JP2010251250A - フラットケーブルの製造方法 - Google Patents

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【課題】平形導体間の導体が存在しない接着面どうしの接合部分において、ラミネートされる絶縁フィルムの接着面に十分な圧接力が加えられ、接着界面に空隙や剥がれが生じないフラットケーブルの製造方法を提供する。
【解決手段】複数本の平形導体12を絶縁層14と接着剤層15からなる絶縁フィルム13で挟み、該絶縁フィルム同士を貼り合わせるフラットケーブル11の製造方法で、絶縁フィルム13を予加熱して接着剤層を軟化させ、次いで、反発弾性率が54〜65%のロール部材19を有する成形ロール17で絶縁フィルム13同士を圧着して、軟化した接着剤層15を接着させることを特徴とする。なお、成形ロールのロール部材19は、シリコンゴムまたはフッ素ゴムで形成することができ、また、成形ロールのロール部材19は、加熱された状態としてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信機器、電子機器等の機器内の電気配線に用いられる可撓性のフラットケーブルの製造方法に関する。
可撓性のフラットケーブルは、複数本の平形導体を絶縁層と接着剤層からなる絶縁フィルムで挟み、絶縁フィルム同士を貼り合わせた形態のものがある(例えば、特許文献1,2参照)。この種のフラットケーブルは、複数本の平形導体を平行一列に並べた状態で、その両側から絶縁フィルムの接着剤層が互いに接触するようにして接合させる。次いで、加圧ロールを用いて接着剤層で接着一体化してラミネートすることにより、ケーブル化される。なお、加圧ロールには、接着剤層の種類に応じて加熱可能なロールが用いられる。
特開平8−287732号公報 特開2006−49185号公報
図4(A)、(B)は、上述したフラットケーブル1の製造方法を模擬的に示す図である。先ず、図4(A)に示すように、複数本の平形導体2を所定の間隔をあけて平行一列に並べ、前記の平形導体2を上下両面から絶縁フィルム3でサンドイッチ状に挟む。絶縁フィルム3は、絶縁層4と接着剤層5の2層からなり、接着剤層5が互いに向き合うようにして平形導体2の平面に接合される。次いで、絶縁フィルム3を互いに加圧ローラで圧接すると、図4(B)に示すように、接着剤層5が互いに平形導体3の外周を埋めるようにラミネートされて、平形導体2は互いに電気的に絶縁された状態で配列が保持される。
しかしながら、絶縁フィルム3をラミネートしたとき、平形導体2間の導体が存在しない部分で接着剤層の埋まり込みが不十分で、空隙6が生じることがある。また、熱老化試験を行った後、フラットケーブルを屈曲すると、フラットケーブルの側面において、接着剤層5の接着面が剥がれ、剥がれ部7が生じることがある。これらの不良発生の原因は、平形導体2間の導体が存在しない接着面同士の接合部分(接着界面)に加えられる圧接が不十分で、接着面での接着力が弱いことにある。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、平形導体間の導体が存在しない接着面同士の接合部分において、ラミネートされる絶縁フィルムの接着面に十分な圧接力が加えられ、接着界面に空隙や剥がれが生じないフラットケーブルの製造方法の提供を目的とする。
本発明によるフラットケーブルの製造方法は、複数本の平形導体を絶縁層と接着剤層からなる絶縁フィルムで挟み、該絶縁フィルム同士を貼り合わせるフラットケーブルの製造方法で、絶縁フィルムを予加熱して接着剤層を軟化させ、次いで、反発弾性率が54〜65%のロール部材を有する成形ロールで絶縁フィルム同士を圧着して、軟化した接着剤層を接着させることを特徴とする。
なお、成形ロールのロール部材は、シリコンゴムまたはフッ素ゴムで形成することができ、また、成形ロールのロール部材は、加熱された状態としてもよい。
本発明によれば、平形導体間での接着剤層の埋まり込みがよく、空隙の発生がなくなり、また、熱老化試験後においても、接着剤層の剥がれをなくすことができる
本発明によるフラットケーブルの製造方法の概略を説明する図である。 本発明と比較例との成形ロールによる絶縁フィルムの圧接状態を示す図である。 本発明の製造方法によるフラットケーブルの断面形状を示す図である。 従来技術の課題を説明する図である。
図により本発明の実施の形態を説明する。図中、11はフラットケーブル、12は平形導体、13は絶縁フィルム、14は絶縁層、15は接着剤層、16はシューター、17は成形ロール、18はロール心、19はロール部材を示す。
本発明によるフラットケーブルの製造は、図1に示すように、断面平角状の複数本の平形導体12を平行一列に並べた状態で供給し、2枚の絶縁フィルム13を前記の平形導体12を両側からサンドイッチ状に挟むように供給して実施される。平形導体12と絶縁フィルム13は、シューター16に案内されて一対の成形ロール17間に送り込まれ、加圧によりラミネートされ、フラットケーブル11とされる。
平形導体12は、例えば、導体材料としては、平角銅の表面に錫メッキ等を施したものを用いることができ、厚み0.035mm程度、幅が0.3mm程度で、隣接の平形導体との間隔が0.2〜0.3mm位で配列される。絶縁フィルム13は、絶縁層14と接着剤層15の少なくとも2層からなるものが用いられる。絶縁層14としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成され、厚さが25μm程度のものが用いられる。接着剤層15としては、例えば、ポリエステル系の接着剤で、厚さ35μmで形成される。
絶縁フィルム13は、図1に示すように、テープ状にして連続的に供給され、1対のシューター16に案内されて、その接着剤層15で平形導体12を挟むようにして一対の成形ロール17間に送り込まれる。シューター16は、絶縁フィルム13がスムーズに移送されるように、滑らかの弧状の表面を有している。また、絶縁フィルム13は、シューター16上を通る際に、シューター16を介して、例えば、数十℃(25℃〜50℃)で予加熱して、その接着剤層15を軟化させておく。これにより、次の成形ロール17によるラミネート工程での接着を効果的に行なうことができる。
成形ロール17は、円形の金属製のロール心18の外周に、ゴム等の弾性のあるロール部材19を同軸状に配した構造で形成され、シューター16により案内された平形導体12の両面の絶縁フィルム13を、互いのロール部材のロール面で圧接するように配設される。ロール部材19は、シリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性のある樹脂で形成される。また、このロール部材19は、後述するように、その反発弾性率が54%〜65%とする。なお、反発弾性率の測定方法はJISK6255によるものとする。
また、成形ロール17は加熱可能なロールを用いることができる。加熱可能なロールとしては、ロール内に加熱ヒータを収納した構成のものが用いられ、使用される接着剤層15の材質にもよるが、ポリエステル系の接着剤の場合は、ロール部材19の温度が150℃〜170℃位になるように設定される。
成形ロール17に加熱可能なロールを用いることにより、シューター16の予加熱により軟化された状態の絶縁フィルム13の接着剤層15を溶融して、互いにラミネートされる絶縁フィルム13を効率良く圧着して一体化することができる。
図2は、成形ロールによる絶縁フィルムのラミネート状態を示す図で、図2(A)は本発明による例を示し、ロール部材19の反発弾性率が54〜65%の弾性ゴムを用いている場合である。図2(B)は比較例で、ロール部材19の反発弾性率が54%未満の弾性ゴムを用いている場合である。
本発明の図2(A)に示す例においては、ロール部材19が外力Faにより間隔が狭められると、ロール部材19は、絶縁フィルム13を平形導体12の両側から押圧し、絶縁層14の内側に付与された接着剤層15の接着面が平形導体12の表面に押圧力Fbで圧接される。ロール部材19に更に強い押圧力を加えると、平形導体12の厚みにより、ロール部材19の押圧面19aが弾性的に変形して、平形導体12間の導体が存在しない部分にも十分な押圧力Fcが生じ、軟化ないしは溶融状態にある接着剤層15同士による接着界面15aを接着一体化する。なお、反発弾性率が65%を超えると、押圧力Fcが大きすぎて、絶縁層14に皺が生じる恐れがある。
これに対し、比較例として示す図2(B)では、図2(A)の場合と同様に、ロール部材19が外力Faにより間隔が狭められると、ロール部材19は、絶縁フィルム13を平形導体12の両側から押圧し、絶縁層14の内側に付与された接着剤層15の接着面が平形導体12の表面に押圧力Fbで圧接される。しかしながら、ロール部材19に更に強い押圧力を加えても、ロール部材19の反発弾性率が小さいため、平形導体12の厚みに対してロール部材19の押圧面19aが弾性的に変形しないか、変形するとしてもその変形量が少ない。このため、平形導体12間の導体が存在しない部分に付与される押圧力Fcが小さく、接着剤層15の接着界面15aが軟化ないしは溶融状態にあるとしても接着が不十分となる。
図3は、図4に対応する本発明の製造方法により製造されたフラットケーブルの一例を示す図である。フラットケーブル11に用いられる平形導体12および絶縁フィルム13は、図4で例示したのと同じで、図3(A)に示すように、複数本の平形導体12を所定の間隔をあけて平行一列に並べ、前記の平形導体2を上下両面から絶縁フィルム3でサンドイッチ状に挟む。絶縁フィルム13は、絶縁層14と接着剤層15の2層からなり、接着剤層15が互いに向き合うようにして平形導体12の平面に接合される。
次いで、絶縁フィルム13を互いに成形ロールで圧接すると、図3(B)に示すように、図4(B)で示したような空隙を生じることなく、接着剤層15が互いに平形導体12の外周を埋めるようにラミネートされたフラットケーブルが得られる。また、このフラットケーブルは、熱老化試験を行った後において、接着剤層15の接着面に剥がれが生じることがない。
次の表1は、本発明によるフラットケーブルの製造方法を評価した結果を示すものである。試料No.1と2は、本発明の比較例に相当するもので、成形ロール17のロール部材19に反発弾性率が47%のものを用い、製造線速を1m/minと2m/minで行なった。また、試料No.3と4は、本発明に相当するもので、成形ロールのロール部材に反発弾性率が62%のものを用い、製造線速を1m/minと2m/minで行なった。
なお、試料No.1〜4のいずれにおいても、フラットケーブルの平形導体として、厚み0.035mm、幅0.3mmの銅導体を、導体間隔0.2mmで配列し、絶縁フィルムとして、厚さ25μmのPETに、ポリエステル系の接着剤を厚さ35μmで付与したものを使用した。また、シューターによる予加熱温度を50℃とし、成形ロール17のロール部材19の温度を175℃とし、成形ロールにかける圧力を0.05〜0.2MPaとした。
Figure 2010251250
評価試験の結果は、平形導体間のケーブル断面における接着界面の密着状態は、試料No.2は図4(B)に示すような空隙が生じていたが、試料No.1,3,4については、図3(B)に示すように空隙がなく、良好であった。熱老化試験(136℃で168時間放置)の後、試料No.1,2は剥がれが生じたが、試料No.3,4については剥がれがなく、良好であった。
11…フラットケーブル、12…平形導体、13…絶縁フィルム、14…絶縁層、15…接着剤層、15a…接着界面、16…シューター、17…成形ロール、18…ロール心、19…ロール部材、19a…押圧面。

Claims (3)

  1. 複数本の平形導体を絶縁層と接着剤層からなる絶縁フィルムで挟み、該絶縁フィルム同士を貼り合わせるフラットケーブルの製造方法であって、
    前記絶縁フィルムを予加熱して前記接着剤層を軟化させ、次いで反発弾性率が54〜65%のロール部材を有する成形ロールで前記絶縁フィルム同士を圧着して、前記軟化した接着剤層を接着させることを特徴とするフラットケーブルの製造方法。
  2. 前記成形ロールのロール部材が、シリコンゴムまたはフッ素ゴムで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブルの製造方法。
  3. 前記成形ロールのロール部材が、加熱されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフラットケーブルの製造方法。
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