JP2010263121A - FePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法およびそれにより製造されたナノコンポジット磁石 - Google Patents

FePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法およびそれにより製造されたナノコンポジット磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】硬軟磁性相の比率を種々に変えるように組成を変えることができるFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法およびそれにより製造されたFePd/Feナノコンポジット磁石を提供する。
【解決手段】FePdをコアとしFeをシェルとするFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法であって、下記の工程:
Pdナノ粒子をコアとしFe23ナノ粒子をシェルとするPd/Fe23複合ナノ粒子を作製する工程1、
別途にPdナノ粒子を界面活性剤で保護した状態にして、上記Fe23/Pd複合ナノ粒子に添加してPd添加Fe23/Pd複合ナノ粒子を作製する工程2、および
上記Pd添加Fe23/Pd複合ナノ粒子を水素雰囲気中で加熱する水素還元処理工程3
を含むFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、FePdナノ粒子をコアとし、FeをシェルとするFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法およびそれにより製造されたナノコンポジット磁石に関する。
ナノコンポジット磁石は、ナノ粒子の硬磁性相をコアとし、ナノ粒子の軟磁性相をシェルとする硬/軟2相複合構造を備え、特にシェルの軟磁性相を数nm(5nm以下と言われる)の極微細粒とすることにより、コア/シェルの硬軟磁性相間に交換結合が働き、残留磁化および飽和磁化を大幅に増大できるという特性が注目されている。
本出願人は、特許文献1に開示したように、1〜100nmのPdナノ粒子、界面活性剤、Feの塩、還元剤を混合して加熱することで、Pdナノ粒子の表面にFeナノ粒子を析出させた複合ナノ粒子を作製し、これを水素還元熱処理して、FePdナノ粒子をコア、FeをシェルとするFePd/Feナノコンポジット磁石を製造する方法を提案した。
Pdナノ粒子表面へのFeナノ粒子の析出の際に、実際には先ず反応系に存在する酸素とFeとが結合してFe23が生成してPd/Fe23複合ナノ粒子を形成し、これが次の水素還元処理によってFePd/Fe複合ナノ粒子となる。
しかし、PdとFe23との整合界面でFe23が析出するため、Pd/Fe23複合ナノ粒子は1個のPdナノ粒子の表面に3個のFe23ナノ粒子が結合した形態となり、組成比がFe:Pd=8:2(原子比)に固定され、その後の水素還元熱処理によって生成するFePd/Fe複合ナノ粒子も、硬磁性相と軟磁性相との比率がFePd:Fe=4:6(原子比)に固定されてしまう。また、1個のPdに3個のFe23という形態であっても、例えばPdの粒径を変えることで組成が変えられるはずであるが、現在の製法ではほぼ3nmと一定の粒径しか得られず、粒径を変えて組成を変えることもできない。そのため、Fe/Pd比あるいはFePd/Fe比すなわち硬軟磁性相の比率を種々に変えて保磁力、磁化、最大エネルギー積等に対して組成を最適化することができなかった。
特開2008−138238
本発明の目的は、硬軟磁性相の比率を種々に変えるように組成を変えることができるFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法およびそれにより製造されたFePd/Feナノコンポジット磁石を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明によれば、FePdをコアとしFeをシェルとするFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法であって、下記の工程:
Pdナノ粒子をコアとしFe23ナノ粒子をシェルとするPd/Fe23複合ナノ粒子を作製する工程、
別途にPdナノ粒子を界面活性剤で保護した状態にして、上記Fe23/Pd複合ナノ粒子に添加してPd添加Fe23/Pd複合ナノ粒子を作製する工程、および
上記Pd添加Fe23/Pd複合ナノ粒子を水素雰囲気中で加熱する水素還元処理工程
を含む製造方法が提供される。
別途にPdナノ粒子を界面活性剤で保護した状態にして、上記Fe23/Pd複合ナノ粒子に添加することにより、種々の比率でPdを添加したPd添加Fe23/Pd複合ナノ粒子を作製できるので、これを水素還元熱処理すると種々の硬軟磁性相比率のFePd/Feナノコンポジット磁石が得られる。
図1は、本発明による組成制御方法を示す模式図である。 図2は、水素還元熱処理を500℃で行なった場合の、組成番号1、4、5のXRDチャートである。 図3は、水素還元熱処理を500℃で行なった場合の、組成番号1、3、4、5の減磁極線である。 図4は、水素還元熱処理を450℃で行なった場合の、組成番号1、4、5の減磁曲線である。 図5は、組成番号1、4、5について、最大エネルギー積と水素還元熱処理の温度との関係を示すグラフである。 図6は、組成番号1、3、4、5について、保磁力と水素還元熱処理の温度との関係を示すグラフである。 図7は、組成番号1、3、5について、残留磁化と水素還元熱処理の温度との関係を示すグラフである。
本発明の製造方法は、Pd/Fe23複合ナノ粒子を作製する≪工程1≫、これに別途にPdナノ粒子を添加して組成制御する≪工程2≫、得られたPd添加Pd/Fe23複合ナノ粒子を水素還元熱処理してFePd/Feナノコンポジット磁石を得る≪工程3≫で構成される。
≪工程2の説明≫
図1を参照して、本発明の特徴とする組成制御の原理を説明する。
まず、図1(1)はPd添加しない従来の方法を示しており、図の左側に示したように1個のPdナノ粒子に3個のFe23ナノ粒子が結合したPd/Fe23複合ナノ粒子がバラバラに存在し、これを水素還元熱処理すると、図の右側に示したように、Pd/Fe23複合ナノ粒子1個当たりFePd/Fe複合ナノ粒子1個が生成するので、組成はFePd強磁性相:Fe軟磁性相=4:6(原子比)のみが得られる。
これに対して、本発明の特徴はPdナノ粒子をPd/Fe23複合ナノ粒子に添加して組成制御する工程2にある。
図1(2)は本発明によりPd添加する方法を示しており、図の左側に示したように、1個のPdナノ粒子に3個のFe23ナノ粒子が結合したPd/Fe23複合ナノ粒子に、別途に添加されたPdナノ粒子を取り込んで結合してPd添加Pd/Fe23複合ナノ粒子を形成する。この結合形態は、図示したように、個々のPd/Fe23複合ナノ粒子の場合と同じく、1個のPdナノ粒子の表面に3個のFe23ナノ粒子が結合した形態となり、結局、1個のPdナノ粒子を介して3個のPd/Fe23複合ナノ粒子が結合した形態となる。
これを次の工程3で水素還元熱処理すると、図の右側に示したように、添加Pdナノ粒子の取り込み量が最大となる場合として、FePd/Fe複合ナノ粒子3個当たり1個のPdナノ粒子が取り込まれた形態のPd添加FePd/Fe複合ナノ粒子が生成するので、この場合はFePd硬磁性相:Fe軟磁性相=8:2(原子比)の組成が得られる。
本発明の特徴は、このように、工程2において、別途にPdナノ粒子を界面活性剤で保護した状態にして、Fe23/Pd複合ナノ粒子に添加する工程2にある。界面活性剤によりPdナノ粒子同士の凝集を防止し、離散した個々のPdナノ粒子が3個のPd/Fe23複合ナノ粒子のハブとして有効に機能できる。この界面活性剤としては、オレイルアミン、オレイン酸、トリオクチルリン酸、トリブチルリン酸、テトラエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸、ミリスチル酸、ドデカンチオール、ドデシルアミンなどを用いることができる。
その際の反応系を保持する溶媒は、上記界面活性剤で保護されたPdナノ粒子を分散できる溶媒であればよく、例えば、オクタノール、オクチルエーテル、オクタデセン、スクアレン、トリフェニルメタン、ケロシン、ベンゼン、ヘキサン、トルエン、オクタンなどを用いることができる。
Pd/Fe23複合ナノ粒子(Fe:Pd=8:2、原子比)に添加するPdナノ粒子の添加量は、最終的にFe:Pd=8:2〜5:5(原子比)となるように設定することができる。
≪工程1の説明≫
本発明の工程1で用いるPdナノ粒子およびPd/Fe23複合ナノ粒子の各作製方法は下記のとおりである。
《Pdナノ粒子の作製方法》
Pdナノ粒子は、粒径1〜100nm、望ましくは1〜10nmである。これは常法で形成することができる。典型的には、Pdの塩を溶媒中で還元してPdナノ粒子を析出させる。その際に、下記を用いることができる。ただし、これらに限定する必要はない。
<Pdの先駆物質>
Pdの塩として有機配位子を有する金属錯体(アセチルアセトナート塩、酢酸塩)、や塩化パラジウム、テトラアンミンパラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウム、ジクロロテトラアンミンパラジウム、水酸化アンミンパラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、が等が挙げられる。具体的にはPd(acac)2を用いることができる。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、オレイルアミン、オレイン酸、TOP(トリオクチルリン酸)、トリブチルリン酸、テトラエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸、ミリスチル酸、ドデカンチオール、ドデシルアミン等を用いることができる。この界面活性剤の添加量はPdの塩の5倍モル以上とすることが好ましい。
<溶媒>
界面活性剤としてTOP、トリブチルリン酸、オレイルアミン又はオレイン酸、テトラエチレングリコール、用いる場合、これらは溶媒としても機能するが、必要に応じて溶媒を添加してもよい。この溶媒としては、Pd粒子の析出反応において加熱するため、沸点の高い、かつ安定であるものが好ましく、例えば1−オクタノール、オクチルエーテル、オクタデセン、スクアレン、トリフェニルメタン等を用いることができる。
<還元剤>
還元剤としては、一価アルコール、ポリオール(多価アルコール)、アミン系物質、又はジフェニルシランを用いることが好ましい。一価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール等を用いることができ、還元を行う反応温度より高い沸点を有するものが好ましい。ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば1,2−オクタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等を用いることができ、還元を行う反応温度より高い沸点を有するものが好ましい。その他にも、ヒドラジン、水素化ほう素ナトリウム、 ,テトラブチルアンモニウムボロンハイドレイト、ジボランなどでも還元が可能である。還元剤の添加量は、Pdの塩の等倍モル以上とすることが好ましい。
《Pd/Fe23複合ナノ粒子》
上記で得られたPdナノ粒子をコアとし、Fe23をシェルとするPd/Fe23ナノコンポジット粒子を合成する。これは、典型的にはFeの塩を溶媒中で還元して、Pd粒子の表面にFe23として析出させる。その際に、下記を用いることができる。ただし、これらに限定する必要はない。
<Feの先駆物質>
Feの塩としては、有機配位子を有する金属錯体であることが好ましく、例えばアセチルアセトナート塩、フェロセン、酢酸塩、塩化物、硫化物、水酸化物等が挙げられる。具体的には、鉄(II)アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート等を用いることができる。このFeの添加量はPdの等倍〜4倍モル程度とすることが好ましい。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、オレイルアミン、オレイン酸、TOP(トリオクチルリン酸)、トリブチルリン酸、テトラエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸、ミリスチル酸、ドデカンチオール、ドデシルアミン等を用いることができる。この界面活性剤の添加量はFeの塩の等倍モル以上とすることが好ましい。
<溶媒>
界面活性剤としてTOP、トリブチルリン酸、オレイルアミン又はオレイン酸、テトラエチレングリコール、用いる場合、これらは溶媒としても機能するが、必要に応じて溶媒を添加してもよい。この溶媒としては、Pd粒子の析出反応において加熱するため、沸点の高い、かつ安定であるものが好ましく、例えば1−オクタノール、オクチルエーテル、オクタデセン、スクアレン、トリフェニルメタン等を用いることができる。
<還元剤>
還元剤としては、一価アルコール、ポリオール(多価アルコール)、アミン系物質、又はジフェニルシランを用いることが好ましい。一価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール等を用いることができ、還元を行う反応温度より高い沸点を有するものが好ましい。ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば1,2−オクタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等を用いることができ、還元を行う反応温度より高い沸点を有するものが好ましい。その他にも、ヒドラジン、水素化ほう素ナトリウム、テトラブチルアンモニウムボロンハイドレイト、ジボランなどでも還元が可能である。還元剤の添加量は、Feの塩の等倍モル以上とすることが好ましい。
≪工程3の説明≫
本発明の工程3で行なう水素還元熱処理を説明する。
工程3においては、工程2で得られたPd添加Pd/Fe23複合ナノ粒子を水素雰囲気中で熱処理することにより、コアがFePd規則相(L10−FePd)を主体とし、極微細な(5nm以下程度の)Fe相のシェルで覆われたFePd/Feナノコンポジット粒子を得る。
すなわち、工程3の熱処理は、下記の作用(1)(2)を行なう。
(1)Pd/Fe23複合ナノ粒子のPdコアの表面でFe23を水素で還元してFeとして、Pdコア内に拡散させてコアをFePd合金(不規則相)とし、更にこれを規則相L10-FePdに変態させる。これにより、規則度が高まり、保磁力が高まる。
(2)Pd/Fe23複合ナノ粒子のPdコアの表面でFe23を水素で還元してFeを、自己拡散させて極微細な(5nm以下程度の)粒子としてFePdコア表面を覆わせる。これにより、硬磁性のコア相からの交換結合長が軟磁性のシェル相に及び、残留磁化が高まる。
水素還元熱処理により保磁力と残留磁化とを同時に高めることができる。
処理温度450〜550℃が好ましく、より好ましくは475〜500℃であり、処理時間3時間以上が好ましく、より好ましくは10時間以上である。
昇温速度は遅いほど良く、10℃/min以下が好ましく、より好ましくは3℃/minである。
水素還元熱処理の前処理として、ナノ粒子表面の有機物を除去することが望ましい。前処理の方法は、有機物の除去に一般に用いられる方法であって良く、オゾン処理が望ましいが、特に限定しない。表面有機物の残存量は少ないほど良く、3wt%以下が好ましく、より好ましくは1wt%以下である。
下記の条件および手順で本発明の方法によりPd添加FePd/Feナノコンポジット磁石を作製した。
≪工程1≫
下記のようにしてPdナノ粒子し、Pd/Fe23複合ナノ粒子を作製した。
5nmPdナノ粒子は、以下の手順に従い作製した。パラジウムアセチルアセトナト(Pd(acac)2)0.17mmolを100mL三口フラスコに入れ、反応容器内を窒素雰囲気にした後、トリオクチルホスフィン1.0mLを加え、Pd(acac)2を溶解させた。次に、オレイルアミン10mLを加え、再び窒素置換を行った後、250℃まで昇温し30分保持した。その後室温まで冷却し、反応溶液にエタノールを加え遠心分離し沈殿精製を行った。
得られたPdナノ粒子を100mL三口フラスコに入れ、エバポレーターで溶媒を留去し、1−オクタノール20mLを加えてPdナノ粒子を溶解させた。その中に鉄(III)アセチルアセトナト(Fe(acac)3)0.43mmol、オレイン酸とオレイルアミンをそれぞれ6.8mmol加えた後、溶液中の溶存酸素を取り除くため溶液を攪拌しながら窒素バブリングを行った。反応容器内を窒素雰囲気下にした後、180℃まで昇温し1時間保持することによってPd表面上でγ−Fe23相を成長させた。反応溶液を室温まで冷却し、余分な有機物と微細な酸化鉄粒子を取り除くため、体積比1:2で混合した1−ヘキサンとエタノールを加え遠心分離することで精製処理を行い、Pd/γ−Fe23ナノ粒子の黒色沈澱物を得た。
≪工程2≫
得られたPd/Fe23複合ナノ粒子に更にPdナノ粒子を下記のように添加した。
Pd添加量はFe:PdあるいはFePd:Feが表1のようになるように設定した。
Figure 2010263121
Pdナノ粒子とPd/γ−Fe23ナノ粒子の混合は、作製したPd/γ−Fe23ナノ粒子(Fe:Pd=8:2)ヘキサン溶液に5nmPdナノ粒子を溶解させ、超音波処理を施すことにより行った。
≪工程3≫
得られたPd添加Pd/Fe23複合ナノ粒子にオゾン処理を行い表面有機物を除去した後、4%H2−Ar雰囲気中で3℃/minの昇温速度で種々の温度に加熱し、10時間の水素還元熱処理を行なった。
<特性の評価>
上記で作製したPd添加FePd/Feナノコンポジット磁石について、XRDによる結晶構造解析およびVSMによる磁気特性評価を行なった。
図2に、水素還元熱処理を500℃で行なった場合の、組成番号1、4、5のXRDチャートを比較して示す。組成がFe:Pd=8:2→5:5(FePd:Fe=4:6→10:0)とFe含有量が減少するにしたがって、αFeの回折ピークが小さくなり、最後にゼロ(FePdコア相単相)になる。このようにPd添加FePd/Feナノコンポジット磁石の組成を変化させて、FePdコア相:Feシェル相の割合を種々に制御することができた。
図3に、水素還元熱処理を500℃で行なった場合の、組成番号1、3、4、5の減磁極線を示す。FePd単相の組成番号5で3kOeの保磁力が得られており、αFeの比率が増加する(組成番号5→1)に伴い、保磁力が減少し残留磁化が増加するトレードオフの関係になっている。ただし、Fe:Pd=6:4(FePd:Fe=8:2)の組成で保磁力と残留磁化のバランスが最良となり、それ以上αFe含有量を増加(組成番号3→1)させても、飽和磁化(Ms)は増加するものの、残留磁化はほとんど増加しなかった。
図4に、水素還元熱処理を450℃で行なった場合の、組成番号1、4、5の減磁曲線示す。この熱処理温度では、αFeの増加(組成番号5→1)に伴って、保磁力の減少と残留磁化の増加の関係がより明瞭になっている。
図5、図6、図7に、それぞれ最大エネルギー積、保磁力、残留磁化と水素還元熱処理の温度との関係を示す。
図5に示す熱処理温度と最大エネルギー積(BHmax)の関係から、熱処理温度475℃〜500℃の範囲で、Fe:Pd=6:4(FePd:Fe=8:2)の組成番号4で、最大エネルギー積(BHmax)が最も大きくなった。一方、熱処理温度450℃においては残留磁化(図7)、最大エネルギー積ともにFe:Pd=8:2(FePd:Fe=4:6)の組成番号1が最大となった。保磁力(図6)は、いずれの組成でも熱処理温度475〜500℃で最大となり、軟磁性相αFeの含有量の減少に対応して組成番号1→5の順に高くなっている。
このように、組成と熱処理との組み合わせを選択することによって、望みの保磁力や残留磁化に制御することができることが分かった。
本発明によれば、硬軟磁性相の比率を種々に変えるように組成を変えることができるFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法およびそれにより製造されたFePd/Feナノコンポジット磁石が提供される。

Claims (5)

  1. FePdをコアとしFeをシェルとするFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法であって、下記の工程:
    Pdナノ粒子をコアとしFe23ナノ粒子をシェルとするPd/Fe23複合ナノ粒子を作製する工程1、
    別途にPdナノ粒子を界面活性剤で保護した状態にして、上記Fe23/Pd複合ナノ粒子に添加してPd添加Fe23/Pd複合ナノ粒子を作製する工程2、および
    上記Pd添加Fe23/Pd複合ナノ粒子を水素雰囲気中で加熱する水素還元処理工程3
    を含むFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法。
  2. 請求項1において、工程2で用いる上記界面活性剤を、オレイルアミン、オレイン酸、トリオクチルリン酸、トリブチルリン酸、テトラエチレングリコール、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸、ミリスチル酸、ドデカンチオール、ドデシルアミンから選択することを特徴とするFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法。
  3. 請求項1または2において、工程2で用いる溶媒を、オクタノール、オクチルエーテル、オクタデセン、スクアレン、トリフェニルメタン、ケロシン、ベンゼン、ヘキサン、トルエン、オクタンから選択することを特徴とするFePd/Feナノコンポジット磁石の製造方法。
  4. 請求項1から3いずれか1項に記載の製造方法により製造されたFePd/Feナノコンポジット磁石。
  5. 請求項4において、原子比でFe:Pd=8:2〜5:5であることを特徴とするFePd/Feナノコンポジット磁石。
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JP2017228609A (ja) * 2016-06-21 2017-12-28 株式会社豊田中央研究所 ナノヘテロ構造永久磁石及びその製造方法

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