JP2010254987A - ポリオキシアルキレン誘導体の製造方法 - Google Patents

ポリオキシアルキレン誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薬剤など化学修飾を主とする医薬用途に用いられる末端変性ポリオキシアルキレン誘導体の出発物質として有用な高純度かつ高分子量であるポリオキシアルキレン誘導体の製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン誘導体の製造方法において以下の工程を有することを特徴とする。
Figure 2010254987

工程(A):開始剤を脱水する工程;工程(B):アルカリ触媒を工程(A)において加え、溶解させる工程;工程(C):アルキレンオキシドを付加モル数nが1〜10となるまで付加反応させる工程;工程(D):下記一般式(2)で示されるアルカリ触媒を工程(A)で添加する工程;
Figure 2010254987

工程(E):脱アルコールを行う工程;および、工程(F):アルキレンオキシドを付加モル数nが80〜800となるまで付加反応させる工程;
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオキシアルキレン誘導体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は分子量分布が狭く、不純物の少ない高純度かつ高分子量のポリオキシアルキレン誘導体の製造方法に関する。
近年になり末端変性ポリオキシアルキレン誘導体がドラッグデリバリーシステムの重要なキャリアーとして医薬分野で注目を集めるようになっている。このとき使用される出発物質であるポリオキシアルキレン誘導体としては、脂肪族アルコールや芳香族アルコールにアルキレンオキシドを付加重合した水酸基を1個有する1官能化合物と、グリセリンやジグリセリンなどの多価アルコールにアルキレンオキシドを付加重合した水酸基を2個以上有する多官能化合物が知られている。特に多官能誘導体の場合、一分子中に薬剤を多数導入でき、血中濃度を上げることが可能になる。また、多官能の誘導体は、親水性を有するオキシアルキレン鎖を多点で架橋することでゲル性能を発揮することから、癒着防止剤や創傷被覆剤などのシーラント素材として応用されている。これらの理由から、現在、3官能、4官能ポリオキシアルキレン誘導体は医薬分野において欠かせない重要な素材となっている。
特許文献1には、水酸基を1個有するオキシラン化合物の製造方法において、高純度のオキシラン誘導体を得るために、金属ナトリウム、金属カリウム、またはこれらの原料アルコール溶液をアルカリ触媒として用いた方法が提案されている。3官能、4官能ポリオキシアルキレン誘導体の製造では、それぞれグリセリンまたはジグリセリンを出発原料とし、アルカリ触媒を用いてアルキレンオキシドを付加反応する方法が知られている。一般的には、アルカリ触媒の中でも金属ナトリウム、金属カリウムを使用した方が水分の混入量が低く、高純度のオキシラン誘導体の製造には適しているが、これらのアルカリ触媒は、グリセリン、ジグリセリンへの溶解度が低く、高分子量体の製造に必要な触媒量を添加できない。この場合には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ触媒が使用される。
製造上で問題になる点は、反応開始時、触媒由来のアルコールや原料に含まれる水分が残存すると、それらにアルキレンオキシドが付加し、それぞれ水酸基を1個および2個有する目的物よりも低分子量の1、2官能不純物が副生することである。通常、これらの不純物の副生を抑制するためには、脱水又は脱アルコールを行なうが、3官能、4官能ポリオキシアルキレン誘導体の製造においては、原料であるグリセリン又はジグリセリンが高粘度であるため、水分又はアルコールの留去が難しい。この場合粘度を下げる手段として、より高温で脱水又は脱アルコールを行なうことも考えられるが、アルカリ条件下のため原料であるグリセリン又はジグリセリンの自己縮合が起き、ポリグリセリンが副生する場合がある。ポリグリセリンにアルキレンオキシドが付加すると、目的物より高分子量の4、6官能ポリオキシアルキレン誘導体が不純物として副生する。
また、アルキレンオキシドの付加反応が進行するにつれ、一般的に反応液の粘度は上昇する。そのため、高分子量の目的物を得ようとする際には、高粘度のために反応系が不均一となり、多分散度が悪化し、場合によっては攪拌が不可能となる場合がある。これを回避するために、炭化水素系溶媒などの非プロトン性溶媒での希釈が有効であるが、希釈する量やタイミングによっては非プロトン性溶媒に含まれる水分由来の2官能低分子不純物が副生してしまう場合がある。
以上のように製造上副生する目的分子量以外の1、2官能低分子不純物および4、6官能高分子不純物が多く存在すると、不均質なポリオキシアルキレン誘導体になる。この不均質なポリオキシアルキレン誘導体を用いた場合、ドラッグデリバリーシステム分野では、薬剤キャリアーの設計評価が困難になり、期待した医薬品の性能を発揮できない恐れがある。一方、癒着防止剤や創傷被覆剤などのシーラント素材分野では、ゲル架橋点の予測が困難になるため、目的のゲル性能を発揮できない恐れがある。これらの問題の解決に向けた、高分子及び低分子不純物を含まない、高純度且つ高分子量なポリオキシアルキレン誘導体、およびその製法は未だ得られていない。
特開平11−335460号公報
本発明の目的は、薬剤など化学修飾を主とする医薬用途に用いられる末端変性ポリオキシアルキレン誘導体の出発物質として有用な、高純度かつ高分子量であるポリオキシアルキレン誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリオキシアルキレン誘導体の製造において、グリセリン若しくはジグリセリンがアルキレンオキシドの付加モル数に伴い、その粘度物性が変化していくことに着目した。一般的に、グリセリン若しくはジグリセリンそのものの粘度は高いが、数モルのアルキレンオキシドが付加したところで、一旦粘度の下限に到達し、その後、高分子量化に伴い、粘度は増加していくことが知られている。この特性を利用し、グリセリン若しくはジグリセリンの粘度を一旦下げた状態で、添加するアルカリ触媒の脱水・脱アルコールを行うことにより、高分子不純物及び低分子不純物を含まないポリアルキレン誘導体の製造に成功した。
アルキレンオキシドを数モル付加する際には、グリセリン若しくはジグリセリンが高粘度のため、脱水・脱アルコールが必要ないアルカリ触媒、例えば金属ナトリウム若しくは金属カリウムを用いる必要がある。これらのアルカリ金属はグリセリン若しくはジグリセリンへの溶解度が低いが、少量の触媒でアルキレンオキシドを数モル付加することが可能である。つまり、今般、本発明者は、グリセリン若しくはジグリセリンにアルキレンオキシドを目的分子量まで付加させる前に、脱水・脱アルコールが必要ないアルカリ触媒により、数モルのアルキレンオキシドを付加させ、一旦反応系の粘度を下げた後、新たにアルカリ触媒を添加して脱水・脱アルコール反応によりアルキレンオキシドを目的分子量まで付加させることによって、高分子不純物及び低分子不純物を含まない、高純度且つ高分子量なポリオキシアルキレン誘導体を製造可能であることを知見し、本発明を成すに至った。本発明は下記の通りである。
(1) 下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン誘導体の製造方法において、
Figure 2010254987
(ただし、Zはグリセリン若しくはジグリセリンの残基であり、OAは炭素数2から4のオキシアルキレン基である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で80〜800であり、mは3〜4である。)
工程(A):グリセリン若しくはジグリセリンを90℃〜170℃、3kPa以下において脱水する工程;
工程(B):アルカリ触媒として金属ナトリウム若しくは金属カリウムを工程(A)におけるグリセリン若しくはジグリセリンの仕込量に対して0.015〜1.6重量%加え、20〜110℃で溶解させる工程;
工程(C):50℃〜110℃において、アルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが1〜10となるまで付加反応させる工程;
工程(D):下記一般式(2)で示されるアルカリ触媒を工程(A)におけるグリセリン若しくはジグリセリンの仕込量に対して2〜50重量%添加する工程;
Figure 2010254987
(ただし、Rは炭化水素1〜4の炭化水素基であり、Wはナトリウム、カリウムのいずれかを示す。)
工程(E):90〜130℃、15kPa以下において、脱アルコールを行う工程;および、
工程(F):100℃〜130℃でアルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが80〜800となるまで付加反応させる工程;
を有することを特徴とする、ポリオキシアルキレン誘導体の製造方法。
(2) 前記工程(F)が、100℃〜130℃でアルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが80〜300となるまで付加した後、反応容器内総重量の30〜70重量%の炭化水素系溶媒を添加し、次いで、90〜120℃において、反応容器内の炭化水素系溶媒の20〜60重量%を留去した後、100℃〜130℃においてアルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが300〜800となるまで付加反応させる工程であることを特徴とする上記(1)記載のポリオキシアルキレン誘導体の製造方法。
本発明の製造方法で得られる一般式(1)のポリオキシアルキレン誘導体は、高分子不純物および低分子不純物が少なく、高純度且つ高分子量であるため、ドラッグデリバリーシステム分野では薬剤キャリアーの設計評価が厳密に行なえ、期待した医薬品の性能を発揮できる。癒着防止剤や創傷被覆剤などのシーラント素材分野ではゲル架橋点数が正確に予測でき、目的のゲル性能を発揮できる。
従って、本発明の製造方法により得られるポリオキシアルキレン誘導体を用いると、かかる誘導体を出発物質として、薬剤キャリアーおよびシーラント素材を主とした医薬用途として有用な末端変性ポリオキシアルキレン誘導体を提供することが可能となる。
図1は一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン誘導体のゲル浸透クロマトグラフィーにより得られるクロマトグラムのモデル図である。
以下、本発明のポリオキシアルキレン誘導体の製造方法について詳細に説明する。
本発明のポリオキシアルキレン誘導体の製造方法は、工程(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)を有する、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン誘導体の製造方法である。
Figure 2010254987
上記一般式(1)において、Zはグリセリン若しくはジグリセリンの残基である。また、式中、グリセリンにあってはmは3であり、ジグリセリンにあってはmは4である。
式中、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示す。オキシアルキレン基としては、具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1、2−ジメチルエチレン基、などが挙げられる。一般にアルキレン基の炭素数の少ない方がより親水性が高いため、水への溶解性の観点から、オキシエチレン基が好ましい。
nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、nは80〜800の整数である。一般的には、分子量が大きい方が血中滞留性が高いことから、好ましくはnは100〜800であり、より好ましくは120〜800であり、特に好ましくは200〜800である。
次に、本発明の製造方法における(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)の各工程を詳細に説明する。
工程(A)は、グリセリン若しくはジグリセリンを共沸脱水する工程である。脱グリセリン若しくは脱ジグリセリンの留去条件は90〜170℃、3kPa以下の真空下であり、好ましくは130〜170℃、3kPa以下の真空下である。90℃より低い場合、共沸脱水が困難であり、水分由来の低分子不純物が副生する恐れがある。また、170℃より高い場合、グリセリンの脱水縮合が起きる事が知られているため好ましくない。
工程(B)は、工程(A)で調整したグリセリン若しくはジグリセリンに対して、金属ナトリウム若しくは金属カリウムのアルカリ触媒を溶解させる工程である。アルカリ触媒の添加量は、工程(A)におけるグリセリン若しくはジグリセリンの仕込量に対して0.015〜1.6重量%であり、好ましくは0.03〜0.8重量%である。1.6重量%より多い場合、完全に溶解しない。一方、添加量が0.015重量%より低い場合、付加重合反応速度が非常に遅くなり、熱履歴の増加により多分散度の増大などの恐れがある。溶解温度が20℃よりも低い場合、溶解度が下がってアルカリ触媒が解け残り、触媒不足でアルキレンオキシドを付加できない可能性がある。溶解温度が110℃よりも高い場合、アルカリ条件下のため原料であるグリセリン若しくはジグリセリンが自己縮合したポリグリセリンが副生し、このポリグリセリンにアルキレンオキシドが付加した高分子不純物が副生する。
工程(C)は、アルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが1〜10モルとなるように付加重合させる工程である。反応温度は50〜110℃であり、好ましくは70〜110℃である。反応温度が50℃より低い場合、反応速度が非常に遅くなり、熱履歴の増加により多分散度の増大などの恐れがある。また、反応温度が110℃を超え、アルカリ条件下で高温状態となると、ポリグリセリンの副生の可能性が考えられる。このため、アルキレンオキシドの付加重合反応温度は50〜110℃が望ましい。
オキシアルキレン基の平均付加モル数においては、nが1〜10が好ましい。グリセリン若しくはジグリセリンはアルキレンオキシドの付加モル数に伴い、粘度物性が変化していく。具体的には、グリセリン若しくはジグリセリンそのものの粘度は高いが、数モルのアルキレンオキシドが付加したところで、一旦粘度の下限に到達し、その後、高分子量化に伴い、粘度は増加していくことが知られている。nが1以上の粘度が低下したポリオキシアルキレン誘導体は、工程(E)の脱アルコールにおいて有利であることから、さらに好ましいnの範囲は3〜8である。nが10を超える場合、粘度の上昇により、脱アルコール効率が悪くなるため、好ましくない。グリセリン若しくはジグリセリンに付加するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシドが好ましい。
工程(D)は、反応系に対してアルカリ触媒を添加する工程である。工程(D)では下記一般式(2)で表されるアルカリ触媒を添加する。
Figure 2010254987
上記一般式(2)においては、Rは1〜4の炭化水素基を示し、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、などが挙げられる。また、Wはアルカリ金属を示し、ナトリウム、カリウム、などが挙げられる。一般に、低級アルコールの方が沸点が低く、脱アルコールされやすい。そのため、アルコール由来の1官能不純物の生成を抑制するためには、脱アルコール効率の良い低級アルコールである方が有利である。この理由から、使用するアルカリ触媒としては、Rがメチル基、Wがナトリウムのナトリウムメトキシドが好ましい。また、使用形態としては、粉末もしくはアルコール希釈品の液体のいずれかで添加される。
アルカリ触媒の添加量は、工程(A)で調整したグリセリン若しくはジグリセリンの仕込量に対して2〜50重量%であり、好ましくは20〜50重量%である。アルカリ触媒の添加量が2重量%より少ない場合、付加重合反応速度が非常に遅くなり、熱履歴の増加により多分散度の増大などの恐れがある。一方、添加量が50重量%より多い場合、一般的にアルキレンオキシドの付加における停止反応として知られているポリオキシアルキレン末端のビニルエーテル化が起こり、多分散度の悪化を招く恐れがある。このため、アルカリ触媒量としては2〜50重量%が望ましいと言える。
工程(E)は、付加重合反応を開始するグリセリンもしくはジグリセリンのアルコラートを調整するための工程である。これらのアルコラートは、上記一般式(2)のアルカリ触媒に含まれるアルカリ金属Wがグリセリンもしくはジグリセリンの水酸基末端の水素原子と置き換わる交換反応によって調製され、この交換反応は反応系から脱アルコールを行なうことで促進する。脱アルコールの条件は、90〜130℃、15kPa以下の真空下であり、好ましくは100〜120℃、15kPa以下の真空下である。脱アルコール温度が90℃より低い場合、工程(C)で調整したポリオキシアルキレン誘導体の粘度が増加する。そのため、脱アルコールが困難となり、上記一般式(2)のアルカリ触媒に含まれるアルコールが残存し、付加重合反応においてアルコール由来の1官能不純物の生成が避けられない。脱アルコール温度が130℃より高い場合、高温度のために末端ビニルエーテル化が起こり、多分散度の悪化を招く恐れがある。したがって、脱アルコールの条件は、90〜130℃、15kPa以下の真空下で行うことが望ましいと言える。
工程(F)は、アルキレンオキシドをオキシアルキレン基の平均付加モル数nが80〜800となるまで付加重合する工程である。オキシアルキレン基の平均付加モル数nは80〜800であり、好ましくは100〜800であり、より好ましくは120〜800であり、特に好ましくは200〜800である。反応温度が100℃より低い場合、付加反応速度が非常に遅くなるため、熱履歴の増加により多分散度が悪化する恐れや、低温度のために反応系内が高粘度となり、攪拌が困難になる場合がある。反応温度が130℃より高い場合、高温度のために末端ビニルエーテル化が起こり、多分散度の悪化を招く恐れがある。
工程(F)においてアルキレンオキシドの付加重合反応が進行するにつれ、目的物の分子量が増加するため、一般的に反応液の粘度は上昇する。したがって、上記の工程(F)において高分子量の目的物を得ようとする際、高粘度のために反応系が不均一となり、多分散度が悪化し、場合によっては攪拌が不可能となる。粘度の低減には反応系内をトルエンなどの炭化水素系溶媒で希釈する手段が有効であり、希釈する時のオキシアルキレン基の平均付加モル数はグリセリンの場合、nが80〜300、好ましくは100〜270、より好ましくは120〜240まで付加した時であり、ジグリセリンの場合、nが80〜300、好ましくは90〜250、より好ましくは100〜200まで付加した時である。
希釈に用いる炭化水素系溶媒は、水と共沸する溶媒であれば特に制限されないが、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロへキサン等が挙げられ、好ましくはトルエンである。その添加量は反応容器内の総重量(仕込総重量)に対して30〜70重量%とし、好ましくは30〜65重量%とし、さらに好ましくは30〜50重量%とし、添加後、90〜120℃において希釈炭化水素系溶媒量の20〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは20〜40重量%を共沸脱水しながら留去する。炭化水素系溶媒の添加量が仕込総重量に対して30重量%より少ない場合、粘度が低減できず反応系が不均一となり、多分散度が悪化し、場合によっては攪拌が不可能となる場合がある。また、70重量%より多い場合、炭化水素系溶媒に含まれる水分の混入量が多くなり、炭化水素系溶媒の留去後に水分が残存してしまう恐れがある。一方、炭化水素系溶媒の留去量が希釈炭化水素系溶媒量に対して20重量%より少ない場合、共沸脱水が十分に成されないために水分が残存する恐れがあり、60重量%より多い場合、粘度が低減できず反応系が不均一となり、多分散度が悪化し、場合によっては攪拌が不可能となる場合がある。
希釈炭化水素系溶媒を留去後、100〜130℃で、アルキレンオキシドをオキシアルキレン基の平均付加モル数nが300〜800となるまで付加重合する。反応温度が100℃より低い場合、付加反応速度が非常に遅くなるため、熱履歴の増加により多分散度が悪化する恐れや、低温度のために反応系内が高粘度となり、攪拌が困難になる場合がある。反応温度が130℃より高い場合、高温度のために末端ビニルエーテル化が起こり、多分散度の悪化を招く恐れがある。
製造上副生する不純物としては、高分子不純物、及び低分子不純物が挙げられる。高分子不純物としては、出発原料が自己縮合し、アルキレンオキシドが付加した化合物があげられ、工程(A)、(C)で生じる。出発原料が3官能のグリセリンの場合、4官能不純物が副生し、出発原料が4官能のジグリセリンの場合、6官能不純物が副生する。特に、工程(C)においてアルカリ条件下で出発原料の自己縮合が起きやすく、高分子不純物が副生する。
一方、低分子不純物は、水分由来の2官能不純物、およびアルカリ触媒に含まれるアルコール由来の1官能不純物である。2官能不純物は工程(A)もしくは工程(F)におけるトルエン希釈後の共沸脱水において、水分が残存した場合、水にアルキレンオキシドが付加して副生する。1官能不純物は、工程(E)において、触媒由来のアルコールが残存した場合、アルコールにアルキレンオキシドが付加して副生する。
本発明の製造方法で得られる上記一般式(1)の構造を有するポリオキシアルキレン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をPbaseLとし、PbaseLから上の全ピーク面積をPareaとし、屈折率最大ピークの頂点PtopのPbaseLからの高さをPtopHとする時、Ptopから溶出開始点Aに向かう溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの1/30になる点Bと溶出開始点Aまでの間のピーク面積をPareaHとし、Ptopから溶出終了点Dに向かう溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの1/30になる点Cと溶出終了点Dまでの間のピーク面積をPareaLとしたとき、Parea、PareaHおよびPareaLが、
(PareaH+PareaL)/Parea≦0.05
なる関係を満足する。ただし、この計算式においては、ゲル浸透クロマトグラフィーに使用した展開溶媒などに起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる擬似ピークは除いたポリオキシアルキレン誘導体に由来するピークについてのみ計算する。
ゲル浸透クロマトグラフィーは、GPCシステムとしてSHODEX GPC SYSTEM−11、示差屈折計としてSHODEX RI−71、GPCカラムとしてSHODEX KF804L(φ8mm×300mm)を使用する。試料の測定は、GPCカラムを直列に3本つなぎ、カラム恒温槽温度を40℃とし、展開溶媒としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、試料の0.1重量%溶液0.1mlを注入することにより行う。各種の測定値は、溶出曲線をBORWIN GPC計算プログラムで解析して得られるものである。
図1にゲル浸透クロマトグラフィーにより得られるクロマトグラムのモデル図を示す。点Aから点Bまでのピーク範囲に相当するPareaHは、3官能のグリセリン原料の場合、高分子不純物である4官能不純物を示し、目的の分子量の1.3倍以上の分子量ピークに相当し、4官能のジグリセリン原料の場合、高分子不純物である6官能不純物を示し、目的の分子量の1.5倍以上の分子量ピークに相当する。
点Cから点Dまでのピーク範囲に相当するPareaLは、低分子不純物である1もしくは2官能不純物を示し、3官能のグリセリン原料の場合、目的の分子量の2/3倍と1/3倍の分子量ピークに相当し、4官能のジグリセリン原料の場合、目的の分子量の1/2倍と1/4倍の分子量ピークに相当する。
本発明で得られるクロマトグラムにおいて、一般式(1)の構造を有するポリオキシアルキレン誘導体の純度は、(PareaH+PareaL)の総量値として規定される。
本発明のポリオキシアルキレン誘導体は、(PareaH+PareaL)/Pareaが0.05以下を満たす。(PareaH+PareaL)/Pareaが0.05より大きいと、高分子不純物、低分子不純物が多くなり、医薬用途の原料として純度が不十分となるため、正確な設計評価が困難になるおそれや、製品の性能を損なう恐れがあり問題である。
上記に示した高分子不純物および低分子不純物が多いと、ドラッグデリバリーシステム分野では、薬剤キャリアーの設計評価が困難になり、期待した医薬品の性能を発揮できないといった問題がある。一方、癒着防止剤や創傷被覆剤などのシーラント素材分野では、ゲル架橋点の予測が困難になるため、目的のゲル性能を発揮できないといった問題がある。
これらの問題は本発明の製造方法により解決できる。即ち、本発明の製造方法により得られる一般式(1)のポリオキシアルキレン誘導体は、従来法により得られるものと異なり、高分子不純物および低分子不純物が少なく、高純度かつ高分子量であるため、薬剤キャリアーもしくはシーラント素材を主とした医薬用途に用いられる末端変性ポリオキシアルキレン誘導体の出発物質として有用である。
本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明する。なお、実施例1、比較例1、比較例2、比較例3では、下記化合物(g)を得た。実施例2、比較例4では、下記化合物(d)を得た。
Figure 2010254987
Figure 2010254987
また、実施例および比較例で得られた化合物はゲル浸透クロマトグラフィーで分析した。解析については次の方法に準じて行なった。
<ゲル浸透クロマトグラフィーの解析方法>
ゲル浸透クロマトグラフィーにより得られるクロマトグラムの溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をPbaseLとし、PbaseLから上の全ピーク面積をPareaとし、屈折率最大ピークの頂点PtopのPbaseLからの高さをPtopHとする時、溶出開始点AからPtopに向かう溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの1/30になる点Bから、Ptopから溶出終了点Dに向かう溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの1/30になる点Cまでの間のピーク面積をPareaMとし、溶出開始点Aから点Bまでの間のピーク面積をPareaHとし、点Cから溶出終了点Dまでの間のピーク面積をPareaLとする。
(実施例1)
還流装置、窒素ガス吹き込み管、温度計、かき混ぜ装置を取り付けた四つ口フラスコに、グリセリン107g(約1.2mol)を仕込み、窒素ガス気流下、160℃、1.07kPa以下の真空条件において留去量7gとなるまで脱グリセリン・脱水を行なった。50℃で金属ナトリウム0.057g(0.053重量%対原料)を添加し、70℃で溶解した。四つ口フラスコ内全量をアルキレンオキシド付加用の反応釜に移送し、100℃でエチレンオキシドをn=3.5まで付加した。40℃に冷却後、ソジウムメチラート46g(43重量%対原料)を添加し、120℃、13.3kPa以下の真空条件において1時間脱メタノールを行なった。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=225まで付加後、釜内仕込み総重量に対して脱水トルエンを12kg(38重量%)添加し、80℃で30分攪拌した。110℃、常圧において、トルエン4kg(30重量%対釜内仕込みトルエン)を留去した。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=300まで付加することでポリエチレンオキシド誘導体である化合物(g)を得た。
ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した結果、溶出開始点A、溶出終了点Dの保持時間はそれぞれ18.775分、24.325分であり、Ptopの保持時間は20.283分であり、溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの高さの1/30となる点B、点Cの保持時間はそれぞれ19.958分、21.033分であり、Pareaは792,238であり、PareaM 、PareaH、PareaLはそれぞれ758,877、4,761、28,600であった。
この結果から、
PareaM/Parea×100=95.8(%)
PareaH/Parea×100=0.6(%)
PareaL/Parea×100=3.6(%)
と算出される。
(実施例2)
還流装置、窒素ガス吹き込み管、温度計、かき混ぜ装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジグリセリン149g(約0.9mol)を仕込み、窒素ガス気流下、170℃、0.3kPa以下の真空条件において留去量2gとなるまで脱グリセリン・脱水を行なった。50℃で金属ナトリウム0.114g(0.077重量%対原料)を添加し、70℃で溶解した。四つ口フラスコ内全量をアルキレンオキシド付加用の反応釜に移送し、100℃でエチレンオキシドをn=5.0まで付加した。50℃に冷却後、ソジウムメチラート45g(30重量%対原料)を添加し、120℃、13.3kPa以下の真空条件において1時間脱メタノールを行なった。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=170まで付加後、釜内仕込み総重量に対して脱水トルエンを17kg(63重量%)添加し、80℃で1時間攪拌した。110℃、常圧において、トルエン8kg(47重量%対釜内仕込みトルエン)を留去した。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=225まで付加することでポリエチレンオキシド誘導体である化合物(d)を得た。
ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した結果、溶出開始点A、溶出終了点Dの保持時間はそれぞれ19.658分、24.050分であり、Ptopの保持時間は20.650分であり、溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの高さの1/30となる点B、点Cの保持時間はそれぞれ20.208分、21.392分であり、Pareaは742,644であり、PareaM、PareaH、PareaLはそれぞれ719,622、2,971、20,051であった。
この結果から、
PareaM/Parea×100=96.9 (%)
PareaH/Parea×100=0.4 (%)
PareaL/Parea×100=2.7 (%)
と算出される。
(比較例1)
アルキレンオキシド付加用の反応釜にグリセリン107g(約1.2mol)、ソジウムメチラート46g(43重量%対原料)を添加し、80℃、13.3kPa以下の真空条件において1時間脱メタノールを行なった。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=225まで付加後、釜内仕込み総重量に対して脱水トルエンを12kg(39重量%)添加し、80℃で30分攪拌した。110℃、常圧において、トルエン4kg(30重量%対釜内仕込みトルエン)を留去した。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=300まで付加することでポリエチレンオキシド誘導体である化合物(g)を得た(歩留:92.7%)。
ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した結果、溶出開始点A、溶出終了点Dの保持時間はそれぞれ18.800分、24.442分であり、Ptopの保持時間は20.217分であり、溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの高さの1/30となる点B、点Cの保持時間はそれぞれ19.800分、21.050分であり、Pareaは735,301であり、PareaM、PareaH、PareaLはそれぞれ670,594、6,618、58,089であった。
この結果から、
PareaM/Parea×100=91.2(%)
PareaH/Parea×100=0.9(%)
PareaL/Parea×100=7.9(%)
と算出される。
表1に示した結果を元に実施例1と比較したところ、高分子量が0.9%、低分子量7.9%とそれぞれ不純物が増加した。高分子量が増加した原因は、80℃、アルカリ条件下においてポリグリセリンが副生したためであり、低分子量が増加した原因は、80℃、13.3kPa以下の真空条件では脱メタノールが不十分だったためである。
この結果から、アルキレンオキシドの付加重合により粘度を下げる工程(工程(C)に相当)なしでは、高純度かつ高分子量のポリオキシアルキレン誘導体を製造することは困難だと分かる。
(比較例2)
比較例1の操作手順から次のようにトルエン添加量と留去量を変更した。エチレンオキシドをn=225まで付加後、釜内仕込み総重量に対して脱水トルエンを38kg(120重量%)添加し、80℃で30分攪拌した。110℃、常圧において、トルエン19kg(50重量%対釜内仕込みトルエン)を留去した。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=300まで付加することでポリエチレンオキシド誘導体である化合物(g)を得た。
ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した結果、溶出開始点A、溶出終了点Dの保持時間はそれぞれ18.508分、24.708分であり、Ptopの保持時間は20.067分であり、溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの高さの1/30となる点B、点Cの保持時間はそれぞれ19.642分、21.217分であり、Pareaは838,963であり、PareaM、PareaH、PareaLはそれぞれ773,189、9,900、55,874であった。
この結果から、
PareaM/Parea×100=92.1(%)
PareaH/Parea×100=1.2(%)
PareaL/Parea×100=6.7(%)
と算出される。
表1に示した結果を元に実施例1と比較したところ、低分子量6.7%と不純物が増加した。この原因として、トルエン添加に伴う低分子不純物前駆体である水分の混入量が、実施例1と比較して約3倍多かったために、トルエンの留去後に水分が残存してしまったことが挙げられる。
(比較例3)
比較例1の操作手順から次のようにトルエン添加量と留去量を変更した。エチレンオキシドをn=225まで付加後、釜内仕込み総重量に対して脱水トルエンを9kg(28重量%)添加し、80℃で30分攪拌した。110℃、常圧において、トルエン3kg(30重量%対釜内仕込みトルエン)を留去した。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=300まで付加することでポリエチレンオキシド誘導体である化合物(g)を得た。
ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した結果、溶出開始点A、溶出終了点Dの保持時間はそれぞれ18.758分、24.433分であり、Ptopの保持時間は20.292分であり、溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの高さの1/30となる点B、点Cの保持時間はそれぞれ19.908分、20.925分であり、Pareaは902,463であり、PareaM、PareaH、PareaLはそれぞれ851,022、5,415、46,026であった。
この結果から、
PareaM/Parea×100=94.3(%)
PareaH/Parea×100=0.6(%)
PareaL/Parea×100=5.1(%)
と算出される。
表1に示した結果を元に実施例1と比較したところ、低分子量5.1%と不純物が増加した。この原因として、トルエン添加量が実施例1と比較して10%少なかったために、釜内粘度を希釈により十分に低下させることができず、トルエンの留去後に低分子不純物前駆体である水分が残存してしまったことが挙げられる。
(比較例4)
アルキレンオキシド付加用の反応釜にジグリセリン149g(約0.9mol)、ソジウムメチラート51g(34重量%対原料)を添加し、80℃、13.3kPa以下の真空条件において1時間脱メタノールを行なった。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=170まで付加後、釜内仕込み総重量に対して脱水トルエンを12kg(44重量%)添加し、80℃で30分攪拌した。110℃、常圧において、トルエン4kg(33重量%対釜内仕込みトルエン)を留去した。続いて、120℃でエチレンオキシドをn=225まで付加することでポリエチレンオキシド誘導体である化合物(d)を得た(歩留:91.5%)。
ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した結果、溶出開始点A、溶出終了点Dの保持時間はそれぞれ20.083分、23.933分であり、Ptopの保持時間は20.792分であり、溶出曲線のPbaseLからの高さがPtopHの高さの1/30となる点B、点Cの保持時間はそれぞれ20.325分、21.592分であり、Pareaは756,097であり、PareaM、PareaH、PareaLはそれぞれ716,780、3,780、35,537であった。
この結果から、
PareaM/Parea×100=94.8 (%)
PareaH/Parea×100=0.5 (%)
PareaL/Parea×100=4.7 (%)
と算出される。
表1に示した結果を元に実施例2と比較したところ、低分子不純物が4.7%と多いことが示された。低分子不純物が増加した原因は、80℃、13.3kPa以下の真空条件では、高粘度のために脱メタノールが不十分だったためである。この結果から、アルキレンオキシドの付加重合により粘度を下げる工程(工程(C)に相当)なしでは、高純度かつ高分子量のポリオキシアルキレン誘導体を製造することは困難である。
Figure 2010254987
(実施例3)
実施例2で得た化合物(d)の水酸基末端に、薬剤のモデル分子として無水コハク酸を反応させ、低分子不純物である触媒由来の1官能不純物を順相液体クロマトグラフィーで分離、定量した。順相液体クロマトグラフィーは、HPLCシステムとしてAlliance 2695 Separations Module、示差屈折計としてWaters 2414、HPLCカラムとしてShodex Asahipak ES−502N 7C(φ7.5mm×100mm)を使用する。試料の測定は、カラム恒温槽温度を30℃とし、展開溶媒として5mMギ酸bufferを1ml/分の流速で流し、試料の1重量%溶液0.1mlを注入することにより行う。各種の測定値は、溶出曲線をWaters Empower2計算プログラムで解析して得られるものである。
還流装置、窒素ガス吹き込み管、温度計、かき混ぜ装置を取り付けた四つ口フラスコに、実施例2で得られた化合物(d)を15g(1.5mmol)仕込み、トルエン120gで溶解した。酢酸ナトリウムを0.15g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を15mg添加し、過熱還流させ、水分を共沸脱水した。無水コハク酸を1.50g(15.0mmol)添加し、110℃で5時間反応させた。反応終了後、ろ過を行い、ろ液にヘキサン100gを加えて結晶を析出させた。結晶を濾取、乾燥後、順相液体クロマトグラフィーで分析した。
(比較例5)
比較例4で得た化合物(d)の水酸基末端に、薬剤のモデル分子として無水コハク酸を反応させ、低分子不純物である触媒由来の1官能不純物を順相液体クロマトグラフィーで分離、定量した。還流装置、窒素ガス吹き込み管、温度計、かき混ぜ装置を取り付けた四つ口フラスコに、比較例4で得られた化合物(d)を15g(1.5mmol)仕込み、トルエン120gで溶解した。酢酸ナトリウムを0.15g、BHTを15mg添加し、過熱還流させ、水分を共沸脱水した。無水コハク酸を1.50g(15.0mmol)添加し、110℃で5時間反応させた。反応終了後、ろ過を行い、ろ液にヘキサン100gを加えて結晶を析出させた。結晶を濾取、乾燥後、順相液体クロマトグラフィーで分析した。
1官能不純物を定量した結果が表2になり、実施例3で0.2%と極めて低いのに対し、比較例5で2.7%と多く、薬剤モデル分子の修飾においても有意に差があることが示された。
Figure 2010254987
前述したように、本発明の高純度、高分子量、かつ多官能のポリオキシアルキレン誘導体の製造においては、低粘度化工程によりソジウムメチラート触媒由来のメタノールを除去するため、このメタノールに由来する1官能不純物の生成が極めて少ないことが特徴である。この1官能不純物は分子量が目的物の1/4倍であり、この様な低分子量の不純物が混入すると、薬剤の血中滞留性が低下してしまう。または、ゲル化剤としても架橋点が減少し、ゲル性能が損なわれてしまう。表2の結果から、本願製法で得られたポリオキシアルキレン誘導体は、1官能不純物量が極めて低く、均一性に優れていることが示され、期待した医薬品、および期待したゲルの性能が得られる化合物だと分かる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン誘導体の製造方法において、
    Figure 2010254987
    (ただし、Zはグリセリン若しくはジグリセリンの残基であり、OAは炭素数2から4のオキシアルキレン基である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で80〜800であり、mは3〜4である。)
    工程(A):グリセリン若しくはジグリセリンを90℃〜170℃、3kPa以下において脱水する工程;
    工程(B):アルカリ触媒として金属ナトリウム若しくは金属カリウムを工程(A)におけるグリセリン若しくはジグリセリンの仕込量に対して0.015〜1.6重量%加え、20〜110℃で溶解させる工程;
    工程(C):50℃〜110℃において、アルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが1〜10となるまで付加反応させる工程;
    工程(D):下記一般式(2)で示されるアルカリ触媒を工程(A)におけるグリセリン若しくはジグリセリンの仕込量に対して2〜50重量%添加する工程;
    Figure 2010254987
    (ただし、Rは炭化水素1〜4の炭化水素基であり、Wはナトリウム、カリウムのいずれかを示す。)
    工程(E):90〜130℃、15kPa以下において、脱アルコールを行う工程;および、
    工程(F):100℃〜130℃でアルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが80〜800となるまで付加反応させる工程;
    を有することを特徴とする、ポリオキシアルキレン誘導体の製造方法。
  2. 前記工程(F)が、100℃〜130℃でアルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが80〜300となるまで付加した後、反応容器内総重量の30〜70重量%の炭化水素系溶媒を添加し、次いで、90〜120℃において、反応容器内の炭化水素系溶媒の20〜60重量%を留去した後、100℃〜130℃においてアルキレンオキシドをオキシアルキレン基OAの平均付加モル数nが300〜800となるまで付加反応させる工程であることを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレン誘導体の製造方法。
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