図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図1の例においては、家屋やオフィスビルなどの構内にフェムトセル基地局1が設置されており、フェムトセル基地局1によりフェムトセルC1が形成されている。フェムトセルC1は、半径数メートル、数十メートルなどの、フェムトセル基地局1が設置されている構内の範囲を通信可能範囲としてカバーするセルである。
フェムトセル基地局1にはLAN(Local Area Network)ケーブルなどを介して図示せぬモデムが接続されている。モデムは、ADSL回線や光ファイバ回線などよりなるブロードバンド回線の宅内装置である。
フェムトセル基地局1は、LANケーブル、モデム、およびブロードバンド回線を介してインターネットなどよりなるネットワークに接続され、図1に示す移動機2がフェムトセルC1に在圏している場合、移動機2が行う音声データなどの通信を中継する。
移動機2は、CDMA方式の通信に対応した携帯電話機などの端末である。図1の例においては、移動機が1台だけ示されているが、フェムトセル基地局1は最大4台などの所定の数の移動機による通信を同時に中継することができる。
また、図1の例においては、フェムトセル基地局1が設置されている建物の外に、マクロセルC2を管理する基地局であるマクロセル基地局3が設置されている。
図1の例においてはフェムトセルC1と同程度の大きさで示しているが、マクロセルC2は、フェムトセルC1よりも広いセルである。移動機2においては、フェムトセル基地局1からの電波だけでなく、マクロセル基地局3からの電波も受信可能とされている。
図1にはマクロセル基地局としてマクロセル基地局3しか示していないが、フェムトセル基地局1が設置されている建物の外には、適宜、マクロセル基地局3以外のマクロセル基地局も設けられる。各マクロセル基地局からの電波は移動機2に到達する。
図2は、図1の通信システムにおいて使用される電波の周波数帯域の例を示す図である。図2の横軸は周波数を表し、縦軸は電波の強度(電力)を表す。
CDMA方式の通信システムにおいては、通信会社に割り当てられた周波数帯域全体が所定の数の帯域に分けられ、どの周波数帯域の電波を使用するのかが各マクロセル基地局に設定されている。移動機は、自分が在圏しているマクロセルの電波の周波数帯域に合わせて、送受信する電波の周波数を選択し、無線通信を行う。
図2の例においては、ダウンリンクの周波数帯域として2150〜2170MHzが割り当てられ、その20MHzの帯域幅の周波数帯域が5MHzずつ、F1,F2,F3,F4の4つの周波数帯域に分けられている。あるマクロセル基地局は周波数帯域F1を使用し、またあるマクロセル基地局は周波数帯域F2を使用するといったように、各マクロセル基地局に周波数帯域が割り当てられる。
図2に示すように、周波数帯域F1の中心周波数f1は2152.6MHz、周波数帯域F2の中心周波数f2は2157.6MHz、周波数帯域F3の中心周波数f3は2162.4MHz、周波数帯域F4の中心周波数f4は2167.4MHzとなる。
周波数帯域F1乃至F4の帯域幅は5MHzであるが、f1乃至f4を中心周波数として、3.84MHz(3840kHz)の帯域幅を有する電波が各マクロセル基地局から発射される。
フェムトセル基地局1も、基本的には、F1,F2,F3,F4の4つの周波数帯域のうちのいずれかの周波数帯域の電波を発射し、フェムトセルC1に在圏している移動機と通信を行う。複数の周波数帯域の電波をフェムトセル基地局1が発射することについては後述する。
フェムトセル基地局1、マクロセル基地局3からの電波も含めて、図1の移動機2により受信される各基地局からの電波は図2に示すようにして表される。各電波の強度は、基地局から移動機2までの距離や、基地局と移動機2の間にある遮蔽物などによって決まる。
このような5MHzの帯域幅の周波数帯域F1,F2,F3,F4を使用して移動機2と通信を行うフェムトセル基地局1には、マクロセルに在圏している移動機2をフェムトセルC1に移行させるための在圏アシスト機能が設けられている。
移動機2が在圏しているマクロセルの電波のEc/Noが上述したQqualmin以下になるなどして劣化した場合、移動機2においては他のセルへの移行が発生する。在圏しているマクロセルの電波が劣化したときにフェムトセル基地局1からの電波が移動機2により受信されていれば、移動機2をフェムトセルC1に移行させることが可能になる。
在圏アシスト機能は、マクロセルの電波を劣化させるとともに、フェムトセル基地局1自身が発射する電波を移動機2に受信させる機能となる。
在圏アシスト機能により移動機2をフェムトセルC1に在圏させる前、フェムトセル基地局1においては、フェムトセル基地局1の動作を規定するモードの1つであるリスニングモードが設定される。
リスニングモードが設定された場合、マクロセル基地局などの外部の基地局が発射する電波を受信し、受信した電波の状況を検出することが行われる。
例えば、受信した電波が周波数帯域F1,F2,F3,F4のうちのどの周波数帯域の電波であるのか、すなわち、外部の基地局による使用済みの周波数帯域がどの周波数帯域であるのかや、電波の強度などが検出される。
リスニングモードでの動作によって、フェムトセル基地局1においては、フェムトセル基地局1の設置位置において受信可能な外部の基地局からの電波の周波数と強度が図2に示すようにして検出され、その検出結果に基づいて、移動機2をフェムトセルC1に在圏させることが行われる。
ここで、フェムトセル基地局1が使う在圏方式について説明する。
図3は、在圏方式の例を示す図である。
フェムトセル基地局1が使う在圏方式は、マクロセル基地局により使用されている複数の周波数帯域のそれぞれに跨るように、3.84MHzの帯域幅の電波を発射することで移動機2をフェムトセルC1に在圏させる方式である。フェムトセル基地局1が発射する電波の強度は、マクロ基地局からの電波の受信強度より高い強度とされる。
マクロセル基地局により使用されている複数の周波数帯域に跨って、すなわち周波数帯域をオーバーラップさせて電波を発射することから、以下、フェムトセル基地局1が使う在圏方式をオーバーラップ周波数方式という。
リスニングモードでの動作によって、図3Aに示すように、マクロセル基地局からの電波として周波数帯域F3の電波と周波数帯域F4の電波を受信し、周波数軸上で隣接する2つの周波数帯域が使用済みであることが検出された場合について考える。
この場合、フェムトセル基地局1は、図3Bに示すような、使用済みの周波数帯域の中心周波数f3とf4の中間の周波数である周波数f3.5を中心周波数として選択する。中心周波数f3.5は2164.9MHzである。
また、フェムトセル基地局1は、周波数f3.5を中心周波数とする3.84MHzの帯域幅の電波であって、マクロセル基地局からの電波の強度より高い強度の電波を発射する。図3A、図3Bの例においては、マクロセル基地局からの電波のフェムトセル基地局1の設置位置における強度はp11であり、フェムトセル基地局1が発射する電波を移動機2が受信する電波の強度は、p11より高いp12である。
図3Cは、図3Aに示すマクロセル基地局からの電波と、図3Bに示すフェムトセル基地局1が発射する電波を重ねて示す図である。
マクロセル基地局からの電波とフェムトセル基地局1からの電波を、図3Cに示すような状態で受信した場合、マクロセルに在圏している移動機2は、マクロセルからの電波が劣化していることを検出し、高い強度で電波を受信可能なフェムトセルC1に移行する。図3Cの例においては、マクロセル基地局からの電波がフェムトセル基地局1からの電波と干渉を起こすことによって、両方のマクロセルの電波のEc/NoがQqualmin以下になる。
移動機2がフェムトセルC1に在圏した場合、フェムトセル基地局1は、周波数f3.5を中心周波数とする5MHzの帯域幅の周波数帯域を使用して移動機2と通信を行う。
すなわち、オーバーラップ周波数方式においては、マクロセル基地局からの電波を劣化させるための電波が、そのまま、移動機2と通信を行うための電波として使用されることになる。これにより、在圏のアシストと通信を効率的に行うことができる。
図1の通信システムにおいては、基本的に周波数帯域F1,F2,F3,F4のうちのいずれかの周波数帯域を使用して通信が行われるが、各周波数帯域の中心周波数を基準として、200kHz間隔で中心周波数をずらし、3.84MHzの帯域幅の周波数帯域を使用して通信を行うことも可能とされている。
周波数f3.5を中心周波数とする3.84MHzの帯域幅の電波をフェムトセル基地局1が発射している場合、移動機2は、受信する電波の中心周波数を周波数f3.5に合わせ、3.84MHzの帯域幅の電波を使用して通信を行う。
このように、オーバーラップ周波数方式によれば、マクロセル基地局により使用されている複数の周波数帯域に跨るような周波数帯域を有する電波を発射することによって、移動機2をフェムトセルC1に在圏させることが可能になる。
図4は、オーバーラップ周波数方式の他の例を示す図である。
リスニングモードでの動作によって検出された、マクロセル基地局が発射する電波の例を図4Aに示す。図3の例においては周波数帯域F3,F4の電波の強度がいずれもp11であるものとしたが、図4の例においては、周波数帯域F3の電波の強度はp21、周波数帯域F4の電波の強度は、p21より高いp22である。
この場合、フェムトセル基地局1は、図4Bに示すような、使用済みの周波数帯域の中心周波数f3とf4の間の周波数であって、強度が高い方の電波の周波数帯域に若干寄った周波数である周波数f3.8を中心周波数として選択する。中心周波数f3.8は2166.4MHzである。
また、フェムトセル基地局1は、周波数f3.8を中心周波数とする3.84MHzの帯域幅の電波であって、マクロセル基地局からの電波の強度より高い強度の電波を発射する。図4Bの例においては、フェムトセル基地局1が発射する電波の強度は、p21,p22より高いp23である。
図4Cは、図4Aに示すマクロセル基地局からの電波と、図4Bに示すフェムトセル基地局1が発射する電波を重ねて示す図である。
マクロセル基地局からの電波とフェムトセル基地局1からの電波を、図4Cに示すような状態で受信した場合、マクロセルに在圏している移動機2は、マクロセルからの電波が劣化していることを検出し、高い強度で電波を受信可能なフェムトセルC1に移行する。
移動機2がフェムトセルC1に在圏した場合、フェムトセル基地局1は、周波数f3.8を中心周波数とする3.84MHzの帯域幅の周波数帯域を使用して移動機2と通信を行う。この場合も、マクロセル基地局からの電波を劣化させるための電波が、そのまま、移動機2と通信を行うための電波として使用されることになる。
周波数f3.8は、使用済みの周波数帯域F3とF4の両方に3.84MHzの帯域幅が跨り、マクロセル基地局からの周波数帯域F3の電波と周波数帯域F4の電波に対して十分な干渉を与えることができる周波数を探索することによって選択される。
フェムトセル基地局1が発射する電波の中心周波数を周波数f4として、強度の高い方の電波である周波数帯域F4の電波を集中的に劣化させることも考えられるが、このようにした場合、周波数帯域F3を使用しているマクロセルに移動機2が移行する可能性が残ってしまう。移動機2においては、周波数帯域F4の電波以外に、周波数帯域F3の電波も受信されている。
より確実にフェムトセルC1に移行させるためには周波数帯域F3の電波の方も劣化させる必要がある。
フェムトセル基地局1が発射する電波の中心周波数や強度の決定方法については後述する。
[フェムトセル基地局1の構成例]
図5は、フェムトセル基地局1のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、フェムトセル基地局1は、ネットワーク通信部21、制御部22、無線通信部23、およびアンテナ24から構成される。
ネットワーク通信部21はネットワークのインタフェースであり、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)などの所定のプロトコルに従って、ネットワークに接続されるサーバなどとモデムを介して通信を行う。
ネットワーク通信部21は、交換機としての機能を有するサーバであるCSCF(Call Session Control Function)から送信され、モデムを介して転送されてきた音声データを無線通信部23に出力する。また、ネットワーク通信部21は、無線通信部23から供給された、フェムトセルC1に在圏している移動機2からの音声データをモデムに出力してCSCFに送信させる。
制御部22はCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)などよりなり、所定のプログラムを実行してフェムトセル基地局1の全体の動作を制御する。
例えば、制御部22は、リスニングモードでの動作を行い、無線通信部23から供給された信号に基づいて、マクロセル基地局が発射する電波の状況を検出する。
また、制御部22は、マクロセル基地局が発射する電波を劣化させるとともに移動機2をフェムトセルC1に移行させるための電波の中心周波数や電力を計算し、無線通信部23を制御して電波を発射させる。
無線通信部23は、W-CDMA、CDMA2000などの方式でフェムトセルC1に在圏している移動機2と無線通信を行う。無線通信部23は送信部31と受信部32から構成される。
送信部31は、制御部22による制御に従って、空中線電力が20mW以下などの所定の強度の電波をアンテナ24から発射し、ネットワーク通信部21から供給された音声データなどの所定のデータをフェムトセルC1に在圏している移動機2に送信する。
受信部32は、リスニングモードでの動作時、アンテナ24において電波が受信されることに応じて得られた信号を制御部22に出力する。また、受信部32は、アンテナ24から供給された信号に基づいて、移動機2から送信されてきた音声データなどの所定のデータを受信し、ネットワーク通信部21に出力する。
図6は、フェムトセル基地局1の機能構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、フェムトセル基地局1の制御部22においては、マクロ電波状況検出部41、計算部42、テーブル情報記憶部43、選択部44、および在圏検出部45が実現される。図6に示す機能部のうちの少なくとも一部は、制御部22内のCPUにより所定のプログラムが実行されることによって実現される。
マクロ電波状況検出部41は、無線通信部23の受信部32から供給される信号に基づいて、図3A、図4Aに示すような、マクロセル基地局が発射する電波の受信状況を検出する。
マクロ電波状況検出部41は、マクロセル基地局により使用されている周波数帯域が周波数帯域F1,F2,F3,F4のうちのどの周波数帯域であるのかを表す情報や、受信電力を表す情報を計算部42に出力する。
計算部42は、マクロ電波状況検出部41から供給された情報に基づいて計算を行い、マクロセル基地局が発射する電波を劣化させるとともに移動機2をフェムトセルC1に移行させるための電波の中心周波数と電力の候補を複数求める。計算部42による計算は、テーブル情報記憶部43に予め記憶されているテーブル情報を適宜参照して行われる。
計算部42は、計算により求めた中心周波数と電力の候補の情報を選択部44に出力する。
選択部44は、複数の候補の中から、1つの中心周波数と強度の組み合わせを選択し、選択した中心周波数、強度の電波を送信部31から発射させる。
在圏検出部45は、フェムトセルC1に対する移動機2の在圏を検出する。例えば、在圏検出部45は、位置登録の要求が移動機2から送信され、受信部32において受信された場合、フェムトセルC1に移動機2が在圏したものとして検出する。マクロセルからフェムトセルC1に移行した移動機2からは位置登録の要求が送信されてくる。
位置登録処理は、各移動機がどのセルに在圏しているのかを、コアネットワークなどに接続されるHSS(Home Subscriber Server)に登録する処理である。HSSは、コアネットワークなどに接続される装置であり、各移動機がどのセルに在圏しているのかを管理し、適宜、管理している情報をCSCFなどに提供するサーバである。
在圏検出部45は、検出結果を送信部31とマクロ電波状況検出部41に出力する。
以下、マクロセル基地局が発射する電波をマクロ電波といい、フェムトセル基地局1が発射する電波をフェムト電波という。
[フェムトセル基地局1の動作]
ここで、図7のフローチャートを参照して、フェムトセル基地局1の在圏アシスト処理について説明する。
この処理は、フェムトセル基地局1の動作モードとしてリスニングモードが設定されたときに開始される。例えば、リスニングモードは、フェムトセル基地局1の筐体に設けられるボタンを押すなどの所定の操作が移動機2のユーザにより行われたときに設定される。このとき、移動機2は図1に示すようにフェムトセル基地局1の近くにあることになる。
ステップS1において、マクロ電波状況検出部41は、無線通信部23の受信部32から供給された信号に基づいて、マクロ電波の状況を検出する。
以下、図3、図4を参照して説明したように周波数帯域F3とF4のマクロ電波が検出された場合について主に説明するが、周波数帯域F1とF2、周波数帯域F2とF3といったように、他の隣接する2つの周波数帯域のマクロ電波が検出された場合も同様の処理が行われる。マクロ電波状況検出部41により検出されたマクロ電波の状況を表す情報は計算部42に供給される。
ステップS2において、計算部42は、マクロ電波で使われている複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域に注目する。
ステップS3において、計算部42は特性計算処理を行う。特性計算処理は、注目している周波数帯域のマクロ電波を劣化させつつ、移動機2をフェムトセルC1に在圏させるための電波の特性(中心周波数と強度)の候補を計算により求める処理である。特性計算処理については図8のフローチャートを参照して後述する。
ステップS4において、計算部42は、マクロ電波で使われている全ての周波数帯域に注目したか否かを判定する。
マクロ電波で使われている全ての周波数帯域に注目していないとステップS4において判定した場合、計算部42は、ステップS2に戻り、他の周波数帯域に注目して同様の処理を繰り返す。マクロ電波で使われている周波数帯域が1つずつ順に注目され、特性計算処理が繰り返されることになる。
一方、マクロ電波で使われている全ての周波数帯域に注目したとステップS4において判定された場合、ステップS5において、選択部44は選択処理を行う。選択処理は、それぞれの周波数帯域に注目して求められたフェムト電波の特性の候補の中から、実際に発射するフェムト電波の特性を選択する処理である。選択処理については図14のフローチャートを参照して後述する。
ステップS6において、送信部31は、選択部44により選択された中心周波数、強度を有するフェムト電波の発射を開始する。
ステップS7において、在圏検出部45は、移動機2がフェムトセルC1に在圏したか否かを判定する。
移動機2がフェムトセルC1に在圏していないとステップS7において判定された場合、ステップS8において、送信部31は、中心周波数はそのままに、電力を上げてフェムト電波の発射を続ける。
所定の時間が経過した後、ステップS9において、在圏検出部45は、移動機2がフェムトセルC1に在圏したか否かを再度判定する。
移動機2がフェムトセルC1に在圏していないとステップS9において判定された場合、そのことを表す情報が在圏検出部45からマクロ電波状況検出部41に供給され、ステップS1以降の処理が繰り返される。
一方、ステップS7、またはステップS9において移動機2がフェムトセルC1に在圏したと判定された場合、処理は終了される。フェムト電波の発射が続けられ、フェムトセルC1に在圏している移動機2とフェムトセル基地局1の間で無線通信が行われる。
次に、図8のフローチャートを参照して、図7のステップS3において行われる特性計算処理について説明する。
ステップS21において、計算部42は、注目している周波数帯域のマクロ電波の受信電力である希望波受信電力(RSCP(Received Signal Code Power))と、予め設定されているEc/Noに基づいて、所要RSSI(Received Signal Strength Indicator)を計算する。RSCPの値は、リスニングモードでの動作によってマクロ電波状況検出部41により検出されている。
予め設定されているEc/Noは、上述したQqualminに相当する値である。よって、マクロ電波の質がEc/Noで表される質より悪くなったとき、移動機2はフェムトセルC1に移行することになる。
RSCPとRSSIから、Ec/NoはRSCP/RSSIとして算出される。RSSIは、注目する周波数帯域の電波の全受信電力である。
Ec/Noの値を小さくするには、全受信電力であるRSSIの値を上げる、すなわち、移動機2において受信される、注目する周波数帯域の全電波の電力を上げればよいことになる。この、注目する周波数帯域の全電波の電力を上げることは、所定の電力のフェムト電波を移動機2に受信させることによって実現される。
所要RSSIは、予め設定されているEc/Noを実現するために移動機2に受信させたい、注目する周波数帯域の電波の全電力を表すことになる。フェムト電波を受信させることは移動機2が受信するマクロ電波を劣化させることになるから、所要RSSIは、マクロ電波が劣化した後の全電力を表すともいえる。
具体的には、計算部42は下式(1)に従って所要RSSIを計算する。電力はデシベル表示である。
所要RSSI=RSCP-Ec/No ・・・ (1)
例えば、RSCPが-70dBmとしてマクロ電波状況検出部41により検出され、Ec/Noが-18dBとして予め設定されている場合、計算部42は式(1)に従って下の計算を行う。
所要RSSI=-70dBm-(-18dB)=-52dBm
移動機2が受信する電波の全電力が-52dBmであれば、フェムトセルC1に移行させるために目標とする-18dBのEc/Noを、注目する周波数帯域においては実現することができることになる。
なお、フェムトセル基地局1と移動機2の距離は近いから、フェムトセル基地局1が受信するマクロ電波の電力と、移動機2が受信するマクロ電波の電力はほぼ等しいと考えることができる。
例えば、リスニングモードでの動作によってマクロ電波状況検出部41により検出された、注目する周波数帯域のマクロ電波のRSCP=-70dBm、RSSI=-60dBmは、移動機2においても同様にして検出される。この例の場合、希望波に対する他の電波の干渉レベルであるEc/Noは-10dB(-70dBm-(-60dBm))である。
ステップS22において、計算部42はフェムト電波の中心周波数を設定する。
図9は、フェムト電波の中心周波数の設定の例を示す図である。
上述したように、F1乃至F4の各周波数帯域の中心周波数を基準として200kHzずつずらした周波数であれば、その周波数をフェムト電波の中心周波数として設定することが可能である。
図9に波形を示すフェムト電波#1乃至#3は、中心周波数をそれぞれ200kHzずつずらした電波である。このように、計算部42は、フェムト電波の中心周波数を、注目する周波数帯域の中心の周波数を基準として200kHzずつずらして順次設定する。
いま、周波数帯域F3に注目しているとすると、周波数帯域F3の中心周波数f3である2162.4MHzを基準として200kHzだけずらした周波数である2162.6MHzが、フェムト電波の中心周波数として最初に設定される。ずらす方向は、注目する周波数帯域を基準として、隣接するもう一方の周波数帯域である周波数帯域F4の方向である。
ステップS23において、計算部42は、フェムト電波とマクロ電波の重畳部分の電力と、非重畳部分の電力をそれぞれ計算する。重畳部分、非重畳部分は、横軸を周波数、縦軸を電力とした平面に各電波を表したときにフェムト電波とマクロ電波が重なる部分、重ならない部分である。
図10は、フェムト電波とマクロ電波の例を示す図である。
図10Aに示すように、周波数帯域F3とF4にマクロ電波が存在し、中心周波数f3とf4の間の所定の周波数がフェムト電波の中心周波数として設定されている場合を考える。
この場合、フェムト電波と、注目する周波数帯域F3のマクロ電波であるマクロ電波#3の非重畳部分は、図10Bにおいて斜線を付けて示す部分になる。また、重畳部分は、図10Cにおいて斜線を付けて示す部分になる。
図10Bに示す非重畳部分の電力と、図10Cに示す重畳部分の電力を足し合わせた電力が、注目する周波数帯域F3における、マクロ電波のRSCPに相当する。
また、非重畳部分の電力と重畳部分の電力に加えて、さらに、図10Dにおいて斜線を付けて示す、フェムト電波全体のうちの周波数帯域F3に入り込んでいる部分の電力を足し合わせた電力が、注目する周波数帯域F3におけるRSSIに相当する。
図10Dにおいて斜線を付けて示す部分は、フェムト電波全体のうちの、周波数帯域F3に存在するマクロ電波に干渉を与える部分である。以下、マクロ電波に干渉を与えるフェムト電波の一部分を干渉部分という。
計算部42は、フェムト電波とマクロ電波の重畳部分の電力と、非重畳部分の電力をそれぞれ計算するが、その際、テーブル情報記憶部43に記憶されているテーブル情報を参照する。
図11は、テーブル情報記憶部43に記憶されているテーブル情報の例を示す図である。
図11のテーブル情報は、周波数とデシベル値を対応付ける形で構成される。図11の例においては、上から順に、200kHzから3640kHzまで200kHz間隔で周波数が並べられ、各周波数に対してデシベル値が対応付けられている。例えば、200kHzには-12dBが対応付けられ、400kHzには-9dBが対応付けられている。
図11のテーブル情報の意味について図12を参照して説明する。図12には、各電波の波形を、図10等に示した波形より矩形波に近い形で示している。
例えば、図12に示すように、周波数帯域F3のマクロ電波#3に対して200kHzの幅だけ重なるようにフェムト電波の中心周波数が設定されている場合を考える。図12において斜線を付けて示す部分A1は、マクロ電波のうちのフェムト電波との非重畳部分を示し、柄を付けて示す部分A2は、マクロ電波のうちのフェムト電波との重畳部分を示す。
非重畳部分A1の電力を計算する場合、計算部42は下式(2)に従ってその計算を行う。
(非重畳部分A1の電力)
=(マクロ電波#3の電力)−(非重畳部分の帯域幅に対応付けられている値)
・・・ (2)
例えば、リスニングモードでの動作によってマクロ電波#3の電力が-60dBmとして検出されているとする。計算部42は、非重畳部分A1の帯域幅である3640kHzに対応付けられている-0.2dBをテーブル情報から取得する。3640kHzは、全体の帯域幅である3840kHzから、重畳部分A2の帯域幅の200kHzを除いた帯域幅である。
また、計算部42は、テーブル情報から取得したデシベル値の絶対値を、下のようにしてマクロ電波#3の電力から減算し、非重畳部分A1の電力-60.2dBmを求める。
-60dBm-0.2dB=-60.2dBm
次に、重畳部分A2の電力を計算する場合、計算部42は下式(3)に従ってその計算を行う。
(重畳部分A2の電力)
=(マクロ電波#3の電力)−(重畳部分の帯域幅に対応付けられている値)
・・・ (3)
すなわち、計算部42は、重畳部分A2の帯域幅である200kHzに対応付けられている-12dBをテーブル情報から取得する。
また、計算部42は、テーブル情報から取得したデシベル値の絶対値を、下のようにしてマクロ電波#3の電力から減算し、重畳部分A2の電力-72dBmを求める。
-60dBm-12dB=-72dBm
図11のテーブル情報において各周波数と対応付けられている値は、マクロ電波全体の電力から引くことで、マクロ電波全体の帯域のうちの、ある一部の帯域分の電力を求めることができる値である。この値はデシベル単位の値であるから、図12に示すもの以外の、各種の電波の部分的な電力を求めることに用いることが可能である。
図8に戻り、ステップS24において、計算部42は、所要RSSIを満たす、注目する周波数帯域内のフェムト電波の電力を計算する。すなわち、計算部42は、図10Dにおいて斜線を付けて示した干渉部分の電力を求める。
所要RSSIは下式(4)により表される。
所要RSSI
=非重畳部分の電力+重畳部分の電力+干渉部分の電力 ・・・ (4)
式(4)の各値のうち、所要RSSIはステップS21において既に求められている。また、非重畳部分(図10B)の電力と重畳部分(図10C)の電力はステップS23において既に求められている。既に求められている各値を式(4)に代入することによって干渉部分の電力が求められる。
上述した例の場合、所要RSSIは-52dBm、非重畳部分の電力は-60.2dBm、重畳部分の電力は-72dBmである。計算部42は、下の計算により、フェムト電波の干渉部分の電力-52.7dBmを求める。
(-60.2dBm)+(-72dBm)+(干渉部分の電力)=-52dBm
(干渉部分の電力)=-52.7dBm
ステップS25において、計算部42はフェムト電波の全帯域分の電力を計算する。この計算においても、図11のテーブル情報が参照される。
ステップS24において求めた干渉部分の電力は下式(5)によって表される。
(干渉部分の電力)
=(フェムト電波の全帯域分の電力)−(重畳部分の帯域幅に対応付けられている値)
・・・ (5)
図12に示すように重畳部分A2の帯域幅が200kHzである場合、計算部42は、200kHzに対応付けられている-12dBをテーブル情報から取得する。
また、計算部42は、テーブル情報から取得したデシベル値の絶対値を、下のようにして干渉部分の電力-52.7dBmに加算し、フェムト電波の全帯域分の電力-40.7dBmを求める。
-52.7dBm+12dB=-40.7dBm
ステップS26において、計算部42は、ステップS25で求めたフェムト電波の電力に、フェムトセル基地局1と移動機2の間の空間において生じる伝搬ロス分の電力を加算する。伝搬ロス分の電力は、想定されるフェムトセル基地局1と移動機2の間の距離に応じて予め設定されている。
ステップS25で求めたフェムト電波の電力は、このような電力のフェムト電波を移動機2に受信させることができれば、注目する周波数帯域のマクロ電波を劣化させることができるという、移動機2側の受信電力の理論値である。
理論値として求められた電力と同じ電力のフェムト電波を発射したとしても、移動機2により実際に受信されるフェムト電波の電力はそれより低下したものになるから、ここでは、その低下すると想定される分を加算することでフェムト電波の出力電力が決定される。
移動機2の位置でのフェムト電波の受信電力は下式(6)により表される。
(フェムト電波の受信電力)
=(フェムト電波の出力電力)−(伝搬ロス) ・・・ (6)
フェムト電波の全帯域分の電力(フェムト電波の受信電力)が-40.7dBmとして求められ、伝搬ロスが50dBとして設定されている場合、計算部42は、下のようにしてフェムト電波の出力電力9.3dBmを計算する。
-40.7dBm+50dB=9.3dBm
このことは、注目する周波数帯域F3のマクロ電波との重畳部分の帯域幅が200kHzになるようにしてフェムト電波の中心周波数を設定した場合において、そのマクロ電波を、予め設定されたEc/Noまで劣化させるためには、フェムト電波の出力電力を9.3dBmにする必要があるということを表す。
ステップS27において、計算部42は、ステップS26で求めたフェムト電波の出力電力と、設定しているフェムト電波の中心周波数を対応付けて図示せぬメモリなどに保存する。
ステップS28において、計算部42は、探索範囲内にある200kHz間隔の全ての周波数をフェムト電波の中心周波数として設定して以上の計算を行ったか否かを判定する。
探索範囲としては、例えば、リスニングモードでの動作により検出された2つのマクロ電波のうちの、周波数帯域の低い方のマクロ電波の中心周波数より200kHzだけ高い周波数から、周波数帯域の高い方のマクロ電波の中心周波数より200kHzだけ低い周波数までの範囲が設定される。
全ての周波数をフェムト電波の中心周波数として設定して計算を行っていないとステップS28において判定した場合、計算部42は、ステップS22に戻り、同様の計算を繰り返し行う。それまで中心周波数として設定されていた周波数から200kHzだけずらした周波数が中心周波数として新たに設定され、同様の計算が繰り返される。
200kHz間隔の全ての周波数を中心周波数として設定して計算を行うのではなく、中心周波数として設定して計算を行う周波数の数はフェムトセル基地局1の処理能力などに応じて設定可能である。
全ての周波数をフェムト電波の中心周波数として設定して計算を行ったとステップS28において判定された場合、図7のステップS3に戻り、それ以降の処理が行われる。
図13は、周波数帯域F3に注目して特性計算処理が行われることにより求められたフェムト電波の中心周波数と出力電力の例を示す図である。
図13の例においては、2162.6MHzを中心周波数として設定したときに周波数帯域F3のマクロ電波を劣化させることができるフェムト電波の出力電力は-15dBmとして求められている。また、2162.8MHzを中心周波数として設定したときに周波数帯域F3のマクロ電波を劣化させることができるフェムト電波の出力電力は-13dBmとして求められている。
他の周波数についても同様に、その周波数を中心周波数として設定したときに周波数帯域F3のマクロ電波を劣化させることができるフェムト電波の出力電力が求められている。図13において横に並べて示す中心周波数と出力電力の組み合わせが、それぞれ、フェムト電波の特性の候補となる。
このようなフェムト電波の特性の候補が、マクロ電波が存在する各周波数帯域に注目して求められる。
各周波数帯域に注目して計算部42により求められたフェムト電波の特性の候補の情報は選択部44に供給される。選択部44においては、計算部42から供給された候補の中から、1つの中心周波数と出力電力の組み合わせが選択される。
次に、図14のフローチャートを参照して、図7のステップS5において行われる、選択処理について説明する。
ステップS41において、選択部44は、出力電力が規定値を超える候補を削除する。上述したように、フェムトセル基地局1がアンテナ24から発射する電波の強度は、空中線電力が20mW以下などとして制限されている。
ステップS42において、選択部44は、中心周波数が共通する候補を選択する。
図15は、フェムト電波の特性の候補の例を示す図である。
図15の左側の表は、周波数帯域F3に注目して求められたフェムト電波の特性の候補を示し、右側の表は、周波数帯域F4に注目して求められたフェムト電波の特性の候補を示す。
この場合、斜線を付けて示すように、中心周波数が2163.0MHzとして共通する、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2163.0MHz、出力電力-11dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2163.0MHz、出力電力-4dBmの組み合わせが選択される。
また、中心周波数が2165.0MHzとして共通する、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2165.0MHz、出力電力-5dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2165.0MHz、出力電力-9dBmの組み合わせが選択される。
さらに、中心周波数が2167.0MHzとして共通する、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2167.0MHz、出力電力-3dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2167.0MHz、出力電力-11dBmの組み合わせが選択される。
また、中心周波数が2167.2MHzとして共通する、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2167.2MHz、出力電力-1dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2167.2MHz、出力電力-14dBmの組み合わせが選択される。
ステップS43において、選択部44は、ステップS42において選択した中心周波数が共通する候補のうち、出力電力が高い方を選択する。出力電力が弱い方の特性のフェムト電波を発射したとしても、一方の周波数帯域のマクロ電波を劣化させることはできても、他方の周波数帯域のマクロ電波を劣化させることができないためである。
すなわち、中心周波数2163.0MHzの候補については、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2163.0MHz、出力電力-11dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2163.0MHz、出力電力-4dBmの組み合わせのうち、後者の中心周波数2163.0MHz、出力電力-4dBmの組み合わせが選択される。
また、中心周波数2165.0MHzの候補については、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2165.0MHz、出力電力-5dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2165.0MHz、出力電力-9dBmの組み合わせのうち、前者の中心周波数2165.0MHz、出力電力-5dBmの組み合わせが選択される。
さらに、中心周波数2167.0MHzの候補については、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2167.0MHz、出力電力-3dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2167.0MHz、出力電力-11dBmの組み合わせのうち、前者の中心周波数2167.0MHz、出力電力-3dBmの組み合わせが選択される。
また、中心周波数2167.2MHzの候補については、周波数帯域F3に注目して求められた中心周波数2167.2MHz、出力電力-1dBmの組み合わせと、周波数帯域F4に注目して求められた中心周波数2167.2MHz、出力電力-14dBmの組み合わせのうち、前者の中心周波数2167.2MHz、出力電力-1dBmの組み合わせが選択される。
このようにして選択された4つの中心周波数と出力電力の組み合わせを図16に示す。
ステップS44において、選択部44は、ステップS43において選択した候補の中から、出力電力が最も小さい候補を選択する。
図16に示すような組み合わせが選択されている場合、中心周波数2165.0MHz、出力電力-5dBmが、実際に発射するフェムト電波の中心周波数、出力電力として選択される。
その後、図7のステップS5に戻り、それ以降の処理が行われる。選択部44からは、選択した中心周波数と出力電力の情報が送信部31に出力され、フェムト電波の発射が開始される(ステップS6)。
発射されるフェムト電波は、リスニングモードでの動作により検出された2つのマクロ電波をいずれも劣化させることが可能な電波となり、これにより、他のセルに在圏している移動機2をフェムトセルC1に移行させることができる。
[変形例]
以上においては、フェムトセル基地局1は3.84MHzの帯域幅の1チャネルのフェムト電波しか発射することができないものとしたが、複数の周波数帯域のフェムト電波を発射することができるようにしてもよい。
リスニングモードでの動作によって、図17Aに示すように周波数軸上で隣接した周波数帯域F2,F3,F4の3つ周波数帯域が使用済みであることが検出された場合を考える。
この場合、フェムトセル基地局1は、図17Bに示すような、中心周波数f2とf3の中間の所定の周波数を中心周波数とするフェムト電波F1と、中心周波数f3とf4の中間の所定の周波数を中心周波数とするフェムト電波F2を発射する。
それぞれのフェムト電波の中心周波数と出力電力は、上述したようにして求められる。
例えば、はじめに、周波数帯域F2のマクロ電波と周波数帯域F3のマクロ電波を劣化させるためのフェムト電波F1の中心周波数と出力電力が、周波数帯域F2とF3に順に注目して求められる。
また、次に、周波数帯域F3のマクロ電波と周波数帯域F4のマクロ電波を劣化させるためのフェムト電波F2の中心周波数と出力電力が、周波数帯域F3とF4に順に注目して求められる。
これにより、図17Cに示すように、フェムトセル基地局1が発射する電波によって、3つのマクロ電波を劣化させることができ、移動機2をフェムトセルC1に在圏させることが可能になる。
フェムトセルC1に在圏した移動機2との間では、フェムト電波F1とF2のうちのいずれかのフェムト電波を使用して通信が行われる。
以上においては、CDMA方式の通信システムにおいて移動機の在圏をアシストする場合について説明したが、上述した在圏のアシストは、複数の周波数帯域を使用して移動機と通信を行う他の通信方式の通信システムにも適用可能である。
フェムトセル基地局1に替えて、「ピコセル」、「マイクロセル」と呼ばれる小型セルを形成する基地局が設けられ、その基地局により、以上のようにして自身が管理するセルに対する在圏のアシストが行われるようにしてもよい。小型基地局は、フェムトセル、ピコセル、マイクロセル等の小型セルを形成する基地局である。
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。