JP2005176764A - 胎盤型グルタチオン−s−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の検定方法 - Google Patents

胎盤型グルタチオン−s−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の検定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
化学物質の発癌性をできるだけ正確かつ簡便に評価するための癌検定方法等を提供すること。
【解決手段】
胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の検定出方法であって、
(1)検体における、α2−マクログロブリンの遺伝子の発現レベルを測定する第一工程、及び
(2)第一工程で得られた前記検体における遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記検体における、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の有無或いはその発生程度を評価する第二工程
を有することを特徴とする方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の検定方法等に関する。
癌が遺伝子の関わる異常を原因とする疾病であることが次第に明らかになりつつあるが、癌に対する羅漢率、死亡率は未だ高い。このような状況において、様々な化学物質の発癌性の有無を事前に確認しておくための安全性試験は極めて重要である。従来、化学物質の発癌性を検定する代表的な方法としては、種々の脊椎動物(例えばラット)を用いた安全性試験において腫瘍マ−カ−を指標として用いることにより、発癌性の有無を評価する方法が知られている。
しかしながら、実験動物としてラットを使用する場合において、例えば、最も頻繁に用いられるラット肝臓腫瘍マ−カ−の一つである胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼの場合には、肝細胞中のペルオキシソ−ム数を増大させるペルオキシソ−ム誘導剤により誘発される腫瘍性病変又は前腫瘍性病変を検出することはできない等の欠点があり、場合によっては必ずしも十分に満足のゆくものではなかった。
そこで、化学物質の発癌性をできるだけ正確かつ簡便に評価するためのラットにおける癌検定方法の開発が切望されている。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織を構成する肝細胞において、特定の遺伝子の発現レベルが隣接する正常組織での肝細胞における当該遺伝子の発現レベルに比べ増大していることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変(以下、本病変と記すこともある。)の検定出方法であって、
(1)検体における、α2−マクログロブリンの遺伝子の発現レベルを測定する第一工程、及び
(2)第一工程で得られた前記検体における遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記検体における、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の有無或いはその発生程度を評価する第二工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明方法と記すこともある。)
2.検体が、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織を構成する肝細胞或いはその内容物が含まれる可能性のある生体試料であることを特徴とする前項1記載の方法;
3.遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量又は翻訳産物量の測定によりなされることを特徴とする前項1又は2記載の方法;
4.遺伝子の発現レベルの対照値が、当該遺伝子の正常組織又は正常細胞における発現レベルの値であることを特徴とする前項1、2又は3記載の方法;
5.第二工程において、α2−マクログロブリンの発現レベルの測定値が対照値よりも高いことを指標とし、当該指標に基づいて前記検体における、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の有無或いはその発生程度を評価する工程であることを特徴とする前項1、2、3又は4記載の方法;
6.物質のラット肝発癌活性の検定方法であって、
(1)ラット肝細胞と被験物質とを接触させる第一工程、
(2)第一工程で前記被験物質と接触させた前記肝細胞における、α2−マクログロブリンの遺伝子の発現レベルを測定する第二工程、及び
(3)第二工程で得られた遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記被験物質のラット肝発癌活性の有無又はその量を評価する第三工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明肝発癌活性検定方法と記すこともある。)
7.遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量の測定によりなされることを特徴とする前項6記載の方法;
8.遺伝子の発現レベルの対照値が、当該遺伝子の正常組織又は正常細胞における発現レベルの値であることを特徴とする前項6又は7記載の方法;
9.第三工程において、α2−マクログロブリンの発現レベルの測定値が対照値よりも高いことを指標とし、前記被験物質のラット肝発癌活性の有無又はその量を評価することを特徴とする前項6、7又は8記載の方法;
10.前項6乃至9のいずれかに記載される方法により評価されたラット肝発癌活性の有無又はその量に基づきラット肝発癌活性を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とする肝発癌物質の探索方法等を提供するものである。
本発明によって、遺伝子の発現レベルの異常を指標としたラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の検定方法等が提供可能となる。
本発明において検体とは、例えば、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変を構成する肝細胞或いはその内容物が含まれる可能性のある生体試料をあげることができ、具体的には、例えば、ラットから採取された肝臓組織等の組織或いはこれら組織から分離された細胞、又はその培養細胞等をあげることができる。これらの試料はそのまま検体として用いてもよく、また、かかる試料から分離、分画、固定化等の種々の操作により調製された試料を検体として用いてもよい。
本発明において利用されるα2−マクログロブリン(以下、本蛋白質と記すこともある。)は、プロテア−ゼ阻害蛋白質であると共に、サイトカインの運搬体蛋白質としてその制御にも関わっており、主に肝臓で生成され、血中で作用する血漿蛋白質である。例えば、配列番号4で示されるアミノ酸配列等の公知のアミノ酸配列を有しており、当該蛋白質は動植物に広く存在し、その分子量は約770,000で400アミノ酸残基から成る。
本発明において発現レベルが測定されるα2−マクログロブリンの遺伝子(以下、本遺伝子と記すこともある。)には、例えば、配列番号5で示される塩基配列等の公知の塩基配列と全く同一の塩基配列を有する遺伝子のほか、前記の遺伝子の塩基配列に、生物の種差、個体差若しくは器官、組織間の差異等により天然に生じる変異による塩基の欠失、置換若しくは付加が生じた塩基配列を有する遺伝子も含まれる。
本遺伝子の発現レベルの測定は、例えば、単位量の検体あたりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体あたりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができる。
本遺伝子の転写物量を測定するには、例えば、当該遺伝子の転写物であるmRNA量を測定する。特定の遺伝子のmRNA量の測定は、具体的には、例えば、定量的リアルタイム−ポリメラ−ゼチェイン反応(以下、定量的RT−PCRと記す。)、ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法[J.Sambrook, E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラ−・クロ−ニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コ−ルドスプリング・ハ−バ−・ラボラトリ−(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年]、DNAアレイ法、インサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法等により実施することができる。
また、本遺伝子の翻訳産物量を測定するには、例えば、本遺伝子の塩基配列にコ−ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質の量を測定する。特定の蛋白質の量の測定は、具体的には、例えば、当該蛋白質に対する特異抗体を用いた免疫学的測定法(例えば、ELISA、ウェスタンブロット、RIA、免疫組織化学的検査等)、二次元電気泳動法、高速液体クロマトグラフィ−等により実施することができる。本遺伝子の塩基配列にコ−ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質に対する特異抗体は、常法に準じて、本遺伝子の塩基配列にコ−ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質を免疫抗原として調製することができる。
本遺伝子の転写物量の測定方法についてさらに説明する。
本遺伝子の転写物であるmRNA量は、例えば、本遺伝子の塩基配列に基づいて設計、調製されたプロ−ブ又はプライマ−を使用して、通常の遺伝子工学的方法、例えば、ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法、定量的RT−PCR、DNAアレイ法、インサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法等を用いることによって測定することができる。具体的には、例えば、J.Sambrook, E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラ−・クロ−ニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コ−ルドスプリング・ハ−バ−・ラボラトリ−(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年等に記載された方法に準じて行うことができる。この際、組織における発現レベルが恒常的に一定であることが知られている遺伝子(以下、対照遺伝子と記す。)、例えば、β−actin遺伝子(Nucl.Acids.Res., vol.12,No.3, p.1687,1984)や36B4(Acidic Ribosomal Phosphoprotein)(Nucl.Acids.Res., vol.19,No.14, p.3998,1991)遺伝子等のmRNA量を同時に測定しても良い。そして、対照遺伝子のmRNA量若しくはその指標値あたりの本遺伝子のmRNA量又はその指標値を算出することにより、本遺伝子の発現レベルを求めてもよい。
(1.ノザンハイブリダイゼ−ション法)
まず、mRNA量を測定しようとする遺伝子のDNAを調製し、次いで、その全部又は一部からなるDNAを標識してプロ−ブを調製する。
上記遺伝子は、市販のcDNA(例えば宝酒造から入手)又は以下に示した方法により調製したcDNAを鋳型にしてPCR等によって調製することができる。例えば、まず当該遺伝子を発現する組織から、塩酸グアニジン/フェノ−ル法、SDS−フェノ−ル法、グアニジンチオシアネ−ト/CsCl法等の通常の方法によって全RNAを抽出する。例えばISOGEN(ニッポンジ−ン製)等の市販のキットを利用して全RNAを抽出してもよい。
抽出された全RNAから、例えば、以下のようにしてmRNAを調製する。まず、オリゴdTをリガンドとして有するポリAカラムを5倍カラム容量以上のLoading buffer[20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.5M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)SDS]を用いて、平衡化し、続いて前述の方法で調製された全RNAをカラムにかけ、10倍カラム容量のloading bufferで洗浄する。さらに5倍カラム容量のWashing buffer[20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.1M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)SDS]で洗浄する。続いて、3倍カラム容量のelution buffer[10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、1mM EDTA、0.05%(w/v)SDS)でmRNAを溶出させることによってmRNAを得る。
次いで、オリゴdTプライマ−を前記全RNA或いはmRNAのポリA鎖にアニ−ルさせ、例えばcDNA合成キット(宝酒造)のプロトコ−ルに従って、一本鎖cDNAを合成する。この時、鋳型とするRNAは、全RNA又はmRNAのどちらでも良いが、mRNAを用いる方がより好ましい。
前記一本鎖cDNAを鋳型にして、TaKaRa taq(宝酒造)等のDNA polymeraseを用いてPCRすることにより、DNAを増幅する。PCRの条件は、測定対象とする動物の種類、使用するプライマ−の配列等により異なるが、例えば、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、2.5mM NTP存在下で、94℃,30秒間次いで40℃〜60℃,2分間さらに72℃,2分間の保温を1サイクルとしてこれを30〜55サイクル行う条件等を挙げることができる。
このようにして増幅された本遺伝子のDNAはpUC118等のベクタ−に挿入してクロ−ニングしておいてもよい。当該DNAの塩基配列は、Maxam Gilbert法 (例えば、Maxam,A.M&W.Gilbert, Proc.Natl.Acad.Sci.,74,560,1977 等に記載される)やSanger法(例えばSanger,F.&A.R.Coulson,J.Mol.Biol.,94,441,1975 、Sanger,F,& Nicklen and A.R.Coulson., Proc.Natl.Acad.Sci.,74,5463,1977等に記載される)等により確認することができる。
このようにして調製された本遺伝子のDNAの全部又はその一部を、次のようにして放射性同位元素や蛍光色素等で標識することによりプロ−ブを調製することができる。例えば、上記のようにして調製されたDNAを鋳型とし、当該DNAの塩基配列の部分配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマ−に用いて、[α−32P]dCTP又は[α−32P]dATPを含むdNTPを反応液に添加してPCRを行うことにより32Pで標識されたプロ−ブが得られる。また、上記のようにして調製されたDNAを、例えば、Random prime labeling Kit(ベ−リンガ−マンハイム社)、MEGALABEL(宝酒造)等の市販の標識キットを用いて標識してもよい。
次に、上記プロ−ブを使用して、ノ−ザンハイブリダイゼ−ション分析を行う。具体的には、本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から全RNA又はmRNAを調製する。調製された全RNA 20μg又はmRNA 2μgをアガロ−スゲルで分離し、10×SSC(1.5M NaCl、0.35Mクエン酸ナトリウム)で洗浄した後、ナイロンメンブラン[例えば、Hybond−N(アマシャム製)等]に移す。ポリエチレン袋にメンブランを入れ、ハイブリダイゼ−ションバッファ−〔6×SSC(0.9M NaCl、0.21Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液[0.1%(w/v)フィコ−ル400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1%BSA]、0.1%(w/v)SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA、50%ホルムアミド〕25mlを加えて、50℃、2時間インキュベ−トした後、ハイブリダイゼ−ションバッファ−を捨て、新たに2ml〜6mlのハイブリダイゼ−ションバッファ−を加える。更に上記方法で得られたプロ−ブを加え、50℃、一晩インキュベ−トする。ハイブリダイゼ−ションバッファ−としては、上記のほかに、市販のDIG EASY Hyb(ベ−リンガ−マンハイム社)等を用いることができる。メンブランを取り出して、50〜100mlの2×SSC、0.1% SDS中で室温、15分間インキュベ−トし、さらに同じ操作を1回繰り返し行い、最後に50〜100mlの0.1×SSC、0.1% SDS中で68℃、30分間インキュベ−トする。メンブラン上の標識量を測定することにより、本遺伝子の転写産物であるmRNAの量を測定することができる。
(2.定量的RT−PCR)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに例えばMMLV(東洋紡)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、10mM DTT]中、0.5mM dNTP及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させ、対応するcDNAを調製する。cDNA合成キット(宝酒造)を用いて対応するcDNAを調製しても良い。調製されたcDNAを鋳型にして、本遺伝子の塩基配列の一部分を有するオリゴヌクレオチドをプライマ−としてPCRを行う。プライマ−としては、例えば、Table 1に記載された塩基配列を有する本遺伝子の部分塩基配列を有するプライマ−として、配列番号1又は2で示される塩基配列からなるプライマ−をあげることができる。PCRの条件としては、例えば、例えば、TAKARA taq(宝酒造)を使用し、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、2.5mM dNTP及び[α32P]−dCTP存在下で、例えば、94℃,30秒間次いで40℃〜60℃,2分間さらに72℃,2分間の保温を1サイクルとしてこれを30〜55サイクル行う条件をあげることができる。増幅されたDNAをポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、分離されたDNAの放射活性量を測定することにより、本遺伝子のmRNAの量を測定することができる。或いはまた、例えば、TAKARA taq(宝酒造)を使用し、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、SYBR Green PCR ReagentsPCR(ABI社) 25μlを含む50μlの反応液を調製し、ABI7700(ABI社)を用いて、50℃,2分間次いで95℃,10分間の保温の後、95℃,15秒間次いで60℃,1分間の保温を1サイクルとしてこれを40サイクル実施する条件でPCRを行う。増幅されたDNAの蛍光を測定することにより、本遺伝子のmRNAの量を測定することができる。
(3.DNAアレイ解析)
本発明の転写物量の測定には、ナイロンメンブラン等のメンブランフィルタ−等に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されるマクロアレイ、スライドガラス等に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されるマイクロアレイ、スライドガラス上に本遺伝子の塩基配列の部分配列を有するオリゴヌクレオチド(通常18〜25merの鎖長)を光化学反応を利用して固定して作製されるプロ−ブアレイ等、公知の技術に基づいたDNAアレイを利用することができる。これらのアレイの作製は、例えばゲノム機能研究プロトコ−ル 実験医学別冊(羊土社刊)等に記載された方法に準じて行うことができる。またAffymetrix社等から市販されているGenechip等を利用することもできる。
以下、DNAアレイを用いて本遺伝子の転写物量を測定する方法の一例を示す。
(3−1.マクロアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えばMMLV(東洋紡社)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[例えば50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、及び10mM DTTを含む液]中、0.5mMdNTP、[α32P]−dCTP、及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させて、標識DNAを調製し、これをプロ−ブとする。このとき、cDNA合成キット(宝酒造)等を用いても良い。メンブランフィルタ−に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されたマクロアレイをポリエチレン袋に入れ、ハイブリダイゼ−ションバッファ−〔6×SSC(0.9M NaCl、0.21Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液[0.1%(w/v)フィコ−ル400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1% BSA]、0.1%(w/v) SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA、50%ホルムアミド〕25mlを加えて、50℃、2時間インキュベ−トした後、ハイブリダイゼ−ションバッファ−を除去し、新たに2ml〜6mlのハイブリダイゼ−ションバッファ−を添加する。更に上記プロ−ブを加え、50℃、一晩インキュベ−トする。ハイブリダイゼ−ションバッファ−としては、上記のほかに、市販のDIG EASY Hyb(ベ−リンガ−マンハイム社)等を用いることもできる。マクロアレイを取り出して、50ml〜100mlの2×SSC、0.1% SDSに浸し室温にて15分間程度インキュベ−トした後、さらに同じ操作を1回繰り返し行い、最後に50ml〜100mlの0.1×SSC、0.1% SDS中で68℃、30分間インキュベ−トする。マクロアレイ上の標識量を測定することにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(3−2.マイクロアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えばMMLV(東洋紡社)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[例えば、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、及び10mM DTTを含む液]中、0.5mM dNTP、Cy3−dUTP、(又はCy5−dUTP)及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させる。アルカリバッファ−(例えば、1N NaOH、20mM EDTAを含む液)を加え、65℃10分間保温した後、MicroconYM−30等を用いて遊離のCy3又はCy5を除くことにより蛍光標識DNAを調製し、これをプロ−ブとする。得られたプロ−ブを用いてマイクロアレイに対して(3−1 DNAマクロアレイによる定量)に記載された方法と同様にしてハイブリダイゼ−ションを行う。アレイ上のシグナル量をスキャナ−により測定することによって、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(3−3.プロ−ブアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えば、cDNA合成キット(GENSET社)等を用いてcDNAを調製する。調製されたcDNAを、例えば、ビオチンラベル化cRNA合成キット(In Vitro Transcription社)(Enzo社)等によりビオチン標識し、cRNA cleanup and quantitation キット(In Vitro Transcription社)により精製する。生成されたビオチン標識DNAをFragmentation バッファ−(200mMトリス酢酸(pH8.1)、500mM KOAc、150mM MgOAc)により断片化する。これに内部標準物質Contol Oligo B2 (Amersham社製)、100×Control cRNA Cocktail、Herring sperm DNA (Promega社製)、Acetylated BSA(Gibco−BRL社製)、2×MES Hybridization Buffer〔200mM MES、2M [Na], 40mM EDTA、0.02% Tween20 (Pierce社製)、pH6.5〜6.7〕及びDEPC処理滅菌蒸留水を加え、ハイブリカクテルを作製する。
1×MESハイブリダイゼ−ションバッファ−で満たしたプロ−ブアレイ[例えば、Genechip(Affymetrix社製)等]を、ハイブリオ−ブン内で、45℃、60rpm、10分間回転させた後、1×MESハイブリダイゼ−ションバッファ−を除去する。その後、該プロ−ブアレイに上記のハイブリカクテル200μlを添加し、ハイブリオ−ブン内で45℃、60rpm、16時間回転させる(ハイブリダイゼ−ション)。続いてハイブリカクテルを除去し、Non−Stringent Wash Buffer〔6×SSPE[20×SSPE(ナカライテスク社製)を希釈]、0.01% Tween20、及び0.005% Antifoam0−30(Sigma社)を含む〕で満たした後、GeneChip Fluidics Station 400(Affymetrix社製)の所定の位置に上記プロ−ブアレイを装着し、プロトコ−ルに従って洗浄する。次いで、MicroArray Suite(Affymetrix社)の染色プロトコ−ルEuKGE−WS2に従って該プロ−ブアレイを染色する。HP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)により570nmの蛍光輝度を測定することにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(4.インサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法)
基本的には1)組織の固定、包埋、及び切片の作製、2)プロ−ブの調製、3)ハイブリダイゼ−ションによる検出からなり、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたRNA又はDNAをプロ−ブとすること以外は、例えば、Heiles,H.et al., Biotechniques,6,978,1988、遺伝子工学ハンドブック 羊土社 278 1991、細胞工学ハンドブック,羊土社,214,1992、細胞工学ハンドブック,羊土社,222,1992等に記載される方法に準じて行うことができる。
RNAプロ−ブを調製する場合には、まず、例えば前記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載した方法と同様にして本遺伝子のDNAを取得し、当該DNAをSP6、T7、T3RNAポリメラ−ゼプロモ−タ−をもったベクタ−(例えばStratagene社のBluescript、Promega社のpGEM等)に組み込んで大腸菌に導入し、プラスミドDNAを調製する。次いで、センス(ネガティブコントロ−ル用)、アンチセンス(ハイブリダイゼ−ション用)RNAができるようにプラスミドDNAを制限酵素で切断する。これらDNAを鋳型とし、放射性標識の場合はα−35S−UTP等、非放射性標識の場合にはディゴキシゲニンUTP又はフルオレセイン修飾UTP等を基質として、SP6、T7、T3RNAポリメラ−ゼを用いてRNAを合成しながら標識し、アルカリ加水分解によりハイブリダイゼ−ションに適したサイズに切断することによって、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたRNAを調製する。なお、これらの方法に基づいたキットとしては、例えば、放射性標識用にはRNAラベリングキット(アマシャム社)が、非放射性標識用にはDIG RNAラベリングキット(ベ−リンガ−・マンハイム社)やRNAカラ−キット(アマシャム社)が市販されている。
また、DNAプロ−ブを調製する場合には、例えば、32P等で標識した放射性ヌクレオチド又はビオチン、ディゴキシゲニン若しくはフルオレセインで標識したヌクレオチドを、ニックトランスレ−ション法(J.Mol.Biol.,113,237,Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.,10,6−10,12,Cold Spring Harbor Lab.)又はランダムプライム法(Anal.Biochem., 132,6,Anal.Biochem.,137,266)によって取り込ませることによって、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたDNAを調製する。これらの方法に基づいたキットとしては、例えば、放射性標識用にはニックトランスレ−ションキット(アマシャム社)やRandom Prime Labeling Kit(ベ−リンガ−マンハイム社)が、非放射性標識用にはDIG DNA標識キット(ベ−リンガ−マンハイム社)、DNAカラ−キット(アマシャム社)等が市販されている。
具体的には、本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞をパラホルムアルデヒド等で固定し、パラフィン等に包埋した後、薄切切片を作製しスライドグラスに張り付ける。又は、上記の組織又は細胞をOCTコンパウンドに包埋後、液体窒素又は液体窒素で冷却したイソペンタン中にて凍結させ、その薄切切片を作製し、スライドグラスに張り付ける。このようにしてスライド標本を得る。
次に、上記の組織又は細胞中にあって使用されるプロ−ブと非特異的に反応する物質を除去するために、上記のようにして作製されたスライドグラス切片をプロテイナ−ゼK処理し、アセチル化する。次いで、該スライドグラス切片と上記のようにして調製されたプロ−ブとのハイブリダイゼ−ションを行う。例えば、上記のプロ−ブを90℃で3分間加熱した後ハイブリダイゼ−ション溶液で希釈し、該溶液を前処理の終了したスライドグラス切片上に滴下してフィルムでおおい、モイスチャ−チャンバ−中で45℃、16時間保温することにより、ハイブリッドを形成させる。ハイブリダイゼ−ションの後、非特異的吸着又は未反応プロ−ブを洗浄等(RNAプロ−ブを用いた場合はRNase処理も加える)により除去する。転写物量は、例えば、スライドグラス切片上の標識量を測定すること、或いは薄切切片中のラジオアイソト−プ若しくは蛍光活性を示す部分の面積若しくは細胞数をカウントすることにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量又はそれに相当する値を測定することができる。
本発明検出方法においては、α2−マクログロブリンの遺伝子の検体における発現レベルを、上述のようにして測定する。
本遺伝子の発現レベルの測定は、上述のようにして、単位量の検体あたりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体あたりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができ、本遺伝子の転写物量又は翻訳産物量を測定する方法を好ましくあげることができる。
上記のようにして得られた前記検体における本遺伝子の発現レベルの測定値を、当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記検体における、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の有無或いはその発生程度を評価する。
本遺伝子の発現レベルの対照値としては、例えば、正常組織での細胞における当該遺伝子の発現レベルの値をあげることができる。ここで、正常組織とは、例えば、病理組織学的検査において異常の認められない組織を意味し、特に、発現レベルについて転写物量の測定をする方法としてインサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法や、翻訳産物量の測定をする方法として免疫組織化学的検査方法等を用いる場合には、転写物量又は翻訳産物量のシグナルが肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変を有する組織より明らかに弱い組織を示す。
かかる対照値は、正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルを、検体における当該遺伝子の発現レベルと併行して測定して求めてもよいし、別途測定して求めてもよい。また、複数の正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルを測定してその平均値を対照値としてもよい。
例えば、正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルの値を対照値として、検体における、α2−マクログロブリンの発現レベルの測定値が対照値よりも高ければ、検体中に胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変を有すると評価することができる。
本発明肝発癌活性検定方法においては、まず、ラット肝細胞と被験物質とを接触させる。用いられるラット肝細胞としては、ラットから採取された肝臓組織内に存在している状態にある肝細胞、或いは、当該組織から分離された細胞又はその培養細胞等があげられる。
本発明肝発癌活性検定方法において、肝細胞と被験物質との接触は、例えば、ラットに被験物質を投与することにより行なってもよい。ラットは、天然の動物のほか、トランスジェニック動物、遺伝子ノックアウト動物等であってもよい。ラットへの被験物質の投与方法としては、例えば、経口(強制又は飲料水や餌に混じ)、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔内、経気道等により行うことができる。投与量、投与回数及び投与期間は、例えば、全身状態、全身諸器官組織等に重篤な影響を及ぼさない範囲内(例えば投与量は、最大耐量)とすればよい。
次に、上記のようにして被験物質と接触させたラット肝細胞における、α2−マクログロブリンの遺伝子の発現レベルを、上述のようにして測定する。
本遺伝子の発現レベルの測定は、上述のようにして、単位量の検体あたりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体あたりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができ、本遺伝子の転写物量を測定する方法を好ましくあげることができる。
上記のようにして被験物質と接触させた又はラット肝細胞から得られた本遺伝子の発現レベルの測定値を、当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記被験物質のラット肝発癌活性の有無又はその量を評価する。
本遺伝子の発現レベルの対照値としては、例えば、前記被験物質と接触させていないラット肝細胞における発現レベルの値をあげることができる。ラット肝細胞は、正常組織でのラット肝細胞における当該遺伝子の発現レベルの値を好ましくあげることができる。ここで正常組織とは、例えば、被験物質と接触していない肝臓組織で病理組織学的検査において異常の認められない組織を意味し、特に、発現レベルを転写物量で測定する方法としてインサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法、又は翻訳産物量で測定する方法として免疫組織化学的検査方法を用いる場合には、被験物質と接触した肝臓組織であっても転写物量又は翻訳産物量のシグナルが、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織よりも明らかに弱い組織を示す。
かかる対照値は、正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルを、被験物質と接触させた肝臓組織での細胞における当該遺伝子の発現レベルと併行して測定して求めてもよいし、別途測定して求めてもよい。例えば、被験物質と接触させる前の肝臓組織の一部を採取して本遺伝子の発現レベルを測定し、得られた値を対照値とすることもできる。また、複数の正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルを測定してその平均値を対照値としてもよい。
例えば、被験物質と接触させた肝細胞における本遺伝子の発現レベルの測定値が、正常組織での細胞における本遺伝子の発現レベルの値よりも高ければ、前記被験物質との接触によるラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織を構成する肝細胞の発生を意味し、当該被験物質はラット肝発癌活性を有すると評価することができる。
さらに、上記のような本発明肝発癌活性検定方法は、ラット肝発癌活性を有する物質の探索等に利用することができる。具体的には、本発明肝発癌活性検定方法により評価されたラット肝発癌活性の有無又はその量に基づきラット肝発癌活性を有する物質を選抜することによって、ラット肝発癌活性物質を探索することができる。選抜されたラット肝発癌活性物質は、例えば、肝癌モデル哺乳動物の作製等に利用することもできる。
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 (本遺伝子の発現レベルの測定)
(1)total RNAの調製
胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織及び正常組織それぞれ湿重1gに対して10mlのTRIZOL Reagent(Gibco−BRL社製)を加え、氷冷しながらポリトロンホモジナイザ−にてホモジナイズし、5分間室温で放置する。次いで、4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、水層を50ml遠心チュ−ブ(IWAKI社製)に回収する。TRIZOL Reagentの1/5容量のクロロホルム(関東化学社製)を添加し、15秒間上下に激しく撹拌した後、5分間室温で放置する。次いで、4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、水層を新しい50ml遠心チュ−ブに回収する。更に、TRIZOL Reagentの1/2容量の2−プロパノ−ル(関東化学社製)を添加して、転倒混和した後、室温で10分間静置する。4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、上清を除去しペレットを得る。得られたペレットを、TRIZOL Reagentの1/10容量のDEPC処理滅菌蒸留水(和光純薬工業社製)で溶解する。得られるRNA溶液0.1mlにRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)添付のRLT buffer (10μL β−メルカプトエタノ−ル/mL RLT buffer)350μlを添加し、混和する。更に、250μl エタノ−ル(関東化学社製)を添加し、混和する。当該混和液をRNeasy Mini Kit添付のRNeasy Spin Columnにアプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を再度同じRNeasy Spin Columnにアプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を捨て、エタノ−ルで4倍希釈したRNeasy Mini Kit添付のRPE bufferを500μlプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を捨て、エタノ−ルで希釈したRPE bufferを500μlアプライし、室温、14,000rpm、2分間遠心分離する。その後、カラムを新しいエッペンドルフチュ−ブに移してRNeasy Mini Kit添付の蒸留水を50μl添加し、1分間室温で静置する。静置後、室温、10,000rpm、1分間遠心分離によって溶出し、total RNAを得る。正常組織についても、上記と同様の操作を行い、total RNAを調製する。
(2)cDNAの調製
上記(1)で胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織から調製したtotal RNA及び正常組織から調製したtotal RNA それぞれ10μg、T7−(dT)24プライマ−(Amersham社製) 100pmolを含む11μlの混合液を、70℃、10分間加熱した後、氷上で冷却する。冷却後、SuperScript Choice System for cDNA Synthesis(Gibco−BRL社製)に含まれる5×First Strand cDNA Buffer 4μl、当該キットに含まれる0.1M DTT 2μl、及び当該キットに含まれる10mM dNTP Mix 1μlを添加し、42℃、2分間加熱する。更に、当該キットに含まれるSuper ScriptII RT 2μl(400U)を添加し、42℃、1時間加熱した後、氷上で冷却する。冷却後、DEPC処理滅菌蒸留水91μl、当該キットに含まれる5×Second Strand Reaction Buffer 30μl、10mM dNTP Mix 3μl、当該キットに含まれるE. coli DNA Ligase 1μl(10U)、当該キットに含まれるE. coli DNA Polymerase I 4μl(40U)、及び当該キットに含まれるE. coli RNaseH 1μl(2U)を添加し、16℃、2時間反応させる。次いで、当該キットに含まれるT4 DNA Polymerase 2μl(10U)を加え、16℃、5分間反応させた後、0.5M EDTA 10μlを添加する。次いで、フェノ−ル/クロロホルム/イソアミルアルコ−ル溶液(ニッポンジ−ン社製)162μlを添加し、混合する。当該混合液を、予め室温、14,000rpm、30秒間遠心分離しておいたPhase Lock Gel Light(エッペンドルフ社製)に移し、室温、14,000rpm、2分間遠心分離した後、145μlの水層をエッペンドルフチュ−ブに移す。これに、7.5M酢酸アンモニウム溶液72.5μl、エタノ−ル362.5μlを加え混合した後、4℃、14,000rpm、20分間遠心分離する。遠心分離後、上清を捨て、DNAペレットを得る。その後、DNAペレットに80%エタノ−ル0.5mlを添加し、4℃、14,000rpm、5分間遠心分離した後、上清を捨てる。DNAペレットに再度80%エタノ−ル0.5mlを添加し、4℃、14,000rpm、5分間遠心分離した後、上清を捨て、次いで当該ペレットを乾燥させ、これをDEPC処理滅菌蒸留水12μlに溶解することにより、cDNA溶液を得る。一方、正常組織から調製した total RNAについても、上記と同様の操作を行うことによりcDNA溶液を調製する。
(3)ラベル化cRNAの調製
ラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織由来のcDNA及び正常組織由来のcDNAそれぞれを用いて、それぞれラベル化cRNAを調製する。即ち、上記(2)で得られたcDNA溶液5μl、DEPC処理滅菌蒸留水17μl、BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit(ENZO社製)に含まれる10×HY Reaction Buffer 4μl、当該キットに含まれる10×Biotin Labeled Ribonucleotides 4μl、当該キットに含まれる10×DTT 4μl、当該キットに含まれる10×RNase Inhibitor Mix 4μl及び当該キットに含まれる20×T7 RNA Polymerase 2μlを混合し、37℃、5時間反応させる。当該反応液にDEPC処理滅菌蒸留水60μlを加えたのち、上記(1)に記載された RNeasy Mini Kitを用いてラベル化cRNAの精製を行う。
(4)ラベル化cRNAのフラグメント化
精製されたラベル化cRNA 20μg、5×Fragmentation Buffer(200mMトリス−酢酸 pH8.1(Sigma社製)、 500mM酢酸カリウム(Sigma社製)及び150mM酢酸マグネシウム(Sigma社製))8μlを含む反応液40μlを、94℃、35分間加熱した後、氷冷し、フラグメント化cRNA溶液を得る。
(5)フラグメント化cRNAとプロ−ブアレイとのハイブリダイズ
ラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織由来のフラグメント化cRNA及び正常組織由来のフラグメント化cRNAそれぞれを、以下のようにしてそれぞれプロ−ブアレイとハイブリダイズさせる。即ち、上記(4)で得られたフラグメント化cRNA溶液 40μl、5nM Contol Oligo B2 (Amersham社製)4μl、100×Control cRNA Cocktail 4μl、Herring sperm DNA (Promega社製)40μg、Acetylated BSA(Gibco−BRL社製)200μg、2×MES Hybridization Buffer(200mM MES、2M [Na], 40mM EDTA、0.02% Tween20 (Pierce社製)、pH6.5〜6.7) 200μl及びDEPC処理滅菌蒸留水144μlを混合し、400μlのハイブリカクテルを得る。得られたハイブリカクテルを99℃、5分間加熱し、更に45℃、5分間加熱する。加熱後、室温、14,000rpm、5分間遠心分離し、ハイブリカクテル上清を得る。
1×MESハイブリダイゼ−ションバッファ−で満たしたラットゲノムU34プロ−ブアレイ(Affymetrix社製)を、ハイブリオ−ブン内で、45℃、60rpm、10分間回転させた後、1×MESハイブリダイゼ−ションバッファ−を除去する。その後、当該プロ−ブアレイに該ハイブリカクテル上清200μlを添加し、ハイブリオ−ブン内で45℃、60rpm、16時間回転させ、ハイブリダイズ済みプロ−ブアレイを得る。
(6)プロ−ブアレイの染色
上記(5)で得られたハイブリダイズ済みプロ−ブアレイからハイブリカクテルを除去し、Non−Stringent Wash Buffer[6×SSPE(20×SSPE(ナカライテスク社製)を希釈)、0.01% Tween20を含む]で満たす。GeneChip Fluidics Station 400(Affymetrix社製)の所定の位置に前記プロ−ブアレイを装着し、プロトコ−ルに従って前記プロ−ブアレイを洗浄した後、MicroArray Suite(Affymetrix社)の染色プロトコ−ルEuKGE−WS2に従って以下の方法により前記プロ−ブアレイを染色する。まず1次染色液[10μg/ml Streptavidin Phycoerythrin (SAPE)(Molecular Probe社製)、2mg/ml Acetylated BSA、100mM MES、1M NaCl(Ambion社製)、0.05%Tween20を含む]に45分間浸漬する。次いで、2次染色液[100μg/ml Goat IgG (Sigma社製)、3μg/ml Biotinylated Anti−Streptavidinantibody (Vector Laboratories社製)、2mg/ml Acetylated BSA、100mM MES、1M NaCl、0.05% Tween20、及び0.005% Antifoam0−30を含む]に10分間浸漬し、最後に1次染色液に45分間浸漬する。
(7)プロ−ブアレイのスキャン、解析
上記(6)で染色した、ラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織由来のプロ−ブアレイ及び正常組織由来のプロ−ブアレイそれぞれを、HP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)に供し、シグナルを570nmの蛍光輝度を測定することによって読み取る。得られた結果をGeneChip Microarray Suite(Affymetrix社製)によって比較解析し、正常組織と上記のラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織間で発現レベルが異なる遺伝子を抽出した。α2−マクログロブリンの遺伝子は、上記のラット肝臓前癌病変組織由来のプロ−ブアレイにおいて検出されたシグナルが、正常組織由来のプロ−ブアレイにおいて検出されたシグナルを上回った。
実施例2 (プロ−ブアレイを用いた肝臓腫瘍性病変組織(前腫瘍性病変組織を一部に含む)の検定)
無処置ラットの病理組織学的に正常な肝臓試料を含む、異なる2つ以上の肝臓試料から実施例1(1)と同様の操作によってtotal RNAを調製した後、実施例1(2)〜(4)と同様の操作によって無処置ラットの正常肝臓試料由来のフラグメント化cRNA及び被験肝臓試料由来のフラグメント化cRNAを調製する。次に、実施例1(5)と同様の操作によって無処置ラットの正常肝臓試料由来のフラグメント化cRNA及び被験肝臓試料由来のフラグメント化cRNAを、本遺伝子の塩基配列の部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが固定されたプロ−ブアレイにハイブリダイズした後、染色する。得られた染色済みのプロ−ブアレイをHP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)に供し、シグナルを570nmの蛍光輝度を測定することによって読み取り、得られた結果をGeneChip Microarray Suite (Affymetrix社製)によって比較解析する。α2−マクログロブリンの発現レベルを無処置ラットの正常肝臓試料及び被験肝臓試料間で比較し、その差異に基づいて被験肝臓試料における、ラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織を構成する肝細胞を検出する。即ち、α2−マクログロブリンの発現レベルの測定値が、無処置ラット正常肝臓試料における当該遺伝子の発現レベルよりも高ければ、前記被験生検試料中に上記のラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織を構成する肝細胞が存在すると評価する。
実施例3 (定量的RT−PCRを用いた肝臓腫瘍性病変(前腫瘍性病変を一部に含む)の検定)
無処置ラットの病理組織学的に正常な肝臓試料を含む、異なる2つ以上の肝臓試料から実施例1(1)と同様の操作によってtotal RNAを調製した後、実施例1(2)と同様の操作によって無処置ラット正常肝臓試料由来のcDNA及び被験肝臓試料由来のcDNAを調製する。次に、調製されたcDNAを鋳型として、以下のようにしてPCRを行い、増幅されたDNAを定量する。即ち、当該cDNA 1μl、配列番号1で示される塩基配列からなるプライマ−1 20pmol、配列番号2で示される塩基配列からなるプライマ−2 20pmol、及びSYBR Green PCR ReagentsPCR(ABI社) 25μlを含む50μlの反応液を調製し、ABI7700(ABI社)を用いて、50℃ 2分間次いで95℃ 10分間保温した後、95℃ 15秒次いで60℃ 1分間の保温を1サイクルとして、これをPCR反応が指数的に行われる最大のサイクル数PCRを行う。増幅されたDNAの量から、被験肝臓試料での本遺伝子の発現量レベルと無処置ラット正常肝臓試料での本遺伝子の発現レベルを求める。α2−マクログロブリンの被験肝臓試料における発現レベルの測定値が、無処置ラット正常肝臓試料における当該遺伝子の発現レベルよりも高ければ、前記被験肝臓試料中に、ラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織を構成する肝細胞が存在すると評価する。
実施例4 (プロ−ブアレイを用いたラット肝発癌活性検定方法)
(1)ラットへの被験物質の投与
例えば、肝中期発癌性試験モデル(Ito, N., et al. CRC Crit Rev Toxicol, 19: 385−415, 1989.)を用いることができる。
具体的には、被験物質が変異原性物質の場合には、雄F344系ラット(投与開始時6週齢)に、例えば、N−ジエチルニトロサミン(以下、DENと記す。)200mg/kg体重を腹腔内に単回投与し、対照として被験物質の溶媒を単回投与した群をさらに設けた。被験物質が非変異原性の場合には、同じ雄F344系ラットに上記と同用量のDENを単回投与後2週目から被験物質として、例えば、クロフィブレ−ト3000ppmやWY−14,643 1000ppmを混餌投与した群をそれぞれ設け、対照として基礎飼料のみを混餌投与した群をさらに設けた。被験物質の変異原性に関わらず、試験開始から3週目に2/3部分肝切除術を全例に施し、8週目に各群動物の肝臓を採取した。
(2)遺伝子の発現解析
被験物質投与群由来の肝臓組織及び基礎飼料のみ投与群由来の肝臓組織それぞれから、実施例1(1)と同様の操作によってtotal RNAを調製した後、実施例1(2)〜(4)と同様の操作によって被験物質投与群及び基礎飼料投与群それぞれの肝臓組織由来のフラグメント化cRNAを調製する。次に、実施例1(5)と同様の操作によって被験物質投与群及び基礎飼料投与群それぞれの肝臓組織由来のフラグメント化cRNAを、本遺伝子の塩基配列の部分塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが固定されたプロ−ブアレイにハイブリダイズした後、染色する。得られた被験物質投与群及び基礎飼料投与群それぞれのプロ−ブアレイをHP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)に供し、シグナルを570nmの蛍光輝度を測定することによって読み取り、得られた結果をGeneChip Microarray Suite (Affymetrix社製)によって比較解析する。α2−マクログロブリンの、被験物質投与群における発現レベルが、基礎飼料投与群の発現レベルの2倍以上であれば、当該被験物質はラット肝発癌活性を有すると評価する。
実施例5 (定量的RT−PCRを用いたラット肝発癌活性検定方法)
(1)ラットへの被験物質の投与
実施例4(1)と同様の操作にて肝臓組織を採取する。
(2)遺伝子の発現解析
被験物質投与群の肝臓組織及び基礎飼料のみ投与群由来の肝臓組織それぞれから、実施例1(1)と同様の操作によってtotal RNAを調製した後、実施例1(2)と同様の操作によって被験物質投与群及び基礎飼料投与群それぞれの肝臓組織由来のcDNAを調製する。次に、調製されたcDNAを鋳型として、以下のようにしてPCRを行って増幅されたDNAを定量する。即ち、当該cDNA 1μl、配列番号1で示される塩基配列からなるプライマ−1 20pmol、配列番号2で示される塩基配列からなるプライマ−2 20pmol及びSYBR Green PCR ReagentsPCR(ABI社) 25μlを含む50μlの反応液を調製し、ABI7700(ABI社)を用いて、50℃ 2分間次いで95℃ 10分間保温した後、95℃ 15秒次いで60℃ 1分間の保温を1サイクルとして、これをPCR反応が指数的に行われる最大のサイクル数PCRを行う。増幅されたDNAの量から、被験物質投与群の肝臓組織における本遺伝子の発現レベル及び基礎飼料投与群の肝臓組織における本遺伝子の発現レベルそれぞれを求める。被験物質投与群の肝臓組織における発現レベルが、基礎飼料投与群の肝臓の発現レベルの2倍以上であれば、当該被験物質はラット肝発癌活性を有すると評価する。
実施例6 (インサイチュ−ハイブリダイゼ−ションを用いたラット肝発癌活性検定方法)
(1)ラットへの被験物質の投与
実施例4(1)と同様の操作にて肝臓組織を採取する。但し、肝臓はそのまま、又は、固定液(4%パラホルムアルデヒド+0.5%グルタ−ルアルデヒド/0.075Mリン酸緩衝液、pH7.2〜7.4)で灌流した後に採取する。
(2)肝臓組織の固定、包埋及び薄切切片の作製
採取した肝臓は固定液(4%パラホルムアルデヒド+0.5%グルタ−ルアルデヒド/0.075Mリン酸緩衝液、pH7.2〜7.4)で4℃、一晩固定する。固定後、被験物質投与群の肝臓組織及び基礎飼料のみ投与群由来の肝臓組織それぞれをアルコ−ル脱水し、パラフィンに包埋した後、ミクロスライサ−を用いて2〜10μmの厚さで薄切し、これをスライドグラスに載せる。
(3)cDNAの調製
α2−マクログロブリン遺伝子を発現している組織(例えば、肝臓)から実施例1(1)と同様の操作にてtotal RNAを1μg/μlになるように調製する。次にα2−マクログロブリン遺伝子の約1kbpを選定し、当該塩基配列を有するDNAをPCRで増やすためのプライマ−の合成を行う。プライマ−は、そのsense primerの5'末端にT3プロモ−タ−配列(aat taa ccc tca cta aag gga ac)を、antisense primerの5'末端にT7プロモ−タ−配列(gta ata cga ctc act ata ggg ag)を付加したものとし、例えば配列番号3,4の塩基配列を有するプライマ−を用いることができる。合成は遺伝子工学的手法にて用いられる通常の方法により合成する。RT−PCRには、ThermoScript RT−PCR System (Gibco社)及びPLATIUM taq DNA Polymerase High fidelity (Gibco社)の各キットを用いる。まず、Antisenseのプライマ−20pmol、total RNA 1μl、当該キット内のH20を混じ、65℃、5分間保温し、その後、氷上で冷却する。次いで、5×DNA Synthesis Buffer 4μl、0.1M DTT 1μl、RNase OUT 1μl、滅菌水1μl、10mM dNTP Mix 2μl、ThermoScript RT 1μlを加え、65℃で1時間保温した後、85℃で5分間加温し、ThermoScript RTを失活させる。これを氷上で冷却した後、1μlのRNase H (Gibco社)を加え、37℃で20分間反応させることでcDNAを作製する。作製したcDNA 5μlに、sense primer 20pmol、×10 High Fidelity PCR Buffer 5μl、50mM MgSO 2μl、10mM dNTPmix 1μl、PLATINUM taq DNA Polymerase Hight Fidelity 0.2μl、滅菌水34.8μlを加え、94℃で2分間加温した後、94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 1分間を1サイクルとして40サイクル実施し、最後に68℃で5分間反応を行う。このPCR反応液を1%アガロ−スゲル電気泳動に供し、目的PCR産物をゲルから切り出した後、等量のイソプロパノ−ルと混じ、当該キット内のカラムに供して、2分間遠心分離する。遠心後、カラムに新しいチュ−ブを繋ぎ、当該キット内のEB buffer 50μlをカラムに供して遠心分離し、目的DNA産物を得る。
(4)ラベル化cRNAの調製
実施例6(3)で合成されたcDNAを鋳型とし、T3 polymerase又はT7 polymeraseを用いてcRNAプロ−ブ(FITC標識)を合成する。具体的には、cDNA 0.2〜1μlに×10 transcription buffer(DTT+)(宝酒造)2μl、×10 FITC−laveling mix (ベ−リンガマンハイム) 2μl、RNase inhibitor(ニッポンジ−ン)1μlを加え、さらにH2Oを加えて総量を18μlにする。そこにsense probeを合成する場合には2μlのT3 polymerase(宝酒造) 、anti−sense probeを合成する場合には2μlのT7 polymerase(宝酒造)をそれぞれ加え、37℃で3〜5時間保温する。次いで、1μlのRNase freeのDNase I(ベ−リンガマンハイム社)を加え、さらに20分間保温する。合成されたcRNAはエタノ−ル沈澱させ、得られたペレットを60℃に加温した100μLの 40mM NaHCO3, 60mM Na2CO3 (pH10.2)に溶解する。その後、アルカリ分解により約150bの断片になるように、次の計算式から得られた時間、60℃で保温する。加温時間(分) = (cDNA長(kb)−加水分解後の平均断片長(kb))/(0.11×cDNA長(kb)×加水分解後の平均断片長(kb))。反応後、氷上で冷却し、1μlの酢酸を加える。更に、10分の1量の4M LiClを添加し、15000rpmで10分間遠心分離し、上清を棄てる。500μlのエタノ−ルを加えてペレットを洗浄した後、TE buffer 20μl、0.1M DTT 2μl、RNase inhibitor 1μlを加え溶解する。
(5)ハイブリダイゼ−ション
実施例6(2)で作製したスライド標本を室温で脱パラフィンし、再水和する。次に、前処理として1×Target Retrieve Solution (DAKO)を加え、オ−トクレ−ブにより121℃で20分間加温する。60℃まで温度が下がった後にこれを取り出し、室温に20分間放置することで更に冷却する。冷却後、室温でDEPC処理滅菌水に2分×2回、3%過酸化水素水/DEPC処理滅菌水に30分間、DEPC処理滅菌水に2分×3回、90%エタノ−ル/DEPC処理滅菌水に3分間、100%エタノ−ルに3分間浸漬した後、風乾する。実施例6(4)で調製したcRNAプロ−ブをhybridization buffer(組成:40%ホルムアミド(ニッポンジ−ン), 4×SSC (pH5.0)(Gibco), 1 mM EDTA, 1×Denhardet's(Nippon gene),250μg/ml yeast tRNA (Gibco),125μg/ml サケ精子DNA (Gibco), 10%dextran sulfateで0.1〜0.3μg/ml/kbとなるように希釈し、切片上で滴下し、EasiSeal(HYBAID社)を用いて封入する。封入したスライドグラスを湿潤箱に並べ、60℃で5時間以上保温する。その後、スライドグラスを65℃に保温した5×SSC (pH5.0)中に浸し、65℃に加温した洗浄液A(組成:2×SSC[pH5.0], 1%SDS)に30分間×2回浸漬し、室温の洗浄液B(組成:10 mM Tris−HCl (pH7.5), 0.5M NaCl, 0.1% Tween 20)に5分間×3回浸漬した後、37℃に加温した洗浄液Bに20μg/ml RNase A (SIGMA)を加えたものに20分間浸漬する。その後、65℃に加温した洗浄液C(組成:2×SSC[pH5.0], 50% ホルムアミド[和光])で30分間×2回、室温のTBS buffer(組成:50 mM Tris−HCl [pH7.5], 150mM NaCl)で3分間×3回洗浄を行う。洗浄後、切片周囲の過剰な溶液を拭き取り、組織周囲をPAP PEN(大道産業株式会社)で囲んだ後、FITC標識プロ−ブ検出キット(DAKO)に含まれるアルカリフォスファタ−ゼ標識抗FITC抗体を1%Bovine serum albumin/TBSで希釈したものを、切片上に滴下し、湿潤箱中に37℃で60分間放置する。反応後、室温のTBST(組成:TBS + 0.1% Tween 20)に5分間×3回、室温のTBSに2〜3分浸漬する。切片周囲の過剰な溶液を拭き取り、AP基質溶液(DAKO、BCIP/NBT発色基質溶液)を滴下し、湿潤箱中に37℃で60分〜2日間放置する。その後、流水中で発色液を洗い流し、透徹、封入する。
(6)遺伝子の発現解析
本遺伝子の転写物量は、被験物質投与群の肝臓薄切切片及び基礎飼料投与群の肝臓薄切切片それぞれの各蛍光活性を示す部分の面積又は細胞数をカウントすることにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量又はそれに相当する値を測定することができる。その後、適当な統計学的解析を実施することでラット肝発癌活性の有無を評価することができる。
実施例7 (免疫組織化学的検査を用いたラット肝発癌活性検定方法)
(1)ラットへの被験物質の投与
実施例4(1)と同様の操作にて肝臓組織を採取する。
(2)組織の固定、包埋、及び切片の作製
採取した肝臓から組織を適度な大きさに切り出した後、OCTコンパウンドにこれを包埋し、液体窒素にて冷却したイソペンタン中で凍結させる。これを−20℃に冷却したクリオスタット中で約5μmの厚さに薄切し、スライドグラスに載せ、乾燥させる。
(3)薄切切片の免疫組織化学的染色
上記(2)で作製した薄切切片を70%エタノ−ルで1分間固定した後、PBS buffer(組成:10 mM リン酸ナトリウム [pH7.4], 100mM NaCl)で洗浄してOCTコンパウンドを落とし、0.3%過酸化水素水で5分間処理する。PBS bufferで5分間×3回洗浄し、正常血清で室温20分間処理する。次いで、PBS bufferで適度に希釈したα2−マクログロブリン遺伝子の翻訳産物に対する抗体(以下、一次抗体)で室温60分間処理する。反応後、PBS bufferで5分間×3回洗浄し、PBS bufferで適度に希釈した一次抗体と同じ免疫動物のVECTASTAIN/ABC試薬(フナコシ)で室温30分間処理する。更に、PBS bufferで5分間×3回洗浄した後、3,3'−ジアミノベンジジン四塩酸塩(ナカライ)を用いて発色させる。その後、蒸留水で洗浄し、脱水、透徹、封入を行う。
(4)遺伝子翻訳産物の発現解析
画像解析装置IPAP(住化テクノサ−ビス(株))を用いて染色性の確認された肝細胞巣の面積及び肝臓薄切切片全体の面積それぞれを測定し、(染色性を認めた肝細胞巣の面積)/(肝臓薄切切片全体面積)を算出する。また他の方法として、染色性の確認された肝細胞巣の個数をカウントし、(染色性を認めた肝細胞巣の個数)/(肝臓薄切切片全体面積)を算出する。
次に適当な検定手法を用いて統計学的解析を行い、被験物質投与群における値が基礎飼料投与群の当該値より有意な増加を示した場合には、被験物質はラット肝発癌性を有すると評価する。
本発明によって、遺伝子の発現レベルの異常を指標としたラットにおける胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の検定方法等が提供可能となる。
[配列表フリ−テキスト]
配列番号1
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号2
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号3
インサイチュ−ハイブリダイゼ−ションで用いるcRNAプロ−ブ合成のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−
配列番号4
インサイチュ−ハイブリダイゼ−ションで用いるcRNAプロ−ブ合成のために設計されたオリゴヌクレオチドプライマ−

Claims (10)

  1. 胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の検定出方法であって、
    (1)検体における、α2−マクログロブリンの遺伝子の発現レベルを測定する第一工程、及び
    (2)第一工程で得られた前記検体における遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記検体における、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の有無或いはその発生程度を評価する第二工程
    を有することを特徴とする方法。
  2. 検体が、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変組織を構成する肝細胞或いはその内容物が含まれる可能性のある生体試料であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量又は翻訳産物量の測定によりなされることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 遺伝子の発現レベルの対照値が、当該遺伝子の正常組織又は正常細胞における発現レベルの値であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の方法。
  5. 第二工程において、α2−マクログロブリンの発現レベルの測定値が対照値よりも高いことを指標とし、当該指標に基づいて前記検体における、胎盤型グルタチオン−S−トランスフェラ−ゼ酵素を認識する抗体に対して陰性を示すラット肝臓腫瘍性病変又は前腫瘍性病変の有無或いはその発生程度を評価する工程であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の方法。
  6. 物質のラット肝発癌活性の検定方法であって、
    (1)ラット肝細胞と被験物質とを接触させる第一工程、
    (2)第一工程で前記被験物質と接触させた前記肝細胞における、α2−マクログロブリンの遺伝子の発現レベルを測定する第二工程、及び
    (3)第二工程で得られた遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記被験物質のラット肝発癌活性の有無又はその量を評価する第三工程
    を有することを特徴とする方法。
  7. 遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量の測定によりなされることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 遺伝子の発現レベルの対照値が、当該遺伝子の正常組織又は正常細胞における発現レベルの値であることを特徴とする請求項6又は7記載の方法。
  9. 第三工程において、α2−マクログロブリンの発現レベルの測定値が対照値よりも高いことを指標とし、前記被験物質のラット肝発癌活性の有無又はその量を評価することを特徴とする請求項6、7又は8記載の方法。
  10. 請求項6乃至9のいずれかに記載される方法により評価されたラット肝発癌活性の有無又はその量に基づきラット肝発癌活性を有する物質を選抜する工程を有することを特徴とするラット肝発癌物質の探索方法。



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