JP2010254281A - 船舶の機関冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶の機関冷却装置全体において、省コスト、省スペース及び運航保守の省エネルギーと省力化を図る。
【解決手段】2吸引口形を含むポンプ21と冷却器・関連機器51G,51Jを通路床下・床上に、ポンプと関係機器を舷側縦通桁STR上に、全弁類を前面に配して全機器間配管を工場施工し、冷却海水・清水供給、潤滑油冷却・供給、主機ジャケット冷却の複合及び棚上設置ユニットを構成し、船内に一括吊込み次第、同一甲板間高の単一空間内でユニット相互及び機関被冷却部との配管・配線一切を施工する。また、航海・荷役などの機関出力設定・造水機稼働などに応じ半容量又は異容量のポンプ2台の並列・単独の選択運転或いは流量制御で余剰動力を低減する。さらに、取水ストレーナ3を集約し舷外取水箱1と共に逆洗し、冷却器に逆洗可能な二次ストレーナ50G,50Jを配し且つ定置洗浄を加え長期の無開放運転・保守を可能とする。
【選択図】図25

Description

本発明は、主に船舶のディーゼル機関の冷却装置に係るものである。
[機関冷却方式] 船舶の推進主機関や発電機関に使用されるディーゼル機関には、過給機で断熱昇温した燃焼用空気、機関の回転・摺動部の潤滑油及びシリンダ部ジャケットの冷却用清水にそれぞれ冷却器が設置され、舷外からの取水海水で直接冷却すなわち海水冷却方式、或は、集中清水冷却器(Central Cooler)により取水海水で冷却した清水で間接冷却すなわち清水冷却方式が採られている。
一般に、船舶の機関の熱平衡(Heat Balance)設計の冷却水供給最高温度は、海水では温暖地域の夏季最高値を考慮して32℃、清水では清水冷却器の冷却温度差6℃を加えて38℃を標準としており、機関の全負荷での冷却熱量に合わせ、上述の各冷却器の交換熱量、伝熱面積、冷却水流量などの諸量が設計される。
海水冷却方式では、被冷却流体との冷却温度差が大きいので冷却効率が良く且つ海水で直接冷却するので系統は簡潔になるが、冷却器一次側の水垢(Scale)が生成し冷却効率が低下して行くため定期的(数ヵ月〜年毎)に該冷却器の開放洗浄が必要である。
清水冷却方式では、被冷却流体との冷却温度差が小さいので冷却効率が低く各冷却器は大きな伝熱面積が必要となり且つ集中清水冷却器は海水・清水間の冷却温度差が6℃しか採れないので頗る大きな伝熱面積と共に一次側海水ポンプと同等以上の清水ポンプを要し、且つ該集中冷却器の一次側海水系の水垢生成による冷却効率の低下は上記の海水冷却方式と同様で定期的に大掛りな開放洗浄を要し、そのコストアップは大きく頗る大きな設置スペースを取り且つ電力消費すなわち燃料消費を増す。
一般に、中・大型船の主機関では、空気冷却は高過給のため全冷却熱量の60〜70%を占め、潤滑油は冷却熱透過率が水に比べ桁違いに小さいため冷却器は大きな伝熱面積を要し且つ潤滑油供給標準温度45℃において冷却温度差は清水冷却方式では45−38=7℃、海水冷却方式での45−32=13℃に比べ1.86倍も大きな冷却器が必要であり、主機関に装着(以下、略して機付と呼ぶ)の冷却器では容量不足のため、中段甲板上に大きなスペースを以って別置きする場合がある。
したがって、主機関の空気冷却及び潤滑油冷却には海水冷却方式を採用し、主機関ジャケットは被冷却部の材質に鑑み、発電機関は主機関に比べ小容量且つ複数機設置と冷却箇所数が多いため、清水冷却器を介した清水冷却方式を採っている。
上記の集中清水冷却器は、小・中型船では冷却器1台であり、該冷却器の開放洗浄中は発電機関を運転できないため、陸電で船内電源を得るため港内着岸を要し、或は空冷の小型発電機を追加する場合もある。
[補機二重化] 機関の冷却系では、海水・清水・潤滑油ともポンプを航海補機として船舶関係規則に従い二重化すなわち全機関全負荷運転に必要な容量の常用機と同容量の予備機の計2台を設置しており、荷役・碇泊での主機関休止中の余剰動力をさけるため発電機関冷却用に別の補助海水ポンプ2台を常用・予備として設置することが多く、電装においても、機関制御室に設置の主配電盤から各々補機について常用・予備の2回線で給電している。
[機関室形状・構造] 一般に貨物船(Cargo Ship)、バラ積み船(Bulk Carrier)や液送船(Tanker)などの輸送用船舶では、後部機関室(Aft Engine)且つ1機1軸船(主機関1台、推進器1軸)が最も多く、機関室形状は主機関(Main Engine、略してME)及び自吸機能を要する主要補機を設置する機関室下部は、船尾から見て、平面では図1に示すように逆梯形、横断面(Cross Section)では図2に示すように逆梯形であり、船底(Base Line、略してBL)、二重底上板(Tank Top、略してTTP)、通路床(Floor、略してFLR)、中段甲板(Mid-Deck、略してMDK、小・中型船では1段、大型船では2段:3rd Deck、2nd Deck)、上甲板(Upper Deck、略してUDK)が配され、殻板(Shell Plate、略してSPL)は肋骨(Frame、略してFR)を小骨としその間隔(Frame Space、略してFS)は載荷5000トン級の中型船で700mm、6万〜10万トン級の大型船で800〜900mmの例があり、一般に4FS毎に特設桁(Web Frame、略してWF、図2にFR25を代表図示)を大骨とし、甲板間高さ(Deck Height略してDKH)の中間に配した水平縦通桁(Side Stringer、略してSTR)と組合せた格子状構造を成し且つ主機関用甲板開口部(Deck Opening、略してDOP)のH断面支柱(Pillar、略してPLR)と共に機関室の主構造を成している。
二重底上板TTPの上には大小径・多種の配管が多く通るので、その上に通路床FLRが配され、その高差は中型船で800mm、大型船では1600mm、中段甲板MDKまでの甲板間高さ(Deck Height、略してDKH)は中型船で4700mm、大型船では9600mmに及ぶ例があり、中段甲板MDK下に天井配管が通る。
二重底上では、4FS毎の特設桁WFと支柱PLRが主機関MEの左右に、主機関ME前端と前壁(Bulk-head、略してBHDとの間は3FS又は4FSで、図1に示すように恰も補機用区画{補機(1)〜補機(4)}の如きを成すので、各々区画内にほぼ1FS幅以上の通路床FLRを採って補機配置を要し該補機ユニットの平面寸法が制約される反面で、立体的には甲板間高さDKHの大半が空間になっており、補機の保守・吊上げに利用される程度である。
該区画中間の各肋骨FR下部に三角形の補強ブラケット(Bracket、略してBKT、図2にFR27を代表図示)が配され、その奥行は大骨の特設桁WFとほぼ同様であり、機器・弁類・配管との干渉に注意を要し、なお、大型船では、右舷前壁に避難昇降筒(Escape Trunk、1000mm角)を配している。
[補機の設置場所] 海水系ポンプ(冷却海水、バラスト、消防・ビルジなど)、潤滑油系ポンプ(主機関潤滑、移送)及び燃料油移送ポンプは、喫水線下での取水や二重底タンクから自吸等の水理・流体力学上(以下、纏めて水理上と記す)の制約に鑑み二重底上板TTPに設置を要し、特に海水系ポンプは大口径のため主機関前・横の前部区画を採る。
喫水線(Load Water Line、略してLWL)は載荷状態で変化し、一般に満載喫水は上甲板UDKと中段甲板MDKの中間でトリムはほぼゼロ、空荷喫水(バラスト満水)は中段甲板下且つ正(+)のトリムで運航され、なお、港内では船体保守のためバラストゼロの空槽喫水が通路床FLR上まで下がることがあり、上記の海水系ポンプは常に喫水線下で取水海水を吸引するため、二重底上板TTPに設置を要する訳である。
発電機関、冷却器、清水ポンプなどの補機は中段甲板上に配して、甲板下からの貫通立上り配管に接続され、清水冷却系は上位甲板に設置の膨張タンク(Expansion Tank、略してExp.T)でほぼ10mの正水頭が加えられている。
[機関艤装と補機ユニット・モジュール化] 船体のブロック建造方式に伴う早期艤装の見地から、補機毎に機器・弁類・諸管を工場組立してユニット化し、船体ブロック製作工程或いは該ブロックの船台上の組立工程の途上で該補機ユニット一体の一括吊り込み据付して現場工事量を局限し、建造工程の短縮とコストダウンが進められる時勢において、補機を機能的に分類して纏め、電装・制御を含む自己完結モジュールを構成し工場組立・試験一切を経て現場に一括据付する艤装方式が研究・開発されている。
燃料油清浄・供給装置や潤滑油清浄装置は、小口径の機器・弁類・諸管より成り加熱器も加わって機能・機構複雑なため始動盤や制御盤と共に製作・供給されており、補機ユニットに小寸の電装・制御組込の自己完結モジュール化は小規模の工場設備で機能試験まで実施できるので有益であるが、大口径の海水・清水系及び主機潤滑油系の補機ユニットでは、機関制御室等に設置の主配電盤から集合始動盤を経て、短距離配線の動力線(常用・予備の2回線)と機側操作器(6芯制御線)程度の簡単な電装であり、現実にはポンプなどの機器はメーカーで規格・仕様に基づき試験済み且つ工場では仮設始動器でポンプ始動し弁類操作と漏水・水圧試験程度までであり、温度調整機能や水理的現象などは建造実績・経験ベースで解決されたもので設計され完工運転試験で確認されており、該集合始動盤に代わって各々補機ユニットのスペース上頗る困難な大寸の始動盤の組込みは再考を要する。
[船内LAN] 操舵室での遠隔操作に現行の多芯制御線に代わり研究・開発が進められている船内LAN系統は上記の始動盤や制御機構に接続される。
[非常吸引・排水] 冷却海水ポンプはその予備機に自吸(Self Priming)機構と非常吸引弁を配し、機関室浸水事故の際に該予備機で事故浸水を直接吸引可能にしているが、吐出側は常用の冷却系統を通るので、該ポンプは流量を絞られ且つ事故浸水の浮遊異物が常用冷却機能を損なう怖れがある。
[冷却水温度調整] 一般に、舷外からの取水海水を各冷却器に供給し、冷却器二次側に温度調整三方弁(以下、温調三方弁と呼ぶ)を配して清水、潤滑油温度を機関負荷全域で定温制御を行い、二次側で温度調整できない空気冷却器では側路弁で一次側水量を調整して掃気温度を調整するのが普通であり、寒冷海域・季節の過冷による主機関効率低下や過小流量による冷却器内の塩類析出などの不具合を避けるため、海水系に絞り弁と循環管路を配して過冷を避け或いは海水系にも温調三方弁を付加した例がある。
[ポンプ保守] 一般に、海水系及び清水系の渦巻ポンプは小型では横軸機、中・大型では縦軸機が使用されるが、その軸封はグランドパッキンを標準設計としており、近来顧客要求増加のメカニカルシール装着は長期無調整稼働の利点あるも、その取替えには電動機取外しは勿論、ポンプ分解を伴う複雑且つ重作業を要する場合が多い。
[ストレーナ] 海水系ではポンプ毎に吸引側に個別ストレーナを配するのが普通であるが、航海補機としての二重化と相俟って、主冷却海水、補助冷却海水、消防・ビルジ、バラストだけでも計8台のストレーナが必要であり、その面間寸法はポンプに次いで大きく設置スペースを取り且つ航行・寄港海域の浮遊異物状況により月毎〜数ヵ月毎に予備ポンプに切替えて開放洗浄が必要である。
一般に海水用ストレーナに逆流水を与えても、内装フィルタが深いためその底部や低部に絡み付いた目詰まりや滞留異物には該逆流水の効力が及び難く有効な逆流洗浄(以下、逆洗と呼ぶ)ができないので上記の開放洗浄が普通になっている。
なお、舷外取水箱(Sea Chest、略してSC)には、圧縮空気管或は蒸気管が攪拌清掃用として配され、左右の舷外取水箱SCを結ぶ連絡管中間に弁を配し2台のビルジ・バラスト系ポンプの注排水機能を利用して該SCを片舷宛逆洗可能とした例があるが、ストレーナの逆洗には及ばず且つ冷却海水ポンプの一時休止を要する系統になっている。
[二次フィルタ] プレートクーラーの一次側海水入口には細目開き(漉し穴径2〜3mm)のフィルタ筒を内装し、上述の海水ポンプ吸引口に設置の粗目開き(漉し穴径8mm)のストレーナを通過した異物の目詰まりでも冷却器の開放を要し、伝熱板の水垢洗浄とは別に一次側海水系の水落としと海水入口の開放洗浄が必要である。
なお、一次側海水入口・出口間に弁4個によるブリッジ管路を配して逆洗の例があるが、逆洗方向には狭隘なクーラー内に異物侵入の怖れあり、ブリッジ管路がかなりのスペースを取る。
外航船に設置の造水機は、その清水加熱部を主機関ジャケット冷却出口に側路弁と共に接続し温調三方弁の分流水が高温清水冷却器で冷却清水供給温度(設計定格38℃)まで冷却されるが、冷却海水は該冷却器と造水機の海水冷却部(側路弁並列)に個別に供給しており、主機関出力変更の都度海水冷却部の調整を要し且つ造水機用に冷却海水の増量が必要である。
上述の「背景技術」における諸問題に鑑み、本発明においては、最も有効な手段で以って簡潔且つ有利な構成で主機関及び発電機関の冷却に係る全装置の省コスト・省スペースを具現し、船舶運航における補機動力の省エネルギー(以下、省エネと記す)と共に人件費節減のため4年毎の法定定期検査以外は該装置の長期間無開放運転・保守による船内作業の省力化を期す。
[冷却方式] 主機関の冷却熱量の大半(60〜70%)を占める空気冷却及び熱透過率が頗る低く大きな伝熱面積を要する潤滑油冷却には、冷却温度差が大きく採れる海水冷却方式を、主機関ジャケットは被冷却部の材質と高温に鑑み、発電機関は被冷却部の箇所数(潤滑油、空気、ジャケット)と設置数(常用2台と予備1台の計3台)を考え水垢が生成し難い清水冷却方式を、それぞれ基本として採用する。
[無開放運転・保守] 4年毎の法定定期検査以外は、無開放運転且つ定置洗浄を可能とするよう舷外海水取水から全機関の海水・清水・潤滑油・空気系に至る冷却装置全体を構成する。
[装置構成] 海水・清水・潤滑油とも既発明の「特願2008‐336306(2008年12月26日出願)」及び「特願2009−089752(2008年4月2日出願)」(以下、既発明1と呼ぶ)の電動機一体型の横軸渦巻ポンプを使用して二重底上且つ通路床下に、冷却器などの各冷却系機器を通路床上にそれぞれ配し、関係弁類・諸管で以って上下一体に組立てて各々立体的な複合ユニットを成し且つ舷側縦通桁上に該横軸渦巻ポンプ及び関係弁類・諸管を一体に組立てて棚上設置ユニットを成し、それぞれユニットを船内或いは二重底ブロック上に一括吊り込みして据付け、該ユニット相互間及び全機関の被冷却部との連結配管の全てを二重底上の甲板間高さの単一空間内で施工可能な機関冷却装置を構成する。
[冷却海水供給] 全機関の全負荷運転に必要且つ関係補機に利用の水量を含む全冷却海水流量を半容量且つ等容量又は異容量の海水ポンプ2台を常用機として並列運転で供給するよう設計し、運航における機関負荷に応じて常用機2台並列、1台単独又は異容量の選択運転で供給するよう構成し、半容量又は大きい方の常用機と同容量の海水ポンプを予備機として配し、何れかの常用機の故障の際に該故障機を直ちに予備機に切替えるよう機関冷却装置の冷却海水供給系統を構成する(中・小型船では常用機は機能・効果を勘案し全容量のポンプ1台、予備機と併せ計2台で構成する)。
なお、随意採用(Option)として内1台をインバータ可変周波数などの定揚程制御可変速ポンプとし、ポンプ定格以下の小流量には該ポンプ単独運転、ポンプ定格以上の大流量には残1台の無制御ポンプとの並列運転により、定揚程Hcの冷却海水を供給し且つポンプの揚程‐流量特性(以下、H‐Q特性と呼ぶ)との比Hc/Hにより軸動力Psを節減することができる(中・小型船では全容量1台の常用機に可変速制御を適用可能)。
[非常吸引・排水] 船舶関係規則に従い機関室浸水事故に備え、上記の予備機の吸引口と常用吸引弁との間で分岐し逆止弁を二重底直上100mmの管端高を持つ非常吸引弁として配し、吐出口又は吐出口逆止弁と常用吐出弁との間で分岐し非常排水弁を配して舷外排水管に直接接続し、浸水事故に際しては弁切替(常用吸引弁及び常用吐出弁を閉じて非常吸引弁及び非常排水弁を開き)と予備機の運転で事故浸水を緊急排水するよう構成する。
予備機に係る常用吸引弁及び常用吐出弁は、常用機故障の際電気的切替のみで始動するため、常時開とし該ポンプ内及び非常吸引弁(逆止弁)の弁体上までの配管内は常時充水(呼び水)されており、機関室浸水事故の際、非常吸引弁及び非常排水弁に急切替とポンプ運転(直入れ始動)により全管路内水が急加速され非常吸引弁の弁体下の空間が有効な負圧になって事故浸水を吸上げる自吸作用を為し、その負圧空気は全管路内水の慣性で該ポンプを瞬時に通過する。
この非常吸引・排水は、連続無休運転の常用機の冷却海水供給機能を一切損なわず、故障常用機1台が予備機に切替わった状態でも、残る1台の常用機で発電機関の船内電源確保と主機関の最低速運転に必要な冷却海水量を供給し、事故浸水に浮遊異物があっても直接排出し、常用系統に支障を来さない。
全機関の全負荷運転に必要且つ関係補機に利用の水量を含む全冷却清水流量を半容量2台で供給するよう清水冷却器の伝熱容量を設計し、通路床上に保守に必要な空間を挟んで配置し、上記の海水ポンプの吐出主管から二次ストレーナを介して冷却海水を受け、主機関ジャケット冷却と発電機関冷却に共用する冷却清水供給系統を構成し且つ上述の冷却海水供給系統と上下一体に組立て、機関冷却装置の冷却海水・清水供給複合ユニットを構成する(造水機設置の場合は後述)。
冷却清水供給系統には清水ポンプを待たず、後述の主機関ジャケット冷却ユニット及び発電機関にそれぞれ内装の清水ポンプでそれぞれ必要水量を吸引取水し、清水冷却器の出口を水理基準点として上位甲板に設置の膨張タンクに接続し、正水頭約10mを与えると共に各々清水ポンプに係る過度現象を緩衝し、両者の冷却戻り水合流後の清水冷却器入口配管から小径弁で絞って膨張タンクの水面に導き循環させ、膨張タンク系水温をほぼ清水供給温度(38℃)に保つと共に、冷却清水用注入薬液を拡散する。
発電機関冷却戻り管に逆止弁2個を配して、主機関ジャケット冷却戻り水との合流点及び主機関ジャケット冷却水入口に導き、前者は常用として主機関ジャケットの高温戻り水の発電機関側への逆流を阻止し、後者は発電機関の冷却戻り水で主機関ジャケットの予熱を可能とし、なお、一方の清水冷却器の点検・洗浄等での休止においても他方の清水冷却器を稼働し少なくとも1台の発電機関の冷却・稼働を可能にするよう冷却清水系統を構成する(造水機設置の場合は後述)。
[潤滑油冷却] 主機関の全負荷運転に必要な潤滑油量を、小・中型主機関では全容量1台、大型主機関では半容量2台並列運転の横軸渦巻ポンプの常用機として供給するよう設計し、常用機と同容量の予備機1台を配し、常用機故障の際に該故障機を直ちに予備機に切替えるよう機関冷却装置の潤滑油供給系統を構成し、通路床下に配置する。
なお、随意採用(Option)として、常用機1台(全容量1台又は半容量1台)をインバータ可変周波数制御などの定吐出圧制御の可変速ポンプとし(半容量では無制御ポンプと並列運転)、主機関負荷・回転数変化に伴う潤滑油流量変化に対し定圧Hcに保ちポンプのH-Q特性との圧力比Hc/Hにより軸動力Psを節減する。
主機関の全負荷運転に必要な潤滑油流量と冷却熱量の温調三方弁付冷却器及び逆洗型二次ストレーナを通路床上に配し該冷却器の一次側を上述の冷却海水供給系統に接続し且つ関係弁類・諸管と共に上記の潤滑油供給系統と上下一体に組立て、機関冷却装置の潤滑油冷却・供給複合ユニットを構成する。
上記の温調三方弁付冷却器が機付の場合は、該冷却器の一次側を冷却海水供給系統に接続し、逆洗型二次ストレーナを通路床上に配して潤滑油供給系統と上下一体に組立て、機関冷却装置の潤滑油供給複合ユニットを構成し、機付の該冷却器を経て主機関に漉し油を冷却・供給する
[主機関ジャケット冷却] 主機関の全負荷運転に必要な冷却水量に設計した清水ポンプを常用・予備計2台を棚状の舷側縦通桁上に設置し、関係弁類・諸管と共に一体に組立て、機関冷却装置の主機関ジャケット冷却ユニットを構成する。
なお、主機関ジャケット冷却出口と温調三方弁の間に造水機の加熱清水系を側路弁と共に挿入し、上述の冷却海水供給系統から蒸留・冷却用海水を取り、定常航海中に主機関ジャケットの高温冷却戻り水を熱源として蒸留清水の生産を可能に構成できる(造水機系統は後述)。
[温度調整] 上述の冷却海水・清水供給複合ユニットにおいて、冷却海水戻り管に温調三方弁で以て海水ポンプ吸引主管と舷外排水管に分流するよう配し、海水ポンプ吐出主管に温度センサーを配し、該冷却海水戻り水を取水海水と混合して定温制御し、冷却清水は機関負荷に応じた冷却海水ポンプの選択運転による冷却熱量変化でほぼ一定の温度に保つよう、冷却海水・清水供給系統の温度調整機構を構成する。
上記の冷却海水・清水の温度調整機構により、潤滑油冷却器に配した潤滑油温調三方弁の作動範囲を圧縮して作動を安定させ、空気冷却器の二次側空気による掃気温度を適正範囲に保ち、主機関ジャケット冷却系に配した温調三方弁の作動範囲を圧縮して作動を安定させ、発電機関に適正な温度の冷却清水を供給する。
なお、主機関ジャケット冷却水の温調三方弁の側路出口にオリフィスを挿入して軽度の圧力損失を与え、該三方弁の分流出口と発電機関冷却との戻り合流水による清水冷却器の圧力損失に協調させ、該温調三方弁の分流作動を安定化する。
清水冷却供給系統は温調三方弁を配さないので清水冷却器の一次・二次間の冷却温度差6℃以下の変動幅を持つが、上述の一次海水の定温制御(32℃)の上で機関負荷に合わせた冷却海水ポンプの選択運転により、定常航海から岸壁荷役・停泊の全運航状態において変動幅は2〜3℃程で、発電機関の潤滑油及び空気冷却には適正範囲内となり且つジャケット冷却は主機関と同様の温調三方弁を持ち定温制御(85℃)される。
[圧力補償] 主機関軽負荷の半力航行や入・出港で異容量海水ポンプの大きい方の常用機1台の選択運転で冷却海水を供給するとき、ポンプ流量の2乗に比例して冷却器の抵抗水頭が下がるので、海水冷却系の冷却海水戻り管に絞り弁を配して該ポンプが定格揚程(変動喫水線下の吸引側と吐出側の差圧で検知)で運転するよう圧力補償し、清水冷却器の海水流量を定格値に保持する。
なお、該絞り弁の開度を定常航海を含む主機関負荷全域での流量に調整すれば、清水冷却器の二次側清水の温度変動を更に圧縮でき且つ前述の冷却海水ポンプの定揚程可変速制御を併用すれば該ポンプの軸動力節減を全運航状態に拡張することができる。
[ユニット支枠] 各ユニットのポンプ・冷却器などの主要機器台枠及び支柱を配し、関係弁類・諸管と共に一体組立して安全に一括吊り込み可能な支枠を構成する。
該支枠は、主要機器を支承するに最小限の部材且つユニット内配管の構造強度と協働した構造とし、船内吊り込み後に船体主構造と連結(支台、揺れ止など)で耐震剛度を持たせ且つ船体主構造との空隙(Clearance)を充分採り二重底上板などの保守(清掃・塗装補修)も含みユニット内主要機器へのアクセスに支障なきよう設計する。
ポンプの保守は、前述の軸封シール(メカニカルシールなど)の現場取替えを主とし、電動機一体構造のポンプ自体は絶縁や軸受の故障頻度は僅少及び二重化補機に鑑み、日常点検のアクセスと万一の故障に際し支枠梁材の吊環の補助でユニット外に横引き引出し可能とすれば充分である。
[配管支材] ユニット周りの配管の支持点にUボルト仮止めの支材を予め配し、船内据付後に位置決めし船体構造材(支柱・梁など)に吊材や補材を付して溶接し本締めする。
[連結配管] 全ユニットを吊り込み前に相対位置に置いて、ユニット相互間・近接通過配管及び被冷却系との連結配管一切を仮組で寸決めしてフランジ仮付けし、ユニットに仮縛りして船内に吊り込み、据付・配管一切の一連の施工を効率的に進める。
[電装] 機関冷却装置の全ユニット(冷却海水・清水供給複合ユニット、主機関ジャケット冷却ユニット及び主機関潤滑油冷却・供給複合ユニット)の保守アクセス可能な箇所に電磁始動箱を、各ユニットの操作正面に機側操作器をそれぞれ配し、主配電盤から常用・予備の電源2回線を該電磁始動箱に受け、各々ポンプと機側操作器に動力・制御配線し、機関冷却装置の配管と同様に全ての電装を二重底上の甲板間高さ以内の単一空間で施工する。
機関冷却装置の電磁始動箱には分岐開閉遮断、負荷電流計、電磁開閉、過負荷保護及び制御電源を内装し、各ユニットの機側操作器にはポンプ毎に「始動」・「停止」・「待機」(Stand-by)用押ボタンスイッチ及び「電源」・「待機中」・「運転中」用表示灯を設ける。
機関冷却装置の各ユニットに装着の機側操作器及び温調制御機器などのユニット内電路と端末を該ユニットの工場組立工程で配線・結線し、電磁始動箱に至る電路長に見合う電線を該ユニットに仮留めし、該ユニットを船内吊り込み据付次第電磁始動箱に配線・結線し、船体上部構造搭載工程と並行して施工する。
なお、建造船毎の他の主要補機の電装方針・仕様に合わせ集合電磁始動盤として機関制御室に配置もできる(後述の発明の効果[電装]を参照)。
始動電磁開閉器の制御回路は、常用・予備の2回線の主回路から個別分岐直接の交流440Vとし、機側操作回路は表示灯回路と共に該主回路の交流440Vから個別分岐・変圧整流の低圧直流(24Vなど)とし、必要に応じ補助リレーを介して常用優先の共通低圧直流も可能、なお、ポンプ動力が小さい小容量の電磁開閉器の制御回路は該低圧直流に統一する。
[集約ストレーナ] 冷却海水系統は勿論、ビルジ・バラスト系統などの各海水ポンプの吸引口に配した個別ストレーナの代わりに、両舷の舷外取水箱に設置の取水元弁直後に各1台の集約ストレーナを配し、それらの出口に注排水機能を持つビルジ・バラスト系の各舷のポンプ吸引口をそれぞれ接続し且つ集約ストレーナの分岐口又は出口配管の分岐管にそれぞれ取水支弁を配して両舷間を連絡管で結び、該連絡管を冷却海水供給系統の主吸引管とし、該取水支弁の選択開閉により冷却海水供給系統の運転継続のまま集約ストレーナの開放洗浄又は後述の無開放逆洗を可能に海水取水系統を構成する。
それぞれ集約ストレーナの底部に空気口を配し空気弁を介して圧縮空気源に接続する。
[逆洗機構] ビルジ・バラスト系統の注排水機能により、ポンプ運転側の順流の集約ストレーナの漉し水をポンプ休止側の集約ストレーナの内装のフィルタ筒に逆流外圧を与え、該ストレーナの空気弁を開いて圧縮空気を噴入し該フィルタ筒の底部・低部の逆流外圧を補助し、該フィルタ筒の全漉し面の目詰まり異物を剥離し滞留異物と共に攪拌しながら該ストレーナの入口に押流し、舷外取水箱内の浮遊異物と共に舷外に押流すよう海水取水系統の逆洗機構を構成する。
[二次ストレーナ] 管体の両端にフランジをつけて細目開きのフィルタ筒を装入し、一端に原海水管(海水ポンプの吐出系)を、他端に排水管をそれぞれ弁を介して配し且つ両者とも該フィルタ筒内に通じた構造とし、管体中間で分岐してフィルタ筒外に出る漉し水管を弁を介して冷却器の海水入口に接続し且つ管体に空気口を設けて空気弁を介して圧縮空気源に接続し、次に記載の無開放逆洗可能な二次ストレーナを構成する。
[逆洗機構] 海水ポンプの運転中に、漉し水弁を閉じて排水弁を開きフィルタ筒内の残留異物を押流し、空気弁を開いて該フィルタ筒に逆流外圧を与え、フィルタ筒内の目詰まり異物を剥離し原海水と協働して舷外に排出する。
圧縮空気圧は、逆洗に係る弁の誤操作による冷却器への加圧の怖れを考え、上述の温調三方弁の制御用減圧空気の如く冷却器の耐圧以下に選定するのがよく、その場合は原海水弁を絞ってフィルタ筒内の水圧を下げ、空気圧による逆流外圧との落差を採るのがよい。
この二次ストレーナの空気注入機構を利用し、排水弁を閉じ漉し水弁を開いて冷却器に給水中に、空気弁の絞り調整で適量の空気を注入して泡水を生成し、該冷却器の海水系に生成する汚れを該泡水で洗浄するバブリング作用(Bobbling)を利用することができる。
[定置洗浄] 各冷却器(空気、潤滑油及び清水)の一次側海水入口・出口の短管(Distance Piece、不錆鋼製)に洗浄管接続口を配し、海水入口弁・出口弁(弁体などの接水部は不錆鋼製)を閉じて市販の可搬型定置洗浄機にホース接続し、該冷却器内海水系の水垢を無開放で洗浄可能とする。
各冷却器内の海水容積(数十〜数百リッター)に要する洗浄用清水は水落とし後の塩抜き(バブリング含む)、酸洗い、中和の各工程中の必要量(約1m^3)に鑑み且つ洗浄効果に温清水の必要に応じ、1冷却器毎の定置洗浄計画に合わせ航海中の排熱ボイラ(Economizer)の蒸気又は熱媒油により加熱・貯留し、主機関休止後該冷却器の温状態で定置洗浄を実施し、燃料使用のボイラでの補熱をできるだけ局限し省エネを期する。
[海洋生物付着防止] 海水系全般に亘る管路の腐食を考え厚管壁の鋼管(Sch.40)を使用し亜鉛メッキなどの防食を施し、標準装備の海洋生物付着防止装置(Marine Grow Protection System)の電解生成の塩素などでフジツボなどの水理上有害な生物生成の防止機能につき、その性能向上や適正な運用が当然必要である。
[改良:装置構成] 前述の冷却海水・清水供給複合ユニットにおける冷却海水ポンプに既発明「特願2009−165327(2009年7月14日出願)」(以下、既発明2と呼ぶ)の横向2吸引口付電動機一体型横軸渦巻ポンプを2台(1号機・2号機と仮称)使用して並列に配し、両ポンプの対向側の各吸引口に吸引弁を配してT分岐管で吸引主管に接続し且つ両ポンプの各吐出口に逆止弁とT分岐管を配し、該T分岐管の対向側の各管端に吐出弁を配してT合流管で冷却海水主管に接続し、一方のポンプ(1号機)が常用機として運転中に故障の際に予備機として待機の他方のポンプ(2号機)に切替えるよう冷却海水供給系統を構成し、該予備機側のポンプ(2号機)の外向吸引口に直接又は短管を介し非常吸引弁として逆止弁を配し且つ該ポンプの吐出側T分岐管の外向管端に非常排水弁を配して舷外排水管に接続して構成の機関室浸水非常吸排水機構と、該常用機側のポンプ(1号機)の外向吸引口に吸引弁を配して既発明「特願2009−138942(2009年6月10日出願)」(以下既発明3と呼ぶ)の滅菌装置に接続し且つ該ポンプの吐出側T分岐管の外向管端に送出弁を配してバラスト水系統に接続して構成の滅菌循環機構を、それぞれ付加して両ポンプを異系統兼用とし且つ両ポンプの吸引配管の取外しなく軸端側のケーシングカバーの開放及び軸封シール取替可能に該ユニットを構成する。
上記の稼働区分を要約すれば、通常は一方のポンプ(1号機)を常用、他方のポンプ(2号機)を予備として二重化された冷却海水供給に働き、機関室浸水事故時には常用機側(1号機)を冷却海水供給、予備機側(2号機)を非常吸排水に当て、バラスト水滅菌循環では予備機側(2号機)を冷却海水供給、常用機側(1号機)を滅菌循環に当て、予備機側(2号機)故障の際は勿論、予備機側(2号機)が非常吸排水の場合も、滅菌循環を消防・ビルジポンプに切替え常用機側(1号機)は冷却海水供給を優先・継続する。
バスト水滅菌循環の戻り管はバラスト管を利用し、バラストポンプの自吸補助(Priming)及びバラストタンク残水吸引(Stripping)を司る消防・ビルジポンプの注排水機能を滅菌循環バックアップ(Back-up)に利用する。
ポンプ容量は、中・小型船においては、全機関の全負荷運転に必要且つ関係補機に利用の水量を含む冷却海水流量を常用機1台で供給するよう選定するが、大型船においては、運航の大半を占める定常航海での機関負荷に見合う常用機とし、発電機関全負荷に見合う小容量ポンプ1台を補助機として付加し常用機との並列運転で全機関の全負荷運転に、荷役・停泊中には補助機単独運転で対応し、予備機は常用機と同仕様のポンプで定常航海に対応可能とする。
非常排水弁及び滅菌循環送水弁は逆止弁を使用し、前者は不慮の停電や誤操作による逆流を阻止して舷外海水の浮遊異物侵入を防止し、後者は滅菌循環バックアップの消防・ビルジポンプの高圧水を阻止して冷却海水・清水供給系統(特に冷却器)を保護する。
[改良:清水冷却器] 2台の清水冷却器の一方(1号冷却器)を全常用発電機関用低温清水冷却に、他方(2号冷却器)を主機関ジャケット用高温清水冷却と1台の発電機関用低温清水冷却に兼用にそれぞれ設計し、発電機関冷却戻り管から後者(2号冷却器)と主機関ジャケット冷却入口にそれぞれ向かう逆止弁を配し、主機関運転中の高温清水の低温清水側への流入を阻止し且つ主機関休止中に後者(2号冷却器)による1台の発電機関の冷却・稼働で船内電源を確保して前者(1号冷却器)を休止可能とし、両冷却器の交互休止・点検・洗浄(定置・開放)を可能とし且つ発電機関の冷却熱で主機関予熱を可能とする。
[改良:造水機関連系統] 主機関ジャケット冷却出口と温調三方弁との間に造水機加熱系と側路弁を、冷却海水供給管と2号冷却器の海水入口との間に造水機冷却系と側路弁をそれぞれ配し、主機関出力変化あっても該冷却器・造水機共に清水系と海水系の熱量平衡を保つ。
[改良:冷却海水流量制御:随意採用(Option)] 主機関の海水冷却系及び高温清水系の冷却海水戻り管に流速センサ及び流量調整弁を配し、主機関出力に見合う流量に設定した流量制御器を働かせ、低温清水冷却器の海水系に発電機関の稼働数に応じて切替の流量絞り器を配し、主機関出力と発電機関稼働数に応じて冷却海水冷却系統に最適流量を与える。
[改良:温度調整] 以上の改良発明においても、補助機を含む全冷却海水に温度調整三方弁による定温制御を施し、流量調整と相俟って主機関掃気温度の適正範囲及び潤滑油温調作動幅の更なる圧縮・安定化、無制御の冷却清水の温度変動を軽少に抑えて発電機関の潤滑油・空気冷却に供し、主機関・発電機関ともジャケット冷却にはそれぞれ施した温調定温制御を更に安定化する。
以上に記載の本発明の船舶機関冷却装置は以下述べるように頗る大きな効果を齎す。
[省スペース・省コスト] 図1、図2のように、平面・横断面とも逆梯形の二重底TTP上且つ中段甲板MDK下の機関室最低部の狭い空間において、水理的に二重底TTP上設置が必須の冷却海水ポンプ及び主機関潤滑油ポンプは別件の既発明1の電動機と一体型の渦巻ポンプの横軸機の採用によりポンプセット長が半減し且つ吸引・吐出両側の弁類・諸管の集中配置により吸引側で全ての弁の操作が可能になり、各補機ユニット奥行きが著しく短縮され且つその背面は該補機区画を成す隔壁BHD或いは特設桁WF・支柱PLRに接して配置可能になり、該補機ユニットの前面に容易に幅広の通路床FLRが採れる。
電動機と一体型の渦巻ポンプは、ポンプ本体を電動機にフランジ結合し、電動機軸を無接手で延長設計してポンプ軸を形成し、ポンプ本体のメインケーシングの軸貫通部にポンプ軸端側から環状シールの長期無調整使用(年単位可能)のメカニカルシールセットを装入・取替えするよう軸封機構を配したもので、吸引弁を閉じて吸引口前の短管を取外し隣接ポンプ運転継続のままで、ケーシングカバー及び羽根車を取外し、軸封部のメカニカルシールを取替えるよう構成し、羽根車をテーパ軸などで簡易に組付け・取外し可能とし全て手工具による軽作業で実施可能としたものである(なお、短管取外しなくポンプ開放について後述)。
ポンプ及び吸引側の弁類・諸管は通路床の下に収まり且つ主機関空気・潤滑油の海水冷却により潤滑油・清水冷却器が小型になるので、通路床上且つ中段甲板下の単一空間に冷却器などの関連機器を立体的に配置可能になり、海水ポンプの上に清水冷却器を配して関係弁類・諸管で以って上下一体組立の冷却海水・清水供給複合ユニットを、潤滑油ポンプの上に自動逆洗型二次ストレーナ及び潤滑油冷却器を配して関係諸弁・諸管で以って上下一体組立の主機関潤滑油冷却・供給複合ユニットをそれぞれ構成し、更に、該清水冷却器を主機関ジャケットと発電機関に供用するため前者専用の冷却器が不要となるので、清水ポンプを関係弁類・諸管で以って一体組立の主機関ジャケット冷却ユニットを構成して棚状の縦通桁上且つ直上の中段甲板下の空間に配置し、各々補機ユニットを工場製作して船内に一括吊り込みして据付け、中段甲板下の空間で該補機ユニット相互間及び主機関の空気冷却系、潤滑油系及びジャケット冷却系に直接配管接続でき(中段甲板上に設置の発電機関にはその直下から配管接続)且つ電磁始動箱への配線・結線も同時施工でき、機関冷却装置における現場工事の著しい局限・簡易化と建造日程の短縮による省コストは著しい。
従来技術では、全て中段甲板上に配置していた冷却器(清水、潤滑油)及び関係弁類・諸管及び主機関ジャケット冷却ユニットを、本発明により、ポンプと共に全て甲板間高さの中段甲板下に配置可能となり、中段甲板上には発電機関、主配電盤、機関制御卓、燃料・潤滑油清浄・供給・工作室などの諸装置の合理的配置により機関室容積の著しい節減が可能である。
なお、全冷却器の冷却海水系が中段甲板下すなわちほぼ空荷喫水高と同等或はそれ以下になるので、冷却海水ポンプの揚程は、冷却器の設置高の低下だけ低く設計でき(例えば20mを15mに)、軸動力の節減が可能である。
[二重底上補機配置の普遍性] 本発明の冷却装置は、二重底上設置が必須のポンプ配置の制約から、図1に示すように、一般の船舶の標準的配置に倣い二重底上の右舷側前部とその次の計二つの補機(1)(2)の区画に配置したが、参考として他の装置の配置を示せば、該冷却装置の後部の補機(3)区画には潤滑油移送ポンプ、主機関前の船体中央部の補機(4)区画にはバラストポンプ、(以下図示外)左舷前部区画には消防・ビルジポンプ、その後部の区画には燃料油移送ポンプ、ビルジ処理装置となり、何れの補機区画も水理上機関室最低部の二重底上設置が必須の機器が占める。
このような配置は、船舶規模(載荷・総トン数)及び燃料油タンク配置(機関室両舷、船倉下二重底など)により機関室前部全幅に設置のバラストポンプに挟まれた中央部に燃料油移送ポンプを加熱管系と共に設置し且つ冷却海水ポンプ及び消防・ビルジポンプを次の区画に設置した例がある他は、少なくとも輸送用船舶に広く適用の後部機関室1機1軸船では標準的であり、本発明の冷却装置の機能の普遍化と共に、機関室全体の設計標準化が可能である。
液槽船(Tanker)では、機関室前にポンプ室を配し、洗浄水ポンプ(Cleaning Water Pump)、残油水ポンプ(Slopping Pump)が設置されるが、国際条約でのバラスト水規制に鑑みバラストポンプは海水系のみの独立系統で機関室内設置とする方が、バラスト水の清浄化と上述の機関室全体の設計標準化・普遍化に好都合である。
本発明の機関冷却装置におけるポンプ配置において、船舶補機配置の常識「電動機軸は船軸(Longitudinal)方向に統一」は、昔の滑り軸受に代わって転がり軸受が広く採用されている今日では見直すべきであり、よほど大型機でない限り公的標準として横軸機・縦軸機とも共通の軸径に同一の深溝型ボールベアリングが装着されており、ラジアル荷重は勿論、スラスト荷重にも高耐力且つ遊隙が微小であり、電動機自体の回転子に軸接手、剛結延長軸及び羽根車の重量や機関振動も加わったスラスト荷重を支承する縦軸機に比べ、横軸機の横(Lateral)方向設置は、船体の傾斜や動揺加速度や機関振動によるスラスト荷重は頗る軽小で悪影響は考えられず、既に幾つかの重要補機で横方向設置例があり、逆に前述の如き二重底上の肋骨毎のブラケットなどの船体構造上の制約に対しては横方向設置が有利な場合があり、機器配置都合を優先すべきと思考する。
[冷却海水ポンプ系統] 半容量2台且つ等容量又は異容量2台を常用機とし、常用機の大きい方の容量の予備機1台、計3台のポンプ構成は、表1に示すように、従来の全容量常用機と予備機のものに比べ電気系統を含む全設備容量を低減し(75〜85%)且つ単機容量の低減により発電機の瞬時突入負荷が軽減されるので直入れ始動で済み、定常航海中はバラスト規制による指定海域でのバラスト水入替えも含み常用機2台並列運転で充分な冷却海水量を供給し、沿海狭隘・高密度運航海域での半力航行や出入港低力航行では大きい方の常用機1台単独運転、岸壁荷役中は小さい方の常用機1台単独運転を選択して余剰動力を低減し省エネは勿論、沿海及び寄港地での排気ガス低減による環境保護、荷役・碇泊時の陸電受電量の節減が可能である。
表1は、後述の主機潤滑油ポンプと共に、上記の半容量又は異容量2台並列・単独の選択運転のポンプ構成と従来の全容量1台のものとの比較を中型船と大型船の各1例について示す。
大型船では、発電機関冷却に補助海水ポンプを常用・予備計2台を配し(主冷却海水ポンプと合わせて計4台)、定格揚程を増して高所の空調・冷蔵・冷凍などの雑用海水供給にも兼用の例があるが、本発明では上記の冷却海水供給専用に一本化し上述の半容量又は小さい方のポンプ1台をそれに充てるので(共通の予備機で二重化するため、ポンプは計3台)設備容量が節減され且つ系統が簡潔になる。
冷却海水系統には、主機関、発電機関、常圧復水器、造水機などの発熱体に限定するのが定常航海から出入港・荷役・停泊に亘る運航の全状態において定温制御の温調に望ましく、舷外直接流出はそれだけ舷外取水を呼び荷役・停泊などの機関低負荷において温調を制約するので、船尾管軸封などの小流量のものに局限するのがよい。
上位甲板に給水の空調・冷蔵・冷凍などの雑用海水ポンプ(Service Pump)は小流量なるも揚程が高いので、主機関空気冷却など高くとも上甲板下に給水の冷却海水系に含めない方がよく、むしろ高揚程の消防・ビルジポンプ系統に連携しビルジ処理の給水にも兼用する方が、設備機能上有利である。
[可変速定圧制御] 主機関冷却装置の内で軸動力が大きい冷却海水ポンプや主機関潤滑油ポンプの常用機の半容量2台並列運転において、随意選択(Option)として、内1台にインバータ可変周波数で可変速定揚程制御機能を付加すれば、1台分以下の小流量においては単独運転で、1台分を超える大流量では残1台の無制御ポンプとの並列運転でその超過分の流量を分担し、流量全域に亘り定揚程の冷却海水や潤滑油が供給できるため、インバータは半容量定格で済み、半容量予備機と同様に制御面でも設備容量を節減できるので、冷却系の安定作動と省エネに好都合である。
一般に渦巻ポンプは、流量Qゼロで揚程Hは定格の約150%、軸動力Psは定格の約60%流量Qが増すと揚程Hは減少、軸動力Psは増加し、その特性H‐Q、Ps‐Qは共に上に凸の曲線を描くので、上述の定揚程Hc制御による軸動力PcはPc=Ps*Hc/Hのように節減されるので、無制御の場合の余剰動力をかなり低減し省エネに有益である。
冷却海水ポンプでは、主機関負荷に応じ半容量2台並列、1台単独の選択運転において、定常航海における主機関負荷85%と発電機関負荷約80%を一括して冷却水流量Q^2∝ポンプ揚程Hの関係を適用し、ポンプ揚程Hcを定格の75%(≒0.85^2、控えめに)に定揚程制御を設定すれば更に余剰軸動力を低減でき、運航期間の大部分において更に省エネを期すことができる。
なお、冷却海水を使用の造水機や常圧復水器など定流量供給系では上記の定揚程制御の下で流量調整するのがよい。
主機潤滑油ポンプでは機付歯車ポンプと同様に、潤滑油流量が主機関負荷の3乗根の回転数にほぼ比例すると考えれば流量Qの変化は小さいが、主機関冷却装置では最大の動力容量を持ち且つ航海中の連続運転に鑑み、定揚程Hc制御による省エネ効果が期待できる。
なお、上述の随意採用(Option)の可変速ポンプによる省エネは、主機関負荷に対する燃料消費%で考え、インバータ可変周波数制御の費用対効果(Cost Performance)を吟味して採否すべきである。
[非常吸引・排水] 予備機による非常吸引・排水は弁操作により常用機の冷却海水供給系統とは完全に独立となり、冷却海水供給機能には全く影響なく、予備機は直接排水の短絡的管路でポンプ定格をかなり超える過流量で非常吸引・排出を為し、事故浸水の浮遊異物の吸引あっても常用機系統には侵入なく、本発明の機関冷却装置の全冷却系は安全・確実に機能する。
故障常用機に代わって予備機が冷却海水供給中の万一の浸水事故に対しては、予備機は直ちに上記の非常吸引・排水に移行操作されるが、残り1台の常用機が、少なくとも1台の発電機関で船内電源を確保し且つ主機関の低力運転を以て漂流を回避するに要する冷却海水供給を続ける。
予備機はその待機(Stand-by)機構により故障常用機からの電気的自動的切替のため、常用吸引・吐出弁は常時開状態でポンプ内は常に充水され、非常吸引・排水弁に切替後も吸引逆止弁の弁体が該充水を保持して呼び水を成し、直入れ始動や弁急切替による管路内水の急加速や慣性が自吸機能を成すので、従来のポンプの如き自吸機構の追設は不要である。
[清水冷却系統] 半容量2台の清水冷却器を、清水供給標準温度38℃で主機関ジャケットと発電機関の両者の冷却に供用し、冷却清水戻り温度は前者では80℃の定温制御で冷却熱量Pjが大きく、後者では発電機関2台並列運転での48℃の熱平衡最高温度で冷却熱量Pgは一般に前者Pjより小さいが、主機関負荷急変などの過度現象で前者の高温戻り水が後者側に逆流しないよう逆止弁で阻止し且つ定常状態では合流前の冷却温度差は前者が42℃で後者の10℃の4.2倍のため、冷却清水温度38℃の供給水量が為す戻り流量Qfjは前者QgのPj/Pg比の1/4.2となり、戻り水合流点では後者Qgよりかなり小さい流量Qfjとなり、合流温度は後者の48℃より高いが安全に合流する。
なお、主機関ジャケット冷却系(80℃)に造水機を挿入した場合は、その消費熱量Ph(一般にPjの20〜50%)が該ジャケット冷却熱量Pjを低減してPj−Phを清水冷却器に与えるので、上記の流量Qfjは更に小さくなり、発電機関のQgとの合流は更に安全になる。
該合流水は上記のように発電機関の冷却戻り水48℃より上がり、(80/4.2+48)/(1/4.2+1)=54.2℃(Pcj≒Pcgの場合 )〜(80/2.1+48)/(1/2.1+1)=58.3℃(Pcj≒2Pcgの場合)となり、清水冷却器の冷却海水供給温度32℃との温度差が発電機関の48−32=16℃より54.2−32=22.2℃〜58.3−32=25.3℃のように上がるので、清水冷却器の伝熱容量が増し発電機関冷却のみでの所要伝熱面積を幾らか増す程度で済み、該冷却器の省コストに頗る好都合である(詳細は後述実施例の表2参照)。
なお、該合流水による清水冷却器の圧力損失は、2台並列の清水冷却器の個別流量が半量のため圧力損失は1/4になり発電機関機付ポンプの定格に影響なく、主機関ジャケット冷却の温調三方弁の側路回路のオリフィスの圧力損失も頗る軽微であり、該ジャケット冷却水ポンプの定格に影響しない。
清水冷却器の主機関ジャケット冷却と発電機関冷却に共用のため、前者の冷却系統には温調三方弁による分流・混合制御だけで定温制御でき、ポンプを含む冷却ユニットは頗る簡潔且つ省スペースとなり、棚状の縦通桁STR上に設置が可能になる。
発電機関の冷却戻り水を逆止弁で主機関ジャケット入口に導き上記の合流用逆止弁を閉じて該逆止弁を開き休止中の主機関ジャケットの予熱が可能であり、一対の逆止弁切替で荷役・碇泊中の発電機関の冷却熱量を有効活用でき、蒸気予熱器など別の熱源機器を要せず関連系統の簡潔化と省エネに頗る有益である。
上述の清水冷却器の発電機関冷却との共用により、主機関ジャケット冷却系統には他の冷却器がなく発電機関の冷却戻り水の熱量を予熱に有効に利用可能であり、なお、主機関ジャケット冷却戻り系に挿入の造水機の予熱を併せ行うことができる。
主機関の空気冷却器及び潤滑油冷却器の定置洗浄や開放洗浄は主機関休止の機会に随時実施でき、2台設置の清水冷却器は交互に休止し、発電機関1台を無休運転して船内電源確保しながら、停泊中は勿論、主機関半負荷の低力航行中であれば定置洗浄や開放洗浄を実施可能である。
[潤滑油系統] 歯車ポンプは接液部が摺動するので吸引側に細メッシュの一次ストレーナを配して使用され、特に流量が大きい主機関潤滑油ポンプでは8極電動機などの低速駆動で大寸のものとなり、標準的に使用される複式ストレーナの幅は従来の横形ポンプと同様で且つ内装フィルタの開放取出し高も大きくなるが、渦巻ポンプは接液部に摺動部を一切持たないのでサンプタンクなどの貯油を直接吸引可能且つ4極電動機などの高速駆動で電動機と一体型の小寸の横軸機で充分な供給圧力が得られ著しい省スペースが可能且つ通路床下に収まるので通路床上に逆洗型二次ストレーナや冷却器を配して複合ユニットを構成できる。
なお、該サンプタンクには、潤滑油清浄機や上記の二次ストレーナに付属のスラッジ漉し器(Sludge Checker)を通った清浄な潤滑油で満たされており、その液面より低位に吸引逆止弁を配し直接ポンプ吸引が可能である。
小・中型船の主機関では、主潤滑油ポンプ(歯車ポンプ)と冷却器(チューブクーラー)が機付で同容量の予備潤滑油ポンプを追加して吸引・吐出双方に逆止弁を配して上記の複式ストレーナ及び二次ストレーナと共に潤滑油冷却・供給系統を成しているが、機付は冷却器だけとし、本発明のように常用・予備とも上記の渦巻ポンプと二次ストレーナで構成の潤滑油供給複合ユニットで代える方が省スペース・省コスト及び保守上頗る有利であり、なお、サンプタンクの油面高次第では主機関の長時間休止による吸引側の逆止弁以降の油落ちに備え手動又は極小型の自吸ポンプ(Priming Pump)を配し一度呼び油すればよい。
[主機関ジャケット冷却] 清水冷却系で膨張タンクで約10m正圧が与えられているので二重底上などの低位置設置を要しないが、ポンプ及び諸弁を一体ユニットに組立て、二重底上TTPの甲板間高さDKHの中間に構造配置の棚状の舷側縦通桁STR上に設置して、上述の冷却海水・清水供給ユニットに中段甲板下の同一空間で連結配管し、全て通路床上から容易に操作・保守可能である。
冷却清水は発電機関冷却と同様に、清水冷却器出口の標準温度38℃から取り温調三方弁でジャケット出口の80℃と混合して定温制御するので清水冷却器出口が全清水冷却系の安定な水理的基準点になり、膨張タンクによる正水頭がジャケット及び発電機関に均等に働き、両者の戻り水の一部を膨張タンク上から注入し循環させ膨張タンク系を保温し且つ薬液注入・拡散に資する。
[温度調整] 本発明では冷却海水を定温制御するため、空気冷却の主機関掃気温度を過冷なく適正範囲に保ち、潤滑油冷却器の温調三方弁の作動範囲を圧縮・安定させ、冷却海水ポンプの選択運転と相俟って温調三方弁を持たない冷却清水をほぼ一定に保ち、寒冷海域・季節においても全冷却装置は過冷なく且つ塩類析出を来す流量過絞りなく、冷却系内に常に充分な流速を与える。
冷却海水は温調三方弁で冷却戻り水を分流し取水海水と混合して定温制御するので、該戻り水だけ取水海水流量が減り浮遊異物の吸引も減少して集約ストレーナの債務すなわち内装フィルタ筒の目詰まりが軽減され、寒冷海域運航では勿論、温暖海域においてもその目詰まり軽減効果は大きく開放洗浄や逆洗のインタバル(Interval)が著しく延伸される。
[ポンプ軸封シール取替] 本発明の機関冷却装置においては、横軸渦巻ポンプの吸引口に続く短管(Distance Piece、略してDist.Pc)は冷却海水系及び潤滑油系では可撓管を使用し、また、主機関ジャケット冷却系では高温水(80℃)に鑑みエルボーを使用するので、隣接配管による拘束なく吸引弁を閉じたまま容易に取外して該ポンプの吸引口付ケーシングカバー及び羽根車を順次に取外し、容易に環状のメカニカルシールの取替え作業が可能であり、吸引側は喫水高や膨脹タンク高の低圧のため、隣接ポンプを運転のまま作業できる。
[ユニット支枠] 機関冷却装置ではポンプ及び配管口径が大きく構造強度を持つので、支枠はポンプや冷却器を支承する寸法と強度で十分であり、船内据付後は船体構造部に溶接固定され揺れ止めを施し近接通過の諸管も含み容易に耐震剛度が得られ、二重底上板を含む船体構造材との間隙を狭めず該ユニット周囲の船体構造部の保守が十分可能である(一般にモジュール姿でのユニット全体の囲枠は、その部材断面寸法だけ広い占有スペースを取り、特に囲枠下の二重底面の清掃・塗装が難しいものが少なくない)。
[電装] 機関冷却装置の大寸の電磁始動箱は全ユニットの保守上アクセス可能の箇所(例えば舷側縦通桁上)に、小寸の機側操作器を各ユニットの操作正面に配して設置スペースを有効利用し且つ配管と同様に直上の中段甲板下で全電路の早期施工(上位甲板や上部構造ブロック組立中に)を可能とする。
中・大口径ポンプは動力容量が大きいため二重化補機の始動盤は大寸になり、ユニット毎に電磁始動箱組込は省スペース上頗る困難であり且つ該ユニットの工場試験は水張りポンプ始動・弁類操作、耐圧・漏水試験のように工場仮設始動器で十分実施でき、ポンプなど主要機器はメーカーで規格・仕様に基づき試験済み、温度調整や水理現象などは大掛りな機能試験設備によらなくても建造実績・経験ベースで解決済みのため、電磁始動箱は必ずしも各ユニット内装備を要せず、機関冷却装置全体の電装ユニットとして別体の集合電磁始動箱とし、保守アクセス可能の舷側縦通桁上などに設置した方が機能上・施工上ともに有利である。
各補機ユニット内に始動盤を組込んだ場合は、補機ユニットの占有スペース拡大と弁類の集中配置を損ねるは勿論、補機ユニット毎に電源2回線と制御線を、機関制御室の主配電盤・制御卓又は複数ユニットより成る系毎に近接別置の分電箱に個別配線を要するので上記の別体の電装ユニットと大差なく、或いは、隣接補機間に縦続配線すれば各始動盤に回線毎の2組の電源配線引込金物・端子且つ中間の小補機でも縦続の大補機並みの電線サイズで中継を要し反って不経済である。
該集合電磁始動箱は電装ユニットとして機関冷却装置の補機ユニットと共に二重底上の甲板高内の同一空間に設置し、船体上部構ブロック搭載・組立工程に並行して配線施工するので、制御線も作動試験まで工事量集中なく容易に実施でき、上部甲板に主配電盤・操作卓の設置時に施工の電源2回線と遠隔制御線を残すのみであり、該電装ユニット毎にLAN結合(Interface)を配して遠隔制御系に当てるのが機関艤装工程及び保守上好都合である。
常用・予備の電源2回線とも各ユニット毎に分岐の動力回路交流440Vから、ポンプ毎の始動電磁開閉器の制御回路は直接分岐の交流440Vで制御コイルの突入電流を処理し且つ機側操作回路は交流440Vからの個別分岐・変圧整流の低圧直流を表示回路と操作リレー回路に共通使用且つ電路の瞬時電圧降下を齎す制御コイルの突入電流がないので小容量で済み、なお、二重化補機の待機(Stand-by)などの必要に応じ補助リレーを介して常用優先の共通1回路化すれば簡潔な操作回路が構成できる。
常用・予備の電源2回線は、同期並列運転の2台の発電機から供給される同一位相を原則とするが、上記低圧直流の直接接続共通1回路は、発電機の個別運転での位相差による整流波形率変化の電圧変動を避けるため上記の補助リレーによる常用優先の共通1回路とするのがよく、なお、高電圧のLED表示灯などを使用し操作回路電圧を高く(例えば100V)とれば接点接触信頼性を著しく向上できる。
操舵室での遠隔操作・監視系統を従来の多芯線に代わる船内LAN回路との結合(Interface)においても、上記の各ユニットの操作回路の低圧直流・1回路化は頗る好都合である。
[集約ストレーナ] 従来の海水系ポンプの吸引側に配した個別ストレーナは面間寸法がポンプに次いで大きいためかなりスペースを取るが、これを両舷各1台に集約することにより海水系の各々ポンプユニットは著しい省スペースとなり且つ取水弁直後に配するのでバラスト自流注水においても海水の浮遊異物の船内進入を防止するので、船内海水系統はバラストタンクと共に常に清浄に保たれ(なお、端末ベルマウスとタンク底との小さい隙間20〜30mmと周囲の船底補剛材でポンプに有害な異物の万一の吸引を防ぎ)、ビルジ系統においてもビルジ溜吸引部は全てストレーナの内装フィルタと同等の漉し穴を持つ多孔フィルタを内装の泥箱(Mud Box)で異物を阻止し寄港海域での異物排出を防止しており、国際的バラスト水規制の対応としても好都合である。
[逆洗機構] ビルジ・バラスト系統の注排水機能を利用し、ポンプ運転側の漉し水を休止側の集約ストレーナに逆流を与え、該ストレーナの底部に圧縮空気を噴入して内装フィルタ筒の全漉し面の目詰まり異物を空水協働で有効に剥離して押流し、舷外取水箱内と共に逆洗ができ且つポンプ・弁操作だけの作業で済むので、省力化に頗る有効である。
この逆洗は、荷卸終了毎に近隣海域で早めに実施すれば、大量のバラスト注水時の吸引異物が新鮮(Fresh)なため有効に働き且つ次の荷積港に該異物を持ち込まず、更に出港毎に近隣清浄海域で実施すれば、浮遊異物が比較的多い寄港海域での吸引異物を軽度の逆洗で放出でき、海洋の生態系を含む自然環境保護にも頗る有効である。
この逆洗機構において、該ストレーナの圧縮空気注入口は市販標準品の底部に施したドレンプラグ(Drain Plug)などを流用してもよく、空気管・空気弁は舷外取水箱の洗浄用空気管・弁と同様な小径のもので済み施工容易且つ安価であり、上述の冷却海水の定温制御に伴う該ストレーナの債務軽減と相俟って、長期間の無開放保守が可能になる。
[二次ストレーナ] 本発明の二次ストレーナの設置により、冷却器の開放が不要になり、細目開き(漉し穴径2〜3mm)の内装フィルタ筒で特に薄板積層のプレートクーラーの一次海水系を保護でき且つ弁操作だけの空水協働で逆洗できるので長期間の無開放保守が可能になり、また、チューブクーラーにおいても細管束の細管径を一層小さくして細管数を増加し伝熱面積の増大或いは該冷却器の小型化が可能になる。
なお、空気注入で泡水を生成し、冷却器の一次海水系の汚れ洗浄作用を持つバブリングを併用することもできる。
[定置洗浄] 一般に冷却器の海水入口・出口の短管(Dist.Pc)は弁体と共に不錆鋼製であり、小径の不錆鋼製の洗浄管を標準装着すれば、市販の安価な定置洗浄装置を利用して酸洗・中和の化学的洗浄が可能であり、洗浄用清水源(必要に応じ1トン程度の温清水タンク)からホース接続で容易に実施でき、ほぼ年毎の定置洗浄で無開放稼働・保守が可能になり、運航における省力化に頗る有効である。
[改良:装置構成] 冷却海水・清水供給複合ユニットの冷却海水ポンプに、既発明2の横向2吸引口付横軸ポンプを使用することにより、ポンプ周りの垂直面から奥に吸引弁及び吐出弁を軸端側を操作正面とした集中配置姿となり、非常吸排水及びバラスト水滅菌循環の如き異系統兼用に拘わらずユニット姿奥行寸法を圧縮し、ポンプ前特にケーシングカバー前は完全な空間になり、配管の取外しなく軸端側のケーシングカバーで該ポンプを開放でき、軸封シールの取替が頗る容易になり、航海補機として運航中の連続無休運転高債務のポンプとして頗る好都合である。
吸引弁及び吐出弁は各ポンプの左右の同位置に配置でき、特にユニット中央部の冷却海水系は弁操作ハンドルを同一面に配置し、ユニット左右部は2号機の非常吸引弁・排水弁及び1号機の滅菌循環系の吸水弁・送水弁をそれぞれユニット前で操作可能に配置し、該ユニットを2FS以内に収めており、ユニット前は1FS以上の操作・保守・配管(他系統を含む)スペースを採っている。
舷外排水管を清水冷却器の支枠下に配し支枠上は該冷却器設置スペースに供し、ユニット前通路床から2冷却器間の保守スペースへのアクセスも容易になる。
横向2吸引口付ポンプは既発明2のように片吸込形の中・小容量から両吸込型の大容量機(口径500mm、3000m^3/h)まで充分適用でき、ビルジ・バラスト管装置と共に10万トン級以上の大型船にも充分採用可能である
[滅菌循環] バラスト水規制を受ける中・大型船の冷却海水ポンプは単機比較でバラストポンプの1/2〜1/3の流量とほぼ同等の揚程を持ち軸動力効率が良いので、航海中のタンク毎のバラスト水滅菌循環に最適であり、既発明3のように荷役時大流量のバラスト注排水(両舷同時)での滅菌の代りに荷卸(バラスト注水)出港後直ちに滅菌循環運転すれば、塩素酸などの滅菌装置の容量はバラスト注排水流量の1/4〜1/6で済み、その循環運転時間はバラスト注排水時間(全量延べ数時間〜半日)の4〜6倍の数日以内で済み、次寄港までの航海日数1〜2週間に対し滅菌薬材拡散に充分余裕があり、海洋生物付着防止装置の如き既存の化学的機構の拡張で技術的実現可能性は最も高い。
バラスト水滅菌循環にはタンク内の流路構成が必要であるが、二重底や舷側タンク構造において、縦桁(Longitudinal-Girder)の首尾側に軽目穴配置での蛇行主流路と小骨(Longitudinal Stiffener)などの通水・通気小穴を副流路として滞留防止するなど、既発明3のように現行の船体構造で容易に循環流路構成且つ滅菌薬材の拡散で循環機能を実現可能である。
[潤滑油系・ジャケット冷却系] 機関冷却装置の潤滑油系では、軸封シールが油潤滑のためシール摺動部の摩耗が小さく海水系ポンプより長寿命であり且つ吸引口前の配管が簡潔であり、ジャケット冷却系では、ポンプ口径が比較的に小さく棚上設置且つ吸引短管が取外し容易なエルボーのためポンプ開放・軸封シール取替は容易であり、何れも上述の冷却海水系と同様に航海補機として2重化しており航海中連続無休運転に充分である。
[清水冷却器] 清水冷却器2台のうち一方(1号冷却器)を発電機関2台の低温清水冷却に、他方(2号冷却器)を主機関ジャケットの高温冷却と発電機関1台の低温清水冷却に当て、逆止弁で高温清水の低温清水側えの逆流を阻止して発電機関の安全を期し、機関休止時に少なくとも1台の発電機関冷却・稼働を確保し、寄港岸壁で陸電受電の要なく、港内海上でも主機関の海水冷却系(潤滑油・空気)冷却器洗浄は勿論、両清水冷却器を交互休止・洗浄でき運航上頗る好都合であり、大型船での従来設備の低温清水冷却器2台と高温清水冷却器1台、計3台の設置例に比べ省スペース、省コストに頗る有利である。
[主機関予熱] 発電機関冷却戻り水(水温40℃台)を主機関ジャケット冷却入口に逆止弁を経て供給し、休止中の主機関の予熱を可能にし、ジャケット冷却ポンプの吐出側の既存の逆止弁で該ポンプへの逆流なく、上述の逆止弁と合せ2個の簡潔な弁切替回路で済み、省エネ上頗る有利である。
[造水機に係る熱平衡] 造水機の加熱清水・冷却海水共に高温清水冷却器に直列通水(加熱清水は主機関ジャケット温調三方弁を経由)により、主機関出力変化あっても造水機と該冷却器との熱交換分担比率はほぼ不変であり、該冷却器の冷却海水が造水機にも共用でき、冷却海水供給量節減にも好都合であり、該冷却器の1次海水入口温度に応じて2次清水出口温度が設計水温38℃を超えるが、低温清水冷却器の出口清水と混合して設計温度以下に下がり主機関ジャケット(温調三方弁分流との混合点)と発電機関に低温冷却清水として供給する。
[主機関出力設定による流調:随意採用(Option)] 主機関の海水冷却系(潤滑油・空気)と清水冷却系(主機関ジャケット)の冷却海水戻り水を流速センサと流調絞り弁で主機関出力設定に合せ直接流量制御するので、冷却海水供給量(冷却熱量)を常に最適値に保ち、2次側無温調の掃気温度を更に圧縮した適正範囲に、潤滑油及びジャケット清水の温調三方弁の作動範囲を更に圧縮して安定させ主機関効率を保ち、負荷変動範囲が狭い発電機関の清水冷却系の冷却海水戻り水を稼働台数に応じて絞り(オリフィス)切替して低温清水温度変動を抑える。
上記の冷却海水流調は、冷却海水の温調定温制御(設計温度32℃)が前提であるが、従来の低温冷却清水の温調は不要で装置構成は簡潔であり、半容量2台又は異容量ポンプの選択運転(並列・単独)による流量切替を無段制御としたもので更なる制御効果を齎す。
異容量ポンプの選択運転では、冷却海水戻り水量変化すなわち流速変化が大きくその流速比は最小35%程度であり、取水海水温度に応じた分流比を与える温調三方弁の制御作動への影響は小さい。
異容量機の選択運転では、異容量機を運航の大半の定常航海時(発電機1台稼働)と荷役時(発電機2台稼働)の所要流量にそれぞれ設計し、短時の全力航行やバラスト水入替(大口径バラストポンプのため発電機2台稼働)には並列運転を選択、沿海や出入港の軽負荷航行での余剰冷却水量による掃気温度低下や余剰動力は運行全体の燃料消費量への影響は軽少であり、稼働債務が小さい小容量機をその軽負荷に対応する容量に設計且つ可変速制御を付加し寄港地域の排気ガス低減を期することも可能であり、その場合は上述の流調弁は絞り切替に代えてもよく、本船の航路や寄港地の環境規制などを含み総合的見地から流調方式を決めるのがよい。
機関冷却系の流調にインバータなどの可変速制御が考えられるが、上述のように冷却海水供給先には、主機関出力に比例、発電機関稼働数による段切替、大気圧復水器や空調・冷凍・冷蔵など定流量(手元調整)があるので、ポンプの可変速制御は定揚程(定差圧)Hcを与えてポンプH−Q特性との揚程比(Hc/H)で省エネするための随意採用とし、流調は供給先に従い比例・段切替・無流調に区分して配するべきである。
なお、居住区空調など機関冷却系より高所の供給先には、ブースタポンプで与圧し、温調の冷却海水を供給する方が過冷防止など作動安定によく、冬季の暖房にも利用すれば空調設備の簡潔化や機関冷却熱の利用で省エネに頗る好都合である。
機関冷却装置に係る機関室形状・構造概要を示す平面図。 機関冷却装置に係る機関室形状・構造概要を示す横断面図。 本発明の機関冷却装置の冷却海水・清水供給諸管系統図 本発明の機関冷却装置の冷却海水・清水供給複合ユニットの側面図 本発明の機関冷却装置の冷却海水・清水供給複合ユニットの下部平面図 本発明の機関冷却装置の冷却海水・清水供給複合ユニットの中部平面図 本発明の機関冷却装置の冷却海水・清水供給複合ユニットの上部平面図 本発明の機関冷却装置の冷却海水ポンプの選択運転特性図表で、(a)は異容量ポンプ、(b)は半容量ポンプの場合を示す。 本発明の機関冷却装置の清水冷却諸管系統図で、(a)は主に主機関ジャケット冷却ユニットに係る諸管系統、(b)は熱平衡計算式、(c)は発電機関の内部系統を示す。 本発明の機関冷却装置の主機関ジャケット冷却ユニットの姿図で(a)は平面図、(b)は側断面図。 本発明の機関冷却装置の海水冷却系・潤滑油系の諸管系統図。 本発明の機関冷却装置の主機関潤滑油供給複合ユニットの側面図。 本発明の機関冷却装置の主機関潤滑油供給複合ユニットの平面図で(a)は上部機器配置、(b)は下部機器配置をそれぞれ示す。 本発明の機関冷却装置の電装系統図 本発明の機関冷却装置の取水系統の諸管系統図 本発明の機関冷却装置の取水系統の集約ストレーナの構造側面図 本発明の機関冷却装置の取水系統の集約ストレーナの構造平面図 従来の機関冷却装置の冷却器の姿図で(a)は正面図、(b)は側面図 本発明の機関冷却装置の冷却器用二次ストレーナの構造断面図 本発明の機関冷却装置の冷却器用二次ストレーナの装備図 本発明の機関冷却装置の冷却器用二次ストレーナ(別案)の構造断面図 本発明の機関冷却装置の冷却器用二次ストレーナ(別案)の装備図 本発明の機関冷却装置に係る冷却器定置洗要領図 改良発明の機関冷却装置の冷却海水・清水諸管系統図 改良発明の冷却海水・清水供給複合ユニット側面図 改良発明の冷却海水・清水供給複合ユニット平面図
図3以降を参照し本発明の機関冷却装置の実施例1として「冷却海水・清水供給複合ユニット」の諸管系統及び該複合ユニット組立姿を詳述、なお、複数の同一機能要素は同一の符号で記載し、左・右舷等の区別を以って説明するときには該符号に付属符号{例えばs(Starboard Side)、p(Port Side)など}を付加し、機能要素の従属部分は2桁の基本符号に0〜9の十進数または0〜9、A〜Fの16進数の付属符号を付加して記載する。
[舷外取水系統] 先ず、冷却海水・清水諸管系統を示す図3において、舷外から取水の海水は、両舷の舷外取水箱1(Sea Chest、略してSC)を経て取水弁2、集約ストレーナ3を通りビルジ・バラスト系7(点線囲内)の吸引管4、吸引弁5及びポンプ6に至る。
両舷の舷外取水箱1には、清掃用空気弁8、圧縮空気源9及び海洋生物付着防止装置(Marine Glow Protection System、略してMGPS)13を設置する。
集約ストレーナ3には、その底部に空気弁10を介して圧縮空気源9に接続し、ビルジ・バラスト系統7の注排水機能(詳細は後述)と協働の逆洗機構を構成する。
集約ストレーナ3の出口管4の分岐弁11に連絡管12を配して舷外取水系統を構成し、冷却海水・清水供給複合ユニット14(点線囲内)に接続する。
[冷却海水供給] 連絡管12の共通及び延長部を吸引主管12とし、吸引弁15、16、17及び短管(Dist. Pc)18、19、20を経て冷却海水ポンプの常用機21、22(異容量機の場合は大きい方を常用1号機21、小さい方を常用2号機22とする)と予備機23を配し、吐出側のリフト型逆止弁(無ハンドル型)24、25、26及びバタフライ型吐出弁27、28、29を経て吐出主管30に至り、冷却海水供給系統を構成する。
通路床FLR高さHflが大きくポンプ吐出口上の高さが大きい場合は、常用機21、22の逆止弁24、25はハンドル型とし、バタフライ弁27、28を省略してもよい。
なお、冷却海水ポンプ21、22、23の短管(Dist.Pc)18、19、20は、該ポンプの軸封環状シール取替えに伴う開放スペースを与える長さを持ち且つ該ポンプの青銅製ケーシングとの異金属接触に対する犠牲管としての機能を併せ持つ。
[非常吸引・排水] 冷却海水ポンプの予備機23の短管20と吸引弁17(以下、非常用との区別において常用吸引弁と呼ぶ)との間で分岐した非常吸引管31に、船舶関係規則に従い非常吸引弁32(逆止弁)をその管端33と直下の二重底板TTPとの隙間100mmに設置、ポンプ予備機23の吐出側の逆止弁26と常用吐出弁29との間の分岐管34に非常排水弁35を配し、直接排水管36で舷外排水管37に結び、非常吸引・排水系を構成する。
[主海水冷却系] 吐出主管30より、分岐の主冷却海水供給管39、主機関の海水冷却系41(点線囲内の潤滑油冷却器42、空気冷却器43)、主海水冷却系戻り管44、清水冷却器51の副海水系戻り管53との合流管45及び絞り弁46を経て冷却海水戻り管65に至る。
絞り弁46は、主機関負荷信号48による常用機21、22の並列・単独運転の選択切替での流量変化に伴う吐出圧力変動を補償し、ポンプ定格揚程・流量を保つ開度に絞り作動する。
なお、吸引主管12と吐出主管30との間に配した差圧センサー47の信号DP(載荷に伴い変動する喫水高Hdを消去)がポンプ揚程定格値Hpよりの偏差ΔHが許容値を超えたときは制御器49が警報作動し、絞り弁46が開度修正作動する。
[清水冷却器の海水系] 吐出主管30より分岐した副冷却海水供給管40に、弁501及び短管502を経て二次ストレーナ50、続いて海水入口弁511、短管(Dist. Pc)512を経て清水冷却器51にそれぞれ至り、更に短管513、海水出口弁514、オリフィス52を経て副冷却海水戻り管53に至り、2台の清水冷却器51の一次海水系を成す。
オリフィス52は、2台の清水冷却器51の海水系の並列分流による圧力低下を個別に補償し、荷役時の常用2号機22の単独運転において、該ポンプ22の定格揚程・流量で以って該冷却器51の個別の冷却半容量(伝熱量)に対する半流量を与えるよう選定する。
二次ストレーナ50は排水弁503及び排水管504を経て舷外排水管37に接続し且つ空気弁506で圧縮空気源54に接続し、二次ストレーナ51の逆洗機構を成す。
[清水冷却器の清水系] 冷却清水戻り管55より、戻り支管56、清水入口弁515、短管(Dist. Pc)516を経て清水冷却器51に至り、更に短管(Dist. Pc)517、清水出口弁518を経て合流し冷却清水供給管57に至って清水冷却器51の二次清水系を成し、清水冷却系59(点線囲内の主機関ジャケット冷却系60及び発電機関61、62,63)に冷却清水を供給する。
[冷却海水温度調整] 主冷却海水戻り管45と清水冷却器51の副冷却海水戻り管53との合流管65に温調三方弁66を配して舷外排水管37と吸引主管12に分流し(側路管661)、吐出主管30に装着した温度センサー662の温度信号TCにより冷却海水戻り分(側路管661)と取水海水(吸引主管12)との混合比率を与えて定温制御(設計最高温度32℃)の冷却海水を各冷却器42、43、51に供給する。
[冷却清水温度] 清水冷却器51の二次清水系には温調三方弁を持たないが、該冷却器51の一次・二次間の設計最高温度差38−32=6℃で小さく、定常航海〜出入港・荷役の通常の運航状態での冷却海水ポンプの常用機21、22の選択運転と発電機関の稼働数・負荷率から該温度差6℃は圧縮され2℃程度となり、表2「機関冷却熱平衡計算表(冷却海水・清水供給系統)」の項番(6)「清水冷却器」の清水出口温度Tfoに記載の37〜34℃程度の如くほぼ一定の値で、図3における清水冷却系統59(点線囲内)に冷却清水を供給する。
表2は、主な船舶運航状態における項番(1)「主機関」及び項番(2)「発電機関」の負荷Pe、Pg及び主要部の冷却熱量Pce、Pcgを項番(3)「冷却海水・清水」別に区分し、それに対応する項番(4)「冷却海水ポンプの常用1号機・2号機」の定格流量Qp1、Qp2と項番(5)「供給流量」シグマQを示し、項番(6)「清水冷却器」2台分の要目(伝熱面積A、熱透過率λ)、一次(海水)と二次(清水)の熱平衡諸量(流量Q、水温Tなど)の計算値を示している。
表2に示すように、ポンプ運転は全力航行及び定常航海では常用機2台の並列運転、半力航行及び出入港では、常用1号機(3/5容量)1台、荷役では常用2号機(2/5容量)1台の単独運転で済み、予備機(3/5容量)1台で常用機両者に航海補機として2重化を成している。
表2の非常排水欄に示すように、常用1号機故障で予備機に切替航行中の機関室浸水事故において、最悪でも常用2号機で発電機関1台と最低速運転の主機関の冷却海水が供給可能であり、非常排水と漂流回避を両立する。
なお、表2の機関冷却熱平衡計算表(冷却海水・清水供給系統)に関連し、表3「機関冷却熱平衡計算表(海水・清水冷却系統)」に被冷却系統{(7)空気冷却、(8)潤滑油冷却、(9)主機関ジャケット冷却、(10)発電機関冷却系統}の冷却熱量、温度、流量などの諸量を示す。
[複合ユニット姿] 図4、図5、図6、図7に本発明の機関冷却装置の冷却海水・清水供給複合ユニットの全姿を示し、上記の図3の諸管系統と照合しながら説明する。
[通路床下部] 図4、図5において、右舷側の舷外取水箱1sから取水弁2s、集約ストレーナ3s、主吸引弁11s、連絡管12(左舷側の1p、2p、3p、11pは図示外)が冷却海水取水系統であり、主吸引弁11s、連絡管12の延長部(主吸引管)以降が冷却海水・清水供給複合ユニット14(図3の点線囲内)である。
主吸引管12より吸引弁15、16、17及び短管(Dist. Pc)18、19、20が冷却海水ポンプの常用1号機21、常用2号機22、及び予備機23のそれぞれ吸引口に配され、リフト型逆止弁(無ハンドル型)24、25、26がそれぞれポンプ21、22、23の吐出口に配され、バタフライ型の吐出弁27、28、29をそれぞれ介して吐出主管30に接続され、ほぼ通路床FLR下設置の冷却海水供給系統を成す。
通路床FLRが高く常用機21、22の吐出口上の余裕高が大きい場合は(勿論甲板間高さDKHも高い)、逆止弁24、25はハンドル型としてバタフライ型の吐出し弁27、28を兼ねてもよい。
[非常吸引・排水] 予備機23に係る吸引弁17と短管20との分岐管31に非常吸引弁32としてハンドル付逆止弁を配しその管端33を二重底上板TTP上100mmに設置し、吐出逆止弁26と吐出弁29との分岐管34にバタフライ型の非常排水弁35、非常排水管36を経て舷外排水管37に至る(35、36は図6参照)。
吐出主管30より分岐して主冷却海水供給管39と福冷却海水管40で主海水冷却系41(図3において点線囲内)と清水冷却器51の一次海水系にそれぞれ供給する。
[清水冷却器海水系] 図4、図6において、福冷却海水管40より通路床FLR上に立ちあがり海水弁501、短管502(図3に図示)を経て二次ストレーナ50に、続いて海水入口弁511、短管512(Dist. Pc)を経て通路床FLR上に設置の清水冷却器51に至り、更に図4、図7において、短管(Dist. Pc)513、海水出口弁514、オリフィス52を経て副海水戻り管53に至り、清水冷却器51の一次海水系を成す。
冷却清水供給管57は、清水冷却系59において主機関ジャケット冷却系60及び発電機関61、62、63に共通の水理基準点として上位甲板に設置の膨張タンク67(図5、図7では図示外)に弁672を介して接続し、該冷却系59からの清水戻り管55に弁674を介して該清水戻り水の一部を膨張タンク67に注入する(機能は後述)。
[二次ストレーナ] 図4、図7において、二次ストレーナ50の上部に配したエルボー503、洗浄排水弁504、洗浄排水管505を経て舷外排水管37に接続、なお、二次ストレーナ50に空気弁506を配し圧縮空気源54(図示外)に接続し、該ストレーナの逆洗機構を成す。
[温調三方弁] 図4、図7において、主海水冷却系41(図3において点線囲内)の主機関機付の空気冷却器43からの主海水冷却戻り管44、清水冷却器51の副海水戻り管53との合流管45、絞り弁46、短管65を経て温調三方弁66を配し、吐出主管30に装着の温度センサー662により舷外排水管37と温調分流管661に分流制御し、吸引主管12の取水海水と合流する。
[清水冷却器清水系] 図4、図7において、冷却清水戻り管55より戻り支管56、清水入口弁515、短管(Dist. Pc)516を経て清水冷却器51に至り、更に図4、図6において、短管(Dist. Pc)517、海水出口弁518、合流管519を経て冷却清水供給管57に至り、冷却清水供給系統を成す。
後述の支枠91の上へのアクセス及び清水冷却器51の水受け床686の上での保守作業(日常点検・定置洗浄・解放洗浄など)における頭上障害物を避けるよう、図4、図7に示すように、2台の該冷却器51の間を結ぶ海水管53、清水管56は2台の該冷却器の上を迂回させ、清水管519は該冷却器51前の弁類・諸管より十分離して結ぶ。
[ポンプ保守] 図4、図5において、ポンプ21、22,23の吸引口前の短管(Dist. Pc)18、19、20は、例えば図4の部分詳細に示すように端管フランジ181にホース182及びホース締めバンド183を組合わせた可撓管を使用すれば、例えばポンプ21の吸引弁15を閉じて周りの配管による拘束なく該短管18を容易に取外して該ポンプ21の開放スペースを得、隣接ポンプ22、23を運転しながら該ポンプ21の吸引口側を開放し(ケーシングカバー及び羽根車を順次取外し)、軸封のメカニカルシールを手工具による軽作業で容易に取替可能であり、該短管18の内圧は喫水高Hdの低い正水頭のため、漏水や外気吸引等のトラブルは起こらず、なお、長期間無調整可能のメカニカルシールの微小漏水はポンプ本体に配した水抜き・覗き穴(図示省略)で随時点検可能である。
なお、ポンプ吸引口前の短管18、19,20は45度エルボーを使用すれば、周りの配管による拘束なく容易に取外し・再取付可能且つ吸引弁15、15、17をほぼ管径だけ低くしてポンプ吸引口への目線を軸心まで下げることができ、ポンプ開放〜軸封シール取替作業が頗る容易になり(90度エルボーでは、棚上設置の主機関ジャケット冷却ユニットの上向きと反対の下向きで吸引主管12が著しく低くなり、ポンプ芯高の制約から不可能)且つ該エルボーは青銅製のポンプ本体に接触の犠牲管としての機能に好都合である。
[支枠] 二重底上板TTP上に支柱911、ポンプ台912、主梁913、後梁914、補梁915で冷却海水・清水供給複合ユニットの支枠91を構成し、通路床FLR下に冷却海水ポンプ21、22、23を、通路床FLR上に2台の清水冷却器51を定置・開放洗浄に必要な空間を挟み且つ全幅に水受け床916を配して該支枠91の上に組付け、通路床FLRからのアクセスとして梯子917を設ける。
船内吊り込みは支枠91の上面四隅に吊環(図示省略)を配して吊上げ、船内据付時に後梁914の支承材918で受け、該複合ユニット14の位置決め・姿勢調整の後に溶接固定し、管支持材919は配管要部にUボルト仮留めし、該複合ユニット据付時に位置決めして船体構造材に溶接固定し、Uボルト本締めする。
なお、配管サイズが比較的大きいため、該複合ユニット全組立姿では配管自身が充分な自重支持強度を持ち上述の支枠91の四隅に配した吊環で十分安全に一括吊り込みできるので、該ユニット全体を包含する囲枠は不要である(囲枠はその枠材断面寸法が該ユニットの占有スペースを拡大するので省スペースに好ましくない)。
[仮支材] 工場組立・横持ちなどにおける該複合ユニット14の姿勢安定を保つため、後梁914下に船体構造に合わせ仮支柱及び仮補強枠(図示省略)を設計して取付け、該ユニット14内を通過する機関室ビルジ系の泥箱配管等と共に工場施工し、吊り込み後に取外して機関部員の前屈み姿勢での該ユニット内へのアクセスを狭めないよう施工する。
なお、図4、図5に示すように、二重底上板TTPに配されるビルジ管763、767とその端末の泥箱765、768など、該複合ユニット内を通過する他系統の配管・機器・支持材も該ユニット設計に含めて一体製作し、一括吊り込み・据付を施工する。
[ポンプ運転特性] 図8に示す冷却海水ポンプの選択運転特性において、図(a)、(b)とも横軸はポンプ流量Q、縦軸はポンプ揚程H及び軸動力Pをれぞれの定格値を100%とし%目盛で表し、1号機21及び2号機22の単独運転での揚程特性曲線H‐Qを実線H1、H2、軸動力特性曲線P‐Qを実線P1、P2、並列運転でのそれぞれ特性曲線は点線H12、P12であり、H12=(H1+H2)/2、P12=P1+P2、各々特性曲線は上に凸の形状を成し、流量ゼロ(Q=0)で揚程H(H1、H2、H12)及び軸動力P(P1、P2、P12)はそれぞれ定格値の約150%及び約60%である。
[異容量ポンプ] 図8(a)は1号機21が60%(=3/5)容量、2号機22が40%(=2/5)容量の場合を示し、定常航海ではQ=85%で1号機・2号機の並列運転、半力航行及び出入港ではQ=60%で1号機21の単独運転、荷役ではQ=40%で2号機22の単独運転が主機関負荷信号48(図3参照)により選択される。
ポンプの設計定格では主機関(略してME)は全負荷、発電機関(略してGE)2台並列全負荷であり、定常航海ではME85%負荷、GE1台〜2台(バラスト入替)稼働の平均を示し、半力航行ではME50%負荷、GE1台、清水冷却器51(略してFW/C)1台稼働でポンプ流量Q=60%はME冷却系にQsc=40%、GE冷却系にQfc=20%がそれぞれ供給され、出入港ではME30%負荷、GE2台(FW/C2台)稼働でポンプ流量Q=60%がQsc=20%(>60%*0.3)とQfc=40%が供給され、停泊中はME休止、GE1台(FW/C 1台)稼働で流量Qfc=20%が供給される。
従来の全容量ポンプでは、揚程H12で軸動力P12で運転し、出入港や荷役・碇泊でも本発明の1号機21の全力運転以上の軸動力P12であり、余剰軸動力分約30〜40%が省エネになり、それだけ排ガスの低減及び港内陸電が節減できることを示している。
[半容量ポンプ] 図8(b)は1号機21・2号機22とも半容量50%(=1/2)の場合を示し、H1=H2、P1=P2の他は図8(a)と同様のポンプ特性曲線を示している。
[可変速定揚程制御] 随意採用(Option)として2号機22にインバータ可変周波制御を与えれば、2号機22の定揚程Hcが得られ、制御軸動力はPc=P2*Hc/H2となり、高流量域(Q=50〜100%)では無制御の1号機21と並列運転し軸動力はPc+P1となり、
従来の全容量ポンプに可変速定揚程制御を付加した場合のPc12に比べ、本発明の高流量域(Q=50〜100%)ではほぼ同等、低流量域(Q=0〜50%)では約20%の軸動力節減を得ており、インバータ制御器容量も半容量のもので済んでいる。
図8(a)において、2号機22にインバータ可変周波制御を与えれば、2号機22の定揚程Hcが得られ、定揚程制御の範囲は低流量域(Q=0〜40%)では軸動力Pcはより低減され44%の軸動力節減を得ており、高流量域(Q=60〜100%)との中間域は無制御になるが運航上は充分であり、インバータ容量も40%で済んでいる。
この可変速定揚程制御を後述の潤滑油冷却・供給複合ユニットに随意採用(Option)すれば、主機関負荷変化に伴う回転数変化にほぼ比例の潤滑油流量Q≒1〜0.3^(1/3)=100%〜67%の流量域で安定した主機関潤滑作用と幾分の省エネを得ることができ、半容量ポンプ常用2台並列運転とすればインバータ制御器も半容量で済む。
実施例2として、図3に略示した清水冷却系59(点線囲内)の主機関ジャケット冷却ユニット60及び発電機関61、62、63の諸管系統及び主機関ジャケット冷却ユニット姿を図9、図10を参照して説明する。
[諸管系統] 図9(a)の点線囲内の主機関ジャケット冷却ユニット60において、前述図3の冷却清水供給管57からの冷却清水(Tfo=38℃)が、図8(a)における温調三方弁608の側路水(Tjo=80℃)と混合して水温を下げ(Tji=Tjo−ΔTj)、吸引弁601、短管(エルボー)602、ポンプ603、吐出弁(逆止弁)604を経て主機関ジャケット605を冷却し高温水(Tjo=80℃)となり温度センサー609の温度信号TCに従い温調三方弁608で側路水と戻り水に分流し、該戻り水は発電機関61、62、63からの戻り水(Tg≒48℃)との合流点551を経て冷却清水戻り管55に至る。
なお、該ジャケット605の清水出口607と温調三方弁608の間に側路弁641を装入して該ユニットの外部に造水機64を配し、航海中の該ジャケット605の高温冷却水(Tj=80℃)を熱源とし、前述の定温制御の冷却海水から蒸留水を獲ることができる。
発電機関61,62,63からの戻り水は、合流点551の手前の逆止弁581で主機関負荷急変やポンプ603の常用機・予備機切替等の過度現象で主機関ジャケット605の高温戻り管60C(設計最高温度Tjo=80℃の定温制御)の発電機関側の戻り管58(設計最高温度Tg≒48℃)への逆流を阻止し、温度大差の両者の戻り水を安全に合流する。
主機関ジャケット冷却系60の定常状態では、図9(b)に示す「熱平衡計算式」から、温調三方弁608の分流量Qfjは該ジャケット605の冷却熱量Pcj、供給清水との温度差ΔTfj=Tjo−Tfo=80−38=42℃、発電機関61、62(設計最高2台並列運転)の冷却熱量Pcg、供給清水との温度差ΔTg=Tg−Tfo=48−38=10℃から、液槽船のように自船の荷役動力のため発電機関容量Pgが大きく両者の冷却熱量比Pcj≒Pcgの例では、冷却清水供給流量Qfj=Qg*ΔTg/ΔTfj≒Qg/4.2、岸壁荷役に頼るバラ積み船のように発電機関容量Pgが小さく両者の冷却熱量比Pcj≒2Pcgの例でも、冷却清水供給流量Qfj=Qg*ΔTg/ΔTfj≒2Qg/4.2=Qg/2.1であり、ジャケット冷却熱量Pcjが大きくても冷却清水供給流量Qfjは発電機関61、62のQgよりずっと小さいので、この様な定常流量状態からも温度大差の両者の戻り水が安全に合流可能を示している。
該合流水は発電機関61、62の冷却戻り水Tfiは48℃より上がり、Pcj≒Pcgの例ではTfi=(Tjo*Qfj+Tg*Qg)/(Qfj+Qg)≒(80/4.2+48)/(1/4.2+1)=54.2℃、Pcj≒2Pcgの例ではTfi≒(80/2.1+48)/(1/2.1+1)=58.3℃となり、清水冷却器51の冷却海水供給温度32℃との温度差が発電機関の48−32=16℃よりそれぞれ54.2−32=22.2℃、58.3−32=25.3℃のように上がるので、清水冷却器51の伝熱容量が増し発電機関冷却のみでの所要伝熱面積を幾らか増す程度で主機関ジャケット冷却と共用できる訳である。
表2の項番6「清水冷却器」の主機関全負荷と発電機関2台全負荷の「設計値」欄と主機関休止と発電機関2台80%負荷の「荷役蘭」において、冷却熱量Pcf[kW]はそれぞれ1,151と512でその比は2.25であるが、上記の温度差[℃]に相当のTfi−Tiはそれぞれ53.4−32=20.4℃と42.8−32=10.8℃でその比1.89が効いて、所要伝熱面積Areq[m^2]はそれぞれ31.6と26.0でその比は1.22に圧縮されており、冷却熱量大差の主機関ジャケット冷却との共用が頗る有利なことを示している。
なお、該逆止弁581と入口側に逆止弁583を配して主機関ジャケット入口606に導き、発電機関61、62,63の冷却熱で碇泊などの休止中の主機関ジャケット605の予熱を可能とする(一般に該ジャケットの冷却流量=ポンプ603の定格流量Qjに比べ各々発電機関の機付ポンプの定格流量Qgが小さいので主機関ジャケット605の抵抗水頭は軽微であり該機付ポンプに流量低下などの支障を来さない。
図9(c)において、発電機関代表機61の冷却系統を示せば、機付ポンプ611、612、潤滑油冷却器613、空気冷却器614が冷却清水供給温度(設計最高Tfo=38℃、定常航海〜荷役では37〜34℃)で支障なく働き、なお、ジャケット615、温調三方弁(直動式)616が高温(設計最高85℃)の定温制御は、上記の主機関ジャケット冷却ユニット60と同様の冷却機構である。
[膨張タンク] したがって、冷却清水供給管57の分岐点571が両者の水理基点となるので、上位の甲板(上甲板UDKなど)に両者共用の膨張タンク67を配して弁672及び管671で該清水供給管57に結び、清水冷却系59全体に充分な正水頭Hexp≒10mを与えて冷却水の蒸気圧を抑え、両者のポンプ始動・停止などにおける水理的過度現象を緩衝し、両者の冷却戻り水の合流点551から小径の弁674及び管673を以て該戻り水を膨張タンクに適量注入して循環させ、膨張タンクの水温を冷却清水供給温度ほぼTfo=38℃に保ち且つ膨張タンク67に注入の冷却清水添加薬剤(図示省略)の拡散に供する。
[ユニット姿] 以上述べた実施例2の諸管系統を持つ主機関ジャケット冷却ユニット60の組立姿について、図10を参照して説明する。
主に図10(a)において、2台のポンプ603(常用1台、予備1台)が支枠92を付して棚状の縦通桁STR上に配され、その吸引口に短管(エルボー)602を介して吸引弁601を組付け吸引主管60Eを経て冷却清水供給管57(中段甲板下に配管)に接続し、吸引主管60Fに接続の温調三方弁608は、主機関ジャケット605の出口管607からの高温戻り水を吸引主管600に側流(管60B)すると共に発電機関61、62、63からの冷却戻り水との合流点551を経て冷却清水戻り管55(中段甲板下に配管)に分流するので、その分流量=供給量Qfjが冷却清水供給管57から管60Eを経て吸引主管600に入り高温戻り水の側流Qj−Qfjに合流しQjが吸引弁601を経てポンプ603に吸引される。
ポンプ603の吐出口に配した逆止弁604を経て主機関ジャケット605(図10図示外)の入口管606に至り且つ該入口管606より分岐管584、逆止弁583に接続し、発電機関冷却戻り水による主機関ジャケット予熱系を成し、逆止弁583に隣接の逆止弁581は主機関ジャケット冷却戻り水との合流点551からの高温水の逆流を阻止する。
図10(b)において、棚状の縦通桁STRは二重底上板TTPと中段甲板MDKとの中間高で二重底上板縁より拡がり且つ桁幅(奥行き)が大きく、中型船の例でも通路床FLRより900mm、中段甲板MDKまで1700mmあるので上述の冷却ユニット60の配置には充分であり、前述の実施例1の冷却海水・清水供給複合ユニット14及び主機関ジャケット605との全配管は中段甲板MDKの下で船体構造貫通なく施工可能且つ弁類は全て通路床FLRや中間操作床OFLから操作・調整・監視可能である。
ポンプ・諸弁周りの配管は全組立姿において充分な自重支持強度を持つので、天井配管の冷却清水供給管57、戻り管55及びジャケット入口管606、出口管607を含み、ジャケット冷却ユニット周りの全ての弁類・諸管を管支持材と共に工場で一体組立して縦通桁STR上に一括吊り込みでき、ポンプ603の台枠及び管支持材を船体構造に溶接固定し、残りの関連配管を施工する。
ポンプ603の吸引口前の短管602は曲管(エルボー)のため配管拘束なく、吸引弁601閉鎖のまま該ユニット60の前面から容易に取外し、ポンプ603の吸引口側のケーシングカバー及び羽根車を順次取外し、軸封部のメカニカルシールを取替え可能且つこの一連の作業を隣接機の運転休止なく手工具での軽作業で実施できる。
本発明の機関冷却装置の実施例3として主機関潤滑油供給複合ユニットについて、図11に諸管系統を、図12、図13に該ユニット姿をそれぞれ示し前述の図3、図7を参照しながら説明する。
[諸管系統:海水系] 図11において、前述の主冷却海水供給管39から海水弁501、短管502を経て二次ストレーナ50に、続いて海水入口弁421、短管422を経て潤滑油冷却器42に至り、続いて短管423、海水出口弁424、管430を経て機付の空気冷却器43に至り、更に海水冷却戻り管44、前述の図3に示す絞り弁46に至り主海水冷却系統を成す。
海水冷却系41(前述図3)の海水二次ストレーナ50にエルボー503、洗浄排水弁504及び排水管505を配して前述の舷外排水管37に接続し、空気弁506を配して前述の圧縮空気源54に接続し該二次ストレーナ50の逆洗機構を成す。
機付の空気冷却器43には,入口弁431、短管432、433、出口弁434を配し、或いは側路弁435を追加して空気冷却器43の冷却海水流量を絞り、主機関掃気温度を調整する。
[諸管系統:潤滑油系] 主機関MEのサンプタンク70から二重底上板TTP上に設置のリフト型逆止弁701、吸引主管702、吸引弁703、短管704(Dist.Pc)、潤滑油ポンプ705、吐出逆止弁706、バタフライ型吐出弁707、吐出主管708を経て通路床FLR上に設置の潤滑油二次ストレーナ(2nd Strainer)71に至り、その漉し油が管711、潤滑油入口弁425、短管425を経て潤滑油冷却器42に至り、更に短管427、出口弁428、温度調整三方弁(直動式)429を経て潤滑油供給管712、主機関MEの潤滑油系713を通ってサンプタンク70に戻る。
通路床FLR高が大きくポンプ705の吐出口の上の空間が十分あれば、上記の吐出逆止弁706をハンドル付としてバタフライ型吐出し弁707を兼用してもよい。
潤滑油二次ストレーナ71の逆洗油出口管714からのスラッジが隣接のスラッジ漉し器(Sludge Checker)715で漉された上澄み油が管716を通ってサンプタンク70に戻る。
通路床下の潤滑油ポンプ705及び通路床上の二次ストレーナ71・潤滑油冷却器42にはそれぞれ油受け(Oil-pan)721、722を施し、廃油管723で二重底内の廃油タンク(Waist Oil Tank)72に導かれる。
[ユニット姿] 図12(側面図)、図13(b)(下部平面図)に示すように、二重底上板TTP上に潤滑油ポンプ705、短管704、吸引弁703を油受け721と共に配し、図13(a)(上部平面図)に示すように通路床FLR上に自動逆洗型潤滑油二次ストレーナ71、スラッジ漉し器715及び潤滑油冷却器42を油受け722と共に配し、関係弁類及び諸管と共に一体に組立てて主機関ME用の潤滑油冷却・供給複合ユニットを構成する。
主冷却海水供給管39から海水弁501、短管502、海水系二次ストレーナ50、海水入口弁421、短管422(それぞれ出口弁424、短管423の下にあり図示省略)を経て潤滑油冷却器42に至り、続いて短管423、出口弁424を経て海水管430で空気冷却器43(図示外)に至り、該二次ストレーナ50に曲管503、洗浄排水弁504、排水管505を配し前述の舷外排水管37(図示外)に導く。
サンプタンク70(図示外)から、通路床FLR下の逆止弁701、吸引主管702、吸引弁703、短管(Dist. Pc)704を経てポンプ705に至り、吐出口の逆止弁706、吐出弁707、立上り管708を経て通路床FLR上の潤滑油二次ストレーナ71、続いて分岐管711から上って潤滑油入口弁425、短管426を経て、潤滑油冷却器42に至り、短管427、潤滑油出口弁428を経て温度調整三方弁429に至り、分岐管711から下った側路流と合流し定温制御の潤滑油を供給管712で主機関MEの潤滑系713(図示外)に供給する。
潤滑油二次ストレーナ71の逆洗スラッジ出口管714からスラッジ漉し器715に入りその漉し油管716でサンプタンク70に落とす。
[支枠] ポンプ704、潤滑油二次ストレーナ71、スラッジ漉し器715及び潤滑油冷却器42の支枠93として、支柱931、ポンプ支台932、梁材933、934を配し且つ最寄りの船体構造に揺れ止支材935を施し、油受け721、722及び廃油管723を付加する。
潤滑油冷却器42が機付の多管式冷却器(Tube Cooler)の場合は、通路床FLR下の潤滑油ポンプ705と通路床FLR上の潤滑油二次ストレーナ71及びスラッジ漉し器715及び諸弁・諸管より成る潤滑油供給ユニットとなり、冷却海水供給管39と潤滑油二次ストレーナ71の出口管711を機付の該多管式冷却器42に直接接続すればよく、或は、海水異物や機関振動の制約あれば、該潤滑油供給ユニット上に海水二次ストレーナ50及び潤滑油温度調整三方弁429を配して機付の該多管式冷却器42にそれぞれ連結配管する。
本発明の機関冷却装置の電装を実施例4として、図14を参照して説明する。
[電源系統] 図13において、発電機61、62、63(常用2台、予備1台)の発生電力(3φ450V−60Hz)は主配電盤80の母線(Bus-Bar)2回線No.1、No.2に纏められ、機関冷却装置には回路遮断器(Molded Circuit Breaker、略してMCB)801、802から2回線の電源線803、804で電磁始動箱81に給電する。
[主回路] 電磁始動盤81では、常用ポンプ系は電源線803から、予備ポンプ系は電源線804からそれぞれ分岐し、冷却海水・清水供給系統14、主機関ジャケット冷却系60及び潤滑油冷却供給系42について、分岐回路遮断器811、電流計・変流器812、電磁開閉器(電磁接触器MC、過負荷リレーOL)813を配し、各々ポンプ用電動機815に動力配線814を配する。
[制御回路] 各々回路遮断器811の負荷側で栓型フューズ(Plug-Fuse、略してPF)816で分岐し、電磁開閉器制御コイルはAC440V直接操作とし、変圧整流器817で表示灯と機側操作とは共通の低圧直流電源(DC24V)とし、冷却海水ポンプ21,22の並列・単独及び異容量の1号機・2号機の選択運転などの必要に応じ補助リレー818による常用優先の共通制御電源を制御リレー回路819に給電する。
なお、共通制御電源DC24Vは変圧整流器817の直流出力を直接結合すると、主配電盤80の主電路No.1、No2に給電の発電機61、62の同期並列運転が外れ個別運転に至った時、発電機間の位相差が整流波形率を変化させ該共通制御電源DC24Vの電圧変動にいたるので、温調制御器66の電源AC100Vと共に、上記の補助リレー818による常用優先としたものである。
電磁始動盤81は、機関冷却装置の電装ユニットとして、各々補機ユニット14、60、42に近く保守容易な場所すなわち冷却海水・清水供給複合ユニット14の奥で棚状の縦通桁STR上に配すれば、中段甲板MDKより上位のブロック組立工程途上でも、該補機ユニット間の配管と同様に先行配線として施工でき、建造工程上好都合である。
[機側操作器] 各々ユニット14、60、42の操作正面の支枠又は配管に小寸の機側操作器82を装着し、各機側操作器82にはボタンスイッチ(Push-Button Switch略してPB)「始動」・「停止」・「待機(Stand-by)」及び表示灯「電源」、「運転中」、「待機」を設け、後2者はボタンスイッチと共用とし、表示灯にLEDを使用し回路電圧を例えばDC100Vに上げれば制御回路接点の接触信頼性を著しく向上できる。
[計装・制御系] 温調三方弁66、608、主機関負荷信号・警報器49の計装・制御電源は該変圧整流器807の100Vタップからとり低圧用電線で各計装制御器に給電する。
本発明の機関冷却装置の取水系統の実施例5として、前述の図3における集約ストレーナ3の逆洗機構に係るビルジ・バラスト系統7の注排水系を図15により、該ストレーナ3の構造を図16、図17により説明する。
[取水諸管系統] 前述の図3に示す舷外取水箱1、取水弁2、集約ストレーナ3、出口管4(ビルジ・バラスト系統では吸引管)は、図15では左・右両舷に区別して、左舷側ではそれぞれ1p、2p、3p、4p、右舷側ではそれぞれ1s、2s、3s、4sとして、冷却海水・清水供給複合ユニット14に係る主吸引弁11は同様に11p、11sとして示し、連絡管12は両舷間を結び且つ該ユニット14の取水系を成している。
一般に機関室の左舷前部に設置のビルジ・バラスト系統7において、吸引弁5、ポンプ6はそれぞれ接続の取水系に合わせ左舷用として5p、6p、右舷用として5s、6sとし、その間に挿入のH字形回路で注排水切替弁751p、751s、752p、752sを成し、その共通管753が弁754を経て船尾タンク(Aft-Peak Tank、略してAPT)755に、弁756を経て船首タンク(Fore-Peak Tank、略してFPT)757に接続、或いは、別のバラスト系統に自吸及び残水吸引用として接続される。
なお、ポンプ6p、6sの吐出側に吐出弁758p、758sを経て舷外排水管759に接続される。
ポンプ6p、6sの吸引側に逆止弁761を経てビルジ溜め(Bilge Well、略してBW)769に設置の前述のビルジ管763、767及び泥箱(Mud Box)765、768に接続される。
[逆洗系] 今、ビルジ・バラスト系統7の吸引弁5p、5sを開き、注排水切替弁751p、752sを閉じ、752p、751sを開いて左舷用ポンプ6pを運転すれば、左舷側すなわちポンプ運転側の舷外取水箱1p、取水弁2p、集約ストレーナ3pは順流で該ストレーナ3pの漉し水を吸引管4p、吸引弁5p、ポンプ6p、切替弁752p、共通管753、切替弁751s、吸引弁5s、吸引管4sの管路で集約ストレーナ3s、取水弁2s、舷外取水箱1sに逆流側に与え、逆洗系を成す。
集約ストレーナ3の内部構造を示す図16、図17において、右舷側について説明すれば、舷外取水箱1s、取水弁2s、集約ストレーナ3s、出口管4sは前述の図3の取水系統どおりであり、該ストレーナ3sにはパンチングメタル製のフィルタ筒770の筒面773及び底面772のそれぞれ全面に漉し穴771を有し、通常はポンプ6s運転の順流(白矢印)で舷外海水の浮遊異物774を阻止し、冷却海水系統は勿論、ビルジ・バラスト系など全海水系統が漉し水を吸引しているが、阻止した浮遊異物774が漉し穴771に付着し目詰まりが進行すると該フィルタ筒770の流水抵抗が増し海水系の各々ポンプの性能低下を来すので、該フィルタ筒770の洗浄が必要になる。
該ストレーナ3sの底部に空気口777を設け、空気管778、ドレンプラグ779及び空気弁10sを配し圧縮空気源9(図示外)に接続する。
上述の左舷用ポンプ6pによる逆流水(黒矢印)を、出口管4sを経て該ストレーナ3sの内装フィルタ筒770に与えると共に、空気弁10sを開いて圧縮空気を該ストレーナ3sの底部に噴入し、特に該フィルタ筒770の底部及び低部の目詰まり異物775を剥離・攪拌し、該逆流水と協働で剥離した中部・上部の目詰まり異物775や滞留異物776と共に取水弁2sを経て舷外取水箱1sの滞留・浮遊異物774とともに舷外に排出する。
舷外取水箱1sにもその洗浄用として空気弁8sが配されており、該ストレーナ3sの空気弁10sと共に或は交互に開閉操作して圧縮空気を噴入しそれぞれの内部を攪拌し、ポンプ6pの運転による逆流水(黒矢印)で該ストレーナ3sと共に舷外取水箱1sの洗浄を同時に行う。
上記の逆洗中は、図15において、右舷側の主吸引弁11sを閉じ、順流取水の左舷側の主吸引弁11pを開いているので、冷却海水・清水供給複合ユニット14は連絡管12を経て取水して定常運転を継続し、また、左舷用集約ストレーナ3pの逆洗は舷外取水箱1pと共に、全く対称の注排水切替弁操作(付属符号のp、sの反転)とポンプ6sの運転で同様に実施可能である。
なお、主吸引弁11を装着の分岐管を、図17の鎖線図示のように、集約ストレーナ3に設ければ、取水系をより省スペースにでき、一般にこの種のストレーナのメーカーは直進・左折・右折の3方向の鋳型を持っており、そのような2方向出口のものはメーカーの標準設計の範囲で調達可能であり、空気口777も標準のドレンプラグ座を利用或いは軽微な変更で可能である。
なお、船首タンク757(図示外)及び船尾タンク755のバラスト水は必ず集約ストレーナ3p、3sを通って注水され常に清浄状態にあり、両舷のビルジ溜め769からの吸引水は集約ストレーナ3p、3sと同等の目開き(漉し穴)を持つ泥箱765、768で漉されるので、船内滞留異物を舷外放出せず海洋汚染しない。
本発明の機関冷却装置の実施例6として、各冷却器42、51(潤滑油、清水、なお空気冷却器43は潤滑油冷却器42と直列)の海水入口に配する二次ストレーナ50について、その構造・機構を図18、図19、図20により説明する。
例えば清水冷却器51には薄板積層で構成のプレートクーラー(Plate Cooler)が使用され、一般には(従来技術では)図18に示すように、その海水入口に細目開きのフィルタ筒783(漉し穴径2〜3mm)を挿入しているが、本発明では図19に示すように、該フィルタ筒783を該冷却器の外部の二次ストレーナ50に内装し逆洗機構を付加したもので、以下、清水冷却器51の二次ストレーナ50について説明し、潤滑油冷却器42の場合も同様である。
従来技術では、図18において、冷却器51の海水入口に内装のフィルタ筒783の逆洗のために海水入口・出口の短管(Dist.Pc)512、513を経てバタフライ弁511、514を各2個計4個をブリッジ回路状に配して冷却海水供給管40、冷却戻り管53を接続し、弁511、514の操作で冷却器51の海水系に順流・逆流を与えフィルタ筒783の逆洗を施した例があるが、逆洗の際に冷却器51内に浮遊異物の侵入・滞留は防げず、弁群511、512及び立上り管40、50がかなり(冷却器51とほぼ同長且つ倍幅)の占有スペースを取っている。
本発明においては、 図19に示すように、管体780の両端にフランジ781、782を配し、その一端のフランジ782側からフィルタ筒783を装入し、フランジ782にエルボー503、排水弁504を配して排水管505に、他端のフランジ781に短管502、海水弁501を配して冷却海水供給管40にそれぞれ接続し、両者ともフィルタ筒783の内部に通ずる構造とし、管体780の分岐管785に弁511を配してフィルタ筒783の外周に出る漉し水を冷却器51の海水系入口の短管512に接続する。
管体780の中程に空気口786を設けて空気弁506を配し圧縮空気源54(図示外)に接続し、短管502及びエルボー503に管体780の姿勢(通常はフランジ782が上、フランジ781が下)に応じ空気抜きコック(Air-Vent Cock)788、ドレンプラグ787を配し、二次ストレーナ50の開放点検に伴う管体780内の水抜き及び空気抜きを可能とする。
フィルタ筒783は、上述の細目開きの冷却器メーカーの標準品を使用し、管体780はフランジ781、782と共に、該冷却器51の海水系に配した端管512、513及びフィルタ筒783と同等の不錆鋼で製作し、短管502及びエルボー503を海水系諸管に合わせ厚肉鋼管とし、該冷却器51の伝熱板の材質(チタン)との異金属近接による犠牲陽極管の機能を併せ持たせ、エルボー503は配管拘束なく容易に取外しフィルタ筒783を管体780から取出し、二次ストレーナ50の開放点検を可能とする。
[逆洗操作] 冷却器51の海水入口弁(漉し水出口弁)511を閉じ、二次ストレーナ50の海水弁501及び排水弁504を開けば、前述の冷却海水ポンプ21、22から供給の海水がフィルタ筒783の内部の滞留異物78Cを押流し排水管505及び前述の図3の舷外排水管37(図示外)を通じて排出する。
その状態で、空気弁506を開けば圧縮空気が該フィルタ筒783に逆流外圧を与え目詰まり異物78Dを剥離し上記の海水と協働で舷外排出する。
圧縮空気源54は、上述の逆洗操作における弁誤操作による冷却器51の空気圧加圧の危険を考慮し、冷却器51の耐圧(一般にプレートクーラーでは5.5kgf/cm^2)以下且つ冷却海水ポンプ21、22の吐出圧(2kgf/cm^2)以上の制御用(一般に冷却海水温調制御用の4kgf/cm^2)のものが望ましく、逆洗操作に際しては、該冷却器51の海水入口弁511の閉鎖確認は勿論、該二次ストレーナ50の海水弁501を絞って水圧を下げフィルタ筒783の内・外の圧力差を稼ぐのが望ましい。
上述の図20に示す二次ストレーナ50は、二重底上板TTPに設置の冷却海水供給管40の立上り管に設置し通路床FLR上設置の冷却器51及び上位の舷外排出管37に至る上向き流の管路途中に設置するのに、配管簡潔化及び省スペースに頗る好都合である。
[別案] なお、機関室補機配置都合で上位甲板(中段甲板MDKなど)に冷却器51を配置する場合には、二次ストレーナ50は図21、図22に示すように、上下反転し下向き流とした方が好都合な場合があり、別案として以下説明する。
図21において、管体780をフランジ781より延長して上端フランジ789、蓋78A及び分岐管502を、空気抜きコック788及び海水弁501をそれぞれ配し、フランジ782に短管503を介して排水弁504を配する以外は上述の図19に示すものと同様であり、内装のフィルタ筒783の脱出しを避けるため、スペーサー78Bを追加する。
剥離・滞留の異物78D、78Cは重力でフィルタ筒783の下部に降り、図22に示すように、短管503、続いて中段甲板MDKの下の舷外排出管37に降りるので、排水弁504を開き下向きの洗浄排水には合理的であり、占有スペースとしては冷却海水供給立上り管40が張出す程度で、図18(a)の如く冷却器51の幅以内に収まっている。
本発明の機関冷却装置の各冷却器の定置洗浄について実施例7として図20を参照しながら説明する。
全ての冷却器(清水51、潤滑油42、空気43)において、以下代表として清水冷却器51について、海水系入口及び出口に配した短管(Dist. Pc)512、513は不錆鋼製とし、該短管に定置洗浄接続口731を配して平常はメクラフランジで閉鎖しておき、運航状態に従い策定の冷却器51の洗浄時期に該冷却器の接続口731に可搬式定置洗浄機73を付属ホース732、733で接続し、下記の方法で冷却器海水系に生成した水垢(Scale)の除去洗浄を施す。
[清水循環] 海水入口弁511、出口弁514(何れも弁体などの接水部は不錆鋼製)を閉じ、出口短管513の空気抜きコックを開いて該付属ホース732で冷却器51内の海水を自流抜き二重底のビルジ溜め74に落とし、入口短管512のドレンプラグで残水を落とした上で、最寄りの清水源735にホース732で接続し、冷却器メーカーの取扱説明(Instruction)に従い、定置洗浄機73経由で清水を該冷却器内51の海水系に充満しホース732を清水源735から定置洗浄機73に繋ぎ換えて内装ポンプ734で循環し、該冷却器51内の塩抜きと下洗浄を行う。
[酸洗・中和] 上記のホース732の再繋ぎ換えで冷却器51内の洗浄清水の入替えの上、薬液(塩酸など)を洗浄機73で適正濃度に混合しながら充分な時間で循環した後、中和剤(苛性ソーダなど)を注入循環して中和を該洗浄機で確認の上、ホース733で清水を追入しながら該冷却器51内の中和水を二重底のビルジタンク74に落とし、洗浄機ホース732、733を取外し接続口731を閉じ、該冷却器51の入口弁511を開いて冷却海水供給圧を掛けながら出口短管513の空気抜きコックで残留空気を抜き、海水出口弁514を開いて清水を排出し、該冷却器51の定常稼働に移る。
[洗浄用温清水] 上述の洗浄効果を高める必要に応じ、清水源735を上位甲板に配した温清水タンク736で代えることができ、そのタンク容量は各冷却器51、42、43の内の最大容積と換水回数に見合う所要容積を持ち、各冷却器について予め策定の洗浄計画に従い、排気ボイラ(Economizer)の蒸気又は熱媒油で加熱しておき、停泊中の重油炊きボイラによる補熱を局限する。
本発明の改良点を実施例8として、図面を参照し説明する。
[冷却海水・清水供給系統] 図24において、舷外海水取水系より来る吸引主管12よりT分岐12Bを経て2吸引口付冷却海水ポンプ1号機21、2号機23の対向吸引口21A、23Aに吸引弁15、17を、各吐出口21D、23Dに逆止弁24、26を経てT分岐24B、26Bの対向管端に吐出弁27、29をそれぞれ配し、T合流管30Mを介して吐出主管30に接続し冷却海水供給系統を構成する。
逆止弁24、26は開閉ハンドル機構(Screw-down Handle)を持たないリフト型(Lift Type)とし、吸引弁・吐出弁はバタフライ弁を使用、以下、特記なき弁は全てバタフライ弁を使用する。
該海水ポンプ2号機23の外向吸引口23Bに短管31を介して逆止弁32を非常吸引弁としてその管端32を二重底上板TTP上100mmに配し、吐出側のT分岐26Bの外向管端に非常排水弁35を配し排水管36を経て舷外排水管37に接続し、機関室浸水の非常吸排水系を構成する。
該海水ポンプ1号機21の外向吸引口21Bに循環吸引弁15Cを配して滅菌装置に接続し、吐出側T分岐管24Bの外向管端に循環送出弁35Cを配して循環主管に接続する。
上記の循環系統の戻り管は、既発明3のバラスト系の注排水主管を利用し、その自吸補助(Priming)及び残水吸引(Stripping)に供するビルジ系注排水管を該滅菌装置に接続したビルジ系ポンプユニットの吐出系と並列に上記の循環送水弁35Cを配してバラスト水循環系統を構成する。
上述の非常排水弁35及び循環送水弁35Cは逆止弁を使用し、不慮の停電や弁誤操作による逆流を阻止して冷却海水系への舷外海水浮遊異物の侵入を防止し、バラスト水循環系統に並列のビルジ系ポンプユニットの消防高圧水の逆侵入を阻止し、機関冷却系を保護する。
なお、大型船では、補助冷却海水ポンプ22、吸引弁16及び吐出逆止弁25を配し、それぞれ吸引T分岐管12B及び吐出合流管30Mに接続し、1号機21又は2号機23の冷却海水供給時に並列運転可能とする。
吐出主管30より分岐の主冷却海水供給管39で主機関潤滑油冷却器42、空気冷却器43を経て主海水冷却系戻り管44に至り、主機関ジャケット用高温清水冷却器51Jからオリフィス52Jを経た副海水系戻り管53Jとの合流管45、流調弁46に至り、更に発電機関用低温清水冷却器51Gからオリフィス52Gを経た副海水海水系戻り管53Gと合流して合流管664で温調三方弁66に至り、吐出主管30に装着の温度センサ662により温度制御器66Cが働き、温調分流水は側路管661で吸引主管12に取水海水と混合し設計温度32℃の冷却海水としてポンプ1号機21に吸引され、他方の温調分流水は分流管663、舷外排水管37及び舷外弁38で舷外排水する。
[高温清水系] 吐出主管30から分岐管40J、造水機64の海水系(弁646、647)、二次ストレーナ50Jを経て高温清水冷却器51Jに至り、以下、上記のオリフィス52J、戻り管53Jを経て主海水冷却系戻り管44と合流し、造水機44及び高温清水冷却器51Jの海水系を成す。
[低温清水系] 吐出主管30から分岐管40G、二次ストレーナ50Gを経て低温清水冷却器51Gに至り、以下上述のオリフィス52G(切換え弁519付)、戻り管53Gを経て流調弁46後の主機関冷却海水戻り水と合流し、発電機関用低温清水冷却器51Gの海水系を成す。
[流調機構] 流調弁46は、副海水系戻り管53Jとの合流管45に装着の流速センサ461により流量制御器46Cが働き、主機関出力設定信号48で制御器49が働き設定流量に制御する(制御器49は、主機関出力設定に伴う燃料消費率、冷却熱量率、被冷却部温度慣性などの関係要因を加味し熱平衡のための所要流量を計算する機能を持つ)。
[造水機濃塩水] 造水機64の海水系には分岐管40Jにエダクタ64Eの駆動水ポンプ64Dを配し、造水蒸留で発生の濃塩水(Brine)を逆止弁64Bを経てエダクタ64Eで吸引・排出し舷外排水管37で直接排水するが、ポンプ64Dは小容量で間欠稼働と相俟って、高温清水冷却器51Jの熱平衡を乱さず、冷却海水ポンプ容量への影響はない。
[低温冷却清水系] 低温清水冷却器51G及び高温清水冷却器51Jの清水出口管57J、57Gから合流管57Dで送水し水理基準点571で分流し清水供給管57で発電機関61、62、63に供給され戻り管58及び55Gを経て該冷却器51G入口に至り、低温清水冷却系を成す。
水理基準点571には主機関頂部より高位置に弁672を介して膨張タンク67に至り水理基準点551に約10mの清水頭を与え、冷却戻り水58を小口径弁674を経て膨張タンクに与えて循環する。
[高温冷却清水系] 主機関ジャケット冷却ユニット60において、上記の水理基準点571から分流管60E、吸引管600、吸引弁601、高温冷却清水ポンプ603、逆止弁604を経てジャケット冷却入口606に至り、該ジャケット605で昇温した清水が冷却出口607より側路弁601の分流管642を経て造水機64の加熱清水系を通り戻り管644、側路合流管60Aを経て温調三方弁608で温調分流し側路流60Bが低温清水60Eと合流し(合流点60F)、ポンプ603により循環しジャケット冷却出口607に装着の温度センサ609により温調三方弁608の制御器TCが働いて設計温度80℃に定温制御する。
温調三方弁608の制御分流水60Cは戻り管55を経て高温清水冷却器51J入口に戻り、高温清水冷却系を成す。
造水機64の清水側・海水側とも側路弁641、646を開いて造水機64を休止し、高温清水冷却器51Jは主機関全出力の昇温清水を温調三方弁608を通して働くよう且つ主機関休止中は、逆止弁581を経て発電機関61、62、63のうち稼働1台の冷却戻り水58を該冷却器51Jの戻り管55を通じて受け、低温清水冷却に作動するよう該冷却器を設計し、主機関休止中に上述の低温清水冷却器51Gの休止・点検・洗浄において、発電機関1台を冷却・稼働し船内電源を確保し且つ低温清水冷却器51Gで発電機関を通常冷却・稼働し高温清水冷却器51Jの休止・点検・洗浄を可能とする。
更に逆止弁582を併設し、休止中の主機関ジャケット605に発電機関の冷却戻り水を管58からジャケット冷却入口606に導き、発電機関の冷却熱で主機関の予熱が可能とし、この時は、ポンプ603に配した逆止弁604でポンプ吸引管600への逆流を阻止、該予熱戻り水は温調三方弁608の側路管60B、供給管60Eを経て発電機関に循環し、余分の熱量はジャケット出口607の温度センサ609で温調三方弁608が働き、高温清水冷却器51Jにて冷却処理する。
[造水機稼働] 主機関運転中に造水機64の清水側・海水側の分流入口弁643、647、を開き、両側の入口・出口を含む主要部の水温や機内の真空度を監視しながら、側路弁641、646を出口弁645、648と共に絞り調整してそれぞれ定格流量ベースに設定し、清水加熱と海水冷却の熱量を平衡するよう始動(Start-up)し、以後主機関出力変化に伴う清水系入熱と海水系冷却熱の不平衡を弁絞り微調整で修正しながら稼働する。
清水側はジャケット冷却清水ポンプ603で定流量なるも温調三方弁608で主機関出力に比例の分流量Qf j=(Pcj−Pcw)/ΔTf j{ΔTf j=Tj−Tfw−Tfo=80−Tfw−38でほぼ一定}、海水側は、流調弁46による主機関出力設定信号48による流量制御では熱平衡を保持でき、冷却海水ポンプの選択運転では、選択毎に定流量のため、造水機64の側路弁646及び出口弁648の絞り微調整幅の拡大で対応する{実際には主機関出力85%の定常航海が運航の大半を占め、沿海航行の半力(50%など)航行は短時であり、出入港時は造水機を休止するので、主機関出力設定変更以外では微調整の機会は少ない}。
[冷却海水・清水供給複合ユニット姿] 図25、図26に既発明2の横向2吸引口付横軸渦巻ポンプを使用した複合ユニット姿を示せば、冷却海水ポンプ1号機21、2号機23の吸引口・吐出口を含むポンプ周りの垂直面において、対向吸引口21A、23Aに吸引弁15、17、外向吸引口21B、23Bに吸引弁15C、32(短管31を挟み)、各吐出口の無ハンドル型の吐出逆止弁24、26を配し、続いてT分岐管24B、26Bを介してその対向管端に吐出弁27、29を、外向管端に逆止弁35C、35を配して複合ユニットの通路床FLR下の主要部を成し、吸引弁15、17はT分岐管12Bで吸引主管12に吐出弁27、29はT合流管30Mで吐出主管30に接続し主冷却海水供給系を構成し、1号機21の吸引弁15Cと吐出逆止弁35Cは滅菌循環系に接続し、2号機23の吸引弁32と吐出弁35は非常吸排水系を成している
図24に示す小口径の補助冷却海水ポンプ25、吸引弁16及び吐出逆止弁25(ハンドル付)は大型船における近隣の舷側縦通桁下に設置の別置小型ユニットとして上記複合ユニットの吸引主管12と吐出主管30に接続するが、中・小型船では設置しないものとし且つユニット構成が頗る簡潔なためユニット姿の図25、26では図示省略する。
吐出主管30に続き、海水冷却系(主機潤滑油・空気)の各冷却器42、43の冷却海水供給管39を、清水冷却器51J及び51Gの副冷却海水供給管40J、40Gを2次ストレーナ50J及び50Gに導く。
清水冷却器51J、51Gの支枠91の下に舷外排水管37及び副海水供給管40J、40Gを集め、該冷却器51J、51Gをその背部に寄せ、本複合ユニット14を2FS(Fr.27〜29)に収め、操作・点検・保守スペースを1FSとり、特にポンプ21、23のケーシングカバー21C、23Cの前はそのカバー径で1FS以上の空間を採りポンプ開放(羽根車取外しを含む)と軸封シール取替作業に供し、二重底TTP上はビルジ系など他系統を含む配管スペースに当てる。
[温調、流調、操作器] 図26において、主吸引管12の取水側に喫水圧センサ472を、吐出側のT合流管30Mに吐出圧センサ471及び温度センサ662をそれぞれ配し、ポンプ揚程用差圧DP検知及び冷却海水温調三方弁66制御器66C(図25参照)にそれぞれ供し、図25において主機関海水冷却戻り管45に流速センサ461(ピトー管又はベンチュリー管など)を配し、流調弁46の流量制御器46Cが働き、現場監視に必要な圧力計・連成計・温度計などは各ポンプ及び冷却器に装着のものを利用する。
温調三方弁66、温調制御器66C及びポンプ始動用押釦箱82は本複合ユニットの右面に配し、温調三方弁66付近の主海水冷却戻り管45に配した流調弁46と共に、本複合ユニットの正面で操作・点検・保守を可能とする。
舷側スペースの前半は、大口径のバラスト系及び本冷却海水系の舷外排水管・弁に供し、後半は縦通桁STR上設置の電磁始動箱81に供する。
造水機64は最短配管及び操作・監視・保守(内装加熱器・冷却器・凝結器の洗浄含む)を考え、主機関ジャケット冷却ユニット直上の中段甲板MDK(大型船では第3甲板など)に配するを可とする。
以上の機関冷却装置の冷却海水・清水冷却供給系統(造水機64を含む)の実施例8に係る熱平衡計算例をを表4、表5及び表6に示す。
表4は表2と同様に、(1)主機関出力、冷却熱量(空気・潤滑油・ジャケット)及び(2)発電機出力、冷却清水流量から(3)流調海水量(主機関出力比例分)、定量海水量(発電機関稼働機毎)、(4)冷却海水ポンプ定格供給量、(5)冷却海水供給量・温度及び(6A)低温清水冷却器(1号器)の冷却熱量、伝熱性能、海水・清水流量、許容汚れ係数を、各々項目について設計定格及び各運航状態(全力航行、定常航海、半力航行、出入港、荷役、停泊)について冷却海水・清水の供給熱平衡諸量を示し、表5は表3と同様に、(7)空気冷却、(8)潤滑油冷却及び(9)発電機関について、被冷却系の熱平衡諸量を示している。
表6は、(10)主機関ジャケット、(6B)高温清水冷却器(2号器)及び(11)造水機の設計定格及び各運航状態について熱平衡諸量を示し、造水機は全力〜半力航行で稼働し、出入港・荷役・停泊では休止とし、項番(10)については、運航全域に亘り造水機休止としてジャケット冷却系の熱平衡を、項番(6B)、(11)については造水機は主機関出力に応じた比例稼働として該冷却器及び造水機の熱平衡をそれぞれ計算し(両者において造水機の稼働・休止では該冷却器の清水・海水の熱平衡のための清水流量が異なることに注目)、主機関休止中の該冷却器を発電機関1台分の低温清水冷却に兼用した場合の熱平衡諸量を停泊欄に示す。
以上の海水・清水冷却系統及びユニット姿の改良の他は、実施例1と同様であり、説明を省略する。
TTP 二重底の内底板、二重底上板 FLR 通路床
STR 舷側縦通桁、縦通桁 MDK 中段甲板
SHL 殻板、船体外板 BL 船底
EL 船底からの高さ
FKH 甲板間高さ、甲板高 Hfs 通路床高
Hfs 縦通桁高(通路床上) Hsm 中段甲板高(通路床上)
ME 主機関 DOP 甲板開口
FR 肋骨 FS 肋骨間隔
WF 特設桁 WB 特設梁
PLR 支注 BKT ブラケット
BHD 隔壁 UDK 上甲板
LWL 喫水線 Hd 喫水高
1、(1s、1p) 舷外取水箱 2、(2s、2p) 取水弁
3、(3s、3p) 集約ストレーナ 4、(4s、4p) 出口管、分岐管
5、(5s、5p) 吸引弁 6、(6s、6p) ポンプ
7 ビルジ・バラスト系統 8、(8s、8p) 空気弁
9 圧縮空気源 10、(10s、10p) 空気弁
11、(11s、11p) 主吸引弁 12 連絡管、主吸引管
13 海洋生物付着防止装置、MGPS 12C T分岐管
14 冷却海水・清水供給系統、 冷却海水・清水供給複合ユニット
15、16、17 吸引弁、常用吸引弁 18、19、20 短管
15C 循環吸引弁 21A、23A 対向吸引口
21B、23B 外向吸引口 21D、23D 吐出口
181 端管フランジ 182 ホース
183 ホース締めバンド
21 冷却海水ポンプ、常用機、常用1号機、1号機(常用機)
22 冷却海水ポンプ、常用機、常用2号機 補助冷却海水ポンプ
23 冷却海水ポンプ、予備機、2号機(予備機)
24、25、26 リフト型逆止弁 24、25 ハンドル付逆止弁
24B、26B T分岐管 30M T合流管
27、28、29 吐出弁、常用吐出弁、バタフライ弁
30 吐出主管 31 分岐管、非常吸引管
32 非常吸引弁 33 管端
34 分岐管 35 非常排水弁、バタフライ弁
36 非常排水管 37 舷外排水管
38 舷外排水弁 39 主冷却海水供給管
40 副冷却海水供給管 41 海水冷却系
40J、40G 副冷却海水供給管 50J、50G 二次ストレーナ
42 潤滑油冷却器 43 空気冷却器
430 冷却海水管、海水管 431 入口弁
432、433 短管 434 出口弁
435 側路弁
44 主海水冷却系戻り管 45 合流海水戻り管
46 流調絞り弁 47 差圧センサー
471 吸引圧接続点、喫水高センサー 472 吐出圧接続点、吐出圧センサー
473 流量センサー、流速センサー 461 流速センサー
46C 流調制御器
48 主機関負荷信号 49 制御器
Hd 喫水高 Hp 揚程定格値
ΔH 偏差 DP 差圧信号
50 海水系二次ストレーナ 50J、50G 海水系二次ストレーナ
501 海水弁 502 短管(Distance Piece)
503 短管、エルボー 504 洗浄排水弁
505 洗浄排水管 506 空気弁
51 清水冷却器
51G 低温清水冷却器 51J 高温清水冷却器
511 海水入口弁 512、513 短管(Distance Piece)
514 海水出口弁 52 オリフィス
515 清水入口弁 516、517 短管(Distance Piece)
518 清水出口弁 519 絞り切換え弁
52G、52J オリフィス
53、53J、53G 副冷却海水戻り管 54 圧縮空気源
55、55J、55G 冷却清水戻り管 551 清水戻り合流点
56 清水戻り分岐管 57、57D 冷却清水供給管
571 清水分岐点、水理基点 57M 冷却清水合流管
57J 高温清水出口管 57G 低温清水出口管
58 発電機関戻り管
581 合流逆止弁 582 戻り管
583 予熱逆止弁 584 予熱管
59 清水冷却系
60 主機関ジャケット冷却ユニット 61、62、63 発電機関
600 吸引主管
601 吸引弁 602 短管(エルボー)
603 冷却清水ポンプ 604 吐出弁(逆止弁)
605 主機関ジャケット 606 ジャケット入口管
607 ジャケット出口管 608 温調三方弁
609 温度センサー 60A 温調入口管
60B 温調側路管 60C 温調分流管
60D オリフィス 60E 清水流入管
60F 合流点
61、62、63 発電機関
611、612 冷却水ポンプ(機付) 613 潤滑油冷却器(機付)
614 空気冷却器(機付) 615 機関ジャケット
616 温調三方弁 617 温度センサー
618 機関入口弁 619 機関出口弁
64 造水機 641、646 側路弁
642 加熱器入口管 643 加熱器入口弁
644 加熱器出口管 645 加熱器出口弁
647 冷却器入口弁 648 冷却器出口弁
649 エダクタ駆動弁 64E エダクタ
64B 濃塩水出口弁 64D エダクタポンプ
65 冷却海水戻り管
66 温調三方弁(冷却海水) 661 温調側路管
662 温度センサー TC 温度信号
67 膨張タンク 663 温調分流管
671 膨張管 672 膨張弁
673 温水管 674 温水弁
763、767 ビルジ管 765、768 泥箱
70 潤滑油サンプタンク 700 潤滑油吸引管
701 逆止弁、リフト型逆止弁 702 潤滑油吸引管、主吸引管
703 吸引弁 704 短管
706 吐出逆止弁、逆止弁 707 吐出弁、バタフライ弁
708 吐出主管 711 漉し油管、分岐管
712 潤滑油供給管、供給管 713 主機関潤滑系、潤滑系
714 スラッジ管、逆洗スラッジ管 715 スラッジ漉し器
716 漉し油管
72 廃油タンク 721、722 油受け
723 排油管
73 定置洗浄機 731 接続口
732、733 ホース 734 洗浄機内臓ポンプ
735 清水源 736 温清水タンク
74 ビルジ溜め、ビルジタンク
751、751p、751s 注排水切替弁
752、752p、752s 注排水切替弁
753 共通管 754、756 弁、注排水弁
755 船尾タンク 757 船首タンク
761、764、766 逆止弁 762、763 間接ビルジ管
765、768 泥箱 767 直接ビルジ管
769 ビルジ溜め
770 フィルタ筒 771 漉し穴
772 底面 773 筒面
774 浮遊異物 775 目詰まり異物
776 残留異物 777 空気口
778 空気管 779 ドレンプラグ
77A 蓋 77B 空気抜き
780 管体 781、782 フランジ
783 フィルタ筒 784 漉し穴
785 分岐管 786 空気穴
787 ドレンプラグ 788 空気抜き
789 上端フランジ 78A 蓋
78B スペーサー 78D 浮遊異物
78E 目詰まり異物
80 主配電盤 801、802 電源線
81 電磁始動箱 811 分岐遮断器
812 電流計 813 電磁開閉器
814 動力配線 815 電動機
816 栓型ヒューズ 817 変圧整流器
818 補助リレー 819 制御回路
82 機側操作器 821 制御配線
H1 1号機揚程 H2 2号機揚程
P1 1号機軸動力 P2 2号機軸動力
91 支枠
911 支柱 912 ポンプ台枠
683 主梁 914 後梁
915 補梁 916 水受け床
917 梯子 918 支承材
919 管支材
92 ポンプ支枠
93 支枠 931 支柱
932 ポンプ支台 933、934 梁材
935 揺れ止支材 939 配管支材
H12 並列運転揚程 P12 並列運転軸動力
Hc 制御定揚程 Pc 制御軸動力
Q ポンプ流量 Qsc 主海水流量
Qfc 副海水流量
Tjo 主機関ジャケット出口温度 Tg 発電機関出口温度
Tfo 清水冷却器出口温度、冷却清水供給温度
ΔTfj 主機関ジャケット冷却温度差 ΔTg 発電機関冷却温度差
Pcj 主機関ジャケット冷却熱量 Pcg 発電機関冷却熱量
Qfj 主機関ジャケット冷却清水供給流量
Qg 発電機関冷却清水供給流量 Qf 冷却器清水供給流量
Tji 主機関ジャケット入口温度 ΔTj 主機関ジャケット出・入口温度差
Qj 主機関ジャケット冷却流量、ポンプ流量
Phw 造水機消費熱量 Pcw 造水機冷却熱量
Thw 造水機清水出口温度 Tcw 造水機海水出口温度









Claims (18)

  1. 二重底上且つ通路床下にポンプを、通路床上に冷却器等の関連機器をそれぞれ配し、関係弁類・諸管で以って上下一体に組立てて各々複合ユニットを成し、且つ舷側水平縦通桁上にポンプ及び関係弁類・諸管を一体組立のユニットを配し、船内或いは船体ブロック上に一括吊り込み・据付け、該ユニット相互間及び機関の被冷却部との連結配管・配線の全てを二重底上の甲板間高さの単一空間内で施工可能に構成した船舶の機関冷却装置。
  2. 全機関の全負荷運転に必要且つ関係補機に利用の水量を含む全冷却海水流量を、半容量且つ等容量又は異容量の海水ポンプ2台を常用機として並列運転で供給するよう設計し、運航における機関負荷に応じて冷却海水流量を常用機2台並列、1台単独又は異容量の選択運転で供給するよう構成し、半容量又は大きい方の常用機と同容量の海水ポンプを予備機として配し、何れかの常用機が故障の際に故障常用機を直ちに予備機に切替えるよう構成した、請求項1の機関冷却装置の冷却海水供給系統。
  3. 請求項2の冷却海水ポンプ供給系統の予備機の吸引口と常用吸引弁との間で分岐して非常吸引弁を、吐出口又は吐出逆止弁と常用吐出弁との間で分岐して非常吐出弁及び非常排水管を配し、機関室浸水事故の際に、請求項2の常用機の冷却海水供給機能に影響なく、事故浸水を予備機のポンプ全力で舷外排出するよう構成した、請求項2の冷却海水供給系統に付属の機関室浸水非常吸排水機構。
  4. 主機関軽負荷の際の常用機1台での冷却海水供給において、主機関の冷却海水系の戻り管に配した絞り弁で、主機関負荷に見合う流量に設定した弁開度に絞って該冷却海水系の抵抗水頭低下を補償し、該常用機の揚程を定格値に保つよう構成した、請求項2の冷却海水供給系統の流量調整機構。
  5. 請求項2の海水ポンプの常用機2台の内の1台をインバータ可変周波数制御の可変速ポンプとし、ポンプの吸引主管と吐出主管との差圧センサーの圧力信号により該ポンプを定揚程制御し、低流量域では該ポンプを定揚程で運転し、高流量域では他の無制御ポンプと並列運転で該無制御ポンプの容量を超える流量を該可変速ポンプで分担し、並列運転の流量全域或いは所要流量域において定揚程を得るよう構成した請求項2の冷却海水供給系統の定揚程制御機構
  6. 全機関の冷却に係る冷却海水戻り管に配した温度調整三方弁で分流の冷却戻り水を、請求項2の海水ポンプの吸引主管で取水海水と混合して該海水ポンプの吐出主管に配した温度センサーの設定値に定温制御の冷却海水を、主機関海水冷却系の潤滑油冷却器及び空気冷却器並びに清水冷却系の主機関ジャケット冷却及び発電機関等の補機冷却に共用の清水冷却器に供給し、請求項2の海水ポンプ選択運転により、海水冷却系において潤滑油冷却器2次側の温度調整弁の作動幅を圧縮して作動を安定化し、空気冷却器の2次側の温度変動幅を圧縮して主機関の掃気温度を適正範囲に保ち、清水冷却系において清水冷却器の2次側の冷却清水供給温度をほぼ一定に保つよう構成した、請求項1の機関冷却装置の冷却海水・清水の温度調整機構。
  7. 請求項6の清水冷却器を半容量2台並列で全機関の全負荷運転に必要な伝熱容量に設計し、発電機関冷却の戻り水が逆止弁を経て主機関ジャケット冷却戻り水と合流するように配して両者の冷却に共用し且つ一方の清水冷却器の点検・洗浄等での休止においても他方の清水冷却器により少なくとも1台の発電機関の冷却・稼働を可能とした、請求項1の機関冷却装置の冷却清水供給系統。
  8. 請求項7の発電機関の冷却戻り水の逆止弁に更に逆止弁を併設して切替弁を成し、主機関ジャケット冷却入口に導き、発電機関の冷却戻り水で休止中の主機関ジャケットの予熱を可能に構成した請求項1の機関冷却装置の冷却清水供給系統。
  9. 全容量渦巻ポンプを常用機・予備機各1台又は半容量渦巻ポンプを常用機2台・予備機1台を配して主機関潤滑油サンプタンクから直接吸引し、該ポンプの上に配して立体複合設置の逆洗機構付二次ストレーナを経た漉し油を、同じく立体複合設置或いは機付の温度調整弁付冷却器で冷却・定温制御して主機関に供給するよう構成した、請求項1の機関冷却装置の主機関潤滑油冷却・供給複合ユニット或いは主機潤滑油供給ユニット。
  10. ポンプ及び関係弁類・配管を一体組して舷側縦通桁上に一括吊り込み据付けし、主機関ジャケット及び請求項5の清水冷却器に中段甲板下の空間で連結配管可能に構成した、請求項1の機関冷却装置の主機関ジャケット冷却ユニット。
  11. 請求項1の機関冷却装置における各々ユニットのポンプの吸引口に直管、エルボー又は分岐管等の短管を介して吸引弁を配し、該ポンプ用の吸引弁を閉鎖して該短管を取外し、隣接ポンプ運転中においても該ポンプのケーシングカバーを開放し羽根車を取外して環状の軸封シールを取替え可能に構成したポンプの吸引口配管。
  12. 海水系の全ポンプに設置の個別ストレーナの代わりに両舷各1台の集約ストレーナを各舷の舷外海水の取水元弁直後にそれぞれ配し、注排水機能を持つビルジ・バラスト系統の注排水ポンプを集約ストレーナの出口側にそれぞれ接続し、集約ストレーナの分岐口又は出口側の分岐管に取水支弁を介して両舷を連絡管で結び且つ請求項2の冷却海水供給系統の海水ポンプの吸引系に接続し、該海水ポンプの休止なく各舷毎に集約ストレーナの開放点検及び請求項13の逆洗作業を可能に構成した請求項1の機関冷却装置の冷却海水取水系統。
  13. 請求項11の集約ストレーナの底部に空気口及び空気弁を配して圧縮空気源に接続し、ビルジ・バラスト系統の運転ポンプ側の順流による集約ストレーナの漉し水で休止ポンプ側の集約ストレーナに逆流を与え、該ストレーナ内装のフィルタ筒の目詰まり異物を剥離し且つ圧縮空気噴流により該フィルタ筒内の底部及び低部の目詰まり異物の剥離を促進し攪拌しながら該ストレーナの入口側に押流し、舷外取水箱の残留異物と共に舷外排出するよう構成した集約ストレーナの逆洗機構。
  14. 管体の両端にフランジを付けて細目開きのフィルタ筒を装入し、一端に請求項2の海水ポンプの吐出側を、他端に舷外排出管をそれぞれ弁を介して接続し且つ両者ともフィルタ筒内に通じた構造とし、管体中間に分岐管を配し弁を介して請求項7の清水冷却器及び請求項9の潤滑油冷却器のそれぞれ一次側海水入口に接続し且つ管体中間に空気口及び空気弁を配して圧縮空気源に接続し、供給海水をフィルタ筒内に通して舷外排出しながら圧縮空気でフィルタ筒に逆流外圧を与え、フィルタ筒内の目詰まり異物を剥離し舷外排出するよう構成した逆洗機構を持ち且つ空気口から適量の空気を注入して生成した泡水を冷却器に通水し、該冷却器の海水系の洗浄に兼用可能に構成した、請求項1の機関冷却装置の冷却器一次海水系の二次ストレーナ。
  15. 冷却海水ポンプに横向2吸引口付横軸渦巻ポンプを2台使用して並列に配し、両ポンプの対向側の各吸引口に吸引弁を配してT分岐管で吸引主管に接続し且つ両ポンプの各吐出口に逆止弁とT分岐管を配し、該T分岐管の対向側の各管端に吐出弁を配してT合流管で冷却海水主管に接続し、一方のポンプが常用機として運転中に故障の際に予備機として待機の他方のポンプに切替えるよう請求項1の機関冷却装置の冷却海水供給系統を構成し、該予備機側のポンプの外向吸引口に直接又は短管を介して非常吸引弁として逆止弁を配し且つ該ポンプの吐出側T分岐管の外向管端に非常排水弁を配し舷外排水管に接続して構成の請求項3の機関室浸水の非常吸排水機構と、該常用機側のポンプの外向吸引口に吸引弁を配して滅菌装置に接続し且つ該ポンプの吐出側T分岐管の外向管端に送出弁を配しバラスト水系統に接続して構成の滅菌循環機構を付加して両ポンプを異系統兼用とし、両ポンプの吸引配管の取外しなく軸端側のケーシングカバーの開放及び軸封シール取替可能に構成した、請求項1の機関冷却装置の冷却海水・清水供給複合ユニット。
  16. 2台の清水冷却器の一方を発電機関などの低温冷却清水用に、他方を主機関ジャケットの高温冷却清水と発電機関1台の低温冷却清水に兼用にそれぞれ設計し、両冷却器への清水戻り管の間に逆止弁を配して高温冷却清水の低温冷却清水側への流入を阻止し、主機関休止の荷役・停泊中に少なくとも1台の発電機関に何れか一方の低温冷却清水を供給して船内発電を確保し、他方の清水冷却器を休止・点検・定置洗浄又は開放洗浄可能とし、更に前者の冷却器への戻り管から主機関ジャケット入口に向かう逆止弁を配し、発電機関の冷却熱で主機関予熱を可能に構成した請求項1の機関冷却装置の冷却清水供給系統。
  17. 主機関ジャケット出口と温度調整三方弁との間に造水機の加熱系と側路弁を、請求項16の高温清水冷却器の海水入口と請求項2又は請求項15の冷却海水供給管との間に造水機の冷却系と側路弁をそれぞれ配し、主機関出力変化あっても高温清水冷却器及び造水機のそれぞれ清水・海水間の伝達熱量を平衡させるよう構成した請求項1の機関冷却装置に付属の造水機構。
  18. 主機関の海水冷却系及び高温清水冷却系の冷却海水戻り管に配した流速センサー及び流量調整弁を持つ流量制御器を主機関出力に見合う流量に設定し、低温清水冷却器の海水系に配した流量絞り器を発電機関の稼働数に応じて切替えるよう構成した請求項1の機関冷却装置の冷却海水供給系統。












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