JP2010255011A - スパッタリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被スパッタリング面が平面状に形成されたターゲットを用いる場合に比べて、ターゲットの有効利用率を高めることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係るスパッタリング装置1は、成膜対象となる基板3を支持するステージ4と、一方の面を被スパッタリング面5aとし、ステージ4に支持される基板3に被スパッタリング面5aを対向させた状態で設けられたターゲット5とを備え、ターゲット5の被スパッタリング面5aがすり鉢状に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ターゲットの有効利用を図るうえで有用なスパッタリング装置に関する。
スパッタリング装置は、スパッタ現象を利用して基板に薄膜を形成する成膜装置である。スパッタ現象とは、プラズマ中の正イオンをターゲットの表面(以下、「被スパッタリング面」とも記す)に衝突させて、そこからターゲット粒子(ターゲット材料)をはじき出す現象である。スパッタ現象によってターゲットの表面からはじき出されたターゲット粒子は、基板の表面(以下、「被処理面」とも記す)に付着することで、そこに薄膜を形成する。その際、ターゲットの表面には、正イオンの衝突によって、エロージョンと呼ばれる侵食が発生する。
従来のスパッタリング装置では、真空チャンバの内部に、ターゲットの被スパッタリング面と基板の被処理面を平行にかつ対向する状態に配置して、真空チャンバ内に放電用のガスを導入し、電極(陰極、陽極)間に電圧を印加している。電極間に電圧を印加すると、真空チャンバ内にグロー放電によってプラズマが形成される。すると、プラズマ中の正イオンが、陰極側に配置されたターゲットに引き寄せられてその表面に衝突し、ターゲット粒子をはじき出す。ターゲットからはじき出されたターゲット粒子は、陽極側に配置された基板の表面に付着することで薄膜を形成する。
このようなスパッタリング技術に関して、例えば、特許文献1には、複数の分割されたタイルを平面状に配置して一つのターゲット組立体を構成する技術が開示されている。
特開2004−143548号公報
上述のように正イオンの衝突によってターゲットの表面からはじき出されるターゲット粒子は多方向(四方八方)に飛散する。このため、基板に向かうターゲット粒子だけでなく、基板以外のところ、例えば真空チャンバのチャンバ壁に向かうターゲット粒子も多々存在する。
ターゲットは、スパッタリングによる侵食がある程度進行した段階で使用限界を迎える。ターゲットの有効利用率(使用効率)は、使用前のターゲットの質量を“M1”とし、使用限界まで使用した後のターゲットの質量を“M2”とすると、次式で表される。
ターゲットの有効利用率(%)={(M1−M2)÷M1}×100
このため、基板以外に向かって飛散したターゲット粒子の量が多くなると、その分だけターゲットの有効利用率が低くなる。特に、ターゲットの外周部は中央部に比べて著しく侵食されるため、ターゲットの実質的な有効利用率は10数%と言われている。
本発明の目的は、被スパッタリング面が平面状に形成されたターゲットを用いる場合に比べて、ターゲットの有効利用率を高めることができる技術を提供することにある。
本発明に係るスパッタリング装置は、成膜対象となる基板を支持する基板支持部と、一方の面を被スパッタリング面とし、前記基板支持部に支持される基板に前記被スパッタリング面を対向させた状態で設けられたターゲットとを備え、前記ターゲットの被スパッタリング面がすり鉢状に形成されている。
本発明に係るスパッタリング装置においては、ターゲットの被スパッタリング面をすり鉢状に形成したことにより、特に、ターゲットの外周部から放出されるターゲット粒子に対して、被スパッタリング面の傾きに応じた方向性が付与される。これにより、被スパッタリング面が平面状に形成されたターゲットを用いる場合に比べて、基板方向に飛散するターゲット粒子の量が増える。
本発明に係るスパッタリング装置によれば、被スパッタリング面が平面状に形成されたターゲットを用いる場合に比べて、基板方向に飛散するターゲット粒子の量が増えるため、ターゲットの有効利用率を高めることができる
本発明の第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の構成を示す概略図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の主要部の構成例を示す図である。 図2のA−A矢視図である。 図2のB−B矢視図である。 タイルとマグネットプレートの配置状態を示す図(その1)である。 タイルとマグネットプレートの配置状態を示す図(その2)である。 マグネットプレートの磁極の配置例を示す図である。 ターゲットの被スパッタリング面を平面状に形成した場合の処理例を説明する図である。 ターゲットの被スパッタリング面をすり鉢状に形成した場合の処理例を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態にスパッタリング装置の主要部の構成例を示す三面図である。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
本発明の実施の形態については、以下の順序で説明する。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
本発明の実施の形態においては、各種のスパッタリング装置のうち、マグネトロンスパッタリング装置に適用する場合を例に挙げて説明する。マグネトロンスパッタリング装置は、ターゲットの裏面側に磁石を配置し、この磁石が発生する磁場によって高密度のプラズマをターゲット上に作り出すことにより、スパッタリングの効率を高めたスパッタリング装置である。
<1.第1の実施の形態>
[スパッタリング装置の構成]
まず、本発明の第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の構成について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の構成を示す概略図である。図1において、スパッタリング装置1は真空チャンバ2を備えている。真空チャンバ2の内部には、基板3を支持するステージ4と、ターゲット5とが配置されている。真空チャンバ2は、図示しない真空排気系により排気されることにより、チャンバ内に真空度の高い空間を形成するものである。基板3は、例えば、半導体ウエハ、ガラス基板等からなるものである。
ステージ4は、成膜対象となる基板3を支持する基板支持部として設けられたものである。ステージ4は、平板状の基板3を水平に支持するようになっている。基板3は、ターゲット5と対向する側を被処理面3aとし、当該被処理面3aにスパッタリングによって薄膜が形成されるようになっている。ステージ4には、図示しないヒータが内蔵されている。ヒータは、スパッタリングによって成膜する際に、ステージ4に支持された基板3の温度を予め設定された温度に保持するものである。
ターゲット5は、成膜に使用するターゲット材料を用いて構成されている。ターゲット材料としては、例えば、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。ターゲット5は、ステージ4に支持される基板3と対向する状態に配置されている。ターゲット5は、一方の面(表面)を被スパッタリング面5aとしている。被スパッタリング面5aとは、正イオンの衝突によってスパッタリングされる面をいう。ターゲット5は、ステージ4に支持される基板3に被スパッタリング面5aを対向させた状態で真空チャンバ2内に設けられている。ターゲット5の被スパッタリング面5aは、すり鉢状に形成されている。ターゲット5の被スパッタリング面5aは凹面状に湾曲している。
なお、図1においては、基板3とターゲット5を縦方向(鉛直方向)で対向するように配置しているが、これに限らず、横方向(水平方向)で対向するように配置してもよい。また、縦方向で基板3とターゲット5を対向させる場合は、それらの位置関係を反転していてもよい。すなわち、図1においては、基板3を下方、ターゲット5を上方に配置しているが、これと反対に、基板3を上方、ターゲット5を下方に配置してもよい。
図2は本発明の第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の主要部の構成例を示す図である。また、図3は図2のA−A矢視図であり、図4は図2のB−B矢視図である。
ターゲット5は、平面的に分割された複数のタイル6によって構成されている。各々のタイル6は、平面視矩形の平板状に形成されている。複数のタイル6は、例えば図示のように5×3(5行、3列)の並びでマトリクス状に配置されている。以降の説明では、タイル6の並び方向において、列方向をX方向と定義し、行方向をY方向と定義する。各々のタイル6の表面は、ステージ4に支持される基板3側を向くように配置されている。各々のタイル6の裏面は、バッキングプレート7に貼り付けられている。バッキングプレート7は、ターゲットを構成する個々のタイル6を支持するものである。タイル6とバッキングプレート7は1:1の対応関係になっている。ただし、これに限らず、1つのバッキングプレート7に2つ以上のタイル6を並べて貼り付けてもよい。
図4において、X方向に3列に並ぶタイル6のうち、中央の1列のタイル6は、基板3と正対する向きで配置され、それを除く両端2列のタイル6は、それぞれ基板3に対して傾くように内向きに配置されている。また、図3において、Y方向に5行に並ぶタイル6のうち、中央寄りの3行のタイル6は、基板3と正対する向きで配置され、それを除く両端2行のタイル6は、それぞれ基板3に対して傾くように内向きに配置されている。ここで記述する「正対する向き」とは、ステージ4に支持される基板3の被処理面3aに対してタイル6の表面が平行に配置されるタイル6の向きをいう。また、ここで記述する「内向き」とは、ターゲット5の中心軸に対してタイル6の表面に沿う仮想軸(直線軸)のなす角度θが鋭角になるタイル6の向きをいう。複数のバッキングプレート7は、それぞれに対応するタイル6の向きに合わせて配置されている。
複数のタイル6は、1つのターゲット5を構成しており、各々のタイル6の表面は、ターゲット5の被スパッタリング面5aを形成している。このため、上述のように複数のタイル6を配置することにより、ターゲット5の被スパッタリング面5aをすり鉢状に形成することができる。
ターゲット5の裏側(被スパッタリング面5aと反対側)には複数のマグネットプレート8が配置されている。マグネットプレート8は、磁場を発生する磁場発生部として設けられたものである。マグネットプレート8は、タイル6と1:1の対応関係で、各々のタイル6の裏面側に配置されている。相対応するタイル6とマグネットプレート8との間にはバッキングプレート7が介在している。このため、マグネットプレート8の前面は、バッキングプレート7の裏面に対向している。また、マグネットプレート8の前面には、複数の磁極が平面的に並べて設けられている。複数の磁極は、少なくともN極とS極を含むものである。マグネットプレート8の前面では、N極とS極が隣り合う状態で並んでいる。したがって、マグネットプレート8の前面では、N極とS極の間に磁力線が発生している。この磁力線の一部は、タイル6の表面側に突き出していて、そこに漏れ磁場を形成している。マグネットプレート8による漏れ磁場は、ターゲット5の被スパッタリング面5a上を横切るようにループ状に分布している。
マグネットプレート8は、対応するタイル6と同じ向きで配置されている。具体的には、図5に示すように、タイル6とマグネットプレート8は互いに平行に配置されている。このため、マグネットプレート8が発生する磁場の中心軸(垂直方向の成分がゼロとなる位置を通る軸)が、タイル6の表面と直角に交差する状態となる。したがって、タイル6に対してマグネットプレート8による漏れ磁場の直交成分が最大となる磁場分布を与えることができる。また、タイル6とマグネットプレート8を平行に配置すれば、各々のタイル6で正イオンの入射角度を揃えることができる。このため、ターゲット粒子の飛び出し角度のばらつきを抑えることができる。その結果、基板3に形成される薄膜の膜厚均一性を高めることができる。これに対して、図6に示すように、タイル6に対してマグネットプレート8が傾きをもつと、それに伴う磁場の傾きの影響で正イオンの入射角度が変わる。このため、正イオンの衝突によってはじき出されるターゲット粒子の飛び出し角度にばらつきが生じることになる。
各々のマグネットプレート8は、例えば、図7に示すように、円盤状に形成されている。各々のマグネットプレート8には、十字型に複数(図例では、1つのマグネットプレート8につき8個)の磁石が配置され、これらの磁石が複数の磁極を形成している。マグネットプレート8は、磁極の配置の違いにより、第1のマグネットプレート8−1と、第2のマグネットプレート8−2に分けられる。第1のマグネットプレート8−1は、マグネットプレート8の中心側の磁極がN極、マグネットプレート8の外周側の磁極がS極となっている。第2のマグネットプレート8−2は、マグネットプレート8の中心側の磁極がS極、マグネットプレート8の外周側の磁極がN極となっている。第1のマグネットプレート8−1と第2のマグネットプレート8−2は、X方向及びY方向で隣り合うように並べて配置されている。
再び図2〜図4に戻って、各々のマグネットプレート8は、それぞれ専用のモータ9の駆動軸10に支持されている。駆動軸10の端部は、マグネットプレート8の中心部に例えば圧入等によって固定されている。このため、モータ9を回転駆動すると、その駆動力を受けてマグネットプレート8が駆動軸10と一体に回転(自転)することになる。モータ9としては、モータの回転数を任意に変更することができる、回転数可変のモータ(例えば、パルスモータ等)を用いることが望ましい。
Y方向に並ぶ5つのマグネットプレート8は、共通の支持部材11に支持されている。マグネットプレート8は3列に並んで配列され、これに対応して支持部材11がX方向に3つ並べて設けられている。各々の支持部材11には5つずつマグネットプレート8が支持されている。各々の支持部材11はY方向に延びる長尺のバー形状に形成されている。上述したモータ9は、スペーサ12を介して支持部材11に搭載されている。スペーサ12は、相対応するターゲット5とマグネットプレート8との間の距離を調整する手段として設けられたものである。スペーサ12は、例えば、ネジ構造によって、ターゲット5とマグネットプレート8間の距離を調整するものである。
3つの支持部材11は、Y方向に距離をあけて配置された2つのリニアガイド14と1つのボールネジ15によってX方向に移動自在に支持されている。リニアガイド14及びボールネジ15は、複数のタイル6に対応して配置される複数のマグネットプレート8を、複数のタイル6の並び方向(図例ではX方向)に沿って、予め設定された範囲内を往復移動させる手段を構成するものである。
リニアガイド14は、ガイドシャフト16と2つの固定部材17によって構成されている。ガイドシャフト16は、X方向に平行な向きで配置されている。2つの固定部材17は、X方向に距離をあけて配置されている。2つの固定部材17のうち、一方の固定部材17は、真ん中の支持部材11とその左隣の支持部材11を連結する状態で、それら2つの支持部材11に固定されている。また、他方の固定部材17は、真ん中の支持部材11とその右隣の支持部材11を連結する状態で、それら2つの支持部材11に固定されている。ガイドシャフト16は、2つの固定部材17に設けられた貫通孔に同時に差し込まれている。
ボールネジ15は、1つのボールネジシャフト18と2つのボールネジナット19によって構成されている。ボールネジシャフト18には、軸方向に螺旋状に雄ネジが形成されている。ボールネジシャフト18は、上述したリニアガイド14のガイドシャフト16と平行になるように、X方向に平行な向きで配置されている。ボールネジナット19は、X方向に距離をあけて配置されている。2つのボールネジナット19のうち、一方のボールネジナット19は、真ん中の支持部材11とその左隣の支持部材11を連結する状態で、それら2つの支持部材11に固定されている。また、他方のボールネジナット19は、真ん中の支持部材11とその右隣の支持部材11を連結する状態で、それら2つの支持部材11に固定されている。ボールネジシャフト18は、各々のボールネジナット19に設けられたネジ穴(雌ネジ)に差し込まれている。ボールネジシャフト18と各ボールネジナット19は、互いにネジ部分の溝を対向させた状態で結合され、当該結合部分の溝に鋼球等のボールが組み込まれている。また、ボールネジシャフト18は、図示しない移動用モータの駆動によって回転する仕組みになっている。移動用モータは、複数のマグネットプレート8をX方向に沿って往復移動させるための駆動源となるものである。移動用モータとしては、モータの回転数を任意に変更することができる、回転数可変のモータ(例えば、パルスモータ等)を用いることが望ましい。マグネットプレート8をX方向に移動させる際の移動速度は、移動用モータの回転数によって決まるため、当該回転数を変更することでマグネットプレート8の移動速度を変更可能となる。
[スパッタリング装置の動作]
続いて、本発明の第1の実施の形態に係るスパッタリング装置の動作について説明する。
上記構成のスパッタリング装置1を用いて基板3の被処理面3aに薄膜を形成する場合は、まず、真空チャンバ2の内部に設けられたステージ4上に基板3を固定する。次に、真空排気系により所定の真空度に維持された真空チャンバ2内に、アルゴンガス等の放電用ガスを導入する。次に、ステージ4を陽極、ターゲット5を陰極として、電極(陽極、陰極)間に電圧を印加する。そうすると、真空チャンバ2内にグロー放電によってプラズマが形成される。これにより、プラズマ中の正イオン(アルゴンイオン等)が、陰極側に配置されたターゲット5に引き寄せられてその表面(被スパッタリング面5a)に衝突し、ターゲット粒子をはじき出す。ターゲット5からはじき出されたターゲット粒子は、陽極側に配置された基板3の表面(被処理面3a)に付着することで薄膜を形成する。
スパッタリング装置1の動作中は、各々のタイル6の裏側で、モータ9の駆動によりマグネットプレート8が回転(自転)する。また、スパッタリング装置1の動作中は、図示しない移動用モータの駆動によりボールネジシャフト18が回転する。ボールネジシャフト18が回転すると、マグネットプレート8を支持する3つの支持部材11が、リニアガイド14で案内されながらX方向に同時に移動する。その際、支持部材11の移動方向は、ボールネジシャフト18の回転方向に依存したものとなる。ボールネジシャフト18は、支持部材11をX方向に移動させるにあたって正回転と逆回転を繰り返す。このため、支持部材11は、ボールネジシャフト18の回転方向と回転量にしたがってX方向に往復移動する。支持部材11を往復移動させる場合の移動範囲は、X方向におけるタイル6の1枚分の幅寸法W(図2の矢印で示す範囲)に合わせて設定される。
本発明の第1の実施の形態に係るスパッタリング装置1では、ターゲット5の被スパッタリング面5aを複数のタイル6を用いてすり鉢状に形成しているため、ターゲット5の外周部から放出されるターゲット粒子に対し、タイル6の傾きに応じた方向性が付与される。さらに詳述すると、ターゲット5の中央寄りに配置されたタイル6は、基板3と正対するように配置されているのに対して、ターゲット5の外周部に配置されたタイル6は、基板3に対して傾くように内向きに配置されている。このため、ターゲット5の外周部に配置されたタイル6の表面からは、当該タイル6の傾きに対応した方向性をもってターゲット粒子が放出される。したがって、ターゲットの被スパッタリング面を平面状に形成する場合に比べて、ターゲットの外周縁部から放出されるターゲット粒子のなかで、基板に向かって飛び出すターゲット粒子の量(割合)が増える。その結果、ターゲットの被スパッタリング面を平面状に形成する場合に比べて、ターゲットの有効利用率を高めることができる。
また、スパッタリング装置1においては、ターゲット5の被スパッタリング面5aを複数の分割されたタイル6で形成しているため、タイル6の貼り合わせ位置を変えることができる。ターゲット5の侵食は、ターゲット5の中央部に比べて、ターゲット5の外周部で顕著に進行する。このため、ターゲット5の外周部でエロージョンがある程度進行した段階(使用限界に達する前の段階)で、ターゲット5の中央部と外周部でタイル6を入れ替えるように貼り付け位置を変更すれば、効率的にターゲット5を使用することができる。したがって、ターゲット5の長寿命化により、コストダウンを図ることが可能となる。
また、ターゲット5の裏側に、タイル6ごとにマグネットプレート8を配置しているため、複数のタイル6によって形成される被スパッタリング面5aの全域に、マグネットプレート8による漏れ磁場を発生させることができる。このため、ターゲット5の被スパッタリング面5a全域にわたってエロージョンを発生させることができる。
また、スパッタリング装置1の動作中にマグネットプレート8を回転させるとともに、マグネットプレート8の回転速度を変えることにより、スパッタ効率を制御することができる。具体的には、マグネットプレート8の回転速度を遅くすると、スパッタ効率が低くなり、マグネットプレート8の回転速度を速くすると、スパッタ効率が高くなる。ただし、マグネットプレート8の回転速度を速くすれば、その分だけスパッタ効率が無限に高くなるわけではない。すなわち、マグネットプレート8の回転速度とスパッタ効率の相関は、ある決められた範囲内でマグネットプレート8の回転速度を変えたときに得られるものである。したがって、ある決められた範囲内で、各々のタイル6ごとに、対応するマグネットプレート8の回転速度を個別に設定することにより、各々のタイル6に対応するエリアごとに、スパッタ効率を制御することが可能となる。
また、スパッタリング装置1の動作中に3つの支持部材11とこれに支持された複数(全て)のマグネットプレート8をX方向に往復移動させることにより、タイル6とマグネットプレート8の相対位置が往復移動中に連続的に変化する。そうすると、ターゲット5の被スパッタリング面5a内で漏れ磁場の位置や磁束密度の高い領域(換言すると、エロージョンが発生する領域)の位置が変化する。このため、エロージョンが発生する領域をX方向にずらしながらターゲット5の被スパッタリング面5aをスパッタリングすることができる。また、ターゲット5の被スパッタリング面5a内でスパッタレートを均一化することができる。したがって、マグネットプレート8を往復移動させない場合に比べて、ターゲット5の有効利用率を上げることができる。また、移動用モータの回転速度を調整して往復移動の速度を変えることにより、ターゲット5の被スパッタリング面5a内でスパッタレートを調整することができる。ちなみに、マグネットプレート8を往復移動させる方向はY方向であってもよい。
また、スパッタリング装置1においては、互いに対向するタイル6とマグネットプレート8との間の距離をスペーサ12で調整可能となっている。このため、タイル6とマグネットプレート8との間の距離を短くすると、タイル6の表面側に漏れる磁場の強度が強くなり、タイル6とマグネットプレート8との間の距離を長くすると、タイル6の表面側に漏れる磁場の強度が弱くなる。したがって、各々のタイル6が配置された部分で、ターゲット5の被スパッタリング面5a側に漏れる磁場の強度を個別に調整することが可能となる。
また、スパッタリング装置1においては、ターゲット5の被スパッタリング面5aをすり鉢状に形成したことで、次のような効果も得られる。すなわち、仮にターゲット5の被スパッタリング面5aを図8のような平面状に形成して、基板3のコンタクトホール21内にターゲット粒子を付着させる場合は、コンタクトホール21の入口部分に形成されるオーバーハングの量が多くなる。その理由は、第1に、ターゲット5の中央部からコンタクトホール21に向けて飛散するターゲット粒子の量に比較して、ターゲット5の外周部からコンタクトホール21に向けて飛散するターゲット粒子の量が多くなるためである。第2の理由は、ターゲット5の外周部からコンタクトホール21に入射するターゲット粒子の多くが、コンタクトホール21に対して斜めに入射するためである。オーバーハング量が多くなると、コンタクトホール21の底部に到達するターゲット粒子の量が減るため、ボトムカバレッジが低下する。
これに対して、ターゲット5の被スパッタリング面5aを図9のようにすり鉢状に形成して、基板3のコンタクトホール21内にターゲット材料を付着させる場合は、コンタクトホール21の入口部分に形成されるオーバーハングの量が少なくなる。その理由は、ターゲット5の外周部で被スパッタリング面5aが内向きの傾きをもつことにより、ターゲット5の外周部からコンタクトホール21に入射するターゲット粒子の入射角度が高く(垂直に近く)なるためである。また、例えば、マグネットプレート8の回転速度などを制御パラメータとして、ターゲット5の中央部と外周部のスパッタレートを均一化することにより、オーバーハングの量をさらに減少させることができる。オーバーハング量が少なくなると、コンタクトホール21の底部に到達するターゲット粒子の量が増えるため、ボトムカバレッジを向上させることができる。
<2.第2の実施の形態>
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るスパッタリング装置について説明する。なお、本発明の第2の実施の形態においては、上記第1の実施の形態と同様の構成部分に同じ符号を付して説明する。
図10は本発明の第2の実施の形態に係るスパッタリング装置の主要部の構成例を示す三面図である。図10において、平面視矩形状に形成されたバッキングプレート7の前面に複数のタイル6を貼り付けることにより、1つのターゲット5を構成している。ターゲット5を構成する複数のタイル6は、平板状のバッキングプレート7に異なる厚さのタイル6を組み合わせることで、全体としてすり鉢状の被スパッタリング面5aを形成している。また、ターゲット5を構成する複数のタイル6のうち、一部のタイル6の表面は、バッキングプレート7の貼り付け面に対して斜めに傾斜した状態で形成されている。
また、ターゲット5の裏側にはマグネット構造体20が配置されている。マグネット構造体20は磁場を発生する磁場発生部として設けられたものである。マグネット構造体20が発生する磁場の一部は、ターゲット5の被スパッタリング面5a側に漏れて、そこに漏れ磁場を形成する。マグネット構造体20は、Y方向に長いバー状に形成されている。マグネット構造体20には、長手方向に複数の磁極が並んで設けられている。これらの磁極は、マグネット構造体20の長手方向で、N極とS極が交互に並ぶように設けられている。また、マグネット構造体20は、図示しない移動駆動系により、X方向に往復移動可能に設けられている。
本発明の第2の実施の形態に係るスパッタリング装置においては、上記第1の実施の形態と同様に、ターゲット5の被スパッタリング面5aを複数のタイル6を用いてすり鉢状に形成している。このため、ターゲットの被スパッタリング面を平面状に形成する場合に比べて、ターゲットの有効利用率を高めることができる。
また、スパッタリング装置の動作中に、ターゲット5の一端から他端に及ぶ範囲でマグネット構造体20をX方向に移動させることにより、ターゲット5とマグネット構造体20の相対位置が往復移動中に連続的に変化する。そうすると、ターゲット5の被スパッタリング面5a内で漏れ磁場の位置や磁束密度の高い領域の位置が変化する。このため、エロージョンが発生する領域をX方向にずらしながらターゲット5の被スパッタリング面5aをスパッタリングすることができる。また、ターゲット5の被スパッタリング面5a内でスパッタレートを均一化することができる。ちなみに、マグネット構造体20をY方向に長いバー状にして、当該マグネット構造体20をY方向に往復移動させる構成であってもよい。
また、ターゲット5の外周部(X方向の両端部)が中央部よりも速くエロージョンが進行する場合でも、ターゲット5の外周部が中央部よりも厚く形成されているため、エロージョンの進行によって使用限界に到達するまでの時間を長く確保することができる。このため、ターゲット5の有効利用と長寿命化を図ることができる。また、ターゲット5の外周部が厚くなると、その部分で漏れ磁場の強度が弱くなる。このため、ターゲット5の外周部のスパッタレートを低下させて、エロージョンの進行を抑えることできる。また、ターゲット5の外周部でスパッタレートが低下すると、ターゲット5の中央部から基板3に入射するターゲット材料の量が相対的に増える。このため、コンタクトホールのボトムカバレッジを改善する効果が期待できる。
なお、上記各実施の形態においては、マグネトロンスパッタリング装置への適用例について説明したが、本発明はこれに限らない。すなわち、ターゲット5の被スパッタリング面5aをすり鉢状に形成する構成については、真空チャンバ内で基板支持部に支持される基板とターゲットとを対向状態に配置するスパッタリング装置に広く適用することが可能である。
1…スパッタリング装置、3…基板、4…ステージ、5…ターゲット、5a…被スパッタリング面、6…タイル、8…マグネットプレート

Claims (9)

  1. 成膜対象となる基板を支持する基板支持部と、
    一方の面を被スパッタリング面とし、前記基板支持部に支持される基板に前記被スパッタリング面を対向させた状態で設けられたターゲットと
    を備え、
    前記ターゲットの被スパッタリング面がすり鉢状に形成されている
    スパッタリング装置。
  2. 前記ターゲットは、複数の分割されたタイルで構成されている
    請求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 前記ターゲットを構成する前記複数のタイルは、厚さの異なるタイルを組み合わせることで、前記すり鉢状の被スパッタリング面を形成している
    請求項2記載のスパッタリング装置。
  4. 前記ターゲットの裏側に、前記複数のタイルの並び方向に移動可能な磁場発生部が設けられている
    請求項2記載のスパッタリング装置。
  5. 前記磁場発生部の移動速度が変更可能である
    請求項4記載のスパッタリング装置。
  6. 前記磁場発生部は、前記複数のタイルに対応して複数設けられている
    請求項4又は5記載のスパッタリング装置。
  7. 前記磁場発生部は、複数の磁極を平面的に並べたマグネットプレートからなり、
    前記マグネットプレートを回転させる手段を備える
    請求項6記載のスパッタリング装置。
  8. 前記タイルと当該タイルに対応する前記磁場発生部との間の距離を調整する手段を有する
    請求項6記載のスパッタリング装置。
  9. 前記複数のタイルに対応して配置される前記複数の磁場発生部を、前記複数のタイルの並び方向に沿って、予め設定された範囲内を往復移動させる手段を備える
    請求項6記載のスパッタリング装置。
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