JP2010252683A - 物質が有する神経栄養性能力の検定方法 - Google Patents

物質が有する神経栄養性能力の検定方法 Download PDF

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Kosuke Hayashi
孝輔 林
Norihisa Oe
師久 大江
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Abstract

【課題】物質が有する神経栄養性能力をできるだけ正確かつ簡便に評価するための検定方法等を提供すること。
【解決手段】物質が有する神経栄養性能力の検定方法であり、
(a)脳由来神経栄養因子レセプター遺伝子を発現する細胞と被験物とを接触させる第一工程、(b)第一工程後、3時間以上48時間以下の範囲内での、前記細胞内のグリア細胞株由来神経栄養因子受容体遺伝子の発現レベルを測定する第二工程、(c)第二工程により測定された本遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度を評価する第三工程を有することを特徴とする方法等。
【選択図】なし

Description

本発明は、物質が有する神経栄養性能力の検定方法等に関する。
脳由来神経栄養因子(BDNF; Brain-derived neurotrophic factor)は、標的細胞表面上にある特異的受容体TrkBに結合し、神経細胞の生存・成長・シナプスの機能亢進等の神経細胞の成長を調節する本細胞の増加には不可欠な神経系の液性蛋白質である。
BDNFは、神経細胞が変性してゆく神経変性疾患と一般によばれる神経難病(アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症、糖尿性末消神経病、多発性硬化症、筋萎縮性脊髄側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、各種ニューロパチー、外傷性神経障害さらには網膜変性疾患等の病態等が含まれる。)の治療薬、神経の再生の促進薬、神経細胞死を防ぐ薬となる可能性が考えられている(特開2002-293741; 鵜飼渉、小野哲、1,2-エタンジオール誘導体またはその塩を含有する脳由来神経成長因子の作用増強剤並びに1,2-エタンジオール誘導体またはその塩と脳由来神経成長因子を含有する医薬組成物)。
従来、物質が有する神経栄養性能力の検定方法としては、例えば、BDNFレセプターであるTrk遺伝子のリン酸化を測定する方法等が知られている。(例えば、特許文献1参照)
特許第2561604号
しかしながら、上記のような従来方法を利用した、物質が有する神経栄養性能力の検定方法は、その工程が煩雑で比較的高度な手技が要求されるものであり、必ずしも十分に満足できるものではなかった。
そこで、物質が有する神経栄養性能力をできるだけ正確かつ簡便に評価するための検定方法の開発が切望されている。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.物質が有する神経栄養性能力の検定方法であり、
(a)脳由来神経栄養因子(以下、BDNFと記すこともある)レセプター遺伝子(以下、trkBと記すこともある)を発現する細胞(以下、本細胞と記すこともある)と被験物とを、BDNFレセプター蛋白質(以下、trkB蛋白質と記すこともある)と当該蛋白質の標準リガンドであるBDNFとの接触によってグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(以下、本遺伝子と記すこともある)の転写物量を増加させうるような条件下で、接触させる第一工程、
(b)第一工程後、3時間以上48時間以下の範囲内での、前記細胞内のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(即ち、本遺伝子)の発現レベルを測定する第二工程、
(c)第二工程により測定されたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(即ち、本遺伝子)の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度を評価する第三工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明検定方法と記すこともある);
2.遺伝子の発現レベルの対照値が、被験物に予め接触していないtrkBを発現する細胞(即ち、本細胞)における当該遺伝子の発現レベルの値であることを特徴とする請求項1記載の方法;
3.被験物が、BDNFを含有することが予想される物質であり、且つ、被験物に予め接触していないtrkBを発現する細胞(即ち、本細胞)が、被験物とBDNFとの両者に予め接触していないtrkBを発現する細胞(即ち、本細胞)であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法;
4.第三工程が、当該第二工程で得られた発現レベルの測定値が対照値と有意に異なることを指標とし、当該指標に基づいて被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度を評価する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項記載の方法;
5.第一工程において、trkBを発現する細胞(即ち、本細胞)と被験物とを接触させる系内に、さらにBDNFを外的付加により存在させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項記載の方法;
6.外的付加により存在させるBDNFの量が、1ng/ml以上50ng/ml以下の範囲内であることを特徴とする請求項5記載の方法;
7.遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量又は翻訳産物量の測定によりなされることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの請求項記載の方法;
8.遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量の測定によりなされることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの請求項記載の方法;
9.遺伝子の転写物量の測定が、定量的Real Time PCR法に基づく測定であることを特徴とする請求項8記載の方法;
10.trkBを発現する細胞(即ち、本細胞)が、脳初代培養神経細胞由来の細胞であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの請求項記載の方法;
11.請求項1〜10のいずれかの請求項記載の方法により評価された、被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度に基づき神経栄養性能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする神経栄養性能力を有する物質の探索方法(以下、本発明探索方法と記すこともある);
12.請求項1〜11のいずれかの請求項記載の方法により評価された、被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度に基づき神経栄養性能力を有する物質を有効成分として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなることを特徴とする神経栄養性薬剤(以下、本発明薬剤と記すこともある);
等を提供するものである。
本発明により、できるだけ正確かつ簡便に評価するための、物質が有する神経栄養性能力の検定方法等が提供可能となる。
本細胞である神経初代培養細胞にBDNFを添加した時点(即ち、刺激の開始時点)から1時間(図中の白抜き棒グラフ)、3時間(図中の小点柄付き棒グラフ)、6時間(図中の右上左下線付き棒グラフ)、10時間(図中のチェック柄付き棒グラフ)、24時間(図中の黒塗り棒グラフ)経過した時点において、前記細胞内の本遺伝子であるグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)を、定量的Real Time PCR法により測定した結果を示す図である。縦軸はグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の発現の転写物量の測定値(尚、GAPDHを内部標準とした補整値)を示しており、横軸は刺激の開始時点からの経過時間、及び、3試験群(外的付加により存在させるBDNFの量:0ng/ml(左群)、5ng/ml(中央群)、100ngml(右群))を示している。 この結果より、BDNF濃度依存的にグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)が上昇した。
本明細書において、DNAの調製やベクターの調製等の分子生物学的な手法、タンパク質の抽出やウエスタン・ブロッティング等のタンパク質化学的な手法、及びノックアウト哺乳動物作製の操作等は、特に明記しない限り、MolecularCloning, A Laboratory Manual(T.Maniatis et al.,Cold Spring Harbor Laboratory(1982))、新生化学実験講座(日本生化学会編;東京化学同人)、ジーンターゲッティング(相沢慎一;羊土社(1995))等の実験書に記載される方法又はそれに準じた方法により行うことができる。
本発明において「神経栄養性」及び「神経栄養性能力」とは、例えば、末梢神経系において、運動神経細胞、感覚神経細胞、坐骨神経細胞等を生存維持・増強する作用や再生・修復促進する作用、及び、当該作用を有すること、また中枢神経系において、前脳基底野コリン作動性神経細胞、小脳顆粒細胞、大脳皮質神経細胞、海馬神経細胞、中脳黒質神経細胞等が形成する神経組織を保護する作用、及び、当該作用を有すること等を意味する。具体的には例えば、BDNF、BDNF様低分子物質、BDNF様活性増強低分子物質として知られている物質が有する作用等を挙げることができる。そして当該作用を有する物質は、神経細胞が変性してゆく神経変性疾患と一般によばれる神経難病(アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症、糖尿性末消神経病、多発性硬化症、筋萎縮性脊髄側索硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、各種ニューロパチー、外傷性神経障害さらには網膜変性疾患等の病態等が含まれる。)の治療薬、神経の再生の促進薬、神経細胞死を防ぐ薬となる可能性がある。
本発明において「本細胞」とは、脳由来神経栄養因子(即ち、BDNF)レセプター遺伝子(即ち、trkB)を発現する細胞を意味する。ここで、当該細胞は、trkBを強制的に発現させた細胞であってもよく、また、安定形質転換細胞若しくは元々trkB を発現している培養細胞であってもよい。好ましい本細胞としては、例えば、神経初代培養細胞等を挙げることができる。また、本細胞は、哺乳動物から採取された脳組織等の組織(即ち、細胞の集団として生体試料)或いはこれら組織から分離された細胞又はその培養細胞等のいずれの形態での細胞であってもよい。実際の脳内の細胞に近いと思われるより好ましい細胞としては、例えば、哺乳動物から採取された脳組織がスライスされて得られる生体試料(細胞の集団として生体試料)等を挙げることができる。勿論、これらの生体試料はそのままの状態で用いてもよく、また、かかる試料から分離、分画、固定化等の種々の操作により調製された試料であってもよい。
脳初代培養神経細胞由来の細胞は、例えば、黒木登志夫、許南治編集、培養細胞実験ハンドブック(発行所:羊土社)、p225-229、2004年8月5日(ISBN4-89706-884-3)等に記載される通常の方法に従って調製することができる。
尚、本発明において「哺乳動物」として、いかなる哺乳動物でも用いることができるが、実験動物としては非ヒト哺乳動物が好ましい。このような哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、マウス、ラット、ウマ、ネコ等が挙げられるが、この中でも、個体発生に要する期間及び生物サイクルが比較的短く、また繁殖が容易な齧歯類哺乳動物、特にマウスが好ましい。用いられるマウスの代表例としては、例えば、純系として、C57BL/6系、BALB/c系、DBA2系等、交雑系として、B6C3F1系、BDF1系、B6D2F1系、ICR系等が挙げられるが、中でもC57BL/6系が好ましく用いられる。
本発明において「本遺伝子」とは、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子を意味する。GDNF受容体は、GDNF family receptor alpha 1 、Gfra1、GFR alpha 1、GFRalpha1、GFR alpha1、 GFR alpha-1、 GFRalpha-1又はGFRA1等と記載されることもある。GDNF受容体は、GPI(glicosylphosphatidylinositol)アンカーにより、細胞膜表面に固定されている。GDNF受容体ファミリーのシグナルは、チロシンキナーゼ受容体RETとGPI(glicosylphosphatidylinositol)結合蛋白質であるGFRとから形成される受容体複合体により伝達される。
本遺伝子は、例えば、Genbank accession No. U97144に記載された公知なタンパク質遺伝子(即ち、同登録情報における「Gfra1)である。尚、当該タンパク質のアミノ酸配列は、同公開公報に記載されるAccession No. AAC53300で示される。
さらにまたAccession No. BC054378で開示される塩基配列を有するマウス由来の遺伝子や、Accession No. U97142で開示される塩基配列を有するラット由来の遺伝子等も例示することができる。
尚、「グリア細胞」(glial cell)とは、神経膠細胞とも呼ばれ、神経系を構成する神経細胞ではない細胞の総称であり、ヒトの脳では細胞数で神経細胞の50倍ほど存在していると見積もられている。神経細胞に対し、以下のような種々の役割を担っている。
・神経細胞の位置の固定(他の体細胞にとっての結合組織に相当)
・神経栄養因子の合成と分泌
・髄鞘(ミエリン)の構成要素となる。
・過剰に放出されたカリウムなどのイオンの再取り込み
・神経伝達物質を細胞内に回収することで伝達時間を限定させる。
・血管内皮とともに血液脳関門を形成し、フィルタの役割を果たす。
上述のように、グリア細胞は周辺組織の恒常性を維持するような、比較的静的な役割を演じることでシグナル伝達に貢献すると考えられている。しかしながら本発明では、グリア細胞はこれまで神経細胞のみが担うとされてきた動的な役割も果たしていることが想像される。
本発明において「trkB蛋白質」とは、BDNFレセプター蛋白質を意味する。
本発明において「検体となる生体試料」とは、例えば、神経変性疾患変組織を構成する本細胞或いはその内容物が含まれる可能性のある生体試料をあげることができ、具体的には例えば、哺乳動物から採取された脳組織等の組織(即ち、細胞の集団として生体試料)或いはこれら組織から分離された細胞又はその培養細胞等のいずれの形態での細胞であってもよい。実際の脳内の細胞に近いと思われるより好ましい細胞としては、例えば、哺乳動物から採取された脳組織がスライスされて得られる生体試料(細胞の集団として生体試料)等を挙げることができる。勿論、これらの生体試料はそのままの状態で用いてもよく、また、かかる試料から分離、分画、固定化等の種々の操作により調製された試料であってもよい。
「被験物」としては、例えば、特に限定は無く、核酸、ペプチド、タンパク質、有機化合物、無機化合物等であり、細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子有機化合物、合成ペプチド、合成核酸、天然化合物等が挙げられる。
被験物の形態に特に限定は無く、固体、液体、基剤との混合物、縣濁液又は溶液等として用いることができる。縣濁液若しくは溶液とする場合、水、pH緩衝液、メチルセルロース溶液、生理食塩水、有機溶媒水溶液(有機溶媒としては通常エタノールやジメチルスルホキシドが用いられる。)等を用いる。基剤としてはグリセリン、スクワラン等の油等が挙げられ主に塗布用の被験物を調製するために用いられる。接触のための供試量は、例えば、本細胞に重篤な影響を及ぼさない範囲内とすればよい。
被験物の代わりに「対照物質」となり得るポジティブコントロール又はネガティブコントロールを用いて本発明検定方法を実施することにより、場合に応じて本発明検定方法でいう「対照値」とすることもできる。
ここで「ポジティブコントロール」とは、神経栄養性能力を有する任意の物質を表す。具体的には例えば、BDNF、BDNFをmimicする物質、BDNFの活性を増強する物質等を挙げることができる。細胞内在性のBDNFが働いている組織部位のみで神経栄養性能力を有するという観点では、BDNFの活性を増強する物質の方が好ましい。
また「ネガティブコントロール」としては、被験物に含まれる溶媒、バックグランドとなる試験系溶液等が挙げられる。
「対照物質」をネガティブコントロールとする場合、神経栄養性能力が対照物質の神経栄養性能力よりも大きければ、当該被験物は神経栄養性能力を有すると評価すればよい。一方、被験物の神経栄養性能力が対照物質の神経栄養性能力と同程度若しくは小さければ、当該被験物は神経栄養性能力を有さないと評価することができる。
また、対照物質をポジティブコントロールとする場合、被験物の神経栄養性能力と対照物質の神経栄養性能力とを比較することにより、被験物の神経栄養性能力を評価すればよい。
本発明において「被験物」としては、特に限定は無く、核酸、ペプチド、タンパク質(本タンパク質に対する抗体を含む)、有機化合物、無機化合物等であり、細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子有機化合物、合成ペプチド、合成核酸、天然化合物等が挙げられる。ここで「本タンパク質に対する抗体」としては、例えば、配列番号1記載のアミノ酸配列又はその部分領域からなるタンパク質に免疫特異的な抗体等を挙げることができる。
被験物の代わりに「対照物質」となり得るポジティブコントロール又はネガティブコントロールを用いて本発明探索方法を実施することにより、場合に応じて本発明探索方法でいう「対照」とすることもできる。
ここで「ポジティブコントロール」とは、神経栄養性能力を有する任意の物質を表し、また「ネガティブコントロール」としては、被験物に含まれる溶媒、バックグランドとなる試験系溶液等が挙げられる。
「対照物質」をネガティブコントロールとする場合、被験物の神経栄養性能力が対照物質の神経栄養性能力よりも大きければ、当該被験物は神経栄養性能力を有すると評価すればよい。一方、被験物の神経栄養性能力が対照物質の神経栄養性能力と同程度若しくは小さければ、当該被験物は神経栄養性能力を有さないと評価することができる。
また、対照物質をポジティブコントロールとする場合、被験物の神経栄養性能力と対照物質の神経栄養性能力とを比較することにより、被験物の神経栄養性能力を評価すればよい。
さらにまた、被験物の代わりに「対照物質」となり得るポジティブコントロール又はネガティブコントロールを用いて、かつ、本発明探索方法でいう「対照」を、(1)前記哺乳動物と同種の被験物が投与又は接触された哺乳動物又はその一部における、神経栄養性能力又はそれと相関する指標値や(2)被験物が投与又は接触されていない本哺乳動物・本発明トランスジェニック哺乳動物又はその一部における、神経栄養性能力又はそれと相関する指標値に相当させながら本発明探索方法を実施することもできる。
本発明者らは、神経細胞変性の防御に重要な因子であるBDNFとエストロゲンのシグナルとの関連性を検討する中で、従来知られていなかった、BDNFが神経細胞内のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子の発現を誘導するという機構の存在を見出した。次いで、当該知見に基づき、BDNFが神経細胞に対して神経細胞内のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体の存在量を増加させ、その結果として神経細胞のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)に対する感受性が亢進し、脳内のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)が更にBDNF遺伝子の発現をより強く誘導し、そしてそれがまたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体量を増加させるというポジテイブフィードバックループの存在を見出し、当該知見を利用することにより、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子の発現レベルを有効な時間帯で測定することにより、物質が有する神経栄養性能力を正確かつ簡便に評価するための検定方法を開発することができた。
本発明検定方法においては、まず、本細胞と被験物とを、trkB蛋白質と当該蛋白質の標準リガンドであるBDNFとの接触によって本遺伝子の転写物量を増加させうるような条件下で、接触させる。
本発明神経栄養性能力検定方法において、本細胞と被験物との接触は、例えば、DMSO、細胞培養等の適切な溶媒に溶解させた被験物を、細胞の培養液中に添加し同細胞の培養条件下で培養することにより実施すればよい。尚、被験物が細胞毒性不純物を含むことが予想される場合等には、前記不純物を除く操作を追加して接触させることが好ましい。
本発明において「BDNFレセプター蛋白質(即ち、trkB蛋白質)と当該蛋白質の標準リガンドであるBDNFとの接触によってグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(即ち、本遺伝子)の転写物量を増加させうるような条件下」とは、通常のレセプター蛋白質と当該蛋白質の標準リガンドとの接触が引き金となり、次ステップでのアクションが生じるような試験系になっていることを意味するものであり、ここでは、次ステップでのアクションとして、ポジティブコントロールである標準リガンドのターゲット(グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体)の遺伝子(即ち、本遺伝子)の発現を一つの指標にしている。
このような本細胞と被験物との接触系内には、本発明検定方法の目的に応じて、さらにBDNFを存在させてもよい。BDNFを接触系内に存在させるためには、BDNFを内在する本細胞を利用してもよいし、また本細胞と被験物とを接触させる系内にさらにBDNFを外的付加により存在させることもできる。因みに、外的付加により接触系内に存在させるBDNFの量としては、例えば、1ng/ml以上50ng/ml以下の範囲を挙げることができる。
また、場合によっては、本細胞と被験物との接触させるためには、哺乳動物に被験物を投与することにより実施できる。哺乳動物は、天然の動物のほか、トランスジェニック動物、遺伝子ノックアウト動物等であってもよい。哺乳動物への被験物の投与方法としては、例えば、経口(強制又は飲料水や餌に混じ)、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔内、経気道等により行うことができる。投与量、投与回数及び投与期間は、例えば、全身状態、全身諸器官組織等に重篤な影響を及ぼさない範囲内(例えば投与量は、最大耐量)とすればよい。
次に、上記のようにして被験物と接触させた本細胞における本遺伝子の発現レベルを、当該接触後、3時間以上48時間以下の範囲内、好ましくは3時間以上24時間以下の範囲内で測定する。
本遺伝子の発現レベルの測定は、単位量の検体あたりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体あたりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができ、本遺伝子の転写物量を測定する方法を好ましくあげることができる。
本発明において発現レベルが測定される遺伝子は、登録番号U97144やBC054378、そしてU97142などでGenbankに登録されている塩基配列を有する遺伝子であり、本発明検定方法における本遺伝子にはそのオーソログを含む。尚、Genbankに登録されている塩基配列に関する情報は、例えば、National Center for Biotechnology Information のWEBページ(URL;http://www.ncbi.nlm.nih.gov)から、Genbankによって各遺伝子に付与されている上記の登録番号 (Accession No.)をもとに検索を行うことによって入手することができる。因みに、GenBnak、DDBL及びEMBLの各データバンクが公開しているデータ全てを誰でも制限なしで利用でき、INSDに登録されたデータは科学資料として永久に保存され公開されることは、上記3データバンクで構成される国際塩基配列データベース(international Nucleotide Sequence Databases, INSD)の諮問機関である国際諮問委員会により作成された「DDBL/EMBL/GenBnakの登録データの取り扱い」(2002年5月23-24日)で明文化されており、如何なる当業者であっても登録番号 (Accession No.)に基づきデータの照合、検索、入手等は可能である。
本発明において利用される本遺伝子には、上記の公知の塩基配列と全く同一の塩基配列を有する遺伝子のほか、前記の遺伝子の塩基配列に、生物の種差、個体差若しくは器官、組織間の差異等により天然に生じる変異による塩基の欠失、置換若しくは付加が生じた塩基配列を有する遺伝子も含まれる。
因みに、本発明において利用される本遺伝子のうち、U97244でGenbankに登録されている塩基配列を有する遺伝子は、例えば、 Proc Natl Acad Sci U S A. 10;94(12):6238-6243.(1997) 等に記載されており、当該遺伝子の塩基配列に基づき翻訳されたアミノ酸配列(一文字表記として)は、 MFLATLYFALPLLDLLLSAEVSGGDRLDCVKASDQCLKEQSCSTKYRTLRQCVAGKETNFSLASGLEAKDECRSAMEALKQKSLYNCRCKRGMKKEKNCLRIYWSMYQSLQGNDLLEDSPYEPVNSRLSDIFRVVPFISVEHIPKGNNCLDAAKACNLDDICKKYRSAYITPCTTSVSNDVCNRRKCHKALRQFFDKVPAKHSYGMLFCSCRDIACTERRRQTIVPVCSYEEREKPNCLNLQDSCKTNYICRSRLADFFTNCQPESRSVSSCLKENYADCLLAYSGLIGTVMTPNYIDSSSLSVAPWCDCSNSGNDLEECLKFLNFFKDNTCLKNAIQAFGNGSDVTVWQPAFPVQTTTATTTTALRVKNKPLGPAGSENEIPTHVLPPCANLQAQKLKSNVSGNTHLCISNGNYEKEGLGASSHITTKSMAAPPSCGLSPLLVLVVTALSTLLSLTETSであることが知られている。
上記のようにして被験物と接触させた又は本細胞から得られた本遺伝子の発現レベルの測定値を、当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記被験物の神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度を評価する。
本遺伝子の発現レベルの対照値としては、例えば、前記被験物と接触させていない本細胞における発現レベルの値をあげることができる。本細胞は、正常組織での本細胞における当該遺伝子の発現レベルの値を好ましくあげることができる。ここで正常組織とは、例えば、被験物と接触していない脳組織で病理組織学的検査において異常の認められない組織を意味し、特に、発現レベルを転写物量で測定する方法としてインサイチューハイブリダイゼーション法、又は翻訳産物量で測定する方法として免疫組織化学的検査方法を用いる場合には、被験物と接触した脳組織であっても転写物量又は翻訳産物量のシグナルが神経変性疾患変組織の2倍以上を示す。
かかる対照値は、正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルを、被験物と接触させた脳組織での細胞における当該遺伝子の発現レベルと併行して測定して求めてもよいし、別途測定して求めてもよい。例えば、被験物と接触させる前の脳組織の一部を採取して本遺伝子の発現レベルを測定し、得られた値を対照値とすることもできる。
例えば、被験物と接触させた本細胞における本遺伝子の発現レベルの測定値が、正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルの値の2倍以上であれば、前記被験物との接触による神経変性疾患変組織を構成する本細胞の発生を意味し、当該被験物は神経栄養性能力を有すると評価することができる。
本遺伝子の発現レベルの測定は、例えば、単位量の検体あたりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体あたりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができる。
本遺伝子の転写物量を測定するには、例えば、当該遺伝子の転写物であるmRNA量を測定する。特定の遺伝子のmRNA量の測定は、具体的には、例えば、定量的Real Time PCR法(リアルタイム−ポリメラーゼチェイン反応法、以下、定量的RT-PCRと記すこともある。)、ノーザンハイブリダイゼーション法[J.Sambrook, E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー・クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年]、DNAアレイ法、インサイチューハイブリダイゼーション法等により実施することができる。
また、本遺伝子の翻訳産物量を測定するには、例えば、本遺伝子の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する蛋白質の量を測定する。特定の蛋白質の量の測定は、具体的には、例えば、当該蛋白質に対する特異抗体を用いた免疫学的測定法(例えば、ELISA、ウェスタンブロット、RIA、免疫組織化学的検査等)、二次元電気泳動法、高速液体クロマトグラフィー等により実施することができる。本遺伝子の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する蛋白質に対する特異抗体は、常法に準じて、本遺伝子の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を有する蛋白質を免疫抗原として調製することができる。
本遺伝子の転写物量の測定方法についてさらに説明する。
本遺伝子の転写物であるmRNA量は、例えば、本遺伝子の塩基配列に基づいて設計、調製されたプローブ又はプライマーを使用して、通常の遺伝子工学的方法、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション法、定量的RT-PCR、DNAアレイ法、インサイチューハイブリダイゼーション法等を用いることによって測定することができる。具体的には、例えば、J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著;モレキュラー・クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年等に記載された方法に準じて行うことができる。この際、組織における発現レベルが恒常的に一定であることが知られている遺伝子(以下、対照遺伝子と記す。)、例えば、GAPDH遺伝子(Nucleic Acids Res. 12 (18), 6951-6963 (1984))等のmRNA量を同時に測定しても良い。そして、対照遺伝子のmRNA量若しくはその指標値あたりの本遺伝子のmRNA量又はその指標値を算出することにより、本遺伝子の発現レベルを求めてもよい。
(1.ノーザンハイブリダイゼーション法)
まず、mRNA量を測定しようとする遺伝子のDNAを調製し、次いで、その全部又は一部からなるDNAを標識してプローブを調製する。
上記遺伝子は、市販のcDNA(例えば宝酒造から入手)又は以下に示した方法により調製したcDNAを鋳型にしてPCR等によって調製することができる。例えば、まず当該遺伝子を発現する組織から、塩酸グアニジン/フェノール法、SDS−フェノール法、グアニジンチオシアネート/CsCl法等の通常の方法によって全RNAを抽出する。例えばISOGEN(ニッポンジーン製)等の市販のキットを利用して全RNAを抽出してもよい。
抽出された全RNAから、例えば、以下のようにしてmRNAを調製する。まず、オリゴdTをリガンドとして有するポリAカラムを5倍カラム容量以上のLoading buffer[20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.5M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)SDS]を用いて、平衡化し、続いて前述の方法で調製された全RNAをカラムにかけ、10倍カラム容量のloading bufferで洗浄する。さらに5倍カラム容量のWashing buffer[20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.1M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)SDS]で洗浄する。続いて、3倍カラム容量のelution buffer[10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、1mM EDTA、0.05%(w/v)SDS)でmRNAを溶出させることによってmRNAを得る。
次いで、オリゴdTプライマーを前記全RNA或いはmRNAのポリA鎖にアニールさせ、例えばcDNA合成キット(宝酒造)のプロトコールに従って、一本鎖cDNAを合成する。この時、鋳型とするRNAは、全RNA或いはmRNAのどちらでも良いが、mRNAを用いる方がより好ましい。
前記一本鎖cDNAを鋳型にして、TaKaRa taq(宝酒造)等のDNA polymeraseを用いてPCRすることにより、DNAを増幅する。PCRの条件は、測定対象とする動物の種類、使用するプライマーの配列等により異なるが、例えば、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、2.5mM NTP存在下で、94℃,30秒間次いで40℃〜60℃,2分間さらに72℃,2分間の保温を1サイクルとしてこれを30〜55サイクル行う条件等を挙げることができる。
このようにして増幅された本遺伝子のDNAはpUC118等のベクターに挿入してクローニングしておいてもよい。当該DNAの塩基配列は、Maxam Gilbert法 (例えば、Maxam,A.M&W.Gilbert, Proc.Natl.Acad.Sci.,74,560,1977 等に記載される)やSanger法(例えばSanger,F.&A.R.Coulson,J.Mol.Biol.,94,441,1975 、Sanger,F,& Nicklen and A.R.Coulson., Proc.Natl.Acad.Sci.,74,5463,1977等に記載される)等により確認することができる。
このようにして調製された本遺伝子のDNAの全部又はその一部を、次のようにして放射性同位元素や蛍光色素等で標識することによりプローブを調製することができる。例えば、上記のようにして調製されたDNAを鋳型とし、当該DNAの塩基配列の部分配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーに用いて、[α-32P]dCTP或いは[α-32P]dATPを含むdNTPを反応液に添加してPCRを行うことにより32Pで標識されたプローブが得られる。また、上記のようにして調製されたDNAを、例えば、Random prime labeling Kit(ベーリンガーマンハイム社)、MEGALABEL(宝酒造)等の市販の標識キットを用いて標識してもよい。
次に、上記プローブを使用して、ノーザンハイブリダイゼーション分析を行う。具体的には、本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から全RNA又はmRNAを調製する。調製された全RNA 20μg或いはmRNA 2μgをアガロースゲルで分離し、10×SSC(1.5M NaCl、0.35Mクエン酸ナトリウム)で洗浄した後、ナイロンメンブラン[例えば、Hybond-N(アマシャム製)等]に移す。ポリエチレン袋にメンブランを入れ、ハイブリダイゼーションバッファー〔6×SSC(0.9M NaCl、0.21Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液[0.1%(w/v)フィコール400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1%BSA]、0.1%(w/v)SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA、50%ホルムアミド〕25mlを加えて、50℃、2時間インキュベートした後、ハイブリダイゼーションバッファーを捨て、新たに2ml〜6mlのハイブリダイゼーションバッファーを加える。更に上記方法で得られたプローブを加え、50℃、一晩インキュベートする。ハイブリダイゼーションバッファーとしては、上記のほかに、市販のDIG EASY Hyb(ベーリンガーマンハイム社)等を用いることができる。メンブランを取り出して、50〜100mlの2×SSC、0.1% SDS中で室温、15分間インキュベートし、さらに同じ操作を1回繰り返し行い、最後に50〜100mlの0.1×SSC、0.1% SDS中で68℃、30分間インキュベートする。メンブラン上の標識量を測定することにより、本遺伝子の転写産物であるmRNAの量を測定することができる。
(2.定量的RT-PCR)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノーザンハイブリダイゼーション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに例えばMMLV(東洋紡)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、10mM DTT]中、0.5mM dNTP及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させ、対応するcDNAを調製する。cDNA合成キット(宝酒造)を用いて対応するcDNAを調製しても良い。調製されたcDNAを鋳型にして、本遺伝子の塩基配列の一部分を有するDNAをプライマーとしてPCRを行う。プライマーとしては、例えば、本遺伝子の部分塩基配列を有するプライマーをあげることができる。PCRの条件としては、例えば、例えば、TAKARA taq(宝酒造)を使用し、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、2.5mM dNTP及び[α32P]-dCTP存在下で、例えば、94℃,30秒間次いで40℃〜60℃,2分間さらに72℃,2分間の保温を1サイクルとしてこれを30〜55サイクル行う条件をあげることができる。増幅されたDNAをポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、分離されたDNAの放射活性量を測定することにより、本遺伝子のmRNAの量を測定することができる。或いはまた、例えば、TAKARA taq(宝酒造)を使用し、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、SYBR Green PCR ReagentsPCR(ABI社) 25μlを含む50μlの反応液を調製し、ABI7700(ABI社)を用いて、50℃,2分間次いで95℃,10分間の保温の後、95℃,15秒間次いで60℃,1分間の保温を1サイクルとしてこれを40サイクル実施する条件でPCRを行う。増幅されたDNAの蛍光を測定することにより、本遺伝子のmRNAの量を測定することができる。
(3.DNAアレイ解析)
本発明の転写物量の測定には、ナイロンメンブラン等のメンブランフィルター等に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されるマクロアレイ、スライドガラス等に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されるマイクロアレイ、スライドガラス上に本遺伝子の塩基配列の部分配列を有するオリゴヌクレオチド(通常18〜25merの鎖長)を光化学反応を利用して固定して作製されるプローブアレイ等、公知の技術に基づいたDNAアレイを利用することができる。これらのアレイの作製は、例えばゲノム機能研究プロトコール 実験医学別冊(羊土社刊)等に記載された方法に準じて行うことができる。またAffymetrix社等から市販されているGenechip等を利用することもできる。
以下、DNAアレイを用いて本遺伝子の転写物量を測定する方法の一例を示す。
(3−1.マクロアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノーザンハイブリダイゼーション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えばMMLV(東洋紡社)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[例えば50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、及び10mM DTTを含む液]中、0.5mMdNTP、[α32P]-dCTP、及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させて、標識DNAを調製し、これをプローブとする。このとき、cDNA合成キット(宝酒造)等を用いても良い。メンブランフィルターに本遺伝子のcDNAをスポットして作製されたマクロアレイをポリエチレン袋に入れ、ハイブリダイゼーションバッファー〔6×SSC(0.9M NaCl、0.21Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液[0.1%(w/v)フィコール400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1% BSA]、0.1%(w/v) SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA、50%ホルムアミド〕25mlを加えて、50℃、2時間インキュベートした後、ハイブリダイゼーションバッファーを除去し、新たに2ml〜6mlのハイブリダイゼーションバッファーを添加する。更に上記プローブを加え、50℃、一晩インキュベートする。ハイブリダイゼーションバッファーとしては、上記のほかに、市販のDIG EASY Hyb(ベーリンガーマンハイム社)等を用いることもできる。マクロアレイを取り出して、50ml〜100mlの2×SSC、0.1% SDSに浸し室温にて15分間程度インキュベートした後、さらに同じ操作を1回繰り返し行い、最後に50ml〜100mlの0.1×SSC、0.1% SDS中で68℃、30分間インキュベートする。マクロアレイ上の標識量を測定することにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(3−2.マイクロアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノーザンハイブリダイゼーション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えばMMLV(東洋紡社)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[例えば、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、及び10mM DTTを含む液]中、0.5mM dNTP、Cy3-dUTP、(又はCy5-dUTP)及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させる。アルカリバッファー(例えば、1N NaOH、20mM EDTAを含む液)を加え、65℃10分間保温した後、MicroconYM-30等を用いて遊離のCy3又はCy5を除くことにより蛍光標識DNAを調製し、これをプローブとする。得られたプローブを用いてマイクロアレイに対して(3−1 DNAマクロアレイによる定量)に記載された方法と同様にしてハイブリダイゼーションを行う。アレイ上のシグナル量をスキャナーにより測定することによって、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(3−3.プローブアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノーザンハイブリダイゼーション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えば、cDNA合成キット(GENSET社)等を用いてcDNAを調製する。調製されたcDNAを、例えば、ビオチンラベル化cRNA合成キット(In Vitro Transcription社)(Enzo社)等によりビオチン標識し、cRNA cleanup and quantitation キット(In Vitro Transcription社)により精製する。生成されたビオチン標識DNAをFragmentation バッファー(200mMトリス酢酸(pH8.1)、500mM KOAc、150mM MgOAc)により断片化する。これに内部標準物質Contol Oligo B2 (Amersham社製)、100×Control cRNA Cocktail、Herring sperm DNA (Promega社製)、Acetylated BSA(Gibco-BRL社製)、2×MES Hybridization Buffer〔200mM MES、2M [Na+], 40mM EDTA、0.02% Tween20 (Pierce社製)、pH6.5〜6.7〕及びDEPC処理滅菌蒸留水を加え、ハイブリカクテルを作製する。
1×MESハイブリダイゼーションバッファーで満たしたプローブアレイ[例えば、Genechip(Affymetrix社製)等]を、ハイブリオーブン内で、45℃、60rpm、10分間回転させた後、1×MESハイブリダイゼーションバッファーを除去する。その後、該プローブアレイに上記のハイブリカクテル200μlを添加し、ハイブリオーブン内で45℃、60rpm、16時間回転させる(ハイブリダイゼーション)。続いてハイブリカクテルを除去し、Non-Stringent Wash Buffer〔6×SSPE[20×SSPE(ナカライテスク社製)を希釈]、0.01% Tween20、及び0.005% Antifoam0-30(Sigma社)を含む〕で満たした後、GeneChip Fluidics Station 400(Affymetrix社製)の所定の位置に上記プローブアレイを装着し、プロトコールに従って洗浄する。次いで、MicroArray Suite(Affymetrix社)の染色プロトコールEuKGE-WS2に従って該プローブアレイを染色する。HP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)により570nmの蛍光輝度を測定することにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(4.インサイチューハイブリダイゼーション法)
基本的には1)組織の固定、包埋、及び切片の作製、2)プローブの調製、3)ハイブリダイゼーションによる検出からなり、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたRNA又はDNAをプローブとすること以外は、例えば、Heiles,H.et al., Biotechniques,6,978,1988、遺伝子工学ハンドブック 羊土社 278 1991、細胞工学ハンドブック,羊土社,214,1992、細胞工学ハンドブック,羊土社,222,1992等に記載される方法に準じて行うことができる。
RNAプローブを調製する場合には、まず、例えば前記(1 ノーザンハイブリダイゼーション法)に記載した方法と同様にして本遺伝子のDNAを取得し、当該DNAをSP6、T7、T3RNAポリメラーゼプロモーターをもったベクター(例えばStratagene社のBluescript、Promega社のpGEM等)に組み込んで大腸菌に導入し、プラスミドDNAを調製する。次いで、センス(ネガティブコントロール用)、アンチセンス(ハイブリダイゼーション用)RNAができるようにプラスミドDNAを制限酵素で切断する。これらDNAを鋳型とし、放射性標識の場合はα-35S-UTP等、非放射性標識の場合はディゴキシゲニンUTP或いはフルオレセイン修飾UTP等を基質として、SP6、T7、T3RNAポリメラーゼを用いてRNAを合成しながら標識し、アルカリ加水分解によりハイブリダイゼーションに適したサイズに切断することによって、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたRNAを調製する。なお、これらの方法に基づいたキットとしては、例えば、放射性標識用にはRNAラベリングキット(アマシャム社)が、非放射性標識用にはDIG RNAラベリングキット(ベーリンガー・マンハイム社)やRNAカラーキット(アマシャム社)が市販されている。
また、DNAプローブを調製する場合には、例えば、32P等で標識した放射性ヌクレオチド又はビオチン、ディゴキシゲニン若しくはフルオレセインで標識したヌクレオチドを、ニックトランスレーション法(J.Mol.Biol.,113,237,Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.,10,6-10,12,Cold Spring Harbor Lab.)又はランダムプライム法(Anal.Biochem., 132,6,Anal.Biochem.,137,266)によって取り込ませることによって、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたDNAを調製する。これらの方法に基づいたキットとしては、例えば、放射性標識用にはニックトランスレーションキット(アマシャム社)やRandom Prime Labeling Kit(ベーリンガーマンハイム社)が、非放射性標識用にはDIG DNA標識キット(ベーリンガーマンハイム社)、DNAカラーキット(アマシャム社)等が市販されている。
具体的には、本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞をパラホルムアルデヒド等で固定し、パラフィン等に包埋した後、薄切切片を作製しスライドグラスに張り付ける。又は、上記の組織又は細胞をOCTコンパウンドに包埋後、液体窒素又は液体窒素で冷却したイソペンタン中にて凍結させ、その薄切切片を作製し、スライドグラスに張り付ける。このようにしてスライド標本を得る。
次に、上記の組織又は細胞中にあって使用されるプローブと非特異的に反応する物質を除去するために、上記のようにして作製されたスライドグラス切片をプロテイナーゼK処理し、アセチル化する。次いで、該スライドグラス切片と上記のようにして調製されたプローブとのハイブリダイゼーションを行う。例えば、上記のプローブを90℃で3分間加熱した後ハイブリダイゼーション溶液で希釈し、該溶液を前処理の終了したスライドグラス切片上に滴下してフィルムでおおい、モイスチャーチャンバー中で45℃、16時間保温することにより、ハイブリッドを形成させる。ハイブリダイゼーションの後、非特異的吸着或いは未反応プローブを洗浄等(RNAプローブを用いた場合はRNase処理も加える)により除去する。転写物量は、例えば、スライドグラス切片上の標識量を測定すること等により、本遺伝子の転写物であるmRNAの量又はそれに相当する値を測定することができる。
本遺伝子の発現レベルの測定は、上述のようにして、単位量の検体あたりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体あたりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができ、本遺伝子の転写物量又は翻訳産物量を測定する方法を好ましくあげることができる。
さらに、上記のような本発明神経栄養性能力検定方法は、神経栄養性能力を有する物質の探索等に利用することができる。具体的には、本発明神経栄養性能力検定方法により評価された神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度に基づき神経栄養性能力を有する物質を選抜することによって、神経栄養性能力物質を探索することができる。選抜された神経栄養性能力物質は、例えば、神経栄養性薬剤の有効成分として利用することができる。 本発明薬剤は、神経栄養性能力を有する物質を有効成分として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなる。当該薬剤は、調製する形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、外用剤、座剤等の非経口投与剤)等に応じて経口投与又は非経口投与することができる。また投与量は、有効成分の種類、投与経路、投与対象又は患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、1日投与量として、0.01〜100mg程度を1日1回又は数回に分けて投与できる。
因みに、約3,000,000乃至4,000,000人のアメリカ人は、アルツハイマー病に悩まされていることが知られており、従ってそのアルツハイマー症を代表とする神経変性疾患と一般によばれる神経難病を治療するための薬剤及び治療法の開発は、社会的に非常に重要である(Mattson MP, Scheff SW. Endogenous neuroprotection factors and traumatic brain injury: mechanisms of action and implications for therapy.J Neurotrauma. 1994;11(1):3-33.)。
本発明薬剤は、検体となる生体試料が有する神経栄養性能力の検定方法(第二の本発明検定方法)に利用することができる。第二の本発明検定方法では、まず、本発明薬剤と検体となる生体試料とを、BDNFレセプター蛋白質(即ち、trkB蛋白質)と当該蛋白質の標準リガンドであるBDNFとの接触によってグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(即ち、本遺伝子)の転写物量を増加させうるような条件下で、接触させる(第一工程)。次いで、前工程(第一工程)後、3時間以上7時間以下の範囲内での、前記生体試料内のグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(即ち、本遺伝子)の発現レベルを測定する(第二工程)。次いで、前工程(第二工程)により測定されたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(即ち、本遺伝子)の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記生体試料が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度を評価する(第三工程)。
検体となる生体試料としては、前述のように、例えば、神経変性疾患変組織を構成する本細胞或いはその内容物が含まれる可能性のある生体試料をあげることができ、具体的には例えば、哺乳動物から採取された脳組織等の組織(即ち、細胞の集団として生体試料)或いはこれら組織から分離された細胞又はその培養細胞等のいずれの形態での細胞であってもよい。実際の脳内の細胞に近いと思われるより好ましい細胞としては、例えば、哺乳動物から採取された脳組織がスライスされて得られる生体試料(細胞の集団として生体試料)等を挙げることができる。勿論、これらの生体試料はそのままの状態で用いてもよく、また、かかる試料から分離、分画、固定化等の種々の操作により調製された試料であってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
実施例1 (神経細胞の取得)
妊娠18日SDラット(購入先:チャールズリバー)の腹部を切開した後、胎児を取り出した。取り出された胎児の頭部をHBSS(+)培地(ナカライテスク社製)入りシャーレに入れ、実体顕微鏡下で大脳皮質を切り出した。切り出された大脳皮質を神経細胞分散液(住友ベークライト社製)中で、酵素処理しながら、細胞分散処理を行なうことにより、脳細胞を調製した。
このように調製された脳細胞を、2% B-27 Supplement(GIBCO社製)、1% L-Glutamine-200nM(GIBCO社製)及び1% PenStrep(GIBCO社製)が追加的に添加されたNeurobasal Medium培地(GIBCO社製)を用いて、スミロンセルタイトPLプレート(住友ベークライト社製)上で、37℃、5% CO存在下で培養した。播種3日後に培地交換を一度行い、更に4日間培養を継続した。このようにして、以下の実験に使用する神経細胞(培養7日目)を得た。
実施例2 (本発明検定方法の実施例)
実施例1で得られた神経細胞に、予めNeurobasal Medium培地に溶解させたBDNF(和光純薬社製)を処置した。
上記神経細胞にBDNFを添加した時点(即ち、刺激の開始時点)から1、3、6、10、24時間経過した時点において、当該神経細胞から全RNAを回収・精製した。全RNAの回収・精製には、RNA精製キット(RNeasy kit; QIAGEN社製)を用い、当該キットに添付されたプロトコールに従って実施した。次いで、回収された全RNAを鋳型にし、RNA Reverse transcriptase(Invitrogen社製;Superscript III)及びOligo-dT(GEヘルスケア社製)を使用することにより、対応するcDNAを得た。得られたcDNAを試料にし、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied biosystems社製)及びラット由来のGfra1 TaqManプローブ(Applied biosystems社製; Rn00564156_m1)を用いた定量的Real Time PCR法により、全RNA中に存在する、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)を測定した。当該測定には、7900HTシステム(Applied biosystems社製)スタンダードモードが用いられた。
尚、GAPDHを内部標準としたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)に係る補整値を得るために、GAPDHの転写物量(mRNA量)を同様な方法(但し、ラット由来のGfra1 TaqManプローブ(Applied biosystems社製; Rn00564156_m1)に代えてGAPDH特異的TaqManプローブ(Applied biosystems社製)を用いた。)に従って測定した。
このようにして得られたGAPDHを内部標準としたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)に係る補整値(ERα/GAPDH mRNA量)は、対照値としてBDNF を含まないNeurobasal Medium培地を用いた場合での補整値を1とした時の相対値(N=3の平均値)として算出した。その結果を図1に示す。因みに、図1における縦軸はグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の発現の転写物量の測定値(尚、GAPDHを内部標準とした補整値)を示しており、横軸は刺激の開始時点からの経過時間、及び、3試験群(外的付加により存在させるBDNFの量:0ng/ml(左群)、5ng/ml(中央群)、100ngml(右群))を示している。
この結果より、BDNF濃度依存的にグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)が1より上昇し、その転写物量は刺激の開始時点から5時間で最高値を示した。
実施例3 (本発明探索方法の検討例1)
妊娠18日SDラット(購入先:チャールズリバー)の腹部を切開した後、胎児を取り出した。取り出された胎児の頭部をHBSS(+)培地(ナカライテスク社製)入りシャーレに入れ、実体顕微鏡下で大脳皮質を切り出した。切り出された大脳皮質を神経細胞分散液(住友ベークライト社製)中で、酵素処理しながら、細胞分散処理を行なうことにより、脳細胞を調製した。
このように調製された脳細胞を、2% B-27 Supplement(GIBCO社製)、1% L-Glutamine-200nM(GIBCO社製)及び1% PenStrep(GIBCO社製)が追加的に添加されたNeurobasal Medium培地(GIBCO社製)を用いて、スミロンセルタイトPLプレート(住友ベークライト社製)上で、37℃、5% CO存在下で培養した。播種3日後に培地交換を一度行い、更に4日間培養を継続した。このようにして、以下の実験に使用する神経細胞(培養7日目)を得た。
被験化合物を予めDMSOに溶解させた後、当該溶解物をDMSOの最終濃度が0.1%を越えないように、Neurobasal Medium培地に溶解させた。
このようにして予めNeurobasal Medium培地に溶解させた被験化合物を、上記で得られた神経細胞に処置した。
上記神経細胞にBDNFを添加した時点(即ち、刺激の開始時点)から1、3、6、10、24時間経過した時点において、当該神経細胞から全RNAを回収・精製した。全RNAの回収・精製には、RNA精製キット(RNeasy kit; QIAGEN社製)を用い、当該キットに添付されたプロトコールに従って実施した。次いで、回収された全RNAを鋳型にし、RNA Reverse transcriptase(Invitrogen社製;Superscript III)及びOligo-dT(GEヘルスケア社製)を使用することにより、対応するcDNAを得た。得られたcDNAを試料にし、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied biosystems社製)及びラット由来のGfra1 TaqManプローブ(Applied biosystems社製; Rn00564156_m1)を用いた定量的Real Time PCR法により、全RNA中に存在する、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)を測定した。当該測定には、7900HTシステム(Applied biosystems社製)スタンダードモードが用いられた。
尚、GAPDHを内部標準としたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)に係る補整値を得るために、GAPDHの転写物量(mRNA量)を同様な方法(但し、ラット由来のGfra1 TaqManプローブ(Applied biosystems社製; Rn00564156_m1)に代えてGAPDH特異的TaqManプローブ(Applied biosystems社製)を用いた。)に従って測定した。
このようにして得られたGAPDHを内部標準としたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)に係る補整値(ERα/GAPDH mRNA量)は、対照値としてBDNF を含まないNeurobasal Medium培地を用いた場合での補整値を1とした時の相対値(N=3の平均値)として算出した。
この結果より、被験化合物濃度依存的にグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)が2より上昇することを持って、当該被験化合物は「神経栄養性能力を有する」(BDNFをmimicする物質)と評価し、当該被験化合物を「神経栄養性能力を有する物質」として選抜することができる。
実施例4(本発明探索方法の検討例2)
妊娠18日SDラット(購入先:チャールズリバー)の腹部を切開した後、胎児を取り出した。取り出された胎児の頭部をHBSS(+)培地(ナカライテスク社製)入りシャーレに入れ、実体顕微鏡下で大脳皮質を切り出した。切り出された大脳皮質を神経細胞分散液(住友ベークライト社製)中で、酵素処理しながら、細胞分散処理を行なうことにより、脳細胞を調製した。
このように調製された脳細胞を、2% B-27 Supplement(GIBCO社製)、1% L-Glutamine-200nM(GIBCO社製)及び1% PenStrep(GIBCO社製)が追加的に添加されたNeurobasal Medium培地(GIBCO社製)を用いて、スミロンセルタイトPLプレート(住友ベークライト社製)上で、37℃、5% CO存在下で培養した。播種3日後に培地交換を一度行い、更に4日間培養を継続した。このようにして、以下の実験に使用する神経細胞(培養7日目)を得た。
被験化合物を予めDMSOに溶解させた後、当該溶解物をDMSOの最終濃度が0.1%を越えないように、1ng/ml以上50ng/ml以下の範囲内のBDNFを含有するNeurobasal Medium培地に溶解させた。
このようにして予めNeurobasal Medium培地に溶解させた被験化合物を、上記で得られた神経細胞に処置した。
上記神経細胞にBDNFを添加した時点(即ち、刺激の開始時点)から1、3、6、10、24時間経過した時点において、当該神経細胞から全RNAを回収・精製した。全RNAの回収・精製には、RNA精製キット(RNeasy kit; QIAGEN社製)を用い、当該キットに添付されたプロトコールに従って実施した。次いで、回収された全RNAを鋳型にし、RNA Reverse transcriptase(Invitrogen社製;Superscript III)及びOligo-dT(GEヘルスケア社製)を使用することにより、対応するcDNAを得た。得られたcDNAを試料にし、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied biosystems社製)及びラット由来のGfra1 TaqManプローブ(Applied biosystems社製; Rn00564156_m1)を用いた定量的Real Time PCR法により、全RNA中に存在する、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)を測定した。当該測定には、7900HTシステム(Applied biosystems社製)スタンダードモードが用いられた。
尚、GAPDHを内部標準としたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)に係る補整値を得るために、GAPDHの転写物量(mRNA量)を同様な方法(但し、ラット由来のGfra1 TaqManプローブ(Applied biosystems社製; Rn00564156_m1)に代えてGAPDH特異的TaqManプローブ(Applied biosystems社製)を用いた。)に従って測定した。
このようにして得られたGAPDHを内部標準としたグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)に係る補整値(ERα/GAPDH mRNA量)は、対照値としてBDNF を含まないNeurobasal Medium培地(但し、1ng/ml以上50ng/ml以下の範囲内のBDNFを含有する。)を用いた場合での補整値を1とした時の相対値(N=3の平均値)として算出した。
この結果より、被験化合物濃度依存的にグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子(Gfra1)の転写物量(mRNA量)が2より上昇することを持って、当該被験化合物は「神経栄養性能力を有する」(BDNFの活性を増強する物質)と評価し、当該被験化合物を「神経栄養性能力を有する物質」として選抜することができる。
実施例5 (哺乳動物組織における本発明探索の検討例)
(1)total RNAの調製
被験化合物を予め生理食塩水に溶解させた後、当該溶解物を神経変性組織を有するラット及び対照正常哺乳動物にそれぞれ静脈内投与する。その対照として生理食塩水のみをラット及び対照正常哺乳動物にそれぞれ静脈内投与する。投与後3時間以上7時間以下の時点でそれぞれの哺乳動物脳を摘出し、化合物が投与された哺乳動物の神経変性組織及び対照の正常組織、そして生理食塩水のみが投与された哺乳動物の神経変性組織及び対照の正常組織を取り出す。これらのラット神経変性組織及び正常組織それぞれ湿重1gに対して10mlのTRIZOL Reagent(Gibco-BRL社製)を加え、氷冷しながらポリトロンホモジナイザーにてホモジナイズし、5分間室温で放置する。次いで、4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、水層を50ml遠心チューブ(IWAKI社製)に回収する。TRIZOL Reagentの1/5容量のクロロホルム(関東化学社製)を添加し、15秒間上下に激しく撹拌した後、5分間室温で放置する。次いで、4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、水層を新しい50ml遠心チューブに回収する。更に、TRIZOL Reagentの1/2容量の2-プロパノール(関東化学社製)を添加して、転倒混和した後、室温で10分間静置する。4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、上清を除去しペレットを得る。得られたペレットを、TRIZOL Reagentの1/10容量のDEPC処理滅菌蒸留水(和光純薬工業社製)で溶解する。得られるRNA溶液0.1mlにRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)添付のRLT buffer (10μL β-メルカプトエタノール/mL RLT buffer)350μlを添加し、混和する。更に、250μl エタノール(関東化学社製)を添加し、混和する。当該混和液をRNeasy Mini Kit添付のRNeasy Spin Columnにアプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を再度同じRNeasy Spin Columnにアプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を捨て、エタノールで4倍希釈したRNeasy Mini Kit添付のRPE bufferを500μlプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を捨て、エタノールで希釈したRPE bufferを500μlアプライし、室温、14,000rpm、2分間遠心分離する。その後、カラムを新しいエッペンドルフチューブに移してRNeasy Mini Kit添付の蒸留水を50μl添加し、1分間室温で静置する。静置後、室温、10,000rpm、1分間遠心分離によって溶出し、total RNAを得る。正常組織についても、上記と同様の操作を行い、total RNAを調製する。
(2)cDNAの調製
上記(1)で神経変性組織から調製したtotal RNA及び正常組織から調製したtotal RNA それぞれ10μg、T7-(dT)24プライマー(Amersham社製) 100pmolを含む11μlの混合液を、70℃、10分間加熱した後、氷上で冷却する。冷却後、SuperScript Choice System for cDNA Synthesis(Gibco-BRL社製)に含まれる5×First Strand cDNA Buffer 4μl、当該キットに含まれる0.1M DTT 2μl、及び当該キットに含まれる10mM dNTP Mix 1μlを添加し、42℃、2分間加熱する。更に、当該キットに含まれるSuper ScriptII RT 2μl(400U)を添加し、42℃、1時間加熱した後、氷上で冷却する。冷却後、DEPC処理滅菌蒸留水91μl、当該キットに含まれる5×Second Strand Reaction Buffer 30μl、10mM dNTP Mix 3μl、当該キットに含まれるE. coli DNA Ligase 1μl(10U)、当該キットに含まれるE. coli DNA Polymerase I 4μl(40U)、及び当該キットに含まれるE. coli RNaseH 1μl(2U)を添加し、16℃、2時間反応させる。次いで、当該キットに含まれるT4 DNA Polymerase 2μl(10U)を加え、16℃、5分間反応させた後、0.5M EDTA 10μlを添加する。次いで、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール溶液(ニッポンジーン社製)162μlを添加し、混合する。当該混合液を、予め室温、14,000rpm、30秒間遠心分離しておいたPhase Lock Gel Light(エッペンドルフ社製)に移し、室温、14,000rpm、2分間遠心分離した後、145μlの水層をエッペンドルフチューブに移す。これに、7.5M酢酸アンモニウム溶液72.5μl、エタノール362.5μlを加え混合した後、4℃、14,000rpm、20分間遠心分離する。遠心分離後、上清を捨て、DNAペレットを得る。その後、DNAペレットに80%エタノール0.5mlを添加し、4℃、14,000rpm、5分間遠心分離した後、上清を捨てる。DNAペレットに再度80%エタノール0.5mlを添加し、4℃、14,000rpm、5分間遠心分離した後、上清を捨て、次いで当該ペレットを乾燥させ、これをDEPC処理滅菌蒸留水12μlに溶解することにより、cDNA溶液を得る。一方、正常組織から調製した total RNAについても、上記と同様の操作を行うことによりcDNA溶液を調製する。
(3)ラベル化cRNAの調製
化合物が投与された、または生理食塩水のみが投与された神経変性組織由来のcDNA及び正常組織由来のcDNAそれぞれを用いて、それぞれラベル化cRNAを調製する。即ち、上記(2)で得られたcDNA溶液5μl、DEPC処理滅菌蒸留水17μl、BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit(ENZO社製)に含まれる10×HY Reaction Buffer 4μl、当該キットに含まれる10×Biotin Labeled Ribonucleotides 4μl、当該キットに含まれる10×DTT 4μl、当該キットに含まれる10×RNase Inhibitor Mix 4μl及び当該キットに含まれる20×T7 RNA Polymerase 2μlを混合し、37℃、5時間反応させる。当該反応液にDEPC処理滅菌蒸留水60μlを加えたのち、上記(1)に記載された RNeasy Mini Kitを用いてラベル化cRNAの精製を行う。
(4)ラベル化cRNAのフラグメント化
精製されたラベル化cRNA 20μg、5×Fragmentation Buffer(200mMトリス−酢酸 pH8.1(Sigma社製)、 500mM酢酸カリウム(Sigma社製)及び150mM酢酸マグネシウム(Sigma社製))8μlを含む反応液40μlを、94℃、35分間加熱した後、氷冷し、フラグメント化cRNA溶液を得る。
(5)フラグメント化cRNAとプローブアレイとのハイブリダイズ
神経変性組織由来のフラグメント化cRNA及び正常組織由来のフラグメント化cRNAそれぞれを、以下のようにしてそれぞれプローブアレイとハイブリダイズさせる。即ち、上記(4)で得られたフラグメント化cRNA溶液 40μl、5nM Contol Oligo B2 (Amersham社製)4μl、100×Control cRNA Cocktail 4μl、Herring sperm DNA (Promega社製)40μg、Acetylated BSA(Gibco-BRL社製)200μg、2×MES Hybridization Buffer(200mM MES、2M [Na+], 40mM EDTA、0.02% Tween20 (Pierce社製)、pH6.5〜6.7) 200μl及びDEPC処理滅菌蒸留水144μlを混合し、400μlのハイブリカクテルを得る。得られたハイブリカクテルを99℃、5分間加熱し、更に45℃、5分間加熱する。加熱後、室温、14,000rpm、5分間遠心分離し、ハイブリカクテル上清を得る。
1×MESハイブリダイゼーションバッファーで満たしたラットゲノムU34プローブアレイ(Affymetrix社製)を、ハイブリオーブン内で、45℃、60rpm、10分間回転させた後、1×MESハイブリダイゼーションバッファーを除去する。その後、当該プローブアレイに該ハイブリカクテル上清200μlを添加し、ハイブリオーブン内で45℃、60rpm、16時間回転させ、ハイブリダイズ済みプローブアレイを得る。
(6)プローブアレイの染色
上記(5)で得られたハイブリダイズ済みプローブアレイからハイブリカクテルを除去し、Non-Stringent Wash Buffer[6×SSPE(20×SSPE(ナカライテスク社製)を希釈)、0.01% Tween20を含む]で満たす。GeneChip Fluidics Station 400(Affymetrix社製)の所定の位置に前記プローブアレイを装着し、プロトコールに従って前記プローブアレイを洗浄した後、MicroArray Suite(Affymetrix社)の染色プロトコールEuKGE-WS2に従って以下の方法により前記プローブアレイを染色する。まず1次染色液[10μg/ml Streptavidin Phycoerythrin (SAPE)(Molecular Probe社製)、2mg/ml Acetylated BSA、100mM MES、1M NaCl(Ambion社製)、0.05%Tween20を含む]に45分間浸漬する。次いで、2次染色液[100μg/ml Goat IgG (Sigma社製)、3μg/ml Biotinylated Anti-Streptavidinantibody (Vector Laboratories社製)、2mg/ml Acetylated BSA、100mM MES、1M NaCl、0.05% Tween20、及び0.005% Antifoam0-30を含む]に10分間浸漬し、最後に1次染色液に45分間浸漬する。
(7)プローブアレイのスキャン、解析
上記(6)で染色した、化合物が投与された、または生理食塩水のみが投与された神経変性組織由来のプローブアレイ及び正常組織由来のプローブアレイそれぞれを、HP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)に供し、シグナルを570nmの蛍光輝度を測定することによって読み取る。得られた結果をGeneChip Microarray Suite(Affymetrix社製)によって比較解析し、正常組織と神経変性組織間で発現レベルが異なる遺伝子を抽出した。登録番号U97142でGenbankに登録されている塩基配列を有するラットGFRA1遺伝子(即ち、本遺伝子)は、正常組織及び神経変性組織いずれにおいても、上記の神経変性組織由来のプローブアレイにおいて検出されたシグナルが、正常組織由来のプローブアレイにおいて検出されたシグナルの2倍以上であった。
本発明により、できるだけ正確かつ簡便に評価するための、物質が有する神経栄養性能力の検定方法等が提供可能となる。

Claims (12)

  1. 物質が有する神経栄養性能力の検定方法であり、
    (a)脳由来神経栄養因子(以下、BDNFという)レセプター遺伝子(以下、trkBという)を発現する細胞と被験物とを、BDNFレセプター蛋白質と当該蛋白質の標準リガンドであるBDNFとの接触によってグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)受容体遺伝子の転写物量を増加させうるような条件下で、接触させる第一工程、
    (b)第一工程後、3時間以上48時間以下の範囲内での、前記細胞内のグリア細胞株由来神経栄養因子(以下、GDNFという)遺伝子の発現レベルを測定する第二工程、
    (c)第二工程により測定されたGDNF受容体遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度を評価する第三工程
    を有することを特徴とする方法。
  2. 遺伝子の発現レベルの対照値が、被験物に予め接触していないtrkBを発現する細胞における当該遺伝子の発現レベルの値であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 被験物が、BDNFを含有することが予想される物質であり、且つ、被験物に予め接触していないtrkBを発現する細胞が、被験物とBDNFとの両者に予め接触していないtrkBを発現する細胞であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 第三工程が、当該第二工程で得られた発現レベルの測定値が対照値と有意に異なることを指標とし、当該指標に基づいて被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度を評価する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項記載の方法。
  5. 第一工程において、trkBを発現する細胞と被験物とを接触させる系内に、さらにBDNFを外的付加により存在させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項記載の方法。
  6. 外的付加により存在させるBDNFの量が、1ng/ml以上50ng/ml以下の範囲内であることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量又は翻訳産物量の測定によりなされることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの請求項記載の方法。
  8. 遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量の測定によりなされることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの請求項記載の方法。
  9. 遺伝子の転写物量の測定が、定量的Real Time PCR法に基づく測定であることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. trkBを発現する細胞が、脳初代培養神経細胞由来の細胞であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの請求項記載の方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかの請求項記載の方法により評価された、被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度に基づき神経栄養性能力を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする神経栄養性能力を有する物質の探索方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかの請求項記載の方法により評価された、被験物が有する神経栄養性能力の有無若しくはその存在程度に基づき神経栄養性能力を有する物質を有効成分として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなることを特徴とする神経栄養性薬剤。
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