きい３次クリアランス角を定める第３クリアランス表面をさらに有する、金属加工品切削用マルチチップ窒化アルミニウムチタニウム被覆金属切削帯鋸刃。

Images