ところで、図16に示す従来のセラミックコンデンサ201を特許文献1のように配線基板に内蔵した場合、セラミックコンデンサ201の表面には樹脂の硬化収縮や熱履歴(熱膨張差)に伴う外部応力が加わるようになる。具体的に言うと、セラミックコンデンサ201は熱硬化性樹脂で覆われているため、製造時及び使用時の熱履歴によって、熱膨張差に起因した応力がかかるようになっている。なお、セラミックコンデンサ201のカバー層部203は、セラミック誘電体層209のみにて形成されており比較的に靭性が低いため、そのカバー層部203の外周部にクラック215(図17参照)が発生、進展しやすくなる。このため、配線基板の信頼性が低下するおそれがある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、配線基板に内蔵する際などに生じるクラックを防止することができるコンデンサ及びその製造方法を提供することにある。また、第2の目的は、上記コンデンサを内蔵または表面実装した好適な配線基板を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有する板状のコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の厚さ方向に沿って延びる複数のビア穴内に形成された複数のコンデンサ内ビア導体とを備えるコンデンサであって、前記コンデンサ本体が、複数の第1誘電体層と前記複数のコンデンサ内ビア導体に電気的に接続された複数の内部電極とを交互に積層してなる第1誘電体積層部と、前記コンデンサ本体の前記コンデンサ主面または前記コンデンサ裏面にて露出するように配置された第2誘電体積層部とを含んで構成され、厚さ方向から見て前記第2誘電体積層部の少なくとも外周部となる領域に、前記第2誘電体積層部の厚さ方向に沿って延びるとともに前記コンデンサ主面及び前記コンデンサ裏面の少なくとも一方にて開口する穴部が、前記コンデンサ内ビア導体を包囲するように設けられていることを特徴とするコンデンサがある。
従って、手段1のコンデンサによると、第2誘電体積層部の外周部には、第2誘電体積層部の厚さ方向に沿って延びる穴部が設けられているため、誘電体部分が穴部によって分断され、非連続になる。これにより、配線基板への内蔵時などにコンデンサ表面に加わる外部応力によって、コンデンサの外周面を起点とするクラックが発生し、それがコンデンサ中心方向に向けて進展したとしても、穴部に到達することでそれ以上進展しなくなる。
ここで、コンデンサの外形寸法は、例えば長辺が5mm以上であることが好ましい。このようにすれば、コンデンサ表面に加わる外部応力が大きくなって、コンデンサの外周面を起点とするクラックが発生しやすくなるため、本発明の課題が生じやすくなる。
なお、前記ビア穴の内径は特に限定されないが、例えば50μm以上120μm以下であることが好ましい。仮に、ビア穴の内径が50μm未満であると、ビア穴内に形成されるコンデンサ内ビア導体の断面積が小さくなることから、コンデンサ内ビア導体の抵抗が大きくなり、コンデンサ全体の低抵抗化を達成しにくくなってしまう。また、コンデンサ内ビア導体の形成時にビア穴内へのビア導体形成用材料の充填が困難になり、生産性が低下するおそれもある。一方、ビア穴の内径が120μmよりも大きいと、ビアピッチを大きく設定しなければならなくなり、微細な配線を持つ配線基板側と効率よく接続できなくなるおそれがある。
また、前記穴部の内径も特に限定されないが、例えば50μm以上120μm以下であることが好ましい。仮に、穴部の内径が50μm未満であると、穴部内に後記するダミービア導体を形成する場合に、穴部内へのビア導体形成用材料の充填が困難になり、生産性が低下するおそれもある。逆に、穴部の内径が120μmよりも大きいと、面積が小さい第2誘電体積層部の外周部に対して、多数の穴部を配置できなくなるおそれがある。なお、穴部の内径は、ビア穴の内径よりも大きく設定してもよいし、小さく設定してもよい。また、穴部の内径をビア穴の内径と等しく設定してもよい。穴部の内径とビア穴の内径が等しければ、同じ条件下で穴部及びビア穴を形成できるため、製造上都合が良い。さらに、前記穴部の深さも特に限定されないが、例えば第2誘電体積層部の厚さと等しくてもよいし、第2誘電体積層部の厚さよりも小さくてもよい。
なお、クラックを確実に穴部に到達させるためには、前記穴部の数は多いことが好ましい。具体的に言うと、第2誘電体積層部の外周部における穴部の数(密度)は、例えば1mm2当り5個以上25個以下であることが好ましい。仮に、1mm2当り5個未満であると、クラックを確実に穴部に到達させることができなくなる。一方、1mm2当り25個よりも多いと、ダミービア導体の形成時に穴部内へのビア導体形成用材料の充填が困難になり、生産性が低下するおそれがある。
なお、前記穴部内に、前記内部電極に電気的に接続されていないダミービア導体が形成されていることが好ましい。このようにすれば、ダミービア導体によって、コンデンサ本体の第2誘電体積層部における靭性が向上する。これにより、上記した外部応力に起因するクラックの発生を確実に抑制することができる。
ここで、前記ダミービア導体は、前記コンデンサ内ビア導体と同じ材料を用いて形成されることが好ましい。このようにすれば、ダミービア導体の専用の材料をコンデンサ内ビア導体の材料とは別に用意しなくても済む。よって、コンデンサの製造に必要な材料が少なくなるため、コンデンサの低コスト化を図ることが可能となる。しかも、ダミービア導体をコンデンサ内ビア導体と同じ条件(温度、時間)で同時焼成を行うことができるため、製造コストを抑えることができる。
なお、複数の前記穴部が前記第2誘電体積層部の外周部に形成される場合、複数の前記穴部は、前記第2誘電体積層部の厚さ方向から見て環状にかつ複数列に配置されていてもよい。また、複数の前記穴部は、第2誘電体積層部の外周部を構成する4つの辺と平行に配置されるとともに、第2誘電体積層部の外周部を構成する4つの角部(各辺の接続部分)に配置されることが好ましい。さらに、複数の前記穴部は、連続的にかつ等ピッチで、しかも隙間なく配置されることが好ましい。このようにした場合、上記したクラックが穴部に到達する確率が高くなる。これにより、第2誘電体積層部の外周部において、クラックの進展を確実に防止することができる。なお、複数の穴部が環状にかつ複数列に配置される場合、複数の穴部は千鳥状に配置されることが好ましい。このようにすれば、クラックが外側列を構成する複数の穴部間を通過したとしても、クラックは内側列の穴部に確実に到達するようになる。その結果、第2誘電体積層部の外周部において、クラックの進展をよりいっそう確実に防止できる。
また、前記穴部は、前記第1誘電体積層部及び前記第2誘電体積層部を厚さ方向に貫通し、前記コンデンサ本体の前記コンデンサ主面及び前記コンデンサ裏面の両方にて開口していてもよい。このようにした場合、上記したクラックが第1誘電体積層部及び第2誘電体積層部のどちらに進展したとしても、穴部に到達する確率が高くなる。これにより、第1誘電体積層部の外周部及び第2誘電体積層部の外周部の両方において、クラックの進展を防止することができる。
さらに、前記コンデンサ本体は、厚さ方向から見て4つの辺を有する略矩形板状をなし、前記穴部は、前記第2誘電体積層部の外周部において、前記4つの辺のうちの少なくとも1辺と平行に延びるスリット状に形成されていてもよい。このようにした場合、上記したクラックが第2誘電体積層部に進展した際に、クラックが穴部に到達する確率が高くなる。これにより、第2誘電体積層部の外周部において、クラックの進展をより確実に防止することができる。
また、前記第2誘電体積層部は、複数の第2誘電体層と、前記複数のコンデンサ内ビア導体に電気的に接続されていないダミー電極層とを交互に積層してなることが好ましい。この場合、ダミー電極層は複数の第2誘電体層の間に積層される。このダミー電極層は、広面積の電極であることが好ましく、例えば、前記コンデンサ内ビア導体の周囲にてクリアランスを隔てて配置されたベタパターンとしてもよい。このようにすれば、コンデンサ本体の第2誘電体積層部における靭性を向上させることができる。これにより、上記した外部応力に起因するクラックの発生をより確実に抑制することができる。
なお、前記第2誘電体層の厚さは、前記第1誘電体層の厚さよりも厚いことが好ましい。このようにすれば、第2誘電体積層部の強度を十分に確保することができる。また、前記第2誘電体層の厚さは、前記第1誘電体層の厚さと等しくてもよい。この場合、同じ厚さのシート材を使用して各誘電体層を形成することができるため、製造コストを低減することができる。
前記ダミー電極層は、前記内部電極と同じ材料を用いて形成されることが好ましい。このようにすれば、ダミー電極層の専用の材料を内部電極の材料とは別に用意しなくても済む。よって、コンデンサの製造に必要な材料が少なくなるため、コンデンサの低コスト化を図ることが可能となる。しかも、ダミー電極層を内部電極と同じ条件(温度、時間)で同時焼成を行うことができるため、製造コストを抑えることができる。
前記ダミー電極層の厚さは、前記内部電極の厚さ以上であることが好ましい。このようにすれば、第2誘電体積層部の強度を十分に確保することができ、その第2誘電体積層部の外周部で発生するクラックを確実に防止することができる。
また、前記コンデンサは、前記コンデンサ主面上に配置され、前記複数のコンデンサ内ビア導体の少なくともコンデンサ主面側端部に接続された複数の端子電極を備えることが好ましい。このように端子電極を備えると、配線基板における導体との接続を確実に行うことができる。
前記第1誘電体層及び前記第2誘電体層としては、セラミック誘電体層、樹脂誘電体層、セラミック−樹脂複合材料からなる誘電体層などが挙げられる。前記セラミック誘電体層としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックの焼結体が好適に使用され、誘電体セラミックの焼結体を使用した場合、静電容量の大きなコンデンサを実現しやすくなる。さらに、この他のセラミック誘電体層としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックの焼結体が好適に使用されるほか、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックの焼結体が好適に使用される。また、前記樹脂誘電体層としては、エポキシ樹脂、接着剤を含んだ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などの樹脂が好適に使用される。さらに、前記セラミック−樹脂複合材料からなる誘電体層としては、セラミックとして、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどが好適に使用され、樹脂材料として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂、及び、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムなどのラテックスが好適に使用される。
前記コンデンサ内ビア導体、前記内部電極、前記ダミービア導体、前記ダミー電極層及び前記端子電極としては特に限定されないが、例えば第1誘電体層及び第2誘電体層がセラミック誘電体層である場合にはメタライズ導体であることが好ましい。なお、メタライズ導体は、金属粉末を含む導体ペーストを従来周知の手法、例えばメタライズ印刷法で塗布した後に焼成することにより、形成される。同時焼成法によってメタライズ導体及びセラミック誘電体層を形成する場合、メタライズ導体中の金属粉末は、セラミック誘電体層の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック誘電体層がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。セラミック誘電体層がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、上記手段1に記載のコンデンサを内蔵した配線基板がある。
従って、上記手段2の配線基板によれば、第2誘電体積層部の外周部には、第2誘電体積層部の厚さ方向に沿って延びる穴部が設けられているため、誘電体部分が穴部によって分断され、非連続になる。これにより、コンデンサの内蔵工程においてコンデンサの外周面を起点とするクラックが発生し、それがコンデンサ中心方向に向けて進展したとしても、穴部に到達することでそれ以上進展しなくなる。その結果、配線基板の信頼性が向上する。なお、穴部内にダミービア導体が形成されない場合、コンデンサ主面やコンデンサ裏面に接する樹脂が穴部内に入り込むようになるため、コンデンサの固定強度が向上し、ひいては配線基板の信頼性がよりいっそう向上する。
前記配線基板は、手段1のコンデンサを収容するための収容穴部を有するコア基板と、そのコア基板の上面及び下面上に形成される配線積層部とを備えることが好ましい。このコア基板を形成する材料は特に限定されないが、好ましいコア基板は高分子材料を主体として形成される。コア基板を形成するための高分子材料の具体例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を使用してもよい。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、基板主面を有し、その基板主面上に上記手段1に記載のコンデンサをフリップチップ方式にて表面実装した配線基板がある。
従って、上記手段3の配線基板によれば、第2誘電体積層部の外周部には、第2誘電体積層部の厚さ方向に沿って延びる穴部が設けられているため、誘電体部分が穴部によって分断され、非連続になる。これにより、コンデンサの表面実装工程においてコンデンサの外周面を起点とするクラックが発生し、それがコンデンサ中心方向に向けて進展したとしても、穴部に到達することでそれ以上進展しなくなる。その結果、配線基板の信頼性が向上する。
なお、前記配線基板において、前記基板主面と前記コンデンサとの隙間を樹脂材にて封止してもよい。この樹脂材の封止工程において、熱硬化収縮による引っ張り応力がコンデンサに作用した場合でも、第2誘電体積層部の外周部でクラックが発生することを防止できる。
さらに、上記課題を解決するための別の手段(手段4)としては、上記手段1に記載のコンデンサを製造する方法であって、前記第1誘電体積層部となるセラミックの第1グリーンシートと、前記第2誘電体積層部となるセラミックの第2グリーンシートとを積層一体化して、グリーンシート積層体を作製する積層工程と、レーザー加工を行うことによって、前記グリーンシート積層体に前記ビア穴と前記穴部とを形成する穴開け工程と、前記ビア穴及び前記穴部のうち少なくとも前記ビア穴内に、ビア導体形成用材料を充填するビア充填工程と、セラミックが焼結しうる温度に前記グリーンシート積層体を加熱して、前記第1グリーンシート、前記第2グリーンシート及び前記ビア導体形成用材料を焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするコンデンサの製造方法がある。
従って、上記手段4の製造方法によれば、穴開け工程において穴部が形成されるため、誘電体部分が穴部によって分断され、非連続になる。これにより、完成したコンデンサを配線基板に内蔵する際などに、上記した外部応力によってコンデンサの外周面を起点とするクラックが発生し、それがコンデンサ中心方向に進展したとしても、穴部に到達することでそれ以上進展しなくなる。また、穴開け工程において、ビア穴と穴部とが同時に形成される。これにより、コンデンサの製造時間がさほど長くならないため、製造コストを抑えることができる。なお、ビア充填工程において、ビア穴にコンデンサ内ビア導体となるビア導体形成用材料が充填されると同時に、穴部にダミービア導体となるビア導体形成用材料が充填されることが好ましい。このようにすれば、コンデンサの製造時間がよりいっそう短縮される。
なお、前記積層工程では、前記第1グリーンシートの第1面側及び第2面側の両方にそれぞれ前記第2グリーンシートを積層し、前記穴開け工程は、前記グリーンシート積層体に前記ビア穴を形成するビア穴形成工程と、前記第1グリーンシートの第1面側に積層した第2グリーンシートに前記穴部を形成する第1穴部形成工程と、前記第1穴部形成工程後、前記グリーンシート積層体を裏返した状態で、前記第1グリーンシートの第2面側に積層した第2グリーンシートに前記穴部を形成する第2穴部形成工程とを含むことが好ましい。このようにすれば、薄くて変形しやすいグリーンシートの状態で穴部を形成するのではなく、積層されることで変形しにくくなったグリーンシート積層体の状態で穴部を形成するため、穴部の形成が容易になる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の配線基板10は、ICチップ搭載用の配線基板である。配線基板10は、略矩形板状のコア基板11と、コア基板11の上面12上に形成される第1ビルドアップ層31(配線積層部)と、コア基板11の下面13上に形成される第2ビルドアップ層32(配線積層部)とからなる。
本実施形態のコア基板11は、縦25mm×横25mm×厚さ1.0mmの平面視略矩形板状である。このコア基板11における複数箇所にはスルーホール導体16が形成されている。かかるスルーホール導体16は、コア基板11の上面12側と下面13側とを接続導通している。なお、スルーホール導体16の内部は、例えばエポキシ樹脂などの閉塞体17で埋められている。また、コア基板11の上面12及び下面13には、銅からなる導体層41がパターン形成されており、各導体層41は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。
図1に示されるように、前記第1ビルドアップ層31は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層33,35と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。また、第2層の樹脂層間絶縁層35の表面上における複数箇所には、端子パッド44がアレイ状に形成されている。さらに、樹脂層間絶縁層35の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37の所定箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。端子パッド44の表面上には、複数のはんだバンプ45が配設されている。各はんだバンプ45は、矩形平板状をなすICチップ21の面接続端子22に電気的に接続されている。なお、各端子パッド44及び各はんだバンプ45からなる領域は、ICチップ21を搭載可能なICチップ搭載領域23である。ICチップ搭載領域23は、第1ビルドアップ層31の表面に設定されている。また、樹脂層間絶縁層33,35内には、それぞれビア導体43,47が設けられている。これらのビア導体43,47は、導体層42及び端子パッド44を相互に電気的に接続している。
図1に示されるように、前記第2ビルドアップ層32は、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)からなる2層の樹脂層間絶縁層34,36と、導体層42とを交互に積層した構造を有している。第2層の樹脂層間絶縁層36の下面上における複数箇所には、ビア導体47を介して導体層42に電気的に接続されるBGA用パッド48がアレイ状に形成されている。また、樹脂層間絶縁層36の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38の所定箇所には、BGA用パッド48を露出させる開口部40が形成されている。BGA用パッド48の表面上には、図示しないマザーボードとの電気的な接続を図るための複数のはんだバンプ49が配設されている。そして、各はんだバンプ49により、図1に示される配線基板10は図示しないマザーボード上に実装される。
前記コア基板11は、上面12の中央部及び下面13の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部91を有している。即ち、収容穴部91は貫通穴部である。収容穴部91内には、セラミックコンデンサ101が、埋め込んだ状態で収容されている。本実施形態のセラミックコンデンサ101は、縦15.0mm×横15.0mm×厚さ0.8mmの矩形平板状である。また、収容穴部91の内面とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間は、高分子材料(本実施形態では熱硬化性樹脂)からなる充填剤92によって埋められている。この充填剤92は、セラミックコンデンサ101をコア基板11に固定するとともに、セラミックコンデンサ101及びコア基板11の面方向や厚さ方向への変形を自身の弾性変形により吸収する機能を有している。
セラミックコンデンサ101は、コア基板11においてICチップ搭載領域23の真下の領域に配置されている。なお、ICチップ搭載領域23の面積(ICチップ21において面接続端子22が形成される面の面積)は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102の面積よりも小さくなるように設定されている。セラミックコンデンサ101の厚さ方向から見た場合、ICチップ搭載領域23は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102内に位置している。
図1,図2に示されるように、本実施形態のセラミックコンデンサ101は、いわゆるビアアレイタイプのコンデンサである。セラミックコンデンサ101を構成するセラミック焼結体104(コンデンサ本体)は、1つのコンデンサ主面102(図1では上面)、1つのコンデンサ裏面103(図1では下面)、及び、4つのコンデンサ側面106を有し、厚さ方向から見て4つの辺110を有する略矩形板状をなしている。
セラミック焼結体104は、コンデンサ形成層部107(第1誘電体積層部)と、コンデンサ形成層部107の上面を覆う上側のカバー層部108(第2誘電体積層部)と、コンデンサ形成層部107の下面を覆う下側のカバー層部109(第2誘電体積層部)とを備える。コンデンサ形成層部107は、複数のセラミック誘電体層105(第1誘電体層)と、複数の内部電極141,142とを交互に積層した構造を有している。コンデンサ形成層部107に形成されている内部電極は電源用内部電極141及びグランド用内部電極142であり、セラミック誘電体層105を介してそれら電源用内部電極141とグランド用内部電極142とが交互に積層配置されている。セラミック誘電体層105は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、電源用内部電極141及びグランド用内部電極142間の誘電体(絶縁体)として機能する。電源用内部電極141及びグランド用内部電極142は、いずれもニッケルを主成分として形成された導体である。
図2〜図5に示されるように、セラミック焼結体104には、多数のビア穴130(内径約100μm)が形成されている。これらのビア穴130は、セラミック焼結体104の厚さ方向に沿って延びてセラミック焼結体104を貫通するとともに、全面にわたって格子状(アレイ状)に配置されている。本実施形態では、説明の便宜上、ビア穴130を4列×4列で図示したが、実際にはさらに多くの列が存在している。各ビア穴130内には、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103間を連通する複数のコンデンサ内ビア導体131,132が、ニッケルを主材料として形成されている。即ち、コンデンサ内ビア導体131,132は、複数の内部電極141,142と同じ材料を用いて形成されている。各電源用コンデンサ内ビア導体131は、各電源用内部電極141を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している(図2,図3参照)。各グランド用コンデンサ内ビア導体132は、各グランド用内部電極142を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している(図2,図4参照)。
図1,図2に示されるように、前記カバー層部108,109は、セラミック焼結体104の表層部にて露出するよう配置されている。詳述すると、上側のカバー層部108は、前記コンデンサ主面102にて露出するように配置され、下側のカバー層部109は、前記コンデンサ裏面103にて露出するように配置されている。各カバー層部108,109は、複数のセラミック誘電体層153(第2誘電体層)と、コンデンサ内ビア導体131,132に電気的に接続されていない広面積のダミー電極層154とを交互に積層した構造を有する。ダミー電極層154は、コンデンサ形成層部107における内部電極141,142と同じ材料(ニッケルを主成分とした金属材料)によって形成されるとともに、その内部電極141,142の厚さ以上の厚さに形成されている。このダミー電極層154は、コンデンサ内ビア導体131,132の周囲にクリアランス155(円形の抜きパターン)を有するベタパターンとなるよう形成されている(図5参照)。また、セラミック誘電体層153は、コンデンサ形成層部107におけるセラミック誘電体層105と同じ材料(具体的にはチタン酸バリウム)によって形成されるとともに、セラミック誘電体層105よりも厚く形成されている。
図2,図5に示されるように、セラミック焼結体104を厚さ方向から見たときにカバー層部108,109の外周部となる領域には、多数の穴部161(内径約80μm)が形成されている。即ち、本実施形態の穴部161の内径は、前記ビア穴130の内径よりも小さく設定されている。各穴部161は、全てのコンデンサ内ビア導体131,132を包囲するように設けられ、カバー層部108,109の厚さ方向から見て矩形環状に配置されている。詳述すると、各穴部161は、カバー層部108,109の外周部において前記4つの辺110と平行に配置されるとともに、カバー層部108,109の4つの角部(各辺110の接続部分)にも配置されている。そして、各穴部161は、連続的にかつ等ピッチで、しかも隙間なく配置されており、全体として環状をなしている。従って、カバー層部108,109の外周部における穴部161の数(密度)は、本実施形態では1mm2当り25個となっている。なお、上側のカバー層部108に形成された穴部161は、カバー層部108の厚さ方向に沿って延びてカバー層部108を貫通するとともに、コンデンサ主面102にて開口している。一方、下側のカバー層部109に形成された穴部161は、カバー層部109の厚さ方向に沿って延びてカバー層部109を貫通するとともに、コンデンサ裏面103にて開口している。即ち、穴部161の深さは、カバー層部108,109の厚さと等しくなっているため、各穴部161は、コンデンサ形成層部107における対応箇所を貫通していない。
図2,図5に示されるように、各穴部161内には、内部電極141,142に電気的に接続されていない複数のダミービア導体162が、ニッケルを主材料として形成されている。即ち、ダミービア導体162は、内部電極141,142及びコンデンサ内ビア導体131,132と同じ材料を用いて形成されている。また、ダミービア導体162の高さは、穴部161の深さと等しくなっている。
そして、図1,図2に示されるように、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102上には、複数の主面側電源用電極111(端子電極)と複数の主面側グランド用電極112(端子電極)とが突設されている。なお、各主面側グランド用電極112は、コンデンサ主面102上において個別に形成されているが、一体に形成されていてもよい。主面側電源用電極111は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されており、主面側グランド用電極112は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。
また、セラミック焼結体104のコンデンサ裏面103上には、複数の裏面側電源用電極121(端子電極)と複数の裏面側グランド用電極122(端子電極)とが突設されている。なお、各裏面側グランド用電極122は、コンデンサ裏面103上において個別に形成されているが、一体に形成されていてもよい。裏面側電源用電極121は、複数の電源用コンデンサ内ビア導体131におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されており、裏面側グランド用電極122は、複数のグランド用コンデンサ内ビア導体132におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。よって、電源用電極111,121は電源用コンデンサ内ビア導体131及び電源用内部電極141に導通しており、グランド用電極112,122はグランド用コンデンサ内ビア導体132及びグランド用内部電極142に導通している。
図1に示されるように、コンデンサ主面102側にある電極111,112は、ビア導体43、導体層42、ビア導体47、端子パッド44、はんだバンプ45及びICチップ21の面接続端子22を介して、ICチップ21に電気的に接続される。一方、コンデンサ裏面103側にある電極121,122は、図示しないマザーボードが有する電極(接触子)に対して、ビア導体43、導体層42、ビア導体47、BGA用パッド48及びはんだバンプ49を介して電気的に接続される。
図2に示されるように、電極111,112,121,122は、ニッケルを主材料として形成され、表面が図示しない銅めっき層によって全体的に被覆されている。これら電極111,112,121,122及びコンデンサ内ビア導体131,132は、ICチップ21の略中心部の直下に配置されている。なお本実施形態では、電極111,112,121,122の直径が約500μmに設定されている。
例えば、マザーボード側から電極121,122を介して通電を行い、電源用内部電極141−グランド用内部電極142間に電圧を加えると、電源用内部電極141に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極142に例えばマイナスの電荷が蓄積する。その結果、セラミックコンデンサ101がコンデンサとして機能する。また、セラミックコンデンサ101では、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、電源用コンデンサ内ビア導体131及びグランド用コンデンサ内ビア導体132を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
本実施形態のセラミックコンデンサ101は、以下のように作製される。即ち、厚さが7μm程度であるセラミックの第1グリーンシートを形成するとともに、厚さが30μm程度であるセラミックの第2グリーンシートを形成する。そして、第1グリーンシートに内部電極用ニッケルペーストをスクリーン印刷して乾燥させる。これにより、後に電源用内部電極141となる電源用内部電極部と、グランド用内部電極142となるグランド用内部電極部とが形成される。また、第2グリーンシートにダミー電極層用ニッケルペーストをスクリーン印刷して乾燥させる。これにより、後にダミー電極層154となるダミー電極層部が形成される。
次に、電源用内部電極部が形成された第1グリーンシートとグランド用内部電極部が形成された第1グリーンシートとを交互に積層し、後にコンデンサ形成層部107となる部位を形成する。次に、第1グリーンシートの第1面側(即ちコンデンサ形成層部107となる部位の上面)に第2グリーンシートを積層し、後に上側のカバー層部108となる部位を形成する。また、第1グリーンシートの第2面側(即ちコンデンサ形成層部107となる部位の下面)にも第2グリーンシートを積層し、後に下側のカバー層部109となる部位を形成する。そして、シート積層方向に押圧力を付与することにより、各グリーンシートを一体化してグリーンシート積層体を形成する(積層工程)。
次に、レーザー加工機を用いてレーザー加工を行うことにより、グリーンシート積層体にビア穴130と穴部161とを多数個貫通形成する(穴開け工程)。詳述すると、まずグリーンシート積層体に複数のビア穴130を形成する(ビア穴形成工程)。次に、グリーンシート積層体において上側のカバー層部108となる部位に複数の穴部161を形成する(第1穴部形成工程)。さらに第1穴部形成工程後、グリーンシート積層体を裏返した状態で、下側のカバー層部109となる部位に複数の穴部161を形成する(第2穴部形成工程)。なお、第1穴部形成工程及び第2穴部形成工程は、ビア穴形成工程時よりもショット数を減らした状態でレーザー加工が実行される。また、第1穴部形成工程と第2穴部形成工程とでは、それぞれ同数の穴部161が形成される。
次に、図示しないペースト圧入充填装置を用いて、各ビア穴130内及び各穴部161内に、ビア導体用ニッケルペースト(ビア導体形成用材料)を充填する(ビア充填工程)。次に、グリーンシート積層体の上面上に端子電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体の上面側にて各導体部の上端面を覆うように端子電極部を形成する。また、グリーンシート積層体の下面上に端子電極用ニッケルペーストを印刷し、グリーンシート積層体の下面側にて各導体部の下端面を覆うように端子電極部を形成する。
この後、グリーンシート積層体の乾燥を行い、各端子電極部をある程度固化させる。次に、グリーンシート積層体を脱脂し、さらに還元雰囲気下にて所定温度で所定時間焼成を行う(焼成工程)。このときの焼成温度は、チタン酸バリウムが焼結しうる温度である1300℃に設定される。その結果、第1グリーンシート中及び第2グリーンシート中のチタン酸バリウムが焼結してセラミック焼結体104となる。それと同時に、電源用内部電極部中及びグランド用内部電極中のニッケルが焼結して内部電極141,142となり、ダミー電極層部中のニッケルが焼結してダミー電極層154となり、端子電極部中のニッケルが焼結して電極111,112,121,122となる。また、ビア導体用ニッケルペースト中のニッケルが焼結してコンデンサ内ビア導体131,132及びダミービア導体162となる。
次に、得られたセラミック焼結体104が有する各電極111,112,121,122に対して電解銅めっき(厚さ15μm程度)を行う。その結果、各電極111,112,121,122の上に銅めっき層が形成され、セラミックコンデンサ101が完成する。
このセラミックコンデンサ101を配線基板10に内蔵する際には、まず、収容穴部91を有するコア基板11を従来周知の手法により作製して準備する。そして、そのコア基板11の収容穴部91内にセラミックコンデンサ101を収容し、その収容穴部91の内面とセラミックコンデンサ101のコンデンサ側面106との隙間に、熱硬化性樹脂製の充填剤92を充填する。その後、加熱処理を行うと、充填剤92が硬化して、セラミックコンデンサ101が収容穴部91内に固定される。
さらに、従来周知の手法に基づいてコア基板11の上面12及びセラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102の上に第1ビルドアップ層31を形成するとともに、コア基板11の下面13及びセラミックコンデンサ101のコンデンサ裏面103の上に第2ビルドアップ層32を形成する。その結果、コア基板11及びビルドアップ層31,32からなる配線基板10が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、セラミックコンデンサ101の内蔵工程において、例えば、コア基板11の収容穴部91内に充填剤92でセラミックコンデンサ101を固定する際に、加熱処理により充填剤92が硬化して収縮する。さらに、コア基板11の上面12及び下面13にビルドアップ層31,32を積層する際には、加圧加熱処理を施すことによって、樹脂層間絶縁層33〜36となるフィルム状絶縁樹脂材料が硬化して収縮する。これらの場合、セラミックコンデンサ101の表面に外部応力が加わるようになる。
そこで本実施形態のセラミックコンデンサ101では、カバー層部108,109の外周部に穴部161を設けている。このため、誘電体部分(セラミック誘電体層153の部分)が穴部161によって分断され、非連続になる。これにより、配線基板10への内蔵時などにコンデンサ表面に加わる外部応力によって、セラミックコンデンサ101の外周面を起点とするクラック215(図17参照)が発生し、それがセラミックコンデンサ101の中心方向に進展したとしても、穴部161に到達することでそれ以上進展しなくなる。
(2)本実施形態では、穴部161内にダミービア導体162が形成されている。このため、ダミービア導体162によって、セラミック焼結体104のカバー層部108,109における靭性が向上する。しかも、カバー層部108,109には広面積のダミー電極層154が形成されているため、カバー層部108,109における靭性がよりいっそう向上する。これにより、上記したクラック215の発生を確実に抑制することができる。
(3)本実施形態では、セラミックコンデンサ101がICチップ搭載領域23に搭載されたICチップ21の直下に配置されるため、セラミックコンデンサ101とICチップ21とをつなぐ配線が短くなり、配線のインダクタンス成分の増加が防止される。従って、セラミックコンデンサ101によるICチップ21のスイッチングノイズを確実に低減できるとともに、電源電圧の確実な安定化を図ることができる。また、ICチップ21とセラミックコンデンサ101との間で侵入するノイズを極めて小さく抑えることができるため、誤動作等の不具合を生じることもなく高い信頼性を得ることができる。
(4)本実施形態では、ICチップ搭載領域23がセラミックコンデンサ101の真上の領域内に位置しているため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21は高剛性で熱膨張率が小さいセラミックコンデンサ101によって支持される。よって、上記ICチップ搭載領域23においては、第1ビルドアップ層31が変形しにくくなるため、ICチップ搭載領域23に搭載されるICチップ21をより安定的に支持できる。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、カバー層部108,109の厚さ方向から見て環状にかつ1列に、各穴部161が配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すセラミックコンデンサ301のように、カバー層部108,109の厚さ方向から見て環状にかつ2列に、各穴部161を配置してもよい。このようにすれば、上記したクラック215(図17参照)が穴部161に到達する確率が高くなる。これにより、カバー層部108,109の外周部において、クラック215の進展を確実に防止することができる。
さらに図6に示されるように、各穴部161を千鳥状に配置してもよい。このようにすれば、クラック215が外側列を構成する複数の穴部161間を通過したとしても、クラック215は内側列の穴部161に確実に到達するようになる。その結果、カバー層部108,109の外周部において、クラック215の進展をよりいっそう確実に防止できる。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、各穴部161(及びダミービア導体162)が等ピッチで配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すセラミックコンデンサ351のように、カバー層部108,109の角部352に上記実施形態の場合よりも多くの穴部161(及びダミービア導体162)を配置し、角部352に配置された穴部161のピッチを、4つの辺110と平行に配置された穴部161のピッチよりも小さくしてもよい。また、角部352に配置された穴部161を、4つの辺110と平行に配置された穴部161よりも深く設定してもよい。さらに、角部352に配置された穴部161の内径を、4つの辺110と平行に配置された穴部161の内径よりも大きく設定してもよい。以上のようにすれば、ダミービア導体162によって、応力が集中しやすい角部352の靭性がよりいっそう向上する。これにより、上記したクラック215の発生を確実に抑制することができる。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、カバー層部108,109の外周部となる領域に、多数の穴部161がコンデンサ内ビア導体131,132を包囲するように設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば図7に示すセラミックコンデンサ311のように、カバー層部108,109の外周部において、4つの辺110とそれぞれ平行に延びるスリット状に形成された穴部163をコンデンサ内ビア導体131,132を包囲するように設け、穴部163内にダミービア導体164を形成してもよい。このようにすれば、上記したクラック215がカバー層部108,109に進展した際に、クラック215が穴部163に到達する確率が高くなる。これにより、カバー層部108,109の外周部において、クラック215の進展をより確実に防止することができる。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、カバー層部108のみを厚さ方向に貫通する穴部161と、カバー層部109のみを厚さ方向に貫通する穴部161とが設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば図9に示すセラミックコンデンサ321のように、コンデンサ形成層部107及びカバー層部108,109を厚さ方向に貫通し、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103の両方にて開口する穴部165を設け、穴部165内にダミービア導体166を形成してもよい。このようにすれば、上記したクラック215がコンデンサ形成層部107及びカバー層部108,109のどちらに進展したとしても、穴部165に到達する確率が高くなる。これにより、コンデンサ形成層部107の外周部及びカバー層部108,109の外周部の両方において、クラック215の進展を防止することができる。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、ダミービア導体162の高さが穴部161の深さと等しくなっていたが、これに限定されるものではない。例えば図13に示すセラミックコンデンサ361のように、ダミービア導体362の高さを穴部161の深さよりも小さくしてもよい。このようにすれば、コンデンサ主面102に接する樹脂層間絶縁層33の一部やコンデンサ裏面103に接する樹脂層間絶縁層34の一部が穴部161内に入り込むようになるため、セラミックコンデンサ361とビルドアップ層31,32との接合強度が向上し、ひいては配線基板10の信頼性が向上する。また、図14に示すセラミックコンデンサ363のように、ダミービア導体364の高さを穴部161の深さよりも大きくしてもよい。このようにすれば、コンデンサ主面102からのダミービア導体364の突出部分が樹脂層間絶縁層33内に食い込んだり、コンデンサ裏面103からのダミービア導体364の突出部分が樹脂層間絶縁層34内に食い込んだりするようになる。その結果、セラミックコンデンサ363とビルドアップ層31,32との接合強度が向上し、ひいては配線基板10の信頼性が向上する。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、穴部161の深さがカバー層部108,109の厚さと等しくなっていたが、これに限定されるものではない。例えば図15に示すセラミックコンデンサ371のように、穴部167の深さをカバー層部108,109の厚さよりも小さく(具体的には、2層分のセラミック誘電体層153の厚さと等しく)するとともに、穴部167内にダミービア導体168を形成してもよい。即ち、穴部167をコンデンサ形成層部107に形成しないことにより、ダミービア導体168を内部電極141,142に電気的に接続しないようにしてもよい。このようにすれば、内部電極141,142の外周部分をコンデンサ側面106の近傍に近づけることにより、内部電極141,142の面積を大きくすることができるため、セラミックコンデンサ371の高容量化を図ることができる。
・上記実施形態のカバー層部108,109は、複数のセラミック誘電体層153とダミー電極層154とを交互に積層した構造を有していた。しかし、ダミー電極層154を省略し、カバー層部108,109をセラミック誘電体層153のみによって構成してもよい。
・上記実施形態では、カバー層部108,109のセラミック誘電体層153がコンデンサ形成層部107のセラミック誘電体層105よりも厚く形成され、カバー層部108,109のダミー電極層154がコンデンサ形成層部107の内部電極141,142よりも厚く形成されていた。しかし、セラミック誘電体層153の厚さをセラミック誘電体層105の厚さと等しく設定するとともに、ダミー電極層154の厚さを内部電極141,142の厚さと等しく設定してもよい。このようにすれば、同じ厚さのグリーンシートを積層してセラミック焼結体104を焼成することができるため、その製造コストを抑えることができる。また、カバー層部108,109において、ダミー電極層154の配置間隔が短くなるので、上記したクラック215の発生を確実に防止することができる。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102側にカバー層部108が設けられるとともに、セラミック焼結体104のコンデンサ裏面103側にカバー層部109が設けられていた。しかし、カバー層部108,109は、コンデンサ主面102側にのみ設けられていてもよいし、コンデンサ裏面103側にのみ設けられていてもよい。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101では、コンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103の両方に端子電極(電極111,112,121,122)が形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、図10に示すセラミックコンデンサ331のように、コンデンサ主面102側のみに端子電極(電極111,112)が形成されていてもよい。
・上記実施形態の配線基板10では、コア基板11の上面12及び下面13にて開口する収容穴部91にセラミックコンデンサ101が内蔵されていたが、これに限定されるものではない。例えば、収容穴部91をコア基板11の上面12のみにて開口する有底の凹部(非貫通穴部)とし、そこにセラミックコンデンサ101を内蔵してもよい。
・上記実施形態では、配線基板10のパッケージ形態はBGA(ボールグリッドアレイ)であるが、BGAのみに限定されず、例えばPGA(ピングリッドアレイ)やLGA(ランドグリッドアレイ)等であってもよい。
・上記実施形態は、配線基板10にセラミックコンデンサ101を内蔵するものであったが、配線基板10の基板主面上にセラミックコンデンサ101を表面実装してもよい。図11はその具体例を示している。図11の配線基板341は、基板主面342上にセラミックコンデンサ101がフリップチップ方式にて表面実装されている。この配線基板341において、はんだを用いてセラミックコンデンサ101を表面実装する際には、配線基板341とセラミックコンデンサ101との熱膨張差により、セラミックコンデンサ101の表層付近に圧縮応力が加わる。セラミックコンデンサ101は、カバー層部108,109において広面積のダミー電極層154が形成されておりその靭性が十分に確保されている。このため、カバー層部108,109において、セラミックコンデンサ101の外周面を起点とするクラックの発生が回避される。また仮にクラックが発生、進展した場合でも、穴部161においてクラックが止まり、内層のコンデンサ形成層部107までクラックが進展することはない。
さらに、図12の配線基板343のように、基板主面344とセラミックコンデンサ101との隙間をアンダーフィル材345(樹脂材)にて封止してもよい。この配線基板343において、アンダーフィル材345による封止工程では、アンダーフィル材345の熱硬化収縮による引っ張り応力がセラミックコンデンサ101に作用する。セラミックコンデンサ101は、カバー層部108,109において広面積のダミー電極層154が形成されておりその靭性が十分に確保されている。このため、カバー層部108,109において、セラミックコンデンサ101の外周面を起点とするクラックの発生を回避することができる。また仮にクラックが発生した場合でも、穴部161においてクラックが止まり、内層のコンデンサ形成層部107までクラックが進展することはない。
・上記実施形態の製造方法では、グリーンシート積層体において上側のカバー層部108となる部位に複数の穴部161を形成した後、グリーンシート積層体を裏返した状態で、下側のカバー層部109となる部位に複数の穴部161を形成していたが、例えば以下の方法に変更してもよい。即ち、コンデンサ形成層部107となる第1グリーンシートの積層体とカバー層部108,109となる第2グリーンシートの積層体とを別々に形成し、第2グリーンシートの積層体に対して複数の穴部161を形成する。その後、第1グリーンシートの積層体と第2グリーンシートの積層体とを接合してグリーンシート積層体を形成する。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有する板状のコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の厚さ方向に沿って延びる複数のビア穴内に形成された複数のコンデンサ内ビア導体とを備えるコンデンサであって、前記コンデンサ本体が、複数の第1誘電体層と前記複数のコンデンサ内ビア導体に電気的に接続された複数の内部電極とを交互に積層してなる第1誘電体積層部と、前記コンデンサ本体の前記コンデンサ主面または前記コンデンサ裏面にて露出するように配置された第2誘電体積層部とを含んで構成され、厚さ方向から見て前記第2誘電体積層部の少なくとも外周部となる領域に、前記第2誘電体積層部の厚さ方向に沿って延びるとともに前記コンデンサ主面及び前記コンデンサ裏面の少なくとも一方にて開口する穴部が、前記コンデンサ内ビア導体を包囲するように設けられ、前記穴部内に、前記内部電極に電気的に接続されていないダミービア導体が、前記コンデンサ内ビア導体と同じ材料を用いて形成されていることを特徴とするコンデンサ。
(2)技術的思想(1)において、前記穴部の深さが前記第2誘電体積層部の厚さと等しいことを特徴とするコンデンサ。
(3)技術的思想(2)において、前記穴部の深さが前記第2誘電体積層部の厚さよりも小さいことを特徴とするコンデンサ。
(4)コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有する板状のコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の厚さ方向に沿って延びる複数のビア穴内に形成された複数のコンデンサ内ビア導体とを備えるコンデンサであって、前記コンデンサ本体が、複数の第1誘電体層と前記複数のコンデンサ内ビア導体に電気的に接続された複数の内部電極とを交互に積層してなる第1誘電体積層部と、複数の第2誘電体層と、前記複数のコンデンサ内ビア導体に電気的に接続されていないダミー電極層とを交互に積層してなり、前記コンデンサ本体の前記コンデンサ主面または前記コンデンサ裏面にて露出するように配置された第2誘電体積層部とを含んで構成され、前記ダミー電極層は、前記内部電極と同じ材料を用いて形成され、厚さ方向から見て前記第2誘電体積層部の少なくとも外周部となる領域に、前記第2誘電体積層部の厚さ方向に沿って延びるとともに前記コンデンサ主面及び前記コンデンサ裏面の少なくとも一方にて開口する穴部が、前記コンデンサ内ビア導体を包囲するように設けられていることを特徴とするコンデンサ。
(5)技術的思想(4)において、前記ダミー電極層の厚さは、前記内部電極の厚さ以上であることを特徴とするコンデンサ。