JP2010258375A - Iii族窒化物半導体の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶成長時に結晶中に取り込まれる不純物量を低減して、Al含有率が高いIII族窒化物半導体を品質よく製造する方法を提供する。
【解決手段】基板11上に、組成式AlGaInNで表され、A+B+C=1.0,B≧0,C≧0,0.5≦A≦1.0である関係を満足するAlGaInN層13が形成されたIII族窒化物半導体を製造する方法であって、反応炉1内に設置したダミー基板上に、組成式AlGaInNで表され、X+Y+Z=1.0,Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0であり、かつY≦B、Z≦Cである関係を満足するダミー層を1100℃以上の温度で形成する準備処理工程と、反応炉内からダミー基板を取り出し、ダミー基板とは異なる基板11を反応炉1内に設置し、該基板11上に、組成式AlGaInNで表される前記AlGaInN層を形成する第一製造工程と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物半導体の製造方法に係り、さらに詳しくはAl含有率の高いIII族窒化物層を有するIII族窒化物半導体を高品質で製造できる方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表されるIII族窒化物半導体は可視領域から紫外領域に相当するエネルギー帯の全領域で直接遷移型のバンド構造を持ち、高効率な発光デバイスの作製が可能である。そのため発光ダイオードおよびレーザーダイオードの研究が活発に行われ、現在では、可視領域から近紫外領域までの発光ダイオード、青色レーザーダイオードなどの半導体素子が製品化されている。
このような半導体素子は、たとえば、特許文献1および2に記載されているように、公知の結晶成長法を用いて、基板上にバッファ層、N型キャップ層、N型クラッド層、活性層、P型クラッド層、P型キャップ層をエピタキシャル成長させて作製される。このような結晶成長法はバッチ方式で行われる。
一方、波長が300nm以下の深紫外領域で発光し、しかも光出力の高い発光ダイオードおよびレーザーダイオードを実現するためには、Al含有率が高いIII族窒化物半導体(たとえば組成式AlGaInNにおいてAが0.5以上)が望まれていた。
特許第3223832号 特開2003−23179号公報
ところが、Al含有率が高いIII族窒化物半導体(Al含有率が高いIII族窒化物層)を製造する場合には、結晶成長時において、反応炉内に存在するIII族原子や炭素、酸素等の不純物による影響が非常に大きいことが判明した。
具体的には、III族窒化物半導体(III族窒化物層)を製造した後には、原料の流通経路であって、基板加熱時に高温となる反応炉内壁面に、原料に由来するIII族原子(Al、Ga、In)とNとを主成分とした堆積物が形成される。そして、新たなバッチ処理において、反応炉内温度が上昇することによって前記堆積物が脱離するものと考えられる。
このとき、該バッチ処理において、Al含有率が高いIII族窒化物層を製造すると、結晶中にAl以外のIII族原子が不純物として結晶成長時に取り込まれることによって、結晶表面の平滑性が悪化し、また、それに伴って酸素や炭素などの不純物濃度も増加する傾向にあることが分かった。そのため、安定した品質を維持しながら、Al含有率が高いIII族窒化物層を製造することが困難であった。
特許文献1および2に記載されているようなAl含有率の低いAlGaInN層を形成する場合には上記の問題は生じないため、上記の問題を解決するには、新たなアプローチが必要となっていた。
本発明はこのような実状に鑑みてなされ、その目的は、結晶成長時に結晶中に取り込まれる不純物量を低減して、Al含有率が高いIII族窒化物半導体を品質よく製造する方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るIII族窒化物半導体を製造する方法は、
基板上に、組成式AlGaInNで表され、前記組成式中のA、BおよびCが、A+B+C=1.0,B≧0,C≧0,0.5≦A≦1.0である関係を満足するAlGaInN層が形成されたIII族窒化物半導体を製造する方法であって、
反応炉内にダミー基板を設置し、該ダミー基板上に、組成式AlGaInNで表され、前記組成式中のX、YおよびZが、X+Y+Z=1.0,Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0であり、かつY≦B、Z≦Cである関係を満足するダミー層を1100℃以上の温度で形成する準備処理工程と、
反応炉内から前記ダミー層が形成された前記ダミー基板を取り出し、前記ダミー基板とは異なる基板を該反応炉内に設置し、該基板上に、組成式AlGaInNで表される前記AlGaInN層を形成する第一製造工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る製造方法では、III族窒化物半導体を製造する前(第一製造工程前)に、上記の準備処理工程を行う。この工程では、III族窒化物半導体の製造に用いる基板とは異なるダミー基板を1100℃以上に加熱し、その上にダミー層を結晶成長させる。このようにすることで、III族窒化物半導体の製造時に反応炉内に堆積したIII族原子とN(窒素原子)を主成分とする堆積物が脱離し、反応炉内から除去(低減)される、もしくはダミー層に取り込まれるものと考えられる。
また、ダミー層を形成する温度まで昇温する過程において、反応炉内の壁面の堆積物を脱離させ、次いで、ダミー層を形成する際に、使用する原料ガス組成に応じた高いAl含有率の堆積物を、再度、反応炉内の壁面に形成することにより、反応炉内の状況(環境)を安定にできるものと考えられる。しかも、ダミー層の組成において、Ga、Inの含有率を、III族窒化物半導体を構成する層に含まれるGa、Inの含有率以下としているため、上記効果がより発揮されるものと考えられる。
中でも、ダミー層は、窒化アルミニウム層であることが好ましい。
そのため、準備処理工程後には、反応炉内の堆積物に含まれるGaおよびInを低減できる。そして、次にAl含有率の高いIII族窒化物半導体を製造しても、堆積物に由来するGaおよびInが該III族窒化物半導体に取り込まれるのを低減することができるため、表面の平滑性を良好にし、結晶欠陥を効果的に抑制することができる。さらに、該III族窒化物半導体は、平滑な表面を形成できるため、結晶成長中に炭素および酸素等の不純物が取り込まれるのを抑制できるものと考えられる。
好ましくは、前記準備処理工程において、前記ダミー層を形成する前に、水素を含む雰囲気において、前記ダミー基板を1250℃以上の温度にする熱処理工程を行う。このようにすることで、反応炉内に堆積しているGaおよびInの脱離を促進し、本発明の効果を高めることができる。
また、本発明は、前記準備処理工程よりも前に、前記反応炉内において、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含有するIII族窒化物半導体を製造する第二製造工程を実施している場合に、特に顕著な効果を発揮する。
つまり、準備処理工程の前に、Ga、およびInの一方あるいは双方を必ず含むIII族窒化物半導体、たとえば、GaN層を形成した場合には、反応炉内の壁面には、Gaを多く含む堆積物が存在するものと考えられ、準備処理工程を実施する効果がより顕著に発揮される。
本発明に係る製造方法によれば、上記の準備処理工程を設けることで、反応炉内に存在するIII族原子、およびN(窒素原子)の影響を低減することができる。その結果、III族窒化物半導体に取り込まれる不純物量が抑制され、高品質のIII族窒化物半導体を製造することができる。特に、III族窒化物半導体は、Ga、Inの含有率が高いIII族窒化物半導体を製造する場合も多く、本発明によれば、このようなIII族窒化物半導体層を製造した後でも、同一の反応炉でAl含有率の高いIII族窒化物半導体を安定した品質で製造することができるため、その工業的利用価値は非常に高い。
このIII族窒化物半導体はAl含有率が高いため、たとえば300nm以下の波長を有する光を発し、十分な出力を有するIII族窒化物半導体素子に好適に用いられる。
図1は、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物半導体の製造方法を示すフローチャートである。 図2は、成長工程を行った場合の他の実施形態に係るIII族窒化物半導体の製造方法に関するフローチャートである。 図3は、本発明の他の実施形態に係るIII族窒化物半導体の製造方法を示すフローチャートである。 図4は、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物半導体の製造方法において、製造工程を示す要部断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物半導体の製造方法において、第一製造工程と第二製造工程を連続して行った場合の要部断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係るIII族窒化物半導体の製造方法において、準備処理工程を示す要部断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
III族窒化物半導体
本発明に係る方法により製造されるIII族窒化物半導体は、特定組成を有するAlGaInN層を少なくとも含む。
AlGaInN層は、III族原子であるAl、GaおよびInと、V族原子であるNと、からなる化合物からなり、組成式を用いて、AlGaInN(ただし、A+B+C=1.0)と表すことができる。本発明に係る方法により製造されるIII族窒化物半導体は、たとえば、深紫外域の波長を有する発光素子に好適に使用されるため、AlGaInN層はAl含有率が高いAlGaInNで構成される。なお、AlGaInN層は、アンドープであってもよいし、P型またはN型であってもよい。
上記の組成式において「A」は、組成式AlGaInNにおけるAlの含有率を表しており、0.5≦A≦1.0である。このようなAlGaInN層をバッファ層、クラッド層、ガイド層等として用いることで、波長が300nm以下の光を発する発光素子を得ることができる。より波長の短い光を発生させる場合には、Aは0.55以上であることが好ましく、より好ましくは0.65以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。また、Aの上限は1.0であり、組成式AlGaInNがAlNとなる。
本発明においては、このようなAl含有率の高いIII族窒化物層を有する半導体を製造する場合に、特に優れた効果を発揮する。
また、上記の組成式において、「B」はGaの含有率、「C」はInの含有率を表している。本発明では、B≧0,C≧0,0≦B+C≦0.5である。BとCとの比率は所望の特性等に応じて適宜決定すればよい。本実施形態では、好ましくは0≦B≦0.45、より好ましくは0≦B≦0.3である。また、好ましくは0≦C≦0.1、より好ましくは0≦C≦0.05である。
以上のような組成を満足するAlGaInN層は、上記A、B、およびCが前記範囲を満足するものであれば、組成の異なる多層構造であってもよい。つまり、たとえば、前記バッファ層、クラッド層、およびガイド層は、上記A、B、およびCが前記範囲を満足するものであれば、組成が異なるAlGaInN層の多層構造体(積層体)から構成されてもよい。
さらに、本発明に係る方法により製造されるIII族窒化物半導体において、前記AlGaInN層上に、さらに、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を必須成分として含むIII族窒化物層が積層されていてもよい。具体的には、該III族原子を多く含み、前記AlGaInN層よりもAl含有率が低いIII族窒化物層、たとえば、GaN層が形成されてもよい。この該III族原子を含むIII族窒化物層も、アンドープであってもよいし、P型またはN型であってもよい。
なお、Al、Ga、InおよびNの含有量は、2次イオン質量分析法などにより測定することができる。
III族窒化物半導体の製造方法
次に、本発明に係るIII族窒化物半導体の製造方法を図1、図2、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
図1には、最も簡単な本発明の実施態様の一例を示す。図2には、同一の反応炉を使用して、第二製造工程、準備処理工程、および第一製造工程を実施する態様の一例を示す。
また、図3には、準備処理工程、第一製造工程と第二製造工程を連続して行う工程の実施態様を示す。第一製造工程と第二製造工程を連続して行うとは、第一製造工程後に得られたIII族窒化物半導体を反応炉から取り出すことなく、引き続き、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物層を形成することを指す。
そのため、第一製造工程において、たとえば、AlGaInN層を多層構造体とし、最終的に積層した層がGa、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物層である場合には、第一製造工程の最終層の製造と第二製造工程とは同一の製造工程になる。
また、第一製造工程において、前記範囲を満足するAlGaInN層を基板上に形成し、さらに、第二製造工程として、該AlGaInN層上に、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含み、Al含有率が0.5未満となるIII族窒化物層、たとえば、GaN層を連続して形成することもできる。
本発明においては、基板上にAl含有率が高いAlGaInN層を形成する第一製造工程前に、準備処理工程を実施することが重要である。この準備処理工程を行うことにより、品質の安定したIII族窒化物半導体を製造することができる。
なお、本発明の第一製造工程、準備処理工程、および第二製造工程においては、各層を単結晶の状態で結晶成長させる方法を用いることが好ましく、そのような方法であれば、特に制限されない。具体的には、たとえば、有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線成長法(MBE法)、ハライド気相成長法(HVPE法)などが挙げられるが、本実施形態では、MOCVD法を用いた場合の説明を行う。
また、準備処理工程も、製造工程、および成長工程と同じ方法でダミー層を形成することが好ましい。そのため、本実施形態では、MOCVD法を用いた場合の説明を行う。
先ずは、AlGaInN層を形成する第一製造工程について説明する。
(第一製造工程)
本発明において、製造工程では、図4に示すように、III族窒化物半導体としてのAlGaInN層14(図4においては、バッファ層(AlN層)12とAlGaInN層13の両層がAlGaInN層に該当する)を形成する。なお、この第一製造工程の前には、後述する準備処理工程がすでに行われているものとする。
本実施形態では、AlGaInN層13がバッファ層12上に形成される場合を示すが、基板11上に、単一層のAlGaInN層14を直接形成してもよい。この場合には、格子の不整合を防ぐように、AlGaInN層14の組成および基板11の材料を決定すればよい。あるいは、発光素子におけるクラッド層、活性層、ガイド層等の上に形成されていてもよい。すなわち、基板上にAlGaInN層を形成するとは、基板上に直接AlGaInN層が形成される場合や、基板上に直接形成された層上に、AlGaInN層が形成される場合を含む趣旨である。
なお、基板11は、半導体素子の製造時の処理温度に耐える材料であれば、特に制限されず、サファイア、SiC、Si、GaN、AlN、AlGaN、ZnO、ZrBなどを用いればよい。本実施形態ではサファイア単結晶を用いることが好ましい。なお、下記に詳述するダミー基板51も、上記基板11と同じ材質のものを使用することができる。
AlGaInN層14を形成するために用いられる原料は特に制限されないが、本実施形態では、III族原料ガスとして、トリメチルアルミニウム(以下、TMAとする)、トリメチルガリウム(以下、TMGとする)およびトリメチルインジウム(以下、TMIとする)を用い、V族原料ガスとしてアンモニアを用いる。また、このAlGaInN層14を形成する際の温度は、特に制限されるものではなく、通常、800〜1400℃の範囲で実施することができる。
N型またはP型特性を示すAlGaInN層14を形成する場合には、これらの原料ガスおよびキャリアガスに加え、ドナー不純物原子またはアクセプター不純物原子の原料ガスを反応炉内に導入し、不純物原子がドーピングされたAlGaInN層14を形成する。組成、不純物原子濃度および結晶成長条件は所望の特性に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態では、上記の第一製造工程によってIII族窒化物半導体が製造され、バッチ処理を終了することもできる。その場合、図4において、反応炉内の温度が下がった後に、III族窒化物半導体としてのAlGaInN層14は基板11と共に反応炉1から取り出される。AlGaInN層14の形成時には、基板11上以外に、原料の供給経路であって、かつ基板11からの輻射や熱伝達により比較的高温になる反応炉内の壁面部分にも、使用した原料ガスに応じて、Al、Ga、InおよびNを主成分とした堆積物が形成される。
このような堆積物は必ずしも単結晶の状態ではなく、大部分は不安定な多結晶もしくはアモルファス状であると考えられる。そのため、次のバッチ処理において、新たにIII族窒化物半導体(AlGaInN層14)を基板11上に製造する場合、反応炉内の温度が上昇するにつれ反応炉1内の堆積物から上記原子に由来する原料成分が脱離するものと考えられる。そして、この脱離した原料成分が、次に、結晶成長するAlGaInN層14に取り込まれるものと推定される(バッファ層12を設ける場合には、バッファ層12(AlN層)に取り込まれるものと推定される。)。
ここで、Al含有率が高いAlGaInN層は、上記の脱離する原料成分のうち、Al、およびN以外の成分、すなわちAl以外のIII族原子であるGa、Inが成長状態や結晶品質に大きな影響を及ぼし、それらがAl含有率の高いAlGaInN層中に取り込まれることによって、表面状態が悪化するものと推定される。
そして、次に形成されるAlGaInN層14、すなわち、III族窒化物半導体には、取り込まれたAl以外のIII族原子に起因する表面粗さの悪化が生じ、その結果、反応炉内に存在する炭素や酸素などの不純物がIII族窒化物半導体中に取り込まれる等の不具合が生じてしまうものと考えられる。この不具合は、基板上に直接形成される層だけではなく、その上に形成される層にも影響を与えることになる。
そのため、たとえば、次のバッチ処理においてバッファ層を介して新たなAlGaInN層が形成された場合にも、バッファ層およびAlGaInN層の両方に結晶欠陥や表面粗さの悪化が生じ、III族窒化物半導体としてのAlGaInN層の特性低下の要因となってしまう。
中でも、第一製造工程を行う前に、AlGaInN層14を多層とし、最上層として、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物層を形成する場合や、特に、該AlGaInN層14上に、Al含有率がAlGaInN層14よりも低い層、たとえば、GaN層などを形成する場合には、上記現象が顕著に発現されるものと推定される。以上のような層を形成する工程は、第二製造工程に該当する。以下、この工程について説明する。
(第二製造工程)
以上説明した通り、基板11上にAlGaInN層14を形成する場合には、同じ反応炉でその前に形成したIII族窒化物層の影響を受け、特に、該III族窒化物層が、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含む層である場合には、該III族原子の影響を強く受けるものと考えられる。
そのため、本発明においては、第二製造工程を実施した反応炉、つまり、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物半導体層(III族窒化物半導体)を製造した反応炉において、準備処理工程を行うことにより、その効果をより発揮することができる。
この第二製造工程では、前記基板11に、直接、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物層を形成することもできる。この場合は、第二製造工程は、第一製造工程のAlGaInN層と同様に、III族原料ガスとしてTMA、TMG、およびTMIを用い、V族原料ガスとしてアンモニアを用い、所望のIII族窒化物半導体となるよう製造すればよい。第二製造工程における温度も、特に制限されるものではなく、通常、800〜1400℃の範囲で実施することができる。
また、当然のことながら、この第二製造工程で製造するGa、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物層は、これらの原料ガスおよびキャリアガスに加え、ドナー不純物原子またはアクセプター不純物原子の原料ガスを反応炉内に導入し、不純物原子がドーピングされたIII族窒化物層とすることもできる。
また、図5に示すように、この第二製造工程は、前記の通り、第一製造工程において、AlGaInN層14を多層とし、最上層にGa、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物層15を形成した場合には、この最上層を形成する工程が第二製造工程となる。
さらに、下記に詳述する準備処理工程は、この第二製造工程が、第一製造工程で形成したAlGaInN層上に、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含み、Al含有率が0.5未満となるIII族窒化物層、たとえば、GaN層などを連続して形成した場合においても、優れた効果を発揮する。層厚み等の影響もあると考えられるが、第二製造工程において、Al含有率が0.5未満となるIII族窒化物層、つまり、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子の含有率が高いIII族窒化物層を形成した後には、反応炉内の堆積物中にGa、および/またはInが多く含まれるものと考えられ、準備処理工程を行う効果が顕著に発揮されるものと考えられる。
本発明の方法は、基板11上にAl含有率の高いAlGaInN層を形成するに際し、下記に詳述する準備処理工程を先に実施しておくことにより、バッチ処理ごとに反応炉内の状態をなるべく同じ状態にして、該AlGaInN層を形成するものである。以下に、この準備処理工程について説明する。
(準備処理工程)
本発明においては、図4に示す、基板11上にAlGaInN層14を形成する第一製造工程前に、以下に詳述する準備処理工程を行うことを特徴とする。この準備処理工程は、反応炉内にダミー基板を設置し、該ダミー基板上に、組成式AlGaInNで表され、前記組成式中のX、YおよびZが、X+Y+Z=1.0,Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0であり、かつY≦B、Z≦Cである関係を満足するダミー層を1100℃以上の温度で形成するものである。
まず、図6に示すように、基板11とは異なるダミー基板51をサセプター2上に設置する。ダミー基板51は、基板11の説明において述べた材料を用いればよく、基板11と同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料であってもよい。本実施形態では、サファイア単結晶基板を用いる。
本発明においては、ダミー基板51をサセプター2上に設置した後は、そのまま、該ダミー基板上に、組成式AlGaInNで表され、前記組成式中のX、YおよびZが、X+Y+Z=1.0,Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0であり、かつY≦B、Z≦Cである関係を満足するダミー層52を1100℃以上で形成することもできるが、本実施形態では、該ダミー層形成の前に、以下の熱処理工程を行うことが好ましい。
(熱処理工程)
本発明において、該ダミー層52を形成する前の熱処理工程では、反応炉内に水素ガスを所定の流量で導入しながら、ダミー基板51を好ましくは1250℃以上、より好ましくは1300℃以上に加熱してやればよい。ダミー基板51を1250℃以上に加熱する場合、その温度は、1250℃以上であれば一定の温度に保持してもよいし、変化させることもできる。また、ダミー基板51を1250℃以上の温度にする時間は、特に制限されるものではなく、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上である。
この熱処理工程を行うことにより、反応炉内に堆積したIII族原子とN(窒素原子)を主成分とした堆積物を脱離させ、反応炉内から除去(低減)できるものと考えられる。そのため、この熱処理工程を行った後、ダミー層52を形成することにより、反応炉内における堆積物の組成をより一定のものとすることができ、バッチ処理ごとの第一製造工程において、不純物が少なく、平滑なAlGaInN層14を形成することができる。
上記の通り、この熱処理工程は、第一製造工程、または第二製造工程において反応炉内に堆積した堆積物を反応炉内から除去することを主目的とするため、ダミー基板51を1250℃以上にする時間の上限は、反応炉内の堆積物の組成、量等に応じて適宜決定すればよいが、通常は、3時間程度である。また、保持中の温度の上限も、特に制限されるものではないが、1600℃であることが好ましい。
この熱処理工程を行わなくても、ダミー基板51を1100℃以上に昇温する際に反応炉内の堆積物を脱離することができるが、より一定の反応炉内の条件下で第一製造工程を行うためには、前記熱処理工程を実施することが好ましい。
本発明においては、図6に示すように、前記熱処理工程の後、ダミー基板51の温度を1100℃以上、好ましくは1150℃以上として、原料ガスとしてのTMA、TMG、TMIおよびアンモニアと、キャリアガスとを反応炉内に導入して、ダミー基板51上にダミー層52を形成する。V/III比、結晶成長条件等は適宜決定すればよい。なお、このダミー層52は製品として用いることはない。また、ダミー層52を形成する際の温度の上限は、特に制限されるものではなく、1600℃であることが好ましい。
このダミー層52は、組成式を用いて、AlGaInN(ただし、X+Y+Z=1.0)と表すことができる。上記の組成式において、「X」はAlの含有率、「Y」はGaの含有率、「Z」はInの含有率を表している。また、Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0である。このYと上記のBとは、B≧Yの関係を満足し、このZと上記のCとは、C≧Zである関係を満足する。すなわち、ダミー層52は、第一製造工程において形成されるAlGaInN層14と比較して、Ga、およびInの含有率が同じか、それよりも低い組成のAlGaInNとなる。
なお、引き続き実施される第一製造工程において、AlGaInN層14が単一層である場合には、ダミー層52におけるY、およびZの値は、該単一層におけるB、Cの値と比較する。また、AlGaInN層14を多層構造とする場合には、ダミー層52におけるY、およびZの値は、該AlGaInN層14の最上層におけるB、Cの値と比較する。
また、上記の組成式中のX、YおよびZは、本実施形態では、上記関係を満足し、さらに好ましくは0≦Y≦0.3、より好ましくは0≦Y≦0.2である。また、好ましくは0≦Z≦0.05、より好ましくは0≦Z≦0.03である。
Y、およびZが小さいほど、すなわち、Ga、およびInの含有率が低いほど、上述した不具合を低減できる。そのため、該ダミー層52は、B≧Y、およびC≧Zとなる組成であり、より好ましくは、B/3≧Y、およびC/3≧Zとなる組成である。ダミー層52が上記組成を満足することにより、次バッチで形成されるAlGaInN層の結晶性を高めることができる。
そのため、準備処理工程において、ダミー層52は、窒化アルミニウム層(AlN層 X=1.0、Y=Z=0)であることが最も好ましい。
なお、ダミー層52の上記の組成式は、ダミー層52の形成時に供給される原料ガス量により定まるものであり、取り込まれるGa、およびIn量を考慮したものではない。
ダミー層52の積層方向における層厚みは、好ましくは0.1〜3.0μm、より好ましくは0.3〜1.0μmである。層厚みが薄すぎると、Al以外のIII族原子成分の脱離が不完全になる、もしくは炉内壁面への堆積物の形成が不十分となる傾向にある。層厚みが厚すぎると、製造効率、コスト等の観点から、好ましくない傾向にある。
以上より、準備処理工程を行うことで、まず、前のバッチ処理(第一製造工程、または第二製造工程)において反応炉内に堆積した原料成分(Al、Ga、In、およびN)が脱離する。そして、ダミー基板51上にダミー層52を形成することで、脱離した原料成分が排気される、もしくはダミー層52に取り込まれる。特に、反応炉内を水素雰囲気とし、上記の温度とすること(熱処理工程を実施する)で、原料成分の脱離を促進することができる。
さらに、ダミー層52におけるGa、およびInの含有率を、AlGaInN層14におけるGa、およびInの含有率以下としているため、準備処理工程の際に反応炉内に堆積するGa、およびInを抑制できる。
したがって、準備処理工程後には、反応炉内に堆積しているGa、およびInは非常に少なくなっている。特に、YをBの1/3以下、およびZをCの1/3以下、最も好ましくはY=Z=0、すなわち、AlN層を形成することで、この効果をより高めることができる。
その結果、準備処理工程の後に、次のバッチ処理において、AlGaInN層14を形成しても(第一製造工程)、Ga、Inが取り込まれないため、形成されるAlGaInN層14の表面粗さは悪化しない。その結果、平滑な表面を形成できるため、炭素、および酸素等の不純物をも低減できるものと考えられる。
そのため、たとえば、AlGaInN層14をAlN層12(バッファ層)、AlGaInN層13の多層としても、AlN層12に不純物が取り込まれにくくなる。そして、該AlN層12は平滑なため、該AlN層12上に形成されたAlGaInN層13の表面粗さも悪化せず、また、結晶欠陥も生じない。すなわち、高品質のAlGaInN層13を得ることができる。
そして、このバッチ処理後に、再び準備処理工程を行うことで、それ以降のバッチ処理においても、高品質のAlGaInN層を得ることができる。
したがって、本発明に係る製造方法により得られるIII族窒化物半導体は、Bが0.5以上のAlGaInN層を有しており、たとえば、発光される光の波長が300nm以下である発光素子等に好適に使用できる。しかも、このAlGaInN層は、反応炉内の堆積物に由来するGa、Inおよび炭素、酸素等の不純物が少なく、その表面は平滑化されている。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
上述した実施形態では、III族窒化物半導体(AlGaInN層14)を形成した後に(第一製造工程)、上記の準備処理工程を行い、その後に、AlN層12(バッファ層)を形成させている(第一製造工程)。
しかしながら、別の実施形態として、たとえば、MOCVD装置を初めて使用する場合、最初のIII族窒化物半導体を形成する前に、上記の準備処理工程を行ってもよい。このようにすることで、使用前の反応炉内に存在している不純物がダミー層に取り込まれるため、その後に形成されるAlGaInN層14(III族窒化物半導体)の特性低下を抑制することができる。
また、上述した実施形態では、III族窒化物半導体としてのAlGaInN層14が形成された場合について説明したが、該AlGaInN層14は、組成を変化させた複数層であってもよい。特に、GaおよびInの一方あるいは双方を必ず含むIII族窒化物半導体、たとえば、GaN層を形成することもできる(第二製造工程)。
この場合には、準備処理工程の直後において、上記のAlGaInN層14に相当する層が形成されていればよい。
さらには、III族窒化物半導体を製造するバッチ処理ごとに準備処理工程を行う必要はなく、バッチ処理を複数回行った後に、準備処理工程を行ってもよい。このようにすることで、製造効率を向上させることができる。ただし、より品質の高いIII族窒化物半導体を製造するためには、バッチ処理ごとに準備処理工程を行うことが好ましい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
本実施例では、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて、III族窒化物半導体を作製した。
III族窒化物半導体の作製
(1回目の第一製造工程)
まず、III族窒化物半導体を結晶成長させるための基板として、サファイアC面単結晶基板を用いた。これをMOCVD装置の反応炉内のサセプター上に設置した後、水素ガスを13slmの流量で流しながら、サファイア基板を1250℃まで加熱し、10分間保持することで基板表面のクリーニングを行った。次いで、TMA流量が26μmol/min、アンモニア流量が0.5slm、全体のガス流量が10slm、圧力が25Torrの条件で、基板上にAlN層を層厚み1.0μmで形成した。このAlN層はバッファ層として機能する。
上記で得られたAlN層上に、アンドープのAl0.7Ga0.3N層を層厚み1.0μmで形成した(第二製造工程が第一製造工程に含まれる場合の例である。)。すなわち、AlGaInN層において、A=0.7、B=0.3、C=0である。
なお、Al0.7Ga0.3N層の形成は、基板温度が1180℃、TMG流量が13μmol/min、TMA流量が35μmol/min、アンモニア流量が1.5slm、全体のガス流量が10slm、圧力が40Torrの条件で行った。Al0.7Ga0.3N層の形成後、サセプターの温度が室温付近まで下がったことを確認して、Al0.7Ga0.3N層が形成された基板をMOCVD装置から取り出した。
(準備処理工程)
(熱処理工程)
次に、ダミー基板を反応炉内のサセプター上に設置した後、水素ガスを13slmの流量で流しながら、ダミー基板を1280℃まで加熱し、30分間保持して、反応炉内に堆積したGa等の脱離を行った。ダミー基板としては、サファイアC面単結晶基板を用いた。
次いで、ダミー基板の温度を1200℃とし、TMA流量が22μmol/min、アンモニア流量が0.5slm、全体のガス流量が10slm、圧力が25Torrの条件で、ダミー基板上にダミー層(AlN)を層厚み0.3μmで形成した。すなわち、AlGaInN層において、X=1.0、Y=Z=0である。ダミー層を形成後、サセプター温度が室温付近まで下がったことを確認して、ダミー層が形成されたダミー基板をMOCVD装置から取り出した。
(2回目の第一製造工程 検証実験)
次に、ダミー基板とは異なるサファイアC面単結晶基板を、反応炉内のサセプター上に設置した後、水素ガスを13slmの流量で流しながら、サファイア基板を1250℃まで加熱し、10分間保持することで基板表面のクリーニングを行った。次いで、TMA流量が26μmol/min、アンモニア流量が0.5slm、全体のガス流量が10slm、圧力が25Torrの条件で、基板上にAlN層を層厚み1.0μmで形成した。すなわち、AlGaInN層において、A=1.0、B=C=0である。AlN層を形成後、サセプター温度が室温付近まで下がったことを確認して、AlN層が形成された基板をMOCVD装置から取り出した。
2回目の第一製造工程において得られたAlN層について下記に示す評価を行った。
(AlN層の表面粗さの測定)
原子間力顕微鏡(東陽テクニカ製Nano−R)によりAlN層の表面について、5μm角の表面凹凸像を取得し、その像からAlN層の表面の2乗平均粗さ(RMS)を測定した。本実施例では、AlN層の表面のRMSが1nm以下を良好とした。実施例1に係る試料のAlN層の表面は非常に平滑であり、RMSは0.5nmであった。
(AlN層中の炭素、酸素およびガリウムの定量分析)
2次イオン質量分析法(SIMS)によりAlN層中の炭素、酸素、ガリウムの定量分析を行った。炭素および酸素濃度測定は1次イオン種にセシウムイオンを用い、1次加速電圧5.0kVの条件で行った。また濃度はGaN標準試料の窒素2次イオン強度に基づき定量した。ガリウム濃度測定は1次イオン種に酸素イオンを用い、1次加速電圧6.0kVの条件で行った。AlN層中のガリウム濃度は、濃度変換のための適切な標準試料が無いため、2次イオン強度により評価した。
AlN層中の炭素濃度は検出下限(1×1017cm−3)以下であった。また酸素濃度は、AlN層の層厚み増加とともに減少し、表面近傍では9×1017cm−3であった。Gaの2次イオン強度は3×10counts/secであった。
実施例2
実施例1の準備処理工程において、ダミー層(AlN)の代わりに、ダミー層(Al0.9Ga0.1N)を形成した以外は同様の条件で、1回目の第一製造工程においてAl0.7Ga0.3N層を形成し、2回目の第一製造工程においてAlN層を形成し、AlN層について実施例1と同様の評価を行った。すなわち、AlGaInN層において、X=0.9、Y=0.1、Z=0である。
ダミー層(Al0.9Ga0.1N)は、ダミー基板の温度を1180℃とし、TMA流量が35μmol/min、TMG流量が4μmol/min、アンモニア流量が1.2slm、全体のガス流量が10slm、圧力が30Torrの条件で形成した。
このとき、実施例2に係る試料(2回目の第一製造工程で得られたIII族窒化物半導体)のAlN層の表面は非常に平滑であり、RMSは0.6nmであった。また、炭素濃度は検出限界以下であり、AlN層の表面近傍での酸素濃度は1×1018cm−3であった。また、Gaの2次イオン強度は4×10counts/secであった。
比較例1
実施例1において、準備処理工程を行わない以外は、実施例1と同様にして、1回目の第一製造工程においてAl0.7Ga0.3N層を形成し、2回目の第一製造工程においてAlN層を形成し、AlN層について実施例1と同様の評価を行った。
このとき、比較例1に係る試料のAlN層の表面のRMSは1.4nmであった。また、炭素濃度は1×1018cm−3であり、AlN層の表面近傍での酸素濃度は1×1019cm−3であった。また、Gaの2次イオン強度は1×10counts/secであった。
比較例2
実施例1の準備処理工程において、ダミー層(AlN)の代わりに、ダミー層(Al0.3Ga0.7N)を形成した以外は同様の条件で、1回目の第一製造工程においてAl0.7Ga0.3N層を形成し、2回目の第一製造工程においてAlN層を形成し、AlN層について実施例1と同様の評価を行った。すなわち、AlGaInN層において、X=0.3、Y=0.7、Z=0である。
ダミー層(Al0.3Ga0.7N)は、ダミー基板の温度を1180℃とし、TMA流量が11μmol/min、TMG流量が45μmol/min、アンモニア流量が1.5slm、全体のガス流量が10slm、圧力が30Torrの条件で形成した。
このとき、比較例2に係る試料(2回目の第一製造工程で得られたIII族窒化物半導体)のAlN層の表面のRMSは1.8nmであった。また、炭素濃度は3×1018cm−3であり、AlN層の表面近傍での酸素濃度は1×1019cm−3であった。また、Gaの2次イオン強度は9×10counts/secであった。
実施例1、2および比較例1、2についての評価結果を下記の表1に示す。
Figure 2010258375
実施例3
(1回目の第一製造工程、および第二製造工程)
実施例1の1回目の第一製造工程において、基板上にAl0.7Ga0.3N層を形成した後、MOCVD装置から該基板を取り出すことなく、該Al0.7Ga0.3N層上に、第二製造工程として、GaN層を形成した。形成条件は基板温度が1080℃、TMG流量が22μmol/min、のアンモニア流量が2.0slm、全流量が7slm、圧力が150Torrの条件とした。GaN層の形成後、サセプターの温度が室温付近まで下がったことを確認して、GaN層が形成された基板をMOCVD装置から取り出した。
(準備処理工程)
次いで、ダミー基板を反応炉内のサセプター上に設置し、実施例1と同じ条件で準備処理工程を行った。ダミー層を形成後、サセプター温度が室温付近まで下がったことを確認して、ダミー層が形成されたダミー基板をMOCVD装置から取り出した。
(2回目の第一製造工程)
次に、ダミー基板とは異なるサファイアC面単結晶基板を、反応炉内のサセプター上に設置し、実施例1の2回目の第一製造工程と同じ条件でサファイア基板上にAlN層を形成した。得られた試料(2回目の第一製造工程で得られたIII族窒化物半導体)のAlN層の表面は非常に平滑であり、RMSは0.6nmであった。また、炭素濃度は検出限界以下であり、AlN層の表面近傍での酸素濃度は2×1018cm−3であった。また、Gaの2次イオン強度は3×10counts/secであった。
比較例3
実施例3において、準備処理工程を行わない以外は、実施例3と同様にして、1回目の第一製造工程、および第二製造工程としてGaN層を形成し、2回目の第一製造工程においてAlN層を形成し、AlN層について実施例1と同様の評価を行った。
このとき、比較例3に係る試料のAlN層の表面のRMSは2.3nmであった。また、炭素濃度は4×1018cm−3であり、AlN層の表面近傍での酸素濃度は1×1019cm−3であった。また、Gaの2次イオン強度は2×10counts/secであった。
実施例3および比較例3についての評価結果を下記の表2に示す。
Figure 2010258375
表1より、実施例1と比較例1および実施例3と比較例3とを比較することで、準備処理工程を設けた効果が確認できる。すなわち、準備処理工程を経て形成されたAlN層(実施例1および実施例3)は、準備処理工程を有さない比較例1および比較例3のAlN層よりも表面が平滑であることが確認できる。また、AlN層中のGa、炭素および酸素の量は、比較例1および比較例3の方が多くなっている。
したがって、このAlN層をバッファ層として、その上にIII族窒化物半導体としてのAlGaInN層を形成した場合にも、実施例1および実施例3のAlGaInN層の表面は、比較例1および比較例3のAlGaInN層よりも平滑になり、不純物(Ga、炭素および酸素)の量は、比較例1および比較例3のAlGaInN層の方が多くなる。
また、準備処理工程において、Gaを含むダミー層を形成した場合(実施例2)であっても、実施例1と同等の効果が得られていることが確認できる。これは、ダミー層におけるGaの含有率(Y)が、AlGaInN層のGaの含有率(B)よりも低いためである。
これに対し、比較例2のように、YをBよりも大きくすると、本発明の効果が得られないことが確認できる。
1… 反応炉
2… サセプター
11… 基板
12… バッファ層(AlN層)
13… AlGaInN層
14… AlGaInN層
15… Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含むIII族窒化物層
51… ダミー基板
52… ダミー層(AlGaInN層)

Claims (4)

  1. 基板上に、組成式AlGaInNで表され、前記組成式中のA、BおよびCが、A+B+C=1.0,B≧0,C≧0,0.5≦A≦1.0である関係を満足するAlGaInN層が形成されたIII族窒化物半導体を製造する方法であって、
    反応炉内にダミー基板を設置し、該ダミー基板上に、組成式AlGaInNで表され、前記組成式中のX、YおよびZが、X+Y+Z=1.0,Y≧0,Z≧0,0.5≦X≦1.0であり、かつY≦B、Z≦Cである関係を満足するダミー層を1100℃以上の温度で形成する準備処理工程と、
    反応炉内から前記ダミー層が形成された前記ダミー基板を取り出し、前記ダミー基板とは異なる基板を該反応炉内に設置し、該基板上に、組成式AlGaInNで表される前記AlGaInN層を形成する第一製造工程と、
    を含むことを特徴とするIII族窒化物半導体の製造方法。
  2. 前記準備処理工程において、前記ダミー層を形成する前に、水素を含む雰囲気において、前記ダミー基板を1250℃以上の温度にする熱処理工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体の製造方法。
  3. 前記準備処理工程において、前記ダミー層を窒化アルミニウム層とすることを特徴とする請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体の製造方法。
  4. 前記準備処理工程よりも前に、
    前記反応炉内において、Ga、およびInから選ばれる少なくとも1種のIII族原子を含有するIII族窒化物半導体を製造する第二製造工程を実施していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のIII族窒化物半導体の製造方法。
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