JP4419773B2 - マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子ii受容体遺伝子の雄性ホルモン系活性検出用マーカーとしての使用及び化学物質の雄性ホルモン系活性を検出する方法 - Google Patents

マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子ii受容体遺伝子の雄性ホルモン系活性検出用マーカーとしての使用及び化学物質の雄性ホルモン系活性を検出する方法 Download PDF

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本発明は、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子の雄性ホルモン系活性検出用マーカーとしての使用及び化学物質の雄性ホルモン系活性を検出する方法等に関する。
生体の生殖・発生・分化・成長及び代謝は、種々の内分泌機能により影響を受ける。生体における生殖に関する主要な内分泌系として、雄性ホルモン系及び雌性ホルモン系が挙げられる。このうち、雄性ホルモン系において、化学物質が有する雄性ホルモン系活性(具体的には、雄性ホルモン活性又は抗雄性ホルモン活性)を検定するために、例えば、精巣が摘出されたげっ歯類動物等の哺乳動物、又は、精巣が摘出されかつテストステロン化合物(雄性ホルモン)が投与されたげっ歯類動物等の哺乳動物において、雄性ホルモン依存性器官・組織の重量を測定する方法が用いられてきた(例えば、非特許文献1参照)。
一方で、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子(Mannose 6-phosphate/insulin-like growth factor II receptor)は約300kDaのタンパク質であり、多機能性レセプターであることが知られている。当該遺伝子は、癌抑制遺伝子として機能している可能性が報告され、また、神経系や免疫系への関与も報告されている(例えば、非特許文献2,3及び4参照)。
Environ Health Perspect. 111, 1912-1919 (2003) FASEB J. 11(1), 60-67 (1997) Endcrinology, 131(4), 1636-1642 (1992) Proc Natl Acad Sci USA, 97(15) 8439-8444 (2000)
雄性ホルモン依存性器官・組織の重量を測定する方法では、げっ歯類動物等の哺乳動物に対して化学物質を少なくとも約7〜10日間程度の投与が通常であり、より短期間で雄性ホルモン系活性を検定することができる方法の開発が待ち望まれている。
さらにまた、雄性ホルモン依存性器官・組織の重量を測定する方法では、雄性ホルモン系活性を有する化学物質と、雄性ホルモン系活性を有さないが、雄性ホルモン依存性器官・組織の細胞増殖に影響を与えることにより、その重量に影響を与える化学物質とを区別して、正確に雄性ホルモン系活性を検定することができなかった。このため、これらを区別してできるだけ正確かつ簡便に雄性ホルモン系活性を検定することができる方法の開発が切望されている。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子(具体的にはmRNA)の発現レベルが雄性ホルモンに関連して変動することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.化学物質が有する雄性ホルモン系活性を検出するためのマーカーとしての、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子の使用;
2.化学物質が有する雄性ホルモン系活性の検定方法であって、
(1)化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体における、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子の発現レベルを測定する第一工程、及び
(2)第一工程で得られた前記検体における遺伝子の発現レベルの測定値を当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記検体における化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無或いはその発生程度を評価する第二工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明検定方法と記すこともある。);
3.検体が、雄性ホルモン依存性器官を構成する細胞又はその内容物が含まれる可能性のある生体試料であることを特徴とする前項2記載の方法;
4.雄性ホルモン依存性器官が、前立腺腹葉、前立腺背側葉、精嚢、カウパー腺、陰茎亀頭、肛門挙筋、球海綿体筋を構成する細胞又はその内容物が含まれる可能性のある生体試料であることを特徴とする前項3記載の方法;
5.遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量又は翻訳産物量の測定によりなされることを特徴とする前項2、3又は4記載の方法;
6.遺伝子の発現レベルの対照値が、化学物質に予め接触していない哺乳動物由来の検体における当該遺伝子の発現レベルの値であることを特徴とする前項2、3、4又は5記載の方法;
7.化学物質に予め接触させられた哺乳動物が、化学物質と雄性ホルモンとの両者に予め接触させられた哺乳動物であることを特徴とする前項2、3、4、5又は6記載の方法;
8.第一工程が、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子の発現レベルを測定する工程であり、かつ、第二工程が、当該第一工程で得られた発現レベルの測定値が対照値と有意に異なることを指標とし、当該指標に基づいて検体における化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無或いはその発生程度を評価する工程であることを特徴とする前項2、3、4、5、6又は7記載の方法;
9.前項2〜8のいずれかに記載される方法により評価された、化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無又はその量に基づき雄性ホルモン系活性を有する化学物質を選抜する工程を有することを特徴とする雄性ホルモン系活性を有する化学物質の探索方法。
10.前項2〜9のいずれかに記載される方法により評価された、化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無又はその量に基づき雄性ホルモン系活性を有する化学物質若しくはその薬学的に許容される塩を有効成分として含み、当該有効成分が薬学的に許容される担体中に製剤化されてなることを特徴とする雄性ホルモン系薬剤;
11.第一工程の前工程として、
(A)精巣が摘出された哺乳動物を、精巣摘出後の体重増加量及び摂餌量が精巣摘出前の体重増加量及び摂餌量と同等なレベルに回復するまで飼育する第A工程、
(B)第A工程により飼育された哺乳動物に対して化学物質を投与する第B工程、及び
(C)第B工程後、化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体を得るために、化学物質が投与された哺乳動物から、当該哺乳動物由来の検体を単離する第C工程、
を追加的に有することを特徴とする前項2記載の方法;
12.DNA又はRNAを検出のための組成物であって、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子を含有することを特徴とする化学物質が有する雄性ホルモン系活性を検出するための組成物;
13.マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子が担体上に固定化されてなることを特徴とする前項12記載の組成物;
等を提供するものである。
本発明によって、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子の発現レベルを指標とした、化学物質が有する雄性ホルモン系活性の正確かつ簡便な検定方法等が提供可能となる。当該検定方法を用いれば、化学物質が有する雄性ホルモン系活性をより短期間で検定することもできる。
本発明において検体とは、例えば、雄性ホルモン依存性器官を構成する細胞(ここで「細胞」とは、哺乳動物から採取された下記のような組織内に存在している状態にある細胞も含んでよい。)又はその内容物が含まれる可能性のある生体試料をあげることができ、具体的には例えば、被験哺乳動物から採取された前立腺腹葉、前立腺背側葉、精嚢、カウパー腺、陰茎亀頭、肛門挙筋、球海綿体筋等の組織或いはこれら組織から分離された細胞又はその培養細胞等を挙げることができる。これらの試料はそのまま検体として用いてもよく、また、かかる試料から分離、分画、固定化等の種々の操作により調製された試料を検体として用いてもよい。検体を提供する哺乳動物としては、例えば、ラット、マウス等のげっ歯類動物等を挙げることができる。好ましくは、3週齢(生後3週間経過した個体)以上のげっ歯類動物が挙げられる。
本発明において発現レベルが測定される遺伝子は、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体(以下、M6P/IGF2Rと記すこともある。例えば、配列番号1で示される塩基配列と併記されるアミノ酸配列からなるタンパク質)遺伝子又はそのオ−ソログ(以下、一括して本遺伝子と記すこともある。)から選ばれる1以上の遺伝子である。M6P/IGF2R遺伝子は、登録番号NM012756でGenbankに登録されている塩基配列(例えば、配列番号1で示される塩基配列)を有する遺伝子であって、雄性ホルモン系活性検出用マーカーとして有用である。
Genbankに登録されている塩基配列に関する情報は、例えば、National Center for Biotechnology Information のWEBペ−ジ(URL;http://www.ncbi.nlm.nih.gov)から、Genbankによって各遺伝子に付与されている上記の登録番号 (Accession No.)をもとに検索を行うことによって入手することができる。因みに、GenBnak、DDBL及びEMBLの各デ−タバンクが公開しているデ−タ全てを誰でも制限なしで利用でき、INSDに登録されたデ−タは科学資料として永久に保存され公開されることは、上記3デ−タバンクで構成される国際塩基配列デ−タベ−ス(international Nucleotide Sequence Databases, INSD)の諮問機関である国際諮問委員会により作成された「DDBL/EMBL/GenBnakの登録デ−タの取り扱い」(2002年5月23−24日)で明文化されており、如何なる当業者であっても登録番号 (Accession No.)に基づきデ−タの照合、検索、入手等は可能である。
本発明において利用される本遺伝子には、上記の公知の塩基配列と全く同一の塩基配列を有する遺伝子のほか、前記の遺伝子の塩基配列に、生物の種差、個体差若しくは器官、組織間の差異等により天然に生じる変異による塩基の欠失、置換若しくは付加が生じた塩基配列を有する遺伝子も含まれる。
本遺伝子の発現レベルの測定は、例えば、単位量の検体当たりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体当たりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができる。
本遺伝子の転写物量を測定するには、例えば、当該遺伝子の転写物であるmRNA量を測定する。特定の遺伝子のmRNA量の測定は、具体的には、例えば、定量的リアルタイム−ポリメラ−ゼチェイン反応(以下、定量的RT−PCRと記す。)、ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法[J.Sambrook, E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラ−・クロ−ニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コ−ルドスプリング・ハ−バ−・ラボラトリ−(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年]、DNAアレイ法、インサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法等により実施することができる。
また、本遺伝子の翻訳産物量を測定するには、例えば、本遺伝子の塩基配列にコ−ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質の量を測定する。特定の蛋白質の量の測定は、具体的には、例えば、当該蛋白質に対する特異抗体を用いた免疫学的測定法(例えば、ELISA、ウェスタンブロット、RIA、免疫組織化学的検査等)、二次元電気泳動法、高速液体クロマトグラフィ−等により実施することができる。本遺伝子の塩基配列にコ−ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質に対する特異抗体は、常法に準じて、本遺伝子の塩基配列にコ−ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質を免疫抗原として調製することができる。
本遺伝子の転写物量の測定方法についてさらに説明する。
本遺伝子の転写物であるmRNA量は、例えば、本遺伝子の塩基配列に基づいて設計、調製されたプロ−ブ又はプライマ−を使用して、通常の遺伝子工学的方法、例えば、ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法、定量的RT−PCR、DNAアレイ法、インサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法等を用いることによって測定することができる。具体的には、例えば、J.Sambrook, E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラ−・クロ−ニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コ−ルドスプリング・ハ−バ−・ラボラトリ−(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、1989年等に記載された方法に準じて行うことができる。この際、組織における発現レベルが恒常的に一定であることが知られている遺伝子(以下、対照遺伝子と記す。)、例えば、β−actin遺伝子(Nucl.Acids.Res., vol.12,No.3, p.1687,1984)や36B4(Acidic Ribosomal Phosphoprotein)(Nucl.Acids.Res., vol.19,No.14, p.3998,1991)遺伝子等のmRNA量を同時に測定しても良い。そして、対照遺伝子のmRNA量若しくはその指標値当たりの本遺伝子のmRNA量又はその指標値を算出することにより、本遺伝子の発現レベルを求めてもよい。
(1.ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)
まず、mRNA量を測定しようとする遺伝子のDNAを調製し、次いで、その全部又は一部からなるDNAを標識してプロ−ブを調製する。
上記遺伝子は、市販のcDNA(例えば宝酒造から入手)又は以下に示した方法により調製したcDNAを鋳型にしてPCR等によって調製することができる。例えば、まず当該遺伝子を発現する組織から、塩酸グアニジン/フェノ−ル法、SDS−フェノ−ル法、グアニジンチオシアネ−ト/CsCl法等の通常の方法によって全RNAを抽出する。例えばISOGEN(ニッポンジ−ン製)等の市販のキットを利用して全RNAを抽出してもよい。
抽出された全RNAから、例えば、以下のようにしてmRNAを調製する。まず、オリゴdTをリガンドとして有するポリAカラムを5倍カラム容量以上のLoading buffer[20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.5M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)SDS]を用いて、平衡化し、続いて前述の方法で調製された全RNAをカラムにかけ、10倍カラム容量のloading bufferで洗浄する。さらに5倍カラム容量のWashing buffer[20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.1M NaCl、1mM EDTA、0.1%(w/v)SDS]で洗浄する。続いて、3倍カラム容量のelution buffer[10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、1mM EDTA、0.05%(w/v)SDS)でmRNAを溶出させることによってmRNAを得る。
次いで、オリゴdTプライマ−を前記全RNA又はmRNAのポリA鎖にアニ−ルさせ、例えばcDNA合成キット(宝酒造)のプロトコ−ルに従って、一本鎖cDNAを合成する。この時、鋳型とするRNAは、全RNA又はmRNAのどちらでも良いが、mRNAを用いる方がより好ましい。
前記一本鎖cDNAを鋳型にして、TaKaRa taq(宝酒造)等のDNA polymeraseを用いてPCRすることにより、DNAを増幅する。PCRの条件は、測定対象とする動物の種類、使用するプライマ−の配列等により異なるが、例えば、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、2.5mM NTP存在下で、94℃,30秒間次いで40℃〜60℃,2分間さらに72℃,2分間の保温を1サイクルとしてこれを30〜55サイクル行う条件等を挙げることができる。
このようにして増幅された本遺伝子のDNAはpUC118等のベクタ−に挿入してクロ−ニングしておいてもよい。当該DNAの塩基配列は、Maxam Gilbert法 (例えば、Maxam,A.M&W.Gilbert, Proc.Natl.Acad.Sci.,74,560,1977 等に記載される)やSanger法(例えばSanger,F.&A.R.Coulson,J.Mol.Biol.,94,441,1975 、Sanger,F,& Nicklen and A.R.Coulson., Proc.Natl.Acad.Sci.,74,5463,1977等に記載される)等により確認することができる。
このようにして調製された本遺伝子のDNAの全部又はその一部を、次のようにして放射性同位元素や蛍光色素等で標識することによりプロ−ブを調製することができる。例えば、上記のようにして調製されたDNAを鋳型とし、当該DNAの塩基配列の部分配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマ−に用いて、[α−32P]dCTP又は[α−32P]dATPを含むdNTPを反応液に添加してPCRを行うことにより32Pで標識されたプロ−ブが得られる。また、上記のようにして調製されたDNAを、例えば、Random prime labeling Kit(ベ−リンガ−マンハイム社)、MEGALABEL(宝酒造)等の市販の標識キットを用いて標識してもよい。
次に、上記プロ−ブを使用して、ノ−ザンハイブリダイゼ−ション分析を行う。具体的には、本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から全RNA又はmRNAを調製する。調製された全RNA 20μg又はmRNA 2μgをアガロ−スゲルで分離し、10×SSC(1.5M NaCl、0.35Mクエン酸ナトリウム)で洗浄した後、ナイロンメンブラン[例えば、Hybond−N(アマシャム製)等]に移す。ポリエチレン袋にメンブランを入れ、ハイブリダイゼ−ションバッファ−〔6×SSC(0.9M NaCl、0.21Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液[0.1%(w/v)フィコ−ル400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1%BSA]、0.1%(w/v)SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA、50%ホルムアミド〕25mlを加えて、50℃、2時間インキュベ−トした後、ハイブリダイゼ−ションバッファ−を捨て、新たに2ml〜6mlのハイブリダイゼ−ションバッファ−を加える。更に上記方法で得られたプロ−ブを加え、50℃、一晩インキュベ−トする。ハイブリダイゼ−ションバッファ−としては、上記のほかに、市販のDIG EASY Hyb(ベ−リンガ−マンハイム社)等を用いることができる。メンブランを取り出して、50〜100mlの2×SSC、0.1% SDS中で室温、15分間インキュベ−トし、さらに同じ操作を1回繰り返し行い、最後に50〜100mlの0.1×SSC、0.1% SDS中で68℃、30分間インキュベ−トする。メンブラン上の標識量を測定することにより、本遺伝子の転写産物であるmRNAの量を測定することができる。
(2.定量的RT−PCR)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに例えばMMLV(東洋紡)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、10mM DTT]中、0.5mM dNTP及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させ、対応するcDNAを調製する。cDNA合成キット(宝酒造)を用いて対応するcDNAを調製しても良い。調製されたcDNAを鋳型にして、本遺伝子の塩基配列の一部分を有するDNAをプライマ−としてPCRを行う。プライマ−としては、例えば、Genbankに登録番号NM012756で登録されている塩基配列を有する本遺伝子の部分塩基配列を有するプライマ−を挙げることができる。PCRの条件としては、例えば、例えば、TAKARA taq(宝酒造)を使用し、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、2.5mM dNTP及び[α32P]−dCTP存在下で、例えば、94℃,30秒間次いで40℃〜60℃,2分間さらに72℃,2分間の保温を1サイクルとしてこれを30〜55サイクル行う条件を挙げることができる。増幅されたDNAをポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、分離されたDNAの放射活性量を測定することにより、本遺伝子のmRNAの量を測定することができる。或いはまた、例えば、TAKARA taq(宝酒造)を使用し、反応緩衝液[10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM KCl,1.5mM MgCl2]中、SYBR Green PCR ReagentsPCR(ABI社) 25μlを含む50μlの反応液を調製し、ABI7700(ABI社)を用いて、50℃,2分間次いで95℃,10分間の保温の後、95℃,15秒間次いで60℃,1分間の保温を1サイクルとしてこれを40サイクル実施する条件でPCRを行う。増幅されたDNAの蛍光を測定することにより、本遺伝子のmRNAの量を測定することができる。
(3.DNAアレイ解析)
本発明の転写物量の測定には、ナイロンメンブラン等のメンブランフィルタ−等に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されるマクロアレイ、スライドガラス等に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されるマイクロアレイ、スライドガラス上に本遺伝子の塩基配列の部分配列を有するオリゴヌクレオチド(通常18〜25merの鎖長)を光化学反応を利用して固定して作製されるプロ−ブアレイ等、公知の技術に基づいたDNAアレイを利用することができる。これらのアレイの作製は、例えばゲノム機能研究プロトコ−ル 実験医学別冊(羊土社刊)等に記載された方法に準じて行うことができる。またAffymetrix社等から市販されているGenechip等を利用することもできる。
以下、DNAアレイを用いて本遺伝子の転写物量を測定する方法の一例を示す。
(3−1.マクロアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えばMMLV(東洋紡社)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[例えば50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、及び10mM DTTを含む液]中、0.5mMdNTP、[α32P]−dCTP、及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させて、標識DNAを調製し、これをプロ−ブとする。このとき、cDNA合成キット(宝酒造)等を用いても良い。メンブランフィルタ−に本遺伝子のcDNAをスポットして作製されたマクロアレイをポリエチレン袋に入れ、ハイブリダイゼ−ションバッファ−〔6×SSC(0.9M NaCl、0.21Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハルト溶液[0.1%(w/v)フィコ−ル400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.1% BSA]、0.1%(w/v) SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA、50%ホルムアミド〕25mlを加えて、50℃、2時間インキュベ−トした後、ハイブリダイゼ−ションバッファ−を除去し、新たに2ml〜6mlのハイブリダイゼ−ションバッファ−を添加する。更に上記プロ−ブを加え、50℃、一晩インキュベ−トする。ハイブリダイゼ−ションバッファ−としては、上記のほかに、市販のDIG EASY Hyb(ベ−リンガ−マンハイム社)等を用いることもできる。マクロアレイを取り出して、50ml〜100mlの2×SSC、0.1% SDSに浸し室温にて15分間程度インキュベ−トした後、さらに同じ操作を1回繰り返し行い、最後に50ml〜100mlの0.1×SSC、0.1% SDS中で68℃、30分間インキュベ−トする。マクロアレイ上の標識量を測定することにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(3−2.マイクロアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えばMMLV(東洋紡社)等の逆転写酵素を添加し、反応緩衝液[例えば、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)、3mM MgCl2、75mM KCl、及び10mM DTTを含む液]中、0.5mM dNTP、Cy3−dUTP、(又はCy5−dUTP)及び25μg/mlオリゴdT存在下で42℃、15分間〜1時間反応させる。アルカリバッファ−(例えば、1N NaOH、20mM EDTAを含む液)を加え、65℃10分間保温した後、MicroconYM−30等を用いて遊離のCy3又はCy5を除くことにより蛍光標識DNAを調製し、これをプロ−ブとする。得られたプロ−ブを用いてマイクロアレイに対して(3−1 DNAマクロアレイによる定量)に記載された方法と同様にしてハイブリダイゼ−ションを行う。アレイ上のシグナル量をスキャナ−により測定することによって、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(3−3.プロ−ブアレイによる定量)
本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞から上記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載された方法と同様の方法でmRNAを調製する。調製されたmRNAに、例えば、cDNA合成キット(GENSET社)等を用いてcDNAを調製する。調製されたcDNAを、例えば、ビオチンラベル化cRNA合成キット(In Vitro Transcription社)(Enzo社)等によりビオチン標識し、cRNA cleanup and quantitation キット(In Vitro Transcription社)により精製する。生成されたビオチン標識DNAをFragmentation バッファ−(200mMトリス酢酸(pH8.1)、500mM KOAc、150mM MgOAc)により断片化する。これに内部標準物質Contol Oligo B2 (Amersham社製)、100×Control cRNA Cocktail、Herring sperm DNA (Promega社製)、Acetylated BSA(Gibco−BRL社製)、2×MES Hybridization Buffer〔200mM MES、2M [Na], 40mM EDTA、0.02% Tween20 (Pierce社製)、pH6.5〜6.7〕及びDEPC処理滅菌蒸留水を加え、ハイブリカクテルを作製する。
1×MESハイブリダイゼ−ションバッファ−で満たしたプロ−ブアレイ[例えば、Genechip(Affymetrix社製)等]を、ハイブリオ−ブン内で、45℃、60rpm、10分間回転させた後、1×MESハイブリダイゼ−ションバッファ−を除去する。その後、該プロ−ブアレイに上記のハイブリカクテル200μlを添加し、ハイブリオ−ブン内で45℃、60rpm、16時間回転させる(ハイブリダイゼ−ション)。続いてハイブリカクテルを除去し、Non−Stringent Wash Buffer〔6×SSPE[20×SSPE(ナカライテスク社製)を希釈]、0.01% Tween20、及び0.005% Antifoam0−30(Sigma社)を含む〕で満たした後、GeneChip Fluidics Station 400(Affymetrix社製)の所定の位置に上記プロ−ブアレイを装着し、プロトコ−ルに従って洗浄する。次いで、MicroArray Suite(Affymetrix社)の染色プロトコ−ルEuKGE−WS2に従って該プロ−ブアレイを染色する。HP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)により570nmの蛍光輝度を測定することにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量、即ち、本遺伝子の発現量を測定することができる。
(4.インサイチュ−ハイブリダイゼ−ション法)
基本的には1)組織の固定、包埋、及び切片の作製、2)プロ−ブの調製、3)ハイブリダイゼ−ションによる検出からなり、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたRNA又はDNAをプロ−ブとすること以外は、例えば、Heiles,H.et al., Biotechniques,6,978,1988、遺伝子工学ハンドブック 羊土社 278 1991、細胞工学ハンドブック,羊土社,214,1992、細胞工学ハンドブック,羊土社,222,1992等に記載される方法に準じて行うことができる。
RNAプロ−ブを調製する場合には、まず、例えば前記(1 ノ−ザンハイブリダイゼ−ション法)に記載した方法と同様にして本遺伝子のDNAを取得し、当該DNAをSP6、T7、T3RNAポリメラ−ゼプロモ−タ−をもったベクタ−(例えばStratagene社のBluescript、Promega社のpGEM等)に組み込んで大腸菌に導入し、プラスミドDNAを調製する。次いで、センス(ネガティブコントロ−ル用)、アンチセンス(ハイブリダイゼ−ション用)RNAができるようにプラスミドDNAを制限酵素で切断する。これらDNAを鋳型とし、放射性標識の場合はα−35S−UTP等、非放射性標識の場合にはディゴキシゲニンUTP又はフルオレセイン修飾UTP等を基質として、SP6、T7、T3RNAポリメラ−ゼを用いてRNAを合成しながら標識し、アルカリ加水分解によりハイブリダイゼ−ションに適したサイズに切断することによって、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたRNAを調製する。尚、これらの方法に基づいたキットとしては、例えば、放射性標識用にはRNAラベリングキット(アマシャム社)が、非放射性標識用にはDIG RNAラベリングキット(ベ−リンガ−・マンハイム社)やRNAカラ−キット(アマシャム社)が市販されている。
また、DNAプロ−ブを調製する場合には、例えば、32P等で標識した放射性ヌクレオチド又はビオチン、ディゴキシゲニン若しくはフルオレセインで標識したヌクレオチドを、ニックトランスレ−ション法(J.Mol.Biol.,113,237,Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.,10,6−10,12,Cold Spring Harbor Lab.)又はランダムプライム法(Anal.Biochem., 132,6,Anal.Biochem.,137,266)によって取り込ませることによって、あらかじめ放射性若しくは非放射性物質で標識されたDNAを調製する。これらの方法に基づいたキットとしては、例えば、放射性標識用にはニックトランスレ−ションキット(アマシャム社)やRandom Prime Labeling Kit(ベ−リンガ−マンハイム社)が、非放射性標識用にはDIG DNA標識キット(ベ−リンガ−マンハイム社)、DNAカラ−キット(アマシャム社)等が市販されている。
具体的には、本遺伝子の発現レベルを測定しようとする組織又は細胞をパラホルムアルデヒド等で固定し、パラフィン等に包埋した後、薄切切片を作製しスライドグラスに張り付ける。又は、上記の組織又は細胞をOCTコンパウンドに包埋後、液体窒素又は液体窒素で冷却したイソペンタン中にて凍結させ、その薄切切片を作製し、スライドグラスに張り付ける。このようにしてスライド標本を得る。
次に、上記の組織又は細胞中にあって使用されるプロ−ブと非特異的に反応する物質を除去するために、上記のようにして作製されたスライドグラス切片をプロテイナ−ゼK処理し、アセチル化する。次いで、該スライドグラス切片と上記のようにして調製されたプロ−ブとのハイブリダイゼ−ションを行う。例えば、上記のプロ−ブを90℃で3分間加熱した後ハイブリダイゼ−ション溶液で希釈し、該溶液を前処理の終了したスライドグラス切片上に滴下してフィルムでおおい、モイスチャ−チャンバ−中で45℃、16時間保温することにより、ハイブリッドを形成させる。ハイブリダイゼ−ションの後、非特異的吸着又は未反応プロ−ブを洗浄等(RNAプロ−ブを用いた場合はRNase処理も加える)により除去する。転写物量は、例えば、スライドグラス切片上の標識量を測定すること、或いは薄切切片中のラジオアイソト−プ若しくは蛍光活性を示す部分の面積若しくは細胞数をカウントすることにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量又はそれに相当する値を測定することができる。
本発明検出方法においては、本遺伝子の検体における発現レベルを、上述のようにして測定する。
本遺伝子の発現レベルの測定は、上述のようにして、単位量の検体当たりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体当たりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができ、本遺伝子の転写物量又は翻訳産物量を測定する方法を好ましく挙げることができる。
上記のようにして得られた前記検体における本遺伝子の発現レベルの測定値を、当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記検体における化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無或いはその発生程度を評価する。
本遺伝子の発現レベルの対照値としては、例えば、化学物質に予め接触していない哺乳動物由来の検体における当該遺伝子の発現レベルの値を挙げることができる。かかる対照値は、化学物質に予め接触していない哺乳動物由来の検体における本遺伝子の発現レベルを、化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体における当該遺伝子の発現レベルと併行して測定して求めてもよいし、別途測定して求めてもよい。また、雄性ホルモン系活性を有する公知の化学物質又は雄性ホルモン系活性を有しない公知の化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体における本遺伝子の発現レベルを測定して求めてもよい。
例えば、化学物質に予め接触していない哺乳動物由来の検体における本遺伝子の発現レベルの値を対照値として、化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体における、当該遺伝子の発現レベルの測定値が対照値よりも異なれば、当該化学物質は雄性ホルモン系活性を有すると評価することができる。
より具体的には例えば、雄性ホルモン系活性が雄性ホルモン活性である場合には、対照哺乳動物由来の前立腺組織等の検体におけるM6P/IGF2R遺伝子(具体的には例えば、M6P/IGF2RのmRNA)又はそのオ−ソログの発現レベルの値を対照値として、被験哺乳動物由来の前立腺組織等の検体におけるM6P/IGF2R遺伝子(具体的には例えば、M6P/IGF2RのmRNA)又はそのオーソログの発現レベルの測定値が対照値よりも低ければ、化学物質に雄性ホルモン活性があると検定することができる。
一方、雄性ホルモン系活性が抗雄性ホルモン活性である場合には、対照哺乳動物由来の前立腺組織等の検体におけるM6P/IGF2R遺伝子(具体的には例えば、M6P/IGF2RのmRNA)又はそのオ−ソログの発現レベルの値を対照値として、被験哺乳動物由来の前立腺組織等の検体におけるM6P/IGF2R遺伝子(具体的には例えば、M6P/IGF2RのmRNA)又はそのオーソログの発現レベルの測定値が対照値よりも高ければ、化学物質に抗雄性ホルモン活性があると検定することができる。
本発明検定方法においては、化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体が用いられるが、このような検体は、本発明検定方法の第一工程の前工程として、
(A)精巣が摘出された哺乳動物を、精巣摘出後の体重増加量及び摂餌量が精巣摘出前の体重増加量及び摂餌量と同等なレベルに回復するまで飼育する第A工程、
(B)第A工程により飼育された哺乳動物に対して化学物質を投与する第B工程、及び
(C)第B工程後、化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体を得るために、化学物質が投与された哺乳動物から、当該哺乳動物由来の検体を単離する第C工程、
を追加的に有する方法により調製すればよい。
前工程(A)に関して、精巣が摘出された哺乳動物は、例えば、以下のように調製すればよい。
まずエーテル等の適切な麻酔薬を用いて被験哺乳動物に麻酔をかける。腹部を上にして当該被験動物を手術台に置き、陰嚢及びその周辺をアルコール綿等で消毒する。陰嚢の皮膚を6mm程度切開し、その下の筋膜を切開する。さらに精巣の周りの精巣鞘膜を切開し精巣をピンセットでつまみ出す。輸精管や精巣血管をそれらに付着している脂肪体と一緒に縫合糸で結紮し、精巣のみ又は精巣と精巣上体とを一緒に摘出する。対側の精巣も同様に摘出する。筋膜と皮膚とを合わせて縫合糸又は縫合器で縫合する。傷口をヨードチンキ等で消毒する。
このような手順により精巣の摘出を行うとよい。
次いで、精巣が摘出された哺乳動物を、精巣摘出後の体重増加量及び摂餌量が精巣摘出前の体重増加量及び摂餌量と同等なレベルに回復するまで飼育するには、例えば、以下のように行えばよい。
まず、天秤を用いて毎日1回体重を被験哺乳動物の個体別に測定し、前日からの差を体重増加量とする。摂餌量については、餌を入れた給餌器の重量を天秤で測定した後、当該餌を当該哺乳動物に与え、2日後に残餌の重量を給餌器込みで測定し、両者の差を仮摂餌量とする。ケージ当たりの実験動物数及び測定期間(2日)で補正し、1日1匹当たりの摂餌量を算出する。このようにして、精巣摘出後の体重増加量及び摂餌量が精巣摘出前の体重増加量及び摂餌量と同等程度(例えば、約95から105%程度)にまで回復するまで飼育する。通常、約1〜2週間の飼育期間を設置するとよい。
前工程(B)に関して、哺乳動物に対して化学物質を投与する方法としては、例えば、経口(強制又は飲料水や餌に混じ)、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔内、経気道等により行うことができる。投与量、投与回数及び投与期間は、例えば、全身状態、全身諸器官組織等に重篤な影響を及ぼさない範囲内(例えば投与量は、最大耐量)とすればよい。
このようにして、被験哺乳動物から採取された前立腺腹葉、前立腺背側葉、精嚢、カウパー腺、陰茎亀頭、肛門挙筋、球海綿体筋等の組織或いはこれら組織から分離された細胞又はその培養細胞と、化学物質とを間接的な手段によって接触させることができる。
より具体的には例えば、第A工程により飼育された哺乳動物に対して化学物質を投与するには、以下のように行えばよい。
前記被験哺乳動物に対して化学物質を、例えば、3日間以上、少なくとも1日1回以上、経口投与、皮下投与又は吸入投与する。
当該工程における化学物質の経口投与は、例えば、以下の手順で行えばよい。
まず、投与液の作製に関して、化学物質を必要量秤量し、これをそのまま投与液とする。必要に応じて適当な溶媒(コーンオイルや約0.25〜1.0%のメチルセルロース溶液等)を用いて溶液又は均一な懸濁液を作製する。経口投与は注射筒及び弾性カテーテル等を用いて1匹当たり約5〜10mL/kg/dayの液量で少なくとも1日1回以上経口投与する。これを3日間以上継続して行う。
当該工程における化学物質の皮下投与は、例えば、以下の手順で行えばよい。まず、投与液の作製に関して、化学物質を必要量秤量し、これをそのまま投与液とする。必要に応じて適当な溶媒(コーンオイルや約0.25〜1.0%のメチルセルロース溶液等)を用いて溶液又は均一な懸濁液を作製する。皮下投与は注射筒及び注射針等を用いて、1匹当たり約0.5〜1mL/kg/dayの液量で少なくとも1日1回以上皮下投与する。これを3日間以上継続して行う。
当該工程における化学物質の吸入投与は、例えば、以下の手順で行えばよい。まず、投与液の作製に関して、化学物質を必要量秤量し、これをそのまま投与液とする。必要に応じて適当な溶媒(コーンオイルやアセトン等)を用いて作製した溶液を噴霧装置に装着する。吸入投与は適当な曝露チャンバーを用いて、実験動物の自発呼吸により吸引させることにより行う。少なくとも、1日1回以上、1回当たり連続約4時間以上吸入投与する。これを3日間以上継続して行う。
尚、上記の方法において、(1)精巣が摘出された後、テストステロン等の雄性ホルモンが投与されていない哺乳動物を利用する場合には、化学物質が有する雄性ホルモン活性(具体的には例えば、雄性ホルモン受容体を介する情報伝達系への刺激作用又は雄性ホルモンの分解阻害作用等に相当する活性)を評価する場合に用いられる。一方、(2)精巣が摘出された後、テストステロン等の雄性ホルモンが投与された哺乳動物を利用する場合には、化学物質が有する抗雄性ホルモン活性(具体的には例えば、雄性ホルモン受容体を介する情報伝達系への阻害作用又は雄性ホルモンの分解促進作用等に相当する活性)を評価する場合に用いられる。
ここで「雄性ホルモン」としては、例えば、テストステロン、テストステロンプロピオネート、メチルテストステロン、テストステロンβ−シクロペンチルプロピオネート、テストステロンエナントエート等のテストステロンエステル、視床下部又は下垂体に働いて性腺刺激ホルモンの分泌を抑制する作用を有するテストステロン様化合物等を挙げることができる。
後者(2)の場合において、化学物質の投与と同時に雄性ホルモンを約0.1〜1mg/kg/dayの割合で体重値を補正した投与量を少なくとも1日1回以上皮下投与するには、まず、雄性ホルモンを必要量秤量する。次に、秤量された雄性ホルモンを適当な溶媒(コーンオイルが望ましい。)を用いて溶解した後、これを1匹当たり約0.5〜1mL/kg/dayの液量で、肩甲部に少なくとも1日1回以上皮下投与する。
尚、投与液の逆流を防ぐため、化学物質の投与を先に実施し、その後、すみやかに(例えば20分以内)に雄性ホルモンを投与するのが望ましい。
前工程(C)に関して、第B工程後、化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体を得るために、化学物質が投与された哺乳動物から、当該哺乳動物由来の検体を単離するには、当該分野における通常の方法により行えばよい。
より具体的には例えば、まず、最終投与(前工程(B))の翌日、被験哺乳動物をエーテル等の適切な麻酔薬により麻酔する。次に、麻酔された被験哺乳動物の腹大動脈から採血し致死させた後、当該哺乳動物から前立腺(腹葉又は背側葉)を摘出する。摘出された前立腺について、紙ウエス等により水分を吸収させた後、定法に準じて天秤用いて前立腺の湿重量を測定するとよい。
尚、次の工程に即座に着手できない場合には、重量測定後、前立腺をRNA later中にて保存するか、又は、例えば、液体窒素等を用いて前立腺を即座に凍結し、−80℃で保存すればよい。
次に、上記のようにして化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体における本遺伝子の発現レベルを、上述のようにして測定する。
本遺伝子の発現レベルの測定は、上述のようにして、単位量の検体当たりの本遺伝子の転写物量を測定する方法、単位量の検体当たりの本遺伝子の翻訳産物量を測定する方法等により行うことができ、本遺伝子の転写物量を測定する方法を好ましく挙げることができる。
上記のようにして化学物質に予め接触させられた哺乳動物由来の検体における本遺伝子の発現レベルの測定値を、当該遺伝子の発現レベルの対照値と比較し、その差異に基づいて前記検体における化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無或いはその発生程度を評価する。
さらに、上記のような本発明検定方法は、雄性ホルモン系活性を有する化学物質の探索等に利用することができる。具体的には、本発明検定方法により評価された雄性ホルモン系活性の有無又はその量に基づき雄性ホルモン系活性を有する化学物質を選抜することによって、雄性ホルモン系活性を有する化学物質を探索することができる。勿論、本発明検定方法は内分泌攪乱作用を有する化学物質の検出等にも応用することもできる。
選抜された雄性ホルモン系活性を有する化学物質若しくはその薬学的に許容される塩は、雄性ホルモン系薬剤の有効成分として用いることができる。当該有効成分を薬学的に許容される担体中に製剤化することにより、雄性ホルモン系薬剤を製造することができる。
尚、選抜された抗雄性ホルモン活性を有する化学物質は、例えば、前立腺癌等の抗がん剤としても利用することも期待される。
上記の雄性ホルモン系活性を有する化学物質は、当該化学物質の薬学的に許容される塩(例えば、酸付加塩又は塩基付加塩)の形で雄性ホルモン系薬剤の有効成分として利用してもよい。酸付加塩としては、例えば、無機酸付加塩又は有機酸付加塩が挙げられ、無機酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、燐酸塩等が挙げられ、有機酸付加塩としては、例えば、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩等が挙げられる。塩基付加塩としては、例えば、無機塩基付加塩又は有機塩基付加塩が挙げられ、無機塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、有機塩基付加塩としては、例えば、アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸付加塩等が挙げられる。かかる塩は公知の手段によって製造することができる。
また、上記の雄性ホルモン系活性を有する化学物質は、当該化学物質の薬学的に許容される塩の水和物等の溶媒和物の形で雄性ホルモン系薬剤の有効成分として利用してもよい。
当該雄性ホルモン系薬剤の投与は、通常の投与経路、例えば経口、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔内、鼻孔内等により行うことができる。投与量及び投与回数は投与経路、症状の程度、年齢、体重等によって異なるが、通常は成人1日当たり約1mg乃至1gを1日1回又はそれ以上の回数で投与される。投与剤形としては、例えば散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、座剤、注射剤、経鼻剤等が挙げられる。製剤化の際は、通常の製剤担体を用い、常法により製造することができる。即ち、経口用製剤を調製する場合には、必要に応じて結合剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤等を加えた後、常法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等とする。注射剤を調製する場合には、必要に応じてpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤等を添加し、常法により注射剤とすることもできる。
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 (M6P/IGF2R遺伝子の発現レベルの雄性ホルモン関連性)
(1)精巣摘出
抗雄性ホルモン活性を有する化合物に接触されられたと同様の作用を及ぼすと考えられる精巣摘出術を哺乳動物へ施した。具体的には、以下のとおりである。
9週齢のCrj:CD(SD)IGS雄ラット(日本チャールス・リバーから購入)を、1週間の検疫期間の後、10週齢で精巣を摘出する手術に供した。エーテル麻酔下、80%エタノール水溶液で下腹部を消毒した後、陰嚢切開式にて精巣摘出を実施した。即ち、陰嚢の皮膚を6mm程度切開し、その下の筋膜を切開した。さらに精巣の周りの精巣鞘膜を切開し精巣をピンセットでつまみ出し、輸精管及び精巣血管をそれらに付着している脂肪体と一緒に縫合糸で結紮した後、精巣と精巣上体とを一緒に摘出した。対側の精巣も同様に摘出した。筋膜と皮膚とを合わせて縫合器で縫合した後、傷口にヨードチンキを塗布することによって術後消毒を行った。
(2)テストステロンプロピオネートの投与
上記(1)により精巣を摘出された雄ラットのうち5例に、雄性ホルモン活性を有する化合物としてテストステロンプロピオネート(以下、TPと記すこともある。)を1mg/kg/dayの投与量で、かつ0.5mL/mg/dayの液量で、1日1回4日間、肩甲部に注射により皮下投与した(以下、TP投与群と記すこともある)。投与液は溶媒としてコーンオイルを用いた。
(3)前立腺の摘出及び重量測定
精巣摘出の1(翌日)、2、3、4、7及び10日後に、精巣摘出動物又は正常動物(精巣未摘出動物)をエーテル麻酔下で腹大動脈から放血させて安楽死させた(5匹/時点)。致死後、ラットから前立腺を摘出し、すみやかに天秤を用いて湿重量を測定した。その結果、精巣摘出術を施された動物の前立腺重量は術後3日目以降に、正常動物の前立腺重量と比較して、低い値を示した(図1参照)。また、TP投与群では前立腺重量低下は認められなかった。尚、重量測定後、前立腺をRNA later中に入れ、その後24時間(室温)浸漬させたのち、-80℃で保存した。
(4)total RNAの調製
上記(3)で保存した精巣摘出哺乳動物及び正常哺乳動物の前立腺組織について、それぞれ湿重量50〜100mgに対して1mlのISOGEN(株式会社 ニッポンジーン社製)を加え、氷冷しながらポリトロンホモジナイザーにてホモジナイズし、5分間室温で放置した。次いで、0.2mlのクロロホルム(関東化学社製)を添加し、15秒間上下に激しく撹拌した後、5分間室温で放置した。4℃、12,000g、15分間遠心分離した後、水層を1.5mlアシストチューブ(アシスト社製)に回収した。更に、0.5mlの2-プロパノール(関東化学社製)を添加して、転倒混和後、室温で10分間静置した。4℃、12,000g、10分間遠心分離後、上清を除去しペレットを得た。得られたペレットは、1mlの70%エタノール溶液で洗浄した。得られたペレットにDEPC処理滅菌蒸留水を20μl添加し、溶解し、total RNA溶液を得た。
(5)cDNAの調製
TaqMan Reverse Transcription Regents(ABI社製)に含まれる試薬(10x Taq Man RT buffer 1μL、25mM MgCl2 2.2μL、DeoxyNTPs Mixure 2μL、Oligo dT 0.5μL、RNase Inhibitor 0.2μL、MultiScribe RT 0.25μL)及びDEPC処理滅菌蒸留水2.85μLを混合した。次いで、上記(3)で調製された精巣摘出哺乳動物及び正常哺乳動物の前立腺組織由来のtotal RNA 1μLを添加し、得られた混合液について、25℃、10分間、次いで48℃、30分間保温した後、95℃、5分間加熱することで、逆転写反応を行った。反応後は4℃で冷却し、cDNA溶液とした。
(6)遺伝子の発現解析
上記(4)で調製された精巣摘出哺乳動物及び正常哺乳動物それぞれの前立腺組織由来のcDNAを鋳型として、以下のようにしてPCRを行って増幅されたDNAを定量した。即ち、当該cDNA 2μl、Forwardプライマ−(配列番号2:5’ -CGG AAT GGA AGC TCG ATT ATT G- 3’)22.5pmol、Reverseプライマー(配列番号3:5’ -GTG TCG TCC TCA CTC TCA TCG TAT- 3’)22.5pmol、プローブ(配列番号4:5’ -TCT CAT CCA CCG CAC TGG TGG TTA TGA- 3’)6.25pmol及びTaqMan Universal Master Mix(ABI社) 12.5μlを含む25μlの反応液を調製し、GeneAmp5700 Sequence detection System(ABI社)を用いて、50℃ 5分間、次いで95℃ 10分間保温した後、95℃ 15秒、次いで60℃ 1分間の保温を1サイクルとしてこれを40サイクル実施する条件でPCRを行った。増幅されたDNAの量から、M6P/IGF2R遺伝子のmRNA量を測定した。また、対照遺伝子としてGlyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)遺伝子のmRNA量も同様の操作で測定した(Forwardプライマー 配列番号5:5’ -GCT GCC TTC TCT TGT GAC AAA GT- 3’、及び、Reverseプライマー 配列番号6:5’ -CTC AGC CTT GAC TGT GCC ATT- 3’、並びに、プローブ 配列番号7:5’ -TGT TCC AGT ATG ATT CTA CCC ACG GCA AG- 3’)。M6P/IGF2R遺伝子のmRNA量とGAPDH遺伝子のmRNA量の比を算出し、M6P/IGF2R遺伝子の発現レベルとし、精巣摘出哺乳動物の前立腺組織におけるM6P/IGF2R遺伝子の発現レベル及び正常哺乳動物の前立腺組織におけるM6P/IGF2R遺伝子の発現レベルをそれぞれ求めた。その結果、精巣摘出哺乳動物の前立腺組織における本遺伝子の発現レベルが、正常哺乳動物の前立腺組織における本遺伝子の遺伝子の発現レベルと比較して、術後1日目以降有意に高い値を示した(図2参照)。また、精巣摘出後4日間TPを投与した動物の前立腺組織における本遺伝子の発現レベルではその上昇は抑制された。
実施例2 (本発明検定方法の優位性確認のための評価)
実施例1(3)で前立腺の重量測定の結果、精巣摘出術を施された動物の前立腺重量は術後3日目以降に、正常動物の前立腺重量と比較して、有意に低い値を示した(図1参照)。一方、実施例1(6)でM6P/IGF2R遺伝子の発現レベルを求めた結果、精巣摘出哺乳動物の前立腺組織におけるM6P/IGF2R遺伝子の発現レベルが、正常哺乳動物の前立腺組織にM6P/IGF2R遺伝子の発現レベルと比較して、術後1日目以降有意に高い値を示した(表1参照)。従って、動物の前立腺組織におけるM6P/IGF2RのmRNAの発現量を測定することにより、前立腺重量を測定するより早期に抗雄性ホルモン活性を検定できることが確認された。
実施例3 (定量的RT−PCRを用いた雄性ホルモン系活性検定方法)
(1)哺乳動物への化学物質の投与
Crj:CD(SD)IGS雄ラット(日本チャールス・リバーから購入)に、化学物質を1日1回数日間反復強制投与する(化学物質投与群)。また、対照哺乳動物として、化学物質を含む投与液の代わりに、化学物質を含まない投与液を、被験哺乳動物と同様にして投与する(媒体投与群)。
(2)前立腺の摘出
化学物質を数日間反復投与後、被験哺乳動物及び対照哺乳動物をCO2にて安楽死させる。致死させた哺乳動物から前立腺を摘出し、RNA later中に入れ、24時間(室温)浸漬させたのち、-80℃で保存する。
(3)遺伝子の発現解析total RNAの調製
上記(2)で保存した被験哺乳動物の前立腺組織及び対照哺乳動物の前立腺組織について、実施例1(4)から(6)までと同様の操作にてM6P/IGF2RのmRNA又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子の発現レベルを求める。化学物質投与群(被験哺乳動物)の前立腺組織における本遺伝子の測定レベルが、媒体投与群(対照哺乳動物)の前立腺組織の本遺伝子の発現レベルより有意に低値であれば、当該化学物質は雄性ホルモン活性を有すると評価し、有意に高値であれば、当該化学物質は抗雄性ホルモン活性を有すると評価する。
実施例4 (定量的RT−PCRを用いたHushberger Assayの応用による雄性ホルモン系活性の検定方法)
(1)被験哺乳動物の準備及び精巣摘出
5週齢のCrj:CD(SD)IGS雄ラット(日本チャールス・リバーから購入)を、1週間の検疫期間の後、6週齢で精巣を摘出する手術に供した。エーテル麻酔下、80%エタノール水溶液で下腹部を消毒した後、陰嚢切開式にて精巣摘出を実施した。即ち、陰嚢の皮膚を6mm程度切開し、その下の筋膜を切開した。さらに精巣の周りの精巣鞘膜を切開し精巣をピンセットでつまみ出し、輸精管及び精巣血管をそれらに付着している脂肪体と一緒に縫合糸で結紮した後、精巣と精巣上体とを一緒に摘出した。対側の精巣も同様に摘出した。筋膜と皮膚とを合わせて縫合器で縫合した後、傷口にヨードチンキを塗布することによって術後消毒を行った。手術後の雄ラットは1週間の飼育期間をおき投与に供した。
(2)テストステロンプロピオネートの投与
上記(1)により回復するまでに飼育された雄ラットに、リファレンスケミカルとして、雄性ホルモン活性を有するテストステロンプロピオネート(以下、TPと記すこともある。)を0.2mg/kg/dayの投与量で、かつ0.5mL/mg/dayの液量で、1日1回数日間、肩甲部に注射により皮下投与した。投与液は、いずれも溶媒としてコーンオイルを用いた。TPの投与は、注射筒及び針を用いて投与し、化学物質の投与の後、20分間以内に投与した。
(3)化学物質の投与
上記(2)によりTPが投与された雄ラットに、化学物質として、p,p’-DDE 100mg/kg(DDE投与群)、フルタマイド 10mg/kg(フルタマイド投与群)、コルヒチン 0.54mg/kg(コルヒチン投与群)を1日1回数日間反復強制経口投与した。投与液は、いずれも溶媒としてコーンオイルを用いた。化学物質の投与は、注射筒及び弾性カテーテルを用いた。尚、対照哺乳動物として、化学物質を含む投与液の代わりに、化学物質を含まない投与液(コーンオイルのみ)を、被験哺乳動物と同様にして投与した(媒体投与群)。
(4)前立腺の摘出及び重量測定
1、4、10日間投与後に、被験ラット及び対照ラットをCO2にて安楽死させた(4匹/時点)。致死後、ラット前立腺を摘出し、速やかに天秤を用いて湿重量を測定した。その結果、4日間投与後のDDE投与群及びフルタマイド投与群の前立腺重量は媒体投与群の前立腺重量と比較して、低値を示し、10日間投与後のDDE投与群、フルタマイド投与群、コルヒチン投与群の前立腺重量は媒体投与群の前立腺重量と比較して、低値又は低値傾向を示した(図3参照)。尚、重量測定後、前立腺をRNA later中に入れ、その後24時間(室温)浸漬させたのち、-80℃で保存した。
(5)遺伝子の発現解析
上記(4)で保存した被験哺乳動物の前立腺組織及び対照哺乳動物の前立腺組織について、実施例1(4)から(6)までと同様の操作にてM6P/IGF2RのmRNAの発現レベルを求めた。その結果、4及び10日間投与後のDDE投与群及びフルタマイド投与群の前立腺組織における発現レベルが、媒体投与群の発現レベルと比較して、高い値を示したのに対して、コルヒチン投与群では、4及び10日間投与後のいずれにおいても、媒体投与群と同等の発現レベルしかなかった(図4参照)。
実施例5 (本発明検定方法の優位性確認のための評価)
実施例4(4)で前立腺の重量測定の結果、10日間投与後のDDE投与群、フルタマイド投与群、コルヒチン投与群の前立腺重量は媒体投与群の前立腺組織と比較して、低値又は低値傾向を示した。p,p-DDE及びフルタマイドは抗アンドロゲン活性を有することが知られている化合物であるが、コルヒチンは抗アンドロゲン活性を示さないものの、雄性ホルモン依存性器官・組織の細胞増殖に影響を与えることにより、その重量に影響を与える事が知られている化合物である。Hushberger Assayでは雄性ホルモン依存性器官・組織の重量を指標として、雄性ホルモン系活性の有無を検出するため、これらを区別して雄性ホルモン系活性を検出することはできない。一方、実施例4(5)で前立腺のM6P/IGF2RのmRNAの発現レベルを求めた結果、4及び10日間投与後とも、DDE投与群及びフルタマイド投与群では発現レベルの高値が認められたが、コルヒチン投与群ではその発現レベルは媒体投与群とほぼ同等であった。従って、動物の前立腺組織におけるM6P/IGF2RのmRNAの発現量を測定することにより、前立腺重量を測定するよりも正確に雄性ホルモン系活性を検定できることが確認された。また、4日間投与後から本遺伝子の変動は認められていることから、Hushberger Assay(標準的な投与期間:10日間)よりも試験期間を短縮できることが確認された。
実施例6 (DNAアレイを用いた雄性ホルモン系活性検定方法)
(1)哺乳動物への化学物質の投与
実施例3(1)及び(2)或いは実施例4(1)から(4)までと同様の操作にて、前立腺組織を採取する。
(2)Toral RNAの調製
(1)で採取した被験哺乳動物の前立腺組織及び対照哺乳動物の前立腺組織について、それぞれ4匹分を合わせ、それぞれ湿重量1gに対して10mlのTRIZOL Reagent(Gibco-BRL社製)を加え、氷冷しながらポリトロンホモジナイザーにてホモジナイズし、5分間室温で放置する。次いで、4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、水層を50ml遠心チューブ(IWAKI社製)に回収した。TRIZOL Reagentの1/5容量のクロロホルム(関東化学社製)を添加し、15秒間上下に激しく撹拌した後、5分間室温で放置する。次いで、4℃、9,000rpm、10分間遠心分離した後、水層を新しい50ml遠心チューブに回収した。更に、TRIZOL Reagentの1/2容量の2-プロパノール(関東化学社製)を添加して、転倒混和後、室温で10分間静置した。4℃、9,000rpm、10分間遠心分離後、上清を除去しペレットを得る。得られたペレットを、TRIZOL Reagentの1/10容量のDEPC処理滅菌蒸留水(和光純薬工業社製)で溶解する。得られるRNA溶液0.1mlにRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)添付のRLT buffer (10μL β−メルカプトエタノール/mL RLT buffer)350μLを添加し、混和する。更に、250μL エタノール(関東化学社製)を添加し、混和する。当該混和液をRNeasy Mini Kit添付のRNeasy Spin Columnにアプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を再度同じRNeasy Spin Columnにアプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を捨て、エタノールで4倍希釈したRNeasy Mini Kit添付のRPE bufferを500μLアプライし、室温、10,000rpm、15秒間遠心分離する。遠心分離後、溶出液を捨て、エタノールで希釈したRPE bufferを500μLアプライし、室温、14,000rpm、2分間遠心分離する。その後、カラムを新しいエッペンドルフチューブに移してRNeasy Mini Kit添付の蒸留水を50μL添加し、1分間室温で静置する。静置後、室温、10,000rpm、1分間遠心分離によって溶出し、total RNAを得る。
(3)cDNAの調製
上記(2)で前立腺組織から調製されたtotal RNA 10μg、T7-(dT)24プライマー(Amersham社製) 100pmolを含む11μLの混合液を、70℃、10分間加熱後、氷上で冷却する。冷却後、SuperScript Choice System for cDNA Synthesis(Gibco-BRL社製)に含まれる5×First Strand cDNA Buffer 4μL、当該キットに含まれる0.1M DTT 2μL及び当該キットに含まれる10mM dNTP Mix 1μLを添加し、42℃、2分間加熱する。更に、当該キットに含まれるSuper ScriptII RT 2μL(400U)を添加し、42℃、1時間加熱後、氷上で冷却する。冷却後、DEPC処理滅菌蒸留水91μL、当該キットに含まれる5×Second Strand Reaction Buffer 30μL、10mM dNTP Mix 3μL、当該キットに含まれるE. coli DNA Ligase 1μL(10U)、当該キットに含まれるE. coli DNA Polymerase I 4μL(40U)及び当該キットに含まれるE. coli RNaseH 1μL(2U)を添加し、16℃、2時間反応させる。次いで、当該キットに含まれるT4 DNA Polymerase 2μL(10U)を加え、16℃、5分間反応させた後、0.5M EDTA 10μLを添加する。次いで、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール溶液(ニッポンジーン社製)162μLを添加し、混合した。当該混合液を、予め室温、14,000rpm、30秒間遠心分離しておいたPhase Lock Gel Light(エッペンドルフ社製)に移し、室温、14,000rpm、2分間遠心分離後、145μLの水層をエッペンドルフチューブに移す。これに、7.5M酢酸アンモニウム溶液72.5μL、エタノール362.5μLを加え混合した後、4℃、14,000rpm、20分間遠心分離する。遠心分離後、上清を捨て、DNAペレットを得る。その後、DNAペレットに80%エタノール0.5mLを添加し、4℃、14,000rpm、5分間遠心分離後、上清を捨てる。DNAペレットに再度80%エタノール0.5mLを添加し、4℃、14,000rpm、5分間遠心分離後、上清を捨てた後、当該ペレットを乾燥させ、DEPC処理滅菌蒸留水12μLに溶解し、cDNA溶液を得る。
(4)ラベル化cRNAの調製
被験哺乳動物及び対照哺乳動物の前立腺組織由来のcDNAを用いて、それぞれラベル化cRNAを調製した。即ち、上記(3)で得られたcDNA溶液5μL、DEPC処理滅菌蒸留水17μL、BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit(ENZO社製)に含まれる10×HY Reaction Buffer 4μL、当該キットに含まれる10×Biotin Labeled Ribonucleotides 4μL、当該キットに含まれる10×DTT 4μL、当該キットに含まれる10×RNase Inhibitor Mix 4μL及び当該キットに含まれる20×T7 RNA Polymerase 2μLを混合し、37℃、5時間反応させる。当該反応液にDEPC処理滅菌蒸留水60μLを加えたのち、上記(2)に記載された RNeasy Mini Kitを用いてラベル化cRNAの精製を行う。
(5)ラベル化cRNAのフラグメント化
精製されたラベル化cRNA 20μg、5×Fragmentation Buffer(200mMトリス−酢酸 pH8.1(Sigma社製)、 500mM酢酸カリウム(Sigma社製)及び150mM酢酸マグネシウム(Sigma社製))8μLを含む反応液40μLを、94℃、35分間加熱後、氷冷し、フラグメント化cRNA溶液を得る。
(6)フラグメント化cRNAとプロ−ブアレイとのハイブリダイズ
被験哺乳動物及び対照哺乳動物それぞれの前立腺組織由来のフラグメント化cRNAを、以下のようにしてそれぞれプローブアレイとハイブリダイズさせる。即ち、上記(5)で得られたフラグメント化cRNA溶液 40μL、5nM Contol Oligo B2 (Amersham社製)4μL、100×Control cRNA Cocktail 4μL、Herring sperm DNA (Promega社製)40μg、Acetylated BSA(Gibco-BRL社製)200μg、2×MES Hybridization Buffer(200mM MES、2M [Na+], 40mM EDTA、0.02% Tween20 (Pierce社製)、pH6.5〜6.7) 200μL及びDEPC処理滅菌蒸留水144μLを混合し、400μLのハイブリカクテルを得る。得られたハイブリカクテルを99℃、5分間加熱、更に45℃、5分間加熱した。加熱後、室温、14,000rpm、5分間遠心分離し、ハイブリカクテル上清を得る。
1×MESハイブリダイゼーションバッファーで満たしたヒトゲノムU95プローブアレイ(Affymetrix社製)を、ハイブリオーブン内で、45℃、60rpm、10分間回転させた後、1×MESハイブリダイゼーションバッファーを除去する。その後、当該プローブアレイに当該ハイブリカクテル上清200μLを添加し、ハイブリオーブン内で45℃、60rpm、16時間回転させ、ハイブリダイズ済みプローブアレイを得る。
(7)プロ−ブアレイの染色
上記(6)で得られたハイブリダイズ済みプローブアレイからハイブリカクテルを除去し、Non-Stringent Wash Buffer[6×SSPE(20×SSPE(ナカライテスク社製)を希釈)、0.01%Tween20を含む]で満たす。GeneChip Fluidics Station 400(Affymetrix社製)の所定の位置に前記プローブアレイを装着し、プロトコールに従って前記プローブアレイを洗浄した後、MicroArray Suite(Affymetrix社)の染色プロトコールEuKGE-WS2に従って以下の方法により前記プローブアレイを染色する。まず1次染色液[10μg/mL Streptavidin Phycoerythrin (SAPE)(Molecular Probe社製)、2mg/mL Acetylated BSA、100mM MES、1M NaCl(Ambion社製)、0.05%Tween20を含む]に45分間浸漬する。次いで、2次染色液[100μg/mL Goat IgG (Sigma社製)、3μg/mL Biotinylated Anti-Streptavidinantibody (Vector Laboratories社製)、2mg/mL Acetylated BSA、100mM MES、1M NaCl、0.05%Tween20及び0.005%Antifoam0-30を含む]に10分間浸漬し、最後に1次染色液に45分間浸漬する。
(8)プロ−ブアレイのスキャン、解析
上記(7)で染色された被験哺乳動物の前立腺組織由来のプローブアレイ及び対照哺乳動物の前立腺組織由来のプローブアレイをそれぞれHP GeneArray Scanner(Affymetrix社製)に供し、シグナルを570nmの蛍光輝度を測定することによって読み取る。得られた結果をGeneChip Microarray Suite(Affymetrix社製)によって比較解析し、対照哺乳動物と被験哺乳動物とで発現レベルが異なる遺伝子を抽出する。M6P/IGF2RのmRNA又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子について、化学物質投与群の前立腺組織における当該値が媒体投与群の前立腺組織の当該値より有意な減少を示した場合、当該化学物質は雄性ホルモン活性を有すると評価し、有意な増加を示した場合、当該化学物質は抗雄性ホルモン活性を有すると評価する。
実施例7 (インサイチュ−ハイブリダイゼ−ションを用いた雄性ホルモン活性検定方法)
(1)哺乳動物への化学物質の投与
実施例1(1)及び(2)或いは実施例4(1)から(4)までと同様の操作にて、前立腺組織を採取する。
(2)前立腺組織の固定、包埋及び薄切切片の作製
採取した前立腺は固定液(4%パラホルムアルデヒド+0.5%グルタ−ルアルデヒド/0.075Mリン酸緩衝液、pH7.2〜7.4)で4℃、一晩固定する。固定後、化学物質投与群の前立腺組織及び媒体投与群由来の前立腺組織それぞれをアルコ−ル脱水し、パラフィンに包埋した後、ミクロスライサ−を用いて2〜10μmの厚さで薄切し、これをスライドグラスに載せる。
(3)cDNAの調製
化学物質投与群の前立腺組織及び媒体投与群由来の前立腺組織それぞれから、実施例5(1)と同様の操作にてtotal RNAを1μg/μlになるように調製する。次に目的遺伝子(例えば、NM012756)の約1kbpを選定し、当該塩基配列を有するDNAをPCRで増やすためのプライマ−の合成を行う。プライマ−は、そのsense primerの5’末端にT3プロモ−タ−配列(aat taa ccc tca cta aag gga ac)を、antisense primerの5’末端にT7プロモ−タ−配列(gta ata cga ctc act ata ggg ag)を付加したものとし、合成は遺伝子工学的手法にて用いられる通常の方法により合成する。RT−PCRには、ThermoScript RT−PCR System (Gibco社)及びPLATIUM taq DNA Polymerase High fidelity (Gibco社)の各キットを用いる。まず、Antisenseのプライマ−20pmol、total RNA 1μl、当該キット内のH20を混じ、65℃、5分間保温し、その後、氷上で冷却する。次いで、5×DNA Synthesis Buffer 4μl、0.1M DTT 1μl、RNase OUT 1μl、滅菌水1μl、10mM dNTP Mix 2μl、ThermoScript RT 1μlを加え、65℃で1時間保温した後、85℃で5分間加温し、ThermoScript RTを失活させる。これを氷上で冷却した後、1μlのRNase H (Gibco社)を加え、37℃で20分間反応させることでcDNAを作製する。作製したcDNA 5μlに、sense primer 20pmol、×10 High Fidelity PCR Buffer 5μl、50mM MgSO 2μl、10mM dNTPmix 1μl、PLATINUM taq DNA Polymerase Hight Fidelity 0.2μl、滅菌水34.8μlを加え、94℃で2分間加温した後、94℃ 15秒、60℃ 30秒、68℃ 1分間を1サイクルとして40サイクル実施し、最後に68℃で5分間反応を行う。このPCR反応液を1%アガロ−スゲル電気泳動に供し、目的PCR産物をゲルから切り出した後、等量のイソプロパノ−ルと混じ、当該キット内のカラムに供して、2分間遠心分離する。遠心後、カラムに新しいチュ−ブを繋ぎ、当該キット内のEB buffer 50μlをカラムに供して遠心分離し、目的DNA産物を得る。
(4)ラベル化cRNAの調製
実施例7(3)で合成されたcDNAを鋳型とし、T3 polymerase又はT7 polymeraseを用いてcRNAプロ−ブ(FITC標識)を合成する。具体的には、cDNA 0.2〜1μlに×10 transcription buffer(DTT+)(宝酒造)2μl、×10 FITC−laveling mix (ベ−リンガマンハイム) 2μl、RNase inhibitor(ニッポンジ−ン)1μlを加え、さらにH2Oを加えて総量を18μlにする。そこにsense probeを合成する場合には2μlのT3 polymerase(宝酒造) 、anti−sense probeを合成する場合には2μlのT7 polymerase(宝酒造)をそれぞれ加え、37℃で3〜5時間保温する。次いで、1μlのRNase freeのDNase I(ベ−リンガマンハイム社)を加え、さらに20分間保温する。合成されたcRNAはエタノ−ル沈澱させ、得られたペレットを60℃に加温した100μLの 40mM NaHCO3, 60mM Na2CO3 (pH10.2)に溶解する。その後、アルカリ分解により約150bの断片になるように、次の計算式から得られた時間、60℃で保温する。加温時間(分) = (cDNA長(kb)−加水分解後の平均断片長(kb))/(0.11×cDNA長(kb)×加水分解後の平均断片長(kb))。反応後、氷上で冷却し、1μlの酢酸を加える。更に、10分の1量の4M LiClを添加し、15000rpmで10分間遠心分離し、上清を棄てる。500μlのエタノ−ルを加えてペレットを洗浄した後、TE buffer 20μl、0.1M DTT 2μl、RNase inhibitor 1μlを加え溶解する。
(5)ハイブリダイゼ−ション
実施例7(2)で作製したスライド標本を室温で脱パラフィンし、再水和する。次に、前処理として1×Target Retrieve Solution (DAKO)を加え、オ−トクレ−ブにより121℃で20分間加温する。60℃まで温度が下がった後にこれを取り出し、室温に20分間放置することで更に冷却する。冷却後、室温でDEPC処理滅菌水に2分×2回、3%過酸化水素水/DEPC処理滅菌水に30分間、DEPC処理滅菌水に2分×3回、90%エタノ−ル/DEPC処理滅菌水に3分間、100%エタノ−ルに3分間浸漬した後、風乾する。実施例7(4)で調製したcRNAプロ−ブをhybridization buffer(組成:40%ホルムアミド(ニッポンジ−ン), 4×SCC (pH5.0)(Gibco), 1 mM EDTA, 1×Denhardet’s(Nippon gene),250μg/ml yeast tRNA (Gibco),125μg/ml サケ精子DNA (Gibco), 10%dextran sulfateで0.1〜0.3μg/ml/kbとなるように希釈し、切片上で滴下し、EasiSeal(HYBAID社)を用いて封入する。封入したスライドグラスを湿潤箱に並べ、60℃で5時間以上保温する。その後、スライドグラスを65℃に保温した5×SSC (pH5.0)中に浸し、65℃に加温した洗浄液A(組成:2×SSC[pH5.0], 1%SDS)に30分間×2回浸漬し、室温の洗浄液B(組成:10 mM Tris−HCl (pH7.5), 0.5M NaCl, 0.1% Tween 20)に5分間×3回浸漬した後、37℃に加温した洗浄液Bに20μg/ml RNase A (SIGMA)を加えたものに20分間浸漬する。その後、65℃に加温した洗浄液C(組成:2×SSC[pH5.0], 50% ホルムアミド[和光])で30分間×2回、室温のTBS buffer(組成:50 mM Tris−HCl [pH7.5], 150mM NaCl)で3分間×3回洗浄を行う。洗浄後、切片周囲の過剰な溶液を拭き取り、組織周囲をPAP PEN(大道産業株式会社)で囲んだ後、FITC標識プロ−ブ検出キット(DAKO)に含まれるアルカリフォスファタ−ゼ標識抗FITC抗体を1%Bovine serum albumin/TBSで希釈したものを、切片上に滴下し、湿潤箱中に37℃で60分間放置する。反応後、室温のTBST(組成:TBS + 0.1% Tween 20)に5分間×3回、室温のTBSに2〜3分浸漬する。切片周囲の過剰な溶液を拭き取り、AP基質溶液(DAKO、BCIP/NBT発色基質溶液)を滴下し、湿潤箱中に37℃で60分〜2日間放置する。その後、流水中で発色液を洗い流し、透徹、封入する。
(6)遺伝子の発現解析
本遺伝子の転写物量は、化学物質投与群の前立腺切片及び媒体投与群の前立腺薄切切片それぞれの各蛍光活性を示す部分の面積又は細胞数をカウントすることにより、本遺伝子の転写物であるmRNAの量又はそれに相当する値を測定することができる。M6P/IGF2RのmRNA又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子について、化学物質投与群の前立腺組織における当該値が、媒体投与群の前立腺組織の当該値より有意な減少を示した場合、当該化学物質は雄性ホルモン活性を有すると評価し、有意な増加を示した場合、当該化学物質は抗雄性ホルモン活性を有すると評価する。
実施例8 (免疫組織化学的検査を用いた雄性ホルモン活性検定方法)
(1)哺乳動物への化学物質の投与
実施例3(1)及び(2)或いは実施例4(1)から(4)と同様の操作にて、前立腺組織を採取する。
(2)組織の固定、包埋、及び切片の作製
採取した前立腺から組織を適度な大きさに切り出した後、OCTコンパウンドにこれを包埋し、液体窒素にて冷却したイソペンタン中で凍結させる。これを−20℃に冷却したクリオスタット中で約5μmの厚さに薄切し、スライドグラスに載せ、乾燥させる。
(3)薄切切片の免疫組織化学的染色
上記(2)で作製した薄切切片を70%エタノ−ルで1分間固定した後、PBS buffer(組成:10 mM リン酸ナトリウム [pH7.4], 100mM NaCl)で洗浄してOCTコンパウンドを落とし、0.3%過酸化水素水で5分間処理する。PBS bufferで5分間×3回洗浄し、正常血清で室温20分間処理する。次いで、PBS bufferで適度に希釈した登録番号群1に示される登録番号のいずれかでGenbankに登録されている塩基配列を有する遺伝子の翻訳産物に対する抗体(以下、一次抗体)で室温60分間処理する。反応後、PBS bufferで5分間×3回洗浄し、PBS bufferで適度に希釈した一次抗体と同じ免疫哺乳動物のVECTASTAIN/ABC試薬(フナコシ)で室温30分間処理する。更に、PBS bufferで5分間×3回洗浄した後、3,3’’−ジアミノベンジジン四塩酸塩(ナカライ)を用いて発色させる。その後、蒸留水で洗浄し、脱水、透徹、封入を行う。
(4)遺伝子翻訳産物の発現解析
画像解析装置IPAP(住化テクノサ−ビス(株))を用いて染色性の確認された前立腺細胞巣の面積又は細胞数を測定することにより、本遺伝子の翻訳産物に相当する値を測定することができる。M6P/IGF2RのmRNA又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子ついて、化学物質投与群の前立腺組織における当該値が、媒体投与群の前立腺組織の当該値より有意な減少を示した場合、当該化学物質は雄性ホルモン活性を有すると評価し、有意な増加を示した場合、当該化学物質は抗雄性ホルモン活性を有すると評価する。
本発明によって、特定の遺伝子の発現レベルを指標とした、化学物質が有する雄性ホルモン系活性の正確かつ簡便な検定方法等が提供可能となる。当該検定方法を用いれば、化学物質が有する雄性ホルモン系活性をより短期間で検定することもできる。
図1は、実施例1において哺乳動物から摘出された前立腺の重量測定の結果を示す図である。図中の棒グラフは、左から右への順にIntact:「正常動物」、1:「去勢後1日目」、2:「去勢後2日目」、3:「去勢後3日目」、4:「去勢後4日目」、7:「去勢後7日目」、10:「去勢後10日目」、4+TP#「去勢後4日目、去勢日から4日間TP投与」の場合における前立腺重量を示している。また図中の*及び**は、標準偏差p<0.05及びp<0.01を意味している。去勢された哺乳動物の前立腺重量は、去勢後3日目以降に正常哺乳動物の前立腺重量に比べて低い値を示した。また、TPの投与により、前立腺重量の減少は抑制された。
図2は、実施例1の精巣摘出哺乳動物及び正常哺乳動物それぞれの前立腺におけるM6P/IGF2RのmRNAの測定値と対照遺伝子であるGlyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)のmRNA量測定値の比(M6P/IGF2Rの発現レベル)を示した図である。図中の棒グラフは左から右への順にIntact:「正常動物」、1:「去勢後1日目」、2:「去勢後2日目」、3:「去勢後3日目」、4:「去勢後4日目」、7:「去勢後7日目」、10:「去勢後10日目」、4+TP#「去勢後4日目、去勢日から4日間TP投与」の場合におけるM6P/IGF2RのmRNAの発現レベルを示している(n=5、但し、去勢10日群はn=4)。また図中の*及び**は、標準偏差p<0.05及びp<0.01を意味している。去勢された哺乳動物のM6P/IGF2RのmRNAの発現レベルは、去勢後1日目以降に有意に高い値を示した。また、TPの投与により、発現レベルの上昇は抑制された。
図3は、実施例4のHershberger assayにおける前立腺の重量測定の結果を示す図である。図中の棒グラフは、左から右への順に1day:「1日間投与後」、4days:「4日間投与後」、10days:「10日間投与後」群を示しており、さらにそれぞれの群の左から右へ順にcontrol:「媒体対照群」、p,p’-DDE:「p,p’-DDE 100mg/kg/day投与群」、Flutamide:「フルタマイド 10mg/kg/day投与群」、Colchicine:「コルヒチン 0.54mg/kg/day投与群」における前立腺重量を示している。また図中の*及び**は、標準偏差p<0.05及びp<0.01を意味している。4日間投与後においてはDDE投与群及びフルタマイド投与群の前立腺重量は媒体投与群それぞれの前立腺重量に比べて低い値を示した。10日間投与後においてはDDE投与群、フルタマイド投与群及びコルヒチン投与群の前立腺重量は媒体投与群の前立腺重量に比べて低値又は低値傾向を示した。
図4は、実施例4のHershberger assayにおける前立腺のM6P/IGF2RのmRNAの測定値と対照遺伝子であるGlyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)のmRNA量測定値の比(M6P/IGF2RのmRNAの発現レベル)を示した図である。図中の棒グラフは、左から右への順に1day:「1日間投与後」、4days:「4日間投与後」、10days:「10日間投与後」群を示しており、さらにそれぞれの群の左から右へ順にcontrol:「媒体対照群」、p,p’-DDE:「p,p’-DDE 100mg/kg/day投与群」、Flutamide:「フルタマイド 10mg/kg/day投与群」、Colchicine:「コルヒチン 0.54mg/kg/day投与群」における発現レベルを示している。また図中の*及び**は、標準偏差p<0.05及びp<0.01を意味している。4及び10日間投与後において、DDE投与群及びフルタマイド投与群それぞれのM6P/IGF2RのmRNAの発現レベルは媒体投与群に比べて高い値を示した。一方、コルヒチン投与群では、4及び10日間投与後のいずれにおいても、媒体投与群と同等の発現レベルでしかなかった。
配列番号2
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
ハイブリダイゼイションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号5
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
PCRのために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号7
ハイブリダイゼイションのために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ

Claims (8)

  1. 化学物質が有する雄性ホルモン系活性を検出するためのマーカーとしての、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子の使用。
  2. 化学物質が有する雄性ホルモン系活性の検定方法であって、
    検体が、前立腺組織を構成する細胞又はその内容物からなる生体試料であり、
    (1)化学物質に予め接触させられた哺乳動物(但し、ヒトを除く)由来の検体における、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子の発現レベルを測定する第一工程、及び
    (2)第一工程で得られた前記検体における遺伝子の発現レベルの測定値を、化学物質に予め接触していない哺乳動物(但し、ヒトを除く)由来の検体における当該遺伝子の発現レベルの値と比較し、その差異に基づいて前記検体における化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無或いはその発生程度を評価する第二工程
    を有することを特徴とする方法。
  3. 検体が、前立腺腹葉又は前立腺背側葉を構成する細胞又はその内容物からなる生体試料であることを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 遺伝子の発現レベルの測定が、当該遺伝子の転写物量又は翻訳産物量の測定によりなされることを特徴とする請求項2又は3記載の方法。
  5. 化学物質に予め接触させられた哺乳動物(但し、ヒトを除く)が、化学物質と雄性ホルモンとの両者に予め接触させられた哺乳動物(但し、ヒトを除く)であることを特徴とする請求項2、3又は4記載の方法。
  6. 第一工程が、マンノース6−リン酸/インスリン様成長因子II受容体遺伝子又はそのオーソログから選ばれる1以上の遺伝子の発現レベルを測定する工程であり、かつ、第二工程が、当該第一工程で得られた発現レベルの測定値が化学物質に予め接触していない哺乳動物(但し、ヒトを除く)由来の検体における当該遺伝子の発現レベルの値と有意に異なることを指標とし、当該指標に基づいて検体における化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無或いはその発生程度を評価する工程であることを特徴とする請求項2、3、4又は5記載の方法。
  7. 請求項2〜のいずれかに記載される方法により評価された、化学物質が有する雄性ホルモン系活性の有無又はその量に基づき雄性ホルモン系活性を有する化学物質を選抜する工程を有することを特徴とする雄性ホルモン系活性を有する化学物質の探索方法。
  8. 第一工程の前工程として、
    (A)精巣が摘出された哺乳動物(但し、ヒトを除く)を、精巣摘出後の体重増加量及び摂餌量が精巣摘出前の体重増加量及び摂餌量と同じレベルに回復するまで飼育する第A工程、
    (B)第A工程により飼育された哺乳動物(但し、ヒトを除く)に対して化学物質を投与する第B工程、及び
    (C)第B工程後、化学物質に予め接触させられた哺乳動物(但し、ヒトを除く)由来の検体を得るために、化学物質が投与された哺乳動物(但し、ヒトを除く)から、当該哺乳動物(但し、ヒトを除く)由来の検体を単離する第C工程、
    を追加的に有することを特徴とする請求項2記載の方法。
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