以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
<画像表示装置の概略構成>
図1は、第1実施形態に係る画像表示装置1を示す図である。画像表示装置1は、有機発光ダイオードの発光を利用している。
画像表示装置1は、テレビ等の家電機器、携帯電話又はコンピュータ機器等の電子機器に用いるものであり、素子基板2と、素子基板2上に実装される実装回路3とを有している。
素子基板2は、例えば、ガラス、プラスチック、金属又はセラミックからなり、素子基板2の中央に位置する表示部D1には、複数の画素4がマトリックス状に配列されている。また、素子基板2の端部に位置する実装部D2には、実装回路3が実装されている。
また、画素4は、赤色、緑色又は青色のいずれかの色を発光することができる。このことは、後述するように有機発光ダイオード5を構成する材料を適宜選択することによって、発光する色を決定することができる。なお、本実施形態においては、画素を赤色、緑色又は青色のいずれかの色を発光するものとしたが、例えば白色又は橙色等の色を発光するようにしてもよい。
画素4は、図2に示すように、発光領域R1と該発光領域R1の周囲を取り囲む非発光領域R2とを含んで構成されており、発光領域R1に発光可能な有機発光ダイオード5が設けられている。なお、図2は、図1の表示部D1の一部を拡大した平面図である。
また、各画素4には、隔壁6が設けられている。隔壁6は、断面が上部よりも下部が幅狭の形状であって、後述する絶縁物7上に形成されている。隔壁6上には、後述するように、蒸着法を用いて有機発光ダイオード5を構成する層を塗り分けるのに、蒸着マスクを載置することができる。隔壁6は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸化窒化ケイ素等の無機絶縁材料、あるいはフェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂又はポリイミド樹脂等の有機絶縁材料から成る。なお、隔壁6の厚みは、例えば、1μm以上4μm以下に設定されている。
また、隔壁6にて囲まれる領域に後述する第2電極層17が形成されている。第2電極層17は、後述するように蒸着法を用いて表示部D1全面に形成しようとしたとき、隔壁6によって第2電極層17が画素4ごとに形成される。隔壁6が上部よりも下部が幅狭になっていることにより、隔壁6の上面には、第2電極層17と同一材料の膜が被着するものの、隔壁6の側面全てに第2電極層17が被着しないため、隔壁6の側面で第2電極層17が不連続となる。
また、素子基板2上には、素子基板2に対して対向するように配置された封止基板8が形成されている。封止基板8は光を透過する基板から成り、例えば、ガラス又はプラスチックを用いることができる。なお、本実施形態においては、素子基板2側から封止基板8側に向けて光が発せられるトップエミッション型の有機ELディスプレイであるため、封止基板8は光を透過する部材が用いられる。
素子基板2の表示部D1には、画素4を被覆するように保護膜9が形成されている。保護膜9は、隔壁6をも被覆するように形成されることで、各画素4に酸素又は水分が浸入するのを低減し、各画素4の特性が変化するのを抑制することができる。保護膜9は、例えば、窒化珪素、酸化珪素又は酸化窒化珪素等の無機絶縁材料から成る。さらに、保護膜9上にシール材10を介して封止基板8が貼り合わされている。なお、保護膜9は、各画素4の特性が変化するのを抑制するために、厚みが1μm以上に設定されている。
シール材10は、接着材としての機能を有し、硬化することによって素子基板2と封止基板8とを固着することができる。かかるシール材10は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂又はシリコン樹脂等の光硬化性樹脂、あるいは熱硬化性の樹脂を用いることができる。なお、本実施形態においては、紫外線の照射により硬化する光硬化性のエポキシ樹脂を用いる。なお、シール材10は有機樹脂材料からなり、素子基板2と封止基板8とを強固に接着させるために、厚みが1μm以上に設定されている。
次に、図3に示すように、素子基板2と封止基板8との間に形成される各種層について説明する。なお、図3は、図2の長破線におけるA−A断面図における一画素の断面図である。
素子基板2上には、TFTや電気配線等から成る回路層11が形成されている。さらに、回路層11上には、回路層11の所定領域以外が電気的にショートしないように、例えば窒化珪素、酸化珪素又は酸化窒化珪素等から成る絶縁層12が形成されている。
また、絶縁層12上には、回路層11及び絶縁層12に起因する表面の凹凸を低減するために、平坦化膜13が形成されている。回路層11は、複数の電気配線がパターニングされているため、その表面には凹凸が形成される。有機発光ダイオード5を凹凸な面上に形成すると、有機発光ダイオード5を構成する電極層同士が短絡し、有機発光ダイオード5が発光しないことがある。そのため、絶縁層12上に平坦化膜13が形成される。
かかる平坦化膜13は、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の絶縁性を有する有機材料を用いることができる。なお、平坦化膜13の厚みは、例えば2μm以上5μm以下に設定されている。
また、平坦化膜13には、平坦化膜13を貫通する貫通孔としてのコンタクトホールSが形成されている。かかるコンタクトホールSは、上部よりも下部が幅狭に形成されている。コンタクトホールSは、各画素4に形成されており、コンタクトホールSの底部には、回路層11の一部が露出している。
図4は、有機発光ダイオード5の構成を説明するための断面図である。発光領域R1に位置する平坦化膜13上には、有機発光ダイオード5が形成されている。図3及び図4に示すように、有機発光ダイオード5は、第1電極層14と、第1電極層14上に形成された電荷注入機能層15と、第1電極層14上に形成された発光層16と、発光層16上に形成された第2電極層17と、を含んで構成されている。ここで、発光領域R1は、第1電極層14と電荷注入機能層15が直接接するとともに、第1電極層14と第2電極層17との間に電流が流れることで発光する領域のことをいう。
第1電極層14は、平坦化膜13上に形成される。第1電極層14は、例えば、アルミニウム、銀、銅、金、ロジウム又はネオジム等の光高反射金属、あるいはこれらの合金等の光反射率の大きい材料から成る。このように、第1電極層14を光反射率の大きい材料から構成することにより、トップエミッション型の有機発光ダイオード5においては光取り出し効率を向上させることができる。なお、第1電極層14の厚みは、例えば、50nm以上500nm以下に設定されている。
電荷注入機能層15は、第1電極層15上に形成される。電荷注入機能層15は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛の光透過性を有するとともに、電荷注入機能を備えた導電材料を用いて形成される。このように、電荷注入機能層15は、光透過性の材料であることから、第1電極層14で反射した光が透過して、画像表示装置の外部に向けて効率良く光を出射することができる。また、電荷注入機能層15は、電荷注入機能を備えていることから、第1電極層14から注入される電荷を効率良く発光層16に向けて注入及び輸送することができる。
そして、発光領域R1に対応する電荷注入機能層15上に発光層16が形成され、その上に第2電極層17が形成される。なお、発光層16の一部は、発光領域R1に位置する電荷注入機能層15上から非発光領域R2に位置する絶縁物7の傾斜する側面にかけて形成されている。
発光層16は、絶縁物7で囲まれる電荷注入機能層15上に形成され、複数の層から構成されている。本実施形態においては、発光層16は、正孔注入層18、正孔輸送層19、有機発光層20、電子輸送層21及び電子注入層22を順次積層した構成である。また、発光層16の各層を構成する材料は、発する光の色に応じて、適当な材料が選択される。発光層16が、例えば、赤色を発する場合について説明する。
この場合、正孔注入層18は、例えば、酸化ニッケル、酸化チタン、フッ化炭素、銅フタロシアニン(CuPc)、或いは1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン又はこれにシアノ基などが結合した誘導体等の複素環化合物から成る。正孔注入層18の厚みは、例えば5nm以上40nm以下に設定されている。
また、正孔輸送層19は、例えばN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)等の芳香族ジアミン化合物、および4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)等のスターバースト芳香族又は芳香族アミン化合物を用いることができる。正孔輸送層19の厚みは、例えば、10nm以上50nm以下に設定されている。
また、有機発光層20は、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム、1,4−フェニレンビス(トリフェニルシラン)、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリ(9H−カルバゾール−9−イル)ベンゼン、CBP、Alq3又はSDPVBi等のホスト材料に、トリス(1−フェニルイソキノリナト−C2,N)イリジウム等の有機金属化合物、或いはDCJTB、クマリン、キナクリドン、フェナンスレン基を有するペリノン誘導体、或いはオリゴチオフェン誘導体又はペリレン誘導体等のドーパント材料を含有したものを用いることができる。有機発光層20の厚みは、例えば20nm以上40nm以下に設定されている。
また、電子輸送層21は、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエンを用いることができる。電子輸送層21の厚みは、例えば20nm以上60nm以下に設定されている。
また、電子注入層22は、例えば、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化炭素等を用いることができる。電子注入層22の厚みは、例えば、0.5nm以上2nm以下に設定されている。
発光層16上には、第2電極層17が形成されている。第2電極層17は、発光層16の上面側から光を取り出すために、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、錫酸化物等の光透過性を有する導電材料を用いて形成される。また、第2電極層17が、例えば、マグネシウム、銀、アルミニウム又はカルシウム等の材料から成る場合、その厚みを100nm以下にすることによって、光透過性の電極とすることができる。このようにして、第2電極層17は、発光層16の発する光が透過する。そして、透過した光は、画像表示装置1の外部に放出される。
発光層16は、第1電極層14と第2電極層17との間に電流が流れ、発光層16中に注入された正孔と電子とが結合することによって励起されて発光する。そして、発光層16が発する光が第1電極層14と第2電極層17との間で定在波となって共振し、発光する光を強めるために、発光層16の厚みが調整されている。
また、平坦化膜13上であって、第1電極層14及び電荷注入機能層15と間を空けて第3電極層23が形成されている。第3電極層23は、例えば、アルミニウム、銀、銅、金、ロジウム又はネオジム等の金属材料、あるいはこれらの合金等から成る。なお、第3電極層23は、第1電極層14と同一材料から構成しても良い。そして、第3電極層23上からコンタクトホールSの内壁面にかけてコンタクト電極層24が形成されている。
コンタクト電極層24は、コンタクトホールSの内壁面からコンタクトホールSの底部にかけて形成され、コンタクトホールSの底部から露出する回路層11の一部と接続されている。そして、第3電極層23の直上に位置するコンタクト電極層24の一部と第2電極層17とが接続されている。ここで、第2電極層17は、電荷注入機能層15の直上から第3電極層23の直上にかけて絶縁物7を越えて形成されている。また、コンタクト電極層24は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛等の親水性の導電性材料からなる。
また、絶縁物7は、発光領域R1、およびコンタクト電極層24と第2電極層17とが接続されるコンタクト領域R3を取り囲むように形成されている。つまり、絶縁物7は非発光領域R2上に形成される。そして、絶縁物7の一部は、コンタクトホールSに起因した窪みに充填されている。さらに、絶縁物7の一部は、平坦化膜13と接続されている。かかる絶縁物7は、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂又はポリイミド樹脂等の有機絶縁材料、あるいは窒化珪素、酸化珪素又は酸化窒化珪素等の無機絶縁材料からなる。なお、絶縁物7の一部は、導電性の電荷注入機能層15と第2電極層17との間に介在させ、両者が短絡するのを防止する機能を有している。仮に、電荷注入機能層15と第2電極層17とが短絡すると発光層16に電流が流れにくくなり、発光層16が発光しなくなる。
ここで、親水性の材料について説明する。酸化物の一種であるコンタクト電極層24は、酸化物であって供給結合の物質であり、種類の異なる原子同士の電気陰性度の差又は分子の非対称な立体構造による電荷の偏りの影響に起因し、分子内における正電荷と負電荷の重心が一致せず、極性分子となる。例えば、水は極性分子であって、水に溶けやすく他の極性分子と混ざりやすいため、親水性である。このように、極性分子となる酸化物等は親水性を示す。
本実施形態によれば、コンタクトホールSに親水性のコンタクト電極層24を形成し、かかるコンタクト電極層24上に親水性の絶縁物7を設けたことから、絶縁物7の剥離を効果的に抑制し、有機発光ダイオードの絶縁不良を良好に抑制することが可能な画像表示装置を提供することができる。
<画像表示装置の製造方法>
以下に、第1実施形態に係る画像表示装置1の製造方法について、図5〜図11を用いて詳細に説明する。
まず、素子基板2上に、回路層11及び絶縁層12xをパターニングして形成された基板を準備する。なお、回路層11及び絶縁層12xは、従来周知の蒸着法、CVD法又はスパッタリング法等の薄膜形成技術、フォトリソグラフィー法又はエッチング法等の薄膜加工技術を用いて、所定パターンに形成される。
そして、図5(A)に示すように、回路層11及び絶縁層12xを被覆するように例えば従来周知のスピンコート法を用いて有機樹脂膜13xを形成する。さらに、図5(B)に示すように、有機樹脂膜13x上に露光マスクを用いて有機樹脂膜13xを露光し、さらに現像、ベーキング処理を行い、上部よりも下部が幅狭なコンタクトホールSを有する平坦化膜13を形成する。なお、有機樹脂膜13xは、硬化させるとともにコンタクトホールSを形成した後に平坦化膜13となる。コンタクトホールSの底部には、絶縁層12xが露出している。平坦化膜13を形成する工程では、コンタクトホールSを形成した後に、回路層11を絶縁層12で被覆しておくことで、回路層11が大気中に晒されるのを防止することができる。
次に、図5(C)に示すように、平坦化膜13上に、例えば、アルミニウムとネオジムとの合金を用いた電極金属膜14xを形成する。具体的には、平坦化膜13及び絶縁層12に対して、スパッタリング法を用いて電極金属膜14xを形成する。そして、図6(A)に示すように、電極金属膜14xは、薄膜加工技術を用いてパターニングされると、第1電極層14と第3電極層23となる。このとき、コンタクトホールSの内壁面に被着していた第1電極層14xの一部は、取り除かれて、コンタクトホールSの底部から絶縁層12が露出した状態となる。なお、電極金属膜14xをパターニングするときに、回路層11が絶縁層12で被覆された状態であるため、回路層11が大気中に晒されて酸化するのを抑制することができる。仮に、コンタクトホールSの底部から回路層11が露出している状態で、電極金属膜14xをパターニングすると、電極金属膜14xとともに回路層11の一部もエッチングされる可能性があり、画素の導通不良が発生するのを抑制することができる。
次に、図6(B)に示すように、薄膜加工技術を用いて、コンタクトホールSの底部に位置する絶縁層12の一部をエッチングし、回路層11を露出させる。さらに、図7(A)に示すように、薄膜形成技術を用いて、第1電極層14、第3電極層23、およびコンタクトホールSの内壁面から露出する回路層11にかけて、例えばインジウム錫酸化物(ITO)からなる親水性の薄膜金属層15xを形成する。そして、回路層11の一部と薄膜金属層15xを接続する。なお、薄膜金属層15xを形成した後、薄膜金属層15xの表面に対して、紫外線を照射し、薄膜金属層15xの親水性を向上させてもよい。薄膜金属層15xの表面が親水性であればあるほど、後述するように絶縁物7とコンタクト電極層24との接着性を効果的に大きくすることができる。
次に、図7(B)に示すように、薄膜金属層15xを被覆するポジ型のフォトレジストからなる被加工膜Rxを形成する。そして、図8(A)に示すように、後述するように薄膜金属層15xをエッチングする箇所の直上に位置する被加工膜Rxを露光する。なお、露光した後の被加工膜Rxを被加工膜Ryとする。露光する箇所は、第1電極層14を取り囲む箇所であって、第1電極層14の外周に位置する被照射部L1、L2が対象となる。さらに、露光する箇所は、コンタクトホールSの内壁面から隣接する画素の第1電極層14上にまで形成される薄膜金属層15xを分断するために、平坦化膜13と接する薄膜金属層15x上に位置する被照射部L3が対象となる。
次に、図8(B)に示すように、被加工膜Ryの露光されている被照射部L1,L2,L3を現像するとともに、加工孔H1,H2,H3を有する被加工膜Rzから露出する薄膜金属層15xをエッチングする。なお、被照射部L1が現像されると加工孔H1となり、被照射部L2が現像されると加工孔H2となり、被照射部L3が現像されると加工孔H3となる。このとき、薄膜金属層15xは、パターニングされて発光領域R1に位置する第1電極層14上に電荷注入機能層15が形成され、同時にコンタクトホールSの内壁面から第3電極層23上にかけてコンタクト電極層24が形成される。
次に、図9(A)に示すように、残存する被加工膜Rzに対して、例えば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)などの親水性、もしくは水溶性の有機アルカリ現像液を用いて、被加工膜Rzをエッチングする。そして、電荷注入機能層15、および第3電極層23上に残存した被加工膜Rzをエッチングし、その後、被加工膜Rzを例えばアミン系レジスト剥離液で剥離する。
次に、電荷注入機能層15、コンタクト電極層24、および露出する平坦化膜13上に、例えば、アクリル樹脂からなる絶縁膜を形成する。そして、図9(B)に示すように、絶縁膜に対して薄膜加工技術を用いてパターニングし、コンタクト領域R3を除く非発光領域R2上に絶縁物7を形成する。このとき、特に、絶縁物7とコンタクト電極層24との間には、有機アルカリ現像液が浸透するが、絶縁物7とコンタクト電極層24が親水性の材料同士であり、密着性に優れているため、コンタクト電極層24と絶縁物7の両者が良好に接着する。このとき、コンタクト電極層24は酸化物の一種であるため、被加工膜Rzを現像又は剥離する際に、コンタクト電極層24の表面上にミストなどの付着によって新たに水酸化物あるいは酸化物を形成することがない。このため、絶縁物7形成に際して、安定した表面状態を維持することが出来、パターン不良などの問題が起こりにくい。
次に、図10(A)に示すように、絶縁物7上に、薄膜形成技術及び薄膜加工技術を用いて、一画素を取り囲むように上部よりも下部が幅狭な隔壁6を形成する。
そして、図10(B)に示すように、第1電極層14上に、例えば、蒸着法を用いて、発光層16を形成する。具体的には、発光層16を形成する際は、蒸着マスクを隔壁6上に載置する。そして、各画素4を、赤色、緑色又は青色と発光する色に応じた有機材料を塗り分けることができる。
次に、図11(A)に示すように、発光層16上から絶縁物7上にかけて、例えば、マグネシウムと銀との合金からなる第2電極層17を形成する。第2電極層17を形成する際は、蒸着マスクを用いずに、表示部D1全面に第2電極層17を構成する材料を被着させる。そして、発光層16上から絶縁物7上を介してコンタクト電極層24上にまで形成することができる。このようにして、各画素4に有機発光ダイオード5を形成することができる。そして、第2電極層17とコンタクト電極層24とを直接接続することにより、第2電極層17とコンタクト電極層24とを電気的に接続することができる。
さらに、図11(B)に示すように、例えば、スパッタリング法又はCVD法を用いて、表示部D1上に有機発光ダイオード5が劣化しないように保護膜9を形成する。有機発光ダイオード5を保護膜9で被覆することにより、外気から有機発光ダイオード5が晒されるのを防止することができる。
次に、ガラスからなる封止基板8を準備する。そして、封止基板8上に、例えば、ディスペンサ法又はスクリーン印刷法を用いて、未硬化のシール材を塗布する。このようにして、未硬化のシール材が塗布された状態の封止基板8を準備することができる。
次に、上述した工程により得られた積層体を有する素子基板2と未硬化のシール材が塗布された封止基板8の両方を用意する。そして、両基板を位置合わせして、両基板を未硬化のシール材を介して貼り合わせる。なお、封止基板8を未硬化のシール材によって、素子基板2に貼り合わせる作業は、例えば窒素ガス又はアルゴンガス等の不活性ガス中や、高真空中で行うことによって、素子基板2と封止基板8との間に酸素や水分が含まれるのを抑制することができる。
さらに、未硬化のシール材を硬化させて、素子基板2と封止基板8の両者を固着させることができる。ここで、未硬化のシール材が硬化することにより、シール材10となる。このようにして、有機ELパネルを作製することができる。そして、素子基板2の非表示領域D2上に実装回路3を実装することで、画像表示装置1を作製することができる。
本実施形態によれば、絶縁物7とコンタクト電極層24との接着性を良好に維持することにより、両者の剥離を効果的に抑制することができる。その結果、有機発光ダイオード5の絶縁不良が発生するのを抑制することができる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態に係る画像表示装置1では、第2電極層17及び回路層11の両方と直接接続されるコンタクト電極層24を用いて画素が構成されていた。これに対して、第2実施形態に係る画像表示装置では、第3電極層を平坦化膜上からコンタクトホールSの底部にまで延在して、第3電極層と回路層とを直接接続する。
<画像表示装置の構成>
第2実施形態に係る画像表示装置は、第1実施形態に係る画像表示装置と比較して、画素の構造が変更され、コンタクトホールS内に形成される層が変更されたものとなっている。なお、第2実施形態に係る画像表示装置のうち、第1実施形態に係る画像表示装置と同様な部分については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図12に示すように、画素4Bの断面は、コンタクトホールSの内壁面にまで平坦化膜13上から第3電極層23Bが延在され、第3電極層23Bと回路層11とが直接接続された構成となる。
また、第3電極層23B上には、第3電極層23Bの上面に沿って、酸化抑制層25が形成される。酸化抑制層25は、例えば、モリブデン、タングステン又はチタン、或いはこれら含有する金属材料からなる。また、酸化抑制層25の厚みは、例えば、5nm以上100nm以下に設定されている。酸化抑制層25は、酸化抑制層25の下面に位置する第3電極層23Bの上面が酸化するのを抑制する機能を備えている。仮に、回路層11と接続される第3電極層23Bの上面の酸化が進行しているとすると、第3電極層23Bの電気抵抗が非常に大きくなり、回路層11と第3電極層23Bとの間の電気特性が悪化する。そのため、酸化抑制層25を第3電極層23Bの上面に形成し、第3電極層23Bの電気抵抗が大きくなるのを抑制する。
そして、酸化抑制層25上には、酸化抑制層25の上面に沿って、コンタクト電極層24Bが形成される。コンタクト電極層24Bは、第2電極層17と回路層11とを電気的に接続する。そして、第3電極層23Bと酸化抑制層25とが導電材料からなるため、回路層11とコンタクト電極層24Bとが電気的に接続される。
また、非発光領域R2に位置する第1電極層14上には、保護金属層26が形成される。保護金属層26は、後述する有機発光ダイオード5Bの形成する製造プロセスにおいて第1電極層14を形成後、酸化抑制層25を形成するまでの間、第1電極層14の上面が酸化する等のプロセスダメージを受けるのを軽減する機能を備えている。仮に、第1電極層14の上面の酸化が大きく進行していると、第1電極層14と第2電極層17との間に電圧を印加して発光層15を発光させようとしても、第1電極層14から電荷注入機能層15Bへの電荷注入効率が低下し、発光層15の発光輝度が所望する発光輝度と比較して大きくて低下する結果となる。
保護金属層26は、第1電極層14との密着性が優れた材料が選択され、保護金属層26と第1電極層14との界面における剥離を効果的に抑制することができる。なお、保護金属層26は、例えば、モリブデン、タングステン又はチタン、或いはそれらを含有する金属材料からなる。また、保護金属層26の厚みは、例えば、5nm以上100nm以下に設定されている。
そして、保護金属層26の上面には、電荷注入機能層15Bの一部が形成される。電荷注入機能層15Bは、発光領域R1に位置する第1電極層14上から保護金属層26上にまで延在されている。電荷注入機能層15は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛等の光透過性を有するとともに、電荷注入機能を備えた導電材料を用いて形成される。
<画像表示装置の製造方法>
以下に、第2実施形態に係る画像表示装置1の製造方法について、図5(A)、及び図13〜図18を用いて詳細に説明する。なお、第1実施形態に係る画像表示装置の製造方法と異なる工程について説明し、第1実施形態の製造方法と同様な部分について適宜説明を省略する。
まず、図5(A)に示すように、回路層11及び絶縁層12xを被覆するように例えば従来周知のスピンコート法を用いて有機樹脂膜13xを形成した基板を準備する。
次に、図13(A)に示すように、有機樹脂膜13xに対して、薄膜加工技術を用いてコンタクトホールSを有する平坦化膜13を形成する。このとき、コンタクトホールSの底部には、回路層11が露出している。本実施形態に係る平坦化膜13を形成する工程では、コンタクトホールSを形成する際に、有機樹脂膜13x及び絶縁層12xを貫通して、コンタクトホールSを形成する。
次に、図13(B)に示すように、平坦化膜13上に、例えばアルミ二ウムとネオジムとの合金を用いた第1電極層14を形成するともに、コンタクトホールSの内壁面から平坦化膜13上にかけて第3電極層23Bを形成する。第3電極層23Bと第1電極層14とは、分離されている。なお、第1電極層14と第3電極層23Bとは、薄膜形成技術及び薄膜加工技術を用いて、一層の金属膜がパターニングされて同時に形成される。つまり、第1電極層14と第3電極層23Bとは同じ材料から構成される。
次に、図13(C)に示すように、薄膜形成技術を用いて、露出する平坦化膜13、第1電極層14及び第3電極層23B上に沿って、例えばモリブデンからなる保護金属膜26xを形成する。そして、製造工程中において、第1電極層14及び第3電極層23Bの上面が酸化するのを抑制する。また、保護金属膜26xは、第1電極層14、第3電極層23Bと同時に、薄膜形成技術を用いて形成してもよい。このときは、第1電極層14、第3電極層23Bを例えばスパッタ法によって成膜した後、真空中で保護金属膜26xを成膜することが出来るので、第1電極層14及び第3電極層23Bの上面の酸化はさらに抑制される。
次に、図14(A)に示すように、保護金属膜26xをパターニングするために、保護金属膜26x上にフォトレジストからなる被加工膜RBを形成する。被加工膜RBは、保護金属膜26x上であって、非発光領域R2に形成される。そして、図14(B)に示すように、被加工膜RBで被覆されていない保護金属膜26xに対して、例えばドライエッチングにてエッチングし、第1電極層14の上面の一部を露出させる。このとき、平坦化膜13上に直接被着した保護金属膜26xの一部についてもエッチングされる。このようにして、保護金属膜26xをパターニングして、非発光領域R2に位置する第1電極層14上に保護金属層26を形成し、第3電極層23B上に酸化抑制層25を形成することができる。
また、図13(B)で示した第1電極層14及び第3電極層23Bのパターニングおよび図14(B)で示した保護金属膜26xのパターニングは、例えばハーフトーン技術により、同一のフォトマスクを用いて形成することも可能である。なお、ハーフトーン技術とは、光が透過しやすい領域と、光が透過しにくい領域と、光が透過しない領域を備えたフォトマスクを用いて、レジストパターンの厚みを意図的に調整することが可能な技術である。
そして、ハーフトーン技術を用いた実施法を述べる。まず、保護金属膜26xは、第1電極層14及び第3電極層23Bを同時に、薄膜形成技術を用いて形成してもよい。このときは、第1電極層14及び第3電極層23Bを例えばスパッタ法によって成膜した後、真空中で保護金属膜26xを成膜することが出来るので、第1電極層14及び第3電極層23Bの上面の酸化はさらに抑制される。その後、ハーフトーン技術により、保護金属膜26xのレジストパターンを、第1電極層14及び第3電極層23Bのレジストパターンより厚い膜厚で形成する。その後、第1電極層14、第3電極層23B及び保護金属膜26xの一部を例えばウェットエッチングで除去する。その後、例えば酸素アッシングなどにより、第一電極層14及び第3電極層23Bのレジストパターンを除去する。このとき、保護金属膜26xのレジストパターンは、第1電極層14及び第3電極層23Bのレジストパターンより膜厚が厚いため、まだレジストパターンは保持されている。その後、例えばドライエッチングにより保護金属膜26xをパターニングする。
次に、図15(A)に示すように、被発光領域R2に残存する被加工膜RBに対して、薄膜加工技術を用いて、被加工膜RBを取り除く。このとき、第3電極層23Bの上面は、酸化抑制層25にて被覆されていることにより酸化が抑制される。なお、第3電極層23Bの上面は、保護金属膜26xを形成してから常に酸化が抑制された状態が維持されている。
次に、図15(B)に示すように、表示部D1を被覆するように、例えばインジウム錫酸化物(ITO)からなる電荷注入機能膜15Bxを形成する。電荷注入機能膜15Bxは、保護金属膜27、第1電極層14、露出する平坦化膜13、および酸化抑制層25上に連続するように形成される。そして、薄膜加工技術を用いて、平面視して第1電極層14及び第3電極層23Bと重なる領域に電荷注入機能膜15Bxを残すように、電荷注入機能膜15Bxをパターニングする。その結果、図16(A)に示すように、平面視して第1電極層14と重なる領域に電荷注入機能層15Bを形成し、平面視して第3電極層23Bと重なる領域にコンタクト電極層24Bを形成することができる。なお、電荷注入機能層15Bとコンタクト電極層24Bとは、薄膜形成技術及び薄膜加工技術を用いて、一層の膜からパターニングされて同時に形成される。つまり、電荷注入機能層15Bとコンタクト電極層24Bとは同じ材料から構成される。
次に、図16(B)に示すように、第1実施形態に係る製造工程と同様にして、薄膜形成技術及び薄膜加工技術を用いて、コンタクト領域R3を除く非発光領域R2上に絶縁物7を形成する。そして、図17(A)に示すように、絶縁物7上に、薄膜形成技術及び薄膜加工技術を用いて、一画素を取り囲むように上部よりも下部が幅狭な隔壁6を形成する。
さらに、図17(B)に示すように、第1電極層14上に、例えば、蒸着法を用いて、発光層16を形成する。具体的には、発光層16を形成する際は、蒸着マスクを隔壁6上に載置する。そして、各画素4Bを、赤色、緑色又は青色と発光する色に応じた有機材料を塗り分けることができる。
次に、図18(A)に示すように、発光層16上から絶縁物7上にかけて、例えば、マグネシウムと銀との合金からなる第2電極層17を形成する。第2電極層17を形成する際は、蒸着マスクを用いずに、表示部D1全面に第2電極層17を構成する材料を被着させる。そして、発光層16上から絶縁物7上を介してコンタクト電極層24B上にまで形成することができる。このようにして、各画素4に有機発光ダイオード5を形成することができる。そして、第2電極層17とコンタクト電極層24Bとを直接接続することにより、第2電極層17とコンタクト電極層24Bとを電気的に接続することができる。
さらに、図18(B)に示すように、例えば、スパッタリング法又はCVD法を用いて、表示部D1上に有機発光ダイオード5が劣化しないように保護膜9を形成する。有機発光ダイオード5を保護膜9で被覆することにより、外気から有機発光ダイオード5が晒されるのを防止することができる。
次に、第1実施形態の製造工程と同様にして、有機ELパネルを作製することができる。そして、素子基板2の非表示領域D2上に実装回路3を実装することで、画像表示装置1を作製することができる。
なお、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上述した実施形態においては、トップエミッションの画像表示装置について説明したが、本発明の作用効果を奏するのであれば、ボトムエミッションの画像表示装置であっても構わない。また、隔壁を有さないトップエミッション構造であって、且つ第2電極層が全画素で共通電極となるカソードコモンの画像表示装置であってもよい。