JP2010252525A - モータ駆動システムの制御装置 - Google Patents

モータ駆動システムの制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モータの駆動能力を損なうことなく、半田にクラックの発生を抑制可能なモータ駆動システムの制御装置を提供する。
【解決手段】PCU10は、コンバータ12およびインバータ14からなり、直流電源Bが出力する直流電圧を交流モータMGの駆動電圧に変換可能に構成される。PCU10は、半田によって基板上に固着されたスイッチング素子Q1,Q2,Q11〜Q16を含む。制御装置50は、交流モータMGがトルク指令値に従ったトルクを出力するようにスイッチング素子のスイッチング動作を制御する。制御装置50は、温度センサ30によって検知されたスイッチング素子温度の初期温度からの温度上昇量が基準値となる頻度を累積することによって累積頻度を算出する。そして、制御装置50は、算出した累積頻度が半田のストレス耐力に応じて予め定められた許容値を超えた場合には、交流モータMGの出力トルクを制限する。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ駆動システムの制御装置に関し、より特定的には、電力変換装置によってモータを駆動制御する構成のモータ駆動システムの制御装置に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両に適用されるモータ駆動システムにおいて、直流電源の出力電力をモータ駆動電力に変換する電力変換装置(コンバータおよびインバータ)を、上アームおよび下アームの各々に電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)を接続して構成した半導体モジュールを複数個組込んで構成することが、たとえば特開2003−134795号公報(特許文献1)に開示されている。
このような構成では、電力変換装置はスイッチング素子のスイッチング動作により発熱する。そのため、スイッチング素子の過熱を抑制するための技術として、たとえば特開2008−72818号公報(特許文献2)には、スイッチング素子の過熱を抑制するために、スイッチング素子の耐熱温度に基づいてモータに供給する駆動電流の制限を開始する制限開始温度を決定し、スイッチング素子の素子温度が決定した制限開始温度以上となった場合に、モータの出力トルクの制限を開始する構成が開示されている。
特開2003−134795号公報 特開2008−72818号公報 特開平5−115106号公報 実開平5−88197号公報
上記の特許文献1および2のような電力変換装置において、半導体モジュールは、スイッチング素子を半田により絶縁板に接着し、この絶縁板を半田により冷却フィンに接する放熱板に接着して構成される。
このような半導体モジュールにおいては、電力変換装置の駆動/停止が繰返されることによってスイッチング素子の昇温/降温が繰返されると、スイッチング素子、絶縁板および放熱板の間の線膨張係数の相違に起因して、スイッチング素子を放熱板に取付けるための半田にクラックが発生するという問題が生じる。
その一方で、クラックの発生に至るまでの半田の寿命は、モータ駆動システムを搭載する電動車両の使われ方や、半導体モジュール間での半田の耐ストレス性のばらつきなどが大きく影響する。したがって、上記の特許文献2に開示されるスイッチング素子の素子温度が制限開始温度以上となった場合にモータ出力の制限を開始する制御を、一律に行なう構成とすると、クラックの発生を抑制できる一方で、モータの駆動能力を活かしきれないといった不具合が起こり得る。しかしながら、上記の特許文献1および2は、このような不具合に対する解決手段を開示していない。
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、モータの駆動能力を損なうことなく、半田にクラックの発生を抑制可能なモータ駆動システムの制御装置を提供することである。
この発明に従うモータ駆動システムの制御装置は、直流電源と、直流電源が出力する直流電圧を車両駆動用モータの駆動電圧に変換する電力変換装置とを備えたモータ駆動システムの制御装置である。電力変換装置は、固着材によって基板上に固着された電力用半導体スイッチング素子を含む。制御装置は、車両駆動用モータがトルク指令値に従ったトルクを出力するように、電力用半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御する電力変換制御手段と、電力用半導体スイッチング素子の素子温度を検知するための温度センサと、温度センサによって検知された素子温度の初期温度からの温度上昇量が基準値となる頻度を累積することによって累積頻度を算出する累積頻度算出手段と、累積頻度算出手段によって求められた累積頻度が固着材のストレス耐力に応じて予め定められた許容値を超えた場合には、モータの出力トルクを制限する出力制限手段とを備える。
本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムの全体構成図である。 PCUを構成するスイッチング素子の冷却構造を説明するための断面図である。 図2のスイッチング素子の冷却構造に用いられる半田の信頼性の評価結果を示す図である。 半田に加わるストレスの分布と半田のストレス耐力の分布との関係を示す図である。 モータ駆動システムを搭載した電動車両の車両走行期間におけるスイッチング素子温度の時間的変化を示す図である。 温度上昇量ΔTの累積頻度と負荷率との関係図である。 本発明の実施の形態に従う制御装置の制御構造を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に従う交流モータMGの出力制限方法に係るフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システムの全体構成図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に従うモータ駆動システム100は、直流電源Bと、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」とも称する)10と、制御装置50と、交流モータMGとを備える。
負荷60は、交流モータMGの出力トルクによって回転駆動される。たとえば、負荷60は、交流モータMGの出力トルクを伝達可能に構成された駆動軸62と、駆動軸62の回転に伴なって回転駆動される駆動輪65とを含む。
このように、交流モータMGは、代表的にはハイブリッド自動車または電気自動車等の電動車両の車輪(駆動輪)を駆動するためのトルクを発生する車両駆動用電動機として用いられる。あるいは、交流モータMGは、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよく、駆動輪65の回転方向と反対方向の出力トルクを発生することにより回生発電を行なうように電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されてもよい。さらに、交流モータMGは、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド車両に組込まれるようにしてもよい。
直流電源Bとしては、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池、あるいは、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置を適用可能である。直流電源Bが出力する直流電圧Vbは、電圧センサ11によって検知される。電圧センサ11は、検出した直流電圧Vbを制御装置50へ出力する。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電源ライン6の間に接続され、システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子および接地ライン5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置50からの信号SEによりオン/オフされる。平滑コンデンサC1は、電源ライン6および接地ライン5の間に接続される。電圧センサ14は、平滑コンデンサC1の両端の電圧を検出し、その検出値VLを制御装置50へ出力する。
PCU10は、コンバータ12と、平滑コンデンサC0と、インバータ20とを含む。なお、PCU10は、本願発明での「電力変換装置」を構成する。
コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2とを含む。電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2は、電源ライン7および接地ライン5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2のオン・オフは、制御装置50からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電源ライン6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、電源ライン7および接地ライン5の間に接続される。
インバータ20は、電源ライン7および接地ライン5の間に並列に設けられる、U相上下アーム22と、V相上下アーム24と、W相上下アーム26とから成る。各相上下アームは、電源ライン7および接地ライン5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム22は、スイッチング素子Q11,Q12から成り、V相上下アーム24は、スイッチング素子Q13,Q14から成り、W相上下アーム26は、スイッチング素子Q15,Q16から成る。また、スイッチング素子Q11〜Q16に対して、逆並列ダイオードD11〜D16がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q11〜Q16のオン・オフは、制御装置50からのスイッチング制御信号S11〜S16によって制御される。
代表的には、交流モータMGは、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点Nに共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム22〜26のスイッチング素子の中間点と接続されている。
コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを昇圧した直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)をインバータ20へ供給する。より具体的には、制御装置50からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のオン期間およびスイッチング素子のQ2のオン期間(または、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間)が交互に設けられ、昇圧比は、これらのオン期間の比に応じたものとなる。あるいは、スイッチング素子Q1およびQ2をオンおよびオフにそれぞれ固定すれば、VH=Vb(昇圧比=1.0)とすることもできる。
また、コンバータ12は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を介してインバータ20から供給された直流電圧VH(システム電圧)を降圧して直流電源Bを充電する。より具体的には、制御装置50からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のみがオンする期間と、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間(または、スイッチング素子のQ2のオン期間)とが交互に設けられ、降圧比は上記オン期間のデューティ比に応じたものとなる。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ20へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値を制御装置50へ出力する。
インバータ20は、交流モータMGのトルク指令値が正(Tqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置50からのスイッチング制御信号S11〜S16に応答した、スイッチング素子Q11〜Q16のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流モータMGを駆動する。また、インバータ20は、交流モータMGのトルク指令値が零の場合(Tqcom=0)には、スイッチング制御信号S11〜S16に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるように交流モータMGを駆動する。これにより、交流モータMGは、トルク指令値Tqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ駆動システム100が搭載された電動車両の回生制動時には、交流モータMGのトルク指令値Tqcomは負に設定される(Tqcom<0)。この場合には、インバータ20は、スイッチング制御信号S11〜S16に応答したスイッチング動作により、交流モータMGが発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ27は、交流モータMGに流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流を制御装置50へ出力する。なお、三相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ27は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流ivおよびW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)28は、交流モータMGのロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置50へ送出する。制御装置50では、回転角θに基づき交流モータMGの回転数(回転速度)Nmおよび角速度ω(rad/s)を算出できる。なお、回転角センサ28については、回転角θを制御装置50にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置を省略してもよい。
温度センサ30は、インバータ20のスイッチング素子Q11〜Q16の温度(以下、「スイッチング素子温度」と称する)Tswを検出し、その検出したスイッチング素子温度Tswを制御装置50へ出力する。
制御装置50は、電子制御ユニット(以下「ECU(Electronic Control Unit)」とも称する)により構成され、予め記憶されたプログラムを図示しないCPUで実行することによるソフトウェア処理および/または専用の電子回路によるハードウェア処理により、モータ駆動システム100の動作を制御する。
代表的な機能として、制御装置50は、図示しない外部ECUから入力されたトルク指令値Tqcom、電圧センサ11によって検出された直流電圧Vb、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VHおよび電流センサ27からのモータ電流MCRT(iv,iw)、回転角センサ28からの回転角θ等に基づいて、交流モータMGがトルク指令値Tqcomに従ったトルクを出力するように、インバータ20の動作を制御する。すなわち、インバータ20を上記のように制御するためのスイッチング制御信号S11〜S16を生成して、インバータ20へ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置50は、交流モータMGの運転状態に応じてシステム電圧VHの電圧指令値を算出し、この電圧指令値および電圧センサ13,14による検出電圧に基づいて、出力電圧を電圧指令値へ一致させる電圧変換動作が行なわれるように、スイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、制御装置50は、電動車両が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流モータMGで発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号S11〜S16を生成してインバータ20へ出力する。これにより、インバータ20は、交流モータMGで発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置50は、信号RGEに応答して、インバータ20から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号S1,S2を生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、インバータ20は、交流モータMGからの回生電力を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置50は、モータ駆動システム100の起動/停止時に、システムリレーSR1,SR2をオン/オフするための信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。
以上の構成からなるモータ駆動システム100において、PCU10は、スイッチング素子から発生する熱損失による温度上昇を抑えるために、図2に示す冷却構造により冷却される。
図2は、PCU10を構成するスイッチング素子の冷却構造を説明するための断面図である。
図2を参照して、放熱板120は、シリコングリスを介してヒートシンク(ともに図示せず)の上に配置される。絶縁基板110は、一例として、窒化アルミニウムと、当該窒化アルミニウムの上面および下面の各々に設置されたアルミニウムとからなる。
絶縁基板110は、下面側のアルミニウムが半田140によって放熱板120に接着されることによって、放熱板120に固着される。スイッチング素子Q11は、半田130により上面側のアルミニウムに接着されることによって絶縁基板110に固着される。
その他のスイッチング素子およびダイオードも、スイッチング素子Q11と同じように図2に示す態様で基板(絶縁基板110および放熱板120)に固着される。
放熱板120は、半田130,140および絶縁基板110を介してスイッチング素子Q11から発生する熱を受熱すると、その受けた熱を図示しないヒートシンクへ放熱する。ヒートシンクには、冷媒が通流するための冷媒路が設けられており、この冷媒との間で熱交換を行なうことによって、スイッチング素子Q11が冷却される。
しかしながら、図2に示すスイッチング素子の冷却構造においては、PCU10の駆動/停止が繰返されることによってスイッチング素子の昇温/降温が繰返されると、スイッチング素子、絶縁基板110および放熱板120の間の線膨張係数の相違に起因して、スイッチング素子と絶縁基板110とを接合する半田130、および絶縁基板110と放熱板120とを接合する半田140には大きな応力(ストレス)が加わる。これにより、半田130,140にクラックが発生するという問題がある。
そして、半田130,140のいずれかにクラックが発生すると、スイッチング素子から放熱板120への放熱経路が遮断されてしまうため、スイッチング素子および冷媒の間の熱交換が妨げられる。その結果、スイッチング素子が過熱状態となり、素子破壊に至る可能性がある。
特に、本実施の形態のように、交流モータMGが車両駆動用電動機を構成する場合においては、交流モータMGの出力トルクに応じてスイッチング素子の発熱量が変化することから、モータ駆動システム100を搭載した電動車両の走行パターンに応じて、半田クラックの発生し易さが異なってくる。
すなわち、スイッチング素子の昇温/降温が繰返される状況としては、急加速時など大きな車両駆動力が要求される走行が頻繁に実行されるような走行パターンや、頻繁なアクセル操作によって加速および減速を繰返すような走行パターンなどが想定される。また、山岳路のように、降坂走行と登坂走行とを交互に行なうような走行パターンにおいても、このような状況が起こり得る。
そして、これらの走行パターンはいずれも、出力トルクの変動が小さい状態である定速走行をメインとする走行パターンと比較して、スイッチング素子の温度上昇を高い頻度で発生させる。そのため、半田130,140に加わるストレスが増大し、結果的に半田クラックが発生し易くなる。
図3は、図2のスイッチング素子の冷却構造に用いられる半田の信頼性の評価結果を示す図である。なお、図3では、半田の信頼性がS−N曲線で示されている。このS−N曲線は、図2の半田の寿命(以下、寿命サイクル数とも称する)を知るために、温度差による加速試験、いわゆる温度サイクル寿命試験を行なうことによって得られたものである。
図3を参照して、横軸は、半田に加えるストレスとして、スイッチング素子の温度上昇量ΔTを示し、縦軸は、温度上昇量ΔTごとに半田にクラックが発生するまでのストレスの繰返しサイクル数(寿命サイクル数)を示す。なお、スイッチング素子の温度上昇量ΔTは、モータ駆動システム100に起動指示が与えられたときのスイッチング素子温度を初期温度としたときに、温度センサ30によって検出されたスイッチング素子温度Tswの初期温度からの温度上昇量に相当する。
図3によれば、温度上昇量ΔTが大きくなるほどクラック発生に至るまでの寿命サイクル数が減少している。たとえば、温度上昇量ΔTが所定の基準値αのとき、寿命サイクル数はβとなる。なお、S−N曲線の傾きを示すS/N比は、半田に用いられる金属材料の組成等で決まる物性値である。
図4には、半田にクラックが発生するメカニズムを表すものとして、半田に加わるストレスの分布と、半田のストレス耐力の分布との関係が示される。なお、同図において、半田のストレス耐力は、図3のS−N曲線における温度上昇量ΔTが基準値αとなるときの寿命サイクル数で表わされている。すなわち、部品間での温度上昇量ΔTが基準値αのときの寿命サイクル数の分布(ばらつき)を示している。
一方、半田に加わるストレスについては、市場に流通されている電動車両に搭載されるモータ駆動システム100(図1)において、車両走行期間にスイッチング素子の温度上昇量ΔTが基準値αとなる頻度がサイクル数で表わされている。なお、車両走行期間については、トリップごとの走行期間を累積することによって算出される。
半田に加わるストレスの分布(ばらつき)は、上述した電動車両の走行パターンのバリエーションに対するユーザの運転嗜好を反映したものとなっている。すなわち、ユーザ間での温度上昇量ΔTが基準値αとなる頻度の分布(ばらつき)を示している。
図4を参照して、半田のストレス耐力に対してストレスが十分に小さい場合、すなわち、ストレスがストレス耐力の分布の下限値(以下、下限寿命サイクル数Nminとも記す)を下回る場合には、半田クラックが発生しない。これに対して、ストレスがストレス耐力の下限寿命サイクル数Nminを超える場合には、半田クラックが発生する可能性が生じる。
すなわち、図4において2つの分布が重なる領域(図中の斜線領域)は、半田にクラックが発生する確率を表わしている。したがって、温度上昇量ΔTが基準値αとなる頻度(サイクル数)が下限寿命サイクル数Nminを超えるような走行パターン(たとえば、急加速が頻繁に実行されるような走行パターンなど)を嗜好するユーザにとっては、このような運転嗜好を持たないユーザと比較して、半田クラックの発生し易さが顕著となることが分かる。
そこで、本実施の形態に従うモータ駆動システム100においては、半田クラックの発生を抑制するための構成として、制御装置50は、温度センサ30により検出されるスイッチング素子温度Tswを監視するとともに、スイッチング素子の温度上昇量ΔTが基準値となる頻度(サイクル数)を累積し、その累積頻度(累積サイクル数)が半田のストレス耐力に応じて予め定められた許容値を超えた場合には、交流モータMGの出力トルクを制限する。
図5は、モータ駆動システム100(図1)を搭載した電動車両の車両走行期間におけるスイッチング素子温度Tswの時間的変化を示す図である。
図5を参照して、車両走行期間は、電動車両が最初に走行を開始した時刻t0を起点として、トリップごとの走行期間を累積することによって算出される。この車両走行期間において、温度センサ30により検出されるスイッチング素子温度Tswは、交流モータMGの出力トルクの変動に従って変動する。
制御装置50は、モータ駆動システム100に起動指示が与えられたときのスイッチング素子温度を初期温度として、温度センサ30からのスイッチング素子温度Tswと初期温度との差分である温度上昇量ΔTを算出する。このとき、制御装置50は、時刻t0以降におけるサイクルごとの温度上昇量ΔT1,ΔT2,・・・ΔTn(nはサイクル数)を算出する。
次に、制御装置50は、算出した温度上昇量ΔT1,ΔT2・・・ΔTnと、図3に示す半田のS−N曲線とにより、下記(1)式に従って、温度上昇量ΔTが基準値ΔTo(たとえばαとする)となる累積頻度(累積サイクル数)CAを算出する。
Figure 2010252525
(1)式において、rは図3に示す半田のS−N曲線の傾きであるS/N比を示す。
上記式(1)によれば、サイクルごとの温度上昇量ΔT1,ΔT2・・・ΔTnは、半田の信頼性(S−N曲線)に基づいて、温度上昇量ΔTが基準値ΔToとなる累積頻度(累積サイクル数)に集約される。
そして、制御装置50は、算出した温度上昇量ΔTの累積頻度CAに応じて交流モータMGの負荷率LDRを設定する。図6は、温度上昇量ΔTの累積頻度CAと負荷率LDRとの関係図である。図6において、直線k1は、100%の負荷率を表わし、直線k2は、温度上昇量ΔTの累積頻度CAに応じて決定される負荷率を表わし、直線k3は、0%の負荷率を表わす。
図6を参照して、温度上昇量ΔTの累積頻度CAが許容値X以下のときには、負荷率は100%に設定される。そして、温度上昇量Δの累積頻度CAが許容値Xを超えると、負荷率は、累積頻度CAに応じて直線k2,k3に従って決定される。なお、許容値Xは、図4に示す半田のストレス耐力の分布に基づいて、温度上昇量ΔTが基準値ΔTo(=α)の場合における下限寿命サイクル数Nminに予め設定されている。
このようにして、温度上昇量ΔTが基準値ΔToとなる累積頻度(累積サイクル数)が半田のストレス耐力に応じて予め定められた許容値(下限寿命サイクル数)を超えた場合には、交流モータMGの出力トルクが制限される。すなわち、本実施の形態によれば、半田に加わるストレスが半田のストレス耐力に達したと判断された場合には、半田に加わるストレスを低減させるように交流モータMGの出力制限が実行される。したがって、交流モータMGの出力制限は、上述したような半田クラックが発生し易い運転嗜好を持つユーザを特定して行なわれることから、一律にスイッチング素子温度に応じて出力制限を行なう構成と比較して、交流モータMGの駆動能力を損なうことなく、半田クラックの発生を効果的に抑制することができる。
以下、上述の温度上昇量ΔTの累積頻度に応じて交流モータMGの出力制限を行なうための制御構造について説明する。
図7は、本発明の実施の形態に従う制御装置50の制御構造を示すブロック図である。 図7を参照して、制御装置50は、負荷率制御部210と、電流指令生成部220と、座標変換部230,260と、回転数演算部240と、PI演算部250と、PWM信号生成部270とを含む。なお、図7に示された制御ブロックは、制御装置50に予め記憶されたプログラムを所定周期で実行することにより実現される。
負荷率制御部210は、温度センサ30(図1)によって検出されたスイッチング素子温度Tswを受けると、車両走行期間におけるスイッチング素子の温度上昇量ΔTおよび半田の信頼性(図3)に基づき、上述した方法によって温度上昇量ΔTが基準値ΔToとなる累積頻度CAを算出する。そして、負荷率制御部210は、算出した温度上昇量ΔTの累積頻度CAに応じて、図6の関係に基づいて交流モータMGの負荷率LDRを設定し、その設定した負荷率LDRを電流指令生成部220へ出力する。
電流指令生成部220は、外部ECUからトルク指令値Tqcomを受け、負荷率制御部210から負荷率LDRを受けると、トルク指令値Tqcomに負荷率LDRを乗算することにより、制限トルク指令値Tqcom♯を生成する。そして、電流指令生成部220は、予め作成されたテーブル等に従って、交流モータMGの制限トルク指令値Tqcom♯に従って、電流指令値Iqcom,Idcomを生成する。
座標変換部230は、交流モータMGに設けられた回転角センサ28によって検出される交流モータMGの回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ27によって検出されたモータ電流MCRT(iv,iw,iu=−(iv+iw))を基に、d軸電流idおよびq軸電流iqを算出する。回転数演算部240は、回転角センサ28の出力に基づいて、交流モータMGの回転数Nmを演算する。
PI演算部250には、d軸電流の指令値に対する偏差ΔId(ΔId=Idcom−id)およびq軸電流の指令値に対する偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−iq)が入力される。PI演算部250は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を生成する。
座標変換部260は、交流モータMGの回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯をU相、V相、W相の各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する。なお、d軸,q軸電圧指令値Vd♯,Vq♯から各相電圧指令値Vu,Vv,Vwへの変換には、直流電圧VHも反映される。
PWM信号生成部270は、各相における電圧指令値Vu,Vv,Vwと所定の搬送波(代表的には三角波)との比較に基づくパルス幅変調(PWM)制御により、図1に示した、インバータ20のスイッチング制御信号S11〜S16を生成する。
インバータ20が、制御装置50によって生成されたスイッチング制御信号S11〜S16に従ってスイッチング制御されることにより、交流モータMGに対して制限トルク指令値Tqcom♯に従ったトルクを出力するための交流電圧が印加される。
以上のような制御構造によって、本実施の形態に従う温度上昇量ΔTの累積頻度に応じた交流モータMGの出力制限処理が実現される。これらの処理は、次のような処理フローにまとめることができる。
図8は、本発明の実施の形態に従う交流モータMGの出力制限処理に係るフローチャートである。なお、図8に示すフローチャートは、制御装置50において予め格納したプログラムを実行することで実現できる。
図8を参照して、まず、制御装置50は、温度センサ30からスイッチング素子温度Tswの検出値を取得すると(ステップS01)、車両走行期間におけるスイッチング素子の温度上昇量ΔTおよび予め評価試験により取得されている半田の信頼性に基づき、上述した方法によって温度上昇量ΔTが基準値ΔToとなる累積頻度CAを算出する(ステップS02)。
次に、交流モータMGの出力制限の要否を判断するために、制御装置50は、算出した温度上昇量ΔTの累積頻度CAが基準値Xを超えるか否かを判断する(ステップS03)。温度上昇量ΔTの累積頻度CAが基準値X以下のとき(ステップS03においてNO)には、制御装置50は、出力制限が不要であると判断し、負荷率LDR=100%に設定する(ステップS05)。
これに対して、温度上昇量ΔTの累積頻度CAが基準値Xを超えるとき(ステップS03においてYES)には、制御装置50は、出力制限が必要であると判断する。この場合、制御装置50は、図6の関係に基づき、累積頻度CAに応じて負荷率LDRを決定する(ステップS04)。
そして、制御装置50は、外部ECUからのトルク指令値TqcomにステップS04またはS05で設定された負荷率LDRを乗算することにより、制限トルク指令値Tqcom♯を生成すると、交流モータMGが制限トルク指令値Tqcom♯に従ったトルクを出力するようにインバータ20のスイッチング制御信号S11〜S16を生成してインバータ20を制御する。
なお、本実施の形態では、スイッチング素子の温度上昇量の累積頻度に応じて設定された制限トルク指令値Tqcom♯に従ってインバータ20の制御が行なわれる実施例を示したが、コンバータ12においても同様に、この制限トルク指令値Tqcom♯に従って電圧変換制御が行なわれることを確認的に記載しておく。この結果、コンバータ12およびインバータ20の組合せからなるPCU10において、交流モータMGの駆動能力を損なうことなく、スイッチング素子の温度上昇による半田クラックの発生を抑制することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
5 接地ライン、6,7 電源ライン、11,13,14 電圧センサ、12 コンバータ、20 インバータ、22 U相上下アーム、24 V相上下アーム、26 W相上下アーム、27 電流センサ、28 回転角センサ、30 温度センサ、50 制御装置、60 負荷、62 駆動軸、65 駆動輪、100 モータ駆動システム、110 絶縁基板、120 放熱板、130,140 半田、210 負荷率制御部、220 電流指令生成部、230,260 座標変換部、240 回転数演算部、250 PI演算部、270 PWM信号生成部、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1,D2,D11〜D16 逆並列ダイオード、L1 リアクトル、MG 交流モータ、Q1,Q2,Q11〜Q16 電力用半導体スイッチング素子、SR1,SR2 システムリレー。

Claims (1)

  1. 直流電源と、前記直流電源が出力する直流電圧を車両駆動用モータの駆動電圧に変換する電力変換装置とを備えたモータ駆動システムの制御装置であって、
    前記電力変換装置は、固着材によって基板上に固着された電力用半導体スイッチング素子を含み、
    前記制御装置は、
    前記車両駆動用モータがトルク指令値に従ったトルクを出力するように、前記電力用半導体スイッチング素子のスイッチング動作を制御する電力変換制御手段と、
    前記電力用半導体スイッチング素子の素子温度を検知するための温度センサと、
    前記温度センサによって検知された素子温度の初期温度からの温度上昇量が基準値となる頻度を累積することによって累積頻度を算出する累積頻度算出手段と、
    前記累積頻度算出手段によって求められた前記累積頻度が前記固着材のストレス耐力に応じて予め定められた許容値を超えた場合には、前記モータの出力トルクを制限する出力制限手段とを備える、モータ駆動システムの制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103744456A (zh) * 2014-01-15 2014-04-23 西北工业大学 一种高空螺旋桨电机系统驱动控制器的温控电路及加热方法
JP2016039670A (ja) * 2014-08-06 2016-03-22 株式会社デンソー 制御装置

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